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特表2023-550761セルフインターロッキングが可能なマイクロ構造体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-05
(54)【発明の名称】セルフインターロッキングが可能なマイクロ構造体
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20231128BHJP
【FI】
A61M37/00 510
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530604
(86)(22)【出願日】2021-11-02
(85)【翻訳文提出日】2023-07-19
(86)【国際出願番号】 KR2021015704
(87)【国際公開番号】W WO2022108185
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】10-2020-0155987
(32)【優先日】2020-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0102890
(32)【優先日】2021-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523161697
【氏名又は名称】カーサス バイオ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨン ヒ
(72)【発明者】
【氏名】ファクレイ ラヒジ,シャヤン
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA71
4C267BB02
4C267BB03
4C267BB04
4C267BB06
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB19
4C267BB20
4C267BB24
4C267BB31
4C267BB39
4C267BB40
4C267CC01
4C267CC05
4C267GG02
4C267GG16
4C267GG42
4C267GG43
4C267HH08
(57)【要約】
マイクロ構造体が開示される。マイクロ構造体は、ベースフィルムと、前記ベースフィルムの一面に形成された複数のマイクロニードルとを含み、前記マイクロニードルは、ニードル本体と、前記ニードル本体を中心に複数配置されて前記ニードル本体の外面と前記ベースフィルムとを連結し、前記ニードル本体より薄い厚さを有する支持羽とを含んでもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフィルムと、
前記ベースフィルムの一面に形成された複数のマイクロニードルとを含み、
前記マイクロニードルは、
ニードル本体と、
前記ニードル本体を中心に複数配置されて前記ニードル本体の外面と前記ベースフィルムとを連結し、前記ニードル本体より薄い厚さを有する支持羽とを含む、マイクロ構造体。
【請求項2】
前記支持羽は、前記ニードル本体の中心を軸として対称となる、請求項1に記載のマイクロ構造体。
【請求項3】
前記支持羽は、前記ニードル本体の中心から遠くなるほど厚さが徐々に減少する、請求項1に記載のマイクロ構造体。
【請求項4】
前記ニードル本体は、
前記ベースフィルムと結合する第1領域と、
前記第1領域から延び、前記第1領域から遠くなるほど幅が徐々に増加する第2領域と、
前記第2領域から延び、その端部に行くほど幅が徐々に減少する第3領域とを含み、
前記支持羽のそれぞれは、前記第1領域と前記第2領域との間の区間に提供される、請求項1に記載のマイクロ構造体。
【請求項5】
前記支持羽と前記ベースフィルムとが連結される領域の端部は、上方から見たとき、前記第2領域の最大半径領域の内側に位置する、請求項4に記載のマイクロ構造体。
【請求項6】
前記支持羽と前記ベースフィルムとが連結される領域の端部は、上方から見たとき、前記第2領域の最大半径領域と同一線上に位置する、請求項4に記載のマイクロ構造体。
【請求項7】
前記支持羽と前記ベースフィルムとが連結される領域の端部は、上方から見たとき、前記第2領域と最大半径領域の外側に位置する、請求項4に記載のマイクロ構造体。
【請求項8】
前記第2領域と前記第3領域との連結領域は、外周面が曲面で提供される、請求項4に記載のマイクロ構造体。
【請求項9】
前記ニードル本体は、
前記ベースフィルムと結合する第1領域と、
前記第1領域から延び、前記第1領域から遠くなるほど幅が徐々に増加する第2領域と、
前記第2領域から延び、その端部に行くほど幅が徐々に減少する第3領域とを含み、
前記支持羽のそれぞれは、前記第3領域の端部から下方に延びて前記ベースフィルムと連結される、請求項1に記載のマイクロ構造体。
【請求項10】
前記支持羽と前記ベースフィルムとが連結される連結領域は、前記第2領域の最大半径より大きい、請求項9に記載のマイクロ構造体。
【請求項11】
前記支持羽は、
前記ニードル本体の一側に位置する第1支持羽(250)と、
