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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-05
(54)【発明の名称】タンデム型太陽光発電デバイス
(51)【国際特許分類】
   H10K 39/15 20230101AFI20231128BHJP
   H10K 30/87 20230101ALI20231128BHJP
   H10K 30/40 20230101ALN20231128BHJP
【FI】
H10K39/15
H10K30/87
H10K30/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532241
(86)(22)【出願日】2021-12-08
(85)【翻訳文提出日】2023-05-25
(86)【国際出願番号】 CN2021136475
(87)【国際公開番号】W WO2022127669
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】202011497965.8
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522400560
【氏名又は名称】隆基緑能科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】LONGI GREEN ENERGY TECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】呉 兆
(72)【発明者】
【氏名】徐 ▲チェン▼
(72)【発明者】
【氏名】李 子峰
(72)【発明者】
【氏名】解 俊杰
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251AA02
5F251AA20
5F251BA16
5F251DA16
5F251FA06
5F251FA15
5F251HA07
5F251HA20
5F251XA01
(57)【要約】
本開示はタンデム型太陽光発電デバイスを提供し、太陽光発電の技術分野に関する。タンデム型太陽光発電デバイスは、積層配置された上層電池セルと、下層電池セルと、両方の間に介在している第1導電・光閉じ込め構造と、を含み、下層電池セルの背光面側に位置する第2光閉じ込め構造及び上層電池セルの受光面側に位置する第3光閉じ込め構造のうちの少なくとも1つを含み、第1光閉じ込め構造、第2光閉じ込め構造、第3光閉じ込め構造の3者による局在表面プラズモンは、それぞれ異なる光波応答ピークに対応し、第1光閉じ込め構造、第2光閉じ込め構造、第3光閉じ込め構造は第1断面に個別の微細構造が形成されており、個別の微細構造のタンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズはそれぞれd1、d2、d3であり、微細構造間の平均間隔はそれぞれw1、w2、w3であり、
である。タンデム型太陽光発電デバイスは、光閉じ込め効果を高め、吸収層の厚さを減少させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンデム型太陽光発電デバイスであって、
積層配置された上層電池セルと、下層電池セルと、前記上層電池セルと前記下層電池セルとの間に介在している第1光閉じ込め構造と、を含み、前記上層電池セルのバンドギャップ幅が、前記下層電池セルのバンドギャップ幅よりも大きく、
前記下層電池セルの背光面側に位置する第2光閉じ込め構造及び前記上層電池セルの受光面側に位置する第3光閉じ込め構造のうちの少なくとも1つをさらに含み、
前記第1光閉じ込め構造、前記第2光閉じ込め構造、前記第3光閉じ込め構造はそれぞれ金属及び半導体材料から選択されるいずれかであり、これらの3者による局在表面プラズモンは、それぞれ異なる光波応答ピークに対応し、
前記タンデム型太陽光発電デバイスは、前記タンデム型太陽光発電デバイスの受光面に垂直な第1断面を有し、前記第1光閉じ込め構造、前記第2光閉じ込め構造、前記第3光閉じ込め構造は前記第1断面に個別の微細構造が形成されており、前記個別の微細構造の前記タンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズはそれぞれd1、d2、d3、前記微細構造間の平均間隔はそれぞれw1、w2、w3であり、
少なくとも1つの前記第1断面において、前記微細構造の前記タンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズと、隣接する前記微細構造間の平均間隔とは
【数1】
の関係を有することを特徴とするタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項2】
前記第1光閉じ込め構造、前記第2光閉じ込め構造、前記第3光閉じ込め構造は粒子状、線状、穴掘り構造から選択されることを特徴とする請求項1に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項3】
前記粒子の形状は球状、半球状、線状交差構造、円柱体状、円錐体状のうちの1つであり、前記穴の形状は円形、略円形、多角形のうちの1つであることを特徴とする請求項2に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項4】
前記上層電池セルは第1吸収層を含み、前記下層電池セルは第2吸収層を含み、前記第1光閉じ込め構造は少なくとも前記第1吸収層又は前記第2吸収層との距離が2nm以下であることを特徴とする請求項1に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項5】
前記第1吸収層はペロブスカイト材料であって、厚さが50nm~200nmであることを特徴とする請求項4に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項6】
前記第2吸収層は単結晶シリコンであって、厚さが100μmよりも小さいことを特徴とする請求項4に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項7】
前記第1光閉じ込め構造の隙間に充填された誘電体材料で形成される誘電体層をさらに含み、
前記第1光閉じ込め構造の高さが前記誘電体層の高さ以上であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項8】
前記誘電体材料の誘電率は1.2~200であり、
前記誘電体材料は酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化タンタル、窒化アルミニウムから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項7に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項9】
前記第1光閉じ込め構造の局在表面プラズモンの光波応答ピークは前記下層電池セルの吸収光波長範囲内にあり、前記第3光閉じ込め構造の局在表面プラズモンの光波応答ピークは前記上層電池セルの吸収光波長範囲内にあることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項10】
いずれかの第1断面においては、前記d2≦1200nm、d3≦300nmであることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項11】
前記金属は金、銀、アルミニウム、銅、ガリウム、インジウムから選択される少なくとも1種であり、
前記半導体材料はアルミニウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化スズから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項12】
積層配置された上層電池セルと、下層電池セルと、前記上層電池セルと前記下層電池セルとの間に介在している第1光閉じ込め構造と、を含み、前記上層電池セルのバンドギャップ幅が前記下層電池セルのバンドギャップ幅よりも大きく、
前記下層電池セルの背光面側に位置する第2光閉じ込め構造及び前記上層電池セルの受光面側に位置する第3光閉じ込め構造のうちの少なくとも1つをさらに含み、
前記第1光閉じ込め構造、前記第2光閉じ込め構造、前記第3光閉じ込め構造はそれぞれ金属及び半導体材料から選択されるいずれかであり、これらの3者による局在表面プラズモンは、それぞれ異なる光波応答ピークに対応することを特徴とするタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項13】
前記タンデム型太陽光発電デバイスは、前記タンデム型太陽光発電デバイスの受光面に垂直な第1断面を有し、前記第1光閉じ込め構造、前記第2光閉じ込め構造、前記第3光閉じ込め構造は前記第1断面に個別の微細構造が形成されており、前記個別の微細構造の前記タンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズはそれぞれd1、d2、d3であり、
少なくとも1つの前記第1断面において、前記微細構造の前記タンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズと、隣接する前記微細構造間の平均間隔とは
d3<d1<d2の関係を有することを特徴とする請求項12に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項14】
前記第1光閉じ込め構造、前記第2光閉じ込め構造、前記第3光閉じ込め構造は粒子状、線状、穴掘り構造から選択されることを特徴とする請求項12に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項15】
前記粒子の形状は球状、半球状、線状交差構造、円柱体状、円錐体状のうちの1つであり、前記穴の形状は円形、略円形、多角形のうちの1つであることを特徴とする請求項14に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項16】
前記上層電池セルは第1吸収層を含み、前記下層電池セルは第2吸収層を含み、前記第1光閉じ込め構造は少なくとも前記第1吸収層又は前記第2吸収層との距離が2nm以下であることを特徴とする請求項12に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項17】
前記第1吸収層はペロブスカイト材料であって、厚さが50nm~200nmであることを特徴とする請求項16に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項18】
前記第2吸収層は単結晶シリコンであって、厚さが100umよりも小さいことを特徴とする請求項16に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項19】
前記第1光閉じ込め構造の隙間に充填された誘電体材料で形成される誘電体層をさらに含み、
前記第1光閉じ込め構造の高さが前記誘電体層の高さ以上であることを特徴とする請求項12~18のいずれか1項に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項20】
前記誘電体材料の誘電率は1.2~200であり、
前記誘電体材料は酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化タンタル、窒化アルミニウムから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項19に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項21】
前記第1光閉じ込め構造の局在表面プラズモンの光波応答ピークは前記下層電池セルの吸収光波長範囲内にあり、前記第3光閉じ込め構造の局在表面プラズモンの光波応答ピークは前記上層電池セルの吸収光波長範囲内にあることを特徴とする請求項12~18のいずれか1項に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項22】
前記金属は金、銀、アルミニウム、銅、ガリウム、インジウムから選択される少なくとも1種であり、
前記半導体材料はアルミニウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化スズから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項12~18のいずれか1項に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項23】
積層配置された上層電池セルと、下層電池セルと、前記上層電池セルと前記下層電池セルとの間に介在している第1光閉じ込め構造と、を含み、前記上層電池セルのバンドギャップ幅が前記下層電池セルのバンドギャップ幅よりも大きく、
前記下層電池セルの背光面側に位置する第2光閉じ込め構造又は前記上層電池セルの受光面側に位置する第3光閉じ込め構造をさらに含み、
前記第1光閉じ込め構造は金属及び半導体材料から選択されるいずれかであり、前記第2光閉じ込め構造又は前記第3光閉じ込め構造はそれぞれ、金属及び半導体材料から選択されるいずれかであり、前記第1光閉じ込め構造及び前記第2光閉じ込め構造による局在表面プラズモンは、それぞれ異なる光波応答ピークに対応し、又は前記第1光閉じ込め構造及び前記第3光閉じ込め構造による局在表面プラズモンは、それぞれ異なる光波応答ピークに対応し、
前記タンデム型太陽光発電デバイスは、前記タンデム型太陽光発電デバイスの受光面に垂直な第1断面を有し、前記第1光閉じ込め構造、前記第2光閉じ込め構造、前記第3光閉じ込め構造は前記第1断面に個別の微細構造が形成されており、前記個別の微細構造の前記タンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズはそれぞれd1、d2、d3、前記微細構造間の平均間隔はそれぞれw1、w2、w3であり、
少なくとも1つの前記第1断面において、前記微細構造の前記タンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズと、隣接する前記微細構造間の平均間隔とは
【数2】
の関係を有することを特徴とするタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項24】
前記微細構造の前記タンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズと、隣接する前記微細構造間の平均間隔とは
【数3】
の関係を有することを特徴とする請求項23に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項25】
前記第1光閉じ込め構造、前記第2光閉じ込め構造、前記第3光閉じ込め構造は粒子状、線状、穴掘り構造から選択されることを特徴とする請求項23に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項26】
前記粒子の形状は球状、半球状、線状交差構造、円柱体状、円錐体状のうちの1つであり、前記穴の形状は円形、略円形、多角形のうちの1つであることを特徴とする請求項25に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項27】
前記上層電池セルは第1吸収層を含み、前記下層電池セルは第2吸収層を含み、前記第1光閉じ込め構造は少なくとも前記第1吸収層又は前記第2吸収層との距離が2nm以下であることを特徴とする請求項23に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項28】
前記第1吸収層はペロブスカイト材料であって、厚さが50nm~200nmであることを特徴とする請求項27に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項29】
前記第2吸収層は単結晶シリコンであって、厚さが100umよりも小さいことを特徴とする請求項27に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項30】
前記第1光閉じ込め構造の隙間に充填された誘電体材料で形成される誘電体層をさらに含み、
前記第1光閉じ込め構造の高さが前記誘電体層の高さ以上であることを特徴とする請求項23~29のいずれか1項に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項31】
前記誘電体材料の誘電率は1.2~200であり、
