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特表2023-550758偏光を使用する光学自由空間通信装置
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  • 特表-偏光を使用する光学自由空間通信装置 図1
  • 特表-偏光を使用する光学自由空間通信装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-05
(54)【発明の名称】偏光を使用する光学自由空間通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/112 20130101AFI20231128BHJP
   H04J 14/02 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
H04B10/112
H04J14/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530550
(86)(22)【出願日】2021-08-23
(85)【翻訳文提出日】2023-05-24
(86)【国際出願番号】 US2021047116
(87)【国際公開番号】W WO2022108636
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】63/115,764
(32)【優先日】2020-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/199,931
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520128820
【氏名又は名称】ノースロップ グラマン システムズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【弁理士】
【氏名又は名称】末松 亮太
(72)【発明者】
【氏名】ラム,ダニエル・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ザメル,ジェームズ・エム
(72)【発明者】
【氏名】オコナー,アーサー・ビー
(72)【発明者】
【氏名】ヘフリンジャー,ドナルド・ジー
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA11
5K102AA15
5K102AA21
5K102AB07
5K102AD01
5K102AL23
5K102AL28
5K102PB01
5K102PH24
5K102PH25
5K102PH31
5K102PH47
5K102PH48
5K102PH49
(57)【要約】
光通信システムは、同じ波長を有する光信号を使用して互いに通信する2つの通信端末を含む。双方の端末は、直線偏光信号を回転させる1/2波長板偏光子と、光信号を円偏光させる1/4波長板偏光子とを含む。1/4波長板偏光子が、互いに対して90°に方位付けられるので、一方の端末から他方の端末に送られる円偏光信号は、送信偏光方位に対して90°に直線偏光され、ビーム・スプリッタによって、送信された光信号から分離可能になる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光通信システムであって、
光信号を送信および受信するように動作可能な第1端末であって、前記第1端末が、第1波長を有する第1直線偏光ビームに応答し、前記第1光ビームを第1直線方向に回転させる第11/2波長板(HWP)偏光子と、前記第1直線偏光ビームに応答しこれを通過させる第1ビーム・スプリッタと、前記第1ビーム・スプリッタからの前記第1直線変形ビームに応答し、送信のために前記第1ビームを円偏光させる第1円偏光エレメントとを含み、前記第1円偏光エレメントが2つの直交切り替え状態間で切り替え可能であり、前記第1端末が、更に、第2ビーム・スプリッタ、第1取得センサ、および第1通信センサを含む、第1端末と、
光信号を送信および受信するように動作可能な第2端末であって、前記第2端末が、前記第1波長を有する第2直線偏光ビームに応答し、前記第2光ビームを前記第1直線方向に回転させる第2HWP偏光子と、前記第2直線偏光ビームに応答しこれを通過させる第3ビーム・スプリッタと、前記第3ビーム・スプリッタからの前記第2直線偏光ビームに応答し、送信のために前記第2ビームを円偏光させる第2円偏光エレメントとを含み、前記第2円偏光エレメントが前記2つの直交切り替え状態間で切り替え可能であり、前記第2端末が、更に、第4ビーム・スプリッタと、第2取得センサと、第2通信センサとを含む、第2端末と、