前記ニードル本体を中心として前記第1支持羽の反対側に位置する第2支持羽とを含み、
前記第1支持羽と前記第2支持羽とは、異なる厚さを有する、請求項1に記載のマイクロ構造体。
【請求項12】
前記支持羽は、その上端から前記ベースフィルムに隣接する下端に行くほど厚さが徐々に増加する、請求項1に記載のマイクロ構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ構造体に関し、より詳細には、皮膚に侵透して薬物を供給することのできるマイクロ構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
薬物を身体に送達する投与経路には、経口型、注射型、経皮型などがある。経口型投与は、患者の服薬順応度を高めることのできる便利な投与であり、有効成分をカプセル、錠剤、シロップの形態で身体に送達する。しかし、肝臓での初回通過代謝(first-pass metabolism)などにより有効成分が不活性化することもあり、実際にバイオ医薬品の吸収率は比較的低い。そのため、薬物や治療剤などの薬効を正確かつ迅速に発現するために、注射型で皮膚障壁を穿刺して人体に投与する。注射型で送達する場合、有効成分の活性が維持されるという利点があるが、感染の危険、正確でない用量の投与、恐怖症、苦痛などの欠点がある。
【0003】
既存の経口型経路と注射型経路の投与の限界を克服するために、最小浸透マイクロニードルを含む様々なマイクロ構造体経皮型薬物送達システムが開発されている。マイクロ構造体は、主に生分解性(Biodegradable/dissolving)、ソリッド(solid)、コーティング(coating)、ハロー(hollow)の形態で作製される。生分解性マイクロ構造体は、高分子や有効成分(API/化粧品または医薬品)を含む様々な物質を微細針の形態に剤形化し、皮膚に挿入された後に体液により搭載された物質が溶解して痛症なしに薬物を送達することのできる経皮送達システムである。
【0004】
既存のマイクロ構造体は、広いベースフィルムと薄いボディのマイクロニードルとから構成され、マイクロニードルは、主に円錐または多角錐の形態で提供される。そのようなマイクロニードルの形状は、皮膚に挿入された後に離脱する可能性が大きいので、定量の薬物送達が容易でないという限界点を有する。また、マイクロニードルが数十~数百マイクロの微細なサイズで作製されて薬物の搭載量が制限的であり、所望量の有効成分を体内に送達することができないので、主に化粧品分野に適用されるという限界点を有する。さらに、マイクロ構造体が皮膚に密着した状態を維持できないことによって薬物の溶解時間が長くなり、それによるかゆみ、皮膚炎、アレルギーを含む様々な皮膚疾患を引き起こす危険性や貼付の不便さなどの限界点を有する。さらに、マイクロ構造体をモールドから分離するか、マイクロ構造体を指で押して皮膚に挿入する場合、力の作用方向と大きさによって、マイクロニードルが折れるか、皮膚に正確に挿入されないことがあるという限界点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、皮膚への定量の薬物送達が可能なマイクロ構造体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるマイクロ構造体は、ベースフィルムと、前記ベースフィルムの一面に形成された複数のマイクロニードルとを含み、前記マイクロニードルは、ニードル本体と、前記ニードル本体を中心に複数配置されて前記ニードル本体の外面と前記ベースフィルムとを連結し、前記ニードル本体より薄い厚さを有する支持羽とを含んでもよい。
【0007】
また、前記支持羽は、前記ニードル本体の中心を軸として対称となってもよい。
【0008】
さらに、前記支持羽は、前記ニードル本体の中心から遠くなるほど厚さが徐々に減少してもよい。
【0009】
さらに、前記ニードル本体は、前記ベースフィルムと結合する第1領域と、前記第1領域から延び、前記第1領域から遠くなるほど幅が徐々に増加する第2領域と、前記第2領域から延び、その端部に行くほど幅が徐々に減少する第3領域とを含み、前記支持羽のそれぞれは、前記第1領域と前記第2領域との間の区間に提供されてもよい。
【0010】
さらに、前記支持羽と前記ベースフィルムとが連結される領域の端部は、上方から見たとき、前記第2領域の最大半径領域の内側に位置してもよい。
【0011】
さらに、前記支持羽と前記ベースフィルムとが連結される領域の端部は、上方から見たとき、前記第2領域の最大半径領域と同一線上に位置してもよい。
【0012】
さらに、前記支持羽と前記ベースフィルムとが連結される領域の端部は、上方から見たとき、前記第2領域と最大半径領域の外側に位置してもよい。
【0013】
さらに、前記第2領域と前記第3領域との連結領域は、外周面が曲面で提供されてもよい。
【0014】
さらに、前記ニードル本体は、前記ベースフィルムと結合する第1領域と、前記第1領域から延び、前記第1領域から遠くなるほど幅が徐々に増加する第2領域と、前記第2領域から延び、その端部に行くほど幅が徐々に減少する第3領域とを含み、前記支持羽のそれぞれは、前記第3領域の端部から下方に延びて前記ベースフィルムと連結されてもよい。
