(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-06
(54)【発明の名称】高純度ソルビトールの内部脱水生成物
(51)【国際特許分類】
C07D 493/04 20060101AFI20231129BHJP
C08G 64/00 20060101ALI20231129BHJP
C08G 63/12 20060101ALI20231129BHJP
C08G 59/26 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
C07D493/04 101D
C08G64/00
C08G63/12
C08G59/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528216
(86)(22)【出願日】2021-11-19
(85)【翻訳文提出日】2023-05-31
(86)【国際出願番号】 EP2021025454
(87)【国際公開番号】W WO2022111849
(87)【国際公開日】2022-06-02
(32)【優先日】2020-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591169401
【氏名又は名称】ロケット フレール
【氏名又は名称原語表記】ROQUETTE FRERES
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】ジャケル、ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】サン-ルー、レネ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンベシアン、テオドール
【テーマコード(参考)】
4C071
4J029
4J036
【Fターム(参考)】
4C071AA01
4C071BB01
4C071CC12
4C071DD04
4C071EE05
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4J029AA03
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4J029KE06
4J036AB11
4J036DC09
4J036HA12
4J036JA01
(57)【要約】
本発明は、ソルビトールの内部脱水生成物であって、0.01ppm~150ppm、好ましくは0.02ppm~20ppm、より好ましくは0.05ppm~10ppm、より優先的には0.07ppm~5ppmの総残留窒素原子含有量(この残留含有量は、上記生成物の総乾燥重量に対する乾燥重量として表される)を有し、0.0001ppm~100ppm、好ましくは0.0002ppm~50ppm、より好ましくは0.0004ppm~30ppm、より優先的には0.0008ppm~20ppmの総残留硫黄原子含有量(この総残留含有量は、上記生成物の乾燥重量に対する乾燥重量として表される)を有することを特徴とする生成物、そのような生成物を精製するための方法、及び上記生成物に対応する単位を含むポリマーに関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソルビトールの内部脱水生成物であって、0.01ppm~150ppm、好ましくは0.02ppm~20ppm、より好ましくは0.05ppm~10ppm、より優先的には0.07ppm~5ppmの総残留窒素原子含有量を有し、前記残留含有量が、前記生成物の総乾燥重量に対する乾燥重量として表され、0.0001ppm~100ppm、好ましくは0.0002ppm~50ppm、より好ましくは0.0004ppm~30ppm、より優先的には0.0008ppm~20ppmの総残留硫黄原子含有量を有し、前記総残留含有量が、前記生成物の乾燥重量に対する乾燥重量で表されることを特徴とする、生成物。
【請求項2】
0.002ppm~100ppm、好ましくは0.004ppm~50ppm、より好ましくは0.006ppm~20ppm、より優先的には0.008ppm~10ppmのナトリウム及びカリウム原子の総残留含有量を有し、前記総残留含有量が前記生成物の総乾燥重量に対する乾燥重量で表されることを特徴とする、請求項1に記載の生成物。
【請求項3】
0.005ppm~100ppm、好ましくは0.010ppm~50ppm、より好ましくは0.015ppm~20ppm、より優先的には0.020ppm~10ppmのカルシウム及びマグネシウム原子の総残留含有量を有し、この総残留含有量は、前記生成物の総乾燥重量に対する乾燥重量で表されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の生成物。
【請求項4】
0.005ppm~100ppm、好ましくは0.010ppm~50ppm、より好ましくは0.015ppm~20ppm、より優先的には0.020ppm~10ppmの鉄原子の総残留含有量を有し、前記総残留含有量が、前記生成物の総乾燥重量に対する乾燥重量で表されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の生成物。
【請求項5】
0.005ppm~100ppm、好ましくは0.010ppm~50、より好ましくは0.015ppm~20ppm、より優先的には0.020ppm~10ppmの塩素原子の総残留含有量を有し、前記総残留含有量が、前記生成物の総乾燥重量に対する乾燥重量で表されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の生成物。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のソルビトールの内部脱水生成物を精製するための方法であって、前記方法が、以下の一連の工程:
a)前記ソルビトールの内部脱水生成物を供給する工程と、
b)蒸留生成物Aを形成するように前記脱水生成物を蒸留する工程と、
c)溶液Bを形成するように塩基性化合物を添加して前記蒸留生成物Aを水に溶解させる工程と、
d)塩基性化合物を添加して再溶解する工程から生じる前記溶液Bの少なくとも1つの脱色工程と、
e)前記脱色工程から得られた前記溶液のイオン交換の少なくとも1つの工程と、
f)得られた精製生成物Cを回収する工程とを含み、
前記塩基性化合物が、工程a)で提供される前記ソルビトールの内部脱水生成物1kg当たり1~6g、好ましくは2~5gの量で添加される、方法。
【請求項7】
前記溶液BのpHが、4~10、好ましくは7~9であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記塩基性化合物が、アルカリ土類水酸化物、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、又は水酸化バリウムから選択され、好ましくは水酸化カルシウムであることを特徴とする、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記脱色工程による処理が、粒状活性炭のカラムを少なくとも1回通過させることを含むことを特徴とする、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つのイオン交換工程が、陽イオン交換樹脂上の通過又は陰イオン交換樹脂上の通過又は2つの混合から選択され、好ましくは、前記陽イオン交換樹脂が強陽イオン交換樹脂であり、前記陰イオン交換樹脂が強陰イオン交換樹脂であることを特徴とする、請求項6~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記方法が、前記イオン交換工程の後であって前記得られた生成物を回収する工程の前に、追加の脱色工程を含まないことを特徴とする、請求項6~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリールエーテル、ポリウレタン、又はポリエポキシドから選択されるポリマーであって、請求項1~5のいずれか一項に記載のソルビトールの内部脱水生成物に対応する単位、又は請求項6~11のいずれか一項に記載の方法から得られる単位を含むことを特徴とする、ポリマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高純度ソルビトールの内部脱水生成物、該生成物の製造方法、及び該生成物をモノマーとして含むポリマーに関する。より詳細には、本発明は、高純度イソソルビド、そのようなイソソルビドの製造方法、及びイソソルビドをモノマーとして含むポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
無水糖アルコール、特にソルビトール誘導体は、様々な産業における用途及び使用が知られている。ソルビトールの内部脱水生成物であるイソソルビド、1,4:3,6-ジアンヒドロソルビトールは、ポリマーの製造における回収可能な天然資源として大きな関心が持たれている。イソソルビドは実際に、コーンスターチ及びキャッサバ(タピオカ)を含む様々な天然資源から得ることができるソルビトール誘導体である。
【0003】
無水糖アルコールの使用に関して、純度の要件は、意図される用途に依存する。例えば、食品及び治療用途において、イソソルビドを含有する化合物は、それらの化合物を使用する個体又は生物に有害であり得るいかなる不純物も含まないことが必須である。ポリマー、特に包装に使用されるもののような光学的透明性を必要とするポリマーの製造のために、モノマーの純度に関する要件は、その合成及び/又はその変換の間にポリマーの許容できない程度の着色をもたらし得る物質又は不純物がモノマー中に存在してはならないことである。上記アルコールの変換中、より具体的には、高温を必要とする、モノマーとしてイソソルビドを使用するポリマーの合成中、イソソルビドは、その中の不純物の存在のために生じる着色を発現する可能性がある。よって、最終生成物の着色はもはや制御されない。したがって、このような着色は望ましくない。
【0004】
無水糖アルコールを精製するためのいくつかの方法が、当技術分野において実証されている。これらのアルコールの精製は、例えば、文献国際公開第0041985号に記載されているように、脂肪族アルコール中での再結晶工程を含み得る。
【0005】
文献国際公開第2008143269号は、イソソルビド及び炭酸ジエステルをベースとするポリカーボネートを得るための方法であって、上記ポリマーの合成の後に、形成されたフェノールを除去するための蒸留工程が続く方法を記載している。このようにして得られたポリカーボネートは、2ppm未満のNa、Fe、及びCaの残留含有量を有する。
【0006】
無水糖のアルコール中に存在する陽イオンレベルを1ppm未満に維持するために、文献KR101736182は、このようなアルコールを精製する方法であって、陽イオン交換樹脂上を通過させることを含み、精製される前記アルコールを含む溶液のpHが室温で少なくとも5、例えば5~8に調整される方法を記載している。
【0007】
文献KR101736180は、ギ酸含量が1ppm未満である無水糖アルコールを精製する方法を記載している。この方法は、強塩基陰イオン交換樹脂を通過させることを含む。