前記誘電体材料は酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化タンタル、窒化アルミニウムから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項30に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項32】
前記第1光閉じ込め構造の局在表面プラズモンの光波応答ピークは前記下層電池セルの吸収光波長範囲内にあり、前記第3光閉じ込め構造の局在表面プラズモンの光波応答ピークは前記上層電池セルの吸収光波長範囲内にあることを特徴とする請求項23~29のいずれか1項に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項33】
いずれかの第1断面においては、前記d2≦1200nm、d3≦300nmであることを特徴とする請求項23~29のいずれか1項に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項34】
前記金属は金、銀、アルミニウム、銅、ガリウム、インジウムから選択される少なくとも1種であり、
前記半導体材料はアルミニウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化スズから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項23~29のいずれか1項に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項35】
前記下層電池セルの背光面側に位置する第2光閉じ込め構造と前記上層電池セルの受光面側に位置する第3光閉じ込め構造をさらに含み、
前記微細構造の前記タンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズと、隣接する前記微細構造間の平均間隔とは
【数4】
の関係を有することを特徴とする請求項23に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は太陽光発電の技術分野に関し、特にタンデム型太陽光発電デバイスに関する。
【0002】
<関連出願の相互参照>
本開示は2020年12月17日に中国特許庁に提出された、出願番号が202011497965.8、名称が「タンデム型太陽光発電デバイス」である中国特許出願の優先権を主張しており、そのすべての内容は引用により本開示に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
タンデム型太陽光発電デバイスは、太陽光を複数の波長帯に分割し、前面から背面に向けて、バンドギャップが徐々に減少する電池セルを用いて、異なるエネルギーの太陽光を順次吸収することにより、可視光波長帯のエネルギー損失を低減し、光電変換効率を向上させることができるため、タンデム型太陽光発電デバイスの応用の将来性が期待できる。
【0004】
タンデム型太陽光発電デバイスの中で、光吸収が不完全であるか、又は光損失が深刻であるため、デバイスの光電変換効率が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、タンデム型太陽光発電デバイスの光損失が深刻で、光電変換効率が低いという問題を解決するためにタンデム型太陽光発電デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1態様によれば、タンデム型太陽光発電デバイスを提供する。前記タンデム型太陽光発電デバイスは、
積層配置された上層電池セルと、下層電池セルと、前記上層電池セルと前記下層電池セルとの間に介在している第1光閉じ込め構造と、を含み、前記上層電池セルのバンドギャップ幅が前記下層電池セルのバンドギャップ幅よりも大きく、
前記下層電池セルの背光面側に位置する第2光閉じ込め構造及び前記上層電池セルの受光面側に位置する第3光閉じ込め構造のうちの少なくとも1つをさらに含み、
前記第1光閉じ込め構造、前記第2光閉じ込め構造、前記第3光閉じ込め構造はすべて金属及び半導体材料から選択され、これらの3者による局在表面プラズモンは、それぞれ異なる光波応答ピークに対応し、
前記タンデム型太陽光発電デバイスは、前記タンデム型太陽光発電デバイスの受光面に垂直な第1断面を有し、前記第1光閉じ込め構造、前記第2光閉じ込め構造、前記第3光閉じ込め構造は前記第1断面に個別の微細構造が形成されており、前記個別の微細構造の前記タンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズはそれぞれd1、d2、d3、前記微細構造間の平均間隔はそれぞれw1、w2、w3であり、
2層の光閉じ込め構造しか存在しない場合、すなわち、第1光閉じ込め構造と第2光閉じ込め構造が存在し、又は第1光閉じ込め構造と第3光閉じ込め構造が存在する場合、前記微細構造の前記タンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズと、隣接する前記微細構造間の平均間隔とは
【数1】
の関係を満たし、
3層の光閉じ込め構造が存在する場合、少なくとも1つの前記第1断面において、前記微細構造の前記タンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズと、隣接する前記微細構造間の平均間隔とは
【数2】
の関係を有する。
【0007】
光は、タンデム型太陽光発電デバイスに入射されると、散乱作用により第1光閉じ込め構造の下方に入って、複数回反射され、これにより、光路がある程度増加する。また、第1光閉じ込め構造内の自由電子は入射された光と結合し、マルチモード共振光閉じ込め効果を形成し、一方では、第1光閉じ込め構造は入射光と結合し、第1光閉じ込め構造の表面に位置する局在プラズマモードの増強現象が発生し、入射光が局在プラズマモードの増強により制限されて第1光閉じ込め構造の表面の周辺領域に存在することになり、このように、光閉じ込め効果が得られる。他方では、第1光閉じ込め構造は入射光と結合し、表面プラズモンを発生させ、入射光が横方向に伝導される導波路モードに変換され、入射光の伝導方向が変わり、入射光の光路が大幅に増加し、これにより、光閉じ込め効果を効果的に高め、さらに、小さな厚さの吸収層だけで優れた光吸収効果を得ることを可能とし、各電池セルの吸収層の厚さを小さくし、各電池セルの厚さを小さくし、さらにタンデム型太陽光発電デバイス全体の厚さを小さくすることができる。光が第2光閉じ込め構造及び/又は第3光閉じ込め構造に照射されると、第2光閉じ込め構造及び/又は第3光閉じ込め構造内の自由電子と入射光とが結合し、マルチモード共振光閉じ込め効果が得られ、入射光に対する吸収量が増える。また、第2光閉じ込め構造は下層電池セル内において長波長帯の入射光に対するマルチモード共振光閉じ込め効果を形成し、第3光閉じ込め構造は上層電池セル内において短波長帯の入射光に対するマルチモード共振光閉じ込め効果を形成し、入射光に対する吸収量が増える。第1光閉じ込め構造、第2光閉じ込め構造、第3光閉じ込め構造の3者による局在表面プラズモンは、それぞれ異なる光波応答ピークに対応し、さらに、これらの3者を組み合わせることにより、ほぼ全波長範囲の入射光が十分に利用され、入射光に対する吸収量が増える。第1光閉じ込め構造、第2光閉じ込め構造、第3光閉じ込め構造の平均サイズと平均間隔w1、w2、w3は、
【数3】
の関係を有し、これにより、隣接する2層ずつの光閉じ込め構造の散乱断面がすべて波長に合わせるようにし、入射光の入射量を確保し、タンデム型太陽光発電デバイスから出射される光をより小さくし、入射光に対する吸収量をさらに増やす。
【0008】
上記の説明は本開示の技術的解決手段の概要に過ぎず、本開示の技術手段をより明確に把握するために、明細書の内容に基づいて本開示の技術手段を実施することができ、本開示の上記や他の目的、特徴及び利点をより理解しやすくするために、以下、本開示の具体的な実施形態を挙げる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示の実施例の技術的解決手段をより明確にするために、以下、本開示の実施例の説明に必要な図面を簡単に説明するが、明らかに、以下の説明における図面は本開示のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な努力を必要とせずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
図1】本開示の実施例におけるタンデム型太陽光発電デバイスの受光面に垂直な第1断面の一例の概略図を示す。
図2】本開示の実施例における第1光閉じ込め構造の構造概略図を示す。
図3】本開示の実施例におけるタンデム型太陽光発電デバイスの一例の部分構造概略図を示す。
図4】本開示の実施例における別のタンデム型太陽光発電デバイスの部分構造概略図を示す。
図5】本開示の実施例におけるタンデム型太陽光発電デバイスの受光面に垂直な別の第1断面の概略図を示す。
図6】本開示の実施例におけるタンデム型太陽光発電デバイスの受光面に垂直なさらに別の第1断面の概略図を示す。
図7】本開示の実施例におけるタンデム型太陽光発電デバイスの受光面に垂直な更なる第1断面の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施例の図面を参照して、本開示の実施例の技術的解決手段を明確かつ完全に説明するが、明らかに、説明する実施例は本開示の実施例の一部に過ぎず、すべての実施例ではない。当業者が本開示の実施例に基づいて創造的な努力を必要とせずに得る他のすべての実施例は本開示の保護範囲に属する。
【0011】
図1は本開示の実施例におけるタンデム型太陽光発電デバイスの受光面に垂直な第1断面の一例の概略図を示す。図1に示すように、該タンデム型太陽光発電デバイスは、積層配置された上層電池セル2及び下層電池セル1と、上層電池セル2と下層電池セル1との間に介在している第1光閉じ込め構造3と、を含む。上層電池セル2のバンドギャップ幅が、下層電池セル1のバンドギャップ幅よりも大きい。例えば、上層電池セル2のバンドギャップ幅は1.5~3eVであり、さらに、上層電池セル2のバンドギャップ幅は1.7~2.3eVである。
【0012】
なお、タンデム型太陽光発電デバイスに含まれる上層電池セル2及び下層電池セル1の数について特に限定しない。上層電池セル2及び下層電池セル1の具体的なタイプについて限定しない。選択的に、上層電池セル2はペロブスカイト電池、GaAs薄膜太陽電池、ワイドバンドギャップCIGS太陽電池などとしてもよい。選択的に、下層電池セル1は結晶シリコン電池又は薄膜電池であってもよく、下層電池セル1は様々なものとしてもよい。
【0013】
選択的に、第1光閉じ込め構造3及び上層電池セル2を配置しやくするために、下層電池セル1の受光面は平面構造とされる。
【0014】
タンデム型太陽光発電デバイスは下層電池セル1の背光面側に位置する第2光閉じ込め構造5及び上層電池セル1の受光面側に位置する第3光閉じ込め構造4のうちの少なくとも1つをさらに含み、具体的には、該タンデム型太陽光発電デバイスが第2光閉じ込め構造5と第3光閉じ込め構造4の両方を有するか、両方のうちの1つのみを有するかについて特に限定しない。図1に示すタンデム型太陽光発電デバイスは第2光閉じ込め構造5と第3光閉じ込め構造4の両方を有する。
【0015】
第1光閉じ込め構造3、第2光閉じ込め構造5、第3光閉じ込め構造4はすべて金属及び半導体材料から選択され、さらに、これらの3者のいずれも自由電子の濃度が高く、例えば、これらの3者のいずれの自由電子の濃度も1×1020cm-3以上であり得る。これらの3者のいずれの自由電子も入射光と結合し、マルチモード共振光閉じ込め効果を形成し、局在表面プラズモン、すなわちLSP(Localized Surface Plasmon)を発生させ、入射光に対する吸収量を増やすことができる。なお、第1光閉じ込め構造3はまた上層電池セル2と下層電池セル1を導電可能に接続する役割もある。
【0016】
第1光閉じ込め構造3、第2光閉じ込め構造5、第3光閉じ込め構造4の3者による局在表面プラズモンは、それぞれ異なる光波応答ピークに対応し、さらに、これらの3者を組み合わせることにより、ほぼ全波長範囲の入射光が十分に利用され、入射光に対する吸収量が増える。
【0017】
タンデム型太陽光発電デバイスの受光面はタンデム型太陽光発電デバイスのうち光を受ける面であり、タンデム型太陽光発電デバイスの背光面は受光面に対向する。図1においては、矢印付きの線は入射光を表す。タンデム型太陽光発電デバイスの受光面に垂直な第1断面は無数に存在する。例えば、図1は第1断面の一例の概略図を示す。タンデム型太陽光発電デバイスの受光面に垂直な第1断面の、タンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影はタンデム型太陽光発電デバイスの受光面のいずれかの辺に平行であるか、又はタンデム型太陽光発電デバイスの受光面のいずれかの辺に交差する。本開示の実施例では、具体的にはどの第1断面であるかについて特に限定しない。図1に示す第1断面はタンデム型太陽光発電デバイスの受光面のいずれかの辺に平行してもよい。
【0018】
第1光閉じ込め構造3、第2光閉じ込め構造5、第3光閉じ込め構造4は上記の第1断面に個別の微細構造が形成されており、個別の微細構造のタンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影は線分であってもよい。例えば、第1光閉じ込め構造3による個別の微細構造のタンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影はw1の標示線に平行な線分である。第1光閉じ込め構造3、第2光閉じ込め構造5、第3光閉じ込め構造4にそれぞれ対応する個別の微細構造の、タンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズはそれぞれd1、d2、d3であり、微細構造間の平均間隔はそれぞれw1、w2、w3であり、図1に示すように、第1光閉じ込め構造3、第2光閉じ込め構造5、第3光閉じ込め構造4にそれぞれ対応する個別の微細構造の、タンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズは、d3<d1<d2を満たす。図2は本開示の実施例における第1光閉じ込め構造の構造概略図を示す。図2においては、図2は交差する2本の破線により、(a)、(b)、(c)、(d)の4つの部分にそれぞれ分けられる。部分ごとに、上方にあるのは上面概略図、下方にあるのは正面概略図である。上面概略図はタンデム型太陽光発電デバイスの受光面から背光面に向かって見た、第1光閉じ込め構造の構造概略である。正面図は第1断面に平行な方向から見た、第1光閉じ込め構造の構造概略である。上記の正面図は第1光閉じ込め構造の上記の第1断面に形成された個別の微細構造の構造概略として理解してもよい。(a)、(b)、(c)、(d)はそれぞれ複数の第1光閉じ込め構造の構造概略図を示す。
【0019】
図2(a)に示すように、第1光閉じ込め構造3の上記の第1断面に形成された個別の微細構造は図2(a)の下段図における円形32であり、微細構造のタンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影のサイズはd21、各d21の平均サイズはd1とする。微細構造間の平均間隔はw1とする。
【0020】
図2(b)の下段図に示すように、第1光閉じ込め構造3の上記の第1断面に形成された個別の微細構造は、平坦板材33において穴6を掘った後、複数の穴6の間に残った部分であり、微細構造、すなわち平坦板材33において穴6を掘った後、複数の穴6の間に残った部分の、タンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影のサイズはd22、各d22の平均サイズはd1とする。微細構造、すなわち平坦板材33において穴6を掘った後に複数の穴6の間に残った部分間の平均間隔はw1とする。
【0021】
図2(c)に示すように、第1光閉じ込め構造3の上記の第1断面に形成された個別の微細構造は図2(c)の下段図における構造31であり、微細構造のタンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影のサイズはd23、各d23の平均サイズはd1とする。微細構造間の平均間隔はw1とする。
【0022】
図2(d)に示すように、第1光閉じ込め構造3の上記の第1断面に形成された個別の微細構造は図2(d)の下段図における構造31であり、微細構造31のタンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影のサイズはd24、各d24の平均サイズはd1とする。微細構造、すなわち平行線31間の平均間隔はw1とする。
【0023】
