(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-06
(54)【発明の名称】光学素子を利用して電圧を測定するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01R 15/24 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
G01R15/24 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532363
(86)(22)【出願日】2021-03-18
(85)【翻訳文提出日】2023-05-26
(86)【国際出願番号】 KR2021003346
(87)【国際公開番号】W WO2022114402
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】10-2020-0163259
(32)【優先日】2020-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592127297
【氏名又は名称】国防科学研究所
【氏名又は名称原語表記】AGENCY FOR DEFENSE DEVELOPMENT
【住所又は居所原語表記】160,Bugyseong-daero 488beon-gil,Yuseong-gu,Daejeon,34060,Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】592127149
【氏名又は名称】韓国科学技術院
【氏名又は名称原語表記】KOREA ADVANCED INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】291,Daehak-ro Yuseong-gu,Daejeon 34141,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホン、ソンフン
(72)【発明者】
【氏名】ウー、ヒョンジョン
(72)【発明者】
【氏名】ギム、ヨンチョル
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ソンミン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ドングン
(72)【発明者】
【氏名】スギヤント、アルヴィン・アムリー
【テーマコード(参考)】
2G025
【Fターム(参考)】
2G025AA14
2G025AB11
2G025AC09
(57)【要約】
本開示によれば、ポッケルスセルを利用して電圧を測定する装置は、印加される電界に基づいて、入射光の屈折率を変化させるポッケルスセルと、入力されるビームを分岐する少なくとも1つの非偏光ビームスプリッタと、前記少なくとも1つの非偏光ビームスプリッタから分岐される第1ビームを偏光する第1偏光板と、前記第1偏光板に基づいて偏光された光を検出する第1光検出部と、前記少なくとも1つの非偏光ビームスプリッタから分岐される第2ビームを楕円偏光して出力する1/4波長板と、前記楕円偏光された第2ビームを偏光する第2偏光板と、前記1/4波長板及び第2偏光板に基づいて偏光された光を検出する第2光検出部と、前記第1光検出部で決定される第1光強度、及び前記第2光検出部で決定される第2光強度に基づいて電圧を測定する制御部と、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポッケルスセルを利用して電圧を測定する装置において、
印加される電界に基づいて、入射光の屈折率を変化させるポッケルスセルと、
入力されるビームを分岐する少なくとも1つの非偏光ビームスプリッタと、
前記少なくとも1つの非偏光ビームスプリッタから分岐される第1ビームを偏光する第1偏光板と、
前記第1偏光板に基づいて偏光された光を検出する第1光検出部と、
前記少なくとも1つの非偏光ビームスプリッタから分岐される第2ビームを楕円偏光して出力する1/4波長板と、
前記楕円偏光された第2ビームを偏光する第2偏光板と、
前記1/4波長板及び第2偏光板に基づいて偏光された光を検出する第2光検出部と、
前記第1光検出部で決定される第1光強度、及び前記第2光検出部で決定される第2光強度に基づいて電圧を測定する制御部と、を含む、電圧測定装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1光強度と位相変位との関係を示す第1関係式、及び前記第2光強度と位相変位との関係を示す第2関係式を決定し、
前記第1関係式及び前記第2関係式に基づいて電圧を測定する、請求項1に記載の電圧測定装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第1光強度及び前記第2光強度に基づいてレーザ出力変動を検出し、
前記レーザ出力変動による変動値のうち、前記第1関係式による光強度及び前記第2関係式による光強度に対応する光強度を決定し、
前記決定された光強度に基づいてポッケルスセル電圧を決定し、
前記ポッケルスセル電圧に基づいて電圧を測定する、請求項2に記載の電圧測定装置。
【請求項4】
前記制御部は、
レーザの偏光軸及び前記ポッケルスセルの偏光軸に係わる整列誤差を決定し、
前記整列誤差を考慮し、前記第1光強度と位相変位との関係を示す関係式、及び前記整列誤差を考慮し、前記第2光強度と位相変位との関係を示す関係式に基づいて、ポッケルスセル電圧を決定し、
前記ポッケルスセル電圧に基づいて電圧を測定する、請求項2に記載の電圧測定装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記非偏光ビームスプリッタの垂直偏光透過率と水平偏光透過率との割合を決定し、
透過率の前記割合を考慮し、前記第1光強度と位相変位との関係を示す関係式、及び透過率の前記割合を考慮し、前記第2光強度と位相変位との関係を示す関係式に基づいて、ポッケルスセル電圧を決定し、
前記ポッケルスセル電圧に基づいて電圧を測定する、請求項2に記載の電圧測定装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記非偏光ビームスプリッタの垂直偏光透過率と水平偏光透過率との割合を決定し、
前記整列誤差と透過率の前記割合とを考慮し、前記第1光強度と位相変位との関係を示す関係式、及び前記整列誤差と透過率の前記割合とを考慮し、前記第2光強度と位相変位との関係を示す関係式に基づいて、ポッケルスセル電圧を決定し、
前記ポッケルスセル電圧に基づいて電圧を測定する、請求項4に記載の電圧測定装置。
【請求項7】
前記第1光検出部は、複数回にわたって第1光強度を測定し、
前記第2光検出部は、複数回にわたって第2光強度を測定し、
前記整列誤差及び透過率の前記割合は、前記第1光強度と前記第2光強度との統計値に基づいて決定される、請求項6に記載の電圧測定装置。
【請求項8】
経時的に電圧が変化する場合、前記制御部は、時間追跡方式に基づいて、前記電圧の測定範囲をポッケルスセルの半波長電圧範囲より大きく増加させるように制御する、請求項2に記載の電圧測定装置。
【請求項9】
