(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-06
(54)【発明の名称】ヒドロキシルラジカルを生成するための殺菌装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/14 20060101AFI20231129BHJP
H05H 1/24 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
A61L2/14
H05H1/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023525565
(86)(22)【出願日】2021-10-19
(85)【翻訳文提出日】2023-04-26
(86)【国際出願番号】 EP2021078969
(87)【国際公開番号】W WO2022106136
(87)【国際公開日】2022-05-27
(32)【優先日】2020-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512008495
【氏名又は名称】クレオ・メディカル・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CREO MEDICAL LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンコック,クリストファー・ポール
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト,マルコム
【テーマコード(参考)】
2G084
4C058
【Fターム(参考)】
2G084AA25
2G084BB05
2G084CC06
2G084CC14
2G084CC23
2G084CC35
2G084DD20
2G084DD42
2G084DD44
2G084DD48
2G084DD55
2G084EE01
2G084EE06
2G084EE09
2G084FF12
4C058AA12
4C058AA23
4C058AA28
4C058BB06
4C058KK06
(57)【要約】
密閉されたスペースを殺菌するためのヒドロキシルラジカルを生成するために好適な殺菌装置であって、そこでは、エネルギー及び水ミストの供給は、その装置がエンクロージャのサイズに応じて容易にスケーリングされることができるように組み合わされる、殺菌装置である。特に、この殺菌装置は、プラズマ生成領域を提供するためのマニホールドを提供して、水ミストの流れがヒドロキシルラジカルを形成するように指向される、プラズマアークを形成する。パワー分配デバイスは、マイクロ波源によって生成されたマイクロ波エネルギーをマニホールドに伝送し、その受け取ったマイクロ波エネルギーを、マニホールドに接続された複数の出力ポートに分配する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺菌装置であって、
マイクロ波エネルギーを生成するように配置されたマイクロ波源と、
水ミストの流れを生成するように配置されたミスト発生器と、
マニホールドであって、前記ミスト発生器から前記水ミストの流れを受け取るように接続され、かつ前記水ミストの流れを前記マニホールドの内容積を通ってマニホールド出口に指向させるように構成された前記マニホールドと、
前記マイクロ波源に結合された入力ポート、及び前記マニホールドの前記内容積に結合された複数の出力ポートを有するパワー分配デバイスと、を備え、
前記パワー分配デバイスが、前記複数の出力ポート間で前記入力ポートにおいて受け取ったマイクロ波エネルギーを分配して、前記内容積のプラズマ生成領域内にプラズマを生成するように動作するパワースプリッタとして構成されている、前記殺菌装置。
【請求項2】
前記パワー分配デバイスが、相互接続された導波管のアセンブリを含む、請求項1に記載の殺菌装置。
【請求項3】
各導波管が、伝導性材料から作製されたブロック内に孔を含む、請求項2に記載の殺菌装置。
【請求項4】
各導波管が、プラスチック材料から作製された導波管本体を含み、前記導波管本体が、その中に形成された通路を有し、前記導波管本体の内面が、導電層によって覆われている、請求項2に記載の殺菌装置。
【請求項5】
前記パワー分配デバイスが、リングカプラを含み、前記複数の出力ポートが、前記リングカプラから半径方向内向きに延在する、先行請求項のいずれか1項に記載の殺菌装置。
【請求項6】
前記リングカプラの周りの隣接する出力ポート間の距離が、nλ/2であり、式中、nが、整数であり、λが、前記マイクロ波エネルギーの波長である、請求項5に記載の殺菌装置。
【請求項7】
前記入力ポートが、一対の出力ポート間の等距離にある位置で、前記リングカプラ上に配設されている、請求項5または6に記載の殺菌装置。
【請求項8】
前記相互接続された導波管のアセンブリが、前記入力ポートから出口ポートへの複数の経路を提供する複数の相互接続された直線導波管を含み、各経路が、前記導波管の間の接合部を相互接続する複数の直交して配設された導波管セクションを含む、請求項2または3に記載の殺菌装置。
【請求項9】
前記パワー分配デバイスが、ウィルキンソンパワー分配器を含む、先行請求項のいずれかに記載の殺菌装置。
【請求項10】
複数のプラズマアプリケータをさらに備え、各プラズマアプリケータが、それぞれの出力ポートに接続されている、先行請求項のいずれかに記載の殺菌装置。
【請求項11】
前記出力ポートを前記プラズマアプリケータに接続するためのアダプタをさらに備える、請求項10に記載の殺菌装置。
【請求項12】
前記複数の出力ポートが、前記プラズマ生成領域の周りに配設されている、先行請求項のいずれかに記載の殺菌装置。
【請求項13】
前記プラズマ生成領域が、トーラス形状を有する、請求項1~11のいずれか1項に記載の殺菌装置。
【請求項14】
前記マニホールドが、第1のプラズマ生成領域を画定する第1の部分と、第2のプラズマ生成領域を画定する第2の部分と、を含み、好ましくは、前記パワー分配デバイスが、前記第1の部分と前記第2の部分との間に配置されている、請求項1~11のいずれか1項に記載の殺菌装置。
【請求項15】
前記ミスト発生器にガス流を送達するように接続されているガス供給源を備え、好ましくは、前記ガス流が、前記ミスト発生器によって形成された水ミストを内包して、前記水ミストの流れを作り出す、先行請求項のいずれかに記載の殺菌装置。
【請求項16】
各プラズマアプリケータが、
伝導性チューブと、
前記伝導性チューブの長手方向軸に沿って延在する細長い伝導性部材と、を含み、
前記伝導性チューブ及び前記細長い伝導性部材が、前記プラズマアプリケータの近位端における第1の同軸伝送線路、及び前記プラズマアプリケータの遠位端における第2の同軸伝送線路を提供し、
前記第1の同軸伝送線路が、4分の1波長インピーダンス変成器として構成されている、請求項10に記載の殺菌装置。
【請求項17】
前記第2の同軸伝送線路が、前記第1の同軸伝送線路よりも高いインピーダンスを有して構成されている、請求項16に記載の殺菌装置。
【請求項18】
各プラズマアプリケータによって受け取られたガス流が、前記伝導性チューブと前記細長い伝導性部材との間で通過する、請求項16または17に記載の殺菌装置。
【請求項19】
各プラズマアプリケータが、前記ガス流を、前記伝導性チューブと前記細長い伝導性部材との間のスペースに送達するように構成されたガス入口チューブを含み、前記ガス入口チューブが、前記伝導性チューブの前記長手方向軸に対して横方向に延在する、請求項16~18のいずれか1項に記載の殺菌装置。
【請求項20】
前記マイクロ波源が、マグネトロンを含む、先行請求項のいずれかに記載の殺菌装置。
【請求項21】
前記マニホールドのマニホールド出口が、殺菌されることになるスペースを画定するエンクロージャに結合可能である、先行請求項のいずれかに記載の殺菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、人体、医療器具、または病院ベッドスペースにおける臨床用途に好適な殺菌システムに関する。例えば、本発明は、ヒトもしくは動物の生物系及び/または周囲環境と関連する特定の細菌及び/またはウイルスを破壊または対処するために使用され得るシステムを提供することができる。本発明は、密閉された、または部分的に密閉されたスペースを殺菌または除染するために、特に有用である。
【背景技術】
【0002】
細菌は、単細胞生物であり、ほとんどあらゆる場所で見つかり、多数存在し、かつ急速に分裂及び増殖することが可能である。ほとんどの細菌は無害であるが、3つの有害なグループが存在する。すなわち、球菌、らせん菌、及び桿菌である。球菌は、球状の細胞であり、らせん菌は、コイル状の細胞であり、桿菌は、棒状の細胞である。有害な細菌は、破傷風及び腸チフスなどの病気を引き起こす。
【0003】
ウイルスは、他の細胞に取って代わることによってのみ生存及び増殖することができ、すなわち、単独で生き延びることができない。ウイルスは、風邪、インフルエンザ、おたふく風邪、及びエイズなどの病気を引き起こす。ウイルスは、人と人との接触を介して、または感染した人からの呼吸飛沫もしくは他のウイルス搬送体液で汚染されている領域との接触を介して伝達され得る。
【0004】
菌類胞子、及び原虫と呼ばれる非常に小さい生物は、病気を引き起こす可能性がある。
殺菌とは、あらゆる形態の生命、特に微生物を破壊または排除する行為またはプロセスである。プラズマ殺菌のプロセス中に、活性作用物が生成される。これらの活性作用物は、強力紫外線光子及びフリーラジカルであり、これらは、化学的に不対の電子を有する原子または原子集合体である。プラズマ殺菌の魅力的な特徴は、体温などの比較的低い温度で殺菌を達成することが可能である点である。プラズマ殺菌はまた、それが操作者及び患者にとって安全であるという利点も有する。
【0005】
プラズマには、典型的には、帯電している電子及びイオン、ならびに、オゾン、亜酸化窒素、及びヒドロキシルラジカルなどの化学的活性種が含まれる。ヒドロキシルラジカルは、空気中の汚染物質を酸化することにおいて、オゾンよりもはるかに効果的であり、殺菌性及び殺真菌性が塩素よりも数倍あり、このことにより、ヒドロキシルラジカルが、細菌またはウイルスを破壊し、かつ、密閉されたスペース内に含まれる対象物、例えば、病院環境と関連する対象物または用品の効果的な除染を行うための非常に興味深い候補になる。
