(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-06
(54)【発明の名称】可撓性溶解性多孔質物品を取り扱うか又は操作する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/81 20060101AFI20231129BHJP
C11D 17/06 20060101ALI20231129BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20231129BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
A61K8/81
C11D17/06
C11D3/37
A61K8/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532518
(86)(22)【出願日】2020-12-24
(85)【翻訳文提出日】2023-05-29
(86)【国際出願番号】 CN2020138981
(87)【国際公開番号】W WO2022133891
(87)【国際公開日】2022-06-30
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】マクナマラ、カール・デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】タン、ホンシン
【テーマコード(参考)】
4C083
4H003
【Fターム(参考)】
4C083AB172
4C083AB372
4C083AB442
4C083AC122
4C083AC242
4C083AC302
4C083AC312
4C083AC692
4C083AC712
4C083AC782
4C083AD011
4C083AD072
4C083AD111
4C083AD112
4C083AD132
4C083AD152
4C083AD242
4C083BB01
4C083BB04
4C083BB05
4C083BB06
4C083BB07
4C083BB36
4C083CC01
4C083DD12
4C083DD47
4C083EE01
4C083EE07
4C083FF06
4H003AB03
4H003AB15
4H003AB19
4H003AB27
4H003AB31
4H003AC08
4H003AD04
4H003BA02
4H003BA19
4H003CA24
4H003EA25
4H003EA28
4H003EB05
4H003EB07
4H003EB08
4H003EB13
4H003EB28
4H003EB33
4H003EB37
4H003EB41
4H003EB46
4H003ED02
4H003FA26
(57)【要約】
本発明は、高度に圧縮可能かつ復元可能な可撓性溶解性多孔質物品を取り扱うか、又は操作する方法であって、適度な力を当該物品に加えて、50%以上の体積圧縮を達成する工程と、続いて当該力を除去して、10分未満で80%以上の体積復元を達成する工程と、を含む、方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性溶解性多孔質物品を取り扱うか、又は操作する方法であって、
d)水溶性ポリマー及び界面活性剤を含む可撓性溶解性多孔質物品を提供する工程であって、前記可撓性溶解性多孔質物品は、25℃にて平衡湿度40%で測定した場合に(1)20000N/m
2未満の50%圧縮力及び(2)5分未満の90%復元時間によって特徴付けられる、工程と、
e)50%以上の体積圧縮を達成するように、20℃~40℃の範囲の温度及び20%~95%の範囲の平衡湿度で前記可撓性溶解性多孔質物品に500N/m
2~100,000N/m
2の範囲の力を加える工程と、
f)10分未満で80%以上の体積復元を達成するように、圧縮された前記可撓性溶解性多孔質物品から前記力を除去する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
工程(b)で加えられる前記力は、圧力、真空力、吸引力、トルク及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記可撓性溶解性多孔質物品は、80%~99%、好ましくは85%~99%、より好ましくは90%~990%の連続気泡含有率、及び100μm~2000μm、好ましくは150μm~1000μm、より好ましくは200μm~600μmの全体平均孔径によって特徴付けられる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記可撓性溶解性多孔質物品は、最大寸法D及び最小寸法zによって特徴付けられ、D/zの比は、1~10、好ましくは1.4~9、より好ましくは1.5~8、最も好ましくは2~7の範囲である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記可撓性溶解性多孔質物品は、複数の可撓性溶解性多孔質シートを含み、複数の前記可撓性溶解性多孔質シートのそれぞれは、0.5mm~4mm、好ましくは0.6mm~3.5mm、より好ましくは0.7mm~3mm、更により好ましくは0.8mm~2mm、最も好ましくは1mm~1.5mmの範囲の厚さを有し、前記物品は、4~50枚、好ましくは5~40枚、より好ましくは6~30枚の前記可撓性溶解性多孔質シートを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記可撓性溶解性多孔質物品は、前記物品の総重量の5%~50%、好ましくは8%~40%、より好ましくは10%~30%、最も好ましくは11%~25%の前記水溶性ポリマーを含み、好ましくは、前記水溶性ポリマーは、50,000~400,000ダルトン、好ましくは60,000~300,000ダルトン、より好ましくは70,000~200,000ダルトン、最も好ましくは80,000~150,000ダルトンの重量平均分子量を有し、より好ましくは、前記水溶性ポリマーは、40%~100%、好ましくは50%~95%、より好ましくは65%~92%、最も好ましくは70%~90%の範囲の加水分解度によって特徴付けられるポリビニルアルコールである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記可撓性溶解性多孔質物品は、前記物品の総重量の30%~90%、好ましくは40%~80%、より好ましくは50%~70%の前記界面活性剤を含み、好ましくは、前記界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双極性イオン界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程(b)において、加えられる前記力は真空力であり、前記可撓性溶解性多孔質物品は、前記真空力が加えられる前に流体不透過性パッケージ内に配置され、前記流体不透過性パッケージは、50%以上の前記体積圧縮が達成された後に封止される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
工程(c)において、圧縮された前記可撓性溶解性多孔質物品からの前記真空力の除去は、前記流体不透過性パッケージの前記封止を破壊することを必要とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
可撓性溶解性多孔質物品を包装する方法であって、
a)水溶性ポリマー及び界面活性剤を含む可撓性溶解性多孔質物品を提供する工程であって、前記可撓性溶解性多孔質物品は、25℃にて平衡湿度40%で測定した場合に100,000N/m
2未満の50%圧縮力によって特徴付けられる、工程と、
b)1つ以上の前記可撓性溶解性多孔質物品を流体不透過性パッケージ内に配置する工程と、
c)20%以上の体積圧縮を達成するように、前記可撓性溶解性多孔質物品に真空力を加える工程と、
d)圧縮された前記可撓性溶解性多孔質物品を内部に有する前記流体不透過性パッケージを封止する工程と、を含む、方法。
