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特表2023-550938ガイドワイヤ補助具付き機械的循環支持システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-06
(54)【発明の名称】ガイドワイヤ補助具付き機械的循環支持システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 60/13 20210101AFI20231129BHJP
   A61M 60/174 20210101ALI20231129BHJP
   A61M 60/237 20210101ALI20231129BHJP
   A61M 60/416 20210101ALI20231129BHJP
   A61M 60/804 20210101ALI20231129BHJP
   A61M 60/81 20210101ALI20231129BHJP
   A61M 60/827 20210101ALI20231129BHJP
   A61M 60/865 20210101ALI20231129BHJP
【FI】
A61M60/13
A61M60/174
A61M60/237
A61M60/416
A61M60/804
A61M60/81
A61M60/827
A61M60/865
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530566
(86)(22)【出願日】2021-11-18
(85)【翻訳文提出日】2023-07-19
(86)【国際出願番号】 US2021072497
(87)【国際公開番号】W WO2022109589
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】63/116,616
(32)【優先日】2020-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/116,686
(32)【優先日】2020-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/224,326
(32)【優先日】2021-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/229,436
(32)【優先日】2021-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520469457
【氏名又は名称】カルディオン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】KARDION GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(72)【発明者】
【氏名】ミッツェ,マルヴィン
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ,ハンス
(72)【発明者】
【氏名】ポポヴ,ヴラディミール
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァルツ,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ウェニング,レオン
(72)【発明者】
【氏名】ベット,ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ファビウンケ,アッティラ
(72)【発明者】
【氏名】ゲルリース,ユリアン
(72)【発明者】
【氏名】ショッファー,ジャン
(72)【発明者】
【氏名】レックス,ヴァレンティーン
(72)【発明者】
【氏名】ベルナー,ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】フェルヒ,ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ルライ,ハンス-バルドゥング
(72)【発明者】
【氏名】デーリング,トム
(72)【発明者】
【氏名】ブルグハウス,イェンス
(72)【発明者】
【氏名】シェレンベルク,インガ
(72)【発明者】
【氏名】バウムバッハ,ハーディ
(72)【発明者】
【氏名】バッハ,アニカ
(72)【発明者】
【氏名】ストッツ,インゴ
(72)【発明者】
【氏名】カッセル,ユリアン
(72)【発明者】
【氏名】シュエルケ,アルミン
(72)【発明者】
【氏名】ヘネック,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ミンゼンメイ,ダーヴィト
(72)【発明者】
【氏名】シュルブッシュ,トーマス アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ピルク,チャロフ
(72)【発明者】
【氏名】ブッディ,マルティナ
(72)【発明者】
【氏名】エーレンプフォルト,リカルド
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,マルク
(72)【発明者】
【氏名】マンスール,アハマド
(72)【発明者】
【氏名】ボイエルレ,ニコ
(72)【発明者】
【氏名】ワッサーマン,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】アイベルガー,ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】マーティン,ケネス,エム.
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA04
4C077CC04
4C077DD10
4C077FF04
(57)【要約】
回転するインペラを回避する経路に沿ってガイドワイヤを挿入するのを支援する取り外し可能なガイドワイヤ補助具を有する、心臓への経カテーテル送達のための機械的循環支持システムが開示されている。システムは、カテーテルシャフトおよびシャフトによって担持される循環支持装置を備えてもよい。装置は、管状ハウジング、インペラ、およびガイドワイヤ補助具を備え得る。ガイドワイヤ補助具は、取り外し可能なガイドワイヤガイドチューブを含んでもよい。ガイドチューブは、管状ハウジングの第一のガイドワイヤポートに進入し、インペラの遠位側面上の管状ハウジングの側壁上の第二のガイドワイヤポートを介して管状ハウジングから出て、インペラの近位側面上の第三のガイドワイヤポートに進入し、カテーテルシャフトを通って近位に延在してもよい。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械的循環支持システムであって、
近位端および遠位端を有する細長い可撓性カテーテルシャフトと、
前記シャフトの前記遠位端によって担持される循環支持装置であって、前記循環支持装置が、
近位端および遠位端を有する管状ハウジングと、
前記管状ハウジング内のインペラと、
前記管状ハウジングの前記遠位端上の第一のガイドワイヤポートに進入し、前記インペラの遠位の前記管状ハウジングの側壁上の第二のガイドワイヤポートを介して前記管状ハウジングから出て、前記インペラの近位側面上の第三のガイドワイヤポートに進入し、前記カテーテルシャフト内に近位に延在する、取り外し可能なガイドワイヤガイドチューブと、を備える、循環支持装置と、を備える、機械的循環支持システム。
【請求項2】
前記管状ハウジング内に、前記インペラを回転させるように構成されるモータをさらに備える、請求項1~35のいずれかに記載の機械的循環支持システムまたは方法。
【請求項3】
前記モータが前記第三のガイドワイヤポートの遠位に位置付けられる、請求項1~35のいずれかに記載の機械的循環支持システムまたは方法。
【請求項4】
前記管状ハウジングが、前記モータを備える密封されたモータハウジングを備える、請求項1~35のいずれかに記載の機械的循環支持システムまたは方法。
【請求項5】
前記密封されたモータハウジングが、前記インペラに向かって遠位に面するように構成された遠位側面、および前記シャフトと接触し、前記遠位側面から前記モータに向かって近位方向に延在するように構成された半径方向内側リップを有する、遠位半径方向シャフトシールを備えるシールを備える、請求項1~35のいずれかに記載の機械的循環支持システムまたは方法。
【請求項6】
シャフトを囲む環状シールをさらに備え、前記モータが前記シャフトを介して前記インペラを回転させるように構成される、請求項1~35のいずれかに記載の機械的循環支持システムまたは方法。
【請求項7】
前記管状ハウジングが、約60mm~約100mmの範囲内の軸方向長さを有する入口管を備える、請求項1~35のいずれかに記載の機械的循環支持システムまたは方法。
【請求項8】
前記管状ハウジングが、
前記インペラと連通する血液出口と、
前記血液出口から遠位に間隔を置いた血液入口を備える、請求項1~35のいずれかに記載の機械的循環支持システムまたは方法。
【請求項9】
前記管状ハウジングが、ポリマースリーブを有する可撓性管を備える、請求項1~35のいずれかに記載の機械的循環支持システムまたは方法。
【請求項10】
前記ガイドチューブの遠位端上にファンネルをさらに備え、前記ファンネルが前記取り外し可能なガイドワイヤガイドチューブにつながる、請求項1~35のいずれかに記載の機械的循環支持システムまたは方法。
【請求項11】
前記ガイドチューブの把持および除去を容易にするために、前記ガイドチューブに取り付けられたプルタブをさらに備える、請求項1~35のいずれかに記載の機械的循環支持システムまたは方法。
【請求項12】
前記ガイドチューブが、前記ガイドチューブを前記ガイドワイヤの端から軸方向に摺動する必要なく、前記ガイドワイヤから前記ガイドチューブを取り外すことを可能にするように分割されるように構成される、請求項1~35のいずれかに記載の機械的循環支持システムまたは方法。
【請求項13】
前記管状ハウジングが、前記第一のガイドワイヤポートを備えるノーズピースを備える、請求項1~35のいずれかに記載の機械的循環支持システムまたは方法。
【請求項14】
前記管状ハウジングが、形態係止または力係止を介して前記密封されたモータハウジングに取り付けるように構成された入口管を備える、請求項1~35のいずれかに記載の機械的循環支持システムまたは方法。
【請求項15】
前記取り外し可能なガイドワイヤガイドチューブが前記循環支持装置と前記管状挿入ツールとの間に延在し、前記循環支持装置を軸方向に取り外し可能に受け入れるように構成された管状挿入ツールをさらに備える、請求項1~35のいずれかに記載の機械的循環支持システムまたは方法。
【請求項16】
機械的循環支持システムであって、
近位端および遠位端を有する細長い可撓性カテーテルシャフトと、
前記シャフトの前記遠位端によって担持される循環支持装置であって、前記循環支持装置が、管状ハウジングおよび前記管状ハウジング内のインペラを備え、前記循環支持装置が、前記カテーテルシャフトを通って、前記管状ハウジングの外部部分に沿って延在して前記インペラを回避するガイドワイヤ経路を備える、循環支持装置と、を備える、機械的循環支持システム。
【請求項17】
前記ガイドワイヤ経路が、前記管状ハウジングの遠位端の内部部分を通って延在する、請求項1~35のいずれかに記載の機械的循環支持システムまたは方法。
【請求項18】
前記管状ハウジングの遠位端上に第一のガイドワイヤポートをさらに備える、請求項1~35のいずれかに記載の機械的循環支持システムまたは方法。
【請求項19】
前記インペラの遠位の前記管状ハウジングの側壁上に第二のガイドワイヤポートをさらに備える、請求項1~35のいずれかに記載の機械的循環支持システムまたは方法。
【請求項20】
前記インペラの近位側面上に第三のガイドワイヤポートをさらに備える、請求項1~35のいずれかに記載の機械的循環支持システムまたは方法。
【請求項21】
それを通してガイドワイヤを誘導するように構成された取り外し可能なガイドワイヤガイドチューブをさらに備える、請求項1~35のいずれかに記載の機械的循環支持システムまたは方法。
【請求項22】
前記取り外し可能なガイドワイヤガイドチューブが、前記管状ハウジングの前記遠位端上の第一のガイドワイヤポートに進入し、前記インペラの遠位の前記管状ハウジングの側壁上の第二のガイドワイヤポートを介して前記ハウジングから出て、前記インペラの近位側面上の第三のガイドワイヤポートを通って延在し、前記カテーテルシャフト内に近位に延在するように構成される、請求項1~35のいずれかに記載の機械的循環支持システムまたは方法。
【請求項23】
前記管状ハウジングが、入口管およびモータハウジングを備える、請求項1~35のいずれかに記載の機械的循環支持システムまたは方法。
【請求項24】
前記管状ハウジングが、入口管および前記入口管の遠位端上のノーズピースを備え、前記ノーズピースが前記第一のガイドワイヤポートを備える、請求項1~35のいずれかに記載の機械的循環支持システムまたは方法。
【請求項25】
前記ガイドワイヤ経路が前記循環支持装置と前記挿入ツールとの間に延在するように、前記循環支持装置を軸方向に取り外し可能に受け入れるように構成された挿入ツールをさらに備える、請求項1~35のいずれかに記載の機械的循環支持システムまたは方法。
【請求項26】
前記モータハウジングが、回転可能なシャフトの周りにシールを備える、請求項1~35のいずれかに記載の機械的循環支持システムまたは方法。
【請求項27】
前記シールが、前記インペラに向かって遠位に面するように構成された遠位側面、および前記シャフトと接触し、前記遠位側面から前記モータに向かって近位方向に延在するように構成された半径方向内側リップを有する、遠位半径方向シャフトシールを備える、請求項1~35のいずれかに記載の機械的循環支持システムまたは方法。
【請求項28】
機械的循環支持システムを介してガイドワイヤを挿入する方法であって、前記方法が、
前記ガイドワイヤを取り外し可能なガイドチューブの遠位端に挿入することを含み、前記ガイドチューブが、前記システムの管状ハウジングの遠位端上の第一のガイドワイヤポートに進入し、前記システムのインペラの遠位の前記管状ハウジングの側壁上の第二のガイドワイヤポートを介して前記管状ハウジングから出て、前記インペラの近位側面上の第三のガイドワイヤポートに進入し、カテーテルシャフト内に近位に延在する、方法。
【請求項29】
前記取り外し可能なガイドチューブを前記第一、第二、および第三のガイドワイヤポートを通して挿入することをさらに含む、請求項1~35のいずれかに記載の機械的循環支持システムまたは方法。
【請求項30】
前記取り外し可能なガイドチューブを前記システムから取り外すことをさらに含む、請求項1~35のいずれかに記載の機械的循環支持システムまたは方法。
【請求項31】
前記ガイドチューブの取り外しが、前記ハウジングの前記遠位端からプルタブを引っ張り、取り外すことを含む、請求項1~35のいずれかに記載の機械的循環支持システムまたは方法。
【請求項32】
前記ガイドチューブの取り外しが、前記ガイドワイヤが前記患者の中に部分的にある状態で、前記ガイドチューブを前記ガイドワイヤから取り外すことを含む、請求項1~35のいずれかに記載の機械的循環支持システムまたは方法。
【請求項33】
前記ガイドチューブの取り外しが、前記ガイドチューブを分割し、前記ガイドチューブを前記ガイドワイヤから横方向に取り外すことを含む、請求項1~35のいずれかに記載の機械的循環支持システムまたは方法。
【請求項34】
前記管状ハウジングが、前記第二のガイドワイヤポートを備える入口管を備える、請求項1~35のいずれかに記載の機械的循環支持システムまたは方法。
【請求項35】
前記管状ハウジングが、入口管および前記入口管の遠位端上のノーズピースを備え、前記ノーズピースが前記第一のガイドワイヤポートを備える、請求項1~35のいずれかに記載の機械的循環支持システムまたは方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な医療処置中に血液をポンプ注入することを支援するために使用され得る機械的循環支持システムに関する。
【背景技術】
【0002】
(優先出願への参照による組み込み)
外国または国内の優先権の主張が本出願によって出願された出願データシートに特定されている任意およびすべての出願は、参照により、37 CFR 1.57に基づき本明細書に組み込まれる。例えば、本出願は、“MECHANICAL LEFT VENTRICULAR SUPPORT SYSTEM FOR CARDIOGENIC SHOCK”と題する、2020年11月20日に出願された米国仮特許出願第63/116616号、“MECHANICAL CIRCULATORY SUPPORT SYSTEM FOR HIGH RISK CORONARY INTERVENTIONS”と題する、2020年11月20日に出願された米国仮特許出願第63/116686号、“GUIDEWIRE”と題する、2021年7月21日に出願された米国仮特許出願第63/224326号、および“SEAL FOR A MECHANICAL CIRCULATORY SUPPORT DEVICE”と題する、2021年4月14日に出願された米国仮特許出願第63/229436号に対する優先権を主張するものであり、それらのそれぞれの内容全体は、すべての目的に対してその全体が参照により本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する。
【0003】
機械的循環支持システムは、様々な医療処置中に血液をポンプ注入することを支援するために使用され得る。例えば、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は、狭窄冠動脈を再血行再建するための非外科的処置である。PCIは、例えば、バルーン血管形成術、ステント移植、ロータブレーションおよびリトリプシーなどの様々な技術を含む。PCIは、患者が関連する併存疾患(例えば、虚弱または高齢)を有するか、PCI自体が非常に複雑(例えば、分岐または完全閉塞)であるか、または血行動態ステータスが困難である(例えば、心室機能の障害)場合、高リスクとみなされる。一時的で、高リスクPCIのリスクを低下させるように具体的に構成されてもよく、またシステムの使用の複雑さを低減する特徴を有する機械的循環支持システムに対するニーズが依然として存在する。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に開示される実施形態はそれぞれ、複数の態様を有し、そのうちの一つだけが、本開示の望ましい特性に対して責任を負うものではない。本開示の範囲を制限することなく、そのより顕著な特徴をここで簡単に説明する。この説明を検討した後、特に「発明を実施するための形態」と題されたセクションを読んだ後、本明細書に記載の実施形態の特徴が、機械的循環支持システムの既存のシステム、装置、および方法に対してどのように利点を提供するかを理解するであろう。
【0005】
以下の開示は、一部の実施形態の非限定的な例を説明する。例えば、本開示のシステムおよび方法の他の実施形態は、本明細書に記載される特徴を含み得るか、または含まない場合がある。さらに、開示された利点および利益は、特定の実施形態にのみ適用することができ、本開示の制限に使用されてはならない。
【0006】
