(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-05
(54)【発明の名称】車両上の外部センサ表面を迅速に綺麗にするためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B60S 1/62 20060101AFI20231128BHJP
【FI】
B60S1/62 120C
B60S1/62 110B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528050
(86)(22)【出願日】2021-11-12
(85)【翻訳文提出日】2023-05-19
(86)【国際出願番号】 US2021059121
(87)【国際公開番号】W WO2022104045
(87)【国際公開日】2022-05-19
(32)【優先日】2020-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516300944
【氏名又は名称】ディエルエイチ・ボウルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】dlhBOWLES Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】クライン,ザカリー,ダウニング
【テーマコード(参考)】
3D225
【Fターム(参考)】
3D225AA11
3D225AC07
3D225AD22
(57)【要約】
複数の急速排気弁を利用して、表面を迅速に清浄化するためのシステムと方法が提供される。当該システムは特に、車両の外面に取付けられたセンサの大きな又は円筒形の表面を清浄化するように構成される。当該システム及び方法は、加圧空気のドーズを表面上へ効率的に絞り出すために少なくとも1つのノズル及び少なくとも1つの電磁弁と共に構成された複数の急速排気弁の使用を企図する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外面に沿った表面を迅速に清浄化するためのシステムであって、
少なくとも1つの排気弁であって、
入口ポート、ドーズポート及び出口ポートと共にキャビティを画定するハウジングと、
前記ドーズポートと連通するドーズチャンバと、
前記キャビティ内に配置され、前記入口ポートと、前記ドーズポートと、前記出口ポートとの間で空気圧を選択的に連絡するように構成された弁部材とを含み、前記弁部材は、閉じた位置と開いた位置との間で偏倚するように構成され、前記キャビティは、前記開いた位置と前記閉じた位置との間での前記弁部材の選択的な偏倚により、加圧空気が前記ドーズチャンバに貯蔵されること及び前記出口ポートを介して絞り出されるように制御されることを可能にするように、前記弁部材により別個の容積へ分割されている、少なくとも1つの排気弁と、
前記排気弁からの前記出口ポートと連通し、清浄化されるべき表面上へ加圧空気を絞り出すように構成された少なくとも1つのノズルと、
前記排気弁と連通する切換弁とを含み、前記切換弁は、加圧空気を前記少なくとも1つの排気弁へ選択的に導入し、前記弁部材を前記開いた位置と前記閉じた位置との間で選択的に偏倚させるように構成されている、システム。
【請求項2】
単一の切換弁と加圧連絡する複数の排気弁を更に含み、前記排気弁のそれぞれは、少なくとも1つのノズルと加圧連絡する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記清浄化されるべき表面が、ほぼ円柱形状を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ほぼ円柱形状が、約25mmから約150mmまでの高さ、及び約50mmから約300mmの直径を含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記ドーズポートは、前記ハウジング内の連続的な別個の容積であるドーズチャンバに取付けられ、前記ドーズチャンバが前記ハウジングの前記キャビティ内にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ドーズポートは、前記ハウジングの前記キャビティの外側で前記ハウジングに取付けられた別個の容積であるドーズチャンバに取付けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記弁部材が前記閉じた位置にある際、加圧空気は、前記出口ポートから絞り出されることができないが、前記入口ポートと前記ドーズポートとの間で連通連絡されることができ、前記弁部材が開いた位置にある際、加圧空気は、前記出口ポートを介して前記ドーズポートから絞り出されることができ且つ前記入口ポートと連絡されない、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記排気弁は、加圧空気を前記ドーズチャンバから前記出口ポートへ放出するために前記弁部材を急速に開くことを達成するように、前記切換弁を介して迅速にベントするように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記切換弁は、3/2電磁弁であり、前記迅速にベントすることは、当該電磁弁を通じて達成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
少なくとも1つの逆流止め弁を更に含み、当該逆流止め弁は、少なくとも1つのドーズチャンバ及び加圧空気源と連絡し、前記弁部材が前記閉じた位置にあり且つ前記逆流止め弁が開いた位置にある際に、加圧空気源から前記少なくとも1つの排気弁の前記ドーズチャンバへの圧力の迅速な移動を可能にする、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
少なくとも1つの逆流止め弁を更に含み、当該逆流止め弁は、少なくとも1つのドーズチャンバ又は少なくとも1つのノズルと加圧液体源との間で連通し、前記ドーズチャンバ又は前記ノズルにおいて加圧空気と混合されることになる加圧液体の迅速な移動を可能にする、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記複数の排気弁は、互いに対して直列構成で構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項13】
前記複数の排気弁が第1の排気弁および少なくとも1つの後続の排気弁を含み、システムは、
第1の逆流止め弁であって、その第1の逆流止め弁は、前記少なくとも1つの後続の排気弁の少なくとも1つのドーズチャンバと前記切換弁との間で連通し、それにより第1の逆流止め弁は、前記切換弁が開いた際に、前記ドーズチャンバが加圧空気源により加圧空気で充填されることを可能にするように構成されている、第1の逆流止め弁と、
第2の逆流止め弁であって、その第2の逆流止め弁は、前記少なくとも1つの後続の排気弁の少なくとも1つの入口ポートと前記切換弁との間で連通し、それにより前記第2の逆流止め弁は、前記少なくとも1つのドーズチャンバが加圧空気で充填されることを可能にするために前記少なくとも1つの後続の排気弁の前記弁部材を前記閉じた位置に切り換えるように前記電磁弁が開いた際に、前記少なくとも1つの後続の排気弁への加圧空気を許容するように構成されている、第2の逆流止め弁とを更に含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記複数の排気弁は、互いに対してウォーターフォール構成に構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項15】
前記ウォーターフォール構成は、第1の排気弁および少なくとも1つの後続の排気弁を含み、それにより前記第1の排気弁のドーズチャンバが、前記後続の排気弁の前記入口ポートと流体連通し、加圧空気を前記後続の排気弁の前記入口ポートから前記第1の排気弁の前記ドーズチャンバへ送るように構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
