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特表2023-550851光学系、及び光学系を備えた撮像装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-06
(54)【発明の名称】光学系、及び光学系を備えた撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20231129BHJP
   G02B 13/18 20060101ALN20231129BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573543
(86)(22)【出願日】2021-11-01
(85)【翻訳文提出日】2021-12-15
(86)【国際出願番号】 CN2021128002
(87)【国際公開番号】W WO2023070681
(87)【国際公開日】2023-05-04
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516180667
【氏名又は名称】北京小米移動軟件有限公司
【氏名又は名称原語表記】Beijing Xiaomi Mobile Software Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.018, Floor 8, Building 6, Yard 33, Middle Xierqi Road, Haidian District, Beijing 100085, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】帯金 靖彦
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA02
2H087KA03
2H087LA01
2H087MA07
2H087NA07
2H087PA06
2H087PA07
2H087PA17
2H087PB06
2H087PB07
2H087QA02
2H087QA06
2H087QA07
2H087QA17
2H087QA21
2H087QA22
2H087QA25
2H087QA37
2H087QA39
2H087QA41
2H087QA42
2H087QA45
2H087QA46
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA32
2H087RA34
2H087RA42
2H087RA43
2H087RA44
(57)【要約】
物体側より像側へ順に、少なくとも一つのレンズを含み且つ負の屈折力を有する第一レンズ群と、少なくとも一つのレンズを含み且つ正の屈折力を有する第二レンズ群と、少なくとも一つのレンズを含み且つ負の屈折力を有する第三レンズ群と、を備え、フォーカシングの際に、第一レンズ群および第三レンズ群の光軸上における結像面からの距離が固定される一方、第二レンズ群は、光軸に沿って移動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側より像側へ順に、少なくとも一つのレンズを含み且つ負の屈折力を有する第一レンズ群と、少なくとも一つのレンズを含み且つ正の屈折力を有する第二レンズ群と、少なくとも一つのレンズを含み且つ負の屈折力を有する第三レンズ群と、を備え、
フォーカシングの際に、前記第一レンズ群および前記第三レンズ群の光軸上における結像面からの距離が固定される一方、前記第二レンズ群は、前記光軸に沿って移動し、
前記第二レンズ群の無限遠合焦時の横倍率をb2とし、前記第三レンズ群の無限遠合焦時の横倍率をb3とし、当該光学系全体の無限遠合焦時の焦点距離をfとし、前記第二レンズ群の焦点距離をf2とし、前記第三レンズ群の焦点距離をf3とし、各レンズ群における最も物体側のレンズ面から最も像側のレンズ面までの距離の合計値をOAL123とし、最大像高をYとしたときに、
以下の式(1)~式(4)の少なくとも一つを満たす、光学系。
-1.20≦f3/f≦-0.10 ・・・(1)
-0.40≦b2≦-0.06 ・・・(2)
0.3≦OAL123/Y≦2.30 且つ 1.00≦b3≦1.30
・・・(3)
0.60≦f2/f≦0.90 ・・・(4)
【請求項2】
前記第二レンズ群は、前記光軸に対して直交する方向にも移動できるように構成されており、
1.00≦(1-b2)×b3≦1.90
を満たす、請求項1に記載の光学系。
【請求項3】
前記第一レンズ群の焦点距離をf1としたときに、
-16.00≦f1/f≦-1.80
を満たす、請求項1に記載の光学系。
【請求項4】
絞り径を変更可能な絞り装置を備え、
該絞り装置は、前記第一レンズ群と前記第二レンズ群との間に配置されている、請求項1に記載の光学系。
【請求項5】
当該光学系における最も物体側のレンズ面から結像面までの距離をOALとしたときに、
1.20≦OAL/f≦2.30
を満たす、請求項1に記載の光学系。
【請求項6】
1.00≦(1-b2)×b3≦1.70
を満たす、請求項1に記載の光学系。
【請求項7】
前記第一レンズ群における少なくとも一つのレンズのd線での屈折率をnd1とし、前記第一レンズ群における少なくとも一つのレンズのd線基準のアッベ数をvd1としたときに、
1.50≦nd1≦1.70 且つ 15.00≦vd1≦60.00
を満たす、請求項1に記載の光学系。
