(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-06
(54)【発明の名称】難溶性カンプトテシン化合物を含むナノ粒子を含む癌治療用薬剤学的組成物及びその併用療法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4745 20060101AFI20231129BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231129BHJP
A61K 31/335 20060101ALI20231129BHJP
A61K 31/7068 20060101ALI20231129BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20231129BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20231129BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20231129BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231129BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
A61K31/4745
A61P35/00
A61K31/335
A61K31/7068
A61K47/34
A61K39/395 M
A61K45/00
A61P43/00 121
A61K9/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532380
(86)(22)【出願日】2021-11-23
(85)【翻訳文提出日】2023-05-26
(86)【国際出願番号】 KR2021017296
(87)【国際公開番号】W WO2022114736
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】10-2020-0163156
(32)【優先日】2020-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519457982
【氏名又は名称】エスエヌ バイオサイエンス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】パク,ヨン ファン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076CC27
4C076EE24E
4C076EE49E
4C076FF15
4C084AA19
4C084MA41
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZC751
4C085AA14
4C085CC23
4C085EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA02
4C086CB22
4C086EA17
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA41
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、難溶性カンプトテシン系化合物を含むナノ粒子の癌治療用およびこれを用いた抗腫瘍剤との併用投与療法に関する。本発明のナノ粒子を含む医薬学的組成物は、抗腫瘍剤と併用すると相乗的な癌治療効果を示すため、癌治療剤および併用療法製剤として容易に使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性カンプトテシン系化合物、親水性カンプトテシン系化合物、並びに疎水性ブロック及び親水性ブロックからなる両親媒性ブロック共重合体を含む粒子;及び
タキサン(taxane)系抗癌剤、アルブミンが結合したタキサン系抗癌剤、血管内皮細胞成長因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)抑制剤及びゲムシタビン(gemcitabine)からなる群から選ばれる1種以上の抗腫瘍剤を有効成分として含む癌治療用薬剤学的併用製剤。
【請求項2】
前記疎水性カンプトテシン系化合物は、
SN-38(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)、カンプトテシン、10-ヒドロキシカンプトテシン及びその薬剤学的に許容可能な塩からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の薬剤学的併用製剤。
【請求項3】
前記親水性カンプトテシン系化合物は、イリノテカン、トポテカン、ベロテカン、エキサテカン、ルルトテカン、シノテカン、ルビテカン、9-ニトロカンプトテシン、9-アミノカンプトテシン、ジマテカン、カレニテシン(Karenitecin)、シラテカン(Silatecan)、ジフロモテカン(diflomotecan)、エロモテカン(Elomotecan)、これらの薬剤学的に許容可能な塩、又はこれらのグルクロニド代謝体、及び前記疎水性カンプトテシン系化合物のグルクロニド代謝体から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の薬剤学的併用製剤。
【請求項4】
前記両親媒性ブロック共重合体は、A-B又はA-B-Aブロックで構成され、(a)前記Aは親水性高分子で、モノメトキシポリエチレングリコール、ジメトキシポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、モノメトキシポリプロピレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸又はこれらの重合体であり;
(b)前記Bは疎水性高分子で、ポリ乳酸、ポリ-L-ラクチド、ポリ-D-ラクチド、ポリ-D,L-ラクチド、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリグリコン酸、ポリグリコリド、ポリ乳酸-グリコン酸共重合体、ポリマンデル酸、ポリカプロラクトン、ポリジオキサン-2-オン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリオルニチン、ポリオルトエステル又はこれらの誘導体である、請求項1に記載の薬剤学的併用製剤。
【請求項5】
前記血管内皮細胞成長因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)抑制剤は、ベバシズマブ(bevacizumab)、ラニビズマブ(ranibizumab)及びアフリベルセプト(aflibercept)からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の薬剤学的併用製剤。
【請求項6】
前記粒子の平均直径は、2~200nmである、請求項1~5のいずれかに記載の薬剤学的併用製剤。
【請求項7】
前記癌は、胃癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頸癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、膵癌、乳癌、大腸癌、食道癌、網膜芽細胞腫、口腔癌、唾液腺癌、喉頭癌、咽頭癌、腎臓癌、前立腺癌、黒色腫、肝癌、胆嚢癌、胆道癌、甲状腺癌、膀胱癌、脳癌、中枢神経系癌、骨腫瘍、皮膚癌、非ホジキン性及びホジキン性リンパ腫からなる群から選ばれるものである、請求項1~5のいずれかに記載の薬剤学的併用製剤。
【請求項8】
疎水性カンプトテシン系化合物、親水性カンプトテシン系化合物、並びに疎水性ブロック及び親水性ブロックからなる両親媒性ブロック共重合体を含む粒子を含み、放射線治療(Radiotherapy,RT)と併用されるものである、癌治療用薬剤学的組成物。
【請求項9】
投与が必要な対象体に、(a)疎水性カンプトテシン系化合物、親水性カンプトテシン系化合物、並びに疎水性ブロック及び親水性ブロックからなる両親媒性ブロック共重合体を含む粒子を含む第1薬剤学的組成物を、(b)タキサン(taxane)系抗癌剤、アルブミンが結合したタキサン系抗癌剤、血管内皮細胞成長因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)抑制剤及びゲムシタビン(gemcitabine)からなる群から選ばれる1種以上の抗腫瘍剤を有効成分として含む第2薬剤学的組成物又は抗腫瘍療法と組み合わせて投与する段階を含む、癌の治療方法。
【請求項10】
前記第1薬剤学的組成物と前記第2薬剤学的組成物は、同時に、個別に又は順次に投与されることである、請求項9に記載の癌の治療方法。
【請求項11】
前記第1薬剤学的組成物と第2薬剤学的組成物は、複合製剤又は単一製剤として投与される、請求項9に記載の癌の治療方法。
【請求項12】
前記疎水性カンプトテシン系化合物は、SN-38(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)、カンプトテシン、10-ヒドロキシカンプトテシン及びその薬剤学的に許容可能な塩からなる群から選ばれる1種以上である、請求項9に記載の癌の治療方法。
【請求項13】
前記親水性カンプトテシン系化合物は、イリノテカン、トポテカン、ベロテカン、エキサテカン、ルルトテカン、シノテカン、ルビテカン、9-ニトロカンプトテシン、9-アミノカンプトテシン、ジマテカン、カレニテシン(Karenitecin)、シラテカン(Silatecan)、ジフロモテカン(diflomotecan)、エロモテカン(Elomotecan)、これらの薬剤学的に許容可能な塩、又はこれらのグルクロニド代謝体、及び前記疎水性カンプトテシン系化合物のグルクロニド代謝体から選ばれる1種以上である、請求項9に記載の癌の治療方法。
【請求項14】
前記両親媒性ブロック共重合体はA-B又はA-B-Aブロックで構成され、(a)前記Aは親水性高分子で、モノメトキシポリエチレングリコール、ジメトキシポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、モノメトキシポリプロピレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸又はこれらの重合体であり;
(b)前記Bは疎水性高分子で、ポリ乳酸、ポリ-L-ラクチド、ポリ-D-ラクチド、ポリ-D,L-ラクチド、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリグリコン酸、ポリグリコリド、ポリ乳酸-グリコン酸共重合体、ポリマンデル酸、ポリカプロラクトン、ポリジオキサン-2-オン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリオルニチン、ポリオルトエステル又はこれらの誘導体である、請求項9に記載の癌の治療方法。
【請求項15】
前記血管内皮細胞成長因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)抑制剤は、ベバシズマブ(bevacizumab)、ラニビズマブ(ranibizumab)及びアフリベルセプト(aflibercept)からなる群から選ばれる1種以上である、請求項9に記載の癌の治療方法。
【請求項16】
前記抗腫瘍療法は、手術療法、放射線療法、又はこれらの組合せである、請求項9に記載の癌の治療方法。
【請求項17】
前記粒子の平均直径は、2~200nmである、請求項9項記載の癌の治療方法。
【請求項18】
前記癌は、胃癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頸癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、膵癌、乳癌、大腸癌、食道癌、網膜芽細胞腫、口腔癌、唾液腺癌、喉頭癌、咽頭癌、直膓癌、前立腺癌、黒色腫、肝癌、胆嚢癌、胆道癌、甲状腺癌、膀胱癌、脳癌、中枢神経系癌、骨腫瘍、皮膚癌、非ホジキン性及びホジキン性リンパ腫からなる群から選ばれるものである、請求項9に記載の癌の治療方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2020年11月27日に大韓民国特許庁に提出された大韓民国特許出願第10-2020-0163156号に対して優先権を主張し、当該特許出願の開示事項は本明細書に参照によって組み込まれる。