【0008】
文献EP1882712は、ジオール及びカルボン酸から得られるポリエステルであって、加水分解を減少させ、ひいては経時的なポリエステルの安定性を改善するために、不純物の含有量及び末端酸基の数の両方が減少されたポリエステルに関する。これを実行するために、モノマー中の硫黄原子の含有量は0.01ppm~100ppmであり、モノマー中の窒素原子の含有量は0.01ppm~2000ppmであり、ポリエステル中の末端酸基の数は50当量/メートルトン未満である。
【0009】
文献FR2810040は、精製される組成物が連続的にイオン交換及び脱色に供される、組成物を精製するための方法に関する。
【0010】
今日、上述したように、イソソルビドの多くの用途において、純度は最終的に得られる生成物の品質に対して重要な役割を果たす。特に、本出願人は、窒素、硫黄、ナトリウム、カルシウム、カリウム、及びマグネシウムなどの特定の元素に対する特に大きな影響を実証した。
【0011】
本出願人によれば、工業的実施において、同時に窒素含量及び非常に低い硫黄を有するソルビトールの内部脱水生成物、例えばイソソルビドを効率的に調製することは、現在まで可能ではなかった。
【0012】
本出願人は、多くの研究を経て、高純度ソルビトールの内部脱水生成物を得ることが可能となり、その後、良好な粘度及び耐熱性を維持しながら、特に着色及び明度に関して非常に満足のいく光学特性を有するポリマーの製造中に該生成物を使用することができることを見出した。
【発明の概要】
【0013】
第1の目的によれば、本発明は、ソルビトールの内部脱水生成物であって、0.01ppm~150ppm、好ましくは0.02ppm~20ppm、より好ましくは0.05ppm~10ppm、より優先的には0.07ppm~5ppmの総残留窒素原子含有量を有し、この残留含有量が、上記生成物の総乾燥重量に対する乾燥重量として表され、0.0001ppm~100ppm、好ましくは0.0002ppm~50ppm、より好ましくは0.0004ppm~30ppm、より優先的には0.0008ppm~20ppmの総残留硫黄原子含有量を有し、この総残留含有量が、上記生成物の乾燥重量に対する乾燥重量で表されることを特徴とする、生成物に関する。
【0014】
第2の目的によれば、本発明は、第1の目的によるソルビトールの内部脱水生成物を精製するための方法であって、上記方法が、以下の一連の工程:
a)ソルビトールの内部脱水生成物を供給する工程と、
b)蒸留生成物Aを形成するように脱水生成物を蒸留する工程と、
c)溶液Bを形成するように塩基性化合物を添加して蒸留生成物Aを水に溶解させる工程と、
d)塩基性化合物を添加して再溶解する工程から生じる溶液Bの少なくとも1つの脱色工程と、
e)脱色工程から得られた溶液のイオン交換の少なくとも1つの工程と、
f)得られた精製生成物Cを回収する工程とを含み、
塩基性化合物が、工程a)で提供されるソルビトールの内部脱水生成物1kg当たり1~6g、好ましくは2~5gの量で添加される、方法に関する。
【0015】
第3の目的によれば、本発明は、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリールエーテル、ポリウレタン、又はポリエポキシドから選択されるポリマーであって、第1の目的によるソルビトールの内部脱水生成物、又は第2の目的による方法から得られる生成物の単位を含むことを特徴とする、ポリマーに関する。
【0016】
本発明によるソルビトールの内部脱水生成物は、優れた純度を有し、特に、硫黄及び窒素の両方の含有量が非常に低い生成物である。
【0017】
したがって、本発明による方法は、従来の精製技術を使用しながら、優れた純度を有するそのようなソルビトールの内部脱水生成物を得ることを可能にする。
【0018】
本発明によるソルビトールの内部脱水生成物に基づいて得られるポリマーは、粘度及び耐熱性などのプラスチック物体の分野における他の本質的な特性に影響を及ぼすことなく、着色及び明度に関して顕著な光学特性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の第1の目的は、ソルビトールの内部脱水生成物であって、0.01ppm~150ppm、好ましくは0.02ppm~20ppm、より好ましくは0.05ppm~10ppm、より優先的には0.07ppm~5ppmの総残留窒素原子含有量を有し、この残留含有量が、上記生成物の総乾燥重量に対する乾燥重量として表され、0.0001ppm~100ppm、好ましくは0.0002ppm~50ppm、より好ましくは0.0004ppm~30ppm、より優先的には0.0008ppm~20ppmの総残留硫黄原子含有量を有し、この総残留含有量が、上記生成物の乾燥重量に対する乾燥重量で表される、生成物に関する。
【0020】
「ソルビトールの内部脱水生成物」は、ソルビトールの元の内部構造からの1つ以上の水分子の除去から、1つ以上の工程において、何らかの方法で生じる任意の生成物又は組成物を意味すると理解される。
【0021】
有利には、ソルビトールの内部脱水生成物、例えばイソソルビド(1,4-3,6ジアンヒドロソルビトール)の組成物であってもよい。
【0022】
一実施形態によれば、ソルビトールの内部脱水生成物は、0.002ppm~100ppm、好ましくは0.004ppm~50ppm、より好ましくは0.006ppm~20ppm、より優先的には0.008ppm~10ppmのナトリウム及びカリウム原子の総残留含有量を有し、この総残留含有量は、上記生成物の総乾燥重量に対する乾燥重量で表される。
