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特表2023-550986半導体ダイを実装するための基板の反りの制御
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-06
(54)【発明の名称】半導体ダイを実装するための基板の反りの制御
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
H01L23/12 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532374
(86)(22)【出願日】2020-12-22
(85)【翻訳文提出日】2023-07-06
(86)【国際出願番号】 EP2020087567
(87)【国際公開番号】W WO2022111842
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】2018676.3
(32)【優先日】2020-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518371892
【氏名又は名称】グラフコアー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Graphcore Limited
【住所又は居所原語表記】11-19 Wine Street,Bristol,BS1 2PH,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100221372
【弁理士】
【氏名又は名称】岡崎 信治
(72)【発明者】
【氏名】サイモン ジョナサン ステイシー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン チン ワン
(57)【要約】
基板及び基板の製造方法。基板は、プリント回路基板上に少なくとも1つの半導体ダイを実装するのに適する。基板は、互いに反対側にある2つの積層体を備え、各積層体が銅と絶縁フィルムとが交互に配置された層を含む。フィルムと銅とは異なる熱膨張係数を有して、互いに反対側にある積層体どうしで異なるフィルム厚さを持たせた基板を提供することによって、基板の反り挙動を制御できるようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント回路基板上に少なくとも1つの半導体ダイを実装するための基板であって、
前記基板は、
前記半導体ダイに向けて配置されるのに適した前記基板の第1の側に、ビルドアップフィルムの層と交互に配置された複数の銅層を含む第1の積層体と、
前記プリント回路基板に向けて配置されるのに適した前記基板の第2の側に、前記ビルドアップフィルムの層と交互に配置された複数の銅層を含む第2の積層体と
を備え、
前記ビルドアップフィルムは、銅よりも高い熱膨張係数を有し、
前記第2の積層体の前記ビルドアップフィルムの層のうちの1つ又は複数の層は、前記第1の積層体の前記ビルドアップフィルムの前記層のうちの対応する層とは異なる厚さを有する、
基板。
【請求項2】
前記第2の積層体の前記ビルドアップフィルムの層のうちの1つ又は複数の層は、前記第1の積層体の前記ビルドアップフィルムの層のうちの対応する層よりも大きい厚さを有する、請求項1に記載の基板。
【請求項3】
前記第2の積層体のビルドアップフィルムの層のうちの1つ又は複数の層は、前記第1の積層体の前記ビルドアップフィルムの層のうちの対応する層よりも小さい厚さを有する、請求項1に記載の基板。
【請求項4】
前記第2の積層体の前記ビルドアップフィルムの層のうちの1つ又は複数の層は、前記第1の積層体の前記ビルドアップフィルムの層のうちの対応する層と1マイクロメートル以上厚さが異なる、請求項1~3のいずれか一項に記載の基板。
【請求項5】
前記第1の積層体の前記ビルドアップフィルムの層のうちの1つ又は複数の層の一部が第1の厚さを有し、前記第1の積層体の前記ビルドアップフィルムの層の前記一部が、前記第1の積層体の前記銅層のうちの2つの層の間にあり、前記2つの層に隣接し、
前記第2の積層体の前記ビルドアップフィルムの対応する層の一部が第2の厚さを有し、前記第2の積層体の前記ビルドアップフィルムの対応する層の前記一部が、前記第2の積層体の前記銅層のうちの2つ層の間にあり、前記2つ層に隣接し、
前記第1の厚さは、前記第2の厚さとは異なる、請求項1~4のいずれか一項に記載の基板。
【請求項6】
前記第1の厚さは、前記第2の厚さよりも大きい、請求項5に記載の基板。
【請求項7】
前記第1の厚さは、前記第2の厚さとは1マイクロメートル以上異なる、請求項5又は6に記載の基板。
【請求項8】
前記第2の積層体の前記ビルドアップフィルムの層のうちの前記1つ又は複数の層は、前記第2の積層体のビルドアップフィルムの層のうち、前記プリント回路基板から最も離れて配置されるように構成される層を含み、
前記第1の積層体の前記ビルドアップフィルムの層のうちの対応する層は、前記第1の積層体のビルドアップフィルムの層のうち、前記半導体ダイから最も離れて配置されるように構成される層を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の基板。
【請求項9】
前記第2の積層体の前記ビルドアップフィルムの層のうちの1つ又は複数の層は、ビルドアップフィルムの単一の層のみを含み、
前記第1の積層体の前記ビルドアップフィルムの層のうちの対応する層は、ビルドアップフィルムの単一の層のみを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の基板。
【請求項10】
前記第2の積層体の前記ビルドアップフィルムの層のうちの1つ又は複数の層は、前記ビルドアップフィルムの複数の層を含み、
前記第1の積層体の前記ビルドアップフィルムの層のうちの対応する層は、前記ビルドアップフィルムの複数の層を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の基板。
【請求項11】
前記ビルドアップフィルムは、味の素ビルドアップフィルムである、請求項1~10のいずれか一項に記載の基板。
【請求項12】
前記ビルドアップフィルムのヤング率は、銅のヤング率よりも低い、請求項1~11のいずれか一項に記載の基板。
【請求項13】
前記基板はコアを更に備え、
前記第1の積層体が前記コアの第1の側に配置され、前記第2の積層体が前記コアの第2の側に配置される、請求項1~12のいずれか一項に記載の基板。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の基板の製造方法であって、
前記第2の積層体に、前記第2の積層体の銅層のうちの1つの層と重なるように、前記第2の積層体の前記ビルドアップフィルムの層のうちの1つ又は複数の層を付加することと、
前記第1の積層体に、前記第1の積層体の銅層のうちの1つの層と重なるように、前記第1の積層体の前記ビルドアップフィルムの層のうちの対応する層を付加することと、
を含み、
前記第2の積層体の前記ビルドアップフィルムの層のうちの1つ又は複数の層は、前記第2の積層体に付加されたときに、前記第1の積層体の前記ビルドアップフィルムの層のうちの対応する層が前記第1の積層体に付加されたときの対応する層の厚さとは異なる厚さを有し、前記方法が、
前記第2の積層体の前記ビルドアップフィルムの層のうちの1つ又は複数の層と、前記第1の積層体の前記ビルドアップフィルムの層のうちの対応する層とが、少なくとも前記銅層のうちの1つの層に重なる対応する層の領域で薄くなるように熱を加えること、
を含み、
前記加熱工程の後、前記第2の積層体の前記ビルドアップフィルムの層のうちの1つ又は複数の層は、前記第1の積層体の前記ビルドアップフィルムの層のうちの対応する層の厚さとは異なる厚さを有する、
基板の製造方法。
【請求項15】
