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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-06
(54)【発明の名称】距離の推定
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/06 20060101AFI20231129BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20231129BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20231129BHJP
   H02M 7/5387 20070101ALI20231129BHJP
   A24F 40/465 20200101ALI20231129BHJP
【FI】
H05B6/06 341
A24F40/20
H02M7/48 E
H02M7/5387
A24F40/465
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530817
(86)(22)【出願日】2021-11-30
(85)【翻訳文提出日】2023-07-20
(86)【国際出願番号】 GB2021053114
(87)【国際公開番号】W WO2022118006
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】2018945.2
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】コーラス, アントン
【テーマコード(参考)】
3K059
4B162
5H770
【Fターム(参考)】
3K059AA08
3K059AC12
3K059AC33
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AB14
4B162AB28
4B162AC12
4B162AC22
4B162AC34
4B162AD20
4B162AD23
5H770BA09
5H770CA06
5H770DA01
5H770DA18
5H770DA41
5H770DA44
5H770EA11
5H770HA06Z
(57)【要約】
方法、装置、及びコンピュータプログラムについて説明し、これらは、(サセプタを誘導加熱するための)誘導素子とキャパシタとを備える共振回路にパルスエッジを印加することであって、印加されたパルスエッジが共振回路のキャパシタと誘導素子の間にパルス応答を引き起こし、パルス応答が共振周波数を有する、印加することと、前記パルス応答の共振周波数の周期又は周波数を決定することと、距離勾配及び第1の較正測定値に少なくとも部分的に基づいて決定された周期又は周波数を距離に変換することと、を含む。距離は誘導素子とサセプタの間の間隔に基づき、第1の較正測定値は較正温度での誘導素子とサセプタの間の間隔を含む。
【選択図】 図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サセプタを誘導加熱するための誘導素子とキャパシタとを備える共振回路にパルスエッジを印加するステップであって、前記印加されたパルスエッジが前記共振回路の前記キャパシタと前記誘導素子の間にパルス応答を引き起こし、前記パルス応答が共振周波数を有する、印加するステップと、
前記パルス応答の前記共振周波数の周期又は周波数を決定するステップと、
距離勾配及び第1の較正測定値に少なくとも部分的に基づいて前記決定された周期又は周波数を距離に変換するステップであって、前記距離が前記誘導素子と前記サセプタの間の間隔に基づき、前記第1の較正測定値が較正温度での前記誘導素子と前記サセプタの間の前記間隔を含む、変換するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記距離勾配が、見かけ温度に対する距離の変化率を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記較正温度が室温である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記決定された周期又は周波数を前記距離推定値に変換するステップが、
温度勾配及び温度較正測定値に基づいて前記決定された周期又は周波数を見かけ温度に変換することと、
前記距離勾配及び前記第1の較正測定値に基づいて前記見かけ温度を前記距離推定値に変換することと、
を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記温度勾配が、温度に対する前記パルス応答の前記共振周波数の変化率を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記温度較正測定値が、前記パルス応答の前記共振周波数の第1の周期及び第1の温度を定める、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記温度較正測定値が、前記勾配と較正温度の積を、前記較正温度における前記パルス応答の周期又は周波数から減算することによって得られる、請求項4~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の較正測定値を取得するステップをさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記距離勾配を決定するステップをさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記パルスエッジがオフレゾナンスパルスの一部を形成する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
誘導素子及びキャパシタを備える共振回路であって、前記誘導素子がサセプタを誘導加熱するためのものである、共振回路と、
前記共振回路にパルスエッジを印加するための回路であって、前記印加されたパルスエッジが前記共振回路の前記キャパシタと前記誘導素子の間にパルス応答を引き起こし、前記パルス応答が共振周波数を有する、回路と、
前記パルス応答の前記共振周波数の周期又は周波数を決定し、距離勾配及び第1の較正測定値に少なくとも部分的に基づいて前記決定された周期又は周波数を距離に変換するためのプロセッサであって、前記距離が前記誘導素子と前記サセプタの間の間隔に基づき、前記第1の較正測定値が較正温度での前記誘導素子と前記サセプタの間の前記間隔を含む、プロセッサと、
