(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-06
(54)【発明の名称】非接触要素検出デバイス
(51)【国際特許分類】
G06F 3/043 20060101AFI20231129BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
G06F3/043
G06F3/041 580
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532400
(86)(22)【出願日】2021-11-24
(85)【翻訳文提出日】2023-07-26
(86)【国際出願番号】 FR2021052080
(87)【国際公開番号】W WO2022112712
(87)【国際公開日】2022-06-02
(32)【優先日】2020-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ピエール-アンリ・オレフィーチェ
(72)【発明者】
【氏名】シャルル・ユダン
(57)【要約】
本発明は、検出面と、検出面と音響的に結合した複数のアクチュエータ(106)と、超音波検出器(110)と、電子および/またはITコンピュータ(108)とを備えた、非接触検出デバイス(100)に関し、デバイス(100)は、以下のステップを繰り返すことにより、1つまたは複数の要素(162)を検出するように構成され、これらのステップは、アクチュエータにより放射された波動から得られて、時間反転法が適用されて、アクチュエータにより放射された超音波を、合焦領域内に合焦するステップと、波動の放射と、検出器によるこれらの波動のエコーの受信との間の時間を測定するステップとであり、コンピュータは、検出波が、様々な形状および/または寸法の合焦領域内に、連続して合焦するように、制御信号を算出するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、
- 検出面と、
- 前記検出面と音響的に結合し、超音波を放射するように構成された、いくつかのアクチュエータ(106)と、
- 超音波検出器(110)と、
- 電子および/またはITコンピュータ(108)と
を備えた、非接触検出デバイス(100)であって、前記デバイス(100)は、以下のステップを何度か実施することにより、1つまたは複数の要素(162)の検出を実行するように構成され、これらのステップは、
- 各前記アクチュエータ(106)による較正超音波の放射により生成された、音響インパルス応答、および/または、前記検出面の振動インパルス応答を測定して、第1の時間反転法を、前記音響インパルス応答、および/または、前記検出面の前記振動インパルス応答に適用することから、前記電子および/またはITコンピュータ(108)により算出された制御信号(158)を、前記アクチュエータ(106)に印加することにより、前記アクチュエータ(106)により放射された検出超音波を、前記検出面を介して、前記検出面とは反対側に位置する平面にある合焦領域内に合焦するステップと、
- 前記検出超音波の前記放射と、前記超音波検出器(110)による前記検出超音波のエコーの受信との間の持続時間を測定するステップとであり、
前記電子および/またはITコンピュータ(108)は、前記検出超音波が、様々な形状および/または寸法の合焦領域内に、連続して合焦するように、前記制御信号(158)を算出するように構成された、非接触検出デバイス(100)。
【請求項2】
前記検出面は、素材板(102)の第1面(104)に対応し、前記アクチュエータ(106)は、前記素材板(102)における前記第1面(104)とは反対側の第2面に対して固定される、請求項1に記載の非接触検出デバイス(100)。
【請求項3】
前記素材板(102)は、厚さが0.1mmと3mmとの間であり、かつ/または、ヤング率が50GPaから300GPaまでの間の材料を含み、かつ/または、その容積質量と前記板の材料の前記ヤング率との比が、20.10
-8kg/m.Nと50.10
-8kg/m.Nとの間である、請求項2に記載の非接触検出デバイス(100)。
【請求項4】
前記超音波検出器(110)は、前記検出面にわたって配置された、少なくとも1つのマイクロフォンおよび/または音響トランスデューサを備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の非接触検出デバイス(100)。
【請求項5】
前記超音波検出器(110)は、前記超音波を放射するように構成されるとともに音響変換をさらに実行可能な、前記アクチュエータ(106)により形成された、請求項1から3のいずれか一項に記載の非接触検出デバイス(100)。
【請求項6】
前記電子および/またはITコンピュータ(108)は、第2の時間反転法を、各前記アクチュエータ(106)により受信された前記検出超音波の前記エコーに適用するように構成された、請求項5に記載の非接触検出デバイス(100)。
【請求項7】
前記アクチュエータ(106)は、周波数が20kHzと100kHzとの間の超音波を放射するように構成された、請求項1から6のいずれか一項に記載の非接触検出デバイス(100)。
【請求項8】
前記電子および/またはITコンピュータ(108)は、放射された前記検出超音波と、前記検出超音波の前記エコーとの間の周波数偏移を測定し、検出された前記要素(162)の運動速度を、測定された前記周波数偏移から算出するように構成された、請求項1から7のいずれか一項に記載の非接触検出デバイス(100)。
【請求項9】
前記電子および/またはITコンピュータ(108)は、前記超音波の前記放射に先立って、前記制御信号を符号化するように構成された、請求項1から8のいずれか一項に記載の非接触検出デバイス(100)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の非接触検出デバイス(100)を少なくとも1つ備え、前記非接触検出デバイス(100)により実行された前記検出の結果にしたがい、1つまたは複数の動作を実行するように構成された、非接触相互作用デバイス(200)。
【請求項11】
前記非接触検出デバイス(100)の前記検出面が固定された表示面を備えた、マンマシンインターフェースを形成する、請求項10に記載の非接触相互作用デバイス(200)。
【請求項12】
請求項1から9のいずれか一項に記載の非接触検出デバイス(100)を制御する方法であって、以下のステップを実施することを含み、これらのステップは、
- 各前記アクチュエータ(106)により放射された前記較正超音波の放射により生成された、音響インパルス応答、および/または、前記検出面の振動インパルス応答を測定して、第1の時間反転法を、前記音響インパルス応答、および/または、前記検出面の前記振動インパルス応答に適用することから、前記制御信号(158)を、前記電子および/またはITコンピュータ(108)により算出するステップと、
- 算出された前記制御信号(158)を、前記圧電アクチュエータ(106)に印加し、前記圧電アクチュエータ(106)により放射された前記検出超音波を、前記検出面とは反対側に位置する平面にある合焦領域内に合焦するステップと、
- 前記検出超音波の前記放射と、前記超音波検出器(110)による前記検出超音波のエコーの受信との間の持続時間を測定するステップとであり、
算出された前記制御信号が、前記検出超音波を、様々な形状および/または寸法の合焦領域内へと、連続的に合焦するように、これらのステップが何度か繰り返される、方法。
【請求項13】
以下のステップを実施することを含む、前記非接触検出デバイス(100)の較正をさらに含み、これらのステップは、
- 各前記圧電アクチュエータ(106)により、較正超音波を放射するステップと、
- 前記較正超音波の放射により生成された、音響インパルス応答、および/または、前記検出面の振動インパルス応答を測定するステップと、