を備え、前記第1端末が前記第2円偏光ビームを前記第2端末から受信し、前記第1円偏光エレメントが、前記第2ビームを、前記第1直線方向に対して直交する第2直線方向に直線偏光させ、前記第1ビーム・スプリッタが、前記第2ビームを前記第2ビーム・スプリッタに誘導し、前記第2端末が前記第1端末から前記第1円偏光ビームを受信し、前記第2円偏光エレメントが前記第1ビームを前記第2直線方向に直線偏光させ、前記第3ビーム・スプリッタが前記第1ビームを前記第4ビーム・スプリッタに誘導する、第2端末と、
を備える、光通信システム。
【請求項2】
請求項1記載のシステムにおいて、前記第2ビーム・スプリッタおよび前記第4ビーム・スプリッタが、前記第1または第2光ビームを分割し、一方の分割ビームを前記通信センサに誘導し、他方の分割ビームを前記取得センサに誘導する、部分ビーム・スプリッタである、システム。
【請求項3】
請求項1記載のシステムにおいて、前記第1端末が、更に、前記第1ビーム・スプリッタから前記第2ビームを、前記第2ビーム・スプリッタよりも前に受信する第1直線偏光フィルタを含み、前記第2端末が、更に、前記第3ビーム・スプリッタから前記第1ビームを、前記第4ビーム・スプリッタよりも前に受信する第2直線偏光フィルタを含む、システム。
【請求項4】
請求項1記載のシステムにおいて、前記第1HWP偏光子が、第2波長を有する第3直線偏光ビームに応答し、前記第3光ビームを前記第1直線方向に回転させ、前記第1ビーム・スプリッタが、前記第3直線偏光ビームに応答してこれを通過させ、前記第1円偏光エレメントが、前記第1ビーム・スプリッタからの前記第3直線偏光ビームに応答し、送信のために前記第3ビームを円偏光させ、前記第2HWP偏光子が、前記第2波長を有する第4直線偏光ビームに応答し、前記第4光ビームを前記第1直線方向に回転させ、前記第3ビーム・スプリッタが、前記第4直線偏光ビームに応答してこれを通過させ、前記第2円偏光エレメントが、前記第3ビーム・スプリッタからの前記第4直線偏光ビームに応答し、送信のために前記第3ビームを円偏光させ、前記第1端末が、前記第2端末から前記第4円偏光ビームを受信し、前記第1円偏光エレメントが前記第4ビームを前記第2直線方向に直線偏光させ、前記第1ビーム・スプリッタが前記第4ビームを前記第2ビーム・スプリッタに誘導し、前記第2端末が前記第1端末から前記第3円偏光ビームを受信し、前記第2円偏光エレメントが前記第3ビームを前記第2直線方向に直線偏光させ、前記第3ビーム・スプリッタが前記第3ビームを前記第4ビーム・スプリッタに誘導する、システム。
【請求項5】
請求項4記載のシステムにおいて、前記第2ビーム・スプリッタおよび前記第4ビーム・スプリッタが、前記第1波長を有する光ビームを前記通信センサに誘導し、前記第2波長を有する光ビームを前記取得センサに誘導するダイクロイック・ビーム・スプリッタである、システム。
【請求項6】
請求項4記載のシステムにおいて、前記第1端末が、更に、前記第1ビーム・スプリッタから前記第2および第4ビームを、前記第2ビーム・スプリッタよりも前に受信する第1直線偏光フィルタを含み、前記第2端末が、更に、前記第3ビーム・スプリッタから前記第1および第3ビームを、前記第4ビーム・スプリッタよりも前に受信する第2直線偏光フィルタを含む、システム。
【請求項7】
請求項1記載のシステムにおいて、前記第1および第2円偏光エレメントが、1/4波長板(QWP)偏光子を機械的に回転させる、システム。
【請求項8】
請求項1記載のシステムにおいて、前記第1および第2円偏光エレメントが、液晶可変リターダである、システム。
【請求項9】
請求項1記載のシステムにおいて、前記第1および第2ビーム・スプリッタが、水晶ブリュースター角プリズムである、システム。
【請求項10】
請求項1記載のシステムにおいて、前記第1直線方向がP極方向であり、前記第2直線方向がS極方向である、システム。
【請求項11】
請求項1記載のシステムにおいて、前記2つの直交切り替え状態が、右手円偏光および左手円偏光である、システム。
【請求項12】
光通信システムであって、
光信号を送信および受信するように動作可能な第1端末であって、前記第1端末が、第1波長を有する第1直線偏光ビームに応答し、前記第1光ビームを第1直線方向に回転させる第1偏光エレメントと、前記第1直線偏光ビームに応答しこれを通過させる第1ビーム・セパレータと、前記第1ビーム・セパレータからの第1直線偏光ビームに応答し、送信のために前記第1ビームを円偏光させる第1円偏光エレメントとを含み、前記第1円偏光エレメントが2つの直交切り替え状態間で切り替え可能である、第1端末と、
光信号を送信および受信するように動作可能な第2端末であって、前記第2端末が、前記第1波長を有する第2直線偏光ビームに応答し、前記第2光ビームを前記第1直線方向に回転させる第2偏光エレメントと、前記第2直線偏光ビームに応答してこれを通過させる第2ビーム・セパレータと、前記第2ビーム・セパレータからの前記第2直線偏光ビームに応答し、送信のために前記第2ビームを円偏光させる第2円偏光エレメントとを含み、前記第2円偏光エレメントが、2つの直交切り替え状態間で切り替え可能である、第2端末と、
