(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-06
(54)【発明の名称】低ドロップアウトレギュレータ
(51)【国際特許分類】
G05F 1/56 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
G05F1/56 310C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530011
(86)(22)【出願日】2021-11-26
(85)【翻訳文提出日】2023-07-14
(86)【国際出願番号】 GB2021053082
(87)【国際公開番号】W WO2022112785
(87)【国際公開日】2022-06-02
(32)【優先日】2020-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522343094
【氏名又は名称】アジャイル アナログ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】AGILE ANALOG LTD
【住所又は居所原語表記】Radio House, St. Andrews Road, Cambridge CB4 1DL, United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【氏名又は名称】狩生 咲
(74)【代理人】
【識別番号】100205648
【氏名又は名称】森田 真一
(72)【発明者】
【氏名】バナパゴル,マリカルジュン
【テーマコード(参考)】
5H430
【Fターム(参考)】
5H430BB01
5H430BB09
5H430BB11
5H430EE06
5H430FF01
5H430FF13
5H430GG08
5H430HH03
5H430JJ04
(57)【要約】
第1OTAトランジスタのゲート領域は、レファレンス電圧を受け取るように構成され、第2OTAトランジスタのゲート領域は、負荷電圧を示す電圧を受け取るように構成されている。適応補償回路は、(i)第1電極及び第2電極を有する第1補償キャパシタと、(ii)第1電極及び第2電極を有する第2補償キャパシタと、(iii)第1補償トランジスタと、を備え、第1補償キャパシタの第2電極は、第1補償トランジスタの第1領域と接続され、第2補償キャパシタの第1電極は、第1補償トランジスタの第2領域及びゲート領域の両方と接続されている。第2OTAトランジスタの第1領域は、(i)電源電圧接続部、(ii)第1補償キャパシタの第1電極、(iii)バイアストランジスタのゲート領域と接続されている。第2補償キャパシタの第2電極は、バイアストランジスタの第1領域と接続されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電圧を受け取るための電源電圧接続部と、
負荷電圧を負荷に供給するための負荷電圧出力接続部と、
ゲート領域の電圧に基づいて前記負荷電圧を調整するように構成されたパストランジスタを備えた負荷電圧出力制御回路と、
適応バイアス回路と、
適応補償回路と、
を備え、
前記適応バイアス回路は、
ゲート領域に供給される電圧に基づいて、前記パストランジスタの前記ゲート領域に供給される電圧を調整するように構成されたバイアストランジスタと、
第1OTAトランジスタ及び第2OTAトランジスタを備えたオペレーショナルトランスコンダクタンスアンプ(OTA)回路と、
を備え、
前記第1OTAトランジスタのゲート領域は、レファレンス電圧を受け取るように構成され、前記第2OTAトランジスタのゲート領域は、前記負荷電圧を示す電圧を受け取るように構成され、
前記適応補償回路は、(i)第1電極及び第2電極を有する第1補償キャパシタと、(ii)第1電極及び第2電極を有する第2補償キャパシタと、(iii)第1補償トランジスタと、を備え、前記第1補償キャパシタの前記第2電極は、前記第1補償トランジスタの第1領域と接続され、前記第2補償キャパシタの前記第1電極は、前記第1補償トランジスタの第2領域及びゲート領域の両方と接続され、
前記第2OTAトランジスタの第1領域は、(i)前記電源電圧接続部、(ii)前記第1補償キャパシタの前記第1電極、(iii)前記バイアストランジスタの前記ゲート領域と接続され、
前記第2補償キャパシタの前記第2電極は、前記バイアストランジスタの第1領域と接続されている、
低ドロップアウトレギュレータ。
【請求項2】
請求項1に記載の低ドロップアウトレギュレータにおいて、
前記パストランジスタの第1領域は、前記電源電圧接続部と接続され、前記パストランジスタの第2領域は前記負荷電圧出力接続部と接続される、
低ドロップアウトレギュレータ。
【請求項3】
請求項2に記載の低ドロップアウトレギュレータにおいて、
センシング回路をさらに備え、
前記センシング回路は、前記パストランジスタの前記ゲート領域と接続されたゲート領域と、前記電源電圧接続部と接続された第1領域とを有するセンストランジスタを備えている、
低ドロップアウトレギュレータ。
【請求項4】
請求項3に記載の低ドロップアウトレギュレータにおいて、
前記センシング回路は、前記センストランジスタ及び前記適応補償回路の両方と接続された第1カレントミラーを備えている、
低ドロップアウトレギュレータ。
【請求項5】
請求項4に記載の低ドロップアウトレギュレータにおいて、
前記第1カレントミラーは、(i)前記第2補償キャパシタの前記第1電極、(ii)前記第1補償トランジスタの前記ゲート領域、及び(iii)前記第1補償トランジスタの前記第2領域と接続された第1領域を有する第1ミラーリングトランジスタを備えている、
低ドロップアウトレギュレータ。
【請求項6】
請求項5に記載の低ドロップアウトレギュレータにおいて、
前記第1カレントミラーは、第1ミラートランジスタを備え、
前記センストランジスタの第2領域は、(i)前記第1ミラートランジスタの第1領域、(ii)前記第1ミラートランジスタのゲート領域、及び(iii)前記第1ミラーリングトランジスタのゲート領域と接続されている、
低ドロップアウトレギュレータ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の低ドロップアウトレギュレータにおいて、
前記適応補償回路は、第2補償トランジスタを備え、
前記第1補償トランジスタの前記第1領域は、前記第2補償トランジスタを介して前記電源電圧接続部と接続されている、
低ドロップアウトレギュレータ。
【請求項8】
請求項7に記載の低ドロップアウトレギュレータにおいて、
前記第2補償トランジスタの第1領域は前記電源電圧接続部と接続され、前記第2補償トランジスタの第2領域及びゲート領域は短絡され、前記第1補償キャパシタの前記第2電極及び前記第1補償トランジスタの前記第1領域の両方と接続されている、
低ドロップアウトレギュレータ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の低ドロップアウトレギュレータにおいて、
前記適応補償回路は、前記第2補償キャパシタの前記第2電極と前記バイアストランジスタの前記第1領域との間に配置された補償抵抗器をさらに備えている、
低ドロップアウトレギュレータ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の低ドロップアウトレギュレータにおいて、
前記パストランジスタの前記ゲート領域は、1つ以上の抵抗器を介して前記電源電圧接続部と接続されている、
低ドロップアウトレギュレータ。
【請求項11】
請求項10に記載の低ドロップアウトレギュレータにおいて、
前記バイアストランジスタの前記第1領域は、前記1つ以上の抵抗器を介して前記電源電圧接続部と接続されている、
低ドロップアウトレギュレータ。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の低ドロップアウトレギュレータにおいて、
前記パストランジスタの前記ゲート領域と接続されたゲート領域と、前記電源電圧接続部と接続された第1及び第2領域とを有する抵抗トランジスタをさらに備え、
前記第1及び第2領域の少なくとも一方が、前記1つ以上の抵抗器の1つを介して前記電源電圧接続部と接続されている、
低ドロップアウトレギュレータ。
【請求項13】
請求項12に記載の低ドロップアウトレギュレータにおいて、
前記抵抗トランジスタの前記ゲート領域及び前記第2領域は短絡されている、
低ドロップアウトレギュレータ。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の低ドロップアウトレギュレータにおいて、
前記バイアストランジスタの前記第1領域は、前記抵抗トランジスタの前記第2領域と接続されている、
低ドロップアウトレギュレータ。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項に記載の低ドロップアウトレギュレータにおいて、
前記適応バイアス回路は、電流バッファを備え、
前記バイアストランジスタの前記ゲート領域は、前記電流バッファを介して前記電源電圧接続部、前記第1補償キャパシタの前記第1電極、及び前記第2OTAトランジスタの前記第1領域と接続されている、
低ドロップアウトレギュレータ。
【請求項16】
請求項15に記載の低ドロップアウトレギュレータにおいて、
前記電流バッファは、(i)前記電源電圧接続部、(ii)前記第1補償キャパシタの前記第1電極、及び(iii)前記第2OTAトランジスタの前記第1領域と接続された第1領域と、前記バイアストランジスタの前記ゲート領域と接続された第2領域とを有する第1トランジスタを備えている、
