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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-06
(54)【発明の名称】自己加熱制御回路及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/637 20140101AFI20231129BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20231129BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20231129BHJP
【FI】
H01M10/637
H01M10/615
H01M10/625
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554613
(86)(22)【出願日】2022-05-24
(85)【翻訳文提出日】2022-09-09
(86)【国際出願番号】 CN2022094652
(87)【国際公開番号】W WO2023071162
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】202122629084.3
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】李占良
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼元▲ミィアォ▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼新▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】黄孝▲鍵▼
(72)【発明者】
【氏名】▲顔▼▲ユー▼
(72)【発明者】
【氏名】但志▲敏▼
【テーマコード(参考)】
5H031
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031HH06
(57)【要約】
本出願の実施例は、自己加熱制御回路及びシステムを提供する。この回路は、並列に接続される二つの電池パックのセルの温度を取得し、前記セルの温度が閾値よりも低い時、トリガー信号を発信するための制御モジュールと、前記電池パックに含まれる第1の電池パックの充放電回路に設けられ、その制御端が前記制御モジュールに接続され、前記トリガー信号を受信した時、前記充放電回路を切断するために用いられる、第1のスイッチモジュールと、前記充放電回路が切断されている時、二つの前記電池パックと共に通路を形成し、励起電流を生成し、前記励起電流を二つの前記電池パックの間で往復して流すための励起モジュールとを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己加熱制御回路であって、
並列に接続される二つの電池パックのセルの温度を取得し、前記セルの温度が閾値よりも低い時、トリガー信号を発信するための制御モジュール(11)と、
前記電池パックに含まれる第1の電池パック(21)の充放電回路に設けられ、その制御端が前記制御モジュール(11)に接続され、前記トリガー信号を受信した時、前記充放電回路を切断するために用いられる、第1のスイッチモジュール(12)と、
前記充放電回路が切断されている時、二つの前記電池パックと共に通路を形成し、励起電流を生成し、前記励起電流を二つの前記電池パックの間で往復して流すための励起モジュール(13)とを含む、自己加熱制御回路。
【請求項2】
前記電池パックは、第2の電池パック(22)をさらに含み、前記第1のスイッチモジュール(12)は、その第1の端が前記第1の電池パック(21)の第1の極に接続され、第2の端が前記第2の電池パック(22)の第1の極に接続され、制御端が前記制御モジュール(11)に接続される、請求項1に記載の回路。
【請求項3】
前記励起モジュール(13)の第1の端は、前記第1のスイッチモジュール(12)の第1の端に接続され、前記励起モジュール(13)の第2の端は、前記第1のスイッチモジュール(12)の第2の端に接続され、前記励起モジュール(13)の第3の端は、前記第1の電池パック(21)の第2の極に接続される、請求項2に記載の回路。
【請求項4】
前記励起モジュール(13)は、エネルギー貯蔵ユニット(L)と、前記第1の電池パック(21)の第1の極に接続される第1のスイッチユニット(Q1)と、前記第2の電池パック(22)の第1の極に接続される第2のスイッチユニット(Q2)と、いずれも前記第1の電池パック(21)の第2の極に接続される第3のスイッチユニット(Q3)と第4のスイッチユニット(Q4)とを含み、
前記エネルギー貯蔵ユニット(L)は、前記第1のスイッチユニット(Q1)と前記第3のスイッチユニット(Q3)の共通端及び前記第2のスイッチユニット(Q2)と前記第4のスイッチユニット(Q4)の共通端に接続され、
前記第1のスイッチユニット(Q1)、前記第2のスイッチユニット(Q2)、前記第3のスイッチユニット(Q3)及び前記第4のスイッチユニット(Q4)の制御端は、いずれも前記制御モジュール(11)に接続され、且つ前記第1のスイッチユニット(Q1)と前記第4のスイッチユニット(Q4)のオンタイミングは、前記第2のスイッチユニット(Q2)と前記第3のスイッチユニット(Q3)のオンタイミングと一致しない、請求項2に記載の回路。
【請求項5】
第1の周期内に、前記第1のスイッチユニット(Q1)と前記第4のスイッチユニット(Q4)は、オンにされ、前記第2のスイッチユニット(Q2)と前記第3のスイッチユニット(Q3)は、オフにされ、
第2の周期内に、前記第1のスイッチユニット(Q1)と前記第4のスイッチユニット(Q4)は、オフにされ、前記第2のスイッチユニット(Q2)と前記第3のスイッチユニット(Q3)は、オンにされ、
前記第1の周期と前記第2の周期は、交互に現れる、請求項4に記載の回路。
【請求項6】
前記エネルギー貯蔵ユニット(L)は、インダクタ又はコンデンサである、請求項4に記載の回路。
【請求項7】
前記第1のスイッチユニット(Q1)と、前記第2のスイッチユニット(Q2)と、前記第3のスイッチユニット(Q3)と、前記第4のスイッチユニット(Q4)とのうちの少なくとも1つは、スイッチであり、前記スイッチは、MOSトランジスタと、絶縁ゲートバイポーラトランジスタとのうちの一つである、請求項4に記載の回路。
【請求項8】
前記回路は、第1のハウジング(14)をさらに含み、前記制御モジュール(11)、前記第1のスイッチモジュール(12)及び前記励起モジュール(13)は、前記第1のハウジング(14)内に収容される、請求項1~7のいずれか一項に記載の回路。
