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特表2023-550882化合物およびそれを含む有機発光素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-06
(54)【発明の名称】化合物およびそれを含む有機発光素子
(51)【国際特許分類】
   C07C 211/61 20060101AFI20231129BHJP
   C07D 307/77 20060101ALI20231129BHJP
   C07D 333/50 20060101ALI20231129BHJP
   C07D 307/91 20060101ALI20231129BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20231129BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20231129BHJP
   H10K 50/15 20230101ALI20231129BHJP
   H10K 50/18 20230101ALI20231129BHJP
   H10K 59/00 20230101ALI20231129BHJP
   H10K 85/60 20230101ALI20231129BHJP
【FI】
C07C211/61
C07D307/77 CSP
C07D333/50
C07D307/91
C09K11/06 690
H10K50/10
H10K50/15
H10K50/18
H10K59/00
H10K85/60
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023523067
(86)(22)【出願日】2021-09-10
(85)【翻訳文提出日】2023-04-14
(86)【国際出願番号】 KR2021012353
(87)【国際公開番号】W WO2022108068
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】10-2020-0155675
(32)【優先日】2020-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513298491
【氏名又は名称】エルティー・マテリアルズ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LT Materials Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】113-19, Dangha-Ro, Namsa-Myeon, Cheoin-Gu, Yongin-si, Gyeonggi-do 17118, korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】イ,ギ-ベク
(72)【発明者】
【氏名】ホ,ユ-ジン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ウォン-ジャン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ドン-ジュン
【テーマコード(参考)】
3K107
4H006
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107CC03
3K107CC21
3K107DD71
3K107DD78
4H006AA01
4H006AB92
(57)【要約】
本明細書は、化学式1の化合物およびそれを含む有機発光素子に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1の化合物:
【化23】

前記化学式1において、
XはO;S;またはCR’R’’であり、
R’およびR’’は、それぞれ独立して、置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;あるいは置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
L1、L2、L11およびL12は、それぞれ独立して、直接結合;置換または非置換のC6~C60のアリーレン基;あるいは置換または非置換のC2~C60のヘテロアリーレン基であり、
R11、R12およびArは、それぞれ独立して、置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;あるいは置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
R1は、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;あるいは置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
rは0~8の整数であり、2以上の場合、R1は同一または異なり、
前記「置換または非置換の」とは、重水素;ハロゲン基;シアノ基;C1~C60のアルキル基;C2~C60のアルケニル基;C2~C60のアルキニル基;C3~C60のシクロアルキル基;C2~C60のヘテロシクロアルキル基;C6~C60のアリール基;およびC2~C60のヘテロアリール基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基、または前記例示の置換基の中から選択された少なくとも2つの置換基が連結された置換基で置換されるか、または非置換されたことを意味する。
【請求項2】
前記化学式1は、下記化学式1-1~1-3のいずれかで表されるものである、請求項1に記載の化合物:
【化24】

【化25】

【化26】

前記化学式1-1~1-3において、
R21およびR22は、それぞれ独立して、置換または非置換のC1~C10のアルキル基;あるいは置換または非置換のC6~C20のアリール基であり、
残りの置換基の定義は化学式1における定義と同一である。
【請求項3】
前記化学式1は、下記化学式2で表されるものである、請求項1に記載の化合物:
【化27】

前記化学式2において、各置換基の定義は化学式1における定義と同一である。
【請求項4】
前記ArはC6~C20のアリール基;またはC2~C20のヘテロアリール基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
前記R11は、置換または非置換のC6~C60のアリール基であり、
前記R12は、置換または非置換のC6~C60のアリール基;あるいは置換または非置換であり、OまたはSを含むC2~C60のヘテロアリール基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
前記化学式1は、下記化合物のいずれかで表されるものである、請求項1に記載の化合物:
【化28】
















【請求項7】
第1電極;第2電極;および前記第1電極と前記第2電極との間に設けられた有機物層を含む有機発光素子であって、
前記有機物層は、請求項1~6のいずれかに記載の化合物を含む、有機発光素子。
【請求項8】
前記有機物層は、正孔輸送層を含み、
前記正孔輸送層は、前記化合物を含む、請求項7に記載の有機発光素子。
【請求項9】
前記有機物層は、電子阻止層を含み、
前記電子阻止層は、前記化合物を含む、請求項7に記載の有機発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、化合物およびそれを含む有機発光素子に関する。
【0002】
本明細書は、2020年11月19日付にて韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2020-0155675号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0003】
電界発光素子は、自発光型表示素子の一種であり、視野角が広く、コントラストに優れるだけでなく、応答速度が速いという利点を有している。
【0004】
有機発光素子は、2つの電極の間に有機薄膜を配置した構造を有している。このような構造の有機発光素子に電圧が印加されると、2つの電極から注入された電子と正孔が有機薄膜で結合して対を成して消滅しながら光を発するようになる。前記有機薄膜は、必要に応じて単層または多層で構成され得る。
【0005】
有機薄膜の材料は、必要に応じて発光機能を有してもよい。例えば、有機薄膜材料としては、それ自体が単独で発光層を構成することができる化合物が用いられてもよく、またはホスト-ドーパント系発光層のホストまたはドーパントの役割を果たせる化合物が用いられてもよい。他にも、有機薄膜の材料として、正孔注入、正孔輸送、電子遮断、正孔遮断、電子輸送、電子注入などの役割を果たすことができる化合物が用いられてもよい。
【0006】
有機発光素子の性能、寿命または効率を向上させるために、有機薄膜の材料の開発が絶えず要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書は、化合物およびそれを含む有機発光素子を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書の一実施態様において、下記化学式1の化合物を提供する。
【0009】
【化1】