【0002】
本発明は、難溶性カンプトテシン化合物を含むナノ粒子を含む癌治療用薬剤学的組成物及びその併用療法に関する。
【0003】
【背景技術】
【0004】
癌の治療方法は、手術、放射線治療及び薬物治療(抗癌化学療法又は抗癌剤治療)に区別されるが、悪性腫瘍は、一次的治療方法である手術が不可能なため、抗癌化学療法(単独又は併用)を選択することになる。悪性腫瘍の化学療法に使われる細胞毒性抗癌剤としては、全世界的に、DNAトポイソメラーゼ阻害剤であるイリノテカン(irinotecan)を含むカンプトテシン系抗癌剤、抗代謝剤(antimetabolites)であるゲムシタビン(Gemcitabine)、微小管(microtubule)阻害剤であるパクリタキセル(Paclitaxel)がある。
【0005】
イリノテカン(Irinotecan)は、天然物アルカロイド、カンプトテシンの半合成及び水溶性類似体CPT-11として知られており、トポイソメラーゼによるDNAの溶解を抑制してDNA複製を予防することによって細胞増殖を抑制する働きをする。イリノテカンは、現在、カンプトソールTM(イリノテカン塩酸塩注射剤)のような水溶液として剤形化し、市販されている。イリノテカンは、プロドラッグ(prodrug)型抗癌剤で、体内でカルボキシルエステラーゼ2(Carboxyesterase 2,CES2)によって活性代謝物であるSN-38に変換されて作用する。活性型であるSN-38は、イリノテカンに比べて約100倍~1,000倍も高い抗癌活性を有するが、体内pHで不安定であり、極度の難溶性のため、製剤開発が難しい。また、イリノテカンは、体内でSN-38への変換比率(conversion rate)が2~8%と非常に低く、患者別に大きな偏差(4倍以上)を示すため、各患者に対する精密な投与量計算(mg/m2)が必須である細胞毒性抗癌剤であり、その正確な効果又は副作用が予測できないという不具合がある。前記活性型のSN-38は極めて難溶性の物質であり、一般の可溶化方法では溶解せず、現在、多くの可溶化研究及び開発が進行中である。イリノテカンを活性型であるSN-38に変換させるカルボキシルエステラーゼ2(CES2)は、様々な腫瘍組織において発現比率が大きくばらつく。CES2は、イリノテカンの主適応症である小腸及び大腸で最も多く発現するが、膵癌、胆嚢癌、乳癌、肺癌、腎臓癌、前立腺癌などではCES2がほとんど発現しない。したがって、活性型のSN-38を直接投与できれば、CES2RKがほとんど発現しない前記腫瘍組織に対しても抗癌効果を発揮できると期待される。
【0006】
一方、ゲムシタビンは有用な抗癌剤であり、特に膵癌には、現在、単一療法1次標準治療剤として使われている。しかし、腫瘍抑制効能が低く、癌患者の生存期間延長効果も低い。また、パクリタキセルやナブパクリタキセル(アルブミンナノ粒子化パクリタキセル)などのタキサン系抗癌剤も単一療法では腫瘍による感受性が異なり、患者ごとにその抗癌効果が一定でないとの限界点がある。そこで、臨床的に各細胞毒性抗癌剤単独療法の限界を克服するために、薬物伝達技術を改善したり、作用機転が異なる抗癌剤との併用などによって薬効を増強させ、安全性を高めようとする研究が活発に行われている。
【0007】
本明細書全体を通じて多数の論文及び特許文献が参照され、その引用が表示されている。引用された論文及び特許文献の開示内容はその全体として本明細書に参照によって組み込まれ、本発明の属する技術分野のレベル及び本発明の内容がより明確に説明される。
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一般に、化学抗癌剤の抗腫陽効果が低いことは、薬物の血中滞留時間が短いだけでなく、腫瘍組織への選択的薬物伝達効率が低く、変異率が高い腫瘍の特性の上、腫瘍ごとに薬物に対する感受性が大きく異なっているためと知られている。したがって、本発明者らは、抗癌活性が高い抗癌剤を腫瘍組織に効率的に伝達するのみならず、互いに異なる作用機転の抗腫瘍剤を併用して腫瘍に対する感受性を増加させて抗腫瘍効果(Efficacy)を極大化させ、安全性(Safety)は向上した併用療法を開発するために鋭意研究努力した。その結果、抗腫瘍製剤と、疎水性カンプトテシン及び親水性カンプトテシンを含むナノ粒子製剤とを併用すれば抗腫瘍効果に優れることを確認し、本発明を完成するに至った。
【0010】
したがって、本発明の目的は、抗腫瘍剤と併用投与される癌治療用薬剤学的組成物を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、疎水性カンプトテシン系化合物、親水性カンプトテシン系化合物、並びに疎水性ブロック及び親水性ブロックからなる両親媒性ブロック共重合体を含む粒子;及び、抗腫瘍剤を有効成分として含み、癌治療のために同時に、個別に又は順次に投与される薬剤学的併用製剤を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様によれば、本発明は、抗腫瘍剤と併用投与される癌治療用薬剤学的組成物を提供する。
【0014】
本発明の前記薬剤学的組成物は、疎水性カンプトテシン系化合物、親水性カンプトテシン系化合物、並びに疎水性ブロック及び親水性ブロックからなる両親媒性ブロック共重合体を含む粒子を有効成分として含む。
【0015】
本明細書において、カンプトテシン(camptothecin)は、旱蓮木(Camptotheca,Happy tree)の皮と幹から発見されたトポイソメラーゼ(topoisomerase)抑制剤で、前臨床段階では非常に優れた抗癌効果を示したが、低い溶解度のため使用には至らなかった薬物である。したがって、多くの研究者らがそれの溶解度を高めるためのカンプトテシン類似体を開発しつつあり、現在、イリノテカン(irinotecan)、トポテカン(topotecan)、ベロテカン(belotecan)の3種のカンプトテシン誘導体が承認され、癌に対する化学治療に使用されている。
【0016】
本明細書において、用語「疎水性(hydrophobicity)」は、非極性物質で現れる傾向であり、水分子から排除されて凝集することを指す。疎水性物質が親水性液体中にある時、あたかも水を恐れるかのように疎水性結合が増加しながら疎水性物質が凝集する。
【0017】
本明細書において、用語「親水性(hydrophilicity)」は、主に極性物質で現れる傾向であり、水のような極性溶媒に強い親和力を有し、よく溶解される性質を意味する。例えば、親水性高分子化合物や界面活性剤のミセルコロイドの表面は、親水性が強い。
【0018】
本発明の一具現例において、前記疎水性カンプトテシン系化合物は、SN-38(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)、カンプトテシン、10-ヒドロキシカンプトテシン及びその薬剤学的に許容可能な塩からなる群から選ばれる1種以上であるが、これに限定されるものではない。
【0019】
本発明の他の具現例において、前記親水性カンプトテシン系化合物は、イリノテカン、トポテカン、ベロテカン、エキサテカン、ルルトテカン、シノテカン、ルビテカン、9-ニトロカンプトテシン、9-アミノカンプトテシン、ジマテカン、カレニテシン(Karenitecin)、シラテカン(Silatecan)、ジフロモテカン(diflomotecan)、エロモテカン(Elomotecan)、これらの薬剤学的に許容可能な塩、又はこれらのグルクロニド代謝体、及び前記疎水性カンプトテシン系化合物のグルクロニド代謝体から選ばれる1種以上であるが、これに限定されるものではない。前記言及された親水性カンプトテシン系化合物には、一般的に疎水性薬物として分類される種類の化合物が含まれていてよいが、前記「親水性」は、本発明の粒子を構成する成分のうち、上述した疎水性カンプトテシン系化合物の種類と比較して相対的な親水性を意味すると理解されるべきである。すなわち、前記親水性カンプトテシン系化合物は、本発明の粒子中に含まれる疎水性カンプトテシン系化合物と比較して相対的に親水性であるカンプトテシン系化合物を意味する。
【0020】
本発明の具体的な具現例によれば、本発明の粒子をなす前記疎水性カンプトテシン系化合物は、カンプトテシン、SN-38、又はこれらの混合物であってよく、前記親水性カンプトテシン系化合物は、イリノテカンの塩酸塩、トポテカンの塩酸塩、SN-38のグルクロニド類似体である。
【0021】
本明細書において、用語「共重合体(copolymer)」は、2つ以上の異なる単量体(monomer)からなる高分子のことを指す。例えば、スチレンとアクリロニトリルを同じ反応容器内で反応をさせると、両単量体を同時に有する共重合体が形成される。「ブロック共重合体(block copolymer)」は、一つの単量体のブロックが他の単量体のブロックに連結される形態を取る共重合体のことを指す。A物質ブロック後にB物質ブロックがつながる場合を-[-AB-]-と表現する。鎖が単にそれぞれの単量体の一本で構成されていればAB型になり、中央にBブロックがあり、両端にAブロックが存在すればABA型、主鎖に3つの異なるブロックが存在すればABC型と呼ぶ。ブロック共重合体は主にイオン重合によって形成される。他の共重合体と違い、このブロック共重合体は2つの単量体から作られた同種重合体の物理的性質を多く有する。
【0022】
本発明の一具現例において、本発明の粒子を構成する前記両親媒性ブロック共重合体は、A-B又はA-B-Aブロックからなっている。ここで、前記Aは親水性高分子で、モノメトキシポリエチレングリコール、ジメトキシポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、モノメトキシポリプロピレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸などから選ばれるが、これに限定されるものではない。
【0023】
また、前記Bは疎水性高分子で、ポリ乳酸、ポリ-L-ラクチド、ポリ-D-ラクチド、ポリ-D,L-ラクチド、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリグリコン酸、ポリグリコリド、ポリ乳酸-グリコン酸共重合体、ポリマンデル酸、ポリカプロラクトン、ポリジオキサン-2-オン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリオルニチン、ポリオルトエステル、これらの誘導体、又はこれらから選ばれる1以上の化合物であるが、これに限定されず、当業界で使用可能な両親媒性ブロック共重合体をなし得る化合物であればいずれも使用可能であることは、当業者に明らかである。
【0024】
本発明の具体的な具現例において、前記両親媒性ブロック共重合体は、mPEG-PDLLA(mPEG-Poly(D,L)Lactic Acid);PEG-PCL [poly(ethylene glycol)-b-poly(carprolactone)];PEG-PLA[poly(ethylene glycol)-b-poly(lactic acid)];mPEG-PGA[monomethoxy poly(ethylene glycol)-b-poly(glycolic acid)];mPEG-PLGA[monomethoxy poly(ethylene glycol)-b-poly(lactide-co-glycolide)];PEG-PBLA[poly(ethylene glycol)-b-poly(β-benzyl-L-aspartic acid)];PEG-p(Glu)[poly(ethylene glycol)-b-poly(glutamic acid)];PEG-p(Asp)[poly(ethylene glycol)-b-poly(aspartic acid)];及び/又は、PEG-PLA-PEG[poly(ethylene glycol)-b-poly(lactic acid)-b-poly(ethylene glycol)]である。
【0025】
本発明の最も具体的な具現例によれば、本発明の粒子の特性及び製造方法は、本出願人の大韓民国登録特許第10-2094543号に詳細に記載されており、当該特許に開示された事項は本明細書に参照によって組み込まれる。