低侵襲、小型、経皮的機械的循環支持(MCS)システムが提供される。ガイドワイヤ補助具は、ポンプ装置を患者に挿入する前に一時的に使用することができ、これは、ガイドワイヤをポンプ装置を通してねじ込むのを助ける。ガイドワイヤ補助具は、使用の際にデバイスハウジングの外側であり得る回転インペラによって占有される空間を回避する経路に沿ってポンプ装置を通って延在するガイドチューブを含み得る。遠位端のファンネルは、ガイドチューブへのガイドワイヤの進入を助けることができる。側面タブは、補助具の把持を容易にし得る。補助具、例えば、ガイドチューブ、ファンネル、および/またはタブは、ガイドワイヤからガイドワイヤ補助具を横方向に取り外すために引き裂かれてもよく、これはガイドワイヤが身体に挿入された後であってもよい。ポンプ装置は、単一の大腿動脈アクセス点を経由して大動脈弁を横切って配置され得る。ポンプは、8フレンチ(Fr)カテーテルなど、カテーテルの遠位端によって担持されるロープロファイルの軸方向回転血液ポンプであってもよい。システムは大腿動脈を通して経皮的に挿入され、大動脈弁を横切って左心室内に位置付けられてもよい。装置は、血液を左心室から上行大動脈および全身循環にポンプ注入することによって、左心室負担を積極的に軽減する。
【0007】
一態様では、高リスク冠動脈インターベンションに使用され得る機械的循環支持システムが記載されている。システムは、近位端および遠位端を有する細長い可撓性カテーテルシャフト、およびシャフトの遠位端によって担持される循環支持装置を含み得る。循環支持装置は、近位端および遠位端を有する管状ハウジング、ハウジング内のインペラ、および取り外し可能なガイドワイヤガイドチューブを含み得る。取り外し可能なガイドワイヤガイドチューブが、ハウジングの遠位端上の第一のガイドワイヤポートに進入し、インペラの遠位のハウジングの側壁上の第二のガイドワイヤポートを介してハウジングから出て、インペラの近位側面上の第三のガイドワイヤポートに進入し、カテーテルシャフト内に近位に延在することができる。
【0008】
別の態様では、機械的循環支持システムを通してガイドワイヤを挿入する方法が説明されている。方法は、ガイドワイヤを取り外し可能なガイドワイヤガイドチューブの遠位端に挿入することを含み、ガイドチューブが、システムの管状ハウジングの遠位端上の第一のガイドワイヤポートに進入し、システムのインペラの遠位の管状ハウジングの側壁上の第二のガイドワイヤポートを介して管状ハウジングから出て、インペラの近位側面上の第三のガイドワイヤポートに進入し、カテーテルシャフト内に近位に延在する。
【0009】
様々な他の例示的な態様および実施形態が、本開示全体を通して示され、説明されている。例えば、様々な特定の例示的な実施形態が、「例示的な実施形態」セクションの発明を実施するための形態で本明細書にさらに説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の前述および他の特徴は、添付の図面と併せて捉えた、以下の説明および添付の特許請求の範囲からより完全に明らかとなるだろう。これらの図面は、本開示に従って一部の実施形態のみを示し、その範囲を制限するものと見なされるべきではないと理解して、添付の図面の使用を通して、本開示をさらに具体的かつ詳細に説明するものとする。以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成する添付図面を参照する。図面では、文脈上別段の指示がない限り、類似の記号は、典型的には類似の構成要素を識別する。詳細な説明、図面、および特許請求の範囲に記載される例示的実施形態は、限定することを意図するものではない。他の実施形態を利用してもよく、また他の変更も、ここに示した主題の趣旨または範囲から逸脱することなく行われてもよい。本開示の態様は、概して本明細書に記載され、図面に図示されるように、多種多様な異なる構成で配置、置換、組み合わせ、および設計することができ、それらすべては明示的に意図され、本開示の一部をなすことが容易に理解されよう。
図1図1は、カテーテルによって担持され、大腿動脈アクセスを介して大動脈弁を横切って位置付けられる、本開示の機械的循環支持(MCS)装置の実施形態の断面図である。
図2図2は、大腿動脈から左心室へのアクセス経路を概略的に示す。
図3図3は、本開示による機械的循環支持システムの実施形態の側面立面図である。
図4図4は、イントロデューサ鞘が取り除かれ、挿入ツールおよびガイドワイヤ装填補助具を含む、図3のシステムである。
図5図5は、鞘およびダイレータを有するイントロデューサキットを示す。
図6図6は、配置ガイドワイヤの実施形態を示す。
図7図7は、MCS装置の遠位のポンプ領域の部分斜視図である。
図8図8Aおよび8Bは、ガイドワイヤ経路およびガイドワイヤバック装填補助具を所定の位置で画定するガイドワイヤガイドチューブを示す、それぞれMCS装置の遠位領域の側面立面図およびクローズアップ詳細図である。
図9図9Aおよび9Bはそれぞれ、MCS装置のポンプ領域の側面図およびMCS装置のインペラ領域を通る断面図である。
図10図10Aは、MCSコントローラの正面立面図、図10Bは、MCSコントローラの背面斜視図である。
図11図11は、図10Aおよび10Bのコントローラ内に収容され得る電子システムのブロック図を示す。
図12図12は、コントローラ内部の図11の電子システムの構成要素を有する分解図を示す。
図13図13は、MCSコントローラの側面斜視図を示す。
図14図14Aは、大動脈圧と左心室圧の間の圧力差を示すグラフ、図14Bは、モータシャフトの一定回転速度に対する印加電流を示すグラフを示す。
図15図15は、制御パラメータを表示するための例示的なコントローラユーザインターフェースを示す。
図16A図16Aは、構成モードにおける例示的なユーザインターフェースを示す。
図16B図16Bは、動作モードにおける例示的なユーザインターフェースを示す。
図17図17Aおよび17Bは、電子制御要素の実施形態を示す。
図18図18A~18Dは、左心室拡張末期圧(LVEDP)を決定するためのプロセスを示す、例示的な左心室(LV)圧力曲線である。
図19図19は、MCSシステムのポンプの代替的な実施形態の側面図である。
図20図20は、MCSシステムのインペラの代替的な実施形態の側面図である。
図21図21は、MCSシステムのポンプ領域の代替的な実施形態の斜視図である。
図22図22は、MCSシステムの入口管の代替的な実施形態の側面図である。
図23図23は、MCSシステムの入口管の代替的な実施形態の斜視図である。
図24図24は、MCSシステムのポンプ領域の代替的な実施形態の斜視図である。
図25図25は、図24のポンプ領域の入口管の輪郭セクションの部分断面図である。
図26A図26Aは、互いに面している二つのリップシールを有するMCS装置の別の実施形態の様々な図の一つである。
図26B図26Bは、互いに面している二つのリップシールを有するMCS装置の別の実施形態の様々な図の一つである。
図26C図26Cは、互いに面している二つのリップシールを有するMCS装置の別の実施形態の様々な図の一つである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の詳細な説明は、機械的循環支持(MCS)システムおよび方法、ならびに関連する特徴のある特定の実施形態を対象とする。この説明では、図面を参照し、明確化のために、同様の部品または工程は、全体を通して同様の数字で指定され得る。本明細書における「一実施形態(one embodiment)」、「一つの実施形態(an embodiment)」、または「一部の実施形態では(in some embodiments)」という言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも一実施形態に含まれることを意味する。本明細書中の様々な場所における「一実施形態」、「一つの実施形態」、または「一部の実施形態では」の語句の出現は、必ずしもすべて同じ実施形態を指すわけではなく、また別個のまたは代替的な実施形態が必ずしも他の実施形態と相互に排他的であるわけでもない。さらに、一部の実施形態によって示される場合があり、他の実施形態によって示されない可能性がある様々な特徴が説明される。同様に、一部の実施形態では要件となり得るが、他の実施形態では要件とならない可能性がある、様々な要件が記載されている。ここで、本発明の実施形態について詳細を参照し、その例を添付図面に示す。可能な限り、図面全体を通して同じ参照番号を使用して、同一または類似の部品を参照する。
【0012】
本開示によるMCSシステムは、一時的(例えば、一般に約6時間以下、または一部の実施形態では約3時間以下、約4時間以下、約7時間以下、約8時間以下、約9時間以下、または約10時間以下)に左心室支持装置を含む。装置は、例えば心臓外科医を含む心臓チームが、高リスクPCIが適切な治療選択肢であると判断した場合など、重度の冠動脈疾患および/または左室駆出率の低下を有する選択的または緊急の血行動態が安定した患者において実施される高リスクの経皮的冠動脈インターベンション(PCI)中に使用され得る。装置は、単一の大腿動脈アクセスを介して大動脈弁を横切って配置される。
【0013】
システムは、MCSポンプまたはMCS装置と呼ばれる、8Frカテーテルなどのカテーテルに取り付けられたロープロファイルの軸方向回転血液ポンプを含む。ガイドワイヤガイドチューブおよび/またはファンネル補助具は、システムのポンプ領域を通してガイドワイヤを挿入するのを支援するために使用され得る。ガイドチューブは、ガイドワイヤが管状ハウジングを部分的に通って延在し、インペラを回避するため管状ハウジングから出て、管状ハウジングの外側へ延在し、管状ハウジングまたはシステムの他の構成要素に再進入するように、装置の入口管および/またはポンプ領域などの管状ハウジング部分の開口部を通って延在し得る。定位置の時、MCSポンプは、MCSコントローラによって駆動されて、約60mmHgで、最大約4.0リットル/分の部分左心室支持を提供することができる。改善されたベアリング設計および密封されたモータのため、システムパージは必要とされず、システムは蛍光透視下で可視化され、センサを使用した配置の必要性が排除される。
【0014】
システムは、鞘をさらに含んでもよく、鞘は拡張可能であり、挿入および閉鎖を容易にするため8~10Frの初期アクセスサイズを可能にし、14Frおよび18Frのポンプ装置の導入を可能にするため拡張可能であり、ポンプが通過すると、約8Frカテーテルのより狭い直径に戻ることができる。この特徴は、血管内のせん断力を最小化しながら、血管系を通して心臓ポンプが通ることを可能にし、出血および治癒合併症のリスクを有利に低減し得る。動脈切開の膨隆または伸張は、血管に害の少ない最小限のせん断で放射状の伸張を用いて行うことができる。アクセスは、経大腿的、経腋窩的、経大動脈的、または経心尖的アプローチを介して達成され得る。
【0015】
図1は、8Frのカテーテルであってもよいカテーテル1112の先端に取り付けられたMCS装置1110と、装置1110の遠位端から外側に延在するガイドワイヤ1111との、実施形態のレンダリングを示す。デバイス1110の入口管部分は、大動脈弁1113を横切って延在する。本明細書にさらに記載されるように、インペラは、左心室1114から血液を引き込み、それを上行大動脈1116内に排出する入口管の流出セクションに位置する。モータは、使用前または使用中にモータをフラッシュする必要性が排除されて、密封されたハウジング内のインペラの近位に直接取り付けられる。この構成は、低侵襲的アプローチ(開腹外科手術ではなく)による完全な血行再建のための十分な時間と安全性のため、高リスクPCI中の血行動態支持を提供する。
【0016】
システムは、モータフラッシングの必要性を排除し、60mmHgで約4.0L/分まで流量性能を向上させ、せん断応力を最小化する計算流体力学(CFD)最適化されたインペラによる許容可能なほど安全な溶血をもたらすように設計されている。
【0017】
装置は、血液を心室1114から上行大動脈1116および全身循環にポンプ注入する(図1および図2に示す)ことによって、左心室負担1114を積極的に軽減する。所定の位置にある時、MCS装置1110は、相補的なMCSコントローラ1000によって駆動されて(例えば、図10A~18Dを参照されたい)、0.4L/分~最大4.0L/分の部分左心室支持を提供することができる。コントローラ1000は、例えば、センサからのデータを分析し、インペラの回転を制御するために、ポンプと有線または無線通信してもよい。
【0018】
一般に、全体的なMCSシステム10は、以下のうちの一つまたは複数を含む、一連の関連するサブシステムおよび付属品を含み得る。MCS装置1110は、ポンプ、シャフト、近位ハブ、挿入ツール、近位ケーブル、感染シールド、ガイドワイヤガイドチューブおよび/またはガイドワイヤ補助具を含み得る。MCS装置1110は、滅菌状態で提供されてもよい。MCSシャフトは、電気ケーブルと、オーバーザワイヤ挿入のためのガイドワイヤルーメンとを包含し得る。近位ハブは、止血を維持するための弁を備えたガイドワイヤ出口を包含し、MCSシャフトを、MCS装置1110をコントローラ1000に接続する近位ケーブルに接続する。近位ケーブル28は、3.5m(約177インチ)の長さであってもよく、滅菌野5からMCSコントローラ1000が位置する非滅菌野3まで延在してもよい。MCS挿入ツールは、イントロデューサ鞘へのポンプの挿入を容易にし、イントロデューサ鞘を通過する際に潜在的な損傷または干渉から入口管および弁を保護するために、MCSデバイス上に予め取り付けられて提供されてもよい。ピールアウェイガイドワイヤ補助具は、0.018インチ配置ガイドワイヤなどのガイドワイヤをポンプ内およびMCSシャフト内に挿入するのを容易にするために、MCS装置上に予め取り付けられてもよく、任意選択的に、ガイドワイヤガイドチューブが、MCS装置とMCS挿入ツールとの間の空間を少なくとも部分的に通過できるように、MCS挿入ツールも予め取り付けられる。左心室への非外傷性ワイヤ配置用の柔らかいコイル状の事前成形チップを有する、3mの0.018インチ配置ガイドワイヤを使用してもよい。ガイドワイヤは、滅菌状態で提供される。14 Frのイントロデューサ鞘は、大腿動脈へのアクセスを維持し、0.035インチガイドワイヤ、診断用カテーテル、0.018インチ配置ガイドワイヤ、および挿入ツールの止血を提供するために、使用可能な長さである275mmで使用され得る。
【0019】
イントロデューサ鞘のハウジングは、MCS挿入ツールを収容するように設計されてもよい。イントロデューサ鞘は滅菌状態で提供される。イントロデューサダイレータは、イントロデューサ鞘と互換性があり、イントロデューサ鞘の大腿動脈への非外傷性挿入を容易にすることができる。イントロデューサダイレータは滅菌状態で提供される。MCS装置1110を駆動および動作させ、その性能および状態を観察し、ならびにエラーおよびステータス情報を提供するMCSコントローラ1000が使用され得る。電源付きコントローラは、少なくとも約12時間の連続動作を支持するように設計されてもよく、患者に提供される支持のレベルを示し、調整するための基本的なインターフェースを含む。さらに、コントローラは、システムが動作中にエラーを検出した場合、光警報および可聴警報通知を提供する。MCSコントローラ1000は、非滅菌状態で提供されてもよく、滅菌野5の外部でのクリーニングおよび再使用のために設計されたエンクロージャ内に包含されてもよい。コントローラエンクロージャは、延長ケーブルが差し込まれるソケットを含んでもよい。
【0020】
二つのガイドワイヤを使用するMCS装置1110の挿入プロセスの一部の例では、より大きな0.035インチのガイドワイヤを最初に挿入してもよい。より大きなガイドワイヤは、例えば、ルーメンを有するイントロデューサキットのダイレータを通して、または異なるアクセス鞘を通して挿入されてもよい。挿入後、アクセス鞘は除去されてもよく、ダイレータ付きイントロデューサはより大きなガイドワイヤにわたって前進されてもよい。次いで、ダイレータをイントロデューサから除去してもよく、診断カテーテルを、イントロデューサを通してガイドワイヤにわたって心臓内に前進させてもよい。次に、より大きなガイドワイヤを除去し、より小さな0.018インチのガイドワイヤを、診断カテーテルを通して前進させることができる。次に、診断カテーテルを除去して、イントロデューサ内により小さな0.018インチのガイドワイヤを残してもよい。次に、0.018インチのガイドワイヤの近位端は、ガイドワイヤ補助具(身体の外部であってもよい)を介してMCS装置を通して送られ得る。次に、ガイドワイヤ補助具を除去し(例えば、剥がすことによって)、MCS装置(挿入ツールにまだある)を、小さなガイドワイヤにわたってイントロデューサに挿入してもよい。次に、MCSデバイスは、挿入ツールから遠位に心臓まで、より小さなガイドワイヤにわたって前進させてもよい。次に、挿入ツールは、随意にイントロデューサから引き込まれてもよい。
【0021】
図3を参照すると、本開示の一態様による全体的なMCSシステム10が図示されており、そのサブコンポーネントを以下により詳細に説明する。参照のため、図3、4、および8Aの矢印は、「遠位」および「近位」方向を示す。本明細書で使用される場合、「遠位」および「近位」は、それらの一般的および通例の意味を有し、限定されないが、送達経路に沿って測定される患者の身体の入口点からより遠い方向、および離れて送達経路に沿って測定される患者の身体の入口点からより遠くない方向をそれぞれ含む。
【0022】
システム10は、MCSシャフト16を軸方向に移動可能に受け入れるための中央ルーメンを有する近位イントロデューサハブ14を有するイントロデューサ鞘12を含み得る。MCSシャフト16は、近位ハブ18とポンプ22の近位端との間に延在する。ポンプは、システム10の遠位端20に位置し、そこから延在するガイドワイヤ24を有してもよい。本明細書に記載されるガイドワイヤ24もしくは1111または任意の他のガイドワイヤは、“GUIDEWIRE”と題し、2021年7月21日に出願された米国仮特許出願第63/224326号明細書に記載されるものなど、様々な特徴を有してもよく、その内容全体は、参照により、すべての目的に対して本明細書に援用され、本明細書の一部を形成する。ハブ18は、装置識別および実行時間の追跡のための統合マイクロコントローラまたはメモリ記憶装置を備えてもよく、マイクロコントローラまたはメモリ記憶装置は過度な摩耗または他の技術的誤動作を避けるために、過剰使用を防ぐのに使用され得る。マイクロコントローラまたはメモリデバイスは、例えば、使用済み装置の使用を防止するために、装置を無効化することができる。マイクロコントローラまたはメモリデバイスは、装置に関する情報またはその使用についてのメッセージを表示できる、コントローラと通信することができる。放射線不透過性材料を用いた非侵襲的なカニューレ先端により、X線透視下での移植/外植が目に見えるようになる。
【0023】
ポンプ22は、管状ハウジングを備える。ポンプ22の管状ハウジングは本明細書で広く使用され、入口管、遠位端部、モータハウジング、他の接続管状構造体、および/またはモータハウジングの近位後部端など、ポンプ22の任意の構成要素またはシステムのポンプ領域内の構成要素を含み得る。ポンプ22、例えば、管状ハウジングは、MCSシャフト16の遠位領域によって担持される。システム10は、ガイドワイヤ24を軸方向に移動可能に受け入れるための少なくとも一つの中央ルーメンを備える。近位ハブ18は、感染シールド26を追加的に備える。近位ケーブル28は、典型的には滅菌野3の外側の制御システムへの取り外し可能な接続のため近位ハブ18とコネクタ30との間に延在して、ポンプ22を駆動する。
