(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-05
(54)【発明の名称】電池トレイ、電池パック及び電気自動車
(51)【国際特許分類】
H01M 50/242 20210101AFI20231128BHJP
H01M 50/224 20210101ALI20231128BHJP
H01M 50/227 20210101ALI20231128BHJP
H01M 50/229 20210101ALI20231128BHJP
【FI】
H01M50/242
H01M50/224
H01M50/227
H01M50/229
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532121
(86)(22)【出願日】2021-05-08
(85)【翻訳文提出日】2023-06-15
(86)【国際出願番号】 CN2021092464
(87)【国際公開番号】W WO2022110652
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】202011346094.X
(32)【優先日】2020-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】王永南
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼花
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼▲衛▼▲しん▼
(72)【発明者】
【氏名】廖正▲遠▼
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA07
5H040AA14
5H040AS07
5H040AT06
5H040AY05
5H040AY10
5H040JJ03
5H040LL01
5H040LL04
5H040LL06
(57)【要約】
電池トレイ(10)、電池パック(1)及び電気自動車であり、前記電池トレイ(10)は、トレイ本体(100)、第1保護板(300)及び第2保護板(200)を含む。第1保護板(300)は、構造がハニカム状であるエネルギー吸収板(302)と、エネルギー吸収板(302)の両側にある高強度板(301)とを含み、第2保護板(200)の波インピーダンス値は、高強度板(301)の波インピーダンス値より小さい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレイ底板と、前記トレイ底板上に位置するトレイサイドビームとを含み、前記トレイサイドビーム及び前記トレイ底板が電池モジュール又は単電池を収容する電池収容キャビティを囲む、トレイ本体と、
構造がハニカム状であるエネルギー吸収板と、前記エネルギー吸収板の両側にある高強度板とを含む第1保護板であって、前記トレイ底板に固定される第1保護板と、
第2保護板であって、前記第2保護板の一側が前記第1保護板に接続され、前記第2保護板の他側が前記トレイ本体に接続され、前記第2保護板の波インピーダンス値が前記高強度板の波インピーダンス値より小さい、第2保護板と、を含む、ことを特徴とする電池トレイ。
【請求項2】
前記高強度板の材質は、PPガラス繊維、樹脂ガラス繊維又は基布層であり、前記エネルギー吸収板の材質は、PP、PE又は金属である、ことを特徴とする請求項1に記載の電池トレイ。
【請求項3】
前記第2保護板の材質は、発泡材料である、ことを特徴とする請求項1に記載の電池トレイ。
【請求項4】
前記第2保護板の材質は、ポリウレタンである、ことを特徴とする請求項3に記載の電池トレイ。
【請求項5】
前記第2保護板には、複数の間隔貫通孔が設けられ、前記間隔貫通孔の長さが0~100mmであり、隣接する2つの前記間隔貫通孔の間の距離が50mm~100mmである、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の電池トレイ。
【請求項6】
前記間隔貫通孔の長さが25mm~50mmである、ことを特徴とする請求項5に記載の電池トレイ。
【請求項7】
前記トレイ底板の前記トレイサイドビームから離れた側に底板溝があり、前記第2保護板が前記底板溝内に設けられる、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の電池トレイ。
【請求項8】
前記第2保護板は、一側が前記トレイ底板の底板溝内に接着され、他側が前記第1保護板に接着され、