を備え、前記第1端末が前記第2端末から前記第2円偏光ビームを受信し、前記第1円偏光エレメントが前記第2ビームを、前記第1直線方向に対して直交する第2直線方向に直線偏光させ、前記第1ビーム・セパレータが、前記第2ビームを、前記第1偏光エレメントから遠ざかる方向に誘導し、前記第2端末が前記第1端末から前記第1円偏光ビームを受信し、前記第2円偏光エレメントが、前記第1ビームを前記第2直線方向に直線偏光させ、前記第2ビーム・セパレータが、前記第1ビームを前記第2偏光エレメントから遠ざかる方向に誘導する、光通信システム。
【請求項13】
請求項12記載のシステムにおいて、前記第1および第2偏光エレメントが1/2波長板(HWP)偏光子である、システム。
【請求項14】
請求項12記載のシステムにおいて、前記第1および第2円偏光エレメントが、機械的に回転する1/4波長板(QWP)偏光子である、システム。
【請求項15】
請求項12記載のシステムにおいて、前記第1および第2円偏光エレメントが、液晶可変リターダである、システム。
【請求項16】
請求項12記載のシステムにおいて、前記第1および第2ビーム・セパレータが、偏光ビーム・スプリッタである、システム。
【請求項17】
請求項16記載のシステムにおいて、前記第1および第2偏光ビーム・スプリッタが、水晶ブリュースター角プリズムである、システム。
【請求項18】
請求項12記載のシステムにおいて、前記第1および第2ビーム・セパレータが、光サーキュレータである、システム。
【請求項19】
請求項12記載のシステムにおいて、前記第1直線方向がP極方向であり、前記第2直線方向がS極方向である、システム。
【請求項20】
請求項12記載のシステムにおいて、前記2つの直交する切り替え状態が、右手円偏光および左手円偏光である、システム。
【請求項21】
光通信端末であって、直線偏光ビームに応答し、前記光ビームを第1直線方向に回転させる偏光エレメントと、前記直線偏光ビームに応答してこれを通過させるビーム・セパレータと、前記ビーム・セパレータからの前記直線偏光ビームに応答し、送信のために前記ビームを円偏光させる円偏光エレメントとを備え、前記円偏光エレメントが2つの直交する切り替え状態間で切り替え可能であり、前記端末が、他の端末から円偏光ビームを受信し、前記円偏光エレメントが、前記第2ビームを、前記第1直線方向に対して直交する第2直線方向に直線偏光させ、前記ビーム・セパレータが、前記第2ビームを、前記偏光エレメントから遠ざかる方向に誘導する、光通信端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互引用
[0001] 本願は、2020年11月19日に出願され、Optical Free Space Communication Apparatus Using Polarization(偏光を使用する光学自由空間通信装置)と題する米国仮特許出願第63/115,764号の出願日の権利を主張する。
【0002】
背景分野
[0002] 本開示は、一般的には、偏光ビームを使用して同じビーム波長で端末間における送信を可能にする光通信システムに関し、更に特定すれば、 偏光ビームを使用して同じビーム波長で端末間における送信を可能にし、両端末が送信ビームを互いに90°円偏光させて、直線偏光された送信ビームおよび受信ビームを分離する、光通信システムに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003] いくつかの衛星によって採用されているような光通信システムは、データおよび他の情報を含む(contain)光信号を、通信端末間において通信リンク上で送信する。通信端末によって送信される光信号は、クロストークを防止するために、端末によって受信される光信号から隔離する(isolate)必要がある。更に、多くの場合、特定のシステムにおいて使用される端末の数を制限することが望ましい。通例、これを遂行するには、端末間の共通ボアサイト(common boresight)に沿って、端末から光信号を1つの周波数で送信し、他の端末からの光信号を異なる周波数で受信する。これらの端末において、信号を分離するために、フィルタおよび他の光部品を採用する。しかしながら、信号を分離するために必要なこれらの部品は、システム全体に、大型化、コスト増、および重量化を招く。更に、これらのフィルタおよび部品のために、各端末は、常に、設定された波長で信号を送信および受信する必要があり、2箇所よりも多い異なる場所にある2つのよりも多い通信端末が、互いに通信することが妨げられる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】同じ波長を有するが偏光が異なるビームを使用して、互いに通信する2つの通信端末を含み、端末取得および情報抽出の双方に同じ波長ビームを使用する、光通信システムの模式ブロック図である。
