(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-06
(54)【発明の名称】バリアコートストッパ及び成形方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/315 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
A61M5/315 512
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530734
(86)(22)【出願日】2021-11-19
(85)【翻訳文提出日】2023-07-14
(86)【国際出願番号】 US2021060005
(87)【国際公開番号】W WO2022109214
(87)【国際公開日】2022-05-27
(32)【優先日】2020-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルフレッド ダブリュ.プレイス
(72)【発明者】
【氏名】ネスター ロドリゲス サン ファン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066HH14
(57)【要約】
最小限の成形後処理を必要とするストッパなどの成形される装置を形成する方法は、上部プレート54と、コア部62を含むスプルー/ベントプレート56と、輪郭面70を有する金型キャビティ68を画定する凹部66を含むメインプレート58と、底部プレート60と、を有する4プレート金型組立体52を提供し、コア部62がメインプレート58の凹部66に入り込み、成形されるストッパ10,110の形状に対応する空間72を画定するように金型組立体52を閉じることを含む。高分子材料が、金型キャビティ68に導入され、ストッパ10,110が形成される。バリア層14,114を、メインプレート58と底部プレートとの間に挿入し、成形される装置10,110に接着することができる。プレートが開き、成形される装置が取り外される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置を成形する方法であって、
上部プレートと、コア部を含むスプルー/ベントプレートと、輪郭面を有する金型キャビティを画定する凹部を含むメインプレートと、底部プレートとを有する金型組立体を提供するステップと、
前記コア部が前記メインプレートの前記凹部に入り込んで前記装置の形状に対応する空間を画定するように前記金型組立体を閉じるステップと、
高分子材料を前記金型キャビティに導入して、前記金型キャビティと前記空間を充填し、前記輪郭面に対応する本体と成形表面を有する成形される装置を形成するステップと、
前記スプルー/ベントプレートを前記メインプレートから分離して、前記コア部を前記成形される装置内から引き抜くステップと、
次いで、前記スプルー/ベントプレートを前記上部プレートから分離するステップと、
次いで、前記底部プレートを前記メインプレートから分離するステップと、
前記成形される装置を前記メインプレートから取り外すステップと、
を備える、装置の成形方法。
【請求項2】
前記スプルー/ベントプレートを前記メインプレートから分離するステップにより、前記ベントが外れ、前記コア部が前記成形される装置及び前記メインプレート内から引き抜かれる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記成形される装置を前記メインプレートから取り外すステップが、前記メインプレートの前記底部を通して前記成形される装置を取り外すことからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記高分子材料を前記金型キャビティに導入するステップが、前記上部プレートに関連する射出ノズル及びランナーを介して、前記高分子材料を前記金型キャビティに射出することからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記高分子材料を前記金型キャビティに導入するステップの後、前記金型組立体を加熱して前記高分子材料を硬化させるか、又は、前記金型組立体を前記メインプレートに冷却材料を供給して冷却する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記メインキャビティの前記輪郭面が、開放された後方端、閉鎖された前方端、及び、前記開放された後方端と前記閉鎖された前方端との間に延びる円筒状の側壁を画定するメイン本体を有するストッパの形状である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記輪郭面の形状が、前記メイン本体の外周の周りに半径方向外向きに延び、前記メイン本体に沿って軸方向に離間された複数のリブを形成するように構成される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記底部プレートが、平坦面を有するストッパを形成するように構成された平坦面を有するか、又は、前記底部プレートが、前記ストッパの閉鎖された前方端の外縁に平坦部を有し、前記ストッパの前記外縁から内側に延びる前記ストッパを形成するように構成された輪郭面を含み、前記輪郭面が、前記閉鎖された前方端から延びる突起を形成する形状を有し、前記突起が、前記ストッパの前記遠位端と交差するようにベースを画定し、前記閉鎖された前方端の前記頂部の前記平坦部から延在し、前記突起が、注射器バレル内で協働して、注射中のデッドスペースを減少させるように構成されている、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記底部プレートと前記メインプレートとの間にフィルムを提供するステップを含み、前記金型組立体の閉鎖時に、前記フィルムが、前記底部プレートと前記メインプレートとの間に挟まれ、前記金型組立体からの前記装置の取り出し時に、前記フィルムが前記成形される装置に固定される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記成形される装置から余分なフィルムをトリミングするステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
装置を成形するためのシステムであって、
上部プレート、スプルー/ベントプレート、メインプレート、及び、底部プレートを有する金型組立体であって、前記スプルー/ベントプレートは、その表面から延びるコア部を含み、前記メインプレートは、輪郭面を有する金型キャビティを画定する凹部を含み、前記金型キャビティは、前記スプルー/ベントプレートから前記コア部を受け入れて、成形される装置の形状に対応する空間を画定するように構成される、金型組立体と、
前記上部プレートに嵌合された射出ノズルとランナーであって、前記射出ノズルと前記ランナーは、高分子材料を前記金型キャビティに供給して、前記空間を満たし、前記輪郭面に対応する本体と成形面を有する前記成形される装置を形成するように構成された、射出ノズルとランナーと、
前記金型キャビティ内の高分子材料を冷却するための少なくとも1つの冷却部材と、
前記コア部を前記成形される装置内から引き出すために、前記スプルー/ベントプレートを前記メインプレートから分離するための第1の機構と、
前記スプルー/ベントプレートを前記上部プレートから分離するための第2の機構と、
前記成形される装置を前記メインプレートから取り外すことを可能にするために、前記底部プレートを前記メインプレートから分離するための第3の機構と、
を備える、システム。
【請求項12】
