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特表2023-550859電池パックの充電制御方法、装置、電子機器及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-06
(54)【発明の名称】電池パックの充電制御方法、装置、電子機器及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20231129BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20231129BHJP
   H02J 7/04 20060101ALI20231129BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20231129BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20231129BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
H02J7/02 J
H02J7/10 K
H02J7/04 C
H02J7/00 X
H01M10/44 Q
H01M10/48 P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548812
(86)(22)【出願日】2022-06-02
(85)【翻訳文提出日】2022-08-10
(86)【国際出願番号】 CN2022096956
(87)【国際公開番号】W WO2023071197
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】202122624049.2
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100106220
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 正悟
(72)【発明者】
【氏名】王 広軍
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503BA04
5G503BB01
5G503CA01
5G503CA08
5G503CA11
5G503CB06
5G503EA05
5G503FA06
5G503GD03
5G503GD06
5H030AA01
5H030AS08
5H030BB01
5H030FF43
5H030FF44
(57)【要約】
本願は、少なくとも2組の並列接続電池を含む電池パックの充電制御方法、装置、電子機器及び記憶媒体を提供し、この方法は、充電パラメータに基づいて所定の充電時間後の各電池のそれぞれ対応する荷電状態を特定することと、所定の充電時間に充電を停止した後の各電池間の電荷移行量を荷電状態に基づいて算出することと、電荷移行量に基づいて電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にあるか否かを判定することと、YESであれば、所定の充電時間後、電池パックの充電を停止することを含む。電池パックの充電が終了した後、電池パック中の各電池間に相互充電が存在しても、各電池中の電池セルが電荷を受け取った後に過充電問題が発生することはなく、電池パックの寿命を延長し、電池パックに安全上の危険性が生じる確率を下げることができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2組の並列接続電池を含む電池パックの充電制御方法であって、
充電パラメータに基づいて、所定の充電時間後の各電池のそれぞれ対応する荷電状態を特定することと、
前記荷電状態に基づいて前記所定の充電時間に充電を停止した後の前記各電池間の電荷移行量を算出することと、
前記電荷移行量に基づいて電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にあるか否かを判定することと、
YESであれば、前記所定の充電時間後に前記電池パックの充電を停止することとを含むことを特徴とする、電池パックの充電制御方法。
【請求項2】
前記荷電状態は、前記各電池における各電池セルのそれぞれ対応するセル荷電状態の集合であり、前記の前記荷電状態に基づいて所定の充電時間に充電を停止した後の前記各電池間の電荷移行量を算出することは、
前記荷電状態に基づいて、電荷移行関係を有する2組の電池である任意の2組の電池のそれぞれ対応する平均荷電状態を特定することと、
前記平均荷電状態に基づいて前記任意の2組の電池間の平均荷電差を特定することと、
開放電圧と荷電状態との変換関係、前記平均荷電差、前記任意の2組の電池のうち電荷を受け取った電池の平均荷電状態に基づいて、前記所定の充電時間に充電を停止した後の前記任意の2組の電池間の電荷移行量を算出することとを含むことを特徴とする、請求項1に記載の電池パックの充電制御方法。
【請求項3】
前記の開放電圧と荷電状態との変換関係、前記平均荷電差、前記任意の2組の電池のうち電荷を受け取った電池の平均荷電状態に基づいて、前記所定の充電時間に充電を停止した後の前記任意の2組の電池間の電荷移行量を算出することは、
に基づいて、前記所定の充電時間に充電を停止した後の前記任意の2組の電池間の電荷移行量を算出することを含み、
ただし、OCV()は開放電圧と荷電状態との変換関係を表し、SOCavgは電荷を受けた電池の平均荷電状態を表し、ΔSOCは任意の2組の電池間の平均荷電差を表し、kは電池経年係数を表し、SOCtransは、任意の2組の電池間の電荷移行量を表す、
ことを特徴とする、請求項2に記載の電池パックの充電制御方法。
【請求項4】
前記の
に基づいて、前記所定の充電時間に充電を停止した後の前記任意の2組の電池間の電荷移行量を算出する前に、
前回の前記任意の2組の電池が互いに充電された後に前記電荷を受け取った電池の理論開放電圧と実際の開放電圧を取得することと、
前記理論開放電圧と前記実際の開放電圧とが等しいか否かを判定することと、
YESであれば、前回の充電中に使用した電池経年係数を前記電池経年係数とすることと、
NOであれば、
または
に基づいて前記電池経年係数を特定することとをさらに含み、
ただし、OCV()は開放電圧と荷電状態との変換関係を表し、SOCavgは電荷を受けた電池の平均荷電状態を表し、ΔSOCは任意の2組の電池間の平均荷電差を表し、kは電池経年係数を表し、SOCtrans計算は、前回の任意の2組の電池間の理論電荷移行量を表し、SOCtrans実際は前回の任意の2組の電池間の実際の電荷移行量を表す、
ことを特徴とする、請求項3に記載の電池パックの充電制御方法。
【請求項5】
前記の前記荷電状態に基づいて、任意の2組の電池のそれぞれ対応する平均荷電状態を特定することは、
前記任意の2組の電池のそれぞれ対応する総開放電圧及び電池セルの総数を取得することと、
前記総開放電圧と前記総数に基づいて前記任意の2組の電池のそれぞれ対応する平均開放電圧を特定することと、
前記平均開放電圧及び開放電圧と荷電状態との変換関係に基づいて、前記任意の2組の電池の平均荷電状態を特定することとを含むことを特徴とする、請求項2に記載の電池パックの充電制御方法。
【請求項6】
前記の前記電荷移行量に基づいて電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にあるか否かを判定することは、
電荷を受け取った電池の中で、電荷移行前の最も電荷状態が高い目標電池セルを特定することと、
前記電荷移行量、前記目標電池セルの荷電状態、開放電圧と荷電状態との変換関係、及び早期警報電圧値に基づいて、前記電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にあるか否かを判定することとを含むことを特徴とする、請求項1に記載の電池パックの充電制御方法。
【請求項7】
前記の前記電荷移行量、前記目標電池セルの荷電状態、開放電圧と荷電状態の変換関係及び早期警報電圧値に基づいて、前記電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にあるかどうかを判定することは、
が成立すれば、前記電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にないと特定することと、
が成立しなければ、前記電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にあると特定することと、を含み、
ただし、OCV()は開放電圧と荷電状態との変換関係を表し、SOCavgは電荷を受け取った電池の平均荷電状態を表し、ΔSOCabnは、目標電池セルの荷電状態とSOCavgの差を表し、kは電池経年係数を表し、SOCtransは、電荷移行関係を有する2組の電池である任意の2組の電池間の電荷移行量を表し、Vwarningは早期警報電圧値を表す、
ことを特徴とする、請求項6に記載の電池パックの充電制御方法。
【請求項8】
前記の前記電荷移行量に基づいて電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にあるか否かを判定した後、
NOであれば、前記電荷を受け取った電池の現在の荷電状態と臨界過充電状態との間の状態差を特定することと、
前記状態差が所定の差以上である場合、前記所定の充電時間後に第1充電倍率で前記電池パックを充電することと、
前記状態差が所定の差よりも小さい場合、前記所定の充電時間後に前記第1充電倍率よりも小さい第2充電倍率で前記電池パックを充電することとを含むことを特徴とする、請求項1に記載の電池パックの充電制御方法。
【請求項9】
少なくとも2組の並列接続電池を含む電池パックの充電制御装置であって、
所定の充電時間後の各電池のそれぞれ対応する荷電状態を充電パラメータに基づいて特定するための特定モジュールと、