【0015】
さらに、前記支持羽と前記ベースフィルムとが連結される連結領域は、前記第2領域の最大半径より大きくてもよい。
【0016】
さらに、前記支持羽は、前記ニードル本体の一側に位置する第1支持羽250と、前記ニードル本体を中心として前記第1支持羽の反対側に位置する第2支持羽とを含み、前記第1支持羽と前記第2支持羽とは、異なる厚さを有してもよい。
【0017】
さらに、前記支持羽は、その上端から前記ベースフィルムに隣接する下端に行くほど厚さが徐々に増加してもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、マイクロニードルは、ニードル本体と支持羽とが結合された構造で提供され、セルフインターロッキングが可能であるので、マイクロ構造体が皮膚に密着した状態を安定して維持することができる。それにより、マイクロ構造体が溶解して皮膚に侵透することができ、定量の薬物送達が可能である。また、支持羽がニードル本体とベースフィルムとを連結するので、モールドから分離するかまたは皮膚に侵透する過程でマイクロニードルの破損を予防することができる。さらに、ニードル本体が第1領域、最大半径領域を有する第2領域、およびチップが形成された第3領域からなるので、十分な量の薬物を搭載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態によるマイクロ構造体を示す斜視図である。
図2図1に示すマイクロニードルを拡大して示す図である。
図3図2の実施形態によるマイクロニードルの最適化された大きさを示す図である。
図4】本発明の他の実施形態によるマイクロ構造体を示す斜視図である。
図5図4に示すマイクロニードルを拡大して示す図である。
図6】本発明のまた他の実施形態によるマイクロニードルを示す図である。
図7】本発明のまた他の実施形態によるマイクロニードルを示す図である。
図8】本発明のまた他の実施形態によるマイクロニードルを示す図である。
図9】モールドを用いてマイクロ構造体を製造する過程を示す図である。
図10】本発明の実施形態によるマイクロ構造体を皮膚に挿入する過程を示す図である。
図11】本発明のまた他の実施形態によるマイクロニードルを示す図である。
図12】本発明のまた他の実施形態によるマイクロニードルを示す図である。
図13】本発明の実施形態によるニードル本体の様々な形状を示す図である。
図14】本発明の実施形態によるニードル本体の様々な形状を示す図である。
図15】本発明の一実施形態によるニードル本体およびベースフィルムを示す図である。
図16】本発明の様々な実施形態による支持羽の断面を示す図である。
図17】本発明の様々な実施形態による支持羽の配置を示す断面図である。
図18】本発明の実施形態により作製されたマイクロ構造体およびマイクロニードルを示す画像である。
図19】本発明の実施形態によるマイクロ構造体を皮膚に浸透させて薬物を注入する過程を示す図である。
図20】比較例によるマイクロ構造体を皮膚に浸透させて薬物を注入する過程を示す図である。
図21】本発明の一実施形態により作製されたマイクロ構造体およびそのマイクロニードルを示す図である。
図22】本発明の他の実施形態により作製されたマイクロ構造体およびそのマイクロニードルを示す図である。
図23】本発明の実施形態により作製されたマイクロニードルを拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明によるマイクロ構造体は、ベースフィルムと、前記ベースフィルムの一面に形成された複数のマイクロニードルとを含み、前記マイクロニードルは、ニードル本体と、前記ニードル本体を中心に複数配置されて前記ニードル本体の外面と前記ベースフィルムとを連結し、前記ニードル本体より薄い厚さを有する支持羽とを含んでもよい。
【0021】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の技術的思想は、以下に説明される実施形態に限定されるものではなく、他の形態に具体化することもできる。むしろ、以下に紹介される実施形態は、開示される内容が徹底的かつ完全になるように、そして、当業者に本発明の思想が十分に送達されるようにするために提供されるものである。
【0022】
本明細書において、ある構成要素が他の構成要素上にあるとすると、それは、他の構成要素上に直接形成されるかまたはそれらの間に第3の構成要素が介在することもあることを意味する。また、図面において、膜および領域の厚さは、技術内容の効果的な説明のために誇張されたものである。
【0023】
さらに、本明細書の様々な実施形態において、第1、第2、第3などの用語が様々な構成要素を記述するために用いられているが、そのような用語によりそれらの構成要素が限定されてはならない。それらの用語は、単にある構成要素を他の構成要素と区別するために用いられているだけである。よって、ある一実施形態において第1構成要素と言及されたものが他の実施形態においては第2構成要素と言及されることもある。以下に説明および例示される各実施形態は、その相補的な実施形態をも含む。また、本明細書において、「および/または」は、前後に並んだ構成要素の少なくとも1つを含む意味で用いられている。