【0006】
水の「巨大分子」(例えば、ミストまたは霧の中の液滴)内に保持されるOHラジカルは、数秒間、安定であり、それらは、同等の濃度において、従来の消毒剤よりも1000倍効果的である。
【0007】
Baiらによる、「Experimental studies on elimination of microbial contamination by hydroxyl radicals produced by strong ionisation discharge」(Plasma Science and Technology,vol.10,no.4,August 2008)と題する論文は、強いイオン化放電により生成されるOHラジカルを使用して、微生物汚染を排除することを検討している。この研究では、大腸菌及び枯草菌に対する殺菌効果が検討されている。107cfu/ml(cfu=コロニー形成単位)の濃度を有する細菌懸濁液を調製し、マイクロピペットを使用して、12mm×12mmの殺菌したステンレス鋼プレート上に、流体の形態で10μLの細菌を移した。細菌流体をプレート上に均一に広げ、90分間乾燥させた。次いで、そのプレートは、殺菌したガラス皿中に入れて、一定濃度のOHラジカルをプレート上にスプレーした。この実験研究からの成果は、以下の通りであった。
【0008】
1.OHラジカルを使用して、細胞に不可逆的な損傷を引き起こし、最終的にそれらの細胞を死滅させることができる。
【0009】
2.微生物を除去するための閾値ポテンシャルは、国内外で使用される消毒剤のうちの数万個である。
【0010】
3.OHとの生化学反応は、フリーラジカル反応であり、微生物を除去するための生化学的反応時間は、約1秒であり、この時間は、微生物汚染を速やかに除去するための必要性を満たし、その致死時間は、現在の国内外の消毒剤の致死時間の約千分の1である。
【0011】
4.OHの致死密度は、他の消毒剤のスプレー密度の約数千分の1であり、すなわち、これは、大きなスペース、例えば、ベッドスペース領域内で微生物汚染を効率的かつ迅速に排除することに役立つこととなる。
【0012】
5.OHのミストまたは霧の滴は、細菌をCO2、H2O及び微小無機塩に酸化させる。残りのOHもまた、H2OとO2に分解することになり、したがって、この方法は、環境汚染なしに、微生物汚染を排除することになる。
【0013】
WO2009/060214は、ヒドロキシルラジカルを制御可能に生成及び放出するように配置された殺菌装置を開示している。この装置は、ヒドロキシルラジカル生成領域内に、RFまたはマイクロ波エネルギーを受け取るアプリケータ、ガス、及び水ミストを含む。ヒドロキシルラジカル生成領域におけるインピーダンスは、水ミストが存在するときに、高インピーダンスになるように制御されて、今度は、ヒドロキシルラジカルを生成するイオン化放電の生成を促進する。アプリケータは、同軸アセンブリまたは導波管とすることができる。例えば、アプリケータ内に一体化された動的調整機構が、ヒドロキシルラジカル生成領域におけるインピーダンスを制御することができる。ミスト、ガス、及び/またはエネルギーのための送達手段は、互いに一体化することができる。
【0014】
WO2019/175063は、熱プラズマまたは非熱プラズマを使用して、外科用内視鏡デバイスを殺菌または消毒する殺菌装置を開示している。一例では、プラズマ生成領域は、同軸伝送線路の遠位端に形成され、その同軸伝送線路は、RFまたはマイクロ波エネルギーを移送して、プラズマをストライク及び維持する。ガス通路が、同軸伝送線路の外面の周りに形成される。このガス通路は、同軸伝送線路の遠位端上に取り付けられた円筒形電極内のノッチを通ってプラズマ生成領域と流体連通する。いくつかの例では、水が、同軸伝送線路の内部心線内に形成された通路を通り、そこから、水は、プラズマがその上を通過する前に、対象物の表面上にスプレーされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
最も一般的には、本発明は、密閉されたスペースを殺菌するためのヒドロキシルラジカルを生成するために好適な殺菌装置を提供し、そこでは、エネルギー及び水ミストの供給は、その装置をエンクロージャのサイズに応じて容易にスケーリングされることができるように組み合わされる。特に、この殺菌装置は、プラズマ生成領域を提供するためのマニホールドを提供して、水ミストの流れがヒドロキシルラジカルを形成するように指向される、プラズマアークを形成する。パワー分配デバイスは、マイクロ波源によって生成されたマイクロ波エネルギーをマニホールドに伝送し、その受け取ったマイクロ波エネルギーを、マニホールドに接続された複数の出力ポートに分配する。
【0016】
本発明の一態様によれば、請求項1に記載の殺菌装置が提供される。この殺菌装置は、マイクロ波エネルギーを生成するように配置されたマイクロ波源と、水ミストの流れを生成するように配置されたミスト発生器と、マニホールドと、パワー分配デバイスと、を備える。このマニホールドは、ミスト発生器からの水ミストの流れを受け取るように接続され、プラズマ生成領域を画定する。このパワー分配デバイスは、特に、マイクロ波源からマニホールドにマイクロ波エネルギーを伝送するように構成される。パワー分配デバイスは、マイクロ波源に結合されたポート、及び複数の出力ポートを含む。この複数の出力ポートは、プラズマ生成領域に通じる。マニホールドは、プラズマ生成領域を通って、水ミストの流れをマニホールド出口に指向させるように構成される。パワー分配デバイスは、入力ポートで受け取ったマイクロ波エネルギーを、複数の出力ポートの間で分割するように構成される。例えば、パワー分配デバイスは、複数の出力ポートの間で、入力ポートにおけるパワーを分割するパワースプリッタを含んでもよいか、またはパワースプリッタとして動作してもよい。
【0017】
本発明の利点は、マイクロ波源によって生成され、かつ入力ポートにおいてパワー分配デバイスによって受け取ったマイクロ波エネルギーが、複数の出力ポートに分配される点である。したがって、互いに離間したいくつかの場所でマイクロ波エネルギーを適用することが可能である。これは、十分大きな体積にわたって延在するプラズマアークを作り出すのに役立つ。プラズマ生成領域の体積が大きいほど、より多くのヒドロキシルラジカルを生成することができ、これは、殺菌装置の殺菌能力を向上させる。パワー分配デバイスは、マイクロ波エネルギーをプラズマ生成領域にわたって分散させるための単純かつ効果的な手段を提供する。
【0018】
さらに、パワー分配デバイスは、マイクロ波源とマニホールドとの間の直接接続を提供することができ、その結果、マイクロ波エネルギーを伝送するためのケーブル、例えば、同軸ケーブルは、完全に省略することができる。これは、殺菌装置の複雑さを低減することができ、かつ伝送損失を最小限に抑える。一例では、パワー分配デバイスは、マイクロ波源とマニホールドとの間に直接結合される導波管ベースのパワースプリッタとすることができる。
【0019】
殺菌装置は、ヒドロキシルラジカルを生成及び適用することによって、(部屋などの)体積及び/または表面を殺菌するためのデバイスまたは手段として構成され得る。ヒドロキシルラジカルは、マニホールドのマニホールド出口において、殺菌装置から放出され得る。
【0020】
マニホールドは、ミスト発生器から水ミストを受け取るように構成されるマニホールド入口を含み得る。ミストは、マニホールドを通って、ミストがマニホールドを出るマニホールド出口を通過し得る。マニホールド入口からマニホールド出口への途中で、ミストは、ヒドロキシルラジカルを生成するプラズマが存在するプラズマ生成領域を通過する。したがって、マニホールド出口を出るミストは、殺菌装置の殺菌能力を提供するヒドロキシルラジカルを含む。
【0021】
マニホールドは、マニホールド入口からマニホールド出口までの流体流動管として機能する中空本体を含み得る。例えば、マニホールドは、マニホールド入口からマニホールド出口までの、水ミストの流れ方向を画定し得る。この流れ方向は、マニホールド中に受け取られる、水ミストの流れの方向と位置合わせされ得る。すなわち、水ミストは、プラズマ生成領域を通って移動するときに、実質的に偏向されない。これは、所与の水ミスト流量に対して大きな殺菌範囲を得るのに好都合であり得る。
【0022】
プラズマ生成領域は、マニホールド入口とマニホールド出口との間に配置され得る。マニホールドは、プラズマが生成される1つ以上のプラズマ空洞を含み得る。プラズマ生成領域は、プラズマ空洞の一部、特に、プラズマが生成されるプラズマ空洞の体積の一部とすることができる。言い替えると、マニホールドの本体は、1つ以上のプラズマ空洞を含む。プラズマ空洞は、互いに流体連通することができるか、または、互いに分離される。プラズマ空洞は、互いに流体連通しない場合がある。
【0023】
少なくとも1つの出力ポートは、各プラズマ空洞に接続されて、マイクロ波エネルギーをプラズマ空洞に供給し、プラズマをストライク及び/または維持する。
【0024】
マニホールドは、パワー分配デバイスの出力ポートと接続するように構成された複数の側方ポートを含み得る。側方ポートの位置及び配向は、プラズマ生成領域、すなわち、プラズマが位置される場所を画定し得る。側方ポートは、出力ポートに直接接続されるように構成され得る。代替的または追加的に、側方ポートは、後で説明されるプラズマアプリケータを受け取るように構成され得る。
【0025】
少なくとも1つの側方ポートが、各プラズマ空洞を伴って配置される。側方ポートは、プラズマ空洞の側面に配置される。1つ以上の側方ポートの(及び、したがって、出力ポートの)位置及び/または配向は、プラズマが生成される領域、または、言い替えると、プラズマ生成領域を画定する。
【0026】
マニホールドは、マイクロ波エネルギーの送達を妨害しないように、電気絶縁材料から作製(例えば、成形)され得る。
【0027】
マニホールド入口及び/またはマニホールド出口は、本体から取り外し可能とすることができる。したがって、ミスト発生器の数、及び/またはエンクロージャのサイズもしくは形状の観点から、マニホールド入口及び/またはマニホールド出口を調整することが可能である。
【0028】
マニホールド入口及び/またはマニホールド出口は、1つ以上のプラズマ空洞と流体連通する。
【0029】
