(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-06
(54)【発明の名称】二次電池の活性化方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/058 20100101AFI20231129BHJP
【FI】
H01M10/058
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528441
(86)(22)【出願日】2022-10-21
(85)【翻訳文提出日】2023-05-16
(86)【国際出願番号】 KR2022016102
(87)【国際公開番号】W WO2023075298
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】10-2021-0144212
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジュン ミ
(72)【発明者】
【氏名】チャ、イン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】スン、ナク ギ
【テーマコード(参考)】
5H029
【Fターム(参考)】
5H029AJ03
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL01
5H029AL06
5H029AL11
5H029AL12
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM05
5H029AM07
5H029CJ16
5H029HJ14
5H029HJ17
(57)【要約】
本発明は、二次電池の活性化方法に関するものであって、活性化工程中の二次電池のサイズに応じた好適な初期充電率(SOC)と高温エージング時間を算出し、これを適用した活性化工程の場合、充電時に電極組立体の内部に発生するガスを効率的に除去することにより、その後の充電段階において電極の充電均一性が改善され、電池の可用容量が増加される効果がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池の活性化方法において、
製造された前記二次電池を充電する初期充電段階と、
充電された前記二次電池のガスを排出するデガッシング段階と、を含み、
前記デガッシング段階は、
50℃~80℃の温度で行われる高温エージング過程をさらに含み、
前記初期充電段階で充電されるSOCは、
a)初期充電SOCが互いに異なる1種以上の前記二次電池に対して、50℃~80℃の温度で行われる高温エージング過程を3時間~5時間行ってデガッシングし、
b)a)の結果物に対して放電容量を評価して、
放電容量が最も大きいものを前記SOCとする、二次電池の活性化方法。
【請求項2】
前記デガッシング段階の前記高温エージング過程の遂行時間は、
0.15C~0.25Cの電流で前記二次電池を充電する場合、前記二次電池が最高温度の98%に到達する昇温時間と、
前記二次電池の前記最高温度の98%~100%を維持する維持時間を加えたものとする、請求項1に記載の二次電池の活性化方法。
【請求項3】
前記初期充電SOCが互いに異なる1種以上の前記二次電池は、
前記初期充電SOCの範囲が1%~15%である、請求項1に記載の二次電池の活性化方法。
【請求項4】
前記放電容量の評価は、満充電後、SOC20%以下に放電する方法である、請求項1に記載の二次電池の活性化方法。
【請求項5】
前記デガッシング段階は、
前記高温エージング過程の後、常温エージング過程をさらに含み、
前記常温エージング過程は、0.5時間~72時間待機する、請求項1に記載の二次電池の活性化方法。
【請求項6】
前記デガッシング段階は、
前記高温エージング過程の後、SOC60%~70%に充電する過程をさらに含む、請求項1に記載の二次電池の活性化方法。
【請求項7】
前記デガッシング段階の後、前記二次電池をSOC70%以上の範囲に充電する過程をさらに含む、請求項1に記載の二次電池の活性化方法。
【請求項8】
前記二次電池をSOC70%以上の範囲で充電する段階の後、SOC20%以下の水準に放電する段階をさらに含む、請求項7に記載の二次電池の活性化方法。
【請求項9】
組立された前記二次電池を充電する初期充電段階の前に、前記二次電池はSOC0%以上1%未満に維持される、請求項1に記載の二次電池の活性化方法。
【請求項10】
前記デガッシング段階の前に、
電極組立体の負極表面の全部または一部にはSEI被膜が形成される過程を含む、請求項1に記載の二次電池の活性化方法。
【請求項11】
前記二次電池は、電極組立体と電解液が電池ケースに収容された構造であり、
前記電極組立体は、正極、負極、および前記正極と前記負極との間に介在された分離膜を含む構造であり、
前記電解液は、リチウム塩を含有する、請求項1に記載の二次電池の活性化方法。
【請求項12】
前記二次電池は、角形、円筒形、またはパウチ型のうちいずれか1つである、請求項1から11のいずれか一項に記載の二次電池の活性化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年10月27日付の韓国特許出願第10-2021-0144212号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、二次電池の活性化方法に関するものであって、さらに具体的には、二次電池の活性化工程中、二次電池内部のガスを排出する方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
一般的に、二次電池は、充電が不可能な一次電池とは異なり、充放電が可能な電池を意味し、携帯電話、ノートパソコン、コンピュータ、カムコーダなどの電子機器または電気自動車などに広く使用されている。特にリチウム二次電池は、ニッケル-カドミウム電池またはニッケル-水素電池より大きな容量を有し、単位重量当たりのエネルギー密度が高いため、その活用の程度が急速度に増加される傾向にある。
【0004】