ポッケルスセルを通過した光の強度に基づいて電圧を測定するポッケルスセル基盤の電圧測定装置の動作方法において、
第1光強度と位相変位との関係を示す第1関係式、及び第2光強度と位相変位との関係を示す第2関係式を決定する段階と、
前記第1関係式及び前記第2関係式に基づいて電圧を測定する段階と、を含み、
前記第1光強度は、前記ポッケルスセルを通過した光が第1偏光板に基づいて偏光され、第1光検出部で検出される光の強度を示し、
前記第2光強度は、前記ポッケルスセルを通過した光が第2偏光板及び1/4波長板に基づいて偏光され、第2光検出部で検出される光の強度を示す、電圧測定方法。
【請求項10】
前記電圧を測定する段階は、
前記第1光強度及び前記第2光強度に基づいてレーザ出力変動を検出する段階と、
前記レーザ出力変動による変動値のうち、前記第1関係式による光強度及び前記第2関係式による光強度に対応する光強度を決定する段階と、
前記決定された光強度に基づいてポッケルスセル電圧を決定する段階と、
前記ポッケルスセル電圧に基づいて電圧を測定する段階と、を含む、請求項9に記載の電圧測定方法。
【請求項11】
前記電圧を測定する段階は、
レーザの偏光軸及び前記ポッケルスセルの偏光軸に係わる整列誤差を決定する段階と、
前記整列誤差を考慮し、前記第1光強度と位相変位との関係を示す関係式、及び前記整列誤差を考慮し、前記第2光強度と位相変位との関係を示す関係式に基づいて、ポッケルスセル電圧を決定する段階と、
前記ポッケルスセル電圧に基づいて電圧を測定する段階と、を含む、請求項9に記載の電圧測定方法。
【請求項12】
前記電圧を測定する段階は、
非偏光ビームスプリッタの垂直偏光透過率と水平偏光透過率との割合を決定する段階と、
透過率の前記割合を考慮し、前記第1光強度と位相変位との関係を示す関係式、及び透過率の前記割合を考慮し、前記第2光強度と位相変位との関係を示す関係式に基づいて、ポッケルスセル電圧を決定する段階と、
前記ポッケルスセル電圧に基づいて電圧を測定する段階と、を含む、請求項9に記載の電圧測定方法。
【請求項13】
前記電圧を測定する段階は、
非偏光ビームスプリッタの垂直偏光透過率と水平偏光透過率との割合を決定する段階と、
前記整列誤差と透過率の前記割合とを考慮し、前記第1光強度と位相変位との関係を示す関係式、及び前記整列誤差と透過率の前記割合とを考慮し、前記第2光強度と位相変位との関係を示す関係式に基づいて、ポッケルスセル電圧を決定する段階と、
前記ポッケルスセル電圧に基づいて電圧を測定する段階と、を含む、請求項11に記載の電圧測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示(disclosure)は、一般的に電圧を測定する方法に係り、より具体的には、光学素子を利用して電圧を測定するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電圧を測定する装置は、鉄芯と巻芯で構成された電圧検出用変圧器と変流器を利用した。鉄芯と巻芯で構成される電圧測定装置は、サイズが大きく、ノイズによる干渉に脆弱であるという短所を有している。このために、レーザ光を利用した高電圧及び大電流を測定する方法が研究されている。レーザ光を利用した高電圧測定装置は、絶縁物で構成されたセンサを利用し、周辺電磁場による影響を排除することができる。そして、2次側に1次側の高電位が出力されないので、信頼性が向上し、直流で数GHzの高周波に至る広範囲な周波数領域でも測定が可能である。
【0003】
レーザを利用した電圧測定方法において、レーザ及び電気光学素子であるポッケルス素子を利用した光基盤の電圧センサの形態が提案されている。ポッケルス効果は、特定結晶(crystal)に電圧が印加されたとき、当該結晶を通過する光の偏光状態が変化する効果を意味し、従来には、ポッケルスセルを通過する光の偏光状態が変化する程度に基づいて電圧を測定するシステムが提案されている。
【0004】
しかし、従来のポッケルスセルを利用した電圧測定方法は、二つの短所がある。まず、ポッケルスセルに照射されるレーザ及びポッケルスセルの整列(alignment)が不安定な場合、その補償方法が欠けている。レーザ、ポッケルスセル及び光学系を完璧に整列することは技術的に困難であり、光検出部で受信するsin信号及びcos信号によるリサジュー(lissajous)図形が歪まれることにより、測定された電圧信号の歪みが生じる。次に、電圧センサの動作中、レーザ出力の不安定性による電圧測定の誤差が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のような論議に基づいて、本開示(disclosure)は、光学素子を利用して電圧を測定するための装置及び方法を提供する。
【0006】
また、本開示は、レーザ出力の不安定性を補償し、ポッケルスセルを利用した光基盤の電圧測定装置の性能を向上させるための装置及び方法を提供する。
【0007】
また、本開示は、レーザとポッケルスセルとの整列を補償し、ポッケルスセルを利用した光基盤の電圧測定装置の性能を向上させるための装置及び方法を提供する。
【0008】
また、本開示は、レーザとポッケルスセルとの透過率誤差を補償し、ポッケルスセルを利用した光基盤の電圧測定装置の性能を向上させるための装置及び方法を提供する。
【0009】
また、本開示は、透過率誤差を補償し、ポッケルスセルを利用した光基盤の電圧測定装置の性能を向上させるための装置及び方法を提供する。
【0010】
また、本開示は、光強度解釈を介して、測定可能な電圧の範囲を拡張するための装置及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の多様な実施形態によれば、ポッケルスセルを利用して電圧を測定する装置は、印加される電界に基づいて、入射光の屈折率を変化させるポッケルスセルと、入力されるビームを分岐する少なくとも1つの非偏光ビームスプリッタと、前記少なくとも1つの非偏光ビームスプリッタから分岐される第1ビームを偏光する第1偏光板と、前記第1偏光板に基づいて偏光された光を検出する第1光検出部と、前記少なくとも1つの非偏光ビームスプリッタから分岐される第2ビームを楕円偏光して出力する1/4波長板と、前記楕円偏光された第2ビームを偏光する第2偏光板と、前記1/4波長板及び第2偏光板に基づいて偏光された光を検出する第2光検出部と、前記第1光検出部で決定される第1光強度、及び前記第2光検出部で決定される第2光強度に基づいて電圧を測定する制御部と、を含む。
【0012】
他の実施形態によれば、電圧測定装置に含まれた制御部は、前記第1光強度と位相変位との関係を示す第1関係式、及び前記第2光強度と位相変位との関係を示す第2関係式を決定し、前記第1関係式及び前記第2関係式に基づいて電圧を測定する。
【0013】
他の実施形態によれば、電圧測定装置に含まれた制御部は、前記第1光強度及び前記第2光強度に基づいてレーザ出力変動(fluctuation)を検出し、前記レーザ出力変動による変動値のうち、前記第1関係式による光強度及び前記第2関係式による光強度に対応する光強度を決定し、前記決定された光強度に基づいてポッケルスセル電圧を決定し、前記ポッケルスセル電圧に基づいて電圧を測定する。
【0014】