低ドロップアウトレギュレータ。
【請求項17】
請求項16に記載の低ドロップアウトレギュレータにおいて、
前記電流バッファは、前記電源電圧接続部及び前記第1OTAトランジスタの第1領域の両方と接続された第1領域を有する第2トランジスタを備えている、
低ドロップアウトレギュレータ。
【請求項18】
請求項17に記載の低ドロップアウトレギュレータにおいて、
前記電流バッファの前記第1トランジスタのゲート領域は、前記電流バッファの前記第2トランジスタのゲート領域と接続されている、
低ドロップアウトレギュレータ。
【請求項19】
請求項17又は18に記載の低ドロップアウトレギュレータにおいて、
前記電流バッファの前記第2トランジスタの第2領域は、第3補償キャパシタの第1電極と接続され、前記第3補償キャパシタの第2電極は、前記負荷電圧出力接続部と接続されている、
低ドロップアウトレギュレータ。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか1項に記載の低ドロップアウトレギュレータにおいて、
前記負荷電圧出力接続部は、(i)前記低ドロップアウトレギュレータを前記負荷と接続するための接続ポート、及び(ii)出力キャパシタの第1電極と接続され、
例えば、前記出力キャパシタの第2電極は、グラウンドなどのレファレンス電圧と接続されている、
低ドロップアウトレギュレータ。
【請求項21】
請求項15から20のいずれか1項に記載の低ドロップアウトレギュレータにおいて、
第2カレントミラーを備え、
前記第2カレントミラーは、前記電流バッファ及び前記バイアストランジスタの前記ゲート領域と接続されている、
低ドロップアウトレギュレータ。
【請求項22】
請求項19に従属する請求項21に記載の低ドロップアウトレギュレータにおいて、
前記第2カレントミラーは、前記第3補償キャパシタの前記第1電極にも接続されている、
低ドロップアウトレギュレータ。
【請求項23】
請求項1から22のいずれか1項に記載の低ドロップアウトレギュレータにおいて、
前記電源電圧接続部を前記第1及び前記第2のOTAトランジスタの前記第1領域、前記第1補償キャパシタの前記第1電極、及び前記バイアストランジスタの前記ゲート領域と接続するように構成された制御電流源を備えている、
低ドロップアウトレギュレータ。
【請求項24】
請求項23に記載の低ドロップアウトレギュレータにおいて、
前記制御電流源は、
前記電源電圧接続部と接続された第1領域と、前記第1OTAトランジスタの前記第1領域と接続された第2領域と、を有する第1トランジスタと、
前記電源電圧接続部と接続された第1領域と、前記補償キャパシタの前記第1電極、前記第2OTAトランジスタの前記第1領域、及び前記バイアストランジスタの前記ゲート領域と接続された第2領域と、を有する第2トランジスタと、
を備え、
前記制御電流源の前記第1トランジスタのゲート領域は、前記制御電流源の前記第2トランジスタのゲート領域と接続されている、
低ドロップアウトレギュレータ。
【請求項25】
負荷と、低ドロップアウトレギュレータと、を備え、
前記低ドロップアウトレギュレータは、前記負荷と接続され、前記負荷に供給される負荷電圧を調整するように構成され、
前記低ドロップアウトレギュレータは、
電源電圧を受け取るための電圧入力接続部と、
第1領域、第2領域、及びゲート領域を備えたパストランジスタを備えた負荷電圧出力回路と、
適応バイアス回路と、
適応補償回路と、
を備え、
前記パストランジスタの前記第2領域は、前記負荷と接続され、
前記パストランジスタは、前記パストランジスタの前記ゲート領域の電圧に基づいて前記負荷に供給される前記負荷電圧を調整するように構成され、
前記適応バイアス回路は、
ゲート領域に供給される電圧に基づいて、前記パストランジスタの前記ゲート領域に供給される電圧を調整するように構成されたバイアストランジスタと、
第1OTAトランジスタ及び第2OTAトランジスタを備えたオペレーショナルトランスコンダクタンスアンプ(OTA)回路と、
を備え、
前記第1OTAトランジスタのゲート領域は、レファレンス電圧を受け取るように構成され、前記第2OTAトランジスタのゲート領域は、前記負荷電圧を示す電圧を受け取るように構成され、
前記適応補償回路は、(i)第1電極及び第2電極を有する第1補償キャパシタと、(ii)第1電極及び第2電極を有する第2補償キャパシタと、(iii)第1補償トランジスタと、を備え、前記第1補償キャパシタの前記第2電極は、前記補償トランジスタの第1領域と接続され、前記第2補償キャパシタの前記第1電極は、前記補償トランジスタの第2領域及び前記補償トランジスタのゲート領域の両方と接続され、
前記第2OTAトランジスタの第1領域は、(i)前記電源電圧接続部、(ii)前記第1補償キャパシタの前記第1電極、(iii)前記バイアストランジスタの前記ゲート領域と接続され、
前記第2補償キャパシタの前記第2電極は、前記バイアストランジスタの第1領域と接続されている、
電気回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レギュレータの分野に関し、特に、低ドロップアウトレギュレータの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
電圧レギュレータを使用すると、より安定した電源電圧を提供することができる。例えば、バッテリ等の電源を負荷と接続して、負荷に電力を供給することができる。電源及び負荷の特性の変動により、電源から負荷に供給される電源電圧が変動する場合がある。変動する可能性のあるこれらの特性の例としては、負荷インピーダンス、温度、バッテリからの出力電圧等、両者が接続されてからの時間等が挙げられる。例えば、バッテリがほとんど放電しているときの出力電圧は、バッテリが完全に充電されているときの出力電圧の半分になることがある。電圧レギュレータは、電源から供給電圧を受け取り、負荷に負荷電圧を供給するように設計されており、その供給電圧は、時間の経過とともに比較的一定になるように意図されている。レギュレータからの負荷電圧が以前の低ドロップアウトレギュレータよりも安定している、改良された低ドロップアウトレギュレータを提供すること、すなわち、より優れた負荷電圧レギュレーションを提供することは有利であろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の態様は独立請求項に記載され、任意の特徴は従属請求項に記載される。本開示の態様は、互いに関連して提供されてもよく、1つの態様の特徴は、他の態様に適用されてもよい。
【0004】
一態様では、電源電圧を受け取るための電源電圧接続部と、負荷電圧を負荷に供給するための負荷電圧出力接続部と、ゲート領域の電圧に基づいて負荷電圧を調整するように構成されたパストランジスタを備えた負荷電圧出力制御回路と、適応バイアス回路と、適応補償回路と、を備える低ドロップアウトレギュレータが提供される。適応バイアス回路は、ゲート領域に供給される電圧に基づいて、パストランジスタのゲート領域に供給される電圧を調整するように構成されたバイアストランジスタと、第1OTAトランジスタ及び第2OTAトランジスタを備えたオペレーショナルトランスコンダクタンスアンプ(OTA)回路と、を備えている。第1OTAトランジスタのゲート領域は、レファレンス電圧を受け取るように構成され、第2OTAトランジスタのゲート領域は、負荷電圧を示す電圧を受け取るように構成されている。適応補償回路は、(i)第1電極及び第2電極を有する第1補償キャパシタと、(ii)第1電極及び第2電極を有する第2補償キャパシタと、(iii)第1補償トランジスタと、を備え、第1補償キャパシタの第2電極は、第1補償トランジスタの第1領域と接続され、第2補償キャパシタの第1電極は、第1補償トランジスタの第2領域及びゲート領域の両方と接続されている。
【0005】
第2OTAトランジスタの第1領域は、(i)電源電圧接続部、(ii)第1補償キャパシタの第1電極、(iii)バイアストランジスタのゲート領域と接続されている。第2補償キャパシタの第2電極は、バイアストランジスタの第1領域と接続されている。
【0006】
本開示の低ドロップアウトレギュレータがより大きな安定性を有することができるため、実施の形態は、改良された低ドロップアウトレギュレータの提供を可能にし得る。すなわち、本開示の低ドロップアウトレギュレータは、(レギュレータの伝達関数に対する)出力極が、レギュレータのゼロによって補償(例えば相殺)されることを可能にし得る。低ドロップアウトレギュレータは、すべての動作条件にわたって良好な位相マージンを有するように提供され得る。分割補償キャパシタは、レギュレータのDC動作条件に影響を与えることなく、安定性の向上と良好な位相マージンとを可能にし得る。
【0007】
パストランジスタの第1領域が電源電圧接続部と接続され、パストランジスタの第2領域が負荷電圧出力接続部と接続されてもよい。レギュレータは、センシング回路をさらに備えてもよく、センシング回路は、パストランジスタのゲート領域と接続されたゲート領域と、電源電圧接続部と接続された第1領域とを有するセンストランジスタを備える。センシング回路は、センストランジスタと適応補償回路との両方と接続された第1カレントミラーを備えてもよい。第1カレントミラーは、(i)第2補償キャパシタの第1電極、(ii)第1補償トランジスタのゲート領域、及び(iii)第1補償トランジスタの第2領域と接続された第1領域を有する第1ミラーリングトランジスタを備えてもよい。第1カレントミラーは、第1ミラートランジスタを備えてもよい。センストランジスタの第2領域は、(i)第1ミラートランジスタの第1領域、(ii)第1ミラートランジスタのゲート領域、及び(iii)第1ミラーリングトランジスタのゲート領域と接続されてもよい。