を備える、装置。
【請求項12】
前記距離勾配が、見かけ温度に対する距離の変化率を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記プロセッサが、
温度勾配及び温度較正測定値に基づいて前記決定された周期又は周波数を見かけ温度に変換することと、
前記距離勾配及び前記第1の較正測定値に基づいて前記見かけ温度を前記距離推定値に変換することと、
のためのものである、請求項11又は12に記載の装置。
【請求項14】
前記プロセッサが、前記距離勾配を決定するためのものである、請求項11~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記誘導素子及び前記キャパシタが直列に接続されている、請求項11~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記誘導素子及び前記キャパシタが並列に接続されている、請求項11~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記回路がHブリッジ回路である、請求項11~16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
請求項10~17のいずれか一項に記載の装置を備える、非燃焼性エアロゾル生成デバイス。
【請求項19】
前記エアロゾル生成デバイスが、エアロゾル生成材料を含む取り外し可能な物品を受けるように構成される、請求項18に記載の非燃焼性エアロゾル生成デバイス。
【請求項20】
前記エアロゾル生成材料が、エアロゾル生成基材及びエアロゾル形成材料を含む、請求項19に記載の非燃焼性エアロゾル生成デバイス。
【請求項21】
前記取り外し可能な物品がサセプタ構成体を含む、請求項19又は20に記載の非燃焼性エアロゾル生成デバイス。
【請求項22】
非燃焼性エアロゾル生成システムで使用するための物品を含む部品のキットであって、前記非燃焼性エアロゾル生成システムが、請求項11~17のいずれか一項に記載の装置又は請求項18~21のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイスを含む、部品のキット。
【請求項23】
前記物品が、エアロゾル生成材料を含む取り外し可能な物品である、請求項22に記載の部品のキット。
【請求項24】
命令を含むコンピュータプログラムであって、前記命令が装置に少なくとも、
サセプタを誘導加熱するための誘導素子とキャパシタとを備える共振回路にパルスエッジを印加することであって、前記印加されたパルスエッジが前記共振回路の前記キャパシタと前記誘導素子の間にパルス応答を引き起こし、前記パルス応答が共振周波数を有する、印加することと、
前記パルス応答の前記共振周波数の周期又は周波数を決定することと、
距離勾配及び第1の較正測定値に少なくとも部分的に基づいて前記決定された周期又は周波数を距離に変換することであって、前記距離が前記誘導素子と前記サセプタの間の間隔に基づくものであって、前記第1の較正測定値が較正温度での前記誘導素子と前記サセプタの間の前記間隔を含む、変換することと、
を実行させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は距離の推定に関し、たとえば、サセプタと、前記サセプタを誘導加熱するために使用される誘導素子との間の距離を推定することに関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
シガレット、シガーなどの喫煙品は、使用中にタバコを燃やしてタバコの煙を発生させる。燃焼させずに化合物を放出する製品を作成することにより、これらの物品(article)の代用品を提供する試みがなされてきた。たとえば、タバコ加熱デバイスは、タバコなどのエアロゾル生成基材(substrate)を加熱し、基材を加熱するが燃やさないことによって、エアロゾルを形成する。そのような基材を加熱するためにサセプタが使用されてもよい。そのようなサセプタと、サセプタを誘導加熱するために使用される誘導素子との間の距離が、関心対象のパラメータであってもよい。
【発明の概要】
【0003】
(概要)
第1の態様において、本明細書では、サセプタを誘導加熱するための誘導素子とキャパシタとを備える共振回路にパルスエッジを印加するステップであって、印加されたパルスエッジが共振回路のキャパシタと誘導素子の間にパルス応答を引き起こし、パルス応答が共振周波数を有する、印加するステップと、前記パルス応答の共振周波数の周期又は周波数を決定するステップと、距離勾配及び第1の較正測定値に少なくとも部分的に基づいて決定された周期又は周波数を距離に変換するステップであって、距離が誘導素子とサセプタの間の間隔に基づき、第1の較正測定値が較正温度(たとえば、室温)での誘導素子とサセプタの間の間隔を含む、変換するステップと、を含む、方法について説明する。パルスエッジはオフレゾナンスパルスの一部を形成してもよい。
【0004】
距離勾配は、見かけ温度に対する距離の変化率を含んでもよい。
【0005】
いくつかの例示的な実施形態では、決定された周期又は周波数を距離推定値に変換するステップは、温度勾配及び温度較正測定値に基づいて決定された周期又は周波数を見かけ温度に変換することと、距離勾配及び第1の較正測定値に基づいて見かけ温度を距離推定値に変換することと、を含んでもよい。温度勾配は、温度に対する前記パルス応答の共振周波数の変化率を含んでもよい。温度較正測定値は、前記パルス応答の共振周波数の第1の周期及び第1の温度を定めてもよい。温度較正測定値は、前記勾配と較正温度の積を、前記較正温度における前記パルス応答の周期又は周波数から減算することによって得られてもよい。
【0006】
この方法は、前記第1の較正測定値を取得するステップをさらに含んでもよい。
【0007】
この方法は、前記距離勾配を決定するステップをさらに含んでもよい。
【0008】
第2の態様において、本明細書では、誘導素子及びキャパシタを備える共振回路であって、誘導素子がサセプタを誘導加熱するためのものである、共振回路と、前記共振回路にパルスエッジを印加するための回路(たとえば、Hブリッジ回路)であって、印加されたパルスエッジが共振回路のキャパシタと誘導素子の間にパルス応答を引き起こし、パルス応答が共振周波数を有する、回路と、前記パルス応答の共振周波数の周期又は周波数を決定し、距離勾配及び第1の較正測定値に少なくとも部分的に基づいて決定された周期又は周波数を距離に変換するためのプロセッサであって、距離が誘導素子とサセプタの間の間隔に基づき、第1の較正測定値が較正温度での誘導素子とサセプタの間の間隔を含む、プロセッサと、を備える、装置について説明する。誘導素子及び前記キャパシタは直列に接続されていてもよい。或いは、誘導素子及び前記キャパシタは並列に接続されている。