- 前記第1の時間反転法を、前記音響インパルス応答、および/または前記検出面(156)の前記振動インパルス応答に、適用するステップと、
- 前記第1の時間反転法を、前記音響インパルス応答、および/または前記検出面(156)の前記振動インパルス応答に適用することにより取得された前記信号を、記憶するステップとである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記非接触検出デバイス(100)のユーザの1本または複数本の指(202)の位置または運動の検出を実施する、請求項12または13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つまたは複数の要素と、非接触で、検出および遠隔相互作用をする分野に関する。より具体的には、本発明は、デバイスであって、1つまたは複数の要素を、このデバイスと、デバイスと要素との間の接触の必要なく、相互作用可能とするデバイス、ならびに、このようなデバイスを制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触要素検出デバイスにより、1つまたは複数の要素、たとえば、デバイスからある程度離れた位置にある1人または複数人のユーザの指または手の存在、位置または運動を決定または特徴づけることが可能となる。そして、実行された検出から、検出された要素とデバイスとの間で、相互作用が可能となる。
【0003】
このようなデバイスを作製するためのいくつかの技術がある。
【0004】
たとえば、光学的捕捉の原理を用い、1つまたは複数のカメラ、レーザまたは赤外線センサを用いて、非接触要素検出デバイスを作製することができる。しかし、このようなデバイスは、使用される環境の光学的状態に非常に敏感である。さらに、ユーザが仮想立体物と相互作用できるように、このようなデバイスが用いられる場合、取り込んだ画像の解析を実行する必要があるため、デバイスの動作に必要な演算能力は、非常に高くなる。そのうえ、光学的捕捉にレーザを用いることは、解決策として高価である。最後に、光学的捕捉に赤外線センサを用いることにも、いくつかの欠点がある。すなわち、大型で、知覚領域が狭く、観測領域の表現を十分得るために、多数のセンサが必要となる。また、このようなデバイスにて、プライバシー侵害問題も発生することがある。これは、光学的捕捉により、たとえば、ユーザの顔など、検出対象要素周辺に見えるあらゆるものが取得されてしまうためである。
【0005】
また、小型レーダを用いて、非接触要素検出デバイスを作製することもできる。しかし、得られる性能は、満足できるものではない。検出対象の物体が金属ではない場合(たとえば、手または指)には、特にそうである。
【0006】
WiFi波またはより短い電磁波を用いる非接触要素検出デバイスも、提案されている。しかし、これらの解決策には、デバイスが通信する通信ネットワークが飽和する危険のある複雑な外部要素が、必要である。
【0007】
また、容量マトリックスを用いた非接触要素検出デバイスを作製することも、提案されている。しかし、このようなマトリックスは、マトリックスと検出対象要素との間の距離が数センチを超えると、動作が不十分となり、電界を囲むことにより、擾乱が生じ得る。
【0008】
また、携帯電話またはスマートフォンのマイクロフォンおよびスピーカを用いて実装される、非接触検出および相互作用技術も、示唆されている。これらの技術のいくつかは、電話のマイクロフォンにより放射された音波に対する運動により誘導される、周波数偏移および位相擾乱の測定を用いて、ジェスチャ検出を実行する。事前学習により、様々なジェスチャを、放射音波に対する、ユーザによりなされたジェスチャにより誘導された擾乱と関連づけることが可能になる。しかし、これらの技術では、検出対象要素が静止していると、これらの正確な位置特定を実行することができない。したがって、たとえば、仮想立体物の操作または仮想カーソルの運動の検出を実行することができない。さらに、検出されるジェスチャは、デバイスの製造者により、予め定義されている必要がある。他の技術により、検出対象要素の運動の追跡や、三角測量法による空間におけるこの要素の位置特定や、飛行時間、位相偏移またはインパルス応答の監視が可能となる。しかし、このようになされる測定は、高度に正確というわけではなく、一般に、軌跡の再構築は、方向、運動速度および移動距離を特定可能とするドップラー効果または位相変化追跡により、訂正される必要がある。これらの技術は、準静的相互作用(すなわち、低振幅運動)の検出を促進するものではなく、これらの運動の測定が困難となり、ユーザの何本かの指など、同時に検出されたいくつかの要素間の区別ができなくなる。
【0009】
先に列挙したシステムと比べて、超音波遠隔検出技術には、多くの利点がある。すなわち、使用される要素が小型化し、使用の際の光学的状態に対する過敏性がなくなり、半透明表面を通じて操作することも可能となり、必要な演算能力が有限となり、プライバシー侵害の問題がなくなり、多くの材料を検出可能となり(音波を反射しない材料はほとんどない)、電磁擾乱に対する過敏性がなくなる。
【0010】
Yun,S.等による文献「Strata:Fine-grained acoustic-based device-free tracking」、2017年、Proceedings of the 15th Annual International Conference on Mobile Systems,Applications,and Services、15~28頁は、スマートフォンが、指の位置および軌跡を、後者に接触することなく、リアルタイムで検出できるようにするアルゴリズムについて、記載している。スマートフォンの2つのマイクロフォンを用いることにより、このアルゴリズムは、スマートフォンからある程度離れて、2次元平面内にて指の軌跡に追従可能とする。しかし、この解決策には、いくつかの欠点がある。すなわち、検出対象の指とスマートフォンとの相互作用の距離としてありうる範囲を、事前に定義する必要があること、指の運動を得る必要があること、数本の指の検出および区別が不可能であること、位相偏移を含む最適化を実行することにより、指の位置特定がなされるため、安定性が高いわけではない解決策であること、指の絶対位置による反射経路選択にそれ自体が依存していること、指の追跡の軌跡が、選択された2次元平面内でのみ可能であることである。
【0011】
Etaix,N.等による文献「Acoustic imaging device with one transducer」、The Journal of the Acoustical Society of America 131、2012年、395~399頁は、立体画像形成を実行するために、時間反転法を用いた検出技術について、記載している。いくつかの圧電アクチュエータが、板にランダムにあけられた穴を含むいわゆる「カオス的(chaotic)」金属板上に配置されている。既知の信号が、各アクチュエータにより生成され、板表面の各点における対応するステップの応答が、振動計により測定される。時間反転法が、数学関数により後に修正される信号に対して、適用される。そして、これらの新たな信号をアクチュエータに印加することにより、音波が、空間における選択された点に合焦される。その後、平面が、選択された高さでスキャンされ、マイクロフォンによりエコーが観測される。板から距離Dで反射した後に、マイクロフォンへと帰還するように、エコーポテンシャルが要する理論時間に対応する時間ウィンドウが、選択される。この時間ウィンドウ内の音の最大振幅を測定することにより、選択された合焦座標に配置された、距離Dでの物体の存否が、特定される。本文献では、板から距離Dに配置された平面が、音波を点ごとに合焦させて、各時間ウィンドウを解析することにより、スキャンされる。さらに、いくつかの平面は、環境の完全な立体画像を得るために、点ごとに完全にスキャンされる必要がある。これにより、取得時間が極めて長くなるという結果になる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Yun,S.等、「Strata:Fine-grained acoustic-based device-free tracking」、2017年、Proceedings of the 15th Annual International Conference on Mobile Systems,Applications,and Services、15~28頁
