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特表2023-550989ポリエステルポリオールおよびそれから製造されるポリウレタン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-06
(54)【発明の名称】ポリエステルポリオールおよびそれから製造されるポリウレタン
(51)【国際特許分類】
   C08G 63/181 20060101AFI20231129BHJP
   C08G 18/42 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
C08G63/181
C08G18/42
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532379
(86)(22)【出願日】2021-11-30
(85)【翻訳文提出日】2023-05-26
(86)【国際出願番号】 KR2021017881
(87)【国際公開番号】W WO2022114922
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】10-2020-0165222
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0068094
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511123485
【氏名又は名称】ロッテ ケミカル コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ジェ ギョン
(72)【発明者】
【氏名】ウ、イン ソプ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ハ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】チョン、ジュン ギョ
【テーマコード(参考)】
4J029
4J034
【Fターム(参考)】
4J029AA03
4J029AB01
4J029AD01
4J029AD02
4J029AD03
4J029AE17
4J029BA03
4J029BA07
4J029BA08
4J029BA10
4J029BF09
4J029CB05A
4J029FC05
4J029HB06
4J029JB131
4J029JB161
4J029JB171
4J029JF321
4J029JF371
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4J029KE05
4J034DA01
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4J034DC06
4J034DF01
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4J034DF21
4J034DF22
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4J034HA07
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC17
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4J034HC46
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4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034KA01
4J034KB02
4J034KB03
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4J034KC17
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4J034KC35
4J034KD02
4J034KD04
4J034KD11
4J034KD12
4J034KD24
4J034KE02
4J034QC01
(57)【要約】
本発明は、イソフタル酸(Pure isophthalic acid:PIA)と無水フタル酸(Phthalic anhydride,PA)のうち少なくとも1種以上を含む酸成分および下記化学式1で表されるアルコール成分から製造されるポリエステルポリオールおよび該ポリエステルポリオールから製造されるポリウレタンに関する:
【化1】
は、ヒドロキシ基で置換もしくは非置換の直鎖または分岐鎖の炭素数2~6のアルキレン基;またはヒドロキシ基で置換もしくは非置換の直鎖または分岐鎖の炭素数2~6のエーテル基である。本発明によるポリエステルポリオールは、保管安定性および相溶性に優れ、前記ポリエステルポリオールを用いて製造されたポリウレタンは、優れた難燃性および寸法安定性を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソフタル酸(PIA)と無水フタル酸(PA)のうち少なくとも1種以上を含む酸成分;および