【0008】
適応補償回路は、第2補償トランジスタ備えてもよい。第1補償トランジスタの第1領域は、第2補償トランジスタを介して電源電圧接続部と接続されてもよい。第2補償トランジスタの第1領域は電源電圧接続部に結合されてもよく、その第2領域とゲート領域とは短絡され、第1補償キャパシタの第2電極及び第1補償トランジスタの第1領域の両方と接続される。適応補償回路は、第2補償キャパシタの第2電極とバイアストランジスタの第1領域との間に配置された補償抵抗器をさらに備えてもよい。
【0009】
パストランジスタのゲート領域は、1つ以上の抵抗器を介して電源電圧接続部と接続されてもよい。バイアストランジスタの第1領域は、1つ以上の抵抗器を介して電源電圧接続部と接続されてもよい。レギュレータは、パストランジスタのゲート領域と接続されたゲート領域と、電源電圧接続部に結合された第1及び第2領域とを有する抵抗トランジスタをさらに備えてもよい。第1及び第2領域の少なくとも一方は、1つ以上の抵抗器の1つを介して電源電圧接続部と接続されてもよい。抵抗トランジスタのゲート領域と第2領域とが短絡されてもよい。バイアストランジスタの第1領域は、抵抗トランジスタの第2領域と接続されてもよい。
【0010】
適応バイアス回路は、電流バッファを含んでもよい。バイアストランジスタのゲート領域は、電流バッファを介して、電源電圧接続部、第1補償キャパシタの第1電極、及び第2OTAトランジスタの第1領域と接続されてもよい。電流バッファは、(i)電源電圧接続部、(ii)第1補償キャパシタの第1電極、及び(iii)第2OTAトランジスタの第1領域と接続された第1領域と、バイアストランジスタのゲート領域と接続された第2領域とを有する第1トランジスタを備えてもよい。電流バッファの第1トランジスタのゲート領域は、電流バッファの第2トランジスタのゲート領域と接続されてもよい。電流バッファの第2トランジスタの第2領域は、第3補償キャパシタの第1電極と接続されてもよい。第3補償キャパシタの第2電極は、負荷電圧出力接続部と接続されてもよい。レギュレータはテールトランジスタを備えてもよい。第1及び第2OTA領域の各々の第2領域は、テールトランジスタの第1領域と接続されてもよい。テールトランジスタのゲート領域は、バイアス電圧を受けるように構成されてもよい。
【0011】
負荷電圧出力接続部は、(i)レギュレータを負荷と接続するための接続ポート、及び(ii)出力キャパシタの第1電極と接続されてもよい。出力キャパシタの第2電極は、グラウンド等のレファレンス電圧と接続されてもよい。レギュレータは、第2カレントミラーを備えてもよい。第2カレントミラーは、電流バッファ及びバイアストランジスタのゲート領域と接続されてもよい。第2カレントミラーは、第3補償キャパシタの第1電極にも接続されてもよい。レギュレータは、電源電圧接続部を第1及び第2OTAトランジスタの第1領域、第1補償キャパシタの第1電極、及びバイアストランジスタのゲート領域と接続するように構成された制御電流源を備えてもよい。制御電流源は、電源電圧接続部に結合された第1領域と、第1OTAトランジスタの第1領域と接続された第2領域とを有する第1トランジスタと、電源電圧接続部と接続された第1領域と、補償キャパシタの第1電極、第2OTAトランジスタの第1領域、及びバイアストランジスタのゲート領域と接続された第2領域とを有する第2トランジスタと、を備える。制御電流源の第1トランジスタのゲート領域は、制御電流源の第2トランジスタのゲート領域と接続されてもよい。
【0012】
一態様において、負荷と低ドロップアウトレギュレータとを含む電気回路が提供される。レギュレータは負荷と接続され、負荷に供給される負荷電圧を調整するように構成される。ドロップアウトレギュレータは、電源電圧を受け取るための電圧入力接続部と、第1領域、第2領域、及びゲート領域を備えたパストランジスタを備えた負荷電圧出力回路と、適応バイアス回路と、適応補償回路と、を備えている。パストランジスタの第2領域は、負荷と接続されている。パストランジスタは、パストランジスタのゲート領域の電圧に基づいて負荷に供給される負荷電圧を調整するように構成されている。適応バイアス回路は、ゲート領域に供給される電圧に基づいて、パストランジスタのゲート領域に供給される電圧を調整するように構成されたバイアストランジスタと、第1OTAトランジスタ及び第2OTAトランジスタを備えたオペレーショナルトランスコンダクタンスアンプ(OTA)回路と、を備えている。第1OTAトランジスタのゲート領域は、レファレンス電圧を受け取るように構成され、第2OTAトランジスタのゲート領域は、負荷電圧を示す電圧を受け取るように構成されている。適応補償回路は、(i)第1電極及び第2電極を有する第1補償キャパシタと、(ii)第1電極及び第2電極を有する第2補償キャパシタと、(iii)第1補償トランジスタと、を備え、第1補償キャパシタの第2電極は、補償トランジスタの第1領域と接続され、第2補償キャパシタの第1電極は、補償トランジスタの第2領域及び補償トランジスタのゲート領域の両方と接続されている。第2OTAトランジスタの第1領域は、(i)電源電圧接続部、(ii)第1補償キャパシタの第1電極、(iii)バイアストランジスタのゲート領域と接続されている。第2補償キャパシタの第2電極は、バイアストランジスタの第1領域と接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】例示的な低ドロップアウトレギュレータの概略回路図である。
【
図2】例示的な低ドロップアウトレギュレータの異なる構成要素間の関係を示す概略図である。
【
図3】例示的な低ドロップアウトレギュレータの概略回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本開示のいくつかの例を、単なる例として、図面を参照しながら説明する。図面では、同様の要素を示すために同様の符号が使用されている。
【0015】
<概要>
本明細書では、レギュレータの動作に可変時定数を提供する適応補償回路を含む低ドロップアウトレギュレータの例を開示する。適応補償回路は、第1補償抵抗を挟んで分割された第1及び第2補償キャパシタを備えている。第1補償トランジスタの第1領域は第1補償キャパシタと接続され、第1補償トランジスタのゲート領域及び第2領域の両方は、第2補償キャパシタと接続される。本開示のレギュレータは、レギュレータから出力される負荷電圧を調整するための負荷電圧出力制御回路も含む。電圧出力制御回路の動作を制御するために、適応バイアス回路が組み込まれている。適応補償回路の時定数を変化させるように機能し得るセンシング回路も含まれる。
【0016】
負荷電圧出力制御回路は、自身のゲート領域の電圧に依存してレギュレータから出力される負荷電圧を変化させるように機能するパストランジスタを含む。適応バイアス回路は、自身のゲート領域の電圧に依存してパストランジスタのゲート領域の電圧を変化させるように機能するバイアストランジスタを含む。バイアストランジスタのゲート領域に大きな電圧が印加されると、より多くの電流がバイアストランジスタを通ってパストランジスタから流れ、パストランジスタのゲート領域の電圧が低下する。これにより、パストランジスタにより多くの電流が流れ、レギュレータから出力される負荷電圧が上昇する。
【0017】
適応バイアス回路は、トランスコンダクタンスオペアンプ回路等の電圧制御電流源を含む。電圧制御電流源は、負荷電圧を受け取り、負荷電圧に依存して電圧制御電流源を流れる電流を制御するように構成される。負荷電圧が上昇すると、電圧制御電流源を流れる電流も増加する(逆も同様)。電圧制御電流源がバイアストランジスタのゲート領域と接続されているので、バイアストランジスタのゲート領域の電圧は、電圧制御電流源を流れる電流の流れに依存し、したがって負荷電圧に依存する。(負荷電圧が上昇するのに応じて)電圧制御電流源により多くの電流が流れると、バイアストランジスタのゲート領域に印加される電圧が低下し、これにより、パストランジスタのゲート領域に印加される電圧が低下し、したがって負荷電圧出力も低下する。
【0018】
センシング回路は、適応補償回路を通る電流の流れを制御するように構成されている。センシング回路は、パストランジスタのゲート領域と接続されたゲート領域を有するセンストランジスタを含む。したがって、センストランジスタを流れる電流量は、パストランジスタを流れる電流量に対応する。センシング回路は、センストランジスタを流れる電流に依存して、適応補償回路を流れる電流を変化させるように構成されている。
【0019】
適応補償回路は、適応バイアス回路及びセンシング回路と接続されるように構成される。第1補償キャパシタは、電圧制御電流源及びバイアストランジスタのゲート領域に結合される。第2補償コンデンサは、バイアストランジスタの第1領域と接続される。第2補償キャパシタと、第1補償トランジスタの第2領域及びゲート領域とは、センシング回路と接続されている。適応補償回路を流れる電流を制御するためのセンシング回路の動作は、バイアストランジスタに流れる電流に影響を与え、それによってレギュレータから出力される負荷電圧を変化させる。
【0020】
レギュレータに可変時定数を提供する適応補償回路を備えたこの構成により、レギュレータのすべての動作条件にわたって良好な位相マージンを実現することを可能にする。レギュレータは、負荷電圧出力制御回路及び適応バイアス回路を使用して適切な出力極のトラッキングを提供するように構成されているため、分割キャパシタを備えた適応補償回路は、レギュレータのDC動作を損なうことなく、関連するゼロのトラッキングを実現する。したがって、実施の形態は、より安定した低ドロップアウトレギュレータを提供することができる。