【0009】
距離勾配は、見かけ温度に対する距離の変化率を含んでもよい。
【0010】
プロセッサはさらに、温度勾配及び温度較正測定値に基づいて決定された周期又は周波数を見かけ温度に変換し、距離勾配及び第1の較正測定値に基づいて見かけ温度を距離推定値に変換してもよい。
【0011】
プロセッサは、前記距離勾配を決定するために使用されてもよい。
【0012】
第3の態様において、本明細書では、第2の態様を参照して上述した装置を備える、非燃焼性エアロゾル生成デバイスについて説明する。エアロゾル生成デバイスは、エアロゾル生成材料を含む取り外し可能な物品を受けるように構成されてもよい(このエアロゾル生成材料は、エアロゾル生成基材及びエアロゾル形成材料を含んでもよい)。取り外し可能な物品はサセプタ構成体を含んでもよい。
【0013】
第4の態様において、本明細書では、非燃焼性エアロゾル生成システムで使用するための物品を含む部品のキットであって、非燃焼性エアロゾル生成システムが、第2の態様を参照して上述した装置又は第3の態様を参照して上述したエアロゾル生成デバイスを備える、部品のキットについて説明する。この物品は、エアロゾル生成材料を含む取り外し可能な物品であってもよい。
【0014】
第5の態様において、本明細書では、命令を含むコンピュータプログラムであって、命令が装置に少なくとも、サセプタを誘導加熱するための誘導素子とキャパシタとを備える共振回路にパルスエッジを印加することであって、印加されたパルスエッジが共振回路のキャパシタと誘導素子の間にパルス応答を引き起こし、パルス応答が共振周波数を有する、印加することと、前記パルス応答の共振周波数の周期又は周波数を決定することと、距離勾配及び第1の較正測定値に少なくとも部分的に基づいて決定された周期又は周波数を距離に変換することであって、距離が誘導素子とサセプタの間の間隔に基づき、第1の較正測定値が較正温度での誘導素子とサセプタの間の間隔を含む、変換することと、を実行させる、コンピュータプログラムについて説明する。コンピュータプログラムは、第1の態様を参照して上述した方法の任意の態様を実行するようにさらに構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
ここで、以下の概略図を参照して、例示的な実施形態を単なる例として説明する。
図1】例示的な実施形態によるシステムのブロック図である。
図2】例示的な実施形態による回路のブロック図である。
図3】例示的な実施形態によるシステムのブロック図である。
図4】例示的な実施形態によるシステムのブロック図である。
図5】例示的な実施形態による回路のブロック図である。
図6】例示的な実施形態による回路のブロック図である。
図7】例示的な実施形態によるシステムのブロック図である。
図8】例示的な実施形態によるアルゴリズムを示すフローチャートである。
図9】例示的な実施形態によるパルスを示すプロットである。
図10】例示的な実施形態によるパルス応答を示すプロットである。
図11】例示的な実施形態によるパルス応答を示すプロットである。
図12】例示的な実施形態による、パルス応答周期と温度の間の関係を示すプロットである。
図13】例示的な実施形態による、離隔距離と見かけ温度の間の関係を示すプロットである。
図14】例示的な実施形態によるアルゴリズムを示すフローチャートである。
図15】例示的な実施形態によるアルゴリズムを示すフローチャートである。
図16】例示的な実施形態によるエアロゾル送達デバイスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(詳細な説明)
本明細書で使用する場合、「エアロゾル送達デバイス」という用語は、物質をユーザに送達するシステムを包含することを意図しており、以下を含む:
エアロゾル化可能材料を燃焼させることなくエアロゾル化可能材料から化合物を放出する非燃焼性エアロゾル供給システム、たとえば、電子タバコ(electronic cigarette)、タバコ加熱製品、及びエアロゾル化可能材料の組み合わせを使用してエアロゾルを生成するハイブリッドシステムなど、及び
エアロゾル化可能材料を含み、これらの非燃焼性エアロゾル供給システムのうちの1つで使用されるように構成される物品。
【0017】
本開示によれば、「可燃性」エアロゾル供給システムは、エアロゾル供給システム(又はその構成要素)を構成するエアロゾル化可能材料が、ユーザへの送達を容易にするために燃焼される又は燃やされるものである。
【0018】
本開示によれば、「非燃焼性」エアロゾル供給システムは、エアロゾル供給システム(又はその構成要素)を構成するエアロゾル化可能材料が、ユーザへの送達を容易にするために燃焼されない又は燃やされないものである。本明細書に記載の実施形態では、送達システムは非燃焼性エアロゾル供給システム、たとえば、動力付き非燃焼性エアロゾル供給システムである。
【0019】
一実施形態では、非燃焼性エアロゾル供給システムは電子タバコであり、これはベイピング(vaping)デバイス又は電子ニコチン送達システム(END:electronic nicotine delivery system)としても知られているが、エアロゾル化可能材料内のニコチンの存在は要件ではないことに留意されたい。
【0020】
一実施形態では、非燃焼性エアロゾル供給システムは、非燃焼加熱式システムとしても知られているタバコ加熱システムである。
【0021】
一実施形態では、非燃焼性エアロゾル供給システムは、エアロゾル化可能材料の組み合わせを使用してエアロゾルを生成するハイブリッドシステムであり、エアロゾル化可能材料のうちの1つ又は複数は加熱されてもよい。エアロゾル化可能材料のそれぞれは、たとえば、固体、液体、又はゲルの形態であってもよく、ニコチンを含有してもしなくてもよい。一実施形態では、ハイブリッドシステムは、液体又はゲルのエアロゾル化可能材料及び固体のエアロゾル化可能材料を含む。固体のエアロゾル化可能材料は、たとえば、タバコ又は非タバコ製品を含んでもよい。
【0022】
典型的には、非燃焼性エアロゾル供給システムは、非燃焼性エアロゾル供給デバイス及び非燃焼性エアロゾル供給システムと共に使用するための物品を含んでもよい。しかしながら、エアロゾル生成構成要素に動力を供給するための手段をそれ自体が含む物品自体が、非燃焼性エアロゾル供給システムを形成してもよいということも想定される。