【0024】
明細書において、単数の表現には、文脈上明らかに異なる意味を有しない限り、複数の表現が含まれる。また、「含む」や「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、構成要素、またはそれらの組み合わせが存在することを指定しようとするものであり、1つもしくはそれ以上の他の特徴、数字、ステップ、構成要素、またはそれらの組み合わせの存在または付加可能性を排除するものとして理解してはならない。さらに、本明細書において、「連結」は、複数の構成要素を間接的に連結すること、および直接的に連結することをどちらも含む意味で用いられている。
【0025】
なお、以下に本発明を説明するにあたり、関連する公知の機能または構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不要に不明にし得ると判断される場合は、その詳細な説明は省略する。
【0026】
本発明の様々な実施形態によるマイクロ構造体は、薬物を搭載して身体の皮膚を介して薬物を送達することができる。
【0027】
薬物は、広義の概念を意味し、狭義の治療目的の治療剤だけでなく、エネルギー、ナノ成分、美容成分(例えば、シワ改善剤、皮膚老化抑制剤および皮膚美白剤)、細胞培養液などを全て含む。
【0028】
具体的には、前記治療剤は、化学薬物、タンパク質/ペプチド医薬、ペプチド医薬、遺伝子治療用核酸分子などを含む。
【0029】
例えば、治療剤は、抗炎症剤、鎮痛剤、抗関節炎剤、鎮痙剤、抗うつ剤、抗精神病薬、神経安定剤、抗不安剤、麻薬拮抗剤、抗パーキンソン病薬、コリン性アゴニスト、抗癌剤、抗血管新生阻害剤、免疫抑制剤、抗ウイルス剤、抗生剤、食欲抑制剤、鎮痛剤、抗コリン剤、抗ヒスタミン剤、抗片頭痛剤、ホルモン剤、冠状血管、脳血管または末梢血管の血管拡張剤、避妊薬、抗血栓剤、利尿剤、抗高血圧剤、心血管疾患治療剤などを含むことができる。
【0030】
特に、タンパク質/ペプチド医薬は、ホルモン、ホルモン類似体、酵素、酵素阻害剤、信号伝達タンパク質またはその一部分、抗体またはその一部分、単鎖抗体、結合タンパク質またはその結合ドメイン、抗原、接着タンパク質、構造タンパク質、調節タンパク質、毒素タンパク質、サイトカイン、転写調節因子、血液凝固因子、ワクチンなどを含むことができる。より詳細には、前記タンパク質/ペプチド医薬は、インスリン、IGF-1(insulin-like growth factor 1)、成長ホルモン、エリスロポエチン、G-CSFs(granulocyte-colony stimulating factors)、GM-CSFs(granulocyte/macrophagecolony stimulating factors)、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、インターロイキン-1アルファおよびベータ、インターロイキン-3、インターロイキン-4、インターロイキン-6、インターロイキン-2、EGFs(epidermal growth factors)、カルシトニン(calcitonin)、ACTH(adrenocorticotropic hormone)、TNF(tumor necrosis factor)、アトビスバン(atobisban)、ブセレリン(buserelin)、セトロレリクス(cetrorelix)、デスロレリン(deslorelin)、デスモプレシン(desmopressin)、ダイノルフィンA(dynorphin A)(1-13)、エルカトニン(elcatonin)、エレイドシン(eleidosin)、エプチフィバチド(eptifibatide)、GHRH-II(growth hormone releasing hormone-II)、ゴナドレリン(gonadorelin)、ゴセレリン(goserelin)、ヒストレリン(histrelin)、リュープロレリン(leuprorelin)、リプレシン(lypressin)、オクトレオチド(octreotide)、オキシトシン(oxytocin)、ピトレシン(pitressin)、セクレチン(secretin)、シンカリド(sincalide)、テルリプレシン(terlipressin)、チモペンチン(thymopentin)、チモシン(thymosine)α1、トリプトレリン(triptorelin)、ビバリルジン(bivalirudin)、カルベトシン(carbetocin)、シクロスポリン、エキセジン(exedine)、ランレオチド(lanreotide)、LHRH(luteinizing hormone-releasing hormone)、ナファレリン(nafarelin)、副甲状腺ホルモン、プラムリンチド(pramlintide)、T-20(enfuvirtide)、チマルファシン(thymalfasin)およびジコノチドを含むことができる。
【0031】
