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特表2023-550908バッテリー装置、バッテリー管理システム、および診断方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-06
(54)【発明の名称】バッテリー装置、バッテリー管理システム、および診断方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/00 20060101AFI20231129BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
G01R31/00
H02J7/00 Q
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528163
(86)(22)【出願日】2022-09-23
(85)【翻訳文提出日】2023-05-17
(86)【国際出願番号】 KR2022014257
(87)【国際公開番号】W WO2023075163
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】10-2021-0147895
(32)【優先日】2021-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ホジューン
【テーマコード(参考)】
2G036
5G503
【Fターム(参考)】
2G036AA12
2G036BB08
2G036CA10
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503CA01
5G503EA09
(57)【要約】
バッテリー装置のプロセッサーは、プリチャージ期間の間にプリチャージスイッチを閉じてプリチャージを行い、プリチャージ期間以後に正極メインスイッチを閉じ、正極メインスイッチを閉じる直前の正極連結端子の電圧と正極メインスイッチを閉じた直後の正極連結端子の電圧に基づいてプリチャージ動作を診断する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置に連結される正極連結端子と負極連結端子を有するバッテリー装置であって、
バッテリーパックと、
前記バッテリーパックの正極端子と前記正極連結端子の間に連結される正極メインスイッチと、
前記バッテリーパックの正極端子と前記正極連結端子の間に連結され、前記外部装置のキャパシタのプリチャージ動作を制御するプリチャージスイッチと、
プロセッサーと、を含み、
前記プロセッサーは、
前記プリチャージスイッチを閉じてプリチャージを行い、
プリチャージ期間以後に前記正極メインスイッチを閉じ、
前記正極メインスイッチを閉じる直前の前記正極連結端子の第1電圧と、前記正極メインスイッチを閉じた直後の前記正極連結端子の第2電圧とに基づいてプリチャージ動作を診断する、バッテリー装置。
【請求項2】
前記プリチャージスイッチが閉じられると前記正極端子と前記正極連結端子の間に連結されるプリチャージ抵抗をさらに含む、請求項1に記載のバッテリー装置。
【請求項3】
前記プリチャージスイッチと前記プリチャージ抵抗は直列に連結される、請求項2に記載のバッテリー装置。
【請求項4】
前記プロセッサーは、
前記第1電圧に対する前記第2電圧の比率を計算し、
前記第1電圧に対する前記第2電圧の比率と基準比率を比較して前記プリチャージ動作を診断する、請求項2または3に記載のバッテリー装置。
【請求項5】
前記プリチャージ期間は前記プリチャージ抵抗の抵抗値と前記キャパシタのキャパシタンスによって定義される時定数の倍数に設定され、
前記基準比率は前記時定数の倍数によって定義される比率である、請求項4に記載のバッテリー装置。
【請求項6】
前記プロセッサーは、前記第1電圧に対する前記第2電圧の比率が前記基準比率の誤差範囲以内に含まれる場合に前記プリチャージ動作を正常と診断する、請求項4に記載のバッテリー装置。
【請求項7】
前記プリチャージ期間は前記プリチャージ抵抗の抵抗値と前記キャパシタのキャパシタンスによって定義される時定数の第1倍数に設定され、
前記プロセッサーは
前記第1電圧に対する前記第2電圧の比率を計算し、
前記第1電圧に対する前記第2電圧の比率に該当する前記時定数の第2倍数を決定し、
前記第1倍数と前記第2倍数を比較して前記プリチャージ動作を診断する、請求項4に記載のバッテリー装置。
【請求項8】