【0023】
一実施形態では、非燃焼性エアロゾル供給デバイスは、動力源及びコントローラを含んでもよい。動力源は、電力源であっても発熱動力源であってもよい。一実施形態では、発熱動力源は、発熱動力源に近接するエアロゾル化可能材料又は熱伝達材料に熱の形態で動力を供給するようにエネルギーを与えることができる炭素基材を含む。一実施形態では、発熱動力源などの動力源は、非燃焼性エアロゾル供給を形成するように物品内に提供される。
【0024】
一実施形態では、非燃焼性エアロゾル供給デバイスと共に使用するための物品は、エアロゾル化可能材料、エアロゾル生成構成要素、エアロゾル生成領域、マウスピース、及び/又はエアロゾル化可能材料を受けるための領域を含んでもよい。
【0025】
一実施形態では、エアロゾル生成構成要素は、エアロゾル化可能材料から1つ又は複数の揮発性物質を放出してエアロゾルを形成するように、エアロゾル化可能材料と相互作用することが可能なヒーターである。一実施形態では、エアロゾル生成構成要素は、加熱せずにエアロゾル化可能材料からエアロゾルを生成することが可能である。たとえば、エアロゾル生成構成要素は、たとえば、振動、機械、加圧又は静電手段のうちの1つ又は複数などによって、熱を加えることなく、エアロゾル化可能材料からエアロゾルを生成可能であってもよい。
【0026】
一実施形態では、エアロゾル化可能材料は、活性材料、エアロゾル形成材料、及び任意選択で1つ又は複数の機能材料を含んでもよい。活性材料は、ニコチン(任意選択でタバコ又はタバコ派生品に含有される)或いは1つ又は複数の他の非嗅覚の生理活性材料を含んでもよい。非嗅覚の生理活性材料は、嗅覚以外の生理反応を実現するためにエアロゾル化可能材料に含まれる材料である。本明細書で使用する活性物質は、生理反応を実現又は増強することを目的とする材料である生理活性材料であってもよい。活性物質は、たとえば、栄養補助食品、向知性薬、向精神薬から選択されてもよい。活性物質は、天然のもの又は合成的に得られるものであってもよい。活性物質は、たとえば、ニコチン、カフェイン、タウリン、テイン、B6若しくはB12又はCなどのビタミン、メラトニン、カンナビノイド、或いはそれらの成分、派生物、又は組み合わせを含んでもよい。活性物質は、タバコ、大麻又は他の植物の1つ又は複数の成分、派生物又は抽出物を含んでもよい。いくつかの実施形態では、活性物質はニコチンを含む。いくつかの実施形態では、活性物質は、カフェイン、メラトニン、又はビタミンB12を含む。
【0027】
エアロゾル形成材料は、グリセリン、グリセロール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール、メソ-エリスリトール、バニリン酸エチル、ラウリン酸エチル、スベリン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジアセチン混合物、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸、及び炭酸プロピレンのうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【0028】
1つ又は複数の機能材料は、香料、担体、pH調整剤、安定剤、及び/又は抗酸化剤のうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【0029】
一実施形態では、非燃焼性エアロゾル供給デバイスと共に使用するための物品は、エアロゾル化可能材料又はエアロゾル化可能材料を受けるための領域を含んでもよい。一実施形態では、非燃焼性エアロゾル供給デバイスと共に使用するための物品は、マウスピースを含んでもよい。エアロゾル化可能材料を受けるための領域は、エアロゾル化可能材料を貯蔵するための貯蔵領域であってもよい。たとえば、貯蔵領域はリザーバであってもよい。一実施形態では、エアロゾル化可能材料を受けるための領域は、エアロゾル生成領域とは別個であってもよいし、又はエアロゾル生成領域と結合されてもよい。
【0030】
本明細書ではエアロゾル生成材料と呼ぶ場合もあるエアロゾル化可能材料は、たとえば、加熱されたとき、照射されたとき、又は他の任意の方法でエネルギーが与えられたときに、エアロゾルを生成することが可能な材料である。エアロゾル化可能材料は、たとえば、ニコチン及び/又は香味料を含有してもしなくてもよい固体、液体、又はゲルの形態であってもよい。いくつかの実施形態では、エアロゾル化可能材料は、代替的に「モノリシック固体」(すなわち、非繊維性)と呼ばれる場合もある「非晶質固体」を含んでもよい。いくつかの実施形態では、非晶質固体は乾燥ゲルであってもよい。非晶質固体は、液体などの何らかの流体を内部に保持することができる固体材料である。
【0031】
エアロゾル化可能材料は、基材上に存在してもよい。基材は、たとえば、紙、カード、板紙、厚紙、再生されたエアロゾル化可能材料、プラスチック材料、セラミック材料、複合材料、ガラス、金属、又は金属合金であってもよいし、又はそれらを含んでもよい。
【0032】
消耗品とは、エアロゾル生成材料を含むか、又はエアロゾル生成材料からなる物品であり、その一部又は全部がユーザにより使用中に消費されることが意図されている。消耗品は1つ又は複数の他の構成要素、たとえば、エアロゾル生成材料貯蔵領域、エアロゾル生成材料移送構成要素、エアロゾル生成領域、ハウジング、ラッパー、マウスピース、フィルター、及び/又はエアロゾル変性剤を含んでもよい。消耗品はまた、使用時にエアロゾル生成材料にエアロゾルを生成させるために熱を放出するヒーターなどのエアロゾル生成器を含んでもよい。ヒーターは、たとえば、可燃性材料、電気伝導によって加熱可能な材料、又はサセプタを含んでもよい。
【0033】
図1は、参照番号10によって全体を示す、例示的な実施形態によるシステムのブロック図である。システム10は、共振回路12(たとえば、LC共振回路)、スイッチングモジュール13、及び制御モジュール14を含む。直流(DC)電圧源の形態の電源(VDC)が、共振回路12に提供される。電源は、たとえば、バッテリーによって供給されてもよい。
【0034】
共振回路12は、並列に接続されたインダクタ及びキャパシタを含んでもよい。共振回路は、以下に詳細に論じるように、サセプタ構成体16を誘導加熱してエアロゾル生成材料を加熱するために使用されてもよい。以下でさらに論じるように、エアロゾル生成材料を加熱することにより、エアロゾルを生成してもよい。