前記所定の充電時間に充電停止後の前記各電池間の電荷移行量を前記荷電状態に基づいて算出するための算出モジュールと、
前記電荷移行量に基づいて電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にあるか否かを判定するための判定モジュールと、
YESであれば、所定の充電時間後に前記電池パックの充電を停止するための制御モジュールとを含むことを特徴とする、電池パックの充電制御装置。
【請求項10】
プロセッサ、メモリ、及びバスを含む電子機器であって、前記プロセッサと前記メモリは、前記バスを介して相互間の通信を完了し、前記プロセッサは、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法を実行するように、前記メモリ内のプログラム命令を呼び出すために用いられることを特徴とする、電子機器。
【請求項11】
記憶されたプログラムを含む記憶媒体であって、前記プログラムの実行時に、前記記憶媒体が配置されている機器が、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法を実行させるように制御されることを特徴とする、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参考
本願は、2021年10月29日に提出された名称が「電池パックの充電制御方法、装置、電子機器及び記憶媒体」である中国特許出願202122624049.2号に基づく優先権を主張するものであり、当該出願の全内容を本文に引用により組み込まれている。
【0002】
本願は、電池技術分野に関し、特に電池パックの充電制御方法、装置、電子機器及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
車両の省エネ・排出削減は自動車産業の持続可能な発展の鍵であり、電気自動車はその省エネ・環境保護の優位性から自動車産業の持続可能な発展の重要な構成部分となっている。電気自動車にとって、電池技術はまたその発展に関わる重要な要素である。
【0004】
電池パックは充電が完了すると、各電池分岐路における電池セルの過充電の問題があり、電池パックの寿命を短縮し、安全上の危険性をもたらすおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記問題点に鑑み、本願は、複数の並列接続電池を有する電池パックにおける電池セルの過充電の問題を回避することができる電池パックの充電制御方法、装置、電子機器及び記憶媒体を提供する。
【0006】
第1側面で、本願は、少なくとも2組の並列接続電池を含む電池パックの充電制御方法であって、充電パラメータに基づいて、所定の充電時間後の各電池のそれぞれ対応する荷電状態を特定することと、前記荷電状態に基づいて前記所定の充電時間に充電を停止した後の前記各電池間の電荷移行量を算出することと、前記電荷移行量に基づいて電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にあるか否かを判定することと、YESであれば、前記所定の充電時間後に前記電池パックの充電を停止することと、を含む電池パックの充電制御方法を提供する。
【0007】
本願の実施形態の技術案で、所定の充電時間後の電池パックにおける各電池のそれぞれ対応する荷電状態に基づいて、所定の充電時間に充電を停止した後の各電池間の電荷移行量を算出することにより、電荷移行量に基づいて、電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にあるか否かを判定し、YESであれば、所定の充電時間後に電池パックの充電を停止する。このように、電池パックの充電が終了した後に、電池パックにおける各電池間に相互充電が存在しても、各電池中の電池セルが電荷を受け取った後に過充電問題が発生することがなく、電池パックの寿命を延長し、電池パックに安全上の危険性が生じる確率を低減することができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、前記荷電状態は、前記各電池における各電池セルのそれぞれ対応するセル荷電状態の集合であり、前記の前記荷電状態に基づいて前記所定の充電時間に充電を停止した後の前記各電池間の電荷移行量を算出することは、前記荷電状態に基づいて、電荷移行関係を有する2組の電池である任意の2組の電池のそれぞれ対応する平均荷電状態を特定することと、前記平均荷電状態に基づいて前記任意の2組の電池間の平均荷電差を特定することと、開放電圧と荷電状態との変換関係、前記平均荷電差、前記任意の2組の電池のうち電荷を受け取った電池の平均荷電状態に基づいて、前記所定の充電時間に充電を停止した後の前記任意の2組の電池間の電荷移行量を算出することとを含む。
【0009】
2組の電池のそれぞれ対応する平均荷電状態で2組の電池間の平均荷電差を算出することは、電池には複数の電池セルがあることが多く、各電池セルの荷電状態に差があるため、平均荷電状態により電池中の各電池セルの荷電状態レベルをよりリアルに表現することができ、そして2組の電池間の電荷移行量をより正確に特定することができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、前記の開放電圧と荷電状態との変換関係、前記平均荷電差、前記任意の2組の電池のうち電荷を受け取った電池の平均荷電状態に基づいて、前記所定の充電時間に充電を停止した後の前記任意の2組の電池間の電荷移行量を算出することは、
に基づいて、前記所定の充電時間に充電を停止した後の前記任意の2組の電池間の電荷移行量を算出することを含み、ただし、OCV()は開放電圧と荷電状態との変換関係を表し、SOCavgは電荷を受けた電池の平均荷電状態を表し、ΔSOCは任意の2組の電池間の平均荷電差を表し、kは電池経年係数を表し、SOCtransは、任意の2組の電池間の電荷移行量を表す。
【0011】
開放電圧と荷電状態との変換関係、両電池の平均荷電差及び両電池のうち電荷を受け取った電池の平均荷電状態に基づいて、両電池間の電荷移行量を算出する過程で、電荷を受け取った電池の老化状況、すなわち、電荷を受け取った電池が実際に受け取り可能な電荷量を十分に考慮し、電荷移行量を算出する過程で、電池経年係数を加え、両電池間の電荷移行量をより正確に特定することができ、そして、電荷を受け取った電池が所定の時間に充電を停止した後、臨界過充電状態になるか否かをより正確に特定することができ、電池パックの充電をより正確に制御することができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記の
に基づいて、前記所定の充電時間に充電を停止した後の前記任意の2組の電池間の電荷移行量を算出する前に、前回の前記任意の2組の電池が互いに充電された後に前記電荷を受け取った電池の理論開放電圧と実際の開放電圧を取得することと、前記理論開放電圧と前記実際の開放電圧とが等しいか否かを判定することと、YESであれば、前回の充電中に使用した電池経年係数を前記電池経年係数とすることと、NOであれば、
またはK=SOCtrans実際SOCtrans計算に基づいて前記電池経年係数を特定することとをさらに含み、ただし、OCV()は開放電圧と荷電状態との変換関係を表し、SOCavgは電荷を受けた電池の平均荷電状態を表し、ΔSOCは任意の2組の電池間の平均荷電差を表し、kは電池経年係数を表し、SOCtrans計算は、前回の任意の2組の電池間の理論電荷移行量を表し、SOCtrans実際は前回の任意の2組の電池間の実際の電荷移行量を表す。
【0013】
電池パックを充電制御するたびに、電池老化パラメータを修正する必要があり、充電制御のたびに電荷を受け取った電池の実際の電荷取得量を正確に推定することができるようにして、そして、電荷を受け取った電池が所定の時間に充電を停止した後、臨界過充電状態になるか否かをより正確に特定することができ、電池パックの充電をより正確に制御することができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記の前記荷電状態に基づいて、任意の2組の電池のそれぞれ対応する平均荷電状態を特定することは、前記任意の2組の電池のそれぞれ対応する総開放電圧と電池セルの総数を取得することと、前記総開放電圧と前記総数に基づいて前記任意の2組の電池のそれぞれ対応する平均開放電圧を特定することと、前記平均開放電圧及び開放電圧と荷電状態との変換関係に基づいて前記任意の2組の電池の平均荷電状態を特定することとを含む。
【0015】
各電池セルの開放電圧を取得し、各電池セルの開放電圧を加算し、そして電池の総開放電圧を得る。一つの電池セルの開放電圧を取得するごとに一定の誤差があるため、各電池セルの開放電圧を加算すると、得られる電池の総開放電圧に大きな誤差がある。電池の総開放電圧を直接取得し、電池の総開放電圧に基づいて電池の平均開放電圧を特定することにより、電池の平均荷電状態を特定し、電池の総開放電圧取得の誤差を減少することができ、さらに電池の平均荷電状態特定の正確性を高め、さらに電荷移行量をより正確に特定することができ、さらに電池パックの充電制御の正確性を高め、電池の過充電をより正確に回避することができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記の前記電荷移行量に基づいて、電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にあるかどうかを判定することは、電荷を受け取った電池の中で、電荷移行前の最も電荷状態が高い目標電池セルを特定することと、前記電荷移行量、前記目標電池セルの荷電状態、開放電圧と荷電状態との変換関係、及び早期警報電圧値に基づいて、前記電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にあるか否かを判定することとを含む。