第1の排気弁のドーズチャンバと、前記切換弁と、前記第1の排気弁の前記入口ポートとの間で連通する第1の逆流止め弁と、
少なくとも1つの後続の排気弁のドーズチャンバと、少なくとも1つの後続の排気弁の入口ポートとの間で連通する第2の逆流止め弁とを更に含み、前記第1及び第2の逆流止め弁により、前記ドーズチャンバは、前記切換弁が開いた際に空気源により加圧空気で充填されることが可能になり、
前記切換弁が閉じられた際に、前記ドーズチャンバ内の圧力が、前記複数の排気弁の前記弁部材を開いた位置に偏倚させて、加圧空気を、前記ノズルを介して所望の表面に対して排気するように構成され、
前記後続の排気弁内の加圧空気は、前記後続の排気弁の前記入口ポートから前記第1の排気弁の前記ドーズチャンバに迅速に排気されるように構成され、前記第1の排気弁の前記ドーズチャンバ内の加圧空気が前記出口ポートから迅速に排気されるように構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記システムは、表面を清浄化するために少なくとも1つのノズルから、複数の排気バースト又は複数のパルス状空気バーストを提供するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記複数のパルス状空気バーストのそれぞれの間で、前記排気弁の前記ドーズチャンバは、加圧空気で静圧まで充填され、次いで、加圧空気のみが、前記ドーズチャンバから部分的に排気される、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記システムは、以下の設計特徴、即ち
各パルス状空気バーストの平均質量流量が少なくとも約0.5g/秒であること、
ノズル流出速度が約50m/秒より大きいこと、
前記システムのターゲットシステム推力が約0.025Nより大きいこと
の少なくとも1つを更に含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記システムは、以下の設計特徴、即ち
(a)前記少なくとも1つのノズルが断面積を有する少なくとも1つの出口を含み、その少なくとも1つの出口の断面積が前記切換弁の断面流路面積より大きいこと、
(b)少なくとも1つの管が前記排気弁と前記少なくとも1つのノズルとの間に接続され、その管は、当該管の断面積が前記少なくとも1つのノズルの少なくとも1つの出口の断面積の合計の約2倍であるような断面積を含むこと、
(c)前記排気弁の出口ポートが、前記排気弁と前記少なくとも1つのノズルとの間に接続された前記管の断面積より大きい断面積を有すること、
(d)前記ドーズチャンバ内の絶対圧力は、加圧空気が排気バースト間で前記ドーズチャンバから排気されている際に周囲圧力の約2倍より下に低下しないこと
の少なくとも1つを更に含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
複数の急速排気弁および複数のノズルを利用して表面を迅速に清浄化する方法であって、
少なくとも1つの排気弁を設け、その排気弁は、
入口ポート、ドーズポート及び出口ポートと共にキャビティを画定するハウジングと、
前記ドーズポートと連通するドーズチャンバと、
前記キャビティ内に配置され、前記入口ポートと、前記ドーズポートと、前記出口ポートとの間で空気圧を選択的に連絡するように構成された弁部材とを含み、前記弁部材は、閉じた位置と開いた位置との間で偏倚するように構成され、前記キャビティは、前記弁部材が前記開いた位置と前記閉じた位置との間で選択的に偏倚されるように構成されるように、前記弁部材により別個の容積へ分割されており、
加圧空気を清浄化されるべき表面上へ絞り出すように構成された、前記複数の排気弁の少なくとも1つからの前記出口ポートと連通する少なくとも1つのノズルを設け、
前記少なくとも1つの排気弁と連通する切換弁を設け、
表面を清浄化するために前記少なくとも1つのノズルから複数の排気バースト又は複数のパルス状空気バーストを提供するように、切り詰められたサイクル動作において前記排気弁を動作させるために、前記少なくとも1つの排気弁に加圧空気を選択的に導入するために及び前記弁部材を前記開いた位置と前記閉じた位置との間で選択的に偏倚させるために前記切換弁を制御することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2020年11月12日に出願され、「System and A Method for Rapidly Clearing an Exterior Sensor Surfaceon a Vehicle」と題する米国仮特許出願第63/112812号の優先権および利益を主張しており、当該米国仮特許出願は、本明細書に全体として組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本開示は概して、車両の外面に沿って配置されたセンサ表面から沈降物またはデブリを効率的に除去する流体操作システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
車両が動き回っている限り、利便性および安全性のために車両上の表面を清浄化する必要性がある。例えば、今日の自動車には、フロントガラス、リアガラス、ヘッドランプ、リアカメラ、フロントカメラ、及び汚れると有効に動作しない多数の追加センサが存在する。これらセンサは、車両の全体にわたって位置することができる。何十年にもわたって、清浄化のための主要なニーズは、フロントガラス、リアガラス及びヘッドランプに限られていた。
【0004】
自律走行車(「AV」)の概念の始まりにより、全てのタイプのセンサを清浄化するための要求が増大した。係るセンサは、2~3例を挙げると、カメラ、赤外線、近接およびLIDARを含むことができる。また、それらは一般に、デブリでふさがれると、有効性が低下する。これを課題と捉えて、多くの自動車メーカは、多数のセンサ清浄化オプションを車両に追加し、乗員室の快適さからの要求に応じて、運転者がカメラに面する外面を清浄化することを可能にしている。一実施形態において、車載用コンピュータシステムは、清浄化が必要な時を判断し、独立した清浄化イベントをトリガする。これらセンサ清浄化の具現化形態のアーキテクチャ(構成)は、フロントガラスを清浄化することに類似し、幾つかの重要な差異を有する。第1に、ワイパーアームの形態で表面を機械的に清浄化しないことである。現在、洗浄液の均一な分配が、フロントガラスの用途におけるワイパーにより提供される機械的清浄化/分配の欠如に起因して、より高い優先度である。第2に、係るセンサ上で清浄化されるべき領域は、フロントガラスよりも数桁小さいことである。この現実性の結果は、必要とされる洗浄液が大幅に少ないということである。一般的なフロントガラスの清浄化ノズルは、約1000mL/分で流れるが、匹敵するセンサ清浄化ノズルは一般に、300mL/分未満である。更に、パッケージングは、埋め込まれたセンサが狭い(窮屈な)領域内にある際にかなり難題となり、光センサの場合、ノズルはセンサの視野内に存在することができず、或いは劣化したセンサ性能が結果として生じる。
【0005】
米国特許出願公開第2014/0060582号および米国特許出願公開第2017/0036650号、及び米国特許第9992388号は、参照により全体として組み込まれ、これらの目的を解決するための様々な方法を明らかにする。しかしながら、幾つかの課題は、これら窮屈なパッケージの現実性および非標準的な車両体積が実現される際に生じる。場合によっては、圧縮空気が、自動車用センサの用途に関してデブリを吹き飛ばすために利用されている。幾つかのシステムは、デブリを除去するためにセンサ表面に加えるように空気源からノズルへの空気の分配を管理するために電磁弁を利用することが知られている。一例として、表面から液滴または他の汚染物質を除去するために独立体積の圧縮空気を表面上へ急速に排気するために、米国特許出願公開第2020/0282416号により教示されるような、一種の急速排気弁を組み込むことが知られている。しかしながら、本開示は、表面を清浄化するために、ノズルアセンブリから圧縮空気と液体の双方を分配するためのアセンブリを企図する。