前記プロセッサーは、前記第2倍数が前記第1倍数の誤差範囲以内に含まれる場合に前記プリチャージ動作を正常と診断する、請求項7に記載のバッテリー装置。
【請求項9】
時定数が前記プリチャージ抵抗の抵抗値と前記キャパシタのキャパシタンスによって定義され、
前記プロセッサーは
前記第1電圧に対する前記第2電圧の比率を計算し、
前記第1電圧に対する前記第2電圧の比率に該当する時定数の倍数を決定し、
前記時定数の倍数、前記プリチャージ期間、および前記プリチャージ抵抗の抵抗値に基づいて前記キャパシタのキャパシタンスを推定し、
前記推定されたキャパシタンスと前記キャパシタの実際キャパシタンスを比較して前記プリチャージ動作を診断する、請求項4に記載のバッテリー装置。
【請求項10】
前記プロセッサーは、前記推定したキャパシタンスが前記実際キャパシタンスの誤差範囲以内に含まれる場合に前記プリチャージ動作を正常と診断する、請求項9に記載のバッテリー装置。
【請求項11】
バッテリーパックおよび外部装置に連結される正極連結端子と負極連結端子を含むバッテリー装置の診断方法であって、
プリチャージ抵抗を通じて前記正極連結端子と前記負極連結端子に連結されるキャパシタをプリチャージするプリチャージ動作を行う段階と、
前記プリチャージ動作を行った後に、前記正極連結端子に前記バッテリーパックの電圧を印加する段階と、
前記バッテリーパックの電圧を印加する直前に前記正極連結端子の電圧を第1電圧として測定する段階と、
前記バッテリーパックの電圧を印加した直後に前記正極連結端子の電圧を第2電圧として測定する段階と、
前記第1電圧および前記第2電圧に基づいて前記プリチャージ動作を診断する段階と
を含む診断方法。
【請求項12】
前記プリチャージ動作を診断する段階は、
前記第1電圧に対する前記第2電圧の比率を計算する段階と、
前記第1電圧に対する前記第2電圧の比率と基準比率を比較して前記プリチャージ動作を診断する段階と、を含む、請求項11に記載の診断方法。
【請求項13】
前記プリチャージの期間は前記プリチャージ抵抗の抵抗値と前記キャパシタのキャパシタンスによって定義される時定数の第1倍数に設定され、
前記プリチャージ動作を診断する段階は
前記第1電圧に対する前記第2電圧の比率を計算する段階と、
前記第1電圧に対する前記第2電圧の比率に該当する前記時定数の第2倍数を決定する段階と、
前記第1倍数と前記第2倍数を比較して前記プリチャージ動作を診断する段階とを含む、請求項11または12に記載の診断方法。
【請求項14】
時定数が前記プリチャージ抵抗の抵抗値と前記キャパシタのキャパシタンスによって定義され、
前記プリチャージ動作を診断する段階は
前記第1電圧に対する前記第2電圧の比率を計算する段階と、
前記第1電圧に対する前記第2電圧の比率に該当する時定数の倍数を決定する段階と、
時定数の倍数、前記プリチャージの期間、および前記プリチャージ抵抗の抵抗値に基づいて前記キャパシタのキャパシタンスを推定する段階と、
前記推定したキャパシタンスと前記キャパシタの実際キャパシタンスを比較して前記プリチャージ動作を診断する段階とを含む、請求項11または12に記載の診断方法。
【請求項15】
バッテリーパックおよび外部装置に連結される正極連結端子と負極連結端子を含むバッテリー装置のバッテリー管理システムであって、
前記バッテリーパックの正極端子と前記正極連結端子の間に連結される正極メインスイッチと、
前記バッテリーパックの正極端子と前記正極連結端子の間に連結され、前記外部装置のキャパシタのプリチャージ動作を制御するプリチャージスイッチと、
プロセッサーと、を含み、
前記プロセッサーは
前記プリチャージスイッチを閉じてプリチャージを行い、
プリチャージ期間以後に前記正極メインスイッチを閉じ、
前記正極メインスイッチを閉じる直前の前記正極連結端子の第1電圧と前記正極メインスイッチを閉じた直後の前記正極連結端子の第2電圧に基づいてプリチャージ動作を診断する、バッテリー管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は2021年11月1日付大韓民国特許出願第10-2021-0147895号に基づいた優先権の利益を主張し、当該大韓民国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
開示内容は、バッテリー装置、バッテリー管理システム、および診断方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