【0017】
電荷を受け取った電池の中で電荷移行前の最も電荷状態が高い目標電池セルが、所定の充電時間に充電を停止した後に過充電が発生するか否かにより、電荷を受け取った電池が、所定の充電時間に充電を停止した後に過充電が発生するか否かを特定し、電池の電荷状態の計算量を減少することができ、さらに電池が臨界過充電状態にあるか否かを確認する速度を向上させ、電池パックの充電制御のリアルタイム性を向上させることができる。
【0018】
いくつかの実施形態において、前記の前記電荷移行量、前記目標電池セルの荷電状態、開放電圧と荷電状態の変換関係及び早期警報電圧値に基づいて、前記電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にあるかどうかを判定することは、
が成立すれば、前記電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にないと特定することと、
が成立しなければ、前記電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にあると特定することとを含み、ただし、OCV()は開放電圧と荷電状態との変換関係を表し、SOCavgは電荷を受け取った電池の平均荷電状態を表し、ΔSOCabnは、目標電池セルの荷電状態とSOCavgの差を表し、kは電池経年係数を表し、SOCtransは、電荷移行関係を有する2組の電池である任意の2組の電池間の電荷移行量を表し、Vwarningは早期警報電圧値を表す。
【0019】
電荷を受け取った電池の中で電荷移行前の最も電荷状態が高い目標電池セルの電荷移行後の開放電圧を特定する際に、電荷が目標電池セルに移行される過程において、また電池老化パラメータ、すなわち目標電池セルが実際に受け取れる電荷量を考慮して、目標電池セルの相互充電後の開放電圧特定の正確性を向上させることができ、さらに、電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にあるか否かをより正確に特定することができ、電池パックの充電制御の精度を向上させることができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、前記の前記電荷移行量に基づいて電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にあるかどうかを判定した後、NOであれば、前記電荷を受け取った電池の現在の荷電状態と臨界過充電状態との間の状態差を特定することと、前記状態差が所定の差以上である場合、前記所定の充電時間後に第1充電倍率で前記電池パックを充電することと、前記状態差が所定の差よりも小さい場合、前記所定の充電時間後に前記第1充電倍率よりも小さい第2充電倍率で前記電池パックを充電することとをさらに含む。
【0021】
荷電を受け取った電池の現在の荷電状態と臨界過充電状態との状態差の大きさに基づいて、後続の電池パックに対する充電倍率を特定する。状態差が大きい場合には、高い充電倍率を用いて電池パックの充電を継続することができ、電池パックの充電時間を短縮し、電池パックの充電効率を向上させることができる。状態差が小さい場合、低い充電倍率を用いて電池パックの充電を継続することができ、電池が臨界過充電状態を急速に通過することを回避することができ、電池が臨界過充電状態に達する直前で、充電停止を正確に制御することができ、充電制御の正確性を高めることができる。
【0022】
第2の側面では、本願は、少なくとも2組の並列接続電池を含む電池パックの充電制御装置であって、充電パラメータに基づいて所定の充電時間後の各電池のそれぞれ対応する荷電状態を特定するための特定モジュールと、前記所定の充電時間に充電停止後の前記各電池間の電荷移行量を前記荷電状態に基づいて算出するための算出モジュールと、前記電荷移行量に基づいて電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にあるか否かを判定するための判定モジュールと、YESであれば、前記所定の充電時間後に電池パックの充電を停止するための制御モジュールとを含む電池パックの充電制御装置を提供する。
【0023】
第3の側面では、本願は、プロセッサ、メモリ、及びバスを含む電子機器であって、そのうち、前記プロセッサと、前記メモリは、前記バスを介して相互間の通信を完了し、前記プロセッサは、第1の側面での方法を実行するように、メモリ内のプログラム命令を呼び出すために用いられる電子機器を提供する。
【0024】
第4の側面では、本願は、記憶されたプログラムを含む記憶媒体であって、前記プログラムの実行時、前記記憶媒体が配置されている機器が、第1側面での方法を実行させるように制御されるコンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0025】
上記の説明は本願の技術案の概略にすぎず、本願の技術手段をより明確に知ることができるように、明細書の内容に従って実施することができ、また、本願の上記及びその他の目的、特徴及び利点をより明確にわかりやすくするために、以下に本願の具体的な実施形態を特に挙げる。
【0026】
以下の好ましい実施形態の詳細な説明を読むことにより、様々な他の利点及び利点が当業者に明らかになるであろう。図面は、好ましい実施形態を示す目的にのみ使用され、本願に対する制限とは考えられない。また、全ての図において、同じ部材を同じ符号で示している。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本願実施形態における電池パックの構成模式図である。
図2】本願実施形態における電池パックの充電制御方法のフローチャートである。
図3】本願実施形態における電荷移行量を特定するフローチャートである。
図4】本願実施形態における開放電圧と荷電状態との対応関係の模式図の1である。
図5】本願実施形態における開放電圧と荷電状態との対応関係の模式図の2である。
図6】本願実施形態における電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にあるか否かを判定するフローチャート模式図である。
図7】本願実施形態における相互充電後の各電池における電池セルの荷電状態の模式図である。
図8】本発明の実施形態における電池が臨界過充電状態にないと特定した後の更なる充電制御プロセスのフローチャートである。
図9】本願実施形態における電池パックの充電制御装置の構成模式図の1である。
図10】本願実施形態における電池パックの充電制御装置の構成模式図の2である。
図11】本願実施形態における電子機器の構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の技術案の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態は、本願の技術案をより明確に説明するためにのみ使用されるため、一例としてのみ使用され、それによって本願の保護範囲を制限することはできない。
【0029】
特に定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術および科学用語は、本願の技術分野に属する技術者が通常理解しているものと同じ意味であり、本明細書で使用される用語は、具体的な実施形態を説明するためのものであり、本願を限定することを意図しているものではなく、本願の明細書及び特許請求の範囲並びに上述の図面説明における用語「含む」及び「有する」並びにそれらの任意の変形は、ほかを除外しない包含をカバーすることを意図する。
【0030】
本願実施形態の説明では、技術用語「第1」「第2」などは、異なる対象を区別するためにのみ使用され、相対的な重要性を指示または暗示する、または指示された技術的特徴の数、特定の順序、または主次関係を暗黙的に示すとは理解されない。本願実施形態の説明において、「複数」は、特に特定の限定がない限り、2つ以上を意味する。
【0031】
本明細書で「実施形態」に言及することは、実施形態に関連して説明された特定の特徴または特性が、本願の少なくとも1つの実施形態に含まれることができることを意味する。本明細書の様々な場所でこのフレーズが現れることは、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すわけではなく、他の実施形態と排他的な独立したまたは代替的な実施形態でもない。当業者は、本明細書に記載された実施形態が他の実施形態と組み合わせることができることを明示的かつ暗黙的に理解している。
【0032】
本願実施形態の説明において、用語「および/または」は、単に関連する対象の関連関係を記述することにすぎず、3つの関係が存在できることを意味し、Aおよび/またはBは、Aが単独存在する、AとBの両方が存在する、Bが単独存在するという3つの状況を示すことができる。また、本文中の文字「/」は、前後の関連する対象が「または」の関係であることを一般的に表す。
【0033】
本願実施形態の説明において、「複数」という用語は、2つ以上(2つを含む)を意味し、同様に、「複数組」とは2組以上(2つの組を含む)を意味し、「複数枚」とは2枚以上(2枚を含む)を意味する。
【0034】
本願の実施形態の説明において、技術用語「中心」「縦」「横」「長さ」「幅」「厚さ」「上」「下」「前」「後」「左」「右」「垂直」「水平」「上」「底」「内」「外」「時計回り」「反時計回り」「軸方向」「径方向」「周方向」などが示す方位または位置関係は、図に示す方位または位置関係に基づくものであり、単に、本願の実施形態を説明し、説明を簡略化するのを容易にするためであって、指定された装置または要素が特定の方位、特定の方位で構成され、動作しなければならないことを指示または暗示するのではなく、したがって、本願の実施形態に対する制限と理解することはできない。