【0006】
これら知られた圧縮空気システムは、係るシステムが市場で受け入れられることに弊害をもたらす様々な要因により、制限される。例えば、沈降物の有効な除去に必要な高い率の空気消費量は、これら空気ドージングシステムがLIDARセンサ表面のようなより大きいセンサ表面を綺麗にするために複数のソレノイド又は大きいサイズの比較的高価なソレノイドを必要とするので、高価で手が出せない。また、比較的小さくてコスト効率を高くすることにより目立たないようにデブリを効果的に除去するためにタイミングが計られることができ、且つ大きな表面または湾曲した表面からデブリを除去することができる設計において、複数のノズルを組み込むための課題も存在する。
【0007】
本開示の概要
一実施形態において、車両の外面に沿った表面を迅速に清浄化するためのシステムが開示され、当該システムは、少なくとも1つの排気弁であって、入口ポート、ドーズポート及び出口ポートと共にキャビティを画定するハウジングと、ドーズポートと連通するドーズチャンバと、キャビティ内に配置され、入口ポートと、ドーズポートと、出口ポートとの間で空気圧を選択的に連絡するように構成された弁部材とを含み、弁部材は、閉じた位置と開いた位置との間で偏倚するように構成され、キャビティは、開いた位置と閉じた位置との間での弁部材の選択的な偏倚により、加圧空気がドーズチャンバに貯蔵されること及び出口ポートを介して絞り出されるように制御されることを可能にするように、弁部材により別個の容積へ分割されている、少なくとも1つの排気弁と、排気弁からの出口ポートと連通し、清浄化されるべき表面上へ加圧空気を絞り出すように構成された少なくとも1つのノズルと、排気弁と連通する切換弁とを含み、切換弁は、加圧空気を少なくとも1つの排気弁へ選択的に導入し、弁部材を開いた位置と閉じた位置との間で選択的に偏倚させるように構成されている。単一の切換弁と加圧連絡する複数の排気弁が当該システムに設けられることができ、排気弁のそれぞれは、少なくとも1つのノズルと加圧連絡する。清浄化されるべき表面は、ほぼ円柱形状を有する場合があり、或いは湾曲している又は平坦である場合がある。清浄化されるべき表面のほぼ円柱形状は、約25mmから約150mmまでの高さ、及び約50mmから約300mmの直径を含む場合がある。ドーズポートは、ハウジング内の連続的な別個の容積であるドーズチャンバに取付けられる場合があり、ドーズチャンバはハウジングのキャビティ内にある。代案として、ドーズポートは、ハウジングのキャビティの外側でハウジングに取付けられた別個の容積であるドーズチャンバに取付けられる場合がある。弁部材が閉じた位置にある際、加圧空気は、出口ポートから絞り出されることができないが、入口ポートとドーズポートとの間で連通連絡されることができ、弁部材が開いた位置にある際、加圧空気は、出口ポートを介してドーズポートから絞り出されることができ且つ前記入口ポートと連絡されない。排気弁は、加圧空気をドーズチャンバから出口ポートへ放出するために弁部材を急速に開くことを達成するように、切換弁を介して迅速にベントするように構成され得る。切換弁は、3/2電磁弁である場合があり、迅速にベントすることは、当該電磁弁を通じて達成されるようになっている。
【0008】
一実施形態において、少なくとも1つの逆流止め弁は、弁部材が閉じた位置にあり且つ逆流止め弁が開いた位置にある際に、加圧空気源から前記少なくとも1つの排気弁のドーズチャンバへの圧力の迅速な移動を可能にするために、少なくとも1つのドーズチャンバと加圧空気源と連絡する場合がある。更に、少なくとも1つの逆流止め弁は、少なくとも1つのドーズチャンバ又は少なくとも1つのノズルと加圧液体源との間で連通して、前記ドーズチャンバ又は前記ノズルにおいて加圧空気と混合されることになる加圧液体の迅速な移動を可能にする場合がある。
【0009】
一実施形態において、複数の排気弁は、互いに対して直列構成で構成される。複数の排気弁が、第1の排気弁、及びシステムの管またはルーメンを介して第1の排気弁に接続された少なくとも1つの後続の排気弁を含む場合があり、システムは、第1の逆流止め弁を更に含む場合があり、その第1の逆流止め弁は、少なくとも1つの後続の排気弁の少なくとも1つのドーズチャンバと切換弁との間で連通し、それにより第1の逆流止め弁は、切換弁が開いた際に、ドーズチャンバが加圧空気源により加圧空気で充填されることを可能にするように構成されている。第2の逆流止め弁が設けられる場合があり、その第2の逆流止め弁は、少なくとも1つの後続の排気弁の少なくとも1つの入口ポートと切換弁との間で連通し、それにより第2の逆流止め弁は、少なくとも1つのドーズチャンバが加圧空気で充填されることを可能にするために少なくとも1つの後続の排気弁の弁部材を閉じた位置に切り換えるように電磁弁が開いた際に、少なくとも1つの後続の排気弁への加圧空気を許容するように構成されている。
【0010】
別の実施形態において、複数の排気弁は、互いに対してウォーターフォール構成に構成されている。ウォーターフォール構成は、第1の排気弁および少なくとも1つの後続の排気弁を含み、それにより第1の排気弁のドーズチャンバが後続の排気弁の入口ポートと流体連通し、加圧空気を前記後続の排気弁の前記入口ポートから第1の排気弁の前記ドーズチャンバへ送るように構成されている。この実施形態は、第1の排気弁のドーズチャンバと、切換弁と、第1の排気弁の前記入口ポートとの間で連通する第1の逆流止め弁と、少なくとも1つの後続の排気弁のドーズチャンバと、少なくとも1つの後続の排気弁の入口ポートとの間で連通する第2の逆流止め弁とを含む場合があり、第1及び第2の逆流止め弁により、ドーズチャンバは、切換弁が開いた際に空気源により加圧空気で充填されることが可能になる。ここで、切換弁が閉じられた際に、ドーズチャンバ内の圧力が、複数の排気弁の弁部材を開いた位置に偏倚させて、加圧空気を、ノズルを介して所望の表面に対して排気するように構成される。後続の排気弁内の加圧空気は、後続の排気弁の入口ポートから第1の排気弁のドーズチャンバに迅速に排気されるように構成される場合があり、第1の排気弁のドーズチャンバ内の加圧空気が出口ポートから迅速に排気されるように構成される。
【0011】
別の実施形態において、システムは、表面を清浄化するために少なくとも1つのノズルから、複数の排気バースト又は複数のパルス状空気バーストを提供するように構成される。ここで、複数のパルス状空気バーストのそれぞれの間で、排気弁のドーズチャンバは、加圧空気で静圧まで充填され、次いで、加圧空気のみが、前記ドーズチャンバから部分的に排気され得る。システムは、以下の設計特徴、即ち、各パルス状空気バーストの平均質量流量が少なくとも約0.5g/秒であること;ノズル流出速度が約50m/秒より大きいこと;システムのターゲットシステム推力が約0.025Nより大きいことの少なくとも1つを更に含む場合がある。別の実施形態において、システムは、以下の設計特徴、即ち、(a)少なくとも1つのノズルが断面積を有する少なくとも1つの出口を含み、その少なくとも1つの出口の断面積が切換弁の断面流路面積より大きいこと、(b)少なくとも1つの管が前記排気弁と前記少なくとも1つのノズルとの間に接続され、その管は、当該管の断面積が少なくとも1つのノズルの少なくとも1つの出口の断面積の合計の約2倍であるような断面積を含むこと、(c)排気弁の出口ポートが、排気弁と少なくとも1つのノズルとの間に接続された前記管の断面積より大きい断面積を有すること、(d)ドーズチャンバ内の絶対圧力は、加圧空気が排気バースト間でドーズチャンバから排気されている際に周囲圧力の約2倍より下に低下しないこと、の少なくとも1つを更に含む。
【0012】