第2光閉じ込め構造5、第3光閉じ込め構造4の上記の第1断面に形成された個別の微細構造は第1光閉じ込め構造3の上記の第1断面に形成された個別の微細構造と類似しているので、重複しないように、ここでは詳しく説明しない。第2光閉じ込め構造5、第3光閉じ込め構造4による個別の微細構造の、タンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズはそれぞれd2、d3、第2光閉じ込め構造5、第3光閉じ込め構造4による微細構造間の平均間隔はそれぞれw2、w3とする。上記のd2、d3も前述d1に類似しており、上記のw2、w3も上記のw1に類似しているので、重複しないように、ここでは詳しく説明しない。
【0024】
第1態様として、図1に示すように、第1光閉じ込め構造3は上記の第1断面に個別の微細構造が形成されており、個別の微細構造のタンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズはd1とし、d1の値の範囲は500nm≧d1≧10nmであり、具体的には、d1の値は、例えば10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、100nm、150nm、200nm、250nm、300nm、350nm、400nm、450nm、500nmなどであってもよい。第1光閉じ込め構造1の上記の第1断面に形成された個別の微細構造間の間隔w1は800nm≧w1≧10nmであり、第1光閉じ込め構造3のサイズが全て小さく、入射光がタンデム型太陽光発電デバイスに入射されると、光は散乱作用により第1光閉じ込め構造3の下方に入って、複数回反射され、これにより、第1光閉じ込め構造3の遮断効果が低下し、光の入射量が増えて光路が長くなり、タンデム型太陽光発電デバイスの光電変換効率が向上する。上記の平均サイズ及び平均間隔については、離散程度が制限されず、好ましくは、プロセスの実際の状況を考慮して、500nm≧d1≧100nmであり、サイズ分布は正規分布を満たし、σはd1±20%に対応し、すなわち、d1サイズはd1±20%範囲内である確率が68.2%であり、d1±40%範囲内である確率が95.4%である。
【0025】
第2態様では、図1に示すように、サイズが小さくかつ自由電子濃度が高い第1光閉じ込め構造3は入射光と結合し、マルチモード共振光閉じ込め効果を形成し、第1光閉じ込め構造3は入射光と結合し、第1光閉じ込め構造3の表面にある局在プラズマモードが増強し、入射光が局在プラズマモードの増強により制限されて第1光閉じ込め構造3の表面の周辺領域に存在することになり、このように、光閉じ込め効果が得られる。上層電池セル2及び/又は下層電池セル1の吸収層が第1光閉じ込め構造3の表面の周辺領域に位置する場合、キャリアが短い移動距離内で分離、収集され、タンデム型太陽光発電デバイスの光電変換効率の向上に有利である。
【0026】
第3態様では、図1に示すように、第1光閉じ込め構造3は入射光と結合し、表面プラズモンを発生させ、入射光を横方向に伝導される導波路モードに変換し、入射光の伝導方向を変え、入射光の光路を大幅に大きくする。横方向に伝導される入射光はほぼ第1光閉じ込め構造3の受光面の界面付近に位置し、光閉じ込め効果を効果的に高めることができ、さらに、厚さの小さな吸収層だけで、優れた光吸収効果が得られるため、各電池セルの吸収層の厚さを小さくし、各電池セルの厚さを小さくし、タンデム型太陽光発電デバイス全体の厚さを小さくすることができる。
【0027】
上記の第2光閉じ込め構造5、第3光閉じ込め構造4は前述第1光閉じ込め構造3と類似の光閉じ込め効果がある。
【0028】
第3光閉じ込め構造に関しては、個別の微細構造のタンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズはd3とし、d3の値の範囲は300nm≧d3≧1nmであり、具体的には、d3の値は、例えば1nm、2nm、3nm、4nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、50nm、100nm、150nm、200nm、250nm、300nmなどであってもよく、第3光閉じ込め構造の上記の第1断面に形成された個別の微細構造間の間隔はw3とし、500nm≧w3≧1nmである。
【0029】
上記の平均サイズ及び平均間隔については、離散程度が制限されず、より好ましくは、プロセスの実際の状況を考慮して、300nm≧d3≧50nmであり、サイズ分布は正規分布を満たし、σはd3±20%に対応し、すなわちd1サイズはd3±20%範囲内である確率が68.2%であり、d3±40%範囲内である確率が95.4%である。
【0030】
第2光閉じ込め構造に関しては、個別の微細構造のタンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズはd2とし、d2の値の範囲は1200nm≧d2≧20nmであり、第2光閉じ込め構造の上記の第1断面に形成された個別の微細構造間の間隔はw2とし、50μm≧w2≧20nmである。
【0031】
上記の平均サイズ及び平均間隔については、離散程度が制限されず、より好ましくは、プロセスの実際の状況を考慮して、1200nm≧d2≧300nmであり、サイズ分布は正規分布を満たし、σはd2±20%に対応し、すなわちd1サイズはd2±20%範囲内である確率が68.2%であり、d2±40%範囲内である確率が95.4%である。
【0032】
すなわち、300nm≧d3≧50nm、500nm≧d1≧100nm、1200nm≧d2≧300nmであり、3層の光閉じ込め構造は紫外・青色光波長帯、可視光波長帯、赤色光・赤外線波長帯のそれぞれに対してプラズモン効果を形成することができる。
【0033】
上記の第2光閉じ込め構造5、第3光閉じ込め構造4及び前述第1光閉じ込め構造3に対応する光波応答ピークが異なり、上記の第2光閉じ込め構造5、第3光閉じ込め構造4及び前述第1光閉じ込め構造3の3つを組み合わせることにより、ほぼ全波長範囲の入射光が十分に利用され、入射光に対する吸収量が増える(基本形態では、3層の光閉じ込め構造を備える)。
【0034】
全体の光閉じ込め効果をさらに高めるために、各層のプラズモン光閉じ込め構造にマルチモード共振光閉じ込め効果がある上に、各層の光閉じ込め構造のマッチング性を調整することにより、入射光は散乱作用により上層光閉じ込め構造の下方に入って、複数回反射され、このようにして、光路をある程度増加し、全体の光閉じ込め効果を高めることができる。2層の光閉じ込め構造の間の散乱界面のマッチング性は以下のように導出され、
金属粒子の散乱を例にして、正規化散乱係数
【数4】
が存在し、吸収層に吸収される部分はA=1-δ・Qscatであり、ここで、δは粒子被覆面積の割合であり、粒子が正方形であり、粒子の辺長がσgeom=d、粒子の中心の間隔がσgap=2であるとすれば、
【数5】
であり、粒子が2つの吸収層の間にある場合、この散乱係数が大きく、また、粒子被覆面積の割合が小さいほど、対応する光閉じ込め効果が高く、
本願に係る構造において中間散乱構造及びバック散乱構造が存在する場合、中間散乱構造及びバック散乱構造が対象とする波長は異なり、中間散乱構造は400~600nmの波長帯、表面射構造は200~300nmの波長帯を対象とし、両方の吸収率が同じであるとすれば、両方のサイズの割合関係として
【数6】
が得られ、
上記の関係に基づいて、各層構造間の割合関係式(1)、すなわち
【数7】
が提案されており、
一例として、中間構造のサイズの値d1=100nm、w1=500nmであり、
上層構造の値d3=50nmの場合、
【数8】
が得られ、この場合、500nm≦w3≦1414nmであり、
エキシマの物理サイズが必ずこれが対象とする波長帯の波長よりも遥かに小さなければならず、このため、最上層の第2光閉じ込め構造のサイズ葉最も小さく、300nmよりも小さいものでなければならず、中間の第1光閉じ込め構造のサイズは500nmよりも小さい。これに加えて、両方のサイズの関係についてさらに限定せず、上記の関係式(1)だけにより限定し、デバイスの底部の第3光閉じ込め構造については限定せず、
上記の式の導出過程は同様に第1光閉じ込め構造及び第2光閉じ込め構造にも適用でき、
頂部と底部の第2光閉じ込め構造と第3光閉じ込め構造の導電については特に制限がなく、より好ましくは、これらは導電するものとし、表面電極として機能する。タンデム型太陽光発電デバイスの受光面に垂直な無数の第1断面のうち少なくとも1つの第1断面では、第1光閉じ込め構造、第2光閉じ込め構造、第3光閉じ込め構造の平均サイズと平均間隔w1、w2、w3は、
【数9】
の関係を満たし、つまり、両方のいずれかを満たし、より好ましくは、3層の光閉じ込め構造は2つの式の条件を同時に満たし、これにより、隣接する2層ずつの光閉じ込め構造の散乱断面はすべて波長に合わせており、このように、入射光の入射量が十分に確保され、タンデム型太陽光発電デバイスから出射される光がより減少し、入射光に対する吸収量がさらに増える。タンデム型太陽光発電デバイスの受光面に垂直な無数の第1断面のうち少なくとも1つの第1断面は、無数の第1断面のうち、タンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影がタンデム型太陽光発電デバイスの受光面のいずれかの辺に平行な第1断面であってもよい。もちろん、第1光閉じ込め構造、第2光閉じ込め構造、第3光閉じ込め構造の平均サイズ及び平均間隔は、例えば
【数10】
の関係を有してもよく、上記の関係式の端点値は当業者によって適宜設計されてもよく、本願の実施例はこれについて限定しない。
【0035】
また、第1光閉じ込め構造3の高さは10nmよりも大きく500nmよりも小さく、umレベルのテクスチャ面構造に対しては、第1光閉じ込め構造3の表面は平坦であり、上層電池セル2に優れた成長又は成膜界面を提供する。さらに、上記の第1光閉じ込め構造3は導電率が高く、複合速度が速いので、タンデム型太陽光発電デバイスの直列抵抗を低下させる。
【0036】
前記のように、本開示の実施例では、第1光閉じ込め構造3は、要するに、以下の3つの作用を有する。第一には、上層電池セル2と下層電池セル1とを直列接続する作用であって、第1光閉じ込め構造3は導電率が高く、複合速度が速いので、タンデム型太陽光発電デバイスの直列抵抗を低下させる。第二には、上記の3つの光閉じ込め効果により、界面反射を低減させ、長波長帯の光を透過させることで、優れた光吸収効果を果たし、各電池セルの吸収層の厚さを小さくし、各電池セルの厚さを小さくし、さらにタンデム型太陽光発電デバイス全体の厚さを小さくする。第三には、第1光閉じ込め構造3の底層の電池の受光面が平坦であり、上層電池セル2に優れた成長又は成膜界面を提供する。
【0037】
なお、タンデム型太陽光発電デバイスの各部分のサイズや材料などと第1光閉じ込め構造3、第2光閉じ込め構造5、第3光閉じ込め構造4の材料やサイズなどとを組み合わせることによって、第1光閉じ込め構造3、第2光閉じ込め構造5、第3光閉じ込め構造4の光閉じ込め構造をより優れたものとすることができる。本開示の実施例では、これについて特に限定しない。例えば、タンデム型太陽光発電デバイスの各構造による光閉じ込め波長範囲の要件に応じて、第1光閉じ込め構造3の材料やサイズなどを調整して、第1光閉じ込め構造3の光閉じ込め構造をより優れたものとし、光損失をさらに減少させることができる。
【0038】
選択的に、第2光閉じ込め構造5は第1断面に個別の微細構造が形成されており、該個別の微細構造のタンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズはd2とし、いずれかの第1断面においては、d2≦1200nmであり、これによって、第2光閉じ込め構造5の局在表面プラズモンの光波応答ピークは第2光閉じ込め構造5に入射された光の波長により合わせており、光に対する吸収量はさらに増える。
【0039】
選択的に、第3光閉じ込め構造4は第1断面に個別の微細構造が形成されており、該個別の微細構造のタンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズはd3とし、いずれかの第1断面においては、d3≦300nmであり、これによって、第3光閉じ込め構造4の局在表面プラズモンの光波応答ピークは第3光閉じ込め構造4に入射された光の波長により合わせており、光に対する吸収量はさらに増える。
【0040】
選択的に、第1光閉じ込め構造3の局在表面プラズモンの光波応答ピークは下層電池セル1の吸収光波長範囲内にあり、光が第1光閉じ込め構造3に入射されると、第1光閉じ込め構造3は光に対して散乱作用を果たし、光は散乱作用により第1光閉じ込め構造3の下方に入り、下層電池セル1に入り、第1光閉じ込め構造3に入射された光にはエネルギーがほぼ損失されておらず、これにより、光路はある程度増加する。すなわち、
【数11】
が満たされる。
【0041】
選択的に、第3光閉じ込め構造4の局在表面プラズモンの光波応答ピークは上層電池セル2の吸収光波長範囲内にあり、光が第3光閉じ込め構造4に入射されると、第3光閉じ込め構造4は光に対して散乱作用を果たし、光は散乱作用により第3光閉じ込め構造4の下方に入り、上層電池セル2に入り、第3光閉じ込め構造4に入射された光にはエネルギーがほぼ損失されておらず、これにより、光路はある程度増加する。すなわち、
【数12】
が満たされる。
【0042】
選択的に、図2に示すように、第1光閉じ込め構造3、第2光閉じ込め構造5、第3光閉じ込め構造4は粒子状(図2の(a)32参照)、線状(図2の(d)31参照)、穴掘り構造(図2の(b)参照)から選択され、第1光閉じ込め構造3、第2光閉じ込め構造5、第3光閉じ込め構造4の形態はさまざまである。
【0043】
選択的に、上記の粒子の形状は球状、半球状、線状交差構造、円柱体状、円錐体状のうちの1つである。上記の穴の形状は円形、略円形、多角形のうちの1つであり、第1光閉じ込め構造3、第2光閉じ込め構造5、第3光閉じ込め構造4の形態はさまざまである。例えば、図2に示すように、(b)において穴6の形状は円形である。
【0044】
選択的に、上層電池セルは第1吸収層を含み、下層電池セルは第2吸収層を含み、第1光閉じ込め構造は少なくとも第1吸収層又は第2吸収層との距離が2nm以下であり、すなわち、第1吸収層と第1光閉じ込め構造との間の距離はd5とし、d5≦2nmであり、及び/又は、第2吸収層と第1光閉じ込め構造との間の距離はd6とし、d6≦2nmである。通常、第1光閉じ込め構造の局在プラズマモードが増強された領域は第1光閉じ込め構造の表面における2nm範囲程度である。すなわち、第1吸収層及び/又は第2吸収層が第1光閉じ込め構造の表面の周辺領域に設けられると、第1吸収層及び/又は第2吸収層はちょうど第1光閉じ込め構造の局在プラズマモードが増強された領域内にあり、これはタンデム型太陽光発電デバイスの光電変換効率の向上に有利である。この部分は主に第1光閉じ込め構造の上記の第2態様における光閉じ込め効果を利用している。
【0045】
選択的に、第1光閉じ込め構造、第2光閉じ込め構造、第3光閉じ込め構造中の金属は金、銀、アルミニウム、銅、ガリウム、インジウムから選択される少なくとも1種であり、上記の材料で形成される第1光閉じ込め構造、第2光閉じ込め構造、第3光閉じ込め構造では、自由電子濃度がより高く、光閉じ込め効果を高めるのに有利である。
【0046】
選択的に、第1光閉じ込め構造、第2光閉じ込め構造、第3光閉じ込め構造中の半導体材料はアルミニウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化スズから選択される少なくとも1種であり、上記の材料で形成される第1光閉じ込め構造、第2光閉じ込め構造、第3光閉じ込め構造では、自由電子濃度がより高く、光閉じ込め効果を高めるのに有利である。
【0047】
図3は本開示の実施例におけるタンデム型太陽光発電デバイスの一例の部分構造概略図を示す。図4は本開示の実施例における別のタンデム型太陽光発電デバイスの部分構造概略図を示す。図2図3図4に示すように、タンデム型太陽光発電デバイスは、第1光閉じ込め構造3の隙間に充填された誘電体材料で形成される誘電体層7をさらに含む。例えば、誘電体層7は粒子32間の隙間に充填されるか、平坦板材33において彫った穴6に充填される。第1光閉じ込め構造の高さは誘電体層7の高さ以上である。例えば、図2(a)においては、粒子32の高さd23は誘電体層7の高さd31よりも大きい。図2(b)においては、平坦板材33の高さd3は誘電体層7の高さに等しい。図2(c)においては、交差線31の高さd23は誘電体層7の高さd31よりも大きい。図2(d)においては、平行線31の高さd11は誘電体層7の高さd31よりも大きい。一方では、誘電体層7が充填されることにより、上層電池セルはより平坦な面に製造することができ、上層電池セルの製造が容易になり、上層電池セルの応力が減少し、大サイズの上層電池セルの形成に有利である。他方では、誘電体層の充填は誘電体層により被覆されたプラズモンのマルチモード共振光閉じ込め効果に有利である。
