(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-06
(54)【発明の名称】エンボスパターンが形成されたシーリング部を含む電池セル及びこれを製造するためのシーリングブロック
(51)【国際特許分類】
H01M 50/105 20210101AFI20231129BHJP
H01M 50/178 20210101ALI20231129BHJP
【FI】
H01M50/105
H01M50/178
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526116
(86)(22)【出願日】2022-10-18
(85)【翻訳文提出日】2023-04-27
(86)【国際出願番号】 KR2022015812
(87)【国際公開番号】W WO2023068725
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0138266
(32)【優先日】2021-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ギョン・ス・カン
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ホ・イ
【テーマコード(参考)】
5H011
【Fターム(参考)】
5H011AA17
5H011BB03
5H011CC10
5H011DD13
5H011DD26
5H011EE04
5H011KK01
(57)【要約】
本発明は、電極組立体を内部に収納するパウチ型電池ケースを含み、前記パウチ型電池ケースは、電極組立体収納部を取り囲む外周辺にシーリング部が形成され、シーリング部の全体にエンボスパターンが形成されている電池セルに関するものであり、電池セルの製造過程を別に追加しないながらもパウチ型電池セルの密封力を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極組立体を内部に収納するパウチ型電池ケースを含み、
前記パウチ型電池ケースは、電極組立体収納部を取り囲む外周辺にシーリング部が形成され、
シーリング部の全体にエンボスパターンが形成されている、電池セル。
【請求項2】
前記エンボスパターンは、シーリング部の上側から見るとき彫り上げの部分は下側から見るとき彫り込みの形態を有し、上側から見るとき彫り込みの部分は下側から見るとき浮き彫りの形態を有する、請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記エンボスパターンは、シーリング部の上側から見ると、彫り上げ及び彫り込みが交互に繰り返されるように形成されている、請求項2に記載の電池セル。
【請求項4】
前記エンボスパターンは、一定の大きさ及び間隔で形成されている、請求項1に記載の電池セル。
【請求項5】
前記シーリング部のうち電極リードが突出する側のシーリング部に形成されるエンボスパターンの間隔は、電極リードが突出しない側のシーリング部に形成されるエンボスパターンの間隔より狭く形成されている、請求項1に記載の電池セル。
【請求項6】
前記エンボスパターンの垂直断面は、多角形、半円形または半楕円形である、請求項1に記載の電池セル。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の電池セルを製造するためのシーリングブロックであって、
パウチ型電池セルシーリング部の上部に配置される上部シーリングブロックと、パウチ型電池セルシーリング部の下部に配置される下部シーリングブロックとを含み、
前記上部シーリングブロック及び下部シーリングブロックは互いに対応する位置で互いに噛み合うように溝部及び突出部が形成されている、シーリングブロック。
【請求項8】
前記突出部は、前記パウチ型電池セルシーリング部に向かって突出した形態を有する、請求項7に記載のシーリングブロック。
【請求項9】
前記突出部は、前記パウチ型電池セルシーリング部に向かって上方に突出した形態及び下方に突出した形態が交互に繰り返し配列されている、請求項7に記載のシーリングブロック。
【請求項10】
請求項1から6のいずれか一項に記載の電池セルを単位電池として含む、電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2021年10月18日付の韓国特許出願第2021-0138266号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願に開示されたすべての内容はこの明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明はエンボスパターンが形成されたシーリング部を含む電池セル及びこれを製造するためのシーリングブロックに関するものである。具体的には、パウチ型電池セルのシーリング部が容易にベンティングされることを防止するためにエンボスパターンが形成されたシーリング部を含む電池セル及びこれを製造するためのシーリングブロックに関するものである。