一実施形態において、複数の急速排気弁および複数のノズルを利用して表面を迅速に清浄化する方法が提供され、その方法は、少なくとも1つの排気弁を設け、その排気弁は、入口ポート、ドーズポート及び出口ポートと共にキャビティを画定するハウジングと;ドーズポートと連通するドーズチャンバと;キャビティ内に配置され、入口ポートと、ドーズポートと、出口ポートとの間で空気圧を選択的に連絡するように構成された弁部材とを含み、弁部材は、閉じた位置と開いた位置との間で偏倚するように構成され、キャビティは、弁部材が開いた位置と閉じた位置との間で選択的に偏倚されるように構成されるように、弁部材により別個の容積へ分割されており;加圧空気を清浄化されるべき表面上へ絞り出すように構成された、複数の排気弁の少なくとも1つの出口ポートと連通する少なくとも1つのノズルを設け;少なくとも1つの排気弁と連通する切換弁を設け;表面を清浄化するために少なくとも1つのノズルから複数の排気バースト又は複数のパルス状空気バーストを提供するように、切り詰められたサイクル動作において前記排気弁を動作させるために、前記少なくとも1つの排気弁に加圧空気を選択的に導入するために及び弁部材を開いた位置と閉じた位置との間で選択的に偏倚させるために切換弁を制御することを含む。
【0013】
本開示のこれら、並びに他の目的および利点は、添付図面に関連して本発明の現時点で好適な例示的実施形態に関する以下のより詳細な説明を参照することによって、より完全に理解および認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】Aは、当該技術で知られている急速排気弁の模式図である。
【0015】
図1のBは、
図1のAの急速排気弁用の弁部材である。
【0016】
【
図2】本開示による、表面を迅速に清浄化するためのシステムの一実施形態の模式図である。
【0017】
【
図3】本開示による、表面を迅速に清浄化するためのシステムの一実施形態の模式図である。
【0018】
【
図4】本開示による、表面を迅速に清浄化するためのシステムの別の実施形態の模式図である。
【0019】
【
図5】本開示による、表面を迅速に清浄化するためのシステムの別の実施形態の模式図である。
【0020】
【
図6】本開示による、表面を迅速に清浄化するためのシステムにおいて使用するための、逆流止め弁を備える急速排気弁の模式図である。
【0021】
【
図7】本開示による、表面を迅速に清浄化するためのシステムの別の実施形態の模式図である。
【0022】
【
図8】本開示による、表面を迅速に清浄化するためのシステムの別の実施形態の模式図である。
【0023】
【
図9】本開示による、表面を迅速に清浄化するためのシステムの別の実施形態の模式図である。
【0024】
【
図10】本開示による、表面を迅速に清浄化するためのシステムの別の実施形態の模式図である。
【0025】
【
図11A】本開示による、表面を迅速に清浄化するためのシステムのノズルにより包囲される、沈降物を有する大きな円筒形センサの表面の画像である。
【0026】
【
図11B】本開示による、表面を迅速に清浄化するためのシステムにより沈降物が除去された
図11Aの表面の画像である。
【0027】
【
図12】本開示による、表面を迅速に清浄化するためのシステムの一実施形態の画像である。
【0028】
【
図13】本開示による、表面を迅速に清浄化するためのシステムの一実施形態の動作中の圧力対時間を示すグラフである。
【0029】
【
図14】本開示による、表面を迅速に清浄化するためのシステムの一実施形態の動作中の圧力対時間を示すグラフである。
【0030】
【
図15】本開示による、表面を迅速に清浄化するためのシステムの一実施形態の動作中の弁のチャッタリングを示す圧力対時間を示すグラフである。
【0031】
【
図16】本開示による、表面を迅速に清浄化するためのシステムで使用され得る低効率ノズルタイプの略斜視図である。
【0032】
【
図17】本開示による、表面を迅速に清浄化するためのシステムで使用され得る高効率ノズルタイプの略斜視図である。
【0033】
詳細な説明
さて、本教示の例示的な実施形態に詳細に言及し、それらの例は添付図面に示される。理解されるべきは、他の実施形態が利用される場合があり、構造的および機能的変更が本教示の個々の範囲から逸脱せずに行われ得る。更に、様々な実施形態の特徴は、本教示の範囲から逸脱せずに組み合わせられ得る又は変更され得る。そのため、以下の説明は、単なる例示のために提示されており、例示された実施形態になされる場合があり且つ本教示の思想および範囲内に依然としてある様々な変更態様および変形態様をどんな方法であっても制限するべきでない。本開示において、特定の形状、材料、技術、及び構成などの何らかの識別は、提示された特定の例に関連しているか、又は係る形状、材料、技術、構成、及び寸法などの単なる一般的な説明である。
【0034】
本開示の目的は、車両の外面に沿って配置されたセンサ表面から沈降物またはデブリを有効に且つ効率的に除去するための流体管理のシステム及び方法を提供することである。センサ表面、特に車両の外面に一般に取付けられたLIDARのようなより大きい表面から水滴を取り除くために必要な圧縮空気の量を低減することが望まれる。テストは、空気ドージングを行うために急速排気弁のシステムを利用することが自動車の後方確認カメラのような所与の小さい表面から液滴を取り除くために必要な空気塊を、シャー(shear:せん断)ノズルからの短いバーストの圧縮空気と対比して、低減できることを示した。しかしながら、デブリの大きな表面を取り除くために正確に動作させるように、急速排気弁(「QEV」)のような、ドージングタイプの弁または排気弁のシステムを正確に構成するのは常に厄介であった。
【0035】
更に、既知のシステムは、自動化を支援するために車両上で使用されることを企図されている特定のLIDARセンサに組み込まれた物のような大きな表面または円柱面を効果的に清浄化することができなかった。これら大きな又は円筒形(円柱形)のLIDARセンサ表面は、特定の車両の後方確認カメラで使用される物のようなカメラ又は他のセンサレンズ表面よりも一般的に大きい。係るLIDARセンサは、乗用車、トラック、ボート、UAV、飛行機、或いは産業機器または農業機器で使用されることが企図されている。大きな形状の円柱面の一実施形態は、55mmの高さと115mmの直径の表面を有するように測定され得る。しかしながら、表面の任意のサイズ及びタイプが本明細書で企図されているが、係るセンサ表面の高さと曲率は、適切に綺麗にするように具現化され得る清浄化システムのタイプに直接的に影響を及ぼす。特に、円柱形状の表面は、表面から沈降物またはデブリを除去するためにスプレーの十分な形状および/または部分的な重なりを有する扇状角度のスプレーを提供するように、係る表面の円柱形状の周りに間隔を置いて配置された複数のノズルにより良好に清浄化され得る。特に、開示されたシステムの実施形態は、平面、及び適度に湾曲したウィンドウなどのような僅かに湾曲した表面を含む、任意のタイプの表面を清浄化するように構成され得る。
【0036】
効果的な清浄化システムの1つの係る設計パラメータは、システムのコストと複雑性を低減するために最小数の切換弁70で達成され、それにより1つの切換弁毎に複数のノズル60の使用を確立しながら、センサ表面85(
図3及び
図5)を清浄化するためにできる限り最小の空気ドーズの使用を確立することである。切換弁は、電気機械的に制御される弁であることができ、この場合、切換弁の1つの一般的なタイプは、電磁(ソレノイド)弁である。多くのタイプの電磁弁は、ノズル及びQEVに関連して法外に高価である。更に、本出願人は、電磁弁対ノズルの1:1の比率が競争に生き残れないシステムコストを発生させることを確認した。そのため、圧縮空気源を小型化し、効果的な清浄化に必要な電磁弁のサイズを低減し、及びそうでなければ、本明細書で説明されるように複数のノズルがシステムの単一の電磁弁により制御されることができない場合は、複数の電磁弁を使用することの必要性を取り除くという商業利益が存在する。
【0037】