前記金型組立体における、前記上部プレート、前記スプルー/ベントプレート、前記メインプレート、及び、前記底部プレートを分離するための前記第1の機構、前記第2の機構、及び、前記第3の機構が、前記スプルー/ベントプレートを前記メインプレートから、前記スプルー/ベントプレートを前記上部プレートから、及び、前記底部プレートを前記メインプレートから、順次分離するための、力の異なる一連のばね機構、又は、一連のコアリフタからなり、前記ばね機構が、前記プレートのそれぞれの開きを制限するためのガイドピンを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記底部プレートと前記メインプレートとの間にフィルムを挿入することができ、前記金型組立体を閉じることにより、前記フィルムが前記成形される装置に固定されるように、前記フィルムが前記底部プレートと前記メインプレートとの間に挟まれる、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記成形される装置から余分なフィルムを除去するための平面パンチを有するトリム金型を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
注射器バレル内で使用するためのプランジャロッドとの取り付けに適合したストッパであって、
開放された後方端、閉鎖された前方端、及び、前記開放された後方端と前記閉鎖された前方端との間に延在する円筒状の側壁を画定するメイン本体であって、前記開放された後方端が、前記プランジャロッドの前方端の取り付け部分を受容するように適合される、メイン本体と、
前記閉鎖された前方端に隣接して配置されたバリアフィルムと、
前記メイン本体の外周を半径方向外向きに延在する少なくとも1つのリブであって、前記注射器バレルとのアクティブシールを形成するように構成された、少なくとも1つのリブと、
前記閉鎖された前方端の上部外縁表面上で、少なくとも1つのリブに隣接する平坦部であって、前記平坦部は、前記ストッパの前記外縁から内側に延びる、平坦部と、
前記閉鎖された前方端から延びる突起であって、前記突起は、前記ストッパの前記閉鎖された前方端と交差するようにベースを画定し、前記平坦部から前記閉鎖された前方端の前記上部まで延び、前記ベースは、前記ストッパの前記遠位端の外径よりも小さいベース直径を有し、前記突起は、前記注射器バレルの内面と協働して、注射中のデッドスペースを減少させるように構成されたプロファイルを有する、突起と、
を備える、ストッパ。
【請求項16】
ルーフプロファイルスプラインAA-BBと内部ルーフ突起LLとの間の厚さが単調減少しており、点XXまで上方に突出する、請求項15に記載のストッパ。
【請求項17】
点XXが、YYで定義されるストッパ壁の厚さ内における、0.25から0.75mmの範囲内にある、請求項15に記載のストッパ。
【請求項18】
前記ストッパの前記開放された後方端が、前記プランジャロッドの取り付け端と、ねじ取り付け用の一連のねじ山を有するキャビティを含み、前記ねじ山が、前記プランジャロッドキャビティの底部に向かって減少するピッチを有する、請求項15に記載のストッパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年11月20日に出願された「バリアコートストッパ及び成形方法」と題する米国仮出願番号63/116,533号の優先権を主張するものであり、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、注射器内のプランジャロッドに使用するストッパやバイアルを閉鎖するためのストッパなどの装置を成形する方法に関するものであり、より詳細には、本発明は、最小限の成形後処理を必要とする4プレートワンショット射出成形される装置を使用してストッパを成形する方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
注射器注射器組立体、特に皮下注射器は、薬物などの流体を調剤するための医療分野でよく知られている。従来の注射器は、通常、対向する近位端と遠位端を有する細長いバレルと、その間に流体を受け入れるためのチャンバと、を含む。通路が、注射器バレルの遠位端を通って延在し、チャンバと連通する。注射器バレルの遠位端は、チャンバと通路から流体を供給するための針カニューレに接続される。注射器バレルの近位端は、プランジャロッド及びストッパ組立体を摺動可能に受容し、プランジャロッドに加えられる力が、ストッパをバレルに沿って付勢し、液体をチャンバから針カニューレを通して駆動する。
【0004】
現在市販されている皮下注射器の中には、注射の際にストッパがバレル全長まで進んだ後に、バレル内に残る液体の量(すなわち「デッドボリューム」)が問題となるものがある。したがって、注射器バレル内のデッドスペースの量を減少させることができるストッパを製造する必要性がある。注射器バレル内のデッドスペースを減少又は最小化し、注射器バレル内壁に対して適切にシールする様々なストッパが設計されている。ストッパの一例は、米国特許第5,795,337号に開示されており、参照によりその全体が組み込まれる。この設計は、注射器バレル内で液密にスライド可能に係合するピストン状のストッパ本体から構成される。本体は、遠位端、近位端、及び、それを貫通する長手方向軸を含む。ストッパ本体の遠位端には、遠位方向に向けられた円錐形の突起が配置される。円錐形の突起に沿っている、少なくとも1つの細長い不連続面が設けられる。不連続面は、注射器バレルから針カニューレまで延びる通路内で、ストッパの突起が、不要に即座に密閉されるのを防ぐ働きをし、バレル内に閉じ込められた流体がこれらの不連続面に沿って通路内に流れ込むのを可能にする。ストッパは弾力性のある材料でできているため、プランジャロッドをさらに遠位方向に加圧すると、ストッパが歪み、不連続面によって一時的に開口している通路を通して液体が絞り出される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ストッパの遠位面にバリアフィルムを有する複雑な形状のストッパは、通常、2ショット成形/トリミングプロセスによって成形される。この種のストッパは現在、コストがそれほど重要でない少量生産品にのみ使用される。2ショットプロセスは、従来のシングルショットプロセスのおよそ2倍のコストがかかる。市販されているバリアコーティングされたストッパの中には、シングルショット成形プロセスを利用したものもあるが、これらのストッパにはしばしば好ましくない特徴がある。好ましくない特徴のひとつは、第1のリブが成型された特徴ではなくトリムエッジでなければならず、そのため流体をシールすることが保証されず、最適な滑動力を確保できないことである。ストッパには2つのリブが追加され、容器閉鎖の完全性(すなわち、CCI)のリスクは解決されるが、このような設計は、第1のストッパリブを通過する可変的な漏れが、薬剤投与精度やシステムヒステリシスに影響する精密注射器のような特定の装置には望ましくない。このような制限を克服するストッパも設計されているが、これまでのところ、成形とトリミングの2ステップを必要とする製造工程でしか生産されていない。この生産には多大な費用がかかるだけでなく、ステップが多ければ多いほど、廃棄物やスクラップの機会も増える。この種の高精度ストッパの生産を、シングルショット成形プロセスで拡大すれば、経済的に大きなメリットが得られる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様によれば、本開示は、最小限の成形後処理を必要とするワンショット射出成形される装置を用いて、ストッパなどの装置を成形する方法に関する。この方法は、上部プレート、コア部を含むスプルー/ベントプレート、輪郭面を有する金型キャビティを画定する凹部を含むメインプレート、及び、底部プレートを有する4プレート金型組立体を提供するステップと、コア部がメインプレートの凹部に入り込んで成形される装置の形状に対応する空間を画定するように金型組立体を閉じるステップと、金型キャビティに高分子材料を導入して、金型キャビティ及び空間を充填して成形される装置を形成するステップと、を含む。成形される装置は、金型キャビティの輪郭面に対応する本体と成形面を有する。この方法はさらに、高分子材料を冷却すること、スプルー/ベントプレートをメインプレートから分離してコア部を成形される装置内から取り出すこと、次いでスプルー/ベントプレートを上部プレートから分離すること、次いで、底部プレートをメインプレートから分離すること、最後に成形される装置又はストッパをメインプレートから取り外すことを含む。
