(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-06
(54)【発明の名称】関心ポイントを作業現場の表面に転送するためのターゲット及び錘線測量システム
(51)【国際特許分類】
G01C 15/02 20060101AFI20231129BHJP
G01C 15/06 20060101ALI20231129BHJP
G01C 15/00 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
G01C15/02
G01C15/06 T
G01C15/00 103C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023531672
(86)(22)【出願日】2021-11-10
(85)【翻訳文提出日】2023-05-24
(86)【国際出願番号】 EP2021081205
(87)【国際公開番号】W WO2022111995
(87)【国際公開日】2022-06-02
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Hilti Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Feldkircherstrasse 100,9494 Schaan,Liechtenstein
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】サンチェス ルエラス, ヤフェ ゲルマン
(72)【発明者】
【氏名】ケルシュバウメル, マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ローラー, トマス
(57)【要約】
反射ターゲット(31)、セルフレベリング鉛直線レーザポインタ(32)、保持装置(33)、及び第1の位置決め要素(41)と第2の位置決め要素(42)とを含む位置決め装置(34)を備える、ターゲット及び錘線測量システム(14)。第2の位置決め要素(42)は、水平な二次元領域を画定するオープンスペース(47)を含むプラットフォーム(46)として設計され、前記第1の位置決め要素(41)は前記オープンスペース(47)に対して移動可能である。
【選択図】
図2C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
・ 反射面(36)を含む反射ターゲット(31)と、
・ セルフレベリング鉛直線レーザポインタ(32)であって、垂直方向(38)にある経路を有する鉛直線レーザビーム(37)を照射し、前記垂直方向(38)は重力方向(20)に実質的に平行である、セルフレベリング鉛直線レーザポインタ(32)と、
・ 前記反射ターゲット(31)を所定の位置に保持することを支援する第1の保持要素(39)、及び前記鉛直線レーザポインタ(32)を所定の位置に保持することを支援する第2の保持要素(40)を含む保持装置(33)と、
・ 第1の位置決め要素(41)と第2の位置決め要素(42)とを含み、前記保持装置(33)が前記第1の位置決め要素(41)に接続され、前記第1の位置決め要素(41)が前記第2の位置決め要素(42)に対して移動可能である、位置決め装置(34)とを備え、
前記第2の位置決め要素(42)は、水平な2次元領域を画定するオープンスペース(47)を含むプラットフォーム(46)として設計されており、前記第1の位置決め要素(41)は、前記オープンスペース(47)に対して移動可能であることを特徴とする、
ターゲット及び錘線測量システム(14)。
【請求項2】
前記第1の位置決め要素(41)が、上部プレート要素(43)、下部プレート要素(44)、及び前記上部プレート要素(43)と下部プレート要素(44)を接続する接続手段(45)とを含み、前記上部プレート要素(43)は、前記プラットフォーム(46)の上面(48A)に隣接して配置され、前記下部プレート要素(44)は、前記プラットフォーム(46)の底面(48B)に隣接して配置され、前記接続手段(45)は、少なくとも部分的に前記オープンスペース(47)内に配置される、請求項1に記載のターゲット及び錘線測量システム。
【請求項3】
前記第1の位置決め要素(41)が、前記第2の位置決め要素(42)に対して回転軸(51)を中心に回転可能であり、前記回転軸(51)は、前記重力方向(20)に実質的に平行である、請求項1又は2に記載のターゲット及び錘線測量システム。
【請求項4】
前記ターゲット及び錘線測量システム(14)が、接続ユニット(27、143、153、163、173、184)を含み、前記接続ユニットは、前記第2の位置決め要素(42)に接続され、可動及び/又は可搬シャーシ(15、144、151、161、174、181)に接続されるように提供される、請求項1~3のいずれか一項に記載のターゲット及び錘線測量システム。
【請求項5】
・請求項1から4のいずれか一項に記載のターゲット及び錘線測量システム(14)と、
・可動及び/又は可搬シャーシ(15、144151、161、174、181)と、
を備える、可動及び/又は可搬レイアウトアクセサリ(13、140、150、160、170)。
【請求項6】
前記ターゲット及び錘線測量システム(14)が操作要素(145、164)に接続されている、請求項5に記載のレイアウトアクセサリ。
【請求項7】
前記ターゲット及び錘線測量システム(14)が延長アーム(152)に取り付けられている、請求項5に記載のレイアウトアクセサリ。
【請求項8】
所定の関心ポイント(POI)を見つけるためのレイアウト及びポイント転送システム(10)であって、
・ レーザコントローラ(11)であって、(i)測定ビーム(18)によって距離を測定する距離測定装置(81)であって、前記測定ビーム(18)は、第1の回転軸(74)を中心に回転可能であり、第1の回動軸(75)を中心に回動可能であり、前記第1の回転軸(74)は重力方向(20)に実質的に平行であり、前記第1の回動軸(75)は前記重力方向(20)に実質的に垂直である、距離測定装置と、(ii)水平面(19)における第1のゼロ角に対する前記測定ビーム(18)の方位角を測定する第1の角度測定装置(82)であって、前記水平面(19)は前記重力方向(20)に実質的に垂直である、第1の角度測定装置(82)と、(iii)垂直面(21)における第2のゼロ角に対する前記測定ビーム(18)の仰角を測定する第2の角度測定装置(84)であって、前記垂直面(21)は前記重力方向(20)に実質的に平行である、第2の角度測定装置(84)と、(iv)第1の処理回路(88)、前記第1の処理回路(88)によって実行可能な命令を含む第1のメモリ回路(89)、第1の通信回路(90)、及び第1の入出力インタフェース回路(91)と、を含むレーザコントローラ(11)、
・ リモートコントローラ(12)であって、(i)ディスプレイ装置(121)と、(ii)ユーザ操作入力回路(122)と、(iii)第2の処理回路(124)、前記第2の処理回路(124)によって実行可能な命令を含む第2のメモリ回路(125)、第2の通信回路(126)、及び第2の入出力インタフェース回路(127)とを含み、前記レーザコントローラ(11)と前記リモートコントローラ(12)は、前記第1の通信回路(90)と第2の通信回路(126)の使用により互いに通信する、リモートコントローラ(12)、
・ 請求項1~4のいずれか一項に記載のターゲット及び錘線測量システム(14)であって、前記反射ターゲット(31)と、前記鉛直線レーザポインタ(32)と、前記保持装置(33)と、前記第1の位置決め要素(41)とを含む可動ユニット(50)を備え、前記可動ユニット(50)は前記第2の位置決め要素(42)に対して可動である、前記ターゲット及び錘線測量システム(14)を備え、
・ 前記第1及び第2の処理回路(88、126)は、
- 前記距離測定装置(81)、前記第1の角度測定装置(82)、及び前記第2の角度測定装置(84)を用いて、前記ターゲット及び錘線測量システム(14)の現在の距離値、方位角値、及び仰角値を測定し、
- 前記レーザコントローラ(11)の前記第1の処理回路(88)及び/又は前記リモートコントローラ(12)の前記第2の処理回路(124)を用いて、前記測定された現在の距離値、方位角値及び仰角値から前記ターゲット及び錘線測量システム(14)の現在位置を計算し、及び前記ターゲット及び錘線測量システム(14)の前記現在位置と前記所定の関心ポイント(POI)との間で、少なくとも第1の方向(53)の第1の偏差(δ
1)及び第2の方向(54)の第2の偏差(δ
2)を計算し、ここで、前記第1の方向(53)は、前記水平面(19)と、前記レーザコントローラ(11)の前記ターゲット及び錘線測量システム(14)への見通し線(58)を通って延びる垂直面(57)との交差線(56)と同軸に整列され、前記第2の方向(54)は、前記第1の方向(53)に実質的に垂直であり、前記水平面(19)内に配置され、
- 前記レーザコントローラ(11)及び/又は前記リモートコントローラ(12)を用いて、前記第1の偏差(δ
1)及び第2の偏差(δ
2)に対応する可視及び/又は可聴指示を出力し、
- 前記可視及び/又は可聴指示を監視しながら、前記第1の偏差(δ
1)及び第2の偏差(δ
2)が所定の第1の限界値(Δ
1)よりも小さくなるまで、前記ターゲット及び錘線測量システム(14)を移動させ、
- 前記ターゲット及び錘線測量システム(14)の移動を停止し、前記ターゲット及び錘線測量システム(14)を安定した実質的に水平な位置に配置し、
- 前記可視及び/又は可聴指示を監視しながら、前記第1の偏差(δ
1)及び第2の偏差(δ