更に、圧縮空気の臨界速度(Vmin)が特定のサイズの液滴を移動させるのに必要であるという設計理論が存在する。生成されるノズル速度は、ノズルの幾何学的形状および供給される空気の関数である。ノズルから少し離れた所の速度は、所与のセンサ表面の液滴を取り除くためにVminを超える必要がある。QEVは、体積および速度を含むスプレーの性能がノズルの構成により決定されないように、空気流を計量しながら供給する。係るシステムにおけるQEVの適切な利用は、大きなノズル出口を有するノズルのような、様々なタイプのノズルの使用の設計を可能にする筈である。QEVにより、空気が、典型的なノズルの喉のような制限を用いずに迅速に流出することが可能になり、空気の高瞬間質量流量(Qinst)を達成するが、活性化毎に放出される全空気量は低い。高質量流量Qinstは、Vminをノズルから、より低いQinstより遠くまで伝播する。より速いドーズ放出時間は、消費される空気の質量を増加せずにノズルから距離Ymmの所でより高いQinst及び速度Vという結果になる筈であり、それは、より効果的に表面を綺麗にするという結果になる筈である。大きな扇状角度を有するノズルは、センサ表面毎に必要なノズルの数を低減するが、Vminが依然として達成され得る場合にのみ有効である。
【0038】
本出願人は、説明された問題に対処し、本開示の清浄化システムの実施形態を見出すために、説明された設計理論を組み込んだ。
図1のA及びBは、本出願により企図されたQEVの一実施形態を示す。QEV10は、第1のポート(入口)20、第2のポート(ドーズ)30、及び第3のポート(出口)40と共に、キャビティ14を画定するハウジング12を含む。特に、第2のポート(ドーズ)30は、ハウジング12内で連続した別個の容積(volume:体積)であることができ、この場合、第2のポート及び関連したドーズは、ハウジングのキャビティ内にある場合がある、又は第2のポート(ドーズ)30は、ドーズがそれに取付けられることを可能にするために(
図2により示されるように)別個の装置である場合がある。弁部材50は、第1のポート、第2のポート及び第3のポートの間で空気圧の操作可能に且つ選択的に連絡する状態で、キャビティ14内に配置され得る。弁部材50は、閉じた位置と開いた位置との間で偏倚することができる。閉じた位置において、加圧空気は、第3のポート(出口)40から絞り出されることはできないが、第1のポート(入口)20と第2のポート(ドーズ)30との間で連通連絡され得る。開いた位置において、加圧空気は、キャビティ14を介して第2のポート(ドーズ)30から絞り出され、第3のポート(出口)40からノズルへ絞り出され得るが、第1のポート(入口)20と連通連絡することができない。キャビティ14は、弁部材50により別個の容積へ分割され得る。別個の容積は、弁部材50におけるパイロット孔52により加圧連絡の状態であることができる。
図1のAの実施形態において、QEVは、キャビティ14内の第1の容積53Aと第2の容積53Bとの間に、パイロット孔52を備える弁部材50を含む。一実施形態において、開いた位置と閉じた位置との間での弁部材の選択的なバイアスにより、加圧空気がQEV内へ入り、ドーズチャンバ32内に貯蔵され、次いでセンサ表面から沈降物またはデブリを除去するために所望の制御された態様で出口40及びノズル60を介して絞り出されるように制御されることが可能になる。
【0039】
別の言い方をすれば、加圧空気またはガスは、出口50から絞り出されるのを阻止しながらドーズチャンバ32へ送られるように、電磁弁からQEV圧力の入口20へ加えられ得る。弁部材50は、加圧空気が閉じた位置でドーズチャンバに貯蔵され、開いた位置で出口から迅速に排出されることを可能にするためにライン圧力に基づいて、開いた位置と閉じた位置との間で切り換わるこの機能を可能にするために特定の態様で形作られ得る。また、弁部材50は、所望の方法で加圧空気の移動を支援するためのパイロット孔52も含む場合がある。
【0040】
図2は、加圧空気源80、3/2電磁弁70及びノズル60と加圧連絡状態にあるQEV10を含む清浄化システムの一実施形態の略線画図を示す。これら要素は、様々なサイズと長さであることができるホースにより、加圧連絡状態にある。しかしながら、この構成は、弁部材50、次いでドージングチャンバ32の急速な開口を達成し、加圧されたドーズを出口40へ放出するために、QEVの制御側(第1のポート)が電磁弁70を介して迅速にベントされるように構成されなればならないという点で設計の制限を有する。この迅速な制御ラインのベント能力により、係るシステムは、装置からの空気の高い流出速度および瞬間質量流量を達成することが可能になり、効果的に液滴を取り除くことにつながる。QEVの制御側での圧力切換は、QEVを、ドーズを充填するために圧縮空気源80に接続するか、又はドーズをベントするために周囲空気に接続する3/2タイプの電磁弁でもって達成され得る。この構成は、QEV毎に1つの電磁弁を用いることを必要とし、高いシステムコストを招く。
【0041】
本出願人は、電磁弁がQEVの全ての制御側およびそれらを接続する任意の管類を迅速に一度でベントするように十分な大きさになっている場合に、電磁弁毎に複数のQEVを用いることが達成され得ることに気が付いた。この構成は、
図3~
図5により企図されており、表面85を清浄化するために、大きな電磁弁(単数)を必要とするが、任意の数のQEV及びノズルを含むことができる。
図6は、QEVの代替の構成を示し、当該構成において、少なくも1つの追加の逆流止め弁または逆止弁90が当該システムへ導入され、開いた構成の際にドーズチャンバ32から出口ポート40への圧力の迅速な移動、及び閉じた位置にある際に加圧空気源からドージングチャンバ32への圧力の迅速な移動の双方を可能にする。更に、弁部材50のパイロット孔52は、ドーズ32から電磁弁70のベントへの逆流を防止するために取り除かれる。
【0042】
代案として、複数のQEVは、後述されるように、複数のQEVの迅速なベントを可能にするように設計される必要がない単一の小さな3-2電磁弁で効率的な機能を可能にするように構成され得る。この場合、本開示は、急速QEV空気ドージングシステムのために構成された少なくとも2つの構成(「直列」及び「ウォーターフォール」)を企図する。
【0043】
図7(「直列」)及び
図8(「ウォーターフォール」)により企図された構成において、少なくとも1つの追加の逆流止め弁または逆止弁90、190がシステムに導入されて、開いた構成の際にドーズチャンバ32から出口ポート40への圧力の迅速な移動、及び閉じた位置にある際に加圧空気源からドージングチャンバ32への圧力の迅速な移動の双方を可能にする。双方の構成は、例えばLIDARセンサ表面85を綺麗にするために、マルチノズルのセットアップが必要とされる際に効果的に動作するために制御側(第1のポート)を介して、QEVが迅速にベントすることを可能にし、そうでなければ、十分に急速にベントすることができるように非常に大きな電磁弁または複数のソレノイドを必要とする。また、これは、表面の所望の部分が各ノズルにより十分に綺麗にされるように、効率的かつ効果的に各ノズルスプレーのタイミングをとるために閉じた位置と開いた位置との間で弁部材50の効率的かつ迅速な偏倚も可能にする。
【0044】
一実施形態において、
図7により企図されるように、第1のQEV10Aが後続のQEV10B、10C、10Dをトリガするように、複数のQEV10が直列に構成されることができ、その結果、トリガ/制御電磁(ソレノイド)弁70は、それが迅速にベントすることを可能にするように設計される必要がないという点で比較的小さくすることができる。代わりに、迅速なベントは、第1のQEV10Aの使用により達成され、第1のQEV10Aにおいて、その出口ポート10Aが周囲環境に直接的に排気される。対照的に、後続のQEV10B、10C、10Dの出口ポート40B、40C、40Dは、互いに対して制御された時間で、関連したドーズチャンバ32B、32C、32Dから所望の表面に特定の加圧空気をそれぞれ提供するようにノズル60B、60C、60Dと連通する。第1のQEV10Aは、ドーズチャンバを含まないが、その第2のポート30Aは、後続のQEV10B、10C、10Dの入口ポート20B、20C、20Dと加圧連絡する。