このようなリチウム二次電池は、主にリチウム系酸化物と炭素材をそれぞれ正極活物質と負極活物質として使用する。リチウム二次電池は、このような正極活物質と負極活物質がそれぞれ塗布された正極板と負極板が分離膜を間に置いて配置された電極組立体と、電極組立体を電解液と共に密封収納する外装材とを備える。
【0005】
一方、リチウム二次電池は、電池ケースの形状に応じて、電極組立体が金属缶に内蔵されている缶型二次電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチに内蔵されているパウチ型二次電池に分類され得る。
【0006】
二次電池は、一般的に、電極組立体が電池ケースに収容された状態で液体状態の電解質、すなわち電解液が注入され、電池ケースがシーリングされる過程によって製造される。
【0007】
このような二次電池は、出荷前に充放電する活性化工程を行う。従来の活性化工程は一般的にプリエージング、一次充電、メインエージング、不良検査の順番で進行されるが、一次充電後に電極組立体の内部に残留するガスによりガストラップ(trap)現象が発生して、電極の均一性が低下し、電池の内部に高い耐圧が発生することになる。これにより充電不均一現象が発生し、終局的に電池の性能低下を誘発する。このような問題は、残留ガスを除去する工程の適用が困難な円筒形または角形の電池において著しく発生する。したがって、従来の二次電池の製造工程中、活性化段階における充電方式を改善し、二次電池の内部からガスを排出して電池の効率を向上させる二次電池の活性化技術の開発が必要であるのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、二次電池の活性化方法に関するものであって、好適なSOCの範囲で初期充電し、高温エージングの条件を調節する方法を提供することにより、二次電池の内部に残留する気体を効率的に除去して二次電池の最大容量を確保し得る新しい二次電池の活性化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、二次電池の活性化方法を提供する。一例において、二次電池の活性化方法において、製造された二次電池を充電する初期充電段階と、充電された二次電池のガスを排出するデガッシング段階と、を含み、上記デガッシング段階は、50℃~80℃の温度で行われる高温エージング過程をさらに含み、上記初期充電段階で充電されるSOCは、
a)初期充電SOCが互いに異なる1種以上の二次電池に対して、50℃~80℃の温度で行われる高温エージング過程を3時間~5時間行ってデガッシングし、
b)a)の結果物に対して放電容量を評価して、放電容量が最も大きいものをSOCとする二次電池の活性化方法である。
【0010】
具体例において、本発明に係る二次電池の活性化方法は、デガッシング段階の高温エージング過程の遂行時間は、0.15C~0.25Cの電流で二次電池を充電する場合、二次電池が最高温度の98%に到達する昇温時間と、二次電池の最高温度の98%~100%を維持する維持時間を加えたものである。
【0011】
他の具体例において、本発明に係る二次電池の活性化方法は、初期充電SOCが互いに異なる1種以上の二次電池は、上記初期充電SOCの範囲が1%~15%である。
【0012】
別の具体例において、本発明に係る二次電池の活性化方法は、放電容量評価は、満充電後、SOC20%以下に放電するものである。
【0013】
他の一例において、本発明に係る二次電池の活性化方法は、デガッシング段階は、高温エージング過程の後、常温エージング過程をさらに含み、上記常温エージング過程は、0.5時間~72時間待機するものである。
【0014】
別の一例において、本発明に係る二次電池の活性化方法は、デガッシング段階は、高温エージング過程の後、SOC60%~70%に充電する過程をさらに含む。
【0015】
具体例において、本発明に係る二次電池の活性化方法は、デガッシング段階の後、二次電池をSOC70%以上の範囲で充電する過程をさらに含む。
【0016】
他の具体例において、本発明に係る二次電池の活性化方法は、二次電池をSOC70%以上の範囲で充電する段階の後、SOC20%以下の水準に放電する段階をさらに含む。
【0017】
別の具体例において、本発明に係る二次電池の活性化方法は、組立された二次電池を充電する初期充電段階の前に、二次電池はSOC0%以上1%未満に維持されるものである。
【0018】
一例において、本発明に係る二次電池の活性化方法は、デガッシング段階の前に、電極組立体の負極表面の全部または一部にはSEI(Solid Electrode Interface)被膜が形成される過程を含む。
【0019】
他の一例において、本発明に係る二次電池の活性化方法は、二次電池は電極組立体と電解液が電池ケースに収容された構造であり、電極組立体は正極、負極、および上記正極と負極との間に介在された分離膜を含む構造であり、電解液はリチウム塩を含有する。
【0020】
別の一例において、本発明に係る二次電池の活性化方法は、二次電池は角形、円筒形、またはパウチ型のうちいずれか1つである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、二次電池の初期充電時に最適なSOCの範囲を選定する方法を提供し、これを適用した場合、初期充電により電極組立体の内部に発生されたガスを排出する通路を好適に確保し得る。
【0022】
また、初期充電された二次電池の電極組立体の内部に発生されたガスを除去するデガッシング段階において、最適な高温エージング時間を算出する方法を提供することによって、これを適用した二次電池は電極組立体内のガストラップ現象を防止して充電均一性が改善され、その結果として可用容量が増加され、電池不良率を減らし得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】直径21mmの二次電池をそれぞれ異なるSOCで初期充電した後、放電容量を評価した結果を示したものである。
【
図2】直径21mmであり、SOC7%の条件で初期充電された二次電池に対して、初期充電後の高温エージング時間に応じた放電容量を評価した結果を示したものである。
【
図3】直径21mmの二次電池と直径46mmの二次電池をそれぞれ充電する過程における時間に応じた温度変化を示したものである。