【非特許文献2】Etaix,N.等、「Acoustic imaging device with one transducer」、The Journal of the Acoustical Society of America 131、2012年、395~399頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、超音波の使用に基づき、上述の欠点をいずれも伴わない非接触検出デバイスを、提供しようとするものである。すなわち、1つまたは複数の要素の位置および/または運動の同時検出を通じて、相互作用可能であり、これらの要素は、デバイスから様々な距離に位置する平面内に配置される場合もそうでない場合もあり、短い取得時間でそのようになる。
【0014】
この目的のため、本発明は、非接触検出デバイスを提供し、このデバイスは、少なくとも、
- 検出面と、
- 検出面と音響的に結合し、超音波を放射するように構成された、たとえば圧電式のいくつかのアクチュエータと、
- 超音波検出器と、
- 電子および/またはITコンピュータと
を備えた、非接触検出デバイスであって、デバイスは、以下のステップを何度か実施することにより、1つまたは複数の要素の検出を実行するように構成され、これらのステップは、
- 各アクチュエータによる較正超音波の放射により生成された、音響インパルス応答、および/または、検出面の振動インパルス応答を測定して、第1の時間反転法を、音響インパルス応答、および/または、検出面の振動インパルス応答に適用することから、電子および/またはITコンピュータにより算出された制御信号を、アクチュエータに印加することにより、アクチュエータにより放射された検出超音波を、検出面を介して、検出面とは反対側に位置する平面にある合焦領域内に合焦するステップと、
- 検出超音波の放射と、超音波検出器による検出超音波のエコーの受信との間の持続時間を測定するステップとであり、
電子および/またはITコンピュータは、検出超音波が、様々な形状および/または寸法の合焦領域内に、連続して合焦するように、制御信号を算出するように構成されている。
【0015】
このデバイスは、たとえば、少なくともユーザの1本の指または1つの手である要素の位置を、この検出面の前にある空間内で特定するために、平面状またはそれ以外の検出面から放射された超音波(16kHzから10MHzまでの波長)に対して適用された時間反転原理によって得られた音響的合焦の利用に基づき、1つまたは複数の要素の検出を実行することを、示唆している。
【0016】
要素の位置特定は、合焦音波が放射されてエコーの形で帰還するまでに必要な時間の測定に基づく。要素の位置推定は、2次元平面にある合焦領域で検出される、要素または複数の要素のうちの1つの存在を規定可能とする、合焦波のエコーにより、かつ、検出された要素と、検出面が位置する平面と同一面にあるとよい超音波検出器との間の距離を特定可能とする、波動の放射とエコーの受信との間の遅延の測定により、立体的に実行される。
【0017】
様々な合焦領域にて超音波の合焦を実行することにより、何本かの指が独立して検出され得る。
【0018】
その後、この位置特定により、デバイスに接触することなく、デバイスとの相互作用のモードが豊かになり得る。
【0019】
超音波の連続した合焦領域の特徴(寸法および/または形状)を適切に選択することにより、たとえば、合焦領域の大きさ、および合焦超音波の到達距離を変えることにより、かつ、動的対象追跡を実行することにより、検出対象要素が位置する空間における様々な領域を、適切に横断することで、取得時間を大幅に低減することが可能となる。
【0020】
なお、「焦点(focusing point)」とは、超音波が合焦かつ収束する点であることを、理解されたい。
【0021】
デバイスにより実行される検出は、2つの別々の時点間の信号の比較を伴わないため、静的であってもよい。また、準静的(検出対象要素の小さな運動)または動的であってもよい。
【0022】
このデバイスは、触覚的な相互作用を超えて、ジェスチャおよび非接触相互作用を可能にすることにより、対話システムの能力を向上させるために使用可能であるとよい。
【0023】
デバイスは、ユーザの何本かの指の検出を実行するために使用可能であるとよい。
【0024】
このデバイスにより、ユーザのリアルタイム相互作用が可能になり得る。
【0025】
このデバイスは、使用の際の光学的状態に対して過敏ではなく、電気的擾乱に対して安定である。
【0026】
このデバイスは、たとえば、検出面から約1メートルまでの長距離での検出を実行可能である。
【0027】
さらに、このデバイスは、検出対象要素を特定するのに画像処理方法を用いないため、低い電子またはIT演算能力で動作可能となる利点を有する。このデバイスは、超音波のエコーを返した最も近接した物体の位置を、直接復元する。
【0028】
また、このデバイスは、画像を取り込まないということ、超音波周波数で動作すること、取得したデータがローカルで処理されることにより、プライバシーを保護する利点を有する。
【0029】
このデバイスは、複数の指があまり動的に相互作用しない場合に使用可能であるとよい。実際に、デバイスは、超音波の合焦を実行することにより、仮想音源を生成する。検出対象要素の位置特定精度を向上させる、生成された仮想超音波源の数は、大きくともよい。さらに、合焦を実行することにより、全アクチュエータのエネルギーは、合焦領域に集中していることがわかる。この集中により、反射信号(エコー)の振幅が大きくなるため、検出が容易になる。合焦領域に波動を合焦させることにより、振幅がさらに低い全ての寄生的反射から、観察領域を分離することが可能になる。これにより、合焦領域内でデバイスにより実行される検出は、この領域外の要素により擾乱されることがない。
【0030】
たとえば、各指は、独立して検出され得る。さらに、これらの指が静止していたとしても、デバイスは、合焦が実行される領域における位置を認識する。応答を受信すると、検出した指の正確な位置を関連づける。指からの距離は、検出超音波と放射と、これらの波動のエコーの受信との間の時間を測定することにより、さらにより正確に測定され得る。
【0031】
複数の圧電アクチュエータからの超音波を合焦することにより、受信エコーの振幅が大きくなる。したがって、このエコーが検出しやすくなり、そのエコーを、あり得る全ての寄生的エコーから、区別しやすくなる。
【0032】
これにより、このデバイスは、容易に統合される安価な解決策を形成し、広い作業空間と相互作用可能となる。
【0033】
このようなデバイスのあり得る適用例は、マンマシン型のインターフェース、すなわち、HMIに関するものであるとよい。たとえば、接触なしで動作する対話画面、車両のダッシュボード、建築部門におけるスイッチ、または対話型テーブルである。また、デバイスは、ITデバイス、タブレットまたはスマートフォンとの非接触相互作用のためにも用いられ得る。このデバイスが実装可能なあり得る機能は、たとえば、仮想立体物の操作、非接触対話画面の使用(保健/衛生の点で有利)、または、小さな空間におけるダッシュボードとの相互作用である。
【0034】
また、このデバイスは、他の種類の適用例にも使用され得る。たとえば、ロボット制御または部品形状制御用の物体の立体的位置特定や、車両用レーダの逆変換または目標に対する車両の向きの調整などのシステムアプリケーションなどの産業分野において、使用され得る。