【0045】
図7により示されるような一実施形態において、第1の逆流止め弁90Aは、後続のQEV10B、10C、10Dのドーズチャンバ32B、32C、32D、及びソレノイド70と連通する。この逆流止め弁90Aにより、ドーズチャンバは、電磁弁70が開いた際に、空気源80により加圧空気で直接的に充填されることが可能になる。しかしながら、ひとたびドーズチャンバ32が満杯になれば、加圧空気がソレノイド70に戻るように導入されることが防止される。更に、第2の逆流止め弁90Bは、後続のQEV10B、10C、10Dの入口ポート20B、20C、20D、並びに第1のQEV10Aからの第2のポート30A及び電磁弁70と連通する。この場合、加圧空気は、各QEVの弁部材50を閉じた位置に置くように電磁弁が開くように制御される際、システムへ導入され、ドーズチャンバが加圧空気で充填される。電磁弁70が閉じられると、ドーズチャンバ32B、32C、32D内の圧力は、制御ライン側の圧力より大きくなり、弁部材50を開の位置に偏倚させて、加圧空気を、ノズルを介して所望の表面に対して排気するように機能する。また、QEV10B、10C、10D内の潜在的な加圧空気は、入口ポート20B、20C、20Dから、及び第1のQEV10Aの第2のポート30A及び出口ポート40Aを介して迅速に排気される。QEV10B、10C、10Dからのこの潜在的な加圧空気の迅速なベントは、出口を介したドーズチャンバからの加圧空気の所望の量と速度の流れを可能にし、表面から沈降物の所望の除去という結果になる。
【0046】
別の言い方をすれば、第1のQEVは、単一の電磁弁で幾つかの他のQEVをトリガするためのリレーとして構成される。そうするために、複数のQEVの制御側は、アクチュエータ、又はリレーとして作動しているQEVのドーズポートに接続され得る。下流のQEVのドーズ側および制御側は、一方向逆止弁と共に3-2電磁弁の出口に接続されるべきであり、当該一方向逆止弁により、圧縮空気は、ソレノイドポートが圧力に接続された際にドーズへ流れることが可能になるが、電磁(ソレノイド)弁がベント位置に切り換えられた際に空気がドーズから逆流できない。このように、QEV全てのドーズは、電磁弁が圧力に接続された際に充填されるが、電磁弁が切り換えられた際に、リレーQEVの制御側のみがベントされることを可能にされる。これにより、リレーQEVは、開かれ、接続されたQEV全ての制御側からの圧力が雰囲気にベントされ、接続されたQEV全てが開かれることが可能になり、それらのドーズを目標(ターゲット)のセンサ表面上へベントすることが可能となる。当該利益は、リレーQEVのベントポートのサイズがソレノイド制御オリフィスより遙かに大きくすることができる点であり、複数のQEVからの大きな制御体積(volume:塊)が雰囲気に迅速にベントされることが可能になる。同じ体積(volume:量)が電磁弁を強制的に通り抜ける場合、当該流れは、押えられて、下流のQEVが迅速に開くことを妨げ、下流QEVからの空気流出速度を制限する。代替の構成において、一方向逆止弁90A、90B及びそれらの接続するホース類は、パイロット孔52が弁部材50に存在して、ソレノイド70が空気源に接続された際に加圧空気がドーズ32B、32C、32Dを充填することを可能にする場合に、取り除かれ得る。また、任意の類似した一方向の又は実質的にバイアスを掛けられた流路を用いて、ドーズ32B、32C、32Dを充填することもできる。
【0047】
別の実施形態において、
図8により企図されるように、複数のQEV110A、110B、110Cがウォーターフォールの構成で構成される。複数のQEV110A、110B、110Cは、下流のQEVのドーズチャンバ132A、132B及び入口ポート120B、120Cが流体連絡するようにカスケード直列に構成されることができ、その結果、トリガ/制御電磁弁70は、大量の空気を迅速にベントすることを可能にするように設計される必要がないという点で比較的小さくすることができる。代わりに、潜在的な加圧空気の迅速なベントは、入口ポート120Cをドーズチャンバ132Bへルーティングし、入口ポート120Bをドーズチャンバ132Aへルーティングすることにより達成され、入口ポート120Aは電磁弁70にルーティングされる。QEV110A、110B、110Cの出口ポート140A、140B、140Cは、ノズルと連絡して、関連したドーズチャンバ132A、132B、132Cからの特定の加圧空気を、互いに対して制御された時間で所望の表面に提供する。
【0048】
図8により示されたような実施形態において、第1の逆流止め弁190Aの開いた側は、ドーズチャンバ132A、電磁弁70、入口ポート120B、及び第2の逆流止め弁190Bの閉じた側と連通する。第2の逆流止め弁190Bの開いた側は、ドーズチャンバ132B、入口ポート120C、及び第3の逆流止め弁190Cの閉じた側と連通する。第3の逆流止め弁190Cの開いた側は、ドーズチャンバ132Cと連通する。第1、第2及び第3の逆流止め弁190A、190B、190Cにより、ドーズチャンバは、電磁弁70が開かれた際に、空気源80により加圧空気で直接的に充填されることが可能になる。しかしながら、ひとたびドーズチャンバが満杯になれば、加圧空気が、ソレノイド70に戻るように導入されることが防止される。この場合、加圧空気は、各QEVの弁部材50を閉じた位置に置くように電磁弁が開くように制御される際、システムへ導入され、ドーズチャンバが加圧空気で充填される。電磁弁70が閉じられると、ドーズチャンバ132A、132B、132C内の圧力は、制御ライン側の圧力より大きくなり、弁部材50を開の位置に偏倚させて、加圧空気を、ノズルを介して所望の表面に対して排気するように機能する。また、QEV110C内の潜在的な加圧空気は、入口ポート120Cからドーズチャンバ132Bへ迅速に排気され、QEV110B内の潜在的な加圧空気は、入口ポート120Bからドーズチャンバ132Aへ迅速に排気され、QEV110A内の潜在的な加圧空気は、入口ポート120Aから電磁弁70を介して迅速に排気される。QEV110A、110B、110Cからのこの潜在的な加圧空気の迅速なベントは、出口を介したドーズチャンバからの加圧空気の所望の量と速度の流れを可能にし、表面から沈降物の所望の除去という結果になる。
【0049】
別の言い方をすれば、複数のQEVがカスケード構成またはアバランシェ構成で接続され、この場合、各下流のQEVの制御ポートは、先行するQEVのドーズに接続される。第1のQEVの制御側に接続された電磁弁をトリガすることにより、それが開かれてそのドーズをベントし、それにより次のQEVの制御ポートが雰囲気圧力を被りかつ開かれ、それをベントして、列を成す次のQEVが、カスケード接続の態様でベントされる。代案として、各QEVが1:1の関係で直列の単一の下流のQEVに接続される代わりに、各QEVは、下流のQEVのアバランシェ(雪崩)の活性化を生じさせるために、1:2又は1:Xの比率で複数の下流のQEVに接続され得る。カスケード接続されたQEV構成のドーズを充填するために、ドーズは、圧縮空気が圧縮空気源からドーズへ流れることができるが、当該空気源に逆流することができないように、各連続したQEVの一方向逆止弁の分離を有する並列圧力供給路を有するべきである。
【0050】
本出願人は、チャッタリングにより、カスケード構成またはウォーターフォール構成で構成されたシステムに故障が生じる場合があることを確認した。これは、制御側とドーズ側の双方のベント速度が類似する際に、システムで生じる場合がある。チャッタリング故障を補償するために採用され得る幾つかの構造的ばらつきが存在する。一例において、システムのチェーンにおける連続したドーズチャンバは、逐次的に大きくなることができる。
図9は、