マニホールド入口は、プラズマ生成領域を通って、水ミストの均一な流れを確立するように提供され得る。例えば、マニホールド入口は、水ミストのいくつかの入力する流れをプラズマ空洞に結合させるか、または水ミストの1つ以上の入力する流れを複数のプラズマ空洞に分配するように構成される。
【0030】
マニホールド出口を提供して、水ミストの流れをエンクロージャに誘導し得る。例えば、マニホールド出口は、プラズマ空洞からの水ミストの流れを混合するように構成される。
【0031】
マイクロ波源は、プラズマをストライク及び/または維持するのに好適なパワーを有するマイクロ波エネルギーを生成することが可能な生成器とすることができる。マイクロ波源は、マイクロ波放射線を生成するように構成され得る。一例では、マイクロ波源はマグネトロンを含む。他の例では、マイクロ波源は発振器と電力増幅器とを含んでもよい。マイクロ波源は、マイクロ波源によって生成されるマイクロ波エネルギーを出力するための1つのソース出口のみを含み得る。例えば、マイクロ波源は、放射線の形態でマイクロ波エネルギーを放出するための1つの開口部を含み得る。この開口部は、パワー分配デバイスの入力ポートに接続され得る。
【0032】
マイクロ波源は、単一周波数のマイクロ波エネルギーを生成するか、特定の帯域幅の周波数のマイクロ波エネルギーを生成するか、または異なる周波数のマイクロ波エネルギーを選択的に生成するように構成され得る。例えば、マイクロ波エネルギーの第1の周波数が、プラズマをストライクするように生成され、かつマイクロ波エネルギーの第2の周波数が、プラズマを維持するように生成される。
【0033】
ミスト発生器は、水滴または水蒸気のミストを生成するための任意の好適な手段を含んでいてもよい。例えば、ミスト発生器は、超音波振動が水供給源に適用されて細かい水滴を生成する超音波噴霧デバイスであってもよい。別の例では、ミスト発生器は、水を加熱して水蒸気を生成するように動作してもよい。
【0034】
殺菌装置は、複数のミスト発生器を含み得、マニホールド入口は、複数のマニホールド開口部を含み、各マニホールド開口部は、それぞれのミスト発生器に接続可能である。したがって、それらの装置は、所望の数のミスト発生器入力を受け取るようにマニホールド入口を適応させることによってスケーリング可能であり得る。これは、ミスト発生器の数に対応するいくつかの開口部を含むマニホールド入口を取り外し可能に接続することによって達成され得る。
【0035】
任意選択的な実施形態では、殺菌装置は、ガス流をミスト発生器に送達するように接続されるガス供給源を含み、好ましくは、そのガス流は、ミスト発生器によって形成される水ミストを内包して、水ミストの流れを生成する。
【0036】
このようにして、ミストの流量は、制御可能であってもよい。これは、特に、複数のミスト発生器が存在する場合に望ましい可能性があり、この場合、例えば、マニホールド内で一様な流れが受け取られることを確実にするために、各ミスト発生器に対するガス流量を独立に制御することを可能にすることが有用であり得る。
【0037】
好ましくは、ガス供給源は、アルゴンガスの供給源である。ただし、任意の他の好適なガスとして、例えば、二酸化炭素、ヘリウム、窒素、空気、及びこれらのガスのうちのいずれか1つとの混合物、例えば、10%空気/90%ヘリウム、を選択してもよい。
【0038】
殺菌装置は、エンクロージャとともに使用するように構成され得る。例えば、マニホールド出口は、ボックス、部屋、車両などのエンクロージャに結合可能であり得る。エンクロージャは、殺菌されることになるスペースを画定し得る。装置は、エンクロージャのサイズに応じてスケーリングされ得る。例えば、ミスト発生器の数、ガスの流量、及びプラズマアプリケータの数、ならびに適応され得るすべての要因は、そのエンクロージャに依存する。複数の個別の構成要素からの入力を混合することができるマニホールドを提供することによって、本発明の装置は、異なる環境に適応する能力を促進する。
【0039】
パワー分配デバイスは、マイクロ波源からマニホールドにマイクロ波エネルギーを伝送するための手段である。パワー分配デバイスは、パワー分配器とも呼ばれ得るパワースプリッタを含み得る。特に、パワー分配デバイスは、放射状配置の形態でマイクロ波エネルギーを伝送するための手段である。
【0040】
特に、パワー分配デバイスは、ソース出口からマニホールドの側方ポートへの直接接続を提供する。マイクロ波源からマニホールドにマイクロ波エネルギーを供給するためのさらなる導波管及び/または(同軸)ケーブルは、省略される。
【0041】
パワースプリッタは、入射するマイクロ波エネルギー、特に入射するマイクロ波放射線のパワーを複数の出力ポートに分配することが可能であるデバイスである。任意選択的に、マイクロ波エネルギーまたは放射線のパワーは、各出力ポートにおいてほぼ同じである。好ましくは、パワースプリッタは、その放射線が出力ポートに入力される場合、パワーコンバイナとして機能することができる。
【0042】
パワー分配デバイスは、少なくとも、マイクロ波源によって生成されるマイクロ波エネルギーの周波数で低損失のパワー分割機能を提示するように、構成され得る(例えば、選択された幾何学的形状を有する)。したがって、パワー分割能力は、電源によって発生されるマイクロ波周波数とは異なるマイクロ波周波数で、必ずしも全部存在しなくてもよい。
【0043】
パワー分配デバイスの入力ポートは、マイクロ波源のソース出口に直接接続/結合され得る。パワー分配デバイスの出力ポートは、マニホールドの側方ポートに直接結合されてもよい。
【0044】
殺菌装置は、2つ以上のパワー分配デバイス及び/または2つ以上のマニホールドを備え得る。好ましくは、2つ以上のパワー分配デバイスは、1つのマニホールドの側方ポートに接続される。代替的に、各マニホールドは、単一のパワー分配デバイスの出力ポートに接続される。この構成では、マイクロ波源は、2つ以上のソース出口を有することができ、各ソース出口は、それぞれのパワー分配デバイスのポートに接続される。
【0045】
また、単一の主パワー分配デバイスが、その入力ポートを介して、マイクロ波源の単一のソース出口に接続されることも可能である。主パワー分配デバイスの出力ポートは、2つ以上のパワー分配デバイスのそれぞれの入力ポートに接続される。
【0046】
使用中、マニホールドは、プラズマがマイクロ波源によって生成されるプラズマ生成領域を通って指向される水ミストの流れを受け取る。プラズマ生成のための機構は、水ミスト送達から独立している。さらに、そのことにより、殺菌装置は、プラズマ生成領域のサイズ(プラズマアプリケータまたはマニホールド入口の数によって制限される)の観点、及び水ミストの流量(1秒当たりの量)の観点の両方から、スケーリング可能になり得る。マニホールドは、複数のミスト発生器からの水ミスト入力をともに混合し、ならびに複数のプラズマアプリケータを受容するように適応され得る。パワー分配デバイスの出力ポートは、マイクロ波エネルギーをプラズマ生成領域に提供して、プラズマ生成領域内でプラズマをストライク及び/または維持する。
【0047】
このプラズマは、パワー分配デバイスから送達されるエネルギーによって、直接ストライクされ得る。すなわち、プラズマは、高電圧状態を作り出すための別個のデバイスまたは手段を必要とせず、ストライクされ得る。例えば、パワー分配デバイスのマニホールド及び/または出力ポートは、プラズマをストライクすることが可能な強度を有する電界を引き起こす、プラズマ生成領域における(水ミストの存在下、及びプラズマの不在下での)インピーダンスを提示するように、構成され得る(すなわち、選択された幾何学的形状を有する)。プラズマの存在により、プラズマ生成領域内のインピーダンスが変化する。パワー分配デバイスにおける出力のインピーダンスは、プラズマが予め設定されているときに、プラズマ生成領域のインピーダンスと一致するように構成され得る。例えば、パワー分配デバイスの出力におけるインピーダンスは、50Ωとすることができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、マニホールド及び/または出力ポートの側方ポートは、マイクロ波放射線によって生成される電界を、プラズマのストライク及び/または維持が可能であるそのようなレベルに局所的に増加させるための手段を含み得る。例えば、それらの手段は、その構造体の電位、したがって、マイクロ波放射線により生成される電界、を局所的に増加させる伝導性材料の先端及び/または縁端部を含み得る。伝導性針または他の鋭利なデバイスは、マイクロ波放射線によって生成される局所電界を増加させるためのそのような手段の例である。
【0049】
またさらなる実施形態では、プラズマをストライクするための別個のデバイスが提供され得る。例えば、1つ以上の出力ポート、好ましくは、すべてではない出力ポートが、以下に説明されるように、プラズマアプリケータとともに提供され得る。このプラズマアプリケータは、プラズマをストライク及び維持することが可能である。
【0050】
一例では、プラズマは、RFパルスを生成するように構成される高周波(RF)源を提供することによってストライクされ得る。このRFパルスは、プラズマ生成領域に供給されて、プラズマをストライクする。プラズマがストライクされた後に、RF源は、プラズマがマイクロ波エネルギー、すなわち、プラズマを維持するためのエネルギーが提供されるマイクロ波源によって供給される、マイクロ波エネルギーによって維持されるときに、スイッチオフされる。
【0051】
上述したように、パワー分配デバイス、特にパワースプリッタは、導波管、好ましくは、相互接続された導波管のアセンブリを含む。好ましくは、パワースプリッタ及び/またはパワー分配デバイスは、導波管のみからなる。これは、パワースプリッタ及び/またはパワー分配デバイスが入力ポートにおいてマイクロ波放射線を受け取ること、及び/または出力ポートにおいてマイクロ波放射線を放出することを可能にすることを意味する。したがって、マイクロ波放射線は、マニホールドに供給される。言い替えると、マイクロ波放射線は、入力ポートで受け取られて、複数の出力ポートに分配される。
【0052】
アセンブリ内で相互接続される導波管は、互いに接続され、及び/または接合部において互いに交差する。それらの接合部は、1つの導波管内の入射パワーが2つ以上の導波管に分配される場所であってもよい。したがって、接合部は、パワーの分割または分離を促進することができる。
【0053】