【0021】
<具体的説明>
次に、低ドロップアウトレギュレータの一例を、
図1を参照して説明する。このような低ドロップアウトレギュレータの機能と動作について、
図2を参照して説明し、後で、このような低ドロップアウトレギュレータの追加的及び代替的な特徴について、
図3を参照して説明する。
【0022】
図1は、低ドロップアウトレギュレータ100を示している。レギュレータ100は、適応補償回路130を備え、適応補償回路130は、第1補償キャパシタ131、第2補償キャパシタ132、第1補償トランジスタ133、補償抵抗器134、及び第2補償トランジスタ135を含む。
【0023】
レギュレータ100は、電源電圧VDDを受けるための電源電圧接続部101を含む。また、レギュレータ100は、負荷電圧出力制御回路110を含み、負荷電圧出力制御回路110は、負荷電圧出力接続部112、パストランジスタ111、第3補償キャパシタ113、出力キャパシタ114、及び負荷接続ポート115を含む。
図1には、負荷116も示されている。レギュレータ100は、第1抵抗器170も含む。
【0024】
レギュレータ100は、センストランジスタ141を備えたセンシング回路140、第1カレントミラー145を含む。第1カレントミラー145は、第1ミラーリングトランジスタ146、第1ミラートランジスタ147を備えている。
【0025】
レギュレータ100は適応バイアス回路を備えている。適応バイアス回路は、オペレーショナルトランスコンダクタンスアンプ(「OTA」)回路120として示される電圧制御電流源を含む。OTA回路120は、第1OTAトランジスタ121、第2OTAトランジスタ122、テールトランジスタ125を含む。また、適応バイアス回路は、バイアストランジスタ150、電流バッファ160を含む。電流バッファ160は、第1トランジスタ161、第2トランジスタ162を含む。また、適応バイアス回路は、第2ミラーリングトランジスタ181及び第2ミラートランジスタ182を含む第2カレントミラー180を含む。また、適応バイアス回路は、第1トランジスタ191、第2トランジスタ192を備えた制御電流源190を備えている。
【0026】
図1のレギュレータ100において、各トランジスタは、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ等の電界効果トランジスタである。
図1トランジスタはすべて、トランジスタのソース領域と接続するためのソース接続部(矢印で識別)と、トランジスタのドレイン領域と接続するためのドレイン接続部と、トランジスタのゲート領域と接続するためのゲート接続部(ソース接続部とドレイン接続部との間)とを有する。
図1のNチャネルトランジスタは、ソース接続部の矢印がゲート領域から離れる方向に向けられた状態で示されており、
図1のPチャネルトランジスタは、ソース接続部の矢印がゲート領域に向けられた状態で示されている。導体間の接続は黒丸で示されている。
【0027】
図1に示す回路では、3つの領域で回路に電圧が供給される。これら3つの電圧は、電源電圧VDD、レファレンス電圧Vref、バイアス電圧VNbiasである。電源電圧VDDは、バッテリ等の直流電源から受け取ってもよい。電源電圧VDDは、電源電圧接続部101を介して回路の構成要素に供給され、電源電圧接続部101は、第1抵抗器170、制御電流源190の第1及び第2トランジスタ191,192、第2補償トランジスタ135、センストランジスタ141、及びパストランジスタ111の各々のソース領域と接続されている。第1OTAトランジスタ121のゲート接続は、レファレンス電圧を受け取るように構成されている。テールトランジスタ125のゲート接続は、バイアス電圧を受けるように構成されている。
【0028】
第1OTAトランジスタ121及び第2OTAトランジスタ122はNチャネルトランジスタである。第1及び第2OTAトランジスタのそれぞれのドレイン領域は、制御電流源のトランジスタ191、192のいずれかを介して電源電圧接続部101にそれぞれ接続されている。第1OTAトランジスタ121のソース領域は、第2OTAトランジスタ122のソース領域と接続されている。2つのOTAトランジスタのソース領域間の接続は、テールトランジスタ125のドレイン領域と接続されている。テールトランジスタ125のソース領域は接地にグラウンドと接続されている。
【0029】
第1OTAトランジスタ121は、制御電流源190の第1トランジスタ191を介して電源電圧接続部101と接続されている。第1OTAトランジスタ121のドレイン領域は、制御電流源190の第1トランジスタ191のドレイン領域と接続されている。制御電流源190の第1トランジスタ191及び第2トランジスタ192は、共にPチャネルトランジスタである。制御電流源190の第1トランジスタ191のソース領域は、制御電流源190の第2トランジスタ192のソース領域と同様に、電源電圧接続部101と接続されている。制御電流源190の第1トランジスタ191のゲート領域は、制御電流源190の第2トランジスタ192のゲート領域と接続されている。第2OTAトランジスタ122は、制御電流源190の第2トランジスタ192を介して、制御電流源190の電源電圧接続部101と接続されている。第2OTAトランジスタ122のドレイン領域は、制御電流源190の第2トランジスタ192のドレイン領域と接続されている。
【0030】
制御電流源190の第1トランジスタ191も、電流バッファ160と接続されている。具体的には、制御電流源190の第1トランジスタ191のドレイン領域は、電流バッファ160の第2トランジスタ162のソース領域と接続されている。電流バッファ160の第1トランジスタ161及び第2トランジスタ162は、共にPチャネルトランジスタである。制御電流源190の第1トランジスタ191も、第1OTAトランジスタ121と接続されているので、第1OTAトランジスタ121と制御電流源190の第1トランジスタ191との間の接続は、電流バッファ160の第2トランジスタ162と接続されている。言い換えれば、制御電流源190の第1トランジスタ191のドレイン領域から、第1OTAトランジスタ121のドレイン領域への1つの経路と、カレントミラーの第2トランジスタ162のソース領域への1つの経路との間で分岐するの導電経路が存在する。
【0031】
制御電流源190の第2トランジスタ192は、電流バッファ160、補償回路130、及びOTA回路120の各々にも接続されている。具体的には、制御電流源190の第2トランジスタ192のドレイン領域は、第1補償キャパシタ131の第1電極と接続され、電流バッファ160の第1トランジスタ161のソース領域と接続され、第2OTAトランジスタ122のドレイン領域と接続される。言い換えれば、制御電流源190の第2トランジスタ192のドレイン領域から、第1補償キャパシタ131の第1電極への第1経路と、第2OTAトランジスタ122のドレイン領域への第2経路と、電流バッファ160の第1トランジスタ161のソース領域への第3経路との間で分岐する導電経路が存在する。
【0032】
電流バッファ160の第1トランジスタ161は、バイアストランジスタ150及び第2カレントミラー180の各々とも接続されている。具体的には、電流バッファ160の第1トランジスタ161のドレイン領域は、第2ミラーリングトランジスタ181のドレイン領域及びバイアストランジスタ150のゲート領域の両方と接続されている。第2ミラーリングトランジスタ181及び第2ミラートランジスタ182は、いずれもNチャネルトランジスタである。バイアストランジスタ150は、Nチャネルトランジスタである。
【0033】
電流バッファ160の第2トランジスタ162は、第3補償キャパシタ113及び第2カレントミラー180の各々とも接続されている。具体的には、電流バッファ160の第2トランジスタ162のドレイン領域は、第3補償キャパシタ113の第1電極、及び第2カレントミラー180の第2ミラートランジスタ182のドレイン領域の両方と接続されている。第2ミラートランジスタ182のゲート領域及びドレイン領域は、ダイオード接続トランジスタの要領で短絡されている。第2ミラートランジスタ182のゲート領域及び第2ミラーリングトランジスタ181のゲート領域も相互接続されている。したがって、電流バッファ160の第2トランジスタ162、第3補償キャパシタ113、第2ミラートランジスタ182のゲート領域及びドレイン領域の両方、及び第2ミラーリングトランジスタ181のゲート領域の間には接続部がある。第2ミラートランジスタ182及び第2ミラーリングトランジスタ181のそれぞれのソース領域は、それぞれグラウンドと接続されている。
【0034】
適応補償回路130は、電源電圧接続部101と接続されている。具体的には、第2補償トランジスタ135のソース領域は、電源電圧接続部101と接続されている。第2補償トランジスタ135は、ゲート領域がドレイン領域と短絡されたPチャネルトランジスタからなる。第1補償キャパシタ131の第2電極は、第2補償トランジスタ135のゲート領域とドレイン領域との間の接続部と接続されている。第1補償トランジスタ133は、Pチャネルトランジスタからなる。第2補償トランジスタ135のドレイン領域及びゲート領域、及び第1補償キャパシタ131の第2電極は、第1補償トランジスタ133のソース領域と接続されている。第1補償トランジスタ133のゲート領域及びドレイン領域は互いに接続されている(例えば、ダイオード接続されている)。第1補償トランジスタ133の第2領域及びゲート領域は、第2補償キャパシタ132の第1電極とも接続されている。したがって、第1及び第2補償キャパシタは、実質的に、第1補償トランジスタ133を挟んで分割される結合補償キャパシタを表す。