【0024】
図4を参照すると、システム10は、さらに挿入ツール32を含む。挿入ツール32は、細長い管状体36を有する。挿入ツール32は、約85mm~約160mm(例えば、約114mm)の範囲内の長さ、および近位ハブ34から遠位に延在する約4.5mm~約6.5mm(例えば、約5.55mm)の範囲内の内径を有し得る。管状体36は、MCSシャフト16およびポンプ22を、そこを通って軸方向に移動可能に受け入れるように適合された中央ルーメン、およびイントロデューサ鞘の止血弁を通過する際に開存性を維持するのに十分な耐圧潰性を含む。図4に示すように、ポンプ22は、イントロデューサハブ14の近位端上の止血弁(複数可)を通したポンプ22の通過を容易にするために、管状体36内に位置付けられ得る。マーカ37(図7に図示する如きもの)は、マーカ37がハブ34の近位側面に見える限り、ポンプが管状体36内にあることを臨床医が知っているように、遠位先端64から近位に間隔を置いたシャフト16上に備えられる。
【0025】
ハブ34は、挿入ツールをイントロデューサ鞘内にロックするために、イントロデューサ鞘上に相補的な第二の係合構造体と係合するための第一の係合構造体39を備えてもよい。ハブ34は、力嵌合、ねじ、または他の手段を介して接続するノブまたはボタンなどの接続41を介して感染シールド26に接続されてもよい。ハブ34はまた、MCSデバイスが心臓内の所望の位置に位置付けられたら、シャフト16が挿入ツールを通して近位または遠位に滑ることを防止するために、シャフト16上に締付をするための係止機構を備えてもよい。係止機構は、ハブ34の一つまたは複数の部品(例えば、二つの部品)をねじることによって作動され得る。他の作動手段も可能であり得る。ハブ34は、シャフト16の周りを封止するための止血弁を追加的に備えてもよい。いくつかの実施形態では、ハブ34は、ポンプを含むより大きな直径のMCS装置の通路を収容し得る。システムの一つの商業的提示では、パッケージ化されたMCS装置は、挿入ツール内に予め位置付けられ、ガイドワイヤ補助具38は、図4に示すように、MCS装置およびシャフト16内に予め装填される。一部の例では、MCS装置は、管36内に予め位置付けられ、遠位に前進するように構成される。こうした構成では、ハブ34のルーメンは、MCS装置よりも小さくてもよく、シャフト16のみがハブ34を通過するように構成されてもよい。ポンプを本体から取り外すとき、MCS装置は管36内に引き込まれてもよく、次いで挿入ツールは、管36内のポンプと共にイントロデューサから引き出されてもよい。例えば、図8Aおよび図8Bを参照して、ガイドワイヤ補助具38のさらなる詳細を論じる。
【0026】
図5および図6を参照すると、イントロデューサキット110は、図8Aおよび8Bを参照して論じたように、イントロデューサ鞘112、ダイレータ114、ガイドワイヤ100、および/またはガイドワイヤ補助具38を含み得る。ガイドワイヤ100(例えば、0.018インチ配置ガイドワイヤ)は、近位端102と遠位端104との間に延在する細長い可撓性本体101を備え得る。本体101の遠位ゾーンは、図6に示すように、J字先端またはピッグテールに予め成形されて、非外傷性の遠位先端を提供し得る。近位ゾーン106は、MCS装置を通したねじ込みを容易にするように構成されてもよく、近位端102と遷移108との間に延在する。近位ゾーン106は、約100mm~約500mm(例えば、約300mm)の範囲内の軸方向長さを有してもよい。
【0027】
イントロデューサキット110は、イントロデューサ鞘112および/またはダイレータ114を備え得る。鞘112は、近位端118と遠位端120との間に延在する細長い管状体116を備えてもよい。管状体116は、近位ハブ122で近位に終結する。任意選択で、管状体116は拡張可能であってもよく、または剥離することができる。近位ハブ122は、管状体116の長さを通して延在し、遠位開口部を通って外に延在する中央ルーメンと連通する近位端ポート124を含んでもよく、細長いダイレータ114を軸方向に取り外し可能に受け入れるよう構成される。近位ハブ122は、側面ポート126、患者に対して縫合を容易にするための眼128などの少なくとも一つおよび任意で二つ以上の取り付け機構、ならびに標準的な0.035インチガイドワイヤ、5Frまたは6Frの診断用カテーテル、0.018インチ配置用ガイドワイヤ100、シャフト16、および挿入ツール32などの様々な導入された構成要素の周りに封止を提供する、少なくとも一つおよび任意で複数の止血弁をさらに備えてもよい。
【0028】
図7は、装置またはポンプ22およびカテーテルシャフト16の遠位部分を示す、MCSシステムの遠位ポンプ領域60の追加の詳細を示す。ポンプゾーンまたは領域60は、シャフト16の遠位端のベンドリリーフ62と遠位先端64との間に延在する。ポンプ22は、入口管70、遠位先端64、および/またはモータハウジング74を含み得る管状ハウジング61を含む。管状ハウジング61は、入口管70の一部であってもよく、または入口管70の近位端をモータハウジング74に接合する中間構造などの他の構造体の一部であってもよい、一つまたは複数のポンプ入口66および/または出口68を含んでもよい。本明細書でさらに説明するように、ガイドワイヤガイド補助具は、ポンプ22および/またはカテーテルシャフト16(例えば、ベンドリリーフ62)の管状ハウジング61など、システムの様々な構成要素内におよび様々な構成要素から延在し得る。
【0029】
一つまたは複数の窓もしくは開口部を備えるポンプ入口66は、入口管70を通って軸方向に延在する流路によって、一つまたは複数の窓もしくは開口部を備えるポンプ出口68と流体連通する。ポンプ入口66は、入口管70と遠位先端64の近位端との間の遷移の周りに位置付けられてもよい。ポンプ入口66は、概して、遠位ポート76から約5cm、3cm、またはそれより短い距離内であってもよい。
【0030】
一部の実施形態では、遠位先端64は放射線不透過性である。例えば、遠位先端は、硫酸バリウム、ビスマス、タングステン、ヨウ素などの放射性緩和剤を含有するポリマーから作製されてもよい。一部の実施形態では、MCS装置全体は放射線不透過性である。いくつかの実施形態では、放射線不透過性マーカは、ポンプ出口68とガイドワイヤポート78との間の入口管上に位置付けられ、大動脈弁の現在の位置を示す。
【0031】
入口管70は、流路を分離するために、ポリマー(例えば、ポリウレタン)管層を有する高可撓性のスロット付き(例えば、レーザ切断)金属(例えば、ニチノール)管を備え得る。入口管は、約60mm~約100mmの範囲内の軸方向長さを有してもよく、一実装形態では、約67.5mmである。外径は、約4mm~約5.4mmの範囲内であってもよく、一実装形態では、約4.66mmである。入口管と遠位先端との間の、およびモータへの接続は、レーザ溶接、接着剤、ねじ込みまたはその他の干渉嵌合係合構造の使用などによって固定されてもよく、または圧入を介してであってもよい。
【0032】
インペラ72は、ポンプ入口66とポンプ出口68との間の流路内に位置付けられてもよい(図9Aおよび9Bも参照されたい)。図示した実施形態では、インペラ72は、ポンプ出口68に隣接して位置付けられる。以下でさらに論じるように、インペラ72は、インペラ72の近位側面にあるモータハウジング74内に包含されたモータによって回転駆動される。
【0033】
図8Aおよび8Bは、それぞれガイドワイヤ補助具38の実施形態を示すポンプ領域の側面断面図および詳細図である。MCS装置は、高速交換またはオーバーザワイヤ構成のいずれかで提供され得る。遠位先端64の遠位面上の遠位に面する開口部などの第一のガイドワイヤポート76は、遠位先端64および入口管70の流路の少なくとも一部分を通る第一のガイドワイヤルーメンを介して、入口管70の側壁を通って延在し、インペラ72の遠位に延在する開口部などの第二のガイドワイヤポート78と連通していてもよい。これは、第二のガイドワイヤポート78からカテーテルに沿って近位に延在するガイドワイヤ100との迅速な交換に使用され得る。
【0034】
カテーテルは、ガイドワイヤ100がカテーテルシャフト16の長さを通してその中のガイドワイヤルーメンを通して近位に延在する、オーバーザワイヤ構成で提供されてもよい。しかしながら、例えば、図7、8Aおよび8Bのオーバーザワイヤ実施形態では、ガイドワイヤ100は、第二のガイドワイヤポート78を介して入口管70を出て、インペラおよびモータハウジングの外側を横切って近位に延在し、カテーテルシャフトの側壁の開口部またはポンプ、ハウジング、またはバックエンドの近位構成要素の開口部であり得る第三のガイドワイヤポート80を介してカテーテルシャフト16に再進入する。第三のガイドワイヤポート80は、モータの近位に位置してもよく、図示した実施形態では、ベンドリリーフ62上に位置する。第三のガイドワイヤポート80は、カテーテルシャフト16の長さを通して近位に延在し、近位ハブ18によって担持されるか、または近位ハブ18内に位置する近位ガイドワイヤポートで出るカテーテルシャフト16のガイドワイヤルーメンと連通する(図4を参照されたい)。
【0035】
図8Aに示すように、ポンプは、取り外し可能なガイドワイヤ補助具38と組み立てられて提供されてもよい。ガイドワイヤ補助具38は、ガイドワイヤガイドチューブ83を有してもよい。ガイドチューブ83は、軸方向に延在する円筒形または他の閉じた断面形状であってもよい。ガイドチューブ83は、ポリイミドなどの可撓性材料であってもよい。ガイドチューブ83は、長軸方向のスリット線または引裂き線を有するなど、長軸方向に剥離されるように適合され得る。ガイドチューブ83の内側表面は、PTFEなどの潤滑コーティングが提供されてもよい。ガイドチューブ83は、第一のガイドワイヤポート76から、第二のガイドワイヤポート78を介して先端64を近位に通り、入口管の外側に戻って、第三のガイドワイヤポート80を介してカテーテルシャフト16内に戻って、ガイドワイヤ100の意図された経路を追跡してもよい。図示した実装形態では、ガイドワイヤガイドチューブ83は、近位ハブ18に延在するガイドワイヤルーメンと連通する、または近位ハブ18に延在するガイドワイヤルーメン内の、カテーテルシャフト16内でガイドチューブ83の近位端81に近位に延在する。ガイドチューブ83の近位端81は、シャフト16の遠位端の約5mmまたは10mm以内に位置付けられてもよく、または約10mm~約50mmの範囲など、少なくとも約10mmまたは20mmだけ、カテーテルシャフトガイドワイヤルーメン内に延在してもよい。いくつかの実施形態では、第三のポート80は、モータハウジングまたはバックエンドなどの管状ハウジングの近位端内、またはインペラの近位にある位置の装置の任意の他の構成要素内に位置してもよい。
【0036】
ガイドワイヤ補助具38は、ファンネル92を有してもよい。ファンネル92は、ガイドチューブ83の遠位端に位置してもよく、例えば、遠位先端64で、入口管の遠位端に予め位置付けられて提供されてもよい。ファンネル92は、ガイドチューブ83と連通する狭い近位端から、ファンネル92の遠位端のより広い遠位開口部まで、遠位方向に幅が増大し得る。ファンネル92は、円錐形、円錐台形、角錐形、セグメント化された、または他の形状であってもよい。ファンネル92の近位端は、ガイドワイヤガイドチューブ83の遠位端に取り付けられてもよい。ガイドワイヤ100の近位端102(図6を参照)は、ファンネル92に挿入され、第一の(遠位)ガイドワイヤポート76を通過し、ガイドワイヤガイドチューブ83の内側を追跡することによって意図された経路に沿って誘導されてもよい。ガイドワイヤガイドチューブ83は、ガイドチューブ83を遠位先端64から遠位にスライドして、ガイドワイヤ100を所定の位置に残して長軸方向に剥離することによって除去され得る。
【0037】
ガイドワイヤ補助具38は、プルタブ94を有してもよい。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤガイドチューブ83の遠位端は、ガイドワイヤ補助具38のプルタブ94に取り付けられる。プルタブ94は、例えば、図示するように横方向の平面状の伸長によって、ヒトの手によって掴まれることができる構造であってもよい。ガイドワイヤ補助具38、例えば、プルタブ94、ガイドチューブ83および/またはファンネル92は、図8Bにより明瞭に見られるように、引裂き線75を備えてもよい。引裂き線75線は、軸方向に延在する分割線であってもよい。引裂き線75は、弱体化、スロット、または穿孔された直線領域を含み得る。ガイドワイヤ補助具38の除去は、図8Bの詳細な差し込み図91に示すように、分割線75に沿って分割または剥離するとき、プルタブ94を掴み、ガイドワイヤチューブ83および/またはファンネル92を引き出し、ガイドワイヤ100からそれらを除去することなどによって遂行され得る。
【0038】
ガイドワイヤ補助具38は、ポンプ入口66の窓を画定する入口管70の遠位端で、遠位先端64および/または支柱をスリップして取り外し可能に受け入れるように構成された近位開口部90を含み得る。ルーメンを有するガイドワイヤガイドチューブ83は、近位開口部90内に位置付けられ、遠位先端64のガイドワイヤポート76を通過するために整列される。近位開口部90はさらに、図4に示すように、挿入ツール32の管状体36の遠位端をスリップして取り外し可能に受け入れるように構成され得る。MCSシステムは、入口管70、モータハウジング74、またはMCSカテーテルベンドリリーフ16などのMCS装置の外面と、挿入ツール32の管状体36の内面との間に画定される環状空間が、MCS装置、ガイドワイヤ補助具38および挿入ツール32が一緒に組み立てられた時に、その中にガイドワイヤガイドチューブ83を取り外し可能に受けいれ得るように寸法設定されてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、ガイドワイヤガイドチューブ83のルーメンは、遠位方向の断面でより大きくなるファンネル92の遠位フレア開口部と連通する。ガイドワイヤ補助具38は、ガイドワイヤ経路に沿って、例えば、ポート76を通してMCSポンプ内に、入口管70内の流体経路の一部分を通して、ポート78を通してMCSポンプから抜けて、MCSポンプの外部に沿って、およびポート80を通してシャフト16に戻るように予め装填されたガイドワイヤガイドチューブ83と共に、MCSポンプ上に組み立てられて提供されてもよい。これは、ガイドワイヤの近位端を、ガイドワイヤ経路を通ってファンネル92内に、およびMCSシャフト16のガイドワイヤルーメン内に誘導するのに役立つ。ガイドワイヤの装填後、ガイドワイヤガイドチューブ83を含むガイドワイヤ補助具の把持および除去を容易にするために、プルタブ94がガイドワイヤ補助具38上に提供されてもよい。ガイドワイヤ補助具38は、例えばファンネル92、近位開口部90、およびガイドワイヤガイドチューブ83に沿って、MCSポンプ22およびガイドワイヤ100からのガイドワイヤ補助具38の除去を容易にするために、長手方向スリットまたは引裂き線75を有してもよい。
【0040】
本明細書に記載のガイドワイヤ補助具38の特徴は、様々な異なるMCSシステムおよび/またはポンプ装置と共に使用され得る。ガイドワイヤ補助具38は、記載されるように、ポンプハウジングに出入りする、またはハウジングから出ないガイドワイヤ経路に使用され得る。ガイドワイヤ補助具38は、高リスクPCI処置のための一時的な動作のために構成されたMCSシステムと共に使用されているとして本明細書に記載される。システムは、半径方向シャフトシールを有する回転インペラと、シールを通って延在するシャフトを介してインペラを回転するモータとを含み得る。ガイドワイヤ補助具38は、様々な異なる装置と共に使用され得る。ガイドワイヤ補助具38はまた、磁気ドライブを有するポンプと共に使用されてもよく、モータは、密封されたハウジングの外側にあるインペラの第二の磁石と磁気的に連通してインペラを回転させる密封されたモータハウジング内で第一の磁石を回転させる。したがって、ガイドワイヤ補助具38は、本明細書に記載の特定のポンプ実施形態のみと共に使用することに限定されるものではない。
【0041】
図9Aおよび9Bは、ポンプ22の側面図および部分断面図をそれぞれ示す。示されるように、インペラ72は、短くて剛直なモータ駆動シャフト140に取り付けられてもよい。駆動シャフト140は、インペラハブ146上の近位延長部154を通してなど、インペラ72の近位に面する中央ルーメン142内に遠位に延在してもよく、プレス圧入、レーザ溶接、接着剤、または他の接合技術によって固定され得る。インペラ72は、半径方向外側に延在するらせんブレード80を含んでもよく、その最大外径で、約40マイクロメートル~約120マイクロメートルの範囲内で、管状インペラハウジング82の内面から間隔を置いてもよい。インペラハウジング82は、入口管70に形成されたスロット71の近位側面上の入口管70の近位延長部であってもよく、インペラの遠位に柔軟性を提供する。管状外膜73は、入口管を封入してもよく、スロット71を封止する一方で、入口管の柔軟性を保持する。一つまたは複数のポンプ出口68は、例えば、インペラの近位部分(例えば、インペラの近位25%~50%部分)と軸方向に整列した、インペラハウジングの側壁に形成されてもよい。
【0042】
インペラは、医療用のチタンを含み得る。これにより、血液細胞の損傷(溶血)を低減するためのせん断応力を最小化し、非定常勾配が効率を増加させる、CFD最適化インペラ設計が可能となる。この後者の特徴は、型ベースの製造方法では達成できない。表面の電気研磨は、溶血への影響を最小化するために表面粗さを減少させる。
【0043】
本発明の一実装形態では、インペラハブ146は、近位方向に半径方向外側にフレアして、出口68から血流を方向付けることができるインペラ基部150を形成してもよい。インペラ基部150の近位表面は、モータシャフト140に固定された半径方向外側に延在するフランジの形態であってもよいインペラバック152に固定されてもよい。この目的のために、インペラバック152は、モータシャフト140を受け入れるための中央開口を備えてもよく、モータシャフト140に接合されるように適合された管状スリーブ154と一体的に形成されてもよく、または一体的に接合されてもよい。一実装形態では、インペラバック152は、最初にモータシャフト140に取り付けられ、接着剤の使用などを介して接合され得る。第二のステップでは、インペラ72は、シャフトにわたって前進されてもよく、インペラ基部150は、レーザ溶接などによって、インペラバック152に接合されてもよい。
【0044】
インペラバック152の開口の遠位開口部は、接着剤の塗布を容易にするために、遠位方向の直径が増大し得る。管状スリーブ154の近位端は、以下にさらに論じられるように、近位方向の外径が減少して、スリーブをモータシャフト上に近位に、モータシール156を通して前進させることを容易にするための入口スロープを形成し得る。
【0045】