【請求項11】
前記可撓性溶解性多孔質物品は、80%~99%、好ましくは85%~99%、より好ましくは90%~990%の連続気泡含有率、及び100μm~2000μm、好ましくは150μm~1000μm、より好ましくは200μm~600μmの全体平均孔径によって特徴付けられる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記可撓性溶解性多孔質物品は、最大寸法D及び最小寸法zによって特徴付けられ、D/zの比は、1~10、好ましくは1.4~9、より好ましくは1.5~8、最も好ましくは2~7の範囲である、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記可撓性溶解性多孔質物品は、複数の可撓性溶解性多孔質シートを含み、複数の前記可撓性溶解性多孔質シートのそれぞれは、0.5mm~4mm、好ましくは0.6mm~3.5mm、より好ましくは0.7mm~3mm、更により好ましくは0.8mm~2mm、最も好ましくは1mm~1.5mmの範囲の厚さを有し、前記物品は、好ましくは、4~50枚、好ましくは5~40枚、より好ましくは6~30枚の前記可撓性溶解性多孔質シートを含む、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記可撓性溶解性多孔質物品は、前記物品の総重量の5%~50%、好ましくは8%~40%、より好ましくは10%~30%、最も好ましくは11%~25%の前記水溶性ポリマーを含み、好ましくは、前記水溶性ポリマーは、50,000~400,000ダルトン、好ましくは60,000~300,000ダルトン、より好ましくは70,000~200,000ダルトン、最も好ましくは80,000~150,000ダルトンの重量平均分子量を有し、より好ましくは、前記水溶性ポリマーは、40%~100%、好ましくは50%~95%、より好ましくは65%~92%、最も好ましくは70%~90%の範囲の加水分解度によって特徴付けられるポリビニルアルコールである、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記可撓性溶解性多孔質物品は、前記物品の総重量の30%~90%、好ましくは40%~80%、より好ましくは50%~70%の前記界面活性剤を含み、好ましくは、前記界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双極性イオン界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項10~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
水溶性ポリマー及び界面活性剤を含む圧縮された可撓性溶解性多孔質物品であって、前記圧縮された物品は、減圧時の10分未満における20%以上の体積復元によって特徴付けられる、圧縮された可撓性溶解性多孔質物品。
【請求項17】
前記圧縮された物品は、封止された流体不透過性パッケージ内に配置され、減圧は、前記封止された流体不透過性パッケージの開放によって達成される、請求項16に記載の圧縮された可撓性溶解性多孔質物品。
【請求項18】
前記物品は、80%~99%、好ましくは85%~99%、より好ましくは90%~990%の連続気泡含有率、及び100μm~2000μm、好ましくは150μm~1000μm、より好ましくは200μm~600μmの全体平均孔径によって特徴付けられる、請求項16又は17に記載の圧縮された可撓性溶解性多孔質物品。
【請求項19】
前記物品は、最大寸法D及び最小寸法zによって特徴付けられ、D/zの比は、1~10、好ましくは1.4~9、より好ましくは1.5~8、最も好ましくは2~7の範囲である、請求項16~18のいずれか一項に記載の圧縮された可撓性溶解性多孔質物品。
【請求項20】
前記可撓性溶解性多孔質物品は、複数の可撓性溶解性多孔質シートを含み、複数の前記可撓性溶解性多孔質シートのそれぞれは、0.5mm~4mm、好ましくは0.6mm~3.5mm、より好ましくは0.7mm~3mm、更により好ましくは0.8mm~2mm、最も好ましくは1mm~1.5mmの範囲の厚さを有し、前記物品は、好ましくは、4~50枚、好ましくは5~40枚、より好ましくは6~30枚の前記可撓性溶解性多孔質シートを含む、請求項16~19のいずれか一項に記載の圧縮された可撓性溶解性多孔質物品。
【請求項21】
前記可撓性溶解性多孔質物品は、前記物品の総重量の5%~50%、好ましくは8%~40%、より好ましくは10%~30%、最も好ましくは11%~25%の前記水溶性ポリマーを含み、好ましくは、前記水溶性ポリマーは、50,000~400,000ダルトン、好ましくは60,000~300,000ダルトン、より好ましくは70,000~200,000ダルトン、最も好ましくは80,000~150,000ダルトンの重量平均分子量を有し、より好ましくは、前記水溶性ポリマーは、40%~100%、好ましくは50%~95%、より好ましくは65%~92%、最も好ましくは70%~90%の範囲の加水分解度によって特徴付けられるポリビニルアルコールである、請求項16~20のいずれか一項に記載の圧縮された可撓性溶解性多孔質物品。
【請求項22】
前記可撓性溶解性多孔質物品は、前記物品の総重量の30%~90%、好ましくは40%~80%、より好ましくは50%~70%の前記界面活性剤を含み、好ましくは、前記界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双極性イオン界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項16~21のいずれか一項に記載の圧縮された可撓性溶解性多孔質物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性溶解性多孔質物品を取り扱うか、又は操作する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、水溶性ポリマー担体又はマトリックス中に界面活性剤(複数可)及び/又は他の活性成分を含む可撓性で、かつ溶解性のシートが周知されるようになっている。このようなシートは、水中での溶解時に界面活性剤及び/又は他の活性成分を送達するのに特に有用である。同じ製品カテゴリ内の従来の顆粒又は液体形態と比較して、そのようなシートは、より良好な構造的一体性を有し、より濃縮され、保管、輸送/運送、運搬、及び取り扱いがより容易である。同じ製品カテゴリ内の固体錠剤形態と比較して、そのようなシートは、より可撓性であり、脆性がより低く、消費者にとってより良好な感覚的魅力を有する。
【0003】
所望の利益を達成するのに十分な量の界面活性剤(複数可)及び/又は他の活性成分を送達するために、このような可撓性で、かつ溶解性のシートは、より厚く作製されるか、又は複数のこのようなシートが一緒に積み重ねられて、三次元構造を有する可撓性で、かつ溶解性の物品を形成し、これは次に、任意の形状及び/又は色の完成製品に作製することができ、それによって、消費者を喜ばせるための大きな製品設計の自由度が得られる。
【0004】
しかしながら、このような三次元の可撓性で、かつ溶解性の物品は、より薄い又は単一層の可撓性で、かつ溶解性のシートと比較して、水中での溶解速度が著しく遅いという問題を有する場合がある。同様に、そのような可撓性で、かつ溶解性の物品は、その溶解性を改善するように高い多孔性が付与されている。一方で、高い多孔性は、得られる物品の溶解速度を効果的に改善する。しかし、他方では、そのような物品の総体積を大幅に増加させる場合があり、その結果、完成製品が嵩張りすぎ、特に輸送及び保管中に占有空間が大きすぎることになる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、最初に圧縮されて、体積を減少させることができ(それによって輸送及び保管により好適である)、続いて圧縮解除されて、元の体積及び/又は形状に戻ることができる(それによって使用の準備ができている)、高度に圧縮可能かつ復元可能な可撓性溶解性多孔質物品を提供することによって、上述の問題に対する解決策を提供する。