相互接続される導波管のアセンブリ内の接合部の位置決めは、接合部におけるパワー分配の効率及び比率を決定する。例えば、以下でさらに詳細に説明されるように、パワー分配は、マイクロ波エネルギーの波長に対する、接合部までの導波管の長さに依存する。
【0054】
「導波管」という用語は、本明細書では、マイクロ波放射線が伝播する細長いチャンバまたは通路の形態を有する、そのマイクロ波放射線を誘導するための構造体を意味するように使用される。この細長いチャンバまたは通路は、伝導性材料によって取り囲まれる。
【0055】
一実施形態では、導波管は、伝導性材料から作製されるブロックの孔であるか、または、導波管は、プラスチック材料から作製される導波管本体を含み、その導波路本体の内面は、導電層によって覆われる。相互接続される導波管のアセンブリは、ブロック内の複数の孔によって提供することができる。これらの複数の孔は、互いに流体連通して、2つの孔が互いに交差する位置において接合部を形成する。それらの孔は、相互接続される導波管のアセンブリを製造するための単純な製造方法を提供するドリル加工によって形成され得る。
【0056】
ブロックは、金属から作製され得る。ブロックは、100mm2~200mm2のベース面積、及び60mm~120mmの高さを有する直方体とすることができる。1つの任意選択的な実施形態は、167mm2のベース面積、及び90mm2の高さを有するブロックを提供する。
【0057】
代替的または追加的に、導波管は、内面が導電層によって覆われるプラスチック材料から作製された導波管本体を含む。この導電層は、マイクロ波放射線が導波管本体内で伝播するために必要とされる。導電層の厚さは、導波管本体内で伝送されるマイクロ波放射線の表皮深さよりも大きい。好ましくは、導波管本体の全内面は、導電層によって覆われている。導電層の材料は、金属とすることができる。
【0058】
導波管のこの実施形態の利点は、プラスチック材料から導波管本体を製造することに起因する軽量化である。
【0059】
代替的に、導波管本体は、伝導性材料から完全に作製される。
パワーを分配するための接合部は、導波管本体の端部が、T字形接合部を形成する別の導波管本体の側面の開口部に接続されるように形成され得る。他のタイプの接合部は、2つ以上の導波管本体を互いに接続することによって製造され得る。
【0060】
一例では、パワースプリッタは、リングカプラを含み得、好ましくは、リングカプラの出力ポートは、半径方向内向きに配向される。
【0061】
リングカプラは、リング形状を有するリング伝送線路を含み得る。半径方向の伝送線路は、リング伝送線路に接続され、そのリング伝送線路から半径方向に突き出る。半径方向の伝送線路は、入力ポート及び/または複数の出力ポートを画定することができる。半径方向の伝送線路の長さ(すなわち、半径方向の伝送線路の端部と、リング伝送線路までのその接続ポイントとの間の長さ)は、リング伝送線路からの、またはリング伝送線路への良好な伝達比を提供するように選択される特定の長さを有することができる。例えば、半径方向の伝送線路の長さは、マイクロ波エネルギーの周波数の波長の半分とすることができる。
【0062】
リング伝送線路及び/または半径方向の伝送線路は、導波管によって構成され得る。
一実施形態では、出力ポートを画定する半径方向の伝送線路は、リング伝送線路から半径方向内向きに突き出る。プラズマ生成領域は、任意選択的に、リング伝送線路によって取り囲まれる。出力ポートは、プラズマ空洞を画定する、本体の半径方向外向きに面する表面に接続される。
【0063】
半径方向内向きに延在する半径方向の伝送線路、したがって、リング伝送線路の半径方向内向きに配置される出力ポートの提供により、マイクロ波エネルギーが円形構造を有するプラズマ生成領域中に供給される構成が提供される。特に、出力ポート(したがって、マニホールドの対応する側方ポート)が、プラズマ生成領域の周りの円周方向に均等に分配されることが可能である。これは、均一なプラズマ生成領域の生成を促進することができる。
【0064】
任意選択的な実施形態では、半径方向の伝送線路は、リング伝送線路から半径方向外向きに突き出る。この実施形態では、プラズマ空洞、好ましくは、プラズマ生成領域は、リング伝送線路に沿って延在するトーラス形状を有する。好ましくは、リング伝送線路及びプラズマ空洞は、同軸状に配置される。出力ポートは、プラズマ空洞を画定する、本体の半径方向内向きに面する表面に接続される。
【0065】
任意選択的な実施形態では、任意の2つの出力ポート間の距離は、nλ/2に対応し、式中、nは、整数であり、λは、導波管内のマイクロ波エネルギーの波長である。リングカプラの入力ポートは、好ましくは、2つの出力ポートの間に配設され、かつそれらの出力ポートから等距離に配設される。この構成の場合、リング伝送線路の延長に沿って出力ポートを各々画定する2つの半径方向伝送線路の間の距離は、マイクロ波エネルギーの波長の半分の倍数に対応する。例えば、任意の2つの出力ポートは、波長の半分だけ離間される。ただし、2つの出力ポートの間の距離は、変化することが可能である。例えば、2つの出力ポートの間の距離は、波長の半分であるが、他の2つの出力ポートの間の距離は、波長の半分の倍数である。
【0066】
入力ポートを画定する半径方向伝送線路は、好ましくは、それぞれの出力ポートに接続される2つの半径方向伝送線路の間の正確な中央に配置される。言い替えると、入力ポートは、リング伝送線路をλ/4(または4分の1波長の任意の他の奇数倍)だけ延長したところの出力ポートからの距離を有する。
【0067】
上記の距離は、リング伝送線路から半径方向伝送線路への、マイクロ波エネルギーの結合/伝送を増加させ、逆も同様である。加えて、この実施形態は、出口上でのマイクロ波エネルギーのパワーの均等な分配を促進する。
【0068】
任意選択的な実施形態では、パワースプリッタは、入力ポートから出口ポートへの複数の経路を提供する複数の相互接続された直線導波管を含み、そこでは、各経路は、導波管の間の接合部を相互接続する複数の直交して配設される導波管セクションを含む。パワースプリッタは、各接合部が前の接合部または入力ポートからnλ/2だけ距離をおくように構成され得、式中、nは、整数であり、λは、マイクロ波エネルギーが導波管を通って伝播するときのマイクロ波エネルギーの波長である。
【0069】
直線導波管、または直線導波管のアセンブリは、伝導性材料から作製されるブロック内の上記の孔、または、内面が導電層で覆われている、プラスチック材料から作製された上記の導波管本体(複数の導波管本体)によって構成され得る。
【0070】
入力ポートまたは接合部と、マイクロ波エネルギーの半波長の倍数の別の接合部との間の距離は、良好な伝達比、すなわち、接合部において最小限に抑えることができる後方散乱を提供することが示されている。さらに、これは、接合部におけるパワーの均等な分配を促進する。
【0071】
任意選択的な実施形態では、パワースプリッタは、ウィルキンソンパワー分配器を含む。
【0072】
例えば、ウィルキンソンパワー分配器は、パワースプリッタの上記の実施形態に対して、追加的に使用され得る。代替的に、パワー分配デバイスは、ウィルキンソンパワー分配器、及び本明細書に説明される他の実施形態で作製される別のパワースプリッタを含むパワースプリッタを含む。
【0073】
ウィルキンソンパワー分配器は、パワー分配デバイスのインピーダンスが100Ωであると仮定される場合に、採用され得る。パワースプリッタの他の説明される実施形態は、好ましくは、パワー分配デバイスの50Ωのインピーダンスを達成するために採用される。プラズマは、ほぼ50Ωのインピーダンスを有し、このため、パワー分配デバイスと良好なインピーダンス整合が存在し、プラズマへのエネルギーの良好な伝達をもたらす。
【0074】
パワー分配デバイスは、複数のパワースプリッタを含むことができる。例えば、パワー分配デバイスは、ミストの流れの方向に離間している複数のリングカプラを含み得る。この場合、各リングカプラは、追加のリングカプラ(複数可)によってミストの流れの方向に拡張される局所的均一プラズマを提供し得る。
【0075】
上述したように、一例では、殺菌装置は、出力ポートに接続される複数のプラズマアプリケータを含むことができる。例えば、プラズマアプリケータは、マニホールドの側方ポートの中またはマニホールドの側方ポートにおいて位置決めされる。特に、1つのプラズマアプリケータは、マニホールドの1つの側方ポートの中またはその側方ポートにおいて位置決めされる。マニホールドの側方ポートは、プラズマアプリケータを支持するように構成され得る。好ましくは、出力ポートは、プラズマアプリケータに接続される。
【0076】
各プラズマアプリケータは、プラズマ生成領域を通る水ミストの流れに対して横方向に延在してもよい。例えば、マニホールドは、プラズマアプリケータを受け取るための複数の側方ポート(すなわち、その側面内のポート)を含んでもよい。したがって、この構成の場合、エネルギーがプラズマ生成領域中に注入される方向は、水ミストの流れに対して直交してもよい。
【0077】
より一般的には、導波管、または導波管本体内の開口部によって構成され得る側方ポートの配向は、水ミストの流れに対して直交してもよい。
【0078】
複数のプラズマアプリケータは、プラズマ生成領域の対向する側面で互いに向き合う1つ以上のプラズマアプリケータ対を含んでもよい。プラズマ生成領域は、1つ以上のプラズマアプリケータ対の間のスペースを含むか、またはそのスペースからなってもよい。
【0079】
複数のプラズマアプリケータは、それらのそれぞれのプラズマアークが組み合わされてリングを形成するように、プラズマ生成領域の周りに配置されてもよい。
【0080】
各プラズマアプリケータを、マイクロ波エネルギーのみを使用してプラズマをストライクするように構成してもよい。ただし、他の実施形態では、装置は、RFエネルギーのパルスを供給して、プラズマをストライクするように配置されたRF源を含んでもよく、そのマイクロ波エネルギーは、プラズマを維持するために使用される。RFストライク及びマイクロ波維持装置の例が、WO2019/175063に与えられている。
【0081】