【0048】
図4には、交差線31はグリッド状構造であり、銀又は銀の合金材料を用い、断面が略矩形又は台形であり、底部(下層電池セル1の受光面に接触する領域)の幅が50nm、高さが30nmであり、ハニカム状のグリッド構造が構成されており、六角形の辺の長さが300nm~800nmであり、交差線31はマスク蒸着の方法により得られる。交差線31間の空隙には誘電体層7が充填されており、誘電体層7は材料として酸化ケイ素を用い、厚さが5nm~20nmである。
【0049】
選択的に、誘電体層材料の誘電率は1.2~200であり、誘電体層材料は酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化タンタル、窒化アルミニウムから選択される少なくとも1種である。
【0050】
選択的に、第1光閉じ込め構造の隙間に誘電体層が充填されなくてもよく、これにより、上層電池セルの吸収層、下層電池セルの吸収層と第1光閉じ込め構造との距離がより小さくなり、第1光閉じ込め構造の第2態様における光閉じ込め効果が十分に利用される。
【0051】
図5は本開示の実施例におけるタンデム型太陽光発電デバイスの受光面に垂直な別の第1断面の概略図を示す。選択的に、図5に示すように、上層電池セル2の基材21は第1吸収層を含み、第1吸収層がペロブスカイト材料である場合、第1吸収層の厚さは50nm~200nmである。従来技術による厚さが500nm~200nmであるペロブスカイト材料の吸収層に比べ、本願では、第1構造3が優れた光閉じ込め効果を有するため、第1吸収層はさらに従来技術の約十分の一ほど薄くされ、これは上層電池セル2の厚さを小さくすることに有利であり、タンデム型太陽光発電デバイスの軽量化や薄型化に有利である。
【0052】
選択的に、下層電池セル1の第2吸収層が結晶シリコンである場合、第2吸収層の厚さは100umよりも小さい。従来技術による厚さ150um程度の結晶シリコン吸収層に比べ、本願では、第1構造が優れた光閉じ込め効果を有するため、下層電池セルは薄くすることができ、これは下層電池セル1の厚さを小さくすることに有利であり、タンデム型太陽光発電デバイスの軽量化や薄型化に有利である。
【0053】
選択的に、該タンデム型太陽光発電デバイスは上層電池セル2の受光面に位置する上部機能層9をさらに含む。上部機能層9は1層又は複数層であり、表面不動態化、選択的接触、キャリア輸送や反射防止などの機能を備える。本開示の実施例はこれについて特に限定しない。
【0054】
選択的に、該タンデム型太陽光発電デバイスは下層電池セル1の背光面に位置する下部機能層10をさらに含む。下部機能層10は1層又は複数であり、表面不動態化、選択的接触、輸送キャリアや反射防止などの機能を備える。下部機能層10は拡散や成膜などの方法により製造され得る。本開示の実施例はこれについて特に限定しない。
【0055】
該タンデム型太陽光発電デバイスは上層電池セル2の受光面に位置する上部電極と、下層電池セル1の背光面に位置する下部電極と、をさらに含む。
【0056】
本開示の実施例はまた、タンデム型太陽光発電デバイスの製造方法を提供する。該方法は、大まかに以下のステップを含む。
ステップ101:下層電池セルを提供する。
ステップ102:マスク蒸着によって前記下層電池セルの受光面に第1光閉じ込め構造を作製する。
ステップ103:前記第1光閉じ込め構造の受光面に上層電池セルを製造し、前記上層電池セルのバンドギャップ幅が前記下層電池セルのバンドギャップ幅よりも大きい。
ステップ104:前記下層電池セルの背光面側に第2光閉じ込め構造、及び/又は、前記上層電池セルの受光面側に第3光閉じ込め構造を製造する。前記第1光閉じ込め構造、前記第2光閉じ込め構造、前記第3光閉じ込め構造はすべて金属及び半導体材料から選択され、これらの3者による局在表面プラズモンは、それぞれ異なる光波応答ピークに対応し、前記タンデム型太陽光発電デバイスは前記タンデム型太陽光発電デバイスは、前記タンデム型太陽光発電デバイスの受光面に垂直な第1断面を有し、前記第1光閉じ込め構造、前記第2光閉じ込め構造、前記第3光閉じ込め構造は前記第1断面に個別の微細構造が形成されており、前記個別の微細構造の前記タンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズはそれぞれd1、d2、d3、前記微細構造間の平均間隔はそれぞれw1、w2、w3であり、少なくとも1つの前記第1断面において、前記微細構造の前記タンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズと、隣接する前記微細構造間の平均間隔とは
【数13】
の関係を満たす。
【0057】
本開示の実施例では、該方法の上層電池セル、下層電池セル、第1光閉じ込め構造、第2光閉じ込め構造、第3光閉じ込め構造は前述タンデム型太陽光発電デバイスの実施例における関連記載を参照することができ、また、同一又は類似の有益な効果が得られ、重複しないように、ここでは詳しく説明しない。
【0058】
なお、方法実施例においては、説明の便宜上、一連の動作の組み合わせとして記載されるが、当業者に自明なように、本開示の実施例は記載の動作順序に制限されるものではなく、このため、本開示の実施例によれば、一部のステップは他の順序又は同時に行われてもよい。また、当業者に公知のように、明細書に記載の実施例はすべて好ましい実施例であり、係る動作は必ずしも本開示の実施例にとって必須なものではない。
【0059】
以下、いくつかの特定の実施例を挙げて、本願をさらに説明する。
<実施例1>
【0060】
図5に示すように、下層電池セル1の第2吸収層は結晶シリコンであり、n型シリコン基板を採用しており、基板の厚さが50umであり、基板の受光面は平面構造(研磨を問わず)、背光面はテクスチャ面光閉じ込め構造である。結晶シリコン基板の背光面にp型層が拡散により形成され、下層電池セル1が作製される。下層電池セル1の背光面に下部機能層10が存在し、下部機能層10は1層又は多層構造であり、表面不動態化及び反射防止の機能を備える。下部電極に対応する位置には部分的に高濃度ドープされた選択的接触構造が存在してもよい。下部機能層10はp型多結晶輸送層又はp型非晶質シリコンであってもよく、このような場合、下層電池セル1と下部機能層10との間に酸化ケイ素又は真性非晶質シリコン界面層が存在する。下部機能層10は例えばインジウムドープ酸化スズ又はアルミニウムドープ酸化亜鉛などのような導電薄膜輸送層を同時に含む。
【0061】
下層電池セル1の受光面には、拡散又は成膜による電界効果層若しくは不動態化層が存在するか、又は第1光閉じ込め構造3の接触位置には、部分的な不動態化層、例えば酸化ケイ素が存在してもよい。
【0062】
下層電池セル1の受光面には第1光閉じ込め構造3が存在し、第1光閉じ込め構造3の第1断面に形成された個別の微細構造は、略円柱体状で、平均直径が30nm~200nmであり、円柱の高さと直径がほぼ等しく、球の間隔が20nm~500nmである銀ナノ粒子(例えば、具体的には、この銀ナノ粒子は直径が50nm、高さが50nm、粒子間の間隔が80nmであり、厳格な円柱体ではなく、略円錐状を呈する)であり、均等に分布している格子構造を構成し、マスク蒸着方法によって得られる。さらに、金、アルミニウム、銅、ガリウム、インジウムなどの1種又は複数の材料からなるナノ粒子も利用可能である。
【0063】
第1光閉じ込め構造3のナノ粒子間の空隙に誘電体層7が充填されており、誘電体層7は材料として酸化アルミニウムを用い、厚さが5~20nm(厚さはナノ粒子又は第1光閉じ込め構造3の高さ以下であり、例えば、第1光閉じ込め構造3の高さが100nmである場合、酸化アルミニウムの厚さは100nm以下)である。
【0064】
第1光閉じ込め構造3上に上層電池セル2が成膜されており、本実施形態では、上層電池セル2の第1吸収層21はワイドバンドギャップペロブスカイトであり、上層電池セル2の基板21は、ペロブスカイト吸収層21と、C60電子輸送層と、酸化ニッケル正孔輸送層と、を含み、酸化ニッケル正孔輸送層と第1光閉じ込め構造3との間に上層電池セル2の下部輸送層22が存在し、受光面は上部輸送層23を備え、上部輸送層23は電子輸送層であり、上層電池セル2の厚さは50nm~300nmである。
【0065】
上層太陽電池の受光面には、1層又は多層構造であって表面反射防止機能を果たす上部機能層9が存在する。
【0066】
下層電池セル1の背光面側は第2光閉じ込め構造5を有し、上層電池セル2の受光面側は第3光閉じ込め構造4を有する。第2光閉じ込め構造5と第3光閉じ込め構造4の第1断面に形成された個別の微細構造もすべてナノ粒子であり、ナノ粒子は銀材料、又は金、アルミニウム、銅、ガリウム、インジウムなどの1種又は複数種の材料を用い、3層の光閉じ込め構造中のナノ粒子の材料は同一であっても異なっていてもよい。実施例1では、第3光閉じ込め構造は、平均直径が30nm、高さが30nm、平均間隔が50nmである略円柱体であり、第2光閉じ込め構造は、平均直径が100nm、高さが100nm、平均間隔が1μmである略円柱体である。
【0067】
さらに、より優れた全体の光閉じ込め効果を得るために、第1光閉じ込め構造3、第2光閉じ込め構造5、第3光閉じ込め構造4にそれぞれ対応する平均サイズd1、d2、d3とこれらにそれぞれ対応する平均間隔w1、w2、w3とは、
【数14】
の関係を有する。
【0068】
実施例1のより好ましい形態として、第3光閉じ込め構造と第1光閉じ込め構造は
【数15】
の関係を満たし、第1光閉じ込め構造は直径が50nm、粒子之間の間隔が80nmである銀ナノ粒子である場合、第3光閉じ込め構造は直径が20nm、平均間隔が102nmである銀ナノ粒子であってもよく、第2光閉じ込め構造のサイズは限定されない。
【0069】
実施例1のより好ましい形態として、第2光閉じ込め構造と第1光閉じ込め構造は
【数16】
の関係を満たし、第1光閉じ込め構造は直径が50nm、粒子間の間隔が100nmである銀ナノ粒子である場合、第2光閉じ込め構造は直径が1000nm、平均間隔が167nmである銀ナノ粒子であってもよく、第3光閉じ込め構造のサイズは限定されない。
【0070】
実施例1のより好ましい形態として、
【数17】
の両方が満たされ、第1光閉じ込め構造は直径が50nm、粒子間の間隔が100nmである銀ナノ粒子である場合、第2光閉じ込め構造は直径が1000nm、平均間隔が167nmである銀ナノ粒子であってもよく、第3光閉じ込め構造は直径が20nm、平均間隔が89nmである銀ナノ粒子であってもよい。
<実施例2>
【0071】
図6に示すように、図6は本開示の実施例におけるタンデム型太陽光発電デバイスの受光面に垂直なさらに別の第1断面の概略図を示す。下層電池セル1の第2吸収層は結晶シリコン太陽電池であり、n型シリコン基板を採用しており、基板の厚さが10μmであり、基板の受光面は平面構造(研磨を問わず)、背光面は平面構造(研磨を問わず)であり、結晶シリコン基板の背光面にp型層が拡散により形成され、下層電池セル1が作製される。下層電池セル1の背光面に下部機能層10が存在し、下部機能層10は1層又は多層構造であり、表面不動態化及び反射防止の機能を備える。下部機能層10はp型多結晶輸送層又はp型非晶質シリコンであってもよく、このような場合、下層電池セル1と下部機能層10との間に酸化ケイ素又は真性非晶質シリコン界面層が存在する。下部機能層10は、例えばインジウムドープ酸化スズ又はアルミニウムドープ酸化亜鉛などのような導電薄膜輸送層を同時に含む。
【0072】
下層電池セル1の背光面側に第2光閉じ込め構造5が設けられており、例えば、第2光閉じ込め構造5は下部機能層10において穴を空けたものとする。金属アルミニウムを穴に充填するものを、背面電極として引き出すことができる。
【0073】
下層電池セル1の受光面には、拡散又は成膜による電界効果層若しくは不動態化層が存在するか、又は第1光閉じ込め構造3の接触位置には、部分的な不動態化層、例えば酸化ケイ素が存在してもよい。
【0074】
下層電池セル1の受光面には第1光閉じ込め構造3が存在し、第1光閉じ込め構造3の第1断面に形成された個別の微細構造は、略半球体で、平均球径が50nm~200nm、半球の高さが球径の半分にほぼ等しく、球間隔が20nm~500nmである銀ナノ粒子(例えば、具体的な一実施形態では、直径が50nm、高さが25nm、間隔が80nmである)であり、厳格な半球体ではなく、均等に分布している格子構造を構成し、この銀ナノ粒子はマスク蒸着してからアニーリングする方法によって得られる。
【0075】
ナノ粒子間の空隙又は間隔に誘電体層7が存在し、誘電体層7は材料として酸化ケイ素を用い、厚さが5nm~20nm(厚さは第1光閉じ込め構造3の高さ以下であり、例えば、第1光閉じ込め構造3の高さが50nmである場合、酸化ケイ素の厚さは50nm以下)である。
【0076】
第1光閉じ込め構造3上に上層電池セル2が成膜されており、本実施形態では、上層電池セル2の第1吸収層はワイドバンドギャップペロブスカイトであり、21は上層電池セル2の基材であり、基材21はペロブスカイト吸収層と、C60電子輸送層と、酸化ニッケル正孔輸送層と、を含み、酸化ニッケル正孔輸送層と第1光閉じ込め構造3との間に上層太陽電池下部輸送層22が存在し、受光面は上部輸送層23を備え、上部輸送層23は電子輸送層であり、上層電池セル2の厚さは50nm~300nmである。
【0077】
上層電池セル2の受光面には、1層又は多層構造であって表面反射防止機能を果たす上部機能層9が存在する。
【0078】
上層電池セル2の受光面側は第3光閉じ込め構造4を有する。第3光閉じ込め構造4の第1断面に形成された個別の微細構造もナノ粒子である。
【0079】
実施例2のより好ましい形態として、第1光閉じ込め構造3、第2光閉じ込め構造5、第3光閉じ込め構造4にそれぞれ対応する平均サイズd1、d2、d3とこれらにそれぞれ対応する平均間隔w1、w2、w3とは、
【数18】
の関係を有する。すなわち、第1光閉じ込め構造はサイズが50nm、間隔が80nmである場合を例にして、第2光閉じ込め構造はサイズが200nm、間隔が112nmであり、第3光閉じ込め構造はサイズが50nm、間隔が320nmである。
<実施例3>
【0080】
図7に示すように、図7は本開示の実施例におけるタンデム型太陽光発電デバイスの受光面に垂直な更なる第1断面の概略図を示す。下層電池セル1の第2吸収層は結晶シリコンであり、n型シリコン基板を用い、基板の厚さが10umであり、基板の受光面は平面構造(研磨を問わず)、背光面は平面構造(研磨を問わず)である。結晶シリコン基板の背光面にp型層が拡散により形成され、下層電池セル1が作製される。下層電池セル1の背光面に下部機能層10が存在し、下部機能層10は1層又は多層構造であり、表面不動態化及び反射防止の機能を備える。下部機能層10はp型多結晶輸送層又はp型非晶質シリコンであってもよく、このような場合、下層電池セル1と下部機能層10との間に酸化ケイ素又は真性非晶質シリコン界面層が存在する。下部機能層10は例えばインジウムドープ酸化スズ又はアルミニウムドープ酸化亜鉛などのような導電薄膜輸送層を同時に含む。
【0081】
下層電池セル1の背光面側に第2光閉じ込め構造5が設けられ、例えば、第2光閉じ込め構造5は下部機能層10において穴を空けたものとする。金属アルミニウムを穴に充填するものを背面電極として引き出すことができる。
【0082】
下層電池セル1の受光面には、拡散又は成膜による電界効果層若しくは不動態化層が存在するか、又は第1光閉じ込め構造3の接触位置には、部分的な不動態化層、例えば酸化ケイ素が存在してもよい。下層電池セル1の受光面には第1光閉じ込め構造3が存在し、第1光閉じ込め構造3の第1断面に形成された個別の微細構造は平行線であり、銀又は銀の合金材料を用い、断面が略矩形又は台形であり、底部(すなわち、下層電池セル1の受光面に接触する領域)の幅が80nm、高さが50nmであり、平行線間の間隔が200nm~500nmであり、平行線はマスク蒸着方法により得られる。若しくは、底部の幅が200nm、間隔が500nmである。
【0083】
平行線間の空隙に誘電体層7が存在し、誘電体層7は材料として酸化ケイ素を用い、厚さが5~20nmであり、該酸化ケイ素層は上記の下層電池セル1の受光面の不動態化層と同層であってもよい。
【0084】
第1光閉じ込め構造3上に上層電池セル2が成膜されており、本実施形態では、上層電池セル2の第1吸収層はワイドバンドギャップヒ化ガリウムであり、21は上層電池セル2の基板であり、基板21はp型ヒ化ガリウム吸収層とn型ヒ化ガリウムエミッタを含み、p型ヒ化ガリウム吸収層と第1光閉じ込め構造3との間に上層電池セル2の下部輸送層22が存在し、また、下部輸送層2222は格子ミスマッチを緩衝する役割を果たし、アルミニウムガリウムヒ化合物である。基板21の受光面には上部輸送層23を備え、また、23はヒ化ガリウム電池のウィンドウ層であり、リン化アルミニウムインジウムであり、上層電池セル2の厚さは200nm~500nmである。