【0006】
一態様では、本発明は、可撓性溶解性多孔質物品を取り扱うか、又は操作する方法であって、当該方法は、
a)水溶性ポリマー及び界面活性剤を含む可撓性溶解性多孔質物品を提供する工程であって、当該可撓性溶解性多孔質物品は、25℃にて平衡湿度40%で測定した場合に(1)20000N/m2未満の50%圧縮力及び(2)5分未満の90%復元時間によって特徴付けられる、工程と、
b)50%以上の体積圧縮を達成するように、20℃~40℃の範囲の温度及び20%~95%の範囲の平衡湿度で当該可撓性溶解性多孔質物品に500N/m2~100,000N/m2の範囲の力を加える工程と、
c)10分未満で80%以上の体積復元を達成するように、圧縮された当該可撓性溶解性多孔質物品から力を除去する工程と、を含む、方法に関する。
【0007】
工程(b)で加えられる力は、圧力、真空力、吸引力、トルク及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。好ましくは、工程(b)で加えられる力は、圧力若しくは真空力、又はこれらの組み合わせである。
【0008】
別の態様では、本発明は、可撓性溶解性多孔質物品を包装する方法であって、当該方法は、
a)水溶性ポリマー及び界面活性剤を含む可撓性溶解性多孔質物品を提供する工程であって、当該可撓性溶解性多孔質物品は、25℃にて平衡湿度40%で測定した場合に100,000N/m2未満の50%平均圧縮力によって特徴付けられる、工程と、
b)1つ以上の当該可撓性溶解性多孔質物品を流体不透過性パッケージ内に配置する工程と、
c)20%以上の体積圧縮を達成するように、当該可撓性溶解性多孔質物品に真空力を加える工程と、
d)圧縮された可撓性溶解性多孔質物品を内部に有する当該流体不透過性パッケージを封止する工程と、を含む、方法に関する。
【0009】
更に別の態様では、本発明は、水溶性ポリマー及び界面活性剤を含む圧縮された可撓性溶解性多孔質物品であって、当該圧縮された物品は、減圧時の10分未満における20%以上の体積増加によって特徴付けられる、物品に関する。
【0010】
更に別の態様では、本発明は、水溶性ポリマー及び界面活性剤を含む可撓性溶解性多孔質物品のための包装に関し、当該物品は、物品の体積を少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%、より好ましくは20%以上減少させた圧縮状態で包装の内部に入れられる。一態様におけるこの包装は、可撓性(例えば、積層パウチ又はサシェ)又は剛性(例えば、熱成形容器又は成形容器)のいずれかであり得る。
【0011】
本発明のこれらの及びその他の態様は、以下の発明を実施するための形態を読むことにより、更に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0012】
I.定義
本明細書で使用するとき、「可撓性」という用語は、物品が、その長手方向に垂直な中心線に沿って90°で曲げられた場合に、破損することなく、又は著しい破壊を伴わずに、応力に耐える物品の能力を意味する。好ましくは、このような物品は、顕著な弾性変形を受けることができ、5GPa以下、好ましくは1GPa以下、より好ましくは0.5GPa以下、最も好ましくは0.2GPa以下のヤング率によって特徴付けられる。
【0013】
本明細書で使用するとき、「溶解性」という用語は、20℃で、かつ大気圧下で、全く撹拌せずに8時間以内に、十分な量の脱イオン水中に完全に又は実質的に溶解して、不溶残留物の残留が5重量%未満である、物品の能力を指す。
【0014】
本明細書で使用するとき、「固体」という用語は、物品が制限されずかつ外力が物品に加えられていない場合に、20℃で、かつ大気圧下で、その形状を実質的に保持する(すなわち、その形状においていかなる可視変化もない)、物品の能力を指す。
【0015】
本明細書で使用するとき、「シート」という用語は、三次元形状、すなわち、厚さ、長さ、及び幅を有する非繊維状構造体を指すが、一方で、長さ対厚さのアスペクト比、及び幅対厚さのアスペクト比は、両方とも、少なくとも約5:1であり、長さ対幅の比は、少なくとも約1:1である。好ましくは、この長さ対厚さのアスペクト比、及びこの幅対厚さのアスペクト比は、両方とも、少なくとも約10:1、より好ましくは少なくとも約15:1、最も好ましくは少なくとも約20:1であり、またこの長さ対幅のアスペクト比は、好ましくは少なくとも約1.2:1、より好ましくは少なくとも約1.5:1、最も好ましくは少なくとも約1.618:1である。
【0016】
本明細書で使用するとき、「連続気泡発泡体」又は「連続気泡細孔構造」という用語は、気体、典型的には気体(空気など)を含有し、乾燥プロセス中に発泡構造が崩壊せずに、それにより物理的強度及び固体の凝集性を維持する、空隙又は気泡のネットワークを画定する固体相互結合ポリマー含有マトリックスを指す。構造体の相互結合性は、以下に開示される試験2によって測定される連続気泡含有率(%)によって説明され得る。
【0017】
本明細書で使用するとき、「水溶性」という用語は、目に見える固体を残さずに、又は目に見える分離相を形成せずに、水に完全に溶解する又は分散する、サンプル材料の能力であって、20℃で、かつ大気圧下で、十分な撹拌を伴って、少なくとも約25グラム、好ましくは少なくとも約50グラム、より好ましくは少なくとも約100グラム、最も好ましくは少なくとも約200グラムのそのような材料を1リットル(1L)の脱イオン水中に入れた場合における、能力を指す。
【0018】
「本質的に含まない(essentially free of)」又は「本質的に含まない(essentially free from)」という用語は、示される物質が極めて少量であり、組成物又は製品に意図的に添加されたものでなく、又は好ましくは、そのような組成物又は製品中に分析によって検出可能な濃度で存在しないことを意味する。示される物質がかかる組成物又は製品に意図的に添加された物質のうちの1つ以上の不純物としてのみ存在するような組成物又は製品が含まれ得る。
【0019】
本明細書で使用される際、「体積圧縮」という用語は、以下のように定義される。
【0020】
【数1】
式中、Viは、力を加える前(すなわち、圧縮前)の可撓性溶解性多孔質物品の体積であり、Vcは、力を加えた後(すなわち、圧縮後)の可撓性溶解性多孔質物品の体積である。両方の体積は、25℃にて平衡湿度40%で測定される。
【0021】
本明細書で使用される際、「体積復元」という用語は、以下のように定義される。
【0022】
【数2】
式中、Vcは、力を除去する前(すなわち、減圧前)の圧縮された可撓性溶解性多孔質物品の体積であり、Vrは、特定の持続時間にわたって力を除去した後(すなわち、減圧後)の可撓性溶解性多孔質物品の体積である。両方の体積は、25℃にて平衡湿度40%で測定される。
【0023】
II.可撓性多孔質溶解性物品の取り扱い/操作
本発明は、圧縮及び減圧によって可撓性溶解性多孔質物品を取り扱い、又は操作し、それによって効率を改善し、その輸送及び保管のコストを低減する方法を提供する。
【0024】
可撓性溶解性多孔質物品は、好ましくは高度に圧縮可能であり、復元可能である。例えば、可撓性溶解性多孔質物品は、(1)20,000N/m2未満、好ましくは12,000N/m2未満、より好ましくは6,000N/m2未満、最も好ましくは3,000N/m2未満の50%圧縮力、及び(2)5分未満、好ましくは2分未満、より好ましくは1分未満、最も好ましくは30秒未満の90%復元時間によって特徴付けることができる。50%圧縮力及び90%復元時間の両方は、試験1において以下に記載される方法に従って、25℃にて平衡湿度40%で測定される。
【0025】