電気自動車またはハイブリッド自動車は主にバッテリーを電源として用いてモーターを駆動することによって動力を得る車両であって、内燃自動車の公害およびエネルギー問題を解決することができる代案という点から研究が活発に行われている。また、充電の可能なバッテリーは車両以外に多様な外部装置で使用されている。
【0004】
最近、高い出力と大きい充電容量を有するバッテリーが要求されるにつれて複数のバッテリーセルが直列または並列に連結されているバッテリーパックが使用されている。また、出力と容量が増えるにつれてバッテリーパックの潜在的な危険が増加している。特に、バッテリーパックに過電流が流れる時、これを診断できない場合、過電流によって外部装置に問題が発生することがある。
【0005】
このような過電流のうちの駆動初期に発生する突入電流(rush current)を防止するためにプリチャージ回路が使用されている。プリチャージ回路は、駆動初期にプリチャージ抵抗を通じて外部装置のインバータなどに連結されているキャパシタを先に充電することによって突入電流を防止することができる。しかし、キャパシタをプリチャージする時間が十分でなければ、キャパシタに電圧が十分に充電されていない状態でメインスイッチが閉じられることがある。この場合、バッテリーパックの電圧とキャパシタの電圧の間の差によってメインスイッチが損傷を受けることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一実施形態は、プリチャージ動作を診断することができるバッテリー装置、バッテリー管理システム、および診断方法を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態によれば、外部装置に連結される正極連結端子と負極連結端子を有するバッテリー装置を提供することができる。前記バッテリー装置は、バッテリーパック、正極メインスイッチ、プリチャージスイッチ、およびプロセッサーを含むことができる。前記正極メインスイッチは、前記バッテリーパックの正極端子と前記正極連結端子の間に連結できる。前記プリチャージスイッチは、前記バッテリーパックの正極端子と前記正極連結端子の間に連結され、前記外部装置のキャパシタのプリチャージ動作を制御することができる。前記プロセッサーは、プリチャージ期間の間に前記プリチャージスイッチを閉じてプリチャージを行い、前記プリチャージ期間以後に前記正極メインスイッチを閉じ、前記正極メインスイッチを閉じる直前の前記正極連結端子の第1電圧と前記正極メインスイッチを閉じた直後の前記正極連結端子の第2電圧に基づいてプリチャージ動作を診断することができる。
【0008】
一実施形態で、前記バッテリー装置は、前記プリチャージスイッチが閉じられる時、前記正極端子と前記正極連結端子の間に連結されるプリチャージ抵抗をさらに含むことができる。
【0009】
一実施形態で、前記プリチャージスイッチと前記プリチャージ抵抗は直列に連結できる。
【0010】
一実施形態で、前記プロセッサーは、前記第1電圧に対する前記第2電圧の比率を計算し、前記第1電圧に対する前記第2電圧の比率と基準比率を比較して前記プリチャージ動作を診断することができる。
【0011】
一実施形態で、前記プリチャージ期間は前記プリチャージ抵抗の抵抗値と前記キャパシタのキャパシタンスによって定義される時定数の倍数に設定され、前記基準比率は前記時定数の倍数によって定義される比率であってもよい。
【0012】
一実施形態で、前記プロセッサーは、前記第1電圧に対する前記第2電圧の比率が前記基準比率の誤差範囲以内に含まれる場合に前記プリチャージ動作を正常と診断することができる。
【0013】
一実施形態で、前記プリチャージ期間は、前記プリチャージ抵抗の抵抗値と前記キャパシタのキャパシタンスによって定義される時定数の第1倍数に設定できる。前記プロセッサーは、前記第1電圧に対する前記第2電圧の比率を計算し、前記第1電圧に対する前記第2電圧の比率に該当する前記時定数の第2倍数を決定し、前記第1倍数と前記第2倍数を比較して前記プリチャージ動作を診断することができる。
【0014】
一実施形態で、前記プロセッサーは、前記第2倍数が前記第1倍数の誤差範囲以内に含まれる場合に前記プリチャージ動作を正常と診断することができる。
【0015】
一実施形態で、前記プロセッサーは、前記第1電圧に対する前記第2電圧の比率を計算し、前記第1電圧に対する前記第2電圧の比率に該当する時定数の倍数を決定し、前記時定数の倍数、前記プリチャージ期間、および前記プリチャージ抵抗の抵抗値に基づいて前記キャパシタのキャパシタンスを推定し、前記推定したキャパシタンスと前記キャパシタの実際キャパシタンスを比較して前記プリチャージ動作を診断することができる。