2)がゼロ又は少なくとも所定の第2の限界値(Δ
2)(前記第1の限界値(Δ
1)より小さい)より小さくなるまで、前記第2の位置決め要素(42)に対して前記ターゲット及び錘線測量システム(14)の前記可動ユニット(50)を移動させる、
ように構成される、レイアウト及びポイント転送システム(10)。
【請求項9】
前記鉛直線レーザポインタ(32)が、前記鉛直線レーザビーム(37)を照射し、前記作業現場の床(17)に下方鉛直ポイント(28)を及び/又は前記作業現場の天井(30)に上方鉛直ポイント(29)を生成するように構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
関心ポイント(POI)をレイアウト、転送するための方法であって:
・ レーザコントローラ(11)であって、(i)測定ビーム(18)によって距離を測定する距離測定装置(81)であって、前記測定ビーム(18)は、第1の回転軸(74)を中心に回転可能であり、第1の回動軸(75)を中心に回動可能であり、前記回転軸(74)は重力方向(20)に実質的に平行であり、前記第1の回動軸(75)は前記重力方向(20)に実質的に垂直である、距離測定装置(81)と、(ii)水平面(19)における第1のゼロ角に対する前記測定ビーム(18)の方位角を測定する第1の角度測定装置(82)であって、前記水平面(19)は前記重力方向(20)に実質的に垂直である、第1の角度測定装置(82)と、(iii)垂直面(21)における第2のゼロ角に対する前記測定ビーム(18)の仰角を測定する第2の角度測定装置(84)であって、前記垂直面(21)は前記重力方向(20)に実質的に平行である、第2の角度測定装置(84)と、(iv)第1の処理回路(88)、前記第1の処理回路(88)によって実行可能な命令を含む第1のメモリ回路(89)、第1の通信回路(90)、及び第1の入出力インタフェース回路(91)と、を含むレーザコントローラ(11)を提供することと、
・ リモートコントローラ(12)であって、(i)ディスプレイ装置(121)と、(ii)ユーザ操作入力回路(122)と、(iii)第2の処理回路(124)、前記第2の処理回路(124)によって実行可能な命令を含む第2のメモリ回路(125)、第2の通信回路(126)、及び第2の入出力インタフェース回路(127)とを含み、前記レーザコントローラ(11)と前記リモートコントローラ(12)は、前記第1の通信回路(90)と第2の通信回路(126)の使用により互いに通信する、リモートコントローラ(12)を提供することと、
・ 請求項1~4のいずれか一項に記載のターゲット及び錘線測量システム(14)であって、前記反射ターゲット(31)と、前記鉛直線レーザポインタ(32)と、前記保持装置(33)と、前記第1の位置決め要素(41)とを含む可動ユニット(50)を備え、前記可動ユニット(50)は前記第2の位置決め要素(42)に対して可動である、ターゲット及び錘線測量システム(14)を提供することと、
・ 前記レーザコントローラ(11)を作業領域内の作業現場の表面(17)に配置することと、
・ 前記所定の関心ポイント(POI)を見つけることであって、
- 前記距離測定装置(81)、前記第1の角度測定装置(82)、及び前記第2の角度測定装置(84)を用いて、前記ターゲット及び錘線測量システム(14)の現在の距離値、方位角値、及び仰角値を測定し、
- 前記レーザコントローラ(11)の前記第1の処理回路(88)及び/又は前記リモートコントローラ(12)の前記第2の処理回路(124)を用いて、前記測定された現在の距離値、方位角値及び仰角値から前記ターゲット及び錘線測量システム(14)の現在位置を計算し、及び前記ターゲット及び錘線測量システム(14)の前記現在位置と前記所定の関心ポイント(POI)との間で、少なくとも第1の方向(53)の第1の偏差(δ
1)及び第2の方向(54)の第2の偏差(δ
2)を計算し、ここで、前記第1の方向(53)は、前記水平面(19)と、前記レーザコントローラ(11)の前記ターゲット及び錘線測量システム(14)への見通し線(58)を通って延びる垂直面(57)との交差線(56)と同軸に整列され、前記第2の方向(54)は、前記第1の方向(53)に実質的に垂直であり、前記水平面(19)内に配置され、
- 前記レーザコントローラ(11)及び/又は前記リモートコントローラ(12)を用いて、前記第1の偏差(δ
1)及び第2の偏差(δ
2)に対応する可視及び/又は可聴指示を出力し、
- 前記可視及び/又は可聴指示を監視しながら、前記第1の偏差(δ
1)及び第2の偏差(δ
2)が所定の第1の限界値(Δ
1)よりも小さくなるまで、前記ターゲット及び錘線測量システム(14)を移動させ、
- 前記ターゲット及び錘線測量システム(14)の移動を停止し、前記ターゲット及び錘線測量システム(14)を安定した実質的に水平な位置に配置し、
- 前記可視及び/又は可聴指示を監視しながら、前記第1の偏差(δ
1)及び第2の偏差(δ
2)がゼロ又は少なくとも所定の第2の限界値(Δ
2)(前記第1の限界値(Δ
1)より小さい)より小さくなるまで、前記第2の位置決め要素(42)に対して前記ターゲット及び錘線測量システム(14)の前記可動ユニット(50)を移動させる、
ことによって前記所定の関心ポイント(POI)を見つけることと、
を含む方法。
【請求項11】
・ 前記鉛直線レーザポインタ(32)を用いて、前記鉛直線レーザビーム(37)を前記実質的に垂直な方向(38)に照射し、前記作業現場の床(17)に下方鉛直ポイント(28)を及び/又は前記作業現場の天井(30)に上方鉛直ポイント(29)を生成すること、
を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
・ 前記作業現場の前記床(17)の前記下方鉛直ポイント(28)及び/又は前記作業現場の前記天井(30)の前記上方鉛直ポイント(29)を転送すること、
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示された技術は、例えば、鉄骨建築物及び場合によっては住宅構造物の建設のためのウォールトラック及び/又は壁構造の配置において、型枠、掘削位置、及び床や天井の固定ポイントのレイアウトを支援するように意図されたレイアウト機器に関し、特に、関心ポイント及びその座標を特定し、特定した関心ポイントを他の作業現場の表面、例えば床及び/又は天井に垂直方向に転送するタイプの2次元(2D)のレイアウト及びポイント転送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
測量器具は、重要な建築及び建設の機能を支援するものとして知られている。例えば、建築物の基礎や擁壁は、所望される機能を適切に果たし、長期にわたって構造的な完全性を維持するために、ある程度の精度で設計・施工される必要がある。トータルステーション、ロボットトータルステーション、セオドライト、レーザビーム測定器、及び同様の器具などの測量器具が、これらの特徴及び操作に関して所望の程度の精度及び正確さを達成するために、しばしば使用される。
【0003】
米国特許第9,746,324 B1号明細書において、既存の測量器具と共に使用するためのターゲット及び錘線測量システムが提供され、ここでターゲット及び錘線測量システムは、好ましくはトータルステーションと組み合わせて使用するために適合され、ターゲット及び錘線測量システムは、ポール、二脚装置又は三脚装置などの既存の装置に取り付けるために提供されている。米国特許第9,746,324 B1号明細書から、レイアウト及びポイント転送システムが知られており、これは、好ましくは三脚装置上に配置されたレーザコントローラと、リモートコントローラと、可動及び/又は可搬シャーシに取り付けられたターゲット及び錘線測量システムとを含む。
【0004】
公知のターゲット及び錘線測量システムは、反射ターゲット、例えばプリズムと、セルフレベリング鉛直線レーザポインタと、前記反射ターゲット及び前記鉛直線レーザビームをそれらの位置に保持することを補助する保持装置と、位置決め装置とを備える。位置決め装置は、第1の平行移動方向に延在する第1のスライダ要素として設計された第1の位置決め要素と、第2の平行移動方向に延在する第2のスライダ要素として設計された第2の位置決め要素とを備える。第1の平行移動方向は、第2の平行移動方向と共平面であり、第2の平行移動方向に実質的に垂直であり、ターゲット及び錘線測量システムの水平な位置において、第1及び第2の平行移動方向。鉛直線レーザポインタに関連付けられた反射ターゲットは、保持装置を介して第1の位置決め要素に接続され、前記保持装置は、前記第1の平行移動方向に第1のスライダ要素に対して平行移動可能であり、第1のスライダ要素は、第2のスライダ要素に接続されて、前記第2の平行移動方向に前記第2のスライダ要素に対して平行移動可能である。
【0005】
関心ポイントをレイアウトするために、ユーザは、選択された関心ポイントに向かって、リモートコントローラによって指示されたターゲット及び錘線測量システムを移動させる。関心ポイントを見つけることが難しいのは、リモートコントローラによって偏差が計算される第1及び第2の方向が、ターゲット及び錘線測量システムの新しい現在位置によって変化し得るからである。第1の方向は、レーザコントローラと反射ターゲットとの間の見通し線と共平面上にあり、第2の方向は、第1の方向と実質的に垂直である。ターゲット及び錘線測量システムを移動することで、見通し線は変化する可能性がある。第1の方向は見通し線の向きに依存し、第2の方向は第1の方向と垂直であるため、見通し線の向きが変わると両方の方向が変化することになる。ユーザにとって、第1の方向と第2の方向を、位置決め装置の第1の平行移動方向と第2の平行移動方向に合わせることは、困難であり得る。このプロセスはユーザにとって徹底的であり時間がかかる可能性がある。