【
図4】直径46mmの二次電池をそれぞれ異なるSOCで初期充電した後、放電容量を評価した結果を示したものである。
【
図5】直径46mmであり、SOC9%の条件で初期充電された二次電池に対して、初期充電後の高温エージング時間に応じた放電容量を評価した結果を示したものである。
【
図6】直径46mmの二次電池の初期充電SOCおよび高温エージング時間に応じた放電容量を評価した結果を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明について詳細に説明する。その前に、本明細書および特許請求の範囲で使用された用語や単語は、通常的または辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者が彼自身の発明を最善の方法で説明するために、用語の概念を適切に定義し得るという原則に基づいて、本発明の技術的な思想に合致する意味と概念として解釈されるべきである。
【0025】
本発明は、二次電池の活性化方法のうち、低SOC(State of charge)水準で充電した後、高温エージング過程を含むデガッシング(degassing)段階を行って、好適なSOCの範囲を選定し、高温エージング過程の遂行時間を算出することを特徴とする二次電池の活性化方法に関するものである。本文のSOC0%は二次電池の容量がすべて消耗された状態を意味し、SOC100%は二次電池の容量が最大に満たされた状態を意味する。上記SOCは、化学測定法、電圧測定法、電流積分法、および圧力測定法など公知の測定方法のうちいずれか1種以上を選択して測定され得る。
【0026】
本発明は二次電池の活性化方法を提供する。一例において、本発明に係る二次電池の活性化方法は、製造された二次電池を充電する初期充電段階と、充電された二次電池のガスを排出するデガッシング段階とを含み得る。
【0027】
ここで、上記デガッシング段階は、50℃~80℃の温度で行われる高温エージング過程をさらに含み得る。
【0028】
また、上記初期充電段階で充電されるSOCにおいて、それぞれ初期充電SOCが異なる1種以上の二次電池を50℃~80℃の温度で行われる高温エージング過程を3時間~5時間行ってデガッシングし、デガッシングした結果物に対して放電容量を評価して、放電容量が最も大きいときのSOCを初期充電段階で充電されるSOCにし得る。
【0029】
一方、二次電池は、その特性上、最初のサイクル時に正極活物質の活性化および負極におけるSEI(Solid Electrode Interface)皮膜生成のために活性化過程が必須的に行われる。上記活性化過程で二次電池の内部に多量のガスが発生することになる。二次電池の内部に発生したガスが効率的に除去されないと、ガスが二次電池の内部で一定の空間に留まることになって、ガストラップ(trap)現象が発生して高い耐圧を誘発する。上記耐圧により、二次電池の構造変形を引き起こし、可用容量および出力などの電池性能および寿命に悪影響を及ぼすことになる。
【0030】
所定のSOC水準で初期充電を進行させる場合、二次電池の電極組立体の内部にガスが発生され、ガスを好適に排出するために高温で所定の時間エージングして生成されたガスが電極組立体の外部に放出されるようにしてガストラップ現象を防止し得る。
【0031】
したがって、初期充電時に好適なSOC水準を選定することが重要である。上記好適なSOCの範囲に満たない場合には、ガス発生が不十分になり、その後の充電段階で再びガスが発生され得る。一方、上記好適なSOCの範囲を超える場合には、電池の充電により正極と負極の厚さがより多く膨張することになり、ガス除去のための通路の確保が容易ではない。
【0032】
さらに、二次電池のサイズが増加するかまたは減少する場合、二次電池の内部に形成された気体の量も異なるため、二次電池のサイズを考慮して好適なSOCを選定しなければならない。
【0033】
一方、最適なSOCで初期充電された二次電池を高温エージングしてデガッシングする場合、二次電池のサイズによって内部に形成された気体の量が異なるので、高温エージング過程にかかる時間を好適に算定する必要がある。
【0034】
そこで、本発明の発明者らは、二次電池の活性化過程に必要な好適な初期充電SOCを適用し、デガッシング段階の1つである高温エージングを行うために必要な好適な条件でエージングした二次電池の場合、効果的にガスを排出すると同時に、最大放電容量を示して、電池の電気化学的活性が向上された効果が確認され、本発明に至った。
【0035】
まず、上記製造された二次電池を充電する初期充電段階について説明する。製造された二次電池を充電する初期充電段階は、所定のSOCで一次充電する段階である。
【0036】
具体的には、初期充電段階でのSOC選定において、初期充電SOCが互いに異なる1種以上の二次電池に対して、50℃~80℃の温度で行われる高温エージング過程を3時間~5時間行ってデガッシングし、その結果物に対して放電容量を評価して、放電容量が最も大きいときのSOCを初期充電SOCに選定する。
【0037】
より具体的には、初期充電SOCが互いに異なる1種以上の二次電池において、初期充電SOCの範囲は1%~15%にし得る。具体的には、上記初期充電SOCの範囲は、3%~12%、または5%~10%である。初期充電SOCの範囲が小さすぎる場合には、上述したようにガス発生が不十分であり、その後の充電段階で再びガスが発生され得る。逆に初期充電SOCの範囲が高すぎる場合には、電極の厚さが過度に膨張することになって、二次電池内部のガス排出通路を容易に確保し得ないという問題点が発生する。
【0038】
また、上記初期充電段階は定電流(CC,Constant Current)モードで行われ得る。初期充電時の充電電流の強度は、製造工程にかかる時間と充電均一度確保の側面を考慮して、0.05C~1Cの範囲内で好適に制御され得る。
【0039】
また、初期充電SOCが互いに異なる1種以上の二次電池に対して、50℃~80℃の温度で行われる高温エージング過程を3時間~5時間行ってデガッシングし得る。
【0040】