【0035】
第1補償トランジスタ133のゲート領域及びドレイン領域は、第1ミラーリングトランジスタ146のドレイン領域にも接続されている。第1カレントミラー145の第1ミラーリングトランジスタ146及び第1ミラートランジスタ147は、いずれもNチャネルトランジスタである。第2補償キャパシタ132の第2電極は、補償抵抗器134と接続されている。
【0036】
バイアストランジスタ150は、第1抵抗器170を介して電源電圧接続部101と接続されている。具体的には、バイアストランジスタ150のドレイン領域は、補償抵抗器134、センストランジスタ141のゲート領域、パストランジスタ111のゲート領域、及び第1抵抗器170のそれぞれと接続されている。パストランジスタ111及びセンストランジスタ141は、いずれもPチャネルトランジスタであり、例えば、2つは同じであってもよい(例えば、これらは、幅と長さとの比率が同じであってもよい)。電源電圧接続部101は、第1抵抗器170を介してパストランジスタ111のゲート領域及びセンストランジスタ141のゲート領域と接続されている。言い換えれば、電源電圧接続部101から第1抵抗器170を通る導電経路があり、その経路は、センストランジスタ141及びパストランジスタ111のそれぞれのゲート領域に向けられた経路と、バイアストランジスタ150のドレイン領域及び補償抵抗器134に向けられた経路とに分かれる。バイアストランジスタ150のソース領域は、グラウンドと接続されている。
【0037】
センストランジスタ141のソース領域は、電源電圧接続部101と接続されている。センストランジスタ141のゲート領域は、パストランジスタ111のゲート領域と接続されている。センストランジスタ141は、第1カレントミラー145と接続されている。センストランジスタ141のドレイン領域は、第1カレントミラー145の第1ミラートランジスタ147のドレイン領域及びゲート領域と接続されている(第1ミラートランジスタ147のゲート領域及びドレイン領域はダイオード短絡されている)。第1ミラートランジスタ147のゲート領域及び第1ミラーリングトランジスタ146は相互接続されている。第1ミラートランジスタ147及び第1ミラーリングトランジスタ146のそれぞれのソース領域は、グラウンドに接続されている。
【0038】
パストランジスタ111のソース領域は、電源電圧接続部101と接続されている。パストランジスタ111のドレイン領域も、負荷電圧出力接続部と接続されている。負荷電圧出力接続部112は、第3補償キャパシタ113の第2電極、出力キャパシタ114の第1電極、及び負荷116と接続されている。出力キャパシタ114は、負荷116と並列に接続されている。電圧出力接続部112は、接続ポート115を介して負荷116と接続されている。出力キャパシタ114の第2電極は、グラウンドと接続されている。
図1に示す例では、出力キャパシタ114の第2電極は、負荷116からの出力と接続され、両者間の接続はグラウンドと接続されている。
図1には明示的に示されていないが、第2OTAトランジスタ122が負荷電圧又はその表示を受け取るために、第2OTAトランジスタ122のゲート領域と負荷電圧出力接続部112との間に接続部が設けられている。
【0039】
制御電流源190は、電源電圧VDDを受け取り、制御された電流出力を提供するように構成されている。制御電流源190のトランジスタ191,192は、一貫した電流出力を提供するようにゲート接続されている。制御電流源190の2つのトランジスタは、それぞれのトランジスタのドレイン領域からの電流出力が同じになるように、同じであってもよい。レギュレータ100は、制御電流源190の第1トランジスタ191からの電流出力が、第1OTAトランジスタ121及び電流バッファ160の第2トランジスタ162の各々に流れることを可能にするように構成されている。レギュレータ100は、制御電流源190の第2トランジスタ192からの電流出力が、第1補償キャパシタ131、第2OTAトランジスタ122、及び電流バッファ160の第1トランジスタ161の各々に流れることを可能にするように構成されている。
【0040】
第1OTAトランジスタ121に印加されるレファレンス電圧は一定、例えば、第1OTAトランジスタ121によって引き出される電流量が一定のままとなるように、一定であってもよい。第1OTA抵抗器は、そのゲート領域に印加されるレファレンス電圧に比例する量の電流をそのドレイン領域を通して引き込むように構成されている。同様に、第2OTA抵抗器は、そのゲート領域に印加される電圧に比例する、すなわち負荷電圧に比例する量の電流をそのドレイン領域を通して引き込むように構成されている。第2OTA抵抗器は、負荷電圧が上昇する場合にはそのゲート領域を通してより多くの電流を引き込み、負荷電圧が低下する場合にはより少ない電流を引き込むように構成されている。このように、レギュレータ100は、制御電流源190の第2トランジスタ192と、第1補償キャパシタ131の第1電極と、電流バッファ160の第2トランジスタ162との間の電流の流れが、負荷電圧に依存して変化するように構成されている。特に、レギュレータ100は、制御電流源190の第2トランジスタ192からバイアストランジスタ150のゲート領域への電流の流れが、第2OTAトランジスタ122を通る電流の流れに依存して(したがって、負荷電圧に依存して)変化するように構成されている。テールトランジスタ125は、例えば、(グラウンドへの)一貫した電流出力を提供するために、一定のバイアス電圧を受け取ってもよい。
【0041】
電流バッファ160は、共通ゲート電流バッファ160として構成される(電流バッファ160の2つのトランジスタのゲートは互いに接続される)。電流バッファ160は、電流バッファ160の出力に接続された構成要素(例えば、第2カレントミラー180、第3補償キャパシタ113及び/又はバイアストランジスタ150)が、電流バッファ160への入力に接続された構成要素の動作に干渉するのを抑制する(例えば、出力が入力に負荷をかけることを防止する)ように構成される。したがって、電流バッファ160は、第3補償キャパシタ113/バイアストランジスタ150への電流の流れが、第1OTAトランジスタ121/第2OTAトランジスタ122への電流の流れと干渉することを抑制するように構成され得る。
【0042】
バイアストランジスタ150のゲート領域の電圧は、第2OTAトランジスタ122を介して引き出される電流量に依存する。言い換えれば、レギュレータ100は、バイアストランジスタ150のゲート領域の電圧が負荷電圧に依存して変化するように構成されている。例えば、レギュレータ100は、負荷電圧が上昇する場合にはバイアストランジスタ150のゲート領域に供給される電圧が低下し、負荷電圧が低下する場合にはバイアストランジスタ150のゲート領域に供給される電圧が上昇するように構成されている。
【0043】
第2カレントミラー180は、第2ミラーリングトランジスタ181からの(例えばそのソース領域からの)出力電流が第2ミラートランジスタ182からの出力電流に対応するように構成されている。例えば、第2カレントミラー180の2つのトランジスタは同じであってもよい(例えば、これらは、幅と長さとの比率が同じであってもよい)。したがって、電流バッファ160の第1トランジスタ161からバイアストランジスタ150のゲート領域へ向けられる電流量は、第2ミラートランジスタ182を通過する電流量にも依存する。なぜなら、電流バッファ160の第1トランジスタ161から第2ミラーリングトランジスタ181に流れる電流量は、第2ミラートランジスタ182を流れる電流量に対応するからである。また、第2ミラートランジスタ182を流れる電流量は、第3補償キャパシタ113の第1電極に流れる/第3補償キャパシタ113の第1電極から流れる電流量にも依存する。
【0044】
第2補償トランジスタ135は、電源電圧接続部101から第1補償トランジスタ133のソース領域及び第1補償キャパシタ131の第2電極への一方向の導電経路を提供するように構成されている。適応補償回路130は、第1補償トランジスタ133のソース領域に供給される電流が、電源電圧VDD、及び第1補償キャパシタ131の電荷に依存して変化するように構成されている。例えば、第1補償キャパシタ131が充電している場合、すなわちその第1電極が負電荷を蓄積している場合、第1補償トランジスタ133に流れる電流は増加し、及び/又は、第1補償キャパシタ131が放電している場合、第1補償トランジスタ133に流れる電流は減少する。
【0045】
第1補償トランジスタ133は、第2補償キャパシタ132及び第1カレントミラー145の第1ミラーリングトランジスタ146のそれぞれに導電経路を提供するように構成されている。第2補償キャパシタ132は、ミラーリングトランジスタの動作状態に依存して充放電するように構成されている。第1ミラーリングトランジスタ146を流れる電流が増加する場合、第2補償キャパシタ132の第1電極よりも第1ミラーリングトランジスタ146に多くの電流が引き出されるため、第2補償キャパシタ132は、遅い速度で充電するか、速い速度で放電を開始する。第1ミラーリングトランジスタ146を通る電流の流れが減少する場合、第2補償キャパシタ132の第1電極は、より多くの電荷を蓄積するか、又はより遅い速度で電荷を失う。補償抵抗器134を流れる電流の大きさ及び方向は、第2補償キャパシタ132の状態、したがって第1ミラーリングトランジスタ146の動作状態に依存する。