前記第1保護板は、前記底板溝をカバーし、かつ前記トレイ底板に固定される、ことを特徴とする請求項7に記載の電池トレイ。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の電池トレイと、前記電池収容キャビティ内に位置する複数の電池モジュール又は単電池とを含む、ことを特徴とする電池パック。
【請求項10】
請求項9に記載の電池パックを含む、ことを特徴とする電気自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照出願)
本願は、2020年11月25日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が202011346094.Xで、出願名称が「電池トレイ、電池パック及び電気自動車」である中国特許出願の優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本願に組み込まれるものとする。
【0002】
本発明は、電池の技術分野に関し、特に、電池トレイ、電池パック及び電気自動車に関する。
【背景技術】
【0003】
電気自動車の発展につれて、ユーザの電気自動車に対する安全性要求がますます高くなり、従来の電気自動車の電池パックはいずれも、電気自動車の底部に配置され、走行過程において電池パックの底部のトレイに容易に衝撃を与え、さらにセルを損傷するため、トレイの底部を保護する必要がある。関連技術における電池トレイの保護能力が依然として高くないため、電池パックを効果的に保護することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来の電池トレイの保護能力が高くなく、電池パックを効果的に保護することができないという問題に対して、電池トレイ、電池パック及び電気自動車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記技術的課題を解決するために、本発明は、トレイ底板と、前記トレイ底板に位置するトレイサイドビームとを含み、前記トレイサイドビーム及び前記トレイ底板が電池モジュール又は単電池を収容する電池収容キャビティを囲むトレイ本体と、
構造がハニカム状であるエネルギー吸収板と、前記エネルギー吸収板の両側にある高強度板とを含み、前記トレイ底板に固定される第1保護板と、
一側が前記第1保護板に接続され、他側が前記トレイ本体に接続され、波インピーダンス値が前記高強度板の波インピーダンス値より小さい第2保護板と、を含む、ことを特徴とする電池トレイを提供する。
【0006】
本願の実施例では、前記高強度板の材質は、PPガラス繊維、樹脂ガラス繊維又は基布層であり、前記エネルギー吸収板の材質は、PP、PE又は金属である。
【0007】
本願の実施例では、前記第2保護板の材質は、発泡材料である。
【0008】
本願の実施例では、前記第2保護板の材質は、ポリウレタンである。
【0009】
本願の実施例では、前記第2保護板には、複数の間隔貫通孔が設けられており、前記間隔貫通孔の長さが0~100mmであり、隣接する2つの前記間隔貫通孔の間の距離が50mm~100mmである。
【0010】
本願の実施例では、前記間隔貫通孔の長さが25mm~50mmである。
【0011】
本願の実施例では、前記トレイ底板の前記トレイサイドビームから離れた側に底板溝があり、前記第2保護板が前記底板溝内に設けられている。
【0012】
本願の実施例では、前記第2保護板は、一側が前記トレイ底板の底板溝内に接着され、他側が前記第1保護板に接着され、
前記第1保護板は、前記底板溝をカバーし、かつ前記トレイ底板に固定される。
【0013】
第2態様では、本願は、上述した前記電池トレイと、前記電池収容キャビティ内に位置する複数の電池モジュール又は単電池とを含む、電池パックを提供する。
【0014】
第3の態様では、本願は、上述した前記電池パックを含む電気自動車を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。本願の電池トレイには、2層の保護板、すなわち第1保護板及び第2保護板が設けられる。第1保護板は、構造がハニカム状であるエネルギー吸収板と、エネルギー吸収板の両側にある高強度板とを含み、第2保護板の波インピーダンス値は、高強度板の波インピーダンス値より小さい。本願は、第1保護板及び第2保護板の構造とパラメータの限定により、電池トレイの耐衝撃能力をさらに向上させ、外部の衝撃の電池モジュールに対する影響を低減し、電池パックの安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施例に係る電池トレイの分解図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る電池トレイの第1保護板の構造分解図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る電池トレイの第2保護板の構造概略図である。