上述の高度に圧縮可能かつ復元可能な物品を取り扱うか、又は操作する方法は、50%以上の体積圧縮を達成するように、20℃~40℃の範囲の温度及び20%~95%の範囲の平衡湿度で、500N/m2~100,000N/m2の範囲の適度な力が当該可撓性溶解性多孔質物品に加えられる圧縮工程を含むことができる。圧縮工程中に加えられる力は、圧力、真空力、吸引力、トルク及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。好ましくは、力は、圧力若しくは真空力のいずれか、又は両方の組み合わせである。本発明は、比較的通常の製造/輸送/保管条件で(すなわち、特別な処理条件を必要とせずに)比較的中程度の力を加えることによって、可撓性溶解性多孔質物品の著しい体積圧縮を達成し、これにより、その効率的かつ低コストの輸送及び保管が可能になる。
【0026】
上述の高度に圧縮可能かつ復元可能な物品を取り扱うか、又は操作する方法は、圧縮工程の後に、10分未満で80%以上の体積復元を達成するように、以前に加えられた力が圧縮物品から除去される減圧工程を更に含む。圧縮された物品は、減圧時の比較的短い持続時間内にその元の体積及び/又は形状に完全に又はほぼ完全に戻るように復元することができるので、その細孔構造及び対応する水への溶解速度は、圧縮及び減圧によって著しく影響されない。より重要なことには、消費者に対する可撓性溶解性多孔質物品の美的魅力は、厳しい圧縮及び減圧工程にもかかわらず保持される。
【0027】
本発明の特定の例では、上述の条件下(すなわち、20℃~40℃の範囲の温度及び20%~95%の範囲の平衡湿度)で50%以上の体積圧縮を達成するように、ヒトの手(例えば、製造業者、輸送業者、消費者などの手)によって当該可撓性溶解性多孔質物品に圧力が加えられる。この特定の例では、圧縮工程は、完成製品の高い圧縮性を試験若しくは実証する試みにおいて、又は輸送若しくは保管のために当該製品を準備する試みにおいて、ヒトの手によって容易に達成することができる。
【0028】
本発明の別の特定の例では、上述の条件下で(すなわち、20℃~40℃の範囲の温度及び20%~95%の範囲の平衡湿度で)50%以上の体積圧縮を達成するように、包装ライン上の圧縮プレートによって当該可撓性溶解性多孔質物品に圧力が加えられる。次に、完成製品としての輸送及び保管に備えて、1つ以上の圧縮物品を流体不透過性パッケージ内に配置することができる。当該流体不透過性パッケージは、輸送及び保管中に、圧縮された物品(複数可)上に上記で特定された範囲内の等価圧力を加え続ける。完成製品が消費者の手に届くと、流体不透過性パッケージが開封され、加えられた圧力が除去される。直ちに、圧縮された物品は復元し始め、比較的短い時間枠内で完全に又はほぼ元の体積及び/若しくは形状を回復することができる。
【0029】
本発明の更に別の例では、1つ以上の当該可撓性溶解性多孔質物品は、最初に流体不透過性パッケージ内に配置され、次に真空力が包装ライン上の真空吸引装置によって当該物品(複数可)に加えられて、上述の条件下(すなわち、20℃~40℃の範囲の温度及び20%~95%の範囲の平衡湿度)で50%以上の体積圧縮を達成する。上述の圧縮が達成されると、流体不透過性パッケージは封止されて、完成製品として輸送及び保管の準備ができている完成製品を形成する。封止された流体不透過性パッケージは、輸送及び保管中に、圧縮された物品(複数可)上に上記で特定された範囲内の等価真空力を加え続ける。完成製品が消費者の手に届くと、封止された流体不透過性パッケージは、例えば、当該消費者がパッケージの封止を破ることによって開封され、加えられた真空力が除去される。直ちに、圧縮された物品は復元し始め、比較的短い時間枠内で完全に又はほぼ元の体積及び/若しくは形状を回復することができる。
【0030】
本発明はまた、上記のように必然的に圧縮可能かつ復元可能である可撓性溶解性多孔質物品を真空包装する方法を包含する。真空包装を可能にするためには、可撓性溶解性多孔質物品は、25℃にて平衡湿度40%で測定したときに、100,000N/m2未満、好ましくは25,000N/m2未満、より好ましくは20,000N/m2未満、最も好ましくは15,000N/m2未満の50%圧縮力を有することで十分である。そのような可撓性溶解性多孔質物品は、輸送及び保管効率の著しい改善並びに関連コストの低減を依然として可能にする適度な体積圧縮を達成するために、容易に真空包装することができる。具体的には、1つ以上の当該可撓性溶解性多孔質物品を流体不透過性パッケージ内に配置し、次に当該可撓性溶解性多孔質物品に真空力を加え、20%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上、又はより最も好ましくは50%以上の体積圧縮を達成する。上述した真空包装プロセスは、当該技術分野において既知の任意の真空包装装置によって容易に達成することができる。
【0031】
所望の体積圧縮が達成されると、流体不透過性パッケージは、圧縮された可撓性溶解性多孔質物品を内部に有して封止され、その後、完成製品として輸送及び保管される。その後、(例えば、封止された流体不透過性パッケージの開放によって達成されるような)減圧時に、圧縮された物品は、その元の体積及び/又は形状に完全に又はほぼ戻るように復元することができる。好ましくは、圧縮物品は、減圧時の10分未満における20%以上、好ましくは40%以上、より好ましくは60%以上、又はより最も好ましくは80%以上の体積復元よって特徴付けられる。
【0032】
III.可撓性溶解性多孔質物品の物理的構造及び特性
本発明の可撓性溶解性多孔質物品は、好ましくは、シート内へのより容易な水の侵入及び水中でのシートのより速い溶解を可能にする連続気泡発泡体(open-celled foam、OCF)構造によって特徴付けられる。例えば、このような物品は、(i)以下の試験2によって測定される、約80%~99%、好ましくは約85%~99%、より好ましくは約90%~99%の連続気泡含有率、及び(ii)以下の試験3に記載のMicro-CT法によって測定される、約100μm~約2000μm、好ましくは約150μm~約1000μm、より好ましくは約200μm~約600μmの全体平均孔径によって特徴付けられ得る。全体平均孔径は、本発明のOCF構造の多孔度を定義する。連続気泡含有率は、本発明のOCF構造中の細孔間の相互結合性を定義する。OCF構造の相互結合性はまた、国際公開第2010/077627号及び同第2012/138820号に開示されている星形体積又は構造モデル指数(Structure Model Index、SMI)によっても説明され得る。
【0033】
好ましくは、本発明の可撓性溶解性多孔質物品は、以下の試験3によって測定される、約5μm~約200μm、好ましくは約10μm~約100μm、より好ましくは約10μm~約80μmの平均気泡壁厚によって更に特徴付けられる。
【0034】
本発明の物品は、規則的又は不規則的のいずれか、例えば、球状、立方体、矩形、多角形、楕円形、円筒形、ロッド状、シート状、花形状、扇形状、星形、ディスク形状などの任意の好適な形状とすることができる。本発明の物品は、最大寸法D及び最小寸法z(最大寸法に対して垂直である)によって特徴付けられ、D/z比(以下、「アスペクト比」とも称される)は、1~約10、好ましくは約1.4~約9、好ましくは約1.5~約8、より好ましくは約2~約7の範囲であってもよい。アスペクト比が1である場合、物品は球状の形状を有する。アスペクト比が約1.4である場合、物品は立方体形状を有する。本発明の物品は、約3mm超であるが、約20cm未満、好ましくは約4mm~約10cm、より好ましくは約5mm~約30mmの最小寸法zを有してもよい。
【0035】
本発明の可撓性溶解性多孔質物品は、厚い可撓性溶解性多孔質シートから作製された単層構造を有してもよい。あるいは、本発明の可撓性溶解性多孔質物品は、好ましくは接着剤を添加せずに自己接着方式で一緒に積み重ねられた複数の可撓性溶解性多孔質シートを含む多層構造を有してもよい。当該可撓性溶解性多孔質シートのそれぞれは、以下の試験4で測定される、約0.5mm~約4mm、好ましくは約0.6mm~約3.5mm、より好ましくは約0.7mm~約3mm、更により好ましくは約0.8mm~約2mm、最も好ましくは約1mm~約1.5mmの範囲の厚さを有してもよい。当該多層構造は、任意の数、例えば約4~約50枚、好ましくは約5~約40枚、より好ましくは約6~約30枚の上述のシートを含むことができる。本発明の特に好ましい実施形態では、多層構造は、上述の可撓性溶解性多孔質シートの15~40層を含み、約2~約7の範囲のアスペクト比を有する。