【0007】
スプルー/ベントプレートをメインプレートから分離するステップにより、ベントが破損し、コア部が成形される装置及びメインプレート内から引き抜かれる。コア部は、装置又はストッパの所望の内部形状に応じて、いくつかの形状を有するように設計できることを理解することができる。例えば、コア部は、ねじ付き設計、コア部とスプルー/ベントプレートとの交差部に向かって拡大された部分を有する円錐形状の部分、直線状の側壁などを有することができる。金型のプレートを開くと、成形される装置は、メインプレートの底部を通して成形される装置を引っ張ることによって、メインプレートから取り外すことができる。
【0008】
高分子材料を金型キャビティに導入するステップは、上部プレートに関連付けられた射出ノズルとランナーを介して、高温の高分子材料をキャビティに射出することからなり、金型組立体を冷却するステップは、メインプレートに冷却材料を供給することからなる。
【0009】
メインキャビティの輪郭面は、開放された後方端、閉鎖された前方端、及び、開放された後方端と閉鎖された前方端との間に延びる円筒状の側壁と、を画定するメイン本体を有するストッパの形状である。一実施形態によれば、輪郭面の形状は、メイン本体の周囲を半径方向外向きに延び、このメイン本体に沿って軸方向に離間された複数のリブを形成するように構成される。メインキャビティは、他の製品を作るため、及び/又は異なる形状を持つストッパを作るために、他の輪郭面を持つことができることを理解することができる。
【0010】
一実施形態によれば、底板は、その遠位端に平坦面を有するストッパを形成するように構成された平坦面を有することができる。別の実施形態によれば、底部プレートは、閉鎖された前方端又はストッパの遠位端の外縁に平坦部の形状で遠位端を有し、ストッパの外縁から内側に延びるストッパを形成するように構成された輪郭表面を含むことができ、輪郭面は、閉鎖された前方端から延びる突起を形成するように形成され、突起が、ストッパの遠位端と交差してベースを画定し、閉鎖された前方端の頂部の平坦部から延び、突起が、注射器バレル内で協働して注射中のデッドスペースを減少させるように構成されていることを特徴とする。底板は、その遠位端に様々な形状を有するストッパを作成するための他の設計を有することができることを理解することができる。
【0011】
本方法は、底部プレートとメインプレートとの間にバリアフィルムなどのフィルムを設けるステップをさらに含むことができ、金型を閉じる際に、フィルムが底部プレートとメインプレートとの間に挟まれ、金型から装置を取り出す際に、フィルムが成形される装置に固定される。バリアフィルムは、例えば、ストッパと注射器バレル内の医薬組成物(例えば、薬剤、薬、または他の治療材料)との間に低摩擦バリアを提供し、材料がストッパから浸出すること、又は、ストッパによって医薬組成物から化合物が抽出されることを抑制し得る既知のフィルムであり得ることを理解することができる。この方法はさらに、成形される装置から余分なフィルムをトリミングして除去するステップを含む。
【0012】
別の態様によれば、本開示は、上部プレート、スプルー/ベントプレート、メインプレート、及び、底部プレートを有する金型組立体を含む、ストッパなどの装置を成形するためのシステムに関する。スプルー/ベントプレートは、その表面から延びるコア部を含む。コア部は、成形される装置又はストッパの所望の内部形状に応じて、任意の形状を有することができることを理解することができる。例えば、コア部は、ねじ付き設計、コア部とスプルー/ベントプレートとの交差部に向かって拡大された部分を有する円錐形状の部分、直線状の側壁などを有することができる。金型のメインプレートは、輪郭面を持つ金型キャビティを画定する凹部を含む。この金型キャビティは、スプルー/ベントプレートからコア部を受け入れるように構成され、成形される装置の形状に対応する空間を画定する。射出ノズルとランナーは上部プレートに嵌合される。射出ノズルとランナーは、金型キャビティに高分子材料を供給して空間を満たし、この輪郭面に対応する本体と成形面を有する成形される装置を形成するように構成される。金型キャビティ内の高分子材料を冷却するために、少なくとも1つの冷却部材が設けられる。
【0013】
このシステムはさらに、スプルー/ベントプレートをメインプレートから分離して、コア部を成形される装置内から引き出すための第1の機構と、スプルー/ベントプレートを上部プレートから分離するための第2の機構と、底部プレートをメインプレートから分離して成形される装置をメインプレートから取り外せるようにするための第3の機構と、を含む。一実施形態によれば、金型アセンブリの上部プレート、スプルー/ベントプレート、メインプレート、及び底部プレートを分離するための第1、第2、及び、第3の機構は、スプルー/ベントプレートをメインプレートから、スプルー/ベントプレートを上部プレートから、及び、底部プレートをメインプレートから順次分離するための、力の異なる一連のばね機構又は一連のコアリフタからなり、ばね機構は、各プレートの開きを制限するためのガイドピンを含む。
【0014】
一実施形態によれば、底部プレートとメインプレートの間にフィルムを挿入し、金型を閉じることによって底部プレートとメインプレートの間にフィルムを挟み込み、フィルムを成形される装置に固定することができる。システムは、成形される装置から余分なフィルムを除去するためのトリム金型をさらに含むことができる。1つの設計によれば、トリム金型は、余分なフィルムを除去するための平面パンチで構成することができるが、カミソリエッジのような他のタイプの切断面を有する他のタイプの金型、及び/又は、エアブラストの有無にかかわらず他のタイプのトリミング装置を、余分なフィルムを除去するために使用することができることを理解することができる。
【0015】
さらに別の態様によれば、本開示は、注射器バレル内で使用するためのプランジャロッドに取り付けるように適合させたストッパを対象とする。ストッパは、開放された後方端、閉鎖された前方端、及び、開放された後方端と閉鎖された前方端との間に延びる円筒状の側壁を画定するメイン本体からなる。開放された後方端は、プランジャロッドの前方端の取り付け部分を受けるように適合される。ストッパはさらに、メイン本体の外周を半径方向外向きに延びる少なくとも1つのリブを含む。少なくとも1つのリブは、注射器バレルとアクティブシールを形成するように構成される。少なくとも1つのリブに隣接して、ストッパの閉鎖された前方端の上部外縁面に平坦部が設けられる。平坦部は、ストッパの外縁から内側に延在する。ストッパは、閉鎖された前方端から延びる突起をさらに含み、突起は、ストッパの遠位端と交差するようにベースを画定し、平坦部から閉鎖された前方端の頂部まで延びる。ベースは、ストッパの遠位端の外径よりも小さいベース直径を有し、突起は、注射器バレルの内面と協働するように構成されたプロファイルを有し、注射中のデッドスペースを減少させる。
【0016】
次に、本開示のさらなる実施例を、以下の番号を付した条項において説明する。
【0017】