【請求項9】
自己加熱制御システムであって、
並列に接続される二つの電池パックと、
請求項1~8のいずれか一項に記載の自己加熱制御回路とを含む、自己加熱制御システム。
【請求項10】
前記システムは、高圧制御回路(31)をさらに含み、前記高圧制御回路(31)は、第1のインターフェース(33)と、電力消費インターフェース(34)と、充電インターフェース(35)と、第2のスイッチモジュール(32)とを含み、
前記第2のスイッチモジュール(32)は、前記第1のインターフェース(33)を介して二つの前記電池パックの共通端に接続され、前記電力消費インターフェース(34)を介して電力消費装置に接続され、充電インターフェース(35)を介して充電装置に接続される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第2のスイッチモジュール(32)は、前記電力消費インターフェース(34)を介して電力消費信号を受信した時、二つの前記電池パックと前記電力消費装置との間での放電回路の形成を制御するために用いられ、
前記第2のスイッチモジュール(32)はさらに、前記トリガー信号を受信した時、前記放電回路をオフにするように制御するために用いられる、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第2のスイッチモジュール(32)はさらに、前記電力消費インターフェース(35)を介して充電信号を受信した時、二つの前記電池パックと前記充電装置との間での充電回路の形成を制御するために用いられ、
前記第2のスイッチモジュール(32)はさらに、前記トリガー信号を受信した時、前記充電回路をオフにするように制御するために用いられる、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
各前記電池パックは、直列に接続される複数のセル(23)と、前記セル(23)の間に直列に接続される第1のメンテナンススイッチ(24)とを含む、請求項9~12のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年10月29日に提出された名称が「自己加熱制御回路及びシステム」の中国特許出願番号202122629084.3の優先権を主張しており、同出願の内容の全ては、ここに参照として取り込まれる。
【0002】
本出願は、電池技術分野に関し、特に自己加熱制御回路及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
近年では、新エネルギー自動車は、高いエネルギー変換率、快適な運転体験及び温室効果ガスのゼロ排出などの利点を有するため、世界的に著しい進展を遂げた。しかしながら、新エネルギー自動車が低温環境にある時、自動車内の動力電池に対して加熱を行う必要がある。現在では、関連技術において、主に、電池を加熱装置に接続することで、熱伝達を実現させ、電池を加熱するが、このような方式によれば、加熱によるエネルギー消費が大きい。
【発明の概要】
【0004】
本出願の実施例の目的は、加熱によるエネルギー消費が小さい電池加熱方式を提供するための自己加熱制御回路及びシステムを提供することである。
【0005】
第1の態様によれば、本出願の実施例は、自己加熱制御回路を提供する。前記回路は、
並列に接続される二つの電池パックのセルの温度を取得し、セルの温度が閾値よりも低い時、トリガー信号を発信するための制御モジュールと、
電池パックに含まれる第1の電池パックの充放電回路に設けられ、その制御端が制御モジュールに接続され、トリガー信号を受信した時、充放電回路を切断するために用いられる、第1のスイッチモジュールと、
充放電回路が切断されている時、二つの電池パックと共に通路を形成し、励起電流を生成し、励起電流を二つの電池パックの間で往復して流すための励起モジュールとを含む。
【0006】
このように設けることで、セルの温度が閾値よりも低い時、二つの電池パックの間に電流が流れることによって、電池パックの内部を発熱させ、自己加熱を実現させ、従来の熱伝達による外部加熱方式に比べて、加熱によるエネルギー消費が低く、これにより加熱によるエネルギー消費が小さい電池加熱方式を提供する。
【0007】
内部自己加熱方式に必要なエネルギー消費が比較的に低いため、電池加熱技術による充電時間と電池航続距離への影響も減少する。同一の温度条件で、電池の自己加熱方案は、関連技術に比べて、電池航続距離が向上し、充電時間がより短く、且つ電池パック内部に対して改良を行う必要がなく、コストが削減され、簡単で容易である。
【0008】
任意選択的に、電池パックは、第2の電池パックをさらに含み、第1のスイッチモジュールは、
第1の端が第1の電池パックの第1の極に接続され、第2の端が第2の電池パックの第1の極に接続され、制御端が制御モジュールに接続される第1のリレーを含む。
【0009】
第1のリレーを設けることで、第1のスイッチモジュールの任意選択的な構造を提供し、セルの温度が低すぎる時、充放電回路の状態をタイムリーに変更することを支援し、励起モジュールによる電池パックの自己加熱の促進に供する。
【0010】
任意選択的に、励起モジュールの第1の端は、第1のリレーの第1の端に接続され、励起モジュールの第2の端は、第1のリレーの第2の端に接続され、励起モジュールの第3の端は、第1の電池パックの第2の極に接続される。
【0011】
これらの例において、第1のリレーと励起モジュールとの組み合わせによる接続構造によって、並列に接続される二つの電池パックがどのように正常な充放電を行うことから、励起モジュールと共に通路を形成することに切り替えるかを実現させ、励起モジュールによる電池パックの自己加熱の促進のためのハードウェア基礎を提供する。
【0012】
任意選択的に、励起モジュールは、エネルギー貯蔵ユニットと、第1の電池パックの第1の極に接続される第1のスイッチと、第2の電池パックの第1の極に接続される第2のスイッチと、いずれも第1の電池パックの第2の極に接続される第3のスイッチと第4のスイッチとを含み、
エネルギー貯蔵ユニットは、第1のスイッチと第3のスイッチの共通端及び第2のスイッチと第4のスイッチの共通端に接続され、
第1のスイッチ、第2のスイッチ、第3のスイッチ及び第4のスイッチの制御端は、いずれも制御モジュールに接続され、且つ第1のスイッチと第4のスイッチのオンタイミングは、第2のスイッチと第3のスイッチのオンタイミングと一致しない。
【0013】
本実施例において、励起モジュールの構造構成を提供し、制御モジュールによる四つのスイッチユニットのタイミング制御によって、励起モジュールの内部に発振励起電流を発生させ、構造が簡単であり、電池パックの自己加熱の実現を支援し、熱損失が大幅に減少し、電池パックの加熱効率が高く、且つ電池パックの内部構造を変更する必要がなく、互換性が高い。
