(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-05
(54)【発明の名称】空間的に分布されたオブジェクトに関して通知するためのシステムおよびデバイス
(51)【国際特許分類】
H04R 3/00 20060101AFI20231128BHJP
H04R 1/00 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
H04R3/00 310
H04R1/00 317
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023529907
(86)(22)【出願日】2021-11-18
(85)【翻訳文提出日】2023-07-12
(86)【国際出願番号】 EP2021082092
(87)【国際公開番号】W WO2022106513
(87)【国際公開日】2022-05-27
(32)【優先日】2020-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523180230
【氏名又は名称】カルベルマッタ, ジャナ
(71)【出願人】
【識別番号】523180241
【氏名又は名称】モザー, ルイス ダニエル
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】カルベルマッタ, ジャナ
(72)【発明者】
【氏名】モザー, ルイス ダニエル
【テーマコード(参考)】
5D017
5D220
【Fターム(参考)】
5D017AB11
5D220AA05
5D220AA31
(57)【要約】
本発明は、空間的に分布されたオブジェクト(50)に関するオーディオ情報をユーザに提供するためのポータブルデバイス(1)であって、電気信号を機械的振動に変換するための電気機械変換器を有する骨伝導生成器と、オブジェクトのうちの1つを識別する識別情報を受信するように構成された識別情報受信機(24)と、骨伝導生成器に、および識別情報受信機(24)に接続されたコントローラ(25)とを備え、コントローラ(25)は、識別情報受信機(24)によって受信された識別情報を取得することと、骨伝導生成器が、取得された識別情報信号によって識別されたオブジェクト(59)のうちの1つに関するオーディオ情報を表す音波を生成するために機械的振動を提供するように、骨伝導生成器に電気信号を提供することとを行うように構成された、ポータブルデバイス(1)に関する。本発明は、空間的に分布されたオブジェクト(50)に関するオーディオ情報をユーザに提供するためのシステムであって、上記で説明された少なくとも1つのポータブルデバイスと、複数のアイデンティファイアであって、各々が、オブジェクト(50)のうちの1つに関連付けられるように、およびオブジェクトのうちの1つを識別する識別情報信号を送るように構成された、複数のアイデンティファイアとを備える、システムにも関する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間的に分布されたオブジェクト(50)に関するオーディオ情報をユーザに提供するためのポータブルデバイス(1)であって、
電気信号を機械的振動に変換するための電気機械変換器を有する骨伝導生成器(22)と、
前記オブジェクトのうちの1つを識別する識別情報信号を受信するように構成された識別情報受信機(24)と、
前記骨伝導生成器に、および前記識別情報受信機(24)に接続されたコントローラ(25)と
を備え、
前記コントローラ(25)は、前記識別情報受信機(24)によって受信された前記識別情報信号を取得することと、前記骨伝導生成器が、取得された前記識別情報信号によって識別された前記オブジェクト(50)のうちの前記1つに関する前記オーディオ情報を表す音波を生成するために機械的振動を提供するように、前記骨伝導生成器に電気信号を提供することとを行うように構成されている、
ポータブルデバイス(1)。
【請求項2】
前記識別情報受信機(24)は、前記オブジェクト(50)のうちの前記1つに関連付けられたアイデンティファイア(51)から、前記識別情報受信機(24)が、前記アイデンティファイア(51)の到達範囲(52)内にあるとき、前記識別情報信号を受信するように構成されている、請求項1に記載のポータブルデバイス(1)。
【請求項3】
前記オブジェクトのうちの1つの前記識別情報信号が、位置を表す、請求項1または2に記載のポータブルデバイス(1)。
【請求項4】
前記識別情報信号が、前記オブジェクト(50)のうちの1つの位置を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のポータブルデバイス(1)。
【請求項5】
前記位置が、前記ポータブルデバイスと前記オブジェクト(50)のうちの前記1つとの間の近接度を含む、請求項3または4に記載のポータブルデバイス(1)。
【請求項6】
前記コントローラ(25)が、前記ポータブルデバイス(1)と前記オブジェクト(50)のうちの前記1つとの間の近接度を決定するために、前記識別情報信号の前記位置を評価するように構成されている、請求項3から5のいずれか一項に記載のポータブルデバイス(1)。
【請求項7】
前記コントローラ(25)が、決定された前記近接度に従って前記骨伝導生成器(22)に前記電気信号を提供するように構成されている、請求項6に記載のポータブルデバイス(1)。
【請求項8】
前記識別情報受信機(24)が、超広帯域信号を受信するように構成された超広帯域センサーを備える、請求項1から7のいずれか一項に記載のポータブルデバイス(1)。
【請求項9】
前記識別情報受信機(24)が、超広帯域信号として具現された前記識別情報信号を受信するように構成されている、請求項8に記載のポータブルデバイス(1)。
【請求項10】
前記骨伝導生成器(22)、前記識別情報受信機(24)および前記コントローラ(25)を収容するハウジングを備え、前記骨伝導生成器(22)を収容する前記ハウジングの少なくとも1つの部分が、本質的に完全にタイトな外面を形成する、請求項1から9のいずれか一項に記載のポータブルデバイス(1)。
【請求項11】
前記骨伝導生成器(22)の前記電気機械変換器が、前記骨伝導生成器(22)を収容する前記ハウジングの前記部分以外の前記ハウジングの少なくとも1つのさらなる部分から分離されている、請求項10に記載のポータブルデバイス(1)。
【請求項12】
前記空間的に分布されたオブジェクトの前記オーディオ情報が、前記オブジェクト(50)の各々を示すインデックスを有する、請求項1から11のいずれか一項に記載のポータブルデバイス(1)。
【請求項13】
前記空間的に分布されたオブジェクト(50)に関する前記オーディオ情報をデジタル的に記憶するように構成された不揮発性メモリを備える、請求項1から12のいずれか一項に記載のポータブルデバイス(1)。
【請求項14】
データ通信ネットワークを介して前記ポータブルデバイス(1)に接続されたホスト上の不揮発性メモリにデジタル的に記憶された前記オーディオ情報を取得するように構成されている、請求項1から13のいずれか一項に記載のポータブルデバイス(1)。
【請求項15】