【請求項8】
前記第三レンズ群における少なくとも一つのレンズのd線での屈折率をnd3とし、前記第三レンズ群における少なくとも一つのレンズのd線基準のアッベ数をvd3としたときに、
1.50≦nd3≦1.70 且つ 15.00≦vd3≦60.00
を満たす、請求項1に記載の光学系。
【請求項9】
前記第一レンズ群、前記第二レンズ群、及び前記第三レンズ群のうちの少なくとも前記第一レンズ群は、非撮影時に像側に移動できるように構成されている、請求項1に記載の光学系。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の光学系と、
前記光学系の結像面位置に配置される撮像素子と、を備える、撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のレンズ群を備える光学系、及びこの光学系を備えた撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、近距離撮像可能で広角化が可能な光学系が知られている(特許文献1および特許文献2参照)。これらの光学系は、いずれも、物体側より像側へ光軸に沿って順に、負の屈折力を有する第一レンズ群と、正の屈曲力を有する第二レンズ群と、負の屈曲力を有する第三レンズ群と、を備えている。
【0003】
しかし、特許文献1に記載の光学系や特許文献2に記載の光学系では、いずれも、各群の倍率や焦点距離が適切ではなく、広角化が不十分なだけではなく光軸方向の寸法の小型化(薄型化)も不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】日本国特許第5716569号公報
【特許文献2】日本国特許第6784950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、十分に広角化及び薄型化された光学系、及びこの光学系を備えた撮像装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る光学系は、
物体側より像側へ順に、少なくとも一つのレンズを含み且つ負の屈折力を有する第一レンズ群と、少なくとも一つのレンズを含み且つ正の屈折力を有する第二レンズ群と、少なくとも一つのレンズを含み且つ負の屈折力を有する第三レンズ群と、を備え、
フォーカシングの際に、前記第一レンズ群および前記第三レンズ群の光軸上における結像面からの距離が固定される一方、前記第二レンズ群は、前記光軸に沿って移動し、
前記第二レンズ群の無限遠合焦時の横倍率をb2とし、前記第三レンズ群の無限遠合焦時の横倍率をb3とし、当該光学系全体の無限遠合焦時の焦点距離をfとし、前記第二レンズ群の焦点距離をf2とし、前記第三レンズ群の焦点距離をf3とし、各レンズ群における最も物体側のレンズ面から最も像側のレンズ面までの距離の合計値をOAL123とし、最大像高をYとしたときに、
以下の式(1)~式(4)の少なくとも一つを満たす、光学系。
-1.20≦f3/f≦-0.10 ・・・(1)
-0.40≦b2≦-0.06 ・・・(2)
0.3≦OAL123/Y≦2.30 且つ 1.00≦b3≦1.30
・・・(3)
0.60≦f2/f≦0.90 ・・・(4)
【0007】
前記光学系では、
前記第二レンズ群は、前記光軸に対して直交する方向にも移動できるように構成されており、
1.00≦(1-b2)×b3≦1.90
を満たしてもよい。
【0008】
また、前記光学系では、
前記第一レンズ群の焦点距離をf1としたときに、
-16.00≦f1/f≦-1.80
を満たしてもよい。
【0009】
また、前記光学系は、絞り径を変更可能な絞り装置を備え、
該絞り装置は、前記第一レンズ群と前記第二レンズ群との間に配置されてもよい。
【0010】
また、前記光学系では、
当該光学系における最も物体側のレンズ面から結像面までの距離をOALとしたときに、
1.20≦OAL/f≦2.30
を満たしてもよい。
【0011】
また、前記光学系では、
1.00≦(1-b2)×b3≦1.70
を満たしてもよい。
【0012】
また、前記光学系では、
前記第一レンズ群における少なくとも一つのレンズのd線での屈折率をnd1とし、前記第一レンズ群における少なくとも一つのレンズのd線基準のアッベ数をvd1としたときに、
1.50≦nd1≦1.70 且つ 15.00≦vd1≦60.00
を満たしてもよい。
【0013】
また、前記光学系では、
前記第三レンズ群における少なくとも一つのレンズのd線での屈折率をnd3とし、前記第三レンズ群における少なくとも一つのレンズのd線基準のアッベ数をvd3としたときに、
1.50≦nd3≦1.70 且つ 15.00≦vd3≦60.00
を満たしてもよい。
【0014】
また、前記光学系では、
前記第一レンズ群、前記第二レンズ群、及び前記第三レンズ群のうちの少なくとも前記第一レンズ群は、非撮影時に像側に移動できるように構成されている、
【0015】
また、本発明に係る撮像装置は、
上記のいずれかの光学系と、
前記光学系の結像面位置に配置される撮像素子と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本実施形態に係る撮像装置の構成を示す模式図であって、撮影状態を示す図である。
図2図2は、前記撮像装置の構成を示す模式図であって、光学系が収納された状態を示す図である。
図3図3は、実施例1の光学系の無限遠合焦状態におけるレンズ構成図である。