【0014】
任意選択的に、エネルギー貯蔵ユニットは、インダクタ又はコンデンサである。
【0015】
任意選択的に、第1のスイッチユニット、第2のスイッチユニット、第3のスイッチユニット及び第4のスイッチユニットは、MOSトランジスタと、絶縁ゲートバイポーラトランジスタとのうちの一つである。
【0016】
任意選択的には、回路は、第1のハウジングをさらに含み、制御モジュール、第1のスイッチモジュール及び励起モジュールは、第1のハウジング内に収容される。
【0017】
第1のハウジングを設けることで、内部回路が外部からの干渉を受けることを避けることができ、回路集積に有利である。
【0018】
第2の態様によれば、本出願の実施例は、自己加熱制御システムを提供する。前記システムは、
並列に接続される二つの電池パックと、
第1の態様のような自己加熱制御回路とを含む。
【0019】
任意選択的に、システムは、高圧制御回路をさらに含み、高圧制御回路は、第1のインターフェースと、電力消費インターフェースと、充電インターフェースと、第2のスイッチモジュールとを含み、
第2のスイッチモジュールは、第1のインターフェースを介して二つの電池パックの共通端に接続され、電力消費インターフェースを介して電力消費装置に接続され、充電インターフェースを介して充電装置に接続され、
第2のスイッチモジュールは、電力消費インターフェースを介して電力消費信号を受信した時、二つの電池パックと電力消費装置との間での放電回路の形成を制御するために用いられ、
第2のスイッチモジュールはさらに、電力消費インターフェースを介して充電信号を受信した時、二つの電池パックと充電装置との間での充電回路の形成を制御するために用いられ、
第2のスイッチモジュールはさらに、トリガー信号を受信した時、充電回路と放電回路をオフにするように制御するために用いられる。
【0020】
本実施例において、第2のスイッチモジュールによって受信された異なる信号、即ち、電力消費信号、充電信号又はトリガー信号によって、スイッチ制御を利用して、電池パックと異なる装置/モジュールとの間の回路をオンにし、高圧電力消費の切り替えを実現させることができる。
【0021】
任意選択的に、各電池パックは、直列に接続される複数のセルと、セルの間に直列に接続される第1のメンテナンススイッチとを含む。
【0022】
これによって電池パックの高圧メイン回路を手動で切断し、別の電池パックの独立した作動を実現させることができ、第1のメンテナンススイッチを設けることで、メンテナンス作業者に安全保護を与えることができる。
【0023】
本出願の実施例において、電池パックのセルの温度が閾値よりも低い時、第1のスイッチモジュールをトリガーして第1の電池パックの充放電回路を切断することで、励起モジュールと二つの電池パックとの間で通路を形成させる。励起モジュールは、この時、励起電流を生成し、励起電流を電池パックの間で往復して流す。このように設けることで、セルの温度が閾値よりも低い時、二つの電池パックの間に電流が流れることによって、電池パックを発熱させ、自己加熱を実現させ、従来の熱伝達による外部加熱方式に比べて、加熱によるエネルギー消費が低く、これにより加熱によるエネルギー消費が小さい電池加熱方式を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本出願の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下では、本出願の実施例で使用する必要がある図面を簡単に説明するが、明らかなことに、以下に説明する図面は、本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとっては、創造的な労力を支払うことなく、図面に基づいて他の図面を入手することができる。
図1】本出願の実施例における自己加熱制御回路の構造ブロック図である。
図2】本出願の実施例における自己加熱制御回路の回路構造概略図である。
図3】本出願の実施例における自己加熱制御回路の別の回路構造概略図である。
図4】本出願の実施例における自己加熱制御システムの回路構造概略図である。
【0025】
図面において、図面は、実際の縮尺に応じて描かれるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面と実施例によって、本出願の実施形態をさらに詳しく説明する。以下の実施例の詳細な記述と図面は、本出願の原理を例示的に説明するためのものであるが、本出願の範囲を限定するために使用されることはできず、即ち、本出願は、説明される実施例に限定されない。
【0027】
本出願の記述において、なお、特に説明されていない限り、「複数」は二つ以上を意味し、「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などの用語によって指示される方位又は位置関係は、単に本出願の説明を容易にし、説明を簡略化するためのものであり、言及される装置又は要素が特定の方位を有し、特定の方位で構成して動作しなければならないことを指示又は示唆するものではないため、本出願を限定するものとして解釈されるべきではない。さらに、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、単に説明のためのものであり、相対的な重要性を指示又は示唆するものとして理解されるべきではない。「垂直」とは、厳密な意味での垂直ではなく、誤差許容範囲内である。「平行」とは、厳密な意味での平行ではなく、誤差許容範囲内である。
【0028】
下記の記述に現れる方位用語は、いずれも図面に示す方向であり、本出願の具体的な構造を限定するものではない。本出願の記述において、さらに説明すべきこととして、特に明記し、限定する場合を除き、「取り付け」、「繋がり」、「接続」という用語は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよく、着脱可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、直接的な接続であってもよく、中間媒体を介した間接的な接続であってもよい。当業者にとって、本出願における上記の用語の具体的な意味は、具体的な状況に応じて理解されてもよい。
【0029】
新エネルギー分野において、動力電池は、電力消費装置(例えば、車両、汽船又は宇宙船)の主要動力源としてもよいが、エネルギー貯蔵電池は、電力消費装置の充電源としてもよく、両者の重要性は、いずれも言わなくても明らかである。限定ではなく例として、いくつかの応用シナリオにおいて、動力電池は、電力消費装置における電池であってもよく、エネルギー貯蔵電池は、充電装置における電池であってもよい。記述の便宜上、以下では、動力電池とエネルギー貯蔵電池は、いずれも電池と総称されてもよい。