【0026】
上記登録特許又は下記実施例によって製造された疎水性カンプトテシン系化合物としてSN-38を、親水性カンプトテシン系化合物としてイリノテカン塩酸塩を含み、両親媒性ブロック共重合体としてmPEG-PDLLAを含む粒子は、SNB-101と命名された。
【0027】
本発明の他の具現例において、本発明の粒子を構成する前記疎水性カンプトテシン系化合物と前記親水性カンプトテシン系化合物との重量比は、1~10:1~10、1~10:1~5、1~10:1~3、1~10:1、1~5:1~10、1~3:1~10、1:1~10であり、具体的には、1~5:1~5、1~5:1~3、1~5:1、1~3:1~5、1:1~5であり、より具体的には、1~3:1~3、1~3:1、1:1~3であるが、これに限定されるものではない。
【0028】
本発明の具体的な具現例において、前記疎水性カンプトテシン系化合物と前記親水性カンプトテシン系化合物との重量比は、1:1~10、1:1~5、1:1~3、又は1:1~2であってよく、最も具体的には1:1.59であってよいが、これに限定されるものではない。
【0029】
また、本発明の一具現例において、前記(a)疎水性カンプトテシン系化合物及び親水性カンプトテシン系化合物の和と、(b)両親性ブロック共重合体との重量比は、1:0.1~200、1:0.5~200、1:1~200、1:2~200、1:5~200、1:10~200、1:50~200、1:100~200、1:150~200、1:0.1~100、1:0.5~100、1:1~100、1:2~100、1:5~100、1:10~100、1:20~100、1:50~100、1:0.1~50、1:0.5~50、1:1~50、1:5~50、1:10~50、1:20~50、1:0.1~20、1:0.5~20、1:1~20、1:5~20、1:10~20、1:0.1~10、1:0.5~10、又は1:1~10であるが、これに限定されるものではない。
【0030】
本明細書で使われている、2つの数値間に記載される用語「~」は、前後に記載されている数値を含むそれら数値間の区間を意味する。
【0031】
本発明の一具現例において、上述した本発明の粒子は、次のような方法によって製造される。まず、疎水性カンプトテシン(例えば、SN-38)を親水性カンプトテシン(例えば、イリノテカン塩酸塩)と一緒に有機溶媒に入れて撹拌して完全に溶解させ、ここに、あらかじめ有機溶媒に溶解させた両親媒性ブロック共重合体(例えば、mPEG-PDLLA)を添加しながら撹拌する。この混合液を回転蒸発減圧乾燥器又は真空乾燥器で乾燥させ、残留物に水性溶媒(例えば、蒸留水、PBS)を入れ、超音波洗浄器に超音波を加えることで、本発明の粒子が製造される。
【0032】
本発明の一具現例において、前記有機溶媒は、C1~C5のアルコール、(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、n-ブタノール、イソ-プロパノール、1-ペンタノール、2-ブトキシエタノール、イソブチルアルコールなど)アルキルアセテート、アセトン、アセトニトリル、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトン、フルオロアルカン、ペンタン、ヘキサン、2,2,4-トリメチルペンタン、デカン、シクロヘキサン、シクロペンタン、ジイソブチレン、1-ペンテン、1-クロロブタン、1-クロロペンタン、ジイソプロピルエーテル、2-クロロプロパン、1-クロロプロパン、クロルベンゼン、ベンゼン、ジエチルエーテル、ジエチルスルフィド、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、アニリン、ジエチルアミン、エーテル、四塩化炭素、THF(Tetrahydrofuran)又はこれらの混合溶媒であるが、これに限定されるものではない。
【0033】
本発明の薬剤学的組成物は抗腫瘍剤を含む。
【0034】
前記抗腫瘍剤は、タキサン(taxane)系抗癌剤、アルブミンが結合したタキサン系抗癌剤、血管内皮細胞成長因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)抑制剤及びゲムシタビン(gemcitabine)からなる群から選ばれる1種以上を含む。
【0035】
本発明の一具現例において、前記タキサン系抗癌剤は、パクリタキセル、ドセタキセル、ラロタキセル、カバジタキセル、及びこれらの薬剤学的に許容される塩からなる群から選ばれる1種以上であってよいが、これに限定されるものではない。
【0036】
本発明の一具現例において、前記アルブミンが結合したタキサン系抗癌剤は、アルブミン結合パクリタキセル(アルブミンナノ粒子パクリタキセル又はナブパクリタキセル)、及びアルブミン結合ドセタキセル(アルブミンナノ粒子ドセタキセル又はナブドセタキセル)からなる群から選ばれる1種以上であってよいが、これに限定されるものではない。
【0037】
本発明の一具現例において、前記血管内皮細胞成長因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)抑制剤は、ベバシズマブ(bevacizumab)、ラニビズマブ(ranibizumab)及びアフリベルセプト(aflibercept)からなる群から選ばれる1種以上であってよいが、これに限定されるものではない。
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
本発明の具体的な具現例において、前記疎水性カンプトテシン系化合物はSN-38であり、前記親水性カンプトテシン系化合物はイリノテカン塩酸塩であり、前記両親媒性ブロック共重合体はmPEG-PDLLA(mPEG-Poly(D,L)Lactic Acid)である。
【0042】
前記具体的な具現例によって製造された本発明の粒子は、本発明者らによってSNB-101と命名された。
【0043】
前記SN-38及びイリノテカン塩酸塩の安定したナノ粒子剤形(SNB-101)は、極度の難溶性であるSN-38を可溶化及び製剤化した剤形であり、抗癌効果に優れるが、溶解度が低いため活用不可能であったSN-38を直接投与でき、よって、カルボキシルエステラーゼが不在する膵癌、卵巣癌、肺癌、乳癌などに対して抗癌効果を示すことができ、新規適応症としての効果も期待できる。
【0044】
本発明の具体的な具現例に係る前記本発明の薬剤学的組成物の有効成分である粒子は、SN-38を基準に粒子組成物に対して0.1~1mg/ml含むことが好ましく、0.2~1.0mg/mlであることがより好ましい。また、イリノテカン塩酸塩は、前記粒子組成物に対して0.1~2mg/mlであることが好ましく、0.2~1.6mg/mlであることがより好ましい。
【0045】
本発明の一具現例において、前記粒子は二重構造を有する。前記二重構造は、前記親水性カンプトテシン系化合物と疎水性カンプトテシン系化合物がなす内部構造;及び、前記両親媒性ブロック共重合体がなす外部構造からなる。
【0046】
本発明の前記二重構造を持つ粒子の製造過程において、まず、親水性カンプトテシン系化合物と疎水性カンプトテシン系化合物は有機溶媒で混合及び溶解され、該混合物に、有機溶媒に溶解した両親媒性高分子(両親媒性ブロック共重合体)を添加しながら撹拌後に乾燥させる。該乾燥物を水性溶媒で超音波処などして乳化させると、水分酸性ナノ粒子が形成される。
【0047】
ブロック親水性ブロックと疎水性ブロックが特定比率で結合してなる両親媒性ブロック共重合体は、水溶液上で自己組立してミセルと類似の水分酸性粒子を形成することが知られているので、本発明の粒子は、上述した親水性カンプトテシン系化合物と疎水性カンプトテシン系化合物を水分酸性粒子の内部に含み、前記両親媒性ブロック共重合体は外部のシェル(shell)をなすと推定される。より具体的には、本発明の水分酸性粒子の構造において、前記両親媒性ブロック共重合体のうち疎水性ブロックは、比較的疎水性であるカンプトテシン系化合物がなす内部構造側に向かって、親水性ブロックは外部の水性溶媒側に向かってシェルをなすと推定される。
【0048】
本発明の一具現例において、前記本発明の二重構造の水分酸性粒子は、水溶液に分散した時に自発的に粒子を形成することを特徴とする。
【0049】
本発明の他の具現例において、前記粒子の平均直径は、2~200nmである。本発明のように製造された粒子のサイズが200nm以下である場合に体内の細網内皮系(RES system)の非選択的除去が回避できるので、200nm以下の均質な粒子サイズを持つ粒子を製造することが好ましい。
【0050】
本発明の一具現例において、本発明の前記水分酸性粒子は、トレハロース、マンニトールのような凍結乾燥保護剤と混合後に凍結乾燥させることができる。
【0051】
本発明に係る前記粒子の平均直径(粒子サイズ)は、約200nm以下であり、腫瘍組織の特徴である亢進した侵透性及び滞留効果(EPR;Enhanced Permeation & Retention)を用いて、前記薬物の腫瘍組織への伝達を極大化させることができる。EPRは、血管系(特に、毛細管)の正常な統合性が損傷してナノサイズの粒子伝達体(ナノパーティクル、リポソーム、ミセル)のような粒子体が毛細管から漏れ、腫瘍部位に伝達体を沈積させる。
【0052】
したがって、このような本発明の粒子(SNB-101)の特性から、SNB-101に含まれているSN-38及びイリノテカンは血中に長時間存在でき、薬物の腫瘍組織への蓄積を促進させることができる。したがって、腫瘍内癌細胞に薬物の露出量は増やし、正常組織に対する薬物露出は減少させることによって、安全性(Safety)を向上させ、薬物の最大耐薬用量(Maximum Tolerated Dose;MTD)も増加させると予想される。
【0053】
本発明の一具現例において、本発明の前記一態様に係る薬剤学的組成物は、癌の治療用である。前記癌は、胃癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頸癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、膵癌、乳癌、食道癌、網膜芽細胞腫、口腔癌、唾液腺癌、喉頭癌、咽頭癌、直膓癌、結腸癌、大腸癌(直結腸癌)、腎臓癌、前立腺癌、黒色腫、肝癌、胆嚢及びその他胆道癌、甲状腺癌、膀胱癌、脳及び中枢神経系癌、骨腫瘍、皮膚癌、非ホジキン性及びホジキン性リンパ腫からなる群から選ばれるが、これに限定されるものではない。前記脳癌は、神経膠腫、脳髄膜腫、神経消腫、脳下垂体腫瘍、転移性脳腫瘍、頭蓋底腫瘍であってよい。前記神経膠腫は、星状細胞腫(astrocytoma)、乏突起膠腫(oligodendroglioma)、上衣腫(ependymoma)又はこれらの混合型を含む。
【0054】
本発明の具体的な具現例において、前記薬剤学的組成物の治療対象疾病である癌は、膵癌、胃癌、乳癌、肺癌、大腸癌、又はこれらの組合せである。
【0055】
本発明の粒子又はこれを含む組成物が薬剤学的組成物として製造される場合に、本発明の薬剤学的組成物は、薬剤学的に許容される担体を含んでよい。前記薬剤学的に許容される担体は、製剤時に一般に用いられるものであり、ラクトース、ブドウ糖、スクロース、ソルビトール、マンニトール、澱粉、アカシアガム、リン酸カルシウム、アルジネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、滑石、ステアリン酸マグネシウム及びミネラルオイルなどを含むが、これに限定されるものではない。本発明の薬剤学的組成物は、前記成分の他、潤滑剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤などをさらに含んでもよい。適合な薬剤学的に許容される担体及び製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(19th ed.,1995)に詳細に記載されている。
【0056】
本発明の具体的な具現例において、本発明の薬剤学的組成物は、スクロース、マンニトール、ソルビトール、グリセリン、トレハロース、ポリエチレングリコール類の賦形剤、及びシクロデキストリン類(アルファ、ベータ、ガンマ-シクロデキストリン、ヒドロキシシクロデキストリン又はシクロデキストリンの誘導体など)の賦形剤をさらに含む。前記賦形剤は、本薬剤学的組成物の有効成分である粒子に添加されて凍結保護剤又は浸透圧調節剤として働き、凍結乾燥、溶媒蒸発法などによって剤形化する。