【0035】
制御モジュール14は、スイッチングモジュール13を第1の状態と第2の状態との間で切り替えるための制御信号を提供する。第1の状態では、電圧源から共振回路12を介して電流が引き出される(以て、共振回路のインダクタが充電される)。第2の状態では、第1のスイッチングモジュールは非導通である。スイッチングモジュール13が第1の状態から第2の状態に切り替わったときに共振回路12のインダクタが充電されている場合、共振回路は共振して、電荷がインダクタからキャパシタに流れて再び戻る。
【0036】
システム10は、多種多様なサセプタ構成体と共に使用することができる。
【0037】
図2は、参照番号20によって全体を示す、例示的な実施形態による回路のブロック図である。回路20は、上述のシステム10の実装例において使用されてもよい。
【0038】
回路20は、上述のシステム10の制御モジュール14を含む。回路20は、並列に配置されたインダクタ22及びキャパシタ24(共振回路12を実装する)と、トランジスタ26(スイッチングモジュール13を実装する)と、をさらに含む。インダクタ22及びキャパシタ24から形成される共振回路は、上記で論じたように、サセプタ構成体(図示せず)を誘導加熱するためのものである。
【0039】
トランジスタ26は、制御モジュール14の出力に応じて第1の状態及び第2の状態を有する。第1の状態では、トランジスタ26は導通しており、電圧源VDCから生成された変動電流がインダクタ22を流れる(以て、インダクタが充電される)。電圧源は、バッテリー(たとえば、エアロゾル生成デバイスのバッテリー)によって提供されてもよい。バッテリー電圧は、時間の経過と共に(限られた範囲で)変動する場合がある。
【0040】
第2の状態では、第1のスイッチング構成体は非導通であり、(第1の状態で充電された)インダクタ22が放電し、以てキャパシタ24が充電される。スイッチング構成体が第2の状態にとどまっていた場合、共振回路12は、インダクタ22及びキャパシタ24のインダクタンス(L)及びキャパシタンス(C)に応じた周波数で共振することになり、これは次式で与えられる。
【0041】
【数1】

サセプタ16などのサセプタを加熱するために、他の多くの構成を設けることができる。
【0042】
図3は、参照番号30によって全体を示す、例示的な実施形態によるシステムのブロック図である。システム30は、上述のシステム10といくつかの類似点を有する。
【0043】
システム30は、直流(DC)電圧源31の形態の電源、スイッチング構成体33、共振回路34、サセプタ構成体36、及び制御回路38を含む。スイッチング構成体33及び共振回路34は、サセプタ36を加熱するために使用することができる誘導加熱構成体32内で相互に結合されてもよい。サセプタ36は、上述のサセプタ16と同様のものであってもよい。
【0044】
以下に詳細に論じるように、共振回路34は、エアロゾル生成材料を加熱するために、キャパシタ及びサセプタ構成体36を誘導加熱するための1つ又は複数の誘導素子を含んでもよい。エアロゾル生成材料を加熱することにより、エアロゾルを生成することができる。以下でさらに論じるように、共振回路34のキャパシタ及びインダクタは、(回路20の並列接続とは対照的に)直列に設けられてもよい。
【0045】
スイッチング構成体33は、(制御回路38の制御下で)DC電圧源31から交流電流を発生させることが可能であってもよい。交流電流は、1つ又は複数の誘導素子を通って流れてもよく、サセプタ構成体36の加熱を引き起こしてもよい。スイッチング構成体は複数のトランジスタを含んでもよい。DC-ACコンバータの例には、Hブリッジ回路又はインバータ回路が含まれ、その例については以下で論じる。
【0046】
サセプタ(たとえば、上述のサセプタ16及び36など)は、交番磁場などの変動磁場の侵入によって加熱可能な材料である。加熱材料は導電性材料であってもよく、これにより、変動磁場がその中に侵入すると、加熱材料の誘導加熱が引き起こされる。加熱材料は磁性材料であってもよく、これにより、変動磁場がその中に侵入すると、加熱材料の磁気ヒステリシス加熱が引き起こされる。加熱材料は導電性及び磁性の両方を有してもよく、これにより、両方の加熱メカニズムで加熱材料が加熱可能になる。
【0047】
誘導加熱は、導電性の物体に変動磁場を侵入させることによってその物体が加熱されるプロセスである。このプロセスは、ファラデーの電磁誘導の法則及びオームの法則によって説明される。誘導ヒーターは、電磁石と、電磁石に交流電流などの変動電流を流すためのデバイスとを含んでもよい。電磁石及び被加熱物体が適切に相対的に配置され、その結果、電磁石によって生成された変動磁場が物体に侵入すると、物体の内部に1つ又は複数の渦電流が発生する。物体は電流の流れに対して抵抗を有する。したがって、そのような渦電流が物体内で発生すると、渦電流が物体の電気抵抗に逆らって流れることにより、物体が加熱される。このプロセスは、ジュール加熱、オーム加熱、又は抵抗加熱と呼ばれている。誘導加熱が可能な物体は、サセプタとして知られている。
【0048】
一実施形態では、サセプタは閉回路の形態である。いくつかの実施形態では、サセプタが閉回路の形態である場合、使用中のサセプタと電磁石の間の磁気結合が強化され、その結果、ジュール加熱がより大きくなる又は改善されることが分かっている。
【0049】
磁気ヒステリシス加熱は、磁性材料で作られた物体に変動磁場を侵入させることによってその物体が加熱されるプロセスである。磁性材料は、多数の原子スケールの磁石又は磁気双極子で構成されていると考えることができる。磁場がそのような材料に侵入すると、磁気双極子の向きが磁場と揃う。したがって、たとえば電磁石によって生成された交番磁場などの変動磁場が磁性材料に侵入すると、印加された変動磁場によって磁気双極子の向きが変化する。そのような磁気双極子の向きの変化により、磁性材料内に熱が発生する。
【0050】
物体が導電性及び磁性の両方を有する場合、物体に変動磁場を侵入させると、物体にジュール加熱及び磁気ヒステリシス加熱の両方を発生させることができる。さらに、磁性材料を使用すると磁場を増強することができ、これによりジュール加熱を増大させることができる。
【0051】
上記の各プロセスでは、熱伝導による外部熱源によってではなく、物体自体の内部で熱が発生するので、特に、適切な物体材料及び形状と、物体に対する適切な変動磁場の大きさ及び向きとを選択することにより、物体の急速な温度上昇と、より均一な熱分布とを実現することができる。さらに、誘導加熱及び磁気ヒステリシス加熱では、変動磁場の発生源と物体との間に物理的な接続を設ける必要がないので、設計の自由度及び加熱プロファイルの制御が向上する場合があり、コストが低くなる場合がある。