マイクロ波エネルギーのみを使用してプラズマをストライクすることができる構成では、各プラズマアプリケータは、伝導性チューブと、伝導性チューブの長手軸に沿って延在する細長い伝導性部材と、を含んでもよい。伝導性チューブ及び細長い伝導性部材は、プラズマアプリケータの近位端に第1の同軸伝送線路、及びプラズマアプリケータの遠位端に第2の同軸伝送線路を提供し得る。第1の同軸伝送線路は、4分の1波長インピーダンス変成器として構成され得る。この4分の1波長インピーダンス変成は、第1のインピーダンス(例えば、プラズマアプリケータに供給される同軸ケーブルの)を第2のインピーダンス(例えば、第2の同軸伝送線路のインピーダンス)に変換するように動作し得る。第2の同軸伝送線路は、第1の同軸伝送線路よりも高いインピーダンスで構成され得る。第1及び第2の同軸伝送線路のインピーダンスは、その構造の幾何学的形状、例えば、細長い伝導性部材の直径と、伝導性チューブの内径との相対的な大きさによって決定され得る。第2の同軸伝送線路は、その伝送線路の遠位端において、プラズマアプリケータを通って流れるガス内にプラズマをストライクするのに好適である電界を確立するように選択されるインピーダンスを有し得る。各プラズマアプリケータによって受け取られるガスの流れは、伝導性チューブと細長い伝導性部材との間を通過することができ、この場合、それはまた、第1及び第2の同軸伝送線路の誘電体(絶縁)材料としても機能する。
【0082】
伝導性チューブの遠位端には、絶縁材料、例えば、石英等のスリーブが取り付けられ得る。このスリーブは、第2の同軸伝送線路の遠位端において電界を集束させることを支援することができ、それによって、所望の場所におけるプラズマストライクを促進し得る。
【0083】
各プラズマアプリケータは、ガスの流れを伝導性チューブと細長い伝導性部材との間のスペースに送出するように構成されたガス入口チューブを含んでもよい。ガス入口チューブは、伝導性チューブの長手方向軸に対して横方向に延在し得る。
【0084】
任意選択的な実施形態では、出力ポートをプラズマアプリケータに接続するためのアダプタが提供される。
【0085】
各プラズマアプリケータは、パワー分配デバイスの出力ポートに接続するように構成された近位アダプタを含み得る。この近位アダプタは、マイクロ波放射線を細長い伝導性部材及び/または伝導性チューブに供給するように構成され得る。したがって、マイクロ波エネルギーは、伝導性チューブの長手方向軸の線に沿って送達され得、このことは、効率的な結合を支援し得る。一方、ガス入口チューブは、長手方向軸に対して横方向に配置され得、このことは、そのガス入口チューブがマイクロ波エネルギーの送達を妨害しないため、有利であり得る。
【0086】
このアダプタは、同軸アダプタへの波として機能し得る。プラズマアプリケータは、同軸ケーブルに接続するように構成されたコネクタを有し、アダプタは、同軸アダプタへの波であることが可能である。この場合、プラズマアプリケータのコネクタは、アダプタに直接取り付けられる。
【0087】
任意選択的に、1つのプラズマアプリケータが、マニホールドの各側方ポートに設けられ、及び/または1つのプラズマアプリケータが、パワー分配デバイスの各出力ポートに接続される。
【0088】
好ましい実施形態では、1つまたはすべてのプラズマアプリケータが省略され得る。この場合、導波管構造を有する出力ポートに配置されるアダプタもまた、省略され得る。これは、パワー分配デバイスによって分配されるマイクロ波放射線がプラズマ生成領域中に直接供給されることを意味する。そこでは、マイクロ波放射線は、プラズマをストライク及び/または維持する。パワー分配デバイスの出力ポートは、マイクロ波放射線を放出することができ、マニホールドの側方ポートは、マイクロ波放射線のプラズマ生成領域への伝送を可能にする導波管または開口部として構成される。側方ポートの配向は、プラズマアプリケータの配向と同じであり得る。この実施形態は、導波管とアダプタ及び/またはプラズマアプリケータとの間の境界面で伝送損失が存在しないという利点を有する。
【0089】
アダプタが同軸アダプタへの導波管である実施形態では、パワー分配デバイスは、出力ポートで終端する導波管を含む。この実施形態では、パワーは、導波管によって分配される一方、マニホールドに供給されるマイクロ波エネルギーは、電気エネルギーとして出力される。
【0090】
任意選択的な実施形態では、複数の出力ポートは、プラズマ生成領域の周りに配設される。
【0091】
例えば、上述のリングカプラは、複数の出力ポートがプラズマ生成領域の周りに配設される構成の実施形態である。出力ポートは、プラズマ生成領域の周りに均等に配置されて分配され得る。また、出力ポートがプラズマ生成領域の外周部の1つ以上のセクションに配置されることも可能である。さらに、複数の出力ポートは、プラズマ生成領域の1つ以上の側部上に配置され得る。例えば、出力ポートは、プラズマ生成領域の反対側に配置され得る。
【0092】
言い替えると、出力ポートは、水ミストの流れに沿って見るときに、プラズマ生成領域の半径方向外側に配置される。パワー分配デバイスは、マニホールドの部分を覆うことができる。マニホールドの側方ポートは、マニホールドの外面上に配置される。
【0093】
代替的な実施形態では、プラズマ生成領域は、トーラス形状を有する。
この実施形態では、パワー分配デバイスの部分は、プラズマ生成領域によって画定されるトーラスの半径方向内側に配置される。この実施形態では、マニホールドの本体は、トーラス形状を有するプラズマ空洞を含み得る。側方ポートは、マニホールドの本体の半径方向内面に配置され得る。出力ポートは、水ミストの流れの方向に沿って見るときに、半径方向外側に延在し得る。
【0094】
マニホールド入口及びマニホールド出口は、ミストの流れの方向、またはその反対方向を見たときに、トーラスの軸方向側、すなわち、両側面に配置され得る。したがって、水ミストの流れは、プラズマ空洞を通って移動するときに、中空シリンダを形成し得る。リングカプラは、マニホールドのこの実施形態と併せて使用され得る。しかしながら、孔を含む上記のブロックは、マニホールド内に配置されて、半径方向外向きに延在する出力ポートを提供し得ることもまた可能である。
【0095】
マニホールド入口及び/またはマニホールド出口は、漏斗の外形を有し得る。マニホールド入口は、単一の入口からドーナツ形プラズマ生成領域に水ミストの流れを分配するように構成され得る。逆に、マニホールド出口は、ドーナツ形プラズマ生成領域からマニホールド出口の単一のアパーチャに水ミストの流れを振り向けるように構成され得る。
【0096】
さらなる代替的な実施形態では、マニホールドは、第1のプラズマ生成領域を画定する第1の部分、及び第2のプラズマ生成領域を画定する第2の部分を含み、好ましくは、パワー分配デバイスは、第1の部分と第2の部分との間に配置される。
【0097】
第1の部分は、マニホールドの本体の一部とすることができ、第2の本体は、マニホールドの本体の別の部分とすることができる。第1の部分及び第2の部分は、互いに接続され得、または別個に支持され得る。第1の部分は、第1のプラズマ空洞を画定し得、第2の部分は、第2のプラズマ空洞を画定し得る。第1のプラズマ空洞及び第2のプラズマ空洞は、互いに流体連通していない場合がある。例えば、パワー分配デバイスの少なくとも一部は、第1の部分と第2の部分との間に挟まれる。側方ポートは、第1の部分及び/または第2の部分の一方の側面に配置され得、この側面は、パワー伝送デバイスに面する。言い替えると、側方ポートが配置される側面は、第1の部分及び/または第2の部分の半径方向内向きの側面である。
【0098】
マニホールドのこの実施形態に伴って使用されるパワースプリッタは、上記のブロックとすることができる。この場合、出力ポートは、第1の側面及び第2の側面に配置され、第1の側面及び第2の側面は、対向する側面であり、例えば、上部側面及び下部側面である。
【0099】
マニホールド入口は、第1の部分及び第2の部分の各々における軸方向側面に、1つ以上の開口部を含み得る。マニホールド出口は、第1の部分及び第2の部分の各々における他の軸方向側面に、1つ以上のアパーチャとすることができる。
【0100】
本明細書では、「内側」という用語は、同軸ケーブル、プローブ先端部、及び/またはアプリケータの中心(例えば、軸)に半径方向により近い方向を意味する。「外側」という用語は、同軸ケーブル、プローブ先端部、及び/またはアプリケータの中心(軸)から半径方向にさらに遠い方向を意味する。
【0101】
本明細書で使用される「伝導性」という用語は、文脈が他の場合について指定していない限り、電気伝導性を意味する。
【0102】
本明細書では、「近位」及び「遠位」という用語は、アプリケータの端部を指す。使用の際、近位端は、RF及び/またはマイクロ波エネルギーを提供するための生成器により近いのに対して、遠位端は、生成器からより遠い。
【0103】
この明細書では、「マイクロ波」は、400MHz~100GHzの周波数範囲を示すために広く使用される場合があるが、好ましくは、1GHz~60GHzの範囲で使用され得る。考慮されている特定の周波数は、次の通りである:915MHz、2.45GHz、3.3GHz、5.8GHz、10GHz、14.5GHz、及び25GHz。対照的に、本明細書は、「高周波」または「RF」を使用して、少なくとも3桁低い周波数範囲、例えば、最大300MHzまで、好ましくは、10kHz~1MHz、及び最も好ましくは、400kHzを示す。マイクロ波周波数を調整して、送達されるマイクロ波エネルギーを最適化することを可能にすることができる。例えば、プローブ先端部は、特定の周波数(例えば、900MHz)で動作するように設計され得るが、使用の際、最も効率的な周波数は、異なる場合がある(例えば、866MHz)。
【0104】
以下、本発明の特徴を、下記に提供される本発明の例の詳細な説明において、添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【
図1】本発明の実施形態による殺菌装置の概略図である。
【
図2】
図1の殺菌装置のマイクロ波源、マニホールド及びパワー分配デバイスの概略断面図である。
【
図3】パワー分配デバイスの実施形態の概略側面図である。
【
図4】パワー分配デバイスの別の実施形態の概略側面図である。
【
図5】本発明の別の実施形態による殺菌装置の概略図である。
【
図6】
図5の殺菌装置のマイクロ波源、マニホールド及びパワー分配デバイスの概略断面図である。
【
図7】本発明のさらなる実施形態による殺菌装置の概略図である。
【
図8】
図7の殺菌装置のマイクロ波源、マニホールド及びパワー分配デバイスの概略断面図である。
【
図9】パワー分配デバイスの実施形態の概略側面図である。
【
図10】パワー分配デバイスの別の実施形態の概略側面図である。