下記化学式1で表されるアルコール成分から製造されるポリエステルポリオール:
【化1】
は、ヒドロキシ基で置換もしくは非置換の直鎖または分岐鎖の炭素数2~6のアルキレン基;またはヒドロキシ基で置換もしくは非置換の直鎖または分岐鎖の炭素数2~6のエーテル基である。
【請求項2】
前記酸成分は、PIA80~100mol%を含むことを特徴とする請求項1に記載のポリエステルポリオール。
【請求項3】
前記アルコール成分としてネオペンチルグリコール(NPG)とジエチレングリコール(DEG)を少なくとも1種以上含むことを特徴とする請求項1に記載のポリエステルポリオール。
【請求項4】
前記アルコール成分としてNPGとDEGが含まれ、NPG:DEGの混合モル比は、1:2~1:20であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステルポリオール。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のポリエステルポリオールから製造されたポリウレタン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、準不燃硬質ポリウレタンを製造するためのポリエステルポリオールおよびそれから製造されるポリウレタンに関する。
【背景技術】
【0002】
世界的に温室ガス減縮のための省エネの政策が強化されるに伴い、建築材料の中で断熱材の役割が重要になっている。また、一連の建物火災により断熱性だけでなく難燃性も共に満足できる素材への関心も増加している。ポリウレタンフォームは、他の素材(EPS、XPS、Rockwool)より断熱性に優れていて、最近断熱材として多くの関心を受けているが、難燃性の問題でその使用がやや沈滞気味である。
【0003】
ポリウレタンの必須成分であるポリオールのうちポリエーテルポリオール(polyether polyol)、ポリエステルポリオール(polyester polyol)が最も一般的なポリオールと知られている。このようなポリオールは、製造しようとするポリウレタンまたはポリウレタンフォームの特性に重大な影響を及ぼす。
【0004】
一般的に、分子量が大きく、官能基数(functionality)が低いポリオールは、軟質(soft)ウレタンフォームを製造するのに使用され、分子量が小さく、官能基数が高いポリオールは、硬質(rigid)ウレタンフォームを製造するのに使用される。
【0005】
なお、ポリウレタンフォーム(polyurethane foam)、特に硬質ポリウレタンフォームは、多様な分野において使用されているところ、当該適用分野によって要求される物性に差異が存在する。これらのうち、建築内外装材用断熱材に使用される場合には、特に難燃性、寸法安定性、成形性、断熱性および環境への優しさなどが要求される。
【0006】
汎用的に使用される硬質ポリウレタンフォーム(PUR/PIR)のメイン樹脂として無水フタル酸(PA;Phthalic anhydride)系バックボーン(backbone)構造のポリエステルポリオールが使用されたが、難燃性が劣っていて、最近高純度テレフタル酸(PTA:Pure Terephthalic Acid)系バックボーンで開発された。しかしながら、PTA単独構造のポリエステルポリオールを使用する場合、これを原料として製造されたポリウレタンの難燃性は確保されるが、ポリエステルポリオールの結晶性が高く、常温で固相化の問題などが発生し、貯蔵性が低下するという短所がある。
【0007】
このような短所を補完するために、PTA/PAベース(base)で開発されたが、難燃性規制が強化される場合、市場への適用に困難が発生する可能性が高い。なお、高純度イソフタル酸(PIA:Pure Isophthalic Acid)をベースとする場合、難燃性に優れているが、相溶性および粘度上昇の問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国特許公開2012-0027422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前述のような問題を解決するために、低粘度の保管安定性および相溶性に優れたポリエステルポリオールと、該ポリエステルポリオールを用いて製造される難燃性に優れたポリウレタンを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、イソフタル酸(Pure isophthalic acid:PIA)または無水フタル酸(Phthalic anhydride,PA)のうち少なくとも1種以上を含む酸成分;および
下記化学式1で表されるアルコール成分から製造されるポリエステルポリオールを提供する:
【化1】