前記化学式1において、
XはO;S;またはCR’R’’であり、
R’およびR’’は、それぞれ独立して、置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;あるいは置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
L1、L2、L11およびL12は、それぞれ独立して、直接結合;置換または非置換のC6~C60のアリーレン基;あるいは置換または非置換のC2~C60のヘテロアリーレン基であり、
R11、R12およびArは、それぞれ独立して、置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;あるいは置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
R1は、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;あるいは置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
rは0~8の整数であり、2以上の場合、R1は同一または異なり、
前記「置換または非置換の」とは、重水素;ハロゲン基;シアノ基;C1~C60のアルキル基;C2~C60のアルケニル基;C2~C60のアルキニル基;C3~C60のシクロアルキル基;C2~C60のヘテロシクロアルキル基;C6~C60のアリール基;およびC2~C60のヘテロアリール基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基、または前記の置換基から選択される少なくとも2つの置換基が連結された置換基で置換されるか、または非置換されたことを意味する。
【0010】
また他の実施態様において、第1電極;前記第1電極と対向して設けられた第2電極;および前記第1電極と前記第2電極との間に設けられた有機物層を含む有機発光素子であって、前記有機物層は前記化学式1の化合物を含む有機発光素子を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本明細書に記載の化合物は、有機発光素子の有機物層材料として使用されてもよい。前記化合物は、有機発光素子において正孔注入材料、正孔輸送材料、発光材料、電子輸送材料、電子注入材料、電荷生成材料などの役割を果たすことができる。特に、前記化合物は、有機発光素子の正孔輸送層または電子阻止層の材料として使用されることができる。
【0012】
前記化学式1の化合物を有機発光素子の正孔輸送層または電子阻止層の材料として用いる場合、駆動電圧と寿命の面で優れた有機発光素子を提供することができる。
【0013】
具体的には、前記化学式1の化合物は、アミン基が置換されたフルオレン骨格に正孔(hole)特性を強化した置換基を結合することにより、バンドギャップおよびT1値(三重項状態(Triple state)のエネルギー準位値)調節を通じて正孔輸送層として使用したとき、アミンの非共有電子対が正孔の流れをよくし、正孔輸送層の正孔伝達能力を向上させることができ、電子阻止層として使用された場合、正孔輸送層に侵入した電子が原因で発生する正孔輸送物質の劣化を抑制して優れた効率を有する有機発光素子を提供する効果を有することができる。また、化合物の平面性およびガラス転移温度を高めて化合物の熱的安定性を高めることができる特徴を有することになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本明細書の一実施態様による有機発光素子の積層構造を例示的に示す図である。
図2】本明細書の一実施態様による有機発光素子の積層構造を例示的に示す図である。
図3】本明細書の一実施態様による有機発光素子の積層構造を例示的に示す図である。
図4】本明細書の一実施態様による有機発光素子の積層構造を例示的に示す図である。
【符号の説明】
【0015】
100 ・・・基板
200 ・・・陽極
300 ・・・有機物層
301 ・・・正孔注入層
302 ・・・正孔輸送層
303 ・・・電子阻止層
304 ・・・発光層
305 ・・・電子輸送層
306 ・・・電子注入層
400 ・・・陰極
【0016】
[発明の実施のための最善の形態]
以下、本明細書についてより詳細に説明する。
【0017】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」という場合、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0018】
前記「置換」という用語は、化合物の炭素原子に結合された水素原子が他の置換基に変わることを意味し、置換される位置は、水素原子が置換される位置、すなわち置換基が置換可能な位置であれば限定されず、2以上置換される場合、2以上の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
【0019】
本明細書において、「置換または非置換の」とは、重水素;ハロゲン基;シアノ基;C1~C60のアルキル基;C2~C60のアルケニル基;C2~C60のアルキニル基;C3~C60のシクロアルキル基;C2~C60のヘテロシクロアルキル基;C6~C60のアリール基;およびC2~C60のヘテロアリール基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基、または前記例示の置換基から選択される少なくとも2つの置換基が連結された置換基で置換されるか、または非置換であることを意味する。
【0020】
本明細書において、「化学式または化合物構造に置換基が示されない場合」とは、炭素原子に水素原子が結合したことを意味する。ただし、重水素(H、Deuterium)は水素の同位元素であるため、一部の水素原子は重水素であってもよい。
【0021】
本出願の一実施態様において、「化学式または化合物構造に置換基が示されない場合」は、置換基として来られる位置が全て水素または重水素であることを意味することができる。すなわち、重水素の場合、水素の同位元素であり、一部の水素原子は同位元素である重水素であってもよく、このとき重水素の含量は0%~100%であってもよい。
【0022】
本出願の一実施態様において、「化学式または化合物構造に置換基が表示されない場合」において、重水素の含量が0%、水素の含量が100%、置換基はいずれも水素などの重水素を明示的に排除しない場合は、水素と重水素は化合物において混在して使用されてもよい。
【0023】
本出願の一実施態様において、重水素は、水素の同位元素(isotope)の一つであり、プロトン(proton)1個と中性子(neutron)1個からなる重陽子(deuteron)を原子核(nucleus)として有する元素であって、水素-2で表すことができ、元素記号はDまたはHで表すことができ、
本出願の一実施態様において、同位元素は、原子番号(atomic number、Z)は同じであるが、質量数(mass number、A)が異なる原子を意味する同位元素は同数のプロトン(proton)を有するが、中性子(neutron)の数が異なる元素としても解釈することができる。
【0024】
本出願の一実施態様において、特定置換基の含量T%の意味は、基本となる化合物が有し得る置換基の総数をT1と定義し、そのうち特定の置換基の数をT2と定義する場合、T2/T1Х100=T%と定義することができる。
【0025】
すなわち、一例において、
【化2】