高温エージング過程は、初期充電段階で発生されたガスが電極組立体の外に放出されるように促進する過程である。このとき、電解液の粘度を下げて流動性が高い場合、電極組立体内のガス排出のための通路形成に有利である。
【0041】
このとき、高温エージング過程は50℃~80℃の温度で行い得る。好ましくは55℃~70℃の温度であり得る。温度が50℃未満の場合には電解液粘度の低下が容易ではなく気体通路の形成が難しくなり、80℃を超える場合、電解液や電極活物質など電気化学素子が劣化され得、電解液の酸化および還元反応など副反応がもたらされ得る。
【0042】
また、上記高温エージング過程は3時間~5時間行い得る。上記高温エージング時間は、温度に応じて好適に加減され得る。もし高い温度で行われる場合には、電気化学素子が高温に過度に露出されないように短時間で進行されることが好ましい。ただし、エージング時間が短すぎる場合には、電極組立体の内部に発生されたガスがすべて放出されずに残留し得るので、十分なエージング時間を確保する必要性がある。したがって、エージング時間は、温度および生成ガスの放出速度などを考慮して好適に設定し得る。
【0043】
このように、初期充電SOCが互いに異なる1種以上の二次電池を高温でエージングし、デガッシングされた結果物に対して放電容量を評価して、放電容量が最も大きいときのSOCを初期充電SOCに選定し得る。
【0044】
具体的には、上記放電容量評価は、満充電(SOC100%)後にSOC20%以下の水準に放電する方式であり得る。一例として、上記放電はSOC0%まで行われ得る。このとき、二次電池は2V~46Vの電圧を表し得る。このような充放電段階により、二次電池の最大放電容量を測定し得、上記最大放電容量を有する二次電池の初期充電SOCを本発明の初期充電段階で充電されるSOCに選定し得る。
【0045】
本発明の一例において、上記放電容量評価を経て最適な初期充電SOCを選定した後、上記最適な初期充電SOCで初期充電する段階を経た二次電池の電極組立体の内部に発生したガスを排出するデガッシング段階を含み得る。
【0046】
上記デガッシング段階は、50℃~80℃の温度で行われる高温エージング過程をさらに含み得る。このとき、高温エージング過程時の遂行温度は、上述したように、電解液の粘度および流動性を考慮して50℃~80℃の範囲で行い得る。
【0047】
一方、初期充電を完了した二次電池のサイズが増加するかまたは減少する場合、二次電池の内部に形成された気体の排出に必要な高温エージング時間が異なり得る。したがって、好適な高温エージング過程の遂行時間を算出する必要性がある。
【0048】
そこで、本発明の一例において、デガッシング段階の高温エージング過程の遂行時間は、0.15C~0.25Cの電流で二次電池を充電する場合、二次電池が最高温度の98%に到達する昇温時間と二次電池の最高温度の98%~100%を維持する維持時間を加えたものにし得る。
【0049】
後述するように、昇温時間と維持時間を加えた時間で高温エージングした二次電池と、任意の時間で高温エージングした二次電池との放電容量の評価結果によると、前者の場合が後者より大きな放電容量を有することを確認し得る。これにより、二次電池のサイズをはじめとする条件が変更される場合において、二次電池の充電過程での昇温時間と維持時間を測定し、電池の放電容量を考慮した好適な高温エージング遂行時間を予測し得るという利点がある。
【0050】
本発明の他の例において、上記デガッシング段階は、高温エージング過程の後に常温エージング過程をさらに含み得、常温エージング過程は0.5時間~72時間待機するものであり得る。具体的には、上記常温は、20℃~30℃の温度で二次電池を保管する形態、または常温を維持するように構成されたチャンバー内に二次電池を保管する形態で行われ得る。
【0051】
本発明の別の例において、上記デガッシング段階は、高温エージング工程の後にSOC60%~70%に充電する過程をさらに含み得る。これにより、追加充電によって発生し得るガスをデガッシング過程により排出し得るので、電池の安定性をより向上させ得る。
【0052】
一方、上記デガッシング工程が完了された二次電池に対して、SOC70%以上の範囲に充電する段階をさらに含み得る。この段階で二次電池はSOC70%以上の範囲に充電され得る。好ましくはSOC70%~100%の範囲に充電されるものであり、このような充電によって電池が正常的に駆動し得るように活性化され得る。
【0053】
また、二次電池をSOC70%以上の範囲で充電する段階の後、SOC20%以下の水準に放電する段階をさらに含み得る。上記放電はSOC0%まで行われ得る。このとき、上記二次電池は2V~46Vの電圧を表し得る。このような放電段階により、電池の容量を選別し得、電極活物質の不均一な分布による電流密度の不均一化を防止し得る。
【0054】
一方、本発明の一例において、上記初期充電段階が適用される二次電池は、電解液注液後の充電工程が全く行われておらず、上記段階で電解液注液後に最初に適用される充電である。
【0055】
本発明の一例において、上記組立された二次電池を充電する初期充電段階の前に、二次電池はSOC0%以上1%未満で維持されるものであり得る。上記のように予備充電が行われる場合には、負極の電位を下げて負極集電体として使用される銅の溶出を抑制し得、その結果、電池の低電圧発現を抑制することに効果がある。
【0056】
本発明の他の例において、上記デガッシング段階の前に、電極組立体の負極表面の全部または一部にはSEI(Solid Electrode Interface)被膜が形成される過程を含み得る。形成されたSEI皮膜は、デガッシング段階で高い水準に充電しても二次電池の非可逆を一定水準減らす役割を果たす。このようなSEI皮膜は、初期充電段階で負極表面に形成されるが、例えば、SEI皮膜は、電解液が環状カーボネート化合物系であるエチレンカーボネート(EC,Ethylene Carbonate)を含有する場合に、上記エチレンカーボネートの十分な還元のために初期充電段階が必要である。そして、高温エージング過程を経てSEI皮膜の安定化を加速化し得る。
【0057】