前記コントローラ(25)は、前記不揮発性メモリから識別された前記オブジェクト(50)のうちの前記1つに関する前記オーディオ情報を抽出することと、前記骨伝導生成器(22)が、前記オブジェクト(50)のうちの前記1つに関する前記オーディオ情報を表す前記機械的振動を提供するように、前記電気信号を生成し、前記骨伝導にフォワーディングすることとを行うように構成されたプロセッサを有する、請求項13または14に記載のポータブルデバイス(1)。
【請求項16】
前記コントローラ(25)に接続されたブックマークボタン(16)を備え、前記コントローラ(25)が、アクティブ化されているとき、前記オブジェクト(50)のうちの前記1つを指す電子ブックマークを記憶するように構成されている、請求項1から15のいずれか一項に記載のポータブルデバイス(1)。
【請求項17】
前記識別情報受信機が、前記識別情報信号を受信したことを示すために準備完了信号を提供するように構成された準備完了インジケータ(14)を備える、請求項1から16のいずれか一項に記載のポータブルデバイス(1)。
【請求項18】
前記コントローラ(25)は、前記準備完了インジケータに接続され、前記識別情報信号が取得されたとき、前記準備完了信号を提供するために前記準備完了インジケータを動作させるように構成されている、請求項17に記載のポータブルデバイス(1)。
【請求項19】
前記コントローラ(25)に接続され、前記骨伝導生成器(22)に前記電気信号を提供するように前記コントローラ(25)を誘起するように構成された、プレイボタン(13)を備える、請求項1から18のいずれか一項に記載のポータブルデバイス(1)。
【請求項20】
前記骨伝導生成器の前記電気機械変換器が、音吸収材料によって囲まれている、請求項1から19のいずれか一項に記載のポータブルデバイス(1)。
【請求項21】
前記骨伝導生成器によって提供された前記機械的振動によって生成された前記音波によって前記オブジェクト(50)のうちの前記1つに関する前記オーディオ情報を転送するために、ユーザの頭に接触するように配列され、前記ポータブルデバイス(1)が、前記ユーザの前記頭に接触する間、前記ユーザの耳道を空いているままにするように整形された、請求項1から20のいずれか一項に記載のポータブルデバイス(1)。
【請求項22】
空間的に分布されたオブジェクト(50)に関するオーディオ情報をユーザに提供するためのシステムであって、
請求項1から21のいずれか一項に記載の少なくとも1つのポータブルデバイスと、
複数のアイデンティファイア(51)であって、各々が、前記オブジェクト(50)のうちの1つに関連付けられるように、および前記オブジェクト(50)のうちの前記1つを識別する識別情報信号を送るように構成されている、複数のアイデンティファイア(51)と
を備える、システム。
【請求項23】
前記複数のアイデンティファイア(51)の各々が、超広帯域信号を送るように構成された少なくとも1つの超広帯域送信機を備える、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記少なくとも1つのポータブルデバイスに結合されるように、および前記少なくとも1つのポータブルデバイスのユーザにサービスを提供するように構成されたデバイスチェックステーションを備える、請求項22または23に記載のシステム。
【請求項25】
前記少なくとも1つのポータブルデバイス(1)の前記ユーザにサービスを提供することが、前記ユーザにユーザ指示を提供することを含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記少なくとも1つのポータブルデバイス(1)の前記ユーザにサービスを提供することが、前記オーディオ情報の言語を設定することを含む、請求項24または25に記載のシステム。
【請求項27】
前記少なくとも1つのポータブルデバイス(1)の前記ユーザにサービスを提供することが、あらかじめ定義されたツアーを選択することを含む、請求項24から26のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項28】
前記デバイスチェックステーションは、前記デバイスチェックステーションが、前記少なくとも1つのポータブルデバイス(1)に結合されたとき、前記少なくとも1つのポータブルデバイス(1)から電子ブックマークを取得するように構成されている、請求項24から27のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項29】
前記デバイスチェックステーションが、前記電子ブックマークを評価することと、前記評価された電子ブックマークに関してデータセットを生成することとを行うように構成されている、請求項24から28のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項30】
前記デバイスチェックステーションが、前記電子ブックマークを評価することと、評価された前記電子ブックマークに関して前記ユーザのためのプロファイルを生成することとを行うように構成されている、請求項28または29に記載のシステム。
【請求項31】
前記少なくとも1つのポータブルデバイス(1)に結合されるように、および前記少なくとも1つのポータブルデバイス(1)に、前記複数のアイデンティファイアがそれに関連付けられた前記オブジェクトに関する前記情報を転送するように構成されたデバイス管理装置を備える、請求項22から30のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項32】
前記デバイス管理装置が、前記少なくとも1つのポータブルデバイス(1)を充電するように構成されている、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記デバイス管理装置は、転送されるべき前記オブジェクトに関する前記オーディオ情報がそれによって定義可能である、オペレータインターフェースを備える、請求項31または32に記載のシステム。
【請求項34】
前記デバイス管理装置は、前記デバイス管理装置が、前記少なくとも1つのポータブルデバイス(1)に結合されたとき、前記少なくとも1つのポータブルデバイス(1)から電子ブックマークを取得するように構成されている、請求項31から33のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項35】
前記デバイス管理装置が、ブックマーク信号を評価することと、評価された前記ブックマーク信号に関してデータセットを生成することとを行うように構成されている、請求項31から34のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間的に分布されたオブジェクトに関するオーディオ情報ならびにデジタルサービスをユーザに提供するためのポータブルデバイスおよびシステムに関する。
【0002】
そのようなデバイスおよびシステムは、通常多数のオブジェクトが提示される、博物館において、展示会、見本市、小売店などにおいて使用され得る。オブジェクトの各々は、オブジェクトに関係する話を説明するかまたは語る情報と関連付けられ得る。
【背景技術】
【0003】
博物館、史跡および他の景勝地を訪問するとき、とりわけ、強力な歴史的および/または文化的背景をもつ展示物を見るとき、訪問者は、しばしば、展示物の背景知識を有することを望む。現在、主に、訪問者が展示物について学ぶための以下のやり方がある。