【0023】
ナトリウム及びカリウム原子の残留含有量は、同時に両方の原子の全ての残留含有量を意味すると理解される。
【0024】
一実施形態によれば、ソルビトールの内部脱水生成物は、0.005ppm~100ppm、好ましくは0.010ppm~50ppm、より好ましくは0.015ppm~20ppm、より優先的には0.020ppm~10ppmのカルシウム及びマグネシウム原子の総残留含有量を有し、この総残留含有量は、上記生成物の総乾燥重量に対する乾燥重量で表される。
【0025】
カルシウム及びマグネシウム原子の残留含有量は、同時に両方の原子の全ての残留含有量を意味すると理解される。
【0026】
一実施形態によれば、ソルビトールの内部脱水生成物は、0.005ppm~100ppm、好ましくは0.010ppm~50、より好ましくは0.015ppm~20ppm、より優先的には0.020ppm~10ppmの鉄原子の総残留含有量を有し、この総残留含有量は、上記生成物の総乾燥重量に対する乾燥重量で表される。
【0027】
一実施形態によれば、ソルビトールの内部脱水生成物は、0.005ppm~100ppm、好ましくは0.010ppm~50、より好ましくは0.015ppm~20ppm、より優先的には0.020ppm~10ppmの塩素原子の総残留含有量を有し、この総残留含有量は、上記生成物の総乾燥重量に対する乾燥重量で表される。
【0028】
本発明によるソルビトールの内部脱水生成物は、上で定義したような生成物又は組成物に対応し、脱水は場合によっては全体的又は部分的である。
【0029】
それらの純度特性を考慮すると、これらのソルビトールの内部脱水生成物は、多くの産業において有利に使用することができ、特に合成中間体、コモノマー(鎖延長剤を含む)、溶媒剤、可塑剤、潤滑剤、増量剤、甘味料及び/又は有効成分として、化学、医薬、化粧品又は食品産業用の、生分解性又は非生分解性のポリマー又は非ポリマー生成物又は混合物の調製において有利に使用することができる。
【0030】
本発明の第2の目的は、第1の目的によるソルビトールの内部脱水生成物を精製するための方法であって、以下の一連の工程:
a)ソルビトールの内部脱水生成物を供給する工程と、
b)蒸留生成物Aを形成するように脱水生成物を蒸留する工程と、
c)溶液Bを形成するように塩基性化合物を添加して蒸留生成物Aを水に溶解させる工程と、
d)塩基性化合物を添加して再溶解する工程から生じる溶液Bの少なくとも1つの脱色工程と、
e)脱色工程から得られた溶液のイオン交換の少なくとも1つの工程と、
f)得られた精製生成物Cを回収する工程とを含み、
塩基性化合物が、工程a)で提供されるソルビトールの内部脱水生成物1kg当たり1~6g、好ましくは2~5gの量で添加される、方法に関する。
【0031】
好ましくは、蒸留工程は、連続蒸発器内で行われる。このような装置、例えば、落下流型又はより良好にはワイプドフィルム型又は短経路型の装置は、反応原料がこのようにさらされる温度及び滞留時間を制限することを可能にする。
【0032】
蒸留生成物Aの中間pHを測定することができる。
【0033】
50~90%の乾燥物質、好ましくは60~80%の乾燥物質を含む水溶液を得るように、蒸留生成物Aを水に溶解する。いったん溶液が得られたら、150回転/分(RPM)及び周囲温度(20℃)で撹拌しながら塩基性化合物を添加する。このようにして得られた媒体は、30分~2時間、好ましくは45分~75分の間、撹拌下に保つことができる。
【0034】
このようにして得られた媒体は、濾過工程に供され得る。
【0035】
次いで、濾液を水で希釈して、30~70%の乾燥物質、好ましくは40~60%の乾燥物質を含む水溶液を得ることができる。
【0036】
溶液BのpHを測定することができる。
【0037】
一実施形態によれば、溶液BのpHは、4~10、好ましくは7~9である。
【0038】
一実施形態によれば、塩基性化合物は、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、又は水酸化バリウムなどのアルカリ土類水酸化物から選択され、好ましくは水酸化カルシウムである。
【0039】
一実施形態によれば、脱色工程による処理は、粒状活性炭のカラムを少なくとも1回通過させることを含む。
【0040】
一実施形態によれば、少なくとも1つのイオン交換工程は、陽イオン交換樹脂上の通過又は陰イオン交換樹脂上の通過又は2つの混合から選択され、好ましくは、陽イオン交換樹脂は強陽イオン交換樹脂であり、陰イオン交換樹脂は強陰イオン交換樹脂である。
【0041】
好ましくは、本方法が少なくとも2つのイオン交換工程を含む場合、それらの工程は、溶液が回収され、陽イオン交換樹脂カラム、次いで陰イオン交換樹脂カラムに連続的に通されるように互いに続く。
【0042】
より好ましくは、本方法が少なくとも2つのイオン交換工程を含む場合、それらの工程は、溶液が回収され、強陽イオン交換樹脂カラム、次いで強陰イオン交換樹脂カラムに連続的に通されるように互いに続く。
【0043】
上記の精製方法に従って使用されるソルビトールの内部脱水生成物は、単一の生成物、又は内部ソルビトール脱水反応に由来する実体の混合物を含む組成物に対応する。
【0044】
一実施形態によれば、本方法は、イオン交換工程の後、かつ得られた生成物を回収する工程の前に、追加の脱色工程を含まない。
【0045】
一実施形態によれば、本方法は、上記方法の異なる中間生成物の追加の再結晶工程を含まない。
【0046】
一実施形態によれば、第1の目的によるソルビトールの内部脱水生成物を精製するための方法であって、上記方法は、一連の工程:
a)ソルビトールの内部脱水生成物を供給する工程と、
b)蒸留生成物Aを形成するように上記脱水生成物を蒸留する工程と、
c)溶液Bを形成するように塩基性化合物を添加して上記蒸留生成物Aを水に溶解させる工程と、
d)塩基性化合物を添加して再溶解する工程から生じる溶液Bの少なくとも1つの脱色工程と、
e)脱色工程から得られた溶液のイオン交換の少なくとも1つの工程と、
f)得られた精製生成物Cを回収する工程とを含み、
塩基性化合物が、工程a)で提供されるソルビトールの内部脱水生成物1kg当たり1~6g、好ましくは2~5gの量で添加される、方法に関する。
【0047】
本発明の第3の目的は、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリールエーテル、ポリウレタン、又はポリエポキシドから選択されるポリマーであって、第1の目的によるソルビトールの内部脱水生成物、又は第2の目的による方法から得られる生成物の単位を含むことを特徴とする、ポリマーに関する。
【0048】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0049】
実施例1:イソソルビドI1の合成
【0050】
1kgの80%乾燥重量のソルビトール溶液及び8gの濃硫酸を、二重ジャケット反応器に撹拌下で導入する。得られた混合物を真空下(100mbar)で5時間145℃に加熱して、反応媒体中に含まれる水及び脱水反応からの水を蒸留によって除去する。
【0051】
次いで、粗反応生成物を100℃に冷却し、次いで13.7gの50%水酸化ナトリウム溶液で中和する。
【0052】
次いで、得られたイソソルビド組成物を、短経路構成のワイプドフィルムエバポレータを使用して真空下で蒸留する。蒸留されたイソソルビド(40%乾燥物質の溶液中)のpHは、3.5である。
【0053】
留出物を回収し、次いで70%乾燥物質溶液を得るために水に再溶解する。この溶液に、2.5gの水酸化カルシウムを激しく撹拌しながら温度で添加する。媒体を1時間撹拌する。
すると、媒体は濁って不透明になる。次いで、媒体をBeckoフィルター(0.45μm)で濾過して、透明な溶液を得る。次いで、50%DM溶液を得るために水を添加する。最終溶液のpHは、8.5である。
【0054】
次に、この溶液を、粒状活性炭を充填したカラム上で、0.5VV:H(固定床体積当たり及び1時間当たりの溶液の体積)の速度で濾過する。
【0055】
次いで、溶液を回収し、強陽イオン交換樹脂カラム、次いで強陰イオン交換樹脂カラムに連続して通す。次いで、溶液を真空下で濃縮して、固体の結晶化及び粉砕後に、白色粉末を得る。
【0056】
実施例2:イソソルビドI2の合成
【0057】
1kgの80%乾燥重量のソルビトール溶液及び8gの濃硫酸を、二重ジャケット反応器に撹拌下で導入する。得られた混合物を真空下(100mbar)で5時間145℃に加熱して、反応媒体中に含まれる水及び脱水反応からの水を蒸留によって除去する。
【0058】
次いで、粗反応生成物を100℃に冷却し、次いで13.7gの50%水酸化ナトリウム溶液で中和する。
【0059】
次いで、得られたイソソルビド組成物を、短経路構成のワイプドフィルムエバポレータを使用して真空下で蒸留する。
【0060】
50%乾燥物質溶液を形成するため、蒸留したイソソルビドを蒸留水に再溶解する。この溶液のpHは、3.5である。
【0061】
次いで、この溶液を、0.5VV:Hの速度で粒状活性炭を充填したカラム上で濾過する。
【0062】
次いで、溶液を回収し、強陽イオン交換樹脂カラム、次いで強陰イオン交換樹脂カラムに連続して通す。
【0063】
次いで、溶液を真空下で濃縮して、固体の結晶化及び粉砕後に、白色粉末を得る。
【0064】
この合成の際、蒸留生成物を溶解する工程中に塩基性化合物を添加しなかった。
【0065】
実施例3:イソソルビドI3の合成
【0066】
1kgの80%乾燥重量のソルビトール溶液及び8gの濃硫酸を、二重ジャケット反応器に撹拌下で導入する。得られた混合物を真空下(100mbar)で5時間145℃に加熱して、反応媒体中に含まれる水及び脱水反応からの水を蒸留によって除去する。
【0067】
次いで、粗反応生成物を100℃に冷却し、次いで13.7gの50%水酸化ナトリウム溶液で中和する。
【0068】
次いで、得られたイソソルビド組成物を、短経路構成のワイプドフィルムエバポレータを使用して真空下で蒸留する。
【0069】
留出物を回収し、次いで、70%乾燥物質溶液を得るために水に再溶解する。この溶液に、周囲温度で激しく撹拌しながら、3gの炭酸マグネシウムを添加する。媒体を1時間撹拌する。溶液はわずかに濁っており、媒体をBeckoフィルター(0.45μm)で濾過する。
【0070】
次いで、50%DM溶液を得るために水を添加する。最終溶液のpHは9.5である。
【0071】
50%乾燥物質溶液を形成するため、蒸留したイソソルビドを蒸留水に再溶解する。
【0072】
次いで、この溶液を、0.5VV:Hの速度で粒状活性炭を充填したカラムで濾過し、続いて、乾燥物質に対して2質量%の黒色の高さで黒色粉末で処理する。次に、溶液を濾過してイソソルビド溶液を回収する。
【0073】
次いで、溶液を真空下で濃縮して、固体の結晶化及び粉砕後に、白色粉末を得る。
【0074】
実施例4:イソソルビドI4の合成
【0075】
1kgの80%乾燥重量のソルビトール溶液及び8gの濃硫酸を、二重ジャケット反応器に撹拌下で導入する。得られた混合物を真空下(100mbar)で5時間145℃に加熱して、反応媒体中に含まれる水及び脱水反応からの水を蒸留によって除去する。