【背景技術】
【0003】
充放電可能なリチウム二次電池は、ワイヤレスモバイル機器(wireless mobile device)または身体に着用するウェアラブル機器(wearable device)のエネルギー源として広範囲に使われているだけではなく、大気汚染を引き起こす既存のガソリン車両及びディーゼル車両に対する代案として提示される電気自動車、ハイブリッド電気自動車などのエネルギー源としても使われている。
【0004】
リチウム二次電池は、電池ケースの素材及び形態によって、金属缶に電極組立体を内蔵する円筒型電池セル及び角型電池セル、並びにラミネートシートからなる電池ケースに電極組立体を内蔵するパウチ型電池セルに分類することができ、前記パウチ型電池セルは形態変形が自由であり、エネルギー密度が高いという利点がある。
【0005】
パウチ型電池セルを密封するために、高温のシーリングブロックで電池ケースの外周辺を押圧してシーリング部を形成する方法を用いるが、このような密封方法は、パウチ型電池セルの内部圧力が増加する場合、ベンティングが発生しやすい形態を提供する。
【0006】
したがって、パウチ型電池セルの密封性を向上させるための方法が試みられている。
【0007】
特許文献1は、金属箔層、腐食防止処理層及びシーラント層が順次積層された蓄電デバイス用外装材によって形成される封止された容器体において、前記シーラント層同士接触している縁部がヒートシールされて封止され、前記縁部に凹条の薄部が形成された蓄電デバイスを開示する。
【0008】
特許文献1は、ヒートシールされた封止部に薄部を形成することで、縁部が容易に折り曲げられるようにしている。
【0009】
特許文献2は、少なくとも熱融着性樹脂層と金属薄膜層とが積層され、前記熱融着性樹脂層を内側にして電池要素を取り囲み、周辺の接合部が熱融着することによって電池要素を密封する外装体フィルムを含み、前記接合部に少なくとも一つの折曲部が形成され、前記折曲部の厚さが前記接合部で前記折曲部の周囲の厚さより薄いフィルム外装電池を開示する。
【0010】
特許文献2は、外装体フィルムの接合部に相対的に小さい厚さを有する折曲部を形成することで、接合部の内側及び外側でのフィルムの伸張差によって折曲部分でクラックなどが発生することを防止している。
【0011】
特許文献3は、パウチ型電池ケースを密封するために、連続的に遂行されるプレシーリング及びメインシーリングにおいてプレシーリングを遂行するための装置であって、電池ケース用シート部材の外周辺の一面及び他面を互いに加熱及び押圧してプレシーリング部を形成するプレス、及びシート部材を固定するための固定部を含む一対のシーリングブロックを備え、前記プレスにはシーリング突起が外側に突出した形状に形成され、前記シーリング突起は外側端部が垂直断面上でラウンド形になったシーリング装置を開示する
【0012】
特許文献3は、メインシーリングに先立ってプレシーリングを遂行することで、電池セルの外面にしわが発生することを減少させている。
【0013】
しかし、これらの特許文献はパウチ型電池セルの密封力を向上させることができる構造を容易に備えることができる技術を提示していないので、このような技術開発が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開第2013-157286号公報
【特許文献2】韓国公開特許第2006-0064686号公報
【特許文献3】韓国公開特許第2018-0028714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は前記のような問題を解決するためのものであり、パウチ型電池セルのシーリング部の密封力が向上した構造を簡単な方法で適用することができるようにエンボスパターンが形成されたシーリング部を含む電池セルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
このような目的を達成するための本発明による電池セルは、電極組立体を内部に収納するパウチ型電池ケースを含み、前記パウチ型電池ケースは、電極組立体収納部を取り囲む外周辺にシーリング部が形成され、シーリング部の全体にエンボスパターンが形成されている構造を有することができる。
【0017】
前記エンボスパターンは、シーリング部の上側から見るとき彫り上げの部分は下側から見るとき彫り込みの形態を有し、上側から見るとき彫り込みの部分は下側から見るとき浮き彫りの形態を有することができる。