【0035】
本願実施形態の説明において、特に明確な規定と限定がない限り、技術用語「取り付け」「つながる」「接続」「固定」などの用語は広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能な接続であってもよく、一体であってもよい。機械的接続でもよいし、電気的接続でもよい。直接的につながってもよいし、中間媒体を介して間接的につながってもよいし、2つの素子の内部の連通や2つの素子の相互作用関係であってもよい。当業者にとっては、本願実施形態における上記用語の具体的な意味は、具体的な状況に応じて理解することができる。
【0036】
現在、電気自動車産業の発展に伴い、電池充電技術もますます重視されている。高消費電力の電動車両において、例えば、電動バス車両などは、その高消費電力量の特性から、電力を安定的に供給し続けることができるために、複数の電池を並列接続して、電動車両に使用するための電池パックを構成する必要がある。
【0037】
発明者らは、電池パックが複数回の充放電サイクルを経て使用された後、電池パックを再度充電すると、充電が終了した後に、電池パックにおける各電池分岐路間でまた相互充電し、すなわち、一方の電池分岐路が他方の電池分岐路を充電することに留意した。その原因は、電池パックにおける各電池分岐路間にインピーダンス不整合が存在するためであり、特に各電池分岐路中の各電池セルが老化した後、各電池分岐路間のインピーダンス不整合の程度がより著しくなった。電池パックの充電が終了すると、一方の電池分岐路全体の荷電状態(State Of Charge,SOC)がもう一方の電池分岐路全体の荷電状態よりも高い場合がある。このとき、高荷電状態の電池分岐路は、両電池分岐路全体の荷電状態がバランスするまで、低荷電状態の電池分岐路に充電、すなわち戻し充電を行う。一方、充電された電池分岐路のいずれかの電池セルが戻し充電前にその荷電状態が高いと、戻し充電後にその電池セルの荷電状態が100%を超える可能性があり、すなわち過充電となる。これにより、電池パックの寿命が短くなり、爆発や火災などの安全上の危険性も深刻になる。
【0038】
本発明者らは、各電池分岐路における電池セルの過充電の問題を回避するために、電池パックの充電中に各時刻に充電を停止した後に各電池分岐路間で相互に移動する電荷量を順次算出することができ、さらに、それぞれ、各々算出された結果に基づいて、各時刻に電池パックの充電を停止するとともに電池パック中の各電池分岐路間での充電を完了する後、充電された電池分岐路における電池セルの荷電状態がその最大荷電状態に達しているか否かを順次特定する。もし達していなければ、この時点で電池パックの充電を停止し、各電池分岐路間に戻し充電が発生しても、その電池セルが過充電されることはなく、この時点で電池パックの充電を継続することができることを説明する。達していると、この時点で電池パックの充電を停止し、各電池分岐路間に戻し充電が発生することで、その電池セルの荷電状態がその最大荷電状態になることを示し、その時点で電池パックの充電を停止する必要がある。このとき電池パックの充電を継続すれば、その後のある時点で充電を停止した後、各電池分岐路間で戻し充電が発生すると、その電池セルの荷電状態がその最大荷電状態を超え、その電池セルが過充電になる。したがって、このとき電池パックの充電を停止し、各電池分岐路間を相互充電した後、電荷を受け取った電池分岐路の中で最も高い電荷状態を有する電池セルの電荷状態が、ちょうどその収容可能な最大荷電状態に達したとある時点で判定すれば、電池パックの充電を停止することを特定することができる。
【0039】
電池パックへの充電中の各時点で充電を停止し、各電池分岐路の戻し充電が完了した後、各電池分岐における電池セルの荷電状態が、その収容可能な最大荷電状態に達しているか否かを順次判定することにより、判定結果に基づいて、ある時点で電池パックへの充電を停止するか否かを判定する。すなわち、電池パックを充電制御する過程で、充電停止後の電池パックにおける各電池分岐路間の相互充電後、各電池分岐路における電池セルの荷電状態が、それが収容可能な最大荷電状態を超えているか否かを考慮して、電池パックを充電する制御(すなわち、充電を停止するか否か)を実現する。このようにして、電池パックの充電終了後に、電池パック中の各電池分岐路間の相互充電による各電池分岐路における電池セルの過充電の問題を回避することができ、電池パックの寿命を延ばすことができ、電池パックに爆発、燃焼などの安全上の危険が発生する確率を低減することができる。
【0040】
本願実施形態が提供する電池パックの充電制御方法、装置、電子機器及び記憶媒体は、携帯電話、タブレット、ノートパソコン、電動玩具、電動工具、電気自動車、電気自動車、汽船、宇宙機などの充電パックを含む電力使用装置に使用されることができるが、これらに限定されない。ここで、電動玩具は、固定式又は移動式の電動玩具を含むことができる。例えば、ゲーム機、電気自動車玩具、電気汽船玩具、電気飛行機玩具など。宇宙機は、航空機、ロケット、スペースシャトル、宇宙船などを含むことができる。本願実施形態が提供する電池パックの充電制御方法、装置、電子機器及び記憶媒体により、電気使用装置における電池パックの充電終了後、電池セルに過充電問題が発生することを回避することができ、電池パックの寿命を延長し、電池パックの過充電による安全上の危険性を低減することができる。
【0041】
本願実施形態は、電池パックの充電制御方法を提供する。図1は、本願実施形態における電池パックの構成模式図であり、図1に示すように、電池パックには、少なくとも2組の並列接続電池101が含まれる。一方、各組の電池101には、複数の電池セル1011が直列に接続されている。もちろん、各組の電池101には、1つの電池セル1011のみが存在していてもよい。ここでは、各組の電池101における電池セル1011の具体的な数については限定しない。また、本願実施形態が提供する電池パックの充電制御方法は、図1に示す電池パックを充電制御するためのものである。
【0042】
図2は、本願実施形態における電池パックの充電制御方法のフローチャートであり、図2に示すように、この方法は、以下を含む。
【0043】
S21:充電パラメータに基づいて、所定の充電時間後の各電池のそれぞれ対応する荷電状態を特定する。
【0044】
電池パックを充電する過程で、ある時点で充電を停止すると、電池パック中の各組の電池間のインピーダンスが不整合であるため、各組の電池のこの時点での開放電圧に差があり、開放電圧が相対的に高い電池は開放電圧が相対的に低い電池に充電する。すなわちこれが戻し充電である。そして、戻し充電の過程は実際には電荷移行の過程である。戻し充電後の開放電圧が相対的に低い電池中の電池セルについて、それ自身が耐えうる電荷量を超えて過充電してしまうことを回避するためには、その時点(すなわち、所定の充電時間)で電池パックへの充電を停止した後、及び電池パック中の各電池が互いに充電する前に、各電池がそれぞれ対応する荷電状態を特定する必要がある。
【0045】
所定の充電時間後の各電池のそれぞれ対応する荷電状態を特定するために、具体的な実施過程では、以下の2つの異なる期間で特定することができる。
【0046】
期間1:電池パックを充電する過程中。
【0047】
すなわち、電池パックを充電する過程で、充電パラメータに基づいて現時点の各電池の対応する荷電状態をリアルタイムに特定する。
【0048】
ここで、充電パラメータは、リアルタイムで測定されたパラメータであってもよい。具体的には、充電パラメータは、各組の電池現在それぞれ対応する開放電圧であっても良い。開放電圧と荷電状態との変換関係により、各開放電圧のそれぞれ対応する各電池の荷電状態を特定することができる。
【0049】
もちろん、充電パラメータは、各組の電池が充電前にそれぞれ対応する開放電圧、電池パックの充電時に各電池に流れる電流、及び電池パックの現在の充電時間であっても良い。各電池に流れる電流と電池パックの現在の充電時間に基づいて、アンペア時積分法を採用することで、各電池の充電中に得られる電荷量を得ることができる。そして、各電池の充電前の開放電圧を荷電状態に変換し、さらに各電池の充電前の荷電状態と充電中に得られた電荷量とをそれぞれ加算することで、各電池の現在それぞれ対応する開放電圧を得ることができる。
【0050】
各組の電池に複数の電池セルが存在する場合には、電池の荷電状態を得るために、各電池セルの開放電圧をそれぞれ取得してもよいし、各組の電池セルにおける全電池セルの合計開放電圧を直接取得し、さらにその組の電池の開放電圧を取得して、その組の電池の荷電状態を得ることもできる。電池開放電圧を取得する具体的な方法については、ここでは限定されない。
【0051】
期間2:電池パックを充電する前。
【0052】
すなわち、電池パックを充電する前に、充電パラメータに基づいて、ある時点での各電池の対応する荷電状態を予め特定する。
【0053】
ここで、充電パラメータは、充電電源及び電池の関連パラメータであってもよい。具体的には、充電パラメータは、充電電源の電圧及び各電池の内部抵抗であってもよい。充電電源の電圧及び各電池の内部抵抗により各電池の充電電流を得ることができ、さらに各電池の充電電流、各電池の内部抵抗及び充電時間により各電池の荷電状態を得ることができる。
【0054】
S22:荷電状態に基づいて、所定の充電時間に充電を停止した後の各電池間の電荷移行量を算出する。
【0055】
各電池のインピーダンスが不整合であるため、充電停止後には各電池の電圧に差があり、各電池間で相互充電が行われることもある。すなわち、各電池間で電荷の移行も行われるので、各電池の所定の充電時間後の対応する荷電状態を特定した後、この所定の充電時間に充電停止した後の各電池間の電荷の移行量を算出することができる。
【0056】