【0030】
現在では、市販されている電池の多くは、充電可能な蓄電池であり、最も一般的なものは、リチウム電池、例えばリチウムイオン電池又はリチウムイオンポリマー電池などである。しかしながら、電池を充電する時、その充電効率が外部環境温度による影響を受けて、温度が低すぎる場合、充電パワーが低下し、ひいては電池の充電中止が発生する可能性がある。この問題を解決するために、電池加熱技術が現れる。
【0031】
関連技術において、通常、電池を加熱フィルムに接続することで加熱回路を形成するが、加熱フィルがさらに、電池パック内部のセル表面に貼り付け、加熱回路によって動作させ、加熱フィルムに熱を発生させてセルに熱伝達することによって、電池加熱を実現させる。
【0032】
しかしながら、本出願の発明者らは、加熱フィルムをセル表面に貼り付けるという加熱技術が実質的には、外部加熱方案であり、このような外部加熱方案の熱伝達プロセスにおいて損失が存在し、さらに電池加熱速度が遅く、加熱損失が比較的に大きいことを発見した。なお、加熱損失が比較的に大きいため、電池の大量の電気エネルギーが自己の加熱に消費されるため、外部加熱方案はさらに、外部環境温度が比較的に低い場合、電池の充電時間が長く、電池航続距離が短いことを引き起こす。
【0033】
上記技術的課題を解決するために、本出願は、電池パックのセルの温度が閾値よりも低い時、第1のスイッチモジュールをトリガーして第1の電池パックの充放電回路を切断することで、励起モジュールと二つの電池パックとの間で通路を形成させる自己加熱制御回路及びシステムを提供する。励起モジュールは、この時、励起電流を生成し、励起電流を二つの電池パックの間で往復して流す。
【0034】
このように設けることで、セルの温度が閾値よりも低い時、二つの電池パックの間に電流が流れることによって、電池パックの内部を発熱させ、自己加熱を実現させ、従来の熱伝達による外部加熱方式に比べて、加熱によるエネルギー消費が低く、これにより加熱によるエネルギー消費が小さい電池加熱方式を提供する。
【0035】
内部自己加熱方式に必要なエネルギー消費が比較的に低いため、電池加熱技術による充電時間と電池航続距離への影響も減少する。同一の温度条件で、電池の自己加熱方案は、関連技術に比べて、電池航続距離が向上し、充電時間がより短く、且つ電池パック内部に対して改良を行う必要がなく、コストが削減され、簡単で容易である。
【0036】
説明すべきこととして、上記言及された自己加熱制御回路は、電池に接続されてから、電力消費装置に設けられてもよい。ここで、電力消費装置は、携帯電話、タブレット、ノートパソコン、電気玩具、電気工具、電気自転車、電気自動車、汽船、宇宙船などであってもよいが、それらに限らない。
【0037】
図1を参照すると、いくつかの実施例において、この自己加熱制御回路は、制御モジュール11と、第1のスイッチモジュール12と、励起モジュール13とを含んでもよい。
【0038】
ここで、制御モジュール11は、並列に接続される二つの電池パックのセルの温度を取得し、セルの温度が閾値よりも低い時、トリガー信号を発信するために用いられてもよい。
【0039】
上記制御モジュール11は、電池パックのBMS(Battery Management System、電池管理システム)であってもよく、又は、電力消費装置が車両である時、制御モジュール11はさらに、電池パックの位置する車両のVCU(Vehicle Control Unit、車両制御ユニット)であってもよい。制御モジュール11はさらに、独立した制御チップであってもよく、この制御チップは、電池パック内のBMS又は温度センサに接続され、対応して接続されるBMS又は温度センサによって、セルの温度を得ることができ、本出願は、これに対して特別な限定をしない。
【0040】
上記制御モジュール11はさらに、VCUとトリガー信号を送信できる制御ユニットと、又は、BMSと制御ユニットとによって構成されてもよく、これに応じて、VCU/BMSによって、セルの温度が閾値よりも低いかどうかを決定し、セルの温度が閾値よりも低い時、制御ユニットに電気信号を送信し、制御ユニットを、トリガー信号を第1のスイッチモジュール12に送信するようにする。
【0041】
上記閾値は、電池パックにおけるセルの最適な充電パワーに対応する温度範囲に基づいて決定されてもよく、又は、上記閾値は、セルに充電操作を実行できない臨界温度に基づいて設定されてもよい。
【0042】
例示的に、最適な充電パワーに対応する温度範囲が[a,b]であれば、閾値は、aに設定してもよい。
【0043】
例示的に、臨界温度が摂氏c度であれば、閾値は、摂氏c度に設定してもよく、無論、閾値は、閾値は、cの上下一定範囲であってもよい。
【0044】
さらに説明すべきこととして、本出願の方案において、セルの温度及びセルの温度と閾値との比較について、主に、制御モジュール11及び関連するハードウェア接続の構造により設計を実現することを強調したが、係る可能性のあるソフトウェア実現プロセスについては、本願において変更がなく、当技術分野における関連技術を参照しながら設計することができる。
【0045】
1つの電池パックのセルの温度が閾値よりも低い時、トリガー信号を発信してもよく、全ての電池パックのセルの温度がいずれも閾値よりも低い時、トリガー信号を発信してもよい。
【0046】
第1のスイッチモジュール12は、第1の電池パック21の充放電回路に設けられ、第1のスイッチモジュール12の制御端は、制御モジュール11に接続される。第1のスイッチモジュール12は、トリガー信号を受信した時にオフすることによって、充放電回路を切断することができ、二つの電池パックは、上記第1の電池パック21を含む。
【0047】
励起モジュール13は、充放電回路が切断されている時、二つの電池パックと共に通路を形成し、励起電流を生成し、励起電流を二つの電池パックの間で往復して流すために用いられてもよい。
【0048】
本出願の実施例において、電池パックのセルの温度が閾値よりも低い時、第1のスイッチモジュール12をトリガーして第1の電池パック21の充放電回路を切断することで、励起モジュール13と二つの電池パックとの間で通路を形成させる。励起モジュール13は、この時、励起電流を生成し、励起電流を二つの電池パックの間で往復して流す。このように設けることで、セルの温度が閾値よりも低い時、二つの電池パックの間に電流が流れることによって、電池パックを発熱させ、自己加熱を実現させ、従来の熱伝達による外部加熱方式に比べて、加熱によるエネルギー消費が低く、これにより加熱によるエネルギー消費が小さい電池加熱方式を提供する。
【0049】
内部自己加熱方式に必要なエネルギー消費が比較的に低いため、電池加熱技術による充電時間と電池航続距離への影響も減少する。同一の温度条件で、電池の自己加熱方案は、関連技術に比べて、電池航続距離が向上し、充電時間がより短く、且つ電池パック内部に対して改良を行う必要がなく、コストが削減され、簡単で容易である。