【0052】
図4は、参照番号40によって全体を示す、例示的な実施形態によるシステムのブロック図である。システム40は、インダクタ44を含むいくつかの回路素子がその上に設けられる基板42(たとえば、プリント回路基板など)を含む。システム40はサセプタ46も含む。インダクタ44は、共振回路12又は34の一部を形成してもよく、したがって、サセプタ46を誘導加熱するために使用されてもよい。インダクタ44は、たとえば、スパイラルインダクタであってもよい。
【0053】
サセプタ46は、支持機構(図示せず)によって保持されてもよい。サセプタ46は、インダクタ44から短い距離だけ離れている。インダクタ44とサセプタ46の間の間隔は、誘導加熱システムの機能にとって重要である場合がある。以下に詳細に論じるように、インダクタ44とサセプタ46の間の間隔は測定可能であってもよい。
【0054】
図5は、参照番号50によって全体を示す、例示的な実施形態による回路のブロック図である。回路50は、第1のスイッチ51、第2のスイッチ52、第3のスイッチ53、第4のスイッチ54、及び共振回路56を含む。第1~第4のスイッチ51~54は、以下でさらに論じるように、トランジスタを使用して実装されてもよい。
【0055】
第1~第4のスイッチ51~54は、共振回路56にパルスを印加するために使用されてもよいHブリッジブリッジ回路を形成する。このため、第1~第4のスイッチ51~54はスイッチング構成体33の実装例であり、共振回路56は上述の共振回路36の一例である。
【0056】
第1及び第2のスイッチ51及び52はブリッジ回路の第1のリムを形成し、第3及び第4のスイッチ53及び54は第2のリムを形成する。より具体的には、第1のスイッチ51は、第1の電源(図5ではVDDとラベル付けした)と第1の接続点の間の接続を選択的に提供することができ、第2のスイッチ52は、第1の接続点とグランドの間の接続を選択的に提供することができ、第3のスイッチ53は、第1の電源と第2の接続点の間の接続を選択的に提供することができ、第4のスイッチ54は、第2の接続点とグランドの間の接続を選択的に提供することができる。共振回路56は、第1と第2の接続点の間に設けられる。
【0057】
図6は、参照番号60によって全体を示す、例示的な実施形態による回路のブロック図である。回路60は、上述の回路50の実装例である。
【0058】
回路60は、正端子67及び負(グランド)端子68を含む(これらは上述のシステム30のDC電圧源31の実装例である)。回路60は、スイッチング構成体64(上述のスイッチング構成体33を実装する)を含み、スイッチング構成体64はブリッジ回路(たとえば、FET Hブリッジ回路などのHブリッジ回路)を含む。スイッチング構成体64は第1のリム64a及び第2のリム64bを含み、第1のリム64a及び第2のリム64bは、共振回路69(この共振回路は上述の共振回路34及び56を実装する)によって結合される。第1のリム64aはスイッチ65a及び65b(上述のスイッチ51及び52を実装する)を含み、第2のリム64bはスイッチ65c及び65d(上述のスイッチ53及び54を実装する)を含む。スイッチ65a、65b、65c、及び65dは、電界効果トランジスタ(FET)などのトランジスタであってもよく、システム10の制御回路38などのコントローラから入力を受け取ってもよい。
【0059】
共振回路69は、共振回路69がLC共振回路となることができるようなキャパシタ66及び誘導素子63を含む。回路60はさらに、サセプタ等価回路62(以て、サセプタ構成体16を実装する)を示している。サセプタ等価回路62は、例示的なサセプタ構成体36の電気的効果を示す抵抗及び誘導素子を含む。サセプタが存在する場合、サセプタ構成体62及び誘導素子63はトランス61として機能してもよい。トランス61は、回路60が電力を受け取ったときにサセプタが加熱されるような変動磁場を生成してもよい。サセプタ構成体36が誘導構成体によって加熱される加熱動作中に、スイッチング構成体64は、第1及び第2のブランチのそれぞれが順に結合されて、交流電流が共振回路69を流れるように(たとえば、制御回路38によって)駆動される。共振回路69は、サセプタ構成体36に部分的に基づく共振周波数を有し、制御回路38は、共振周波数又は共振周波数に近い周波数でスイッチングするようにスイッチング構成体64を制御するよう構成されてもよい。スイッチング回路を共振点又はその付近で駆動することは、効率を向上させるのに役立ち、スイッチング素子へ失われるエネルギー(これはスイッチング素子の不必要な加熱の原因となる)が削減される。アルミニウム箔を含むサセプタが加熱される一例では、スイッチング構成体64は2.5MHz付近の周波数で駆動されてもよい。しかしながら、他の実施では、周波数は、たとえば、500kHz~4MHzの間のどこかであってもよい。
【0060】
図7は、参照番号70によって全体を示す、例示的な実施形態によるシステムのブロック図である。
【0061】
システム70は、パルス生成回路72、共振回路74(たとえば、共振回路12、34、56及び69など)、サセプタ76(たとえば、サセプタ16、36及び46など)、並びにパルス応答処理器78を含む。パルス生成回路72及びパルス応答処理器74は、上述のシステム10及び30の制御回路14又は38の一部として実装されてもよい。
【0062】
パルス生成回路72は、正及び負の電圧源を切り替えることによってパルス(たとえば、パルスエッジ)を生成するために、スイッチ13及び26又は上述の回路50及び60のスイッチング構成体を使用して実装されてもよい。
【0063】
パルス応答処理器78は、以下でさらに論じるように、パルス応答に基づいて、共振回路74及びサセプタ76の1つ又は複数のパフォーマンスメトリック(又は特徴)を決定してもよい。
【0064】
図8は、参照番号80によって全体を示す、例示的な実施形態によるアルゴリズムを示すフローチャートである。アルゴリズム80は、システム70の使用例を示している。
【0065】
アルゴリズム80は動作82から開始し、ここで、パルスエッジが共振回路74に印加される。パルスエッジは、パルス生成回路72によって生成される立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジである。
【0066】