他の実施形態によれば、電圧測定装置に含まれた制御部は、レーザの偏光軸及び前記ポッケルスセルの偏光軸に係わる整列誤差を決定し、前記整列誤差を考慮し、前記第1光強度と位相変位との関係を示す関係式、及び前記整列誤差を考慮し、前記第2光強度と位相変位との関係を示す関係式に基づいて、ポッケルスセル電圧を決定し、前記ポッケルスセル電圧に基づいて電圧を測定する。
【0015】
他の実施形態によれば、電圧測定装置に含まれた制御部は、前記非偏光ビームスプリッタの垂直偏光透過率と水平偏光透過率との割合を決定し、前記透過率の割合を考慮し、前記第1光強度と位相変位との関係を示す関係式、及び前記透過率の割合を考慮し、前記第2光強度と位相変位との関係を示す関係式に基づいて、ポッケルスセル電圧を決定し、前記ポッケルスセル電圧に基づいて電圧を測定する。
【0016】
他の実施形態によれば、電圧測定装置に含まれた制御部は、前記非偏光ビームスプリッタの垂直偏光透過率と水平偏光透過率との割合を決定し、前記整列誤差と前記透過率の割合とを考慮し、前記第1光強度と位相変位との関係を示す関係式、及び前記整列誤差と前記透過率の割合とを考慮し、前記第2光強度と位相変位との関係を示す関係式に基づいて、ポッケルスセル電圧を決定し、前記ポッケルスセル電圧に基づいて電圧を測定する。
【0017】
他の実施形態によれば、第1光検出部は、複数回にわたって第1光強度を測定し、第2光検出部は、複数回にわたって第2光強度を測定し、前記整列誤差及び前記透過率の割合は、前記第1光強度と前記第2光強度との統計値に基づいて決定される。
【0018】
他の実施形態によれば、経時的に電圧が変化する場合、電圧測定装置に含まれた制御部は、時間追跡方式に基づいて、前記電圧の測定範囲をポッケルスセルの半波長電圧範囲より大きく増加させるように制御する。
【0019】
本開示の一実施形態によれば、ポッケルスセルを通過した光の強度に基づいて電圧を測定するポッケルスセル基盤の電圧測定装置の動作方法は、第1光強度と位相変位との関係を示す第1関係式、及び第2光強度と位相変位との関係を示す第2関係式を決定する段階と、前記第1関係式及び前記第2関係式に基づいて電圧を測定する段階と、を含み、前記第1光強度は、前記ポッケルスセルを通過した光が第1偏光板に基づいて偏光され、第1光検出部で検出される光の強度を示し、前記第2光強度は、前記ポッケルスセルを通過した光が第2偏光板及び1/4波長板に基づいて偏光され、第2光検出部で検出される光の強度を示す。
【0020】
他の実施形態によれば、前記電圧を測定する段階は、前記第1光強度及び前記第2光強度に基づいてレーザ出力変動(fluctuation)を検出する段階と、前記レーザ出力変動による変動値のうち、前記第1関係式による光強度及び前記第2関係式による光強度に対応する光強度を決定する段階と、前記決定された光強度に基づいてポッケルスセル電圧を決定する段階と、前記ポッケルスセル電圧に基づいて電圧を測定する段階と、を含む。
【0021】
他の実施形態によれば、前記電圧を測定する段階は、レーザの偏光軸及び前記ポッケルスセルの偏光軸に係わる整列誤差を決定する段階と、前記整列誤差を考慮し、前記第1光強度と位相変位との関係を示す関係式、及び前記整列誤差を考慮し、前記第2光強度と位相変位との関係を示す関係式に基づいて、ポッケルスセル電圧を決定する段階と、前記ポッケルスセル電圧に基づいて電圧を測定する段階と、を含む。
【0022】
他の実施形態によれば、前記電圧を測定する段階は、非偏光ビームスプリッタの垂直偏光透過率と水平偏光透過率との割合を決定する段階と、前記透過率の割合を考慮し、前記第1光強度と位相変位との関係を示す関係式、及び前記透過率の割合を考慮し、前記第2光強度と位相変位との関係を示す関係式に基づいて、ポッケルスセル電圧を決定する段階と、前記ポッケルスセル電圧に基づいて電圧を測定する段階と、を含む。
【0023】
他の実施形態によれば、前記電圧を測定する段階は、非偏光ビームスプリッタの垂直偏光透過率と水平偏光透過率との割合を決定する段階と、前記整列誤差と前記透過率の割合とを考慮し、前記第1光強度と位相変位との関係を示す関係式、及び前記整列誤差と前記透過率の割合とを考慮し、前記第2光強度と位相変位との関係を示す関係式に基づいて、ポッケルスセル電圧を決定する段階と、前記ポッケルスセル電圧に基づいて電圧を測定する段階と、を含む。
【0024】
本発明の多様なそれぞれの側面及び特徴は、特許請求の範囲において定義される。従属請求項の特徴の組み合わせ(combinations)は、単に請求項において明示的に提示されるものだけでなく、適切に独立項の特徴とも組み合わせられる。
【0025】
また、本開示に述べられた任意の1つの実施形態(any one embodiment)のうち選択された1以上の特徴は、本開示に述べられた任意の他の実施形態のうち選択された1以上の特徴とも組み合わせられ、そのような特徴の代案的な組み合わせが、本開示に論議された1以上の技術的問題を少なくとも部分的に軽減させるか、あるいは本開示から通常の技術者によって識別可能な(discernable)技術的問題を少なくとも部分的に軽減させ、さらには実施形態の特徴(embodiment features)のこのように形成された特定の組み合わせ(combination)または順列(permutation)が通常の技術者によって両立不可能な(incompatible)ものと理解されなければ、その組み合わせは可能である。
【0026】
本開示に述べられた任意の例示具現(any described example implementation)において、2以上の物理的に個々の構成要素は、代案としては、その統合が可能であれば単一構成要素にも統合され、そのように形成された単一構成要素により同一機能が行われるならば、その統合は可能である。逆に、本開示に述べられた任意の実施形態(any embodiment)の単一構成要素は、代案としては、適切な場合、同一機能を達成する2以上の個々の構成要素によっても具現される。
【0027】
本発明の特定実施形態(certain embodiments)の目的は、従来技術と関連した問題点及び/または短所のうち少なくとも1つを少なくとも部分的に解決、緩和または除去することである。特定実施形態(certain embodiments)は、後述する長所のうち少なくとも1つを提供することを目的とする。
【発明の効果】
【0028】
本開示の多様な実施形態による装置及び方法は、ポッケルスセルを利用する光基盤の電圧測定装置が、電圧による光の偏光変化を、複数の光検出器を利用して検出して分析することにより、ポッケルスセルを利用した光基盤の電圧測定装置の測定誤差を減らすことができる。
【0029】
また、本開示の多様な実施形態による装置及び方法は、ポッケルスセルを利用する光基盤の電圧測定装置が、電圧による光の偏光変化を、複数の光検出器を利用して検出して分析することにより、ポッケルスセルを利用した光基盤の電圧測定装置の電圧測定範囲を拡張することができる。
【0030】
本開示から得られる効果は、前述の効果に制限されず、言及しない他の効果は、以下の記載から本開示が属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】従来のポッケルスセルを利用した電圧測定装置のブロックダイアグラムである。
【