【0050】
具体的には、この実施例において、第1のスイッチモジュール12がトリガー信号を受信していない時、二つの電池パックは、共同で動力電池として電力消費装置に給電することができ、又は、充電装置の充電信号を受信して充電を行うことができる。即ち、二つの電池パックは、セルの温度が正常である場合、電力消費装置又は充電装置と共に回路を形成し、この回路は、電池充電又は放電段階では共通であり、充放電回路とも呼ばれる。
【0051】
第1のスイッチモジュール12が制御モジュール11によって送信されたトリガー信号を受信した時、電池パックにおけるセルの温度が低すぎて、電池パックに対して加熱を行う必要があることを表す。これによって第1スイッチモジュール12は、オフにされ、第1の電池パック21の充放電回路を切断し、励起モジュール13を、回路に接続していない状態から、二つの電池パックと共に通路を形成する状態に切り替える。
【0052】
励起モジュール13が二つの電池パックと共に通路を形成する時、その内部に励起電流が生成され、励起電流は、二つの電池パックの間で往復して流れることができ、それによって電池パックの内部の電流流動により、セルが自己発熱し、低温環境における電池の自己加熱現象を形成する。内部の電流流動によってセルの自己発熱現象を引き起こすため、加熱フィルムを外部に貼り付けて加熱を行う方式に比べて、熱損失が大幅に減少し、且つ電池パックの内部構造を変更する必要がなく、電池パックの加熱効率が高く、互換性が高い。
【0053】
図1図2を同時に参照すると、説明すべきこととして、二つの電池パックは、第1の電池パック21に加えて、もう1つの電池パックは、第2の電池パック22である。前記構造によれば、一つの任意選択的な例において、第1のスイッチモジュール12は、第1のリレーK1を含んでもよい。又は、第1のスイッチモジュール12は、いくつかの複合型スイッチであってもよく、例えば、複数のMOSトランジスタを並列に接続することで構成される。
【0054】
第1のリレーK1を例として例示的に説明すると、他の第1のスイッチモジュール12の接続関係もこれを参照として設けてもよく、第1のリレーK1の第1の端は、第1の電池パック21の第1の極に接続されてもよく、第1のリレーK1の第2の端は、第2の電池パック22の第1の極に接続されてもよく、第1のリレーK1の制御端は、制御モジュール11に接続されてもよい。
【0055】
上記第1のリレーK1は、常閉リレーであってもよく、その第1の端と第2の端は、第1のリレーK1の二つの常閉接点であり、制御端を介して信号を受信していない時、常閉状態を保持し、第1の電池パック21の充放電回路は、この時、正常に使用可能である。
【0056】
制御端を介してトリガー信号を受信した時、常閉接点が開き、第1のリレーK1は、常閉状態から開き状態に切り替えることによって、第1の電池パック21の充放電回路を切断し、第1の電池パック21は、充電/放電を続けることができず、励起モジュール13によって自己加熱状態に入る。
【0057】
第1のリレーK1を設けることで、第1のスイッチモジュール12の任意選択的な構造を提供し、セル23の温度が低すぎる時、充放電回路の状態をタイムリーに変更することを支援し、励起モジュール13による電池パックの自己加熱の促進に供する。
【0058】
引き続き図1図2を参照すると、別の任意選択的な例において、第1のリレーK1が設けられている上で、励起モジュール13の第1の端は、第1のリレーK1の第1の端に接続されてもよく、励起モジュール13の第2の端は、第1のリレーK1の第2の端に接続されてもよく、励起モジュール13の第3の端は、第1の電池パック21の第2の極に接続されてもよい。
【0059】
説明すべきこととして、本出願の図1から図3は、第1の電池パック21の第1の極と第2の電池パック22の第1の極がいずれも正極であり、第2の極がいずれも負極であることを例として説明するが、上記第1の電池パック21の第1の極と第2の電池パック22の第1の極は、負極であってもよく、対応する第2の極は、正極である。
【0060】
図2を参照すると、第1のリレーK1が開いた後、第1の電池パック21は、第1の電池パック21の正極、励起モジュール13の第1の端、励起モジュール13の第3の端及び第1の電池パック21の負極によって通路を形成し、第2の電池パック22は、第2の電池パック22の正極、励起モジュール13の第2の端、励起モジュール13の第3の端、第2の電池パック22における第1の電池パック21に接続される負極共通端及び第2電池パック22の負極によって通路を形成する。
【0061】
これらの例において、第1のリレーK1と励起モジュール13との組み合わせによる接続構造によって、並列に接続される二つの電池パックがどのように正常な充放電を行うことから、励起モジュール13と共に通路を形成することに切り替えるかを実現させ、励起モジュール13による電池パックの自己加熱の促進のためのハードウェア基礎を提供する。
【0062】
引き続き図1図3を参照すると、ここで図3は、自己加熱制御回路の別の実施例の構造概略図を示す。励起モジュール13は、エネルギー貯蔵ユニットLと、第1のスイッチユニットQ1と、第2のスイッチユニットQ2と、第3のスイッチユニットQ3と、第4のスイッチユニットQ4とを含んでもよい。
【0063】
第1のスイッチユニットQ1は、第1の電池パック21の第1の極に接続されてもよく、第2のスイッチユニットQ2は、第2の電池パック22の第1の極に接続されてもよく、第3のスイッチユニットQ3は、第1の電池パック21の第2の極に接続されてもよく、第4のスイッチユニットQ4は、第1の電池パック21の第2の極に接続されてもよい。
【0064】
第1のスイッチユニットQ1と第3のスイッチユニットQ3の共通端、及び第2のスイッチユニットQ2と第4のスイッチユニットQ4の共通端はさらに、エネルギー貯蔵ユニットLに接続されてもよい。
【0065】
第1のスイッチユニットQ1、第2のスイッチユニットQ2、第3のスイッチユニットQ3及び第4のスイッチユニットQ4の制御端は、いずれも制御モジュール11に接続され、且つ第1のスイッチユニットQ1と第4のスイッチユニットQ4のオンタイミングは、第2のスイッチユニットQ2と第3のスイッチユニットQ3のオンタイミングと一致しない。
【0066】
説明すべきこととして、上記エネルギー貯蔵ユニットLは、インダクタであってもよく、さらにコンデンサなどのエネルギー貯蔵素子であってもよい。
【0067】