【0018】
前記エンボスパターンは、シーリング部の上側から見るとき、彫り上げ及び彫り込みが交互に繰り返されるように形成されることができる。
【0019】
前記エンボスパターンは、一定の大きさ及び間隔で形成されることができる。
【0020】
前記シーリング部のうち電極リードが突出する側のシーリング部に形成されるエンボスパターンの間隔は、電極リードが突出しない側のシーリング部に形成されるエンボスパターンの間隔より狭く形成されることができる。
【0021】
前記エンボスパターンの垂直断面は、多角形、半円形または半楕円形であり得る。
【0022】
本発明は前記電池セルを製造するためのシーリングブロックを提供する。詳細には、パウチ型電池セルシーリング部の上部に配置される上部シーリングブロックと、パウチ型電池セルシーリング部の下部に配置される下部シーリングブロックとを含み、前記上部シーリングブロック及び下部シーリングブロックは互いに対応する位置で互いに噛み合うように溝部及び突出部が形成されている構造を有することができる。
【0023】
前記突出部は、前記パウチ型電池セルシーリング部に向かって突出した形態を有することができる。
【0024】
前記突出部は、前記パウチ型電池セルシーリング部に向かって上方に突出した形態及び下方に突出した形態が交互に繰り返し配列されることができる。
【0025】
本発明は、前記電池セルを単位電池として含む電池モジュールを提供する。
【0026】
また、本発明は、前記課題の解決手段を多様に組み合わせた形態としても提供することが可能である。
【発明の効果】
【0027】
以上で説明したように、本発明による電池セルは、シーリング部全体にエンボスパターンが形成されているので、シーリング部の全表面積が増加するようになる。したがって、上部ケースと下部ケースとの間の接着面積が増加するので、電池セルの密封力を向上させることができる。
【0028】
したがって、パウチ型電池セルの形態変形が発生する場合にもシーリング部が容易に開放することを防止することができ、電池セルの内圧増加の際にも電池セルが爆発することを防止することができる。
【0029】
また、従来の電池セルの製造過程でシーリング部にエンボスパターンを形成することができるので、生産設備の増設などが不必要である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図4】第3実施例によるシーリングブロックの垂直断面図である。
【
図5】第4実施例によるシーリングブロックの垂直断面図である。
【
図6】実験例1に0.01MPaの内圧を印加したときの最大変形量の構造シミュレーション結果を示す図である。
【
図7】実験例2に0.01MPaの内圧を印加したときの最大変形量の構造シミュレーション結果を示す図である。
【
図8】実験例1に0.01MPaの内圧を印加したときの最大応力の構造シミュレーション結果を示す図である。
【
図9】実験例2に0.01MPaの内圧を印加したときの最大応力の構造シミュレーション結果を示す図である。
【
図10】実験例1に0.1MPaの内圧を印加したときの最大変形量の構造シミュレーション結果を示す図である。
【
図11】実験例2に0.1MPaの内圧を印加したときの最大変形量の構造シミュレーション結果を示す図である。
【
図12】実験例1に0.1MPaの内圧を印加したときの最大応力の構造シミュレーション結果を示す図である。
【
図13】実験例2に0.1MPaの内圧を印加したときの最大応力の構造シミュレーション結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面を参照して本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が本発明を容易に実施することができる実施例を詳細に説明する。ただし、本発明の好適な実施例に対する動作原理を詳細に説明するにあたり、関連した公知の機能または構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにする可能性があると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。
【0032】
また、図面全般にわたって類似の機能及び作用をする部分に対しては同じ図面符号を使う。明細書全般で、ある部分が他の部分と連結されていると言うとき、これは直接的に連結されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで間接的に連結されている場合も含む。また、ある構成要素を含むというのは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0033】