【0004】
方法1.専門のツアーガイドなどによる人的説明を通して展示物の関連のある知識を理解する。時々、人的説明は、いくつかの展示物についてそれ程詳細ではなく、訪問者は、ツアーガイドに従う必要があり、さもなければ、関連のある説明が逃され得、これは、訪問者の訪問する自由を低減する。その上、ツアーガイドは展示物を通り抜け、展示説明時間は短い。専門のツアーガイドは、高い運用コストを伴うので、説明は、通常、重要な展示物に重点が置かれる。
【0005】
方法2.展示エリアにおける展示物の関連のあるテキスト紹介を見ることによって、展示物の関連のある知識について学ぶ。テキスト紹介ボードが、展示物の隣に設置されるが、テキスト紹介は、空間が限られ、展示物のすべての情報を表示することができず、テキスト紹介は、直観的ではなく、訪問者のすべてのニーズを満たすことができない。
【0006】
方法3.展示エリアにおいて提供された自動説明機器を通して、展示物の関連のある知識について学ぶ。いくつかの展示エリアは、ヘッドフォンなどの自動説明機器を提供する。そのような自動説明機器が、対応する展示物の説明エリアに持って来られたとき、自動説明機器は、対応する展示物情報を受信し、関連している展示物説明を訪問者に提供することができる。この方法は、既存の景勝地および博物館における最も一般的な展示物ディスプレイ方法であるが、この方法は、案内デバイスまたはヘッドセットを観光客に提供することを必要とし、案内デバイスまたはヘッドセットは、しばしば、紛失されるかまたは損傷され、それにより、高い維持費を伴う。その上、ヘッドフォンは、訪問者を隔離するので、訪問者は、環境への集中またはフォーカスを失う。
【0007】
方法4.スマートフォンアプリを用いて、QRコードをスキャンし、ナビゲートすること。現代のモバイル通信技術の発展によって、スマートモバイル通信機器は、基本的に、人々にとって不可欠な通信ツールになっており、いくつかのアプリも、スマートモバイル通信機器にとって不可欠なソフトウェアになっている。それゆえ、いくつかの景勝地および博物館は、展示物情報をQRコードにするであろう。訪問者が、オブジェクトに関する展示物情報を知る必要があるとき、訪問者は、展示物に対応するQRコードを走査して、展示物情報をポップアップすることができるが、この走査方法は、より煩雑である。各展示物は、異なるQRコードに対応し、訪問者は、訪問者がオブジェクトに関心があるたびに、QRコードを走査する必要があり、それにより、訪問者に不便を感じさせる。その上、訪問者は、スマートモバイル通信機器から情報を集めなければならないので、訪問者は、展示物および展示物の周りのシーンに対するフォーカスを失う。
【0008】
要約すれば、訪問者のニーズを満たし、ユーザ体験を高めるために、博物館、展示会および景勝地は、訪問者のニーズおよびロケーションに基づいて、展示物説明を自動的に提供することができる、システムを提供する必要がある。
【発明の概要】
【0009】
本発明によれば、このニーズは、独立請求項1の特徴によって定義されるようなポータブルデバイスによって、および独立請求項22の特徴によって定義されるようなシステムによって解決される。好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【0010】
とりわけ、一態様では、本発明は、空間的に分布されたオブジェクトに関するオーディオ情報をユーザに提供するためのポータブルデバイスであって、電気信号を機械的振動に変換するための電気機械変換器を有する骨伝導生成器と、オブジェクトのうちの1つを識別する識別情報信号を受信するように構成された識別情報受信機と、骨伝導生成器に、および識別情報受信機に接続されたコントローラとを備える、ポータブルデバイスである。本発明によれば、コントローラは、識別情報受信機によって受信された識別情報信号を取得することと、骨伝導生成器が、取得された識別情報信号によって識別されたオブジェクトのうちの1つに関するオーディオ情報を表す機械的振動を提供するように、骨伝導生成器に電気信号を提供することとを行うように構成される。
【0011】
本明細書で使用される「骨伝導」という用語は、主に頭蓋の骨を通るおよび/または頭の軟骨組織を通る内耳への音の伝導に関する。骨伝導の使用は、特に、聞き手またはユーザが、耳道をふさぐことなしにオーディオ情報を知覚することを可能にする。
【0012】
これに関連して、ポータブルデバイスは、好ましくは、骨伝導生成器によって提供された機械的振動によって生成された音波によってオブジェクトのうちの1つに関するオーディオ情報を転送するために、ユーザの頭に接触するように配列され、ポータブルデバイスが、ユーザの頭に接触する間、ユーザの耳道を空いているままにするように整形される。
【0013】
効率的に動作するために、骨伝導生成器は、有利には、比較的多い振動、および同時に、比較的少ない空気伝搬音を生成するように具現される。これを達成するために、骨伝導生成器は、一般的に、従来のラウドスピーカーまたは同様の空気伝搬音生成器とは構造的に異なる。たとえば、より強力な振動が、空気伝導と比較して骨伝導を誘起するために要求とされるので、使用される電気機械変換器は、通常、比較的高い振動力を提供する。
【0014】
好ましい実施形態では、少なくとも電気機械変換器は、空気伝搬音吸収材料によって囲まれる。そのような空気伝搬音吸収材料は、空気伝搬音生成を低減することを可能にし、骨伝導生成器によって生成された空気伝搬音と比較して、振動の生成の比を改善するのを助ける。特に、電気機械変換器は、音吸収材料によって全体が収容され得る。効率的な実施形態では、骨伝導生成器全体が、音吸収材料によって囲まれる。音吸収材料は、たとえば、空気伝搬音のプロビジョンを相当に低減する、熱可塑性部材またはシリコーン部材または任意の他の部材であり得る。
【0015】
好ましくは、識別情報受信機は、識別情報受信機が、アイデンティファイアの到達範囲内にあるとき、オブジェクトのうちの1つに関連付けられたアイデンティファイアから識別情報信号を受信するように構成される。アイデンティファイアの到達範囲は、アイデンティファイアによって使用される信号強度および技術に基づいて変動することがある。
【0016】
骨伝導生成器によって生成された機械的振動は、頭蓋の骨を介して人間の内耳に伝えられ得、これは、ユーザが、耳道をふさぐことなしにオーディオコンテンツを知覚することを可能にする。ヘッドセットなどの従来のデバイスによるオーディオ情報の再生と比較して、本発明によるこのポータブルデバイスは、とりわけ、何度もユーザの耳からデバイスを取り除き、ユーザの耳にデバイスを取り付ける場合、改善されたユーザ体験および利便性ならびに衛生を提供する。その上、骨伝導生成器を使用すると、耳道がふさがれない、換言すれば、両方の耳が空いているままであるので、ユーザは、依然として、周辺からの音を聴くことができる。これは、ユーザが、ポータブルデバイスによって提供されたオーディオ情報を聴取し、同時に、ユーザの周りの人と話すことを可能にする。
【0017】