前記加熱工程の後、前記第2の積層体の前記ビルドアップフィルムの層のうちの1つ又は複数の層は、前記銅層と重なる領域において、前記銅層と重なる前記第1の積層体の前記ビルドアップフィルムの対応する層の厚さとは異なる厚さを有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の積層体の前記ビルドアップフィルムの層のうちの1つ又は複数の層について、前記第2の積層体に付加されたときの厚さが、前記第1の積層体の前記ビルドアップフィルムの層のうちの対応する層が前記第1の積層体に付加されたときの前記対応する層の厚さとは少なくとも1マイクロメートル異なる、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記加熱工程の後、前記第2の積層体の前記ビルドアップフィルムの層のうちの1つ又は複数の層は、前記第1の積層体の前記ビルドアップフィルムの層のうちの対応する層の厚さとは少なくとも1マイクロメートル異なる厚さを有する、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の積層体の前記ビルドアップフィルムの層のうちの1つ又は複数の層は、前記第2の積層体に付加されたときに、前記第1の積層体の前記ビルドアップフィルムの層のうちの対応する層が前記第1の積層体に付加されたときの前記対応する層の厚さよりも大きい厚さを有し、
前記加熱工程の後、前記第2の積層体の前記ビルドアップフィルムの層のうちの1つ又は複数の層は、前記第1の積層体の前記ビルドアップフィルムの層のうちの対応する層の厚さよりも大きい厚さを有する、請求項14~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の積層体の前記ビルドアップフィルムの層のうちの1つ又は複数の層は、前記第2の積層体に付加されたときに、前記第1の積層体の前記ビルドアップフィルムの層のうちの対応する層が前記第1の積層体に付加されたときの前記対応する層の厚さよりも小さい厚さを有し、
前記加熱工程の後、前記第2の積層体の前記ビルドアップフィルムの層のうちの1つ又は複数の層は、前記第1の積層体の前記ビルドアップフィルムの層のうちの対応する層の厚さよりも小さい厚さを有する、請求項14~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
請求項1~13のいずれか一項に記載の基板と、
前記基板に実装された半導体ダイと、
プリント回路基板と、
前記第2の積層体の外側銅層と前記プリント回路基板又は前記プリント回路基板に実装するための更なる基板のいずれかの接続パッドとの間における接続部を形成する複数のはんだボールと、
を備える、デバイス。
【請求項21】
前記第1の積層体の外側銅層と前記半導体ダイの接続パッドとの間における接続部を形成する更なる複数のはんだバンプを備える、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記デバイスは、フリップチップパッケージである、請求項20又は21に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プリント回路基板上に半導体ダイを実装するための基板、及びそのような基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、1片の半導体材料(例えば、シリコン)上に製造された一式の電子回路である。通常、集積回路は、半導体材料の単一の大きなウェーハ上に大量に製造された後、個片化され、個片が集積回路の複製を含む。これらの個片のそれぞれがダイと呼ばれる。
【0003】
電力を受け取り、信号を交換するために他のコンポーネントに接続し得る有用な電子コンポーネントの形態で集積回路を設けるために、ダイはプリント回路基板(PCB)上に実装される。PCB上にダイを実装するための様々な技法が知られており、それぞれに利点及び欠点がある。
【0004】
PCB上にダイを実装するための技法のいくつかは、ダイ技術とPCB技術との間のインターコネクトピッチを橋渡しするための基板を利用する。基板は、ダイとPCBとの間を電気的に接続する複数の銅の層を備える。これらの銅の層は、電気絶縁材料の層と交互に配置される。銅は、電気絶縁材料にあるビアを介して、基板の両側どうしを電気的に接続する。
【0005】
銅の層は一般に基板全体で構成が変わるため、基板の一方の側と基板の他方の側との間に銅の不均衡が存在する状況が生じ得る。この銅の不均衡は、基板の一方の側と基板の他方の側との間に熱膨張係数(CTE)の不均衡をもたらす。基板を製造し、ダイを実装するための工程中に熱が加えられるため、基板の両側どうしにおけるCTEの不均衡は基板に反りをもたらす。
【0006】
基板に反りがあると、パッケージ組立工程中に特定の問題が生じる。例えば、フリップチップパッケージでは、ダイは、複数のはんだバンプを使用して細かいピッチ及びサイズで基板に接続される。ダイと基板との間にあるこれらのはんだバンプは、不良となることがある。このことは、基板に反りがあることにより、実装工程中に基板の領域がダイに近づきすぎて、基板とダイとの間のはんだ接続部の一部が圧縮され、圧縮下ではんだバンプの細くなった部分(waist)が拡大すると融合する可能性がある場合に起こり得る。更に、基板に反りがあることにより、パッケージはんだボールの一部が、確実なはんだ接合を形成するにはPCBから離れすぎたままとなるため、基板とPCBとの間における意図されていた接続部の一部を形成できないことにつながることもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、加熱に起因して生じる基板の反りを制御することが求められている。この問題を解決するための1つの手法は、基板の両側にある銅の量の不均衡から生じる反りを最小化するように、銅層の構成を調整することである。しかしながら、この手法に完全に依存することは、基板における銅のレイアウトに設計上の制約を課し、そうすると、ダイとPCBとの間における電力及び信号品位が適切な状態で必要な接続性を達成することが難しくなり得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様によれば、プリント回路基板上に少なくとも1つの半導体ダイを実装するための基板であって、基板は、半導体ダイに向けて配置されるのに適した基板の第1の側に、電気絶縁フィルムの層と交互に配置された複数の銅層を含む第1の積層体と、プリント回路基板に向けて配置されるのに適した基板の第2の側に、電気絶縁フィルムの層と交互に配置された複数の銅層を含む第2の積層体とを備え、電気絶縁フィルムが銅とは異なる熱膨張係数を有し、第2の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの1つ又は複数の層は、第1の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの対応する層とは異なる厚さを有する、基板が提供される。
【0009】
この新しい基板では、電気絶縁フィルムの層のうちの1つ又は複数の層の厚さが、基板の一方の側で、基板の他方の側よりも大きくなるように設定される。そうすることにより、反り挙動が制御され得る。電気絶縁フィルムの厚さの違いを使用して、基板の反りを制御することにより、より予測しやすい反り挙動を呈する基板を製造することが可能である。これにより、基板の設計に大きな制約を課すことなく、反りに関連する課題を管理することができる。
【0010】
この新しい基板が呈する効果は、本発明者らにとって大きな驚きであった。絶縁フィルムは銅とは異なる熱膨張係数を有し得るが、そのような絶縁フィルムに使用される材料のヤング率は、通常、銅のヤング率よりかなり低いことから、絶縁フィルムの厚さを変えても、基板の反りにほとんど影響しないと考えられていた。しかしながら、電気絶縁フィルムの層どうしで厚さをほんのわずかでも異ならせて基板を製造することが基板の反りに大きな影響を与えるという実験的な証拠が確認された。