また、構成要素を限定するか付け加えて具体化する説明は、特別な制限がない限り、すべての発明に適用可能であり、特定の発明に限定されない。
【0034】
また、本発明の説明及び特許請求の範囲全般にわたって単数で表示したものは、別に言及しない限り、複数の場合も含む。
【0035】
また、本発明の説明及び特許請求の範囲全般にわたって「または」は、別に言及しない限り、「及び」を含むものである。したがって、「AまたはBを含む」はAを含むか、Bを含むか、またはA及びBの両者を含む3種の場合を意味する。
【0036】
本発明を図面に基づいて詳細な実施例と一緒に説明する。
【0037】
【0038】
電池セル100はラミネートシートからなるパウチ型電池ケース110を含むパウチ型電池セルである。パウチ型電池ケース110は、電極組立体を収容するための電極組立体収納部114が形成された上部ケース111と、上部ケース111の下部に位置する下部ケース112とを含む。
【0039】
前記電池ケースは、外部樹脂層、空気及び水分遮断性の金属層、及び熱融着性の内部樹脂層が積層されたラミネートシートからなることができる。
【0040】
前記外部樹脂層は外部環境に対して優れた耐性を有しなければならないので、所定の値以上の引張強度及び耐候性が必要である。例えば、前記外部樹脂層は、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)または延伸ナイロンを含むことができる。
【0041】
前記金属層は、ガス、湿気などの異物の流入または電解液の漏出を防止する機能の他にも電池ケースの強度を向上させる機能を発揮することができるように、アルミニウム(Al)またはアルミニウム合金を使うことができる。
【0042】
前記内部樹脂層は、熱融着性を有し、電解液に対する吸湿性が低く、電解液によって膨張するか浸食されない高分子樹脂を使うことができる。例えば、前記内部樹脂層は、無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)からなることができる。
【0043】
上部ケース111と下部ケース112とは電極組立体収納部を取り囲む外周辺で互いに接触するので、前記外周辺を加熱及び押圧すると、前記上部ケースの内部樹脂層と前記下部ケースの内部樹脂層とが溶融しながら結合してシーリング部115を形成する。
【0044】
電池セル100は上部ケース111と下部ケース112とが連結された形態を有し、折曲部を除いた3辺の外周辺にシーリング部115が形成される。
【0045】
すなわち、前記3辺の外周辺に形成されるシーリング部は、電池セルの両端にある全幅方向Wのシーリング部及び電池セルの全長方向Hのシーリング部であり、すべてのシーリング部にエンボスパターン116が形成される。
【0046】
すべてのシーリング部の密封力を同等にするために、エンボスパターン116はすべてのシーリング部で一定の大きさ及び間隔で形成されることができる。
【0047】
もしくは、全長方向Hのシーリング部の全長方向の中心部で内圧が最も大きく増加することになるので、全長方向の中心部はエンボスパターンの間隔がより狭く形成されることができる。
【0048】
もしくは、電極リード120は全幅方向Wのシーリング部から電池ケースの外側に延び、電極リード120が突出した部分では密封力が相対的に減少することになる。したがって、電極リード120が突出した部分で密封力が減少することを防止するために、前記シーリング部のうち電極リード120が突出する側のシーリング部に形成されるエンボスパターンの間隔は、電極リード120が突出しない側のシーリング部に形成されるエンボスパターンの間隔より狭く形成されることができる。このような構成は、電極リードが一側方向のシーリング部から突出する単方向電池セルの場合にも同様に適用可能である。
【0049】
電池セル100に形成されたエンボスパターンは全体的に円筒状の形態を有し、平面上で円形の形態を有する。しかし、エンボスパターンの形態は上部ケースと下部ケースとの接着面が増加する形態であれば特に限定されない。例えば、前記エンボスパターンの垂直断面は、多角形、半円形または半楕円形であり得る。
【0050】
本発明で、エンボスパターンはシーリング部において電池ケースの接着領域を増加させるための目的で形成されるので、前記エンボスパターンは、シーリング部の上側から見るとき浮き彫りの部分は下側から見るとき彫り込みの形態になり、上側から見るとき彫り込みの部分は下側から見るとき浮き彫りの形態に形成されることができる。
【0051】
【0052】
図2を参照すると、電池セル200において、パウチ型電池ケース210を構成する上部ケース211及び下部ケース212は、説明の便宜のために、互いに離隔している形態として示されているが、上部ケース211と下部ケース212とは熱融着して密着した形態を有する。