条項1:上部プレートと、コア部を含むスプルー/ベントプレートと、輪郭面を有する金型キャビティを画定する凹部を含むメインプレートと、底部プレートとを有する金型組立体を提供するステップと、コア部がメインプレートの凹部に入り込んで装置の形状に対応する空間を画定するように金型組立体を閉じるステップと、高分子材料を金型キャビティに導入して、金型キャビティと空間を充填し、輪郭面に対応する本体と成形表面を有する成形される装置を形成するステップと、スプルー/ベントプレートをメインプレートから分離して、コア部を成形される装置内から引き抜くステップと、次いで、スプルー/ベントプレートを上部プレートから分離するステップと、次いで、底部プレートをメインプレートから分離するステップと、及び、成形される装置をメインプレートから取り外すステップと、を備える、装置の成形方法。
【0018】
条項2:スプルー/ベントプレートをメインプレートから分離するステップにより、ベントが外れ、コア部が成形される装置及びメインプレート内から引き抜かれる、条項1に記載の方法。
【0019】
条項3:成形される装置をメインプレートから取り外すステップが、メインプレートの底部を通して成形される装置を取り外すことからなる、条項1又は2に記載の方法。
【0020】
条項4:高分子材料を金型キャビティに導入するステップが、上部プレートに関連する射出ノズル及びランナーを介して、高分子材料を金型キャビティに射出することからなる、条項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【0021】
条項5:高分子材料を金型キャビティに導入するステップの後、金型組立体を加熱して高分子材料を硬化させるか、又は、金型組立体をメインプレートに冷却材料を供給して冷却する、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【0022】
条項6:メインキャビティの輪郭面が、開放された後方端、閉鎖された前方端、及び、開放された後方端と閉鎖された前方端との間に延びる円筒状の側壁を画定するメイン本体を有するストッパの形状である、条項1から条項5のいずれか1項に記載の方法。
【0023】
条項7:輪郭面の形状が、メイン本体の外周の周りに半径方向外向きに延び、メイン本体に沿って軸方向に離間された複数のリブを形成するように構成される、条項6に記載の方法。
【0024】
条項8:底部プレートが、平坦面を有するストッパを形成するように構成された平坦面を有するか、又は、底部プレートが、ストッパの閉鎖された前方端の外縁に平坦部を有し、ストッパの外縁から内側に延びるストッパを形成するように構成された輪郭面を含み、輪郭面が、閉鎖された前方端から延びる突起を形成するように形成されており、突起が、ストッパの遠位端と交差するようにベースを画定し、閉鎖された前方端の頂部の平坦部から延在し、突起が、注射器バレル内で協働して、注射中のデッドスペースを減少させるように構成されている、条項6又は条項7に記載の方法。
【0025】
条項9:底部プレートとメインプレートとの間にフィルムを提供するステップを含み、金型組立体の閉鎖時に、フィルムが底部プレートとメインプレートとの間に挟まれ、金型組立体からの装置の取り出し時に、フィルムが成形される装置に固定される、条項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【0026】
条項10:成形される装置から余分なフィルムをトリミングするステップを含む、条項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【0027】
条項11:装置を成形するためのシステムであって、上部プレート、スプルー/ベントプレート、メインプレート、及び、底部プレートを有する金型組立体であって、スプルー/ベントプレートは、その表面から延びるコア部を含み、メインプレートは、輪郭面を有する金型キャビティを画定する凹部を含み、金型キャビティは、スプルー/ベントプレートからコア部を受け入れて、成形される装置の形状に対応する空間を画定するように構成される、金型組立体と上部プレートに嵌合された射出ノズルとランナーであって、射出ノズルとランナーは、高分子材料を金型キャビティに供給して、空間を満たし、輪郭面に対応する本体と成形表面を有する成形される装置を形成するように構成された、射出ノズルとランナーと、金型キャビティ内の高分子材料を冷却するための少なくとも1つの冷却部材と、コア部を成形される装置内から引き出すためにスプルー/ベントプレートをメインプレートから分離するための第1の機構と、スプルー/ベントプレートを上部プレートから分離するための第2の機構と、成形される装置をメインプレートから取り外すことを可能にするために底部プレートをメインプレートから分離するための第3の機構と、を備える、システム。
【0028】
条項12:金型組立体の上部プレート、スプルー/ベントプレート、メインプレート、及び、底部プレートを分離するための第1、第2、及び、第3の機構が、スプルー/ベントプレートをメインプレートから、スプルー/ベントプレートを上部プレートから、及び、底部プレートをメインプレートから順次分離するための、力の異なる一連のばね機構、又は、一連のコアリフタからなり、ばね機構が、プレートのそれぞれの開きを制限するためのガイドピンを含む、条項11に記載のシステム。
【0029】
条項13:底部プレートとメインプレートとの間にフィルムを挿入することができ、金型を閉じることにより、フィルムが成形される装置に固定されるように、フィルムが底部プレートとメインプレートとの間に挟まれる、条項11項又は条項12に記載のシステム。
【0030】
条項14:成形される装置から余分なフィルムを除去するための平面パンチを有するトリム金型を含み、トリム金型が、トリム金型又は金型ブロックからトリムされた部品を除去するために、清浄空気送風がそこを通過して移動できる開口部を有する中心部を任意に含む、条項11から13項のいずれか1項に記載のシステム。
【0031】
条項15:注射器バレル内で使用するためのプランジャロッドとの取り付けに適合したストッパであって、ストッパは、開放された後方端、閉鎖された前方端、及び、開放された後方端と閉鎖された前方端との間に延在する円筒状側壁を画定するメイン本体と、メイン本体の少なくとも閉鎖された前方端を覆うバリアフィルムであって、開放された後方端が、プランジャロッドの前方端の取り付け部分を受容するように適合される、バリアフィルムと、メイン本体の外周を半径方向外向きに延在する少なくとも1つのリブであって、注射器バレルとのアクティブシールを形成するように構成された、少なくとも1つのリブと、を備え、閉鎖された前方端の上部外縁表面上で、少なくとも1つのリブに隣接する平坦部であって、平坦部は、ストッパの外縁から内側に延び、突起は、閉鎖された前方端から延び、突起は、ストッパの閉鎖された前方端と交差するようにベースを画定し、平坦部から閉鎖された前方端の上部まで延び、ベースは、ストッパの遠位端の外径よりも小さいベース直径を有し、突起は、注射器バレルの内面と協働して注射中のデッドスペースを減少させるように構成されたプロファイルを有する、ストッパ。
【0032】
条項16:平坦部は、突起を形成する上向き斜面の開始点までの幅が、約0.75から1mmである、条項15に記載のストッパ。
【0033】
条項17:少なくとも1つのリブが、第1のリブ、第2のリブ、及び、第3のリブからなり、第2のリブが、第1のリブ、及び、第3のリブよりも小さい直径を有する、条項15又は16に記載のストッパ。
【0034】
条項18:ストッパの開放された後方端が、プランジャロッドの前方端の取り付け部分を受容するように構成されたキャビティを含み、キャビティの内面が、ストッパの閉鎖された前方端の底面から延びるプランジャロッドキャビティ突出部を含む、条項15から17のいずれか1項に記載のストッパ。
【0035】
条項19:プランジャロッドキャビティ突出部は、ストッパの前部に伝達される力を増大させるために、プランジャロッドの前部端の取り付け部分に軽く係合するように構成され、プランジャロッドキャビティ突出部は、傾斜した側壁を有する、条項18に記載のストッパ。
【0036】