図4図4は、実施例1の光学系の最至近合焦状態におけるレンズ構成図である。
図5図5は、実施例1の光学系の無限遠合焦状態における縦収差図である。
図6図6は、実施例1の光学系の最至近合焦状態における縦収差図である。
図7図7は、実施例2の光学系の無限遠合焦状態におけるレンズ構成図である。
図8図8は、実施例2の光学系の最至近合焦状態におけるレンズ構成図である。
図9図9は、実施例2の光学系の無限遠合焦状態における縦収差図である。
図10図10は、実施例2の光学系の最至近合焦状態における縦収差図である。
図11図11は、実施例3の光学系の無限遠合焦状態におけるレンズ構成図である。
図12図12は、実施例3の光学系の最至近合焦状態におけるレンズ構成図である。
図13図13は、実施例3の光学系の無限遠合焦状態における縦収差図である。
図14図14は、実施例3の光学系の最至近合焦状態における縦収差図である。
図15図15は、実施例4の光学系の無限遠合焦状態におけるレンズ構成図である。
図16図16は、実施例4の光学系の最至近合焦状態におけるレンズ構成図である。
図17図17は、実施例4の光学系の無限遠合焦状態における縦収差図である。
図18図18は、実施例4の光学系の最至近合焦状態における縦収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0018】
本実施形態に係る撮像装置1は、図1及び図2に示すように、撮像装置本体10に沈胴収容可能な光学系2と、光学系2の結像面位置に配置される撮像素子3と、撮像素子3から送られた撮像(画像)データを表示する液晶画面4と、を備える。この撮像素子3は、光学系2によって形成された光学像を電気的信号(撮像データ)に変換する素子であり、本実施形態の撮像素子3は、イメージセンサーである。
【0019】
光学系2は、光軸Cに沿って物体側から像側へ順に、少なくとも、第一レンズ群G1と、第二レンズ群G2と、第三レンズ群G3と、を有する。これら各レンズ群G1、G2、G3のそれぞれは、少なくとも一つのレンズを含む。本実施形態の光学系2は、光軸Cに沿って物体側から像側へ順に、第一レンズ群G1と、第二レンズ群G2と、第三レンズ群G3と、光学フィルター23と、を有する。
【0020】
尚、本実施形態の光学系2において、レンズ群G1~G3は、便宜上の名称であり、一つの光学素子(レンズ等)のみによって構成されるものも含む。即ち、第一~第三レンズ群G1、G2、G3のそれぞれは、少なくとも一つのレンズ等の光学素子を有する。また、光学系2において、フォーカシングの際に光軸C上の位置が固定されている光学素子(レンズ等)と、移動する光学素子との間でそれぞれ区分けし、区分けされた領域内の前記固定されている少なくとも一つの光学素子を一つのレンズ群とし、区分けされた領域内の前記移動する少なくとも一つの光学素子を別のレンズ群とする。
【0021】
また、光学系2は、第一レンズ群G1と第二レンズ群G2との間に配置される開口絞り(絞り装置)21と、第一レンズ群G1及び第二レンズ群G2を保持する鏡筒22と、を有する(図1参照)。この鏡筒22は、撮影時に物体側に伸び(図1参照)、撮影しないとき(非撮影時)に撮像装置本体(ボディ等)10に沈胴収納される(図2参照)。
【0022】
この光学系2では、フォーカシングの際に、第一レンズ群G1及び第三レンズ群G3の光軸C上における撮像素子3(光学系2の結像面)からの距離が固定される一方、第二レンズ群G2が光軸Cに沿って移動する。即ち、本実施形態の光学系2において、各レンズ群G1、G2、G3のうち、第二レンズ群G2がフォーカスレンズ群を構成する。
【0023】
また、この光学系2では、沈胴収納時に、少なくとも第一レンズ群G1が、像側に移動する。本実施形態の光学系2は、沈胴収納時に、第一レンズ群G1及び第二レンズ群G2のそれぞれが像側に移動することで、撮像装置本体10に沈胴収容される(図2参照)。このときの、各レンズ群G1~G3の移動や鏡筒22の伸縮は、従来から公知の種々の機構によって行われる。
【0024】
以下では、光学系2における各レンズ群G1~G3の詳細について説明する。
【0025】
第一レンズ群G1は、一つのレンズ(光学素子)を含み、負の屈折力を有する。また、第二レンズ群G2は、複数のレンズ(光学素子)を含み、正の屈曲率を有する。また、第三レンズ群G3は、複数のレンズ(光学素子)を含み、負の屈折力を有する。
【0026】
ここで、第二レンズ群G2の無限遠合焦時の横倍率をb2とし、第三レンズ群G3の無限遠合焦時の横倍率をb3とし、光学系2全体の無限遠合焦時の焦点距離をfとし、第二レンズ群G2の焦点距離をf2とし、第三レンズ群G3の焦点距離をf3とし、各レンズ群G1、G2、G3における最も物体側のレンズ面から最も像側のレンズ面までの距離の合計値をOAL123とし、最大像高をYとしたときに、光学系2は、以下の式(1)~式(4)の少なくとも一つを満たす。
-1.20≦f3/f≦-0.10 ・・・(1)
-0.40≦b2≦-0.06 ・・・(2)
0.3≦OAL123/Y≦2.30 且つ 1.00≦b3≦1.30
・・・(3)
0.60≦f2/f≦0.90 ・・・(4)
【0027】