【0053】
電池セル200は電極リード220が互いに反対方向に突出した両方向電極組立体を収容した形態を有し、上部ケース211及び下部ケース212のそれぞれに電極組立体収納部214が形成された構造を有するので、高容量の電池セルを製造するのにより適した形態であり得る。
【0054】
電池セル200は、電池セル100と比較すると、エンボスパターンの形態に違いがある。具体的には、エンボスパターン216は全体的に四角柱の形態を有し、平面上で四角形の形態を有する。また、エンボスパターン216がシーリング部の末端まで形成される。したがって、シーリング部215において上部ケース211と下部ケース212との接着面をより広く形成することができるので、密封力をより向上させることができる。
【0055】
一方、電池セル200は、全幅方向Wのシーリング部に形成されたエンボスパターン及び全長方向Hのシーリング部に形成されたエンボスパターンの大きさ及び間隔に違いがある形態を有するので、所望の大きさの密封力を確保することができるように、エンボスパターンの大きさ及び間隔を自由に設定することができる。
【0056】
その他に、電池セル200についての説明は電池セル100についての説明を同様に適用することができるので、それらについての詳細な説明を省略する。
【0057】
【0058】
図3を参照すると、3種の形態のエンボスパターンが示され、理解の便宜のために、上部ケース211と下部ケース212とが離隔している形態として示されているが、これらは互いに離隔間隔なしに密着した状態でシーリング部を形成するようになる。
【0059】
図3の(a)のエンボスパターンは垂直断面上で多角形の形態が一定の大きさ及び間隔で形成され、シーリング部の上側から見るとき浮き彫りの部分は下側から見るとき彫り込みの形態になり、シーリング部の上側から見るとき彫り込みの部分は下側から見るとき浮き彫りの形態になる。
【0060】
図3の(b)のエンボスパターンは垂直断面上で多角形の形態が一定の大きさ及び間隔で形成されるが、シーリング部の上側から見るとき彫り上げと彫り込みとが交互に繰り返され、前記彫り上げ及び彫り込みに対応する位置のシーリング部の下側から見るときそれぞれ彫り込み及び彫り上げが交互に繰り返される形態を有する。
【0061】
図3の(c)のエンボスパターンは垂直断面上で半円形の形態が一定の大きさ及び間隔で形成され、シーリング部の上側から見るとき彫り上げの形態を有し、下側から見るとき彫り込みの形態を有する。
【0062】
本発明によるエンボスパターンは
図3に示した形態に限定されず、多様な形態及び間隔で形成されることができる。
【0063】
図4は第3実施例によるシーリングブロックの垂直断面図である。
【0064】
図4を参照すると、第3実施例によるシーリングブロックは、
図3の(a)のエンボスパターンを形成するのに適切な形態を有する。第3実施例によるシーリングブロックは、パウチ型電池セルシーリング部の上部に配置される上部シーリングブロック310、及びパウチ型電池セルシーリング部の下部に配置される下部シーリングブロック320を含む。
【0065】
上部シーリングブロック310及び下部シーリングブロック320は互いに対応する位置で互いに噛み合う構造を有するように形成されている。すなわち、シーリング面301を基準に凹んでいる形態の溝部340、及びシーリング面301を基準に突出した形態の突出部330が形成されている。
【0066】
したがって、上部シーリングブロック310と下部シーリングブロック320との間にパウチ型電池セルのシーリング部を配置し、押圧及び加熱すると、
図3の(a)のような形態のエンボスパターンが形成される。ここで、突出部330はパウチ型電池セルのシーリング部に向かって突出した形態を有することができる。
【0067】
図5は第4実施例によるシーリングブロックの垂直断面図である。
【0068】
図5を参照すると、第4実施例によるシーリングブロックは
図3の(b)のエンボスパターンを形成するのに適切な形態を有する。第4実施例によるシーリングブロックは、パウチ型電池セルシーリング部の上部に配置される上部シーリングブロック410、及びパウチ型電池セルシーリング部の下部に配置する下部シーリングブロック420を含む。
【0069】
上部シーリングブロック410及び下部シーリングブロック420は互いに対応する位置で互いに噛み合う構造が形成されている。すなわち、シーリング面401を基準に凹んでいる形態の溝部440、及びシーリング面401を基準に突出した形態の突出部430が形成されている。
【0070】