【0085】
上層電池セル2の受光面には、1層又は多層構造であって表面反射防止の機能を果たす上部機能層9が存在する。
【0086】
上層電池セル2の受光面側に第3光閉じ込め構造4を有する。第3光閉じ込め構造4の第1断面に形成された個別の微細構造もナノ粒子である。
【0087】
実施例3のより好ましい形態として、第1光閉じ込め構造3、第2光閉じ込め構造5、第3光閉じ込め構造4にそれぞれ対応する平均サイズd1、d2、d3とこれらにそれぞれ対応する平均間隔w1、w2、w3は、
【数19】
の関係を有する。すなわち、第1光閉じ込め構造はサイズが200nm、間隔が500nmである場合を例にして、第2光閉じ込め構造はサイズが800nm、間隔が250nmであり、第3光閉じ込め構造はサイズが100nm、間隔が500nmである。
【0088】
以上では、本開示の実施例は図面を参照して説明されたが、本開示は上記の具体的な実施形態に限定されるものではなく、上記の具体的な実施形態は例示的なものに過ぎず、限定するためのものではなく、当業者は本開示に基づいて本開示の趣旨及び請求項により保護される範囲を逸脱することなく、多くの形態を実施することもでき、このような形態はすべて本開示により保護される。
【符号の説明】
【0089】
1 下層電池セル
2 上層電池セル
21 上層電池セルの基材
22 上層電池セルの下部輸送層
23 上層電池セルの上部輸送層
3 第1光閉じ込め構造
31 交差線又は平行線
32 粒子
33 平坦板材
4 第3光閉じ込め構造
5 第2光閉じ込め構造
6 穴
7 誘電体層
9 上部機能層
10 下部機能層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-05-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は太陽光発電の技術分野に関し、特にタンデム型太陽光発電デバイスに関する。
【0002】
<関連出願の相互参照>
本開示は2020年12月17日に中国特許庁に提出された、出願番号が202011497965.8、名称が「タンデム型太陽光発電デバイス」である中国特許出願の優先権を主張しており、そのすべての内容は引用により本開示に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
タンデム型太陽光発電デバイスは、太陽光を複数の波長帯に分割し、前面から背面に向けて、バンドギャップが徐々に減少する電池セルを用いて、異なるエネルギーの太陽光を順次吸収することにより、可視光波長帯のエネルギー損失を低減し、光電変換効率を向上させることができるため、タンデム型太陽光発電デバイスの応用の将来性が期待できる。
【0004】
タンデム型太陽光発電デバイスの中で、光吸収が不完全であるか、又は光損失が深刻であるため、デバイスの光電変換効率が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、タンデム型太陽光発電デバイスの光損失が深刻で、光電変換効率が低いという問題を解決するためにタンデム型太陽光発電デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1態様によれば、タンデム型太陽光発電デバイスを提供する。前記タンデム型太陽光発電デバイスは、
積層配置されたトップセルと、ボトムセルと、前記トップセルと前記ボトムセルとの間に介在している第1光閉じ込め構造と、を含み、前記トップセルのバンドギャップ幅が前記ボトムセルのバンドギャップ幅よりも大きく、
前記ボトムセルの背光面側に位置する第2光閉じ込め構造及び前記トップセルの受光面側に位置する第3光閉じ込め構造のうちの少なくとも1つをさらに含み、
前記第1光閉じ込め構造、前記第2光閉じ込め構造、前記第3光閉じ込め構造はすべて金属及び半導体材料から選択され、これらの3者による局在表面プラズモンは、それぞれ異なる光波応答ピークに対応し、
前記タンデム型太陽光発電デバイスは、前記タンデム型太陽光発電デバイスの受光面に垂直な第1断面を有し、前記第1光閉じ込め構造、前記第2光閉じ込め構造、前記第3光閉じ込め構造は前記第1断面に個別の微細構造が形成されており、前記個別の微細構造の前記タンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズはそれぞれd1、d2、d3、前記微細構造間の平均間隔はそれぞれw1、w2、w3であり、
2層の光閉じ込め構造しか存在しない場合、すなわち、第1光閉じ込め構造と第2光閉じ込め構造が存在し、又は第1光閉じ込め構造と第3光閉じ込め構造が存在する場合、前記微細構造の前記タンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズと、隣接する前記微細構造間の平均間隔とは
【数1】
の関係を満たし、
3層の光閉じ込め構造が存在する場合、少なくとも1つの前記第1断面において、前記微細構造の前記タンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズと、隣接する前記微細構造間の平均間隔とは
【数2】
の関係を有する。
【0007】
光は、タンデム型太陽光発電デバイスに入射されると、散乱作用により第1光閉じ込め構造の下方に入って、複数回反射され、これにより、光路がある程度増加する。また、第1光閉じ込め構造内の自由電子は入射された光と結合し、マルチモード共振光閉じ込め効果を形成し、一方では、第1光閉じ込め構造は入射光と結合し、第1光閉じ込め構造の表面に位置する局在プラズマモードの増強現象が発生し、入射光が局在プラズマモードの増強により制限されて第1光閉じ込め構造の表面の周辺領域に存在することになり、このように、光閉じ込め効果が得られる。他方では、第1光閉じ込め構造は入射光と結合し、表面プラズモンを発生させ、入射光が横方向に伝導される導波路モードに変換され、入射光の伝導方向が変わり、入射光の光路が大幅に増加し、これにより、光閉じ込め効果を効果的に高め、さらに、小さな厚さの吸収層だけで優れた光吸収効果を得ることを可能とし、各電池セルの吸収層の厚さを小さくし、各電池セルの厚さを小さくし、さらにタンデム型太陽光発電デバイス全体の厚さを小さくすることができる。光が第2光閉じ込め構造及び/又は第3光閉じ込め構造に照射されると、第2光閉じ込め構造及び/又は第3光閉じ込め構造内の自由電子と入射光とが結合し、マルチモード共振光閉じ込め効果が得られ、入射光に対する吸収量が増える。また、第2光閉じ込め構造はボトムセル内において長波長帯の入射光に対するマルチモード共振光閉じ込め効果を形成し、第3光閉じ込め構造はトップセル内において短波長帯の入射光に対するマルチモード共振光閉じ込め効果を形成し、入射光に対する吸収量が増える。第1光閉じ込め構造、第2光閉じ込め構造、第3光閉じ込め構造の3者による局在表面プラズモンは、それぞれ異なる光波応答ピークに対応し、さらに、これらの3者を組み合わせることにより、ほぼ全波長範囲の入射光が十分に利用され、入射光に対する吸収量が増える。第1光閉じ込め構造、第2光閉じ込め構造、第3光閉じ込め構造の平均サイズと平均間隔w1、w2、w3は、
【数3】
の関係を有し、これにより、隣接する2層ずつの光閉じ込め構造の散乱断面がすべて波長に合わせるようにし、入射光の入射量を確保し、タンデム型太陽光発電デバイスから出射される光をより小さくし、入射光に対する吸収量をさらに増やす。
【0008】
上記の説明は本開示の技術的解決手段の概要に過ぎず、本開示の技術手段をより明確に把握するために、明細書の内容に基づいて本開示の技術手段を実施することができ、本開示の上記や他の目的、特徴及び利点をより理解しやすくするために、以下、本開示の具体的な実施形態を挙げる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示の実施例の技術的解決手段をより明確にするために、以下、本開示の実施例の説明に必要な図面を簡単に説明するが、明らかに、以下の説明における図面は本開示のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な努力を必要とせずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
図1】本開示の実施例におけるタンデム型太陽光発電デバイスの受光面に垂直な第1断面の一例の概略図を示す。
図2】本開示の実施例における第1光閉じ込め構造の構造概略図を示す。
図3】本開示の実施例におけるタンデム型太陽光発電デバイスの一例の部分構造概略図を示す。
図4】本開示の実施例における別のタンデム型太陽光発電デバイスの部分構造概略図を示す。
図5】本開示の実施例におけるタンデム型太陽光発電デバイスの受光面に垂直な別の第1断面の概略図を示す。
図6】本開示の実施例におけるタンデム型太陽光発電デバイスの受光面に垂直なさらに別の第1断面の概略図を示す。
図7】本開示の実施例におけるタンデム型太陽光発電デバイスの受光面に垂直な更なる第1断面の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施例の図面を参照して、本開示の実施例の技術的解決手段を明確かつ完全に説明するが、明らかに、説明する実施例は本開示の実施例の一部に過ぎず、すべての実施例ではない。当業者が本開示の実施例に基づいて創造的な努力を必要とせずに得る他のすべての実施例は本開示の保護範囲に属する。
【0011】
図1は本開示の実施例におけるタンデム型太陽光発電デバイスの受光面に垂直な第1断面の一例の概略図を示す。図1に示すように、該タンデム型太陽光発電デバイスは、積層配置されたトップセル2及びボトムセル1と、トップセル2とボトムセル1との間に介在している第1光閉じ込め構造3と、を含む。トップセル2のバンドギャップ幅が、ボトムセル1のバンドギャップ幅よりも大きい。例えば、トップセル2のバンドギャップ幅は1.5~3eVであり、さらに、トップセル2のバンドギャップ幅は1.7~2.3eVである。
【0012】
なお、タンデム型太陽光発電デバイスに含まれるトップセル2及びボトムセル1の数について特に限定しない。トップセル2及びボトムセル1の具体的なタイプについて限定しない。選択的に、トップセル2はペロブスカイト電池、GaAs薄膜太陽電池、ワイドバンドギャップCIGS太陽電池などとしてもよい。選択的に、ボトムセル1は結晶シリコン電池又は薄膜電池であってもよく、ボトムセル1は様々なものとしてもよい。
【0013】
選択的に、第1光閉じ込め構造3及びトップセル2を配置しやくするために、ボトムセル1の受光面は平面構造とされる。
【0014】
タンデム型太陽光発電デバイスはボトムセル1の背光面側に位置する第2光閉じ込め構造5及びトップセル1の受光面側に位置する第3光閉じ込め構造4のうちの少なくとも1つをさらに含み、具体的には、該タンデム型太陽光発電デバイスが第2光閉じ込め構造5と第3光閉じ込め構造4の両方を有するか、両方のうちの1つのみを有するかについて特に限定しない。図1に示すタンデム型太陽光発電デバイスは第2光閉じ込め構造5と第3光閉じ込め構造4の両方を有する。
【0015】
第1光閉じ込め構造3、第2光閉じ込め構造5、第3光閉じ込め構造4はすべて金属及び半導体材料から選択され、さらに、これらの3者のいずれも自由電子の濃度が高く、例えば、これらの3者のいずれの自由電子の濃度も1×1020cm-3以上であり得る。これらの3者のいずれの自由電子も入射光と結合し、マルチモード共振光閉じ込め効果を形成し、局在表面プラズモン、すなわちLSP(Localized Surface Plasmon)を発生させ、入射光に対する吸収量を増やすことができる。なお、第1光閉じ込め構造3はまたトップセル2とボトムセル1を導電可能に接続する役割もある。
【0016】
第1光閉じ込め構造3、第2光閉じ込め構造5、第3光閉じ込め構造4の3者による局在表面プラズモンは、それぞれ異なる光波応答ピークに対応し、さらに、これらの3者を組み合わせることにより、ほぼ全波長範囲の入射光が十分に利用され、入射光に対する吸収量が増える。
【0017】
タンデム型太陽光発電デバイスの受光面はタンデム型太陽光発電デバイスのうち光を受ける面であり、タンデム型太陽光発電デバイスの背光面は受光面に対向する。図1においては、矢印付きの線は入射光を表す。タンデム型太陽光発電デバイスの受光面に垂直な第1断面は無数に存在する。例えば、図1は第1断面の一例の概略図を示す。タンデム型太陽光発電デバイスの受光面に垂直な第1断面の、タンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影はタンデム型太陽光発電デバイスの受光面のいずれかの辺に平行であるか、又はタンデム型太陽光発電デバイスの受光面のいずれかの辺に交差する。本開示の実施例では、具体的にはどの第1断面であるかについて特に限定しない。図1に示す第1断面はタンデム型太陽光発電デバイスの受光面のいずれかの辺に平行してもよい。
【0018】
第1光閉じ込め構造3、第2光閉じ込め構造5、第3光閉じ込め構造4は上記の第1断面に個別の微細構造が形成されており、個別の微細構造のタンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影は線分であってもよい。例えば、第1光閉じ込め構造3による個別の微細構造のタンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影はw1の標示線に平行な線分である。第1光閉じ込め構造3、第2光閉じ込め構造5、第3光閉じ込め構造4にそれぞれ対応する個別の微細構造の、タンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズはそれぞれd1、d2、d3であり、微細構造間の平均間隔はそれぞれw1、w2、w3であり、図1に示すように、第1光閉じ込め構造3、第2光閉じ込め構造5、第3光閉じ込め構造4にそれぞれ対応する個別の微細構造の、タンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズは、d3<d1<d2を満たす。図2は本開示の実施例における第1光閉じ込め構造の構造概略図を示す。図2においては、図2は交差する2本の破線により、(a)、(b)、(c)、(d)の4つの部分にそれぞれ分けられる。部分ごとに、上方にあるのは上面概略図、下方にあるのは正面概略図である。上面概略図はタンデム型太陽光発電デバイスの受光面から背光面に向かって見た、第1光閉じ込め構造の構造概略である。正面図は第1断面に平行な方向から見た、第1光閉じ込め構造の構造概略である。上記の正面図は第1光閉じ込め構造の上記の第1断面に形成された個別の微細構造の構造概略として理解してもよい。(a)、(b)、(c)、(d)はそれぞれ複数の第1光閉じ込め構造の構造概略図を示す。
【0019】
図2(a)に示すように、第1光閉じ込め構造3の上記の第1断面に形成された個別の微細構造は図2(a)の下段図における円形32であり、微細構造のタンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影のサイズはd21、各d21の平均サイズはd1とする。微細構造間の平均間隔はw1とする。
【0020】
図2(b)の下段図に示すように、第1光閉じ込め構造3の上記の第1断面に形成された個別の微細構造は、平坦板材33において穴6を掘った後、複数の穴6の間に残った部分であり、微細構造、すなわち平坦板材33において穴6を掘った後、複数の穴6の間に残った部分の、タンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影のサイズはd22、各d22の平均サイズはd1とする。微細構造、すなわち平坦板材33において穴6を掘った後に複数の穴6の間に残った部分間の平均間隔はw1とする。
【0021】
図2(c)に示すように、第1光閉じ込め構造3の上記の第1断面に形成された個別の微細構造は図2(c)の下段図における構造31であり、微細構造のタンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影のサイズはd23、各d23の平均サイズはd1とする。微細構造間の平均間隔はw1とする。
【0022】
図2(d)に示すように、第1光閉じ込め構造3の上記の第1断面に形成された個別の微細構造は図2(d)の下段図における構造31であり、微細構造31のタンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影のサイズはd24、各d24の平均サイズはd1とする。微細構造、すなわち平行線31間の平均間隔はw1とする。
【0023】