【0006】
その結果、床及び/又は天井であり得る作業現場の表面上で、迅速且つ正確に関心ポイントをレイアウト及び垂直方向に転送する際にユーザを支援するターゲット及び錘線測量システムに対する必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本ターゲット及び錘線測量システムは、前記第2の位置決め要素が、水平な2次元領域を画定するオープンスペースを含むプラットフォームとして設計され、前記第1の位置決め要素は、前記オープンスペースに対して移動可能であることを特徴とする。第1及び第2の位置決め要素の設計により、第1の位置決め要素がオープンスペース内で任意の水平平行移動方向に平行移動できるようになる。オープンスペースのサイズ及び形状は、第1の位置決め要素が第2の位置決め要素に対して平行移動できる2D領域を画定する。
【0008】
本発明によるターゲット及び錘線測量システムは、オープンスペース内で、反射ターゲット及び鉛直線レーザポインタの両方を任意の水平平行移動方向に精密に位置決めするのを可能にする。第1の平行移動方向及び第1の平行移動方向に垂直な第2の平行移動方向に対する制限はない。オープンスペース内の位置決めの方向に対する制限無しに、ターゲット及び錘線測量システムにより、関心ポイントを見つけるのに必要な時間を短縮できる。
【0009】
好ましい実施形態では、前記第1の位置決め要素は、上部プレート要素、下部プレート要素、及び前記上部プレート要素と下部プレート要素を接続する接続手段を含み、前記上部プレート要素は前記プラットフォームの上面に隣接して配置され、前記下部プレート要素は、前記プラットフォームの底面に隣接して配置され、前記接続手段は、少なくとも部分的に前記オープンスペース内に配置される。
【0010】
上部プレート要素、下部プレート要素、及び接続手段を含む第1の位置決め要素は、前記プラットフォームの上をスライドすることができる。上部プレート要素はプラットフォームの上面と接触しており、下部プレート要素はプラットフォームの底面と接触している。上部プレート要素と下部プレート要素は、それらとプラットフォームの間に摩擦接続を生成する。摩擦接続の強度は、第1の位置決め要素及び第1の位置決め要素に接続されたすべての構成要素が、精密な位置決めのためにユーザが扱うとき、プラットフォームに対して簡単且つ正確にスライドできるように、接続手段を介して、及びプラットフォームの上面及び上部プレート要素の下面の表面強化を介して適合させることができる。他方で、摩擦接続は、ターゲット及び錘線測量システムが取り付けられているシャーシの移動中に、ユーザの介入無しに第1の位置決め要素が移動することを回避する必要がある。
【0011】
好ましい実施形態では、前記第1の位置決め要素は、前記第2の位置決め要素に対して回転軸を中心に回転可能であり、前記回転軸は重力方向に実質的に平行である。第1の位置決め要素及び第2の位置決め要素の設計により、第1の位置決め要素を任意の平行移動位置で回転軸を中心に回転させて、ユーザが反射ターゲット及び鉛直線レーザポインタをレーザコントローラに向けることができるようにすることができる。オープンスペース内の位置決めの方向に対する制限無しに、ターゲット及び錘線測量システムにより、関心ポイントを見つけるのに必要な時間を短縮できる。
【0012】
好ましい実施形態では、前記ターゲット及び錘線測量システムは、前記第2の位置決め要素に接続され、可動及び/又は可搬シャーシに接続されるように設けられた接続ユニットを含む。好ましくは、前記接続ユニットは、ターゲット及び錘線測量システムを既存の可動及び/又は可搬シャーシに接続できるように、例えば5/8インチねじなどの標準インタフェースを含む。
【0013】
本発明の更なる態様は、本発明によるターゲット及び錘線測量システムと、可動及び/又は可搬シャーシとを備える、可動及び/又は可搬レイアウトアクセサリに関する。ターゲット及び錘線測量システムを可動及び/又は可搬シャーシと組み合わせることで、ユーザは、ターゲット及び錘線測量システムを快適に取り扱うことが可能になる。異なる実施形態では、可動シャーシは車輪、ローラ、又はスライド要素を含むことができ、可搬シャーシは足部要素を含むことができる。
【0014】
好ましい実施形態では、前記ターゲット及び錘線測量システムは操作要素に接続される。天井面に関心ポイントをレイアウトするために、シャーシをその最大長まで伸ばすことができる。伸長位置では、ターゲット及び錘線測量システムはユーザが操作できない場合がある。ターゲット及び錘線測量システムを操作するために、位置決め装置を、ユーザが操作できる操作要素に接続することができる。操作要素により、レーザコントローラと反射ターゲットとの間の見通し線が、作業現場に保管されている材料及び/若しくはツール、又は作業現場で作業中のユーザによって遮られないようにすることができるような高さに、ターゲット及び錘線測量システムを配置できる。前記操作要素は、第1の位置決め要素、保持装置、鉛直線レーザポインタ、及び/又は反射ターゲットに接続されてもよい。
【0015】
好ましい実施形態では、前記ターゲット及び錘線測量システムは延長アームに取り付けられる。延長アームを使用すると、ターゲット及び錘線測量システムを延長アームの第1の端部に取り付け、リモートコントローラを延長アームの第2の端部に取り付けることができる。延長アームにより、ターゲット及び錘線測量システム、並びにリモートコントローラのバランスを取ることができる。
【0016】
本発明の更なる態様は、所定の関心ポイントを見つけるためのレイアウト及びポイント転送システムであって、
・ レーザコントローラであって、(i)測定ビームによって距離を測定する距離測定装置であって、前記測定ビームは、第1の回転軸を中心に回転可能であり、第1の回動軸を中心に回動可能であり、前記第1の回転軸は重力方向に実質的に平行であり、前記第1の回動軸は前記重力方向に実質的に垂直である、距離測定装置と、(ii)水平面における第1のゼロ角に対する前記測定ビームの方位角を測定する第1の角度測定装置であって、前記水平面は前記重力方向に実質的に垂直である、第1の角度測定装置と、(iii)垂直面における第2のゼロ角に対する前記測定ビームの仰角を測定する第2の角度測定装置であって、前記垂直面は前記重力方向に実質的に平行である、第2の角度測定装置と、(iv)第1の処理回路、前記第1の処理回路によって実行可能な命令を含む第1のメモリ回路、第1の通信回路、及び第1の入出力インタフェース回路と、を含むレーザコントローラ、
・ リモートコントローラであって、(i)ディスプレイ装置と、(ii)ユーザ操作入力回路と、(iii)第2の処理回路、前記第2の処理回路によって実行可能な命令を含む第2のメモリ回路、第2の通信回路、及び第2の入出力インタフェース回路とを含み、前記レーザコントローラと前記リモートコントローラは、前記第1の通信回路と第2の通信回路の使用により互いに通信する、リモートコントローラ、
・ 本発明による前記ターゲット及び錘線測量システムであって、前記反射ターゲットと、前記鉛直線レーザポインタと、前記保持装置と、前記第1の位置決め要素とを含む可動ユニットを備え、前記可動ユニットは前記第2の位置決め要素に対して可動である、前記ターゲット及び錘線測量システムを備え、
・ 前記第1及び第2の処理回路は:
- 前記距離測定装置、前記第1の角度測定装置、及び前記第2の角度測定装置を用いて、前記ターゲット及び錘線測量システムの現在の距離値、方位角値、及び第2の角度値を測定し、
- 前記レーザコントローラの前記第1の処理回路及び/又は前記リモートコントローラの前記第2の処理回路を用いて、前記測定された現在の距離値、方位角値及び第2の角度値から前記ターゲット及び錘線測量システムの現在位置を計算し、及び前記ターゲット及び錘線測量システムの前記現在位置と前記所定の関心ポイントとの間で、少なくとも第1の方向の第1の偏差及び第2の方向の第2の偏差を計算し、ここで、前記第1の方向は、前記水平面と、前記レーザコントローラの前記ターゲット及び錘線測量システムへの見通し線を通って延びる垂直面との交差線と同軸に整列され、前記第2の方向は、前記第1の方向に実質的に垂直であり、前記水平面内に配置され、
- 前記レーザコントローラ及び/又は前記リモートコントローラを用いて、前記第1の偏差及び第2の偏差に対応する可視及び/又は可聴指示を出力し、
- 前記可視及び/又は可聴指示を監視しながら、前記第1の偏差及び第2の偏差が所定の第1の限界値よりも小さくなるまで、前記ターゲット及び錘線測量システムを移動させ、
- 前記ターゲット及び錘線測量システムの移動を停止し、前記ターゲット及び錘線測量システムを安定した実質的に水平な位置に配置し、
- 前記可視及び/又は可聴指示を監視しながら、前記第1の偏差及び第2の偏差がゼロ又は少なくとも所定の第2の限界値(前記第1の限界値より小さい)より小さくなるまで、前記第2の位置決め要素に対して前記ターゲット及び錘線測量システムの前記可動ユニットを移動させる、
ように構成される、レイアウト及びポイント転送システムに関する。
【0017】
本発明によるレイアウト及びポイント転送システムは、関心ポイントを迅速且つ正確にレイアウトする際にユーザをサポートする。ターゲット及び錘線測量システムによって精密な位置決めが行われるため、レイアウトの精度は作業現場の表面の状況に依存しない。レイアウト及びポイント転送システムは、プラットフォームのオープンスペース内で、反射ターゲット及び鉛直線レーザポインタの両方を任意の水平平行移動方向に精密に位置決めするのを可能にする。第1の平行移動方向及び第1の平行移動方向に垂直な第2の平行移動方向に対する制限はない。オープンスペース内の位置決めの方向に何ら制限もなく、本発明によるレイアウト及びポイント転送システムは、関心ポイントを見つけるのに必要な時間を短縮することができる。