で表されるフェニル基において重水素の含量20%というのは、フェニル基が有し得る置換基の総数は5(式中T1)個であり、そのうち重水素の個数が1(式中T2)である場合、20%と表示されることができる。すなわち、フェニル基において重水素の含量が20%であるのは、下記構造式で表されることができる。
【0026】
【化3】
【0027】
また、本出願の一実施態様において、「重水素の含量が0%のフェニル基」の場合、重水素原子が含まれない、すなわち水素原子5個を有するフェニル基を意味することができる。
【0028】
本明細書において、前記ハロゲンはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素であってもよい。
【0029】
本明細書において、前記アルキル基は直鎖または分岐鎖を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。前記アルキル基の炭素数は、1~60、具体的には1~40、より具体的には1~20であってもよい。具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n-プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、1-メチル-ブチル基、1-エチル-ブチル基、ペンチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、ヘキシル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、3,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、ヘプチル基、n-ヘプチル基、1-メチルヘキシル基、オクチル基、n-オクチル基、tert-オクチル基、1-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、2-プロピルペンチル基、n-ノニル基、2,2-ジメチルヘプチル基、1-エチル-プロピル基、1,1-ジメチル-プロピル基、イソヘキシル基、2-メチルペンチル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基などがあるが、これに限定されるものではない。
【0030】
本明細書において、前記アルケニル基は直鎖または分岐鎖を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。前記アルケニル基の炭素数は、2~60、具体的には2~40、より具体的には2~20であってもよい。具体例としては、ビニル基、1-プロぺニル基、イソプロぺニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、3-メチル-1-ブテニル基、1,3-ブタジエニル基、アリル基、1-フェニルビニル-1-イル基、2-フェニルビニル-1-イル基、2,2-ジフェニルビニル-1-イル基、2-フェニル-2-(ナフチル-1-イル)ビニル-1-イル基、2,2-ビス(ジフェニル-1-イル)ビニル-1-イル基、スチルベニル基、スチレニル基などがあるが、これらに限定されない。
【0031】
本明細書において、前記アルキニル基は直鎖または分岐鎖を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。前記アルキニル基の炭素数は、2~60、具体的には2~40、より具体的には2~20であってもよい。
【0032】
本明細書において、前記シクロアルキル基は単環または多環を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。ここで、多環とは、シクロアルキル基が他の環基と直接連結または縮合した基を意味する。ここで、他の環基とは、シクロアルキル基であってもよいが、他の種類の環基、例えばヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記シクロアルキル基の炭素数は、3~60、具体的には3~40、さらに具体的には5~20であってもよい。具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、3-メチルシクロペンチル基、2,3-ジメチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、3-メチルシクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、2,3-ジメチルシクロヘキシル基、3,4,5-トリメチルシクロヘキシル基、4-tert-ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などがあるが、これらに限定されない。
【0033】
本明細書において、前記ヘテロシクロアルキル基は、ヘテロ原子としてO、S、Se、NまたはSiを含み、単環または多環を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。ここで、多環とは、ヘテロシクロアルキル基が他の環基と直接連結または縮合した基を意味する。ここで、他の環基はヘテロシクロアルキル基であってもよいが、他の種類の環基、例えばシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記ヘテロシクロアルキル基の炭素数は、2~60、具体的には2~40、さらに具体的には3~20であってもよい。
【0034】
本明細書において、前記アリール基は単環または多環を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。ここで、多環とは、アリール基が他の環基と直接連結または縮合した基を意味する。ここで、他の環基とは、アリール基であってもよいが、他の種類の環基、例えばシクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記アリール基はスピロ基を含む。前記アリール基の炭素数は、6~60、具体的には6~40、より具体的には6~25であってもよい。前記アリール基が2環以上の場合、炭素数は8~60、8~40、8~30であってもよい。前記アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アントリル基、クリセニル基、フェナントレニル基、フェリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、フェナレニル基、ピレニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、フルオレニル基、インデニル基、アセナフチレニル基、ベンゾフルオレニル基、スピロビフルオレニル基、2,3-ジヒドロ-1H-インデニル基、それらの縮合環基などが挙げられるが、これだけに限定されるものではない。
【0035】
本明細書において、前記ターフェニル基は以下の構造から選択されてもよい。
【0036】
【化4】
【0037】
本明細書において、前記フルオレニル基は置換されてもよく、隣接する置換基が互いに結合して環を形成してもよい。
【0038】
前記フロオレニル基が置換される場合、
【化5】

などがあげられるが、これに限定されない。
【0039】
本明細書において、前記ヘテロアリール基は、ヘテロ原子としてO、S、SO、Se、NまたはSiを含み、単環または多環を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。ここで、前記多環とは、ヘテロアリール基が他の環基と直接連結または縮合した基を意味する。ここで、他の環基とは、ヘテロアリール基であってもよいが、他の種類の環基、例えばシクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基などであってもよい。前記ヘテロアリール基の炭素数は、2~60、具体的には2~40、さらに具体的には3~25であってもよい。前記ヘテロアリール基が2環以上の場合、炭素数は4~60、4~40、4~25であってもよい。前記ヘテロアリール基の具体例としては、ピリジル基、ピロリル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、フラニル基、チオフェン基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、トリアゾリル基、フラザニル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、ジチアゾリル基、テトラゾリル基、ピラニル基、チオピラニル基、ジアジニル基、オキサジニル基、チアジニル基、ジオキシニル基、トリアジニル基、テトラジニル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、イソキナゾリニル基、キノゾリリル基、ナフチリジル基、アクリジニル基、フェナントリジニル基、イミダゾピリジニル基、ジアザナフタレニル基、トリアザインデン基、インドリル基、インドリジニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンズオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチオフェン基、ベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基、ジベンゾフラン基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ジベンゾカルバゾリル基、フェナジニル基、ジベンゾシロール基、スピロビ(ジベンゾシロール)、ジヒドロフェナジニル基、フェノキサジニル基、フェナントリジル基、イミダゾピリジニル基、チエニル基、インドロ[2,3-a]カルバゾリル基、インドロ[2,3-b]カルバゾリル基、インドリニル基、10,11-ジヒドロ-ジベンゾ[b,f]アゼピン基、9,10-ジヒドロアクリジニル基、フェナントラジニル基、フェノチアチアジニル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、フェナントロリニル基、ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾリル基、5,10-ジヒドロジベンゾ[b,e][1,4]アザシリニル、ピラゾロ[1,5-c]キナゾリニル基、ピリド[1,2-b]インダゾリル基、ピリド[1,2-a]イミダゾ[1,2-e]インドリニル基、ベンゾフロ[2,3-d]ピリミジル基;ベンゾチエノ[2,3-d]ピリミジル基;ベンゾフロ[2,3-a]カルバゾリル基、ベンゾチエノ[2,3-a]カルバゾリル基、1,3-ジヒドロインドロ[2,3-a]カルバゾリル基、ベンゾフロ[3,2-a]カルバゾリル基、ベンゾチエノ[3,2-a]カルバゾリル基、1,3-ジヒドロインドロ[3,2-a]カルバゾリル基、ベンゾフロ[2,3-b]カルバゾリル基、ベンゾチエノ[2,3-b]カルバゾリル基、1,3-ジヒドロインドロ[2,3-b]カルバゾリル基、ベンゾフロ[3,2-b]カルバゾリル基、ベンゾチエノ[3,2-b]カルバゾリル基、1,3-ジヒドロインドロ[3,2-b]カルバゾリル基、ベンゾフロ[2,3-c]カルバゾリル基、ベンゾチエノ[2,3-c]カルバゾリル基、1,3-ジヒドロインドロ[2,3-c]カルバゾリル基、ベンゾフロ[3,2-c]カルバゾリル基、ベンゾチエノ[3,2-c]カルバゾリル基、1,3-ジヒドロインドロ[3,2-c]カルバゾリル基、1,3-ジヒドロインデノ[2,1-b]カルバゾリル基、5,11-ジヒドロインデノ[1,2-b]カルバゾリル基、5,12-ジヒドロインデノ[1,2-c]カルバゾリル基、5,8-ジヒドロインデノ[2,1-c]カルバゾリル基、7,12-ジヒドロインデノ[1,2-a]カルバゾリル基、11,12-ジヒドロインデノ[2,1-a]カルバゾリル基などが挙げられるが、これだけに限定されるものではない。
【0040】
本明細書において、前記アリーレン基は2価基であることを除いて、前述のアリール基の例示を適用することができる。
【0041】
本明細書において、前記ヘテロアリーレン基は2価基であることを除いて、上述のヘテロアリーレン基の例示を適用することができる。
【0042】
本明細書の一実施態様において、前記XはOであってもよい。
【0043】
本明細書の一実施態様において、前記XはSであってもよい。
【0044】
本明細書の一実施態様において、前記XはCR’R’’であり、R’およびR’’は、それぞれ独立して、置換または非置換のC1~C60のアルキル基;あるいは置換または非置換のC6~C60のアリール基であってもよい。
【0045】
本明細書の一実施態様において、前記XはCR’R’’であり、R’およびR’’は、それぞれ独立して、C1~C60のアルキル基;あるいはC6~C60のアリール基であってもよい。
【0046】
本明細書の一実施態様において、前記XはCR’R’’であり、R’およびR’’は、それぞれ独立して、C1~C30のアルキル基;あるいはC6~C30のアリール基であってもよい。
【0047】
本明細書の一実施態様において、前記XはCR’R’’であり、R’およびR’’は、それぞれ独立して、C1~C10のアルキル基;あるいはC6~C10のアリール基であってもよい。
【0048】
本明細書の一実施態様において、前記XはCR’R’’であり、R’およびR’’は、それぞれ独立して、C1~C5のアルキル基;あるいはC6~C10のアリール基であってもよい。
【0049】
本明細書の一実施態様において、前記XはCR’R’’であり、R’およびR’’は、それぞれ独立して、メチル基;あるいはフェニル基であってもよい。
【0050】
本明細書の一実施態様において、前記化学式1は、下記化学式1-1~1-3のいずれかで表されてもよい。
【0051】
【化6】