【0057】
本発明の薬剤学的組成物は、経口又は非経口の経路で投与でき、非経口投与である場合には、静脈内投与、動脈内投与、直腸内投与、皮下投与、血内投与、筋肉内投与、鼻腔内投与、粘膜内投与、硬膜内投与、腹腔内投与、眼球内投与などで投与でき、具体的には、静脈内投与できる。
【0058】
本発明の薬剤学的組成物の適度な投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性別、病的状態、食べ物、投与時間、投与経路、排泄速度及び反応感応性のような要因によって様々であり、通常の熟練した医師は、所望の治療又は予防に有効な投与量を容易に決定及び処方できる。本発明の具体的な具現例によれば、本発明の薬剤学的組成物の1日投与量は0.001~100mg/kgである。
【0059】
本発明の具体的な具現例において、本発明のSNB-101に含まれるSN-38及びイリノテカン塩酸塩の投与量及び投与回数は、SN-38を基準にして1日に1~5mg/m2投与でき、1回又は数回に分けて投与できる。例えば、注射剤は、ヒト患者(体重60kg基準;体表面積1.67m2)に、1日当たり1~100mg、具体的には20mg~85mg、より具体的には30mg~85mgを静脈注射で1回~3回に分けて投与できる。しかし、これらの投与量及び投与回数に限定されるものではない。
【0060】
本発明の薬剤学的組成物は、当該発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に実施できる方法によって、薬剤学的に許容される担体及び/又は賦形剤を用いて製剤化することにより、単位用量の形態で製造されたり又は多回用量容器内に内入して製造されてよい。このとき、剤形は、オイル又は水性媒質中の溶液、懸濁液又は乳化液の形態であるか、エキス剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤又はカプセル剤の形態であってもよく、分散剤又は安定化剤をさらに含んでもよい。
【0061】
本発明の薬剤学的組成物は、癌の治療効果を有する公知の化合物又は薬剤学的組成物と併用して投与できる。
【0062】
本発明の一具現例において、前記公知の化合物又は薬剤学的組成物は、タキサン(taxane)系抗癌剤、アルブミンが結合したタキサン系抗癌剤、血管内皮細胞成長因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)抑制剤及びゲムシタビン(gemcitabine)からなる群から選ばれる1種以上を含む。
【0063】
【0064】
本発明の一態様によれば、本発明は、投与が必要な対象体(subject)に、(a)疎水性カンプトテシン系化合物、親水性カンプトテシン系化合物、並びに疎水性ブロック及び親水性ブロックからなる両親媒性ブロック共重合体を含む粒子を含む第1薬剤学的組成物を(b)抗腫瘍剤を有効成分として含む第2薬剤学的組成物又は抗癌療法と組み合わせて投与する段階を含む癌の治療方法を提供する。
【0065】
本発明の一具現例において、前記第1薬剤学的組成物と前記第2薬剤学的組成物は同時に、個別に又は順次に投与される。
【0066】
本発明の一具現例において、前記第1薬剤学的組成物と第2薬剤学的組成物は、複合製剤又は単一製剤として投与される。
【0067】
本発明の一具現例において、前記抗腫瘍療法は、手術療法、放射線療法、又はこれらの組合せを含む。
【0068】
本発明の一具現例において、本発明の前記癌は、胃癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頸癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、膵癌、乳癌、食道癌、網膜芽細胞腫、口腔癌、唾液腺癌、喉頭癌、咽頭癌、直膓癌、結腸癌、大腸癌(直結腸癌)、腎臓癌、前立腺癌、黒色腫、肝癌、胆嚢及びその他胆道癌、甲状腺癌、膀胱癌、脳癌、中枢神経系癌、骨腫瘍、皮膚癌、非ホジキン性及びホジキン性リンパ腫からなる群から選ばれるが、これに限定されるものではない。前記脳癌は、神経膠腫、脳髄膜腫、神経消腫、脳下垂体腫瘍、転移性脳腫瘍、頭蓋底腫瘍であってよい。前記神経膠腫は、星状細胞腫(astrocytoma)、乏突起膠腫(oligodendroglioma)、上衣腫(ependymoma)又はこれらの混合型を含む。
【0069】
本発明の具体的な具現例において、前記癌は、膵癌、胃癌、乳癌、肺癌、大腸癌、又はこれらの組合せである。
【0070】
【0071】
本発明の他の一態様によれば、本発明は、疎水性カンプトテシン系化合物、親水性カンプトテシン系化合物、並びに疎水性ブロック及び親水性ブロックからなる両親媒性ブロック共重合体を含む粒子;及び、抗腫瘍剤を有効成分として含む薬剤学的併用製剤を提供する。
【0072】
前記薬剤学的併用製剤は、癌治療のために各有効成分が同時に、個別に又は順次に投与される。
【0073】
【0074】
本発明のさらに他の一態様によれば、本発明は、疎水性カンプトテシン系化合物、親水性カンプトテシン系化合物、並びに疎水性ブロック及び親水性ブロックからなる両親媒性ブロック共重合体を含む粒子を第1薬剤学的組成物として含み;抗腫瘍剤を第2薬剤学的組成物として含む癌治療用キットを提供する。
【0075】
前記癌治療用キットの第1薬剤学的組成物と第2薬剤学的組成物は、癌の治療のために同時に、個別に又は順次に投与される。
【0076】
本発明の一具現例において、前記第1薬剤学的組成物と第2薬剤学的組成物は、複合製剤又は単一製剤として投与される。
【0077】
本明細書で使われた用語「投与」又は「投与する」は、本発明の組成物の治療的有効量を癌の発病した対象体(個体)に直接に投与することにより、対象体の体内で同一の量が形成されるようにすることを指す。
【0078】
前記組成物の「治療的有効量」は、組成物を投与しようとする対象体に治療的又は予防的効果を提供するのに十分な組成物の含有量を意味し、よって、「予防的有効量」を含む意味である。また、本明細書で使われた用語「対象体」は、これに限定されないが、ヒト、マウス、ラット、ギニアピッグ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、サル、チンパンジー、ヒヒ(baboon)又はアカゲザルを含む。具体的には、本発明の対象体はヒトである。
【0079】
本発明の前記癌の治療方法、薬剤学的併用製剤及び癌治療用キットは、本発明の一態様である癌の治療用薬剤学的組成物と同じ有効成分を含み、併用製剤として抗腫瘍剤を使用する発明であるので、重複する内容には、上述した本発明の一態様に関して記載された内容が同一に適用される。
【0080】
【発明の効果】
【0081】
本発明は、難溶性カンプトテシン系化合物を含むナノ粒子の癌治療用途及びこれを用いたタキサン系抗腫瘍剤との併用投与療法に関する。本発明のナノ粒子を含む薬剤学的組成物は、タキサン系抗腫瘍剤と併用時に癌治療の相乗効果を示すところ、癌治療剤及び併用療法製剤として容易に使用することができる。
【0082】
【図面の簡単な説明】
【0083】
【
図1】AsPC-1皮下移植膵癌モデルマウスにおいて投与後にマウス体重の変化を示す図である。
【0084】
【
図2】AsPC-1皮下移植膵癌モデルマウスにおいて試験物質処理による腫瘍抑制効果を腫瘍の体積変化によって示す図である。
【0085】
【
図3】AsPC-1皮下移植膵癌モデルマウスにおいて試験物質処理による腫瘍抑制効果を腫瘍の重さ変化によって示す図である。
【0086】
【
図4】AsPC-1皮下移植膵癌モデルマウスにおいて試験物質を処理後に22日目に腫瘍を摘出した写真である。
【0087】
【
図5】Hs746T皮下移植胃癌モデルマウスにおいて投与後にマウス体重の変化を示す図である。
【0088】
【
図6】Hs746T皮下移植胃癌モデルマウスにおいて試験物質処理による腫瘍抑制効果を腫瘍の体積変化によって示す図である。
【0089】
【
図7】Hs746T皮下移植胃癌モデルマウスにおいて試験物質処理による腫瘍抑制効果を腫瘍の重さ変化によって示す図である。
【0090】
【
図8】Hs746T皮下移植胃癌モデルマウスにおいて試験物質を処理後に22日目に腫瘍を摘出した写真である。
【0091】
【
図9】MDA-MB231皮下移植乳癌モデルマウスにおいて試験物質処理による腫瘍抑制効果を腫瘍の体積変化によって示す図である。
【0092】
【
図10】MDA-MB231皮下移植乳癌モデルマウスにおいて試験物質処理によるマウス体重の変化を示す図である。
【0093】
【
図11】A549皮下移植肺癌モデルマウスにおいて試験物質処理による腫瘍抑制効果を腫瘍の体積変化によって示す図である。
【0094】
【
図12】A549皮下移植肺癌モデルマウスにおいて試験物質処理によるマウス体重の変化を示す図である。
【0095】
【
図13】HT-29皮下移植大腸癌モデルマウスにおいて試験物質処理による腫瘍体積変化を示す図である。
【0096】
【
図14】NCI-H69皮下移植小細胞肺癌モデルマウスにおいて試験物質処理による腫瘍体積変化を示す図である。
【0097】
【
図15】NCI-H69皮下移植小細胞肺癌モデルマウスにおいて試験物質処理による腫瘍写真を示す図である。
【0098】
【
図16】HCT116皮下移植大腸癌モデルマウスにおいて試験物質処理による腫瘍体積変化を示す図である。
【0099】
【
図17】HCT116皮下移植大腸癌モデルマウスにおいて試験物質処理による腫瘍写真を示す図である。
【0100】
【
図18】A549皮下移植非小細胞肺癌モデルマウスにおいて試験物質処理による腫瘍体積変化を示す図である。
【0101】
【発明を実施するための形態】
【0102】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は単に本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の要旨によって本発明の範囲がこれらの実施例によって限定されないということは、当業界における通常の知識を有する者にとって明らかであろう。
【0103】
【0104】
実施例
【0105】
【0106】
本明細書全体を通じて、特定物質の濃度を示すために使われる「%」は、特に断りのない限り、固体/固体は(重量/重量)%、固体/液体は(重量/体積)%、及び液体/液体は(体積/体積)%である。
【0107】
【0108】
実施例1:本発明のナノ粒子(SNB-101)の製造
【0109】
本発明者らは、疎水性カンプトテシンとしてSN-38(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)20mgと親水性カンプトテシンとしてイリノテカン塩酸塩(三水和物)30mgを丸底フラスコに入れた後、アセトニトリル10mlを添加し、洗浄用超音波器(sonicator)で超音波を加えて両薬物を完全に溶解させた。次に、メトキシポリエチレングリコール-ポリ(D,L,乳酸)[mPEG-Poly(D,L)Lactic Acid](mPEG-PDLLA)100mgを丸底フラスコに称量し、有機溶媒(エタノール-アセトニトリル50:50v/v混合液)10mlを添加した後、30分間撹拌して完全に溶解させた。完全に溶解したmPEG-PDLLA溶液を、SN-38及びイリノテカン塩酸塩が溶解している薬物溶液に徐々に数回に分けて毎回10~15秒間撹拌しながら添加した。前記混合溶液を丸底フラスコで混合した後、回転蒸発減圧乾燥器(rotary evaporator)で乾燥させることで有機溶媒を完全に除去し、薄いフィルムを得た。ここに滅菌蒸留水20mlを添加した後、超音波洗浄器で超音波を加えて薬物フィルムを完全に溶解させた。
【0110】
製造された二重構造のナノ粒子の平均粒子径は、試料を蒸留水で希釈してSN-38として1mg/mlに調合した後、マルバーン社(Malvern,UK)製のZetasizer Nano Systemを用いて動的光散乱法(dynamic light scattering)で強度平均粒子径(intensity weight-averaged diameter)を測定した。
【0111】
次に、凍結乾燥保護剤としてトレハロース(Trehalose)200mgとマンニトール(D-Mannitol)300mgを滅菌蒸留水20mlに入れて撹拌して完全に溶解させた。