第2光閉じ込め構造5、第3光閉じ込め構造4の上記の第1断面に形成された個別の微細構造は第1光閉じ込め構造3の上記の第1断面に形成された個別の微細構造と類似しているので、重複しないように、ここでは詳しく説明しない。第2光閉じ込め構造5、第3光閉じ込め構造4による個別の微細構造の、タンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズはそれぞれd2、d3、第2光閉じ込め構造5、第3光閉じ込め構造4による微細構造間の平均間隔はそれぞれw2、w3とする。上記のd2、d3も前述d1に類似しており、上記のw2、w3も上記のw1に類似しているので、重複しないように、ここでは詳しく説明しない。
【0024】
第1態様として、図1に示すように、第1光閉じ込め構造3は上記の第1断面に個別の微細構造が形成されており、個別の微細構造のタンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズはd1とし、d1の値の範囲は500nm≧d1≧10nmであり、具体的には、d1の値は、例えば10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、100nm、150nm、200nm、250nm、300nm、350nm、400nm、450nm、500nmなどであってもよい。第1光閉じ込め構造1の上記の第1断面に形成された個別の微細構造間の間隔w1は800nm≧w1≧10nmであり、第1光閉じ込め構造3のサイズが全て小さく、入射光がタンデム型太陽光発電デバイスに入射されると、光は散乱作用により第1光閉じ込め構造3の下方に入って、複数回反射され、これにより、第1光閉じ込め構造3の遮断効果が低下し、光の入射量が増えて光路が長くなり、タンデム型太陽光発電デバイスの光電変換効率が向上する。上記の平均サイズ及び平均間隔については、離散程度が制限されず、好ましくは、プロセスの実際の状況を考慮して、500nm≧d1≧100nmであり、サイズ分布は正規分布を満たし、σはd1±20%に対応し、すなわち、d1サイズはd1±20%範囲内である確率が68.2%であり、d1±40%範囲内である確率が95.4%である。
【0025】
第2態様では、図1に示すように、サイズが小さくかつ自由電子濃度が高い第1光閉じ込め構造3は入射光と結合し、マルチモード共振光閉じ込め効果を形成し、第1光閉じ込め構造3は入射光と結合し、第1光閉じ込め構造3の表面にある局在プラズマモードが増強し、入射光が局在プラズマモードの増強により制限されて第1光閉じ込め構造3の表面の周辺領域に存在することになり、このように、光閉じ込め効果が得られる。トップセル2及び/又はボトムセル1の吸収層が第1光閉じ込め構造3の表面の周辺領域に位置する場合、キャリアが短い移動距離内で分離、収集され、タンデム型太陽光発電デバイスの光電変換効率の向上に有利である。
【0026】
第3態様では、図1に示すように、第1光閉じ込め構造3は入射光と結合し、表面プラズモンを発生させ、入射光を横方向に伝導される導波路モードに変換し、入射光の伝導方向を変え、入射光の光路を大幅に大きくする。横方向に伝導される入射光はほぼ第1光閉じ込め構造3の受光面の界面付近に位置し、光閉じ込め効果を効果的に高めることができ、さらに、厚さの小さな吸収層だけで、優れた光吸収効果が得られるため、各電池セルの吸収層の厚さを小さくし、各電池セルの厚さを小さくし、タンデム型太陽光発電デバイス全体の厚さを小さくすることができる。
【0027】
上記の第2光閉じ込め構造5、第3光閉じ込め構造4は前述第1光閉じ込め構造3と類似の光閉じ込め効果がある。
【0028】
第3光閉じ込め構造に関しては、個別の微細構造のタンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズはd3とし、d3の値の範囲は300nm≧d3≧1nmであり、具体的には、d3の値は、例えば1nm、2nm、3nm、4nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、50nm、100nm、150nm、200nm、250nm、300nmなどであってもよく、第3光閉じ込め構造の上記の第1断面に形成された個別の微細構造間の間隔はw3とし、500nm≧w3≧1nmである。
【0029】
上記の平均サイズ及び平均間隔については、離散程度が制限されず、より好ましくは、プロセスの実際の状況を考慮して、300nm≧d3≧50nmであり、サイズ分布は正規分布を満たし、σはd3±20%に対応し、すなわちd1サイズはd3±20%範囲内である確率が68.2%であり、d3±40%範囲内である確率が95.4%である。
【0030】
第2光閉じ込め構造に関しては、個別の微細構造のタンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズはd2とし、d2の値の範囲は1200nm≧d2≧20nmであり、第2光閉じ込め構造の上記の第1断面に形成された個別の微細構造間の間隔はw2とし、50μm≧w2≧20nmである。
【0031】
上記の平均サイズ及び平均間隔については、離散程度が制限されず、より好ましくは、プロセスの実際の状況を考慮して、1200nm≧d2≧300nmであり、サイズ分布は正規分布を満たし、σはd2±20%に対応し、すなわちd1サイズはd2±20%範囲内である確率が68.2%であり、d2±40%範囲内である確率が95.4%である。
【0032】
すなわち、300nm≧d3≧50nm、500nm≧d1≧100nm、1200nm≧d2≧300nmであり、3層の光閉じ込め構造は紫外・青色光波長帯、可視光波長帯、赤色光・赤外線波長帯のそれぞれに対してプラズモン効果を形成することができる。
【0033】
上記の第2光閉じ込め構造5、第3光閉じ込め構造4及び前述第1光閉じ込め構造3に対応する光波応答ピークが異なり、上記の第2光閉じ込め構造5、第3光閉じ込め構造4及び前述第1光閉じ込め構造3の3つを組み合わせることにより、ほぼ全波長範囲の入射光が十分に利用され、入射光に対する吸収量が増える(基本形態では、3層の光閉じ込め構造を備える)。
【0034】
全体の光閉じ込め効果をさらに高めるために、各層のプラズモン光閉じ込め構造にマルチモード共振光閉じ込め効果がある上に、各層の光閉じ込め構造のマッチング性を調整することにより、入射光は散乱作用により上層光閉じ込め構造の下方に入って、複数回反射され、このようにして、光路をある程度増加し、全体の光閉じ込め効果を高めることができる。2層の光閉じ込め構造の間の散乱界面のマッチング性は以下のように導出され、
金属粒子の散乱を例にして、正規化散乱係数
【数4】
が存在し、吸収層に吸収される部分はA=1-δ・Qscatであり、ここで、δは粒子被覆面積の割合であり、粒子が正方形であり、粒子の辺長がσgeom=d、粒子の中心の間隔がσgap=2であるとすれば、
【数5】
であり、粒子が2つの吸収層の間にある場合、この散乱係数が大きく、また、粒子被覆面積の割合が小さいほど、対応する光閉じ込め効果が高く、
本願に係る構造において中間散乱構造及びバック散乱構造が存在する場合、中間散乱構造及びバック散乱構造が対象とする波長は異なり、中間散乱構造は400~600nmの波長帯、表面射構造は200~300nmの波長帯を対象とし、両方の吸収率が同じであるとすれば、両方のサイズの割合関係として
【数6】
が得られ、
上記の関係に基づいて、各層構造間の割合関係式(1)、すなわち
【数7】
が提案されており、
一例として、中間構造のサイズの値d1=100nm、w1=500nmであり、
上層構造の値d3=50nmの場合、
【数8】
が得られ、この場合、500nm≦w3≦1414nmであり、
エキシマの物理サイズが必ずこれが対象とする波長帯の波長よりも遥かに小さなければならず、このため、最上層の第2光閉じ込め構造のサイズ葉最も小さく、300nmよりも小さいものでなければならず、中間の第1光閉じ込め構造のサイズは500nmよりも小さい。これに加えて、両方のサイズの関係についてさらに限定せず、上記の関係式(1)だけにより限定し、デバイスの底部の第3光閉じ込め構造については限定せず、
上記の式の導出過程は同様に第1光閉じ込め構造及び第2光閉じ込め構造にも適用でき、
頂部と底部の第2光閉じ込め構造と第3光閉じ込め構造の導電については特に制限がなく、より好ましくは、これらは導電するものとし、表面電極として機能する。タンデム型太陽光発電デバイスの受光面に垂直な無数の第1断面のうち少なくとも1つの第1断面では、第1光閉じ込め構造、第2光閉じ込め構造、第3光閉じ込め構造の平均サイズと平均間隔w1、w2、w3は、
【数9】
の関係を満たし、つまり、両方のいずれかを満たし、より好ましくは、3層の光閉じ込め構造は2つの式の条件を同時に満たし、これにより、隣接する2層ずつの光閉じ込め構造の散乱断面はすべて波長に合わせており、このように、入射光の入射量が十分に確保され、タンデム型太陽光発電デバイスから出射される光がより減少し、入射光に対する吸収量がさらに増える。タンデム型太陽光発電デバイスの受光面に垂直な無数の第1断面のうち少なくとも1つの第1断面は、無数の第1断面のうち、タンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影がタンデム型太陽光発電デバイスの受光面のいずれかの辺に平行な第1断面であってもよい。もちろん、第1光閉じ込め構造、第2光閉じ込め構造、第3光閉じ込め構造の平均サイズ及び平均間隔は、例えば
【数10】
の関係を有してもよく、上記の関係式の端点値は当業者によって適宜設計されてもよく、本願の実施例はこれについて限定しない。
【0035】
また、第1光閉じ込め構造3の高さは10nmよりも大きく500nmよりも小さく、umレベルのテクスチャ面構造に対しては、第1光閉じ込め構造3の表面は平坦であり、トップセル2に優れた成長又は成膜界面を提供する。さらに、上記の第1光閉じ込め構造3は導電率が高く、複合速度が速いので、タンデム型太陽光発電デバイスの直列抵抗を低下させる。
【0036】
前記のように、本開示の実施例では、第1光閉じ込め構造3は、要するに、以下の3つの作用を有する。第一には、トップセル2とボトムセル1とを直列接続する作用であって、第1光閉じ込め構造3は導電率が高く、複合速度が速いので、タンデム型太陽光発電デバイスの直列抵抗を低下させる。第二には、上記の3つの光閉じ込め効果により、界面反射を低減させ、長波長帯の光を透過させることで、優れた光吸収効果を果たし、各電池セルの吸収層の厚さを小さくし、各電池セルの厚さを小さくし、さらにタンデム型太陽光発電デバイス全体の厚さを小さくする。第三には、第1光閉じ込め構造3の底層の電池の受光面が平坦であり、トップセル2に優れた成長又は成膜界面を提供する。
【0037】
なお、タンデム型太陽光発電デバイスの各部分のサイズや材料などと第1光閉じ込め構造3、第2光閉じ込め構造5、第3光閉じ込め構造4の材料やサイズなどとを組み合わせることによって、第1光閉じ込め構造3、第2光閉じ込め構造5、第3光閉じ込め構造4の光閉じ込め構造をより優れたものとすることができる。本開示の実施例では、これについて特に限定しない。例えば、タンデム型太陽光発電デバイスの各構造による光閉じ込め波長範囲の要件に応じて、第1光閉じ込め構造3の材料やサイズなどを調整して、第1光閉じ込め構造3の光閉じ込め構造をより優れたものとし、光損失をさらに減少させることができる。
【0038】
選択的に、第2光閉じ込め構造5は第1断面に個別の微細構造が形成されており、該個別の微細構造のタンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズはd2とし、いずれかの第1断面においては、d2≦1200nmであり、これによって、第2光閉じ込め構造5の局在表面プラズモンの光波応答ピークは第2光閉じ込め構造5に入射された光の波長により合わせており、光に対する吸収量はさらに増える。
【0039】
選択的に、第3光閉じ込め構造4は第1断面に個別の微細構造が形成されており、該個別の微細構造のタンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズはd3とし、いずれかの第1断面においては、d3≦300nmであり、これによって、第3光閉じ込め構造4の局在表面プラズモンの光波応答ピークは第3光閉じ込め構造4に入射された光の波長により合わせており、光に対する吸収量はさらに増える。
【0040】
選択的に、第1光閉じ込め構造3の局在表面プラズモンの光波応答ピークはボトムセル1の吸収光波長範囲内にあり、光が第1光閉じ込め構造3に入射されると、第1光閉じ込め構造3は光に対して散乱作用を果たし、光は散乱作用により第1光閉じ込め構造3の下方に入り、ボトムセル1に入り、第1光閉じ込め構造3に入射された光にはエネルギーがほぼ損失されておらず、これにより、光路はある程度増加する。すなわち、
【数11】
が満たされる。
【0041】
選択的に、第3光閉じ込め構造4の局在表面プラズモンの光波応答ピークはトップセル2の吸収光波長範囲内にあり、光が第3光閉じ込め構造4に入射されると、第3光閉じ込め構造4は光に対して散乱作用を果たし、光は散乱作用により第3光閉じ込め構造4の下方に入り、トップセル2に入り、第3光閉じ込め構造4に入射された光にはエネルギーがほぼ損失されておらず、これにより、光路はある程度増加する。すなわち、
【数12】
が満たされる。
【0042】
選択的に、図2に示すように、第1光閉じ込め構造3、第2光閉じ込め構造5、第3光閉じ込め構造4は粒子状(図2の(a)32参照)、線状(図2の(d)31参照)、穴掘り構造(図2の(b)参照)から選択され、第1光閉じ込め構造3、第2光閉じ込め構造5、第3光閉じ込め構造4の形態はさまざまである。
【0043】
選択的に、上記の粒子の形状は球状、半球状、線状交差構造、円柱体状、円錐体状のうちの1つである。上記の穴の形状は円形、略円形、多角形のうちの1つであり、第1光閉じ込め構造3、第2光閉じ込め構造5、第3光閉じ込め構造4の形態はさまざまである。例えば、図2に示すように、(b)において穴6の形状は円形である。
【0044】
選択的に、トップセルは第1吸収層を含み、ボトムセルは第2吸収層を含み、第1光閉じ込め構造は少なくとも第1吸収層又は第2吸収層との距離が2nm以下であり、すなわち、第1吸収層と第1光閉じ込め構造との間の距離はd5とし、d5≦2nmであり、及び/又は、第2吸収層と第1光閉じ込め構造との間の距離はd6とし、d6≦2nmである。通常、第1光閉じ込め構造の局在プラズマモードが増強された領域は第1光閉じ込め構造の表面における2nm範囲程度である。すなわち、第1吸収層及び/又は第2吸収層が第1光閉じ込め構造の表面の周辺領域に設けられると、第1吸収層及び/又は第2吸収層はちょうど第1光閉じ込め構造の局在プラズマモードが増強された領域内にあり、これはタンデム型太陽光発電デバイスの光電変換効率の向上に有利である。この部分は主に第1光閉じ込め構造の上記の第2態様における光閉じ込め効果を利用している。
【0045】
選択的に、第1光閉じ込め構造、第2光閉じ込め構造、第3光閉じ込め構造中の金属は金、銀、アルミニウム、銅、ガリウム、インジウムから選択される少なくとも1種であり、上記の材料で形成される第1光閉じ込め構造、第2光閉じ込め構造、第3光閉じ込め構造では、自由電子濃度がより高く、光閉じ込め効果を高めるのに有利である。
【0046】
選択的に、第1光閉じ込め構造、第2光閉じ込め構造、第3光閉じ込め構造中の半導体材料はアルミニウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化スズから選択される少なくとも1種であり、上記の材料で形成される第1光閉じ込め構造、第2光閉じ込め構造、第3光閉じ込め構造では、自由電子濃度がより高く、光閉じ込め効果を高めるのに有利である。
【0047】
図3は本開示の実施例におけるタンデム型太陽光発電デバイスの一例の部分構造概略図を示す。図4は本開示の実施例における別のタンデム型太陽光発電デバイスの部分構造概略図を示す。図2図3図4に示すように、タンデム型太陽光発電デバイスは、第1光閉じ込め構造3の隙間に充填された誘電体材料で形成される誘電体層7をさらに含む。例えば、誘電体層7は粒子32間の隙間に充填されるか、平坦板材33において彫った穴6に充填される。第1光閉じ込め構造の高さは誘電体層7の高さ以上である。例えば、図2(a)においては、粒子32の高さd23は誘電体層7の高さd31よりも大きい。図2(b)においては、平坦板材33の高さd3は誘電体層7の高さに等しい。図2(c)においては、交差線31の高さd23は誘電体層7の高さd31よりも大きい。図2(d)においては、平行線31の高さd11は誘電体層7の高さd31よりも大きい。一方では、誘電体層7が充填されることにより、トップセルはより平坦な面に製造することができ、トップセルの製造が容易になり、トップセルの応力が減少し、大サイズのトップセルの形成に有利である。他方では、誘電体層の充填は誘電体層により被覆されたプラズモンのマルチモード共振光閉じ込め効果に有利である。
【0048】