図2】同じ波長を有するが偏光が異なるビームを使用して、互いに通信する2つの通信端末を含み、端末取得および情報抽出に異なる波長ビームを使用する、光通信システムの模式ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
[0006] 本開示の実施形態についての以下の論述は、同じビーム波長で通信端末間において送信を可能にするために偏光ビームを使用する光通信システムを対象とし、性質上単なる例示であり、本開示を限定することも、またその用途や使用を限定することも全く意図していない。
【0006】
[0007] 図1は、光通信システム10の模式ブロック図である。光通信システム10は、1つの場所にある第1通信端末12と、他の場所にある第2通信端末14とを含み、これらは互いに光通信する。端末12および14は、地上設置端末であるか、または衛星、航空機、船舶等のような、任意の適したプラットフォーム上にあることも可能である。端末12および14は、任意の通信目的のために光信号を送信および受信する任意の光通信端末を表すことを意図している。尚、これらの部品はいずれも、端末12および14における信号変調および処理のために示すのではないことを注記しておく。これらの部品は、任意の適した部品にすることができる。このことは、当業者には良く理解されよう。
【0007】
[0008] 端末12は、光源20を含む。光源20は、送信しようとしている、波長λを有する直線偏光ビームを生成し、このビームを送信ファイバ・コリメータ22に供給する。送信ファイバ・コリメータ22からの光ビームは、1/2波長板(HWP)偏光子のような、偏光子24に送られる。偏光子24は、ファイバ・コリメータ22からの偏光ビームを、例えば、P極方向に回転させる。直線偏光ビームは、偏光ビーム・スプリッタ(PBS)26のようなビーム・セパレータ26、例えば、水晶ブリュースター角プリズム(crystal Brewster angle prism)に送られる。ビーム・セパレータ26は、光を1つの直線偏光方向、ここでは、P極方向に直行させ、直線偏光された光を、S極方向のような、直交方向に反射する。ビーム・セパレータ26を通過した直線偏光P極ビームは、1/4波長板(QWP)偏光子のような、円偏光エレメント28によって回転させられて、円偏光され、例えば、右手円偏光される。そして、円偏光ビームは、自由空間を経て、端末14に送信される。尚、ビームの端末12までの伝搬は、完全にファイバ内において行うことができ、ビーム・セパレータ26を光サーキュレータにしてもいいことを注記しておく。つまり、偏光制御および隔離の全部または一部は、ファイバ部品または自由空間部品内部で実行することができる。
【0008】
[0009] 同様に、端末14は光源30を含む。光源30は、同様に送信される波長λを有する光ビームを生成し、このビームを送信ファイバ・コリメータ32に供給する。送信ファイバ・コリメータ32からの光ビームは、HWP偏光子のような、偏光子34に送られる。偏光子34は、コリメータ32からの偏光ビームを、この場合も、例えば、P極方向に回転させる。直線偏光ビームは、偏光ビーム・スプリッタのようなビーム・セパレータ36、例えば、水晶ブリュースター角プリズム(crystal Brewster angle prism)に送られる。ビーム・セパレータ36は、光を1つの直線偏光方向、ここでは、P極方向に直行させ、直線偏光された光を、S極方向のような、直交方向に反射する。ビーム・セパレータ36を通過した直線偏光P極ビームは、QWP偏光子のような、円偏光エレメント38によって回転させられて、円偏光され、例えば、左手円偏光される。そして、円偏光ビームは、自由空間を経て、端末12に送信される。
【0009】
[0010] 端末12によって送信された光ビームは、円偏光エレメント38によって受信され、端末14によって送信された光ビームは、円偏光エレメント28によって受信される。円偏光エレメント38の偏光軸は、偏光エレメント28の偏光軸に対して90°に設定され、円偏光エレメント28および38の双方の偏光軸は、これら2つの直交切り替え状態間で切り替え可能である。したがって、円偏光エレメント28または38が光ビームを送信端末14または12から受信したとき、光ビームは、直線偏光ビームに変換される。この直線偏光ビームは、送信端末12または14において円偏光ビームに変換される前に有していた直線偏光に対して90°に偏光されている。言い換えると、円偏光エレメント28および38の方位(orientation)を設定する円偏光エレメント28および38の切り替え可能な方位状態は、受信端末12または14において、送信端末12または14に対して90°回転させなければならない。更に、受信端末12または14が送信端末になるときは、その送信ビームが受信端末12または14によって受信されることを可能にするためには、この90°方位を、元の送信方位に切り替えなければならない。これによって、光ビームの入射偏光(inbound polarization)を、光ビームの出射偏光に対して直交させることが可能になる。