【0112】
最終的に、混合薬物のナノ粒子溶液に凍結乾燥保護剤溶液全部を撹拌しながら毎回10~15秒をかけて全部添加した。最終混合溶液は0.22μmのセルロースアセテートメンブレインフィルターで濾過して包装用バイアルに充填した。充填済みのバイアルを凍結乾燥させた後、乾燥粉末又はケーキ形態の完成品(SNB-101と命名する。)を得た。
【0113】
【0114】
実施例2:本発明のナノ粒子(SNB-101)の膵癌併用投与効果
【0115】
【0116】
2-1.実験材料
【0117】
試験に使用した物質として、5%ブドウ糖注射液、イリノテカン塩酸塩(Irinotecan HCl;カンプト注TM,CJヘルスケア,大韓民国)、ナブパクリタキセル(Nab-paclitaxel;アブラキサンTM,Abraxis BioScience,LLC)、及びSN-38とイリノテカン塩酸塩を含むナノ粒子組成物(SNB-101と命名する。)を用いた。前記イリノテカン塩酸塩(カンプト注TM)は100mg/5mLであり、CJヘルスケア社から購入した。アブラキサンはAbraxis BioScience,LLC(米国)から購入したし、100mg/vialの凍結乾燥注射剤のものを使用した。
【0118】
本発明で使用された前記SN-38及びイリノテカン塩酸塩を含むナノ粒子組成物(SNB-101)は注射剤として安定したナノ粒子剤形であり、大韓民国登録特許第10-2094543号にその製造方法が紹介されている。前記SNB-101の静脈注射剤は、バイアル当たり主成分の量はSN-38 10mg、イリノテカン塩酸塩15.9mgであり、調合方法は、9.64m L5%ブドウ糖注射液USPで希釈させることができ、90分の時間にわたって注入されてよい。
【0119】
【0120】
2-2.試験方法
【0121】
1)AsPC-1細胞培養
【0122】
膵癌の異種移植モデルのための膵癌細胞株としてはAsPC-1を使用した。AsPC-1細胞株は攻撃的な細胞株で、ゲムシタビンに抵抗性を有するものと知られている。AsPC-1細胞は、10%FBS(fetal bovine serum)、1%ペニシリン/ストレプトマイシンが含まれたRoswell Park Memorial Institute medium(RPMI-1640)を使用して175cm2フラスコで培養した。FBS、RPMI-1640、ペニシリン/ストレプトマイシンは、ATCC(Manassas,VA)から購入して実験に使用し、細胞は37℃、5%CO2培養器で培養した。培養されたそれぞれの癌細胞は、1週に2~3回リフィーディング(refeeding)したし、リン酸塩緩衝液(PBS;phosphate buffered saline,pH7.4)で洗浄した後、0.05%トリプシン-0.02%EDTAで、付着している細胞を分離した。分離された細胞は遠心分離(3分、1500rpm)して集積した癌細胞に培地を入れ、ピペットで均一に分散するようによく混合して継代培養しながら実験に使用した。
【0123】
【0124】
2)膵癌異種移植マウス動物モデルの誘導
【0125】
本試験に使用した動物は、異種移植動物モデルに広く使用されているBALB/c nu/nu雄マウス(約5週齢、平均体重は19g±20%)を使用したし、入手後、約5~7日の順化過程を経た。接種当日に培養された癌細胞は、リン酸塩緩衝液(PBS,pH7.4)で洗浄した後、0.05%トリプシン-0.02%EDTAで、付着している細胞を分離した。分離された細胞は、遠心分離(3分、1500rpm)してPBSで希釈後に1匹当たり5×106cells/0.2mLとなるようにマウスの右横腹に皮下注射したし、注射部位から腫瘍細胞懸濁液が流出しないことを確認した。
【0126】
群構成及び投与用量設定
【0127】
マウス群分離は、膵癌腫瘍体積(tumor volume)平均200±20mm3に基づいて群分離を行ったし、対照群及び試験群の構成と投与用量は次の通りであった。
【0128】
【0129】
【0130】
* SNB-101のSN-38/イリノテカン塩酸塩としての用量表記
【0131】
【0132】
3)投与部位及び投与方法
【0133】
試験物質は、投与直前の体重に基づいて個体別投与量を換算して尾静脈投与(Intravenous,i.v.)した。試験物質は、週に1回(0日、7日、14日、17日及び21日)で合計5回投与したし、22日に剖検した。
【0134】
【0135】
4)観察及び検査項目
【0136】
試験期間中に1日1回臨床症状観察したし、薬物投与と一緒に腫瘍体積は週に3回測定した。試験終了後に、動物は、イソフルラン(Isoflurane)で麻酔後に放血した後、個体別に腫瘍組織を摘出した。摘出した腫瘍は、重量測定後に写真撮影した。腫瘍体積はバーニヤカリパス(Mitutoyo Corp.,Model No.:CD-15CPX,Japan)を用いて腫瘍の長軸及び短軸のサイズを測定し、下記式1の計算式によって腫瘍体積(tumor volume)を算出した。
【0137】
式1
【0138】
腫瘍体積(tumor volume)=(短軸)2×長軸×0.5
【0139】
【0140】
5)統計分析
【0141】
試験結果は、商用統計プログラム(IBM SPSS statistics version 19.0)を用いてMann-Whitney分析によってデータを統計分析した。
【0142】
【0143】
2-3.試験結果
【0144】
1)体重測定結果
【0145】
試験物質投与22日目(剖検日)に体重を測定した結果は、表2及び
図1に示す。
【0146】
【0147】
G1(ビークル群)に比べて全ての試験物質投与群(G3~G8)において各10.0%、10.0%、10.0%、15.4%、12.4%及び17.4%であって、体重減少率が20%を超えず、危篤な最低体重に達していないと判断された(
図1)。
【0148】
【0149】
2)腫瘍体積測定結果
【0150】
膵癌腫瘍体積測定結果は、下記の表3及び
図2に示す。
【0151】
【0152】
【0153】
膵癌腫瘍の体積は、ビークル群(G1)とナブパクリタキセル単独投与群(G2;5mg/kg)において群分離後22日まで持続的に増加したし、腫瘍成長率は他の群に比べて高く現れた。
【0154】
ビークル群に比べて、ナブパクリタキセル+SNB-101(高用量)併用投与群(G8)において7日目から腫瘍体積が有意に減少しており、SNB-101(低、高用量)単独投与群(G5、G6)とナブパクリタキセル+SNB-101(高用量)併用投与群(G8)は、17日目から22日目までビークル群に比べていずれも有意に減少した(p<0.05)。
【0155】
22日目にナブパクリタキセル+イリノテカン塩酸塩併用投与群(G4)は、ナブパクリタキセル単独投与群(G2)に比べて32.4%有意に減少したし、イリノテカン塩酸塩単独投与群(G3)に比べて12.8%減少したが、統計学的に有意な差は観察されなかった(p>0.05)。
【0156】
SNB-101(低、高用量)単独投与群間比較(G5vs.G6)では、高用量単独投与群(G6)が低用量単独投与群(G5)に比べて11.0%有意に減少し、SNB-101の膵癌腫瘍抑制効果が用量依存的であることを示した(10/15.9mg/kg対20/31.8mg/kg as SN-38/Irinotecan HCl)。
【0157】
一方、ナブパクリタキセル単独(G2)或いはSNB-101(低、高用量)単独投与群(G5、G6)とナブパクリタキセル+SNB-101(低、高用量)併用投与群(G7、G8)との比較では、両併用投与群ともそれぞれの単独投与群に比べてもより高い腫瘍成長抑制効果を示した(p<0.05、<0.01)。ナブパクリタキセル+SNB-101(低、高用量)群間(G7、G8)の比較では、SNB-101の用量増加によって腫瘍成長抑制効果も統計的に有意に増加した(p<0.05)。
【0158】
一方、ナブパクリタキセル(5mg/kg)単独(G2)では腫瘍抑制効果が確認できなかったが、ナブパクリタキセル+SNB-101高用量群(G8)(20/31.9mg/kg as SN-38/irinotecan HCl)では、SNB-101高用量単独投与群(G6)自体の腫瘍抑制効果(38.4%)に比べてもより高い腫瘍成長抑制効果(52.6%)が観察できた。また、ナブパクリタキセル+SNB-101高用量群(G8)は、ナブパクリタキセル+イリノテカン塩酸塩併用投与群(G4)との比較時にも統計的に有意なレベルの優れた腫瘍成長抑制効果(29.5%)を示した(p<0.05)。
【0159】
このような結果は、ナブパクリタキセルとSNB-101の併用投与時に、膵臓腫瘍成長の抑制において相乗(synergistic)効果を奏し得ることを示す。
【0160】
【0161】
3)腫瘍重さ測定結果
【0162】
腫瘍重さを測定した結果は、下記の表4及び
図3に示す。
【0163】
【0164】
【0165】
上記の表4及び
図3に示すように、非処理群(ビークル群、G1)の腫瘍重さは、平均0.62±0.11g、ナブパクリタキセル処理群(G2)の腫瘍重さは0.64±0.15g、SNB-101(低、高用量)単独投与群(G5、G6)はそれぞれ0.47±0.10g、0.38±0.11gであった。また、ナブパクリタキセル+SNB-101(低、高用量)併用投与群(G7、G8)の腫瘍重さはそれぞれ、0.43±0.10、0.31±0.05gであって、併用投与群はナブパクリタキセル単独投与群(G2)に比べて50%以上、SNB-101(低、高用量)単独投与群(G5、G6)に比べては10~22.5%以上の腫瘍抑制効果を示した。前記結果から、ナブパクリタキセルとSNB-101は、膵癌治療療法において優れた効果がある併用投与療法としての可能性があることを確認した。
【0166】
ナブパクリタキセル+イリノテカン塩酸塩併用投与群(G4)は、ナブパクリタキセル単独投与群(G2)に比べて30.8%有意に減少したし、SNB-101(低、高用量)単独投与群間比較では、低用量投与群(G5)に比べて高用量投与群(G6)において20.0%減少した。
【0167】
【0168】
実施例3:本発明のナノ粒子(SNB-101)の胃癌併用投与効果
【0169】
【0170】
3-1.実験材料
【0171】
試験に使用した物質として、5%ブドウ糖注射液、イリノテカン塩酸塩(Irinotecan HCl;カンプト注TM,CJヘルスケア、大韓民国)、ドセタキセル(Docetaxel;タキソテール注TM、サノフィアベンティスコリア)、及びSN-38とイリノテカン塩酸塩を含むナノ粒子組成物(SNB-101と命名する。)を使用した。前記イリノテカン塩酸塩(カンプト注TM)は100mg/5mLであり、CJヘルスケア社から購入した。ドセタキセルはサノフィアベンティスコリアから購入したし、20mg/mLであった。本発明で使われた前記SN-38及びイリノテカン塩酸塩を含むナノ粒子組成物(SNB-101)は注射剤として安定したナノ粒子剤形であり、大韓民国登録特許第10-2094543号にその製造方法が紹介されている。前記SNB-101の静脈注射剤は、バイアル当たり主成分の量はSN-3810mg、イリノテカン塩酸塩15.9mgであり、調合方法は、9.64mL5%ブドウ糖注射液USPで希釈させることができ、90分の時間にわたって注入されてよい。
【0172】
【0173】
3-2.試験方法
【0174】
1)胃癌細胞株Hs746Tの培養
【0175】
胃癌の異種移植モデルのための胃癌細胞株としてはHs746Tを使用した。Hs746T細胞は、10%FBS(fetal bovine serum)、1%ペニシリン/ストレプトマイシンが含まれたDMEM(Dulbecco’s modified eagle’s medium)を用いて175cm2フラスコで培養した。FBS、DMEM、ペニシリン/ストレプトマイシンは、ATCC(Manassas,VA)から購入して実験に使用したし、細胞は、37℃、95%エア、5%CO2で培養した。培養されたそれぞれの癌細胞は、1週に2~3回リフィーディングしたし、リン酸塩緩衝液(PBS;phosphate buffered saline,pH7.4)で洗浄後に、0.05%トリプシン-0.02%EDTAで、付着している細胞を分離した。分離された細胞を遠心分離(3分、1500rpm)して集積された癌細胞に培地を入れ、ピペットで均一に分散するようによく混合して継代培養しながら実験に使用した。
【0176】