一方、本願明細書における「活性化」は、電気的特性を帯びない電極組立体または電池セルに一定の電気を供給して正極と負極が電気的特性を有するようにする過程であって、電極組立体や電池セルに対する初回充電に随伴されるすべての反応を含むものとして理解し得る。上記初回充電に随伴される反応の非制限的な例としては、SEI皮膜の形成、電池容量の一部充電、および炭素系負極活物質のリチウム化(lithiation)のような負極の活性化などのものがある。
【0058】
本発明の一例において、上記活性化方法に使用される二次電池は、後述するもののうちいずれか1種以上で構成され得る。上記二次電池は、正極、負極、および上記正極と負極との間に介在される分離膜を含む電極組立体、上記電極組立体を含浸させる電解液、および上記電極組立体と上記非水電解液を内蔵する電池ケースを含む構造である。上記非水電解液は、例えば、リチウム塩を含む電解液である。
【0059】
上記正極は、正極集電体の一面または両面に正極活物質層が積層された構造である。一例において、正極活物質層は、正極活物質、導電材、およびバインダー高分子などを含み、必要に応じて当業界で通常的に使用される正極添加剤をさらに含み得る。
【0060】
上記正極活物質は、リチウム含有酸化物であり得、同一であるかまたは異なり得る。上記リチウム含有酸化物としては、リチウム含有遷移金属酸化物が使用され得る。
【0061】
例えば、リチウム含有遷移金属酸化物は、LixCoO2(0.5<x<1.3)、LixNiO2(0.5<x<1.3)、LixMnO2(0.5<x<1.3)、LixMn2O4(0.5<x<1.3)、Lix(NiaCobMnc)O2(0.5<x<1.3、0<a<1、0<b<1、0<c<1、a+b+c=1)、LixNi1-yCoyO2(0.5<x<1.3、0<y<1)、LixCo1-yMnyO2(0.5<x<1.3、0≦y<1)、LixNi1-yMnyO2(0.5<x<1.3、0≦y<1)、Lix(NiaCobMnc)O4(0.5<x<1.3、0<a<2、0<b<2、0<c<2、a+b+c=2)、LixMn2-zNizO4(0.5<x<1.3、0<z<2)、LixMn2-zCozO4(0.5<x<1.3、0<z<2)、LixCoPO4(0.5<x<1.3)およびLixFePO4(0.5<x<1.3)からなる群から選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物であり得る。また、上記リチウム含有遷移金属酸化物は、アルミニウム(Al)などの金属や金属酸化物でコーティングされ得る。また、上記リチウム含有遷移金属酸化物の他に、硫化物(sulfide)、セレン化物(selenide)およびハロゲン化物(halide)うち1種以上が使用され得る。
【0062】
上記正極活物質は、正極活物質層の中に94.0~98.5重量%の範囲で含まれ得る。正極活物質の含有量が上記範囲を満たすとき、高容量電池の製作、そして十分な正極の導電性や電極材間の接着力を付与するという面で有利である。
【0063】
上記正極に使用される集電体は導電性が高い金属であり、正極活物質スラリーが容易に接着し得る金属でありながら、電気化学素子の電圧範囲で反応性がないものであればいずれも使用し得る。具体的には、正極用集電体の非制限的な例としては、アルミニウム、ニッケルまたはこれらの組み合わせによって製造されるホイルなどがある。正極活物質層は導電材をさらに含む。
【0064】
上記導電材としては炭素系導電材が多く使用され、点状(sphere type)または線状(needle type)炭素系導電材を含む。上記点状の炭素系導電材は、バインダーと混合された状態で活物質粒子間の空いた空間である気孔を埋めることにより、活物質間の物理的接触を良くして界面抵抗を減少させ、下部の正極活物質と集電体の接着力を向上させ得る。
【0065】
上記点状炭素系導電材としては、デンカブラックをはじめとするカーボンブラックが挙げられ、例えば、FX35(Denka社)、SB50L(Denka社)、Super-Pがあるが、これに限定されるものではない。ここで「点状(sphere type)」とは球状の粒子形状を有し、平均直径(D50)が10~500nm、詳細には15~100nmまたは15~40nmの範囲を有することを意味する。
【0066】
上記点状炭素系導電材に対応される意味として、線状(needle type)炭素系導電材がある。上記線状炭素系導電材としては、カーボンナノチューブ(carbon nanotube,CNT)、気相成長炭素繊維(vapor-grown carbon fiber,VGCF)、炭素ナノ繊維(carbon nanofiber,CNF)、またはこれらのうち2種以上の混合物であり得る。ここで「線形(needle type)」とは、ニードルのような粒子形状、例えば縦横比(aspect ratio,長さ/直径の値)が50~650、詳細には60~300または100~300の範囲を有することを意味する。
【0067】
点状炭素系導電材は、線状導電材に比べて分散が有利であるという長所があり、線状炭素系導電材に比べて電気伝導度に劣り当該層の絶縁特性を高める効果がある。
【0068】
上記導電材は、正極活物質層の中に0.5~5重量%の範囲で含まれ得る。導電材の含有量が上記範囲を満たすときに十分な正極の導電性を付与し、電極集電体と活物質との界面抵抗を下げる効果がある。
【0069】
バインダー高分子は、当業界で通常的に使用されるバインダーが制限なく使用され得る。例えば、上記バインダーは、有機溶剤に対して可溶性であり、水に対して非可溶性を帯びる非水溶性ポリマーまたは有機溶剤に対して不溶性であり、水に対して可溶性を帯びる水溶性ポリマーを使用し得る。非水溶性ポリマーとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリエチレンオキシド-プロピレンオキシド共重合体(PEO-PPO)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリレートおよびその誘導体を含む群から選択される1種以上であり得る。
【0070】
水溶性ポリマーとしては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸(HPMCP)など多様なセルロース誘導体を含む群から選択された1種以上であり得る。