【0046】
補償回路130は、分割キャパシタを提供するように構成されている。補償回路130は、分割コンデンサがレギュレータ100のDC動作条件に影響を与えることなく効果的に直列に作用するように構成されている。補償回路130は、レギュレータ伝達関数の出力極(wp2)をレギュレータ伝達関数のゼロ(wz2)で補償するように構成されている。補償回路130は、可変時定数を提供するように構成されてもよい。
【0047】
第1抵抗器170は、電源電圧VDDと、センストランジスタ141及びパストランジスタ111のそれぞれのゲート領域に供給される電圧との間に電圧降下を与えるように構成されている。
【0048】
センシング回路140は、第1カレントミラー145を介して、第1補償トランジスタ133及び第2補償キャパシタ132の第1プレートから離れる電流の流れを調整するように構成されている。センストランジスタ141は、そのゲート領域に印加される電圧に基づいて、電源電圧接続部101から第1カレントミラー145を通る電流の流れを制御するように構成されている。センストランジスタ141は、センストランジスタ141のゲート領域に印加される電圧が上昇する場合には、センストランジスタ141を介して第1カレントミラー145に流れる電流が減少し、そのゲート領域に印加される電圧が低下する場合には、センストランジスタ141を介して第1カレントミラー145に流れる電流が増加するように構成されている。センストランジスタ141は、電源電圧VDDを(例えばそのソース接続部で)受け取り、そのゲート領域の電圧に基づいて選択的に電流をスループットするように構成されている。センストランジスタ141は、電源電圧接続部101と第1カレントミラー145との間に選択的な導電経路を提供する。
【0049】
第1カレントミラー145は、第1ミラーリングトランジスタ146からの電流の流れが第1ミラートランジスタ147からの電流の流れに対応するように構成されている。第1ミラーリングトランジスタ146は、第1ミラートランジスタ147と同一(例えば、幅と長さとの比率が同じ)であってもよく、それぞれからの電流の流れは同一であってもよい。第1ミラートランジスタ147はダイオード短絡されており、センストランジスタ141から第1カレントミラー145を通過する電流が第1ミラートランジスタ147を通過して接地されるようになっている。その後、対応する(又は、2つのトランジスタが同じであれば同一の)電流が、第1ミラーリングトランジスタ146を通って流れ出す。第1ミラーリングトランジスタ146を流れる電流は、センストランジスタ141からの電流を反映するように構成されており、例えば、センストランジスタ141を流れる電流が増加する場合には、第1ミラーリングトランジスタ146を流れる電流も増加する。第1ミラーリングトランジスタ146は、この電流を第1補償トランジスタ133から引き出すように構成され、例えば、センストランジスタ141を流れる電流が増加するにつれて、より多くの電流が第1補償トランジスタ133のドレイン領域から引き出される(任意で、第2補償キャパシタ132の第1電極からも引き出され、あるいは、第1補償トランジスタ133から第2補償キャパシタ132の第1電極に供給される電流がより少なくてもよい)。
【0050】
レギュレータ100は、第1補償トランジスタ133及び第2補償キャパシタ132の第1プレートから離れる電流の流れが、センストランジスタ141のゲート領域に印加される電圧に依存するように構成されている。センストランジスタ141のゲート領域に印加される電圧は、パストランジスタ111のゲート領域に印加される電圧に対応する(例えば、同じであってもよい)。レギュレータ100は、これらのゲート領域に印加される電圧が適応補償回路130の動作状態及びバイアストランジスタ150の動作状態に依存するように構成されている。電流は、適応補償回路130との接続部に向かって流れることもあれば、接続部から離れることもある。この電流の流れの大きさと方向は、第2補償キャパシタ132の状態(例えば、充電しているか、充電されているか、放電しているか)に依存して変化し、この状態は、第1ミラーリングトランジスタ146を流れる電流の大きさに依存して変化する可能性がある。
【0051】
バイアストランジスタ150を流れる電流の大きさは、そのゲート領域に印加される電圧に依存して変化する。レギュレータ100は、センストランジスタ及びパストランジスタの両方からの出力が、バイアストランジスタ150のゲート領域に印加される電圧に依存して変化するように構成される。バイアストランジスタ150のゲート領域に印加される電圧は、第2OTAトランジスタ122の動作(電流の引き込み量)に依存して変化し、第2OTAトランジスタ122の動作は負荷電圧に依存して変化する。したがって、レギュレータ100は、負荷電圧に基づいてパストランジスタ111の出力(ひいては負荷電圧)を調整するように構成されている。例えば、レギュレータ100は、負荷電圧が上昇する又は上昇し始めると、この上昇によってパストランジスタ111がより少ない電流を流すようになり、したがって負荷電圧が低下する(又は上昇を防ぐ)ように構成される。同様に、負荷電圧が低下する又は低下し始めると、この低下によりパストランジスタ111がより多くの電流を流すようになり、負荷電圧が上昇する(又は低下を防ぐ)ようになる。
【0052】
パストランジスタ111は、電源電圧接続部101と負荷電圧出力接続部112との間に選択的な導電経路を提供する。電源電圧接続部101から負荷電圧出力接続部112へのこの経路を通る導電は、パストランジスタ111のゲート領域の電圧に依存して(したがって、バイアストランジスタ150及び/又は適応補償回路130の動作状態に依存して)変化する。パストランジスタ111のゲート領域の電圧が上昇すると、パストランジスタ111は電流を少なくし、ゲート領域の電圧が低下すると、パストランジスタ111は、電流を多くする。
【0053】
負荷接続ポート115は、負荷116の接続部を提供するように構成されている。いくつかの例では、負荷116は、レギュレータ回路の一部として含まれてもよく、その場合、負荷接続ポート115は、負荷116用の入力に接続される導体を効果的に備えてもよい。他の例では、負荷116は、レギュレータ回路に対する別個の構成要素であってもよく、その場合、接続ポート115は、負荷116をレギュレータ100に接続し、そこから負荷電圧を受け取ることを可能にする電気接続部を備えてもよい。負荷接続ポート115は、負荷116に負荷電圧を供給するように構成されている。負荷電圧出力制御回路110は、調整された負荷電圧を負荷116に供給するように構成されている。第3補償キャパシタ113の第2電極上の電荷(したがって、第2電極への/第2電極からの電流の流れ)は、第3補償キャパシタ113の第1電極に供給される電荷に依存して変化する。
【0054】
本開示の文脈において、レギュレータ100の特徴は、負荷電圧に選択された値を与えるように選択され得ることが理解されるであろう。例えば、回路のトランジスタ、抵抗器及び/又はキャパシタは、負荷電圧に意図された値を与える関連動作特性を提供するように選択されてもよい。キャパシタの1つ以上の静電容量値は、そのキャパシタが意図する極補償に基づいて選択することができる。例えば、第1及び第2補償キャパシタ、並びに第3補償キャパシタ113のそれぞれの容量値(及び補償抵抗器134の抵抗値)は、負荷電流範囲にわたってレギュレータ100の安定性を提供するように選択され得る。
【0055】
次に、例示的なレギュレータ100の機能を、
図2を参照して説明する。
【0056】
図2は、レギュレータ100の異なる構成要素間の機能的関係を示すブロック図である。
図2に示す図の各構成要素について、ある構成要素から出る(例えば離れる)矢印は出力を示す。ある構成要素への矢印は入力を示し、例えば、矢印が向けられている構成要素の出力が、この入力によって影響を受ける可能性があることを示している。
【0057】
図2は、適応バイアス回路(「ABC」-例えば、
図1のレギュレータ100のOTA回路120、バイアストランジスタ150、電流バッファ160、第2カレントミラー180及び制御電流源190によって提供されるもの)、適応補償回路(「ACC」-例えば、
図1のレギュレータ100の補償回路130によって提供されるもの)、負荷電圧出力制御回路(「LVOCC」-例えば、
図1のレギュレータ100の出力制御回路110及び第1抵抗器170によって提供されるもの)、及びセンシング回路(「SC」-例えば、
図1のレギュレータ100のセンシング回路140及び第1抵抗器170によって提供される)を示す。
【0058】
図2には示されていないが、
図2に示される構成要素には電源電圧VDDが供給される(例えば、
図1のレギュレータ100の電源電圧接続部101によって供給されるように)。電源電圧VDDは、ABC、ACC、LVOCC、及びSCのそれぞれに供給されてもよい。これらの各構成要素の動作は、少なくとも部分的には電源電圧に依存する。さらに、理解されるように、これらの各構成要素の動作は、レギュレータ100の他の構成要素の動作にも依存する。
【0059】
ABC(特にOTA回路120)も負荷電圧を入力として受け取る。OTA回路からの出力(第2OTAトランジスタ122を流れる電流)は、それが受け取る負荷電圧に依存し、したがってABCの動作は負荷電圧に依存する。ABCのこの動作は、ACCの第1補償キャパシタ131への/からの電流の流れに影響を与える(
図2の矢印で示すように)。さらに、ABCの第2OTAトランジスタ122を流れる電流は、ABCのバイアストランジスタ150のゲート領域に印加される電圧に影響を与える。バイアストランジスタ150のゲート領域に印加される電圧は、補償抵抗器134への/からの電流の流れに影響を与える(