条項20:ストッパの開放された後方端が、プランジャロッドの取り付け端部とねじで取り付け用の一連のねじ山を有するキャビティを含み、ねじ山が、プランジャロッドキャビティの底部に向かってわずかに減少するピッチを有する、条項15から19のいずれか1項に記載のストッパ。
【0037】
条項21:ルーフプロファイルスプラインAA-BBと内部ルーフ突起LLとの間の厚さが単調減少しており、点XXまで上方に突出する、条項15から20のいずれか1項に記載のストッパ。
【0038】
条項22:点XXが、YYで定義されるストッパ壁の厚さ内で、0.25から0.75mmの範囲内にある、条項21に記載のストッパ。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本開示の上述及びその他の特徴及び利点、並びにそれらを達成する方法は、添付の図面と併せて取られた本開示の実施形態の以下の説明を参照することにより、より明らかになり、本開示自体もよりよく理解されるであろう。
【
図1A】
図1Aは、本発明の一実施形態に係る注射器内で使用するためのストッパの上面斜視図である。
【
図2A】
図2Aは、本発明の実施形態による注射器内で使用するためのストッパの上面斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態による
図1Aから
図1B及び
図2Aから
図2Bのストッパのような成形される装置を形成するために使用することができる4プレートワンショット射出成形される装置の断面側面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態による成形ストッパの除去を含む、開放状態の
図3の金型の斜視図である。
【
図5A】
図5Aは、本発明の実施形態による
図3の金型を用いて装置を成形する順次のステップを示す。
【
図5B】
図5Bは、本発明の実施形態による
図3の金型を用いて装置を成形する順次のステップを示す。
【
図5C】
図5Cは、本発明の実施形態による
図3の金型を用いて装置を成形する順次のステップを示す。
【
図5D】
図5Dは、本発明の実施形態による
図3の金型を用いて装置を成形する順次のステップを示す。
【
図5E】
図5Eは、本発明の実施形態による
図3の金型を用いて装置を成形する順次のステップを示す。
【
図6A】
図6Aは、本発明の実施形態による
図1Aから
図1Bのストッパの成形後に余分なバリアフィルムを切断するための金型パンチの側面図である。
【
図6B】
図6Bは、本発明の実施形態による余分なフィルムを除去するための空気路を含む
図6Aの金型パンチの側面図である。
【
図7B】
図7Bは、本発明の実施形態による
図7Aのストッパの線B-Bに沿う切断断面図である。
【
図7E】
図7Eは、本発明の実施形態による、プランジャロッドコアとストッパの遠位端の内側部分との相互作用を示すために、ストッパの一部が切断された
図7Aのストッパの側面図である。
【
図7F】
図7Fは、
図7Aのストッパの部分断面斜視図であり、本発明の実施形態によるストッパの遠位端の内側ねじ山及び内側部分を示す。
【
図7G】
図7Gは、
図7Aのストッパの断面図であり、本発明の実施形態によるプランジャロッドキャビティの底部に向かってストッパの内側ねじ山のピッチが増加していることを示す。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係る
図3の成形される装置で成形されるプランジャロッドの取り付け端に固定されたストッパの断面図である。
【
図9A】
図9Aは、本発明の実施形態によるプランジャロッド及びストッパに遠位方向に向けられた力を加える前及び加えた後の、注射器バレル内に組み立てられた
図8のストッパ設計を示す。
【
図9B】
図9Bは、本発明の実施形態によるプランジャロッド及びストッパに遠位方向に向けられた力を加える前及び加えた後の、注射器バレル内に組み立てられた
図8のストッパ設計を示す。
【
図10A】
図10Aは、本発明の実施形態による
図1Aから
図1Bのストッパ設計を用いてプランジャロッドに遠位向きの力を加えた後に、注射器バレル内に生じるデッドスペースの量を示す代表的な図である。
【
図10B】
図10Bは、本発明の実施形態による
図2Aから
図2Bのストッパ設計を用いてプランジャロッドに遠位向きの力を加えた後に、注射器バレル内に生じるデッドスペースの量を示す代表的な図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態に係るストッパの斜視断面図である。
【0040】
対応する参照符号は、いくつかの図の中で対応している部分を示す。本明細書に記載される例示は、本開示の例示的な実施形態を示しており、そのような例示は、いかなる形でも本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下の説明は、当業者が本発明を実施するために企図される説明された実施形態を作成及び使用することを可能にするために提供される。しかしながら、様々な修正、等価物、変形、及び、代替物は、当業者に容易に明らかなことである。任意の、及び、全てのそのような修正、変形、等価物、及び代替物は、本発明の主旨および範囲の中に入ることが意図されたものである。
【0042】
以下、説明の目的のために、「上部」、「下部」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「最上部」、「最下部」、「横」、「縦」、及び、それらの派生語は、図面において配向されるように、本発明に関するものとする。しかしながら、本発明は、それとは反対に明示的に特定されない限り、様々な代替的な変形を前提としてもよいことは理解されよう。また、添付の図面に示され、及び、以下の明細書に記載される具体的な装置は、単に、本発明の例示的な実施形態であることも理解されるべきである。そのため、本明細書に開示される実施形態に関連する具体的な寸法、及び、他の物理的な特徴は、限定的であるとしてみなされるべきではない。
【0043】
また、本発明の説明において、「遠位端」という用語は、注射針が突出している注射器の端部及び注射針に近いストッパの端部を指すことを意図しており、「近位端」という用語は、注射器のホルダに近く、注射針の先端から最も遠い注射器の端部及び針の先端から最も遠いストッパの端部を指すことを意図している。
【0044】
次に、本開示の
図3及び
図4において、一般に50として示される、4プレートワンショット射出成形システムで製造することができる2つの異なるタイプのストッパ10,110を示す
図1Aから
図1B及び
図2Aから
図2Bを参照する。ストッパは、
図9A1から
図9E2に示す注射器バレル16の内面と液密に係合してシールするように構成された複数の環状リブ12,112を含むことができる。
【0045】
注射器バレルは、典型的には、
図9A及び
図9Bに示すように、開放された近位端、遠位端38、及び、液体薬剤のような液体を保持するためのチャンバを画定するその間の円筒形本体部分を含む。注射器バレルは、ガラス製、プラスチック製、又は、それらの組み合わせで、近位端にフランジを含むことができる。注射器バレルを形成するために使用できるプラスチック材料の例としては、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの実質的に透明な熱可塑性材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