空間的に分布されたオブジェクトに関する「オーディオ情報」という用語は、オブジェクトの各々に関係する説明を備え得る。オーディオ情報は、ポータブルデバイスに、またはポータブルデバイスと接続されたホストに配列された不揮発性メモリにデジタル的に記憶され得る。説明は、オーディオブックのように任意の言語の言葉で、メロディで、または任意の種類の音楽で表されたデジタルオーディオ形態の特性のセットを含み得る。すなわち、オーディオ情報は、1つまたは複数のオブジェクトに関する説明または話のデジタルオーディオ表現であり得る。骨伝導生成器は、デジタルオーディオ情報を電気信号に変換し、機械的振動を生成することができる。振動は、音波として頭蓋骨を通って耳に伝達され得、それにより、ユーザは、デジタルオーディオ情報の再生を知覚することができる。
【0018】
識別情報信号は、オブジェクトの識別情報、たとえば、オブジェクトの名前、オブジェクトまたは関係するコンテンツの短い説明、あるいは単にオブジェクトと関連付けられた通し番号を表すことができる。識別情報信号はまた、オブジェクトの位置またはロケーションを表すことができる。
【0019】
「アイデンティファイア」という用語は、オブジェクトに対するポータブルデバイスの相対位置に関し得る。たとえば、そのような相対位置は、オブジェクトまでの距離であり得る。相対位置は、三角測量技術を使用して決定され得る。たとえば、ポータブルデバイスの実際の位置を、たとえば、好適なインフラストラクチャを介した三角測量によって決定するとき、およびポータブルデバイスが、既知の位置を有するオブジェクトに近づくとき、アイデンティファイアは、ポータブルデバイスとオブジェクトとの間の計算されたまたは決定された距離に対応することができる。より詳細には、前記距離が十分に小さいとき、ポータブルデバイスは、ポータブルデバイスと接続されたオブジェクトの識別情報を受信することができる。
【0020】
しかしながら、有利には、「アイデンティファイア」という用語は、オブジェクトと関連付けられた電子アイデンティファイアまたは送信機に関する。アイデンティファイアは、オブジェクトの隣に配列され得るか、オブジェクト内の空きスペースに配列され得るか、またはオブジェクトに取付けられ得る。ポータブルデバイスが、アイデンティファイアの近くに出現するかまたは現れたとき、とりわけ、ポータブルデバイスが、アイデンティファイアの信号到達範囲内にあるとき、アイデンティファイアは、ポータブルデバイスの識別情報受信機にオブジェクトの識別情報を提供する。好ましくは、アイデンティファイアは、デジタル形式のオブジェクトの識別情報を記憶し、識別情報受信機に送ることができる電子デバイスである。ポータブルデバイスを携帯するユーザが、オブジェクトの近くを、換言すれば、アイデンティファイアの信号到達範囲内を歩く場合、ポータブルデバイスの識別情報受信機は、電子アイデンティファイアから識別情報信号を受信する。識別情報信号を受信すると、ポータブルデバイスは、オブジェクトに関するオーディオ情報が利用可能であることをユーザに知らせる。ユーザは、耳の周りで、耳の後ろで、有利には耳の前で頭蓋および/または軟骨にポータブルデバイスを配置することができ、オブジェクトに関係する情報のオーディオ表現は、自動的にまたはプレイボタンを押下すると再生され得る。オブジェクトのこの自動識別情報は、オブジェクトの識別情報を手動で入力する必要がないので、改善されたおよび簡略化されたユーザ体験を可能にする。
【0021】
代替的に、オブジェクトに対するポータブルデバイスの相対位置は、三角測量技術を使用して決定され得る。たとえば、ポータブルデバイスが、オブジェクトに近づいたとき、ポータブルデバイスは、ポータブルデバイスとワイヤレスに接続されたデバイスからオブジェクトの識別情報を受信することができる。この場合、識別情報信号を送るためにオブジェクトのエコーの近くにアイデンティファイアを配列する必要がない。
【0022】
コントローラ、骨伝導生成器および識別情報受信機のコンテキストにおける「接続される/接続された」という用語は、通信接続に関することがある。とりわけ、コントローラは、通信信号を送信および/または受信するために、骨伝導生成器および識別情報受信機に接続され得る。これにより、通信チャネルが、コントローラ、骨伝導生成器および識別情報受信機の間で確立され得る。
【0023】
信号および情報に関する「取得する」という用語は、一般に、信号または情報の能動収集(プル)に、信号または情報の受動受信(プッシュ)に、またはそれらの組合せに関し得る。
【0024】
信号および情報に関する「受信する」という用語は、一般に、信号および情報を得ることに関し得る。信号およびオーディオ情報は、電子ブロードキャスト、マルチキャストまたはユニキャストメッセージ中で送られ得る。代替的に、受信機は、送信機、たとえば、アイデンティファイアを能動的にピングすることができ、送信機による応答時に、信号または情報を取得する。
【0025】
好ましくは、識別情報信号は、オブジェクトのうちの1つの位置を表すかまたは含む。これに関連して、位置は、位置に関する情報を提供することを可能にする識別情報信号の任意の特性または特徴であり得る。位置は、有利には、特に送信機までのポータブルデバイスの距離または近接度など、相対位置であるか、あるいはポータブルデバイスが送信機の活動範囲中にあることを指し示す。識別情報信号中にオブジェクトのうちの1つの位置を含めるか、または識別情報信号によってオブジェクトのうちの1つの位置を表すことによって、提供されるべき適切なオーディオ情報の効率的な評価または選択が達成され得る。
【0026】
たとえば、位置がポータブルデバイスとオブジェクトとの間の近接度を表す実施形態では、位置は、識別情報信号の信号強度であり得る。より詳細には、コントローラは、受信された識別情報信号の信号強度を評価し、最も高い信号強度を有するオブジェクトである最も近いオブジェクトを選択するかまたは識別するように構成され得る。また、コントローラは、近接度、たとえば、信号強度が充分に高くなった後にのみ、機械的振動を提供するように構成され得る。
【0027】
これにより、位置は、好ましくは、ポータブルデバイスとオブジェクトのうちの1つとの間の近接度を含む。そのような近接度は、オブジェクトのうちの1つに対するポータブルデバイスの位置を効率的に決定することを可能にする。とりわけ、位置として近接度を使用することは、関連のあるオブジェクトに関係するオーディオ情報の適切なプロビジョンにとって充分な情報を簡単に入手することを可能にする。そのうえ、ポータブルデバイスのロケーションおよび向きを最終的に含む比較的複雑な位置決めが伴われることが防がれ得る。そうではなく、そのような構成は、オブジェクトのうちの1つが、そのオブジェクトに関するオーディオ情報を提供することが適切であるように十分に近くなった時点を簡単に識別することを可能にする。言い換えれば、近接度を含む位置は、ポータブルデバイスに対して最も近いオブジェクトであるオブジェクトを確実に識別するために、および識別されたオブジェクトに関連付けられたオーディオ情報を提供するために使用され得る。これは、オブジェクトに関連付けられた情報の管理、位置の評価およびポータブルデバイスのセットアップを簡略化する。
【0028】
これにより、コントローラは、好ましくは、ポータブルデバイスとオブジェクトのうちの1つとの間の近接度を決定するために、識別情報信号の位置を評価するように構成される。ポータルデバイスにアクセスする送信機を装備した複数のオブジェクトを備える環境において、オブジェクトに対する近接度のそのような評価は、最も近いかまたはさもなければ最も適切なオブジェクトを効率的に識別することと、識別されたオブジェクトに関連付けられた関連のあるオーディオ情報を提供することとを可能にする。これにより、コントローラは、好ましくは、決定された近接度に従って骨伝導生成器に電気信号を提供するように構成される。