【0036】
本発明の可撓性溶解性多孔質物品は、少量の水を含んでもよい。好ましくは、本発明の可撓性溶解性多孔質物品は、以下の試験5によって測定される、固体シートの、0.5重量%~25重量%、好ましくは1重量%~20重量%、より好ましくは3重量%~10重量%の最終水分含量によって特徴付けられる。結果として得られる固体シートにおける適切な最終水分含量は、シートの所望の可撓性/変形性を確保し、かつ消費者に柔らかな/滑らかな感触を提供することができる。最終水分含量が低すぎる場合、シートは、脆すぎる、又は剛性が高すぎる場合がある。最終水分含量が高すぎる場合、シートはべたつきが多すぎる場合があり、その全体的な構造的一体性が損なわれる場合がある。
【0037】
本発明の可撓性溶解性多孔質物品は、以下の試験6によって測定される、約50グラム/m2~約500グラム/m2、好ましくは約150グラム/m2~約450グラム/m2、より好ましくは約250グラム/m2~約400グラム/m2の坪量によって更に特徴付けられてもよい。
【0038】
また更に、本発明の可撓性溶解性多孔質物品は、以下の試験7によって測定される、約0.05グラム/cm3~約0.5グラム/cm3、好ましくは約0.06グラム/cm3~約0.4グラム/cm3、より好ましくは約0.07グラム/cm3~約0.2グラム/cm3、最も好ましくは約0.08グラム/cm3~約0.15グラム/cm3の範囲の密度を有してもよい。本発明の物品の密度は、その多孔度を示し得、例えば、密度が小さいほど、物品がより多孔質であり、その溶解速度が速くなるといった、その溶解速度に影響を与え得る。
【0039】
更に、本発明の可撓性溶解性多孔質物品は、以下の試験8によって測定される、約0.03m2/g~約0.25m2/g、好ましくは約0.04m2/g~約0.22m2/g、より好ましくは0.05m2/g~0.2m2/g、最も好ましくは0.1m2/g~0.18m2/gの比表面積によって特徴付けられ得る。本発明の物品の比表面積はまた、その多孔度を示し得、例えば、比表面積が大きいほど、物品がより多孔質であり、その溶解速度が速くなるといった、その溶解速度に影響を与え得る。
【0040】
好ましい実施形態では、本開示による可撓性溶解性多孔質物品及び/又は本開示による溶解性固体物品は、
・85%~99%、好ましくは90%~99%の連続気泡含有率、及び/又は
・150μm~1000μm、好ましくは200μm~600μmの全体平均孔径、及び/又は
・5μm~200μm、好ましくは10μm~100μm、より好ましくは10μm~80μmの平均気泡壁厚、及び/又は
・物品の0.5重量%~25重量%、好ましくは1重量%~20重量%、より好ましくは3重量%~10重量%の最終含水量、及び/又は
・約50グラム/m2~約500グラム/m2、好ましくは約150グラム/m2~約450グラム/m2、より好ましくは約250グラム/m2~約400グラム/m2の坪量、及び/又は
・0.05グラム/cm3~0.5グラム/cm3、好ましくは0.06グラム/cm3~0.4グラム/cm3、より好ましくは0.07グラム/cm3~0.2グラム/cm3、最も好ましくは0.08グラム/cm3~0.15グラム/cm3の密度、及び/又は
・0.03m2/g~0.25m2/g、好ましくは0.04m2/g~0.22m2/g、より好ましくは0.05m2/g~0.2m2/g、最も好ましくは0.1m2/g~0.18m2/gの比表面積によって特徴付けられる。
【0041】
III.可撓性多孔質溶解性物品の配合物
本発明の可撓性多孔質溶解性物品は、少なくとも水溶性ポリマー及び界面活性剤を含む。
【0042】
可撓性多孔質溶解性物品における水溶性ポリマーは、フィルム形成剤、構造剤として、かつ他の活性成分(例えば、界面活性剤、乳化剤、ビルダー、キレート剤、香料、着色剤など)の担体として機能し得る。
【0043】
水溶性ポリマーは、本発明の可撓性多孔質溶解性物品中に、物品の総重量の約5%~約50%、好ましくは約8%~約40%、より好ましくは約10%~約30%、最も好ましくは約11%~約25%の範囲の量で存在してよい。本発明の特に好ましい実施形態では、本発明の可撓性多孔質溶解性物品中に存在する水溶性ポリマー(複数可)の総量は、そのような物品の総重量の約25%以下である。
【0044】
本発明の実施に好適な水溶性ポリマーは、約50,000~約400,000ダルトン、好ましくは約60,000~約300,000ダルトン、より好ましくは約70,000~約200,000ダルトン、最も好ましくは約80,000~約150,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有するものが選択されてもよい。重量平均分子量は、各ポリマー原材料の平均分子量を加算し、多孔質固形物内に存在するポリマーの総重量の重さによるそれぞれの相対的重量パーセントを乗じて計算される。本明細書で使用される水溶性ポリマーの重量平均分子量は、湿潤プレミックスの粘度に影響を与える場合があり、これはひいては、通気工程中の気泡の数及びサイズ、並びに乾燥工程中の細孔膨張/開口結果に影響を与え得る。更に、水溶性ポリマーの重量平均分子量は、湿潤プレミックスの全体的なフィルム形成特性、及びある界面活性剤との適合性/不適合性に影響を及ぼし得る。
【0045】
本発明の水溶性ポリマーは、合成ポリマー、天然由来ポリマー、又は改変天然ポリマーから選択されてもよい。
【0046】
好適な合成ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリレート、カプロラクタム、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメチルアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリエチレングリコールモノメタアクリレート、アクリル酸とメチルアクリレートとのコポリマー、ポリウレタン、ポリカルボン酸、ポリビニルアセテート、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミン、ポリエチレンイミン、マレイン酸/(アクリレート又はメタクリレート)コポリマー、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマー、酢酸ビニルとクロトン酸とのコポリマー、ビニルピロリドンと酢酸ビニルとのコポリマー、ビニルピロリドンとカプロラクタムとのコポリマー、ビニルピロリドン/酢酸ビニルのコポリマー、アニオン性モノマーとカチオン性モノマーと両性モノマーとのコポリマー、及びこれらの組み合わせを含む。
【0047】
本発明の好ましい水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリド、ポリアルキレンオキシド、デンプン及びデンプン誘導体、プルラン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、並びにカルボキシメチルセルロースが挙げられる。本発明のより好ましい水溶性ポリマーはポリビニルアルコールを含み、特に、約40%~約100%、好ましくは約50%~約95%、より好ましくは約65%~約92%、最も好ましくは約70%~約90%の範囲の加水分解度によって特徴付けられるポリビニルアルコールを含む。市販のポリビニルアルコールとしては、Celanese Corporation(Texas,USA)からの商品名CELVOLのもの、限定するものではないが、CELVOL 523、CELVOL 530、CELVOL 540、CELVOL 518、CELVOL 513、CELVOL 508、CELVOL 504、Kuraray Europe GmbH(Frankfurt,Germany)からの商品名Mowiol(登録商標)及びPOVAL(商標)、Lubon Vinylon Co.(Nanjing,China)を含む様々な供給元から市販されているPVA 1788(PVA BP17とも称される)もの、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。本発明の特に好ましい実施形態では、可撓性多孔質溶解性物品は、このような物品の総重量の約10重量%~約25重量%、より好ましくは約15重量%~約23重量%の、80,000~約150,000ダルトンの範囲の重量平均分子量、及び約80%~約90%の範囲の加水分解度を有するポリビニルアルコールを含む。