【0035】
たとえば、このデバイスは、車両のダッシュボード内や楽器の制御ボタンを、単純、小型かつ安価に統合し得る。提案されたデバイスにより、多数のボタンおよび仮想照明スイッチを、ダッシュボード前方での相互作用のための余地(volume)を形成する小さく再構成可能な空間内にて、統合することができるようになる。
【0036】
デバイスは、困難な環境下で(たとえば、光度が制御しにくかったりほとんど制御不能だったりするか、質感が乏しいか透明な物体を観測するか、または障害物が多数の場合に)、ロボットに対して知覚機能を与えることが可能であってもよい。
【0037】
デバイスが検出する要素は、超音波を吸収するのでなければ、どのような形状でも、どのような材料でできていてもよい。
【0038】
携帯電話およびITの分野では、非接触検出デバイスを用いることができ、相互作用の寸法を付与し、立体操作がしやすくなり、ユーザのジェスチャによる相互作用が可能になる。デバイスの適用例は、
- アプリケーションとバックグラウンド(たとえば、音楽、カメラ)において相互作用し、または、小さな機能を起動すること(たとえば、フラッシュライト、ボリューム)、
- 通常のユーザインターフェースと相互作用するものの、接触はしないこと(たとえば、手が濡れていたり汚かったりしたときや、デバイスがユーザの手の届かないところにあるとき)、
- アプリケーションと相互作用する機能を強化すること(たとえば、画像のズーム、回転、傾斜、並進機能、ファイルのドラッグまたはドロップ機能、テキストのコピーまたは貼り付け機能など)。
- ビデオゲームの対話性を強化すること、を含んでいる。
【0039】
また、このようなデバイスを備えたスマートフォンまたはITデバイスは、仮想または拡張現実の活動の際に、立体物をスキャンするために、立体測定システムとして、あるいは、任意の他の立体画像形成の用途に、直接的に利用されてもよい。
【0040】
自動車の分野では、デバイスは、ボタンやタッチ画面を置き換えるために、または、ジェスチャによる相互作用を可能にするために用いられ得る。相互作用デバイスは、車両のダッシュボード内に直接統合されてもよい。
【0041】
産業ロボット工学の分野では、このデバイスは、産業ロボットアームが、その近接区域を、センサが集中しても妨害を避けつつ、障害物(エフェクタ上に設置されたセンサ)に可能な限り近く接近して立体スキャンするのを可能にするために用いられてもよい。
【0042】
建設/農業機械分野では、このデバイスは、逆変換/近接レーダが、機械の周囲の状況を考慮する機能を向上させ得る(近接物体をより良く位置決めする形状)。
【0043】
実施された較正は、アクチュエータの制御信号の算出により、検出超音波を放射可能とし、いくつかの方式でなされ得る。これらの方式は、
- 検出面に近接または検出面からいくらか離れて、較正超音波の放射により生成された音響インパルス応答を測定し、第1の時間反転法を、この測定された音響インパルス応答に対して適用すること、および/または
- 較正超音波の放射により生成された検出面の振動インパルス応答を測定し、第1の時間反転法を、この測定された振動インパルス応答に対して適用することである。
【0044】
音響インパルス応答が測定される検出面に近接するほど、較正超音波の放射部分が、より正確に測定されるようになり(情報の損失がより少なくなり)、後の検出超音波の合焦が、より正確になされるようになる。
【0045】
検出面の振動インパルス応答は、たとえば、レーザ振動計などの振動計により、測定されてもよい。
【0046】
アクチュエータは、圧電アクチュエータに対応してもよい。その他、アクチュエータは、広帯域周波数応答がある場合、圧電式以外の種類であってもよく、たとえば、静電式であってもよい。
【0047】
検出面は、素材板の第1面に対応してもよく、アクチュエータは、素材板における第1面の反対側の第2面に対して、固定されてもよい。このような構成により、検出デバイスの統合が容易になり、アクチュエータは、計測対象面の背後で固定されている。
【0048】
検出面を形成する板は、ガラス、および/またはプラスチック、および/または金属を含んでもよい。板の材料は、透明であっても、そうでなくてもよい。板は、平面状であってもよく、そうでなくともよく、たとえば湾曲していてもよい。
【0049】
素材板は、厚さが0.1mmと3mmとの間であってもよく、かつ/または、ヤング率が50GPaから300GPaまでの材料を含んでもよく、かつ/または、その容積質量と板の材料のヤング率との比が、20.10-8kg/m.Nと50.10-8kg/m.Nとの間であってもよい。特に、このような特徴により、板による空気への超音波の良好な透過を保障可能である。
【0050】
超音波検出器は、検出面にわたって配置された、少なくとも1つのマイクロフォンおよび/または音響トランスデューサを、含んでもよい。音響トランスデューサは、検出超音波を放射するように構成されたアクチュエータとは異なる圧電アクチュエータに、対応してもよい。
【0051】
その他、超音波検出器は、たとえば、圧電式などのアクチュエータにより形成されてもよく、超音波を放射するように構成され、音響変換も実行可能である。この変形例は、デバイスを極めて良好に統合可能となるため、有利である。
【0052】
さらに、この変形例では、電子および/またはITコンピュータは、第2の時間反転法を、各アクチュエータにより受信された検出超音波のエコーに適用するように構成されてもよい。この場合、合焦された波動が反射する検出対象要素は、音源に例えられる。したがって、この仮想音源により放射された信号を、板における振動を、観測可能体積のあらゆる点と関連づけるインパルス応答とともに、認識しているコンピュータは、板における振動を測定して、時間反転原理を適用することにより、仮想音源の位置を特定してもよい。この第2の時間反転法を適用することにより、位置特定情報を、合焦領域内での反射器の有無についてのデータに加えることができる。この変形例は、事前検出の際に、音響焦点(acoustic focal spot)の大きさ、すなわち、音波が交わる面積が大きい場合に、用いられ得るとよく、これにより、音波がさらに関連した方式で合焦される、将来の検出面積が、選択可能となる。これにより、位置特定精度、およびデバイスの検出速度を向上させることが可能となる。
【0053】
アクチュエータは、周波数が20kHzから100kHzまでの超音波を放射するように、構成されてもよい。この値の範囲は、人間に聴こえる周波数域から十分に遠いので、デバイスのユーザにとっての不都合を回避可能である。
【0054】
電子および/またはITコンピュータは、放射された検出超音波と、検出超音波のエコーとの間の周波数偏移を測定し、検出された要素の運動速度を、測定された周波数偏移から算出するように構成されてもよい。この速度は、ドップラー効果の原理を用いて、検出された要素と超音波検出器との間の方向にしたがって、得られるものである。
【0055】
電子および/またはITコンピュータは、超音波の放射に先立って、制御信号を符号化するように、構成されてもよい。この符号化は、合焦波動について、周波数内容が既知で、位相が離散的で、周波数が変動し、または、周波数が変調されるように、実行されてもよい。この場合、エコー由来の波動の復号のため、検出デバイスは、より安定であり、この信号は、放射信号との相関性が良好であり、周辺のノイズに由来するものではないことが、保障され得る。
【0056】
また、本発明は、上述のような非接触検出デバイスを少なくとも1つ備え、非接触検出デバイスにより実行された検出の結果にしたがい、1つまたは複数の動作を実行するように構成された、非接触相互作用デバイスに関する。
【0057】
非接触相互作用デバイスは、非接触検出デバイスの検出面が固定された表示面を備えた、マンマシンインターフェースを形成してもよい。
【0058】
また、本発明は、上述のような非接触検出デバイスを制御する方法に関し、この方法は、以下のステップを実施することを含み、これらのステップは、