【0011】
いくつかの実施形態では、第2の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの1つ又は複数の層は、第1の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの対応する層よりも大きい厚さを有し、電気絶縁フィルムは、銅よりも大きい熱膨張係数を有する。
【0012】
いくつかの実施形態では、第2の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの1つ又は複数の層は、第1の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの対応する層よりも大きい厚さを有し、電気絶縁フィルムは、銅よりも小さい熱膨張係数を有する。
【0013】
いくつかの実施形態では、第2の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの1つ又は複数の層は、第1の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの対応する層よりも小さい厚さを有し、電気絶縁フィルムは、銅よりも大きい熱膨張係数を有する。
【0014】
いくつかの実施形態では、第2の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの1つ又は複数の層は、第1の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの対応する層よりも小さい厚さを有し、電気絶縁フィルムは、銅よりも小さい熱膨張係数を有する。
【0015】
いくつかの実施形態では、第2の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの1つ又は複数の層は、第1の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの対応する層と1マイクロメートル以上厚さが異なる。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの1つ又は複数の層の一部が第1の厚さを有し、第1の積層体の電気絶縁フィルムの層の当該一部が、第1の積層体の銅層のうちの2つの層の間にあり、2つの層に隣接し、第2の積層体の電気絶縁フィルムの対応する層の一部が第2の厚さを有し、第2の積層体の電気絶縁フィルムの対応する層の当該一部が、第2の積層体の銅層のうちの2つ層の間にあり、2つの層に隣接し、第1の厚さは第2の厚さとは異なる。
【0017】
いくつかの実施形態では、第1の厚さは第2の厚さよりも大きく、電気絶縁フィルムは銅よりも大きい熱膨張係数を有する。
【0018】
いくつかの実施形態では、第1の厚さは、第2の厚さとは1マイクロメートル以上異なる。
【0019】
いくつかの実施形態では、第2の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの1つ又は複数の層は、第2の積層体の電気絶縁フィルムの層のうち、プリント回路基板から最も離れて配置されるように構成される層を含み、第1の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの対応する層は、第1の積層体の電気絶縁フィルムの層のうち、半導体ダイから最も離れて配置されるように構成される層を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、第2の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの1つ又は複数の層は、電気絶縁フィルムの単一の層のみを含み、第1の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの対応する層は、電気絶縁フィルムの単一の層のみを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、第2の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの1つ又は複数の層は、電気絶縁フィルムの複数の層を含み、第1の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの対応する層は、電気絶縁フィルムの複数の層を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、電気絶縁フィルムは、ビルドアップフィルムである。
【0023】
いくつかの実施形態では、基板がコアを更に備え、第1の積層体がコアの第1の側に配置され、第2の積層体がコアの第2の側に配置される。
【0024】
第2の態様によれば、第1の態様による基板の製造方法であって、第2の積層体に、第2の積層体の銅層のうちの1つの層と重なるように、第2の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの1つ又は複数の層を付加することと、第1の積層体に、第1の積層体の銅層のうちの1つの層と重なるように、第1の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの対応する層を付加することとを含み、第2の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの1つ又は複数の層は、第2の積層体に付加されたときに、第1の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの対応する層が第1の積層体に付加されたときの当該対応する層の厚さとは異なる厚さを有し、本方法が、第2の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの1つ又は複数の層と、第1の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの対応する層とが、少なくとも銅層のうちの1つの層に重なる対応する層の領域で薄くなるように熱を加えることを含み、加熱工程の後、第2の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの1つ又は複数の層は、第1の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの対応する層の厚さとは異なる厚さを有する、製造方法が提供される。
【0025】
いくつかの実施形態では、加熱工程の後、第2の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの1つ又は複数の層は、銅層と重なる領域において、銅層と重なる第1の積層体の電気絶縁フィルムの対応する層の厚さとは異なる厚さを有する。
【0026】
いくつかの実施形態では、第2の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの1つ又は複数の層について、第2の積層体に付加されたときの厚さが、第1の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの対応する層が第1の積層体に付加されたときの当該対応する層の厚さとは少なくとも1マイクロメートル異なる。
【0027】
いくつかの実施形態では、加熱工程の後、第2の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの1つ又は複数の層は、第1の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの対応する層の厚さとは少なくとも1マイクロメートル異なる厚さを有する。
【0028】