【0016】
一実施形態で、前記プロセッサーは、前記推定したキャパシタンスが前記実際キャパシタンスの誤差範囲以内に含まれる場合に前記プリチャージ動作を正常と診断することができる。
【0017】
他の実施形態によれば、バッテリーパックおよび外部装置に連結される正極連結端子と負極連結端子を含むバッテリー装置の診断方法を提供することができる。前記診断方法は、プリチャージ抵抗を通じて前記正極連結端子と前記負極連結端子に連結されるキャパシタをプリチャージするプリチャージ動作を行う段階、前記プリチャージ動作を行った後に、前記正極連結端子に前記バッテリーパックの電圧を印加する段階、前記バッテリーパックの電圧を印加する直前に前記正極連結端子の電圧を第1電圧として測定する段階、前記バッテリーパックの電圧を印加した直後に前記正極連結端子の電圧を第2電圧として測定する段階、そして前記第1電圧および前記第2電圧に基づいて前記プリチャージ動作を診断する段階を含むことができる。
【0018】
一実施形態で、前記プリチャージ動作を診断する段階は、前記第1電圧に対する前記第2電圧の比率を計算する段階、そして前記第1電圧に対する前記第2電圧の比率と基準比率を比較して前記プリチャージ動作を診断する段階を含むことができる。
【0019】
一実施形態で、前記プリチャージ期間は、前記プリチャージ抵抗の抵抗値と前記キャパシタのキャパシタンスによって定義される時定数の第1倍数に設定できる。前記プリチャージ動作を診断する段階は、前記第1電圧に対する前記第2電圧の比率を計算する段階、前記第1電圧に対する前記第2電圧の比率に該当する前記時定数の第2倍数を決定する段階、そして前記第1倍数と前記第2倍数を比較して前記プリチャージ動作を診断する段階を含むことができる。
【0020】
一実施形態で、前記プリチャージ動作を診断する段階は、前記第1電圧に対する前記第2電圧の比率を計算する段階、前記第1電圧に対する前記第2電圧の比率に該当する時定数の倍数を決定する段階、時定数の倍数、前記プリチャージ期間、および前記プリチャージ抵抗の抵抗値に基づいて前記キャパシタのキャパシタンスを推定する段階、そして前記推定したキャパシタンスと前記キャパシタの実際キャパシタンスを比較して前記プリチャージ動作を診断する段階を含むことができる。
【0021】
また他の実施形態によれば、バッテリーパックおよび外部装置に連結される正極連結端子と負極連結端子を含むバッテリー装置のバッテリー管理システムを提供することができる。前記バッテリー管理システムは、正極メインスイッチ、プリチャージスイッチ、およびプロセッサーを含むことができる。前記正極メインスイッチは、前記バッテリーパックの正極端子と前記正極連結端子の間に連結できる。前記プリチャージスイッチは、前記バッテリーパックの正極端子と前記正極連結端子の間に連結され、前記外部装置のキャパシタのプリチャージ動作を制御することができる。前記プロセッサーは、プリチャージ期間の間に前記プリチャージスイッチを閉じてプリチャージを行い、前記プリチャージ期間以後に前記正極メインスイッチを閉じ、前記正極メインスイッチを閉じる直前の前記正極連結端子の第1電圧と前記正極メインスイッチを閉じた直後の前記正極連結端子の第2電圧に基づいてプリチャージ動作を診断することができる。
【発明の効果】
【0022】
一実施形態によれば、正極連結端子の電圧を測定することによって、プリチャージ動作を診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】一実施形態によるバッテリー装置の一例を示す図である。
図2】一実施形態によるバッテリー装置でのスイッチングタイミングの一例を示す図である。
図3】一実施形態によるバッテリー装置での診断方法の一例を示すフローチャートである。
図4】一実施形態によるバッテリー装置においてプリチャージ期間での等価回路の一例を示す図である。
図5】一実施形態によるバッテリー装置において正極連結端子の電圧の一例を示す図である。
図6】時定数の倍数による電圧比率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では添付した図面を参照して本発明の実施形態について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。しかし、本発明は様々な異なる形態に実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。そして、図面で本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって類似の部分については類似の図面符号を付けた。