図8の構成に匹敵するウォーターフォール構成の実施形態を示すが、逐次的により大きな容積である連続したドーズチャンバを含む。この実施形態において、ドーズチャンバ132Cのサイズは、ドーズチャンバ132Bより大きく、ドーズチャンバ132Bのサイズは、ドーズチャンバ132Aより大きい。この構成は、ドーズのベント時間を延長することができる。別の例において、ドーズチャンバ間の管類の接続が、加圧空気の貯蔵容積のサイズを増大するために、各後続のQEV間に追加の容積を含むことができる。例えば、電磁弁70と第1のQEV110Aとの間の管類は、約5mlであることができ、第1のQEV110Aと第2のQEV110Bとの間の管類は、約10mlであることができ、第2のQEV110Bと第3のQEV110Cとの間の管類は、約15mlであることができるなどである。この構成は、ドーズのベント時間を延長することができる。更に別の例において、連続したノズルは、ドーズのベント時間を延長するために、漸進的に小さくなる出口サイズを有するような大きさにされ得る。更に、各QEVは、ドーズのベント時間を更に延長するために、異なる数のノズルに連絡することもできる。例えば、第1のQEV110Aは、その出口ポート140Aから3つのノズルへ連絡することができ、第2のQEV110Bは、その出口ポート140Bから2つのノズルへ連絡することができ、第3のQEV110Cは、その出口ポート140Cから1つのノズルへ連絡することができる。
【0051】
特に、後続のノズルのそれぞれからの圧縮空気の係る時間調整された絞り出しは、各絞り出し間の僅かな時間遅延が存在するので、きっちり同時に行われない。僅かな時間遅延は、必ずしも人間の目に見えて分からないが、迅速な連続において表面の所望の部分からデブリを効果的に除去する。後続のQEV出口とノズルとの間のパルスの持続時間は、主としてドーズサイズに依存し、そのパルス持続時間は、システムに使用されるより長いホースによって僅かに延長される。しかしながら、パルス時間の一実施形態は、各ノズルから約0.03秒から約0.18秒までの間で存在するように測定された。
【0052】
図10は、少なくとも1つのドーズチャンバ32又は少なくとも1つのノズル60において加圧空気と混合されることになる加圧液体の迅速な伝達を可能にするために、少なくとも1つのドーズチャンバ32又は少なくとも1つのノズル60と加圧液体源200との間で連通する少なくとも1つの逆流止め弁190を更に含む別の実施形態を示す。特に、この湿式空気清浄化の特徴は、本明細書で開示されたシステムの代替の実施形態であることができる。ウォッシャー液のような液体は、ドーズチャンバ32が減圧される間に、ドーズチャンバ32とノズル60へ、又はノズルへ注入され得る。次いで、加圧空気は、QEV10へ導入され、逆流止め弁190は、加圧空気が液体ホース又は液体源200に入り込むことを防止する。電磁弁70は、3/2バルブである場合があり、閉じた位置から開いた位置までの間で切り換わる際、システムの制御側のベントが生じ、液体がドーズチャンバ32内に供給されることが可能になる。ひとたび加圧空気がドーズチャンバ内へ導入されて、液体と混合されれば、QEVは、空気と液体の双方を、ドーズチャンバからノズル60を介して清浄化されるべき表面上へと放出(ベント)するように構成され得る。
【0053】
沈降物の除去のような、表面の清浄化が
図11A及び
図11Bにより示され、この場合、ほぼ円柱形状を有する大きなLIDARセンサ表面が、本開示のシステムと共に示される。ここで、2つのノズルが、清浄化されるべき表面の外側湾曲部に沿って配置される。
図11Aは、表面上に沈降物を有する表面を示す。
図11Bは、円柱形状の表面の湾曲部の周囲に配置された異なる位置から及び2つのノズルから圧縮空気を絞り出すことにより沈降物が除去された表面を示す。清浄化されるべき、ほぼ円柱形状のLIDAR表面または他の表面は、約25mmから約150mmまでの間の高さ、及び約50mm~約300mmの直径を含む場合がある。
【0054】
図12は、様々なサイズのドーズチャンバ32を有する、所望の清浄化の結果を確立するために使用されたテスト装置の図である。更に、開示された実施形態は、約4mLから約400mLまでの間の容積を有するドーズチャンバを利用するために企図されている。実施形態の予備テストは、より高い流出速度がより大きいサイズのドーズに存在することを示し、この場合、37.4mLのドーズは、約260m/秒の平均ノズル流出速度を提供することができる。一実施形態において、表面に沿った液滴位置において清浄化のための閾値速度は、約5m/秒~約30m/秒であると考えられる。別の実施形態において、閾値速度の範囲は、約150m/秒~約250m/秒である場合がある。非常に低いノズル圧力でさえも、十分な流出速度が達成され得ることが観測された。
【0055】
特に、出願人は、特定の効率性が本明細書で説明されたシステム内の均圧に関連して簡素化され得ることに気が付いた。より具体的には、システムは、表面を適切に清浄化するために、複数の排気バースト又はパルス状空気バーストを提供することにより周期的に機能することが必要とされ得る。係るパルス状空気バーストのサイクルは、表面が急速に清浄化されることを可能にするために、1秒から5秒までの間である(この範囲は、本明細書で企図された周期(サイクル)動作の任意の持続時間として制限されない)ような、極めて迅速に生じることができる。更に、各サイクルは、システムにおける複数のQEVのそれぞれのドーズチャンバが、厳しい環境で表面の清浄化要件を満たすように、十分に充填され又は排気されることを必要とする。例えば、一実施形態において、係る表面の効果的な液滴清浄化は、(i)ノズル目標において、少なくとも約0.5g/秒、又は好適には約1.0g/秒の平均質量流量、(ii)目標表面において、約50m/秒、又は好適には約150m/秒より大きいノズル流出速度、(iii)少なくとも約0.025N、又は好適には約0.15Nより大きいターゲットシステム推力(推力は、質量流量×速度に等しく、トータルインパルスは、推力×パルス時間である)を必要とする場合がある。
【0056】
ここで、説明されたシステムの実施形態は、以下の設計制約の少なくとも1つを含む場合があり、即ち、(i)ノズルの出口面積(領域)のそれぞれの総和(合計)がドーズの下流のシステムの制限部分の大部分であること、(ii)電磁弁の最小流路面積が、ノズルの出口面積のそれぞれの総和より少なくなる場合があること、(iii)ノズルをQEVと接続する管62又はルーメンの断面積は、その管部分によって与えられるノズル出口面積の総和の約2倍である最小寸法、好適にはノズル出口面積の総和の約5倍である寸法を有することが好ましいこと、及び(iv)QEVの弁部材と出口ポートとの間の空間54(
図1のA)の面積(領域)は、QEVをノズル(単数または複数)と接続する管62の合わせられた断面積より大きい面積であるべきであることである。空間54は、式[A=π×D×H]により示され得る。この式において、Aは空間54の面積であり、Dは、出口ポートの直径であり、Hは、弁部材50が閉じた位置に配置されることになる出口ポートの表面から離れる距離である。
【0057】
これら設計パラメータは、システム内の効率性を提供し、目標質量流量、及び予測さえる動作圧力、50m/秒未満、好適には約10m/秒未満である管内の加圧空気の速度を可能にする。更に、好適な効率的な構成に関して、ベント事象の最後でのドーズチャンバ内の残留絶対圧力は、周囲圧力の約2倍より大きくなるべきである(絶対値で2倍バールより大きい)。この特徴は、内部の低摩擦損失のために適切な高密度になるように、空気がQEVとノズルとの間の管内に残留することを可能にするように構成される。
【0058】