【0011】
は、ヒドロキシ基で置換もしくは非置換の直鎖または分岐鎖の炭素数2~6のアルキレン基;またはヒドロキシ基で置換もしくは非置換の直鎖または分岐鎖の炭素数2~6のエーテル基である。
【0012】
本発明は、また、前記ポリエステルポリオールを2以上のイソシアネート基を含む1種以上の化合物と反応させて製造されるポリウレタンを提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、保管安定性に優れ、低粘度であり、イソシアネートとの反応性に優れたポリエステルポリオールを提供することができる。また、本発明によるポリエステルポリオールを用いて製造されたポリウレタンは、優れた難燃性および寸法安定性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明では、ポリエステルポリオールの製造のために、イソフタル酸(Pure isophthalic acid:PIA)および無水フタル酸(Phthalic anhydride,PA)からなるグループから選ばれる酸成分および下記化学式1で表されるアルコール成分を使用する:
【化2】
【0015】
は、ヒドロキシ基で置換もしくは非置換の直鎖または分岐鎖の炭素数2~6のアルキレン基;またはヒドロキシ基で置換もしくは非置換の直鎖または分岐鎖の炭素数2~6のエーテル基である。
【0016】
本発明は、相溶性、低い粘度、保管安定性に優れた芳香族ポリエステルポリオールを製造するために、酸成分の種類および混合比を提示し、特定のアルコール成分を使用し、これから最適な塩基価(OH Value)および酸価(Acid Value)を有し、結晶性を低減し、低粘度制御(低分子量分布の増加)を通じてイソシアネートとの反応性に優れた芳香族ポリエステルポリオールを提供する。また、本発明は、それから製造される難燃性ポリウレタンを提供する。
【0017】
本発明において酸成分としては、イソフタル酸(PIA)または無水フタル酸(PA)を使用することができるが、これらは、それぞれ単独でまたは混合して使用することができる。特に本発明は、酸成分としてPIAを含むポリオールを提供するが、この際、PIAは、80~100モル%の割合で含まれることが好ましい。
【0018】
本明細書の一実施態様のように、化学式1で表されるポリエステルポリオールは、無水フタル酸(PA;Phthalic anhydride)系、高純度テレフタル酸(PTA)系バックボーン(backbone)の代わりに、イソフタル酸(PIA)系バックボーンで構成されている。PIAは、PTA系バックボーンに比べて、立体障害が低く、イソシアネートとの反応性に優れているだけでなく、製造されたポリウレタンの難燃性を高めることができる。したがって、本発明では、ポリエステルポリオールの酸成分としてPIAを含み、好適な効果を得るために、前記PIAは、酸成分中に80~100mol%の割合で含まれることを提示する。
【0019】
また、酸成分として一定量のPAを混合して使用する場合、結晶性を低減し、低粘度制御(低分子量分布の増加)を通じてイソシアネートとの反応性に優れた準不燃芳香族ポリエステルポリオールを提供することができる。
【0020】
なお、本発明において前記化学式1で表されるアルコール成分としては、モノエチルグリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、メチルプロパンジオールおよびトリメチロールプロパンが可能であり、特にネオペンチルグリコール(Neo pentyl glycol:NPG)またはジエチレングリコール(Diethylene glycol:DEG)を使用することができる。
【0021】
NPGは、バルキー(bulky)構造を有するため、溶解度(solubility)を増加させる効果があり、メチル基(short chain)があり、ファンデルワルース相互作用(van der Waals interaction)効果によってDEGに比べて難燃性および相溶性(compatibility)を改善させる効果がある。また、NPGは、第3級炭素(tertiary carbon)原子を含んでいて、相対的に熱安定性が高く、結晶性を低減する効果がある。したがって、本発明の一実施例では、ポリエステルポリオールのアルコール成分としてNPGを使用し、この際、ジエチレングリコール(Diethyleneglycol:DEG)と共に使用することを提示する。
【0022】
アルコール成分としてNPGとDEGが共に使用されるとき、当該混合比は、モル比で1:2~1:20の範囲とすることが、NPGの使用による効果を得るために好ましい。
【0023】
本発明のポリエステルポリオールは、前記酸成分およびアルコール成分を1.0:1.4~2.0molの混合比で使用して製造される。また、前記酸成分とアルコール成分の反応のために。ブチルスタンノン酸(Butylstannonic Acid)、ブチルスズトリス-2-エチルヘキサノアート(Butyltin Tris-2-Ethylhexanoate)、テトラブチルチタネート(tertabutyl titanate)などの触媒を使用し、常圧で170~240℃の温度で7~12時間反応して行われる。