【化7】

【化8】

前記化学式1-1~1-3において、
R21およびR22は、それぞれ独立して、置換または非置換のC1~C10のアルキル基;あるいは置換または非置換のC6~C20のアリール基であり、
残りの置換基の定義は化学式1における定義と同一である。
【0052】
本明細書の一実施態様において、前記化学式1-3のR21およびR22は、それぞれ独立して、置換または非置換のC1~C5のアルキル基;あるいは置換または非置換のC6~C10のアリール基である。
【0053】
本明細書の一実施態様において、前記R21およびR22は、それぞれ独立して、C1~C5のアルキル基;またはC6~C10のアリール基である。
【0054】
本明細書の一実施態様において、前記R21およびR22は、それぞれ独立して、メチル基;またはフェニル基である。
【0055】
本明細書の一実施態様において、前記L1およびL2は、それぞれ独立して、直接結合;あるいはC6~C60のアリーレン基であってもよい。
【0056】
本明細書の一実施態様において、前記L1およびL2はいずれも直接結合であってもよい。
【0057】
本明細書の実施態様において、前記L1はC6~C60のアリーレン基であり、前記L2は直接結合であってもよい。
【0058】
本明細書の実施態様において、前記L1はC6~C30のアリーレン基であり、前記L2は直接結合であってもよい。
【0059】
本明細書の実施態様において、前記L1はフェニレン基であり、前記L2は直接結合であってもよい。
【0060】
本明細書の実施態様において、前記L1は直接結合であり、前記L2はC6~C30のアリーレン基であってもよい。
【0061】
本明細書の実施態様において、前記L1は直接結合であり、前記L2はフェニレン基であってもよい。
【0062】
本明細書の一実施態様において、前記L11およびL12は、それぞれ独立して、直接結合;あるいはC6~C60のアリーレン基であってもよい。
【0063】
本明細書の一実施態様において、前記L11およびL12はいずれも直接結合であってもよい。
【0064】
本明細書の実施態様において、前記L11はC6~C60のアリーレン基であり、前記L12は直接結合であってもよい。
【0065】
本明細書の実施態様において、前記L11はC6~C30のアリーレン基であり、前記L12は直接結合であってもよい。
【0066】
本明細書の実施態様において、前記L11はフェニレン基であり、前記L12は直接結合であってもよい。
【0067】
本明細書の一実施態様において、前記L11およびL12は、それぞれ独立して、C6~C60のアリーレン基であってもよい。
【0068】
本明細書の一実施態様において、前記L11およびL12は、それぞれ独立して、C6~C30のアリーレン基であってもよい。
【0069】
本明細書の一実施態様において、前記L11およびL12は、それぞれ独立して、C6~C10のアリーレン基であってもよい。
【0070】
本明細書の一実施態様において、前記L11およびL12はいずれもフェニレン基であってもよい。
【0071】
本明細書の一実施態様において、前記R11およびR12は、それぞれ独立して、置換または非置換のC6~C60のアリール基;あるいは置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基である。
【0072】
本明細書の一実施態様において、前記R11およびR12は、それぞれ独立して、置換または非置換のC6~C40のアリール基;あるいは置換または非置換のC2~C40のヘテロアリール基である。
【0073】
本明細書の一実施態様において、前記R11およびR12は、それぞれ独立して、置換または非置換のC6~C30のアリール基;あるいは置換または非置換のC2~C20のヘテロアリール基である。
【0074】
本明細書の一実施態様において、前記R11およびR12は、それぞれ独立して、置換または非置換のフェニル基;置換または非置換のビフェニル基;置換または非置換のターフェニル基;置換または非置換のナフチル基;置換または非置換のフルオレニル基;置換または非置換のジベンゾフラン基;あるいは置換または非置換のジベンゾチオフェン基である。
【0075】
本明細書の一実施態様において、前記R11およびR12は、それぞれ独立して、フェニル基;ビフェニル基;ターフェニル基;ナフチル基;アルキル基またはアリール基で置換または非置換のフルオレニル基;9,9’-スピロビ[フルオレン];ジベンゾフラン基;またはジベンゾチオフェン基である。
【0076】
本明細書の一実施態様において、前記R11は置換または非置換のC6~C60のアリール基であり、前記R12は置換または非置換のC6~C60のアリール基;あるいは置換または非置換であり、OまたはSを含むC2~C60のヘテロアリール基であってもよい。
【0077】
本明細書の一実施態様において、前記R11は置換または非置換のC6~C30のアリール基であり、前記R12は置換または非置換のC6~C30のアリール基;あるいは置換または非置換であり、OまたはSを含むC2~C20のヘテロアリール基であってもよい。
【0078】
本明細書の一実施態様において、前記R11はアルキル基またはアリール基で置換または非置換のC6~C30のアリール基であり、前記R12はアルキル基またはアリール基で置換または非置換のC6~C30のアリール基;あるいはOまたはSを含むC2~C20のヘテロアリール基であってもよい。
【0079】
本明細書の一実施態様において、前記R11は置換または非置換のフェニル基;置換または非置換のビフェニル基;置換または非置換のターフェニル基;置換または非置換のナフチル基;あるいは置換または非置換のフルオレニル基である。
【0080】
本明細書の一実施態様において、前記R11はフェニル基;ビフェニル基;ターフェニル基;ナフチル基;アルキル基またはアリール基で置換または非置換のフルオレニル基;または9,9’-スピロビ[フルオレン]である。
【0081】
本明細書の一実施態様において、前記R12は置換または非置換のフェニル基;置換または非置換のビフェニル基;置換または非置換のターフェニル基;置換または非置換のナフチル基;置換または非置換のフルオレニル基;置換または非置換のジベンゾフラン基;あるいは置換または非置換のジベンゾチオフェン基である。
【0082】
本明細書の一実施態様において、前記R12はフェニル基;ビフェニル基;ターフェニル基;ナフチル基;アルキル基またはアリール基で置換または非置換のフルオレニル基;9,9’-スピロビ[フルオレン];ジベンゾフラン基;またはジベンゾチオフェンである。
【0083】
本明細書の一実施態様において、前記Arは、置換または非置換のC6~C60のアリール基;あるいは置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基である。
【0084】
本明細書の一実施態様において、前記Arは、置換または非置換のC6~C40のアリール基;あるいは置換または非置換のC2~C40のヘテロアリール基である。
【0085】
本明細書の一実施態様において、前記Arは、置換または非置換のC6~C20のアリール基;あるいは置換または非置換のC2~C20のヘテロアリール基である。
【0086】
本明細書の一実施態様において、前記Arは、C6~C20のアリール基;またはC2~C20のヘテロアリール基である。
【0087】
本明細書の一実施態様において、前記Arは、C6~C20のアリール基;またはOまたはSを含むC2~C20のヘテロアリール基である。
【0088】
本明細書の一実施態様において、前記Arは、フェニル基;ビフェニル基;ターフェニル基;ナフチル基;トリフェニレニル基;ジベンゾフラン基;またはジベンゾチオフェン基である。
【0089】
本明細書の一実施態様において、前記Arはアミン基で置換されない。ここでアミン基の例としては、-NH;モノアルキルアミン基;モノアリールアミン基;モノヘテロアリールアミン基;ジアルキルアミン基;ジアリールアミン基;ジヘテロアリールアミン基;アルキルアリールアミン基;アルキルヘテロアリールアミン基;およびアリールヘテロアリールアミン基などが挙げられる。
【0090】
本明細書の一実施態様において、前記R1は、水素;重水素;置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;あるいは置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基である。
【0091】
本明細書の一実施態様において、前記R1は、水素;または重水素である。
【0092】
本明細書の一実施態様において、前記化学式1は下記化学式2で表される。
【0093】
【化9】