【0018】
好ましい実施形態では、前記鉛直線レーザポインタは構成され、前記鉛直線レーザビームを放射し、作業現場の床に下方鉛直ポイント、及び/又は作業現場の天井に上方鉛直ポイントを生成する。鉛直線レーザビームは関心ポイントと一致するため、鉛直線レーザビームを使用して、関心ポイントを作業現場の表面に高精度で垂直に転送できる。下向きの鉛直線レーザビームを使用して関心ポイントを床に転送し、上向きの鉛直線レーザビームを使用して関心ポイントを天井に転送することができる。
【0019】
本発明の更なる態様は、関心ポイントをレイアウト、転送するための方法であって:
・ レーザコントローラであって、(i)測定ビームによって距離を測定する距離測定装置であって、前記測定ビームは、第1の回転軸を中心に回転可能であり、第1の回動軸を中心に回動可能であり、前記第1の回転軸は重力方向に実質的に平行であり、前記第1の回動軸は前記重力方向に実質的に垂直である、距離測定装置と、(ii)水平面における第1のゼロ角に対する前記測定ビームの方位角を測定する第1の角度測定装置であって、前記水平面は前記重力方向に実質的に垂直である、第1の角度測定装置と、(iii)垂直面における第2のゼロ角に対する前記測定ビームの仰角を測定する第2の角度測定装置であって、前記垂直面は前記重力方向に実質的に平行である、第2の角度測定装置と、(iv)第1の処理回路、前記第1の処理回路によって実行可能な命令を含む第1のメモリ回路、第1の通信回路、及び第1の入出力インタフェース回路と、を含むレーザコントローラを提供することと、
・ リモートコントローラであって、(i)ディスプレイ装置と、(ii)ユーザ操作入力回路と、(iii)第2の処理回路、前記第2の処理回路によって実行可能な命令を含む第2のメモリ回路、第2の通信回路、及び第2の入出力インタフェース回路とを含み、前記レーザコントローラと前記リモートコントローラは、前記第1の通信回路と第2の通信回路の使用により互いに通信する、リモートコントローラを提供することと、
・ 本発明によるターゲット及び錘線測量システムであって、前記反射ターゲットと、前記鉛直線レーザポインタと、前記保持装置と、前記第1の位置決め要素とを含む可動ユニットを備え、前記可動ユニットは前記第2の位置決め要素に対して可動である、ターゲット及び錘線測量システムを提供することと、
・ 前記レーザコントローラを作業領域内の作業現場の表面に配置することと、
・ 前記所定の関心ポイントを見つけることであって、
- 前記距離測定装置、前記第1の角度測定装置、及び前記第2の角度測定装置を用いて、前記ターゲット及び錘線測量システムの現在の距離値、第1の角度値、及び第2の角度値を測定し、
- 前記レーザコントローラの前記第1の処理回路及び/又は前記リモートコントローラの前記第2の処理回路を用いて、前記測定された現在の距離値、第1の角度値及び第2の角度値から前記ターゲット及び錘線測量システムの現在位置を計算し、及び前記ターゲット及び錘線測量システムの前記現在位置と前記所定の関心ポイントとの間で、少なくとも第1の方向の第1の偏差及び第2の方向の第2の偏差を計算し、ここで、前記第1の方向は、前記水平面と、前記レーザコントローラの前記ターゲット及び錘線測量システムへの見通し線を通って延びる垂直面との交差線と同軸に整列され、前記第2の方向は、前記第1の方向に実質的に垂直であり、前記水平面内に配置され、
- 前記レーザコントローラ及び/又は前記リモートコントローラを用いて、前記第1の偏差及び第2の偏差に対応する可視及び/又は可聴指示を出力し、
- 前記可視及び/又は可聴指示を監視しながら、前記第1の偏差及び第2の偏差が所定の第1の限界値よりも小さくなるまで、前記ターゲット及び錘線測量システムを移動させ、
- 前記ターゲット及び錘線測量システムの移動を停止し、前記ターゲット及び錘線測量システムを安定した実質的に水平な位置に配置し、
- 前記可視及び/又は可聴指示を監視しながら、前記第1の偏差及び第2の偏差がゼロ又は少なくとも所定の第2の限界値(前記第1の限界値より小さい)より小さくなるまで、前記第2の位置決め要素に対して前記ターゲット及び錘線測量システムの前記可動ユニットを移動させる、
ことによって前記所定の関心ポイントを見つけることと、
を含む方法に関する。
【0020】
本発明による関心ポイントのレイアウト及び転送方法は、反射ターゲット及び鉛直線レーザポインタの両方を、オープンスペース内の任意の水平平行移動方向に精密に位置決めすることを可能にし、第1の平行移動方向及び第1の平行移動方向に垂直な第2の平行移動方向に制限はない。オープンスペース内部の位置決め方向に対する制限がないため、本発明による方法は、関心ポイントを見つけるのに必要な時間を短縮することができる。
【0021】
好ましい実施形態において、前記方法は、前記鉛直線レーザポインタを用いて、前記鉛直線レーザビームを前記実質的に垂直な方向に照射し、作業現場の床に下方鉛直ポイントを及び/又は作業現場の天井に上方鉛直ポイントを生成することを更に含む。鉛直線レーザビームは関心ポイントと一致するため、鉛直線レーザビームを用いて、関心ポイントを作業現場の表面に高精度で垂直方向に転送することができる。下向きの鉛直線レーザビームは、関心ポイントを床に転送するために使用することができ、上向きの鉛直線レーザビームは、関心ポイントを天井に転送するために使用することができる。
【0022】
好ましい実施形態において、前記方法は、作業現場の前記床の前記下方鉛直ポイント及び/又は作業現場の前記天井の前記上方鉛直ポイントを転送することを更に含む。鉛直線レーザポインタは、関心ポイントと一致する下方鉛直ポイントを生成する下向きの鉛直線レーザビームと、関心ポイントと一致する上方鉛直ポイントを生成する上向きの鉛直線レーザビームとを照射することができる。下方鉛直ポイントを経由して床へ、及び上方鉛直ポイントを経由して天井へ、高精度に関心ポイントを転送させることができる。
【0023】
本発明の態様は、単に例として、図面に概略的に示される実施例を参照して、以下により詳細に記述又は説明される。図中、同一の要素には同一の参照番号が付されている。記載された実施形態は、一般に縮尺通りに示されておらず、また本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1A】三脚装置上に配置されたレーザコントローラ、リモートコントローラ、並びにターゲット及び錘線測量システム及び可動シャーシを含むレイアウトアクセサリの第1の実施形態を含む、レイアウト及びポイント転送システムを示す。
【
図1B】三脚装置上に配置されたレーザコントローラ、リモートコントローラ、並びにターゲット及び錘線測量システム及び可動シャーシを含むレイアウトアクセサリの第1の実施形態を含む、レイアウト及びポイント転送システムを示す。
【
図2A】立体図における
図1のターゲット及び錘線測量システムを示す。
【
図2B】詳細図における
図1のターゲット及び錘線測量システムを示す。
【
図2C】分解図における
図1のターゲット及び錘線測量システムを示す。
【
図3】レイアウト及びポイント転送システムを用いて関心ポイントをレイアウト及び転送するための方法のステップを示すフローチャートである。
【
図4】第1の方向及び第2の方向の定義を説明するための概略的な図におけるレーザコントローラとターゲット及び錘線測量システムである。
【
図5】
図1のレイアウト及びポイント転送システムで使用されるレーザコントローラの例示的なバージョンである。
【
図6】
図4に示され、
図1のレイアウト及びポイント転送システムで使用される、レーザコントローラの主要構成要素のブロック図である。
【
図7A】
図1のレイアウト及びポイント転送システムのリモートコントローラの例示的なバージョンであり、リモートコントローラの前側の上面図である。
【
図7B】
図1のレイアウト及びポイント転送システムのリモートコントローラの例示的なバージョンであり、リモートコントローラの後側の上面図である。
【
図8】
図7A、Bに示され、
図1のレイアウト及びポイント転送システムで使用される、リモートコントローラの主要構成要素のブロック図である。
【
図9A】
図1のターゲット及び錘線測量システム、ポール、二脚装置、及び接続ユニットを含むレイアウトアクセサリの第2の実施形態である。
【
図9B】
図1のターゲット及び錘線測量システム、ポール、二脚装置、及び接続ユニットを含むレイアウトアクセサリの第2の実施形態である。
【
図10】
図1のターゲット及び錘線測量システム、三脚装置、及び接続ユニットを含むレイアウトアクセサリの第3の実施形態である。
【
図11】
図1のターゲット及び錘線測量システム、ミニ三脚装置、及び接続ユニットを含むレイアウトアクセサリの第4の実施形態である。
【
図12】
図1のターゲット及び錘線測量システム、ミニポール、ミニ二脚装置、及び接続ユニットを含むレイアウトアクセサリの第5の実施形態である。
【
図13】ターゲット及び錘線測量システムをシャーシに接続するための接続ユニットと、操作要素をターゲット及び錘線測量システムに接続するための変更された接続手段とを有する、好ましい実施形態における
図1のターゲット及び錘線測量システムである。
【
図14】
図1のターゲット及び錘線測量システム用の代替の可搬シャーシである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