また、本発明によるマイクロ構造体は、皮膚組職に挿入された後にセルフインターロッキング(self-interlocking)されるので、生体適合性または生分解性物質で製造することができる。生体適合性または生分解性物質は、実質的に人体に毒性がなく、化学的に不活性であり、免疫原性のない物質であって、最終的に体内に浸透した後に溶解するという利点を有する。
【0032】
そのような生体適合性物質の種類は、特に限定されるものではなく、例えば、ヒアルロン酸、ポリエステル、ポリヒドロキシアルカノエート(PHAs)、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリ(β-ヒドロキシ酸)、ポリ(3-ヒドロキシブチラート-co-バレラート;PHBV)、ポリ(3-ヒドロキシプロプリオネート;PHP)、ポリ(3-ヒドロキシヘキサノエート;PHH)、ポリ(4-ヒドロキシ酸)、ポリ(4-ヒドロキシブチラート)、ポリ(4-ヒドロキシバレラート)、ポリ(4-ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(エステルアミド)、ポリカプロラクトン、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(ラクチド-co-グリコリド;PLGA)、ポリジオキサノン、ポリオルトエステル、ポリエーテルエステル、ポリアンヒドリド、ポリ(グリコール酸-co-トリメチレンカーボネート)、ポリホスホエステル、ポリホスホエステルウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリシアノアクリレート、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(イミノカーボネート)、ポリ(タイロシンカーボネート)、ポリカーボネート、ポリ(タイロシンアリレート)、ポリアルキレンオキサレート、ポリホスファゼン、PHA-PEG、エチレンビニルアルコールコポリマー(EVOH)、ポリウレタン、シリコーン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリイソブチレンとエチレン-アルファオレフィン共重合体、スチレン-イソブチレン-スチレントリブロック共重合体、アクリル重合体および共重合体、ビニルハライド重合体および共重合体、ポリビニルクロライド、ポリビニルエーテル、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニリデンハライド、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニリデンクロライド、ポリフルオロアルケン、ポリパーフルオロアルケン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルケトン、ポリビニルアロマティクス、ポリスチレン、ポリビニルエステル、ポリビニルアセテート、エチレン-メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル-スチレン共重合体、ABS樹脂とエチレン-ビニルアセテート共重合体、ポリアミド、アルキド樹脂、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリル酸-co-マレイン酸、キトサン、デキストラン、セルロース、ヘパリン、アルギネート、イヌリン、デンプンまたはグリコーゲンを使用することができ、ヒアルロン酸、ポリエステル、ポリヒドロキシアルカノエート(PHAs)、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリ(β-ヒドロキシ酸)、ポリ(3-ヒドロキシブチラート-co-バレラート;PHBV)、ポリ(3-ヒドロキシプロプリオネート;PHP)、ポリ(3-ヒドロキシヘキサノエート;PHH)、ポリ(4-ヒドロキシ酸)、ポリ(4-ヒドロキシブチラート)、ポリ(4-ヒドロキシバレラート)、ポリ(4-ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(エステルアミド)、ポリカプロラクトン、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(ラクチド-co-グリコリド;PLGA)、ポリジオキサノン、ポリオルトエステル、ポリエーテルエステル、ポリアンヒドリド、ポリ(グリコール酸-co-トリメチレンカーボネート)、ポリホスホエステル、ポリホスホエステルウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリシアノアクリレート、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(イミノカーボネート)、ポリ(タイロシンカーボネート)、ポリカーボネート、ポリ(タイロシンアリレート)、ポリアルキレンオキサレート、ポリホスファゼン、PHA-PEG、キトサン、デキストラン、セルロース、ヘパリン、アルギネート、イヌリン、デンプンおよびグリコーゲンからなるグループから選択される1つ以上を使用することができる。
【0033】