図4には、交差線31はグリッド状構造であり、銀又は銀の合金材料を用い、断面が略矩形又は台形であり、底部(ボトムセル1の受光面に接触する領域)の幅が50nm、高さが30nmであり、ハニカム状のグリッド構造が構成されており、六角形の辺の長さが300nm~800nmであり、交差線31はマスク蒸着の方法により得られる。交差線31間の空隙には誘電体層7が充填されており、誘電体層7は材料として酸化ケイ素を用い、厚さが5nm~20nmである。
【0049】
選択的に、誘電体層材料の誘電率は1.2~200であり、誘電体層材料は酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化タンタル、窒化アルミニウムから選択される少なくとも1種である。
【0050】
選択的に、第1光閉じ込め構造の隙間に誘電体層が充填されなくてもよく、これにより、トップセルの吸収層、ボトムセルの吸収層と第1光閉じ込め構造との距離がより小さくなり、第1光閉じ込め構造の第2態様における光閉じ込め効果が十分に利用される。
【0051】
図5は本開示の実施例におけるタンデム型太陽光発電デバイスの受光面に垂直な別の第1断面の概略図を示す。選択的に、図5に示すように、トップセル2の基材21は第1吸収層を含み、第1吸収層がペロブスカイト材料である場合、第1吸収層の厚さは50nm~200nmである。従来技術による厚さが500nm~200nmであるペロブスカイト材料の吸収層に比べ、本願では、第1構造3が優れた光閉じ込め効果を有するため、第1吸収層はさらに従来技術の約十分の一ほど薄くされ、これはトップセル2の厚さを小さくすることに有利であり、タンデム型太陽光発電デバイスの軽量化や薄型化に有利である。
【0052】
選択的に、ボトムセル1の第2吸収層が結晶シリコンである場合、第2吸収層の厚さは100umよりも小さい。従来技術による厚さ150um程度の結晶シリコン吸収層に比べ、本願では、第1構造が優れた光閉じ込め効果を有するため、ボトムセルは薄くすることができ、これはボトムセル1の厚さを小さくすることに有利であり、タンデム型太陽光発電デバイスの軽量化や薄型化に有利である。
【0053】
選択的に、該タンデム型太陽光発電デバイスはトップセル2の受光面に位置する上部機能層9をさらに含む。上部機能層9は1層又は複数層であり、表面不動態化、選択的接触、キャリア輸送や反射防止などの機能を備える。本開示の実施例はこれについて特に限定しない。
【0054】
選択的に、該タンデム型太陽光発電デバイスはボトムセル1の背光面に位置する下部機能層10をさらに含む。下部機能層10は1層又は複数であり、表面不動態化、選択的接触、輸送キャリアや反射防止などの機能を備える。下部機能層10は拡散や成膜などの方法により製造され得る。本開示の実施例はこれについて特に限定しない。
【0055】
該タンデム型太陽光発電デバイスはトップセル2の受光面に位置する上部電極と、ボトムセル1の背光面に位置する下部電極と、をさらに含む。
【0056】
本開示の実施例はまた、タンデム型太陽光発電デバイスの製造方法を提供する。該方法は、大まかに以下のステップを含む。
ステップ101:ボトムセルを提供する。
ステップ102:マスク蒸着によって前記ボトムセルの受光面に第1光閉じ込め構造を作製する。
ステップ103:前記第1光閉じ込め構造の受光面にトップセルを製造し、前記トップセルのバンドギャップ幅が前記ボトムセルのバンドギャップ幅よりも大きい。
ステップ104:前記ボトムセルの背光面側に第2光閉じ込め構造、及び/又は、前記トップセルの受光面側に第3光閉じ込め構造を製造する。前記第1光閉じ込め構造、前記第2光閉じ込め構造、前記第3光閉じ込め構造はすべて金属及び半導体材料から選択され、これらの3者による局在表面プラズモンは、それぞれ異なる光波応答ピークに対応し、前記タンデム型太陽光発電デバイスは前記タンデム型太陽光発電デバイスは、前記タンデム型太陽光発電デバイスの受光面に垂直な第1断面を有し、前記第1光閉じ込め構造、前記第2光閉じ込め構造、前記第3光閉じ込め構造は前記第1断面に個別の微細構造が形成されており、前記個別の微細構造の前記タンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズはそれぞれd1、d2、d3、前記微細構造間の平均間隔はそれぞれw1、w2、w3であり、少なくとも1つの前記第1断面において、前記微細構造の前記タンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズと、隣接する前記微細構造間の平均間隔とは
【数13】
の関係を満たす。
【0057】
本開示の実施例では、該方法のトップセルボトムセル、第1光閉じ込め構造、第2光閉じ込め構造、第3光閉じ込め構造は前述タンデム型太陽光発電デバイスの実施例における関連記載を参照することができ、また、同一又は類似の有益な効果が得られ、重複しないように、ここでは詳しく説明しない。
【0058】
なお、方法実施例においては、説明の便宜上、一連の動作の組み合わせとして記載されるが、当業者に自明なように、本開示の実施例は記載の動作順序に制限されるものではなく、このため、本開示の実施例によれば、一部のステップは他の順序又は同時に行われてもよい。また、当業者に公知のように、明細書に記載の実施例はすべて好ましい実施例であり、係る動作は必ずしも本開示の実施例にとって必須なものではない。
【0059】
以下、いくつかの特定の実施例を挙げて、本願をさらに説明する。
<実施例1>
【0060】
図5に示すように、ボトムセル1の第2吸収層は結晶シリコンであり、n型シリコン基板を採用しており、基板の厚さが50umであり、基板の受光面は平面構造(研磨を問わず)、背光面はテクスチャ面光閉じ込め構造である。結晶シリコン基板の背光面にp型層が拡散により形成され、ボトムセル1が作製される。ボトムセル1の背光面に下部機能層10が存在し、下部機能層10は1層又は多層構造であり、表面不動態化及び反射防止の機能を備える。下部電極に対応する位置には部分的に高濃度ドープされた選択的接触構造が存在してもよい。下部機能層10はp型多結晶輸送層又はp型非晶質シリコンであってもよく、このような場合、ボトムセル1と下部機能層10との間に酸化ケイ素又は真性非晶質シリコン界面層が存在する。下部機能層10は例えばインジウムドープ酸化スズ又はアルミニウムドープ酸化亜鉛などのような導電薄膜輸送層を同時に含む。
【0061】
ボトムセル1の受光面には、拡散又は成膜による電界効果層若しくは不動態化層が存在するか、又は第1光閉じ込め構造3の接触位置には、部分的な不動態化層、例えば酸化ケイ素が存在してもよい。
【0062】
ボトムセル1の受光面には第1光閉じ込め構造3が存在し、第1光閉じ込め構造3の第1断面に形成された個別の微細構造は、略円柱体状で、平均直径が30nm~200nmであり、円柱の高さと直径がほぼ等しく、球の間隔が20nm~500nmである銀ナノ粒子(例えば、具体的には、この銀ナノ粒子は直径が50nm、高さが50nm、粒子間の間隔が80nmであり、厳格な円柱体ではなく、略円錐状を呈する)であり、均等に分布している格子構造を構成し、マスク蒸着方法によって得られる。さらに、金、アルミニウム、銅、ガリウム、インジウムなどの1種又は複数の材料からなるナノ粒子も利用可能である。
【0063】
第1光閉じ込め構造3のナノ粒子間の空隙に誘電体層7が充填されており、誘電体層7は材料として酸化アルミニウムを用い、厚さが5~20nm(厚さはナノ粒子又は第1光閉じ込め構造3の高さ以下であり、例えば、第1光閉じ込め構造3の高さが100nmである場合、酸化アルミニウムの厚さは100nm以下)である。
【0064】
第1光閉じ込め構造3上にトップセル2が成膜されており、本実施形態では、トップセル2の第1吸収層21はワイドバンドギャップペロブスカイトであり、トップセル2の基板21は、ペロブスカイト吸収層21と、C60電子輸送層と、酸化ニッケル正孔輸送層と、を含み、酸化ニッケル正孔輸送層と第1光閉じ込め構造3との間にトップセル2の下部輸送層22が存在し、受光面は上部輸送層23を備え、上部輸送層23は電子輸送層であり、トップセル2の厚さは50nm~300nmである。
【0065】
上層太陽電池の受光面には、1層又は多層構造であって表面反射防止機能を果たす上部機能層9が存在する。
【0066】
ボトムセル1の背光面側は第2光閉じ込め構造5を有し、トップセル2の受光面側は第3光閉じ込め構造4を有する。第2光閉じ込め構造5と第3光閉じ込め構造4の第1断面に形成された個別の微細構造もすべてナノ粒子であり、ナノ粒子は銀材料、又は金、アルミニウム、銅、ガリウム、インジウムなどの1種又は複数種の材料を用い、3層の光閉じ込め構造中のナノ粒子の材料は同一であっても異なっていてもよい。実施例1では、第3光閉じ込め構造は、平均直径が30nm、高さが30nm、平均間隔が50nmである略円柱体であり、第2光閉じ込め構造は、平均直径が100nm、高さが100nm、平均間隔が1μmである略円柱体である。
【0067】
さらに、より優れた全体の光閉じ込め効果を得るために、第1光閉じ込め構造3、第2光閉じ込め構造5、第3光閉じ込め構造4にそれぞれ対応する平均サイズd1、d2、d3とこれらにそれぞれ対応する平均間隔w1、w2、w3とは、
【数14】
の関係を有する。
【0068】
実施例1のより好ましい形態として、第3光閉じ込め構造と第1光閉じ込め構造は
【数15】
の関係を満たし、第1光閉じ込め構造は直径が50nm、粒子之間の間隔が80nmである銀ナノ粒子である場合、第3光閉じ込め構造は直径が20nm、平均間隔が102nmである銀ナノ粒子であってもよく、第2光閉じ込め構造のサイズは限定されない。
【0069】
実施例1のより好ましい形態として、第2光閉じ込め構造と第1光閉じ込め構造は
【数16】
の関係を満たし、第1光閉じ込め構造は直径が50nm、粒子間の間隔が100nmである銀ナノ粒子である場合、第2光閉じ込め構造は直径が1000nm、平均間隔が167nmである銀ナノ粒子であってもよく、第3光閉じ込め構造のサイズは限定されない。
【0070】
実施例1のより好ましい形態として、
【数17】
の両方が満たされ、第1光閉じ込め構造は直径が50nm、粒子間の間隔が100nmである銀ナノ粒子である場合、第2光閉じ込め構造は直径が1000nm、平均間隔が167nmである銀ナノ粒子であってもよく、第3光閉じ込め構造は直径が20nm、平均間隔が89nmである銀ナノ粒子であってもよい。
<実施例2>
【0071】
図6に示すように、図6は本開示の実施例におけるタンデム型太陽光発電デバイスの受光面に垂直なさらに別の第1断面の概略図を示す。ボトムセル1の第2吸収層は結晶シリコン太陽電池であり、n型シリコン基板を採用しており、基板の厚さが10μmであり、基板の受光面は平面構造(研磨を問わず)、背光面は平面構造(研磨を問わず)であり、結晶シリコン基板の背光面にp型層が拡散により形成され、ボトムセル1が作製される。ボトムセル1の背光面に下部機能層10が存在し、下部機能層10は1層又は多層構造であり、表面不動態化及び反射防止の機能を備える。下部機能層10はp型多結晶輸送層又はp型非晶質シリコンであってもよく、このような場合、ボトムセル1と下部機能層10との間に酸化ケイ素又は真性非晶質シリコン界面層が存在する。下部機能層10は、例えばインジウムドープ酸化スズ又はアルミニウムドープ酸化亜鉛などのような導電薄膜輸送層を同時に含む。
【0072】
ボトムセル1の背光面側に第2光閉じ込め構造5が設けられており、例えば、第2光閉じ込め構造5は下部機能層10において穴を空けたものとする。金属アルミニウムを穴に充填するものを、背面電極として引き出すことができる。
【0073】
ボトムセル1の受光面には、拡散又は成膜による電界効果層若しくは不動態化層が存在するか、又は第1光閉じ込め構造3の接触位置には、部分的な不動態化層、例えば酸化ケイ素が存在してもよい。
【0074】
ボトムセル1の受光面には第1光閉じ込め構造3が存在し、第1光閉じ込め構造3の第1断面に形成された個別の微細構造は、略半球体で、平均球径が50nm~200nm、半球の高さが球径の半分にほぼ等しく、球間隔が20nm~500nmである銀ナノ粒子(例えば、具体的な一実施形態では、直径が50nm、高さが25nm、間隔が80nmである)であり、厳格な半球体ではなく、均等に分布している格子構造を構成し、この銀ナノ粒子はマスク蒸着してからアニーリングする方法によって得られる。
【0075】
ナノ粒子間の空隙又は間隔に誘電体層7が存在し、誘電体層7は材料として酸化ケイ素を用い、厚さが5nm~20nm(厚さは第1光閉じ込め構造3の高さ以下であり、例えば、第1光閉じ込め構造3の高さが50nmである場合、酸化ケイ素の厚さは50nm以下)である。
【0076】
第1光閉じ込め構造3上にトップセル2が成膜されており、本実施形態では、トップセル2の第1吸収層はワイドバンドギャップペロブスカイトであり、21はトップセル2の基材であり、基材21はペロブスカイト吸収層と、C60電子輸送層と、酸化ニッケル正孔輸送層と、を含み、酸化ニッケル正孔輸送層と第1光閉じ込め構造3との間に上層太陽電池下部輸送層22が存在し、受光面は上部輸送層23を備え、上部輸送層23は電子輸送層であり、トップセル2の厚さは50nm~300nmである。
【0077】
トップセル2の受光面には、1層又は多層構造であって表面反射防止機能を果たす上部機能層9が存在する。
【0078】
トップセル2の受光面側は第3光閉じ込め構造4を有する。第3光閉じ込め構造4の第1断面に形成された個別の微細構造もナノ粒子である。
【0079】
実施例2のより好ましい形態として、第1光閉じ込め構造3、第2光閉じ込め構造5、第3光閉じ込め構造4にそれぞれ対応する平均サイズd1、d2、d3とこれらにそれぞれ対応する平均間隔w1、w2、w3とは、
【数18】
の関係を有する。すなわち、第1光閉じ込め構造はサイズが50nm、間隔が80nmである場合を例にして、第2光閉じ込め構造はサイズが200nm、間隔が112nmであり、第3光閉じ込め構造はサイズが50nm、間隔が320nmである。
<実施例3>
【0080】
図7に示すように、図7は本開示の実施例におけるタンデム型太陽光発電デバイスの受光面に垂直な更なる第1断面の概略図を示す。ボトムセル1の第2吸収層は結晶シリコンであり、n型シリコン基板を用い、基板の厚さが10umであり、基板の受光面は平面構造(研磨を問わず)、背光面は平面構造(研磨を問わず)である。結晶シリコン基板の背光面にp型層が拡散により形成され、ボトムセル1が作製される。ボトムセル1の背光面に下部機能層10が存在し、下部機能層10は1層又は多層構造であり、表面不動態化及び反射防止の機能を備える。下部機能層10はp型多結晶輸送層又はp型非晶質シリコンであってもよく、このような場合、ボトムセル1と下部機能層10との間に酸化ケイ素又は真性非晶質シリコン界面層が存在する。下部機能層10は例えばインジウムドープ酸化スズ又はアルミニウムドープ酸化亜鉛などのような導電薄膜輸送層を同時に含む。
【0081】
ボトムセル1の背光面側に第2光閉じ込め構造5が設けられ、例えば、第2光閉じ込め構造5は下部機能層10において穴を空けたものとする。金属アルミニウムを穴に充填するものを背面電極として引き出すことができる。
【0082】
ボトムセル1の受光面には、拡散又は成膜による電界効果層若しくは不動態化層が存在するか、又は第1光閉じ込め構造3の接触位置には、部分的な不動態化層、例えば酸化ケイ素が存在してもよい。ボトムセル1の受光面には第1光閉じ込め構造3が存在し、第1光閉じ込め構造3の第1断面に形成された個別の微細構造は平行線であり、銀又は銀の合金材料を用い、断面が略矩形又は台形であり、底部(すなわち、ボトムセル1の受光面に接触する領域)の幅が80nm、高さが50nmであり、平行線間の間隔が200nm~500nmであり、平行線はマスク蒸着方法により得られる。若しくは、底部の幅が200nm、間隔が500nmである。
【0083】
平行線間の空隙に誘電体層7が存在し、誘電体層7は材料として酸化ケイ素を用い、厚さが5~20nmであり、該酸化ケイ素層は上記のボトムセル1の受光面の不動態化層と同層であってもよい。
【0084】
第1光閉じ込め構造3上にトップセル2が成膜されており、本実施形態では、トップセル2の第1吸収層はワイドバンドギャップヒ化ガリウムであり、21はトップセル2の基板であり、基板21はp型ヒ化ガリウム吸収層とn型ヒ化ガリウムエミッタを含み、p型ヒ化ガリウム吸収層と第1光閉じ込め構造3との間にトップセル2の下部輸送層22が存在し、また、下部輸送層2222は格子ミスマッチを緩衝する役割を果たし、アルミニウムガリウムヒ化合物である。基板21の受光面には上部輸送層23を備え、また、23はヒ化ガリウム電池のウィンドウ層であり、リン化アルミニウムインジウムであり、トップセル2の厚さは200nm~500nmである。
【0085】
トップセル2の受光面には、1層又は多層構造であって表面反射防止の機能を果たす上部機能層9が存在する。
【0086】
トップセル2の受光面側に第3光閉じ込め構造4を有する。第3光閉じ込め構造4の第1断面に形成された個別の微細構造もナノ粒子である。
【0087】
