(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-06
(54)【発明の名称】光硬化性樹脂組成物及びそれから製造された成形物
(51)【国際特許分類】
C08F 290/06 20060101AFI20231129BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20231129BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20231129BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20231129BHJP
B29C 64/124 20170101ALI20231129BHJP
【FI】
C08F290/06
B33Y70/00
B33Y80/00
B33Y10/00
B29C64/124
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532387
(86)(22)【出願日】2021-11-18
(85)【翻訳文提出日】2023-05-26
(86)【国際出願番号】 KR2021016964
(87)【国際公開番号】W WO2022131590
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】10-2020-0176999
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517128064
【氏名又は名称】オステムインプラント カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】OSSTEMIMPLANT CO., LTD
【住所又は居所原語表記】(Magok-dong) 3, Magokjungang 12-ro Gangseo-gu Seoul 07789 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チョイ,ギホ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ボ ミ
(72)【発明者】
【氏名】キム,キョン ロク
【テーマコード(参考)】
4F213
4J127
【Fターム(参考)】
4F213AA42
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4J127AA03
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4J127EA13
4J127FA45
(57)【要約】
(メト)アクリル化されたウレタン系重合体10~30重量部;アルコキシ/フェノールのモル比が1~5であり、(メト)アクリル化されたアルコキシ化第1ビスフェノール系化合物0.1~30重量部;アルコキシ/フェノールのモル比が15~45であり、(メト)アクリル化されたアルコキシ化第2ビスフェノール系化合物30~60重量部;及び光重合開始剤0.1~5重量部を含む、光硬化性樹脂組成物とそれから製造された成形物が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メト)アクリル化されたウレタン系重合体10~30重量部;
アルコキシ/フェノールのモル比が1~5であり、(メト)アクリル化されたアルコキシ化第1ビスフェノール系化合物0.1~30重量部;
アルコキシ/フェノールのモル比が15~45であり、(メト)アクリル化されたアルコキシ化第2ビスフェノール系化合物30~60重量部;及び
光重合開始剤0.1~5重量部を含むことを特徴とする、光硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(メト)アクリル化は、少なくとも一末端がアクリレート、メタクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート及びブチルメタクリレートからなる群より選択された一つに変性されたことを特徴とする、請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記ウレタン系重合体は、ウレタンジメタクリレートであることを特徴とする、請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記アルコキシは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ及びブトキシからなる群より選択された一つであることを特徴とする、請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
少なくとも一つのC
3~C
20環状アルキル基を含む(メト)アクリレート系化合物1~10重量部をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
前記(メト)アクリレート系化合物は、イソボルニルアクリレートであることを特徴とする、請求項5に記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
前記光重合開始剤は、アセトフェノン型化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、ビイミダゾール系化合物、チオキサントン系化合物、オキシムエステル系化合物及びホスフィンオキシド系化合物からなる群より選択された少なくとも一つであることを特徴とする、請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