ここで、本発明の好ましい実施形態を詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。本明細書で開示される技術は、以下の説明又は図面に示される構造の詳細及び構成要素の配置への適用において限定されないことを理解されたい。本明細書で開示される技術は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施又は実行可能である。
【0026】
また、本明細書で使用される表現及び専門用語は、説明のためのものであり、限定するものと見なされるべきではないことを理解されたい。本明細書における「含む」、又は「備える」、又は「有する」及びそれらの変形の使用は、その後に列挙される項目及びその等価物、並びに追加の項目を包含することを意味する。別段の制限がない限り、本明細書における「接続される」、「結合される」、及び「取り付けられる」という用語、及びそれらの変形は広い意味で使用され、直接及び間接接続、結合、及び取り付けを包含する。更に、「接続される」及び「結合される」という用語、及びその変形は、物理的又は機械的な接続又は結合に限定されない。
【0027】
図1A、Bは、本発明に従って関心ポイント(POI)を作業現場の表面に垂直にレイアウトし、転送するように設計されたレイアウト及びポイント転送システム10を示す。レイアウト及びポイント転送システム10は、レーザコントローラ11、リモートコントローラ12、並びに本発明によるターゲット及び錘線測量システム14及び可動シャーシ15を含むレイアウトアクセサリ13の第1の実施形態を備える。ターゲット及び錘線測量システム14及びリモートコントローラ12はシャーシ15に取り付けられ、レーザコントローラ11は三脚装置16に取り付けられ、シャーシ15及び三脚装置16は床17として設計された作業現場の表面上に配置される。
【0028】
レイアウト及びポイント転送システム10の基本概念は、
図1Aに概ね示されている。レーザコントローラ11は、タブレットコンピュータとして設計されたリモートコントローラ12にインストールされたソフトウェアアプリケーションで制御されるロボットトータルステーションとして設計されている。レーザコントローラ11は、レーザコントローラ11と、ユーザの場所に位置しユーザによって取り扱われるターゲット及び錘線測量システム14との間の距離を測定ビーム18で測定する機能を提供する距離測定装置を含み、測定ビーム18は、可視レーザビーム又は赤外線レーザビームとすることができる。レーザコントローラ11は、重力方向20に実質的に垂直な水平面19において測定ビーム18の方位角(第1の角度)を測定する能力を提供する第1の角度測定装置と、重力方向20に実質的に平行な垂直面21において測定ビーム18の仰角(第2の角度)を測定する能力を提供する第2の角度測定装置とを更に含む。
【0029】
図1Bは、レイアウトアクセサリ13を詳細に示している。レイアウトアクセサリ13は、ターゲット及び錘線測量システム14と、三脚装置として設計された可動シャーシ15とを含む。三脚装置15は、長さを調節できる3つの脚部22、レイアウトアクセサリ13を床17上で移動できるようにする3つの車輪23、及び重力方向20と実質的に並行な高さ方向25に沿って調節できる中央ロッド24を含む。
図1Bにおいて、中央ロッド24は、三脚装置15のヘッドに対して最も低い位置に配置される。ターゲット及び錘線測量システム14は、三脚装置15を介して、最小位置と最大位置との間で作業現場の条件に応じて必要とされる任意の高さに配置することができる。
【0030】
リモートコントローラ12は、ブラケット要素26を介して、三脚装置15の脚部22の1つ又は中央ロッド24に取り付けることができ、ブラケット要素26の位置は、脚部22に沿って又は中央ロッドに沿ってシフトさせることができる。ターゲット及び錘線測量システム14は、接続ユニット27を介して中央ロッド24に接続することができ、この接続ユニット27は、ターゲット及び錘線測量システム14が三脚15などの既存の可動及び/又は可搬シャーシに接続できるように、標準インタフェース、例えば5/8インチねじを含み得る。代替的に、ターゲット及び錘線測量システム14は、可動及び/又は可搬シャーシに固定に接続することができる。ターゲット及び錘線測量システム14は、作業現場の床17の下方鉛直ポイント28及び天井30の上方鉛直ポイント29を生成することができる。下方及び/又は上方鉛直ポイント28、29は、床17及び/又は天井30の関心ポイントを転送するために使用することができる。
【0031】
図2A~Cは、レイアウト及びポイント転送システム10のターゲット及び錘線測量システム14を、立体図(
図2A)、縦断面における詳細図(
図2B)及び分解図(
図2C)で示す。ターゲット及び錘線測量システム14は、反射ターゲット31、セルフレベリング鉛直線レーザポインタ32、保持装置33及び位置決め装置34を含む。
【0032】
反射ターゲット31は、プリズムとして設計され、測定ビーム18の波長に対して少なくとも部分的に反射性である反射面36を含んでいる。レーザコントローラ11の距離測定装置は、反射面36で反射して距離測定装置によって受信される測定ビーム18を照射する。
【0033】
セルフレベリング鉛直線レーザポインタ32は、セルフレベリングマウントと、少なくとも1つのレーザエミッタとを含み、レーザエミッタは垂直方向38にある経路を有する鉛直線レーザビーム37を照射し、前記垂直方向38は重力方向20に実質的に平行である。鉛直線レーザビーム37は、床17及び/又は天井30の関心ポイントを垂直方向に転送するために使用されるので、鉛直線レーザポインタ32の波長は、可視範囲内、例えば赤又は緑範囲内であり得る。鉛直線レーザビーム37は、下向きの鉛直線レーザビーム37Aと上向きの鉛直線レーザビーム37Bとを含む。
【0034】
保持装置33は、ケージ又は同様の構成要素として形成されてもよく、反射ターゲット31を定められた位置に保持することを支援する第1の保持要素39と、鉛直線レーザポインタ32を定められた位置に保持することを支援する第2の保持要素40とを含む。保持装置33によって、反射ターゲット31及び鉛直線レーザポインタ32は、互いに定められた配置を有する。
【0035】
位置決め装置34は、第1の位置決め要素41及び第2の位置決め要素42を含む。第1の位置決め要素41は、上部プレート要素43、下部プレート要素44、及び上部プレート要素43と下部プレート要素44とを互いに接続する接続手段45を含む。第2の位置決め要素42は、二次元領域の範囲を画定するオープンスペース47を含むプラットフォーム46として設計される。
【0036】
図2Aに示され、詳細には
図2Bに示される組立状態において、上部プレート要素43は、プラットフォーム46の上面48Aに隣接して配置され、下部プレート要素44は、プラットフォーム46の底面48Bに隣接して配置される。上部及び下部プレート要素43、44は、ねじ45A、ワッシャ45B及びねじナット45Cを含むことができる接続手段45によって接続される。接続手段45は、プラットフォーム46のオープンスペース47の内側に少なくとも部分的に配置され、オープンスペース47によって画定されるその2D領域の内側に水平に移動することができる。第1の位置決め要素41の移動は、オープンスペース47の縁部によってのみ水平面内で制限され、オープンスペース47内では、移動に対する制限はない。
【0037】
上部プレート要素43及び下部プレート要素44は、それらとプラットフォーム46との間に摩擦接続を生成する。摩擦接続の強度は、接続手段45を介して、及びプラットフォーム46の上面48A及び上部プレート要素43の下面49の表面強化を介して適合させることができる。上部プレート要素43、下部プレート要素44、及びプラットフォーム46は、金属又はプラスチックなどの任意の他の適切な材料から製造することができる。摩擦接続の強度は、第1の位置決め要素41及び第1の位置決め要素41に接続されたすべての構成要素が、精密な位置決めのためにユーザによって扱われるときにプラットフォーム46に対して容易且つ正確にスライドできるように適合され得る。他方で、摩擦接続は、ターゲット及び錘線測量システム14が取り付けられているシャーシの移動中に、ユーザの介入無しに第1の位置決め要素41が移動することを回避する必要がある。
【0038】
材料の特別な組み合わせにより、及び/又はブレーキ要素を使用することにより、簡単で正確なスライドと、安定した位置との間の良好なバランスを実現できる。例えば、位置決め装置34の接続手段45を使用して、位置決め装置34のスライドモード及びブレーキモードを定義することができる。ねじナット45Cによって、摩擦接続の強度を適合させることができる。接続手段45の第1の位置では、摩擦接続の強さにより、第1の位置決め要素41をプラットフォーム46上で容易且つ正確にスライドさせることができる。ねじナット45Cを回すことにより、接続手段45は、スライドモードに対応する第1の位置からブレーキモードに対応する第2の位置にシフトする。ブレーキモードにおける摩擦接続の強度は、プラットフォーム46上での第1の位置決め要素41のスライドが防止されるように、スライドモードと比較して増加する。ねじナット45C又は任意の他のブレーキ要素は、ユーザがブレーキ要素を取り扱うために容易にアクセスできるようにすべきであることに留意されたい。
【0039】