【0071】
上記バインダー高分子含有量は、上部の正極活物質層および下部の正極活物質層に含まれる導電材の含有量に比例する。これは、活物質に比べて粒子のサイズが相対的に非常に小さい導電材に接着力を付与するためであり、導電材の含有量が増加するとバインダー高分子がさらに必要となり、導電材の含有量が減少するとバインダー高分子が少なく使用され得るためである。
【0072】
上記負極は、負極集電体の一面または両面に負極活物質層が積層された構造である。一例において、負極活物質層は、負極活物質、導電材、およびバインダー高分子などを含み、必要に応じて当業界で通常的に使用される負極添加剤をさらに含み得る。
【0073】
上記負極活物質は、炭素材、リチウム金属、ケイ素またはスズなどを含み得る。負極活物質として炭素材が使用される場合、低結晶性炭素および高結晶性炭素などが何れも使用され得る。低結晶性炭素としては軟化炭素(soft carbon)および硬化炭素(hard carbon)が代表的であり、高結晶性炭素としては天然黒鉛、キッシュ黒鉛(Kish graphite)、熱分解炭素(pyrolytic carbon)、液晶ピッチ系炭素繊維(mesophase pitch based carbon fiber)、炭素微小球体(mesocarbon microbeads)、液晶ピッチ(Mesophase pitches)、および石油と石炭系コークス(petroleum orcoal tarpitch derived cokes)などの高温の焼成炭素が代表的である。
【0074】
上記負極に使用される集電体の非制限的な例としては、銅、金、ニッケルまたは銅合金、またはこれらの組み合わせによって製造されるホイルなどがある。また、上記集電体は、上記物質からなる基材を積層して使用することもできる。
【0075】
また、上記負極は、当該分野で通常的に使用される導電材およびバインダーを含み得る。
【0076】
上記分離膜は、リチウム二次電池において使用される多孔性基材であればいずれも使用が可能であり、例えば、ポリオレフィン系多孔性膜(membrane)または不織布を使用し得るが、これに特に限定されるものではない。
【0077】
上記ポリオレフィン系多孔性膜の例としては、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンのようなポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリペンテンなどのポリオレフィン系高分子をそれぞれ単独で、またはそれらを混合した高分子で形成した膜(membrane)が挙げられる。
【0078】
上記不織布としては、ポリオレフィン系不織布の他に、例えば、ポリエチレンテレフタレート(polyethyleneterephthalate)、ポリブチレンテレフタレート(polybutyleneterephthalate)、ポリエステル(polyester)、ポリアセタール(polyacetal)、ポリアミド(polyamide)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリイミド(polyimide)、ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketone)、ポリエーテルスルホン(polyethersulfone)、ポリフェニレンオキシド(polyphenyleneoxide)、ポリフェニレンスルフィド(polyphenylenesulfide)、ポリエチレンナフタレン(polyethylenenaphthalene)などのそれぞれ単独で、またはそれらを混合した高分子で形成した不織布が挙げられる。不織布の構造は、長繊維で構成されたスパンボンド不織布またはメルトブローン不織布であり得る。
【0079】
上記多孔性基材の厚さは特に制限されないが、5~50μmであり得、多孔性基材に存在する気孔のサイズおよび気孔も特に制限されないが、それぞれ0.01~50μmおよび10~95%であり得る。
【0080】
一方、上記多孔性基材で構成された分離膜の機械的強度の向上および正極と負極との間の短絡抑制のために、上記多孔性基材の少なくとも一面に、無機物粒子とバインダー高分子とを含む多孔性コーティング層をさらに含み得る。
【0081】
上記電解液は有機溶媒および電解質塩を含み得、上記電解質塩はリチウム塩である。上記リチウム塩は、リチウム二次電池用の非水電解液に通常的に使用されるものが制限なく使用され得る。例えば、陽イオンとしてLi+を含み、陰イオンとしては、F-、Cl-、Br-、I-、NO3-、N(CN)2-、BF4-、ClO4-、AlO4-、AlCl4-、PF6-、SbF6-、AsF6-、BF2C2O4-、BC4O8-、(CF3)2PF4-、(CF3)3PF3-、(CF3)4PF2-、(CF3)5PF-、(CF3)6P-、CF3SO3-、C4F9SO3-、CF3CF2SO3-、(CF3SO2)2N-、(FSO2)2N-、CF3CF2(CF3)2CO-、(CF3SO2)2CH-、(SF5)3C-、(CF3SO2)3C-、CF3(CF2)7SO3-、CF3CO2-、CH3CO2-、SCN-および(CF3CF2SO2)2N-からなる群から選択された少なくともいずれか1つを含み得る。
【0082】
上述した電解液に含まれる有機溶媒としては、二次電池用の電解液に通常的に使用されるものを制限なく使用し得、例えば、エーテル、エステル、アミド、線状カーボネート、環状カーボネートなどをそれぞれ単独で、または2種以上混合して使用し得る。その中で、代表的には、環状カーボネート、線状カーボネート、またはこれらの混合物であるカーボネート化合物を含み得る。
【0083】
上記環状カーボネート化合物の具体例としては、エチレンカーボネート(ethylene carbonate,EC)、プロピレンカーボネート(propylene carbonate,PC)、1,2-ブチレンカーボネート、2,3-ブチレンカーボネート、1,2-ペンチレンカーボネート、2,3-ペンチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートおよびこれらのハロゲン化物からなる群から選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物がある。これらのハロゲン化物としては、例えば、フルオロエチレンカーボネート(fluoroethylene carbonate,FEC)などがあり、これに限定されるものではない。