【0025】
ある構成要素が他の構成要素に"連結されて"いると言及された時には、その他の構成要素に直接的に連結されていることもあるが、中間に他の構成要素が存在することもあると理解されなければならない。反面、ある構成要素が他の構成要素に"直接連結されて"いると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないと理解されなければならない。
【0026】
以下の説明で単数として記載された表現は"一つ"または"単一"などの明示的な表現を使用しない以上、単数または複数に解釈できる。
【0027】
図面を参照して説明したフローチャートで、動作順序は変更でき、様々な動作が併合されるか、ある動作が分割されてもよく、特定動作は行われなくてもよい。
【0028】
図1は一実施形態によるバッテリー装置の一例を示す図であり、図2は一実施形態によるバッテリー装置でのスイッチングタイミングの一例を示す図である。
【0029】
図1を参照すれば、バッテリー装置100は正極連結端子DC(+)と負極連結端子DC(-)を通じて外部装置10に電気的に連結される構造を有する。外部装置が負荷である場合、バッテリー装置100は負荷に電力を供給する電源として動作して放電される。負荷として動作する外部装置10は例えば、電子装置、移動手段、またはエネルギー貯蔵システム(energy storage system、ESS)であってもよく、移動手段は例えば、電気自動車、ハイブリッド自動車、またはスマートモビリティー(smart mobility)であってもよい。
【0030】
バッテリー装置100は、バッテリーパック110、スイッチ回路、プリチャージ回路、感知回路140、およびプロセッサー150を含む。
【0031】
バッテリーパック110は複数のバッテリーセル(図示せず)を含み、正極端子PV(+)と負極端子PV(-)を有する。一実施形態で、バッテリーセルは充電可能な二次電池であってもよい。一実施形態で、バッテリーパック110において所定個数のバッテリーセルが直列連結されてバッテリーモジュールを構成して所望の電力を供給することができる。他の実施形態で、バッテリーパック110において所定個数のバッテリーモジュールが直列または並列連結されて所望の電力を供給することができる。
【0032】
スイッチ回路は、バッテリーパック110の正極端子PV(+)とバッテリー装置100の正極連結端子DC(+)の間に連結されている正極メインスイッチ121およびバッテリーパック110の負極端子PV(-)とバッテリー装置100の負極連結端子DC(-)の間に連結されている負極メインスイッチ122を含む。一実施形態で、スイッチ121、122はそれぞれリレーから形成されるコンタクタであってもよい。他の実施形態で、スイッチ121、122はそれぞれトランジスタなどの電気的スイッチであってもよい。一実施形態で、スイッチ回路はスイッチ121、122をそれぞれ制御する駆動回路(図示せず)をさらに含むことができる。
【0033】
プリチャージ回路はバッテリーパック110の正極端子PV(+)とバッテリー装置100の正極連結端子DC(+)の間に連結されており、プリチャージ期間の間に連結端子DC(+)、DC(-)に連結される外部装置10のキャパシタ11を先に充電することができる。一実施形態で、プリチャージ回路は、プリチャージ抵抗131と、プリチャージスイッチ132を含むことができる。プリチャージスイッチ132が閉じられる場合、プリチャージ抵抗131はバッテリーパック110の正極端子PV(+)とバッテリー装置100の正極連結端子DC(+)の間に連結できる。これにより、プリチャージ回路はプリチャージ抵抗131を通じて外部装置10のキャパシタ11を先に充電することができる。一実施形態で、プリチャージ抵抗131とプリチャージスイッチ132は、バッテリーパック110の正極端子PV(+)とバッテリー装置100の正極連結端子DC(+)の間に直列に連結できる。一実施形態で、プリチャージスイッチ132は、リレーから形成されるコンタクタであってもよい。他の実施形態で、プリチャージスイッチ132は、トランジスタなどの電気的スイッチであってもよい。一実施形態で、プリチャージ回路は、プリチャージスイッチ132を制御する駆動回路(図示せず)をさらに含むことができる。
【0034】