【0048】
上述の水溶性ポリマーに加えて、本発明の可撓性多孔質溶解性物品は、1種以上の界面活性剤を含む。
【0049】
界面活性剤は、本発明の所望のOCF構造を形成するのに十分な量の安定した気泡を生成するために、通気プロセス(以下に記述する)中に乳化剤として機能し得る。本明細書で界面活性剤成分として使用される乳化剤の例としては、モノ-及びジ-グリセリド、脂肪族アルコール、ポリグリセロールエステル、プロピレングリコールエステル、ソルビタンエステル及び既知の又は別の方法で空気界面を安定化するのに一般的に使われる他の乳化剤が挙げられる。
【0050】
また、界面活性剤は、所望の洗浄効果を実現するための活性成分として機能し得る。このような目的に好適な界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双極性イオン界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤又はこれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0051】
本発明の可撓性多孔質溶解性物品中の界面活性剤の総量は、好ましくは、当該物品の総重量の約30%~約90%、好ましくは約40%~約80%、より好ましくは約50%~約70%の範囲である。
【0052】
本明細書で使用されるのに好適なアニオン性界面活性剤の非限定的な例としては、アルキル及びアルキルエーテル硫酸塩、硫酸化モノグリセリド、スルホン化オレフィン、アルキルアリールスルホン酸塩、一級又は二級アルカンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アシルタウレート、アシルイセチオネート、アルキルグリセリルエーテルスルホン酸塩、スルホン化メチルエステル、スルホン化脂肪酸、アルキルホスフェート、アシルグルタメート、アシルサルコシネート、アルキルスルホ酢酸塩、アシル化ペプチド、アルキルエーテルカルボキシレート、アシルラクチレート、アニオン性フルオロ界面活性剤、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0053】
本発明の実施に特に好適なアニオン性界面活性剤の1つのカテゴリとしては、C6~C20直鎖又は分岐鎖アルキルアルコキシサルフェート(alkylalkoxy sulfates、AAS)が挙げられる。このカテゴリの中でも、対応する式RO(C2H4O)xSO3Mを有する直鎖又は分岐鎖アルキルエトキシサルフェート(alkylethoxy sulfates、AES)が特に好ましく、式中、Rは、約6~約20個の炭素原子のアルキル又はアルケニルであり、xは、1~10であり、Mは、アンモニウム、ナトリウム、カリウム及びトリエタノールアミンなどの水溶性カチオンである。好ましくは、Rは、約6~約18個、好ましくは約8~約16個、より好ましくは約10~約14個の炭素原子を有する。AES界面活性剤は、典型的には、エチレンオキシドと約6~約20個の炭素原子を有する一価アルコールとの縮合生成物として作製される。有用なアルコールは、脂肪、例えば、ココナツ油若しくはタローから誘導され得るか、又は合成であり得る。本明細書では、ココナツ油から誘導されるラウリルアルコール及び直鎖アルコールが好ましい。このようなアルコールは、約0.1~約10、好ましくは約0.5~約5、特に約1~3の、モル割合のエチレンオキシドと反応され、例えば、アルコール1モル当たり平均1~3モルのエチレンオキシドを有する得られた分子種の混合物は、サルフェート化され、中和される。非常に好ましいAESは、個々の化合物の混合物を含むものであり、当該混合物は、約10個~約16個の炭素原子の平均アルキル鎖長、及び約1~約4モルのエチレンオキシドの平均エトキシル化度を有する。
【0054】
本発明の実施に特に好適なアニオン性界面活性剤の別のカテゴリとしては、C6~C20直鎖アルキルベンゼンスルホネート(linear alkylbenzene sulphonate、LAS)界面活性剤が挙げられる。本発明で使用することができる例示的なC10~C20直鎖アルキルベンゼンスルホネートとしては、C10~C20直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、又はアンモニウム塩、好ましくは、C11~C18若しくはC11~C14直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、及び/又はアンモニウム塩が挙げられる。より好ましいものは、C12及び/又はC14直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のナトリウム又はカリウム塩であり、最も好ましいものは、C12及び/又はC14直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩、すなわち、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム又はテトラデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。
【0055】
本発明の実施に好適なアニオン性界面活性剤の別のカテゴリとしては、約0.5~約5、好ましくは約0.8~約4、より好ましくは約1~約3、最も好ましくは約1.5~約2.5の範囲の重量平均アルコキシル化度を有するトリデセス硫酸ナトリウム(sodium trideceth sulfates、STS)が挙げられる。トリデセスは、一実施形態では、1分子当たり平均して少なくとも1つのメチル分岐を含む、炭素13個の分岐鎖アルコキシル化炭化水素である。本発明で使用されるSTSとしては、ST(EOxPOy)Sを挙げることができ、EOxは、0~5、好ましくは1~4、より好ましくは1~3の繰り返し数xを有する繰り返しエチレンオキシド単位を表し、POyは、0~5、好ましくは0~4、より好ましくは0~2の範囲の繰り返し数yを有する繰り返しプロピレンオキシド単位を表す。例えば、約2の重量平均エトキシル化度を有するST2Sなどの材料は、エトキシレートなし、1モルのエトキシレート、3モルのエトキシレートなどを有する有意な量の分子を含んでもよく、エトキシル化の分布は、広い、狭い、又は切断されたものとなり得、それでもなお約2の総重量平均エトキシル化度をもたらすことができることが理解される。STSは、パーソナルクレンジング用途に特に好適である。
【0056】
本発明の実施に好適なアニオン性界面活性剤の別のカテゴリとしては、アルキルサルフェートが挙げられる。これら物質は、対応する式:ROSO3Mを有し、式中、Rは、約6~約20個の炭素原子のアルキル又はアルケニルであり、xは1~10であり、Mは、アンモニウム、ナトリウム、カリウム及びトリエタノールアミンなどの水溶性カチオンである。好ましくは、Rは、約6~約18個、好ましくは約8~約16個、より好ましくは約10~約14個の炭素原子を有する。
【0057】