前記化学式2において、各置換基の定義は化学式1の定義と同一である。
【0094】
本明細書の一実施態様において、前記化学式1は、下記化合物のいずれかで表されることができるが、これに限定されるものではない。
【0095】
【化10】
















【0096】
また、前記化学式1の構造に様々な置換基を導入することにより、導入された置換基の固有特性を有する化合物を合成することができる。例えば、有機発光素子の製造時に用いられる正孔注入層物質、正孔輸送層物質、発光層物質、電子輸送層物質および電荷生成層物質に主に用いられる置換基を前記コア構造に導入することにより、各有機物層から要求される条件を満たす物質を合成することができる。
【0097】
また、前記化学式1の構造に様々な置換基を導入することにより、エネルギーバンドギャップを微細に調節することが可能となり、一方で有機物の間の界面での特性を向上させ、物質の用途を多様にすることができる。
【0098】
本明細書の一実施態様において、第1電極;第2電極;および第1電極と第2電極との間に設けられた少なくとも1層の有機物層を含み、前記有機物層のうち1層以上は、前記化学式1の化合物を含む有機発光素子を提供する。
【0099】
本明細書の一実施態様において、前記第1電極は陽極であり、前記第2電極は陰極であってもよい。
【0100】
本明細書の他の実施態様において、前記第1電極は陰極であり、前記第2電極は陽極であってもよい。
【0101】
本明細書の一実施態様において、前記有機発光素子は、青色有機発光素子であり、前記化学式1の化合物は、前記青色有機発光素子の材料として使用されてもよい。例えば、前記化学式1の化合物は、青色有機発光素子の正孔輸送層または電子阻止層に含まれてもよい。
【0102】
本明細書の一実施態様において、前記有機発光素子は、緑色有機発光素子であり、前記化学式1の化合物は、前記緑色有機発光素子の材料として使用されてもよい。例えば、前記化学式1の化合物は、緑色有機発光素子の正孔輸送層または電子阻止層に含まれてもよい。
【0103】
本明細書の一実施態様において、前記有機発光素子は、赤色有機発光素子であり、前記化学式1の化合物は、前記赤色有機発光素子の材料として使用されてもよい。例えば、前記化学式1の化合物は、赤色有機発光素子の正孔輸送層または電子阻止層に含まれてもよい。
【0104】
本明細書の有機発光素子は、前記化合物を用いて1層以上の有機物層を形成することを除いて、通常の有機発光素子の製造方法および材料によって製造されてもよい。
【0105】
前記化合物は、有機発光素子の製造時に真空蒸着法だけでなく、溶液塗布法によって有機物層に形成されてもよい。ここで、溶液塗布法とは、スピンコーティング、ディップコーティング、インクジェットプリンティング、スクリーンプリンティング、スプレー法、ロールコーティングなどを意味するが、これらに限定されるものではない。
【0106】
本明細書の有機発光素子の有機物層は単層構造からなってもよいが、2層以上の有機物層が積層された多層構造からなってもよい。例えば、本発明の有機発光素子は、有機物層として正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などを含む構造を有することができる。しかしながら、有機発光素子の構造はこれに限定されず、より少ない数の有機物層を含んでもよい。
【0107】
本明細書の有機発光素子において、前記有機物層は正孔輸送層を含み、前記正孔輸送層は、前記化学式1の化合物を含んでもよい。
【0108】
本明細書の有機発光素子において、前記有機物層は電子阻止層を含み、前記電子阻止層は、前記化学式1の化合物を含んでもよい。
【0109】
本発明の有機発光素子は、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、電子阻止層および正孔阻止層からなる群から選択される1層または2層以上をさらに含んでもよい。
【0110】
図1図4に、本明細書の一実施態様に係る有機発光素子の電極と有機物層の積層順序を例示した。しかしながら、これらの図によって本出願の範囲が限定されることを意図したものではなく、当技術分野で知られている有機発光素子の構造が本出願にも適用されてもよい。
【0111】
図1によれば、基板100上に陽極200、有機物層300、および陰極400が順次積層された有機発光素子が示されている。しかし、このような構造に限定されるものではなく、図2のように、基板上に陰極、有機物層および陽極が順次積層された有機発光素子が具現されてもよい。
【0112】
図3および図4は、有機物層が多層である場合を例示したものである。図3による有機発光素子は、正孔注入層301、正孔輸送層302、発光層304、電子輸送層305および電子注入層306を含み、図4による有機発光素子は、正孔注入層301、正孔輸送層302、電子阻止層303、発光層304、電子輸送層305および電子注入層306を含む。しかしながら、このような積層構造によって本出願の範囲が限定されるものではなく、必要に応じて発光層を除いた残りの層を省略してもよいし、必要な他の機能層をさらに追加してもよい。
【0113】
前記化学式1の化合物を含む有機物層は、必要に応じて他の物質をさらに含んでもよい。
【0114】
本明細書の一実施態様に係る有機発光素子において、前記化学式1の化合物以外の材料を以下に例示するが、これらは例示のためのものであり、本出願の範囲を限定するものではなく、当技術分野で公知の材料に置き換えられてもよい。
【0115】
陽極材料としては、比較的仕事関数の大きい材料を用いることができ、透明導電性酸化物、金属または導電性高分子などを用いることができる。前記陽極材料の具体例としては、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金などの金属またはそれらの合金;酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)などの金属酸化物;ZnO:AlまたはSnO:Sbなどの金属と酸化物の組み合わせ;ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ[3,4-(エチレン-1,2-ジオキシ)チオフェン](PEDOT)、ポリピロール、およびポリアニリンなどのような導電性高分子などがあるが、これらに限定されない。
【0116】
陰極材料としては、比較的仕事関数の低い材料を用いることができ、金属、金属酸化物、または導電性高分子などを用いることができる。前記陰極材料の具体例としては、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタニウム、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、錫、および鉛などの金属またはそれらの合金;LiF/AlまたはLiO/Alなどの多層構造物質などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0117】
正孔注入材料としては、公知の正孔注入材料を用いることもでき、例えば、米国特許第4,356,429号に開示された銅フタロシアニンなどのフタロシアニン化合物または文献[Advanced Material、6、p.677(1994)]に記載されているスターバースト型アミン誘導体類、例えばトリス(4-カルバゾイル-9-イルフェニル)アミン(TCTA)、4,4’,4’’-トリ[フェニル(m-トリル)アミノ]トリフェニルアミン(m-MTDATA)、1,3,5-トリス[4-(3-メチルフェニルフェニルアミノ)フェニル]ベンゼン(m-MTDAPB)、溶解性のある導電性ポリマーであるポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(Polyaniline/Dodecylbenzenesulfonic acid)またはポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホネート)(Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/Poly(4-styrenesulfonate))、ポリアニリン/カンファスルホン酸(Polyaniline/Camphor sulfonic acid)またはポリアニリン/ポリ(4-スチレンスルホネート)(Polyaniline/Poly(4-styrenesulfonate))などを用いることができる。