前記光重合開始剤は、ジフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィンオキシド又はフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシドであることを特徴とする、請求項7に記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項9】
デジタル光源処理方式、ステレオリソグラフィ装置方式又は光誘導平面固化方式の3Dプリンティングに用いられる液状組成物であることを特徴とする、請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項10】
前記組成物は、360~405nmの波長で光硬化されることを特徴とする、請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項11】
請求項1~請求項10のうちいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物を光照射して製造したことを特徴とする、成形物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光硬化性樹脂組成物及びそれから製造された成形物に関する。
【背景技術】
【0002】
3Dプリンターは、設計データに基づいて液体、パウダー状の樹脂、金属粉末、固体などのような材料を加工及び積層して製品を製造する装備であり、所望する形状の造形物を容易に製造できるので、試製品の製造又は複雑な形態の造形物の製造に用いられている。
【0003】
3Dプリンター技術は、素材によって光硬化積層方式、レーザー焼結積層方式、樹脂押出積層方式、インクジェット積層方式、ポリジェット積層方式及び薄膜積層方式に分けられ得る。
【0004】
光硬化積層方式は、レーザービームや強い紫外線(UV、Ultraviolet ray)で光硬化性液状樹脂(Photo curing resin)を硬化させて成形物を製造する方式であって、このような光硬化積層方式には、ステレオリソグラフィ装置(Stereo Lithography Apparatus、SLA)、デジタル光源処理(Digital Light Processing、DLP)、光誘導平面固化(Light Induced Planar Solidification;LIPS)がある。
【0005】
レーザー焼結積層方式は、レーザービームで粉末状の材料を高圧、高温で焼結させて立体物を製造する方式であって、このようなレーザー焼結積層方式には、SLS(Selective Laser Sintering)がある。
【0006】
樹脂押出積層方式は、ワイヤ形態の材料を射出ヘッドで押し出して立体物を製造する方式であって、このような樹脂押出積層方式には、FDM(Fused Deposition Modeling)がある。
【0007】
インクジェット積層方式は、プリンターヘッドノズルで液体状態の結合剤を材料に噴射して立体物を製造する方式であって、このようなインクジェット積層方式には、CJP(Color Jetting Printing)がある。
【0008】
ポリジェット積層方式は、光硬化方式とインクジェット方式の混合形態としてプリンターヘッドで材料を噴射すると同時に紫外線で硬化させて立体物を製造する方式であって、このようなポリジェット積層方式には、MJP(Multi Jet Printing)、Polyjetがある。
【0009】
薄膜積層方式は、薄い板状の材料を精密カッターで切った後、熱を加熱して接着させることによって立体物を製造する方式であって、このような薄膜積層方式には、LOM(Laminated Object Manufacturing)、PLT(Paper Lamination Technology)がある。
【0010】
このような多様な3Dプリンティング技術のうち光硬化積層方式は、表面粗度特性に優れてインプリントのような複雑な形状の空隙を有する歯科用素材の製造に適合する。このような歯科用素材は、人体の歯牙などに用いられるその本質的特性によって水分条件下での安定性が必須的である。しかし、光硬化素材に用いられる光重合開始剤は、水分環境に露出されたとき分解乃至溶出されて変色を誘発するという問題点がある。特に、一般的に用いられるホスフィンオキシド系光重合開始剤は、特有の色相を有しているため、このような色相安定性を改善し得る技術の開発が必要であるのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
水分による色相変化が低減された色相安定性に優れた光硬化性樹脂組成物とそれから製造された成形物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一側面によると、(メト)アクリル化されたウレタン系重合体10~30重量部;アルコキシ/フェノールのモル比が1~5であり、(メト)アクリル化されたアルコキシ化第1ビスフェノール系化合物0.1~30重量部;アルコキシ/フェノールのモル比が15~45であり、(メト)アクリル化されたアルコキシ化第2ビスフェノール系化合物30~60重量部;及び光重合開始剤0.1~5重量部を含む、光硬化性樹脂組成物が提供される。
【0013】
一実施例において、前記(メト)アクリル化は、少なくとも一末端がアクリレート、メタクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート及びブチルメタクリレートからなる群より選択された一つに変性されたものであってもよい。
【0014】
一実施例において、前記ウレタン系重合体は、ウレタンジメタクリレートであってもよい。
【0015】
一実施例において、前記アルコキシは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ及びブトキシからなる群より選択された一つであってもよい。
【0016】