鉛直線レーザポインタ32が鉛直線レーザビーム37を床に下向きに向けることができるようにするために、位置決め装置34のすべての要素は、鉛直線レーザビーム37の通過を可能にする開口部を含む。開口部は、実質的に要素の中心になるように設計されるが、システム設計者が開口部を別の位置に移動したい場合にはそれは必須ではない。位置決め装置34の要素への開口部の統合は、ターゲット及び錘線測量システム14のコンパクトな設計を可能にする。
【0040】
プラットフォーム46は、精密な位置決め用に設計された第1の部分と、プラットフォーム46を三脚装置15などの可動及び/又は可搬シャーシに取り付けるように設計された第2の部分とから構成される。プラットフォーム46の第1の部分は、第1の部分の実質的に中央に配置されたオープンスペース55を含むが、システム設計者がオープンスペース47を別の位置に移動したい場合にはそれは必須ではない。オープンスペース47のサイズ及び形状も、完全にシステム設計者次第であることに留意されたい。もちろん、寸法が対称であり、反射ターゲット31と鉛直線レーザポインタ32を適切な範囲内、例えば5cm内に精密に位置決めできるオープンスペース47を有することがおそらく望ましい。
【0041】
ターゲット及び錘線測量システム14は、反射ターゲット31、鉛直線レーザポインタ32、保持装置33及び第1の位置決め要素41を含む可動ユニット50から構成されている。可動ユニット50は、第2の位置決め要素42に対して、オープンスペース47の内部で任意の水平平行移動方向に移動可能であり、重力方向20と実質的に平行な回転軸51を中心に回転可能である。可動ユニット50及び第2の位置決め要素42の設計は、ユーザが反射ターゲット31をレーザコントローラ11の方に向けることができるように、任意の平行移動位置で可動ユニット50が回転軸51を中心に回転され得ることを可能にする。
【0042】
可動ユニット50は、第2の位置決め要素42に対して、オープンスペース47の内部で任意の水平平行移動方向に移動可能であり、重力方向20と実質的に平行な回転軸51を中心に回転可能である。
【0043】
図3は、
図1Aのレイアウト及びポイント転送システム10を使用して、関心ポイントPOIをレイアウト及び転送する方法のステップを示すフローチャートである。関心ポイントのレイアウト及び転送を開始する前に、レーザコントローラ11及びリモートコントローラ12を初期化し(ステップS10)、レーザコントローラ11を作業現場に定置する必要がある(ステップS20)。レーザコントローラ11を定置するための手順は、先行技術から知られており、典型的には、レーザコントローラ11用のユーザマニュアルに定義されている。
【0044】
レーザコントローラ11は、好ましくは、単一のユーザによって容易に操作され得るロボットトータルステーションとして設計される。ロボットトータルステーションは、とりわけサーチモードと追跡モードを含む異なる動作モードで動作可能である。サーチモードでは、ロボットトータルステーションは、ターゲット及び錘線測量システム14の反射ターゲット31を見つけるために、所定の手順を実行する。反射ターゲット31を見つけると、ロボットトータルステーションは、反射ターゲット31の移動中にそれに追従できる追跡モードに切り替えられる。ステップS30において、レーザコントローラ11は、レーザコントローラ11がサーチモードで動作する間に反射ターゲット31をサーチする第1の部分ステップと、追跡モードで動作するレーザコントローラ11に反射ターゲット31がロックされて追従される第2の部分ステップとを実行する。
【0045】
ステップS40において、レイアウト及びポイント転送システム10が垂直方向に転送すべき関心ポイントが、関心ポイントのリストから選択されるか、又はリモートコントローラ12に入力され、リモートコントローラ12は、好ましくはレーザコントローラ11の基準枠において、選択された関心ポイントの座標を計算する。
【0046】
ステップS50において、レーザコントローラ11は、距離測定、第1の角度測定及び第2の角度測定を行い、測定された距離値、測定された方位角値及び測定された仰角値をリモートコントローラ12に送信し、ターゲット及び錘線測量システム14の現在位置は、レーザコントローラ11の基準枠において、測定された距離値、方位角値及び仰角値から計算することができる。サンプルレートは、測定された距離値、方位角値、及び仰角値のほぼ連続的な更新を受けているとユーザが感じるように、かなり高速であるべきである。
【0047】
ステップS60において、リモートコントローラ12は、第1の部分ステップ及び第2の部分ステップを実行する。第1の部分ステップにおいて、リモートコントローラ12は、測定された距離値、方位角値及び仰角値からターゲット及び錘線測量システム14の現在位置を計算し、第2の部分ステップにおいて、リモートコントローラ12は、ターゲット及び錘線測量システム14の現在位置と所定の関心ポイント(POI)との間で、第1の方向の第1の偏差δ
1、第2の方向の第2の偏差δ
2を計算する。第1の方向及び第2の方向の定義については、
図4A、Bで説明する。関心ポイントPOIを床17及び/又は天井30に垂直方向に転送するためには、第1及び第2の偏差δ
1、δ
2のみが関連し、3次元用途のためには、第1の方向及び第2の方向に実質的に垂直である第3の方向における第3の偏差も、リモートコントローラ12によって計算され得る。
【0048】
リモートコントローラ12は、計算された第1及び第2の偏差δ1、δ2及び方向(後方又は前方)をユーザに表示する(ステップS70)。ステップS80において、リモートコントローラ12は、第1及び第2の偏差δ1、δ2が所定の第1の限界値Δ1、例えば5cmより小さいかどうかをチェックする。ユーザは、リモートコントローラ12によって指示されたレイアウトアクセサリ13を、選択された関心ポイントに向かって動かし(ステップS90)、ステップS50~S80のループが、第1及び第2の偏差δ1、δ2が第1の限界値Δ1よりも小さくなるまで繰り返される。
【0049】
第1及び第2の偏差δ1、δ2が第1の限界値Δ1よりも小さい場合、リモートコントローラ12は、ユーザが移動を停止できるというメッセージをユーザに表示することができ、ユーザはレイアウトアクセサリ13の移動を停止し、ターゲット及び錘線測量システム14を安定した実質的に水平の位置に配置する(ステップS100)。測定誤差を回避するために、ユーザは、ターゲット及び錘線測量システム14上で調整要素及び気泡水準器を使用して、ターゲット及び錘線測量システム14が適切にレベリングされていることを確認することができる。ターゲット及び錘線測量システム14は、鉛直線レーザポインタ32がそのセルフレベリング範囲内に配置されると、適切にレベリングされていると呼ばれる。
【0050】
レーザコントローラ11は、定期的に距離、方位角及び仰角の測定を行い(ステップS110)、測定された距離、方位角及び仰角の値をリモートコントローラ12に送信する。リモートコントローラ12は、ターゲット及び錘線測量システム14の現在位置を計算し、現在位置と所定の関心ポイント(POI)との間で、第1の方向の第1の偏差δ1、第2の方向の第2の偏差δ2を計算する(ステップS120)。リモートコントローラ12は、第1及び第2の偏差δ1、δ2及び方向(後方又は前方)をユーザに表示する(ステップS130)。ユーザは、リモートコントローラ12によって指示されたプラットフォーム46に対して可動ユニット50を選択された関心ポイントに向けて移動させ(ステップS150)、第1及び第2の偏差δ1、δ2が所定の第2の限界値Δ2、例えば1mmより小さくなるまでステップS110からS140のループが繰り返される(ここで第2の限界値Δ2は第1の限界値Δ1より小さい)。
【0051】
計算された第1及び第2の偏差δ1、δ2が第2の限界値Δ2よりも小さい場合、リモートコントローラ12は、選択された関心ポイントに到達したこと、及びユーザが関心ポイントを床17及び/又は天井30の作業現場の表面に転送できることを示すメッセージをユーザに表示することができる。鉛直線レーザポインタ32は、床17に、ユーザが床17に転送することができる下方鉛直ポイント28を生成することができ、天井30に、ユーザが天井30に転送することができる上方鉛直ポイント29を生成することができる(ステップS160)。
【0052】
選択された関心ポイントを床17及び/又は天井30に転送した後、関心ポイントをレイアウト及び転送する方法は、ステップ40で新しい関心ポイントを選択することで継続され得る。ステップS40~S160は、リモートコントローラ12に格納された関心ポイントのリストの関心ポイントごとに繰り返すことができる。
【0053】
図4A、Bは、第1の偏差δ
1が計算される第1の方向53の定義、第2の偏差δ
2が計算される第2の方向54の定義、及び第3の偏差が計算可能な第3の方向55の定義を説明するためのレーザコントローラ11及びターゲット及び錘線測量システム14を概略的に示す図である。
【0054】
第1の方向53は、水平面19と、重力方向20に実質的に平行であり且つターゲット及び錘線測量システム14へのレーザコントローラ11の見通し線58を通って延びる垂直面57との交差線56と同軸上に整列され、見通し線58は、反射ターゲット31に対する測定ビーム18の方向に対して同軸上に整列される。第2の方向54は、第1の方向53に実質的に垂直であり、水平面19に配置される。第3の方向55は、第1の方向53に実質的に垂直であり、第2の方向54に実質的に垂直である。
【0055】
図5は、レイアウト及びポイント転送システム10で使用されるレーザコントローラ11の例示的なバージョンを示す。レーザコントローラ11は、ロボットトータルステーションとして設計されており、測定ヘッド61と、メインハウジング62と、グリップ63と、レーザコントローラ11に電力を供給するためのバッテリパック64とを備える。メインハウジング62は、U字形に形成され、底部66と、第1の側部67と、第2の側部68とを含み、グリップ63は、第1の側部67に取り付けられる。