一般に、電荷は、比較的電荷量の多い電池から比較的電荷量の少ない電池に流れる。電荷量が相対的に多い電池が第1分岐路であり、電荷量が相対的に少ない電池が第2分岐路であると仮定する。まず、第1分岐路の荷電状態と第2分岐路の荷電状態とを減算することができる。そして、減算した結果の半分を電荷移行量とする。このように、第2分岐路の荷電状態に電荷移行量を加えることで、第1分岐路の荷電状態から電荷移行量を減算したものと電荷総量において等しくなり、さらに第1分岐路と第2分岐路との間で電荷移行がなくなる。
【0057】
もちろん、所定の充電時間後の各電池の対応する荷電状態を特定した後、他の方法で所定の充電時間に充電を停止した後の各電池間の電荷移行量を特定することもできる。例えば、方程式により算出する。また、電荷量が相対的に多い電池が第1分岐路であり、電荷量が相対的に少ない電池が第2分岐路であると仮定する。まず、その方程式の左辺は、第1分岐路荷電状態から電荷移行量を減算して、第1分岐路の戻し充電後の開放電圧を表す。そして、その方程式の右辺は、第2分岐路の荷電状態に電荷移行量を加えて、第2分岐路の戻し充電後の開放電圧を表す。最後に、その方程式を解くことにより、所定の充電時間に充電を停止した後の各電池間の電荷移行量も得ることができる。
【0058】
以上は、電池パックが2つの並列接続電池、すなわち2つの分岐路を有することを例に説明した。電池パックが2つ以上並列接続された電池、すなわち2つ以上の分岐路を有する場合にも、上記のようにして各電池間の電荷移行量を特定することができ、最終的には電池パックにおける各電池の荷電状態をバランスさせるだけでよい。
【0059】
電池パックは、第1分岐路、第2分岐路、第3分岐路の3つの並列接続電池を有し、これら3つの分岐路が充電された後の荷電状態が順次減少していると仮定する。すると、先に上記のように、任意の2つの分岐路(例えば、第1分岐路と第2分岐路)間の電荷移行量を特定し、さらに第1分岐路と第2分岐路との電荷移行後の荷電状態をそれぞれ特定することができる。次に、上記のように、第1分岐路と第3分岐路、第2分岐路と第3分岐路の間の電荷移行量をそれぞれ特定する。2回得られた電荷移行量の合計は、最終的に必要となる各電池間の電荷移行量である。
【0060】
電池パックは、第1分岐路、第2分岐路、第3分岐路及び第4分岐路の4つの並列接続電池を有し、これら4つの分岐路が充電された後の荷電状態は順次減少していると仮定する。上記3つの分岐路の方式に従って電荷移行量を特定するほか、先に上記2つの分岐路の方式によって2つの分岐路(例えば、第1分岐路と第2分岐路、第3分岐路と第4の分岐)間の電荷移行量をそれぞれ特定し、さらにそれぞれ第1分岐路と第2分岐路が電荷を移行させた後の荷電状態、および第3分岐路と第4の分岐路が電荷を移行させた後の荷電状態を特定することができる。次に、上記2つの分岐路の方式により、それぞれ第1、2分岐と第3、4分岐との間の電荷移行量を特定する。2回得られた電荷移行量の合計は、最終的に必要となる各電池間の電荷移行量である。
【0061】
S23:電荷移行量に基づいて、電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にあるか否かを判定する。
【0062】
一方の電池が他方の電池に移行する電荷移行量を特定した後、電荷移行量が大きすぎると、電荷を受け取った電池における電池セルの既存の電荷量に移行電荷量を加えると、電池セル自体が収容できる最大電荷量を超え、電池セルが過充電になる。そのため、電荷移行量と、電荷を受け取った電池中の既存の電荷量とを加算し、加算された電荷量が、電荷を受け取った電池が収容可能な最大電荷量に達したか否か、すなわち、電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にあるか否かを判定する必要がある。
【0063】
具体的な実施過程において、電荷移行量は、電荷を受け取った電池の各電池セルに付加する必要があるので、電荷を受け取った電池における電池セルの数に応じて電荷移行量を平均し、さらに平均後の電荷移行量を、電荷を受け取った電池における各電池セルにそれぞれ付加することにより、各電池セルが電荷を付加された後に臨界過充電状態にあるか否かを判定する。
【0064】
S24:YESであれば、所定の充電時間後、電池パックの充電を停止する。
【0065】
電荷を受け取った電池が電荷移行量を加えた後に臨界過充電状態にあると判定すれば、所定の充電時間に電池パックの充電を停止した後、電池パックにおける電池が相互充電され、電池パック中の電池が最大許容状態に達し、再び電荷を受け取ると過充電の問題が発生することを意味し、所定の充電時間後に電源を制御して電池パックの充電を停止することができる。
【0066】
一方、電荷を受けた電池が電荷移行量を加えた後も臨界過充電状態にないと判定すれば、所定の充電時間に電池パックの充電を停止した後、電池パック中の電池が相互充電されても、電池パック中の電池に過充電問題が発生しないことを意味し、所定の充電時間後に電源を制御して電池パックを充電し続けることができる。
【0067】
すなわち、電池パックを充電する過程で、現在時刻に電池パックの充電を停止する後の各電池間の電荷移行量をリアルタイムに予測することができ、さらに、電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にあるかどうかを判定し、さらに、充電を停止する後、各電池間の相互充電が電池に過充電問題を発生させないことを確保するように、現在時刻に電池パックの充電を停止するか否かを判定することができ、さらに電池の寿命を高められる。
【0068】
もちろん、電池パックを充電する前に、充電時間の長さに応じて、時刻ごとに電池パックの充電を停止した後、各電池間の電荷移行量を順次予測し、そして、電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にあるか否かを判定し、さらに、充電を停止した後、各電池間の相互充電が電池に過充電問題を発生させないように、ある時刻に電池パックの充電を停止するか否かを判定するようにしてもよく、さらに電池の寿命を高められる。
【0069】
以上のことから、本願実施形態が提供する電池パックの充電制御方法は、所定の充電時間後の電池パックのそれぞれ対応する荷電状態に基づいて、所定の充電時間の充電停止後の各電池間の電荷移行量を計算し、電荷移行量に基づいて、電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にあるか否かを判定し、YESであれば、所定の充電時間後に電池パックの充電を停止する。このように、電池パックの充電が終了した後に、電池パック中の各電池間に相互充電が存在しても、各電池中の電池セルが電荷を受け取った後に過充電問題が発生することがなく、電池パックの寿命を延長し、電池パックに安全上の危険性が生じる確率を低減することができる。
【0070】
上記実施形態に基づいて、図3は、本願実施形態における電荷移行量を特定するフローチャートである。所定の充電時間に充電を停止した後の各電池間の電荷移行量を、荷電状態に基づいて算出するステップS22においては、図3で示すように、具体的には、以下を含む。
【0071】
S221:荷電状態に基づいて、任意の2組の電池のそれぞれ対応する平均荷電状態を特定する。
【0072】
ここで、荷電状態は、各電池における各電池セルのそれぞれ対応するセル荷電状態の集合である。任意の2組の電池は、電荷移行関係を有する2組の電池である。
【0073】
すなわち、電池パックにける各電池の電池セル毎の荷電状態は既知であり、電荷移行関係を有する任意の2組の電池については、平均値計算により各組電池におけるすべての電池セルの平均荷電状態を得ることができる。
【0074】
S222:平均荷電状態に基づいて、任意の2組の電池間の平均荷電差を特定する。
【0075】
任意の2組の電池のそれぞれ対応する平均荷電状態を特定した後、これら2組の電池のそれぞれ対応する平均荷電状態を減算すると、任意の2組の電池の間の平均荷電差が得られる。
【0076】
S223:開放電圧と荷電状態の変換関係、平均荷電差、任意の2組の電池における電荷を受け取った電池の平均荷電状態に基づいて、所定の充電時間に充電を停止した後の任意の2組の電池間の電荷移行量を算出する。
【0077】
ここで、開放電圧と荷電状態との変換関係は関数とすることができる。この関数では、荷電状態は独立変数であり、開放電圧は従属変数である。例えば、
である。ここで、xは荷電状態を表し、OCVは開放電圧を表し、kはパラメータである。
【0078】
もちろん、開放電圧と荷電状態との変換関係は、予め定められた電池または電池セルの開放電圧と荷電状態との対応関係図であってもよい。図4は本願実施形態における開放電圧と荷電状態との対応関係を示す模式図の1であり、同図において、横座標は荷電状態を示し、縦座標は開放電圧を示す。もちろん、開放電圧と荷電状態との変換関係は他の形式でも表現することができ、ここでは具体的に限定されない。
【0079】
S221から電荷を受け取った電池の平均荷電状態を得ることができ、S222から両電池間の平均荷電差を得ることができ、さらに開放電圧と荷電状態の変換関係を結合して、電荷移行後、電荷を受け取った電池の開放電圧と電荷を送る電池の開放電圧とが同じになることを基準として、開放電圧と荷電状態との間の変換を経て、所定の充電時間に充電を停止した後の任意の2組の電池間の電荷移行量を算出することができる。
【0080】
以上より、2組の電池のそれぞれ対応する平均荷電状態から2組の電池間の平均荷電差を算出することは、電池には複数の電池セルがあることが多く、各電池セルの荷電状態に差があるため、平均荷電状態により電池中の各電池セルの荷電状態レベルをよりリアルに表現することができ、さらに2組の電池間の電荷移行量をより正確に特定することができる。
【0081】
上記実施形態に基づいて、開回路電圧と荷電状態との変換関係、前記平均荷電差、前記任意の2組の電池のうち電荷を受け取った電池の平均荷電状態に基づいて、前記所定の充電時間の充電停止後における前記任意の2組の電池間の電荷移行量を算出するステップS223においては、具体的には、以下を含む。