他の好適なアニオン性界面活性剤には、一般式[R1-SO3-M]の有機硫酸反応生成物の水溶性塩が挙げられ、式中、R1は、約6~約20個、好ましくは約10~約18個の炭素原子を有する、直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪族炭化水素ラジカルからなる群から選択され、Mは、カチオンである。アルカリ金属及びアンモニウムスルホン化C10~18n-パラフィンが好ましい。他の好適なアニオン性界面活性剤としては、約12~約24個の炭素原子を有するオレフィンスルホネートが挙げられる。オレフィンスルホネートが誘導されるα-オレフィンは、約12~約24個の炭素原子、好ましくは約14~約16個の炭素原子を有するモノ-オレフィンである。好ましくは、それらは直鎖オレフィンである。
【0058】
他の好適なアニオン性界面活性剤としては、β-アルキルオキシアルカンスルホネート、イセチオン酸でエステル化され、水酸化ナトリウムで中和された脂肪酸の反応生成物、メチルタウリドの脂肪酸アミドのナトリウム塩又はカリウム塩、スクシナメート、スルホコハク酸ナトリウムのエステル誘導体が挙げられる。
【0059】
本発明の物品に含まれ得る非イオン性界面活性剤としては、アルキルアルコキシル化アルコール、アルキルアルコキシル化フェノール、アルキル多糖類(特にアルキルグルコシド及びアルキルポリグルコシド)、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルコキシル化脂肪酸エステル、スクロースエステル、ソルビタンエステル及びソルビタンエステルのアルコキシル化誘導体、アミンオキシドなどが挙げられるがこれらに限定されない、任意の従来の非イオン性界面活性剤であってよい。好ましい非イオン性界面活性剤は、式R1(OC2H4)nOHのものであり、式中、R1はC8~C18アルキル基又はアルキルフェニル基であり、nは約1~約80である。特に好ましいのは、Shellから市販されているNEODOL(登録商標)非イオン性界面活性剤などの、約1~約20、好ましくは約5~約15、より好ましくは約7~約10の重量平均エトキシル化度を有するC8~C18アルキルエトキシル化アルコールである。本明細書で有用な非イオン性界面活性剤の他の非限定例としては、アルコキシレート単位がエチレンオキシ単位、プロピレンオキシ単位、又はこれらの混合物であり得るC6~C12アルキルフェノールアルコキシレート;C12~C18アルコール及びエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマーとのC6~C12アルキルフェノール縮合物(Pluronic(登録商標))(BASF)など;C14~C22中鎖分岐状アルコール(branched alcohol、BA);C14~C22中鎖分岐鎖アルキルアルコキシレート、BAEx(式中、xは1~30である);アルキル多糖類、具体的にはアルキルポリグリコシド;ポリヒドロキシ脂肪酸アミド;並びにエーテル末端処理ポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤が挙げられる。好適な非イオン性界面活性剤としては、商標名Lutensol(登録商標)としてBASFから販売されているものも挙げられる。
【0060】
好ましい実施形態では、ソルビタンエステル及びソルビタンエステルのアルコキシル化誘導体から選択される非イオン性界面活性剤としては、モノラウリン酸ソルビタン(SPAN(登録商標)20)、モノパルミチン酸ソルビタン(SPAN(登録商標)40)、モノステアリン酸ソルビタン(SPAN(登録商標)60)、トリステアリン酸ソルビタン(SPAN(登録商標)65)、モノオレイン酸ソルビタン(SPAN(登録商標)80)、トリオレイン酸ソルビタン(SPAN(登録商標)85)、イソステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(Tween(登録商標)20)、モノパルミチン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(Tween(登録商標)40)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(Tween(登録商標)60)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(Tween(登録商標)80)、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(4)ソルビタン(Tween(登録商標)21)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(4)ソルビタン(Tween(登録商標)61)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(5)ソルビタン(Tween(登録商標)81)(これらは全てUniqemaから入手可能)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0061】
本発明の実施に最も好ましい非イオン性界面活性剤としては、5~15の範囲の重量平均アルコキシル化度を有するC6~C20直鎖又は分岐鎖アルキルアルコキシル化アルコール(alkylalkoxylated alcohols、AA)、より好ましくは7~9の範囲の重量平均アルコキシル化度を有するC12~C14直鎖エトキシル化アルコールが挙げられる。
【0062】
本発明の物品の使用に好適な両性界面活性剤としては、脂肪族二級及び三級アミンの誘導体として広く記載されるものが挙げられ、脂肪族ラジカルは、直鎖又は分岐鎖であってもよく、脂肪族置換基のうちの1つは、約8~約18個の炭素原子を含有し、1つは、アニオン性水溶性基、例えば、カルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート又はホスホネートを含有する。この定義に該当する化合物の例は、3-ドデシルアミノプロピオン酸ナトリウム、3-ドデシルアミノプロパンスルホン酸ナトリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ドデシルアミンをイセチオン酸ナトリウムと反応させることで調製されるもののようなN-アルキルタウリン、及びN-高級アルキルアスパラギン酸である。
【0063】
パーソナルケア用途(例えば、シャンプー、顔又は身体洗浄剤など)のための物品への組み込みに特に好適な両性界面活性剤の1つのカテゴリとしては、ラウロアンホ酢酸塩及びココアンホ酢酸塩などのアルキルアンホ酢酸塩が挙げられる。アルキルアンホ酢酸塩は、モノアセテート及びジアセテートで構成され得る。アルキルアンホ酢酸塩のいくつかのタイプでは、ジアセテートは、不純物又は意図しない反応生成物である。アルキルアンホ酢酸塩(複数可)が本発明の固体シートに存在する場合、その量は、物品の総重量の約2%~約40%、好ましくは約5%~約30%、より好ましくは約10%~約20%の範囲であってもよい。
【0064】
好適な双極性界面活性剤には、脂肪族四級アンモニウム、ホスホニウム化合物及びスルホニウム化合物の誘導体として広く記述されるものであって、その脂肪族ラジカルが直鎖状又は分岐状であることができ、その脂肪族置換基のうちの1つが約8~約18個の炭素原子を含有し、1つがアニオン性基、例えば、カルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート又はホスホネートを含有するものが挙げられる。
【0065】
本明細書での使用に好適な他の双極性界面活性剤としては、ココジメチルカルボキシメチルベタイン、ココアミドプロピルベタイン、ココベタイン、ラウリルアミドプロピルベタイン、オレイルベタイン、ラウリルジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルジメチルαカルボキシエチルベタイン、セチルジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルビス-(2-ヒドロキシエチル)カルボキシメチルベタイン、ステアリルビス-(2-ヒドロキシプロピル)カルボキシメチルベタイン、オレイルジメチルγ-カルボキシプロピルベタイン、及びラウリルビス-(2-ヒドロキシプロピル)α-カルボキシエチルベタインのような高級アルキルベタインを含むベタインが挙げられる。スルホベタインは、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ステアリルジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルジメチルスルホエチルベタイン、ラウリルビス-(2-ヒドロキシエチル)スルホプロピルベタインなどで表すことができ、RCONH(CH2)3ラジカル(式中、Rは、C11~C17アルキルである)がベタインの窒素原子に付着する、アミドベタイン及びアミドスルホベタインも本発明においてやはり有用である。