図2】従来のポッケルスセルを利用した電圧測定装置において、印加電圧による透過率の変化を示すグラフである。
【
図3】本開示の多様な実施形態による、ポッケルスセルを利用した電圧測定システムを示す図面である。
【
図4】本開示の多様な実施形態による、電圧測定装置が測定する信号の極座標グラフである。
【
図5】本開示の多様な実施形態による、光学系特性及び光学系整列誤差による電圧測定信号の歪みを示すグラフである。
【
図6】本開示の多様な実施形態による、光学系特性及び光学系整列誤差による電圧測定信号の歪みを補正する方法を示すグラフである。
【
図7】本開示の多様な実施形態による、ポッケルスセルを利用した電圧測定装置が測定した電圧の結果を示すグラフである。
【
図8】本開示の多様な実施形態による、ポッケルスセルを利用した電圧測定装置の動作方法を示すフローチャートである。
【
図9】本開示の多様な実施形態による、レーザ出力変動を考慮する場合、ポッケルスセルを利用した電圧測定装置の動作方法を示すフローチャートである。
【
図10】本開示の多様な実施形態による、整列誤差と透過率の割合とを考慮する場合、ポッケルスセルを利用した電圧測定装置の動作方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本開示で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたものであり、他の実施形態の範囲を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。技術的用語や科学的用語を含み、ここで使用される用語は、本開示に記載された技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同一意味を有することができる。本開示に使用された用語のうち、一般辞書に定義された用語は、関連技術の文脈上有する意味と同一または類似の意味とも解釈され、本開示で明白に定義されない限り、理想的や過度に形式的な意味と解釈されない。場合によって、本開示で定義された用語であっても、本開示の実施形態を排除するように解釈されない。
【0033】
以下で説明される本開示の多様な実施形態では、ハードウェア的なアクセス方法を例示として説明する。しかし、本開示の多様な実施形態では、ハードウェアとソフトウェアとをいずれも使用する技術を含んでいるので、本開示の多様な実施形態がソフトウェア基盤のアクセス方法を除くものではない。
【0034】
以下、本開示は、光学素子を利用して電圧を測定するための装置及び方法に関する。具体的には、本開示は、ポッケルスセルを利用した電圧測定装置が測定する電圧の誤差を補正するための技術を説明する。
【0035】
以下、添付した図面を参照して、本開示が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、多様な実施形態について詳細に説明する。しかし、本開示の技術的思想は、多様な形態に変形されて具現されるので、本明細書で説明する実施形態に制限されない。本明細書に開示された実施形態を説明するにあたって、関連した公知技術を具体的に説明することが本開示の技術的思想の要旨を不明確にすると判断される場合、その公知技術に係わる具体的な説明を省略する。同一または類似の構成要素は、同一参照番号を付与し、それに係わる重複説明は省略する。
【0036】
本明細書において、ある要素が他の要素と「連結」されているとするとき、これは、「直接的に連結」されている場合だけでなく、その中間に他の要素を挟んで「間接的に連結」されている場合も含む。ある要素が他の要素を「含む」とするとき、これは、特に反対となる記載がない限り、他の要素以外にさらに他の要素を除くものではなく、さらに他の要素をさらに含んでもよいということを意味する。
【0037】
一部実施形態は、機能的なブロック構成及び多様な処理段階により説明される。そのような機能ブロックの一部または全部は、特定機能を実行する多様な個数のハードウェア及び/またはソフトウェアの構成によっても具現される。例えば、本開示の機能ブロックは、1以上のマイクロプロセッサによって具現されるか、あるいは所定の機能のための回路構成によって具現される。本開示の機能ブロックは、多様なプログラミング言語またはスクリプト言語によっても具現される。本開示の機能ブロックは、1以上のプロセッサで実行されるアルゴリズムによっても具現される。本開示の機能ブロックが遂行する機能は、複数の機能ブロックによって遂行されてもよく、本開示の複数の機能ブロックが遂行する機能は、1つの機能ブロックによって遂行されてもよい。また、本開示は、電子的な環境設定、信号処理及び/またはデータ処理などのために従来技術を採用することができる。
【0038】
また、本開示において、特定条件の満足(satisfied)、充足(fulfilled)可否を判断するために、超過または未満の表現が使用されているが、これは、一例を表現するための記載に過ぎず、以上または以下の記載を除くものではない。「以上」と記載された条件は、「超過」にも代替され、「以下」と記載された条件は、「未満」にも代替され、「以上及び未満」と記載された条件は、「超過及び以下」にも代替される。
【0039】
図1は、従来のポッケルスセルを利用した電圧測定装置のブロックダイアグラム100である。従来のポッケルスセルを利用した電圧測定装置は、第1偏光板101と、1/4波長板103と、ポッケルスセル105と、第2偏光板107と、分圧部109とを含む。
【0040】
入射光は、第1偏光板101に入力され、1/4波長板103、ポッケルスセル105及び第2偏光板107を経て出力される。
【0041】
図1を参照すれば、第1偏光板101は、入力光において垂直方向に振動する光を1/4波長板103に入射させる機能を行う。無偏光入力光は、第1偏光板101に入射し、電界方向と平行な方向に進める成分のうち、垂直方向に振動する成分のみが1/4波長板に入射される。
【0042】
1/4波長板103は、x軸に振動する光及びy軸に振動する光のうち、x軸に振動する光があるとき、x軸方向に振動する光を90゜位相遅延させる。1/4波長板103は、第1偏光板の出力光を円偏光し、ポッケルス素子に光を出力する。
【0043】
ポッケルスセル105は、特定結晶に電圧を加えたとき、当該結晶を通過する光の偏光状態を変化させる素子を含む。ポッケルス素子に電界が印加されれば、同一屈折率であった成分が変化を起こし、各軸方向の屈折率に差が生じ、これにより、各軸を通過するx軸に振動する光及びy軸に振動する光に互いに異なる位相遅延が生じる。ポッケルス素子は、垂直方向に振動する光を電圧によって互いに異なる位相遅延を発生させることにより、楕円偏光された光を出力する。
【0044】
第2偏光板107は、垂直に偏光された光成分を濾過する機能を行う。第2偏光板107は、ポッケルス素子の出力光から垂直に偏光された光成分を濾過して出力する。
【0045】
分圧部109は、ポッケルス素子に電界を印加する機能を行う。ポッケルス素子に電界が印加されれば、各軸方向の屈折率に差が生じることに基づいて、分圧部は、電界を印加してポッケルスセルの屈折率差を発生させる。
【0046】
従来の光基盤の電圧測定装置は、ポッケルス素子の屈折率変化によって、素子を通過する光が屈折率に比例して基準信号より位相遅延が生じる現状を利用して、印加された電界と共に測定対象となる電圧を測定する。