接種当日に培養された癌細胞は、PBSで洗浄後に、0.05%トリプシン-0.02%EDTAで、付着している細胞を分離した。分離された細胞は、遠心分離(3分、1500rpm)してPBSで希釈後に1匹当たり4×106cells/0.2mLとなるように準備した。
【0177】
【0178】
2)胃癌異種移植マウス動物モデルの誘導
【0179】
本試験に使用した動物は、異種移植動物モデルに広く使用されているBALB/c nu/nu雄マウス(約5週齢、平均体重は19g±20%)を使用したし、入手後に約5~7日の順化過程を経た。接種当日に培養された癌細胞は、リン酸塩緩衝液(PBS,pH7.4)で洗浄後に、0.05%トリプシン-0.02%EDTAで、付着している細胞を分離した。分離された細胞は、遠心分離(3分、1500rpm)してPBSで希釈後に1匹当たり5×106cells/0.2mLとなるようにマウスの右横腹に皮下注射したし、注射部位から腫瘍細胞懸濁液が流出しないことを確認した。
【0180】
【0181】
群構成及び投与用量設定
【0182】
マウス群分離は、胃癌腫瘍体積(tumor volume)平均80±20mm3に基づいて群分離を行ったし、対照群及び試験群の構成と投与用量は次の通りであった。
【0183】
【0184】
* SNB-101のSN-38/イリノテカン塩酸塩としての用量表記
【0185】
【0186】
3)投与部位及び投与方法
【0187】
試験物質は、投与直前の体重に基づいて個体別投与量を換算して尾静脈投与(Intravenous,i.v.)した。試験物質は、週に1回(0日、7日、14日)で合計3回投与し、15日に剖検した。
【0188】
【0189】
4)観察及び検査項目
【0190】
試験期間中に1日1回臨床症状観察したし、薬物投与と一緒に腫瘍体積は週に3回測定した。試験終了後、動物はイソフルラン(Isoflurane)で麻酔後に放血した後、個体別に腫瘍組織を摘出した。摘出した腫瘍は、重量測定後に写真撮影した。腫瘍体積は、バーニヤカリパス(Mitutoyo Corp.,Model No.:CD-15CPX,Japan)を用いて腫瘍の長軸及び短軸のサイズを測定し、下記式1の計算式によって腫瘍体積(tumor volume)を算出した。
【0191】
式1
【0192】
腫瘍体積(tumor volume)=(短軸)2×長軸×0.5
【0193】
【0194】
5)統計分析
【0195】
試験結果は、商用統計プログラム(IBM SPSS statistics version 19.0)を用いてMann-Whitney分析によってデータを統計分析した。
【0196】
【0197】
3-3.試験結果
【0198】
1)体重測定結果
【0199】
試験物質投与15日目(剖検日)に体重(g)を測定した結果は、表6及び
図5に示す。
【0200】
【0201】
Unit:g,Data are expressed in mean ± SD(n=9)
【0202】
G1:Vehicle control(5%ブドウ糖注射液)
【0203】
G2:Positive control 1(5mg/kg/day Docetaxel)
【0204】
G3:Positive control 2(60mg/kg/day Irinotecan HCl)
【0205】
G4:Positive control 3(5mg/kg/day Docetaxel + 60mg/kg/day Irinotecan HCl)
【0206】
G5:Test article1(20/31.8mg/kg/day(as SN-38/Irinotecan HCl)SNB-101)
【0207】
G6:Test article 2(5mg/kg/day Docetaxel + 20/31.8mg/kg/day(as SN-38/Irinotecan HCl)SNB-101)
【0208】
【0209】
入手時、群分離時に、全ての群において体重の有意な差は観察されなかった。試験物質投与15日目(剖検日)に体重を測定した結果、G4(ドセタキセル+イリノテカンHCl)、G6(ドセタキセル+SNB-101)の併用投与群において体重減少が観察されたし、15日目に併用投与群の体重は、賦形剤対照群であるG1(5%ブドウ糖注射液)、G2(ドセタキセル)、G3(イリノテカンHCl)及びG4(SNB-101)の単独投与群に比べていずれも有意に減少した。G1(ビークル群)に比べて全ての試験物質投与群(G2~G6)において体重減少率が20%を超えず、危篤な最低体重に達していないと判断された(
図5)。
【0210】
【0211】
2)腫瘍体積測定結果
【0212】
胃癌腫瘍体積(mm
3)測定結果は、下記の表7及び
図6に示す。
【0213】
【0214】
Unit:g,Data are expressed in mean ± SD(n=9)
【0215】
*Compared with G1:*p<0.05,**p<0.01;#Compared with G2:#p<0.05,##p<0.01;¶Compared with G3:¶p<0.05,¶¶p<0.01
【0216】
G1:Vehicle control(5%ブドウ糖注射液)
【0217】
G2:Positive control 1(5mg/kg/day Docetaxel)
【0218】
G3:Positive control 2(60mg/kg/day Irinotecan HCl)
【0219】
G4:Positive control 3(5mg/kg/day Docetaxel + 60mg/kg/day Irinotecan HCl)
【0220】
G5:Test article 1(20/31.8mg/kg/day(as SN-38/Irinotecan HCl)SNB-101)
【0221】
G6:Test article 2(5mg/kg/day Docetaxel + 20/31.8mg/kg/day(as SN-38/Irinotecan HCl)SNB-101)
【0222】
【0223】
胃癌腫瘍体積測定の結果では、賦形剤対照群G1において群分離後15日まで持続的に増加したし、腫瘍成長率は、他の群に比べて高く現れた。
【0224】
賦形剤対照群G1に比べてG4(ドセタキセル+イリノテカンHCl併用投与群)、G5(SNB-101単独投与群)及びG6(ドセタキセル+SNB-101併用投与群)において腫瘍体積が7日目から有意に減少し、15日目には陽性対照物質(G2、G3、G4)と試験物質投与群(G5、G6)においていずれも有意に減少した。
【0225】
G4(ドセタキセル+イリノテカンHCl併用投与群)は、G2(ドセタキセル単独投与群)に比べて11日目から統計学的に有意に減少したし、G6(ドセタキセル+SNB-101併用投与群)は、G2(ドセタキセル単独投与群)とG3(イリノテカンHCl単独投与群)に比べて9日目から有意な減少を示した。
【0226】
【0227】
3)腫瘍重さ測定結果
【0228】
腫瘍重さを測定した結果は、下記の表8及び
図7に示す。
【0229】
【0230】
Data are expressed in mean ± SD(n=9);
【0231】
*Compared with G1:**p<0.01;
【0232】
#Compared with G2: #p<0.05,##p<0.01;
【0233】
¶Compared with G3:¶p<0.05
【0234】
G1:Vehicle control(5%ブドウ糖注射液)
【0235】
G2:Positive control 1(5mg/kg/day Docetaxel)
【0236】
G3:Positive control 2(60mg/kg/day Irinotecan HCl)
【0237】
G4:Positive control 3(5mg/kg/day Docetaxel + 60mg/kg/day Irinotecan HCl)
【0238】
G5:Test article1(20/31.8mg/kg/day(as SN-38/Irinotecan HCl)SNB-101)
【0239】
G6:Test article 2(5mg/kg/day Docetaxel + 20/31.8mg/kg/day(as SN-38/Irinotecan HCl)SNB-101)
【0240】
【0241】
上記の表8及び
図7に示すように、腫瘍を摘出して腫瘍重さを比較した結果、賦形剤対照群G1に比べて、陽性対照物質(G2、G3、G4)と試験物質単独(G5)、併用投与群(G6)においていずれも有意に減少した。G2(ドセタキセル単独投与群)に比べて、G4(ドセタキセル+イリノテカンHCl併用投与群)、G5(SNB-101単独投与群)及びG6(ドセタキセル+SNB-101併用投与群)において有意な減少を示した。また、イリノテカンHCl単独投与群に比べて、SNB-101単独投与群及びドセタキセル+SNB-101併用投与群において有意な減少を示した。
【0242】
したがって、本試験条件下で、胃癌細胞株Hs746Tを用いた異種移植モデル(Xenograft model)において陽性対照物質G2(5mg/kg/day Docetaxel)、G3(60mg/kg/day Irinotecan HCl単独投与)、G4(5mg/kg/day Docetaxel+60mg/kg/day Irinotecan HCl併用投与)、試験物質であるG5(20/31.8mg/kg/day(as SN-38/Irinotecan HCl))SNB-101単独投与)及びG6(5mg/kg/day Docetaxel+20/31.8mg/kg/day(as SN-38/Irinotecan HCl)SNB-101併用投与)がいずれも腫瘍成長抑制に効力があると判断されたし、陽性対照物質単独投与(G2、G3)に比べて併用投与(G4、G6)がより高い腫瘍抑制を示した。
【0243】
【0244】
実施例4:本発明のナノ粒子(SNB-101)の乳癌及び肺癌に対する併用投与効果
【0245】
【0246】
4-1.実験材料
【0247】
試験に使用した物質は5%ブドウ糖注射液、ドセタキセル(ドセタキセル;タキソテール注TM,サノフィアベンティスコリア)、及びSN-38とイリノテカン塩酸塩を含むナノ粒子組成物(SNB-101と命名する。)とした。ドセタキセルは、サノフィアベンティスコリアから購入したし、20mg/mLであった。
【0248】
本発明で使われた前記SN-38及びイリノテカン塩酸塩を含むナノ粒子組成物(SNB-101)は、注射剤として安定したナノ粒子剤形であり、大韓民国登録特許第10-2094543号にその製造方法が紹介されている。前記SNB-101の静脈注射剤は、バイアル当たり主成分の量はSN-3810mg、イリノテカン塩酸塩15.9mgであり、調合方法は、9.64mL 5%ブドウ糖注射液USPで希釈させることができ、90分の時間にわたって注入されてよい。
【0249】
【0250】
4-2.試験方法
【0251】
1)乳癌細胞株(MDA-MB-231)及び肺癌細胞株(A549)の培養
【0252】
異種移植モデルのための乳癌及び肺癌細胞株としてはMDA-MB-231、A549をそれぞれ使用した。凍結細胞株MDA-MB-231、A549を解凍してそれぞれ、RPMI1640培地-10%FBS-1%ペニシリン/ストレプトマイシン、RPMI1640培地-5%FBS-1%ペニシリン/ストレプトマイシンで37℃、5%CO2条件で培養した。解凍した細胞は1週間以上培養したし、2~3日間隔で継代培養しながら生存率(trypan blue)、バクテリア(bacteria)と酵母菌(yeast)感染(細胞イメージ)、及びマイコプラズマ感染(MycoAlert Mycoplasma detection kit)がないことを確認したし、trypan blueで染色して、生存率90%以上である状態のものを移植に使用した。
【0253】
【0254】
2)乳癌及び肺癌異種移植マウス動物モデルの誘導
【0255】
本試験に使用した動物は、異種移植動物モデルに広く使用されているBALB/c nu/nu雄マウス(約5週齢、平均体重は19g±20%)を使用したし、入手後に約5~7日の順化過程を経た。接種当日に培養された癌細胞は、リン酸塩緩衝液(PBS,pH7.4)で洗浄後に、0.05%トリプシン-0.02%EDTAで、付着している細胞を分離した。分離された細胞は、遠心分離(3分、1500rpm)してPBSで希釈後に、MDA-MB-231、A549細胞をそれぞれ1匹当たり5×106cells/100μlでBalb/c-nuマウスの右肩に皮下移植したし、注射部位から腫瘍細胞懸濁液が流出しないことを確認した。