いくつかの実施形態では、第2の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの1つ又は複数の層は、第2の積層体に付加されたときに、第1の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの対応する層が第1の積層体に付加されたときの当該対応する層の厚さよりも大きい厚さを有し、加熱工程の後、第2の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの1つ又は複数の層は、第1の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの対応する層の厚さよりも大きい厚さを有する。
【0029】
いくつかの実施形態では、第2の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの1つ又は複数の層は、第2の積層体に付加されたときに、第1の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの対応する層が第1の積層体に付加されたときの当該対応する層の厚さよりも小さい厚さを有し、加熱工程の後、第2の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの1つ又は複数の層は、第1の積層体の電気絶縁フィルムの層のうちの対応する層の厚さよりも小さい厚さを有する。
【0030】
第3の態様によれば、第2の態様による方法を用いて製造された基板が提供される。
【0031】
第4の態様によれば、第1の態様による基板と、基板上に実装された半導体ダイと、プリント回路基板と、第2の積層体の外側銅層とプリント回路基板又はプリント回路基板に実装するための更なる基板のいずれかの接続パッドとの間における接続部を形成する複数のはんだボールと、を備える、デバイスが提供される。
【0032】
いくつかの実施形態では、デバイスは、第1の積層体の外側銅層と半導体ダイの接続パッドとの間における接続部を形成する更なる複数のはんだバンプを備える。
【0033】
いくつかの実施形態では、デバイスは、フリップチップパッケージである。
【0034】
本発明をよりよく理解するために、また、本発明がどのように実施され得るかを示すために、ここで、添付の図面を例として参照する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】フリップチップパッケージの一例を示す。
図2】ワイヤボンドパッケージの一例を示す。
図3】フリップチップパッケージにおける基板の最上部の断面図である。
図4】基板の断面図である。
図5】基板の部分、及び関連する反り挙動を示し、基板は両方の積層体に同じ厚さの電気絶縁フィルムの層を有する。
図6】基板の部分、及び関連する反り挙動を示し、基板は、基板の最下層における対応する層よりも薄い電気絶縁フィルムの層を基板の最上積層体に有する。
図7】基板の部分、及び関連する反り挙動を示し、基板は、基板の最下層における対応する層よりも厚い電気絶縁フィルムの層を基板の最上積層体に有する。
図8】電気絶縁フィルムの一部分の厚さと基板の反りとの間の関係を示す。
図9】電気絶縁フィルムの層の複数の対応する対が互いに異なる厚さを有する基板の部分を示す。
図10】本出願の実施形態による基板の製造方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
次に、添付の図面を参照しながら、実施形態をより詳細に説明する。これらの実施形態は、米国特許出願第15/886065号明細書に記載されたインテリジェンスプロセッシングユニット(Intelligence Processing Unit、IPU)を備える集積回路で実施されてよく、同米国特許出願は参照により組み込まれる。以下の例で論じる各ダイは、このようなIPUを備え得る。
【0037】
PCBにダイを実装するために使用され得る様々な技法が存在する。フリップチップと呼ばれるこのような技法の1つ目は、ダイと基板との間に接続部を形成するために一連のはんだバンプを利用する。この技法では、ダイが「反転」される、すなわち半導体ウェーハが基板とは反対側を向き、接続パッドを備えるダイの能動側が基板に面するように配置される。はんだバンプは、基板にパッドを接続するために、能動側のこれらの接続パッド上に形成される。
【0038】
図1を参照すると、図1は、フリップチップパッケージ100の一例を示している。パッケージ100は、ダイ101の一方の側に沿って配置された一連のはんだバンプ102を有するダイ101を示している。リフロー工程において、パッケージ100は、ダイ101と基板104との間に接続部を形成するはんだバンプ102を溶融するために(例えば、240℃まで)加熱される。リフロー工程後、はんだバンプ102は冷えて固化し、基板104にダイ101を固定する。その後の工程では、アンダーフィル103と呼ばれる接着剤103が、基板104の上に付加され、はんだバンプ102間の間隙に流れる。次いで、このアンダーフィル103が加熱されて、アンダーフィルを硬化し、はんだバンプ102の間に残されたアンダーフィル103のネットワークを介して、ダイ101と基板104との間に支持結合を形成する。これにより、熱膨張係数の差に起因するダイ101の能動回路における応力が軽減され、更に、パッケージ100のその後のリフロー中に発生し得るはんだバンプ102間の融合が防止される。はんだバンプ102は、基板104上の所定の接続ポイントに固定されて、はんだバンプ102を介してダイ101の接続パッドと基板104との間の電気的接続を可能にする。所定の接続ポイントは、基板104の銅の最上層の部分である。
【0039】
基板104の他方の側では、基板104は、一連のはんだボール106によってPCB105に接続される。これらのはんだボール106は、バンプ102よりもサイズが大きく、ボールグリッドアレイ(BGA)はんだボール106と呼ばれ得る。パッケージ100が(例えば、240℃まで)加熱されるリフロー工程において、はんだボール106は溶融される。この工程の後、はんだボール106は冷えて、PCB105に基板104を固定する。はんだボール106は、基板104とPCB105上の接続ポイントとの間を電気的に接続するために、基板104の底部の所定の接続ポイントに固定される。これらの所定の接続ポイントは、基板104の銅の最下層の部分である。
【0040】
PCBにダイを実装するための第2の技法は、ワイヤボンドと呼ばれ、基板とは反対側を向く、ダイの能動側に固定される一連のワイヤパッドを利用する。これらのワイヤボンドパッドはワイヤに接続され、その他端は基板上で所定の接続ポイントとの接続部を形成する。
【0041】
図2を参照すると、図2は、ワイヤボンドパッケージ200の一例を示している。図示のダイ201は、ダイ101と機能的に同じであり得るが、この場合では、ダイ201の能動側が基板204とは反対側を向く。ダイ201の上にある接続パッドは、ワイヤ202を介して基板204に接続される。ワイヤ202は、基板204を介してPCB205への適切な接続部を形成するために、基板204上の銅の最上層の所定の接続ポイントに接続する。
【0042】
ダイ201は、はんだバンプ102を使用せずに、ダイアタッチ接着剤203を用いて基板204に固定される。
【0043】
フリップチップパッケージ100の例と同様に、基板204は、BGAボールであり得るはんだボール206を介してPCB205に接続される。図1に示すはんだボール106と同様に、これらのはんだボール206は加熱され、基板204の最下銅層上の接続ポイントに配置される。はんだボール206は、基板204とPCB205上の接続点との間に電気的接続部を形成する。冷却されると、ボール206を介した基板204とPCB205との間の接続部は永続的になる。
【0044】
図1及び図2はいずれも、はんだボール106、206を介してPCB205に直接接続される基板104、106を示しているが、本発明のいくつかの実施形態では、ダイが接続される基板は、基板とPCBとの間に配置される1つ又は複数の更なる基板に接続されてもよい。この場合では、はんだボール(ボール106、206など)は、1つ又は複数の更なる基板を介してPCBにダイを実装するために、更なる基板に基板を固定する。