【0118】
正孔輸送材料としては、ピラゾリン誘導体、アリールアミン系誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体などが用いられ、低分子または高分子材料が用いられてもよい。
【0119】
電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンおよびその誘導体、ベンゾキノンおよびその誘導体、ナフトキノンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタンおよびその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンおよびその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8-ヒドロキシキノリンおよびその誘導体の金属錯体などが使用され、低分子物質だけでなく、高分子物質が使用されてもよい。
【0120】
電子注入材料としては、例えば、LiFが当技術分野で代表的に使用されるが、本出願はこれに限定されない。
【0121】
発光材料としては、赤色、緑色または青色の発光材料が用いられてもよく、必要に応じて、2つ以上の発光材料を混合して使用してもよい。このとき、2以上の発光材料を別々の供給源から蒸着して使用するか、予備混合して1つの供給源から蒸着して使用してもよい。また、発光材料として蛍光材料を用いることもできるが、燐光材料として用いることもできる。発光材料としては、単独で陽極と陰極からそれぞれ注入された正孔と電子を結合して発光させる材料が用いられることもできるが、ホスト材料とドーパント材料が共に発光に関与する材料が用いられてもよい。
【0122】
本明細書の一実施態様において、前記ホスト材料としてはアントラセンを含む化合物が用いられてもよく、これに限定されるものではない。
【0123】
本明細書の一実施態様において、前記ドーパント材料としては、ジアミンを含むピレン誘導体が用いられてもよく、これに限定されるものではない。
【0124】
発光材料のホストを混合して使用する場合には、同一系列のホストを混合して使用してもよく、異なる系列のホストを混合して使用してもよい。例えば、N型ホスト材料またはP型ホスト材料のいずれか2種類以上の材料を選択して発光層のホスト材料として用いることができる。
【0125】
本明細書の一実施態様による有機発光素子は、使用される材料に応じて、前面発光型、後面発光型、または両面発光型であってもよい。
【0126】
本明細書の一実施態様による化合物は、有機太陽電池、有機感光体、有機トランジスタなどを含む有機電子素子でも、有機発光素子に適用されるものと同様の原理で作用することができる。
【実施例
【0127】
以下では、実施例を通じて本明細書をより詳細に説明するが、これらは本出願を例示するためのものであり、本出願の範囲を限定するものではない。
【0128】
[製造例1]化合物2の製造
【化11】
【0129】
1)化合物2-2の製造
4-フェニルナフタレン-2-オール(4-phenylnaphthalen-2-ol)(A)(20g、0.090mol、1eq)、1,3-ジクロロ-2-フルオロベンゼン(1,3-dichloro-2-fluorobenzene)(B)(18g、0.108mol、1.2eq)、KCO(25g、0.181mol、2eq)にNMP(メチルピロリドン)(100ml)を入れ、160℃で12時間撹拌した。水を加えて反応を終結させた後、メチレンクロライド(Methylene Chloride、MC)と水を用いて抽出した。その後、MgSOで水分を除去した。シリカゲル(Silicagel)カラムで分離して化合物2-2 14gを42%の収率で得た。
【0130】
2)化合物2-3の製造
化合物2-2(14g、0.038mol、1eq)、KCO(7.9g、0.057mol、1.5eq)、Pd(OAc)(パラジウム(II)アセテート)(0.4g、0.0019mol、0.05eq)、PCyHBF(トリシクロヘキシルホスフィン-テトラフルオロボレート)(1.4g、0.0038mol、0.1eq)にジメチルアセトアミド(Dimethylacetamide、DMA)(140ml)を入れ、140℃で12時間撹拌した。水を入れて反応を終結させた後、MCと水を用いて抽出した。その後、MgSOで水分を除去した。シリカゲル(Silicagel)カラムで分離して化合物2-3 8gを63%の収率で得た。
【0131】
3)化合物2の製造
化合物2-3(8g、0.024mol、1eq)、N-フェニル-[1,1’-ビフェニル]-4-アミン(N-phenyl-[1,1’-biphenyl]-4-amine)(D)(6.3g、0.025mol、1.05eq)、NaOt-Bu(ソジウム tert-ブトキシド)(3.4g、0.036mol、1.5eq)、Pd(dba)(トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0))(1.1g、0.0012mol、0.05eq)にP(t-Bu)(トリ-tert-ブチルホスフィン)(0.5g、0.0024mol、0.1eq)、トルエン(80ml)を入れ、100℃で8時間撹拌した。水を入れて反応を終結させた後、MCと水を用いて抽出した。その後、MgSOで水分を除去した。シリカゲル(Silicagel)カラムで分離して化合物2 8gを61%の収率で得た。
【0132】
[製造例2]化合物194の製造
【化12】
【0133】
1)化合物194-2の製造
1-フェニルナフタレン-2-イルトリフルオロメタンスルホネート(1-phenylnaphthalen-2-yltrifluoromethanesulfonate)(A)(15g、0.042mol、1eq)(3-クロロ-2-(メトキシカルボニル)フェニル)ボロン酸((3-chloro-2-(methoxycarbonyl)phenyl)boronic acid)(B)(10g、0.046mol、1.1eq)、KCO(12.9g、0.094mol、2.2eq)、Pd(PPh(テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0))(2.4g、0.0021mol、0.005eq)に1,4-ジオキサン(150ml)、HO(45ml)を入れ、100℃で6時間撹拌した。水を入れて反応を終結させた後、MCと水を用いて抽出した。その後、MgSOで水分を除去した。シリカゲル(Silicagel)カラムで分離して化合物194-2 12gを75%の収率で得た。
【0134】
2)化合物194-3の製造
化合物194-2(12g、0.032mol、1eq)をテトラヒドロフラン(Tetrahydrofuran,THF)(120ml)に溶解した後、0℃でメチルマグネシウムブロマイド(methylmagnesiumbromide)(3M solution in ether)(D)(32.2ml、0.096mol、3eq)をゆっくり添加した後、60℃で6時間撹拌した。水を入れて反応を終結させた後、MCと水を用いて抽出した。その後、MgSOで水分を除去した。MCに溶解した反応物にボロントリフルオリドジエチルエーテルレート(boron trifluoride diethyl etherate)を加えた後、RT(常温)で4時間撹拌した。シリカゲル(Silicagel)カラムで分離し、化合物194-3 9gを79%の収率で得た。
【0135】
3)化合物194の製造
化合物194-3(9g、0.025mol、1eq)、N-フェニル-[1,1’-ビフェニル]-4-アミン(N-phenyl-[1,1’-biphenyl]-4-amine)(C)(6.5g、0.026mol、1.05eq)、NaOt-Bu(3.7g、0.038mol、1.5eq)、Pd(dba)(1.1g、0.0012mol、0.05eq)、P(t-Bu)(0.5g、0.0024mol、0.1eq)にトルエン(80ml)を入れ、100℃で8時間攪拌した。水を入れて反応を終結させた後、MCと水を用いて抽出した。その後、MgSOで水分を除去した。シリカゲル(Silicagel)カラムで分離して化合物194 10gを73%の収率で得た。
【0136】
前記製造例1または2において、(A)、(B)、(C)および(D)の代わりに、下記表1の中間体A、B、CおよびDを用いて同様の方法で化合物を合成した。
【0137】
【表1】