【0082】
に基づいて、所定の充電時間に充電を停止した後の任意の2組の電池間の電荷移行量を算出する。
【0083】
ただし、OCV()は、開放電圧と荷電状態との変換関係を表す。SOCavgは、電荷を受けた電池の平均荷電状態を表す。ΔSOCは、任意の2組の電池間の平均荷電差を表す。kは電池経年係数を表す。SOCtransは、任意の2組の電池間の電荷移行量を表す。
【0084】
具体的な計算過程では、次のステップを含めることができる。
【0085】
ステップ1-1:式(1)で、SOCtrans=0を設定する。
【0086】
ステップ1-2:式(1)が成立するか否かを判定し、成立すれば、この時点でSOCtransで設定された値を保持し、成立しなければ、ステップ1-3に進む。
【0087】
ステップ1-3:
を再設定し、ステップ1-2に戻る。ここで、SOC′transは、ステップ1-1で設定された値である。
【0088】
もちろん、データを用いて直接解を求めることもできる。具体的には、戻し充電後に電荷を受け取った電池の開放電圧、戻し充電後に電荷を送る電池の開放電圧、電荷を受け取った電池の平均荷電状態、両電池の平均荷電差及び電池経年係数を取得し、上記データを式(1)に代入することで、電荷移行量を求めることができる。式(1)により電荷移行量を求める具体的な方法については、ここでは限定しない。
【0089】
以上より、開放電圧と荷電状態との変換関係、両電池の平均荷電差及び両電池における荷電を受けた電池の平均荷電状態に基づいて、両電池間の電荷移行量を算出する過程において、荷電を受けた電池の老化状況、すなわち、荷電を受けた電池が実際に受け取り可能な電荷量を十分に考慮し、電荷移行量を算出する過程において、電池経年係数を加えることで、両電池間の電荷移行量をより正確に特定することができ、さらに、電荷を受け取った電池が所定の時間に充電を停止した後、臨界過充電状態になるか否かをより正確に特定することができ、電池パックの充電をより正確に制御することができる。
【0090】
上述の実施形態によれば、所定の充電時間の充電停止後の任意の2組の電池間の電荷移行量を
に基づいて算出する前に、式(1)中の電池経年係数kを特定するために、具体的には、以下を含むことができる。
【0091】
ステップA1:前回の任意の2組の電池が相互充電して電荷を受けた電池の理論開放電圧と実際の開放電圧を取得する。
【0092】
つまり、今回電池パックを充電する前に、先に前回電池パックを充電したときの各パラメータを取得しておく。具体的には、前回の電池パックの充電が終了し、電池パックの各電池の相互充電が完了した後、電圧測定機器で測定した電荷を受けた電池の実際の開放電圧を取得する。及び、前回の充電制御時に、予め算出された所定の充電時間の充電停止後に電荷を受け取った電池の理論開放電圧を取得する。
【0093】
ステップA2:理論開放電圧と実際開放電圧が等しいか否かを判定し、もしYESであれば、ステップA3を実行する。NOであれば、ステップA4を実行する。
【0094】
理論開放電圧が実際の開放電圧と等しい場合、前回の充電中に電荷を受け取った電池がさらに劣化していないことを意味し、今回の充電制御では、前回の充電制御で使用された電池老化パラメータを使用し続けることができる。
【0095】
理論開放電圧が実際の開放電圧と等しくない場合、前回の充電中に、電荷を受け取った電池はさらに老化が発生したことを意味し、理論的に計算された理論開放電圧は最終的に実際に測定された実際の開放電圧と異なるため、今回の充電制御では、電池老化パラメータを修正する必要がある。
【0096】
ステップA3:前回の充電中に使用した電池経年係数を電池経年係数とする。
【0097】
ステップA4:
またはK=SOCtrans実際SOCtrans計算式(3)に基づいて電池経年係数を特定する。
【0098】
ただし、OCV()は、開放電圧と荷電状態との変換関係を表す。SOCavgは、電荷を受けた電池の平均荷電状態を表す。ΔSOCは、任意の2組の電池間の平均荷電差を表す。kは電池経年係数を表す。SOCtrans計算は、前回の任意の2組の電池間の理論電荷移行量を表す。SOCtrans実際は、前回の任意の2組の電池間の実際の電荷移行量を表す。
【0099】
式(2)に基づいて電池の経年係数を特定する過程で、以下のステップを含むことができる。
【0100】
ステップ2-1:式(2)で、k=1を設定する。
【0101】
ステップ2-2:式(2)が成立するか否かを判定し、成立すれば、その時点でkで設定された値を保持し、もし成立しなければ、ステップ2-3に進む。
【0102】
ステップ2-3:k=k′-0.01を再設定し、ステップ2-2に戻る。ここで、k′はステップ2-1で設定された値である。
【0103】
もちろん、式(3)をそのまま用いて解くこともできる。つまり、前回の充電中に理論計算された理論電荷移行量と実際に測定された実際の電荷移行量を直接除算する。経年係数を特定する具体的な方法については、ここでは限定しない。
【0104】
以上より、電池パックを充電制御するたびに、充電制御のたびに、電荷を受け取った電池の実際の電荷取得量を正確に推定することができるように、電池老化パラメータを修正する必要があり、さらに、電荷を受け取った電池が、所定の時間に充電を停止した後に、臨界過充電状態になるか否かをより正確に特定することができ、電池パックの充電をより正確に制御することができる。
【0105】
上記実施形態に基づいて、荷電状態に基づいて、任意の2組の電池のそれぞれ対応する平均荷電状態を特定するステップS221において、具体的には、以下を含むことができる。
【0106】
ステップB1:任意の2組の電池のそれぞれ対応する総開放電圧及び電池セルの総数を取得する。
【0107】
電池の荷電状態は直接取得しにくいが、電池の開放電圧は取得しやすく、すなわち電圧測定装置によって電池の開放電圧を測定することができる。
【0108】
一方、電池中の電池セルの数は、電池設計が完了したと特定されたものであるので、電池の設計パラメータから電池中の電池セルの総数を取得することができる。
【0109】
ステップB2:総開放電圧と総数に基づいて、任意の2組の電池のそれぞれ対応する平均開放電圧を特定する。
【0110】
両電池のそれぞれ対応する総開放電圧及び電池セルの総数を得た後、総開放電圧を総数で割ることにより、両電池のそれぞれ対応する平均開放電圧を得ることができる。
【0111】
ステップB3:平均開放電圧及び開放電圧と荷電状態との変換関係に基づいて、任意の2組の電池の平均荷電状態を特定する。
【0112】
一方、電池の荷電状態は測定により直接取得できないため、両電池のそれぞれ対応する平均開放電圧を取得した後、開放電圧と荷電状態との変換関係により、両電池のそれぞれ対応する平均荷電状態を得ることができる。
【0113】
実際には、電池管理システム(Battery Management System、BMS)により、電池における各電池セルの開放電圧をそれぞれ取得することができるが、電池セルの開放電圧を取得するごとに一定の誤差がある。一方、電池におけるすべての電池セルの開放電圧を加算すると、電池全体の開放電圧の誤差がより大きくなる。したがって、電池の総開放電圧を直接取得し、一度取得することにより、電池の総電圧の誤差を小さくすることができ、ひいては両電池の荷電状態の特定をより正確にすることができる。
【0114】
図5は本願実施形態における開放電圧と荷電状態との対応関係を示す模式図の2であり、同図において、横座標は荷電状態を示し、縦座標は開放電圧を示す。2組の電池のそれぞれ対応する平均開放電圧を得ると、図5中の対応関係により、2組の電池のそれぞれ対応する平均荷電状態を得ることができる。すなわち、縦座標上の対応する平均開放電圧値を水平直線とし、図5中の曲線と交わる点を見つけ、その点に垂線を作り、垂線と横座標が交わる点に対応する荷電状態が2組の電池のそれぞれ対応する平均荷電状態である。
【0115】
上記のことから、電池セル毎の開放電圧を取得し、各電池セルの開放電圧を加算し、さらに電池の総開放電圧を得て、電池セルの開放電圧を取得する毎に一定の誤差が存在し、電池セル毎の開放電圧を加算すると、得られる電池の総開放電圧に大きな誤差が存在することがわかる。電池の総開放電圧を直接取得し、電池の総開放電圧に基づいて電池の平均開放電圧を特定することにより、電池の平均荷電状態を特定し、電池の総開放電圧取得の誤差を減少することができ、さらに電池の平均荷電状態特定の正確性を高め、さらに電荷移行量をより正確に特定することができ、さらに電池パックの充電制御の正確性を高め、電池の過充電をより正確に回避することができる。
【0116】
上述の実施形態に基づいて、図6は本願実施形態におおける電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にあるか否かを判定するフローチャートである。電荷移行量に基づいて電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にあるか否かを判定するステップS23においては、図6で示すように、具体的には以下を含むことができる。
【0117】
S231:電荷を受け取った電池の中で、電荷移行前の最も電荷状態が高い目標電池セルを特定する。
【0118】
電荷を受けた電池の中に、複数の電池セルが存在する場合、これら複数の電池セルの中で、電荷移行前に最も電荷状態が高い目標電池セルを見つける必要がある。これは、この電池セルが戻し充電されても過充電問題が存在しなければ、電荷を受けた電池の他の電池セルにも過充電問題が存在しないからである。その後は、この目標電池セルが移行された電荷を受け取った後、臨界過充電状態にあるか否かを判定するだけでよく、電池が臨界過充電状態にあるか否かの判定効率を向上させ、さらに電池パック充電制御のリアルタイム性を向上させることができる。