上記第1のスイッチユニットQ1、第2のスイッチユニットQ2、第3のスイッチユニットQ3及び第4のスイッチユニットQ4は、実際の必要に応じて設けられてもよく、MOSトランジスタ、例えばPMOSトランジスタであってもよく、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)であってもよく、トライオードとダイオードとの組み合わせ又は他の集積スイッチチップであってもよく、本実施例のスイッチ切り替えを実現させ、励起モジュール13と電池パックとの間での通路形成のために、電流励起を実現させることができるものであればよい。
【0068】
この実施例において、第1のスイッチユニットQ1、第4のスイッチユニットQ4及びエネルギー貯蔵ユニットLは、第1の電池パック21の位置する通路に接続され、第2のスイッチユニットQ2、第3のスイッチユニットQ3及びエネルギー貯蔵ユニットLは、第2の電池パック22の位置する通路に接続される。第1のスイッチユニットQ1、第4のスイッチユニットQ4のオンタイミングと第2のスイッチユニットQ2、第3のスイッチユニットQ3のオンタイミングとが異なるため、第1のスイッチユニットQ1、第4のスイッチユニットQ4と第2のスイッチユニットQ2、第3のスイッチユニットQ3は、タイミング制御に応じて、スイッチ状態を周期的に切り替えることができ、即ち、第1の周期内に、第1のスイッチユニットQ1と第4のスイッチユニットQ4は、オンにされ、第2のスイッチユニットQ2と第3のスイッチユニットQ3は、オフにされ、第2の周期内に、第1のスイッチユニットQ1と第4のスイッチユニットQ4は、オフにされ、第2のスイッチユニットQ2と第3のスイッチユニットQ3は、オンにされ、第1の周期と第2の周期は、交互に現れ、さらに、エネルギー貯蔵ユニットLを絶え間なく充放電させ、励起モジュール13と二つの電池パックの通路間の電流方向を絶え間なく変化させ、電流を二つの電池パックの間で往復して流し、さらに、電池パック内のセルを自己発熱させることによって、低温環境における電池パックの自己加熱を実現させる。
【0069】
本実施例において、励起モジュール13の構造構成を提供し、制御モジュール11による四つのスイッチユニットのタイミング制御によって、励起モジュール13の内部に発振励起電流を発生させ、構造が簡単であり、電池パックの自己加熱の実現を支援し、熱損失が大幅に減少し、電池パックの加熱効率が高く、且つ電池パックの内部構造を変更する必要がなく、互換性が高い。
【0070】
引き続き図1から図3を参照すると、上記構造に加えて、自己加熱制御回路のさらに一つの実施例において、この回路は、第1のハウジング14をさらに含み、制御モジュール11、第1のスイッチモジュール12及び励起モジュール13は、第1のハウジング14に収容されてもよい。第1のハウジング14を設けることで、内部回路が外部からの干渉を受けることを避けることができ、回路集積に有利である。
【0071】
これを基礎として、第1のハウジング14に、八つの高圧インターフェースがさらに設けられてもよく、図3におけるハウジングの左側の四つのインターフェースは、電池パックに接続しやすく、右側の四つのインターフェースは、電池パックの正負極の引き出しを容易にし、電力消費装置、例えば、モータ、エアコンなど、又は、充電装置、例えば、充電パイルへの接続を容易にすることができる。
【0072】
ここで、左側の四つのインターフェースは、それぞれ、第1の正方向インターフェース41、第2の正方向インターフェース42、第1の負方向インターフェース43、第2の負方向インターフェース44であり、それらは、対応して第2の電池パック22の正極、第1の電池パック21の正極、第1の電池パック21の負極、第2の電池パック22の負極に接続される。
【0073】
右側の四つのインターフェースは、それぞれ、第3の正方向インターフェース45、第4の正方向インターフェース46、第3の負方向インターフェース口47、第4の負方向インターフェース48である。
【0074】
第1のハウジング14の内部において、第1の正方向インターフェース41と第3の正方向インターフェース45は、高圧ハーネスを介して接続されてもよく、第2の正方向インターフェース42は、高圧ハーネスを介して第1のリレーK1に接続された後、第4の正方向インターフェース46を介して引き出される。
【0075】
第1の負方向インターフェース43は、高圧ハーネスを介して第3の負方向インターフェース47に接続され、第2の負方向インターフェース44は、高圧ハーネスを介して第4の負方向インターフェース48に接続される。励起モジュール13の第3の端は、第1の負方向インターフェース43と第3の負方向インターフェース47に接続されてもよい。
【0076】
さらに説明すべきこととして、右側の四つのインターフェースについて、二つの電池パックと励起モジュール13とが通路を形成する時、第3の正方向インターフェース45が第4の正方向インターフェース46に接続され、第3の負方向インターフェース47が第4の負方向インターフェース48に接続されると共に、右側の四つのインターフェースが、いずれも、電力消費装置及び充電装置との連通を切断することであってもよく、電池の自己加熱の時に電池パックが外部高圧に連通しないことを確保する。
【0077】
第1のハウジング14及びインターフェースを設けることで、電池パックのインターフェースと高圧ハーネスをいずれも多重化し、自己加熱制御回路を電池パックに迅速に接続できると共に、電池パックの正常な給電又は放電に影響を及ぼさず、迅速な切り替えの実現を容易にする。
【0078】
以上では、図1から図3を結び付けて、本出願の実施例の自己加熱制御回路を詳しく記述した。これを基礎として、本出願の実施例は、自己加熱制御システムをさらに提供する。このシステムは、二つの電池パックと、上記実施例による自己加熱制御回路とを含むため、自己加熱制御システムは、上記自己加熱制御回路の全ての有益な効果を持つ。
【0079】
図4を参照すると、上記構造によれば、本出願の自己加熱制御システムの別の実施例を提供する。この実施例において、上記各電池パックは、直列に接続される複数のセル23と、セル23の間に直列に接続される第1のメンテナンススイッチ24とを含んでもよい。第1のメンテナンススイッチ24は、電池パックの正極と電池パックの負極との間の任意の位置に置かれてもよく、これによって電池パックの高圧メイン回路を手動で切断し、別の電池パックの独立した作動を実現させることができ、第1のメンテナンススイッチ24を設けることで、メンテナンス作業者に安全保護を与えることができる。
【0080】
電池パックに対して安定した高圧システムを提供するために、別の実施例において、引き続き図4を参照すると、上記構造に加えて、システムは、高圧制御回路31をさらに含む。
【0081】