- 各アクチュエータにより放射された較正超音波の放射により生成された、音響インパルス応答、および/または、検出面の振動インパルス応答を測定して、第1の時間反転法を、音響インパルス応答、および/または、検出面の振動インパルス応答に適用することから、制御信号を、電子および/またはITコンピュータにより算出するステップと、
- 算出された制御信号を、圧電アクチュエータに印加し、圧電アクチュエータにより放射された検出超音波を、検出面とは反対側に位置する平面にある合焦領域内に合焦するステップと、
- 検出超音波の放射と、超音波検出器による検出超音波のエコーの受信との間の持続時間を測定するステップとであり、
算出された制御信号が、検出超音波を、様々な形状および/または寸法の合焦領域内へと、連続的に合焦するように、これらのステップは何度か繰り返される。
【0059】
この方法は、以下のステップを実施することを含む、非接触検出デバイスの較正を、さらに含んでもよく、これらのステップは、
- 各圧電アクチュエータにより、較正超音波を放射するステップと、
- 較正超音波の放射により生成された、音響インパルス応答、および/または、検出面の振動インパルス応答を測定するステップと、
- 第1の時間反転法を、音響インパルス応答、および/または検出面の振動インパルス応答に、適用するステップと、
- 第1の時間反転法を、音響インパルス応答、および/または検出面の振動インパルス応答に、適用することにより取得された信号を、記憶するステップとである。
【0060】
この方法は、検出デバイスのユーザの1本または複数本の指の位置または運動を検出するために、実装され得るとよい。
【0061】
本発明は、純粋に説明のためであって制限のためではない、例示的実施形態の説明を、添付の図面を参照して読むことにより、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1】具体的実施形態による非接触検出デバイスを模式的に示す。
【
図2】具体的実施形態による非接触検出デバイスの動作原理を模式的に示す。
【
図3】同一の焦点に合焦した音波の同一の放射について、非接触検出デバイスの検出面からの様々な距離で得られた合焦の空間分布を示す。
【
図4】同一の波動放射につき、様々な距離にある物体によって反射して得られた超音波のいくつかのエコーを示す。
【
図5】具体的実施形態による非接触相互作用デバイスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0063】
以下に説明する、様々な図面における同一、同様、または均等な部分には、ある図から他の図へと移行しやすくなるように、同一の参照番号を付す。
【0064】
図面に示された様々な部分は、図面をより読みやすくするため、必ずしも均一の縮尺にて描写されているわけではない。
【0065】
様々な可能性(変形例および実施形態)が、相互に排他的でないものとして理解されるべきであり、組み合わされてもよい。
【0066】
以下、具体的実施形態による非接触検出デバイス100につき、
図1を参照して説明する。
【0067】
デバイス100は、素材板102と、デバイス100の検出面を形成する第1面104とを、備えている。たとえば、板102は、ガラス、プラスチックまたは金属を含む。たとえば、板102は、厚さが0.1mmと3mmとの間であり、かつ/または、ヤング率が50GPaから300GPaまでの材料を含み、かつ/または、その容積質量と板102の材料のヤング率との比が、20.10-8kg/m.Nと50.10-8kg/m.Nとの間となっている。
【0068】
ここで、板102は、フレーム103に対して固定されている。デバイス100が、画面の前面上に取り付けるものである場合、板102は、後述の圧電アクチュエータ106が、板102の周辺に配置されたときに、画面が透過して見えるように、透明な材料を含んでもよい。
【0069】
具体的実施形態では、板102の寸法は、たとえば、156mm×76mmに等しく、厚さは0.5mmに等しい。
【0070】
板102は、平面状であってもよく、そうでなくともよく、たとえば湾曲していてもよい。
【0071】
また、デバイス100は、検出面と音響的に結合し、超音波を放射するように構成された、いくつかのアクチュエータ106を、含んでもよい。アクチュエータ106は、圧電アクチュエータに対応しているとよい。その他、アクチュエータ106は、静電型であってもよい。
【0072】
ここに説明する具体的実施形態では、アクチュエータ106は固定されており、たとえば、板102における第1面104とは反対側の第2面に対して、接着されている。さらに、ここに説明する具体的実施形態では、アクチュエータ106は、板102に対して、その端部に近接して固定されている。その他、アクチュエータ106は、板102の第2面の任意の点に配置されていてもよい。他の変形例では、アクチュエータ106は、板102の第1面104側、すなわち、検出面側に、配置されてもよい。
【0073】
一実施形態では、各圧電アクチュエータ106は、圧電材部に対して電位差を印加可能な、少なくとも2つの制御電極間に配置された、たとえばPZTなどの圧電材部を含む。たとえば、各圧電アクチュエータ106は、70mm×10mm×0.2mmに等しい寸法の薄膜状に形成されたPZT部を含んでもよく、このPZT薄膜を起動すべく、16個の電極が接続している。
【0074】
一般に、デバイス100の検出面に音響的に結合した第1のアクチュエータ106の数は、たとえば、1と32との間であり、デバイス100の作動電子機器によっては、より多いこともある。アクチュエータ106の数および寸法が大きくなるほど、デバイス100によって放射される信号の電力が高くなり、得られる合焦解像度が向上する。
【0075】
圧電アクチュエータ106は、周波数が20kHzから100kHzまでだとよい超音波を放射するように、構成される。
【0076】
また、デバイス100は、電子および/またはITコンピュータ108を備えており、これは、
図1では、参照番号108を付した矩形によって、模式的に表されている。このコンピュータ108の機能の1つは、圧電アクチュエータ106に印加する予定の制御信号を、算出することである。
【0077】
また、デバイス100は、超音波検出器110を、備えている。この検出器110は、圧電アクチュエータ106によって板102を通じて放射される超音波のエコーを、取り込むようになっている。ここに説明する具体的実施形態では、検出器110は、板102に近接して配置された、少なくとも1つのマイクロフォンを、備えている。
【0078】
その他、検出器110は、アクチュエータ106とは別に、板102における第1面104、または第1面104とは反対側の第2面側にある、デバイス100の検出面にわたって配置された、追加の圧電アクチュエータに対応してもよい。他の変形例では、検出器110は、超音波の放射および超音波のエコーの受信の双方を確実にする、圧電アクチュエータ106により、形成されてもよい。
【0079】
以下に、デバイス100の動作原理について、
図2を参照して説明する。
【0080】
デバイス100による1つまたは複数の要素の検出に先立って、デバイス100の較正が実施される。
【0081】
この較正のために、第1の実施形態では、超音波を測定するデバイス150が、デバイス100の検出面から非ゼロ距離に配置されている。たとえば、較正の際にデバイス150が位置する平面は、検出面から0cmと50cmとの間の距離に配置されている。
【0082】
その後、較正超音波の放射が、各アクチュエータ106により実行される。たとえば、このような較正超音波は、瞬時周波数が、デバイス100の動作に用いる周波数域の少なくとも一部において変化する、周期的信号または疑似周期的信号に対応する。これらの信号を、一般に、「チャープ(chirp)」と称する。参照番号152は、圧電アクチュエータ106の1つの制御電極に印加された、疑似周期的制御信号の例を示す。