【0045】
本発明の実施形態は、フリップチップパッケージ100とワイヤボンドパッケージ200との双方において利点を有する。基板の反りを制御することにより、ダイ/PCBに基板を接続するために使用されるはんだバンプ/ボール接続部における故障確率が低減され得る。フリップチップパッケージ100とワイヤボンドパッケージ200との双方が、はんだボール106、206を使用して、(直接又は1つ若しくは複数の更なる基板を介して)PCB105、205にダイ101、201を接続するため、本発明はフリップチップパッケージ100とワイヤボンドパッケージ200との両方に適用可能である。しかしながら、フリップチップパッケージ100は、基板104にダイ101を接続するために使用される一式のはんだバンプ102も含むため、本発明は、フリップチップパッケージ100に適用されると特に有利である。
【0046】
図3を参照すると、図3は、フリップチップパッケージ100に使用される基板104の最上部に沿った複数の断面図の一例を示している。各断面図は、ダイ101の最下部に沿った異なるポイントで使用されるはんだバンプ102a~iに対する反りの影響を示している。第1の断面図310は、ダイ101の一方の縁部に配置されたはんだバンプ102a~cの図である。第2の断面図320は、ダイ101の略中央に配置されたはんだバンプ102d~fの図である。第3の断面図330は、ダイ101の他方の縁部に配置されたはんだバンプ102g~iの図である。
【0047】
3つの異なる図310、320、330は、基板104がダイ101の中央よりもダイ101の縁部においてダイ101に近くなるように反った基板104に関して見た図である。このような基板は、正の反りを呈するといわれる。この正の反りの影響は、断面図310、320、330を比較することにより観察され得る。中央の図320におけるダイ101と基板104との間の距離は62μmである一方、縁部の図310及び図330におけるダイ101と基板104との間の距離は、それぞれ52μm及び44μmである。
【0048】
図310及び図330から分かるように、ダイ101と基板104との間の間隙が小さくなると、はんだバンプ102が潰れ、変形され得る。はんだバンプ102a~c及びはんだバンプ102gはいずれも、基板104上のそれぞれの位置において基板104とダイ101との間が近いために生じる、あるレベルの変形を示している。このことは、変形が特定のレベル未満に保たれる場合には、デバイスの動作において必ずしも問題があるわけではない。しかしながら、変形がリフロー工程において大きくなりすぎる場合、変形したはんだバンプが接続し、その結果、単一の融合したはんだバンプとなり、ダイ101と基板104との間に2つの別個の接続部がなくなることがある。このことが図3から分かり、はんだバンプ102hがはんだバンプ102iと融合して、単一の拡大されたはんだバンプを形成している。
【0049】
ダイ101と基板104との間の界面における接続性の問題を示すのと同様に、基板104の反りは、基板104とPCB105との間の界面における接続性の問題も示し得ることが理解されよう。例えば、基板104の反りによって、図3に示すように、ダイ101と基板104との間の間隔が基板104の縁部において狭くなることで、PCB105と基板104との間の間隔が基板104の縁部において広くなり得る。この大きい間隙は、基板104の縁部に配置されたはんだボール106がPCB105に接触せず、したがって意図されている確実なはんだ接合を形成しないことを意味する。基板/PCB界面におけるこの問題は、図1に示すフリップチップパッケージだけでなく、図2に示すワイヤボンドパッケージ200でも存在し得る。また、PCB105、205に基板104、204及びダイ101、201を実装するために更なる基板が使用される場合、この問題は、基板104、204と更なる基板との間の界面に存在することもある。
【0050】
図4を参照すると、図4は、基板104の断面を示している。基板104の上には、はんだバンプ102があることが示されている。基板104はコア405を備え、コア405の周囲に2つの積層体410a、410bが構築される。積層体410a、410bのそれぞれが、電気絶縁フィルムの複数の層と交互に配置された複数の銅層を備える。例えば、図4は、積層体410aの部分である、銅420の例示的な層と、電気絶縁フィルム425の例示的な層とを示している。本明細書で使用される場合、「第1の積層体」という用語は、ダイに取り付けるのに適した積層体を指す。したがって、積層体410aは、第1の積層体の一例である。本明細書で使用される場合、「第2の積層体」という用語は、PCBに取り付けるのに適した積層体、又はPCBに実装するための更なる基板を指す。したがって、積層体410bは、第2の積層体の一例である。
【0051】
コア405は、積層体410a、410bの層が構築されるガラスと樹脂材料との混合物を含む。複数の孔がコア405を貫通してドリルで開けられ、銅めっきがこれらの孔に施されてビア415を形成する。ビア415は、2つの積層体410a、410bとの間に接続性を提供して、基板104を通る接続部を形成できるようにする。
【0052】
場合によっては、銅及び電気絶縁フィルムの層がコア405上に次々に堆積されてもよい。この場合、電気絶縁フィルムはビルドアップフィルムと呼ばれ得る。例えば、ビルドアップフィルムは、味の素ビルドアップフィルム(ABF)であり得る。積層体410a、410bのそれぞれを構築する際、最初に銅の層がコア405の上に堆積される。この銅は、その層に必要な接続性を提供するように、例えば、ビア415の1つ又は複数と、対応する積層体410a、410bにおいて上にある次の銅層の銅との間の接続性を提供するようにパターニングされる。銅の第1の層を形成し、パターニングした後、ビルドアップフィルムの第1の層が露出表面に付加される。フィルムは、フィルムが銅間の間隙に流れ込むように圧縮され、加熱されて、平面状表面を残す。孔がフィルムに開けられて、孔又はビアの底にある第1の銅層を露出させ、銅の第2の層がフィルムの上に付加される。銅の第2の層はビアに入って、銅の第1の層と銅の第2の層との間の接続性を提供する。銅層間のビア430の例を図4に示す。部分的に構築された基板の両側に、ビルドアップフィルムの更なる層及び銅の更なる層を付加して、積層体410a、410bを設ける。積層体410aにおける銅の構成は、はんだバンプ102の1つ又は複数と、コア405におけるビア415の1つ又は複数との間の接続性を提供する。同様に、積層体410bにおける銅の構成は、はんだボール106(図4に示さず)の1つ又は複数と、コア405におけるビア415の1つ又は複数との間の接続性を提供する。
【0053】
積層体410a、410bの各層が順番に構築されると説明してきたが、他の例では、ビルドアップフィルム及び銅の別々の個々の層を堆積させるのではなく、銅の層を取り付けた状態で電気絶縁フィルムの層を設けることもできる。このような各層はプリプレグと呼ばれ、プリプレグ層は、積層体410a、410bのそれぞれを製造するために、重ねて堆積される。
【0054】
図4は、フリップチップパッケージ100で使用される基板104を示しているが、ワイヤボンドパッケージ200で使用される基板204は、本明細書で基板104が有しているものとして記載されているのと同じ特徴を有し得る。ただし、基板104の最上部にはんだバンプ102は存在しない。
【0055】
更に、積層体410a、410bのそれぞれがコア405の1つの側に設けられていると説明してきたが、基板が、積層体410a、410bのそれぞれが互いに直接接続された状態で、コアレス基板として設けられてもよい。
【0056】
図4から分かるように、積層体410aにおける銅層の構成は、積層体410bにおける銅層の構成とは顕著に異なる。レイアウトの構成における違いは、2つの積層体410a、410b間の銅の不均衡をもたらし得、不均衡は、基板104が加熱されると基板に反りを発生させ得る。