前記マイクロ構造体が生体適合性または生分解性物質が搭載されたソリッド型マイクロニードルである場合、薬物をさらに搭載することができる。
【0034】
以下、セルフインターロッキングが可能なマイクロ構造体の様々な実施形態について説明する。
【0035】
図1は本発明の一実施形態によるマイクロ構造体を示す斜視図であり、図2図1に示すマイクロニードルを拡大して示す図である。
【0036】
図1および図2を参照すると、マイクロ構造体10は、ベースフィルム100と、マイクロニードル200とを含む。
【0037】
ベースフィルム100は、厚さの薄いフィルムであって、所定の幅で提供される。ベースフィルム100は、円形または多角形状のフィルムで提供されてもよい。
【0038】
マイクロニードル200は、ベースフィルム100の一面に複数形成され、皮膚に浸透可能であり、セルフインターロッキングが可能な構造で提供される。マイクロニードル200は、ニードル本体210と、支持羽250とを含む。
【0039】
ニードル本体210は、ベースフィルム100の一面から所定の高さで突出する。具体的には、ニードル本体210は、第1~第3領域211~213を有する。第1領域211は、ベースフィルム100の一面と結合する領域であって、第1幅w1を有する。第2領域212は、第1領域211から延び、第1領域211から遠くなるほど幅が徐々に増加する。第2領域212の断面の最大幅は、第1幅w1より大きい第2幅w2を有する。第3領域213は、第2領域212から延び、その端部に行くほど幅が徐々に減少する。第3領域213の端部は、尖ったチップ(tip)を形成する。第2領域212と第3領域213とが連結される連結領域215は、外周面が曲面で提供される。
【0040】
支持羽250は、薄い厚さで複数形成され、ニードル本体210の周縁に沿って互いに離隔して配置される。支持羽250は、ニードル本体210を中心として同じ夾角を有するように配置されてもよい。支持羽250は、ニードル本体210を中心として互いに対称となるように配置されてもよい。本実施形態においては、支持羽250が4つ形成され、ニードル本体210を基準として90度の夾角を有するように配置されたものを例に説明する。しかし、支持羽250の数および配置は、それに限定されるものではなく、様々に変更することができる。
【0041】
支持羽250は、ニードル本体210の外面とベースフィルム100とを連結する。支持羽250は、ニードル本体210の中心から遠くなるほど厚さが徐々に減少し、上端からベースフィルム100と連結された下端に行くほど厚さが徐々に増加する。それにより、支持羽250は、三角形の断面を有することができる。
【0042】
実施形態によれば、支持羽250は、第2領域212と第1領域211との間の区間に提供されてもよい。すなわち、支持羽250の上端は、第2領域212の最大幅領域と同じ高さに位置し、下端は、ベースフィルム100と連結される。また、支持羽250の下端とベースフィルム100とが連結される連結領域251は、上方から見たとき、その端部が第2領域212の最大幅の外縁エッジ部と同一線上に位置してもよい。
【0043】
図3図2の実施形態によるマイクロニードルの最適化された大きさを示す図である。
【0044】
図3を参照すると、ニードル本体210の高さは10μm~2,000μmであり、第2領域212の高さh2は5μm~1,995μmであり、第3領域213の高さh3は5μm~1,995μmであってもよい。また、第1領域212の幅方向の長さw1は1μm~750μmであり、第2領域212の幅方向の最大幅w2は1.1μm~900μmであってもよい。第3領域213は、第2領域212から端部までの中間領域における幅方向の幅w3が0.1μm~500μmであってもよい。第3領域213のチップ角度θは10度~60度であってもよい。
【0045】
支持羽250は、1μm~1,000μmの高さを有し、ベースフィルム100と連結される下端251の幅が0.1μm~750μmで提供されてもよい。1つの支持羽250の端部から、支持本体210の反対側に位置する他の1つの支持羽250の端部までの幅は、1.1μm~1,500μmであってもよい。
【0046】
図4は本発明の他の実施形態によるマイクロ構造体を示す斜視図であり、図5図4に示すマイクロニードルを拡大して示す図である。
【0047】
図4および図5を参照すると、マイクロ構造体の支持羽250は、下端の長さが図2に示す支持羽250より長く提供されてもよい。それにより、支持羽250とベースフィルム100とが連結される領域の長さは、第2領域212の最大半径より長く提供される。また、支持羽250の外縁エッジは、第3領域213の傾斜面と同じ角度で延びてもよい。
【0048】
図6は本発明のまた他の実施形態によるマイクロニードルを示す図である。
【0049】
図6を参照すると、支持羽250とベースフィルム100とが連結される領域の端部は、上方から見たとき、第2領域212の最大幅の内側に位置してもよい。また、支持羽250の外縁エッジは、下端に行くほどニードル本体210の中心軸に隣接するように、内側に向かって下向きに傾斜して形成されてもよい。
【0050】
図7は本発明のまた他の実施形態によるマイクロニードルを示す図である。