実施例3のより好ましい形態として、第1光閉じ込め構造3、第2光閉じ込め構造5、第3光閉じ込め構造4にそれぞれ対応する平均サイズd1、d2、d3とこれらにそれぞれ対応する平均間隔w1、w2、w3は、
【数19】
の関係を有する。すなわち、第1光閉じ込め構造はサイズが200nm、間隔が500nmである場合を例にして、第2光閉じ込め構造はサイズが800nm、間隔が250nmであり、第3光閉じ込め構造はサイズが100nm、間隔が500nmである。
【0088】
以上では、本開示の実施例は図面を参照して説明されたが、本開示は上記の具体的な実施形態に限定されるものではなく、上記の具体的な実施形態は例示的なものに過ぎず、限定するためのものではなく、当業者は本開示に基づいて本開示の趣旨及び請求項により保護される範囲を逸脱することなく、多くの形態を実施することもでき、このような形態はすべて本開示により保護される。
【符号の説明】
【0089】
ボトムセル
トップセル
21 トップセルの基材
22 トップセルの下部輸送層
23 トップセルの上部輸送層
3 第1光閉じ込め構造
31 交差線又は平行線
32 粒子
33 平坦板材
4 第3光閉じ込め構造
5 第2光閉じ込め構造
6 穴
7 誘電体層
9 上部機能層
10 下部機能層
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンデム型太陽光発電デバイスであって、
積層配置されたトップセルと、ボトムセルと、前記トップセルと前記ボトムセルとの間に介在している第1光閉じ込め構造と、を含み、前記トップセルのバンドギャップ幅が、前記ボトムセルのバンドギャップ幅よりも大きく、
前記ボトムセルの背光面側に位置する第2光閉じ込め構造及び前記トップセルの受光面側に位置する第3光閉じ込め構造のうちの少なくとも1つをさらに含み、
前記第1光閉じ込め構造、前記第2光閉じ込め構造、前記第3光閉じ込め構造はそれぞれ金属及び半導体材料から選択されるいずれかであり、これらの3者による局在表面プラズモンは、それぞれ異なる光波応答ピークに対応し、
前記タンデム型太陽光発電デバイスは、前記タンデム型太陽光発電デバイスの受光面に垂直な第1断面を有し、前記第1光閉じ込め構造、前記第2光閉じ込め構造、前記第3光閉じ込め構造は前記第1断面に個別の微細構造が形成されており、前記個別の微細構造の前記タンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズはそれぞれd1、d2、d3、前記微細構造間の平均間隔はそれぞれw1、w2、w3であり、
少なくとも1つの前記第1断面において、前記微細構造の前記タンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズと、隣接する前記微細構造間の平均間隔とは
【数1】
の関係を有することを特徴とするタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項2】
前記第1光閉じ込め構造、前記第2光閉じ込め構造、前記第3光閉じ込め構造は粒子状、線状、穴掘り構造から選択されることを特徴とする請求項1に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項3】
前記粒子の形状は球状、半球状、線状交差構造、円柱体状、円錐体状のうちの1つであり、前記穴の形状は円形、略円形、多角形のうちの1つであることを特徴とする請求項2に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項4】
前記トップセルは第1吸収層を含み、前記ボトムセルは第2吸収層を含み、前記第1光閉じ込め構造は少なくとも前記第1吸収層又は前記第2吸収層との距離が2nm以下であることを特徴とする請求項1に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項5】
前記第1吸収層はペロブスカイト材料であって、厚さが50nm~200nmであることを特徴とする請求項4に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項6】
前記第2吸収層は単結晶シリコンであって、厚さが100μmよりも小さいことを特徴とする請求項4に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項7】
前記第1光閉じ込め構造の隙間に充填された誘電体材料で形成される誘電体層をさらに含み、
前記第1光閉じ込め構造の高さが前記誘電体層の高さ以上であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項8】
前記誘電体材料の誘電率は1.2~200であり、
前記誘電体材料は酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化タンタル、窒化アルミニウムから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項7に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項9】
前記第1光閉じ込め構造の局在表面プラズモンの光波応答ピークは前記ボトムセルの吸収光波長範囲内にあり、前記第3光閉じ込め構造の局在表面プラズモンの光波応答ピークは前記トップセルの吸収光波長範囲内にあることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項10】
いずれかの第1断面においては、前記d2≦1200nm、d3≦300nmであることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項11】
前記金属は金、銀、アルミニウム、銅、ガリウム、インジウムから選択される少なくとも1種であり、
前記半導体材料はアルミニウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化スズから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項12】
積層配置されたトップセルと、ボトムセルと、前記トップセルと前記ボトムセルとの間に介在している第1光閉じ込め構造と、を含み、前記トップセルのバンドギャップ幅が前記ボトムセルのバンドギャップ幅よりも大きく、
前記ボトムセルの背光面側に位置する第2光閉じ込め構造及び前記トップセルの受光面側に位置する第3光閉じ込め構造のうちの少なくとも1つをさらに含み、
前記第1光閉じ込め構造、前記第2光閉じ込め構造、前記第3光閉じ込め構造はそれぞれ金属及び半導体材料から選択されるいずれかであり、これらの3者による局在表面プラズモンは、それぞれ異なる光波応答ピークに対応することを特徴とするタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項13】
前記タンデム型太陽光発電デバイスは、前記タンデム型太陽光発電デバイスの受光面に垂直な第1断面を有し、前記第1光閉じ込め構造、前記第2光閉じ込め構造、前記第3光閉じ込め構造は前記第1断面に個別の微細構造が形成されており、前記個別の微細構造の前記タンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズはそれぞれd1、d2、d3であり、
少なくとも1つの前記第1断面において、前記微細構造の前記タンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズと、隣接する前記微細構造間の平均間隔とは
d3<d1<d2の関係を有することを特徴とする請求項12に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項14】
前記第1光閉じ込め構造、前記第2光閉じ込め構造、前記第3光閉じ込め構造は粒子状、線状、穴掘り構造から選択されることを特徴とする請求項12に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項15】
前記粒子の形状は球状、半球状、線状交差構造、円柱体状、円錐体状のうちの1つであり、前記穴の形状は円形、略円形、多角形のうちの1つであることを特徴とする請求項14に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項16】
前記トップセルは第1吸収層を含み、前記ボトムセルは第2吸収層を含み、前記第1光閉じ込め構造は少なくとも前記第1吸収層又は前記第2吸収層との距離が2nm以下であることを特徴とする請求項12に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項17】
前記第1吸収層はペロブスカイト材料であって、厚さが50nm~200nmであることを特徴とする請求項16に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項18】
前記第2吸収層は単結晶シリコンであって、厚さが100umよりも小さいことを特徴とする請求項16に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項19】
前記第1光閉じ込め構造の隙間に充填された誘電体材料で形成される誘電体層をさらに含み、
前記第1光閉じ込め構造の高さが前記誘電体層の高さ以上であることを特徴とする請求項12~18のいずれか1項に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項20】
前記誘電体材料の誘電率は1.2~200であり、
前記誘電体材料は酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化タンタル、窒化アルミニウムから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項19に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項21】
前記第1光閉じ込め構造の局在表面プラズモンの光波応答ピークは前記ボトムセルの吸収光波長範囲内にあり、前記第3光閉じ込め構造の局在表面プラズモンの光波応答ピークは前記トップセルの吸収光波長範囲内にあることを特徴とする請求項12~18のいずれか1項に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項22】
前記金属は金、銀、アルミニウム、銅、ガリウム、インジウムから選択される少なくとも1種であり、
前記半導体材料はアルミニウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化スズから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項12~18のいずれか1項に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項23】
積層配置されたトップセルと、ボトムセルと、前記トップセルと前記ボトムセルとの間に介在している第1光閉じ込め構造と、を含み、前記トップセルのバンドギャップ幅が前記ボトムセルのバンドギャップ幅よりも大きく、
前記ボトムセルの背光面側に位置する第2光閉じ込め構造又は前記トップセルの受光面側に位置する第3光閉じ込め構造をさらに含み、
前記第1光閉じ込め構造は金属及び半導体材料から選択されるいずれかであり、前記第2光閉じ込め構造又は前記第3光閉じ込め構造はそれぞれ、金属及び半導体材料から選択されるいずれかであり、前記第1光閉じ込め構造及び前記第2光閉じ込め構造による局在表面プラズモンは、それぞれ異なる光波応答ピークに対応し、又は前記第1光閉じ込め構造及び前記第3光閉じ込め構造による局在表面プラズモンは、それぞれ異なる光波応答ピークに対応し、
前記タンデム型太陽光発電デバイスは、前記タンデム型太陽光発電デバイスの受光面に垂直な第1断面を有し、前記第1光閉じ込め構造、前記第2光閉じ込め構造、前記第3光閉じ込め構造は前記第1断面に個別の微細構造が形成されており、前記個別の微細構造の前記タンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズはそれぞれd1、d2、d3、前記微細構造間の平均間隔はそれぞれw1、w2、w3であり、
少なくとも1つの前記第1断面において、前記微細構造の前記タンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズと、隣接する前記微細構造間の平均間隔とは
【数2】
の関係を有することを特徴とするタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項24】
前記微細構造の前記タンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズと、隣接する前記微細構造間の平均間隔とは
【数3】
の関係を有することを特徴とする請求項23に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項25】
前記第1光閉じ込め構造、前記第2光閉じ込め構造、前記第3光閉じ込め構造は粒子状、線状、穴掘り構造から選択されることを特徴とする請求項23に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項26】
前記粒子の形状は球状、半球状、線状交差構造、円柱体状、円錐体状のうちの1つであり、前記穴の形状は円形、略円形、多角形のうちの1つであることを特徴とする請求項25に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項27】
前記トップセルは第1吸収層を含み、前記ボトムセルは第2吸収層を含み、前記第1光閉じ込め構造は少なくとも前記第1吸収層又は前記第2吸収層との距離が2nm以下であることを特徴とする請求項23に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項28】
前記第1吸収層はペロブスカイト材料であって、厚さが50nm~200nmであることを特徴とする請求項27に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項29】
前記第2吸収層は単結晶シリコンであって、厚さが100umよりも小さいことを特徴とする請求項27に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項30】
前記第1光閉じ込め構造の隙間に充填された誘電体材料で形成される誘電体層をさらに含み、
前記第1光閉じ込め構造の高さが前記誘電体層の高さ以上であることを特徴とする請求項23~29のいずれか1項に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項31】
前記誘電体材料の誘電率は1.2~200であり、
前記誘電体材料は酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化タンタル、窒化アルミニウムから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項30に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項32】
前記第1光閉じ込め構造の局在表面プラズモンの光波応答ピークは前記ボトムセルの吸収光波長範囲内にあり、前記第3光閉じ込め構造の局在表面プラズモンの光波応答ピークは前記トップセルの吸収光波長範囲内にあることを特徴とする請求項23~29のいずれか1項に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項33】
いずれかの第1断面においては、前記d2≦1200nm、d3≦300nmであることを特徴とする請求項23~29のいずれか1項に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項34】
前記金属は金、銀、アルミニウム、銅、ガリウム、インジウムから選択される少なくとも1種であり、
前記半導体材料はアルミニウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化スズから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項23~29のいずれか1項に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【請求項35】
前記ボトムセルの背光面側に位置する第2光閉じ込め構造と前記トップセルの受光面側に位置する第3光閉じ込め構造をさらに含み、
前記微細構造の前記タンデム型太陽光発電デバイスの受光面での投影の平均サイズと、隣接する前記微細構造間の平均間隔とは
【数4】
の関係を有することを特徴とする請求項23に記載のタンデム型太陽光発電デバイス。
【国際調査報告】