【
図11】
図1の殺菌装置とともに使用するのに好適な供給マニホールドの概略上面図である。
【
図12】
図1の殺菌装置内で使用するのに好適なマイクロ波源、マニホールド、パワー分配デバイス及びプラズマアプリケータの概略断面図である。
【
図13】
図12に図示するプラズマアプリケータの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0106】
詳細な説明、さらなる選択肢及び設定
本発明は、水ミストの存在下でプラズマを形成することによって生成されるヒドロキシルラジカルを使用して殺菌を行うためのデバイスに関する。
【0107】
図1は、本発明の実施形態である殺菌装置100の概略図である。この殺菌装置100は、マイクロ波源102、ミスト発生器104、及びガス供給源106の各々からの供給物を組み合わせて、殺菌されることになるエンクロージャ110へのヒドロキシルラジカルの流れ108を生成するように動作する。
【0108】
マイクロ波源102は、マイクロ波エネルギー(すなわち、400MHz~100GHzの範囲、好ましくは1GHz~60GHzの範囲の周波数を有する電磁エネルギー)を出力するための任意の好適なマイクロ波発生器であってもよい。例えば、それは、周波数2.45GHzを有するマグネトロン配置の出力マイクロ波放射線であってもよい。他の実施形態では、マイクロ波源102は、発振器及びパワー増幅器を含んでもよい。マイクロ波源102は、200W以上、好ましくは500W以上、例えば800W等のパワーを有するマイクロ波エネルギーを出力するように構成することができる。マイクロ波源102は、ソース出口において、マイクロ波放射線を放出するように構成されている。
【0109】
ミスト発生器104は、1つ以上の超音波噴霧デバイスを含むことができ、そこでは、液体の水、例えば、蒸留水を貯蔵する容器に超音波エネルギーを適用することによって、細かい水滴のミストが得られる。代替的に、ミスト発生器104は、貯蔵された水に熱を加えることによって、水蒸気(蒸気)を生成するためのデバイスを含むことができる。
【0110】
ガス供給源106は、加圧された不活性ガス(例えば、アルゴン、窒素、二酸化炭素など)のキャニスタを含んでもよい。代替的に、殺菌装置は、プラズマがストライクされているガス媒体として空気とともに動作することができる。この例では、ガス供給源106は、指向性のあるガス流を生成するためのファンまたは他の手段を含むことができる。
【0111】
この例では、ガス供給源106は、ガス流がミスト発生器104に供給されている接続部112を有する。ガス流は、ミスト発生器104からのミストまたは水蒸気を内包して、それを、ミスト導管114を通ってエンクロージャ110に向かって移送する。複数のミスト発生器104が存在する場合、接続部112は、複数の分岐を有することができ、複数のミスト導管114が存在することができる。
【0112】
エンクロージャ110は、殺菌を必要とする任意のスペースであってもよい。それは、ボックスもしくは部屋(例えば、劇場もしくは病院の続き間を運用する)または車両内部(例えば、救急車等)であってもよい。装置からエンクロージャ110への流量は、調整可能であり得、例えば、密閉された体積内でのヒドロキシルラジカルの拡散を促進することができる。
【0113】
殺菌装置100は、マイクロ波エネルギー、ミスト、及びガスを結合してヒドロキシルラジカルの流れ108を生成するように構成されたマニホールド116をさらに備える。この実施形態では、マニホールド116は、以下でさらに詳細に考察されるように、プラズマ生成領域124として動作する内体積を画定する。
【0114】
マニホールド116は、ミスト導管114に接続されている複数の開口部によって構成される近位マニホールド入口118と、ヒドロキシルラジカルの流れ108がエンクロージャ110の中を通過するアパーチャによって構成されるマニホールド出口120と、を含む。マニホールド入口118は、プラズマ生成領域124に供給する。マニホールド出口120は、プラズマ生成領域124の出口アパーチャである。マニホールド入口118の開口部は、マニホールド出口120のアパーチャと位置合わせすることができ、それは、ミスト導管114からのミストの流れが、ヒドロキシルラジカルの流れ108がマニホールド116を出る方向と、例えば、平行に位置合わせされる方向にマニホールド116に入るという意味である。
【0115】
マニホールド116は、プラズマ空洞126を画定する本体を有する(これは、明確にするために、周囲の本体なしで
図2に示される)。プラズマ生成領域124は、プラズマが生成されるプラズマ空洞126内の体積である。
【0116】
マニホールド116は、プラズマ生成領域124に隣接して配設される複数の側方ポート122をさらに含む。この例では、側方ポート122は、プラズマ空洞126(
図2を参照)の周縁部の周りに均等に分布する。マニホールド116は、プラズマ空洞126を画定するチューブを含むことができる。側方ポート122は、チューブの外側面に配置されている。チューブの軸方向は、水ミストの流れを画定する。
【0117】
マイクロ波源102によって生成されるマイクロ波放射線を側方ポート122に分配するパワー分配デバイス128が設けられている。このパワー分配デバイス128は、ポート130、パワースプリッタ132、及び複数の出力ポート134を含む。パワースプリッタ132は、ポート130を介して、マイクロ波源102に接続されている。
図1に図示する実施形態では、1つのパワー伝送デバイス128のみが存在する。特に、1つのパワースプリッタ132のみが提供されている。パワースプリッタ132は、パワースプリッタ132がマイクロ波源102、特にマイクロ波源102のソース出口に直接結合されている1つのポート130のみを有する。
【0118】
パワースプリッタ132は、出力ポート134を介して、側方ポート122に接続されている。入力ポート130、パワースプリッタ132、及び/または出力ポート134は、導波管136によって構成されている。したがって、パワー分配デバイス128は、マイクロ波源102から複数の側方ポート122にマイクロ波放射線を供給する。
【0119】
図1及び
図2の実施形態では、パワースプリッタ132は、リング伝送線路138及び複数の半径方向伝送線路140を含むリングカプラである。リング伝送線路138は、リング伝送線路138に対応する導波管136が円形通路を有するように、閉鎖リングの形態を有する。半径方向伝送線路140は、リング伝送線路138から半径方向に延在する。半径方向伝送線路140は、入力ポート130及び出力ポート134を構成する。
【0120】
図1及び
図2に図示する実施形態では、ポート130を画定する半径方向伝送線路140は、半径方向外向きに延在するのに対して、出力ポート134を画定する半径方向伝送線路140は、半径方向内向きに延在する。
【0121】
出力ポート134を画定する半径方向伝送線路140は、マイクロ波エネルギーの半波長の倍数だけ、リング伝送線路138の延長方向に離間されている。
【0122】
図3に図示する実施形態では、出力ポート134を画定する半径方向伝送線路140は、入力ポート130から最も遠いそれらの2つの出力ポート134を除いて、λ/2だけ離間されている。
図4に図示する実施形態では、半径方向伝送線路140は、リング伝送線路138の周りにλ/2だけ均等に離間されている。
【0123】
入力ポート130を画定する半径方向伝送線路140は、出力ポート134を画定する2つの半径方向伝送線路140の間の中央に正確に配置されている。したがって、リング伝送線路138の延長に沿って入力ポート130を画定する半径方向伝送線路140と、出力ポート134を画定する隣接する半径方向伝送線路140との間の距離は、マイクロ波エネルギーの4分の1波長に対応する。
【0124】
図1~
図4に図示するリング伝送線路138及び半径方向伝送線路140は、導波管136である。
図1及び2に図示する実施形態の出力ポート134は、アダプタ142を備えていない。したがって、マイクロ波放射線は、プラズマ生成領域124中に供給される。
【0125】
しかしながら、アダプタ142が出力ポート134において提供されることは可能である。例えば、
図3及び4に図示するパワースプリッタ132は、プラズマアプリケータ200が接続されることが可能であるアダプタ142を有する(プラズマアプリケータ200は、後で説明され、
図12も参照されたい)。
【0126】
プラズマ空洞126及び、したがって、プラズマ生成領域124は、リング伝送線路138の中央に配置することができる。そのような構成は、マイクロ波エネルギーをプラズマ生成領域124中に均一に供給することに役立つ。加えて、マイクロ波源102からプラズマ生成領域124にマイクロ波エネルギーを伝送するための同軸ケーブルは、パワースプリッタ132の出力ポート134をプラズマアプリケータ200に直接接続することができるため、または、プラズマアプリケータ200が省略される場合には、出力ポート134で放出されたマイクロ波放射線をプラズマ生成領域124中に直接供給することができるため、省略することができる。
【0127】
使用中、ガスは、接続部112を通ってミスト発生器104に供給される。ミストは、ミスト発生器104によって作り出され、接続部112からのガスに内包され、その後、ミストは、ミスト導管114を通ってマニホールド116中に流れる。マイクロ波源102から供給されたマイクロ波エネルギーは、プラズマ生成領域124内に電界を形成して、ガス内でプラズマをストライク及び/または維持する。側方ポート122及び、したがって、出力ポート134(プラズマアプリケータ200を含むか、または除外する)は、リング状プラズマアーク144がマニホールド出口120内で可視であるように、プラズマ生成領域124の周りに配設することができる(
図12を参照)。
【0128】
プラズマをストライクすることは、プラズマ生成領域124内の水ミストのインピーダンスが非常に高いため、十分に高い電界がプラズマ生成領域124内に構築して、プラズマをストライクすることができるという点で、達成することができる。プラズマのインピーダンスは、例えば、50Ωの線路インピーダンスを有するパワー分配デバイス128の線路インピーダンスと同様とすることができる。
【0129】