感知回路140は、バッテリー装置100で所定地点の電圧を感知する。一実施形態で、感知回路140は、バッテリー装置100の正極連結端子DC(+)の電圧を感知することができる。一実施形態で、感知回路140は、正極連結端子DC(+)と接地端子の間に直列に連結される複数の抵抗(図示せず)を含むことができる。この場合、感知回路140は、複数の抵抗によって正極連結端子DC(+)の電圧が分圧された電圧を正極連結端子DC(+)の電圧として感知することができる。一実施形態で、感知回路140は、複数の抵抗によって分圧された電圧をデジタル信号に変換してプロセッサー150に伝達するアナログデジタル変換器をさらに含むことができる。
【0035】
プロセッサー150は、スイッチ121、122、132の動作を制御することができる。また、プロセッサー150は、感知回路140に感知された電圧に基づいてプリチャージ動作を診断することができる。一実施形態で、プロセッサー150は感知回路140に感知された電圧に基づいてキャパシタ11のキャパシタンスを診断することができる。一実施形態で、プロセッサー150は例えばマイクロ制御装置(micro controller unit、MCU)であってもよい。
【0036】
一実施形態で、感知回路140とプロセッサー150はバッテリー装置のバッテリー管理システム(battery management system、BMS)に含まれてもよい。
【0037】
図2を参照すれば、バッテリー装置の初期駆動時に、プロセッサー150は負極メインスイッチ122を先に閉じる。その次に、プロセッサー150は負極メインスイッチ122を閉じた状態でプリチャージスイッチ132を閉じる。これにより、バッテリーパック110からプリチャージ抵抗131を通じて外部装置10のキャパシタ11にプリチャージ電流が供給されてキャパシタ11が充電できる。プリチャージスイッチ132を閉じてキャパシタ11を充電する期間をプリチャージ期間といえる。
【0038】
その次に、外部装置10のキャパシタ11を充電した後に、プロセッサー150はバッテリーパック110の電圧を外部装置10に伝達するために正極メインスイッチ121を閉じる。この場合、プリチャージが完了したので、プロセッサー150はプリチャージスイッチ132を開けることができる。したがって、外部装置10のキャパシタ11に充電された電圧によって外部装置10にバッテリーパック110の電圧を供給する時に突入電流が発生するのを防止することができる。スイッチの閉鎖はスイッチオン(on)といえ、スイッチの開放はスイッチのオフ(off)といえる。
【0039】
次に、多様な実施形態によるプリチャージ動作診断方法について図3図6を参照して説明する。
【0040】
図3は一実施形態によるバッテリー装置での診断方法の一例を示すフローチャートであり、図4は一実施形態によるバッテリー装置においてプリチャージ期間での等価回路の一例を示す図である。図5は一実施形態によるバッテリー装置において正極連結端子の電圧の一例を示す図であり、図6は時定数の倍数による電圧比率を示す図である。
【0041】
図3を参照すれば、バッテリー装置のプロセッサー(例えば、図1の150)は負極メインスイッチ(例えば、図1の122)を閉じ(S310)、プリチャージスイッチ(例えば、図1の132)を閉じる(S320)。これにより、プリチャージ期間が開始され外部装置のキャパシタ(例えば、図1の11)が充電できる。
【0042】
プリチャージ動作を行った後に(例えば、プリチャージ期間が終了する時)、プロセッサー150は正極メインスイッチ(例えば、図1の121)を閉じる(S340)。プロセッサー150は、正極メインスイッチ121を閉じて正極連結端子DC(+)にバッテリーパック110の電圧を印加することができる。正極メインスイッチ121を閉じる直前に(例えば、正極連結端子DC(+))にバッテリーパック110の電圧を印加する直前に)、プロセッサー150は感知回路(例えば、図1の140)が感知したバッテリー装置の正極連結端子(例えば、DC(+))の電圧を測定する(S330)。また、正極メインスイッチ121を閉じた直後に(例えば、正極連結端子DC(+)にバッテリーパック110の電圧を印加した直後に)、プロセッサー150は感知回路140が感知したバッテリー装置の正極連結端子DC(+)の電圧を測定する(S350)。一実施形態で、プロセッサー150は正極メインスイッチ121を閉じた後に、プリチャージスイッチ132を開けることができる(S340)。
【0043】