【0051】
図7を参照すると、支持羽250の上端は、第2領域212の最大半径領域より低く位置してもよい。
【0052】
図8は本発明のまた他の実施形態によるマイクロニードルを示す図である。
【0053】
図8を参照すると、支持羽250は、ニードル本体210のチップ領域から延びてベースフィルム100と連結される。それにより、支持羽250の上端から下端までの高さは、ニードル本体210の高さと同じである。また、支持羽250とベースフィルム100とが連結される領域の長さは、第2領域212の最大半径より短く提供される。
【0054】
上述したように、支持羽250は、様々な大きさおよびニードル本体210との結合関係を有するように作製することができる。
【0055】
図9はモールドを用いてマイクロ構造体を製造する過程を示す図であり、図10は本発明の実施形態によるマイクロ構造体を皮膚に挿入する過程を示す図である。
【0056】
図9および図10を参照すると、支持羽250は、ニードル本体210とベースフィルム10との結合強度を高める。よって、モールド50からマイクロ構造体10を分離する過程において、ニードル本体210が破損することなく安定してマイクロ構造体10を分離することができる。また、ベースフィルム10を指60で押してニードル本体210を皮膚70に浸透させる過程において、支持羽250の支持により、ニードル本体210を破損することなく安定して皮膚70に挿入することができる。
【0057】
図11は本発明のまた他の実施形態によるマイクロニードルを示す図である。
【0058】
図11を参照すると、ニードル本体210において、第2領域212の高さh2と第3領域213の高さh3とは同じである。また、支持羽250は、第2領域212と第1領域211との間の区間に提供される。実施形態によれば、支持羽250の上端は、第2領域212の最大半径領域より低く位置する。支持羽250とベースフィルム100とが連結される領域の端部は、上方から見たとき、第2領域212の最大半径領域の外側に突出する。
【0059】
図12は本発明のまた他の実施形態によるマイクロニードルを示す図である。
【0060】
図12を参照すると、ニードル本体210の第2領域212は、その高さが第3領域213に比べて大きく形成される。それにより、第3領域213は、図3に示すニードル本体210の第3領域213に比べて大きいチップ角度を有する。
【0061】
図1図12において説明したマイクロ構造体は、ニードル本体210の第2領域212のうち最大半径領域の高さが互いに異なるように提供される。図1図10において説明した第2領域212の最大半径領域の高さは、第3領域213の高さより低く提供され、図11において説明した第2領域212の最大半径領域の高さは、第3領域213の高さと同一に提供され、図12において説明した第2領域212の最大半径領域の高さは、第3領域213の高さより高く提供される。そのような第2領域212の最大半径領域の様々な高さは、マイクロニードル200がインターロッキングできる皮膚層の深さに比例するので、ターゲット皮膚層に合わせて薬物を放出することができる。
【0062】
図13および図14は本発明の実施形態によるニードル本体の様々な形状を示す図である。
【0063】
図13を参照すると、ニードル本体210は、第3領域213a~213dが円錐、三角錐、四角錐、五角錐などの様々な形状および大きさで提供されてもよい。そのようなニードル本体210の様々な形状は、薬物の送達量および送達パターンによって選択することができる。
【0064】
図14を参照すると、図13のニードル本体は、第2領域212a~212dと第3領域213a~213dとが所定の角度で連結されるのとは異なり、図14のニードル本体は、第2領域212a~212dと第3領域213a~213dとの連結領域にフィレット214a~214dが形成されてもよい。フィレット214a~214dは、ニードル本体の第2領域212a~212dと第3領域213a~213dとを曲面で連結する。
【0065】
図15は本発明の一実施形態によるニードル本体およびベースフィルムを示す図である。説明の便宜上、支持羽は示していない。
【0066】
図15を参照すると、ニードル本体210とベースフィルムとが連結される第1領域211には、ニードル本体210の周縁に沿ってフィレット(fillet)211aが形成されてもよい。フィレット211aは、ニードル本体210とベースフィルム100との連結領域を補強し、上述して支持羽250と共にマイクロニードル200の強度を向上させることができる。
【0067】
図16は本発明の様々な実施形態による支持羽の断面を示す図である。以下、説明の便宜上、支持本体210の第1領域211の一側に形成された支持羽250を第1支持羽250aといい、他側に形成された支持羽250を第2支持羽250bという。
【0068】
第1および第2支持羽250a、250bの断面は、様々な形状および大きさを有することができる。実施形態によれば、第1および第2支持羽250a、250bの断面は、三角形、四角形、五角形であってもよい。第1および第2支持羽250a、250bの形状および大きさは、皮膚層の厚さ、皮膚層の硬さなど、皮膚の挿入部位によって選択することができる。