【
図4a】本発明の別の実施例に係る電池トレイの第2保護板の概略図である。
【
図4b】本発明の別の実施例に係る電池トレイの第2保護板の概略図である。
【
図5】本発明の一実施例に係る電池トレイの別の視点からの分解図である。
【
図6】本発明の一実施例に係る外部物体が電池トレイに衝撃する場合の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施例を詳細に説明し、上記実施例の例は、図面に示され、全体を通して、同一又は類似の符号は、同一又は類似の部品、或いは同一又は類似の機能を有する部品を示す。以下、図面を参照しながら説明される実施例は、例示的なものであり、本発明を解釈するものであり、本発明を限定するものと理解すべきではない。
【0018】
第1態様では、本願は、電池トレイ10を提供し、
図1~6に示すように、該電池トレイ10は、トレイ本体100、第1保護板300及び第2保護板200を含む。トレイ本体100は、トレイ底板101と、トレイ底板101に位置するトレイサイドビーム102とを含み、トレイサイドビーム102及びトレイ底板101が電池モジュール20又は単電池を収容する電池収容キャビティを囲む。第2保護板200は、一側がトレイ本体100に接続され、他側が第1保護板300に接続される。第1保護板300は、構造がハニカム状であるエネルギー吸収板302と、エネルギー吸収板302の両側にある高強度板301とを含み、トレイ底板101に固定される。第2保護板200の波インピーダンス値は、高強度板301の波インピーダンス値より小さい。本願は、波インピーダンス値及び構造が異なる保護板を用いるとともに、第2保護板200の波インピーダンス値が第1保護板300の高強度板301の波インピーダンス値より小さいことを限定することにより、電池トレイ10が障害物により衝撃を受けた場合に電池トレイ10内の電池モジュール20に対する衝撃を低減することを保証し、電池トレイ10の耐衝撃能力を向上させる。
【0019】
具体的には、応力波伝播原理に基づいて、物体が衝撃荷重による衝撃エネルギーの作用を受けた場合、物体の表面に横方向の応力波伝播及び縦方向の応力波伝播が発生し、近い順に、衝撃エネルギーを徐々に伝播させる。単一の材料の媒体物体において、衝撃エネルギーによる応力波が横方向伝播及び縦方向伝播に分けられる。物体の表面が外部物体による衝撃を受けた場合、衝撃応力波は、衝撃力の垂直方向に沿って伝播し(すなわち、横方向伝播)、応力波伝播速度が速いほど、衝撃エネルギーのこの方向に沿う拡散が速くなり、衝撃点で点拡散から面拡散になり、物体の表面が外部物体による衝撃を受けた場合、衝撃応力波は、衝撃力の平行方向に沿って伝播し(すなわち、縦方向伝播)、伝播は、伝播距離の増加に伴って徐々に減衰し、材料の厚さが大きいほど、保護効果が高くなり、また、衝撃応力波の材料内部での伝播は、実質的に外力による材料質点の振動が遠い順に伝播することであり、材料減衰により材料質点の振動が減衰することにより、応力波が材料内部で伝播する場合に減衰し、材料の耐振動能力が高くなる。さらに、材料自体の減衰が大きいほど、応力波の材料内部での伝播の減衰が大きくなる。
【0020】
したがって、上記原理に基づいて、本願は、電池トレイ10の保護板を2類の保護板、すなわち、第1保護板300及び第2保護板200に分ける。