この光学系2では、最も物体側に負の屈折力を有する第一レンズ群G1が配置されるため、レトロフォーカスのパワー配置を取ることが容易となり、これにより、焦点距離を短くすることで広角化を実現することができる。また、最も像側に負の屈折力を有する第三レンズ群G3が配置されるため、テレフォトのパワー配置を取ることが容易となり、これにより、第二レンズ群G2までの焦点距離を短くすることで薄型化(光軸C方向の寸法の小型化)を実現することもできる。
【0028】
しかも、フォーカシングの際に、第二レンズ群G2を移動できるようにし、前後の群(第一レンズ群G1、第三レンズ群G3)との収差変動バランスを調整することで、全体繰り出し方式の光学系と比較して近接撮像時の像面湾曲変動が抑えられるため、近接撮像距離をより短くすることが可能となる。
【0029】
さらに、フォーカシングの際に、第一レンズ群G1および第三レンズ群G3の光軸C上における撮像素子3(結像面)からの距離を固定し、第二レンズ群G2のみを光軸C方向に移動できるようにすることで、アクチュエーター等のレンズ群G2の移動機構に対する負荷が軽減されるため、光学系2の薄型化や小型化が可能となる。
【0030】
また、本実施形態の光学系2において、式(1)を満たすことで、薄型化され且つ明るい光学系2が得られる。詳しくは、以下の通りである。
【0031】
式(1)は、光学系2全体の無限遠合焦時の焦点距離に対する第三レンズ群G3の焦点距離の比率(f3/f)の範囲を規定しており、この比率(f3/f)が下限値(-1.20)より小さくなると、第三レンズ群G3のパワーが弱くなることでテレフォト化が困難となるため、第二レンズ群G2までの焦点距離を短くすることができず、これにより、薄型化が不十分となる。一方、この比率(f3/f)が上限値(-0.10)より大きくなると、第三レンズ群G3のパワーが強くなることで薄型化は容易になるが、最も像側に近い群(第三レンズ群)G3の負のパワーが強すぎるために明るい(即ち、Fナンバーの小さな)光学系2を構成する事が困難となり、暗い(即ち、Fナンバーの大きな)光学系になってしまう。そこで、本実施形態の光学系2では、光学系2全体の無限遠合焦時の焦点距離に対する第三レンズ群G3の焦点距離の比率(f3/f)を式(1)の範囲とすることで、薄型化と明るさとのバランスを図っている。
【0032】
尚、本実施形態の光学系2において、前記比率(f3/f)は、
-1.10≦f3/f≦-0.50
を満たすことが好ましく、
-1.00≦f3/f≦-0.70
を満たすことが、より好ましい。
【0033】
また、本実施形態の光学系2において、式(2)を満たすことにより、薄型化され且つ広角化された光学系2が得られる。詳しくは、以下の通りである。
【0034】
式(2)は、第二レンズ群G2の無限遠合焦時の横倍率(b2)の範囲を規定しており、この横倍率(b2)が下限値(-0.40)より小さいと、第二レンズ群G2までの焦点距離を短くすることが困難となるため、十分な薄型化が難しくなる。一方、この横倍率(b2)が上限値(-0.06)より大きくなると、第一レンズ群G1のパワーが弱くなるため、広角化が困難となる。そこで、本実施形態の光学系2では、第二レンズ群G2の無限遠合焦時の横倍率(b2)を式(2)の範囲とすることで、薄型化と広角化とのバランスを図っている。
【0035】
尚、本実施形態の光学系2において、前記横倍率(b2)は、
-0.38≦b2≦-0.10
を満たすことが好ましく、
-0.36≦b2≦-0.15
を満たすことが、より好ましい。
【0036】
また、本実施形態の光学系2において、式(3)を満たすことにより、高性能化及び薄型化され、且つ、明るい光学系2が得られる。詳しくは、以下の通りである。
【0037】
式(3)の一つ目の式(0.3≦OAL123/Y≦2.30)は、最大像高に対する各レンズ群G1、G2、G3における最も物体側のレンズ面から最も像側のレンズ面までの距離の合計値の比率(OAL123/Y)の範囲を規定しており、この比率(OAL123/Y)が下限値(0.3)より小さいと、各レンズ群G1、G2、G3の厚みがそれぞれ薄くなり過ぎ(即ち、光軸C方向の寸法が小さくなり過ぎ)収差補正が困難となるため、高性能化が難しくなる。一方、この比率(OAL123/Y)が上限値(2.30)より大きいと、各レンズ群G1、G2、G3の厚みがそれぞれ厚くなり過ぎる(即ち、光軸C方向の寸法が大きくなり過ぎる)ため、薄型化が困難となる。そこで、本実施形態の光学系2では、最大像高に対する各レンズ群G1、G2、G3における最も物体側のレンズ面から最も像側のレンズ面までの距離の合計値の比率(OAL123/Y)を、式(3)の一つ目の式(0.3≦OAL123/Y≦2.30)とすることで、高性能化と薄型化とのバランスを図っている。
【0038】
尚、各レンズ群G1、G2、G3における最も物体側のレンズ面から最も像側のレンズ面までの距離の合計値とは、第一レンズ群G1の最も物体側のレンズ面から最も像側のレンズ面までの距離と、第二レンズ群G2の最も物体側のレンズ面から最も像側のレンズ面までの距離と、第三レンズ群G3の最も物体側のレンズ面から最も像側のレンズ面までの距離と、を合計したものである。
【0039】
また、本実施形態の光学系2において、前記比率(OAL123/Y)は、
0.50≦OAL123/Y≦2.00
を満たすことが好ましく、
0.80≦OAL123/Y≦1.80
を満たすことが、より好ましい。
【0040】