【0057】
図5を参照すると、図5は、基板の両側の電気絶縁フィルムの層が同じ厚さを有する場合の異なるサンプルについて、これらの基板104、204のいずれかの反りが温度によって変化し得る様子を示している。図5は、基板の部分500を示している。基板の部分500は、コア405と、コア405の両側にある電気絶縁フィルムの2つの層505、510とを含む。層505、510は、それらの対応する積層体において対応する位置にある。層505、510のそれぞれが、その対応する積層体において基板の縁部から最も遠い(例えば、コア405に最も近い)電気絶縁フィルムの層であり得る。
【0058】
層505、510は、互いに同じ厚さで、この例では40μmで積層体に付加される。後述のように、各層の厚さは、熱を加えて層を軟化させて変形できるようにすると変化し得る。積層体の残りの層(図5では示さず)は、反対側にある積層体の対応する層と同じ厚さでそれぞれ設けられる。
【0059】
グラフ515は、3つの異なる基板サンプルについて、反り挙動が温度によって変化する様子を示している。反りは、正又は負であり得る。正の反りは、基板が、ダイの縁部においてダイに向かって上向きに湾曲することを示す。負の反りは、その反対を示し、つまり、基板が、ダイの縁部においてダイから離れるように湾曲することを示す。正の反りは、図3に関連して上述した問題に関連し、一般に、より好ましくない。
【0060】
グラフ515に示す第1のサンプル(基板1)は、35℃のときに負の反り(-26)を呈し、また260℃に加熱されたときに負の反り(-30)を呈する。サンプル基板が55℃に冷却された場合、基板は負の反り(-36)を依然として呈する。
【0061】
グラフ515に示す第2のサンプルは、35℃のときに正の反り(23)を呈し、260℃に加熱されたときに更に大きい正の反り(53)を呈する。サンプル基板が55℃に冷却された場合、基板は高い正の反り(52)に保たれる。
【0062】
グラフ515に示す第3のサンプルは、35℃のときに正の反り(31)を示し、260℃のときに正の反り(21)を示す。サンプル基板が55℃に冷却された場合、基板は正の反り(30)を依然として呈する。
【0063】
したがって、2つのフィルム505、510が等しい厚さのフィルムである場合、反り挙動は異なる基板のサンプル間で一致しないことが分かる。反りは、正又は負であり得、基板の両側の銅層の特定の構成に大きく依存する。更に、反りの方向は、製造工程の自然なばらつきの結果として変わり得る。
【0064】
また、温度変化の影響も図5から分かる。上記のように、基板の2つの側の間の銅の不均衡は、基板が加熱されたときに反りをもたらす。製造工程において熱が加えられるため、仕上がった基板は反りを呈する。図5に示すように、基板の反りはまた、(例えば、基板にダイを実装するために用いられるリフロー工程において)更に熱を加えることに応じて変化し得る。
【0065】
本発明の実施形態によれば、新しい基板が提供される。この新しい基板では、銅のフィルム積層体の一方における電気絶縁フィルムの少なくとも1つの層が、銅のフィルム積層体の他方における対応する層よりも厚い。いくつかの実施形態では、積層体における対応する層の1つの対のみが、厚さを異にする。他の実施形態では、積層体における対応する層の複数の対が、厚さを異にしてもよい。電気絶縁フィルムは、銅とは異なる熱膨張係数で設けられるため、基板の両側の電気絶縁フィルムの層の厚さをこのように制御することによって、基板の反りが制御される。
【0066】
ここでいう「対応する層」とは、対応する積層体において同じ位置を占める層を意味する。例えば、第1の積層体における電気絶縁フィルムの第1の層(すなわち、ダイから最も遠く、コアが存在する場合は基板のコアに最も近い第1の積層体の層)は、第2の積層体における電気絶縁フィルムの第1の層(すなわち、PCBから最も遠く、コアが存在する場合は基板のコアに最も近い第2の積層体の層)に対応すると言うことができる。
【0067】
本発明の実施形態による新しい基板は、上述の基板104、204と同じ特徴を有し得るが、積層体410a、410bにおける1つ又は複数の対応する層が異なる厚さを有する。例示的な基板104、204のそれぞれが、コア405を有するものとして提示されているが、新しい基板のいくつかの実施形態では、コア405は存在せず、2つの積層体が直接連結されていてもよい。
【0068】
次に、図6図9を参照し、図6図9を参照しながら本発明の例示的な実施形態を説明する。これらの例では、電気絶縁フィルムのCTEは銅のCTEよりも大きく、その結果、図示及び説明される挙動が得られる。説明では、電気絶縁フィルムの層の厚さを論じる。本明細書では、「厚さ」を論じる場合、基板を横断する、フィルムの関連する層の平均厚さを指す。
【0069】
図6を参照すると、図6は、本発明の実施形態による基板の異なるサンプルについて、基板の反りが温度によって変化し得る様子を示している。図6は、コア405を囲む電気絶縁フィルムの2つの層605、510を示す基板の部分600を示している。2つの層605、510は、積層体において対応する位置にある。いくつかの実施形態では、層605、510は、積層体における、基板から最も遠い(例えば、コア405に最も近い)電気絶縁フィルムの層であり得る。
【0070】
基板の例示的な部分600は、基板の部分500と同じであり得るが、違う点は、基板の下半分における層510は、基板の上半分の層605よりも厚いという点である。この例では、フィルム層510はフィルム層605よりも5マイクロメートル厚い。
【0071】
図6に示す厚さの値は、製造時に積層体に付加されたフィルムの厚さを示す。第1の積層体の部分として付加された層605は、第1の積層体に付加されたときの厚さが35μmである。第2の積層体の部分として付加された層510は、第2の積層体に付加されたときの厚さが40μmである。これらの層の両方が付加されると、基板の部分600が加熱され、押圧され、これにより、銅層と重なるポイントにおいてフィルムが薄くなる。しかしながら、この加熱及び薄層化工程後、層605は、依然として層510よりも薄い。
【0072】
グラフ615から理解され得るように、異なる基板サンプルは、温度が変化するにつれて、一貫した負の反りを呈する。3つのサンプルそれぞれについて、サンプルが35℃のとき、260℃に加熱されたとき、又は55℃に冷却されたときの反りは負である。
【0073】
部分600を含む基板は、ダイの縁部の近くにある小さなはんだバンプ102どうしが融合する、図3に関連して上述した問題への対処に特に適し得る。基板は、負の反りを一貫して呈することにより、ダイの縁部においてはんだバンプ102どうしを融合させにくくする。
【0074】
したがって、部分600は、基板の反りの方向を一貫して負に設定することができ、銅の均衡のわずかな差又は製造工程における自然なばらつきに由来する異なるサンプル間の反りのばらつきを低減することができる。そうすると、銅の均衡及び組立工程の態様などの他の設計因子が、最小限の反り量しか呈さない基板を製造するために、基板が呈する反りの大きさを最小化するように調整され得る。反り量を低いレベルに低減することにより、結果として得られる基板は、図3に関連して上述した橋渡しの問題に対処するだけでなく、基板とPCBとの間などの付加的な接続性の問題にも対処する。
【0075】
図7を参照すると、図7は、本発明の実施形態による基板の部分700の更なる例を示している。図面は、上記部分700を含む基板の異なるサンプルについて、基板の反りが温度によって変化し得る様子を示している。図7は、コア405を囲む電気絶縁フィルムの2つの層505、710を示す基板の部分700を示している。2つの層505、710は、積層体において対応する位置にある。層505、710のそれぞれが、その対応する積層体において基板から最も遠い(例えば、コア405に最も近い)電気絶縁フィルムの層であり得る。
【0076】