【0047】
図2は、従来のポッケルスセルを利用した電圧測定装置において、印加電圧による透過率の変化を示すグラフ200である。
図2の横軸は、ポッケルスセルに印加される電圧を示し、縦軸は、レーザの透過率を示す。
【0048】
従来のポッケルスセルを利用した電圧測定装置は、レーザの入力光(I0)の強度に対し、電圧によるポッケルスセルの偏光側変化に基づいたレーザの出力光(I)の強度の割合を示す透過率(t=I/I0)に基づいて、電圧を測定することができる。
【0049】
図2を参照すれば、ポッケルスセルに電圧が印加される場合、電圧による透過率は、三角関数の形態のグラフ201で表され、電圧測定装置で測定される任意の透過率は、直線状のグラフ203で表される。グラフ203のように、ポッケルスセルを利用した電圧測定装置により任意の透過率が決定された場合、任意の透過率に対応する計測電圧は、A、B、C、Dなどの複数の値が可能である。しかし、従来の透過率を測定する電圧測定装置を利用する場合、測定される電圧の範囲は、0からポッケルスセルの半波長電圧Vπ(half wave voltage)までの範囲に制限される。これにより、
図2を参照すれば、ポッケルスセルの電圧は、Cと決定される。
【0050】
従来のポッケルスセルを利用した電圧測定装置によれば、測定しようとする電圧がポッケルスセルに電場を印加する場合、ポッケルスセルは、x軸方向及びy軸方向に係わる互いに異なる屈折率を有する複屈折(birefringe)を発生させる。これにより、ポッケルスセルを通過するレーザビームは、垂直偏光及び水平偏光の強度が相異なっている。ポッケルスセルに印加された電場により、x軸方向及びy軸方向に変更された屈折率は、数式1のように表される。
【0051】
【0052】
数式1を参照すれば、nxは、x軸方向に変更された屈折率を示し、nyは、y軸方向に変更された屈折率を示し、n0は、ポッケルスセルの一般屈折率を示し、Ezは、適用された電場を示し、r63は、線状電気光学係数を示す。
【0053】
そのような複屈折は、水平及び垂直偏光方向成分の位相変位(phase difference)Γを発生させる。数式1のように、nxとnyは近似化され、r63*Ezが1/n0
2より小さい場合、位相変位は、数式2のように表される。
【0054】
【0055】
数式2を参照すれば、Γは、位相変位を示し、nxは、x軸方向に変更された屈折率を示し、nyは、y軸方向に変更された屈折率を示し、n0は、ポッケルスセルの一般屈折率を示し、Ezは、適用された電場を示し、r63は、線状電気光学係数を示し、Lは、ポッケルスセルの長さを示し、λlaserは、レーザの波長を示し、Vπは、ポッケルスセルの半波長電圧を示す。本開示の一実施形態によれば、Vπは、ポッケルスセルの種類、ポッケルスセルのサイズ、ポッケルスセルの温度、及びレーザ波長の長さのうち少なくとも1つに基づいて決定されてもよく、ユーザの設定によってあらかじめ定義される値を有するように決定されてもよい。
【0056】
図3は、本開示の多様な実施形態による、ポッケルスセルを利用した電圧測定システム300を示す図面である。ポッケルスセルを利用した電圧測定システムは、レーザ301と、ポッケルスセル303と、非偏光ビームスプリッタ(non-polarized beam splitter: NBS)305と、第1偏光板307と、第1光検出部309と、1/4波長板311と、第2偏光板313と、第2光検出部315とを含む。
【0057】
図3を参照すれば、ポッケルスセルを利用した電圧測定装置は、極座標系(polar coordinates)を介して信号解釈が可能であるように変更された光学系配列を含む。電圧測定装置は、ポッケルスセルにかかる電圧の変化に基づいて、レーザの水平偏光軸及び垂直偏光軸の変化を測定することにより、電圧を測定する。
【0058】
レーザの出力光は、ポッケルスセル303に入力され、非偏光ビームスプリッタ305に基づいて分岐される。非偏光ビームスプリッタ305で分岐される第1ビームは、第1偏光板307を通過して第1光検出部309に入力され、非偏光ビームスプリッタで分岐される第2ビームは、1/4波長板311及び第2偏光板313を通過して第2光検出部315に入力される。
【0059】
図3を参照すれば、レーザ301は、ポッケルスセル303に光を出力する。レーザは、ポッケルスセルに電圧が印加される場合、屈折率の変化を測定するために利用されるビームを出力する。本開示の一実施形態によれば、
図3に示していないが、レーザ301とポッケルスセル303との間に非偏光ビームスプリッタが配置されうる。レーザビームは、非偏光ビームスプリッタを介して、レーザの出力を検出する第3光検出部に入射されるビームと、ポッケルスセルに入射されるビームとに分岐される。
【0060】
ポッケルスセル303は、入力された光に、x軸とy軸に係わる互いに異なる屈折率を適用することにより、楕円偏光された光を出力する。本開示の一実施形態によれば、ポッケルスセルを通過した光は、非偏光ビームスプリッタ305に入力される。
【0061】
非偏光ビームスプリッタ305は、電界効果により、偏光された光を分配する機能を行う。本開示の一実施形態によれば、非偏光ビームスプリッタ305により分岐された第1レーザビームは、第1偏光板307のみを通過する第1ビームと、1/4波長板311及び第2偏光板313を通過する第2ビームとに分岐される。第1ビームは、第1光検出部309で検出され、第2ビームは、第2光検出部315で検出される。
【0062】
本開示の一実施形態によれば、第1光検出部309は、レーザ出力変動を補償するためにレーザ出力をモニタリングする機能を行い、第2光検出部315は、位相変位を測定する機能を行う。電圧測定装置は、第1光検出部309で測定した光強度T1、及び第2光検出部315で測定した光強度T2に基づいて、電圧を測定することができる。本開示の一実施形態によれば、電圧測定装置に含まれた制御部は、T1とT2とを比較し、ポッケルスセル303にかかる電界を逆推定する方法を利用して電圧を測定することができる。
【0063】
図4は、本開示の多様な実施形態による、電圧測定装置が測定する信号の極座標グラフ400である。
図4の横軸は、
図3の第1光検出部309で測定した第1光強度T1を示し、縦軸は、
図3の第2光検出部315で測定した第2光強度T2を示す。
【0064】
第1光検出部で測定される第1光強度、及び第2光検出部で測定される第2光強度は、数式3のように表される。
【0065】
【0066】
数式3を参照すれば、T1は、第1光検出部で測定される光強度を示し、T2は、第2光検出部で測定される光強度を示し、Γは、位相変位を示す。
【0067】
図4を参照すれば、電圧測定装置が誤差を考慮しない理想的なポッケルスセル電圧を測定する場合、光強度は、円形データ曲線401で表される。本開示の一実施形態によれば、理想的な場合、T1及びT2は、極座標において(0.5,0.5)を原点とし、半径が0.5である円形グラフで表される。本開示の一実施形態によれば、測定対象となるポッケルスセル電圧V=0である場合、(T1,T2)は、A座標(1,0.5)にマッピングされることを確認することができる。
【0068】