一実施例において、少なくとも一つのC3~C20環状アルキル基を含む(メト)アクリレート系化合物1~10重量部をさらに含むことができる。
【0017】
一実施例において、前記(メト)アクリレート系化合物は、イソボルニルアクリレートであってもよい。
【0018】
一実施例において、前記光重合開始剤は、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、非イミダゾール系化合物、チオキサントン系化合物、オキシムエステル系化合物及びホスフィンオキシド系化合物からなる群より選択された少なくとも一つであってもよい。
【0019】
一実施例において、前記光重合開始剤は、ジフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィンオキシド又はフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシドであってもよい。
【0020】
一実施例において、前記光硬化性樹脂組成物は、デジタル光源処理方式、ステレオリソグラフィ装置方式又は光誘導平面固化方式の3Dプリンティングに用いられる液状組成物であってもよい。
【0021】
一実施例において、前記組成物は、360~405nmの波長で光硬化され得る。
【0022】
他の一側面によると、上述した光硬化性樹脂組成物を光照射して製造した、成形物が提供される。
【発明の効果】
【0023】
一側面によると、水分による色相変化が低減されて色相安定性に優れた光硬化性樹脂組成物とそれから製造された成形物を提供することができる。
【0024】
本明細書の一側面の効果は、上述した効果に限定されるものではなく、本明細書の詳細な説明又は請求の範囲に記載された構成から推論可能な全ての効果を含むものと理解しなければならない。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[発明を実施するための最良の形態]
以下では、それぞれの具体的な実施例を参照して本明細書の一側面を説明する。しかしながら、本明細書の記載事項は種々の異なる形態で具現することができる。したがって、ここで説明する実施例に限定されるものではない。
【0026】
明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結」されているとの用語は、「直接的に連結」されている場合だけでなく、それらの間に他の部材を介在して「間接的に連結」されている場合も含む。また、ある部分がある構成要素を「含む」との用語は、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく他の構成要素をさらに具備できることを意味する。
【0027】
本明細書で数値的値の範囲が記載されたとき、これの具体的な範囲が異に記述されない限り、その値は有効数字に対する化学での標準規則によって提供された有効数字の精密度を有する。例えば、10は、5.0~14.9の範囲を含み、数字10.0は、9.50~10.49の範囲を含む。
【0028】
本明細書で「(メト)アクリル」は、「メタクリル」、「アクリル」又はこれら二つを全て意味する。
【0029】
光硬化性樹脂組成物
一側面による光硬化性樹脂組成物は、(メト)アクリル化されたウレタン系重合体10~30重量部;アルコキシ/フェノールのモル比が1~5であり、(メト)アクリル化されたアルコキシ化第1ビスフェノール系化合物0.1~30重量部;アルコキシ/フェノールのモル比が15~45であり、(メト)アクリル化されたアルコキシ化第2ビスフェノール系化合物30~60重量部;及び光重合開始剤0.1~5重量部を含むことができる。
【0030】
前記光硬化性樹脂組成物は、硬化後に水分に露出するとき光重合開始剤が溶出又は分解されて色相変化をもたらして色相安定性が低下する問題点を改善することができる。
【0031】
前記(メト)アクリル化は、少なくとも一末端がアクリレート、メタクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート及びブチルメタクリレートからなる群より選択された一つに変性されたものであってもよい。このような(メト)アクリル化されたものの例示は、下の化学式のように表示され得る。
【0032】
【0033】
前記化学式で、Rは、(メト)アクリル化される重合体又は化合物であり、R'は、単一結合であってもよく、メチレン、エチレン、プロピレン又はブチレンであってもよい。前記化学式のうち左側の化合物は、アクリル化されたものであり、右側の化合物は、メタクリル化されたものを意味する。
【0034】
前記ウレタン系重合体は、10~30重量部、例えば、10重量部、15重量部、20重量部、25重量部、30重量部又はこれらのうち二つの値の間の範囲であってもよく、ウレタン系重合体の含量が前記範囲を脱すれば、成形物の機械的物性が低下し得る。前記(メト)アクリル化されたウレタン系重合体は、ウレタンジメタクリレート(urethane dimethacrylate)であってもよいが、これに限定されるものではない。前記組成物は、アルコキシ/フェノールのモル比が低い低アルコキシ化ビスフェノール系化合物である第1ビスフェノール系化合物とアルコキシ/フェノールのモル比が高い高アルコキシ化ビスフェノール系化合物である第2ビスフェノール系化合物を同時に含むことによって色相安定性を改善することができる。前記第1ビスフェノール系化合物の含量は、0.1~30重量部、例えば、0.1重量部、1重量部、5重量部、10重量部、15重量部、20重量部、25重量部、30重量部又はこれらのうち二つの値の間の範囲であってもよく、前記第2ビスフェノール系化合物の含量は、30~60重量部、例えば、30重量部、35重量部、40重量部、45重量部、50重量部、55重量部、60重量部又はこれらのうち二つの値の間の範囲であってもよい。前記第1及び第2ビスフェノール系化合物の含量が前記範囲を脱すれば、色相安定性が低下するか、光源による光硬化に不利であるので、3次元プリンティングに不利であり得る。