【0076】
次いで、粗反応生成物を100℃に冷却し、次いで13.7gの50%水酸化ナトリウム溶液で中和する。
【0077】
次いで、得られたイソソルビド組成物を、短経路構成のワイプドフィルムエバポレータを使用して真空下で蒸留する。
【0078】
留出物を回収し、次いで70%乾燥物質溶液を得るために水に再溶解する。この溶液に、9gの水酸化テトラエチルアンモニウム溶液(35%乾燥物質の水溶液)を撹拌しながら周囲温度で添加する。媒体を1時間撹拌する。この処理の後、溶液は透明である。
【0079】
次いで、50%乾燥物溶液を得るために水を添加する。最終溶液のpHは、11である。
【0080】
50%乾燥物質溶液を形成するため、蒸留したイソソルビドを蒸留水に再溶解する。
【0081】
次いで、この溶液を、0.5VV:Hの速度で粒状活性炭を充填したカラムで濾過し、続いて、乾燥物質に対して2質量%の黒色の高さで黒色粉末で処理する。次に、溶液を濾過してイソソルビド溶液を回収する。
【0082】
次いで、溶液を真空下で濃縮して、固体の結晶化及び粉砕後に、白色粉末を得る。
【0083】
生成されたイソソルビドは、それぞれI1、I2、及びI3で示す。窒素、硫黄、ナトリウム及びカリウム、マグネシウム、鉄、塩素、並びに及びカルシウムの量を表1に示す。
【0084】
これらの元素は、誘導結合プラズマ原子発光分光法(ICP AES)によって分析される。
【0085】
【0086】
実施例5:実施例1によるイソソルビドI1をベースとするPEI30Tポリエステル
【0087】
893g(14.4mol)のエチレングリコール、700g(4.8mol)のイソソルビドI1、2656g(16mol)のテレフタル酸、0.70gのIrganox 1010及び0.70gのHostanox P-EPQ(酸化防止剤)、及び0.9820gの二酸化ゲルマニウム(触媒)を7Lの反応器に添加する。イソソルビド結晶から残留酸素を抽出するために、反応媒体の温度が60~80℃になったら、真空窒素サイクルを4回行う。
【0088】
次いで、反応混合物を、2.5バールの圧力下、一定の撹拌(150rpm)下で250℃(4℃/分)に加熱する。収集された留出物の量に基づいてエステル化度を算出する。次いで、圧力を対数勾配に従って90分かけて0.7ミリバールまで低下させ、温度を265℃にする。
【0089】
初期トルクに対して19.8Nmのトルク増加が得られるまで、これらの低圧及び低温条件を維持した。
【0090】
最後に、ポリマーロッドを反応器の底弁から流し込み、15℃の温度調節水浴で冷却し、約15mgの顆粒の形態に切り刻む。
【0091】
このような方法を用いることにより、加熱されたポリマーと酸素との接触を避けることができ、着色及び熱酸化劣化を低減することができる。
【0092】
このようにして得られた樹脂は、溶液中で60.5mL/gの還元粘度を有する。ポリエステルP1の1H NMR分析は、それがジオールに対して30.4モル%のイソソルビドを含有することを示す。
【0093】
ジエチレングリコール単位含有量は、2.3モル%である。
【0094】
ポリマーは非晶質であり、112.4℃のTgを有する。
【0095】
顆粒について測定されたポリマーの着色は、以下のL*=60.8、a*=0.1、b*=3.9である。
【0096】
厚さ2mmの射出プレートで測定した曇度は、2.8である。
【0097】
実施例6:実施例2によるイソソルビドI2をベースとする例示的なPEI30Tポリエステル
【0098】
実施例5のプロトコルを、I2のイソソルビドを用いて再現する。
【0099】
このようにして得られた樹脂は、溶液中で61.2mL/gの還元粘度を有する。
【0100】
ポリエステルP2の1H NMR分析は、それがジオールに対して29.9モル%のイソソルビドを含有することを示す。
【0101】
ジエチレングリコール単位含有量は、2.5モル%である。ポリマーは非晶質であり、112.1℃のTgを有する。
【0102】
顆粒について測定されたポリマーの着色は、以下のL*=55.4、a*=0.2、b*=7.2である。
【0103】
厚さ2mmの射出プレートで測定した曇度は、5.1である。
【0104】
実施例7:実施例3によるイソソルビドI3をベースとする例示的なPEI30Tポリエステル
【0105】
実施例5のプロトコルを、I3のイソソルビドを用いて再現する。
【0106】
このようにして得られた樹脂は、溶液中で60.8mL/gの還元粘度を有する。
【0107】
ポリエステルP3の1H NMR分析は、それがジオールに対して30.5モル%のイソソルビドを含有することを示す。
【0108】
ジエチレングリコール単位含有量は、2.3モル%である。
【0109】
ポリマーは非晶質であり、113.0℃のTgを有する。
【0110】
顆粒について測定されたポリマーの着色は、以下のL*=53.4、a*=0.3、b*=6.9である。
【0111】
厚さ2mmの射出プレートで測定した曇度は、4.8である。
【0112】
比較例8:実施例4によるイソソルビドI4をベースとする例示的なPEI30Tポリエステル
【0113】
実施例1のプロトコルを、I4のイソソルビドを用いて再現する。
【0114】
このようにして得られた樹脂は、溶液中で61.8mL/gの還元粘度を有する。
【0115】
ポリエステルP3の1H NMR分析は、それがジオールに対して30.1モル%のイソソルビドを含有することを示す。
【0116】
ジエチレングリコール単位含有量は、2.3モル%である。
【0117】
ポリマーは非晶質であり、111.3℃のTgを有する。
【0118】