本開示の一実施形態によれば、電圧測定装置は、T1及びT2の誤差を決定するために、理想的な場合に係わるT1及びT2に係わる関係式を決定することができる。本開示の一実施形態によれば、電圧測定装置に含まれた制御部は、第1光強度と位相変位との関係を示すT1関係式、及び第2光強度と位相変位との関係を示すT2関係式を決定し、決定されたT1関係式及びT2関係式に基づいて電圧を測定することができる。
【0069】
図4を参照すれば、電圧測定装置がレーザ出力変動(fluctuation)に係わる信号波形の誤差を考慮してポッケルスセル電圧を測定する場合、電圧測定装置は、第1光検出部と第2光検出部を利用して、散乱された点403に係わるデータを獲得することができる。
【0070】
レーザ出力変動に係わる信号波形の誤差が存在する場合、検出された光強度を極座標で表せば、理想的な円形データ曲線からθ軸方向に信号歪みが生じる。すなわち、レーザ出力変動は、(0.5,0.5)を基準とする円の半径の変化を発生させうる。本開示の一実施形態によれば、電圧測定装置は、レーザ出力効果により、散乱された点403を含む値を測定することができる。これに対応し、電圧測定装置は、散乱された点403のうち、理想的な円形データ曲線401と比べて理想的な光強度との誤差を確認することができる。本開示の一実施形態によれば、電圧測定装置は、θ軸方向に歪まれた信号が検出されることにより、散乱された点403と理想的な円形データ曲線401との交差点を識別し、交差点B座標を識別することができる。電圧測定装置は、交差点B座標を利用して位相変位を確認することにより、ポッケルスセル電圧の誤差を決定して補正することができる。
【0071】
図5は、本開示の多様な実施形態による、光学系特性及び光学系整列誤差による電圧測定信号の歪みを示すグラフ500である。
図5の横軸は、
図3の第1光検出部309で測定した第1光強度T1を示し、縦軸は、
図3の第2光検出部315で測定した第2光強度T2を示す。
【0072】
図5を参照すれば、電圧測定装置が誤差を考慮しない理想的なポッケルスセル電圧を測定する場合、第1光検出部で測定される第1光強度、及び第2光検出部で測定される第2光強度は、円形データ曲線で表される。
【0073】
図5の左側グラフ510は、整列誤差による光強度の変化を例示する。
図5の左側グラフ510を参照すれば、電圧測定装置を構成する過程において、ポッケルスセルの偏光軸及びレーザの偏光軸に係わる整列誤差dδが発生しうる。電圧測定装置は、ポッケルスセルの偏光軸及びレーザの偏光軸に係わる整列誤差を考慮した光強度を決定して補正することができ、付随的に測定信号のフーリエ変換(fast fourier transform: FFT)解釈技法を利用して誤差を補正することができる。
【0074】
電圧測定装置の電圧測定において整列誤差が存在する場合、光強度は、数式4に基づいて決定される。
【0075】
【0076】
数式4を参照すれば、T1
dδは、整列誤差を考慮した第1光強度を示し、T2
dδは、整列誤差を考慮した第2光強度を示し、dδは、整列誤差を示し、Γは、位相変位を示す。
【0077】
本開示の一実施形態によれば、整列誤差が0である場合、数式4は、数式3と同一である。ポッケルスセル電圧が0である場合、(T1,T2)は、(1,0.5)で表される。整列誤差が0ではない場合、電圧測定装置がポッケルスセルの偏光軸及びレーザの偏光軸に係わる整列誤差を考慮してポッケルスセル電圧を測定すれば、光強度は、楕円データ曲線511で表される。整列誤差が存在することにより、極座標で表された第1光強度及び第2光強度を示す曲線は、円形データ曲線からdδほど外れる。
【0078】
本開示の一実施形態によれば、電圧測定装置は、第1光検出部と第2光検出部に基づいて、整列誤差によって歪まれた楕円データ曲線511を獲得することができる。
【0079】
電圧測定装置は、楕円データ曲線511と理想的な光強度とを比較し、誤差を確認することができる。本開示の一実施形態によれば、電圧測定装置は、楕円データ曲線と理想的な円形データ曲線で表される光強度の差を識別し、光強度差によって整列誤差値を決定することができる。電圧測定装置は、測定された整列誤差値及び数式4に基づいて、位相変位を確認することにより、ポッケルスセル電圧の誤差を決定して補正することができる。
【0080】
図5の右側グラフ560は、非偏光ビームスプリッタの偏光透過率の割合(t
r=t
水平/t
垂直)による光強度の変化を例示する。理想的な非偏光ビームスプリッタの場合、レーザの垂直偏光透過率と水平偏光透過率が同一である(tr=1)。しかし、電圧測定装置を構成する過程において、非偏光ビームスプリッタの水平偏光透過率と垂直偏光透過率が相異なってもいる。
図5の右側グラフ560に例示されたように、透過率の割合は、1/4波長板を通過しない光を検出する第1光検出部の検出信号に影響を与えず、1/4波長板を通過する光を検出する第2光検出部の検出信号に影響を及ぼす。これにより、第2光強度に係わり、透過率の割合に基づいた誤差が発生しうる。透過率の割合に係わる誤差が存在する場合、電圧測定装置は、非偏光ビームスプリッタの水平偏光透過率と垂直偏光透過率との割合を考慮して光強度を決定することができる。透過率の割合に係わる誤差が存在する場合、第2光検出部で測定される光強度は、数式5に基づいて決定される。
【0081】
【0082】
数式5を参照すれば、T2
trは、透過率の割合を考慮した第2光強度を示し、trは、非偏光ビームスプリッタのレーザの垂直偏光透過率と水平偏光透過率との割合を示す。
【0083】
本開示の一実施形態によれば、trが1である場合、数式5は、数式3と同一である。trが1ではない場合、電圧測定装置が透過率の割合に係わる誤差を考慮してポッケルスセル電圧を測定すれば、光強度は、楕円データ曲線561で表される。透過率の割合に係わる誤差が存在することにより、極座標で表された第2光強度を示す曲線は、円形データ曲線からtrほど歪まれる。
【0084】
本開示の一実施形態によれば、電圧測定装置は、第1光検出部と第2光検出部に基づいて、整列誤差によって歪まれた楕円データ曲線561を獲得することができる。電圧測定装置は、楕円データ曲線561と理想的な光強度とを比較し、誤差を確認することができる。本開示の一実施形態によれば、電圧測定装置は、楕円データ曲線と理想的な円形データ曲線で表される光強度の差を識別し、光強度差によって透過率の割合に係わる誤差値を決定することができる。電圧測定装置は、測定された整列誤差値及び数式5に基づいて、位相変位を確認することにより、ポッケルスセル電圧の誤差を決定して補正することができる。
【0085】
図6は、本開示の多様な実施形態による、光学系特性及び光学系整列誤差による電圧測定信号の歪みを補正する方法を示すグラフ600である。
図6の横軸は、
図3の第1光検出部309で測定した第1光強度T1を示し、縦軸は、
図3の第2光検出部315で測定した第2光強度T2を示す。
【0086】
図6を参照すれば、電圧測定装置が誤差を考慮しない理想的なポッケルスセル電圧を測定する場合、第1光検出部で測定される第1光強度、及び第2光検出部で測定される第2光強度は、円形データ曲線611で表される。
【0087】
図6の左側グラフ610は、整列誤差と透過率の割合に係わる誤差とをいずれも考慮した光強度を例示する。