図9は、例示的な実施形態によるパルス90を示すプロットである。パルス90は、動作82で印加されてもよいパルスエッジの一例である立ち上がりパルスエッジ92を含む。パルス90は、パルス生成回路72によって生成されてもよい。パルス90は、共振回路74に印加されてもよい。
【0067】
パルスエッジ92を共振回路に印加すると、パルス応答が生成される。
【0068】
図10は、たとえば、パルスエッジ92に応答して共振回路69のキャパシタ66とインダクタ63の間の接続点で生成され得る例示的なパルス応答を示す、参照番号100によって全体を示すプロットである。図10に示すように、パルス応答100は、リンギング共振(ringing resonance)の形をとる場合がある。パルス応答は、共振回路のインダクタ(複数可)とキャパシタの間での電荷の跳ね返りの結果である。1つの構成では、結果としてサセプタの加熱が引き起こされない。すなわち、サセプタの温度は実質的に一定(たとえば、パルスを印加する前の温度の±1℃又は±0.1℃以内)のままである。図10に示すように、パルス応答100は、周期102を有する共振周波数を有する(この周期はリンギング応答の連続するピーク間の時間である)。
【0069】
図11は、参照番号110によって全体を示す、パルスエッジ92に応答して生成される場合がある別の例示的なパルス応答を示すプロットである。パルス応答110は、(周期102よりも短い)周期112を有する共振周波数を有する。
【0070】
アルゴリズム80の動作84において、印加されたパルスエッジに応答して生成されたパルス応答の共振周波数の周期又は周波数が(たとえば、パルス応答処理器78によって)決定される。例示的なパルス応答100の場合、動作84で決定された周期又は周波数は周期102である。同様に、例示的なパルス応答110の場合、動作84で決定された周期は周期112である。
【0071】
アルゴリズム80の動作86において、距離勾配及び第1の較正測定値に少なくとも部分的に基づいて動作84で決定された周期又は周波数が離隔距離に変換され、この距離は誘導素子とサセプタの間の間隔に基づき、第1の較正測定値は較正温度での誘導素子とサセプタの間の間隔を含む。したがって、アルゴリズム80を使用して、マイクロメータ機能を実装することができる。
【0072】
図12は、参照番号120によって全体を示す、例示的な実施形態による、パルス応答周期と温度の間の関係を示すプロットである。
【0073】
システム10及び30などの誘導加熱システムが温まると、システム内の抵抗が変化する。この結果、共振周波数が変化する(ひいては、上述の動作84で決定されたパルス応答の周期も変化する)。例示的なプロット120に示すように、温度が上昇するにつれて、パルス応答周期が長くなる場合がある。いくつかの例示的な実施形態では、この変化は線形(又はほぼ線形)であるので、温度測定値の推定に使用することができる。
【0074】
プロット120の特性が既知である場合、動作84で決定された周期又は周波数を温度推定値に変換することができ、ここで、温度(x)は次式で与えられ得る。
【0075】
【数2】

ここで、
yは動作84で決定された周期であり、
cは較正値であり、
mはプロット120の勾配である。
【0076】
勾配mは2つのデータ点(x1,y1)及び(x2,y2)から次のように決定することができる。
【0077】
【数3】

較正値cは次のようにして与えられてもよく、
c=-ma+b
ここで、
mは上記で論じた勾配であり、
aは較正温度(たとえば、室温)であり、
bは較正温度でのパルス応答周期である。
【0078】
たとえば、摂氏20度の較正温度で400nsのパルス応答周期が測定されたと仮定する。プロット120の勾配が摂氏1度当たり250ピコ秒であると決定された場合、上記の値は次のように与えられる。
m=250ps/℃=0.25ns/℃
c=-0.250*20+400=395
したがって、動作84で420nsの周期が決定された場合、これは動作86で次式を使用して温度推定値に変換することができる。
【0079】
【数4】

したがって、温度推定値xは100℃である。
【0080】
上記で論じたように、周波数応答の周期は温度と共に変化するので、周期を使用して温度を決定することができる。周波数応答の周期は、共振回路のインダクタとサセプタの間の距離にも関係する。より具体的には、インダクタとサセプタの間の距離が増加するにつれて、周波数応答の周期が長くなる。
【0081】
上述の温度推定アルゴリズムは、次式を使用して温度を計算する。
【0082】
【数5】

ここで、yは周波数応答の周期であり、c及びmは共に定数である。したがって、yが増加すると、温度測定値xも増加する。
【0083】
結果として、共振回路のインダクタとサセプタの間の間隔が増加すると、実際の温度が同じまま(たとえば、室温又は他の一定の動作温度)であっても、温度測定値(すなわち、見かけ温度)が増加することになる。
【0084】
図13は、参照番号130によって全体を示す、例示的な実施形態による、離隔距離(たとえば、システム40のインダクタ44とサセプタ46の間の間隔)と見かけ温度の間の関係を示すプロットである。見かけ温度は、上述の温度推定アルゴリズムの出力である。プロット130の生成中の実際の温度は一定のままであった。
【0085】
例示的なプロット130に示すように、共振回路のインダクタとサセプタの間の間隔が増加するにつれて、見かけ温度が増加する場合がある。いくつかの例示的な実施形態では、この変化は線形(又はほぼ線形)であるので、見かけ温度の示度を離隔距離の推定に使用することができる。
【0086】
線形のプロット130は、本明細書では距離勾配(すなわち、見かけ温度に対する離隔距離の変化率)と呼ぶ勾配を有する。較正温度(たとえば、室温)での較正距離が取得されている場合、決定された見かけ温度に基づいて離隔距離を決定することができる。
【0087】
たとえば、図13にプロットした離隔距離(distance)は次のように表されてもよい。
distance=mt+(d-mc)
ここで、
は見かけ温度であり、
mはプロット130の勾配であり、
cは較正温度(たとえば、室温)であり、
dは較正温度での離隔距離である。
【0088】
例として、見かけ温度(c)が実際の室温21℃である場合に、距離勾配(m)が1.6μm/℃であり、間隔(d)が550μmであると仮定する。その後の見かけ温度測定値(t)89℃は、68℃の温度変化に相当する。これは、1.6×68=108.8μmの間隔の変化に対応する。したがって、温度が実際には同じままであった場合、新しい間隔は約660μmになる。
【0089】