また、マイクロ波源102によって提供されるマイクロ波放射線を単独で使用して、プラズマ生成領域124内のプラズマを維持することも可能である。プラズマは、出力がプラズマ生成領域124中に供給される高周波発生器(図には示されていない)によって生成することができる高周波(RF)パルスによってストライクすることができる。
【0130】
図3及び
図4は、リングカプラタイプのパワースプリッタ132のさらなる実施形態を示している。
図3及び
図4に図示するパワースプリッタ132は、以下の相違を除いて、
図1及び
図2に図示するパワースプリッタ132と同じ特性を有する。すべての半径方向伝送線路140は、リング伝送線路138から半径方向外向きに延在する。これは、入力ポート130、ならびにすべての出力ポート134がリング伝送線路138から半径方向外向きに延在することを意味する。
図3及び
図4に示される実施形態では、出力ポート134は、すべて、アダプタ142を備えている。
【0131】
図5及び
図6は、
図3及び
図4に図示するリングカプラが使用することができる殺菌装置100の実施形態を示している。
図5及び
図6に図示する殺菌装置100は、以下の相違を除いて、
図1及び
図2に図示する殺菌装置100と同じ特性を有する。
【0132】
プラズマ空洞126の形状は、ドーナツ形状であり、パワースプリッタ132を取り囲む。特に、プラズマ空洞126は、リング伝送線路138に対して同軸に配置されている。これは、プラズマ空洞126及び、したがって、プラズマ生成領域124がパワースプリッタ132を取り囲むことを意味する。
【0133】
マニホールド入口118は、漏斗の外形を有することができ、接続部112における入力する水ミストの流れをプラズマ空洞126のドーナツ形状に分配するように構成されている。同様に、マニホールド出口120もまた、漏斗の外形を有することができ、プラズマ生成領域124を通過した水ミストの流れを、エンクロージャ110に接続されている単一のアパーチャに伝えるように構成されている。
【0134】
図7及び
図8は、殺菌装置100の別の実施形態を示している。
図7及び
図8に図示する殺菌装置100は、以下の相違を除いて、
図1及び
図2に図示する殺菌装置100と同じ特性を有する。
【0135】
図7及び
図8に図示するパワースプリッタ132は、その出力ポート134を上部側面146及び下部側面148上に有する。上部側面146上に配置された出力ポート134は、マニホールド116の第1の部分150に接続されている。下部側面148上に配置された出力ポート134は、マニホールド116の第2の部分152に接続されている。第1の部分150及び第2の部分152は、各々、この実施形態において、2つのプラズマ生成領域124がマニホールド116とともに存在するように、プラズマ空洞126を画定している。
【0136】
第1の部分150及び第2の部分152は、互いに流体連通していなくてもよい。第1の部分150及び第2の部分152は、各々、パワースプリッタ132の出力ポート134が接続されている側方ポート122を含む。第1の部分150及び第2の部分152は、各々、接続部112のための開口部を有することができる。これらの開口部は、マニホールド入口118を画定する。接続部112は、それぞれ、ミスト発生器104を第1の部分150及び第2の部分152に接続する2つの線路を含むことができる。マニホールド出口120は、
図5及び
図6に図示するものと同様とすることができる。
【0137】
パワー分配デバイス128及び、特にパワースプリッタ132は、第1の部分150と第2の部分152との間に配置することができる。
【0138】
図7及び
図8に図示するような殺菌装置100のために使用されるパワースプリッタ132は、
図9に図示するような構造を有することができる。パワースプリッタ132は、相互接続された導波管136のアセンブリである。
【0139】
図9において、パワースプリッタ132は、導波管136のアセンブリの例である複数の導波管136を含む。導波管136の形態の入力ポート130は、接合部154において別の導波管136につながる。したがって、入力ポート130に供給されたマイクロ波放射線は、接合部154において分割される。接合部154におけるマイクロ波放射線のパワーの分割比は、入力ポート130を構成する導波管136の長さ、及び接合部154から始まる導波管セクション156の長さに依存する。例えば、入力ポート130及び上述の導波管セクション156を構成する導波管136の長さは、マイクロ波放射線の半波長の倍数とすることができる。
【0140】
導波管セクション156は、各々、2つのさらなる導波管セクション156が作り出す別の接合部154につながる。4つの導波管セクション156の各々は、2つのさらなる導波管セクション156が作り出す4つの接合部154に再度つながる。これらの8つの導波管セクション156は、各々が、マイクロ波放射線を、プラズマアプリケータ200に供給されるための電気エネルギーに変換するためのアダプタ142を設けることができる8つの出力ポート134を構成する。したがって、パワー分配デバイス128は、1つの入力ポート130及び8つの出力ポート134を有する。4つの出力ポート134は、上部側面146上に配置され、4つの出力ポート134は、下部側面148上に配置されている。
【0141】
各導波管136は、マイクロ波放射線を伝送するための中空通路である。導波管136、及びそれぞれの導波管セクション156の長さは、好ましくは、最適な伝送のために、かつ出力ポート134へのパワーの均等な分配のために、適合される。特に、マイクロ波放射線のパワーは、各出力ポート134に存在するマイクロ波放射線パワーが同じであるように、各接合部154において均等に分割することができる。
【0142】
導波管136は、
図9及び
図10に図示する実施形態において直線とすることができる。導波管136は、伝導性材料のブロック内にドリルで孔を開けることによって形成することができる。このブロックは、
図9及び
図10に概略的に概説されているが、導波管136を視覚化するために図示されていない。導波管136を製造するこの方式は、単純であるが、導波管136の正確な長さを確実にしている。
【0143】
代替的な実施形態では、導波管136は、内面が導電層(図では見えない)によって覆われているプラスチック材料から作製された導波管本体を有することができる。この導電層は、マイクロ波放射線の伝送を確実にし、導波管136内で伝送されるマイクロ波放射線の表皮深さよりも大きい深さを有する。このタイプの導波管136は、軽量である。
【0144】
図10に図示するパワースプリッタ132の実施形態は、16個の出力ポート134をもたらす、接合部154及び導波管セクション156の追加の層を有する。したがって、この実施形態のパワースプリッタ132は、単一の入力ポート130で受け取ったパワーを16個の出力ポート134に分配する。特に、16個の出力ポート134におけるマイクロ波放射線のパワーは、同じである。
図9の実施形態と併せて行われた他のコメント及び説明は、
図10に図示する実施形態に同様に適用される。
【0145】
したがって、
図9及び
図10に図示するパワースプリッタ132は、パワーが入力ポート130において入力され、接合部154において2つの導波管セクション156に分岐されるツリー状構造を有する。入力ポート130に接続された導波管136のこの分割または分岐は、各さらなる導波管セクション156において繰り返される。
【0146】
図10に図示するパワースプリッタデバイス132は、上部側面146及び下部側面148を除く他の側面上に、すなわち、水ミストの流れに対して垂直である2つの追加の側面上に配置された、いくつかの出力ポート134を有する。これらの出力ポート134は、マニホールド116の第3の部分及び第4の部分(図には示されていない)に接続することができる。この第3の部分及び第4の部分は、それぞれ、第1の部分150及び第2の部分152の特性を有する。代替的に、
図10に図示するパワースプリッタ132は、
図1及び
図2に図示するようなドーナツ形状を有するマニホールド116に接続することができる。
【0147】
任意選択的な実施形態では、各側方ポート122は、プラズマアプリケータ200(例えば、
図12を参照)を受け取るように構成されている。各プラズマアプリケータ200は、パワー分配デバイス128を介してマイクロ波源102からマイクロ波エネルギーを受け取るように接続されている。
図13及び14を参照して、以下でより詳細に考察されるように、各プラズマアプリケータ200は、その遠位端において、マニホールド116を通って流れるガス内のプラズマをストライクすることができる電界を作り出すように構成されている。各プラズマアプリケータ200は、そのそれぞれの側方ポート122に位置決めされ、その結果、その遠位端は、プラズマ生成領域124内に置かれる。
【0148】
この例では、ガス供給源106は、別個のガス供給をプラズマアプリケータ200の各々に提供する第2の接続部(図には示されていない)をさらに含む。複数のプラズマアプリケータ200が存在する場合、第2の接続部は、複数の分岐を含み得る。この構成の場合、ガスは、ミスト導管114及びプラズマアプリケータ200の両方からプラズマ生成領域124に入る。
【0149】
使用中、ガスは、接続部112及び第2の接続部の両方を通って供給される。ミストは、ミスト発生器104によって作り出され、接続部112からのガスに内包され、その後、ミストは、ミスト導管114を通ってマニホールド116中に流れる。一方、ガスは、第2の接続部からプラズマアプリケータ200を通って流れて、プラズマ生成領域124に入る。マイクロ波源102から供給されたマイクロ波エネルギーは、プラズマ生成領域124内で電界を形成して、ガス中でプラズマをストライクする。プラズマアプリケータ200は、リング状プラズマアークがマニホールド出口120内で可視であるように、プラズマ生成領域124の周りに配設することができる。
【0150】
図11は、本発明の実施形態で使用することができるマニホールド116の概略上面図である。既に考察された特徴は、同じ参照番号を備えているため、それらの説明は繰り返さない。この例では、4つのミスト導管114が、マニホールド入口118の近位側で受け取られ、そのマニホールド入口は、各ミスト導管114から単一チューブ中に流れを混合するように機能し、その単一チューブは、マニホールド入口118の漏斗要素の遠位側から延在する。プラズマ生成領域124は、プラズマ空洞126を画定するチューブ内に形成されている。エンクロージャ110(図示せず)につながるマニホールド出口120は、チューブの遠位端にある。