顆粒について測定されたポリマーの着色は、以下のL*=54.1、a*=0.3、b*=7.5である。
【0119】
厚さ2mmの射出プレートで測定した曇度は、5.6である。
【0120】
実施例5~8の結果を以下の表2に列挙する。
【0121】
【0122】
実施例5~8で得られた結果から、本発明によるイソソルビドをベースとするポリエステル(I1)のパラメータb*及び曇度の値が最も低い。したがって、本発明によるイソソルビドをベースとするポリエステルは、より満足できる着色及び明度を有する。
【0123】
実施例9:実施例1によるイソソルビドI1をベースとする例示的なポリカーボネート
【0124】
1040g(4.86mol)のジフェニルカーボネート、502g(3.44mol)のイソソルビドI1、213g(1.48mol)の1,4-シクロヘキサンジメタノール、420mgのIrganox 1010(抗酸化剤)及び420mgのHostanox PEPQ(酸化防止剤)、6.1mgの炭酸セシウム(触媒)を3Lの反応器に添加する。イソソルビド結晶から残留酸素を抽出するために、反応媒体の温度が60~80℃になったら、真空窒素サイクルを4回行う。
【0125】
蒸留カラムを110℃に加熱して、反応中に放出されるフェノールの結晶化を防止する。撹拌速度を120rpmに調整する(これは粘度が増加するにつれて減少する)。次いで、反応器を加熱し、反応媒体の温度を上昇させながら真空勾配を適用する。使用した温度及び圧力条件は以下の通りである。
-800mbarで15分間、150℃に加熱する。
-45分で800mbarから100mbarに低下させながら150℃から190℃に加熱する。
-45分で圧力を100mbarから60mbarに低下させながら190℃から220℃に加熱する。
-220℃で30分間、圧力を60mbarから10mbarに低下させる。
【0126】
この30分後、トルクは、50rpmで撹拌するために22.6Nmである。
【0127】
ポリマーロッドを反応器の底弁から流し込み、15℃の温度調節水浴で冷却し、約15mgの顆粒の形態に切り刻む。
【0128】
このようにして得られた樹脂は、溶液中で52.5mL/gの還元粘度を有する。
【0129】
ポリカーボネートP4の1H NMR分析は、それがジオールに対して74.2モル%のイソソルビドを含有することを示す。
【0130】
ポリマーは非晶質であり、130.4℃のTgを有する。
【0131】
顆粒について測定したポリマーの着色は、以下のL*=71.8、a*=0.0、b*=5.4である。
【0132】
厚さ2mmの射出プレートで測定した曇度は、1.4である。
【0133】
実施例10:実施例3によるイソソルビドI3をベースとする例示的なポリカーボネート
【0134】
今回はI3のイソソルビドを用いて、実施例9のプロトコルを再現する。このようにして得られた樹脂は、溶液中で49.4mL/gの還元粘度を有する。
【0135】
ポリカーボネートP5の1H NMR分析は、それがジオールに対して70.1モル%のイソソルビドを含有することを示す。
【0136】
ポリマーは非晶質であり、126.0℃のTgを有する。
【0137】
顆粒について測定されたポリマーの着色は、以下のL*=63.7、a*=-0.1、b*=8.7である。
【0138】
厚さ2mmの射出プレートで測定した曇度は、4.1である。
【0139】
実施例9~10の結果を以下の表3に示す。
【0140】
【0141】
実施例9~10で得られた結果から、本発明によるイソソルビド(I1)をベースとするポリカーボネートのパラメータb*及び曇度の値が最も低い。したがって、本発明によるイソソルビドをベースとするポリカーボネートは、より満足できる着色及び明度を有する。
【0142】
実施例11:実施例1によるイソソルビドI1をベースとする例示的なポリスルホン
【0143】
2.92g(0.020mol、1当量)のイソソルビドI1(残留水を除去するために予めデシケータに入れておく)、5.08g(0.020mol、1当量)のジフルオロジフェニルスルホン及び5.58g(0.040mol、2当量)のK2CO3を、グースネック、撹拌ブレード、及び窒素導入口を備えた三口フラスコ中の18.7gのDMSOに溶解させる。丸底フラスコを、油浴を用いて140℃に20時間加熱する。反応の終わりに、15mLのDMSOを添加して媒体を希釈する。次いで、反応媒体を1,000mLの水中で糸の形態で沈殿させ、ブフナー濾過し、次いで真空下でオーブンで乾燥させる。
【0144】
このようにして得られたポリスルホンP6は、溶液中で36.1mL/gの還元粘度を有する。ポリマーは非晶質であり、236.5℃のTgを有する。
【0145】
次いで、ポリマーを、DMSO中20重量%のポリマー溶液から溶媒蒸発法によってフィルムとして形成した。粘稠なポリマー溶液を、金属ブレードでガラス基板上に塗布した。次に、堆積物を以下のプロトコル:50℃で16時間、80℃で1時間、130℃で1時間、130℃で1時間及び180℃で2時間に従ってオーブン内でゆっくりと蒸発させる。
【0146】
最後に、約100ミクロンの厚さを有するフィルムが得られる。フィルムは無色であり、0.2の曇度を有する。
【0147】
実施例12:実施例2によるイソソルビドI2をベースとする例示的なポリスルホン
【0148】
今回はI2のイソソルビドを用いて、実施例11の手順を再現する。
【0149】
このようにして得られたポリスルホンP7は、溶液中で35.8mL/gの還元粘度を有する。ポリマーは非晶質であり、236.2℃のTgを有する。
【0150】
実施例11と同じ手順に従って製造された100ミクロンのフィルムはわずかに黄色であり、1.1の曇度を有する。