【0024】
本発明のポリエステルポリオールは、重量平均分子量が300g/mol~3,000g/molであることが、貯蔵性およびこれを用いて製造されるポリウレタンの難燃性の観点から好ましい。具体的には、ポリエステルポリオールの重量平均分子量が300g/mol未満の場合、製造することが難しく、重量平均分子量が3,000g/molを超える場合、ポリエステルポリオールの貯蔵性およびウレタン反応性が低下し、ポリウレタンの難燃性が劣る。
【0025】
本発明のポリエステルポリオールは、酸成分としてPIAまたはPAを使用し、特にPIAを含み、アルコール成分としてDEGまたはDEGおよびNPGを混合使用することによって、低粘度制御により低分子量分布が高くなり、イソシアネートとの反応性に優れている。したがって、ポリウレタンの製造の観点から有利である。
【0026】
本発明は、前記ポリエステルポリオールを、2以上のイソシアネート基を含む1種以上の化合物と反応させて製造されるポリウレタンを提供する。前記ポリウレタンの製造は、一般的に公知となった技術で製造することができる。通常、触媒、発泡剤の存在下にイソシアネート成分およびポリオール成分間の反応を伴う。
【0027】
前記2以上のイソシアネート基を含む1種以上の化合物は、2以上のイソシアネート基(-N=C=O)を含む化合物であり、例えば、1,12-ドデカンジイソシアネート、2-エチルテトラメチレン1,4-ジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、テトラメチレン1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート;シクロヘキサン1,3-ジイソシアネート、シクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(IPDI)、2,4-ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート、2,6-ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート(NDI)、3,3’-ジメチルビフェニルジイソシアネート、1,2-ジフェニルエタンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート(PPDI)、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、2-エチルブチレン1,4-ジイソシアネート、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、ブチレン1,4-ジイソシアネート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチル-シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、これらの異性体またはこれらの混合物などがあるが、これらに限らない。
【0028】
本発明の一実施態様において、前記ポリウレタンの製造時に、必要に応じてさらなる添加剤をさらに含んでもよい。例えば、発泡剤、難燃剤、整泡剤、触媒、表面活性物質、フォーム安定化剤、セル調節剤、充填剤、染料、顔料、加水分解制御剤などの一般的に使用される添加剤を含んでもよいし、これらに限らない。
【0029】
本明細書において前記発泡剤は、水、カルボン酸、フルオロ炭素系発泡剤、二酸化炭素、直鎖または分岐鎖のアルカン炭化水素のような炭化水素発泡剤などがあり、これらに限らない。
【0030】
本明細書において前記難燃剤は、一般的に使用する難燃剤を使用することができ、例えば、臭化エステル、臭化エーテル(Ixol)または臭化アルコール、例えばジブロモネオペンチルアルコール、トリブロモネオペンチルアルコールおよびPHT-4-ジオールならびに塩素化ホスフェート、例えば、トリス(2-クロロエチル)ホスフェート、トリス(2-クロロプロピル)ホスフェート(TCPP)、トリス(1,3-ジクロロプロピル)ホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート、テトラキス(2-クロロエチル)エチレンジホスフェート、ジメチルメタンホスフェート、ジエチルジエタノールアミノメチルホスフェートおよびまた市販のハロゲン化難燃剤ポリオールを含む。さらなるホスフェートまたはポスフォーネイトにより、液体難燃剤としてジエチルエタンホスフェート(DEEP)、トリエチルホスフェート(TEP)、ジメチルプロピルホスフェート(DMPP)またはジフェニルクレジルホスフェート(DPK)などがあり、これらに限らない。
【0031】