例示的な部分700は、部分500、600と同じであり得るが、違う点は、基板の上半分における層505は、基板の下半分の層710よりも厚いという点である。この例では、フィルム層505はフィルム層710よりも5マイクロメートル厚い。
【0077】
図6に示すように、図7に示す厚さの値は、製造時に積層体に付加されたフィルムの厚さを示し、この厚さは、加熱及び押圧工程に応じて低減され得る。しかしながら、この加熱及び薄層化工程後、層505は、依然として層710よりも厚い。
【0078】
グラフ715は、それぞれが部分700を含む異なる基板サンプルの反りを示している。グラフ715から理解され得るように、基板サンプルは、温度が変化しても、一貫した正の反りを呈する。3つのサンプルそれぞれについて、サンプルが35℃のとき、260℃に加熱されたとき、又は55℃に冷却されたときの反りは正である。
【0079】
したがって、部分700は、反りの方向を一貫して正に設定することができ、サンプル間の反りのばらつきを低減する。銅の均衡などの他の設計因子を調整することにより、この反りの大きさは最小化され得る。しかしながら、反りを制御するために完全な銅の均衡は必要とされないため、より多くの設計の自由度が提供される。
【0080】
図6及び図7に示す例示的なサンプルのそれぞれでは、フィルムの1つを除いてすべての層が同じ厚さ(例えば、40μm)で設けられる。しかしながら、電気絶縁フィルム層のうちの1つの層(図7の層605及び図7の層710)は、異なる厚さ(例えば、35μm)で設けられる。したがって、基板における電気絶縁フィルムの単一の層のみの厚さを修正することにより、基板の反り挙動を修正することが可能である。図6及び図7に示す例では、この異なる層は、基板の他の層に対して厚さを減らして設けられるが、他の実施形態では、異なる層は、より大きな厚さで設けられて、結果として、グラフ615、715で示されたものとは反対の反り挙動をもたらすことがある。
【0081】
図8を参照すると、図8は、異なる基板のサンプルにおいて、電気絶縁フィルムの単一の層の厚さに依存して反りが変化する様子が示されている。具体的には、グラフ800は、基板の第1の積層体の部分である、フィルムの層に依存して、反りが変化する様子を示している。このことは、グラフの横軸で表され、横軸は、フィルムの層の厚さから、フィルムの層が少なくとも部分的に重なる銅の層の厚さを減じたものを示している。この銅層は、コア405に重なった、第1の積層体の層であってもよく、フィルムの関連する層が、積層体の最下銅層に重なったフィルムの第1の層である。フィルムの関連する層は、基板の最上部からフィルムの第6の層であることを示すために、L6_ABFと呼ばれ得る。フィルムが重なる銅の層は、基板の最上部から銅の第7の層であることを示すために、L7_Cuと呼ばれ得る。
【0082】
図8は、グラフ800の横軸に沿って示される指標を視覚的に表す、基板の部分820を示している。部分820は、その上に銅の層805とフィルムの層815とがあるコア405を示している。層815の部分はコア405の最上表面に直接重なる一方、層815の別の部分は銅層805の上に重なる。基板の製造の一部としてフィルム層815が付加されると、フィルム層815が加熱され、銅805にある間隙内に変形する。これにより、銅に重なるフィルム815の部分は、供給されたフィルム層815よりも薄く、コア405に重なった部分よりも薄くなる。コア405に重なるフィルム815の厚い部分は矢印830で示される一方、フィルム815の薄い部分が矢印810で示され、これは、グラフ800の横軸に示す指標に対応する。基板で観察される反りと最も密接な関連する指標は、この指標である。本明細書では、この指標は銅上のフィルム厚さ810と呼ばれる。この厚さ810は、仕上げられた基板の2つの銅層805、825の間にあり、これらに隣接するフィルム815の部分の厚さを表す。
【0083】
グラフ800は、基板の異なるサンプルについて、35℃における反りを示している。特定の厚さ810の値で、反り挙動が負になりやすい状態から正になりやすい状態に変化することが分かる。反りの変化を示すこのポイントは、ここでは「フリップポイント」と呼ばれる。フリップポイントは、銅上のフィルム厚さ810が、他方の積層体の対応する層の銅上のフィルム厚さと同じである場合に発生する。グラフ800におけるサンプル基板データでは、厚さ810のこの値は14μmに等しい。
【0084】
サンプルにおける距離810がフリップポイント(本例では14μmである)より大きくなると、サンプルは正の反りを呈しやすくなる。グラフ800のこの部分は、領域「smile」(正の反りを呈する基板によって生じ得る視覚的な印象を示すためにこのように命名されている)によって示される。フリップポイント(本例では14μmである)未満では、サンプルは負の反りを呈しやすくなる。グラフ800のこの部分は、領域「cry」(負の反りを呈する基板によって生じ得る視覚的な印象を示すためにこのように命名されている)によって示される。
【0085】
図5に関して上述したように、両側のフィルム層が同じ厚さを有する場合の反り挙動は、予測不可能性が高く、基板における銅の均衡のレベルに依存して正又は負の値をとり得る。このことは、図8にも示されており、図8は、最上積層体におけるフィルム815の厚さ810が、最下積層体における対応するフィルムの銅上のフィルム厚さに略等しい場合(すなわち、両方とも14μmに略等しい場合)、異なる基板サンプルにおける反りに大きなばらつきがある様子を示している。正の反りを有するサンプルもあれば、負の反りを呈するサンプルもある。サンプルが負の反りを呈するか正の反りを呈するかは、基板に関連する具体的な銅の均衡など、フィルム厚さ以外の因子に依存する。
【0086】
図8に示すように、銅上のフィルム厚さ間の差が大きくなるにつれて、反りは、確実に負になるか確実に正になる。最上積層体におけるフィルムの厚さ810が、最下積層体における対応する銅上のフィルム厚さよりも大きい場合、反り挙動が正になる可能性が高い。最上積層体におけるフィルムの厚さ810が、最下積層体における対応する銅上のフィルム厚さよりも小さい場合、反りが負になる可能性が高い。
【0087】
実施形態では、基板が、2つの積層体の対応するフィルム間のフィルム厚さの差が異なる値で設けられ得る。いくつかの実施形態では、この差は少なくとも1μmであり得る。他の実施形態では、この差は少なくとも1.5μmであり得る。図8に示すように、銅上のフィルム厚さの差が1.5μmより大きい場合、反り挙動は示したすべてのサンプルにおいてこの傾向にしたがっている。
【0088】
図8から分かるように、基板の反りは、対応するフィルム層間の厚さの差が大きくなっても大きさは変わらないが、より確実に負又は正である。したがって、フィルム厚さの差を大きい値に設定することには、正の反り又は負の反りがより確実に得られるという利点がある。
【0089】
いくつかの実施形態では、反りに対するより大きな影響は、互いに反対側にある積層体における対応する層のうちの複数の層間で厚さの差を導入することによって実現され得る。このようにして、反りを確実に負又は正にするだけでなく、反りの大きさがより大きくなる。
【0090】
図9を参照すると、図9は、本出願の実施形態による基板の部分900を示している。図9は、基板の部分900の両側にある複数の異なるフィルム層が、厚さを異にし得る様子を示している。3つの層905a、910a、915aは、(例えば、コア920の上にある)第1の積層体の部分として示されている。層905b、910b、915bは、(例えば、コア920の下にある)第2の積層体の部分として示されている。実施形態では、図9が3つの層しか示していなくても、第1の積層体及び第2の積層体は、それぞれが4層以上を含む可能性があることが理解されよう。
【0091】