【0029】
位置の決定は、任意の好適な通信技術、たとえば、詳細には、超広帯域に基づき得る。
【0030】
好ましくは、識別情報受信機は、超広帯域信号を受信するための超広帯域センサーまたは受信機を備える。好ましい実施形態では、識別情報信号は、アイデンティファイアによって送られた超広帯域信号である。超広帯域技術は、超広帯域技術が、低エネルギー消費を可能にし、同時に、無線スペクトルの大部分の上で高帯域幅を提供するので、短距離通信の場合に特に有利である。また、超広帯域技術は、位置または近接度の比較的正確なプロビジョンを可能にする。
【0031】
アイデンティファイアは、ポータブルデバイスとの通信を可能にする超広帯域送信機の形態にあり得、ポータブルデバイスにオブジェクトの識別情報およびロケーションまたは位置情報を提供する。代替的に、アイデンティファイアと通信するために、識別情報受信機は、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)アダプタ、Bluetoothアダプタ、ニアフィールド通信(NFC)アダプタなど、好適なアダプタを装備し得る。後者の場合、ユーザは、アイデンティファイアの近くにポータブルデバイスを配置する必要があるが、これは、依然として、オブジェクトを識別するためにコードを入力することまたはQRコードを走査することよりも便利である。
【0032】
アイデンティファイアの到達範囲または信号到達範囲は、ニーズに従って変動することがあり、たとえば、大きいオブジェクトの場合は最高約50メートル、中間オブジェクトの場合は10~20メートル、および小さいオブジェクトの場合は1~5メートル未満である。ポータブルデバイスが、超広帯域信号の到達範囲内にあるとき、ポータブルデバイスは、アイデンティファイアから、たとえば、ブロードキャストメッセージとして識別情報信号を受信する。たとえば、ポータブルデバイスをもつユーザが、博物館の室内の絵画に接近し、ユーザが、絵画から約3メートル離れているとき、ポータブルデバイスは、絵画の識別情報信号を受信する。識別情報信号を受信すると、ポータブルデバイスは、ユーザに通知または準備完了信号を送ることができる。
【0033】
識別情報信号に関する「準備完了信号」という用語は、通知信号とみなされてもよく、換言すれば、信号は、オブジェクトの識別情報信号が受信され、このオブジェクトに関するオーディオ情報の再生準備ができた時点をユーザに知らせる。
【0034】
好ましくは、ポータブルデバイスは、骨伝導生成器、識別情報受信機およびコントローラを収容するハウジングを備え、骨伝導生成器を収容するハウジングの少なくとも1つの部分が、本質的に完全にタイトな外面を形成する。言い換えれば、骨伝導生成器が配列されるハウジングの部分は、耳の後ろで、または耳の前で、または耳と頬との間で首に配置されるのに好適である連続する表面を有する。連続する表面は、ポータブルデバイスの容易なクリーニングを可能にし、たとえば、クリーニング中に、殺菌剤は、ポータブルデバイスの内側に浸透しない。
【0035】
それにより、ポータブルデバイスの利便性およびユーザビリティを増加させるために、電気機械変換器は、好ましくは、骨伝導生成器を収容するハウジングの部分以外のハウジングの少なくとも1つのさらなる部分から分離される。
【0036】
好ましくは、空間的に分布されたオブジェクトに関するオーディオ情報は、不揮発性メモリにデジタル的に記憶され得る。不揮発性メモリは、デバイスに統合されるか、またはデータ通信ネットワークを介してデバイスと接続されたホスト中に提供され得る。不揮発性メモリは、ハードディスク、ソリッドステートディスク、フラッシュメモリ、ディスクアレイ、ネットワーク接続ディスク、またはクラウドなど、情報をデジタル的に記憶するのに好適な任意の形態にあり得る。
【0037】
データ通信ネットワークを介してホストと通信するために、識別情報受信機は、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)またはBluetoothのような技術を使用する好適なアダプタまたはインターフェースを装備し得る。オーディオ情報は、要件およびネットワークパフォーマンスに応じて、ブロードキャスト、マルチキャストまたはユニキャストを介して通信され得る。たとえば、ブロードキャストまたはマルチキャストは、ネットワークが、使用中に同時に複数のデバイスに対処することができない場合に使用され得る。例示的な実施形態では、オーディオ情報は、WLANの上でユニキャストを介して提供される。たとえば、ユーザが、オブジェクトに関する情報の再生をアクティブ化すると、デバイスは、ポータブルデバイス中のデータを開くか、またはWLANを介してノードに接続し、デジタル形式の情報を含んでいるデートファイルを発見するのいずれかを行う。ポータブルデバイスの代わりにホストによって提供されたオーディオ情報にアクセスすることは、オーディオ情報の更新が、ホスト上で実施されるだけでよく、ポータブルデバイスの各々上で実施される必要がないという利点を有する。
【0038】
好ましくは、空間的に分布されたオブジェクトのオーディオ情報は、それぞれ、オブジェクトに関係するオーディオ情報の関連のある部分を示すインデックスを有する。これは、オーディオ情報を含んでいているデジタルデータへの加速度的アクセス、更に、オーディオ情報の再生を可能にする。オブジェクトを識別し、再生をアクティブ化すると、オブジェクトを示すインデックスを有する1つまたは複数のデータファイルが、アクセスおよび再生される。インデックスは、たとえば、オブジェクトの識別情報を指すことができる。情報のインデックス付けは、コンテンツ管理ソフトウェアを使用することによって達成され得る。コンテンツ管理ソフトウェアはまた、たとえば、特定のオブジェクトのための更新されたオーディオ情報があるとき、新しいオブジェクトが配備されたとき、またはポータブルデバイスが、完全に異なるオブジェクトを公開する新しい博物館のために使用されるとき、情報の更新を提供するために使用され得る。
【0039】
好ましくは、コントローラは、データストレージなどの不揮発性メモリから、識別されたオブジェクトのうちの1つに関するオーディオ情報を取り出すかまたは抽出するように構成されたプロセッサを有する。プロセッサは、さらに、骨伝導生成器が、オブジェクトのうちの1つに関するオーディオ情報を表す機械的振動を提供するように、電気信号を生成し、骨伝導にフォワーディングすることができる。
【0040】
好ましくは、ポータブルデバイスは、コントローラに接続されたブックマークボタンを備え、コントローラは、ブックマークボタンがアクティブ化されたとき、オブジェクトのうちの1つを指す電子ブックマークを記憶するように構成される。ブックマークボタンをアクティブ化するとき、ポータブルデバイスは、依然として、アイデンティファイアの信号到達範囲中にあるか、または依然として、オーディオ情報を聞いているべきである。ブックマークボタンは、たとえば、ポータブルデバイスが、電子アイデンティファイアによってカバーされた到達範囲内にある場合、ブックマークが保存され得ることをユーザに示すインジケータを含むことができる。1つまたは複数のブックマークを記憶した後、ユーザは、チェックインおよびアウトステーションにおいてブックマークを送ることができる。このいわゆる訪問後体験も、コンテンツ管理ソフトウェアによって可能にされ得る。