突出部430はパウチ型電池セルのシーリング部に向かって上方に突出した形態及び下方に突出した形態が交互に繰り返し配列され、突出部430と噛み合うように、対面するシーリングブロックには溝部440が形成される。
【0071】
本発明による電池セルは、シーリング部の密封力が向上しているので、前記電池セルを単位電池として含む電池モジュールでは、電池セルがより高い内圧でもベンティングされ得ない。したがって、電池モジュールの安全性を向上させることができる。
【0072】
以下では、本発明の実施例を参照して説明するが、これは本発明のより容易な理解のためのものであり、本発明の範疇がそれによって限定されるものではない。
【0073】
<実験例1>
パウチ型電池セルを準備し、外周辺シーリング部全体にエンボスパターンが形成されるようにして密封した。
【0074】
<実験例2>
パウチ型電池セルを準備し、外周辺シーリング部が平らな形態になるようにして密封した。
【0075】
<最大変形量及び最大応力測定1>
前記実験例1及び実験例2で製造された電池セルに対して0.01MPaの内圧を印加して最大変形量及び最大応力を測定した。実験例1の最大変形量の構造シミュレーション結果を
図6に示し、実験例2の最大変形量の構造シミュレーション結果を
図7に示した。また、実験例1の最大応力の構造シミュレーション結果を
図8に示し、実験例2の最大応力の構造シミュレーション結果を
図9に示した。
【0076】
構造シミュレーション(Structure Simulation)はMidas社のMeshfreeというCAE Toolを用いて遂行した。CADプログラムとしてSolidworksプログラムを用いて3次元形状を具現した後、それぞれの形状に対してMeshfreeを用いて構造シミュレーションを遂行した。
【0077】
図6及び
図7を参照すると、実験例1の最大変形量は約0.03mmであり、実験例2の最大変形量は約0.04mmである。
【0078】
図8及び
図9を参照すると、実験例1の最大応力は約8.8N/mm
2であり、実験例2の最大応力は約11.3N/mm
2である。
【0079】
このように、シーリング部全体にエンボスパターンが形成された実験例1は、平らなシーリング部を形成した実験例2よりも最大変形量が減少した結果を示しているので、シーリング部全体にエンボスパターンが形成されたパウチ型電池セルは内圧増加による変形量が少ないより堅い構造であることが分かる。
【0080】
また、同じ大きさの耐圧が印加されたとき、実験例1は実験例2より最大応力が小さく測定された。したがって、シーリング部全体にエンボスパターンが形成されたパウチ型電池セル構造がより大きな内圧増加に耐えることができることを確認することができる。
【0081】
このような結果から、パウチ型電池セルのシーリング部全体にエンボスパターンを形成する場合には密封力が向上することが分かる。
【0082】
<最大変形量及び最大応力測定2>
前記実験例1及び実験例2で製造された電池セルに対して0.1MPaの内圧を印加して最大変形量及び最大応力を測定し、実験例1の最大変形量の構造シミュレーション結果を
図10に示し、実験例2の最大変形量の構造シミュレーション結果を
図11に示した。また、実験例1の最大応力の構造シミュレーション結果を
図12に示し、実験例2の最大応力の構造シミュレーション結果を
図13に示した。
【0083】
構造シミュレーション方法は、前記最大変形量及び最大応力測定1で用いたものと同じ方法で遂行した。
【0084】
図10~
図13を参照すると、実験例1の最大変形量は約0.25mmであり、実験例2の最大変形量は約0.37mmである。実験例1の最大応力は約84N/mm
2であり、実験例2の最大応力は約111N/mm
2である。
【0085】
このように、シーリング部全体にエンボスパターンが形成された実験例1は、平らなシーリング部を形成した実験例2より最大変形量が減少し、最大応力が減少した結果を示している。
【0086】
したがって、パウチ型電池セルのシーリング部全体にエンボスパターンを形成する場合には、構造的により堅い形態になるだけでなく、より大きな内圧増加の際にも密封力を維持することができる。
【0087】
本発明が属する分野で通常の知識を有する者であれば前記内容に基づいて本発明の範疇内で多様な応用及び変形をなすことが可能であろう。
【符号の説明】
【0088】
100、200 電池セル
110、210 パウチ型電池ケース
111、211 上部ケース
112、212 下部ケース
114、214 電極組立体収納部
115、215 シーリング部
116、216 エンボスパターン
120、220 電極リード
301、401 シーリング面
310、410 上部シーリングブロック
320、420 下部シーリングブロック
330、430 突出部
340、440 溝部
H 全長方向
W 全幅方向
【国際調査報告】