モータ148は、モータシャフト140に対して回転的に固定された複数の磁石を含み得る、モータアーマチュア160を封入する空洞を囲む導電性巻線を有するステータ158を含み得る。モータシャフト140は、モータ148から回転ベアリング162を通り、またシール156を通って延在し、その後密封されたモータハウジング164から出ることができる。シール156は、ポリマーシールリングなどの環状シール167を支持するシールホルダ166を含み得る。シールリングは、スリーブ154を受けるための中央開口を含んでもよく、回転可能なスリーブ154と摺動シール接触でシールリングを維持するために、スリーブ154に対して半径方向内側に付勢される。スリーブ154の外面は、シール上の摩耗を最小化するために、電気研磨などにより滑らかな表面を備えてもよい。
【0046】
ポンプは、高リスクPCI(典型的には約6時間以下)の短い使用時間のため、フラッシングまたはパージすることなく使用されるように構成された、密封されたモータを含んでもよい。これは、以下でさらに詳細に説明するように、インペラをモータシャフト上に直接接合する機会を提供し、追加の剛性長さ、スペース要件またはポンプ効率など、磁気カップリングに関連する問題を除去する。いくつかの実施形態では、ポンプは、図26A~26Cに関して本明細書に記載される、シールの特徴の一つまたは複数を含み得る。60水銀柱ミリメートル(mmHg)で最大毎分4.0リットル(L/分)の流量性能と低温変化を可能にする、四極モータ設計を使用してもよい。モータケーブルインターフェースは、説明のため高張力を備えてもよい。
【0047】
図10Aおよび図10Bは、MCSコントローラまたはコントローラ1000の実施形態の正面図および背面図を示す。コントローラ1000は、本明細書に記載されるような、左心室支持装置、心室補助装置、またはMCS装置などの、一つまたは複数の心臓あるいは循環支持システムの動作を支持し得る。コントローラ1000は、心臓支持システムに電力を供給するためのもう一つのモジュールを含み得る。コントローラ1000は、動作信号を心臓支持システムと送受信するための電子回路を収容し得る。コントローラ1000は、以下に説明するように、心臓支持システムからのセンサデータなどのデータを受信および処理するために、一つまたは複数のハードウェアプロセッサを収容し得る。一部の実施形態では、コントローラ1000は、コントローラの動作に必要な構成要素のすべてまたはほとんどがコントローラ内に収容される、統合型または自己完結型設計を有してもよい。例えば、トランスまたはAC/DCコンバータなどの任意の電源構成要素は、コントローラ1000内に収容されてもよい。図2に示すように、コントローラ1000は、カテーテルシャフト62を通ってポンプに延在する電子ワイヤを介してポンプに配線されてもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、コントローラ1000は、コントローラの構築後にコントローラ1000を新しい使用または変更された使用に適合させることができるように、通信システム、または任意の他の適切なシステムを含み得る。例えば、RF、wifi、および/またはBluetooth(登録商標)などの外部技術と通信するために、有線または無線通信の複数のモードをコントローラ1000内に統合することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ1000は、RFIDリーダを有してもよい。一部の実施形態では、コントローラ1000は、患者データの同期、遠隔医療、患者モニタリング、リアルタイムデータ収集、エラー報告、および/またはメンテナンス記録の共有を可能にするシステムまたはコンポーネントを有してもよい。
【0049】
コントローラ1000は、本明細書に記載される心臓支持システムのいずれかを支持する、これらのモジュール用のハウジングを含み得る。ハウジングは、携帯性を支持するハンドル1002をさらに含み得る。Abiomed(アビオメッド)社のImpella Controllerなどの他のコントローラの一部とは対照的に、コントローラ1000は、パージに必要な構成要素を含まない場合がある。例えば、コントローラ1000は、パージ用のカセットを含まない。カセットは通常、すすぎ液をカテーテルに送達する。しかし、カセットは、かなりの不動産を必要とし、ハウジングをより大きくかつ重くする。本明細書で論じるベアリング設計および密封されたモータなどの本明細書に記載される設計改善のため、コントローラ1000はカセットを含まない。さらに、いくつかの実施形態では、コントローラ1000は、パージ管を受け入れるためのポートを必要としない。したがって、コントローラ1000は、携帯性を支持するために軽くてコンパクトであってもよい。
【0050】
コントローラはまた、ケーブル管理サポート1004を含んでもよい。一部の実施形態では、ケーブル管理サポート1004は、コントローラ1000の一方の端部または側面上に位置付けられる。コントローラ1000はまた、臨床環境におけるコントローラのポールへの取り付けを支持し得るマウント1006を含んでもよい。マウント1006は、水平または垂直の締付を支持するために軸の周りを回転してもよい。マウント1006は、スリッピングクラッチで素早く固定することによって、所望の配向に急速にロックされ得る。一部の例では、マウント1006は、ケーブル管理サポート1004から離れて位置付けられる。さらに、いくつかの実施形態では、ケーブル管理サポート1004は、図10Aに示すように、コントローラ1000の左端に位置付けられる。ポート1107(図13に示すような)は、ケーブル管理サポート1004の反対側の側面に位置付けられてもよい。一部の例では、以下で論じる制御要素1008は、ケーブル管理サポート1004とは反対側の側面に、ポート1107に極めて近接して位置付けられる。これにより、ユーザがコントローラ1000のアクティブ構成要素と改善された相互作用を有することができる。したがって、図示されるように、コントローラ1000内のすべてのこれらの要素の配置は、動作体験を改善し、携帯性を向上させることができる。
【0051】
コントローラ1000は、制御要素1008を含み得る。一部の実施形態では、制御要素1008は、ハプティックフィードバックを提供し得る。制御要素1008は、プッシュボタン回転ダイヤルを含み得る。制御要素1008は、ユーザがコントローラ1000上のパラメータを変更して、本明細書に記載された一つまたは複数のプロセスを制御することを可能にし得る。制御要素1008はまた、図10Aに示すように、ステータスインジケータ1010を含んでもよい。いくつかの実施形態では、コントローラ1000は、別個の確認制御要素を含み得る。さらに、一部の実施形態では、別個の確認制御要素とは別に、すべてのパラメータは、単一の制御要素1008を使用して変更することができる。専用領域内のコントロールのグループ化は、ユーザ体験を改善し得る。
【0052】
図11は、コントローラ1000に含めることができる電子システム1100のブロック図を示す。いくつかの実施形態では、電子システム1100は、MCS装置1110を制御するための一つまたは複数のハードウェアプロセッサと併せて、一つまたは複数の回路基板を含み得る。電子システム1100はまた、信号を受信し、信号を処理し、信号を送信することができる。電子システム1100はさらに、表示および/または警報を生成することができる。電子システム1100は、制御システム1102および表示システム1104を含み得る。いくつかの実施形態では、表示システム1104は、制御システム1102に統合されてもよく、図11に示すように分離されない。いくつかの実施形態では、表示システム1104が制御システム1102から分離することが有利であり得る。例えば、制御システム1102の故障の場合、表示システム1104は、バックアップとして機能できる。
【0053】
制御システム1102は、MCS装置1110の様々な態様を制御する一つまたは複数のハードウェアプロセッサを含み得る。例えば、制御システム1102は、MCS装置1110のモータを制御することができる。制御システム1102はまた、MCS装置1110から信号を受信し、パラメータを処理することができる。パラメータには、例えば、流量、モータ電流、ABP、LVP、LVEDPなどが含まれ得る。制御システム1102は、コントローラ1100および/またはMCS装置1110の警報およびステータスを生成できる。一部の実施形態では、制御システム1102は、複数のMCS装置1110を支持できる。制御システム1102は、生成された警報またはステータスインジケータを表示システム1104に送信できる。表示システム1104は、制御システム1102から処理されたデータを受信し、処理されたデータを表示画面上に表示するために、一つまたは複数のハードウェアプロセッサを含み得る。制御システム1102はまた、データを記憶するためのメモリを含んでもよい。
【0054】
電子システム1100はまた、その電子システムが外部電源に接続せずに動作することを可能にすることができるバッテリ1106を含み得る。電源インターフェース1108は、外部電源からバッテリ1106を充電できる。制御システム1102は、バッテリ電源を使用して、MCS装置1110のモータに電流を供給することができる。
【0055】
一つまたは複数のハードウェアプロセッサは、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲートもしくはトランジスタ論理、ディスクリートハードウェアコンポーネント、または本明細書に記載される機能を実施するように設計されたそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0056】
図12は、図11の電子システム1100のブロック概略図の特徴に対応する物理的構成要素を有するコントローラ1000の実施形態の分解図である。図12に示すように、コントローラ1000は、ハウジング内に配置された回路基板を含む制御システム1102および表示システム1104を含み得る。バッテリ1106は、ハウジングの下部セクション内に配置されてもよい。電源インターフェース1108は、ハウジングの隅に位置してもよい。
【0057】
図13は、コントローラ1000の正面斜視図である。いくつかの実施形態では、コントローラ1000は、警報フィードバックシステムを含んでもよく、警報フィードバックシステムは、MCSシステムの動作に関してオペレータにフィードバックを提供し得る。いくつかの実施形態では、警報フィードバックシステムは、図示するようにLED1302の形態であってもよい。LED1302は、コントローラを使用してオペレータが見ることができるように位置付けられてもよい。図示するように、LED1302はハンドル1002の周りに位置付けられる。したがって、コントローラの周りの位置360°から見ることができる。LED1302は、ハンドル1002を包む輪(楕円形、長方形、円形、または任意の他の適切な形状)の形態であってもよい。こうしたLED1302は、コントローラの上部が視認可能である限り、任意の方向から可視化され得る。制御システム1102は、LED1302に対して異なる色またはパターンを生成して、コントローラ1000および/またはMCS装置1110の様々な警報またはステータスを提供することができる。
【0058】
コントローラ1000は、MCS装置に接続されたケーブルを受け入れることができるポート1107をさらに含む。ポート1107は、複数のバージョンのMCS装置を支持できる。コントローラ1000はまた、コントローラ1000の側面上にRFIDリーダ1304を含み得る。RFIDリーダ1304は、販売担当者のバッジを読み取り、特定のデモモードに従って装置を動作させることができる。コントローラ1000は、図13に示すように傾けられて、ユーザの可読性を改善するガラスカバー1305を含み得る。
【0059】
図14Aは、典型的な圧力差であり得る、大動脈圧と左心室圧との間の圧力差を示すグラフを示す。一部の例では、MCS装置1110は、異なる圧力レベル(例えば、左心室と大動脈弓)に対応する心臓の二つの位置の間に位置付けられ得る。したがって、MCS装置1110は、図14Aに示す圧力差に対して動作し得る。それに伴って、MCS装置1110のモータは、一部の例では、圧力と共に、その他の例では、圧力に対して動作してもよい。したがって、モータの速度、例えば、モータシャフトの回転速度を一定またはほぼ安定に保つために、モータに供給される電流は、圧力差に基づいて変化する必要があることが観察された。
【0060】
図14Bは、一定のモータ速度に対する印加電流を示す。図14Bの電流曲線は、図14Bの圧力差曲線と同様の挙動に従う。いくつかの実施形態では、制御システム1102は、モータ電流を変化させることによって、モータを制御して、一定の速度で運転させることができる。モータ電流の変動は、制御システム1102によって使用されて、差圧、したがって患者の生理、動作条件、および機械の状態を調査することができる。
【0061】
図15は、流量パラメータおよびモータ電流を表示できる例示的なユーザインターフェースを示す。ユーザインターフェースはまた、パラメータを、時間とともにプロットされたグラフとして表示することができる。ユーザインターフェースは、コントローラ1000上に、例えば、ディスプレイ上に表示されてもよい。
【0062】
図16Aは、制御要素1008を使用して、流量の設定などのパラメータを変更できる、構成モードにおける例示的なユーザインターフェースを示す。制御要素1008は、ノブ上および/またはノブに隣接して視覚的フィードバックシステムを直接含み得る。図16Bは、動作モード中の例示的なユーザインターフェースを示す。図16Aおよび図16Bを比較すると、ユーザインターフェース上の特定のテキストは、モードに応じて強調表示または強調されることができる。構成モードでは、設定された流量が拡大される。動作モードでは、流量が拡大される。これにより、特にユーザインターフェースがいくつかのパラメータを含む場合に、ユーザにとっての可読性が改善される。
【0063】
いくつかの実施形態では、コントローラに接続されたMCS装置1110の種類に応じて、一部のユーザインターフェースのみが利用可能であり得る。例えば、上で論じたいくつかの装置は、いかなるセンサも含まない場合があり、上で論じたすべてのユーザインターフェースをサポートしていない場合がある。これらのセンサなし装置は、低コストかつより小型であり得る。
【0064】
図17は、電子制御要素1702および視覚的インジケータ1704の実施形態を示す。電子制御要素1702は、ダイヤルの面上にディスプレイを含み得る。さらに、視覚的インジケータ1704は、ダイヤルが回転すると、モータのステータスまたは他の動作状態を示すことができる。
【0065】
図18A~18Dは、左心室拡張末期圧(LVEDP)を決定するためのプロセスを示す、例示的な左心室(LV)圧力曲線である。制御システム1102は、ステータスおよび動作パラメータを文書化することができ、これは、ネットワーク通信を介してEMRシステムに転送され得る。制御システム1102は、左心室拡張末期圧(LVEDP)を測定することができる。図18A~18Dは、測定されたLV圧力曲線からのLVDEPを決定するための一連のステップを示す。図18Aは、100MHzのサンプリング速度で測定された例示的なLV圧力曲線を示す。制御システム1102は、測定されたLV圧力曲線を処理してLVDEPを決定することができる。例えば、制御システム1102は、図18Bに示すように、LV曲線における最大の正の勾配を識別できる。これにより、パルス値を識別できる。他の技術を使用して、パルスの開始を識別することができる。パルスが識別されると、制御システム1102は、図18Bに示すように、2つの正の急勾配の間のLV曲線において、最大値および最小値を見つけることができる。これはまた、収縮期値および拡張期値ももたらすことができる。一部の実例では、制御システム1102は、図18Dに示すように、第2の勾配の左の最小値を識別できる。この値は、LVEDP決定を表すことができる。
【0066】
上述のように、例えば、図14Bに関して、モータ電流を制御または心臓と同期化し、モータ電流を測定することにより、制御システム1102が、電流を測定することによって差圧を調査し、それゆえ、患者の生理学的プロセス、動作状態、および機械の状態を調査することができる。生理学的プロセスには、ポンプが心臓の壁に当たる時が含まれ得る。一部の例では、モータ電流は、RPMの変化を測定する間、一定に保たれる。一部の例では、別個の流れセンサまたは圧力センサは、生理学的プロセスを調査するために必要とされない。コントローラ1000などのモータコントローラを含むモータ設計は、高分解能電流測定を可能にすることができる。一部の例では、モータコントローラは、センサレスであり、例えば、モータコントローラは、ホールセンサを含まなくてもよい。一部の例では、制御システム1102は、心臓の回復を改善するために、拍動モードでモータを動作させ得る。
【0067】
図19は、血液105をポンプ注入するためのポンプ100の別の実施形態の概略側面図を示す。ポンプ100は、血管などの流体チャネルで使用するために設計および成形される。ポンプ100またはその特徴は、ポンプ22など、本明細書に記載される他のポンプまたは特徴のいずれかと共に使用されてもよく、その逆も同様である。例えば、ポンプ100の特徴は、上述のポンプ22と共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、ポンプ22は、さらに説明するように、ポンプ100のモータ、シャフトおよびシール配置を含む。
【0068】
ポンプ100は、インペラ110、シャフト120を有する駆動装置115、シャフトハウジング125および封止装置130を有してもよい。インペラ110は、血液105または他の流体をポンプ注入するように設計されてもよい。シャフト120を有する駆動装置115は、インペラ110を駆動するように設計されてもよい。シャフトハウジング125は、シャフト120および/または駆動装置115を収容するように設計されてもよく、以下では「ハウジング」とも呼ぶ。封止装置130は、駆動装置115とインペラ110との間に収容され、ポンプ100の動作中に流体105が駆動装置115および/またはシャフトハウジング125に入るのを防止するよう設計されている、少なくとも一つのハウジング封止要素135および/または一つのインペラ封止要素140を備えてもよい。いくつかの実施形態では、ポンプ100は、図26A~26Cに関して本明細書に記載される、シールの特徴の一つまたは複数を含み得る。
【0069】
本実施形態によれば、インペラ110は、例示的な先細りの基礎体を有してもよく、これはインペラ110の動作中に長手方向軸の周りを回転することができる。長手方向軸の周りに半径方向に、本実施形態による基礎体は、インペラ110が回転する時に流体105内に流体流れまたは流体吸引を生成するために、二つのブレードを有してもよい。この目的のために、ブレードは、従って、基礎体の外壁の周りにらせん状に巻かれて配置されてもよい。インペラ110の回転の本体は、一つまたは複数のいわゆる「Bスピンドル」を回転させることによって作成され得る。代替的な実施形態によれば、インペラ110は、異なる形状、例えば、円筒形、基礎体、および/または異なる数のブレードまたは静翼を有してもよい。本実施形態によれば、以下ではまた、「ドライブ」とも称される駆動装置115は、例えば、電動モータの形態のモータ145を有する。本実施形態によれば、モータ145はシャフト120に結合され得る。シャフト120は、本実施形態によれば直線状である。シャフトハウジング125は、本実施形態によれば相応して管状であり、少なくともシャフト120、または本実施形態によれば、駆動装置115全体を完全にモータ145と収容する。代替的な実施形態によれば、モータ145は、シャフトハウジング125の外側に配置されてもよい。本実施形態によれば、ハウジング封止要素135および/またはインペラ封止要素140は、強固であるが弾性材料で作製され得る。言い換えれば、ハウジング封止要素135および/またはインペラ封止要素140は、液体または半液体材料を有しなくてもよい。