図6の左側グラフ610を参照すれば、電圧測定装置を構成する過程において、ポッケルスセルの偏光軸及びレーザの偏光軸に係わる整列誤差dδと、非偏光ビームスプリッタの偏光透過率の割合に係わる誤差とが発生しうる。電圧測定装置は、整列誤差と透過率の割合に係わる誤差とをいずれも考慮して、光強度を決定して補正することができる。電圧測定装置の電圧測定において、整列誤差と透過率の割合に係わる誤差とが存在する場合、光強度は、数式6に基づいて決定される。
【0088】
【0089】
数式6を参照すれば、T1
expは、整列誤差と透過率の割合に係わる誤差とを考慮した第1光強度を示し、T2
expは、整列誤差と透過率の割合に係わる誤差とを考慮した第2光強度を示し、dδは、整列誤差を示し、trは、透過率の割合を示し、Γは、位相変位を示す。
【0090】
本開示の一実施形態によれば、整列誤差及び透過率の割合は、ユーザの設定によって決定される値、電圧測定装置の構成過程において決定される値、及び複数回にわたって測定することにより、統計に基づいて決定される値を含む。本開示の一実施形態によれば、整列誤差が0ではなく、透過率の割合が1ではない場合、電圧測定装置が整列誤差と透過率の割合とを考慮してポッケルスセル電圧を測定すれば、光強度は、楕円データ曲線613で表される。本開示の一実施形態によれば、電圧測定装置は、第1光検出部と第2光検出部に基づいて、整列誤差によって歪まれた楕円データ曲線613を獲得することができる。
【0091】
電圧測定装置は、楕円データ曲線613と理想的な光強度とを比較し、誤差を確認することができる。本開示の一実施形態によれば、電圧測定装置は、楕円データ曲線と理想的な円形データ曲線で表される光強度の差を識別し、光強度差によって誤差値を決定することができる。光強度差に係わる誤差は、
図6の左側グラフ610の原点を移動させる方法に基づいて決定される。電圧測定装置は、測定された誤差値及び数式6に基づいて、位相変位を確認することにより、ポッケルスセル電圧の誤差を決定して補正することができる。電圧測定装置は、誤差の補正に基づいて、
図6の右側グラフ660の軸変換された円形データ曲線661の結果値を獲得することができる。
【0092】
図7は、本開示の多様な実施形態による、ポッケルスセルを利用した電圧測定装置が測定した電圧の結果を示すグラフ700である。
図7の横軸は、時間を示し、縦軸は、電圧を示す。
図7を参照すれば、補正されていない電圧(uncorrected voltage)、補正された電圧(corrected voltage)、及び印加された電圧(applied voltage)を示すグラフが示されている。
【0093】
図7は、整列誤差dδが4、t
rが0.9と実験的に決定された場合を例示する。
図7を参照すれば、整列誤差と透過率の割合に係わる誤差との補正が行われた電圧は、補正が行われない電圧より実際値にさらに近い値を有することを確認することができる。
【0094】
図7を参照すれば、電圧測定装置は、(0,Vπ)より広い範囲である(-Vπ,Vπ)電圧において電圧を測定することができる。経時的に電圧が変化する場合、電圧の変化は、経時的に連続性を有する。一般的に、経時的な電圧の変化は、ナノ秒(nanosecond)の値を有し、ポッケルスセルの反応速度は、フェムト秒(femtosecond)からピコ秒(picosecond)の値を有する。したがって、経時的な電圧の変化速度は、ポッケルスセルを利用した電圧測定装置の反応速度より遅い。したがって、電圧測定装置の信号波形を計測するシステムの帯域幅(bandwidth)が電圧の変化を計測することができる場合、電圧測定装置は、時間追跡機能を利用して、測定範囲をポッケルスセルの破壊電圧V
B(または、破壊電界E
B)まで拡張が可能である。
【0095】
時間(t+a)の間電圧が増加する場合、信号の波形は、時間tで反時計回り方向に移動し、電圧が減少する場合、時間tで時計回り方向に移動する。電圧測定装置は、時間tで信号の位置を認識する場合、時間(t+a)で電圧の増加または減少の識別が可能である。本開示の一実施形態によれば、時間(t+a)で測定信号が(T1,T2)=(1.0,0.5)である場合、その電圧は、0,±nVπ(nは定数)と予測が可能である。この場合、電圧測定装置は、時間tで電圧信号の位置及び電圧の大きさを認識する場合、時間(t+a)で電圧を決定することができる。
【0096】
本開示の実施形態によれば、レーザの出力(power)、光学系の透過率(transmission)及び整列(alignment)効果による、電圧測定装置の誤差の測定及び補正が可能である。また、本開示の一実施形態によれば、電圧測定装置の電圧測定範囲は、-VπからVπまで拡張される。経時的に電圧が変化する場合(例えば、AC電圧)、時間追跡方式を介して測定範囲を制限なしに拡張することができる。
【0097】
図8は、本開示の多様な実施形態による、ポッケルスセルを利用した電圧測定装置の動作方法を示すフローチャート800である。
【0098】
図8を参照すれば、段階801において、電圧測定装置は、第1光強度と位相変位との関係を示す第1関係式、及び第2光強度と位相変位との関係を示す第2関係式を決定する。電圧測定装置は、電圧の誤差を決定するために基準となる第1関係式及び第2関係式を決定する。本開示の一実施形態によれば、第1光強度は、ポッケルスセルを通過した光が第1偏光板に基づいて偏光され、第1光検出部で検出される光強度を示し、第2光強度は、ポッケルスセルを通過した光が第2偏光板及び1/4波長板に基づいて偏光され、第2光検出部で検出される光強度を示す。
【0099】
段階803において、電圧測定装置は、第1関係式及び第2関係式に基づいて電圧を測定する。電圧測定装置は、基準となる第1関係式及び第2関係式を利用して、測定される電圧の誤差を確認して補正することができる。本開示の一実施形態によれば、経時的に電圧が変化する場合、電圧測定装置に含まれた制御部は、時間追跡方式に基づいて、前記電圧の測定範囲をポッケルスセルの半波長電圧範囲より大きく増加させるように制御することができる。
【0100】
図9は、本開示の多様な実施形態による、レーザ出力変動を考慮する場合、ポッケルスセルを利用した電圧測定装置の動作方法を示すフローチャート900である。
【0101】
図9を参照すれば、段階901において、電圧測定装置は、第1光強度及び第2光強度に基づいてレーザ出力変動を検出する。本開示の一実施形態によれば、レーザ出力変動に係わる信号波形の誤差が存在する場合、検出された光強度を極座標で表せば、理想的な円形データ曲線からθ軸方向に信号歪みが生じる。本開示の一実施形態によれば、電圧測定装置は、レーザ出力効果により、散乱された点を含む光強度値を測定することができる。
【0102】
段階903において、電圧測定装置は、レーザ出力変動による変動値のうち、基準となる第1関係式による光強度及び第2関係式による光強度に対応する光強度を決定する。本開示の一実施形態によれば、電圧測定装置は、検出される光強度値を、第1関係式及び第2関係式によって決定される場合の光強度と比較し、誤差を決定することができる。本開示の一実施形態によれば、電圧測定装置は、検出される光強度値のうち、第1関係式及び第2関係式による光強度値に含まれる点を識別する。
【0103】