【0083】
各圧電アクチュエータ106が放射した較正超音波は、伝播して、板102にて反射し、デバイス150により測定される。
図2では、参照番号154は、デバイス150により測定された較正超音波の1つを、模式的に示す。ある点にて測定され、各圧電アクチュエータ106の放射から抽出された各音波は、この点における較正データとして記録される。
【0084】
その後、時間反転法は、デバイス150により測定された各較正超音波に対して、適用される。本方法適用後に得られた信号は、デバイス150の位置に対応した焦点にて、これらの波動を合焦させるために、各圧電アクチュエータ106が放射しようとした波動に対応する。
図2では、参照番号156は、時間反転法適用後に得られた信号を、模式的に示す。時間反転法の実施の詳細については、たとえば、Fink M.による文献「Time Reversal of Ultrasonic Fields - Part I: Basic Principles」、IEEE Transactions on Ultrasonics,Ferroelectrics,and Frequency Control、39巻、5号、555~566頁、1992年9月に記載されている。
【0085】
その後、この時間反転較正法は、板102の反対側のデバイス150における多数の位置について、繰り返される。たとえば、
図2に示す変形例では、デバイス150における位置が、第1面104の表面を完全に覆い、デバイス150における2つの近接位置の間隔が10mmとなるメッシュを形成するように、この較正が繰り返される。
【0086】
その後、デバイス150により測定された各較正超音波に時間反転法を適用した後に得られた信号は、たとえば、コンピュータ108の一部を形成するデバイス100のメモリまたはデータベース内に、記録される。
【0087】
第2の実施形態では、この較正は、較正超音波の放射により生成された音響インパルス応答の測定ではなく、較正超音波の放射により生成された検出面上の振動インパルス応答の測定により、実行されてもよい。この場合、デバイス150は、たとえば、板102に対抗して配置され、この振動インパルス応答を測定可能なレーザ型の振動計で、置き換えられる。
【0088】
この較正段階が完了すると、デバイス100は、たとえば、デバイス100と相互作用しようとする、1つまたは複数の要素の検出を、実行するために用いられる。
【0089】
この目的のため、アクチュエータ106は、デバイス100と相互作用しようとする要素が存在するようにしている空間の領域内に合焦する検出超音波を、同時に放射するように制御される。所望の合焦領域内に超音波を合焦可能な制御信号は、コンピュータ108が、以前に較正段階の最後で記録された信号に対して、変換およびフィルタ処理を適用することにより、算出される。
図2では、参照番号158は、超音波を、参照番号160で示す所望の焦点に合焦することが可能な、算出された制御信号を、模式的に示す。
【0090】
アクチュエータ106により放射されて合焦された信号は、超音波周波数のみ、たとえば、20kHz未満のフィルタ周波数を励起するように、選択される。放射について、放射波のフィルタ処理を実行可能である。
【0091】
信号を、放射前にフィルタ処理することにより、いくつかの機能が実現される。その第1は、較正の際に、記録された振動信号を、板102の表面に適応させて、板102の表面に対して選択された距離に、合焦が生じるようにする。完了した計算は、たとえば、簡易化が施され得る、キルヒホッフ-ヘルムホルツ積分を解くことから、導出される。たとえば、この積分により、音圧および運動速度が、板102の全ての点で既知である場合、体積におけるある点での音圧が決定される。また、デバイス100が動作する環境は、板102以外に音源を含んでおらず、この場合、システムの性能が低減することが、想定されている。さらに、積分を解くためになされた想定は、板102の境界条件が既知ということである。板102の端部は、強固にまたは柔軟性をもって埋め込まれている。これらの2つの場合、コンピュータ108は、放射部(emitter)の較正の際に記録された、全ての信号を含む単純な積分を、解くことが可能である。このように、コンピュータ108により、この放射部と観察体積における点との間の理論的インパルス応答を、特定することができる。この理論的信号を時間内に反転させて、この手順を全放射部に対して実行することにより、この点で音波を合焦させるために放射される信号が、既知となる。これら全ての計算は、放射前に、リアルタイムで実行されてもよく、較正段階に引き続き、事前に記録されてもよい。この手順に関する詳細は、Nicolas Etaixによる文献「Imagerie acoustique a faible nombre de transducteurs au moyen d’une cavite acoustique」、Acoustics [physics.class-ph]、Paris-Diderot University - Paris VII、2012年、2章:Plate acoustic radiation and focusingに見られる。
【0092】
フィルタ処理の第2の役割は、選択された周波数帯域における、デバイス100により放射された周波数を制限することであり、周波数は超音波領域に留まるはずであるため、高域フィルタ処理が、この目的のために実行され得る。また、選択された周波数帯域は、放射波により形成された音響焦点の大きさを調整可能となるはずである。これにより、低域フィルタ処理も、高周波数が、音響焦点を広げるために排除されるように、実行されてもよい。
【0093】
フィルタ処理の第3の役割は、測定されたエコーが、放射された信号と良好に相関し得るように、周波数または位相符号化を追加することを、含んでもよい。
【0094】
このような合焦を実行することにより、アクチュエータ106により放射された波動のエネルギーは、合焦領域内に集まり、これにより、この領域内で、より強力な信号を取得可能となる。
【0095】
図3は、183mmに等しい検出面からの距離に位置する焦点に合焦した音波の同一の放射について、検出面からの様々な距離で得られた合焦の空間分布を示す。この
図3の3つの図では、検出面と平行な平面において得られた合焦波のパワーは、この平面の位置の関数として、表される。図のa)では、考慮対象面は、168mmの距離にあり、図のb)では、考慮対象面は、183mm(検出面と焦点との間の距離に等しい)の距離にあり、図のc)では、考慮対象面は、198mmの距離にある。
【0096】
放射された超音波は、
図2における参照番号162で示す要素に当たると、エコーの形式で反射する。このエコーは、デバイス100の検出手段110により検出される。そして、デバイス100は、超音波の放射から、検出器110によるこれらの超音波のエコーの受信までの持続時間の測定を、実行することにより、デバイス100と検出された要素との間の距離を特定可能である。
【0097】
図4は、同一の波動放射につき、様々な距離にある物体で反射して得られた超音波のいくつかのエコーを示す。曲線164は、放射されて検出面から200mm離れた焦点に合焦し、検出面から185mmに位置する物体で反射した波動について測定されたエコーに対応する。曲線166は、放射されて検出面から200mm離れた焦点に合焦し、検出面から200mmに位置する物体で反射した波動について測定されたエコーに対応する。曲線168は、放射されて検出面から200mm離れた焦点に合焦し、検出面から215mmに位置する物体で反射した波動について測定されたエコーに対応する。
【0098】
検出対象要素の位置測定時間を低減させるため、コンピュータ108は、圧電アクチュエータ106により放射された超音波が、様々な形状および/または大きさの領域に連続して合焦するように制御信号を算出するように、構成されている。このように、超音波が連続して合焦する領域の寸法および/または形状は、検出対象要素の検出に必要な時間を低減させるために、適切に調整される。