また、式(3)の二つ目の式(1.00≦b3≦1.30)は、第三レンズ群G3の無限遠合焦時の横倍率(b3)の範囲を規定しており、この横倍率(b3)が下限値(1.00)より小さいと、第二レンズ群G2までの焦点距離を短くする事が困難となるため、十分な薄型化が難しくなる。一方、この横倍率(b3)が上限値(1.30)より大きいと、第三レンズ群G3のパワーが強くなることで薄型化は容易になるが、最も像側に近い群(第三レンズ群)G3の負のパワーが強すぎるため、明るい(即ち、Fナンバーの小さな)光学系2を構成する事が困難となり、暗い(即ち、Fナンバーの大きい)光学系になってしまう。そこで、本実施形態の光学系2では、第三レンズ群G3の無限遠合焦時の横倍率(b3)を式(3)の二つ目の式(1.00≦b3≦1.30)とすることで、薄型化と明るさとのバランスを図っている。
【0041】
尚、本実施形態の光学系2において、前記横倍率(b3)は、
1.05≦b3≦1.26
を満たすことが好ましく、
1.10≦b3≦1.24
を満たすことが、より好ましい。
【0042】
また、本実施形態の光学系2において、式(4)を満たすことにより、高性能化され且つ薄型化された光学系2が得られる。詳しくは、以下の通りである。
【0043】
式(4)は、光学系2全体の無限遠合焦時の焦点距離に対する第二レンズ群G2の焦点距離の比率(f2/f)の範囲を規定しており、この比率(f2/f)が下限値(0.60)より小さいと、第二レンズ群G2のパワーが強くなって収差補正が困難となるため、高性能化が難しくなる。一方、この比率(f2/f)が上限値(0.90)より大きいと、第二レンズ群G2のパワーが弱くなって光学系2全体の中で正のパワーが弱まるため、光学系2の薄型化が難しくなる。そこで、本実施形態の光学系2では、光学系2全体の無限遠合焦時の焦点距離に対する第二レンズ群G2の焦点距離の比率(f2/f)を式(4)の範囲とすることで、高性能化と薄型化とのバランスを図っている。
【0044】
尚、本実施形態の光学系2において、前記比率(f2/f)は、
0.70≦f2/f≦0.85
を満たすことが好ましく、
0.75≦f2/f≦0.80
を満たすことが、より好ましい。
【0045】
また、光学系2において、第二レンズ群G2は、光学的手振れ補正の際に光軸Cに対して直交する方向にも移動できるように構成されており、
1.00≦(1-b2)×b3≦1.90
を満たしてもよい。
【0046】
この構成によれば、光学的手振れ補正においてレンズ群G2が光軸Cと直交する方向に移動するときの停止位置の精度の確保が容易で、且つ、小型化された光学系2が得られる。詳しくは、以下の通りである。
【0047】
従来の光学系のオプティカルイメージスタビライゼーション(OIS)による光学的手振れ補正では、光学系または撮像素子を光軸に対して直交方向に移動(シフト)させる必要性がある。そこで、本実施形態の光学系2のように該光学系2を構成する複数のレンズ群G1、G2、G3のうちの一部のレンズ群(第二レンズ群)G2のみを光軸Cと直交する方向に移動できる構成とすることで、OISの際に光軸Cに対して直交方向に移動させるユニットの重量を抑える(即ち、軽量化する)ことができる。これにより、前記ユニットを駆動する駆動系の負荷が抑えられ、その結果、光学系2や該光学系2を備える撮像装置1の小型化を図ることができる。尚、大型の撮像素子3を有する撮像装置1に当該光学系2が用いられたときに、この効果が顕著に得られる。
【0048】
また、上記の式は、第二レンズ群G2を光軸Cに対して直交方向に移動させた際の第二レンズ群G2の移動量と、第二レンズ群G2が移動したことによる像の光軸Cに対する直交方向への移動量との比の範囲を規定しており、この比は、第二レンズ群G2の無限遠合焦時の横倍率と第三レンズ群G3の無限遠合焦時の横倍率とを用いた計算式((1-b2)×b3)によって求められる。この比(前記計算式の値)が下限値(1.00)より小さいと、第二レンズ群G2の光軸Cに対する直交方向の移動による像の移動量が小さいために、OISの際の第二レンズ群G2の移動量(前記直交方向の移動)を大きくする必要があるため、駆動系の負荷が大きくなり、光学系2や、該光学系2を備えた撮像装置1全体の小型化が難しくなる。一方、この比(前記計算式の値)が上限値(1.90)より大きくなると、第二レンズ群G2の光軸に対する直交方向の移動による像の移動量が大きくなる(即ち、敏感になる)ため、光学的手振れ補正においてレンズ群G2が光軸Cと直交する方向に移動するときの該レンズ群G2の停止位置の精度の確保が困難となる。そこで、本実施形態の光学系2では、第二レンズ群G2を光軸Cに対して直交方向に移動させた際の第二レンズ群G2の移動量と、第二レンズ群G2が移動したことによる像の光軸Cに対する直交方向への移動量との比(前記計算式の値)を上記の式の範囲とすることで、小型化と、光学的手振れ補正においてレンズ群G2が光軸Cと直交する方向に移動するときの該レンズ群G2の停止位置の精度の確保のし易さとのバランスを図っている。
【0049】
尚、本実施形態の光学系2において、前記比(前記計算式の値)は、
1.15≦(1-b2)×b3≦1.80
を満たすことが好ましく、
1.30≦(1-b2)×b3≦1.70
を満たすことが、より好ましい。
【0050】
また、光学系2では、第一レンズ群G1の焦点距離をf1としたときに、
-16.00≦f1/f≦-1.80
を満してもよい。
【0051】
この構成によれば、広角化され且つ薄型化された光学系2が得られる。詳しくは、以下の通りである。
【0052】