【0256】
【0257】
3)群構成、投与用量、投与部位及び投与方法設定
【0258】
マウス群分離は、全体マウス腫瘍体積(tumor volume)平均が90~105mm3の時にペアマッチング(paired-matching)方法で群分離を行ったし、対照群及び試験群の構成と投与用量は、表9及び表10の通りである。
【0259】
【0260】
* Docetaxel投与濃度は、5mg/kg(1~3回目投与)から15mg/kg(4~6回目投与)へと試験進行中に変更された。
【0261】
** 全ての群の薬物投与回数は、1週に1回ずつ3週間(Q1W×3回)から1週に1回ずつ6週間(Q1W×6回)へと試験進行中に変更された。
【0262】
*** SNB-101の用量20mg/kgは、SN-38の含有量基準である。
【0263】
【0264】
【0265】
* Docetaxel投与濃度は、5mg/kg(1回目投与)から10mg/kg(2~5回目投与)へと試験進行中に変更された。
【0266】
** 全ての群の薬物投与回数は、1週に1回ずつ3週間(Q1W×3回)から1週に1回ずつ5週間(Q1W×5回)へと試験進行中に変更された。
【0267】
*** SNB-101の用量20mg/kgは、SN-38の含有量基準である。
【0268】
【0269】
腫瘍体積及び体重は、分類時点から試験終了時まで1週に2回(3日又は4日間隔)測定したし、薬物投与開始日から試験終了時までの腫瘍体積で腫瘍成長曲線を作成した。
【0270】
深刻な壊死及び体重の減少が発見されたとき、動物実験倫理委員会(IACUC)規定にしたがって依頼社と協議下に安楽死させて試験を終了し、腫瘍を摘出して写真を撮影した。
【0271】
【0272】
4-3.乳癌MDA-MB-231異種移植モデル試験結果
【0273】
1)腫瘍体積測定及び結果分析
【0274】
実験終了日(薬物投与後35日)基準でG1(vehicle)と比較して、G2(ドセタキセル単独投与)又はG3(SNB-101単独投与)とG4(SNB-101+ドセタキセル併用投与)群の腫瘍成長抑制効能を確認した。
【0275】
G1(ビークル)、G2(ドセタキセル)、G3(SNB-101)、G4(SNB-101+ドセタキセル)投与群の平均腫瘍体積はそれぞれ、1,662.48mm
3、1,228.93mm
3、657.30mm
3、364.10mm
3であって、併用投与(G4)が単独投与(G2、G3)に比べて腫瘍形成抑制に効果的であった。結果は、
図9に示す。
【0276】
【0277】
実験終了日基準ビークル対比腫瘍成長抑制率(Tumor growth inhibition,TGI)を、下記の式を用いて求めた。
【0278】
式2
【0279】
腫瘍成長抑制率(TGI)(%)={1-(△T/△C)}×100
【0280】
群別TGIは、表11に示す。
【0281】
【0282】
【0283】
表11に示すように、ビークル対比TGIは、ドセタキセル単独投与群(G2)において27.6%、SNB-101単独投与群(G3)において64.0%、SNB-101+ドセタキセル併用投与群(G4)において82.6%であった。前記結果から、乳癌細胞に対して本発明のSNB-101とドセタキセルとの併用投与において相乗効果があることが確認できた。
【0284】
【0285】
2)体重測定結果
【0286】
【0287】
薬物投与開始時点(0日)にビークル、ドセタキセル、SNB-101、SNB-101+ドセタキセルにおける体重は、それぞれ、19.70g、19.63g、20.99g、21.46gであったし、試験終了時点(35日)には22.46g、20.25g、22.43g、19.37gであった。すなわち、体重減少率が20%を超えず、危篤な最低体重に達していないことを確認した。
【0288】
【0289】
3)結論
【0290】
要するに、乳癌細胞株MDA-MB-231異種移植モデルにおいてドセタキセル(G2)とSNB-101単独投与(G3)に対比して、SNB-101+ドセタキセル併用投与(G4)は、腫瘍成長抑制効果に非常に優れていることが分かった。
【0291】
【0292】
4-4.肺癌A549異種移植モデル試験結果
【0293】
1)腫瘍体積測定及び結果分析
【0294】
実験終了日(薬物投与後37日)基準でG1(vehicle)と対比して、G2(ドセタキセル単独投与)又はG3(SNB-101単独投与)とG4(SNB-101+ドセタキセル併用投与)群の腫瘍成長抑制効能を確認した。
【0295】
G1(Vehicle)、G2(ドセタキセル)、G3(SNB-101)、G4(SNB-101+ドセタキセル)投与群の平均腫瘍体積はそれぞれ、704.10mm
3、402.70mm
3、557.60mm
3、181.08mm
3であって、併用投与(G4)が単独投与(G2、G3)に比べて腫瘍形成抑制に効果的だった。結果は、
図11に示す。
【0296】
【0297】
実験終了日基準ビークル対比腫瘍成長抑制率(Tumor growth inhibition,TGI)を下記式を用いて求めた。
【0298】
式2
【0299】
腫瘍成長抑制率(TGI)(%)={1-(△T/△C)}×100
【0300】
群別TGIは、表12に示す。
【0301】
【0302】
【0303】
表12に示すように、ビークル対比TGIは、ドセタキセル単独投与群(G2)において50.0%、SNB-101単独投与群(G3)において24.3%、SNB-101+ドセタキセル併用投与群(G4)において86.7%であった。
【0304】
前記結果から、肺癌細胞株A549異種移植モデルに対して本発明のSNB-101とドセタキセルとの併用投与において相乗効果があることが確認できた。
【0305】
【0306】
2)体重測定結果
【0307】
【0308】
薬物投与開始時点(0日)にビークル、ドセタキセル、SNB-101、SNB-101+ドセタキセルにおける体重はそれぞれ、17.86g、17.93g、18.04g、18.68gであったし、試験終了時点(day37)には20.19g、19.10g、19.79g、17.97gであった。すなわち、体重減少率が20%を超えず、危篤な最低体重に達していないことを確認した。
【0309】
【0310】
3)結論
【0311】
要するに、肺癌細胞株A549異種移植モデルにおいてドセタキセル(G2)とSNB-101単独投与(G3)に対比して、SNB-101+ドセタキセル併用投与(G4)は腫瘍成長抑制効果に非常に優れていることが分かった。
【0312】
【0313】
実施例5:本発明のナノ粒子(SNB-101)及びベバシズマブ(商標名:アバスチン)併用時に、大腸癌治療の相乗効果評価
【0314】
単一クローン抗体であり、標的抗癌剤であるベバシズマブとの併用時に、大腸癌において治療相乗効果を評価するために実験を行った。
【0315】
【0316】
5-1.試験方法
【0317】
1)実験動物
【0318】
総150匹のBALB/cヌードマウス(5週齢雄)を入手し、約1週間順化後に、右尻部の皮下部位にHT-29大腸癌細胞を移植した後、腫瘍細胞移植7日後に腫瘍体積を基準にして再び移植マウス50匹を選定し、群当たり10匹ずつ本実験に使用した。
【0319】
【0320】
2)腫瘍細胞移植
【0321】
HT-29(KCLB No.300038、韓国細胞株銀行)ヒト大腸癌細胞を10%FBS(fetal bovine serum)及び100IU/mlペニシリン/ストレプトマイシン添加のRPMI1640培地を用いて37℃、5%CO2培養器で継代培養して維持したし、3.0×106cell/0.1mlとなるように腫瘍細胞浮遊液を作り、マウスの右尻部の皮下部位にHT-29腫瘍細胞浮遊液0.1mLずつを移植して固形腫塊を形成させた。
【0322】
【0323】
3)群分離
【0324】
HT-29大腸癌細胞株移植8日後に、腫瘍体積を基準にしてマウスを選定し、無作為に合計5つの群(10匹/群)に分離した。薬物投与群は、下記の表13のように設定した。
【0325】
【0326】
*:dose as SN-38/Irinotecan HCl
【0327】
【0328】
4)薬物投与
【0329】
試験物質であるSNB-101とベバシズマブ(5mg/kg)は単独及び併用時に、総3回を同一の日(1、4、7日)に投与した。SNB-101は、投与時の体重に基づいて個体別投与量を換算して静脈投与したし、ベバシズマブは、腹腔内に投与した。28日に剖検した。対照群(Control)として、ビークルとして用いられる5%ブドウ糖(dextrose)溶液は10mL/kg用量で同一に投与した。
【0330】
【0331】
5-2.試験結果
【0332】
試験結果を平均±S.D.で下記の表14に示す。
【0333】
【0334】
【0335】
上記の表14に示すように、SNB-101単独投与群(G2)及びベバシズマブ単独投与群(G3)に対比して、これらの併用投与群(G5)は、大腸癌治療において併用による治療相乗効果に非常に優れていることを確認した。上記の表14のデータに該当する腫瘍成長グラフは、
図13に示す。群間の異なる時間における腫瘍体積差の統計的有意度(Statistical significance)は、Holm-Sidak多重比較テストと一緒にTwo-way ANOVAで分析した(*,P<0.05;**,P<0.01;***,P<0.001、ns:non-significant)。
【0336】
【0337】
実施例6:本発明のナノ粒子(SNB-101)、ナブパクリタキセル及びゲムシタビン併用時に、膵癌治療の相乗効果評価
【0338】
【0339】
6-1.実験材料
【0340】
- BALB/c-nuマウス(オリエントバイオ・カビョンセンター)、雄、6週齢
【0341】
- 膵癌AsPC-1細胞株(ATCC,Cat.No.CRL-1682)
【0342】
- 試験薬物:SNB-101(SN-3810mg、イリノテカンHCl・3H2O 15.9mg/vial)、ナブパクリタキセル(セルジーンコリア、アブラキサン、Lot.No.6200676A)、ゲムシタビン(韓国リリー、Lot.No.186053A)
【0343】
- ビークル:5%ブドウ糖注射液50ml(CJヘルスケア,保険コード640001361)
【0344】
- RPMI1640 medium(Gibco,A10491-01) supplemented with 10% fetal bovine serum(Gibco,Cat.No.16000)
【0345】
- 1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco,Cat.No.15140122)
【0346】
- Trypsin-EDTA(Gibco,Cat.No.25200-072)
【0347】
- Cold-DPBS(Hyclone,Cat.No.SH30258.02)
【0348】
- Trypan blue(Gibco,Cat.No.15250061)
【0349】
- MycoAlert Mycoplasma detection kit(LONZA,Cat.No.LT-07-318)
【0350】
- 150mm cell culture dish,Conical tubes,Pipettes
【0351】
- マウス耳標(ear tag)、注射器、カリパス
【0352】
【0353】
6-2.試験方法
【0354】
消化器疾患T2B基盤構築センター(NCEED)提供の膵癌細胞株AsPC-1を、RPMI1640培地-10%FBS-1%ペニシリン/ストレプトマイシンで、37℃、5%CO2条件で培養した。解凍した細胞は1週間以上培養し、2~3日間隔で継代培養しながら生存率、バクテリアと酵母菌感染、及びマイコプラズマ感染(MycoAlert Mycoplasma detection kit)がないことを確認し、trypan blueで染色して、生存率90%以上である状態のものを移植に使用した。細胞をtrypsin-EDTAを用いて浮遊させ、冷たいPBSで懸濁した。BALB/c-nuマウスの右腿にAsPC-1細胞5×106cells/200μlを皮下移植した。周期的に腫瘍形成及び成長を観察しつつ測定された腫瘍長さを用いて、腫瘍の体積を下記の数式によって計算した。
【0355】