【0099】
たとえば、環境についての粗い視点で、検出対象要素の検出を開始することができる。すなわち、比較的広い第1合焦領域を定義して、それから、放射された音響波の1つまたは複数の領域内、たとえばより小さな寸法の領域内への合焦を実行して、デバイス100によりなされる測定の空間解像度を向上させ、これにより、検出対象要素の位置を正確に特定する。これには、追加の較正を必要としないが、別の制御信号を算出するため、発信信号に別のフィルタ処理が必要となる。その後、デバイス100は、測定点の周囲のより小さな寸法の領域内に合焦する波動放射を、実行してもよい。波動のエコーの受信時間を測定することにより、検出面と検出要素との距離を予め特定してあるなら、次の合焦領域は、検出面に対して、検出物体と検出面との距離に等しい距離を取って、選択され得る。これにより、寄生的エコーの受信を制限することができる。
【0100】
要素検出速度を向上させるため、デバイス100は、関連する観測領域を選択可能であってもよく、選択された領域にしたがって観測区域を調整してもよい。技術的には、観測区域の修正は、音響焦点の大きさを多少広げることにより、すなわち、音波が集まる領域を多少広げることにより、なされてもよい。これは、各アクチュエータ106により放射される信号の高周波数に対して、フィルタ処理を施すことによりなされる。実際に、放射信号が含む高周波数が少ないほど、得られる音響焦点は広がる。このように、要素が焦点の中心から離れた位置をとると、エコーを返し、デバイス100に対して、探索領域を深める必要があることを示すことになる。この場合、この点は、水平部分の径が変化する楕円体状になる。二分法にしたがい、楕円体の大きさを変化させることにより、デバイス100は、検出要素の正確な位置を特定可能となる。
【0101】
観測場面にある要素の第1の画像を得るため、デバイス100は、いくつかの高さで、いくつかの大径楕円体を形成するように、検出波を放射してもよい。検出面に対する要素の距離が、飛行時間により、どうにか正確に特定され得るので、ビームなどのように焦点が広がっても、この特定はより高速である。この技術は、これらの楕円体の拡張を制御可能ではないことがわかる。しかしながら、放射面に対するこの形状の底部の距離を制御することは可能であるため、この点より上に合焦する音響エネルギーを最大化することができる。
【0102】
選択される焦点寸法は、スキャンされる空間の大きさ、得られる空間精度、および、デバイス100の所望の応答時間次第である。強度が半分となる焦点径は、音響的に半分の波長に向かおうとする。これは、放射信号により用いられる周波数が、焦点の大きさに直接的に影響することを、意味している。たとえば、これは、空気中では、4mm径の焦点において、周波数40kHzに対応する。しかしながら、この寸法は、検出面から焦点が離れるにつれて、大きくなるものでもあり、その効果は、デバイス100における等価な放射孔により補償される。この孔は、板102の寸法に対応し、板102における反射の質およびアクチュエータ106の数に関連した修正がなされる。このように、150×150mm2の板102について、50cmでの検出解像度は、理論的には14mmであり、この解像度は、デバイス100の埋め込み条件およびアクチュエータ106の数により、向上し得る。
【0103】
一方、広い合焦領域について検出が実行される周波数は、用途に応じて選択される。相互作用の際になされる動作が、1本の指のみを要するのであれば、デバイス100は、広い合焦領域における検出を継続することなく、検出された指のみを追跡するように、構成され得る。
【0104】
アルゴリズム的作業が、スキャンに最適な領域を選択するために、実装されてもよい。
【0105】
デバイス100が、1つまたは複数の動く要素の検出を実行するように構成される場合、デバイス100は、放射された検出音波とそのエコーとの間の少なくとも1つの周波数偏移を計測して、計測された周波数偏移から、検出要素の運動速度を算出するように、構成されてもよい。このように、ドップラー効果の計測(計測された周波数偏移に対応)により、検出要素の運動速度を、特定することができる。その後、所与の持続時間後の検出面に対する将来の位置を予測することや、次の検出の際に超音波が合焦する焦点位置を予想することなど、検出要素の運動に関する他の情報を、特定することができる。このような運動追跡段階と並行して、デバイス100は、たとえば、デバイス100と相互作用しようとする新たな要素の出現を検出するために、超音波を、広い合焦領域に合焦させることができる。
【0106】
一方、合焦領域の形状も、修正されてもよい。たとえば、物体を、広い高さ範囲にわたって、個々の高さについてスキャンする必要なく検出可能な、ある種の光線を、生成することができる。
【0107】
エコーの観測および測定の安定度を向上させるため、合焦超音波は、符号化されてもよい。この符号化は、信号の位相、および/または、第1の圧電アクチュエータ106に対して印加される制御信号の周波数成分を、繰り返し変更することにより、実現してもよい。実際に、デバイス100によりなされる波動の合焦により、完了済の検出が、考慮対象の合焦領域からより離れた、すなわちその外側に位置した障害物により擾乱されることを、回避可能であっても、放射超音波の一部は、波動が焦点から外れて反射した後に、ある程度遅れて、検出器110により検出されることがある。放射超音波を符号化することにより、受信エコーが、放射に対してなされたものと同じ符号化を含むかどうかを比較することにより、検出手段により取り込まれたエコーが、最初に放射された波動に実際に対応することを、確実にすることができる。
【0108】
デバイス100の変形例では、圧電アクチュエータ106は、検出方法を促進、または測定の信号対雑音比を向上させるべく、板102の残留振動の除去または減衰のために用いられてもよい。実際に、波動の自然な減衰が終わる前に発生する多くの反射の結果として、板102の振動が、合焦信号の放射後にも続く。また、放射信号の意図せぬ延長により、受信エコー信号も延長される結果となり、新たなパルスを生成する前に、系全体が安定するまで待機するか、あるいは、信号品質の低下を受け入れる必要がある。このように、板102の振動の減衰により、以前のものの干渉のある新たな受信が、回避される。
【0109】
放射を短く制御されたものとするために、残留振動を能動的に減衰させることもできる。実際に、較正により、合焦信号の放射に続く、板102の応答が、既知である。アクチュエータ106が、これらの波動にさらされた広い表面に対応しているので、各位置で既知となっている、残留振動信号と反対の振幅の信号で、波動を制御することができる。このような能動減衰信号は、時間反転による合焦信号に直接的に追従して、印加されてもよい。
【0110】
他の変形例では、このような残留振動は、算出された超音波の放射によるものであるため、既知であるということにより、デジタル的に除去されてもよい。焦点でのその影響は、デジタル的に算出される。実際に、板102の残留振動は、較正を受けて既知であるため、体積内で生成した音場を、算出することができる。この信号がわかれば、合焦領域内で物体が検出された場合、次の合焦に続く音響測定にて、この信号を直接的に抑制することができる。このように、前回の測定のエコーが、完全に減衰する前に、測定に対するこのような擾乱なしで、新しい点にて、検出を実行することができる。
【0111】
これらの変形例により、このような残留振動による擾乱がないか、あるいはほとんどない、超音波のエコーを、復元することができる。
【0112】