【0070】
本実施形態によれば、ハウジング封止要素135は、シャフトハウジング125の内側面に取り付けられてもよく、および/またはシャフト120の周りに配置されてもよい。本実施形態によれば、ハウジング封止要素135は、本実施形態による、回転シャフトシールとして、封止リングとして形成されてもよい。本実施形態によれば、ハウジング封止要素135は、インペラ110に面するシャフトハウジング125の入口開口部147に取り付けられてもよい。一実施形態によれば、ハウジング封止要素135は、入口開口部147に直接固定されてもよい。
【0071】
追加的または代替的なインペラ封止要素140は、本実施形態によれば、インペラ110に取り付けられてもよく、ならびに/あるいはシャフト120および/またはシャフトハウジング125の周りに接触して配置されてもよい。本実施形態によれば、インペラ封止要素140は、追加の封止リング、ここでは軸方向シャフトシールとして設計されてもよい。軸シャフトシールはまた、「Vリング」として記載されてもよい。本実施形態によれば、このV字型リングは、軸シャフトシールの環状基部から離れて延在する、V字型またはプレート形状の可撓性封止リップを有してもよい。本実施形態によれば、封止リップは、インペラ110に取り付けられ得る。
【0072】
インペラ封止要素140はまた、本実施形態によれば、取り付けられた状態でシャフト120に向かって予め装填されてもよい。プリテンションは、インペラ封止要素140の変形によって生じ得る。代替的な実施形態によれば、ポンプ100は、事前装填を引き起こすばね要素を有してもよい。
【0073】
さらに、本実施形態によれば、インペラ封止要素140は、少なくとも一つのギャップ封止要素150を有してもよく、これは、流体105がギャップ152に入るのを防ぐために、シャフトハウジング125とインペラ110との間のギャップ152を流体封止するように配置されてもよい。本実施形態によれば、ギャップ封止要素150は、追加の封止リングとして設計される。本実施形態によれば、ギャップ封止要素150の外径は、インペラ封止要素140の外径よりも大きい。本実施形態によれば、インペラ封止要素140は、追加の封止リングの通路開口部において、追加の封止リングに対して同軸に配置されてもよい。
【0074】
シャフト120の自由端は、本実施形態によればインペラ110に固定される。代替的な実施形態によれば、シャフト120およびインペラ110の自由端は、磁気カップリングによって接触することなく接続され、それによってモータ145の駆動力はインペラ110に磁気的に伝達可能である。
【0075】
ポンプ100はまた、本実施形態によれば、シャフトハウジング125内のシャフト120の半径方向および/または軸方向ベアリング用のベアリング装置155を有する。この目的のために、本実施形態によるベアリング装置155は、シャフト120が例えば、中央に取り付けられている、シャフトハウジング125の内部の二つの両端部に二つのベアリング要素を有してもよい。この実施形態によれば、ハウジング封止要素135は、二つのベアリング要素によって囲まれた空間の外側に配置されてもよい。
【0076】
本明細書に提示されるポンプ100は、心臓支持システム用の血液ポンプとして使用および成形され得る。一実施形態によれば、ポンプ100は、接触半径方向および/または軸方向シールを有する短期移植のための心室補助装置(VAD)ポンプとして設計され得る。
【0077】
ポンプ100が、一時的/短期使用のVAD-ポンプとして使用される場合、ポンプ100が非常に迅速に移植され得ることが重要である。本実施形態によれば、この目的のために、可能な限り単純なシステムを使用する。一つまたは複数の封止要素135、140、150のみが存在してもよく、フラッシング媒体またはバリア媒体などの液体または部分的に液体媒体が分注されてもよいか、あるいは封止または血液がモータに入るのを防止するための外部強制フラッシングが可能である。
【0078】
本実施形態によれば、ポンプ100は、電気モータ145、回転シャフト120、インペラ110、ベアリング装置155、シャフトハウジング125、および少なくとも一つの封止要素135、140、150の形態の電気駆動部を有してもよく、これらは、ハウジング封止要素135の形態の実施形態によるハウジング125にしっかりと接続されてもよく、かつ、回転シャフト120および/またはインペラ110に対して封止機能を有する。追加的または代替的に、ポンプ100は、回転インペラ110に対して軸方向にハウジング125を封止する、インペラ封止要素140および/またはギャップ封止要素150の形態の封止要素を有してもよい。本実施形態によれば、インペラ110は、例えば、ハブおよび少なくとも二つ以上のブレードを有するコアからなってもよい。ポンプ100の動作中、流体105は、インペラ110(吸引)に軸方向に供給され、ここに示されていないインペラ110のインペラハウジング内の開口部を通して半径方向/対角状に放出されてもよい。本実施形態によれば、インペラ110は、モータ145の駆動シャフト120にしっかりと接続されてもよく、これは必要な駆動電力を提供する。本実施形態によれば、シャフト120は、少なくとも一つの半径方向および/または少なくとも一つの軸方向ベアリングによって支持されてもよい。任意選択で、ベアリングはまた、半径方向-軸方向ベアリングと組み合わせて実現されてもよい。一つの可能な実施形態によれば、ハウジング125は、インペラ110に対して少なくとも一つの封止要素135を有してもよい。別の実施形態によれば、この少なくとも一つの封止要素140、150は、インペラ110に取り付けられてもよい。シールは、接触設計であってもよく、封止要素125、140は常にシャフト120およびハウジング125と接触している。さらに、シャフト120をハウジング125に対して封止する少なくとも一つの(さらなる)封止要素140は、任意に/代替的に配置されてもよい。これは、封止要素140がシャフト120に向かって予め装填されるように、実施形態に従って設計され得る。一実施形態によれば、これはばねを用いて、または別の実施形態によれば、弾性封止要素140を成形することによって実現され得る。ハウジング封止要素135の一つの可能な設計は、回転シャフトシールである。軸方向シャフト封止リングは、代替的/任意選択の封止要素140の可能な設計であり得る。
【0079】
一実施形態によれば、ポンプ100は、5ミリメートル未満の最大外径を有してもよい。別の実施形態では、ポンプ100は、8ミリメートル未満の外径を有してもよい。一実施形態によれば、ポンプ100は、24時間未満の短期使用、別の実施形態では10日未満の使用、別の実施形態では28日未満の使用、および別の実施形態では6か月以下の使用のために設計され得る。
【0080】
図20は、インペラ168の代替的な実施形態を有するポンプ162の代替的な実施形態の側面図である。インペラ168は、入口管の近位端またはインペラ168用の別個のハウジングであってもよいインペラハウジング内に回転可能に取り付けられる。インペラ168は、出口開口部166に面してもよい。インペラ168は、出口開口部166を介した血液の軸方向吸引、ならびに半径方向および/または対角状の放出を提供する。ポンプ162は、回転軸302の周りを回転してもよい。密封されたモータハウジング164内のモータは、インペラ168を回転させてもよい。
【0081】
インペラ168は、少なくとも一つのらせん状に巻かれたブレード170を含み得る。ブレード170は、血液の効率的かつ穏やかな輸送を確保し得る。図20に示すように、ブレード170は、ポンプ162のハブ200の周りにらせん状に巻かれることができる。ハブ200は、インペラ168の内側コアを形成し得る。血流経路の流れ方向は、三つの矢印で示されている。血液は、インペラ168の上流の入口開口部として作用するポンプ入口によって吸引され、出口開口部166から出る。
【0082】
ブレード170の骨格線204は、出口開口部166の上流開始の領域に屈曲点を有してもよい。ブレード170は、インペラ168の上流端から全長にわたって、または少なくともハブ200の主要部分にわたって延在し得る。ハブ200は、ハブ200の形状が流れの方向に沿って厚くなるように、流れの方向に増加する直径を有してもよい。ハブ200のこの形状は、血液の半径方向または対角状の放出を容易にし得る。
【0083】
ブレード170は、ブレード170の骨格線204の複数の湾曲部分によって画定される、波形状の静翼湾曲を有する静翼セクション202を含み得る。本明細書で論じるように、ブレードの波形状の湾曲は、例えば、正または負の凹状/凸状など、少なくとも一つの符号の変化に関連する静翼セクション202の湾曲の変化を指し得る。ブレード170および/または静翼セクション202全体の少なくとも一つのセクション、または静翼セクション202の一部分は、出口開口部166の半径方向内向きに位置してもよい。静翼セクション202は、出口開口部166の流れに面した縁部206の領域に少なくとも部分的にあってもよい。静翼セクション202は、凸状湾曲と凹状湾曲との間の一つまたは複数の遷移を表し得る。
【0084】
特定の実施形態では、インペラ168は、ハブ200の周りに同じ方向に巻かれる二つのブレード170を備える。各ブレード170は、静翼セクション202を有してもよい。代替的な実施形態では、インペラ108は、三つ、四つ、五つ、六つ、またはそれ以上など、二つを超えるブレード要素170を含む。ポンプ162、または本明細書に記載される他のポンプは、“AXIAL-FLOW PUMP FOR A VENTRICULAR ASSIST DEVICE AND METHOD FOR PRODUCING AN AXIAL-FLOW PUMP FOR A VENTRICULAR ASSIST DEVICE”と題する、2019年5月30日に出願された国際公開第2019/229223号に記載されるもの、および/または“AXIAL-FLOW PUMP FOR A VENTRICULAR ASSIST DEVICE AND METHOD FOR PRODUCING AN AXIAL-FLOW PUMP FOR A VENTRICULAR ASSIST DEVICE”と題する、2021年6月18日に出願された米国特許出願第17/057252号明細書に記載のものなどの、追加の特徴または変更を有してもよく、それらのそれぞれの開示は、すべての目的に対してその全体が参照により本明細書に援用され、本明細書の一部を形成する。
【0085】
図21は、MCSシステムのポンプ領域160の代替的な実施形態の斜視図である。ポンプ領域160は、インペラハウジング115の代替的な実施形態を有するポンプ117を含み得る。ポンプ領域160またはその特徴は、本明細書に記載されるMCSシステムまたはポンプのいずれかと共に使用され得る。ポンプ領域160は、大動脈内および/または少なくとも部分的に心室内の経大腿カテーテルまたは経大動脈カテーテルを通して、低侵襲な様式で配置されてもよい。本明細書に記載されるように、ポンプ領域160は、MCSシステム用の血液ポンプを含み得る。ポンプ領域160の最大外径は、10ミリメートル(mm)未満(例えば、7mm以下、または5mm以下)であってもよい。ポンプ領域160は、ポンプ117を含んでもよい。ポンプ117は、軸流が発生するインペラ168aを含む軸設計を有してもよい。ポンプの軸設計は、ポンプ領域160が10mm未満の最大外径を有することを容易にし得る。
【0086】
ポンプ装置160の動作中に入口管105を通って血液が流れ、上行大動脈にポンプ注入するために、ポンプ117のインペラハウジング115の周囲内で出口開口部180を通って排出される。インペラ168aは、円筒形インペラハウジングの形態であるインペラハウジング115内の、またはインペラハウジング115近くの第一のセクションに完全に封入されてもよく、インペラハウジング115の出口開口部180によって第二のセクションで中断される。これら二つのセクション間の遷移は、出口開口部180の始まり125によって特徴付けられる。ポンプ160、または本明細書に記載される他のポンプは、“PUMP HOUSING DEVICE,METHOD FOR PRODUCING A PUMP HOUSING DEVICE,AND PUMP HAVING A PUMP HOUSING DEVICE”と題する、2019年5月30日に出願された国際公開第2019/229214号に記載のもの、および/または“PUMP HOUSING DEVICE,METHOD FOR PRODUCING A PUMP HOUSING DEVICE,AND PUMP HAVING A PUMP HOUSING DEVICE”と題する、2021年5月19日に出願された米国特許出願第17/057548号明細書に記載のものなどの、追加の特徴または変更を有してもよく、それらの各々の開示は、すべての目的に対してその全体が参照により本明細書に援用され、本明細書の一部を形成する。
【0087】
図22は、MCSシステムの入口管105aの代替的な実施形態の側面図である。入口管105aは、本明細書に記載のMCSシステムまたはポンプのいずれかと共に使用され得る。入口管105aは、入口管105aを遠位先端に接続し得る第一の接続セクション210aを含む。入口管105aはまた、入口管105aをポンプ出口またはインペラハウジングに接続し得る第二の接続セクション215aを含む。入口管105aはまた、第二の接続セクション215aと第一の接続セクション210aとの間に延在する構造セクション220aを含む。いくつかの実施形態では、構造セクション220aは、ポンプ入口230aと第一の接続セクション210aとの間に延在してもよい。
【0088】
いくつかの実施形態では、構造セクション220aは、入口管105aの剛性を変化させることができる一つまたは複数の補強凹部を含み得る。補強凹部は、構造セクション220aの一部の上に、または構造セクション220a全体の上に延在し得る。補強凹部は、らせん状の円周方向の様式で配置されてもよい。補強凹部は、スロットの形態であってもよい。
【0089】
図22は、入口管105aの例示的な寸法を示すための幾何学的参照符号をさらに含む。第一の接続セクション210aでは、入口管105aは、符号1805によって示される6.5ミリメートル(または4.5~8.5ミリメートル)の内径を有してもよい。符号1810によってこの区域に示される外径は、7ミリメートル(または5mm~9mm)である。符号1815によって示される屈曲の角度は、26度(または16度~36度)である。符号1820は、第一の接続セクション210aおよびポンプ入口230aを含む入口管105aの領域、ならびにポンプ入口230aに最も近い凹部を有する構造セクション220aの領域の長さ15ミリメートル(または10ミリメートル~20ミリメートル)を示す。いくつかの実施形態では、第一の接続セクション210aは、ポンプ入口230aの一部である。入口管105aの長手方向軸に対して傾斜する構造セクション220aの隣接する曲げ部分は、符号1825によって示されるように、14ミリメートルの長さを有する。符号1830によって示される入口管105aの隣接部分は、構造セクション220aおよび第二の接続セクション215aの残りの部分を含む。入口管105a、または本明細書に記載される任意の他の入口管は、“LINE DEVICE FOR CONDUCTING A BLOOD FLOW FOR A HEART SUPPORT SYSTEM,AND PRODUCTION AND ASSEMBLY METHOD”と題する、2019年5月30日に出願された国際公開第2019/229210号に記載のもの、および/または“LINE DEVICE FOR CONDUCTING A BLOOD FLOW FOR A HEART SUPPORT SYSTEM,AND PRODUCTION AND ASSEMBLY METHOD”と題する、2021年5月18日に出願された米国特許出願第17/057355号明細書に記載のものなどの、追加の特徴または変更を有してもよく、それらの各々の開示は、すべての目的に対してその全体が参照により本明細書に援用され、本明細書の一部を形成する。
【0090】
図23は、MCSシステムの入口管105bの代替的な実施形態の斜視図である。入口管105bは、本明細書に記載のポンプまたはMCSシステムのいずれかと共に使用され得る。入口管105は、編組吸引ホースの形態であってもよい。入口管105bは、主本体205を有する。主本体205は、第一の端部に、入口管105bを遠位先端に接続するための第一の接続セクション210b、および第二の端部に入口管105bをポンプ出口またはインペラハウジングに接続するための第二の接続セクション215bを有してもよい。主本体205は、血流を基部205に導入するための第一の接続セクション210bに配置されたポンプ入口230bを有し得る。入口管105bは、循環支持システムの隣接する構成要素に接続可能であるように成形される。ポンプ入口230bは、第一の接続セクション210b内に少なくとも一つの入口開口部240を切り抜かれるか、または形成されることができる。入口開口部240は、複数パート窓として実装されてもよい。ポンプ入口230bは、三つの長方形形状入口開口部240を備えてもよく、これは、編組セクション220bの方向に円弧の形態で丸められてもよい。
【0091】
主本体205は、接続セクション210bと215bとの間に編組セクション220bを有してもよい。編組セクション220bは、少なくとも一つの編組ワイヤ225から形成される編組構造235を有してもよい。編組構造235は、ダイヤモンド格子として成形されてもよい。この目的のために、少なくとも一つの編組ワイヤ225は、格子として編組されてもよく、編組構造235を形成する複数のダイヤモンドメッシュを有する。入口管105bは、編組セクション220bの編組流れチャネルと共に示されている。いくつかの実施形態では、少なくとも編組セクション220bは、形状記憶材料から形成されてもよい。いくつかの実施形態では、入口管105bは、ニチノールから完全に形成されてもよい。ニチノールを使用することにより、入口管105bは、短期使用に適しているだけでなく、十年以上の寿命にも適し得る。ニチノールは生体適合性と形状記憶特性の利点を兼ね備えることができるため、編組セクション220のように、複雑な構造を小さな設置スペースに実装することを可能にする。
【0092】
編組セクション220bは、接続セクション210bおよび215bで穿孔されてもよい。この目的のために、接続セクション210bおよび215bは、編組ワイヤ225の一セクションにねじ込むための締結要素を有してもよい。追加的または代替的に、編組セクション220bは、接続セクション210bおよび215bに接着またははんだ付けされてもよい。
【0093】