図2に矢印で示す)。バイアストランジスタ150のゲート領域に印加される電圧は、SC及びLVOCCの動作にも影響を及ぼす(
図2の2つの矢印で示すように)。これは、バイアストランジスタ150のゲート領域に印加される電圧が、SC140のセンストランジスタ141のゲート領域に印加される電圧及びLVOCC110のパストランジスタ111のゲート領域に印加される電圧に影響を与えるためである。
【0060】
特に、負荷電圧が上昇すると、ABCの第2OTAトランジスタ122はより多くの電流を消費する。第1補償キャパシタ131に向けられる電流が少なくなり、バイアストランジスタ150のゲート電圧が低下する。その結果、バイアストランジスタ150を流れる電流が減少し、センストランジスタ141及びパストランジスタ111のそれぞれのゲート領域に印加される電圧が上昇する。
【0061】
SCの動作は、ACCの動作に影響を与える。特に、SCは、(
図2の矢印で示すように)第1補償トランジスタ133及び第2補償キャパシタ132から離れる電流の流れの大きさに影響を及ぼす。より多くの電流がSCのセンストランジスタ141を通過するにつれて(例えば、センストランジスタ141のゲート電圧が低下するのに応じて)、SCは、第1補償トランジスタ133及び第2補償キャパシタ132からより多くの電流を流出させることになる。その結果、補償抵抗器134を介して第2補償キャパシタ132の第2電極への/からの電流の流れ(したがって、センストランジスタ141及びパストランジスタ111のそれぞれのゲート領域に供給される電圧も同様である)が変化する。このように、SCの動作は、(
図2の矢印で示すように)LVOCCの動作に影響を与える。
【0062】
したがって、SCの動作は、第1補償トランジスタ133のドレイン領域から離れる電流の流れに影響を与える。ABCの動作は、第1補償キャパシタ131及び補償抵抗器134への/からの電流の流れに影響を与える。ACCへのこれらの入力に基づいて、2つのキャパシタに蓄積される電荷は変化する。2つのキャパシタは直列に接続されているかのように動作するため、ACCに関連する総容量は、直列に接続された2つのキャパシタの容量になる。第1補償トランジスタ133は、第2補償キャパシタ132の動作に依存して可変抵抗を提供するように動作する。ACCに関連する電圧は、センストランジスタ141及びパストランジスタ111のそれぞれのゲート領域に印加される電圧に影響を与える。
【0063】
レギュレータ100の機能をさらに説明するために、その動作のいくつかの例を、
図1を参照して説明する。本開示の文脈において、低ドロップアウトレギュレータ100が自己制御型であることを理解されたい。以下の動作例は、一連の事象として記載されているが、実際には、これらの事象は、レギュレータ100が自己調節する際に同時に発生することが理解されるであろう。
【0064】
レギュレータ100は、一貫した電圧出力を提供するように構成されている。したがって、負荷電圧出力の上昇及び低下に応答して、レギュレータ100がどのように反応するかについて例を説明する。これらの例は、出力電圧の上昇/低下を引き起こすVDDの変化を指す。電源電圧接続部101には複数の接続部があることが理解されるであろう。このため、電源電圧VDDの上昇又は低下は、多数の異なるコンポーネントに同時に影響を与える。しかし、簡単のため、以下の説明では、事象が順次発生するように記述している。これは、自己制御がどのように発生するかを説明するのに役立つはずだからである。また、出力電圧の上昇/低下には、負荷によって引き出される負荷電流に依存するなど、他の原因があることも理解されるであろう。
【0065】
電源電圧VDDが上昇すると、パストランジスタ111及びセンストランジスタ141のそれぞれのソース領域に供給される電圧も上昇する。第1抵抗器170に供給される電圧も増加し、第1抵抗器170の両端の対応する電圧降下も増加する。その結果、センストランジスタ141及びパストランジスタ111のそれぞれのソース領域の電圧の増加は、センストランジスタ141及びパストランジスタ111のそれぞれのゲート領域の電圧よりも大きくなる。したがって、パストランジスタ111及びセンストランジスタ141のそれぞれのゲート-ソース電圧は負に増加し、各トランジスタからの出力は増加する。これにより、負荷電圧が上昇し、第2OTAトランジスタ122のゲート電圧が上昇する。そのため、第2OTAトランジスタ122を流れる電流が増加し、バイアストランジスタ150のゲート領域の電圧が低下する。そうすると、バイアストランジスタ150を流れる電流が少なくなるため、パストランジスタ111及びセンストランジスタ141のそれぞれのゲート領域の電圧がそれぞれのソース電圧に対して上昇し、それによって負荷電圧が低下する(例えば、意図した値に戻る)。
【0066】
この調節中に、センシング回路140(第1カレントミラー145を含む)、第2カレントミラー180、及び適応補償回路130も、レギュレータ100の動作を補償するように作用し得ることが理解されるであろう。センストランジスタ141からの出力は、パストランジスタ111からの出力に対応する。そのため、第1カレントミラー145はより大きな電流を出力し、したがって、第1補償トランジスタ133のドレイン領域及び第2補償キャパシタ132の第1電極からより多くの電流を引き離す。これにより、第2補償キャパシタ132が放電し、センストランジスタ141及びパストランジスタ111のゲート領域に供給される電圧に影響を与える可能性がある。より大きなVDDに応答して、第2補償トランジスタ135及び/又は第1補償キャパシタ131は、第1補償トランジスタ133により大きな入力を提供するように動作する可能性がある。また、第3補償キャパシタ113の動作は、第2ミラートランジスタ182を通る電流の流れにも影響を及ぼす可能性がある。ひいては、このことは、第2ミラーリングトランジスタ181を通る電流の流れ、ひいてはバイアストランジスタ150のゲート領域の電圧にも影響する。
【0067】
電源電圧VDDが低下した場合には、上記とは逆の状態となる。すなわち、負荷電圧が低下する可能性があり、その結果、第2OTAトランジスタ122を流れる電流が減少する。そのため、バイアストランジスタ150のゲート領域の電圧が高くなり、バイアストランジスタ150を介してより多くの電流が流れることになる。ひいては、センストランジスタ及びパストランジスタのゲート電圧が、それらのソース電圧に対して低下し、その結果、負荷電圧が上昇する。
【0068】
実施の形態は、改善された低ドロップアウトレギュレータを提供することができる。特に、実施の形態は、改善された安定性(例えば、全ての動作条件にわたって良好な位相マージン)を有する低ドロップアウトレギュレータを提供し得る。これは、レギュレータの極及びゼロを参照すれば明らかであろう。特に、出力極(wp2)はゼロ(wz2)で補償されてもよい。例えば、wp2及びwz2の方程式は次のように導かれる。
【0069】
【0070】
上記wp2式よりgmLは負荷電流に応じて変化し、wz2式ではgmMPCは負荷に応じて変化するが、他の全てのパラメータは、両方の式で負荷電流に応じて一定である。従って、上述したレギュレータ100のように、CC2、(CC1_1||CC1_2)、RCを制御することにより、レギュレータ100は、全負荷電流範囲にわたって安定であり得る。これを達成するために補償キャパシタを分割すると(CC1_1及びCC1_2)、レギュレータ100のDC動作条件は影響を受けず、なおかつ安定性が向上する。電流バッファ160を設けることで、フィードフォワード経路の存在を抑制することができ、ゼロを右半平面ゼロから左半平面ゼロに変換することができる(例えば、極のキャンセルを容易にするため)。さらに、又は代替的に、第1補償トランジスタ133を含めることにより、ゼロから左半平面ゼロへのこの変換が容易になる場合がある。
【0071】
次に、低ドロップアウトレギュレータの追加的及び/又は代替的特徴について、
図3を参照して説明する。
【0072】
図3の構成は
図1の構成と同様であり、同様の符号は同様の要素を示し、これらの同様の要素については再度説明しない。その代わりに、以下の説明は、
図1のレギュレータ100と異なる
図3の構成の特徴に焦点を当てる。
【0073】
図3は、レギュレータ300を示す。
図1のレギュレータ100について上述した構成要素に加えて、
図3のレギュレータ300は、ドレイン抵抗器371、ソース抵抗器372、及び抵抗トランジスタ373を備えた抵抗アセンブリ370を含む。また、
図1のレギュレータ100と異なる
図3のレギュレータ300には、第2カレントミラーアセンブリ380及び負荷電圧出力制御回路310が示されている。カレントミラーアセンブリ380は、第1トランジスタ381、第2トランジスタ382、第3トランジスタ383及び第4トランジスタ384を備えている。出力制御回路は、第1出力抵抗器3171、第2出力抵抗器3172、第3出力抵抗器3181、第1出力トランジスタ3182、電流源3191及び第2出力トランジスタ3192を備えている。
【0074】
抵抗アセンブリ370は、