これは、要求される位相遅延を達成するために、機械的に回転するQWP偏光子、または液晶可変リターダ(retarder)のいずれかを使用して行うことができる。端末12または14におけるその機能に影響を及ぼすことなく円偏光エレメント28および38を回転させることができ、円偏光エレメント28または38を通過する入射光に生じる小さな角度変化に対して許容度が比較的高いという事実のために、円偏光エレメント28または38が、送受信切り替え可能なエレメント(gender-switchable element)として、適するという利点を得ることができ、更に、機械的な回転および電子的に調節される液晶遅延の双方を、この切り替え機能を実行するために使用することが可能になる。
【0010】
[0011] 端末14によって送信される左手円偏光ビームは、端末12によって受信され、円偏光エレメント28によって直線偏光される。円偏光エレメント38の偏光軸は、円偏光エレメント28の偏光軸に対して90°に設定されているので、偏光子28は受信したビームを、P極方向に対して直交するS極方向に偏光させる。S極ビームは、ビーム・セパレータ26によって反射され、直線偏光フィルタ42を通って、部分ビーム・スプリッタ40に誘導される。直線偏光フィルタ42は、S極方向に直線偏光されなかったあらゆる残余光を濾波する。ビーム・スプリッタ40は、このビームを分割し、一方の分割ビームは通信センサ44に送られて処理され、その情報がこの分割ビームから抽出される。他方の分割ビームは、取得センサ46に送られ、端末12および14間の整合の目的のために処理される。
【0011】
[0012] 同様に、端末12によって送信された右手円偏光ビームは、端末14によって受信され、円偏光エレメント38によって直線偏光される。円偏光エレメント38の偏光軸は、円偏光エレメント28の偏光軸に対して90°に設定されているので、円偏光エレメント38は、受信したビームを、P極方向に対して直交するS極方向に偏光させる。S極ビームは、ビーム・セパレータ36によって反射され、直線偏光フィルタ52を通って、部分ビーム・スプリッタ50に誘導される。直線偏光フィルタ52は、S極方向に直線偏光されなかったあらゆる残余光を濾波する。ビーム・スプリッタ50は、このビームを分割し、一方の分割ビームは通信センサ54に送られて処理され、その情報がこの分割ビームから抽出される。他方の分割ビームは、取得センサ56に送られ、端末12および14間の整合の目的のために処理される。
【0012】
[0013] システム10では、信号処理および取得双方の目的のために、同じ波長ビームが使用された。しかしながら、通信システムによっては、端末取得および情報処理の双方に同じ光ビームを使用するには、信号強度が低すぎる場合がある。更に、端末同士が近接しており、一方の端末が、他方の端末を意図したビームを受信するおそれがあるという特異な(certain)状況も起こり得る。これらおよびその他の状況では、信号処理および端末取得のために異なる波長を有するビームを使用することが望ましい場合もある。
【0013】
[0014] 図2は、光通信システム60の模式ブロック図である。光通信システム60は、第1端末62と第2端末64とを含み、これらは互いに光通信する。ここでは、端末取得および情報抽出のため、または信号冗長性の目的で、端末取得および情報処理には異なる波長ビームを使用する。システム10と同様のエレメントは、同じ参照番号で識別する。このシステム60では、端末62における第2光源66、および端末64における第2光源68が、それぞれ、波長λの光ビームをファイバ・コリメータ22および32に供給する。この光ビームは、双方共、偏光子24および34、ビーム・セパレータ26および36、ならびに円偏光エレメント28および38によって、先に論じたのと同様に処理される。しかしながら、端末62によって受信されビーム・セパレータ26によって反射されたビームは、ダイクロイック・ビーム・スプリッタ70に送られ、ダイクロイック・ビーム・スプリッタ70はその波長に基づいてビームを分割する。波長λを有するビームは通信センサ44に送られ、波長λを有するビームは取得センサ46に送られる。同様に、端末64によって受信されビーム・セパレータ36によって反射されたビームは、ダイクロイック・ビーム・スプリッタ72に送られて、ダイクロイック・ビーム・スプリッタ72はその波長に基づいてビームを分割する。波長λを有するビームは通信センサ54に送られ、波長λを有するビームは取得センサ56に送られる。
【0014】
[0015] 以上の論述は、本開示の例示的な実施形態を単に開示し説明したに過ぎない。このような論述、ならびに添付する図面および特許請求の範囲から、以下の特許請求の範囲に定められた本開示の主旨および範囲から逸脱することなく、種々の変更、修正、および変形が可能であることは、当業者には容易に認められよう。
図1
図2
【国際調査報告】