本明細書において前記整泡剤は、シリコーン整泡剤、非イオン性整泡剤、非シリコーン整泡剤など、具体的には、ジノニルフェノール、メチルグルコシド、メチルプロパンジオール、ビニルエーテルマレイン酸、Si-共重合体系などの整泡剤などがあり、これらに限らない。
【0032】
本明細書において前記触媒は、一般的に使用する触媒を使用することができ、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルジアミノジエチルエーテル、ビス(ジメチルアミノプロピル)ウレア、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N-シクロヘキシルモルホリン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N,N-テトラメチルブタンジアミン、N,N,N,N-テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、ジメチルピペラジン、N-ジメチルアミノエチルピペリジン、1,2-ジメチルイミダゾール、1-アザビシクロ[2.2.0]オクタン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(Dabco)、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、2-(N,N-ジメチルアミノエトキシ)エタノール、N,N’,N”-トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロトリアジン、N,N’,N”-トリス(ジメチルアミノプロピル)-s-ヘキサヒドロトリアジン、トリエチレンジアミン、塩化鉄(II)、塩化亜鉛、鉛オクトエート、スズジオクトエート、スズジエチルヘキソエート、ジブチルスズジラウレート、テトライソプロピルチタネート、ブチルスタンノン酸、ブチルスズクロリドジヒドロキシド、テトラブチルチタネートおよびこれらの混合物などがあるが、これらに限らない。
【0033】
本発明の一実施態様によるポリエステルポリオールを用いて製造されたポリウレタンは、難燃性および寸法安定性に優れている。
【0034】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例に基づいて詳細に説明することとする。しかしながら、本発明による実施例は、様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲が後述する実施例に限定されると解されない。本明細書の実施例は、当業界において平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0035】
比較例1
撹拌機、パッキングカラム(packing column)および撹拌棒が設置された2L反応器にPA(phthalic anhydride,SigmaAldrich)4.6mol、DEG(diethylene glycol、ロッテケミカル社)8.38mol、Fascat 4100(butylstannoic acid,Arkema)0.0008molを入れ、170℃まで一次昇温させた(2時間)。昇温過程で撹拌速度は、200rpmであり、2時間ES反応させた。230℃まで3時間二次昇温した。1時間維持後、真空度を200mmHgに設定後、2時間反応させて、酸価(mg KOH/g resin)が0.4、ヒドロキシ(mg KOH/g resin)値が276の樹脂を製造した。
【0036】
比較例2~比較例5
下記表1に記載された一部の条件を変更したことを除いて、比較例1と同じ方法で樹脂を製造した。
【0037】
実施例1
撹拌機、packing columnおよび撹拌棒が設置された2L反応器にPIA(pure isophthalic acid、ロッテケミカル社)4.6mol、DEG(diethylene glycol、ロッテケミカル社)7.58mol、NPG(Neopentyl glycol、LG化学社)0.84mol、Fascat 4100(butylstannoic acid,Arkema)0.0008molを入れ、170℃まで一次昇温させた(2時間)。昇温過程で撹拌速度は、200rpmであり、2時間ES反応させた。230℃まで3時間二次昇温した。1時間維持後、真空度を200mmHgに設定後、2時間反応させて、酸価(mg KOH/g resin)が0.5、ヒドロキシ(mg KOH/g resin)値が281の樹脂を製造した。
【0038】
実施例2および3
下記表1に記載された一部の条件を変更したことを除いて、実施例1と同じ方法で樹脂を製造した。
【0039】
【表1】
【0040】
-PTA(pure terephthalic acid、ロッテケミカル社)
-保管安全性:15℃基準の温蔵庫で試料の3ヶ月間の液相状態を次のように評価した。
X:2週間内にゲル化または固相化、または初期粘度に対して30%上昇以内であること
△:2ヶ月以内にゲル化または固相化、または初期粘度に対して30%上昇以内であること