【0035】
前記アルコキシ/フェノールのモル比は、例えば、フェノールに対するエチレンオキシドのモル比であるEO/phenol値を示すことができるが、これに限定されるものではない。
【0036】
前記アルコキシ/フェノールのモル比が1~5であり、(メト)アクリル化されたアルコキシ化第1ビスフェノール系化合物は、エチレンオキシドのモル数が2であるエトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(Ethoxylated bisphenol A dimethacrylate)であってもよく、例えば、市販中のエトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(EO/phenol 2)を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0037】
前記アルコキシ/フェノールのモル比が15~45であり、(メト)アクリル化されたアルコキシ化第2ビスフェノール系化合物は、エチレンオキシドのモル数が30であるエトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(Ethoxylated bisphenol A dimethacrylate)であってもよく、例えば、市販中のエトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(EO/phenol 30)を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0038】
前記第1ビスフェノール系化合物と前記第2ビスフェノール系化合物のモル比は、それぞれ1:0.5~1.5であってもよい。ビスフェノール系化合物のモル比が前記範囲を脱すれば、色相安定性が低下し得る。
【0039】
前記アルコキシは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ及びブトキシからなる群より選択された一つであってもよい。前記ビスフェノール系化合物は、ビスフェノールA、ビスフェノールF又はビスフェノールSであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0040】
前記組成物は、(メト)アクリレート系化合物をさらに含むことができる。前記(メト)アクリレート系化合物は、少なくとも一つのC3~C20環状アルキル基を含むものであって、このように環状アルキル基を含むと、光重合開始剤に対する硬化速度及び硬化力が優秀であり得る。また、光重合開始剤が水分に露出されたとき分解又は溶出されることを防止することができる。
【0041】
前記(メト)アクリレート系化合物は、1~10重量部、例えば、1重量部、2重量部、3重量部、4重量部、5重量部、6重量部、7重量部、8重量部、9重量部、10重量部又はこれらのうち二つの値の間の範囲であってもよい。
【0042】
一つの例示で、前記(メト)アクリレート系化合物は、イソボルニルアクリレートであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0043】
前記光重合開始剤は、アセトフェノン型化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、ビイミダゾール系化合物、チオキサントン系化合物、オキシムエステル系化合物及びホスフィンオキシド系化合物からなる群より選択された少なくとも一つであってもよく、例えば、ジフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィンオキシド又はフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシドであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0044】
前記光重合開始剤は、水分環境で溶出又は分解されて硬化物の色相変化をもたらすことができるが、前記組成物では、ウレタン系重合体、アルコキシ/フェノールモル比が低い第1ビスフェノール系化合物、アルコキシ/フェノールモル比が高い第2ビスフェノール系化合物を同時に含んでいるため、このような色相変化を防止することができる。
【0045】
前記光硬化性樹脂組成物は、デジタル光源処理(Digital LightProcessing;DLP)方式、ステレオリソグラフィ装置(Stereo Lithography Apparatus;SLA)方式又は光誘導平面固化(Light Induced Planar Solidification;LIPS)方式の3Dプリンティングに用いられる液状組成物であってもよい。したがって、前記3Dプリンティングは、液状樹脂を用いる方式のプリンターを用いて行われ得る。光硬化性3Dプリンターは、出力を所望する領域に光を照射して素材を硬化する方式のプリンターであって、他のプリンティング方式に比べて表面粗度に優れ、複雑な形態の構造物の製造に有利である。
【0046】
前記ステレオリソグラフィ装置方式は、光硬化性樹脂組成物が入っている水槽に紫外線レーザーを投射して硬化させ、これを積層させることによって成形物を製造することができる。このようなSLA 3Dプリンティング時に組成物の種類によって照射されるレーザーの波長が変更され得、硬化速度と硬化された成形物の強度、表面粗度などが変わることができる。
【0047】