編組セクション220bは、入口管105bの剛性を調整するために、入口管105bの少なくとも半分の上に延在し得る。入口管105bは、経大腿動脈的手術(鼠径部を介してアクセスする)を可能にするように成形されてもよい。したがって、入口管105bは、大動脈弓を通して押されることができるほど十分に可撓性であってもよく、またねじれることなく軸方向に血管を通して押され得るように剛性を有してもよい。入口管105の柔軟性および剛性の関連する要件は、編組セクション220の成形によって設定される。編組構造の設計は、柔軟性および剛性の比を決定し得る。柔軟性および剛性の比に影響を与える変数には、少なくとも一つの編組ワイヤ225のワイヤトラック数、少なくとも一つの編組ワイヤ225の硬さおよび材料の厚さ、および編組構造235の編組パターンが含まれる。
【0094】
少なくとも一つの編組ワイヤ225のワイヤトラックの数が多いほど、編組構造235はより剛直である。編組ワイヤ225は、例えば、12~24本のワイヤトラックを含む。編組ワイヤ225のワイヤ直径が大きいほど、編組構造235がより硬くなる。ワイヤ直径は、例えば、0.1ミリメートル~0.3ミリメートルである。さらに、編組ワイヤ225の材料特性は重要である。編組ワイヤ225の弾性係数が高いほど、編組構造235はより剛直である。編組ワイヤ225は、例えば、74Gpa~83GPaの弾性を有する。編組構造235の編組の種類も有意であり、より密集したメッシュの編組は、より硬くなる。
【0095】
図23に示す実施形態では、入口管105bは、第一の接続セクション210bの方向に曲げられてもよく、屈曲は、例えば、入口管105bの長手方向軸に対して鈍角として成形される。屈曲は、ニチノール編組セクション220bの熱処理によって実現され得る。ニチノールの形状記憶特性のために、入口管105bは、第一の接続セクション210bのポンプ入口230bの入口開口部が心腔の中心に位置付けられるように、人体解剖学的構造に対応する編組セクション220bの湾曲形状で形成され得る。入口管105b、または本明細書に記載される任意の他の入口管は、“LINE DEVICE FOR CONDUCTING A BLOOD FLOW FOR A HEART SUPPORT SYSTEM,HEART SUPPORT SYSTEM,AND METHOD FOR PRODUCING A LINE DEVICE”と題する、2019年5月30日に出願された国際公開第2019/229211号に記載のもの、および/または“LINE DEVICE FOR CONDUCTING A BLOOD FLOW FOR A HEART SUPPORT SYSTEM,HEART SUPPORT SYSTEM,AND METHOD FOR PRODUCING A LINE DEVICE”と題する、2021年6月1日に出願された米国特許出願第17/057411号明細書に記載のものなどの、追加の特徴または変更を有してもよく、それらの各々の内容の全体は、すべての目的に対してその全体が参照により本明細書に援用され、本明細書の一部を形成する。
【0096】
図24は、MCSシステムのポンプ領域160aの代替的な実施形態の斜視図である。ポンプ領域160aまたはその特徴は、本明細書に記載される任意のポンプ領域またはMCSシステムと使用され得る。ポンプ領域160aは、入口管105cを有する。本質的に一定の外径を有して示すポンプ領域160の細長い軸設計は、カテーテルによって血管内、例えば、大動脈内に配置するための、ポンプ領域160aの経大腿移植または経大動脈移植を可能にする。
【0097】
大動脈弁位置の形状にしたがって、入口管105cは、例えば、長手方向軸の傾斜または湾曲を有し、したがってわずかに湾曲した形状を有し得る。入口管105cに加えて、ポンプ領域160aは、ポンプまたはポンプユニット186を含み得る。ポンプ領域160aはまた、遠位先端185、ハウジングセクション188、および/またはアンカーリングフレーム187を含んでもよい。入口管105cは、遠位先端185とポンプユニット186との間に配置され得る。ポンプユニット186は、入口管105cから離れた端部において、アンカーリングフレーム187が取り付けられるハウジングセクション188に接続され得る。
【0098】
入口管105cは、ポンプ領域160cのポンプユニット186への流体流れを誘導するように設計され得る。入口管105cは、ポンプ入口130および輪郭セクション135を含み得る。ポンプ入口130は、入口管105c内に流体流れを導入するための少なくとも一つの入口開口部140を有してもよい。輪郭セクション135は、ポンプ入口130に隣接して配置され得る。いくつかの実施形態では、輪郭セクション135の長さは、公差範囲内の入口管105cの半径に対応する。公差範囲は、入口管の半径から最大20%の偏差であってもよい。輪郭セクション135は、内面輪郭を有してもよい。流れ方向に見ると、第一の軸方向位置における輪郭セクション135の内径は、第二の軸方向位置における内径よりも大きくてもよい。内面輪郭は、第二の軸方向位置に内径を低減するための丸みを有し得る。ポンプ入口130の入口開口部140の少なくとも一つの入口縁は、丸みを帯びてもよい。入口開口部140は、例えば、ポンプ入口130内に切断されるか、またはポンプ入口130内に形成される窓形状の入口開口部として設計されてもよい。実装され得る例示的な内面輪郭のさらなる詳細は、図25に示され、それに関して説明される。
【0099】
図24では、ポンプ入口130および輪郭セクション135が例として参考のため注目されて示されている。具体的には、輪郭セクション135は、図24に示すよりも、入口管105cのより小さい部分またはより大きな部分であってもよい。移植された時、ポンプ入口130および輪郭セクション135は、左心室内に配置される。入口管105cの別のセクションは、大動脈弁を通って導かれてもよく、ポンプユニット186を有するポンプ領域160aのセクションは、大動脈または上行大動脈の一セクション内に配置される。ポンプユニット186の区域内のポンプ出口145は、入口管105cを通して搬送される流体流れを大動脈に導く。マーキング150は、例として、例えば、大動脈弁などの心臓弁の位置を示し、それを通して入口管105cはポンプ領域160aを位置付けるために進む。
【0100】
例として本明細書に示すポンプ領域160aを有する循環支持システムなどの、設置空間の点で限定され、低侵襲な様式で移植され得る循環支持システムは、所定のポンプ効率で比較的低い電力消費量を有する。効率は、ポンプユニット186のポンプ内の摩擦によって制限される。流体流れが心腔内のポンプ入口130の入口開口部140からポンプユニット186へ向けられる時の入口管105c内の圧力損失または摩擦は、入口管105cの形状によって影響され得る。この目的のために、入口開口部140の入口縁は、圧力損失を低減するために丸みを帯びている。これだけでは流れ分離を防止することはできない。流れ分離は抑制され、したがって、圧力損失は、輪郭セクション135の形態で本明細書に提示されるアプローチに従って形成される入口内面輪郭によって低減される。
【0101】
図25は、ポンプ領域160aの入口管の輪郭セクション135の部分断面図である。輪郭セクション135および内面輪郭255の例示的な幾何学的参照寸法関係が図中に示されている。輪郭セクション135の半分の軸方向セクションが示されている。輪郭セクション135の内径260は、第二の軸方向位置270における内径260よりも第一の軸方向位置265においてより大きい。第二の位置270での内径260を低減するために、内面輪郭255は、軸方向に円弧状の内壁プロファイルの形態の丸み275を有してもよい。第一の位置265は、輪郭セクション135の長手方向軸に沿って輪郭セクション135の点を示してもよく、第二の位置270は、長手方向軸に沿って輪郭セクション135のさらなる点を示してもよい。第二の位置270は、第一の位置265の下流であってもよい。本明細書に示す例示的な実施形態では、長手方向軸は、輪郭セクション135の回転軸280に対応する。
【0102】
第一の位置265は、ポンプ入口と第二の位置270との間の輪郭セクション135内に配置されてもよい。入口管を通して、したがって輪郭セクション135を通してポンプユニットの方向に向けられる、ポンプ入口を通して導入される流体流れの流れ方向に関して、第一の位置265は、第二の位置270の上流に配置される。さらに、第三の位置285での輪郭セクション135の内径は、第二の位置270の内径よりも大きい。第三の位置285は、第一および第二の位置265、270の下流である。
【0103】
第二の位置270における輪郭セクション135の内側半径は、第一の位置265における内側半径よりも最大5分の1小さくてもよい。これは、内側半径の5分の1を示す符号290によって示されている。相応して、内面輪郭255の丸み275は、最大でも、符号290が追加的に図示する、内側半径の5分の1の領域の凸状の膨らみとして設計され得る。
【0104】
いくつかの実施形態では、内面輪郭255は、回転対称となるように設計され得る。回転軸280に関連して図25に示す内面輪郭255の一部の反対側である輪郭セクション135の一部は、対称であり得る内面輪郭255の回転を相応して有する。輪郭セクション135および図25に示す内面輪郭255の形成によって、その他の方法で入口縁の下流を形成する入口管内の流体流れの流れの離脱を低減または抑制することが可能である。この場合、輪郭セクション135の外径295は一定のままでよく、有利には入口ラインまたは管の設置スペースの増加はない。流体流れの圧力損失は、内面輪郭255を有する輪郭セクション135によって低減することができる。流体流れの入口流れ、したがって流れ挙動は、輪郭セクション135によって局所的にのみ配向される。
【0105】
輪郭セクション135は、一部の実施形態では、入口管の内径の最大二倍に相当する長さを有してもよい。輪郭セクション135の形状のために、さらなる下流の流体流れの圧力損失は、内面輪郭を有さない一定の内径を有する入口管内よりも少なくてもよいが、これは、分離の抑制または低減の結果、下流の乱流が少なくなるからである。内面輪郭255は、流れ分離が入口管の半径の最大四倍の長さにわたって大きく抑制されるように成形される。入口管の局所外径295は、所定の壁厚によって制限される。流れ分離を低減するため、ポンプ入口の入口開口部に隣接して、入口縁は凸状に丸みを帯びてもよい。図25に示す形状などの内面輪郭255の形状の最適化は、任意選択的に回転対称であるか、または代替的に、回転角度とは無関係である。
【0106】
図25の実施形態では、内面輪郭255の輪郭プロファイルの最適化は、第一の位置265、第二の位置270、第三の位置285、および丸み275を参照して図25に示すように、記載された入口縁の丸みにかかわらず、一定の壁厚で、二つの凹状セクションおよび一つの凸状セクションを形成し得る。この目的のために、内壁輪郭は、内壁半径に基づいて最大5分の4の局所的な内壁半径が輪郭セクション135の一定の壁厚で達成されるように任意選択的に成形され得る。本明細書に記載された入口管160a、または任意の他の入口管は、“FEED LINE FOR A PUMP UNIT OF A CARDIAC ASSISTANCE SYSTEM,CARDIAC ASSISTANCE SYSTEM AND METHOD FOR PRODUCING A FEED LINE FOR A PUMP UNIT OF A CARDIAC ASSISTANCE SYSTEM”と題する、2019年7月19日に出願された国際公開第2020/016438号に記載のもの、および/または“FEED LINE FOR A PUMP UNIT OF A CARDIAC ASSISTANCE SYSTEM,CARDIAC ASSISTANCE SYSTEM AND METHOD FOR PRODUCING A FEED LINE FOR A PUMP UNIT OF A CARDIAC ASSISTANCE SYSTEM”と題する、2021年7月19日に出願された米国特許出願第17/261335号明細書に記載のものなどの、追加の特徴または変更を有してもよく、それらのそれぞれの内容の全体は、すべての目的に対してその全体が参照により本明細書に援用され、本明細書の一部を形成する。
【0107】
密封された回転シャフトを有するMCS装置の別の実施形態を、図26A~26Cに示す。図26Aは、互いに面する二つのリップシール、フロントディスク、中央ディスク、およびシールハウジング内に含まれるバックディスクを有する装置の部分断面図であり、図26Bは、その等角、分解、部分的に切断された図であり、図26Cは、サブアセンブリとして分離されたシール構成要素の断面図である。図26A~26CのMCS装置、またはその変形もしくは実施形態は、本明細書に記載されるMCSシステムのいずれかに含まれてもよく、本明細書に記載されるMCS装置のための任意の特徴を含んでもよく、その逆も同様である。したがって、例えば、ポンプ22、MCSシステム10、モータハウジング74、ポンプ1900、ポンプ2062、および/またはポンプ領域2160などは、図26A~26CのMCS装置またはその特徴、特にその封止特徴を含んでもよく、その逆も同様である。図26A~26Cに関して本明細書に記載の特徴に追加的にまたは代替的に、本開示のポンプの実施形態のいずれかは、例えば、“SEAL FOR A MECHANICAL CIRCULATORY SUPPORT DEVICE”と題し、2021年4月14日に出願された米国仮特許出願第63/229436号明細書に記載されるものなどの、他のシールの特徴を含んでもよく、その内容全体は、すべての目的に対してその全体が参照により本明細書に援用され、本明細書の一部を形成する。
【0108】
図26A~26Cに示すように、装置は、シール空洞3176aを形成する半径方向内向きの接触リップ3267を有する遠位環状放射状または回転シャフトシール3266を含む。遠位シール3266の接触リップ3267およびシール空洞3176aは、近位に面する。したがって、遠位シール3266は、モータに向かって近位に面する「開放側面」と、インペラおよび血液に向かって遠位に面する「平坦側面」とを有する。したがって、遠位シール3266は、従来的な配向から「後方」に配向される。いくつかの実施形態では、「開放側面」は、上部および/または下部フランジまたはシール3266のリップによって部分的に形成されるシール3266の側面であってもよい。空洞は、シール3266の開放側面によって形成されてもよい。空洞は、シール3266の端部壁とシール3266の一つまたは複数のフランジあるいはリップとの間に形成されてもよい。空洞は、その中に位置するばねおよび/またはグリースを有してもよい。端部壁、リップなどのさらなる詳細を本明細書に記載する。
【0109】
装置はさらに、シール空洞3176bを形成する半径方向内側に接触リップ3271を有する、近位環状放射状または回転シャフトシール3270を含む。近位環状シール3270の接触リップ3271およびシール空洞3176bは、遠位に面する。したがって、近位シール3270は、モータに向かって遠位に面する(上述した)「開放側面」と、インペラおよび血液に向かって近位に面する「平坦側面」とを有する。したがって、シールアセンブリは、近位環状シール3270および反対の配向を有する遠位環状シール3266を含み、その接触リップ3267、3271およびシール空洞3176a、3176bは互いに面している。
【0110】
リップ3267、3271は、シャフト3140に接触する。リップ3267、3271は、シャフト3140に沿って延在してもよい。リップ3267、3271の一つまたは複数の半径方向内側表面のすべてまたは一部は、シャフト3140に接触してもよい。リップ3267、3271は、例えば、図26Cに関して、本明細書にさらに詳細に記載されるように、平坦であってもよく、および/または非平坦な特徴を有してもよい。
【0111】
シール3266、3270は、半径方向外側のリップ3263、3264を含み得る。リップ3263、3264は、ハウジングの半径方向内側表面、またはシール区画の他の構成要素と接触してもよい。リップ3263、3264は、ハウジングまたは他の構成要素に沿って延在し得る。リップ3263、3264は、シール3266、3270とハウジングまたは他の構成要素との間の空間を封止してもよい。リップ3263、3264の半径方向外面は、平坦、非平坦、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0112】
リップ3263、3264は、それぞれの端部壁3262、3259から延在してもよい。リップ3263は、端部壁3262から遠位に延在する。リップ3264は、端部壁3259から近位に延在する。端部壁3262、3259は、本明細書に記載される「平坦な」側面を指し得る。半径方向内側リップ3267、3271は、記載されるように、端部壁3262、3259から延在してもよい。外側リップ3263、3264は、外力がないとき、および/またはシール区画内に設置されたときのいずれかで、端部壁3262、3259に垂直に延在し得る。外側リップ3263、3264は、先端、溝、または凹部など、内側リップ3267、3271と同じまたは類似の特徴を有してもよい。
【0113】
いくつかの実施形態では、中央エラストマーディスク3260は、近位環状シール3270と遠位環状シール3266との間に位置付けられてもよい。遠位エラストマーディスク3255は、遠位環状シール3266の遠位に位置付けられてもよい。近位エラストマーディスク3275は、近位環状シール3270の近位に位置付けられてもよい。
【0114】
任意選択で、フロントシール容器3240および任意選択のシール容器キャップ3278(図26Bおよび26Cを参照)から作製されたシールハウジングは、シール構成要素をサブアセンブリ内に含んでもよい。サブアセンブリは、駆動シャフト3140の上方およびモータハウジング3164内に挿入されてもよい。別の方法として、シール構成要素は、駆動シャフト3140上に構成要素を別々に、順次、モータハウジングの空洞に挿入することによって、モータハウジング内に組み立てられてもよい。次に、シール構成要素は、モータハウジングに取り付けられ得る(例えば、溶接、摩擦嵌合、形態嵌合、接着)後部(近位)シールキャップ3278で覆われてもよい。
【0115】
遠位エラストマーディスク3255および中央エラストマーディスク3260の両方は、PTFEなどのエラストマー生体適合性材料、弾性ポリウレタン、またはPTFEおよびポリイミドなどの化合物材料から作製され得る。図26Bに示すように、ディスク3255、3260のうちの一つまたは複数は、内径が接触するインペラバック延長部3154を随意に含み得る駆動シャフト3140の外径(OD)よりも小さい内径(ID)3256、3261を有してもよい。例えば、ID 3256、3261は、OD 3141の80%~95%(例えば、約87%)の範囲内であってもよい。一実装形態では、ID 3256、3261は0.52mm±0.02mmであり、OD 3141は0.60mm±0.01mmである。この寸法差は、シールを維持するために、エラストマーディスク3255、3260と駆動シャフトとの間に高い干渉を生じさせる。例えば、理想的な干渉は、0.070mm~0.080mmの範囲であり得る。エラストマーディスク3255、3260は、両方とも80μm~140μm(例えば、約100μm)の範囲の厚さを有し得る。
【0116】