図2に示すように、第1保護板300は、エネルギー吸収板302と、エネルギー吸収板302の両側に位置する高強度板301とを含む。本願は、電池トレイ10の最外側にある保護板を「サンドイッチ構造」の第1保護板300に設計することにより、電池トレイ10の最外層の保護能力を向上させ、さらにトレイのコスト及び重量を低減し、電池パック1のエネルギー密度を向上させることができる。上記物体の応力波伝播原理から分かるように、本願において、第1保護板300の構造を限定することにより保護板の耐衝撃能力及び保護能力を向上させる。第1保護板300が「サンドイッチ構造」に設計された場合、すなわち、高強度板301+エネルギー吸収板302+高強度板301の構造に設計された場合、最外側の強度板及び内側の高強度板301は、衝撃応力波の横方向伝播を低減することができ、内部のエネルギー吸収板302は、第1保護板300全体の厚さを増加させて衝撃応力波の伝播を制限することができ、かつ、内部のエネルギー吸収板302をハニカム状に設計することにより、衝撃がさらに減衰する。具体的には、内部のエネルギー吸収板302をハニカム状に設計することにより、エネルギー吸収板302は、高い変形能力を有し、衝撃応力波が高強度板301によりエネルギー吸収板302内に伝播した場合、ハニカム状のエネルギー吸収板302は、衝撃応力波の伝播による衝撃を受けて変形し、衝撃応力波のエネルギーを吸収し、さらに衝撃応力波の伝播減衰を向上させる。
【0021】
本願の実施例では、第2保護板200の波インピーダンス値が高強度板301の波インピーダンス値より小さいことが限定されている。本願の実施例に言及した波インピーダンス値は、材質の密度及び応力波の該材質での伝播速度に関連する。その計算式は、σ=ρ×Cであり、式中、σは、ある媒体(材質)の波インピーダンス値を表し、ρは、該媒体(材質)の密度を表し、Cは、応力波の該媒体(材質)での伝播速度を表す。衝撃応力波が、波インピーダンスが高い材料(入射媒体)から波インピーダンスが低い材料(透過媒体)に入る場合、入射媒体の波インピーダンスと透過媒体の波インピーダンスとの比がnである。応力波の異なる媒体の界面での反射及び透過原理は、以下のとおりである。
σR=Fσ1 (式1)
vR=-Fv1 (式2)
σT=Tσ1 (式3)
vT=nTv1 (式4)
【0022】
上記式において、n、F、Tは、以下の式で計算される。
n=(ρ
1C
1)
1/(ρ
2C
2)
2 (式5)
【数1】
【数2】
【0023】
式中、(ρ1C1)1は、入射媒体の波インピーダンス値であり、(ρ2C2)2は、透過媒体の波インピーダンス値であり、この両者の比は、nであり、Fは、反射係数であり、Tは、透過係数であり、σ1は、入射波の応力値であり、σTは、透過波の応力値であり、σRは、反射波の応力値である。
【0024】
上記式1~7から分かるように、波インピーダンスの比n>1である場合、すなわち、入射媒体の波インピーダンス>透過媒体の波インピーダンスである場合、反射係数Fが負であれば、入射媒体の反射波の方向が入射波の方向と逆であることを表し、入射媒体が一部の応力値を反射させ、透過係数T<1であれば、透過波の応力が入射波の応力値より小さいことを表し、n値が大きいほど、透過波の応力値がより小さくなることを表す。したがって、応力波は、波インピーダンス値が大きい媒体から波インピーダンス値が小さい媒体に伝播した後、波インピーダンス値が小さい媒体に伝播した応力波がより小さくなる。したがって、本願の実施例では、高強度板301の波インピーダンス値が第2保護板200の波インピーダンス値より大きいことを限定し、さらに外部物体30が電池トレイ10に衝撃した後、衝撃応力波の伝播をさらに低減できることを保証する。
【0025】
本願の実施例から分かるように、本願は、第1保護板300を設けるとともに、第1保護板300の構造を「サンドイッチ構造」、すなわち、高強度板301+エネルギー吸収板302+高強度板301の構造に設計することにより、衝撃応力波の拡散を優先的に低減することができ、また、エネルギー吸収板302の構造を「ハニカム状」構造に設計することにより、第1保護板300の外部物体30の衝撃応力波に対する吸収をさらに向上させる。外部物体30が電池トレイ10に衝撃する衝撃応力波は、第1保護板300を通過した後、残りの衝撃応力波が、第2保護板200に拡散した後にさらに低減され、また、第2保護板200自体が一定の厚さを有するため、電池モジュール20に伝播した後に衝撃応力波の伝播がさらに低減される。それにより、外部の衝撃の電池モジュール20に対する影響を段々低減する。関連技術における電池トレイ10と比較して、本願の実施例における電池トレイ10は、外部物体30による衝撃に対して、より高い保護効果を果たす。
【0026】
本願の実施例では、
図6に示すように、電池トレイ10は、底部の異物による衝撃を受けた場合、衝撃応力の伝達方向が高強度板301層→エネルギー吸収板302→高強度板301→第2保護板200であり、まず、高強度板301が一定の硬さ及び靱性を有するため、第1保護板300の表面が破壊されず、次に、エネルギー吸収板302が凹んでエネルギーを吸収し、次の層の高強度板301が、第1保護板300が貫通されることを防止し、最後に第2保護板200は、応力波の形態で点でのエネルギーの残りのエネルギーを拡散し、このようにして局所の点でのエネルギーを大きい面に分散し、トレイの最大の凹みを低減し、セルを保護する作用を果たすことができる。