【0151】
同様に、プラズマアプリケータ200がプラズマ生成領域124中に延在する側方ポート122は、チューブの側面に形成されている。各プラズマアプリケータ200は、出力ポート134に接続可能である近位アダプタ142を含む。上で考察されたように、各プラズマアプリケータ200は、専用のガス供給源を有し、そのガス供給源は、ガス入口チューブ202を通って入る。ガス入口チューブ202は、プラズマアプリケータ200がプラズマ生成領域124中に延在する方向に対して横方向に延在する。
図2では、ガス入口チューブ202の方向は、ページ内にある。
【0152】
図12は、
図1及び
図2に示されるマニホールド116の正面図を示している。既に考察された特徴は、同じ参照番号を備えているため、それらの説明は繰り返さない。この例では、プラズマ空洞126の周縁部に沿って均等に分配された5つのプラズマアプリケータ200が存在する。この図において、プラズマ空洞126中に延在するプラズマアプリケータ200の部分は、マニホールド出口120を通して可視である。動作時に形成されるプラズマリングを点線144によって概略的に示す。ミスト導管114からのミストの流れは、プラズマリング及びその周りを通過し、プラズマリングは、それによって、ガス流内でヒドロキシルラジカルの形成を引き起こして、殺菌を促進することが理解され得る。
【0153】
図13は、上で考察された装置内で使用することができるプラズマアプリケータ200の側面図である。このプラズマアプリケータ200は、例えば、銅などの伝導性チューブ206によって画定されたおおむね細長い円筒形部材である。アダプタ142は、出力ポート134に接続される伝導性チューブ206の近位端に取り付けられている。したがって、出力ポート134に沿って移送されたマイクロ波エネルギーは、伝導性チューブ206の長手方向軸の線に沿った方向に、伝導性チューブ206中に送達することができる。伝導性チューブ206は、その遠位端において開放されている。ガス入口チューブ202は、伝導性チューブ206の近位端に向かって、その伝導性チューブの側面に取り付けられている。ガス入口チューブ202は、伝導性チューブ206の内体積の中を通過する流路を画定する。この流路は、伝導性チューブ206の軸に対して傾斜している。この例では、流路は、その軸に対して横方向に配置されている。ガス入口チューブ202を通って送達されたガスは、伝導性チューブ206を通って流れて、その遠位端において出ていく。石英チューブ208が、伝導性チューブ206と同軸状に、その伝導性チューブの遠位端に取り付けられている。この石英チューブ208は、
図14に示すように、伝導性チューブ206の遠位端を越えて突き出ており、伝導性チューブ206の遠位長さに沿って、その伝導性チューブの内面と重なり合っている。
【0154】
図14は、
図13に示されたプラズマアプリケータ200を通過する概略断面図である。プラズマアプリケータ200は、内体積を通って伝導性チューブ260と同軸状に延在する細長い伝導性部材212を含む。細長い伝導性部材212の近位端は、アダプタ142の内側導体に接続されている。細長い伝導性部材212は、異なる直径を有する近位部分214及び遠位部分216を有する。この例では、近位部分214は、遠位部分216の直径cよりも大きい直径aを有する。遠位部分216は、遠位先端部218において終端し、この遠位先端部は、この例では、丸みを帯びている。伝導性チューブ206と併せて、近位部分214及び遠位部分216は、それぞれ、第1の同軸伝送線路及び第2の同軸伝送線路を画定する。
【0155】
プラズマアプリケータ200は、その遠位先端部におけるインピーダンスを増加させて、送出されたマイクロ波エネルギーによるプラズマストライクを促進するために配設された4分の1波長変成器を含む。4分の1波長変成器は、上で画定された第1の同軸伝送線路によって、すなわち、伝導性チューブ206と、細長い伝導性部材212の近位部分214とによって、提供することができる。
【0156】
次に4分の1波長変成器の動作について説明する。出力ポート134は、50ΩとすることができるインピーダンスZ0を有することができる。アダプタ142の外側導体は、伝導性チューブ206に電気的に接続され、その伝導性チューブは、その長さに沿って一様な内径bを有する。アダプタ142の内側導体は、細長い伝導性部材212に電気的に接続されている。
【0157】
第1の同軸伝送線路のインピーダンス
【0158】
【0159】
は以下のように表すことができる。
【0160】
【0161】
第2の同軸伝送線路のインピーダンス
【0162】
【0163】
は以下のように表すことができる。
【0164】
【0165】
第1の同軸伝送線路の長さはL1であり、第2の同軸伝送線路の長さはL2である。L1及びL2の両方は、同軸ケーブル308によって移送されたマイクロ波エネルギーの4分の1波長の奇数倍であるように配置されている。例えば、マイクロ波エネルギーの周波数が2.45GHzである場合、L1及びL2は、30.6mmとすることができ、したがって、プラズマアプリケータ200自体の全長は、6~8cmである。
【0166】
その結果、第1の同軸伝送線路及び第2の同軸伝送線路の接合部のインピーダンスZ1は、次のように表すことができる。
【0167】
【0168】
また、第2の同軸伝送線路の遠位先端218におけるインピーダンスZ2は、次のように表すことができる。
【0169】
【0170】
上式を代入して単純化すると、Z2は、次のように表すことができる。
【0171】
【0172】
プラズマアプリケータ200の近位端における入力パワーPについて、第1及び第2の同軸伝送線路に沿ったエネルギーが最小損失であると仮定すると、遠位先端部における電圧Vは、次のように表すことができ、
【0173】
【0174】
式中、Mは、以下と同等である電圧増倍率である。
【0175】
【0176】
一例では、プラズマアプリケータ200についての寸法は、以下のようにすることができる。a=6.5mm、b=12.5mm、c=1mm。これは、電圧増倍率3.862と同等である。Z0=50Ω、かつパワーP=250Wの場合、これは、遠位先端部218における電圧431.8Vを与える。したがって、この構造は、伝導性チューブ206を通って移送されるガスの絶縁破壊を引き起こすのに十分高い電界を提供することができる、アプリケータの遠位端での電圧を発生させる際に効果的であることが理解され得る。
【0177】
図14において、ガス入口チューブ202は、伝導性チューブ206の近位端から距離dに位置されている。この距離dは、ガス供給チューブが第1の同軸伝送線路及び第2の同軸伝送線路によるマイクロ波エネルギーの伝送に影響を及ぼさないことを確実にするように選択することができる。一例では、距離dは、15mmである。
【0178】
図には示されていない実施形態では、パワースプリッタ132は、入射マイクロ波エネルギーを複数の出力ポート134に分配するための1つ以上のウィルキンソン分配器を含む。ウィルキンソン分配器は、導波管136のインピーダンスが100Ωの場合に使用することができる。
【0179】
ウィルキンソン分配器のすべての構成要素を含むパワー分配デバイス128は、プラズマのインピーダンスに近い50Ωのインピーダンスを有する。したがって、プラズマとパワー分配デバイス128との間にインピーダンス整合が存在し、これは、プラズマへのパワー伝送を改善することにつながる。
【0180】
前述の説明、もしくは以下の特許請求の範囲、もしくは添付の図面で開示し、その具体的な形態でもしくは開示した機能を行うための手段の形で表した特徴、または開示した結果を得るための方法もしくはプロセスを、必要に応じて、別個に、またはこのような特徴の任意の組み合わせで、本発明をその多様な形態で実現するために利用してもよい。
【0181】
本発明を、上記の例示的な実施形態と併せて説明してきたが、本開示が与えられた場合、多くの均等の修正及び変形が当業者には明らかであろう。したがって、上述した本発明の典型的な実施形態は、例示的かつ非限定的なものと考えられる。説明された実施形態に対する様々な変更は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく行うことができる。
【0182】
誤解を避けるために、本明細書に提供する理論的な説明は、読者の理解を深めることを目的として提供されている。本発明者らは、これらの理論的説明のいずれにも拘束されることを望むものではない。
【0183】
以下の特許請求の範囲を含む本明細書全体を通じて、文脈上異ならない限り、用語「~を有する(have)」、「~を含む(comprise)」、及び「~を含む(include)」、ならびに「~を有する(having)」、「~を含む(comprises)」、「~を含む(comprising)」、及び「~を含む(including)」等の変形は、記載された整数もしくはステップ、または整数もしくはステップの群を包含するが、他の整数もしくはステップ、または整数もしくはステップの群を除外しないことを示唆すると理解される。
【0184】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明確にそうでないと示されない限り、複数の指示物を包含することに留意されたい。範囲は、「約」ある特定の値から及び/または「約」他の特定の値として、本明細書において表現され得る。そのような範囲が表現されるとき、別の実施形態は、1つの特定の値から及び/または他の特定の値までを含む。同様に、値が近似として表現される場合に、先行詞「約」の使用によって、特定の値が別の実施形態を形成することが理解されよう。数値に関連する用語「約」とは、任意選択的であり、例えば、±10%を意味する。
【0185】
用語「好ましい(preferred)」及び「好ましくは(preferably)」は、本明細書では、いくつかの状況の下で特定の利点を提供し得る本発明の実施形態を指して使用される。しかしながら、同じまたは異なる状況下では他の実施形態も好ましい場合があることを理解されたい。したがって、1つ以上の好ましい実施形態の列挙は、他の実施形態が有用ではないことを意味または示唆するものではなく、他の実施形態を本開示の範囲または特許請求の範囲の範囲から除外することを意図するものではない。
【国際調査報告】