○:4ヶ月以内にゲル化または固相化、または初期粘度に対して30%上昇以内であること
◎:6ヶ月以内にゲル化または固相化、または初期粘度に対して30%上昇以内であること
-粘度:25℃基準の試料をBrookfield粘度計でspindle 64で評価した。
-相溶性:常温でPolyol/水/発泡剤(cyclopentane)/整泡剤をblending後、3ヶ月間液相状態を評価した。
X:2週内にゲル化または固相化、△:1.0ヶ月以内にゲル化または固相化、O:2ヶ月以内にゲル化、◎:3ヶ月以上で初期粘度に対して30%上昇以内であること
-TGA_50%(℃)は、TGA N雰囲気で重量減少50%地点での温度である。
【0041】
次に、前記ポリオールからポリウレタンを製造した。樹脂100g、TCPP(難燃剤、Tris(1-Chloro-2-Propyl)Phosphate、SigmaAldrich)10g、TEGOSTAB(登録商標)B8462(整泡剤、silicone surfactant、Evonik)1g、cyclopentane(発泡剤、SigmaAldrich)12g、Dabco k-15(触媒、Evonik)3.5g、DMCHA(触媒、N,N-dimethylcyclohexylamine、Huntsman)1.0g、2L缶に投入後、高速撹拌機でmixingして、システムポリオールを製造した。
【0042】
【表2】
【0043】
-NCOインデックスは、次の方法で求められたものである。
【数1】
【0044】
前記製造されたポリウレタンの物性は、下記表3の通りである。
【0045】
【表3】
【0046】
-総放熱量および総煙発生量:CONEカロリーメーター(KS F ISO 5660-1)を用いて測定した。総煙発生量の評価は、X:150m/m以上、△:100~150m/m、○:80~100m/m、◎:80m/m未満で示した。
-吸水量:100×100×25mm試験片を25℃の水に浸漬した後、10秒後に試験片を取り出し、30秒間放置させた後、重量を測定し、基準重量とし、試験片をさらにきれいな水に浸漬し、96時間吸水させた後、最終吸水後の重量を測定した。吸水量は、次の式によって求めた。
吸水量(g/100cm)=(最終吸水後の重量-基準重量)/表面積×100
【0047】
評価は、X:3g以上、△:1~3g、O:0.2~1.0g、◎:0.1g以下で示した。
【0048】
実施例1~3のポリオールは、保管安定性および相溶性に優れ、それから製造されたポリウレタンの難燃性にも優れていた。一方、比較例2のポリオールは、保管安定性および相溶性が大きく低下し、比較例1、4および5は、難燃性の観点から良くない結果を示した。また、比較例3のPIA/DEGポリオールは、難燃性および水分吸収率などの物性は良いが、システムポリオールに入る原料との相溶性が低下し、使用が困難であった。
【0049】
より具体的には、比較例1~3のポリオールは、アルコール成分としてDEGを使用し、それぞれ同量の他の酸成分を使用した結果であり、酸成分の種類による効果を比較することができた。PAを使用したときには(比較例1)、保管安定性および相溶性が良好に維持されたが、難燃性は非常に劣っていた。PTAを使用したときには(比較例2)、保管安定性および相溶性が大きく低下した。PIAを使用したときには(比較例3)、相溶性が多少低下した。しかしながら、同じ条件でアルコール成分としてNPGを混合して使用した実施例1と比較すると、保管安定性および相溶性も低下し、総放熱量と総煙発生量が増加し、物性が良くないことが分かる。すなわち、酸成分としてPIAを単独使用する場合には、アルコール成分としてNPGを混合して使用するとき、非常に優れたポリオールを獲得することができた。また、比較例3を酸成分としてPIAとPAを混合して使用した実施例3と比較すると、保管安定性および相溶性が格別に向上したことを確認できた。すなわち、アルコール成分としてDEGのみを使用する場合には、PIAとPAを共に使用するとき、優れた物性を有するポリオールが獲得された。
【0050】
次に、実施例1と比較例3のポリオールは、酸成分としてPIAを単独使用するとき、アルコール成分としてNPGを混合使用することによって変化した結果を示し、NPGを混合使用したとき、DEG単独使用時より保管安定性および相溶性に優れていた。
【0051】
なお、実施例3と比較例5のポリオールは、酸成分としてPAとPIAを使用するとき、当該混合比を異ならせる場合であり、PAの使用量を増加させた比較例5において難燃性が劣っていた。
【0052】
したがって、本発明の実施例によるポリエステルポリオールのように、酸成分としてPIAを単独で使用したり、PAおよびPIAを一定の混合比で使用し、アルコール成分としてDEGまたはDEGおよびNPGを混合使用することによって、ポリオールの保管安定性および相溶性を改善し、これを用いて製造したポリウレタンの難燃性および寸法安定性を向上させることができることを確認できた。
【国際調査報告】