高圧制御回路31は、第2のスイッチモジュール32と、第1のインターフェース33と、電力消費インターフェース34と、充電インターフェース35とを含んでもよく、ここで、第2のスイッチモジュール32は、第1のインターフェース33を介して二つの電池パックの共通端に接続され、電力消費インターフェース34を介して電力消費装置に接続され、充電インターフェース35を介して充電装置に接続され、電力消費装置と充電装置は、図示されていない。
【0082】
第2のスイッチモジュール32は、電力消費インターフェース34を介して電力消費信号を受信した時、二つの電池パックと電力消費装置との間での放電回路の形成を制御するために用いられてもよい。
【0083】
第2のスイッチモジュール32はさらに、電力消費インターフェース35を介して充電信号を受信した時、二つの電池パックと充電装置との間での充電回路の形成を制御するために用いられてもよい。
【0084】
第2のスイッチモジュール32はさらに、トリガー信号を受信した時、充電回路と放電回路をオフにするように制御するために用いられてもよい。
【0085】
上記第2のスイッチモジュール32は、第2のハウジング38内に設けられてもよく、第2のハウジング38に溝が開設され、且つ第1のインターフェース33、電力消費インターフェース34及び充電インターフェース35が取り付けられている。第2のハウジング38による収容設計によって、高圧制御回路の切り替えの実現を容易にし、電力消費の安全性を確保する。
【0086】
ここで、第1のインターフェース33は、四つであってもよく、四つの第1のインターフェース33は、それぞれ、第3の正方向インターフェース45、第4の正方向インターフェース46、第3の負方向インターフェース口47、第4の負方向インターフェース48に接続される。電力消費インターフェース34は、二つであってもよく、それぞれ、電力消費装置の正負極に接続される。充電インターフェース35も二つであってもよく、それぞれ、直流充電装置の正負極に接続される。
【0087】
さらに説明すべきこととして、第3の正方向インターフェース45と第4の正方向インターフェース46に接続される二つの第1のインターフェース33はさらに、高圧ハーネスを介して第2のハウジング38の内部において接続されてもよく、二つの電池パックの正極を接続し、電池パックの正方向共通端を形成する。電池パックの負方向共通端の形成も同様であり、ここで説明を省略する。
【0088】
高圧制御回路31は、二つの電流センサ36をさらに含んでもよく、二つの電流センサ36は、それぞれ、第1の電池パック21と第2の電池パック22の正方向充放電回路に接続されてもよく、それによって高圧での電流検出を実現させ、起動瞬間の過大な電流による回路におけるデバイスの破壊を回避する。
【0089】
本実施例において、第2のスイッチモジュール32によって受信された異なる信号、即ち、電力消費信号、充電信号又はトリガー信号によって、スイッチ制御を利用して、電池パックと異なる装置/モジュールとの間の回路をオンにし、高圧電力消費の切り替えを実現させることができる。
【0090】
引き続き図4を参照すると、上記第2のスイッチモジュール32は、第2のリレーK2と、第3のリレーK3と、第4のリレーK4と、第5のリレーK5と、第6のリレーK6とを含んでもよく、ここで、第2のリレーK2はさらに、プリチャージコンポーネントRと直列に接続され、このプリチャージコンポーネントRは、例えば、プリチャージ抵抗器であってもよく、その直列に接続によって形成される分岐回路は、第3のリレーK3と並列に接続される。
【0091】
第3のリレーK3の第1の端は、二つの電池パックの正方向共通端に接続され、第2の端は、電力消費インターフェース34を介して電力消費装置の正極に接続される。第4のリレーK4の第1の端は、二つの電池パックの負方向共通端に接続され、第2の端は、電力消費インターフェース34を介して電力消費装置の負極に接続される。
【0092】
第5のリレーK5の第1の端は、二つの電池パックの正方向共通端に接続され、第2の端は、充電インターフェース35を介して直流充電装置の正極に接続される。第6のリレーK6の第1の端は、二つの電池パックの負方向共通端に接続され、第2の端は、充電インターフェース35を介して直流充電装置の負極に接続される。
【0093】
説明すべきこととして、二つの電池パックが電力消費装置に対して放電する初期段階において、第2のリレーK2と第4のリレーK4は、オンにされ、一定時間オンにされた後、第2のリレーK2は、オフにされ、第3のリレーK3は、オンにされ、それによってプリチャージ抵抗器の直列に接続設置によって、瞬時的な電流が過大になることによる電力消費装置の損壊を防止し、電力消費の安全性を向上させる。
【0094】
起動瞬間を除き、第3のリレーK3と第4のリレーK4のオン/オフ状態は一致してもよく、第3のリレーK3と第4のリレーK4のオンオフを調整することで、放電回路をオンにするかどうかを決定することができる。第5のリレーK5と第6のリレーK6のオン/オフ状態も一致してもよく、第5のリレーK5と第6のリレーK6のオンオフを調整することで、充電回路をオンにするかどうかを決定することができる。
【0095】
なお、セル23の温度が閾値よりも低い時、第2のリレーK2から第6のリレーK6をいずれもオフにすることで、充電回路と放電回路をいずれも切断状態にし、電池パックの自己加熱の時に電池パックが外部高圧に連通しないことを確保する。
【0096】
さらに説明すべきこととして、上記高圧制御回路31は、第2のメンテナンススイッチ37をさらに含み、この第2のメンテナンススイッチ37は、電池パックの負方向共通端に接続され、さらに、第4のリレーK4及び第5のリレーK5の共通端に接続される。説明すべきこととして、上記第1のメンテナンススイッチ24と第2のメンテナンススイッチ37は、いずれも、手動メンテナンススイッチであってもよい。第2のメンテナンススイッチ37を設けることで、高圧システムに故障が発生する時、第2のメンテナンススイッチ37をオフにし、メンテナンス作業者を保護することを容易にする。
【0097】
好ましい実施例を参照しながら、本出願について説明したが、本出願の範囲を逸脱することなく、種々の改良を行うことができ、且つそのうちの部品を等価物で置換することができる。特に、各実施例で言及された各技術的特徴は、構造の矛盾が生じない限り、任意に組み合わせることができる。本出願は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に含まれる全ての技術案を含むものである。
【符号の説明】
【0098】