ストッパ10,110は、ストッパ10,110の遠位端20,120が注射器バレルの遠位端に面している状態で、環状リブ12,112の作用によりバレル内で液密に係合するように配置することができる。注射器バレルの遠位端38は、チャンバと流体連通する通路39を含む。図示されていないが、それを通って延びる管腔を有する細長い針カニューレは、管腔が通路を通してチャンバと流体連通するように、バレルの遠位端38に接続するために提供され得る。針は、接着剤を使用するなどして注射器バレルに恒久的に取り付けることができ、又は、針カニューレに恒久的に取り付けられ、注射器バレルの遠位端で先端に摩擦で取り付けられる針ハブを介するなどして、注射器バレルに取り外し可能に取り付けられ得ることを理解することができる。ストッパ10,110は、薬剤に隣接して初期位置決めするため、およびその後、針カニューレの内腔または注射器バレル38の遠位端の通路を通して薬剤を促すために、チャンバ内でスライドすることができる。あるいは、ストッパ10,110は、再構成の目的で、注射器バレル内でスライドさせることができる。
【0047】
バリアフィルム14,114は、ストッパの遠位端20,120に設けることができ、ストッパ10,110の材料と注射器の内容物との直接的な接触を低減、及び/又は、排除し、注射器の内容物とストッパ10,110との間の摩擦を低減する。
【0048】
引き続き、
図3及び
図4を参照すると、4プレート射出成形システム50が示される。この成形システムは、注射器のプランジャロッドに使用するストッパを成形することを対象とするが、この成形システムは、医療用バイアルや試験管の閉鎖物、あるいは、他の既知の成形される装置など、他の製品の成形にも使用できることが理解されよう。成形システム50は、上部プレート54、スプルー/ベントプレート56、メインプレート58、及び、底部プレート60を有する金型組立体52から構成される。スプルー/ベントプレート56は、その底面64から延びるコア部62を含む。コア部62は、成形される装置又はストッパ10,110の所望の内部形状に応じて、任意の形状を有し得ることを理解することができる。例えば、コア部62は、ねじ付き設計、コア部とスプルー/ベントプレートとの交差部に向かって拡大された部分を有する円錐形状の部分、直線状の側壁などを有することができる。金型のメインプレート58は、輪郭面70を有する金型キャビティ68を画定する凹部66を含む。この金型キャビティ68は、スプルー/ベントプレート56からコア部62を受け入れるように構成され、成形される装置の形状に対応する空間72を画定する。射出ノズル74とランナー76が上部プレート54に嵌合される。射出ノズル74とランナー76は、高分子材料を金型キャビティ68に供給して空間72を満たし、輪郭面70に対応する本体と成形面を有する成形される装置を形成するように構成される。金型キャビティ58内の高分子材料を冷却するために、少なくとも1つの冷却部材78が設けられる。冷却部材78は、その中を流れる冷却媒体を含む一連のチューブであってもよいし、その他の既知の冷却部材であってもよい。
【0049】
システム50はさらに、コア部62を成形される装置10,110内から引き出すために、スプルー/ベントプレート56をメインプレート58から分離するための第1の機構80、スプルー/ベントプレート56を上部プレート54から分離するための第2の機構81、及び、成形される装置10,110のメインプレート58からの取り外しを可能にするために、底部プレート60をメインプレート58から分離するための第3の機構82を含む。一実施形態によれば、金型組立体の上部プレート、スプルー/ベントプレート、メインプレート、及び、底部プレートを分離するための第1、第2、及び、第3の機構80,81,82は、スプルー/ベントプレート56をメインプレート58から、スプルー/ベントプレート56を上部プレート54から、及び、底部プレート60をメインプレート58から順次分離するための、力の異なる一連のばね機構からなる。ばね機構は、各プレートの開きを制限するガイドピンを含むことができる。金型組立体の上部プレート、スプルー/ベントプレート、メインプレート、及び、底部プレートを分離するための第1、第2、及び、第3の機構80,81,82は、一連のコアリフタで構成できることも理解することができる。
【0050】
一実施形態によれば、バリアフィルム14,114を底部プレート60とメインプレート58との間に挿入して、金型組立体52の閉鎖によってフィルム14,114を底部プレート60とメインプレート58との間に挟み込み、フィルム14,114を成形体10,110に固定することができる。このバリアフィルム14,114をストッパに使用することにより、注射器バレル内でのストッパの摺動性が向上する。バリアフィルム14,114は、薬剤に対して有害な作用を示さず、シリコーンオイルのようなシリコーン系材料を含まないことが望ましい。使用可能なバリアフィルム14,114の一例としては、フッ素ポリマ樹脂ラミネートがあり、これは良好な生体適合性、良好な機械的完全性を有し、不活性であり、加工可能であることが知られている。拡張されたフッ素ポリマ構造の優れた強度により、これらの材料は薄いバリアを形成することができ、成形プロセスや注射器バレルへのストッパの取り付け中もそのままの状態を維持する。例えば、バリアフィルムは、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン樹脂(ETFE)、発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)などからなる群から選択され得る。以下にさらに詳細に説明し、
図6A及び
図6Bに示すトリム金型84は、成形される装置から余分なバリアフィルム14,114を除去するために設けることができる。
【0051】
次に、本発明の4プレート射出成形システム50を用いて装置10,110を成形する順次のステップを示す
図5Aから
図5Eを参照する。
図5Aを参照すると、本方法は、上部プレート54と、コア部62を含むスプルー/ベントプレート56と、輪郭面70を有する金型キャビティ68を画定する凹部66を含むメインプレート58と、底部プレート60とを有する4プレート金型組立体52を提供することを含む、成形される装置10,110の形状に対応する、
図3に示すような空間72を画定するために、コア部62がメインプレート58の凹部66に入るように金型組立体52を閉じるステップと、成形される装置10,110を形成するために、金型キャビティ68及び空間を充填するために、金型キャビティ68に高分子材料を導入するステップと、を含む。金型組立体52は、作業者が手で持ってキャビティプレート58から部品を押し出すことができるピン状部材(図示せず)を含むオプション部品53を含むことができる。
【0052】
成形される装置は、本体18,118と、金型キャビティ68の輪郭面70に対応する成形面を有する。この方法は、熱可塑性エラストマーの使用など、使用される高分子材料の種類に応じて、高分子材料を冷却するステップを含むことができる。高分子材料が未硬化ゴムからなる場合、材料を金型キャビティに導入した後、金型を約180℃などに加熱してゴムを硬化させる。高分子材料が冷却された後、又は、ゴムが硬化するように加熱された後、
図5Bに示すように、スプルー/ベントプレート56がメインプレート58から分離され、コア部62が成形キャビティ68、凹部66、及び、成形される装置10,110内から引き出される。次に、
図5Cに示すように、スプルー/ベントプレート56を上部プレート54から分離する。次に、
図5Dに示すように、底部プレート60をメインプレート58から分離する。成形される装置又はストッパ10,110は、
図5Eに示すように、メインプレート58の底部59などから取り外すことができる。
【0053】
スプルー/ベントプレート56をメインプレート58から分離するステップにより、
図4に示すように、ベント57が外れ、コア部62が成形される装置10,110及びメインプレート58内から引き抜かれる。コア部62は、装置又はストッパ10,110の所望の内部形状に応じて、いくつかの形状を有するように設計し得ることを理解することができる。例えば、コア部は、ねじ付き設計、コア部とスプルー/ベントプレートとの交差部に向かって拡大された部分を有する円錐形状の部分、直線状の側壁などを有することができる。金型組立体52のプレートを開くと、成形される装置10,110は、成形される装置をメインプレート58の底部59から引き抜くことによってメインプレート58から取り外すことができる。