高干渉、材料デュロメーター(例えば、70~85ショアの範囲)、および厚さなどのエラストマーディスク3255、3260の特性は、駆動シャフトの上に挿入された時にディスクが変形することを可能にし得る。例えば、ディスクIDが伸張し得るように、ディスクは外側に圧縮されてもよく、またはディスクの平面は、特にIDに近い領域で湾曲してもよい。ディスクの変形は、ディスク材料が経時的に摩耗しても、駆動シャフト3140との接触圧力を提供し得る。さらに、高干渉は、接触圧力がゼロに減少する前に摩耗され得る量の材料を提供し、これは、血液バリアとして作用するように、ディスク3255、3260の機能的持続時間を延長し得る。さらに、高干渉は、ディスク内の駆動シャフトの偏心の小さな公差を補償し得る。
【0117】
ディスク3255、3260の特性は、摩擦を最小化するか、またはトルク伝達を低減する一方で、MCS装置が使用中である意図される持続時間の少なくとも一部分に対して、ディスクが流体バリアとして作用することを可能にし得る。さらに、遠位エラストマーディスク3255は、少なくとも使用持続時間の一部分の間、血液に対する第一のバリアとして機能し得る。中央エラストマーディスク3260は、より遠位のバリアを通過するように対応する場合、血液に対する追加のバリアとして機能し得る。また、ディスク3260は、遠位環状シール空洞3176aと近位環状シール空洞3176bとの間の分離器として作用して、環状シールの機能的持続時間を延長する、これらの空洞に各環状シールの隣に含有されるグリースを維持するのに役立ち得る。任意選択で、遠位シール空洞3176aに分注されるグリースまたは潤滑剤は、近位シール空洞3176bに分注されるグリースまたは潤滑剤と同一であっても、異なってもよい。いくつかの実施形態では、近位ディスク3276は、遠位および中央ディスク3255、3260と同じまたは類似の特徴を有してもよい。
【0118】
それらの相対的な位置および配向以外に、遠位シール3266および近位シール3270は、互いまたは他の実装形態に関連して開示される他のシール3156と類似した特性を有してもよい。例えば、遠位シールおよび近位シールの両方は、シールホルダ3265、3274、接触リップ3267、3271を有する環状シール、シールホルダおよび環状シールによって部分的に画定されるシール空洞3176a、3176b、ならびに/またはそれぞれのシール空洞3176a、3176bに保持されるガーターばね3269、3273を有し得る。シール3266、3270は、同じ内径およびリップ寸法を有してもよい。任意選択で、シール3266、3270は、主に異なる外径を有してもよく、そのため、それらは製造中に互いに容易に区別可能である。
【0119】
ガーターばね3269、3273の代替として、シールは、Oリングなどの半径方向内向きの力を加える異なる構成要素を含有してもよく、または力を加える別個の構成要素を有さなくてもよく、接触リップを有するエラストマー環状シールの特性は、半径方向内向きの接触力を自己で加える。
【0120】
遠位および近位環状シール3266、3270は、PTFEなどの生体適合性のエラストマー材料、弾性ポリウレタン、またはPTFEおよびポリイミドなどの化合物材料から作製されてもよく、これらは、耐久性を強化するために一つまたは複数の添加剤を随意に有してもよい。グリースは、一方または両方のシール空洞3176a、3176b、および随意に、近位シールと近位ディスク3275との間に保持される第三のグリース貯蔵部に含まれてもよく、同じグリースまたは異なるグリースであってもよい。一実装形態では、第一のグリースが遠位シール空洞に堆積され、これは、近位シール空洞に堆積された第三のグリース(例えば、NLGLクラス2)、または近位シールと近位ディスクの間に保持された第三のグリース貯蔵部内に保持された第二のグリースよりも高い粘度およびグリースの稠度(例えば、NLGLクラス4以上)を有し得る。別の実装形態では、グリースが遠位シール空洞(例えば、NLGLクラス4以上)に堆積され、油が近位シール空洞に堆積される。
【0121】
任意選択で、遠位シール3266は、その遠位面上に先端3231を有してもよく、先端3231は接触リップ3267に加えて、駆動シャフト3140などの回転部品と接触する遠位シールの表面である。先端3231は、先端3231の近位に位置する接触リップ3267の一部分の内径よりも小さい内径を有する遠位環状シール3266の一部分である。先端3231は、内径が嵌合するモータ駆動シャフト3140の外径よりも小さい内径を有する遠位環状シール3266の一部分であってもよい。例えば、先端のIDは、OD 3141のそれの75%~95%(例えば、80%~90%、約87%)の範囲であってもよい。一実装形態では、IDは0.52mmであり、OD3141は0.60mmである。シールの遠位面上に回転シャフト3140への同一平面接続を行うことによって、先端は、接触リップ3267の下に能動的に引き込まれる血液の発生を低減するように機能してもよく、これはシールの寿命の延長に寄与し得る。遠位環状シール3266は、先端3231と接触リップ3267との間の溝で示されるように作製され得る。先端3231は、リップ3267の内面に形成された隣接する溝または凹部によって部分的に形成されてもよい。別の方法として、先端3231は、接触リップ3267への滑らかな遷移を有してもよい。
【0122】
接点リップ3271およびシール空洞3176bが遠位に向けられる、近位シール3270の配向は、例えば、接触リップ3267、3271と駆動シャフト3140との間の接触面を被覆して、摩耗を低減し、トルク伝達または熱形成の低減を最小化し、血液の侵入に耐える潤滑グリースは、遠位シール3266と近位シール3270との間の空洞3176bおよび3176aに保持され、近位側面(例えば、シール空洞3176bに保持された圧縮されたグリースにより、または血液がより遠位の血液バリアを通過するように対応する場合)に対してシール3270の遠位側面上のより高い圧力が、接触リップ3271の接触圧力を支持し得るなど、封止機能全体を様々な方法で促進し得る。シャフトに接触する接触リップ3271の一部分の軸方向長さは、0.3~0.8mm(例えば、約0.5mm)の範囲内であってもよい。
【0123】
任意選択で、装置は、図26Aに示すように、近位シール3270の近位に位置付けられた近位ディスク3275を有してもよい。近位ディスクは、血液が駆動シャフトベアリング3162またはモータ区画に入るのを防ぐ別のバリアとして機能し得る。さらに、近位ディスクは、駆動シャフトの偏心における小さな公差を考慮するのに役立ち得る。近位ディスク3275は、PTFEまたは弾性ポリウレタンなどの生体適合性のエラストマー材料または化合物から作製されてもよく、駆動シャフト3140が通過し、接触する内径3276を有する中心穴を有する略ディスク形状を有してもよい。ID3276は、OD3141の80%~97%(例えば、約93%)の範囲内であってもよい。一実装形態では、IDは0.56mmであり、OD 3141は0.6mmであり、これは、トルク伝達損失に関してより少ない影響を有するように、遠位ディスク3255または中央ディスク3260のIDよりも大きい場合がある。任意選択で、近位ディスク3275は、図26Aに示すように、遠位ディスク3255または中央ディスク3260よりも厚さが大きくてもよく、これは、近位ディスクがフロントシール容器3240とモータハウジング3164上の縁部との間で圧縮されるとき、ディスクのエラストマー特性と共に、封止構成要素の軸方向の圧縮を提供し得る。例えば、近位、中央、および遠位ディスクの厚さは、0.10mm~0.15mmの範囲であり得る。近位ディスク3275は、軸方向の封止構成要素のスタックの寸法およびスタックを圧縮するハウジング内の空間によって、軸方向に圧縮され得る。いくつかの実施形態では、近位ディスク3275は、圧縮を提供するために、非平坦、例えば、Bellevilleワッシャー形状などの球状であってもよい。
【0124】
図26Bおよび図26Cは、図26Aの装置を示すが、比較的薄い近位ディスク3275、ならびにシール容器キャップ3278の追加も有する。この実装形態では、例えばサブアセンブリとして、すべての封止構成要素がシール容器内に包含される。シール容器は、フロントシール容器3240およびシール容器キャップ3278を含んでもよく、両方とも、ステンレス鋼またはチタンなどの金属から作製され、例えば、摩擦嵌合、形態嵌合、ねじ込み、または溶接でしっかりと接続されてもよい。
【0125】
フロントシール容器3240は、シール構成要素をシール容器キャップ3278と共に、またはシール容器キャップ3278なしで包含し、製造を容易にするように機能する。フロントシール容器は、より柔らかい、より脆弱なシール構成要素を保護しながら、シール構成要素をモータハウジング3164内に機械的に押すための表面を提供する、平坦で剛直な遠位表面3241を有する。平坦で剛直な表面3241はまた、表面3241とインペラとの間の軸方向ギャップ3174が一貫していることを確実にし、その結果、軸方向ギャップ内の血液が放出され、回転インペラの背面が不注意でシール構成要素と接触しない。表面3241は、駆動シャフト3140の外径よりも大きい内径を有する中央穴3242を有する。例えば、穴3242は、穴を通過する回転部品の外径よりも0.080mm~0.150mmの範囲内で(例えば、約0.100mm)大きい直径を有してもよく、これは、リスク管理手段として、容器から粒子が漏れることを防止する物理的フィルタとして機能し得る。例えば、穴3242は、駆動シャフトの直径が0.60mmであるとき、0.68mm~0.75mm(例えば、約0.70mm)の範囲内であってもよい。言い換えれば、駆動シャフトと容器3240との間の半径方向のギャップは、0.040mm~0.075mm(例えば、約0.050mm)の範囲内であってもよい。フロントシール容器は、シールの完全性または寿命を損なう可能性のある横方向の移動がないことを確実にするシール構成要素を制約する機能を果たす、内面3248を有する円筒形の側壁を有する。近位面取り3244は、製造中にモータハウジングへの挿入を容易にする。遠位面取り3243は、入口管3070の挿入、または代替的にフロントシール容器3240の上方のインペラハウジング3082の挿入を容易にする。さらに、フロントシール容器3240は、モータハウジング3164に挿入するための陥凹した外面3245を有してもよい。図26Aに示すシール要素3156を有する心臓ポンプの実施形態は、長さが25.5mm以下のモータハウジングを有してもよい。シールサブアセンブリおよびモータハウジングの近位端に接続された任意選択の配線モジュールによってモータハウジングに追加した追加の長さで、モータハウジングの長さは33mm以下まで延長され得る。
【0126】
シールサブアセンブリを製造する方法は、限定されるものではないが、本明細書に記載の順序および配向でシール構成要素をフロントシール容器に挿入すること、シール空洞に任意選択的に順次または同時にグリースを分注すること、遠心分離器または真空チャンバを使用して気泡を放出すること、およびシール容器をシール容器キャップ3278で閉じることを含み得る。シールサブアセンブリは、駆動シャフト3140上に、任意選択的にモータハウジング内に挿入され、例えば、フロントシール容器3240のラベット3246およびモータハウジングのラベット3247を含み得る交差部をレーザ溶接することによって、モータハウジングに接続されてもよい。インペラは、例えば、他の実施形態および図に関して本明細書に記載されるような配置で、駆動シャフトに接続されてもよい。統合されたインペラハウジングを有するインペラハウジング3082または入口管3070は、モータハウジングおよび/またはフロントシール容器3240に接続されてもよい。装置は、シールに分注されたグリースの乾燥を防止するために、空気が排出された気密パッケージ内パッケージ化されてもよい。
【0127】
本明細書に記載されるMCSシステムおよびその特徴の任意の実施形態は、例えば、“SYSTEM AND METHOD FOR CONTROLLING A CARDIAC ASSISTANCE SYSTEM”と題する、2019年10月31日に出願された国際公開第2020/089429号、“SYSTEM AND METHOD FOR CONTROLLING A CARDIAC ASSISTANCE SYSTEM”と題する、2021年4月29日に出願された米国特許出願第17/290083号明細書、“ELECTRONICS MODULE AND ARRANGEMENT FOR A VENTRICULAR ASSIST DEVICE,AND METHOD FOR PRODUCING A VENTRICULAR ASSIST DEVICE”と題する、2019年5月30日に出願された国際公開第2019/229221号、“ELECTRONICS MODULE AND ARRANGEMENT FOR A VENTRICULAR ASSIST DEVICE,AND METHOD FOR PRODUCING A VENTRICULAR ASSIST DEVICE”と題する、2020年11月19日に出願された米国特許出願第17/057039号明細書、“DEVICE AND METHOD FOR DETERMINATION OF A CARDIAC OUTPUT FOR A CARDIAC ASSISTANCE SYSTEM”と題する、2019年6月6日に出願された国際公開第2019/234152号、“DEVICE AND METHOD FOR DETERMINATION OF A CARDIAC OUTPUT FOR A CARDIAC ASSISTANCE SYSTEM”と題する、2021年6月18日に出願された米国特許出願第15/734841号明細書、“DEVICE AND METHOD FOR MONITORING THE STATE OF HEALTH OF A PATIENT”と題する2019年8月7日に出願された国際公開第2020/0030706号、“DEVICE AND METHOD FOR MONITORING THE STATE OF HEALTH OF A PATIENT”と題する、2021年10月13日に出願された米国特許出願第17/266056号明細書、“METHOD AND SYSTEM FOR DETERMINING A FLOW SPEED OF A FLUID FLOWING THROUGH AN IMPLANTED,VASCULAR ASSISTANCE SYSTEM”と題する、2019年9月24日に出願された国際公開第2020/064707号、“METHOD AND SYSTEM FOR DETERMINING A FLOW SPEED OF A FLUID FLOWING THROUGH AN IMPLANTED,VASCULAR ASSISTANCE SYSTEM”と題する、2021年3月8日に出願された米国特許出願第17/274354号明細書、“IMPLANTABLE VENTRICULAR ASSIST SYSTEM AND METHOD FOR OPERATING SAME”と題する、2019年6月9日に出願された国際公開第2019/234148号、“IMPLANTABLE VENTRICULAR ASSIST SYSTEM AND METHOD FOR OPERATING SAME”と題する、2021年7月30日に出願された米国特許出願第15/734342号明細書、“SENSOR HEAD DEVICE FOR A MINIMAL INVASIVE VENTRICULAR ASSIST DEVICE AND METHOD FOR PRODUCING SUCH A SENSOR HEAD DEVICE”と題する、2019年6月9日に出願された国際公開第2019/234149号、“SENSOR HEAD DEVICE FOR A MINIMAL INVASIVE VENTRICULAR ASSIST DEVICE AND METHOD FOR PRODUCING SUCH A SENSOR HEAD DEVICE”と題する、2021年6月8日に出願された米国特許出願第15/734036号明細書、“METHOD FOR DETERMINING A FLOW SPEED OF A FLUID FLOWING THROUGH AN IMPLANTED,VASCULAR ASSISTANCE SYSTEM AND IMPLANTABLE,VASCULAR ASSISTANCE SYSTEM”と題する、2019年6月6日に出願された国際公開第2019/234166号、“SYSTEMS AND METHODS FOR DETERMINING A FLOW SPEED OF A FLUID FLOWING THROUGH A CARDIAC ASSIST DEVICE”と題する、2020年12月2日に出願された米国特許出願第15/734523号明細書、“DETERMINATION APPLIANCE AND METHOD FOR DETERMINING A VISCOSITY OF A FLUID”と題する、2019年6月6日に出願された国際公開第2019/234167号、“DETERMINATION APPLIANCE AND METHOD FOR DETERMINING A VISCOSITY OF A FLUID”と題する、2020年12月2日に出願された米国特許出願第15/734519号明細書、“ANALYSIS APPARATUS AND METHOD FOR ANALYZING A VISCOSITY OF A FLUID”と題する、2019年6月6日に出願された国際公開第2019/234169号、“ANALYSIS APPARATUS AND METHOD FOR ANALYZING A VISCOSITY OF A FLUID”と題する、2020年12月2日に出願された米国特許出願第15/734489号明細書、“METHOD AND DEVICE FOR DETECTING A WEAR CONDITION OF A VENTRICULAR ASSIST DEVICE AND FOR OPERATING SAME,AND VENTRICULAR ASSIST DEVICE”と題する、2019年6月21日に出願された国際公開第2019/243582号、および/または“METHOD AND DEVICE FOR DETECTING A WEAR CONDITION OF A VENTRICULAR ASSIST DEVICE AND FOR OPERATING SAME,AND VENTRICULAR ASSIST DEVICE”と題する、2021年7月27日に出願された米国特許出願第17/252498号明細書に記載のものなどの、様々な追加の特徴または変更を含んでもよく、それらのそれぞれは、全ての目的に対してその全体が参照により本明細書に援用され、本明細書の一部を形成する。
【0128】
例示的な実施形態
以下は、本明細書に開示される機械的循環支持システムおよび方法の様々な実施形態の番号付き例示的な実施形態である。以下の実施例1~38のいずれか、または本明細書に開示される任意の他の実施例は、全体または一部を組み合わせてもよい。本明細書に開示される実施例の要素は、限定するものではない。
【0129】
(実施例1)