層905aは層905bに対応し、層910aは層910bに対応し、層915aは層915bに対応する。最下積層体の905b、910b、915bの層のそれぞれの厚さは、最上積層体の対応する層905a、910a、915aよりも大きい。この例では、基板の部分900に付加されたときのフィルムの厚さの差は2μmである。このように複数の対応する層間で厚さの差を導入することにより、図6及び図8に示すよりも大きいレベルで反りの大きさが大きくなることが観察された。
【0092】
図6図9に関連して上述した例では、電気絶縁フィルムは、銅よりも大きいCTEを有する。しかしながら、本発明の他の例示的な実施形態では、銅は、電気絶縁フィルムよりも大きいCTEを有し得る。この場合、反り挙動は、図6図9に関連して上述したものとは逆になる。負の反りを実現するためには、第2の積層体の電気絶縁フィルムの少なくとも1つの層が、第1の積層体の電気絶縁フィルムの少なくとも1つの層よりも小さい厚さで設けられる。この場合、図7に示す部分700の構成は、負の反りをもたらす。正の反りを実現するためには、第2の積層体の電気絶縁フィルムの少なくとも1つの層が、第1の積層体の電気絶縁フィルムの少なくとも1つの層よりも大きい厚さで設けられる。したがって、図6に示す部分600の構成又は図9に示す部分900の構成は、正の反りをもたらす。
【0093】
図10を参照すると、図10は、本出願の実施形態による例示的な基板の製造方法1000を示している。方法1000のステップのすべてが必ずしも必須ではなくてもよく、いくつかの実施形態では、ステップの1つ又は複数が省略されてもよいことを理解されたい。また、製造工程は、様々な洗浄又はラミネート工程など、図10には示されていないが、当業者には既知の更なるステップを含んでもよいことを理解されたい。また、製造工程は、コア上に層の積層体を構築すると説明されているが、いくつかの実施形態では、実施形態による基板は、互いに反対側にある積層体間にコアが存在することなしに、同様のステップを用いて互いに反対側にある積層体を配備することによって製造されてもよいことを理解されたい。
【0094】
S1010において、孔が、基板のためのコアの材料を通してドリルで開けられる。これらの孔は、コアの一方の側から他方の側に形成され、2つの積層体間を電気的に接続するためのビアを形成するために使用される。図4では、これらのビアはビア415として示されている。
【0095】
S1020において、銅めっきがコアを通して形成された孔に施される。銅めっきは、ビアのための接続部を提供する。銅めっきを施した後、孔が樹脂で充填される。したがって、銅めっきは、樹脂で本来充填される各ビアの縁部に沿って接続部を形成する。
【0096】
S1020において、孔の中に施された銅めっきは、コア材料の最上表面及び最下表面にも施されて、各積層体に銅の第1の層を形成する。
【0097】
S1030において、銅めっきが、コアの最上表面及び最下表面に残る銅のみが、ビアを通る接続部を形成するため、及び上に付加される銅の層との接続部を形成するために必要な銅であるようにエッチングされる。エッチングの性質は、銅のこの層の上に取り付けられる、銅の層からのビアへの接続部のための具体的な要件に依存する。
【0098】
S1040において、電気絶縁フィルムの層が、部分的に形成された基板の両側に付加される。(その後に付加される基板の層のいずれかのコアに最も近い)基板のこの第1の層では、層の部分がコアの表面に重ねられ、部分がS1020で付加され、S1030でエッチングされた銅層に重ねられる。一方の側にある第1の層は第1の積層体の部分であり、他方の側にある第1の層は第2の積層体の部分である。実施形態では、第1の層は、積層体に付加されたときと、加熱され、変形された後との両方で、異なる厚さを有する。
【0099】
例えば、方法1000が、図6に示す基板部分600を形成するために適用される場合、第2の積層体のフィルムの第1の層を形成するために付加されるフィルム(PCBに取り付けるために基板の下側に配置される)は、40μmの厚さを有する。第1の積層体のフィルムの第1の層を形成するために付加されるフィルム(ダイに取り付けるために基板の下側に配置される)は、35μmの厚さを有する。他の実施形態では、異なる厚さがフィルムに使用され得る。いくつかの実施形態では、厚さの差が適用される対応する層の対の間の厚さの最小の差は、(それらのフィルムが積層体に付加されるとき)1μmであり得る。
【0100】
フィルムの層の両方が、部分的に構築された基板の各側に付加されると、部分的に構築された基板が加熱され、フィルム層がコア表面に形成された銅層間の間隙内に変形する。この工程の結果、フィルムの両方が、少なくとも銅と重なるフィルムの領域において薄くなる。しかしながら、フィルムが加熱工程によって薄くなった後でさえも、2つのフィルム層は異なる厚さを依然として有する。例えば、加熱後、銅に重なった第2の積層体のフィルムの第1の層の部分は、14μmの厚さを有し得る一方、銅に重なった第1の積層体のフィルムの第1の層の部分は、11μmの厚さを有し得る。
【0101】
S1050において、レーザドリル加工工程が、電気絶縁フィルムの層に孔をドリルで開けるために実行される。これらの孔は、フィルムにおいて下にある銅層との接続に必要なポイントにドリルで開けられる。孔は、銅の次の層がS1060で付加される際に、ビア、例えば図4のビア430を形成するために使用される。
【0102】
S1060において、銅の更なる層が、部分的に構築された基板の両側に付加される。銅の更なる層が、S1040で付加されたフィルム層の上に部分的に重なる。S1050の工程はフィルム層に孔を作成するために行われたため、S1060で付加された銅の別の部分は、S1040で付加されたフィルム層の下の銅の上に置かれる。これにより、銅の第2の層(S1060で付加)と第1の層の銅(S1030で付加)との間で、各積層体における接続が可能になる。
【0103】
部分的に構築された基板の表面に銅を付加するS1060の工程は、まず、部分的に構築された基板の表面の部分にレジストを付加することにより行われ得る。その後、銅が、表面の残りの部分に付加され得る。或いは、銅は、部分的に構築された基板の両表面の全体に付加され、その後、エッチング工程が行われて、特定のポイントにおいて銅を除去してもよい。いずれの工程の結果でも、銅は、下の銅の層への接続を提供するのに適した、及び上の層への接続を提供するのに適した選択されたポイントに提供される。
【0104】
S1070において、銅及び電気絶縁フィルムの層のすべてが付加された場合、工程はS1080に進む。そうでない場合は、工程はS1040に進み、そこで、電気絶縁フィルムの更なる層が付加される。いくつかの実施形態では、両方の積層体に付加された対応するフィルム層の更なる対が、フィルム層の第1の対とは異なり、それぞれが同じ厚さのフィルムを含み得る。他の実施形態では、フィルム層の更なる対のうちの少なくとも1つが付加され、これらの更なる対応するフィルム層間の異なる厚さが使用され得る。更に、第1のフィルム層(すなわち、基板縁部から最も遠い対応するフィルム層の対)が互いに異なる厚さを有すると説明してきたが、他の実施形態では、これらの第1のフィルム層は、代わりに同じ厚さを有してもよく、厚さの差は、代わりに基板における対応するフィルム層の1つ又は複数の他の対で使用される。
【0105】
ステップS1040~S1060は、必要なだけ繰り返されて、基板の積層体の層を構築する。
【0106】
S1080において、基板は、ラミネート工程、現像工程、及び予備はんだ工程を経てもよい。基板は、完成すると、それぞれがPCBに単一のダイを実装するのに適する、基板の小さな部品にダイシングされる。
【0107】
説明された例示的な方法1000は、電気絶縁層及び銅の各層が別々に付加されるビルドアップ技法を使用する。しかしながら、他の実施形態では、製造方法は、銅の層が取り付けられた状態で電気絶縁フィルムの層が設けられ得るプリプレグを適用でき、プリプレグ層は、2つの積層体のそれぞれを製造するように重ねて堆積される。
【0108】
上記の実施形態は例として説明されたに過ぎないことを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】