【0119】
S232:電荷移行量、目標電池セルの荷電状態、開放電圧と荷電状態の変換関係及び早期警報電圧値に基づいて、電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にあるか否かを判定する。
【0120】
目標電池セルの荷電状態を得た後、電荷移行量及び開放電圧と荷電状態との変換関係を組み合わせることで、戻し充電後の目標電池セルの開放電圧を知ることができる。さらに、戻し充電後の目標電池セルの開放電圧と早期警報電圧値とを比較し、比較結果に基づいて、電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にあるか否かを特定することができる。
【0121】
具体的には、戻し充電後の目標電池セルの開放電圧が早期警報電圧値よりも小さい場合、目標電池セルがこの時点で充電を停止して戻し充電後に過充電問題が発生しないことを表明し、電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にないことを特定する。戻し充電後の目標電池セルの開放電圧が早期警報電圧値に等しい場合、目標電池セルはこの時充電を停止して戻し充電が発生した後、過充電の問題は存在しないが、次の時点で充電を継続し、充電を停止して戻し充電が発生すると、目標電池セルが過充電になることを表明するので、電荷を受け取った電池が臨界過充電状態に達したばかりであることを特定する。戻し充電後の目標電池セルの開放電圧が早期警報電圧値よりも大きい場合、目標電池セルがこの時点で充電を停止して戻し充電が発生した後、過充電の問題があることを表明し、電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にあったことを特定する。
【0122】
上記のことから、電荷を受けた電池の中で電荷移行前の最も電荷状態が高い目標電池セルが、所定の充電時間に充電を停止した後に過充電が発生するか否かことにより、電荷を受けた電池が、所定の充電時間に充電を停止した後に過充電が発生するか否かを特定することは、電池の電荷状態の計算量を減少させ、さらに電池が臨界過充電状態にあるか否かを判定する速度を向上することができる、これにより、電池パックの充電制御のリアルタイム性が向上する。
【0123】
上述の実施形態によれば、電荷移行量、目標電池セルの荷電状態、開放電圧と荷電状態との変換関係及び早期警報電圧値に基づいて、電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にあるか否かを判定するステップS232においては、具体的には、以下を含むことができる。
【0124】
ステップC1:
が成立するか否かを判定し、もしYESであれば、ステップC2を実行する。NOであれば、ステップC3を実行する。
【0125】
ステップC2:電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にないことを特定する。
【0126】
ステップC3:電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にあることを特定する。
【0127】
ただし、OCV()は開放電圧と荷電状態との変換関係を表し、SOCavgは電荷を受け取った電池の平均荷電状態を表し、ΔSOCabnは、目標電池セルの荷電状態と、SOCavgの差、kは電池経年係数を表し、SOCtransは任意の2組の電池間の電荷移行量を表し、Vwarningは早期警報電圧値を表す。
【0128】
図7は、本願実施形態における相互充電後の各電池における電池セルの荷電状態の模式図であり、図7に示すように、電池パックにおいて、第1電池701は第2電池702と並列に接続されている。第1電池701では、第1電池セル7011と第2電池セル7012とが直列に接続されている。第2電池702では、第3電池セル7021と第4電池セル7022とが直列に接続されている。第1電池701が第2電池702に20%の電荷量(第1電池セル7011と第2電池セル7012からそれぞれ10%移行)を移行したとする。電荷を移行する前は、第3電池セル7021の荷電状態は95%、第4電池セル7022の荷電状態は75%であった。さて、電荷を移行した後、第4電池セル7022は10%の電荷移行量を受け取り、元の荷電状態75%を加えると、第4電池セル7022の荷電状態は85%であり、対応する開放電圧は早期警報電圧値を超えていない。一方、第3電池セル7021は10%の電荷移行量を受け取り、元の電荷移行状態95%を加えると、第3電池セル7021の電荷移行状態は105%であり、対応する開放電圧は早期警報電圧値に達しているため、電池パックの充電停止を制御する必要がある。これにより、充電を停止して戻し充電すると、電池パックが最大充電状態になり、電荷を受け取った電池も過充電にならない。
【0129】
上記のことから、電荷を受け取った電池の中で電荷移行前の最も電荷状態が高い目標電池セルにおける電荷移行後の開放電圧を特定する際に、電荷が目標電池セルに移行される過程において、電池老化パラメータ、すなわち、目標電池セルが実際に受け取れる電荷量を考慮して、目標電池セルの相互充電された後のその開放電圧特定の正確性を向上させ、さらに、電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にあるか否かをより正確に特定することができ、電池パックの充電制御の精度を向上させることができる。
【0130】
上述の実施形態に基づいて、図8は、本願実施形態における電池が臨界過充電状態にないと特定した後の更なる充電制御ステップのフローチャートであり、図8に示すように、前記電荷移行量に基づいて電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にあるか否かを判定した後に、さらに、以下を含むことができる。
【0131】
S25:電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にないと判定した場合、電荷を受け取った電池の現在の荷電状態と臨界過充電状態との状態差を特定する。
【0132】
S26:状態差が所定の差より小さいか否かを判定し、NOであれば、S27を実行し、YESであれば、S28を実行する。
【0133】
S27:所定の充電時間後、電池パックを第1充電倍率で充電する。
【0134】
S28:所定の充電時間後、電池パックを第1充電倍率よりも小さい第2充電倍率で充電する。
【0135】
具体的には、電荷を受け取った電池の現在の荷電状態と臨界過充電状態との間の状態差が所定の差以上である場合、電荷を受け取った電池は臨界過充電状態からまだ遠いことを表明するので、所定の充電時間後により大きな第1充電倍率で電池パックを充電することができる。電荷を受け取った電池の現在の荷電状態と臨界過充電状態との間の状態差が所定の差よりも小さい場合、電荷を受け取った電池は臨界過充電状態に比較的近いことを表明するので、電池パックの充電が早すぎて、ある時点で電池が過充電されているか否かを判定することが間に合わず、さらに電池が過充電されてしまうことを回避するために、所定の充電時間後に電池パックをより小さな第2充電倍率で充電する必要がある。
【0136】
実用的には、第1充電倍率は、正常充電倍率、すなわち100%であってもよいし、急速充電倍率、すなわち100%を超えてもよい。一方、第2充電倍率は、遅い充電倍率であり、100%未満である。第1充電倍率と第2充電倍率の具体的な数値については、ここでは限定しない。
【0137】
以上より、電荷を受けた電池の現在の荷電状態と臨界過充電状態との状態差の大きさに基づいて、後続の電池パックに対する充電倍率が特定されることがわかる。状態差が大きい場合には、高い充電倍率を用いて電池パックの充電を継続することができ、電池パックの充電時間を短縮し、電池パックの充電効率を向上させることができる。状態差が小さい場合、低い充電倍率を用いて電池パックの充電を継続することができ、電池が臨界過充電状態を急速に通過することを回避することができ、電池が臨界過充電状態に達する直前で、充電停止を正確に制御することができ、充電制御の正確性を高めることができる。
【0138】
本願実施形態は、同一の発明の考え方に基づいて、上記方法の実現として、電池パックの充電制御装置をさらに提供する。図9は、本願実施形態における電池パックの充電制御装置の構成概略図の1であり、図9に示すように、この装置は、以下を含むことができる。
【0139】
充電パラメータに基づいて、所定の充電時間後の各電池のそれぞれ対応する荷電状態を特定するための特定モジュール901と、
【0140】
前記所定の充電時間の充電停止後の前記各電池間の電荷移行量を前記荷電状態に基づいて算出する算出モジュール902と、
【0141】
前記電荷移行量に基づいて、電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にあるか否かを判定する判定モジュール903と、
【0142】
YESであれば、所定の充電時間後に電池パックの充電を停止するための制御モジュール904。
【0143】
さらに、図9に示す装置の細分化と拡張として、本願実施形態は、電池パックの充電制御装置をさらに提供する。図10は、本願実施形態における電池パックの充電制御装置の構成模式図の2であり、図10に示すように、この装置は、以下を含むことができる。
【0144】
修正モジュール1001は、具体的には、以下を含む。
【0145】
前回の前記任意の2組の電池が互いに充電された後に前記電荷を受け取った電池の理論開放電圧と実際の開放電圧を取得するための第1修正部1001aである。
【0146】
前記理論開放電圧と前記実際の開放電圧とが等しいか否かを判定するための第2修正部1001bである。YESであれば、第3修正部1001cに進む。NOであれば、第4修正部1001dに進む。
【0147】