【0069】
一例によれば、第1および第2支持羽250a、250bは、第1領域211を基準として対称となってもよい。
【0070】
他の例によれば、(c)のように、第1および第2支持羽250a、250bは、第1領域211を基準として非対称となってもよい。具体的には、第2支持羽250bは、第1支持羽250qより厚さが厚くてもよい。これは、マイクロ構造体10がモールド50から分離されるかまたは皮膚70に挿入される過程において、ニードル本体210に加わる荷重方向によって、いずれか1つの支持羽250bが他の1つの支持羽250aより厚く形成され、ニードル本体210を安定して支持することができる。
【0071】
図17は本発明の様々な実施形態による支持羽の配置を示す断面図である。
【0072】
図17を参照すると、支持羽250は、ニードル本体210の形状および大きさによって最小2つ以上提供されてもよく、様々な個数がニードル本体210を中心として放射状に配置されてもよい。
【0073】
図18は本発明の実施形態により作製されたマイクロ構造体およびマイクロニードルを示す画像であり、図19は本発明の実施形態によるマイクロ構造体を皮膚に浸透させて薬物を注入する過程を示す図であり、図20は比較例によるマイクロ構造体を皮膚に浸透させて薬物を注入する過程を示す図である。比較例によるマイクロ構造体20としては、円錐状のマイクロニードルが用いられている。
【0074】
図18および図19を参照すると、本発明の実施形態によるニードル本体210の形状と支持羽250により、ベースフィルム100が皮膚70に密着するようにマイクロニードル200を挿入することができる。また、マイクロニードル200が皮膚70にインターロッキングされるので、マイクロ構造体10は、皮膚との密着状態を安定して維持することができる。マイクロ構造体10を挿入してから約30分が経過すると、薬物が皮膚に侵透してマイクロ構造体10が完全に分解することが確認できる。
【0075】
それに対して、図20を参照すると、円錐状のマイクロニードルは、皮膚70への浸透力が弱く、浸透した状態、すなわちインターロッキングが安定して維持されないので、ベースフィルムが皮膚に完全に密着しない。よって、30分が経過した後も、マイクロ構造体20は、マイクロニードル及びベースフィルムがそのまま残っており、薬物の皮膚浸透効率が低いことが分かる。
【0076】
図21は本発明の一実施形態により作製されたマイクロ構造体およびそのマイクロニードルを示す図である。
【0077】
図21を参照すると、ベースフィルム及びマイクロニードルは、同じ材質で作製されてもよい。(A)はヒアルロン酸でベースフィルム及びマイクロニードルを作製したマイクロ構造体を示し、(B)はブルー系染料とヒアルロン酸を混合してベースフィルム及びマイクロニードルを作製したマイクロ構造体を示す。このような方法により、薬物がベースフィルム及びマイクロニードル全領域に搭載されるように、マイクロ構造体を製造することができる。
【0078】
図22は本発明の他の実施形態により作製されたマイクロ構造体およびそのマイクロニードルを示す図である。
【0079】
図22を参照すると、ベースフィルム及びマイクロニードルは、異なる材質で作製されてもよい。ベースフィルムに薬物を搭載する場合、薬物が皮膚に送達されない可能性があり、その場合、マイクロニードルへの選択的な薬物搭載が要求され得る。薬物はマイクロニードルの全体またはチップ部分に搭載することができる。図22に示すマイクロニードルは、チップ部分にブルー系染料が搭載されている。このような方法により、マイクロニードルのチップ部分への選択的な薬物搭載が可能である。
【0080】
図23は本発明の実施形態により作製されたマイクロニードルを拡大した図である。
【0081】
以上、本発明を好ましい実施形態を用いて詳細に説明したが、本発明の範囲は、特定の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲により解釈されるべきである。また、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく様々な修正および変形が可能であることを理解すべきである。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明によるマイクロ構造体は、医療および皮膚美容に用いることができる。
図1
図2
図3
図4
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図6
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図10
図11
図12
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図16
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図18
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【国際調査報告】