【0027】
さらに、本願の実施例では、高強度板301の材質は、PPガラス繊維、樹脂ガラス繊維及び基布層のうちの少なくとも一種である。エネルギー吸収板302の材質は、PP、PE及び金属のうちの少なくとも一種である。本願は、高強度板301及びエネルギー吸収板302の材質を限定することにより、電池トレイ10の強度及び保護能力をさらに向上させることができる。具体的には、高強度板301の材質がPPガラス繊維である場合(上記他の材質であってもよい)、PPガラス繊維層は、第1保護板300が衝撃を受けた場合にPPガラス繊維板を貫通することを防止する作用を果たす。
【0028】
さらに、本願の実施例では、第2保護板200の材質は、発泡材料であり、発泡材料を選択することは、該材料の内部が複数の空隙を有し、材質の手触りが金属より柔らかいため、衝撃を受けた場合に応力波の形態で力を拡散し、力を分散する作用を果たすことを目的とする。好ましくは、第2保護板200の材質は、ポリウレタンである。
【0029】
本願の実施例では、電池トレイ10のコストをさらに低減し、電池トレイ10の軽量化を実現するために、第2保護板200には、複数の間隔貫通孔201が設けられており、間隔貫通孔201の長さが0~100mmであり、隣接する2つの上記間隔貫通孔201の間の距離が50mm~100mmである。具体的には、
図3に示すように、間隔貫通孔201の長さbが0~100mmであり、2つの上記間隔貫通孔201の間の距離aが50mm~100mmである。間隔貫通孔201の長さについて、具体的に方向を限定せず、間隔貫通孔201の形状を限定せず、
図3、4a及び4bに示すように、間隔貫通孔201は、矩形、正方形、円形などであってもよい。また、間隔貫通孔201の数も限定されない。第2保護板200に間隔貫通孔201を設けるとともに、間隔貫通孔201の長さ及び設置の位置を限定する(すなわち、隣接する2つの間隔貫通孔201の間の距離を限定する)ことにより、第2保護板200は、電池トレイ10の底部の保護要件を満たすと同時に、第2保護板200のコストをさらに低減し、電池トレイ10の軽量化設計を実現する。
【0030】
また、第2保護板200に間隔貫通孔201を設けることにより、電池トレイ10の保護能力をさらに向上させることができる。具体的には、第2保護板200には複数の間隔貫通孔201を間隔をおいて設ける場合、外部物体が第1保護板300に衝撃した後、第1保護板300を介して第2保護板200に伝播した応力がちょうど間隔貫通孔201の内部に位置すれば、間隔貫通孔201の内部に媒体がないため、衝撃応力は、間隔貫通孔201の両側にある第2保護板200に拡散し、すなわち、1つの応力伝播点から2つの応力伝播面に拡散し、さらに応力波の伝播効率を高め、電池トレイ10の保護能力を向上させる。従来技術における電池トレイ10では、1つの受力点から1つの受力面に拡散するが、本願の実施例では、第2保護板200は、間隔貫通孔201を設けることにより、1つの受力点から2つの受力面に拡散し、第2保護板200での応力波の横方向伝播効率を高め、電池トレイ10の保護能力を向上させる。
【0031】
第2保護板200の保護能力をさらに向上させるために、第2保護板200の間隔貫通孔201の長さbを25mm~50mmに限定する。特に、本願の実施例における電池トレイ10に対して行った球衝撃試験(球衝撃試験について、衝撃ヘッドの径φが20mmで、重量が10kgで、衝撃速度が5m/sの外部物体を使用して第2保護板200を衝撃させる)において、試験データから分かるように、電池トレイ10には上記間隔を有する第2保護板200が設けられ、球衝撃試験による電池トレイ10の凹みが小さく、測定しにくく、貫通孔がない電池トレイ10の凹みが2.1mmである。上記から分かるように、第2保護板200に所定の間隔を有する間隔貫通孔201を設けることにより、その保護能力をさらに向上させるとともに、電池トレイ10の軽量化を実現し、電池パック1のエネルギー密度を向上させる。
【0032】
本願の実施例では、