【0056】
測定ヘッド61は、レーザ出射窓72を含むハウジング71によって囲まれている。測定ビーム18を照射する距離測定装置は、ハウジング71内に配置され、測定ビーム18は、レーザ出射窓72を通して発せられる。レーザコントローラ11のメインハウジング62は、重力方向20に実質的に平行な第1の回転軸74を中心に、ディスク73に対してその円周を360°完全に回転することができる。測定ヘッド61は、第1の回動軸75を中心として回動可能にメインハウジング62に取り付けられ、メインハウジング62の第1の側部67と第2の側部68との間に配置される。
【0057】
方位モータ装置と第1の角度測定装置は、メインハウジング62の底部66に配置され、レーザコントローラ11を第1の回転軸74を中心に回転させ、水平面19における測定ビーム18の方向(方位角)を決定することができる。仰角モータ装置及び第2の角度測定装置は、メインハウジング62の第1の側部67に配置され、測定ヘッド61を第1の回動軸75を中心に回動させ、垂直面21における測定ビーム18の方向(仰角)を決定することができる。レーザコントローラ11を完全に自動化するために、セルフレベリング装置を含むことが好ましく、この装置は、メインハウジング62の底部66に配置される。
【0058】
バッテリパック64は、メインハウジング62の第2の側部68に含まれる。バッテリパック64を交換するため、又はバッテリパック64を充電するために、第2の側部68はバッテリコンパートメント76を含み、このバッテリコンパートメント76は、バッテリコンパートメントキャッチ77を用いることによって開くことができる。無線信号を受信及び送信するためにアンテナ78をメインハウジング62に含めることができる。
【0059】
図6は、
図1に示されたレイアウト及びポイント転送システム10に使用されるレーザコントローラ11の主要構成要素のブロック図を示す。レーザコントローラ11は、距離測定装置81と、方位角を測定する第1の角度測定装置82と、方位モータ装置83と、仰角を測定する第2の角度測定装置84と、仰角モータ装置85と、レベリングモータ装置86と、第1の電子装置87とを含む。
【0060】
第1の電子装置87は、第1の処理回路88、第1のメモリ回路89、第1の通信回路90、及び第1の入出力(I/O)インタフェース回路91を備える。第1のメモリ回路89は、関連するランダムアクセスメモリ(RAM)及び読み出し専用メモリ(ROM)を含む。第1の処理回路88は、通常アドレスバス又はデータバスと呼ばれるバスを使用して、第1のメモリ回路89及び第1の通信回路90と通信することができ、また、割り込み及びおそらく他のタイプのタイミング信号などの、他のタイプの信号を含むこともできる。第1の入出力インタフェース回路91は、第1の処理回路88と各種モータ駆動回路やレーザコントローラ11のセンサ回路との間のインタフェースである。第1の入出力インタフェース回路91は、第1の送信機回路92及び第1の受信機回路93を含む第1の通信回路90と通信する。第1の通信回路90は、通常、通信リンク94を介してワイヤレス信号を使用して、リモートコントローラ12と通信し、データ情報を交換するように設計されている。レイアウト及びポイント転送システム10では、レーザコントローラ11は、距離値、方位角値及び仰角値をリモートコントローラ12と通信し、それの値は、通信リンク94を介して第1の通信回路90に、及び第1の通信回路90から、到着する。レイアウト及びポイント転送システム10の好ましいモードでは、通信リンク94は無線であるが、第1の通信回路90とリモートコントローラ12との間にケーブルを接続することもできる。
【0061】
距離測定装置81は、レーザ送信機96と、レーザドライバ回路97と、光センサ98と、レーザ受信機インタフェース回路99とを含む。レーザドライバ回路97は、測定ビーム18を照射するレーザ送信機96に電流を与える。光センサ98は、反射ターゲット31の反射面36で反射された測定ビーム18の少なくとも一部を受け取り、光センサ98によって出力される電流信号は、レーザ受信機インタフェース回路99に送られる。適切な増幅及び復調の後、信号は、第1の入出力インタフェース回路91を介して第1の処理回路88に送られる。
【0062】
第1の角度測定装置83は第1の角度エンコーダ101を含み、これは、第1の処理回路88はレーザ送信機96が水平面19内でどの方位角に配置されているかを正確に知るように、第1の処理回路88に入力信号を提供する。第1の角度エンコーダ101の出力信号は、第1の入出力インタフェース回路91に送られる。
【0063】
方位モータ装置83は、方位モータ102と方位モータドライバ回路103とを含む。方位モータドライバ回路103は、レーザコントローラ11のメインハウジングを回転軸74を中心に回転させる原動力である方位モータ102を駆動するための適切な電流及び電圧を提供する。これは、第1の角度測定装置82と連動する自己完結型システムの一部であり得る。しかしながら、
図6において、方位モータ装置83は、論理フローチャートで指定された機能を実行するのに必要な第1の処理回路88によって制御されるものとして示されている。
【0064】
第2の角度測定装置84は、第2の角度エンコーダ104を含み、このエンコーダは、レーザ送信機96が垂直面21においてどの仰角で配置されているかを正確に知るように、第1の処理回路88に入力信号を提供する。第2の角度エンコーダ104の出力信号は、第1の入出力インタフェース回路91に向けられる。
【0065】
仰角モータ装置85は、仰角モータ105と仰角モータドライバ回路106とを含む。仰角モータドライバ回路106は、測定ヘッド61を回動軸75を中心に回動させるための原動力である仰角モータ105を駆動するために適切な電流及び電圧を提供する。
【0066】
レベリングモータ装置86は、レベリングモータ107と、レベリングセンサ108と、レベリングモータドライバ回路109とを含む。レベリングモータドライバ回路109は、レベリングモータ107を駆動するための適切な電流及び電圧を提供する。更に、それはレベリングセンサ108から信号を受信し、これらの入力信号は、レベリングモータドライバ回路109からレベリングモータ107に送られるコマンドのタイプを決定する。必要に応じて、レベリングモータ装置86は、第1の処理回路88と通信する必要がなくてもよい自己完結型のシステムにすることができる。しかしながら、レーザコントローラ11は通常、レーザコントローラ11がその通常動作モードで動作を開始する前に、レーザコントローラ11がそのレベリング機能を実際に終了したかどうかが分かっている必要がある。
図6において、レベリングモータ装置86は、第1の処理回路88によって制御されるものとして示されている。
【0067】
図7A、Bは、リモートコントローラ12の前側の上面図(
図7A)及び後側の上面図(
図7B)で、リモートコントローラ12の例示的なバージョンを示す。リモートコントローラ12は、タブレットコンピュータとして設計され、ハウジング111、タッチスクリーンディスプレイ112、バッテリ113、1組のボタン114、例えば音量調節ボタン、電源オン/オフボタン及びディスプレイ制御ボタン、並びに、例えば動作状態、データ記憶状態、及びバッテリ状態のための1組のインジケータ115、そして、例えばドッキング、データ記憶及びUSBのための1組のコネクタ116、及びカードスロット117を含む。
【0068】
図8は、
図1に示したレイアウト及びポイント転送システム10で使用されるリモートコントローラ12のブロック図を示す。リモートコントローラ12は、ディスプレイ装置121、ユーザ操作入力装置122、及び第2の電子装置123を含み、第2の電子装置123は、第2の処理回路124、第2のメモリ回路125、第2の通信回路126、及び第2の入出力(I/O)インタフェース回路127を備える。
【0069】
第2のメモリ回路125は、関連するランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、及びある種のバルクメモリ(BULK)を含み得、バルクメモリは、カードスロット117に差し込むことができるSDカード、又はコネクタ116の1つ、例えばUSBコネクタを介してリモートコントローラ12に差し込むことができる外部メモリ装置であり得る。第2の処理回路124は、バスを使用して第2のメモリ回路125及び第2の通信回路126と通信し、バスは通常、データ信号又はアドレス信号、及び割り込みなどの他のタイプのマイクロプロセッサ信号を搬送する。
【0070】
第2のI/Oインタフェース回路127は、第2の送信機回路128及び第2の受信機回路129を含む第2の通信回路126と通信する。第2の通信回路126は、通常、通信リンク94を介して無線信号を使用して、レーザコントローラ11と通信するように設計されている。レイアウト及びポイント転送システム10において、レーザコントローラ11はリモートコントローラ12と距離値、方位角値、仰角値を通信するが、それらの値は通信リンク94を介して第2の通信回路126に、及び第2の通信回路126から到着する。
【0071】