前記デジタル光源処理方式は、マスク投影イメージ硬化方式であって、光硬化性樹脂に光を選択的に投影して硬化させることによって具現しようとする形状の成形物を製造することができ、一般的に、造形板が下降して製品を生産することとは異なり、造形板が上に移動して下の方向に製品を生成することができる。このとき、ビームプロジエクターから提供される光を3Dプリンティング用硬化用樹脂組成物に投射して成形物を製造することができる。すなわち、造形板には、スライス断面層の単位で硬化が順次に行われて3D成形物が製造され得る。
【0048】
前記光誘導平面固化方式は、LCD又はLEDのような平板型光源を利用して光硬化性樹脂に光を選択的に投射して硬化させるものであって、デジタル光源処理方式とは異なり、レンズの屈曲による光の波長屈曲現象を防止して広さと関係なく均一な光硬化を行うことができる。
【0049】
前記光硬化性樹脂組成物は、360~405nmの波長で光硬化され得る。
【0050】
前記光硬化性樹脂組成物は、3Dプリンティングに用いられて各種歯科用材料の製造に用いられ得る。特に、一実施例によると、特定組成を満足する光硬化性樹脂組成物を用いることによって歯科用材料に必要な強度を満たすと共に、優れた色相安定性を具現することができる。前記組成物の組成が前記範囲を脱すれば、光硬化のみで十分な架橋構造が形成されないため必要な物性を満たさないか、水分条件下で色相変化が発生して審美性が足りないことがある。
【0051】
成形物
他の一側面による成形物は、上述した光硬化性樹脂組成物を光照射して製造することができる。
【0052】
前記光照射は、公知のSLA、DLP、LIPS方式を借用して行うことができる。
【0053】
前記成形物は、デジタル光源処理方式、ステレオリソグラフィ装置方式又は光誘導平面固化方式の3Dプリンティングで製造され得る。したがって、前記成形物は、フィラメントを溶解させて製造する融着モデリング方式などの成形物に比べて表面が滑らかで、より複雑な構造を有することができる。
【0054】
前記成形物は、歯科用材料であってもよい。前記光硬化性樹脂組成物を光照射して成形物を製造すれば、歯科用材料に必要な機械的強度を十分に具現することができ、同時に水分に対する安定性が向上して実適用条件下で色相が変化して審美性が落ちる従来の歯科用材料の問題点を解決することができる。
【0055】
以下、本明細書の実施例に関してより詳しく説明する。ただし、以下の実験結果は、前記実施例のうち代表的な実験結果のみを記載したものであり、実施例などによって本明細書の範囲と内容を縮小又は制限して解釈してはならない。下で明示的に提示しない本明細書の多くの具現例のそれぞれの効果は、該当部分で具体的に記載する。
【0056】
実施例1~7及び比較例1~5
ウレタンジメタクリレート、エチレンオキシドのモル数が2であるエトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(Ethoxylated bisphenol A dimethacrylate)、エチレンオキシドのモル数が30であるエトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、イソボルニルアクリレート及びフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド(phenylbis(2,4,6-trimethylbenzoyl)-phosphine oxide)を混合した。
【0057】
【0058】
比較例9
ウレタンジメタクリレート10重量部、エチレンオキシドのモル数が4であるエトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート50重量部、トリエチレングリコールジメタクリレート10重量部、テトラヒドロフルフリルメタクリレート10重量部、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド1重量部及びカンファーキノン5重量部を混合した。
【0059】
実験例1
前記実施例及び比較例の組成物を360~405nmの光源が具備された3次元印刷装置を用いて直径10mm、厚さ2mmであるディスク試験片を出力した。前記試験片をイソプロピルアルコール洗浄液で洗浄した後、硬化機で10~30分間硬化させた。
【0060】
前記試験片を2週間多様な環境に露出し、分光光度計を利用して前記試験片の露出前後の色差(ΔE)を分析して色相安定性を測定した。
【0061】
-第1条件:25℃
-第2条件:40℃相対湿度80%
-第3条件:40℃のPBS溶液内部
【0062】
【0063】
前記表2を参考すると、ウレタンと低エトキシ化ビスフェノールA及び高エトキシ化ビスフェノールAを組み合わせた実施例1~6は、高湿度条件や体内と類似したバッファー溶液内で優れた色相安定性を示したが、比較例1~9は、水分環境下での色相安定性が高くなかった。
【0064】
また、イソボルニルアクリレートをさらに含む実施例4~6は、硬化時間を実施例1~3に比べて半分以下に減少させながらも硬化物の機械的強度と色相安定性に優れていた。
【0065】
前述した本明細書の説明は例示のためのものに過ぎず、本明細書の一側面が属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、本明細書に記載された技術的思想や必須的な特徴を変更することなく他の具体的な形態に容易に変更が可能なことが理解できるであろう。したがって、上述した実施例は全ての面で例示的なものであり、限定的でないものと理解しなければならない。例えば、単一型として説明されている各構成要素は分散して実施することもでき、同様に、分散されたものとして説明されている構成要素を結合された形態で実施することもできる。
【0066】
本明細書の範囲は、後述する特許請求の範囲により示されるが、特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその均等概念から導出される全ての変更又は変形された形態は、本発明の範囲に含まれるものと解釈しなければならない。
【国際調査報告】