近位端および遠位端を有する細長い可撓性カテーテルシャフトと、シャフトの遠位端によって担持される循環支持装置と、を備える、機械的循環支持システム。近位端および遠位端を有する管状ハウジング、管状ハウジング内のインペラ、および取り外し可能なガイドワイヤガイドチューブを備える循環支持装置。取り外し可能なガイドワイヤガイドチューブが、管状ハウジングの遠位端上の第一のガイドワイヤポートに進入し、インペラの遠位の管状ハウジングの側壁上の第二のガイドワイヤポートを介して管状ハウジングから出て、インペラの近位側面上の第三のガイドワイヤポートに再進入し、カテーテルシャフト内に近位に延在する。
【0130】
(実施例2)
管状ハウジング内のモータをさらに備え、インペラを回転するように構成される、実施例1~38のいずれか、あるいは本明細書に記載の任意の他の実施形態の機械的循環支持システムまたは方法。
【0131】
(実施例3)
モータが第三のガイドワイヤポートの遠位に位置付けられる、実施例1~38のいずれか、あるいは本明細書に記載の任意の他の実施形態の機械的循環支持システムまたは方法。
【0132】
(実施例4)
管状ハウジングは、モータを備える密封されたモータハウジングを備える、実施例1~38のいずれか、あるいは本明細書に記載の任意の他の実施形態の機械的循環支持システム、または方法。
【0133】
(実施例5)
密封されたモータハウジングが、インペラに向かって遠位に面するように構成された遠位側面、およびシャフトと接触し、遠位側面からモータに向かって近位方向に延在するように構成された半径方向内側リップを有する、遠位半径方向シャフトシールを備えるシールを備える、実施例1~38のいずれかの機械的循環支持システム。
【0134】
(実施例6)
シャフトを囲む環状シールをさらに備え、モータがシャフトを介してインペラを回転するように構成される、実施例1~38のいずれか、あるいは本明細書に記載の任意の他の実施形態の機械的循環支持システムまたは方法。
【0135】
(実施例7)
管状ハウジングは、約60mm~約100mmの範囲の軸方向長さを有する入口管を備える、実施例1~38のいずれか、あるいは本明細書に記載の任意の他の実施形態の機械的循環支持システムまたは方法。
【0136】
(実施例8)
管状ハウジングは、インペラと連通する血液出口、および血液出口から遠位に間隔を置いた血液入口を備える、実施例1~38のいずれか、あるいは本明細書に記載の任意の他の実施形態の機械的循環支持システムまたは方法。
【0137】
(実施例9)
管状ハウジングがポリマースリーブを有する可撓性管を備える、実施例1~38のいずれか、あるいは本明細書に記載の任意の他の実施形態の機械的循環支持システムまたは方法。
【0138】
(実施例10)
ガイドチューブの遠位端上にファンネルをさらに備え、ファンネルが取り外し可能なガイドワイヤガイドチューブ内に導く、実施例1~38のいずれか、あるいは本明細書に記載の任意の他の実施形態の機械的循環支持システムまたは方法。
【0139】
(実施例11)
ガイドチューブの把持および除去を容易にするためにガイドチューブに取り付けられたプルタブをさらに備える、実施例1~38のいずれか、あるいは本明細書に記載の任意の他の実施形態の機械的循環支持システムまたは方法。
【0140】
(実施例12)
ガイドチューブは、ガイドチューブをガイドワイヤの端から軸方向に摺動する必要なく、ガイドワイヤからガイドチューブを除去できるように分割するように構成される、実施例1~38のいずれか、あるいは本明細書に記載の任意の他の実施形態の機械的循環支持システムまたは方法。
【0141】
(実施例13)
管状ハウジングは、第一のガイドワイヤポートを備えるノーズピースを備える、実施例1~38のいずれか、あるいは本明細書に記載の任意の他の実施形態の機械的循環支持システムまたは方法。
【0142】
(実施例14)
取り外し可能なガイドワイヤガイドチューブが循環支持装置と管状挿入ツールとの間に延在し、循環支持装置を軸方向に取り外し可能に受け入れるように構成された管状挿入ツールをさらに備える、実施例1~38のいずれか、あるいは本明細書に記載の任意の他の実施形態の機械的循環支持システムまたは方法。
【0143】
(実施例15)
管状ハウジングは、形態係止または力係止を介して密封されたモータハウジングに取り付けるように構成された入口管を備える、実施例1~38のいずれか、あるいは本明細書に記載の任意の他の実施形態の機械的循環支持システムまたは方法。
【0144】
(実施例16)
近位端および遠位端を有する細長い可撓性カテーテルシャフトと、シャフトの遠位端によって担持される循環支持装置とを備える、機械的循環支持システム。管状ハウジングおよび管状ハウジング内のインペラを備える循環支持装置であって、循環支持装置は、カテーテルシャフトを通って、管状ハウジングの外部部分に沿って延在してインペラを回避するガイドワイヤ経路を備える、循環支持装置。
【0145】
(実施例17)
ガイドワイヤ経路が管状ハウジングの遠位端の内部部分を通って延在する、実施例1~38のいずれか、あるいは本明細書に記載の任意の他の実施形態の機械的循環支持システムまたは方法。
【0146】
(実施例18)
管状ハウジングの遠位端上に第一のガイドワイヤポートをさらに備える、実施例1~38のいずれか、あるいは本明細書に記載の任意の他の実施形態の機械的循環支持システムまたは方法。
【0147】
(実施例19)
インペラの遠位の管状ハウジングの側壁上に第二のガイドワイヤポートをさらに備える、実施例1~38のいずれか、あるいは本明細書に記載の任意の他の実施形態の機械的循環支持システムまたは方法。
【0148】
(実施例20)
インペラの近位側面上に第三のガイドワイヤポートをさらに備える、実施例1~38のいずれか、あるいは本明細書に記載の任意の他の実施形態の機械的循環支持システムまたは方法。
【0149】
(実施例21)
それを通してガイドワイヤを誘導するように構成された取り外し可能なガイドワイヤガイドチューブをさらに備える、実施例1~38のいずれか、あるいは本明細書に記載の任意の他の実施形態の機械的循環支持システムまたは方法。
【0150】
(実施例22)
取り外し可能なガイドワイヤガイドチューブが、管状ハウジングの遠位端上の第一のガイドワイヤポートに進入し、インペラの遠位の管状ハウジングの側壁上の第二のガイドワイヤポートを介してハウジングから出て、インペラの近位側面上の第三のガイドワイヤポートを通って延在し、カテーテルシャフト内に近位に延在するように構成される、実施例1~38のいずれか、あるいは本明細書に記載の任意の他の実施形態の機械的循環支持システムまたは方法。
【0151】
(実施例23)
管状ハウジングは入口管およびモータハウジングを備える、実施例1~38のいずれか、あるいは本明細書に記載の任意の他の実施形態の機械的循環支持システムまたは方法。
【0152】
(実施例24)
管状ハウジングは、入口管および入口管の遠位端上のノーズピースを備え、ノーズピースは第一のガイドワイヤポートを備える、実施例1~38のいずれか、あるいは本明細書に記載の任意の他の実施形態の機械的循環支持システムまたは方法。
【0153】
(実施例25)
ガイドワイヤ経路が循環支持装置と挿入ツールとの間に延在するように、循環支持装置を軸方向に取り外し可能に受け入れるように構成された挿入ツールをさらに備える、実施例1~38のいずれか、あるいは本明細書に記載の任意の他の実施形態の機械的循環支持システムまたは方法。
【0154】
(実施例26)
モータハウジングは、モータを備える密封されたモータハウジングを備える、実施例1~38のいずれかに記載の機械的循環支持システム。
【0155】
(実施例27)
密封されたモータハウジングが、インペラに向かって遠位に面するように構成された遠位側面、およびシャフトと接触し、遠位側面からモータに向かって近位方向に延在するように構成された半径方向内側リップを有する、遠位半径方向シャフトシールを備えるシールを備える、実施例1~38のいずれかに記載の機械的循環支持システム。
【0156】
(実施例28)
機械的循環支持システムを通してガイドワイヤを挿入する方法であって、方法が、ガイドワイヤを取り外し可能なガイドチューブの遠位端に挿入することを含み、ガイドチューブが、システムの管状ハウジングの遠位端にある第一のガイドワイヤポートに入り、システムのインペラの遠位にある管状ハウジングの側壁上の第二のガイドワイヤポートを介して管状ハウジングから出て、インペラの近位側面にある第三のガイドワイヤポートに入り、カテーテルシャフト内に近位に延在する。
【0157】
(実施例29)
第一、第二、および第三のガイドワイヤポートを通して取り外し可能なガイドチューブを挿入することをさらに含む、実施例1~38のいずれか、あるいは本明細書に記載の任意の他の実施形態の機械的循環支持システムまたは方法。
【0158】
(実施例30)
取り外し可能なガイドチューブをシステムから取り外すことをさらに含む、実施例1~38のいずれか、あるいは本明細書に記載の任意の他の実施形態の機械的循環支持システムまたは方法。
【0159】
(実施例31)
ガイドチューブの取り外しが、ハウジングの遠位端からプルタブを引っ張り、取り外すことを含む、実施例1~38のいずれか、あるいは本明細書に記載の任意の他の実施形態の機械的循環支持システムまたは方法。
【0160】
(実施例32)
ガイドチューブの取り外しが、ガイドチューブをガイドワイヤが患者の中に部分的にあるガイドワイヤから取り外すことを含む、実施例1~38のいずれか、あるいは本明細書に記載の任意の他の実施形態の機械的循環支持システムまたは方法。
【0161】
(実施例33)
ガイドチューブの取り外しが、ガイドチューブを分割し、ガイドチューブをガイドワイヤから横方向に取り外すことを含む、実施例1~38のいずれか、あるいは本明細書に記載の任意の他の実施形態の機械的循環支持システムまたは方法。
【0162】
(実施例34)
管状ハウジングは、第二のガイドワイヤポートを備える入口管を備える、実施例1~38のいずれか、あるいは本明細書に記載の任意の他の実施形態の機械的循環支持システムまたは方法。
【0163】
(実施例35)
管状ハウジングは、入口管および入口管の遠位端上のノーズピースを備え、ノーズピースは第一のガイドワイヤポートを備える、実施例1~38のいずれか、あるいは本明細書に記載の任意の他の実施形態の機械的循環支持システムまたは方法。
【0164】
(実施例36)
心臓へのポンプの経カテーテル送達の方法であって、方法が、血管系を通してポンプを前進させることを含み、ポンプが、ポンプの遠位に位置するカテーテルシャフトの第一のセクションを通して、ポンプの管状ハウジングを通して、ポンプのインペラおよびモータの外側に延在し、ポンプの近位に位置するカテーテルシャフトの第二のセクションに戻るガイドワイヤを有して前進する。
【0165】
(実施例37)
ポンプからのガイドワイヤの取り外し前、および/または心臓へのポンプの配置前に、モータを起動し、および/またはインペラを回転させることを含む、実施例1~38のいずれか、あるいは本明細書に記載の任意の他の実施形態の機械的循環支持システムまたは方法。
【0166】
(実施例38)
ガイドワイヤおよび/またはポンプが少なくとも部分的に左心室にとどまるように、ポンプの使用中にガイドワイヤをポンプに残すことを含む、実施例1~38のいずれか、あるいは本明細書に記載の任意の他の実施形態の機械的循環支持システムまたは方法。
【0167】
上記またはその他の実施例のいずれかにおいて、システムは、管状ハウジング内にモータを含んでもよく、インペラを回転させるように構成されてもよく、モータが、第三のガイドワイヤポートの遠位に位置付けられてもよく、管状ハウジングが、モータを備える密封されたモータハウジングを備えてもよく、管状ハウジングは、60mm~100mmの範囲の軸方向長さであってもよく、システムが、インペラと連通する管状ハウジング上の血液出口ポート、および/または血液出口ポートから遠位に間隔を置いたハウジング上の血液取り込みポートと、を含んでもよく、ハウジングは、外側ポリマースリーブによって覆われた可撓性スロット付き管を含んでもよく、および/または本システムは、管状ハウジングの内側に密封されたモータハウジングを含み得る。
【0168】
上記またはその他の実施例のいずれかにおいて、高リスク冠動脈インターベンションのための機械的循環支持システムが提供されてもよく、システムが、細長い可撓性カテーテルシャフトによって担持される循環支持装置、管状体を有し、循環支持装置を軸方向に移動可能に受け入れるように構成された挿入ツール、およびアクセス鞘と、管状体を有し、挿入ツールを軸方向に移動可能に受け入れるように構成される、アクセス鞘を含む循環支持カテーテルを含むことができ、アクセス鞘は、挿入ツールと係合するための挿入ツールロックを有するアクセス鞘ハブを含んでもよく、および/またはアクセス鞘ハブは、アクセス鞘ハブをカテーテルシャフトに係止するためのカテーテルシャフトロックを含み得る。
【0169】
上記またはその他の実施例のいずれかにおいて、機械的循環支持システムのモータを駆動するように構成されたコントローラが提供されてもよく、コントローラはパージ構成要素を含まず、パージ構成要素はカセットまたはポートを含むことができ、および/またはシステムはパージを必要としない。
【0170】
上記またはその他の実施例のいずれかにおいて、電子部品を取り付けるためのハウジングと、ハウジングの上部に配置されたハンドルとを有する機械的循環支持システムのモータを駆動するように構成されたコントローラが提供されてもよく、コントローラが、ハウジングの上部上のハンドルの周りに巻かれた視覚的警報要素を含むことができ、ハウジングは、複数の制御要素を含んでもよく、制御要素が、回転ダイヤルであってもよく、制御要素が、ハウジングの第一の端部上に位置付けられてもよく、コントローラは、ケーブル管理システムを含んでもよく、第一の端部の反対側の第二の端部上に位置付けられた前述のケーブル管理システム、および/またはコントローラは、ハウジングの後側面上に回転固定取付具を含み得る。
【0171】
用語
本明細書に開示される任意の方法は、列挙された順序で実施される必要はない。本明細書に開示される方法は、実践者によってなされる特定の行為を含むが、明示的または黙示的に、それらの行為についての任意の第三者の指示も含むことができる。
【0172】
本明細書で使用される条件付き言語、中でも、「can」、「could」、「might」、「may」、「e.g.,」および同種のものなどは、特に別段の記載がない限り、または使用される文脈内で別途理解されない限り、一般的に、特定の特徴、要素および/またはステップが任意であることを伝達することが意図される。したがって、こうした条件付き言語は、特徴、要素および/またはステップが何らかの形で必要であることを暗示する、あるいは一つまたは複数の実装が、これらの特徴、要素および/またはステップが含まれるか、または常に実行されるかを決定するための論理を、他の入力またはプロンプトと共に、または伴うことなく、必然的に含むことを一般的に意図するものではない。「備える(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」、及び同種の用語は同義であって、非限定的な様式で包括的に使用されており、追加的な、構成要素、特徴、行為、操作、及び同種のものを除外するものではない。また、「又は」という用語は、その包括的な意味で(排他的な意味ではなく)使用されており、例えば、リスト内で構成要素どうしを列挙するために使用された際には、「又は」という用語は、リスト内の構成要素の、一つ、いくつか、又はすべて、を意味する。
【0173】
特に明記されない限り、語句「X、Y、およびZの少なくとも一つ」などの結合言語は、そうでない場合、品目、用語などがX、Y、またはZのいずれかであってもよいことを一般的に伝えるために使用される文脈で理解される。したがって、こうした結合言語は、特定の実装形態が、Xの少なくとも一つ、Yの少なくとも一つ、およびZの少なくとも一つの存在を必要とすることを一般的に意味するものではない。
【0174】
本明細書で使用される場合、用語「およそ(approximately)」、「約(about)」、「概して(generally)」、および「実質的に(substantially)」など、本明細書で使用される程度を表す言い回しは、所望の関数を依然として果たすか、または所望の結果を達成する、所定の値、量、または特性に近い値、量、または特性を表す。例えば、用語「およそ(approximately)」、「約(about)」、「概して(generally)」、および「実質的に(substantially)」は、所定の量の10%未満、5%未満、1%未満、0.1%未満、および0.01%未満である量を指し得る。別の例として、特定の実装形態では、用語「概して平行(generally parallel)」および「実質的に平行(substantially parallel)」は、15度、10度、5度、3度、1度、0.1度、またはそれ以外が正確に平行から逸脱する値、量、または特性を指す。
【0175】
本明細書に開示される任意の方法は、列挙された順序で実施される必要はない。本明細書に開示される方法は、実践者によってなされる特定の行為を含むが、明示的または黙示的に、それらの行為についての任意の第三者の指示も含むことができる。
【0176】
本明細書に記載の方法およびタスクは、コンピュータシステムによって実行され、完全に自動化されてもよい。コンピュータシステムは、一部の事例では、記載された機能を実施するために、ネットワーク上で通信および相互運用する、複数の別個のコンピュータまたはコンピューティングデバイス(例えば、物理サーバ、ワークステーション、ストレージアレイ、クラウドコンピューティングリソースなど)を含み得る。こうした各コンピューティングデバイスは通常、メモリまたは他の非一時的コンピュータ可読記憶媒体もしくはデバイス(例えば、ソリッドステート記憶デバイス、ディスクドライブなど)に格納されたプログラム命令またはモジュールを実行するプロセッサ(または複数のプロセッサ)を含む。本明細書に開示される様々な機能は、こうしたプログラム命令に具現化されてもよく、および/またはコンピュータシステムの特定用途向け回路(例えば、ASICまたはFPGA)に実装されてもよい。コンピュータシステムが複数のコンピューティングデバイスを含む場合、これらのデバイスは、同一位置にあり得るが、そうである必要はない。本開示の方法およびタスクの結果は、ソリッドステートメモリチップおよび/または磁気ディスクなどの物理的記憶装置を異なる状態に変換することによって、持続的に格納され得る。コンピュータシステムは、その処理リソースが複数の別個の事業体または他のユーザによって共有されるクラウドベースのコンピューティングシステムであってもよい。
【0177】
上記の詳細な説明は、新規の特徴を示し、説明し、指摘してきたが、本開示の趣旨から逸脱することなく、図示したデバイスまたはアルゴリズムの形態および詳細における様々な省略、置換、および変更を行うことができることが理解されよう。認識され得るように、一部の特徴は、他の特徴とは別個に使用または実践することができるとき、本明細書の説明の特定の部分は、本明細書に記述される特徴および利益の全てを提供しない形態内に具現化され得る。本明細書に開示される特定の実装形態の範囲は、前述の説明によってではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の意味および等価性の範囲内にあるすべての変更は、その範囲内で採用されるものとする。
図1
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【国際調査報告】