上記の式は、光学系2全体の無限遠合焦時の焦点距離に対する第一レンズ群G1の焦点距離の比率(f1/f)の範囲を規定しており、この比率(f1/f)が下限値(-16.00)より小さいと、第一レンズ群G1のパワーが弱くなって物体側の負のパワーが弱くなるため、広角化が難しくなる。一方、この比率(f1/f)が上限値(-1.80)より大きいと、第一レンズ群G1のパワーが強くなるため、第二レンズ群G2で正のパワーを強めるためにレンズ枚数が増え、これにより、光学系2の薄型化が難しくなる。そこで、本実施形態の光学系2では、光学系2全体の無限遠合焦時の焦点距離に対する第一レンズ群の焦点距離の比率(f1/f)を上記の式の範囲とすることで、広角化と薄型化とのバランスを図っている。
【0053】
尚、本実施形態の光学系2において、前記比率(f1/f)は、
-10.00≦f1/f≦-2.00
を満たすことが好ましく、
-6.00≦f1/f≦-2.20
を満たすことが、より好ましい。
【0054】
また、光学系2は、絞り径を変更可能な開口絞り(絞り装置)21を備え、該開口絞り21は、第一レンズ群G1と第二レンズ群G2との間に配置されている。
【0055】
第一レンズ群G1の物体側に開口絞り(アイリス)21が配置されると、その機構部分の厚みにより光学系2の光軸方向の寸法が増大するが、上記構成のように、開口絞り21を第一レンズ群G1と第二レンズ群G2との間に配置して光学系2の絞り径を変更できるようにすることで、光学系2の薄型化が可能となる。
【0056】
また、光学系2では、当該光学系2における最も物体側のレンズ面から撮像素子(即ち、結像面)3までの距離をOALとしたときに、
1.20≦OAL/f≦2.30
を満たしてもよい。
【0057】
この構成によれば、高性能化され且つ薄型化された光学系2が得られる。詳しくは、以下の通りである。
【0058】
上記の式は、光学系2全体の無限遠合焦時の焦点距離に対する光学系2の最も物体側のレンズ面から撮像素子3までの距離の比率(OAL/f)の範囲を規定しており、この比率(OAL/f)が下限値(1.20)より小さいと、光学系2の光学全長が短くなって収差補正が困難となるため、高性能化が難しくなる。一方、この比率(OAL/f)が上限値(2.30)より大きいと、光学系2の光学全長が長くなるため、薄型化が難しくなる。そこで、本実施形態の光学系2では、光学系2全体の無限遠合焦時の焦点距離に対する光学系2の最も物体側のレンズ面から撮像素子(結像面)3までの距離の比率(OAL/f)を上記の式の範囲とすることで、高性能化と薄型化とのバランスを図っている。
【0059】
尚、本実施形態の光学系2において、前記比率(OAL/f)は、
1.35≦OAL/f≦2.10
を満たすことが好ましく、
1.50≦OAL/f≦1.90
を満たすことが、より好ましい。
【0060】
また、光学系2では、
1.00≦(1-b2)×b3≦1.70
を満たしてもよい。
【0061】
この構成によれば、薄型化され、且つフォーカシングの際の第二レンズ群G2の停止位置の精度の確保が容易な光学系2が得られる。詳しくは、以下の通りである。
【0062】
上記の式は、第二レンズ群G2を光軸C方向に移動させた際の第二レンズ群G2の移動量と、第二レンズ群G2が移動したことによる結像位置の光軸C方向の移動量との比の範囲を規定しており、この比は、第二レンズ群G2の無限遠合焦時の横倍率と第三レンズ群G3の無限遠合焦時の横倍率とを用いた計算式((1-b2)×b3)によって求められる。この比(前記計算式の値)が下限値(1.00)より小さいと、第二レンズ群G2を光軸C方向に移動させた際の結像位置の移動量が小さくなる(即ち、鈍感になる)ため、フォーカシングの際の第二レンズ群G2の移動量を大きくする必要があり、これにより、光学系2の薄型化が難しくなる。一方、この比(前記計算式の値)が上限値(1.70)より大きいと、第二レンズ群G2を光軸C方向に可動させた際の結像位置の移動量が大きくなる(即ち、敏感になる)ため、フォーカシングの際の第二レンズ群G2の停止位置の精度の確保が困難となる。そこで、本実施形態の光学系2では、第二レンズ群G2を光軸C方向に移動させた際の第二レンズ群G2の移動量と、第二レンズ群G2が移動したことによる結像位置の光軸C方向への移動量との比を上記の式の範囲とすることで、薄型化と、フォーカシングの際の第二レンズ群G2の停止位置の精度の確保のし易さとのバランスを図っている。
【0063】
尚、本実施形態の光学系2において、前記比(前記計算式の値)は、
1.10≦(1-b2)×b3≦1.60
を満たすことが好ましく、
1.20≦(1-b2)×b3≦1.50
を満たすことが、より好ましい。
【0064】
また、光学系2では、第一レンズ群G1における少なくとも一つのレンズのd線での屈折率をnd1とし、第一レンズ群G1における少なくとも一つのレンズのd線基準のアッベ数をvd1としたときに、
1.50≦nd1≦1.70 且つ 15.00≦vd1≦60.00
を満たしてもよい。
【0065】
この構成によれば、広角化、高性能化、及び薄型化された光学系2が得られる。詳しくは、以下の通りである。
【0066】
上記の一つ目の式(1.50≦nd1≦1.70)は、第一レンズ群G1における少なくとも1つのレンズのd線での屈折率(nd1)の範囲を規定しており、この屈折率(nd1)が下限値(1.50)より小さいと、第一レンズ群G1のパワーが弱くなるため、広角化が難しくなる。一方、この屈折率(nd1)が上限値(1.70)より大きいと、製造する際の誤差により性能低下が顕著になるため、高性能化が難しくなる。そこで、本実施形態の光学系2では、第一レンズ群G1における少なくとも1つのレンズのd線での屈折率(nd1)を上記の一つ目の式(1.50≦nd1≦1.70)とすることで、広角化と高性能化とのバランスを図っている。