【0138】
前記製造例と同様の方法で化合物を製造し、その合成確認結果を表2および表3に示した。表2はH NMR(CDCl、200Mz)の測定値であり、表3はFD-質量分析計(FD-MS:Field desorption mass spectrometry)の測定値である。
【0139】
【表2】



【0140】
【表3】
【0141】
[実験例]
<実験例1>
1)有機発光素子の作製
比較例1
OLED用ガラス(サムスンコーニング社製)から得られた透明電極インジウムチンオキシド(ITO)薄膜をトリクロロエチレン、アセトン、エタノール、蒸留水を順次用いて各5分間超音波洗浄を行った後、イソプロパノールに入れて保管した後使用した。次に真空蒸着装備の基板フォルダにITO基板を設置し、真空蒸着装備内のセルに下記の4,4’,4’’-トリス(N,N-(2-ナフチル)-フェニルアミノ)トリフェニルアミン(4,4’,4’’-tris(N,N-(2-naphthyl)-phenylamino)triphenyl amine:2-TNATA)を入れた。
【0142】
【化13】
【0143】
次いでチャンバ内の真空度が10-6torrに達するまで排気した後、セルに電流を印加して2-TNATAを蒸発させて、ITO基板上に600Å厚さの正孔注入層を蒸着した。真空蒸着装備内の他のセルに下記のN,N’-ビス(α-ナフチル)-N,N’-ジフェニル-4,4’-ジアミン(N,N’-bis(α-naphthyl)-N,N’-diphenyl-4,4’-diamine:NPB)を入れ、セルに電流を印加して蒸発させて正孔注入層上に300Å厚さの正孔輸送層を蒸着した。
【0144】
【化14】
【0145】
このように正孔注入層および正孔輸送層を形成した後、その上に発光層として以下のような構造の青色発光材料を蒸着した。具体的には、真空蒸着装備内の一方のセルに青色発光ホスト材料であるH1を200Å厚さに真空蒸着させ、その上に青色発光ドーパント材料であるD1をホスト材料に対して5%真空蒸着した。
【0146】
【化15】