一変形例では、用いられている検出手段110が、圧電アクチュエータ106に対応する場合、検出された要素の位置特定精度を向上可能な第2の時間反転法を、受信波に適用することができる。実際に、合焦された波動が反射する検出対象要素は、音源に例えられる。この仮想音源により放射された信号、および、板102における振動を、観測可能体積のあらゆる点と関連づけるインパルス応答を、認識しているコンピュータ108は、板102における振動を測定して、時間反転原理を適用することにより、仮想音源の位置を特定してもよい。この第2の時間反転法を適用することにより、位置特定情報を、合焦領域内での反射器の有無についてのデータに加えることができる。これは、事前の検出の際に焦点の大きさが大きい場合に、有利に用いられ得るものであり、これにより、将来の焦点領域を、より適切に選択することが可能となる。これにより、デバイス100の位置特定精度および検出速度を向上させ得る。
【0113】
他の変形例では、これらの全ての音響位置特定技術を補完して、圧電アクチュエータ106の電極は、相互容量センサとして用いられてもよい。この場合、検出面に近接した電界の擾乱が、測定され、検出対象要素の存在と関連づけられてもよい。これにより、デバイス100の近接場の相互作用精度が向上するとよい。
【0114】
この他の変形例では、検出面に接着された圧電アクチュエータ106の上側の電極は、たとえば、コンピュータ108により形成された、電子容量性測定システム(electronic capacitive measuring system)に接続してもよい。後者は、2つの隣接するアクチュエータ106の上側の電極により形成された静電容量を測定することができる。誘電率が空気とは異なる物体があると、後者は、電気力線を変形し、それにより、これらの電極間の相互容量を変化させる。たとえば、空気より誘電率が高い指があると、この相互容量が増加する。相互容量の増加は、指の大きさおよび検出面からの距離に依存するが、電極のいくつかの組を用いることにより、この情報を検知することができ、これにより、指の位置を、検出面との距離、およびそれが配置されている面の双方について、正確に特定する。この技術は、面の近傍での相互作用の精度を向上させることができるが、物体が面に接触した場合、物体が、合焦波を減衰させてエコーが無いことから、この場合、時間反転が、もはや適用されない。しかしながら、精度は、距離が離れると(数センチメートル)、極めて急速に減少するが、これは音響特性について(数デシメートルまで)はそうではない。この変形例には、相互作用の検出を実行するために、いくつかの相補的物理原理を利用する単一のシステムを用いるという、利点がある。
【0115】
上述の全ての変形例および実施形態について、デバイス100が用いる超音波音響検出の物理原理は、検出面を形成するのに、特定の特異性を必要としていない。しかしながら、いくつかのパラメータにより、検出性能を向上させることができ、これらのパラメータについてのトレードオフにより、得られる合焦コントラスト、合焦解像度、およびエコー信号の振幅が最大化し得る。検出面を形成する板102におけるこれらのパラメータは、単位面積あたりの質量ρs、および板102の材料のポアソン比νと関連づけられたヤング率Yと、板102および検出面Sの厚さeと、アクチュエータ106の数Qと、使用周波数帯域幅Bと、信号fの最小周波数、および信号の放射時間Tとである。
【0116】
考慮すべき第1の要素は、一致周波数fcである。これは、板102内の音響波長が空気のそれに等しいことに対応している。この周波数およびわずかにその上では、板と空気の結合が最大化されて、板102からの最大放射を得ることができ、それにより、理想的な合焦を得るために、放射信号の振幅および豊かさ(richness)が増大する。この周波数は、20kHzにおいて選択され、100kHzまで良好な結合が得られる。この一致周波数は、以下の式により表される。
【0117】
【0118】
ここで、c0は、空中の音速、Y、ν、ρsは、板102の材料に関し、主に板102の厚さeの調整により、板の剛性
【0119】
【0120】
が、
【0121】
【0122】
となるように規定され、e、したがってDが増えると、板102の低周波数結合が向上する。しかしながら、fcが低くなりすぎることを避けて、可聴域での放射を避ける必要がある。
【0123】
良好な合焦コントラストCidealのためには、剛性、周波数、板102の表面に関する、使用周波数帯域内に、多くの振動モードがあることが好ましい。この合焦コントラストは、関係式、
【0124】
【0125】
により表される。このように、剛性を向上させ、板102の表面および放射信号の帯域幅を広げることにより、理想的なコントラストが得られる。
【0126】
しかしながら、それは、積Q.Tが、
【0127】
【0128】
に比べて大きいことを前提としている。これは、これらの量が近いと、Cが減少するためである。さらに、放射時間Tは、板の減衰係数τにより、制限される。3.τに等しい放射時間を超えると、Tが延びても意味がなくなる。さらに、放射時間Tが長いと、デバイス100の検出速度が低減する。一方、使用可能なアクチュエータ106の数は、取得電子機器により、制限される。
【0129】
上記のように示されたものを考慮すると、高剛性、したがってかなりの厚さの板102を、有することが好ましい。しかしながら、板102は、平面波の送出を継続可能である必要がある。さらに、板102の剛性が高くなると、振動の振幅が低下し、デバイス100自体が、信号対雑音比を低減する周囲のノイズの影響に、直面することになる。板102自体がエコーを受信する構成では、板102は、エコーが板102の中を再伝播するには硬すぎるようには、作製されない。こうして、板102の剛性について、トレードオフが成立する必要がある。
【0130】
最後に、板102の材料の粘性が高くなりすぎること(たとえば、プラスチックの場合のように)を避け、信号が過度に減衰することを避けることが、好ましい。また、減衰τも、低すぎるべきではない。この場合、信号は、放射後も長く反響を続けることになってしまう。減衰は、境界条件の種類(すなわち、硬い/自由/単純支持)、および板102を保持する材料により、制御される。硬いか、または自由な埋め込み実装により、減衰は低減する。
【0131】
たとえば、上述のように開示された制限に対応するように、板102は、ガラスを含み、発泡体上に配置され、以下のパラメータを有してもよい。すなわち、パラメータは、e=0.7mm、S=80x160mm2、Y=60GPa、v=0.24、ρs=1.62kg.m-2、T=2ms、B=80kHz、Q=32である。このようなパラメータにより、以下の特性の合焦を、得ることが可能である。すなわち、τ=1ms、Cideal=23SI、C=22SI、fc=18kHz。
【0132】
図5は、非接触検出デバイス100を備えた非接触相互作用デバイス200を、模式的に示す。デバイス200は、デバイス100により実行された検出の結果にしたがい、1つまたは複数の動作を実行するように、構成されている。
図5の例では、デバイス200は、たとえば、デバイス100の検出面が固定され、デバイス200のユーザの手(指202が
図5に示されている)と相互作用することになる画面などの表示面を含む、マンマシンインターフェースに対応する。たとえば、デバイス100により検出されたジェスチャにしたがい、デバイス200は、内容が検出されたジェスチャに依存する情報を、表示してもよい。他の例では、デバイス200は、デバイス200の画面上に表示された仮想立体物の操作を実行するために、用いられてもよい。このような操作は、デバイス100により検出されたジェスチャに対応する。
【0133】
他の実施形態では、デバイス200は、デバイス100を介して知覚機能が実装されたロボットに、対応してもよい。
【符号の説明】
【0134】
100 非接触検出デバイス
102 素材板
103 フレーム
104 第1面
106 圧電アクチュエータ
108 電子および/またはITコンピュータ
110 超音波検出器
150 デバイス
154 較正超音波
156 信号
158 制御信号
162 要素
164 曲線
166 曲線
168 曲線
200 非接触相互作用デバイス
202 指
【国際調査報告】