【0084】
また、上記線状カーボネート化合物の具体例としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルプロピルカーボネートおよびエチルプロピルカーボネートからなる群から選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物などが代表的に使用され得るが、これに限定されるものではない。
【0085】
特に、上記カーボネート系有機溶媒のうち環状カーボネートであるエチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートは高粘度の有機溶媒として誘電率が高く、電解質内のリチウム塩をより良好に解離させ得、このような環状カーボネートにジメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートのような低粘度、低誘電率の線状カーボネートを適当な割合で混合して使用すると、より高い電気伝導率を有する電解液を作り得る。
【0086】
また、上記有機溶媒のうちエーテルとしては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテルおよびエチルプロピルエーテルからなる群から選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物を使用し得るが、これに限定されるものではない。
【0087】
そして、上記有機溶媒のうちエステルとしては、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、α-バレロラクトンおよびβ-カプロラクトンからなる群から選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物を使用し得るが、これに限定されるものではない。
【0088】
上記非水電解液の注入は、最終製品の製造工程および要求物性に応じて、電気化学素子の製造工程中の好適な段階で行われ得る。すなわち、電気化学素子の組立前または電気化学素子の組立の最終段階などで適用され得る。
【0089】
このとき、上記二次電池は、リチウム金属二次電池、リチウムイオン二次電池、リチウムポリマー二次電池、またはリチウムイオンポリマー二次電池などを含むリチウム二次電池を含む。上記二次電池は、形態に応じて、円筒形、角形、またはパウチ型の二次電池を含み得る。
【0090】
以下、図面を通じて本発明をより詳細に説明する。本発明は、多様な変更を加えることができ、様々な形態を有し得るので、特定の実施形態を図面に例示し、本文に詳細に説明する。しかしながら、これは本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物または代替物を含むものとして理解されるべきである。
【実施例】
【0091】
[製造例]
正極活物質(LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2)、導電材(カーボンブラック)、バインダー(PVDF)をそれぞれ96:2:2の重量比でN-メチル-2-ピロリジン(NMP)に投入してミキシングして正極スラリーを製造し、製造された正極スラリーを正極集電体として厚さ20μmのアルミニウムホイルに3.1mAh/cm2の容量でコーティングして正極を製造した。
【0092】
人造黒鉛、導電材(カーボンブラック)、バインダー(PVDF)をそれぞれ96:2:2の重量比でN-メチル-2-ピロリジン(NMP)に投入してミキシングして負極スラリーを製造し、製造された負極スラリーを負極集電体として厚さ20μmの銅ホイルに3.1mAh/cm2の容量でコーティングして負極を製造した。上記正極と負極との間に分離膜(ポリエチレン素材、厚さ20μm)を介在してジェリーロールタイプの電極組立体を製造した。上記電極組立体は、電池ケースに装入した後に電解液を注入し、電池ケースをシーリングして直径が21mmである円筒型二次電池と直径が46mmである円筒型二次電池を製造した。上記電解液は、エチレンカーボネート(EC,Ethylene Carbonate)、エチルメチルカーボネート(EMC,Ethylmethylcarbonate)およびジメチルカーボネート(DMC,Dimetylcarbonate)20:20:60(体積比)の有機溶媒にLiPF6を1.4M濃度で添加して準備したものである。また、上記電解液のうち、ビニレンカーボネート(3vol%)およびスクシノニトリル(1vol%)が混合された。
[実験例1]
【0093】
(直径21mmの円筒型二次電池)
上記製造例により直径21mmの総6種(実施例1~実施例5および比較例1)の二次電池を製造した。各電池の活性化工程は次のように行われた。実施例1~実施例5の二次電池に対しては、それぞれ下記の表1のように初期充電段階と高温エージング(60℃、4時間)および常温エージング(12時間)とを含むデガッシング段階を行った。上記常温エージング段階でSOC65%まで追加充電を行った。その後、SOC100%満充電(4.2V)およびSOC0%(2.5V)まで放電する段階を行った。上記放電は、2.5Vまで1C CCモードおよび0.2C CVモードで行った。一方、比較例1は、既存の工程であって初期充電段階および高温エージングをしてデガッシングする段階を行わないことを除いては、上記実施例1~実施例5と同様の工程を行った。
【0094】
【0095】
初期充電SOCの選定
図1は実施例1~実施例5および比較例1の放電容量を評価した結果を図示したグラフである。
図1を参照すると、各実施例1~実施例5および比較例1において同一の二次電池を3個ずつ製造して放電容量を評価した結果、初期充電がSOC7%の範囲で行われた実施例4の場合、放電容量がその他の実施例および比較例に比べて優れていることが確認された。初期充電がSOC1%またはSOC3%の範囲の場合は、初期充電をしない場合と同様の放電容量を示すことが確認され、初期充電がSOC10%の場合のように適正水準を超える場合には、放電容量が減少することが確認された。