【0041】
好ましくは、ポータブルデバイスは、識別情報受信機が、識別情報信号を受信したことを示すために準備完了信号を提供するように構成された準備完了インジケータを備える。準備完了信号は、光などの光学信号、または振動などの触覚信号であり得、オブジェクトに関する情報の再生準備ができていることをユーザに知らせる。
【0042】
好ましくは、ポータブルデバイスのコントローラは、準備完了または通知インジケータに接続され、識別情報信号が取得されたとき、準備完了信号を提供するために準備完了インジケータを動作させるように構成される。言い換えれば、識別情報信号を受信すると、準備完了信号は、オブジェクトに関する情報の再生準備ができていることをユーザに知らせる。
【0043】
好ましくは、ポータブルデバイスは、コントローラに接続され、骨伝導生成器に電気信号を提供するようにコントローラを誘起するように構成された、プレイボタンを備える。情報の再生準備ができているとき、ユーザは、プレイボタンを押下することによって再生をアクティブ化することができる。代替的に、ポータブルデバイスは、ポータブルデバイスが、耳の周りで頭蓋に配置されたと決定し、プレイボタンを押下することなしに自動的に情報の再生をアクティブ化する、容量性センサーを備える。その上、ポータブルデバイスはまた、圧力を決定する圧力センサーが設けられ得る。この場合、再生は、圧力が、あるしきい値を超えた場合にのみアクティブ化され、それにより、頭蓋へのポータブルデバイスの意図しない配置による再生を防ぐ。再生をアクティブ化するためのどちらの手法も、数個の入力が必要とされ得、たとえば、少なくともオブジェクトの識別情報またはロケーションが手動で入力される必要があり、次いで、再生がアクティブ化され得る、従来のデバイスと比較して容易な使用を可能にする。
【0044】
別の態様によれば、本発明は、空間的に分布されたオブジェクトに関する情報をユーザに提供するためのシステムをもたらす。システムは、上記で説明された少なくとも1つのポータブルデバイスと、複数のアイデンティファイアであって、各々が、オブジェクトのうちの1つに関連付けられるように、およびオブジェクトのうちの1つを識別する識別情報信号を送るように構成された、複数のアイデンティファイアとを備える。
【0045】
アイデンティファイアは、オブジェクトの各々に、このオブジェクトの近傍に位置決めされることによって、このオブジェクト内の空きスペース中に位置決めされることによって、またはこのオブジェクトに取付けられることによって、関連付けられ得る。識別情報信号は、オブジェクトのうちの1つのロケーション、名前、番号または同様の識別情報を表すことができる。
【0046】
好ましくは、複数のアイデンティファイアの各々は、ポータブルデバイスに超広帯域信号を送るように構成された少なくとも1つの超広帯域送信機を備える。1つのアイデンティファイアによって送られる超広帯域信号は、関連するオブジェクトの周りの空間をカバーするある到達範囲を有することができ、ブロードキャストメッセージの形態で送られ得、換言すれば、ポータブルデバイスは、ポータブルデバイスが、超広帯域信号の到達範囲内にあるとき、このメッセージを自動的に受信する。これは、ポータブルデバイスが、オブジェクトの識別情報を手動で入力することまたはオブジェクトの隣に配置されたコードを走査することなどのユーザ介入なしに、アイデンティファイアの到達範囲内に出現すると、オブジェクトに関するオーディオ情報を再生する準備ができていることを可能にする。
【0047】
好ましくは、システムは、少なくとも1つのポータブルデバイスに結合されるように、および少なくとも1つのポータブルデバイスのユーザにサービスを提供するように構成されたデバイスチェックステーションまたはキオスクを備える。少なくとも1つのポータブルデバイスのユーザにサービスを提供することは、以下、すなわち、ユーザにユーザ指示を提供すること、情報の言語を設定すること、またはあらかじめ定義されたツアーを選択することのうちの少なくとも1つを備え得る。これは、ユーザが、自分のニーズに従って自分自身によってポータブルデバイスを構成することを可能にし、これは、ユーザ体験を改善する。そのうえ、デバイスチェックステーションまたはキオスクはまた、電子ブックマークを評価し、電子ブックマークに基づいてユーザのためのプロファイルを作成することができる。
【0048】
好ましくは、デバイスチェックステーションまたはキオスクは、少なくとも1つのポータブルデバイスを充電するように構成される。
【0049】
好ましくは、デバイスチェックステーションは、デバイスチェックステーションが、少なくとも1つのポータブルデバイスに結合されたとき、少なくとも1つのポータブルデバイスから電子ブックマークを取得するように構成される。
【0050】
好ましくは、デバイスチェックステーションは、電子ブックマークを評価することと、評価された電子ブックマークに関してデータセットを生成することとを行うように構成される。評価された電子ブックマークに関するデータセットは、ブックマークに関連付けられたオブジェクトに関する情報を含み得る。また、そのデータセットは、共通して複数のブックマークに関連付けられた何個かのオブジェクトに関する情報を伴うことができる。ブックマークの評価は、ユーザが訪問中にブックマークしたオブジェクトに基づいて、ユーザのためのプロファイルを作成することを含む。データセットを生成することは、ユーザプロファイルの作成を指すことがあり、専用URLにおいてアクセス可能なウェブページのプロビジョンをも含み得る。次いで、URLは、たとえば、電子メール単位でユーザにフォワーディングされ得る。データセットは、ユーザが、訪問ツアーの後に、ブックマークされたオブジェクトに関する情報を見ることを可能にする。
【0051】
好ましくは、システムは、少なくとも1つのポータブルデバイスに結合されるように、および少なくとも1つのポータブルデバイスに、複数のアイデンティファイアがそれに関連付けられたオブジェクトに関する情報を転送するように構成されたデバイス管理装置またはドッキングステーションを備える。好ましくは、デバイス管理装置は、デバイスチェックステーションを備えるか、またはデバイスチェックステーションと一体であり得る。このチェックステーションは、ポータブルデバイスに情報を提供し、たとえば、電子メール単位でユーザに情報を送ることができる、情報管理センターの働きをし得る。そのうえ、デバイス管理装置はまた、電子ブックマークを評価し、電子ブックマークに基づいてユーザのためのプロファイルを作成することができる。
【0052】
好ましくは、デバイス管理装置は、少なくとも1つのポータブルデバイスを充電するように構成される。
【0053】
好ましくは、デバイス管理装置は、転送されるべきオブジェクトに関する情報がそれによって定義可能である、オペレータインターフェースを備える。
【0054】
好ましくは、デバイス管理装置は、デバイス管理装置が、少なくとも1つのポータブルデバイスに結合されたとき、少なくとも1つのポータブルデバイスからブックマーク信号を取得するように構成される。