図5に示すように、トレイ本体100は、トレイ底板101を含む。該トレイ底板101は、底板溝1011を有し、第2保護板200は、底板溝1011内に設けられる。また、第2保護板200と第1保護板300及びトレイ本体100との接続方式は、接着の方式であってもよい。具体的には、第2保護板200は、一側がトレイ底板101の底板溝1011内に接着され、他側が第1保護板300に接着される。本願の実施例では、絶縁接着剤による接続は、第2保護板200と第1保護板300及びトレイ本体100とをよりよく接続するだけでなく、電池トレイ10の保護能力を向上させ、トレイが受けた衝撃力を効果的に弱め、電池モジュール20又は単電池に対する影響をさらに軽減することができる。本願の実施例では、第2保護板200を電池トレイ10の溝内に設けることにより、電池トレイ10の軽量化をさらに実現する。さらに、第1保護板300は、底板溝1011をカバーし、かつリベットでトレイ底板101に固定される。
【0033】
第2態様では、本願は、上述した上記電池トレイ10と、電池収容キャビティ内に位置する複数の電池モジュール20又は単電池とを含む、電池パック1を開示する。
【0034】
第3の態様では、本願は、上述した上記電池パック1が設けられている電気自動車を開示する。
【0035】
なお、本発明の説明において、用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「半径方向」、「周方向」などで示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本発明を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置又は部品が特定の方位を有するとともに、特定の方位で構成されて動作しなければならないことを示すか又は示唆するものではないため、本発明を限定するものであると理解すべきではない。
【0036】
また、用語「第1」、「第2」は、説明のためのものに過ぎず、相対的な重要性を示すか又は示唆し、或いは示された技術的特徴の数を暗示的に明示すると理解すべきではない。これにより、「第1」、「第2」で限定された特徴は、少なくとも1つの該特徴を明示的又は暗示的に含んでもよい。本発明の説明において、「複数」とは、別に明らかかつ具体的な限定がない限り、少なくとも2つ、例えば2つ、3つなどを意味する。
【0037】
本発明において、明確な規定及び限定がない限り、用語「取り付け」、「連結」、「接続」、「固定」などは、広義に理解されるべきである。明確な限定がない限り、例えば、固定接続、着脱可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、機械的な接続、又は電気的な接続であってもよく、直接的な連結、又は中間媒体を介した間接的な連結であってもよく、2つの部品の内部の連通、又は2つの部品の相互作用の関係であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本発明における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0038】
本明細書の説明において、用語「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体的な例」、「いくつかの例」などを参照する説明は、該実施例又は例を組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本発明の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語の例示的な表現は、必ずしも同じ実施例又は例を意味するわけではない。また、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、任意の1つ以上の実施例又は例において適切に組み合わせることができる。また、互いに矛盾しない場合、当業者であれば、本明細書で説明された異なる実施例又は例、及び異なる実施例又は例の特徴を結合し、組み合わせることができる。
【0039】
以上、本発明の実施例を示し、説明したが、理解できるように、上記実施例は、例示的なものであり、本発明を限定するものと理解すべきではなく、当業者であれば、本発明の範囲で上記実施例に対して変更、修正、交換及び変形を行うことができる。
【符号の説明】
【0040】
1 電池パック
10 電池トレイ
100 トレイ本体
101 トレイ底板
1011 底板溝
102 トレイサイドビーム
200 第2保護板
201 間隔貫通孔
300 第1保護板
301 高強度板
302 エネルギー吸収板
20 電池モジュール
30 外部物体
【国際調査報告】