本出願人は、システムの動作中、ドーズ圧力が周囲圧力レベルまで下落する前に、推力量が目標レベル未満まで下落する場合があることに気が付いた。これは、空気が放出される際に時間と共に減少するシステム圧力とノズル速度に起因する。そのため、空気量は、「切り詰められたサイクル動作」において、システムの動作を制御することにより、一定に保たれ得る。ここで、QEVの排気サイクルは、推力量が目標レベルに達する又は目標レベル未満まで下落するほぼ同じ時間で生じるようにタイミングをとられるように制御され得る。これは、多少の空気圧力がドーズチャンバ内に、又はシステムの管類およびQEV内に残留することを可能にし、その結果、複数のドーズチャンバを再充填するための時間も低減されることができ、それによりシステムの効率的で迅速なサイクル(周期)動作が可能になる。また、これは、目標表面の清浄化に関連する性能要件を満たしながら又は超えながら、圧力平衡がシステム内に維持されることも可能にする。
【0059】
「切り詰められたサイクル動作」は、
図13に示されたグラフに反映される。ここで、単一のノズル及び単一のQEVにおけるシステム動作の単一サイクルに関する制御圧力、ノズル圧力、及びドーズ圧力を追跡する、圧力対時間のグラフが示される。ドーズチャンバが加圧空気で充填された際の制御ライン(入口ポート)とドーズチャンバの双方におけるシステムの静圧は、45psiをほぼ上回るように示される。1.5秒のマークにおいて、電磁弁が充填からベントへ切り換わり、制御圧力が約45psiを上回る静圧から減少し始める。この時、弁部材は、弁部材を横切る圧力の不均等に起因してQEV内で開くように切り換えられ、加圧空気がドーズチャンバから出口ポートへ及びノズルの方へ迅速に排気され始め、この場合、ノズル圧力は35psiを上回るまで増加する。制御圧力とドーズ圧力の減少の間に僅かな遅延が存在し、この場合、ドーズ圧力も、QEVが開いた後に、45psiを上回る静圧から減少し始める。ドーズ圧力とノズル圧力の圧力減少は、制御圧力が増加するまで、このサイクル段階にわたって同様に減少するように見える。制御圧力が増加する時間は、それが0psiに達する前であるが、0になる必要はない。特に、空気圧が制御ラインにおいて上昇することを可能にする充填位置に電磁弁が切り換えられる際に、制御圧力は増加し、それにより弁部材が閉じるように偏倚されて、空気圧源がドーズチャンバへ戻るように導入されることが可能になる。ここで、加圧空気が部分的にのみ排気され且つドーズチャンバから又はシステムの流体ライン内から完全に排気されない時に、制御ライン圧力を切り換えることが好ましい。このグラフは、X軸に沿って約1.4秒から約1.8秒まで測定された時間を表わす。特に、制御圧力がドーズ圧力より上に上昇する際、弁部材50は、閉じた位置に切り換わる。
【0060】
図14は、本明細書で説明されたシステムの切り詰められたサイクルの周期動作を表わす圧力対時間の別のグラフを示す。係る動作は、重い沈降物(例えば、嵐または雪)を蒙っている表面に対して生じる場合があり、ドーズチャンバ内の空気圧を維持して、充填時間を短くし、且つシステムにより消費される空気を低減しながら、連続したサイクル動作をもたらす。ここで、5サイクル放出が表わされ、加圧空気の最初の排気は、静圧(45psiをほぼ上回る)から生じる。しかしながら、本明細書で開示されるような切り詰められたサイクルは、車両の安全動作に必要とされ得る場合に表面の連続した清浄化を提供するために沈降物の事象の持続時間にわたって十分に連続して動作することができる。特に、「切り詰められた動作」は、後続のバースト、又は清浄化されるべき表面上へのドーズチャンバ/ノズルからの加圧空気の排出において生じる。実際には、このシステムのノズルは、5秒未満で加圧空気の5つのバースト又はパルスを絞り出すことができる。上述されたようなQEV、電磁弁、ノズル、逆流止め弁の構造およい構成は、切り詰められたサイクルの性能が、好結果になるように目標表面を清浄化する動作に必要な加圧空気の量を低減しながら、最小空間を必要とするシステムでもって短い時間量の間の係る清浄化に関する設計制約を満たすことを可能にするように機能する。更に、本明細書で説明されるような、構造および構成、並びにQEV内の圧力平衡の制御は、システム内で、チャッタリングのような動作エラーを低減するように作用する。
【0061】
本出願人は、加圧空気源とドーズチャンバ内の圧力との間に大きな圧力差が存在する際に、ドーズチャンバの効率的な充填が最も迅速に生じることに気が付いた。後続のサイクルにおいてドーズチャンバを静圧まで完全に充填するための時間量を低減することにより(即ち、ドーズチャンバのみをより低いピークのドーズ圧力まで充填することにより)、清浄化の有効性の大部分を依然として維持しながら、より速いサイクル動作を可能にする。ここで、切り詰められた動作は、システムのサイクル動作中、加圧空気がドーズチャンバから完全に排気される前およびドーズチャンバに完全に充填される前に制御圧力を切り換えることによって使用される。開示されたシステムの以下の設計特徴の少なくとも1つが清浄化システムの切り詰められたサイクルを効率的に動作させることを支援し、それにより内部のエラーを低減することができる。係る設計特徴は、(a)少なくとも1つのノズルが断面積を有する少なくとも1つの出口を含み、その少なくとも1つの出口の断面積が切換弁の断面流路面積より大きいこと、(b)少なくとも1つの管が排気弁と少なくとも1つのノズルとの間に接続され、その管は、管の断面積が少なくとも1つのノズルの少なくとも1つの出口の断面積の合計の約2倍であるような断面積を含むこと、(c)排気弁の出口ポートが、排気弁と少なくとも1つのノズルとの間に接続された前記管の断面積より大きい断面積を有すること、及び/又は(d)ドーズチャンバ内の絶対圧力は、加圧空気が排気バースト間でドーズチャンバから排気されている際に周囲圧力の約2倍より下に低下しないことである。特に、
図13において、ドーズ圧力は約25psiまで低下し、
図14において、ドーズ圧力は、加圧空気がパルス間でシステムへ再導入される前に、20psiから25psiまでの間で低下する。特に、QEV内のドーズ圧力は、迅速でエラーの無い動作を確実にするために、各パルス間で0psiまで低下しないことが望ましい。
【0062】
一実施形態において、電磁弁は好適には、システム内のドーズチャンバ全てを約300ミリ秒以内で及び好適には約200ミリ秒以内で再充填することを可能にするような大きさになっている。これは、約3Hzの目標サイクル速度を可能にする場合がある。更に、制御側の圧力変化の速度は、ドーズチャンバの圧力変化の速度より大きくするべきである。この関係により、QEVは、完全に開かれることが可能になり、システムの「チャッタリング」を防止することが可能になる。特定された設計制限は、任意の数のノズル及びQEVを可能にするが、ドーズ容積に対する管の容積の割合によって制限される場合がある。
【0063】
一例として、ドーズチャンバは、代替の実施形態として、パイロット弁である場合がある。更に、本出願人は、異なるノズル構成がシステムの効率性に影響を及ぼす場合があることを確認した。一実施形態において、シャー(shear:せん断)ノズル出口162Bを有する効率の悪いノズル160A(シャーノズルのような)が利用され得る。
図16を参照。別の実施形態において、軸対称の収束-発散(converging-diverging:CD)ノズル構成を有するオリフィス出口162Bを含む効率の良いノズル160Bが利用され得る。
図17を参照。
【0064】
一例として、「チャッタリング」は、システム内のQEVの圧力平衡が動作中にアンバランスになる際に、システムにおいて生じる場合がある。圧力チャッタリングの様々な形態が測定され、少なくとも
図15において示されたグラフにより確認され得る。適切に平衡を確立するために加圧空気の連続的な充填/排気に間に合うように、ドーズチャンバが充填される又は排気されることを、QEV内の平衡圧が可能にできない場合に、このチャッタリングが存在することを発見された。
【0065】
本教示の実施形態は添付図面に示されて、上述の詳細な説明において説明されたが、理解されるべきは、本教示は、開示された実施形態だけに制限されるわけではなく、本明細書で説明された本教示は、以下の特許請求の範囲から逸脱せずに、多くの再構成、変形および代用を行うことができる。以下の特許請求の範囲は、全ての変形および代替が特許請求の範囲またはその等価物の範囲内に入る限り、係る全ての変形および代替を含むことが意図されている。
【国際調査報告】