制御モジュール11、第1のスイッチモジュール12、励起モジュール13、第1のハウジング14、第1の電池パック21、第2の電池パック22、セル23、第1のメンテナンススイッチ24、第1のリレーK1、第2のリレーK2、第3のリレーK3、第4のリレーK4、第5のリレーK5、第6のリレーK6、第1のスイッチユニットQ1、第2のスイッチユニットQ2、第3のスイッチユニットQ3、第4のスイッチユニットQ4、エネルギー貯蔵ユニットL、プリチャージコンポーネントR、高圧制御回路31、第2のスイッチモジュール32、第1のインターフェース33、電力消費インターフェース34、充電インターフェース35、電流センサ36、第2のメンテナンススイッチ37、第2のハウジング38、第1の正方向インターフェース41、第2の正方向インターフェース42、第1の負方向インターフェース43、第2の負方向インターフェース44、第3の正方向インターフェース45、第4の正方向インターフェース46、第3の負方向インターフェース47、第4の負方向インターフェース48。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2022-09-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己加熱制御回路であって、
並列に接続される二つの電池パックのセルの温度を取得し、前記セルの温度が閾値よりも低い時、トリガー信号を発信するための制御モジュール(11)と、
前記電池パックに含まれる第1の電池パック(21)の充放電回路に設けられ、その制御端が前記制御モジュール(11)に接続され、前記トリガー信号を受信した時、前記充放電回路を切断するために用いられる、第1のスイッチモジュール(12)と、
前記充放電回路が切断されている時、二つの前記電池パックと共に通路を形成し、励起電流を生成し、前記励起電流を二つの前記電池パックの間で往復して流すための励起モジュール(13)とを含む、自己加熱制御回路。
【請求項2】
前記電池パックは、第2の電池パック(22)をさらに含み、前記第1のスイッチモジュール(12)は、その第1の端が前記第1の電池パック(21)の第1の極に接続され、第2の端が前記第2の電池パック(22)の第1の極に接続され、制御端が前記制御モジュール(11)に接続される、請求項1に記載の回路。
【請求項3】
前記励起モジュール(13)の第1の端は、前記第1のスイッチモジュール(12)の第1の端に接続され、前記励起モジュール(13)の第2の端は、前記第1のスイッチモジュール(12)の第2の端に接続され、前記励起モジュール(13)の第3の端は、前記第1の電池パック(21)の第2の極に接続される、請求項2に記載の回路。
【請求項4】
前記励起モジュール(13)は、エネルギー貯蔵ユニット(L)と、前記第1の電池パック(21)の第1の極に接続される第1のスイッチユニット(Q1)と、前記第2の電池パック(22)の第1の極に接続される第2のスイッチユニット(Q2)と、いずれも前記第1の電池パック(21)の第2の極に接続される第3のスイッチユニット(Q3)と第4のスイッチユニット(Q4)とを含み、
前記エネルギー貯蔵ユニット(L)は、前記第1のスイッチユニット(Q1)と前記第3のスイッチユニット(Q3)の共通端及び前記第2のスイッチユニット(Q2)と前記第4のスイッチユニット(Q4)の共通端に接続され、
前記第1のスイッチユニット(Q1)、前記第2のスイッチユニット(Q2)、前記第3のスイッチユニット(Q3)及び前記第4のスイッチユニット(Q4)の制御端は、いずれも前記制御モジュール(11)に接続され、且つ前記第1のスイッチユニット(Q1)と前記第4のスイッチユニット(Q4)のオンタイミングは、前記第2のスイッチユニット(Q2)と前記第3のスイッチユニット(Q3)のオンタイミングと一致しない、請求項2に記載の回路。
【請求項5】
第1の周期内に、前記第1のスイッチユニット(Q1)と前記第4のスイッチユニット(Q4)は、オンにされ、前記第2のスイッチユニット(Q2)と前記第3のスイッチユニット(Q3)は、オフにされ、
第2の周期内に、前記第1のスイッチユニット(Q1)と前記第4のスイッチユニット(Q4)は、オフにされ、前記第2のスイッチユニット(Q2)と前記第3のスイッチユニット(Q3)は、オンにされ、
前記第1の周期と前記第2の周期は、交互に現れる、請求項4に記載の回路。
【請求項6】
前記エネルギー貯蔵ユニット(L)は、インダクタ又はコンデンサである、請求項4に記載の回路。
【請求項7】
前記第1のスイッチユニット(Q1)と、前記第2のスイッチユニット(Q2)と、前記第3のスイッチユニット(Q3)と、前記第4のスイッチユニット(Q4)とのうちの少なくとも1つは、スイッチであり、前記スイッチは、MOSトランジスタと、絶縁ゲートバイポーラトランジスタとのうちの一つである、請求項4に記載の回路。
【請求項8】
前記回路は、第1のハウジング(14)をさらに含み、前記制御モジュール(11)、前記第1のスイッチモジュール(12)及び前記励起モジュール(13)は、前記第1のハウジング(14)内に収容される、請求項1~7のいずれか一項に記載の回路。
【請求項9】
自己加熱制御システムであって、
並列に接続される二つの電池パックと、
請求項1~のいずれか一項に記載の自己加熱制御回路とを含む、自己加熱制御システム。
【請求項10】
前記システムは、高圧制御回路(31)をさらに含み、前記高圧制御回路(31)は、第1のインターフェース(33)と、電力消費インターフェース(34)と、充電インターフェース(35)と、第2のスイッチモジュール(32)とを含み、
前記第2のスイッチモジュール(32)は、前記第1のインターフェース(33)を介して二つの前記電池パックの共通端に接続され、前記電力消費インターフェース(34)を介して電力消費装置に接続され、充電インターフェース(35)を介して充電装置に接続される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第2のスイッチモジュール(32)は、前記電力消費インターフェース(34)を介して電力消費信号を受信した時、二つの前記電池パックと前記電力消費装置との間での放電回路の形成を制御するために用いられ、
前記第2のスイッチモジュール(32)はさらに、前記トリガー信号を受信した時、前記放電回路をオフにするように制御するために用いられる、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第2のスイッチモジュール(32)はさらに、前記電力消費インターフェース(35)を介して充電信号を受信した時、二つの前記電池パックと前記充電装置との間での充電回路の形成を制御するために用いられ、
前記第2のスイッチモジュール(32)はさらに、前記トリガー信号を受信した時、前記充電回路をオフにするように制御するために用いられる、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
各前記電池パックは、直列に接続される複数のセル(23)と、前記セル(23)の間に直列に接続される第1のメンテナンススイッチ(24)とを含む、請求項9に記載のシステム。
【国際調査報告】