【0067】
尚、本実施形態の光学系2において、前記屈折率(nd1)は、
1.54≦nd1≦1.69
を満たすことが好ましく、
1.57≦nd1≦1.68
を満たすことが、より好ましい。
【0068】
また、上記の二つ目の式(15.00≦vd1≦60.00)は、第一レンズ群G1における少なくとも1つのレンズのd線基準のアッベ数(vd1)の範囲を規定しており、このアッベ数(vd1)が下限値(15.00)より小さいと、第一レンズ群G1の軸上色収差や倍率色収差を補正するためにレンズ枚数が増えるため、光学系2の薄型化が難しくなる。一方、このアッベ数(vd1)が上限値(60.00)より大きいと、他の群との色収差補正のバランス調整が困難となるため、高性能化が難しくなる。そこで、本実施形態の光学系2では、第一レンズ群G1における少なくとも1つのレンズのd線基準のアッベ数を上記の二つ目の式(15.00≦vd1≦60.00)とすることで、薄型化と高性能化とのバランスを図っている。
【0069】
尚、本実施形態の光学系2において、前記アッベ数(vd1)は、
18.00≦vd1≦57.00
を満たすことが好ましく、
19.00≦vd1≦38.00
を満たすことが、より好ましい。
【0070】
また、光学系2では、第三レンズ群G3における少なくとも一つのレンズのd線での屈折率をnd3とし、第三レンズ群G3における少なくとも一つのレンズのd線基準のアッベ数をvd3としたときに、
1.50≦nd3≦1.70 且つ 15.00≦vd3≦60.00
を満たしてもよい。
【0071】
この構成によれば、広角化、高性能化、及び薄型化された光学系2が得られる。詳しくは、以下のとおりである。
【0072】
上記の一つ目の式(1.50≦nd3≦1.70)は、第三レンズ群G3における少なくとも1つのレンズのd線での屈折率(nd3)の範囲を規定しており、この屈折率(nd3)が下限値(1.50)より小さいと、第三レンズ群G3のパワーが弱くなるため、広角化が難しくなる。一方、この屈折率(nd3)が上限値(1.70)より大きいと、製造する際の誤差による性能低下が顕著になるため、高性能化が難しくなる。そこで、本実施形態の光学系2では、第三レンズ群G3における少なくとも1つのレンズのd線での屈折率(nd3)を上記の一つ目の式(1.50≦nd3≦1.70)とすることで、広角化と高性能化とのバランスを図っている。
【0073】
尚、本実施形態の光学系2において、前記屈折率(nd3)は、
1.54≦nd3≦1.69
を満たすことが好ましく、
1.57≦nd3≦1.68
を満たすことが、より好ましい。
【0074】
また、上記の二つ目の式(15.00≦vd3≦60.00)は、第三レンズ群G3における少なくとも1つのレンズのd線基準のアッベ数(vd3)の範囲を規定しており、このアッベ数(vd3)が下限値(15.00)より小さいと、第三レンズ群G3の軸上色収差や倍率色収差を補正するためにレンズ枚数が増えるため、光学系2の薄型化が難しくなる。一方、このアッベ数(vd3)が上限値(60.00)より大きいと、他の群との色収差補正のバランス調整が困難となるため、高性能化が難しくなる。そこで、本実施形態の光学系2では、第三レンズ群G3における少なくとも1つのレンズのd線基準のアッベ数(vd3)の範囲を上記の二つ目の式(15.00≦vd3≦60.00)とすることで、薄型化と高性能化とのバランスを図っている。
【0075】
尚、本実施形態の光学系2において、前記アッベ数(vd3)は、
18.00≦vd3≦57.00
を満たすことが好ましく、
19.00≦vd3≦38.00
を満たすことが、より好ましい。
【0076】
また、光学系2では、第一レンズ群G1、第二レンズ群G2、及び第三レンズ群G3のうちの少なくとも第一レンズ群G1が、非撮影時に像側に移動できるように構成されている。
【0077】
このため、非撮影時において、少なくとも第一レンズ群G1(本実施形態の光学系2では、第一レンズ群G1及び第二レンズ群G2)を撮像素子(像面)3側に移動させることで、より薄型化できる。また、当該光学系2が撮像装置1に配置され、非撮影時に少なくとも第一レンズ群G1を撮像素子(像面)3側に移動させて当該光学系2全体を撮像装置本体10内に収容させる(即ち、沈胴させる)ことで、撮像装置1の薄型化も図られる。
【0078】
以上のように構成される撮像装置1によれば、十分な広角化と薄型化とを実現できる。
【0079】
次に、本発明の光学系の実施例1~4について説明する。以下の各実施例において、上記実施形態の光学系の各構成と対応する構成については、同じ符号を用いる。また、以下の各実施例における表において、rは曲率半径であり、dはレンズ厚又はレンズ間隔であり、ndはd線の屈折率であり、vdはd線基準のアッベ数を示す。また、非球面は、次に示す式1で定義されるものとする。
【式1】
【0080】
(但し、cは曲率(1/r)であり、hは光軸からの高さ(距離)であり、kは円錐係数であり、A4、A6、A8、A10・・・は各次数の非球面係数である。)
【0081】