【0096】
高温エージング時間に応じた放電容量の評価
図2は直径21mmであり、初期充電がSOC7%の条件で製造された二次電池に対して、初期充電後の高温エージング時間に応じた放電容量を評価した結果を図示したグラフである。
図2を参照すると、初期充電がSOC7%の条件で製造された二次電池(実施例4)に対して、初期充電後の高温エージング時間に応じた放電容量を評価して、同一の二次電池2個の放電容量に対する結果は、表2から確認し得る。具体的には、エージング温度は60℃にし、エージング時間は0時間、1時間、2時間、3時間、4時間にした。これによると、エージング時間が1時間、2時間の場合に最大放電容量が100%を超えることが確認された。ただし、エージング時間が2時間を超える場合には、電池化学素子の劣化や副反応がもたらされ、むしろ放電容量が低くなる傾向が見られた。また、エージングをしない場合には、最も低い放電容量を示すことが確認された。
【0097】
【0098】
昇温時間および維持時間の測定
図3は、直径21mmの二次電池と直径46mmの二次電池の温度上昇プロファイル(profile)を示した図面である。
図3を参照すると、直径が21mmである二次電池を0.2Cの電流で充電しながら最高温度(60℃)の98%に到達する昇温時間は約30分であり、最高温度(60℃)の98%~100%を維持する維持時間は約30分と確認された。上記昇温時間と維持時間を加えた時間(約1時間)と上記表2の最大放電容量を示すときの高温エージング時間(1時間)の差は大きくなかった。
[実験例2]
【0099】
(直径46mmの円筒型二次電池)
上記製造例により直径46mmの総3種(実施例6~実施例8)の円筒型二次電池を製造した。それぞれ下記の表3のように、初期充電段階と、高温エージング(60℃、4時間)および常温エージング(12時間)とを含むデガッシング段階を行った。上記常温エージング段階でSOC65%まで追加充電を行った。その後、SOC100%満充電(4.2V)およびSOC0%(2.5V)まで放電する段階を行った。上記放電は、2.5Vまで1C CCモードおよび0.2C CVモードで行った。
【0100】
【0101】
初期充電SOCの選定
図4は実施例6~実施例8の放電容量を評価した結果を図示したグラフである。
図4を参照すると、各実施例6~実施例8において同一の二次電池を3個ずつ製造して放電容量を評価した結果は、初期充電がSOC9%の範囲で行われた実施例8の場合、放電容量がその他の実施例および比較例に比べて優れていることが確認された。
【0102】
高温エージング時間の推定
図3は、直径21mmの二次電池と直径46mmの二次電池の温度上昇プロファイル(profile)を示した図面である。そして、下記の表4は、最高温度の98%に到達する昇温時間と最高温度の98%~100%を維持する維持時間から高温エージングの遂行時間を予測した結果を示したものである。
図3および表4を参照すると、直径が46mmで最大放電容量を有する二次電池(実施例8)と直径が21mmで最大放電容量を有する二次電池(実施例4)の昇温時間は6倍の差があることが確認された。また、直径が21mmで最大放電容量を有する二次電池(実施例4)の維持時間は30分と確認された。これにより、直径が46mmで最大放電容量を有する二次電池(実施例8)の維持時間は、昇温時間のように6倍の差がある3時間と推定し得る。これは、電池のサイズが増加するにつれて、昇温時間の増加量ほど維持時間も比例して増加するためである。
【0103】
さらに、実施例1において上述したように、昇温時間と維持時間を加えた時間と最大放電容量を示す高温エージング時間の差が大きくないことを確認し得た。これにより、直径が46mmで最大放電容量を有する二次電池(実施例8)の高温エージング時間は、昇温時間と維持時間を加えた時間である6時間が好適な時間であると推定し得る。
【0104】
【0105】
高温エージング時間に応じた放電容量の評価
図5は、直径が46mmであり、初期充電がSOC9%の条件で製造された二次電池に対して、初期充電後の高温エージング時間に応じた放電容量を評価した結果を図示したグラフである。
図5を参照すると、初期充電がSOC9%の条件で製造された二次電池(実施例8)に対して、初期充電後の高温エージング時間に応じた放電容量を評価して、同一の二次電池2個の放電容量に対する結果は、[表5]で確認し得る。具体的には、エージング温度は60℃にし、エージング時間は0時間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間にした。これによると、エージング時間が4時間、6時間、8時間の場合、平均放電容量が100%を超え、そのうちエージング時間が6時間であるとき最大放電容量を示した。これにより、前に推定した昇温時間と維持時間に応じた高温エージング時間と一致することを確認し得た。
【0106】
【0107】
初期充電SOCおよび高温エージング時間に応じた放電容量の評価
図6は直径が46mmである二次電池の初期充電SOCおよび高温エージング時間に応じた放電容量を評価した結果を示したグラフである。
図6を参照すると、初期充電SOCは9%の範囲にあり、高温エージング過程を6時間経過した二次電池の場合、初期充電SOCおよび高温エージングをしない二次電池と初期充電SOCが7%の範囲であり、高温エージングを2時間行った二次電池より高い放電容量を有することが確認された。
【0108】
したがって、二次電池の直径が変化する場合、最大放電容量を有する初期充電SOCおよび高温エージング時間が異なり得るので、好適な初期充電SOCと高温エージング時間を設定する必要性がある。本発明により二次電池のサイズが異なる場合、放電容量評価により好適な初期充電SOCを選定し得、温度上昇プロファイルの昇温時間と維持時間を算出して好適な高温エージング時間を予測し得る。このような活性化工程を経た二次電池は、電池の内部に発生したガスを効率的に排出して最大可用容量を確保し得る。
【国際調査報告】