段階905において、電圧測定装置は、決定された光強度に基づいてポッケルスセル電圧を決定し、段階907において、電圧測定装置は、ポッケルスセル電圧に基づいて電圧を測定する。本開示の一実施形態によれば、電圧測定装置は、段階903で検出された光強度を利用して位相変位を確認することにより、ポッケルスセル電圧を利用して電圧補正を行うことができる。
【0104】
図10は、本開示の多様な実施形態による、整列誤差と透過率の割合とを考慮する場合、ポッケルスセルを利用した電圧測定装置の動作方法を示すフローチャート1000である。
【0105】
図10を参照すれば、段階1001において、電圧測定装置は、偏光軸の整列誤差、及び非偏光ビームスプリッタの水平偏光透過率と垂直偏光透過率との割合のうち少なくとも1つを決定する。本開示の一実施形態によれば、整列誤差及び透過率の割合は、ユーザの設定によって決定される値、電圧測定装置の構成過程において決定される値、及び複数回にわたって測定することにより、統計に基づいて決定される値を含む。
【0106】
段階1003において、電圧測定装置は、整列誤差及び透過率の割合のうち少なくとも1つを考慮した光強度と位相変位との関係式に基づいて、ポッケルスセル電圧を測定する。電圧測定装置は、整列誤差を考慮した関係式、透過率の割合を考慮した関係式、及び整列誤差と透過率の割合とをいずれも考慮した関係式のうち少なくとも1つに基づいて、位相変位を確認することができる。
【0107】
本開示の一実施形態によれば、電圧測定装置は、第1光検出部と第2光検出部で測定された光強度に基づいて、整列誤差及び透過率の割合のうち少なくとも1つを考慮して、歪まれたデータを獲得することができる。電圧測定装置は、歪まれたデータ曲線を、第1関係式及び第2関係式で決定される光強度と比較し、誤差を決定することができる。
【0108】
段階1005において、電圧測定装置は、ポッケルスセル電圧に基づいて電圧を測定する。
【0109】
本開示の一実施形態によれば、電圧測定装置は、段階1003で決定されたポッケルスセル電圧を利用して電圧補正を行うことができる。
【0110】
本開示の一実施形態によれば、ポッケルスセルを利用した光基盤の電圧測定装置は、従来の電圧測定装置に対し、誤差を減らすことができ、拡張された測定範囲において電圧を測定することができる。
【0111】
光基盤の電圧測定装置のために使用されるレーザの出力は、一定誤差が存在し、運用時間によってドリフト(drift)効果が発生しうる。電圧測定装置が電圧を測定する期間にレーザ出力変化は、光基盤の電圧測定装置の測定電圧の誤差を発生させる。したがって、本開示による電圧測定装置は、レーザ出力変化による電圧信号の歪み現状を補正する信号処理方法に基づいて、誤差を減少させることができる。
【0112】
大型光学システムではない小型センサ形態の場合、ハウジングと光学系との隙間、固定された一体型構成、常時調整不可能などの理由により、光学系の整列が完璧に行われていない。不安定な光学系整列は、電圧測定装置の信号形状を歪み、光基盤の電圧測定装置の追従性能問題を発生させる。本開示による電圧測定装置は、光学系整列状態が発生させる電圧信号の歪み現状を追跡して補正する信号処理方法に基づいて、電圧測定誤差を減少させることができる。
【0113】
理想的な光学系製作は現実的に不可能であることにより、電圧測定装置が測定する信号形状が歪まれる。本開示による電圧測定装置は、光学系特性が発生させる電圧信号の歪み現状を追跡して補正する信号処理方法に基づいて、電圧測定誤差を減少させることができる。
【0114】
本開示の一実施形態によれば、電圧測定装置の電圧測定範囲が(0,Vπ)から(-Vπ,Vπ)に拡張されうる。経時的に変化する電圧を測定する場合、測定範囲は、ポッケルスセルの破壊電圧VBまたは破壊電界EBまで拡張されうる。
【0115】
本開示の特許請求の範囲または明細書に記載された実施形態による方法は、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの組み合わせの形態に具現される(implemented)。
【0116】
ソフトウェアに具現される場合、1以上のプログラム(ソフトウェアモジュール)を保存するコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供されうる。コンピュータ読み取り可能な記録媒体に保存される1以上のプログラムは、電子装置(device)内の1以上のプロセッサによって実行可能であるように構成される(configured for execution)。1以上のプログラムは、電子装置により、本開示の特許請求の範囲または明細書に記載された実施形態による方法を実行するようにする命令語(instructions)を含む。
【0117】
そのようなプログラム(ソフトウェアモジュール、ソフトウェア)は、ランダムアクセスメモリ(random access memory)やフラッシュメモリを含む不揮発性(non-volatile)メモリ、ROM(read only memory)、EEPROM(electrically erasable programmable read only memory)、磁気ディスク保存装置(magnetic disc storage device)、CD(compact disc)-ROM、DVD(digital versatile discs)または他の形態の光学保存装置、マグネチックカセット(magnetic cassette)に保存されうる。または、それらの一部または全部の組み合わせで構成されたメモリに保存されうる。また、それぞれの構成メモリは、複数個含まれることもある。
【0118】
また、プログラムは、インターネット(Internet)、イントラネット(Intranet)、LAN(local area network)、WAN(wide area network)またはSAN(storage area network)のような通信ネットワーク、またはそれらの組み合わせで構成された通信ネットワークを介してアクセスされる付着可能な(attachable)保存装置(storage device)に保存されうる。そのような保存装置は、外部ポートを介して、本開示の実施形態を遂行する装置に接続することができる。また、通信ネットワーク上の別途の保存装置が本開示の実施形態を遂行する装置に接続することもできる。
【0119】
前述の本開示の具体的な実施形態において、開示に含まれる構成要素は、提示された具体的な実施形態によって単数または複数で表現された。しかし、単数または複数の表現は、説明の便宜上、提示した状況に適切に選択されたものであり、本開示が単数または複数の構成要素に制限されるものではなく、複数で表現された構成要素であるとしても、単数で構成可能であり、単数で表現された構成要素であるとしても、複数で構成可能である。
【0120】
一方、本開示の詳細な説明では、具体的な実施形態について説明したが、本開示の範囲から逸脱しない限度内で多様な変形が可能であるということはいうまでもない。したがって、本開示の範囲は、説明された実施形態に限定されて決まってはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、特許請求の範囲と均等なものによって決まらなければならない。
【国際調査報告】