プロセッサー150は正極メインスイッチ121を閉じる直前に測定したバッテリー装置の正極連結端子DC(+)の電圧と正極メインスイッチ121を閉じた直後に測定したバッテリー装置の正極連結端子DC(+)の電圧に基づいてプリチャージ動作を診断する(S360)。
【0044】
一実施形態で、プリチャージ動作を異常と診断した場合、プロセッサー150は外部装置に警告を送出することができる。
【0045】
図4に示したように、プリチャージスイッチ132を閉じると、バッテリーパック110、プリチャージ抵抗131、およびキャパシタ11によって形成されるRC等価回路が形成できる。そうすると、キャパシタ11の電圧、即ち、正極連結端子DC(+)の電圧VDCはRC等価回路の時定数τに基づいて図5に示したように増加する。この場合、キャパシタ11の電圧VDCは例えば(数1)式のように変動できる。
【0046】
【数1】
【0047】
(数1)式中、時定数τはプリチャージ抵抗131の抵抗値Rとキャパシタ11のキャパシタンスCEXの積と定義される。
【0048】
プロセッサー150は、時定数のn倍をプリチャージ期間に設定することができる(nは正の実数)。例えば、プロセッサー150は、時定数の5倍をプリチャージ期間に設定することができる。この場合、プロセッサー150は時定数のn倍に該当するプリチャージ期間が経過した後に、正極連結端子DC(+)の電圧VDCを理論的に計算することができる。理論的に計算された正極連結端子DC(+)の電圧VDCはバッテリーパック110の電圧VBATの所定比率で与えられる。図6に示したように、時定数の1倍(τ)での正極連結端子DC(+)の電圧VDCはバッテリーパック110の電圧VBATの63%に該当し、時定数の2倍(2τ)での正極連結端子DC(+)の電圧VDCはバッテリーパック110の電圧VBATの86%に該当し、時定数の3倍(3τ)での正極連結端子DC(+)の電圧VDCはバッテリーパック110の電圧VBATの95%に該当し、時定数の4倍(4τ)での正極連結端子DC(+)の電圧VDCはバッテリーパック110の電圧VBATの98%に該当し、時定数の5倍(5τ)での正極連結端子DC(+)の電圧VDCはバッテリーパック110の電圧VBATの99%に該当する。
【0049】
一方、図5に示したように、正極メインスイッチ121を閉じた直後に、正極連結端子DC(+)の電圧はバッテリーパック110の電圧VBATに変更される。正極メインスイッチ121を閉じた直後に測定した正極連結端子DC(+)の電圧は、バッテリーパック110の電圧VBATに該当する。したがって、プロセッサー150は正極メインスイッチ121を閉じる直前の正極連結端子DC(+)の電圧VDC(プリチャージ期間の終了時のキャパシタ11の電圧)と正極メインスイッチ121を閉じた直後の正極連結端子DC(+)の電圧VBAT(バッテリーパック110の電圧)を比較してプリチャージ動作を診断することができる。また、プロセッサー150は、正極メインスイッチ121を閉じる直前の正極連結端子DC(+)の電圧VDCと正極メインスイッチ121を閉じた直後の正極連結端子DC(+)の電圧VBATに基づいて時定数を推定することができる。例えば、(数1)式中、VDCは正極メインスイッチ121を閉じる直前の正極連結端子DC(+)の電圧に、VBATは正極メインスイッチ121を閉じた直後の正極連結端子DC(+)の電圧に、tは現在サイクルにおけるプリチャージ期間の時間に設定して、時定数(τ)が計算できる。
【0050】
一実施形態で、プロセッサー150は、正極メインスイッチ121を閉じる直前の正極連結端子DC(+)の電圧VDCに対する正極メインスイッチ121を閉じた直後の正極連結端子DC(+)の電圧VBATの比率と実際プリチャージ期間が設定された時定数の倍数に該当する比率(これから"基準比率"という)を比較してプリチャージ動作を診断することができる。一実施形態で、プロセッサー150は、正極連結端子DC(+)の電圧として計算した比率が基準比率の誤差範囲以内に含まれる場合、プリチャージ動作を正常と診断することができる。プロセッサー150は、正極連結端子DC(+)の電圧として計算した比率が基準比率の誤差範囲を逸脱する場合、プリチャージ動作を異常と診断することができる。即ち、プロセッサー150は、正極メインスイッチ121を閉じる直前のキャパシタ11の電圧とバッテリーパック110の電圧の間の差が大きくて正極メインスイッチ121に損傷が発生することがあると診断することができる。
【0051】