前回の充電時に用いられた電池経年係数を前記電池経年係数とするための第3修正部1001cである。
【0148】
または
に基づいて、前記電池経年係数を特定する第4修正部1001dである。
【0149】
ただし、OCV()は開放電圧と荷電状態との変換関係を表し、SOCavgは電荷を受けた電池の平均荷電状態を表し、ΔSOCは任意の2組の電池間の平均荷電差を表し、kは電池経年係数を表し、SOCtrans計算は、前回の任意の2組の電池間の理論電荷移行量を表し、SOCtrans実際は前回の任意の2組の電池間の実際の電荷移行量を表す。
【0150】
充電パラメータに基づいて、所定の充電時間後の各電池のそれぞれ対応する荷電状態を特定するための特定モジュール1002である。
【0151】
算出モジュール1003は、具体的には、以下を含む。
【0152】
第1算出部1003aは、前記荷電状態に基づいて、任意の2組の電池がそれぞれ対応する平均荷電状態を特定するために用いられ、前記任意の2組の電池は、電荷移行関係を有する2組の電池であり、前記荷電状態は、前記各電池における各電池セルのそれぞれ対応するセル荷電状態の集合である。
【0153】
前記第1算出部1003aは、具体的には、前記任意の2組の電池のそれぞれ対応する総開放電圧及び電池セルの総数を取得するためのものである。前記総開放電圧と前記総数に基づいて、前記任意の2組の電池のそれぞれ対応する平均開放電圧を特定する。前記平均開放電圧及び開放電圧と荷電状態との変換関係に基づいて、前記任意の2組の電池の平均荷電状態を特定する。
【0154】
第2算出部1003bは、前記平均荷電状態に基づいて、前記任意の2組の電池間の平均荷電差を特定するために用いられる。
【0155】
第3算出部1003cは、開放電圧と荷電状態との変換関係、前記平均荷電差、前記任意の2組の電池のうち電荷を受け取った電池の平均荷電状態に基づいて、前記所定の充電時間に充電を停止した後の前記任意の2組の電池の間の電荷移行量を算出するために用いられる。
【0156】
前記第3算出部1003cは、具体的には、
に基づいて、前記所定の充電時間に充電を停止した後の前記任意の2組の電池間の電荷移行量を算出するために用いられる。
【0157】
ただし、OCV()は開放電圧と荷電状態との変換関係を表し、SOCavgは電荷を受けた電池の平均荷電状態を表し、ΔSOCは任意の2組の電池間の平均荷電差を表し、kは電池経年係数を表し、SOCtransは、任意の2組の電池間の電荷移行量を表す。
【0158】
判定モジュール1004は、具体的には、以下を含む。
【0159】
第1判定部1004aは、電荷を受け取った電池の中で、電荷移行前に最も電荷状態が高い目標電池セルを特定するために用いられる。
【0160】
第2判定部1004bは、前記電荷移行量、前記目標電池セルの荷電状態、開放電圧と荷電状態との変換関係及び早期警報電圧値に基づいて、前記電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にあるか否かを判定するために用いられる。
【0161】
前記第2判定部1004bは、具体的には、
が成立すれば、前記電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にないと特定される。
が成立しなければ、前記電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にあると特定される。
【0162】
ただし、OCV()は開放電圧と荷電状態との変換関係を表し、SOCavgは電荷を受け取った電池の平均荷電状態を表し、ΔSOCabnは、目標電池セルの荷電状態とSOCavgの差、kは電池経年係数を表し、SOCtransは、電荷移行関係を有する2組の電池である任意の2組の電池間の電荷移行量を表し、Vwarningは早期警報電圧値を表す。
【0163】
制御モジュール1005は、YESであれば、所定の充電時間後に電池パックの充電を停止するために用いられる。
【0164】
制御モジュール1005は、さらに、NOであれば、電荷を受け取った電池の現在の荷電状態と臨界過充電状態との間の状態差を特定するために用いられる。前記状態差が所定の差以上である場合、前記所定の充電時間後に第1充電倍率で前記電池パックを充電する。前記状態差が所定の差よりも小さい場合、前記所定の充電時間後に前記第1充電倍率よりも小さい第2充電倍率で前記電池パックを充電する。
【0165】
ここで指摘する必要があるのは、上述の装置実施形態の説明は、上述の方法実施形態の説明と同様であり、方法実施形態と同様の有益な効果を有する。本願装置の実施形態に開示されていない技術的詳細については、本願方法の実施形態の説明を参照して理解する。
【0166】
同じ発明の概念に基づいて、本願実施形態はまた、電子機器を提供する。図11は、本願実施形態における電子機器の構成図であり、図11を参照すると、該電子機器は、プロセッサ1101、メモリ1102、バス1103を含んでもよく、ここで、プロセッサ1101、メモリ1102はバス1103を介して相互間の通信を完了し、プロセッサ1101は、上述の1つ以上の実施形態における方法を実行するように、メモリ1102内のプログラム命令を呼び出すために用いられる。
【0167】
ここで、上記電子機器の実施形態の説明は、上記方法の実施形態の説明と同様であり、方法の実施形態と同様の有益な効果を有することを指摘する必要がある。本願電子機器の実施形態に開示されていない技術的詳細については、本願方法の実施形態の説明を参照して理解する。
【0168】
同じ発明の構想に基づいて、本願実施形態はまた、記憶されたプログラムを含んでもよいコンピュータ可読記憶媒体を提供し、ここで、プログラムの実行時に、記憶媒体が配置されている機器が、上記した1つ以上の実施形態における方法を実行させるように制御される。
【0169】
ここで、上記記憶媒体の実施形態の説明は、上記方法の実施形態の説明と同様であり、方法の実施形態と同様の有益な効果を有することを指摘する必要がある。本願記憶媒体の実施形態に開示されていない技術的詳細については、本願方法の実施形態の説明を参照して理解する。
【0170】
最後に、本願実施形態において提供される電池パックの充電制御の主な過程についてまとめる。
【0171】
まず、今回電池パックを充電する前に、
または
に基づいて電池経年係数を特定する。
【0172】
ただし、OCV()は、開放電圧と荷電状態との変換関係を表す。SOCavgは、電荷を受けた電池の平均荷電状態を表す。ΔSOCは、任意の2組の電池間の平均荷電差を表す。kは電池経年係数を表す。SOCtrans計算は、前回の任意の2組の電池間の理論電荷移行量を表す。SOCtrans実際は、実際には前回の任意の2組の電池間の実際の電荷移行量を表す。
【0173】
そして、所定の充電時間に充電を停止した後の任意の2組の電池間の電荷移行量を
に基づいて算出する。
【0174】
ただし、OCV()は、開放電圧と荷電状態との変換関係を表す。SOCavgは、電荷を受けた電池の平均荷電状態を表す。ΔSOCは、任意の2組の電池間の平均荷電差を表す。kは電池経年係数を表す。SOCtransは、任意の2組の電池間の電荷移行量を表す。
【0175】
最後に、
が成立するか否かによって、成立した場合、電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にないことと特定され、さらに電池パックの充電を継続することを特定する。不成立の場合、電荷を受け取った電池が臨界過充電状態にあることを特定し、さらに電池パックの充電を停止することを特定する。
【0176】
最後に、以上の各実施形態は、本願の技術案を説明するためにのみ使用され、その制限ではない、上記各実施形態を参照して本願について詳細に説明したが、当業者は、上記各実施形態に記載された技術案を変更したり、その一部またはすべての技術的特徴を同等に置き換えたりすることができることを理解すべきである、これらの修正または代替は、それぞれの技術案の本質を本願の各実施形態の技術案の範囲から逸脱させるものではなく、すべて本願の請求項と明細書の範囲に含まれるべきである。特に、構造的衝突がない限り、各実施形態に記載されている各技術的特徴は、任意の方法で組み合わせることができる。本願は、本明細書に開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に含まれるすべての技術案を含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2022-08-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
いくつかの実施形態では、前記の
に基づいて、前記所定の充電時間に充電を停止した後の前記任意の2組の電池間の電荷移行量を算出する前に、前回の前記任意の2組の電池が互いに充電された後に前記電荷を受け取った電池の理論開放電圧と実際の開放電圧を取得することと、前記理論開放電圧と前記実際の開放電圧とが等しいか否かを判定することと、YESであれば、前回の充電中に使用した電池経年係数を前記電池経年係数とすることと、NOであれば、
または
に基づいて前記電池経年係数を特定することとをさらに含み、ただし、OCV()は開放電圧と荷電状態との変換関係を表し、SOCavgは電荷を受けた電池の平均荷電状態を表し、ΔSOCは任意の2組の電池間の平均荷電差を表し、kは電池経年係数を表し、SOCtrans計算は、前回の任意の2組の電池間の理論電荷移行量を表し、SOCtrans実際は前回の任意の2組の電池間の実際の電荷移行量を表す。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0097
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0097】
ステップA4:
または
に基づいて電池経年係数を特定する。
【国際調査報告】