【0055】
好ましくは、デバイス管理装置は、ブックマーク信号を評価することと、評価されたブックマーク信号に関して情報を生成することとを行うように構成される。
【0056】
本発明によるシステムは、オブジェクトに関する情報の容易な再生における、および同時に、ブックマークすることによってオブジェクトに関する情報を管理することにおける全体的なユーザ体験を改善する。このように構成されたポータブルデバイスによれば、ユーザは、話を聴くためにオブジェクトの識別情報を入力する必要がなく、ブックマークボタンを押下するだけで、ユーザが興味があるすべての話を集めることができる。
【0057】
本発明によるポータブルデバイスおよびシステムは、例示的な実施形態によって、添付の図面を参照しながら以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【
図1】本発明による、ポータブルデバイスの例示的な実施形態の斜視図である。
【
図2】
図1のポータブルデバイスの正面図を示す図であって、ポータブルデバイス内に配列されたいくつかの構成要素が、概略的に描かれている、図である。
【
図3】
図1のポータブルデバイスの正面図を示す図であって、ポータブルデバイスのハウジングが、ポータブルデバイス内に配列されたいくつかの構成要素が視認できるように開いている、図である。
【
図4】ユーザの耳の後ろで頭蓋に配置されたときの
図1のポータブルデバイスを示す図である。
【
図5】
図1のポータブルデバイスの骨伝導生成器の概略的機能を示す図である。
【
図6】博物館の室内で使用される、本発明による、システムの例示的な実施形態の概略図を示す図である。
【
図7】
図6のシステムの構成要素を図示するブロック図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下の説明では、いくらかの用語が、利便性の理由で使用されるが、本発明を限定するものではない。「右(right)」、「左(left)」、「上(up)」、「下(down)」、「の下(under)」、「の上(above)」という用語は、図における方向を指す。用語法は、明示的に述べられた用語、ならびにそれらの派生物および同様の意味をもつ用語を備える。また、「の下方(beneath)」、「の下側(below)」、「より低い(lower)」、「の上(above)」、「より上の(upper)」、「近位(proximal)」、「遠位(distal)」などの空間的相対用語が、図中に図示されている、ある要素または特徴の、別の要素または特徴との関係を説明するために使用され得る。これらの空間的相対用語は、図中に示されている位置および向きに加えて、使用中または動作中のデバイスの異なる位置および向きを包含するものとする。たとえば、図中のデバイスが、裏返された場合、他の要素または特徴「の下側(below)」またはそれら「の下方(beneath)」と説明される要素は、その場合、他の要素または特徴「の上(above)」またはそれら「の上方(over)」にあることになる。これにより、「の下側(below)」という例示的な用語は、上(above)および下(below)の位置および向きの両方を包含することができる。デバイスは、別様に配向される(90度回転される、または他の向きにある)ことがあり、本明細書で使用される空間的相対記述子は、相応に解釈されるべきである。同じく、様々な軸に沿った動き、およびそれらの軸を中心とする動きの説明は、様々な特別なデバイス位置および向きを含む。
【0060】
図中での、ならびに様々な態様および例示的な実施形態の説明における繰返しを回避するために、多くの特徴が、多くの態様および実施形態に共通であることを理解されたい。説明または図からの態様の省略は、その態様を取り入れる実施形態から態様が消失していることを暗示しない。代わりに、態様は、明快のために、および冗長な説明を回避するために省略されていることがある。このコンテキストにおいて、以下が、この説明の残りに適用される。図面を明瞭にするために、図が、説明の直接的に関連する部分において解説されない参照符号を含んでいる場合、それは、前のまたは後続の説明セクションにおいて参照される。さらに、明快さの理由で、図面中で、部分のすべての特徴が、参照符号を設けられているわけではない場合、それは、同じ部分を示す他の図面中で参照される。2つまたはそれ以上の図中の同じような数字は、同じまたは同様の要素を表す。
【0061】
図1は、本発明による、ポータブルデバイス1の例示的な実施形態を示す。ポータブルデバイス1は、上端部の近くの表面11を有する低下部分をもつ、本質的に円筒状の形態を有する。表面11は、たとえば、ユーザの頭蓋骨に接触するために、ユーザの耳の後ろでまたは耳の前で首に配置されるように構成される。ポータブルデバイス1は、識別されたオブジェクトに関係する情報の再生のアクティブ化のためのプレイボタン13をさらに有する。プレイボタン13はまた、再生を停止するための休止機能が設けられる。ボリュームアップおよびダウンボタン12が、プレイボタン13の上および下に配置される。ポータブルデバイス1は、識別されたオブジェクトに関する情報の再生準備ができた時点をユーザに示す視覚インジケータ14と、ポータブルデバイス1をスイッチオンおよびオフするための電源ボタン15と、識別されたオブジェクトをブックマークするためのブックマークボタン16と、機能ボタン17とをさらに備える。ニーズに従って、機能ボタン17は、デバイスポータブルデバイス1を通信ネットワークと接続すること、ブックマークボタンとして機能すること、ホストを用いてオブジェクトに関する情報を更新すること、および/またはポータブルデバイス1のサービスを管理することを行うように構成され得る。視覚インジケータ14は、LEDを使用するライトフィールドまたはポイントであり得る。
【0062】
図2および
図3は、ポータブルデバイス1の内側の構成要素を示す。それにより、ポータブルデバイス1は、バッテリー25および充電インターフェース26を含む電源を装備していることが分かる。ポータブルデバイス1は、オブジェクトの識別情報を受信するためのセンサーとして働く識別情報受信機24をさらに備える。識別情報受信機24は、超広帯域信号を受信するための超広帯域受信機またはセンサーを備える。ポータブルデバイス1は、ワイヤレスLANおよび/またはBluetooth技術を使用してデータ通信を確立するために、識別情報受信機24に統合されたネットワークインターフェース23をさらに備える。コントローラ25は、識別情報受信機24に接続されたマイクロコントローラを有する。コントローラ25は、ポータブルデバイス1の動作を制御する。オペレーティングソフトウェアおよび他のソフトウェアアプリケーションが、コントローラ25に、またはコントローラ25によってインストールされ得る。骨伝導生成器22は、ポータブルデバイス1中に配列され、ハウジングによって全体がカバーされる。骨伝導生成器22は、機械式バイブレータ21を含む電気機械変換器を有する。骨伝導生成器22は、デジタルオーディオ情報を表す電気信号を変換し、機械的振動を生成するために機械式バイブレータ21にこれらの信号を送る。
【0063】