また、各縦収差図は、左側から順に、球面収差(SA(mm))、非点収差(AST(mm))、歪曲収差(DIS(%))を示す。球面収差図において、縦軸はFナンバー(図中、FNOで示す)を表し、実線はd線(d-line)の特性であり、短破線はF線(F-line)の特性であり、長破線はC線(C-line)の特性である。非点収差図において、縦軸は、最大像高(図中、Yで示す)を表し、実線は、サジタル平面(図中、Sで示す)の特性であり、破線は、メリディオナル平面(図中、Mで示す)の特性である。歪曲収差図において、縦軸は、最大像高(図中、Yで示す)を表す。
【0082】
[実施例1]
図3及び図4は、本実施例1の光学系のレンズ構成図であり、図3は、無限遠合焦状態を示し、図4は、最至近合焦状態を示す。また、光学系の各構成を示す符号は、上記実施形態の光学系2の対応する構成の符号と同じである。また、この光学系では、フォーカシングの際に、第一レンズ群及び第三レンズ群の撮像素子(像面)に対する光軸上の位置が固定されている。
【0083】
また、図5は、無限遠合焦状態における縦収差図であり、図6は、最至近合焦状態における縦収差図であり、下記の表1は、各レンズの面データを示し、表2は、非球面データを示し、表3は、各種データを示し、表4は、レンズ群データを示す。
【0084】
【表1】

【表2】

【表3】
焦点距離は8.480であり、最大像高は6.293である。

【表4】
【0085】
[実施例2]
図7及び図8は、本実施例2の光学系のレンズ構成図であり、図7は、無限遠合焦状態を示し、図8は、最至近合焦状態を示す。また、光学系の各構成を示す符号は、上記実施形態の光学系2の対応する構成の符号と同じである。また、この光学系においても、フォーカシングの際に、第一レンズ群及び第三レンズ群の撮像素子(像面)に対する光軸上の位置が固定されている。
【0086】
また、図9は、無限遠合焦状態における縦収差図であり、図10は、最至近合焦状態における縦収差図であり、下記の表5は、各レンズの面データを示し、表6は、非球面データを示し、表7は、各種データを示し、表8は、レンズ群データを示す。
【0087】
【表5】

【表6】

【表7】
焦点距離は8.264であり、最大像高は6.324である。

【表8】
【0088】
[実施例3]
図11及び図12は、本実施例3の光学系のレンズ構成図であり、図11は、無限遠合焦状態を示し、図12は、最至近合焦状態を示す。また、光学系の各構成を示す符号は、上記実施形態の光学系2の対応する構成の符号と同じである。また、この光学系においても、フォーカシングの際に、第一レンズ群及び第三レンズ群の撮像素子(像面)に対する光軸上の位置が固定されている。
【0089】
また、図13は、無限遠合焦状態における縦収差図であり、図14は、最至近合焦状態における縦収差図であり、下記の表9は、各レンズの面データを示し、表10は、非球面データを示し、表11は、各種データを示し、表12は、レンズ群データを示す。
【0090】
【表9】

【表10】

【表11】
焦点距離は8.417であり、最大像高は7.150である。

【表12】
【0091】
[実施例4]
図15及び図16は、本実施例3の光学系のレンズ構成図であり、図15は、無限遠合焦状態を示し、図16は、最至近合焦状態を示す。また、光学系の各構成を示す符号は、上記実施形態の光学系2の対応する構成の符号と同じである。また、この光学系においても、フォーカシングの際に、第一レンズ群及び第三レンズ群の撮像素子(像面)に対する光軸上の位置が固定されている。
【0092】
また、図17は、無限遠合焦状態における縦収差図であり、図18は、最至近合焦状態における縦収差図であり、下記の表13は、各レンズの面データを示し、表14は、非球面データを示し、表15は、各種データを示し、表16は、レンズ群データを示す。
【0093】
【表13】

【表14】

【表15】
焦点距離は8.419であり、最大像高は7.150である。

【表16】
【0094】
以上の実施例1~4において、上記実施形態の各条件に対応する値を下記の表17に示す。
尚、表17において、条件式(1)は、 f3/f であり、条件式(2)は、 b2 であり、条件式(3)は、 OAL123/Y であり、条件式(4)は、 b3 であり、条件式(5)は、 f2/f であり、条件式(6)は、 (1-b2)×b3 であり、条件式(7)は、 f1/f であり、条件式(8)は、 OAL/f であり、条件式(9)は、 (1-b2)×b3 であり、条件式(10)は、 nd1 であり、条件式(11)は、 vd1 であり、条件式(12)は、 nd3 であり、条件式(13)は、 vd3 である。
【表17】
【0095】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更及び/又は改良することは容易に成し得ることであると認識すべきである。従って、当業者が実施する変更形態又は改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態又は当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0096】
1…撮像装置、2…光学系、21…開口絞り(絞り装置)、22…鏡筒、23…光学フィルター、3…撮像素子、4…液晶画面、10…撮像装置本体、C…光軸、F…フォーカスレンズ群、G1…第一レンズ群、G2…第二レンズ群、G3…第三レンズ群
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【国際調査報告】