続いて、電子輸送層として下記構造式E1の化合物を300Å厚さに蒸着した。
【0147】
【化16】

電子注入層としてリチウムフルオリド(litium fluoride:LiF)を10Å厚さに蒸着し、Al陰極を1,000Åの厚さにしてOLED素子を作製した。一方、OLED素子の作製に必要な全ての有機化合物は、材料別にそれぞれ10-8~10-6torr下で真空昇華精製してOLED作製に使用した。
【0148】
比較例2~7および実施例1~24
前記比較例1で正孔輸送層の形成時に用いられたNPBの代わりに、下記表4に示す化合物を用いることを除いては、比較例1と同様にして有機電界発光素子を作製した。
【0149】
【化17】
【0150】
2)有機発光素子の評価
前記のように作製された有機電界発光素子に対して、マックサイエンス社のM7000で電界発光(EL)特性を測定し、その測定結果をもってマックサイエンス社で製造された寿命測定装備(M6000)を通じて基準輝度が6000cd/mのとき、T95を測定した。
【0151】
本発明に従って製造された青色有機発光素子の駆動電圧、発光効率、色座標(CIE)、寿命を測定した結果は表4のとおりであった。
【0152】
【表4】


【0153】
前記表4の結果から分かるように、本発明の青色有機発光素子の正孔輸送層材料を用いた有機発光素子は、比較例に比べて駆動電圧が低く、発光効率および寿命が著しく改善されたことが確認できた。
【0154】
前記表4の比較例と本発明の化合物とを比較すると、アリールアミン基を有することは同様であるが、置換基を有するフルオレン基があるという違いがある。置換基を有するフルオレン基の場合、芳香族環のπ-πスタッキング(pi-pi stacking)を抑制し、これにより有機発光素子の駆動電圧が高くなり、素子特性が低下する現象を防ぐ特性がある。したがって、このような誘導体を用いた本発明の化合物が、向上された正孔輸送特性あるいは安定性を向上させ、駆動、効率、寿命の全ての面で優れた性をもたらすと判断される。
【0155】
<実験例2>
1)有機発光素子の作製
比較例8
OLED用ガラス(サムスンコーニング社製)から得られた透明電極インジウムチンオキシド(ITO)薄膜をトリクロロエチレン、アセトン、エタノール、蒸留水を順次用いて各5分間超音波洗浄を行った後、イソプロパノールに入れて保管した後使用した。次に真空蒸着装備の基板フォルダにITO基板を設置し、真空蒸着装備内のセルに下記4,4’,4’’-トリス(N,N-(2-ナフチル)-フェニルアミノ)トリフェニルアミン(4,4’,4’’-tris(N,N-(2-naphthyl)-phenylamino)triphenyl amine:2-TNATA)を入れた。
【0156】
【化18】
【0157】
次いでチャンバ内の真空度が10-6torrに達するまで排気した後、セルに電流を印加して2-TNATAを蒸発させて、ITO基板上に600Å厚さの正孔注入層を蒸着した。真空蒸着装備内の他のセルに下記のN,N’-ビス(α-ナフチル)-N,N’-ジフェニル-4,4’-ジアミン(N,N’-bis(α-naphthyl)-N,N’-diphenyl-4,4’-diamine:NPB)を入れ、セルに電流を印加して蒸発させて正孔注入層上に300Å厚さの正孔輸送層を蒸着した。
【0158】
【化19】
【0159】
このように正孔注入層および正孔輸送層を形成した後、その上に発光層として次のような構造の青色発光材料を蒸着させた。具体的には、真空蒸着装備内の一方のセルに青色発光ホスト材料であるH1を200Å厚さに真空蒸着させ、その上に青色発光ドーパント材料であるD1をホスト材料に対して5%真空蒸着した。
【0160】
【化20】
【0161】
続いて、電子輸送層として下記構造式E1の化合物を300Å厚さに蒸着した。
【0162】
【化21】
【0163】
電子注入層としてリチウムフルオリド(litium fluoride:LiF)を10Å厚さに蒸着し、Al陰極を1,000Åの厚さにしてOLED素子を作製した。一方、OLED素子の作製に必要な全ての有機化合物は、材料別にそれぞれ10-8~10-6torr下で真空昇華精製してOLED作製に使用した。
【0164】
比較例9~14および実施例25~48
前記比較例8において正孔輸送層NPBの厚さを250Åに形成した後、前記正孔輸送層の上部に下記表5に示される化合物で厚さ50Åの電子阻止層を形成したことを除いては、前記比較例8と同様にして有機電界発光素子を作製した。
【0165】
【化22】
【0166】
2)有機発光素子の評価
前記のように作製された有機電界発光素子に対して、マックサイエンス社のM7000で電界発光(EL)特性を測定し、その測定結果をもってマックサイエンス社で製造された寿命測定装備(M6000)を通じて基準輝度が6000cd/mのとき、T95を測定した。
【0167】
本発明により製造された青色有機発光素子の駆動電圧、発光効率、色座標(CIE)、寿命を測定した結果は、下記表5のとおりであった。
【0168】
【表5】


【0169】
前記表5の結果から分かるように、本発明の青色有機発光素子の電子阻止層材料を用いた有機発光素子は、比較例に比べて駆動電圧が低く、発光効率および寿命が著しく改善された。
【0170】
前者の場合、発光層で結合されず、正孔輸送層を通り過ぎて陽極に行くと、OLED素子の効率および寿命が減少する現象が発生する。このような現象を防ぐために高いLUMOレベルを有する化合物を電子阻止層として用いることになると、発光層を通って陽極へ行こうとする電子が電子阻止層のエネルギー障壁に遮られることになる。したがって、正孔と電子がエキシトンを形成する確率が高くなり、発光層から光で放出される可能性が高くなり、本発明の化合物が駆動、効率、寿命の全ての面で優れていると判断される。
【0171】
特に、本願化学式1の化合物に対してアミン誘導体を正孔輸送層として使用した場合、アミンの非共有電子対が正孔の流れをよくし、正孔輸送層の正孔伝達能力を向上させることができ、電子阻止層として使用された場合、正孔輸送層に侵入した電子が原因で発生する正孔輸送物質の劣化を抑制することができ、またホール(hole)特性を強化した置換基とアミン部位が結合することにより、アミン誘導体の平面性およびガラス転移温度を高めて化合物の熱的安定性が高くなることが確認できた。
【0172】
また、バンドギャップ(band gap)およびT1値(三重項状態(Triple state)のエネルギー準位値)の調節を通じて正孔伝達能力が向上し、分子の安定性も高くなるため、素子の駆動電圧を下げ、光効率を向上させ、化合物の熱的安定性によって素子の寿命特性を向上させることが確認できた。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】