[腫瘍体積=(a2b)/2,aは短径、bは長径]
【0356】
投与当日の全体マウス腫瘍体積平均が123.6mm3のとき、ペアマッチング方法でグループ化した。各群のマウスに、下記の表15に記載の用量用法で薬物を投与し、2週間観察した。
【0357】
【0358】
*:dose as SN-38/Irinotecan HCl
【0359】
【0360】
腫瘍体積及び体重は、分類時点から試験終了時まで1週に2回(3日又は4日間隔)測定したし、薬物投与開始日から試験終了時までの腫瘍成長抑制程度を評価した。
【0361】
【0362】
6-3.試験結果
【0363】
実験終了日基準、ビークル対比腫瘍成長抑制率(Tumor growth inhibition,TGI)を、前述の式2を用いて求めた。
【0364】
群別TGIは、表16に示す。
【0365】
【0366】
上記の表16に示すように、ビークル対比TGIは、SNB-101単独投与群(G2)において72.5%、ナブパクリタキセル+ゲムシタビン投与群(G3)において56.3%であった。これに対し、SNB-101+ナブパクリタキセル+ゲムシタビン併用投与群(G4)ではTGIが83.4%であり、膵癌治療時にSNB-101+ナブパクリタキセル+ゲムシタビン併用による治療相乗効果に非常に優れていることを確認した。
【0367】
なお、全ての処理群において肉眼上、副作用、体重減少、血液分析での毒性が観察されなかった。
【0368】
【0369】
実施例7:本発明のナノ粒子(SNB-101)投与及び放射線照射併用時に、大腸癌及び肺癌治療の相乗効果評価
【0370】
【0371】
7-1.実験材料
【0372】
- BALB/c-nuマウス(ジュンアバイオ)、雄、6週齢
【0373】
- 小細胞肺癌NCI-H69細胞株(ATCC,Cat.No.HTB-119)
【0374】
- 非小細胞肺癌A549細胞株(ATCC,Cat.No.CCL-185)
【0375】
- 大腸癌HCT116細胞株(ATCC,Cat.No.CCL-247)
【0376】
- 試験薬物:SNB-101((株)エスエヌバイオサイエンス,SN-38 10mg、イリノテカン HCl・3H2O 15.9mg/vial)
【0377】
- ビークル:5%ブドウ糖注射液50ml(CJヘルスケア,保険コード640001361)
【0378】
- RPMI1640 medium(Gibco,22400-089)、F12K(Gibco,21127-022)、McCoy’s 5A(Gibco,16600-082)supplemented with 10% fetal bovine serum(Gibco,Cat.No.16000)
【0379】
- 1% antibiotic-antimycotic(Gibco,Cat.No.15240-062)
【0380】
- Trypsin-EDTA(Gibco,Cat.No.25200-072)
【0381】
- Cold-DPBS(Gibco,Cat.No.14200-075)
【0382】
- Trypan blue(Gibco,Cat.No.15250061)
【0383】
- MycoAlert Mycoplasma detection kit(LONZA,Cat.No.LT-07-318)
【0384】
- 150mm cell culture dish,Conical tubes,Pipettes
【0385】
- マウス耳標(ear tag)、注射器、カリパス
【0386】
【0387】
7-2.試験方法
【0388】
抗癌T2B基盤構築センターで保有した凍結細胞株NCI-H69(小細胞肺癌)、HCT116(大腸癌)、A549(非小細胞肺癌)を解凍してそれぞれ、RPMI1640、F12K、McCoy’s 5A培地-10%FBS-1%抗生剤(antibiotic)-抗真菌剤(antimycotic)で37℃、5%CO2条件で培養した。解凍した細胞は1週間以上培養し、2~3日間隔で継代培養しながら生存率、バクテリアと酵母菌感染、及びマイコプラズマ感染(MycoAlert Mycoplasma detection kit)がないことを確認し、trypan blueで染色して、生存率が90%以上である状態のものを移植に使用した。細胞をトリプシン-EDTAを用いて浮遊させ、冷たいPBSで懸濁した。BALB/c-nuマウスの右腿にNCI-H69細胞1×107cells/100μl及びA549、HCT116細胞1×106cells/50μlをそれぞれ皮下移植した。周期的に腫瘍形成及び成長を観察しながら測定された腫瘍長さを用いて、腫瘍の体積を下記の数式によって計算した。
【0389】
[腫瘍体積=(a2b)/2,aは短径、bは長径]
【0390】
投与当日の全体マウス腫瘍体積平均が100±20mm3のとき、ペアマッチング方法でグループ化した。各群のマウスに下記の表17、表18に記載の用量用法で薬物を投与し、2~3週間観察した。
【0391】
NCI-H69及びHCT116モデルは週に1回で1回、A549モデルは週に2回で5回反復投与した。薬物投与後に、HCT116モデルは21日まで、NCI-H69モデルは38日まで、A549モデルは45日まで腫瘍体積及び体重を測定した。
【0392】
【0393】
[NCI-H69(小細胞肺癌)、HCT116(大腸癌)異種移植モデル共通]
【0394】
【0395】
*:dose as SN-38/Irinotecan HCl
【0396】
【0397】
[A549(非小細胞肺癌)異種移植モデル共通]
【0398】
【0399】
*:dose as SN-38/Irinotecan HCl
【0400】
**:A549異種移植モデルにおいてSNB-101投与用量は、20mg/kg(1次)→30mg/kg(2次、斃死個体発生)→20mg/kg(3~5次)と、試験進行途中に相互協議下に変更された。
【0401】
***:SNB-101投与群の薬物投与頻度は1次投与9日経過後からBIWで2週間4回(総5回)と、試験進行途中に相互協議下に変更された。
【0402】
【0403】
腫瘍体積及び体重は、分類時点から試験終了時まで1週に2回(3日又は4日間隔)測定したし、薬物投与開始日から試験終了時までの腫瘍体積で腫瘍成長曲線を作成した。腫瘍体積が動物実験倫理委員会(IACUC)規定の限界値に達すると依頼社との協議下に安楽死させて試験を終了し、腫瘍を摘出して分析した。
【0404】
【0405】
7-3.試験結果
【0406】
実験終了日基準、ビークル対比腫瘍成長抑制率(Tumor growth inhibition,TGI)を、前述の式2を用いて求めた。
【0407】
【0408】
NCI-H69は、群別TGIを表19に示す。
【0409】
【0410】
【0411】
【0412】
HCT116は、群別TGIを表20に示す。
【0413】
【0414】
【0415】
【0416】
A549は、群別TGIを表21に示す。
【0417】
【0418】
【0419】
表19~表21に示すように、ビークル対比TGIは、SNB-101単独投与群(G2)及び放射線単独処理群(G3)に比べて、これらの併用処理群(G4)において顕著に高いことを確認した。このことから、大腸癌及び肺癌治療時にSNB-101及び放射線照射併用治療相乗効果に非常に優れていることを確認した。
【0420】
なお、全ての処理群において肉眼上、副作用、体重減少、血液分析での毒性が観察されなかった。
【0421】
【0422】
要するに、前述した実施例2~実施例7から、下記の表22に整理した併用投与、又は放射線治療併用時癌治療に顕著な相乗効果が達成されることを確認した。
【0423】
【手続補正書】
【提出日】2023-05-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性カンプトテシン系化合物、親水性カンプトテシン系化合物、並びに疎水性ブロック及び親水性ブロックからなる両親媒性ブロック共重合体を含む粒子;及び
タキサン(taxane)系抗癌剤、アルブミンが結合したタキサン系抗癌剤、血管内皮細胞成長因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)抑制剤及びゲムシタビン(gemcitabine)からなる群から選ばれる1種以上の抗腫瘍剤を有効成分として含む癌治療用薬剤学的併用製剤。
【請求項2】
前記疎水性カンプトテシン系化合物は、
SN-38(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)、カンプトテシン、10-ヒドロキシカンプトテシン及びその薬剤学的に許容可能な塩からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の薬剤学的併用製剤。
【請求項3】
前記親水性カンプトテシン系化合物は、イリノテカン、トポテカン、ベロテカン、エキサテカン、ルルトテカン、シノテカン、ルビテカン、9-ニトロカンプトテシン、9-アミノカンプトテシン、ジマテカン、カレニテシン(Karenitecin)、シラテカン(Silatecan)、ジフロモテカン(diflomotecan)、エロモテカン(Elomotecan)、これらの薬剤学的に許容可能な塩、又はこれらのグルクロニド代謝体、及び前記疎水性カンプトテシン系化合物のグルクロニド代謝体から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の薬剤学的併用製剤。
【請求項4】
前記両親媒性ブロック共重合体は、A-B又はA-B-Aブロックで構成され、(a)前記Aは親水性高分子で、モノメトキシポリエチレングリコール、ジメトキシポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、モノメトキシポリプロピレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸又はこれらの重合体であり;
(b)前記Bは疎水性高分子で、ポリ乳酸、ポリ-L-ラクチド、ポリ-D-ラクチド、ポリ-D,L-ラクチド、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリグリコン酸、ポリグリコリド、ポリ乳酸-グリコン酸共重合体、ポリマンデル酸、ポリカプロラクトン、ポリジオキサン-2-オン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリオルニチン、ポリオルトエステル又はこれらの誘導体である、請求項1に記載の薬剤学的併用製剤。
【請求項5】
前記血管内皮細胞成長因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)抑制剤は、ベバシズマブ(bevacizumab)、ラニビズマブ(ranibizumab)及びアフリベルセプト(aflibercept)からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の薬剤学的併用製剤。
【請求項6】
前記粒子の平均直径は、2~200nmである、請求項1~5のいずれかに記載の薬剤学的併用製剤。
【請求項7】
前記癌は、胃癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頸癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、膵癌、乳癌、大腸癌、食道癌、網膜芽細胞腫、口腔癌、唾液腺癌、喉頭癌、咽頭癌、腎臓癌、前立腺癌、黒色腫、肝癌、胆嚢癌、胆道癌、甲状腺癌、膀胱癌、脳癌、中枢神経系癌、骨腫瘍、皮膚癌、非ホジキン性及びホジキン性リンパ腫からなる群から選ばれるものである、請求項1~5のいずれかに記載の薬剤学的併用製剤。
【請求項8】
前記粒子および抗腫瘍剤は、複合製剤又は単一製剤として構成される、請求項1~5のいずれかに記載の薬剤学的併用製剤。
【請求項9】
前記薬剤学的併用製剤は、さらに抗腫瘍療法を含む、請求項1~5のいずれかに記載の薬剤学的併用製剤。
【請求項10】
前記抗腫瘍療法は、手術療法、放射線療法、又はこれらの組合せである、請求項9に記載の薬剤学的併用製剤。
【請求項11】
疎水性カンプトテシン系化合物、親水性カンプトテシン系化合物、並びに疎水性ブロック及び親水性ブロックからなる両親媒性ブロック共重合体を含む粒子を含み、放射線治療(Radiotherapy,RT)と併用されるものである、癌治療用薬剤学的組成物。
【国際調査報告】