図4は、ユーザが、識別されたオブジェクトに関するオーディオ情報を聴取することを決めると、ポータブルデバイス1が、ユーザの耳の後ろで頭蓋に配置されることを示す。ポータブルデバイス1は、ユーザの頭蓋骨に送信され、音を生成する、機械的振動30を生成する。有利なアプリケーションでは、ポータブルデバイス1は、対応して、耳の前で、換言すれば、ユーザの耳と頬との間で頭蓋および/または軟骨に配置される。
【0064】
図5は、機械的振動30を音波に変換する原理を示す。ポータブルデバイス1は、たとえば、耳の後ろで、または耳の前で頭蓋に配置される。振動が、頭蓋骨を介して耳道41に送信され得る。振動は、聴神経42を刺激し、それにより、蝸牛43によって音波を知覚する。
【0065】
図6は、上記で説明されたポータブルデバイス1を複数含む、本発明による、システムの例示的な実施形態を示す。システムは、博物館の室内で使用され、ここで、3つのオブジェクト50が図示されている。各オブジェクト50は、オブジェクト50に隣接して、オブジェクト50の近くに、またはオブジェクト50中に配列された少なくとも1つの電子アイデンティファイア51が設けられる。電子アイデンティファイア51は、ある信号到達範囲52を有する超広帯域送信機を有する。必要な場合には、2つまたはそれ以上のアイデンティファイア51が、アイデンティファイアの到達範囲52を増加させるために、1つのオブジェクト50に提供され得、たとえば、オブジェクト50は、1つのアイデンティファイアが、ユーザがオブジェクト50を見ることができるエリア全体をカバーすることができないように、形成される。
【0066】
ポータブルデバイスを携帯するユーザが、アイデンティファイア51の信号到達範囲52、換言すれば、到達可能な領域52に入ったとき、識別情報受信機は、アイデンティファイア51から識別情報信号を受信し、このオブジェクトに関する説明または話が再生され得ることをユーザに知らせる。ユーザが別のオブジェクトに移動したとき、プロセスは繰り返される。アイデンティファイア51の信号が到達することができる領域52内で、ユーザはまた、特定のオブジェクト50のための情報を、ユーザが後でその情報にアクセスすることができるように、ブックマークすることを決めることができる。ブックマークは、オブジェクトの名前または位置など、オブジェクトの識別情報であってもよい。そのうえ、システムは、ユーザのブックマークの評価に基づいてユーザプロファイルを作成することができる。ユーザプロファイルは、たとえば、ユーザが何の種類のオブジェクトに関心があるかに関する情報を含み、それにより、ユーザの次の訪問のユーザ体験を高めることができる。システムは、オブジェクトに関する情報の容易な再生における、および同時に、オブジェクト50に関する情報をブックマークすることによって情報を管理することにおける全体的なユーザ体験を改善する。
【0067】
図7は、本発明による、システムを図示する概略図を示す。たとえば、ポータブルデバイス1のユーザが、博物館の受付に到着したとき、ユーザは、複数のポータブルデバイス1が置かれているドッキングステーションにおいて、ポータブルデバイス1をピックアップすることができる。同時に、ユーザはまた、ポータブルデバイスがユーザと関連付けられるように、ドッキングステーションにおいてユーザ自身を登録することができる。ドッキングステーションは、ポータブルデバイスの使用準備ができているように、電力を用いてポータブルデバイスを充電する。ユーザは、博物館に入り、関心のあるオブジェクト50の所で立ち止まる。オブジェクト50に関連付けられた識別情報信号を受信すると、ポータブルデバイス1は、オーディオ情報が利用可能であることをユーザに知らせる。ユーザは、耳の後ろで、または耳の前で頭蓋にデバイスを置き、オーディオが再生を開始するように、再生ボタン13を押す。ユーザが、特に、特定のオブジェクト50に関心がある場合、ユーザは、オーディオ情報をブックマークするために、ブックマークボタン16を押下し得る。キオスク、たとえば、デバイスチェックステーションにおいて、ユーザは、ポータブルデバイス1を充電するか、またはクラウドにおけるコンテンツ管理ソフトウェアを使用してブックマーク情報をアップロードすることができる。代替的に、ブックマークのアップロードは、ユーザが、ポータブルデバイスを返却するとき、博物館スタッフまたは見本市スタッフなどのプロバイダによって行われてもよい。訪問全体において、ユーザは、再生の準備をするための情報を入力することなしに、ユーザがどのオーディオ情報をいつ聴取するかを決める。さらに、ユーザが、訪問の後に、オブジェクト50に関する情報にアクセスすることを希望するとき、そのオブジェクトの識別情報を書き込んだり、走査したりする必要がない。
【0068】
本発明の態様および実施形態を図示するこの説明および添付の図面は、保護される発明を定義する特許請求の範囲を限定するものとして捉えられるべきでない。言い換えれば、本発明は、図面および上記の説明において詳細に図示および説明されたが、そのような図示および説明は、限定的でなく、例示または例示的と見なされるべきである。様々な機械的、組成的、構造的、電気的、および動作的変更が、この説明および特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、行われ得る。いくつかの事例では、よく知られている回路、構造物および技法は、本発明を不明瞭にしないために、詳細には示されなかった。これにより、変更および修正が、以下の特許請求の範囲の範囲および趣旨内で当業者によって行われ得ることが理解されよう。とりわけ、本発明は、上記でおよび下記で説明される異なる実施形態からの特徴の任意の組合せをもつさらなる実施形態をカバーする。
【0069】
本開示はまた、個々に図中に示されているすべてのさらなる特徴を、それらの特徴が、前のまたは後続の説明において説明されていないことがあるが、カバーする。また、図および説明において説明された実施形態の1つ1つの代替形態、ならびにそれらの特徴の1つ1つの代替形態が、本発明の主題から、または開示される主題から放棄され得る。本開示は、特許請求の範囲または例示的な実施形態において定義された特徴からなる主題、ならびに前記特徴を備える主題を備える。
【0070】
その上、特許請求の範囲において、「備える(comprising)」という単語は、他の要素またはステップを除外せず、不定冠詞「1つの(a)」または「1つの(an)」は、複数を除外しない。単一のユニットまたはステップが、特許請求の範囲に記載されている数個の特徴の機能を果たし得る。いくらかの測度が、相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの測度の組合せが、有利に使用され得ないことを指し示さない。特に、属性または値に関する「本質的に(essentially)」、「約(about)」、「およそ(approximately)」などという用語はまた、それぞれ、厳密に属性を、または厳密に値を定義する。所与の理数系の値または範囲のコンテキストにおける「約(about)」という用語は、たとえば、所与の値または範囲の、20%内に、10%内に、5%内に、または2%内にある値または範囲を指す。結合されたもの、または接続されたものとして説明される構成要素は、電気的に、または機械的に直接的に結合され得るか、またはそれらの構成要素は、1つまたは複数の中間構成要素を介して間接的に結合され得る。特許請求の範囲における参照符号は、範囲を限定するものとして解されるべきではない。
【国際調査報告】