ディスプレイ装置121は、ディスプレイ131と、ディスプレイドライバ回路132とを含む。ディスプレイドライバ回路132は、第2のI/Oインタフェース回路127と通信し、ディスプレイ131に正しいインタフェース及びデータ信号を提供する。例えば、リモートコントローラ12がラップトップコンピュータである場合、これは、ほとんどのラップトップコンピュータで見られる標準ディスプレイである。又は、リモートコントローラ12がタブレットコンピュータ又はスマートフォンであれば、この場合、ディスプレイ装置ははるかに小さい物理的装置であり、ディスプレイ装置121はタッチスクリーンディスプレイであり得る。
【0072】
ユーザ操作入力装置122は、キーパッド133及びキーパッドドライバ回路134を含む。キーパッドドライバ回路134は、第2のI/Oインタフェース回路127と通信し、キーパッド133にインタフェースする信号を制御する。ディスプレイ装置121がタッチスクリーンディスプレイである場合、リモートコントローラ12に別個のキーパッドがなくてもよい。なぜなら、機能を入力するためのコマンド又はデータのほとんどは、ディスプレイ自体に触れることによって利用可能であり、キーパッドはタッチスクリーンディスプレイに組み込まれているからである。ある種の電源オン/オフボタンがある場合もあるが、それは必ずしも真のキーパッドとは見なされず、データの入力には使用されない。
【0073】
図9Aは、床17及び/又は天井30に関心ポイントをレイアウトするために適合されたレイアウトアクセサリ140の第2の実施形態を示す。レイアウトアクセサリ140は、
図1Aのレイアウト及びポイント転送システム10において使用され、レイアウトアクセサリ13の代わりになることができる。
【0074】
レイアウトアクセサリ140は、
図1のターゲット及び錘線測量システム14と、ポール141と、二脚装置142と、ターゲット及び錘線測量システム14をポール141に接続するように設計された接続ユニット143とを含む。ターゲット及び錘線測量システム14は、接続ユニット143を介してポール141に接続され、二脚装置142は、ポール141に取り付けられる。ポール141及び二脚装置142は、ターゲット及び錘線測量システム14の可搬シャーシ144として設計されている。二脚装置142は、レイアウトアクセサリ140を安定した実質的に水平な位置に配置するために使用される。
【0075】
ポール141は傾斜した姿勢で配置され、ここで二脚装置142は傾斜したポール141に取り付けられる。ターゲット及び錘線測量システム14の向きは、ターゲット及び錘線測量システム14が実質的に水平であることを可能にする球状ヘッドを含むことができる接続ユニット143を介して調整することができる。リモートコントローラ12は、ブラケット要素145を介してポール141に取り付けることができ、このブラケット要素は、好ましくは、ユーザがターゲット及び錘線測量システム14を取り扱うことができ、またリモートコントローラ12のディスプレイ131を確認できるような高さでポール141に取り付けられる。
【0076】
図9Bは、天井30に関心ポイントをレイアウトするために適合された
図9Aの第2のレイアウトアクセサリ140を示す。天井30に関心ポイントをレイアウトするために、ポール141は、その最大長さまで伸長される。ポール141の伸長位置において、ターゲット及び錘線測量システム14は、もはやユーザが操作することは不可能である。ターゲット及び錘線測量システム14を操作するために、位置決め装置34が、ユーザが操作可能な操作要素146に接続されてもよい。
【0077】
操作要素146は、レーザコントローラ11と反射ターゲット31との間の見通し線58が、作業現場に保管されている材料及び/又はツールによって、又は作業現場で働くユーザによって妨げられないような高さにターゲット及び錘線測量システム14を配置することを可能にし、距離測定を高い精度で実行することができる。
【0078】
図10は、床17及び/又は天井30に関心ポイントをレイアウトするために適合されたレイアウトアクセサリ150の第3の実施形態を示す。レイアウトアクセサリ150は、
図1Aのレイアウト及びポイント転送システム10において使用され、レイアウトアクセサリ13の代わりになることができる。
【0079】
レイアウトアクセサリ150は、ターゲット及び錘線測量システム14と、三脚装置151と、延長アーム152と、接続ユニット153とを含む。三脚装置151は、ターゲット及び錘線測量システム14のための可動シャーシとして設計され、長さを調整することができる3本の脚部154と、レイアウトアクセサリ150を床17上でスライドさせることができる3つのスライド要素155と、高さ方向157に沿って調整することができる中央ロッド156とを含む。
図10において、中央ロッド156は、三脚装置151のヘッドに関して最も高い位置に配置されている。ターゲット及び錘線測量システム14は、作業現場の状況に応じて、最低位置と最高位置の間の必要とされる任意の高さに、三脚装置151を介して配置することができる。
【0080】
ターゲット及び錘線測量システム14及びリモートコントローラ12は、回動軸158を中心に回動可能な延長アーム152の近位端に取り付けられる。リモートコントローラ12は、延長アーム152にブラケット要素159を介して取り付け可能であり、ブラケット要素159の位置は、延長アーム152に沿ってシフトすることができる。延長アーム152は、ターゲット及び錘線測量システム14とリモートコントローラ12のバランスを取ることを可能にする。
【0081】
図11は、床17に関心ポイントをレイアウトするために適合されたレイアウトアクセサリ160の第4の実施形態を示している。レイアウトアクセサリ160は、
図1Aのレイアウト及びポイント転送システム10において使用することができ、関心ポイントを床17に転送すべき場合にレイアウトアクセサリ13の代わりになることができる。
【0082】
レイアウトアクセサリ160は、ターゲット及び錘線測量システム14と、ミニ三脚装置161と、ターゲット及び錘線測量システム14をミニ三脚装置161に接続することを可能にする接続ユニット163とを含む。ミニ三脚装置161は、ターゲット及び錘線測量システム14のための可搬シャーシとして設計されている。
【0083】
三脚装置15などのシャーシと比較して、ミニ三脚装置161は、軽量でコンパクトな設計を有し、取り扱い及び輸送が容易である。更に、ミニ三脚装置161は、移動作業床、例えば金属デッキ上でレイアウトする際に有利である。ターゲット及び錘線測量システム14を床17の近くに配置することは、作業床が移動している場合(例えば、金属デッキ)に好ましいことであり、なぜなら、同じ角度スイングに対して、対向する長さ(床のスイング射影)は隣接する長さ(床に対する旋回軸の高さ)に正比例するからである。
【0084】
ミニ三脚装置161の取り扱いを改善するために、ターゲット及び錘線測量システム14は、操作要素164に接続される。関心ポイントをレイアウトするために、ユーザは、操作要素164によってレイアウトアクセサリ160を運ぶ。ユーザは、レーザコントローラ11とターゲット及び錘線測量システム14との間の第1及び第2の偏差が所定の第1の限界値より小さくなるまで、レイアウトアクセサリ160を関心ポイントの方へ移動させる。ユーザは、レイアウトアクセサリ160の移動を停止し、安定した実質的に水平な位置にレイアウトアクセサリを配置する。リモートコントローラ12のディスプレイ131を監視しながら、ユーザは、第1及び第2の偏差が所定の第2の限界値より小さくなるまで、操作要素164によってターゲット及び錘線測量システム14の可動ユニット50を、第2の位置決め要素42に対して移動させる。
【0085】
図12は、床17に関心ポイントをレイアウトするように適合されたレイアウトアクセサリ170の第5の実施形態を示す。レイアウトアクセサリ170は、
図1Aのレイアウト及びポイント転送システム10で使用することができ、レイアウトアクセサリ13の代用となる。
【0086】
レイアウトアクセサリ170は、ターゲット及び錘線測量システム14、ミニポール171、ミニ二脚装置172、及びターゲット及び錘線測量システム14をミニポール171に接続することを可能にする接続ユニット173を含む。ミニポール171及びミニ二脚装置172は、ターゲット及び錘線測量システム14用の可搬シャーシ174として設計されている。リモートコントローラ12は、ブラケット要素175を介してミニポール171に取り付けることができ、これにより、ユーザはターゲット及び錘線測量システム14を取り扱い、リモートコントローラ12のディスプレイ131をチェックすることができる。
【0087】
図13は、ターゲット及び錘線測量システム14の詳細を示す。プラットフォーム46に対する移動ユニット50の移動を可能にするために、操作要素146、164は、移動ユニット50に接続されなければならない。
図14は、操作要素146、164を移動ユニット50に接続するための可能な設計を示す。接続手段45のワッシャ45Bは、操作要素146を第1の位置決め要素41に接続することを可能にするインタフェース177を含む。或いは、操作要素146、164は、保持装置33又は移動ユニット50の任意の他の適切な構成要素に接続され得る。
【0088】
図14は、
図11の可搬シャーシ161又は
図12の可搬シャーシ174の代用となり得る代替の可搬シャーシ181を示している。可搬シャーシ181は、金属又は他の適切な材料から製造され得る統合コンパートメント183内のプラットフォーム46と統合される3つの脚部182を含む。
【0089】
用途の範囲を広げるために、プラットフォーム46は、接続ユニット27と同一であってもよい接続ユニット184に接続されてもよい。接続ユニット184は、ターゲット及び錘線測量システム14を広範囲の可動及び/又は可搬シャーシに接続するために、例えば5/8インチねじなどの標準インタフェースを含むことができる。
【国際調査報告】