一実施形態で、プロセッサー150は、正極メインスイッチ121を閉じる直前の正極連結端子DC(+)の電圧VDCに対する正極メインスイッチ121を閉じた直後の正極連結端子DC(+)の電圧VBATの比率でプリチャージ期間が時定数の何倍なのかを計算することができる。設定したプリチャージ期間が時定数のn倍であり、計算したプリチャージ期間が時定数のm倍であってもよい(mは正の実数)。この場合、プロセッサー150は、mがnの誤差範囲以内であれば、プリチャージ動作を正常と診断することができる。反面、mがnの誤差範囲を逸脱する場合、プロセッサー150はプリチャージ動作を異常と診断することができる。
【0052】
一実施形態で、プロセッサー150は、正極メインスイッチ121を閉じる直前の正極連結端子DC(+)の電圧VDCに対する正極メインスイッチ121を閉じた直後の正極連結端子DC(+)の電圧VBATの比率でキャパシタ11のキャパシタンスを推定することができる。プロセッサー150は、正極メインスイッチ121を閉じる直前の正極連結端子DC(+)の電圧VDCに対する正極メインスイッチ121を閉じた直後の正極連結端子DC(+)の電圧VBATの比率でプリチャージ期間が時定数の何倍なのかを計算できる。計算したプリチャージ期間が時定数のm倍である場合、プロセッサー150はプリチャージ期間Tをmで割った値(T/m)で時定数を計算し、時定数をプリチャージ抵抗131の抵抗値Rで割った値でキャパシタ11のキャパシタンス(T/(m*R))を推定することができる。プロセッサーは、推定したキャパシタンスがキャパシタ11の実際キャパシタンスの誤差範囲以内である場合、プリチャージ動作を正常と診断することができる。反面、推定したキャパシタンスが実際キャパシタンスの誤差範囲を逸脱する場合、プロセッサー150はプリチャージ動作を異常と診断することができる。
【0053】
一実施形態で、誤差範囲は実験によって決定できる。
【0054】
例えば、プリチャージ期間が時定数の5倍に設定され、バッテリーパック110の電圧が400Vであり、プリチャージ抵抗131の抵抗値が40Ωであり、キャパシタ11の実際キャパシタンスが1700μFである場合を仮定する。この場合、時定数は68ms(=40Ω*1700μF)に、プリチャージ期間は340ms(=5*68ms)に設定される。
【0055】
正極メインスイッチ121を閉じる直前の正極連結端子DC(+)の電圧が396Vである場合、正極メインスイッチ121を閉じる直前の正極連結端子DC(+)の電圧に対する正極メインスイッチ121を閉じた直後の正極連結端子DC(+)の電圧の比率は99%である。計算した比率は時定数の5倍である時の比率と同一なので、プロセッサー150はプリチャージ動作が正常と診断することができる。
【0056】
反面、正極メインスイッチ121を閉じる直前の正極連結端子DC(+)の電圧が380Vである場合、正極メインスイッチ121を閉じる直前の正極連結端子DC(+)の電圧に対する正極メインスイッチ121を閉じた直後の正極連結端子DC(+)の電圧の比率は95%である。この場合、プリチャージ期間は、時定数の3倍に計算できる。また、キャパシタ11のキャパシタンスは2833μF(=340ms/(3*40Ω))に推定できる。したがって、計算した比率(95%)が実際比率(99%)より4%だけ低いか、計算した時定数の倍数(3倍)が実際時定数の倍数(5倍)の60%に該当するか、推定したキャパシタンスが実際キャパシタンスの167%に該当するので、プロセッサー150はプリチャージ期間を異常と診断することができる。
【0057】
以上で説明した実施形態によれば、バッテリー装置は正極連結端子DC(+)の電圧を測定することによって、プリチャージ動作が正常であるかを診断することができる。また、正極メインスイッチ121を閉じる直前と正極メインスイッチ121を閉じた直後に正極連結端子DC(+)の電圧を測定するため、二電圧測定時点の差を最少化することができる。即ち、二回の電圧測定が実質的に同一な環境で行われるので、電圧測定に関連する素子の誤差を最少化し、これにより、時定数またはキャパシタンスが正確に推定できる。
【0058】
以上で本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるのではなく、次の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を用いた当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属するのである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】