【0054】
図3に戻ると、高分子材料を金型キャビティに導入するステップは、上部プレート54に関連する射出ノズル74及びランナー76を通して高分子材料を金型キャビティ68に射出することからなる。高分子材料は合成ゴムとすることができるが、天然ゴム、エラストマー、及び、それらの組み合わせなど、他の材料を使用できることを理解することができる。高分子材料に使用できるエラストマーの例としては、シリコーンゴム、天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、エチレン・プロピレン・ジエンモノマーEPDM)、ポリクロロプレンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。高分子材料がエラストマーからなる場合、材料によって異なるが、通常は、約225℃に加熱される。あるいは、材料が例えば熱硬化性ゴムからなる場合、材料は、金型キャビティに注入できるように、溶融状態になるところ(すなわち、約20℃から50℃)までしか加熱されない。必要に応じて金型組立体を冷却するステップは、冷却チューブ78を介するなどして冷却媒体をメインプレート58に供給することを含む。
【0055】
図1Aから
図1B及び
図2Aから
図2Bに戻って参照すると、メインキャビティの輪郭面は、開放された後方端22,122と、閉塞された前方端又は遠位端20,120とを画定するメイン本体18,118と、開放された後方端22,122と閉塞された前方端又は遠位端20,120との間に延びる円筒状の側壁24,124とを有するストッパ10,110の形状とすることができる。一実施形態によれば、輪郭面の形状は、メイン本体18,118の周囲を半径方向外向きに延び、このメイン本体18,118に沿って軸方向に間隔を隔てて延びる複数の環状リブ12,112を形成するように構成される。メインキャビティは、他の製品を製造するため、及び/又は、異なる形状を有するストッパ10,110を製造するために、他の輪郭面を有し得ることを理解することができる。
【0056】
一実施形態によれば、底部プレート60は、
図2A及び
図2Bに示すように、その遠位端120に平坦面121を有するストッパ110を形成するように構成された平坦面を有することができる。別の実施形態によれば、底部プレート60は、
図1A及び
図1Bに示すように、遠位端20を有するストッパ10を形成するように構成された輪郭面を含むことができる。
図1A及び
図1Bのストッパの全体形状については、
図7Aから
図7Gの説明で後述する。しかしながら、底部プレート60は、ストッパ10の閉塞された前方端又は遠位端20の外縁28に、ストッパ10の外縁28から内側に延びる平坦部26と、閉塞された前方端又は遠位端20から延びる突起30とを有する形状の遠位端20を有するストッパを製造するように構成された輪郭面を有し、突起30は、ストッパの閉塞された前方端又は遠位端20と交差するようにベース32を画定し、閉塞された前方端又は遠位端20の頂部の平坦部26から突起30まで上方向に延びる傾斜部34を含む。傾斜部34については、
図7Bに関連して、以下でさらに詳細に説明する。この突起は、注射器バレル16内で協働するように構成され、注射時のデッドスペースを減少させる。底部プレート60は、その遠位端に様々な形状を有するストッパを作るために、他の設計を有し得ることを理解することができる。
【0057】
本方法は、底部プレート60とメインプレート58との間にバリアフィルム14,114などのフィルムを設けるステップをさらに含むことができ、金型組立体52の閉鎖時に、フィルム14,114が底部プレート60とメインプレート58との間に挟まれ、金型組立体52からの装置の取り出し時に、フィルム14,114が成形される装置に固定される。バリアフィルム14,114は、例えば、ストッパ10,110と注射器バレル16内の医薬組成物(例えば、薬剤、薬、又は、他の治療材料)との間に低摩擦バリアを提供し、材料がストッパ10,110から浸出すること、又は、ストッパ10,110によって医薬組成物から化合物が抽出されることを抑制し得る既知のフィルムであり得ることを理解することができる。
【0058】
図6A及び
図6Bを参照すると、この方法は、成形される装置10,110から余分なフィルム14,114をトリミングして除去するステップをさらに含む。このトリミングステップは、トリム金型84で行うことができる。ある設計によれば、トリム金型は、余分なフィルム14,114を除去するための平面パンチ86で構成することができる。トリム金型84は、金型ブロック85からトリムされた部品を取り除くために、清浄空気が通過できる開口部88を有するパンチ中心を含む。平面パンチ86は、余分なフィルム14,114を除去するための平面87を有する。パンチ86の中央部90は、何度も研ぎ直しができるように十分に深くなっており、カミソリエッジを有する金型パンチ86(ストッパが平坦部を有さず、ストッパのエッジと上部のリブから円錐形の斜面が始まる場合に使用される)を使用するよりもコスト効果が高い。カミソリエッジが早く摩耗するため、パンチを個別に研ぎ直す必要があり、コストがかさむ。しかしながら、カミソリエッジのような他の種類の切断面を有する他の種類の金型、及び/又は、他の種類のトリミング装置を、余分なフィルムを除去するために使用できることを理解することができる。
【0059】
引き続き、
図1A及び
図1Bを参照し、さらに
図7Aから
図7Gを参照すると、本開示の射出成形システム50を使用して製造することができる1つのタイプのストッパ10が示される。ストッパ10は、
図9Aから
図9Bに示すように、注射器バレル16内で使用するプランジャロッドの取り付け端17に取り付けるように適合される。
【0060】
上述したように、ストッパ10は、開放された後方端22、閉塞された前方端又は遠位端20、及び、開放された後方端と閉塞された前方端又は遠位端20との間に延びる円筒形の側壁24を画定するメイン本体18からなる。バリアフィルム14(
図7Aから
図7Gには図示せず)は、少なくとも閉塞された前方端又は遠位端20に隣接して設けることができる。開放された後方端22は、プランジャロッドの前方端部の取り付け端17を受け入れるように適合される。ストッパ10はさらに、メイン本体の外周を半径方向外向きに延びる少なくとも1つのリブ12を含む。少なくとも1つのリブ12は、注射器バレル16とアクティブシールを形成するように構成される。環状又は円周方向に延びるリブ12は、ストッパ本体と注射器バレルとの間に安定した液密シールを提供することを目的とする。1つ以上のリブを設けることができることを理解することができる。
図7Aから
図7Gに開示された実施形態では、メイン本体18は、メイン本体の外周の半径方向外側に延び、メイン本体18に沿って、軸方向に離間した第1、第2、及び、第3のリブ12a,12b,12cを含むことができる。
【0061】
リブ12はその間に凹部13を含み、リブ12は凹部13の外径よりも大きい外径を有する。リブ12は、ストッパ本体10の遠位端から見たときに曲線的な形状とすることができる。本開示の成形システム50を用いて、滑らかな円筒状の側面を有するものを含め、ストッパの他の実施形態を形成し得ることを理解することができる。
【0062】
ストッパ10の開放された後方端22には、プランジャロッドの前方取り付け端17を受け入れるように構成されたキャビティ35が形成される。
図7Aから
図7Gに示す実施形態によれば、このキャビティ35は、