図1のレギュレータ100からの第1抵抗器170の代わりに配置される。抵抗トランジスタ373は、電源電圧接続部301、センストランジスタ341、パストランジスタ311、適応補償回路330、及びバイアストランジスタ350の各々と接続されている。抵抗トランジスタ373は、Pチャネル型トランジスタである。抵抗トランジスタのゲート領域は、センストランジスタ341のゲート領域及びパストランジスタ311のゲート領域と接続されている。抵抗トランジスタ373のソース領域は、電源電圧接続部301と接続されている。抵抗トランジスタ373のドレイン領域は、補償抵抗器334(したがって、第2補償コンデンサ332の第2電極)及びバイアストランジスタ350のドレイン領域と接続されている。さらに、抵抗トランジスタ373のドレイン領域は、電源電圧接続部301とも接続されている。抵抗トランジスタ373のソース領域は、ソース抵抗器372を介して電源電圧接続部301と接続され、抵抗トランジスタ373のドレイン領域は、ドレイン抵抗器371を介して電源電圧接続部301と接続されている。抵抗トランジスタ373のドレイン領域及びゲート領域は接続されている(ダイオード短絡トランジスタを提供する)。
【0075】
パストランジスタ311のゲート領域及びセンストランジスタ341のゲート領域は、共に抵抗トランジスタ373を介して電源電圧入力接続部301と接続されている。具体的には、センストランジスタ341及びパストランジスタ311のそれぞれのゲート領域は、抵抗トランジスタ373のゲート領域及びドレイン領域の両方と接続され、抵抗トランジスタ373のソース領域及びドレイン領域は、電源電圧接続部と接続されている。バイアストランジスタ350のドレイン領域及び補償抵抗器334は、両方とも、抵抗トランジスタ373のゲート及びドレイン領域の両方に(したがって、センストランジスタ341及びパストランジスタ311のそれぞれのゲート領域に)接続される。
【0076】
第2カレントミラーアセンブリ380は、
図1のレギュレータ100の第2カレントミラー180に使用されているトランジスタよりも2つ多いトランジスタで構成されている。第2カレントミラーアセンブリ380のトランジスタは、すべてNチャネルトランジスタである。第2カレントミラーアセンブリ380は、電流バッファ360、バイアストランジスタ350、及び第3補償コンデンサ313と接続されている。具体的には、第2カレントミラーアセンブリ380の第1トランジスタ381のドレイン領域は、電流バッファ360の第2トランジスタ362のドレイン領域及び第3補償キャパシタ313の第1電極と接続されている。第2カレントミラーアセンブリ380の第2トランジスタ382のドレイン領域は、電流バッファ360の第1トランジスタ361のドレイン領域及びバイアストランジスタ350のゲート領域と接続されている。第2カレントミラーアセンブリ380の第2トランジスタ382のドレイン領域は、(
図3に示すように)第2出力トランジスタ3192のゲート領域とも接続されてもよい。
【0077】
第2カレントミラーアセンブリ380の第1トランジスタ381のゲート領域は、第2カレントミラーアセンブリ380の第2トランジスタ382のゲート領域と接続されている。第2カレントミラーアセンブリ380の第1トランジスタ381のソース領域は、第2カレントミラーアセンブリ380の第3トランジスタ383のドレイン領域と接続されている。第2カレントミラーアセンブリ380の第2トランジスタ382のソース領域は、第2カレントミラーアセンブリ380の第4トランジスタ384のドレイン領域と接続されている。第2カレントミラーアセンブリ380の第3トランジスタ383のゲート領域は、第2カレントミラーアセンブリ380の第4トランジスタ384のゲート領域と接続されている。第2カレントミラーアセンブリ380の第1及び第2トランジスタ381、382のゲート領域は、いずれも第2カレントミラーアセンブリ380の第1トランジスタ381のドレイン領域とも接続されている。第2カレントミラーアセンブリ380の第1トランジスタ381のドレイン領域は、また、第2カレントミラーアセンブリ380の第3及び第4のトランジスタ383、384の両方のそれぞれのゲート領域と接続されてもよい(例えば、第2カレントミラーアセンブリ380の4つ全てのトランジスタのゲート領域が相互接続されてもよい)。
【0078】
負荷電圧出力接続部312は、互いに並列に配置された負荷316(接続ポート315を介して)、及び出力コンデンサ314と接続されている。負荷電圧出力接続部312は、電圧出力制御回路310の他の構成要素にも接続されている。例えば、負荷電圧出力接続部は、第1出力抵抗器3171と接続され、第1出力抵抗器3171を介して第2出力抵抗器3172と接続されている。負荷電圧出力接続部は、第3出力抵抗器3181と接続され、第3出力抵抗器3181を介して第1出力トランジスタ3182と接続されている。負荷電圧出力接続部は、また、電流源3191と接続され、電流源3191を介して第2出力トランジスタ3192と接続されている。第1及び第2出力トランジスタ3182,3192は、それぞれNチャネルトランジスタである。負荷電圧出力接続部は、第3抵抗器3181を介して第1出力トランジスタ3182のドレイン領域と接続されている。第2出力トランジスタ3192のドレイン領域は、電流源3191を介して負荷電圧出力接続部と接続され、また、第1出力トランジスタ3182のゲート領域とも接続されている。各出力トランジスタのソース領域は、それぞれグラウンドに接続されている。
【0079】
また、
図3に見られるように、負荷電圧出力接続部312は、第2OTAトランジスタ322のゲート領域と接続されている。具体的には、第1出力抵抗器と第2出力抵抗器3171との間から第2OTAトランジスタ322のゲート領域への接続部が提供される。出力制御回路310は、第2OTAトランジスタ322に供給される電圧を調整するように構成されてもよい、これは、第2OTAトランジスタ322に供給される電圧が負荷電圧に対して低下するように分圧器を設けることによって行われる。負荷電圧に提供されるスケーリング(例えば、低減)の量は、レギュレータ300の動作条件の最大変動量を制御するように、例えば、パストランジスタ311のゲート領域における電圧の最大変化量を制限するように選択され得る。例えば、第1及び第2出力抵抗器3171,3172の値は適宜選択され得る。
【0080】
本開示の文脈において、本明細書に記載される実施の形態は、本開示の低ドロップアウトレギュレータの例であることを理解されたい。しかしながら、これらの例は、限定的であると見なされるものではない。例えば、トランジスタの特定の構成(及びそれぞれのチャネル構成)が限定的であると見なされる必要はないことが理解されるであろう。例えば、所望の機能を提供するために、N/Pチャネルトランジスタの異なる構成を使用してもよく、及び/又は異なるトランジスタ(例えば、非FET)を使用してもよい。同様に、キャパシタは、回路基板上の積層を示すために巻き線で示されている(例えば、巻き線は下層)。しかし、これらのキャパシタには他の構成が用いられてもよい。いくつかの例では、センシング回路140とそれが可能にするフィードバックは、代わりにパストランジスタ111と出力制御回路110によって提供されてもよい。あるいは、負荷電圧が第2OTAトランジスタ122を調整するために使用される場合、これは代わりに負荷電圧の指標であってもよく、例えばセンストランジスタ141の出力からのものであってもよい。
【0081】
本明細書で説明する例では、抵抗器を図示し、議論してきた。しかしながら、本開示の文脈において、これらの抵抗器のうちの1つ以上がゼロの実効抵抗を有してもよいことが理解されるであろう。例えば、
図3において、第1抵抗器3171及び第2抵抗器3172は、第2OTAトランジスタ322のゲート領域に供給される電圧をスケーリングするように作用し得る。しかしながら、これらの抵抗のうちの1つ又は複数が電圧降下を提供しない場合がある(例えば、スケーリングを制御するため、又はユニティスケーリングを提供するために)。同様に、ドレイン抵抗器371及びソース抵抗器372の一方又は両方は、抵抗を有しない場合がある。
【0082】
上記の議論から、図に示された実施例は単なる例示であり、本明細書に記載され、特許請求の範囲に規定されるように、一般化され、除去され、または置換され得る特徴を含むことが理解されるであろう。一般的に図面を参照すると、本明細書に記載されるシステム及び装置の機能を示すために概略的な機能ブロック図が使用されることが理解されるであろう。しかしながら、機能性はこのように分割される必要はなく、以下に記載され特許請求されるもの以外のハードウェアの特定の構造を意味するものと捉えられるべきではないことが理解されるであろう。図面に示された1つ以上の要素の機能は、さらに細分化されてもよく、及び/又は本開示の装置全体に分散されてもよい。いくつかの例では、図面に示された1つ又は複数の要素の機能は、単一の機能ユニットに統合されてもよい。
【0083】
本開示の文脈において当業者に理解されるように、本明細書に記載される実施例の各々は、様々な異なる方法で実施され得る。本開示の任意の態様の任意の特徴は、本開示の他の態様のいずれかと組み合わされてもよい。例えば、方法の態様は、装置の態様と組み合わされてもよく、装置の特定の要素の動作を参照して記載された特徴は、それらの特定のタイプの装置を使用しない方法において提供されてもよい。さらに、各実施例の各特徴は、他の特徴がその動作に必須であると明示されていない限り、それと組み合わせて説明される特徴から分離可能であることが意図されている。これらの分離可能な特徴の各々は、もちろん、それが記載されている実施例の他の特徴のいずれかと組み合わせてもよいし、本明細書に記載されている他の実施例の他の特徴又は特徴の組み合わせのいずれかと組み合わせてもよい。さらに、本発明から逸脱することなく、上記に記載されていない均等物や変更も採用することができる。
【0084】
本開示の他の実施例及び変形例は、本開示の文脈において当業者には明らかであろう。
【国際調査報告】