図14は、参照番号140によって全体を示す、例示的な実施形態によるアルゴリズムを示すフローチャートである。
【0090】
アルゴリズム140の動作142において、(上述のアルゴリズム80の動作84と同様に)たとえば印加されたパルスエッジに応答して、生成されたパルス応答の共振周波数の周期又は周波数が決定される。
【0091】
動作144において、たとえばプロット120を参照して上述した温度勾配及び温度較正測定値に基づいて、動作142で決定された周期又は周波数が見かけ温度に変換される。
【0092】
動作146において、たとえばプロット130を参照して上述した距離勾配及び較正測定値に基づいて、動作144で決定された見かけ温度が離隔距離推定値に変換される。
【0093】
動作144及び146は、上述のアルゴリズム80の動作86の実装例である。アルゴリズム140の多くの変形が可能であることに留意されたい。たとえば、動作142で決定されたパルス応答の周期又は周波数は、見かけ温度への変換を介さずに、直接離隔距離に変換されてもよい(動作144及び146が単一のステップに結合される)。
【0094】
図15は、参照番号150によって全体を示す、例示的な実施形態によるアルゴリズムを示すフローチャートである。アルゴリズム150は、上述のシステム70を使用して実行されてもよい。
【0095】
動作152において、システム70の1つ又は複数の関連する勾配が決定される。勾配は、見かけ温度に対する離隔距離の変化率に基づく距離勾配を含み(たとえば、上述のプロット130の傾き)、また、温度に対する前記パルス応答の共振周波数(又はそのパルス応答の周期)の変化率を含んでもよい(たとえば、上述のプロット120の傾き)。
【0096】
勾配(複数可)は(初期化プロセスの一部として)一度生成されてもよく、その後記憶され、変更されなくてもよい(又は稀にしか変更されなくてもよい)。或いは、勾配測定値(複数可)は、その時々に(たとえば、定期的に、又は勾配測定値が信頼できない可能性があるという判定に応答して)、更新されてもよい。
【0097】
動作154において、1つ又は複数の較正測定値が取得される。第1の較正測定値は、既知の温度(たとえば、室温)での離隔距離である。上述の第1の較正測定値及び距離勾配によりプロット130を定めることによって、見かけ温度測定値を離隔距離の推定値に変換することが可能になる(すなわち、上述のアルゴリズム140の動作146)。
【0098】
動作154で取得されてもよい第2の較正測定値は、既知の温度(たとえば、測定された温度)における共振周波数の周期である。たとえば、システムは、(たとえば、較正プロセス中に)既知の室温に基づいて較正されてもよい。したがって、室温が測定されてもよく(たとえば、熱電対を使用)、この既知の室温でパルスの持続時間が測定されてもよい。第2の較正測定値によってプロット120を定めることが可能になるので、共振応答の周期を見かけ温度に変換することができる(すなわち、上述のアルゴリズム140の動作144)。
【0099】
較正測定値は、記憶される1回限りの測定値であってもよい。或いは、較正測定値は、たとえばシステムの構成が変化した可能性があるときなどに随時、繰り返し取得されてもよい。多くの可能な較正の構成が存在する。たとえば、加熱用のサセプタ構成体を含む取り外し可能な物品を有するシステムの場合、取り外し可能な物品が交換されるたびにシステムが再較正されてもよい。
【0100】
動作156において、間隔推定値が生成される。動作156は、上述のアルゴリズム140を使用して実行されてもよい。
【0101】
上述のシステム40は、本明細書に記載の原理の1つの実装例を表し、多くの変形が可能である。たとえば、サセプタは、多くの代替的なエアロゾル供給デバイスの一部として設けられてもよい。
【0102】
例として、図16は、参照番号160によって全体を示す、例示的な実施形態によるエアロゾル送達デバイスを示している。
【0103】
エアロゾル送達デバイス160は、物品161内に含まれる(又は他の場所に設けられる)サセプタの加熱を可能にするためにエアロゾル送達デバイス160に挿入されてもよい交換可能な物品161を含む。エアロゾル送達デバイス160は、エアロゾル送達デバイス160をオン又はオフにするために使用されてもよい作動スイッチ162と、複数の誘導素子163a、163b、及び163cと、1つ又は複数のエアチューブエクステンダ164及び165と、をさらに含む。1つ又は複数のエアチューブエクステンダ164及び165は任意選択的なものであってもよい。
【0104】
サセプタは、物品161の一部として提供されてもよい。例示的な実施形態では、物品161がエアロゾル送達デバイスに挿入されたときに、物品161の挿入によってエアロゾル送達デバイス160がオンにされてもよい。これは、たとえば、適切なセンサ(たとえば、光センサ)を使用してエアロゾル送達デバイス内の物品161の存在を検出することによるものであってもよい。エアロゾル送達デバイス160がオンにされた場合、誘導素子163は、サセプタを介して物品161を誘導加熱させてもよい。代替の実施形態では、サセプタは、エアロゾル送達デバイス160の一部として(たとえば、物品161を受けるためのホルダの一部として)設けられてもよい。
【0105】
上述のアルゴリズム140及び150は、物品161のサセプタと、エアロゾル送達デバイス160の誘導素子との間の間隔を推定するために使用されてもよい。
【0106】
本明細書に記載の様々な実施形態は、特許請求する特徴の理解及び教示を支援するためにのみ提示している。これらの実施形態は、実施形態の代表的なサンプルとしてのみ提供しており、網羅的及び/又は排他的なものではない。本明細書に記載の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲に対する限定とも、特許請求の範囲の均等物に対する限定とも考えられるべきではなく、特許請求する発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用されてもよく、変更が行われてもよいということを理解されたい。本発明の様々な実施形態は、本明細書に具体的に記載したもの以外の、開示した要素、構成要素、特徴、部分、ステップ、手段などの適切な組み合わせを好適に含んでもよく、それらからなってもよく、又は本質的にそれらからなってもよい。さらに、本開示は、現在特許請求していないが、将来請求する可能性のある他の発明も含むことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】