図9A及び9Bに示すように、プランジャロッドの前方取り付け端17のねじ山17aと協働するように構成されたねじ山36を含む。プランジャロッドをストッパ10,110に結合する方法は数多くあり、ねじ配置は多くの可能性の例示であることを理解することができる。例えば、ストッパ10のキャビティ35は、キャビティ35の近位端及び/又はストッパ10の開放された後方端22において、縮小された直径又はネックを有することができる。ある配置によれば、このキャビティ35は、部品がスナップフィット配置で組み合わされるように、拡大された遠位端を有するプランジャロッドの遠位端又は前方の取り付け端17の先端又は突起30を受け入れる形状にすることができる。別の実施例によれば、ストッパ10は、プランジャロッドの取り付け端17に接着剤で取り付けられるか、又は、共に成形される。
【0063】
引き続き、
図7Aから
図7Gを参照すると、平坦部26が、少なくとも1つのリブ12に隣接するストッパ10の閉塞された前方又は遠位端20の上部外縁面に設けられる。平坦部26は、ストッパ10の外縁28から内側に延在する。一実施形態によれば、平坦部26は、ストッパ10の閉塞された前方端又は遠位端20の頂部に頂点を有する円錐形状の突起30を形成する上向きの斜面34の開始点まで、約0.75から1mmの幅とすることができる。突起30は、ストッパ10の閉塞された前方端又は遠位端20と交差するようにベース32を画定し、平坦部26から閉塞された前方端又は遠位端20の頂部まで延在する。ベース32は、ベース直径「BD」がストッパ10の閉塞された前方端又は遠位端20の外径「OD」よりも小さく、突起30は、
図9A及び
図9Bに示すように、注射器バレルの内面40と協働するように構成されたプロファイルを有し、注射中のデッドスペースを減少させる。
【0064】
特に、
図7B、7E及び7Fを参照すると、本開示のストッパ10は、シールを維持しながらストッパの滑動力を低減する目的で、第2のリブ12bが、他のリブ12a及び12cよりも直径がわずかに小さくなるように(最大4%から15%)設計することができる。第2のリブ12bの頂点におけるリブ半径は、バレルの直径にもよるが、約0.45から0.65mmとすることができ、その結果、滑動力が低くなる。ストッパ10のキャビティ35の底部には、プランジャロッドキャビティ突出部42を設けることができる。このキャビティ突出部42は、プランジャロッドの前方取り付け端17に軽く係合するように設計されているが、まず、前側リブ12aを引っ張り、ストッパ10をより容易に(初期の取り出す力を減少させ)取り出すために、(ねじ山を通して軸方向荷重を伝達するのに対して)ストッパの前側に伝達される力を素早く増加させる。突出部42の側壁42aは、ストッパ10の先端を通るように延びる垂直線に対して約60°の角度のような急な角度をなしており、プランジャロッドの前方取り付け端17との最初の接触は軽いが、すぐに力が増大するようになっている。引き続き、
図7Bを参照すると、ルーフプロファイルスプラインAA-BBと内部ルーフ突起LLとの間の厚さは、単調減少して点XXまで上方に突出することができる。点XXは、YYで定義されるストッパ壁の厚さ内の0.25から0.75mmの間に位置することができる。この特殊な設計により、断面が薄いストッパの位置で、下方向にルーフが座屈するのを回避し、バリアフィルム14にしわが寄るのを防ぐことができる。
【0065】
図7Gに示されるように、ストッパのねじ山のピッチは、ストッパの後方端又は近位面22に向かって、及び/又は、プランジャロッドキャビティ35の底部に向かって増加するように、可変かつ一定でないことができる。これにより、最初はストッパ10の前面にさらに圧力がかかり、加えられた親指の力をプランジャロッドに集中させ、ストッパの第1のリブ12aを緩める。これにより、ストッパ10の後方端又は近位面22に作用するプッシャーの代わりに、ストッパリブが引っ張られることによって容器壁から順次離脱することにもなる。例えば、
図7Gに示されるように、第1のピッチL1は、第2のピッチL2よりも長さを短くすることができる。一実施例によれば、ピッチはL2からL1まで2.1mmから1.4mmの範囲で進むことができる。例えば、L2からL1へのピッチは、約2ターンで縮小でき、L2は、約1.73mm、L1は、約1.57mmである。
【0066】
図8は、本発明の4プレート射出成形システム50を用いて作成可能なプランジャロッドの取り付け端17に固定されたストッパ10を示す。このストッパ10は、バリアフィルム14,114の有無にかかわらず形成し得ることを理解することができる。
図9A及び
図9Bは、組立後及びプランジャロッドに、10lbf(ポンド力)又は44.5Nを加えた後の、注射器バレル16内の
図8のストッパ設計の相互作用を示す。
図8は、
図7Aから
図7Gのストッパ10と同様の設計である。
図9Bに示すように、これらのストッパは、プランジャロッドに10lbf(44.5N)を加えた後、注射器バレル16内のデッドスペースが最も少なくなる。
【0067】
図10A及び
図10Bを参照すると、遠位端20に円錐形の頭部又は円錐形の突起30を有する
図10Aのストッパ10は、遠位端120に平坦面又は平らな頭部121を有する
図10Bのストッパ110と比較すると、注射終了時のデッドスペースが著しく減少することが判明した。デッドスペースは、ストッパ10,110の遠位端20,120と注射器バレル16,116の遠位端の内面40,140との間に薬物又は薬剤を閉じ込めることになる。閉じ込められた薬剤は、しばしばデッドボリュームと呼ばれ、
図10Aでは41、
図10Bでは141で表される。このデッドボリューム41,141は、注入終了時に注射器内に留まり、注入終了時にプランジャロッドにどんなに大きな力がかかっても注入することができない。
図2Aから2B及び
図10Bに示す平頭ストッパ110は、一般に、1mlから3mlのサイズ範囲を有する充填式注射器に使用される。しかしながら、有限要素解析(FEA)を実施して、
図1Aから
図1B及び10Aの円錐頭ストッパ10のデッドボリューム41と、
図2Aから
図2B及び10Bの平頭ストッパ110のデッドボリューム141とを比較した。この分析の結果を以下の表1に示す。通常、ストッパにかかる力は10から25Nの間だが、表1には、この典型的な範囲を超える値(44.5N)と下回る値(8.9N)も示される。
【0068】
【0069】
表1から分かるように、円錐頭ストッパ10のデッドボリューム41は、約4.5mm3であり、デッドボリューム141が、約11.5mm3から18.2mm3の範囲にある平頭ストッパ110よりもかなり小さい。
【0070】
次に、ストッパ10のベース23に設けられた第4のリブ12dを含むストッパの設計を示す
図11を参照する。この設計は、
図7Aから
図7Gの設計よりも厚い前部46を含む。この厚い前部46は、ストッパ10の座屈を軽減するのに役立つ。この特定の設計は、
図7Aから
図7Gの設計と同様に、ストッパ10の閉鎖された前方端又は遠位端20の外縁28上に、ストッパ10の外縁28から内側に延びる平坦部26の形状の遠位端20と、閉塞された前方端又は遠位端20から延びる突起30とを含み、突起30は、ストッパの閉塞された前方端又は遠位端20と交差するようにベース32を画定し、閉塞された前方端又は遠位端20の頂部の平坦部26から突起30まで上方向に延びる傾斜部34を含む。
図10Aに関連して上述したように、突起30は注射器バレル16内で協働するように構成され、注射中のデッドスペースを減少させる。
【0071】
本開示は例示的な設計を有するものとして説明されてきたが、本開示は、本開示の精神及び範囲内でさらに変更することができる。したがって、本願は、その一般原則を用いた本開示のあらゆる変形、使用、または適応を包含することを意図している。さらに、本願は、本開示が関連する技術分野における既知又は慣例の範囲内で、添付の請求項の範囲内に収まるような本開示からの逸脱をカバーすることを意図している。
【国際調査報告】