【0151】
実施例11~12で得られた結果から、本発明によるイソソルビド(I1)に基づくポリスルホンの曇度の値が最も低い。したがって、本発明によるイソソルビドをベースとするポリスルホンは、より満足できる明度を有する。
【0152】
実施例11及び12の結果を表4に示す。
【0153】
【0154】
実施例13:実施例1によるイソソルビドI1をベースとする例示的なイソソルビドジエステルD1
【0155】
二重ジャケット反応器において、3.04kgのカプリル酸(C8直鎖飽和脂肪酸)を撹拌下で添加し、続いて1.4kgのイソソルビドI1(脂肪酸/イソソルビドモル比:2.2)を添加する。30gのメタンスルホン酸及び8.4gの次亜リン酸を次いで添加する。
【0156】
反応器を160℃の設定温度に加熱し、100mbarの真空をシステムに適用する。媒体が90℃になり、最初の水滴が蒸留されたら、1000~30mbarの真空勾配を5時間行う。勾配が終了したら、反応器の温度設定点を30mbarで2時間かけて170℃にする。
【0157】
エステル化が完了したら、加熱を停止し、媒体を115℃の温度に戻す。次いで、15mLの50%水酸化ナトリウム溶液を添加して触媒を中和する。反応媒体を室温まで冷却させる。
【0158】
使用した過剰の脂肪酸を、ワイプドフィルムエバポレータで蒸留する。ジエステルは、過剰の酸が蒸留されるピンと張ったタンクの底部で回収される。
【0159】
APHAスケールによる着色の測定は、ASTM D-1209法(2005年1月)に従って、Loviond PFX-iシリーズ分光光度計で、APHAカラースケールが5cmの長方形タンクを用いて、任意の溶媒に溶解していない生成物に対して適切な比色計によって行う。
【0160】
結果を表5に示す。
【0161】
【0162】
実施例14:実施例2によるイソソルビドI2をベースとする例示的なイソソルビドジエステルD2
【0163】
エステル化手順及び精製技術は、出発イソソルビドがI2であることを除いて、先の実施例と同一である。
【0164】
結果を表6に示す。
【0165】
【0166】
実施例13及び14で得られた結果から、本発明によるイソソルビドに基づくイソソルビドジエステルは、より満足のいく着色を有する。
【0167】
実施例15:実施例1によるイソソルビドI1をベースとする例示的なイソソルビドジグリシジルエーテルD3
【0168】
232gのイソソルビド、644gのエピクロロヒドリン(5当量モル)、及び2.32gの臭化テトラエチルアンモニウム(TEAB)を、凝縮器を載せたリバース型ディーンスタークを備えた二重ジャケット付き撹拌反応器に導入する。反応媒体を275mbarで加熱する(設定温度:110℃)。リバース型ディーン-スタークを満たすのに十分な量のエピクロロヒドリンを蒸留した後、50質量%の水酸化ナトリウム水溶液235gを、ポンプを使用して3時間かけて導入する。硫酸ナトリウムの添加中に、水-エピクロロヒドリン共沸混合物の蒸留とディーン-スターク中での分離によって、反応中に導入され、形成された水を除去することができる。硫酸ナトリウムの添加が完了したら、媒体を加温して媒体が90℃の温度に達するまで蒸留する。この温度に達したら、加熱を停止して媒体を環境温度で放冷する。次いで媒体をストリッピングし、反応中に形成された塩をポロシティ3の焼結ガラスを用いて濾過する。次いで塩のケーキを150gのエピクロロヒドリンを用いて洗浄する。濾液を回収する。ロータリーエバポレーターを用いて真空下で蒸留して残留エピクロロヒドリンを除去する。
【0169】
黄色の均質な粘性油352gを得る。
【0170】
結果を表7に示す。
【0171】
【0172】
実施例16:実施例2によるイソソルビドI2をベースとする例示的なイソソルビドジグリシジルエーテルD4
【0173】
使用されるイソソルビドがI2であることを除いて、前の実施例と同一の反応である。結果を表8に示す。
【0174】
【0175】
実施例15及び16で得られた結果から、本発明によるイソソルビドに基づくイソソルビドジグリシジルエーテルは、より満足のいく着色を有する。
【0176】
実施例17:実施例3によるイソソルビドI3をベースとするイソソルビドジグリシジルエーテルD3での例示的なコーティング
【0177】
5gのイソソルビドエポキシD3を1.18gのIPDA(AHEW=42.5g/eq)と混合する。次に、この混合物を、バーコータを用いて鋼製のQパネルに塗布し、次に80℃で1時間、次に180℃で2時間オーブンに入れる。
【0178】
151ミクロンの厚さを有する最終コーティングは、297sのPersoz硬度、16Nの鉛筆硬度、及び20℃で96.7の光沢を有する。クロスカット接着試験の間、要素は基材から分離しない。
【0179】
実施例18:実施例4によるイソソルビドI4をベースとするイソソルビドジグリシジルエーテルD4での例示的なコーティング
【0180】
5gのイソソルビドエポキシD4を1.18gのIPDA(AHEW=42.5g/eq)と混合する。次に、この混合物を、バーコータを用いて鋼製のQパネルに塗布し、次に80℃で1時間、次に180℃で2時間オーブンに入れる。
【0181】
145ミクロンの厚さを有する最終コーティングは、295sのPersoz硬度、16Nの鉛筆硬度、及び20℃で91.1の光沢を有する。クロスカット接着試験の間、要素は基材から分離しない。
【0182】
実施例17及び18で得られた結果から、本発明によるイソソルビドをベースとするイソソルビドジグリシジルエーテルコーティングは、20℃でより満足できる光沢を有する。
【国際調査報告】