【0066】
カチオン性界面活性剤はまた、本発明において、特に布地柔軟剤及びヘアコンディショナー製品において利用することができる。カチオン性界面活性剤を主界面活性剤として含有する製品を作製する際に使用される場合、このようなカチオン性界面活性剤は、固体シートの総重量に基づいて、約2%~約30%、好ましくは約3%~約20%、より好ましくは約5%~約15%の範囲の量で存在することが好ましい。
【0067】
カチオン性界面活性剤は、ジアミド活性成分、並びにアミド結合及びエステル結合の混合を有する活性成分を包含するDEQA化合物を含み得る。好ましいDEQA化合物は、典型的には、MDEA(メチルジエタノールアミン)及びTEA(トリエタノールアミン)などのアルカノールアミンを脂肪酸と反応させることによって作製される。このような反応から典型的に得られるいくつかの物質としては、N,N-ジ(アシル-オキシエチル)-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド又はN,N-ジ(アシル-オキシエチル)-N,N-メチルヒドロキシエチルアンモニウムメチルサルフェートが挙げられ、式中、アシル基は、動物脂、不飽和及び多価不飽和脂肪酸から誘導される。
【0068】
本発明のパーソナルケア組成物での使用に好適な高分子界面活性剤としては、限定するものではないが、エチレンオキシドと脂肪族アルキル残基(fatty alkyl residues)とのブロックコポリマー、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマー、疎水変性ポリアクリレート、疎水変性セルロース、シリコーンポリエーテル、シリコーンコポリオールエステル、ジ四級ポリジメチルシロキサン、及び共修飾されたアミノ/ポリエーテルシリコーンが挙げられる。
【0069】
本発明の好ましい実施形態では、本発明の可撓性多孔質溶解性物品は、可塑剤を更に含み、好ましくは、当該物品の総重量の約0.1%~約25%、好ましくは約0.5%~約20%、より好ましくは約1%~約15%、最も好ましくは2%~12%の範囲の量で更に含む。
【0070】
本発明で使用されるのに好適な可塑剤としては、例えば、ポリオール、コポリオール、ポリカルボン酸、ポリエステル、ジメチコンコポリオールなどが挙げられる。
【0071】
有用なポリオールの例としては、グリセリン、ジグリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール(特に200~600)、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、グリセロール誘導体(プロポキシル化グリセロールなど)、グリシドール、シクロヘキサンジメタノール、ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオール、ペンタエリスリトール、尿素、糖アルコール(ソルビトール、マンニトール、ラクチトール、キシリトール、マルチトール、及び他のモノ-及び多価アルコールなど)、モノ-、ジ-及びオリゴ-糖(フルクトース、グルコース、スクロース、マルトース、ラクトース、高フルクトースコーンシロップ固形物、及びデキストリンなど)、アスコルビン酸、ソルベート、エチレンビスホルムアミド、アミノ酸などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
ポリカルボン酸の例としては、クエン酸、マレイン酸、コハク酸、ポリアクリル酸、及びポリマレイン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
好適なポリエステルの例としては、グリセロールトリアセテート、アセチル化モノグリセリド、ジエチルフタレート、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
好適なジメチコンコポリオールの例としては、PEG-12ジメチコン、PEG/PPG-18/18ジメチコン、及びPPG-12ジメチコンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
他の好適な可塑剤としては、アルキル及びアリルフタレート;ナフタレート;ラクテート(例えば、ナトリウム塩、アンモニウム塩、及びカリウム塩);ソルベス-30;尿素;乳酸;ピロリドンカルボン酸ナトリウム(pyrrolidone carboxylic acid、PCA);ヒアルロン酸ナトリウム又はヒアルロン酸;可溶性コラーゲン;変性タンパク質;L-グルタミン酸モノナトリウム;α&βヒドロキシル酸、例えば、グリコール酸、乳酸、クエン酸、マレイン酸及びサリチル酸;ポリメタクリル酸グリセリル;ポリクオタニウムなどのポリマー可塑剤;タンパク質、及びグルタミン酸、アスパラギン酸、及びリシンなどのアミノ酸;水素デンプン加水分解産物;その他低分子量エステル(例えば、C2~C10アルコールと酸とのエステル);及び、食品及びプラスチック業界の当業者に既知である任意の他の水溶性可塑剤;並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
可塑剤の特に好ましい例としては、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、及びこれらの混合物が挙げられる。最も好ましい可塑剤はグリセリンである。
【0077】
上述の成分、例えば、水溶性ポリマー、界面活性剤(複数可)及び可塑剤に加えて、本発明の可撓性溶解性多孔質物品は、その意図される用途に応じて、1つ以上の追加成分を含んでもよい。このような1つ以上の追加成分は、布地ケア活性物質、食器洗浄活性物質、硬質表面洗浄活性物質、美容及び/又はスキンケア活性物質、パーソナルクレンジング活性物質、ヘアケア活性物質、口腔ケア活性物質、女性ケア活性物質、ベビーケア活性物質、並びにこれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0078】
好適な布地ケア活性物質としては、有機溶媒(直鎖又は分岐鎖の低級C1~C8アルコール、ジオール、グリセロール、又はグリコール;C1~C4アルカノールアミンなどのより低級のアミン溶媒、及びこれらの混合物;より具体的には、1,2-プロパンジオール、エタノール、グリセロール、モノエタノールアミン及びトリエタノールアミン)、担体、ヒドロトロープ、ビルダー、キレート剤、分散剤、酵素及び酵素安定剤、触媒材料、漂白剤(光漂白剤を含む)及び漂白活性化剤、香料(カプセル化香料又は香料マイクロカプセルを含む)、着色剤(色相染料を含む、顔料及び染料など)、増白剤、移染防止剤、粘土汚れ除去/再付着防止剤、構造化剤、レオロジー調整剤、抑泡剤、加工助剤、布地柔軟剤、抗菌剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
好適なヘアケア活性物質としては、縮れ減少のためのクラスIIの水分調整物質(サリチル酸及び誘導体、有機アルコール、及びエステル)、カチオン性界面活性剤(特に、25℃の水への溶解度が、好ましくは0.5g/水100g未満、より好ましくは0.3g/水100g未満)、高融点脂肪族化合物(例えば、25℃以上、好ましくは40℃以上、より好ましくは45℃以上、更により好ましくは50℃以上の融点を有する脂肪族アルコール、脂肪酸、及びこれらの混合物)、シリコーン化合物、コンディショニング剤(Hormelから入手可能な商標名Peptein 2000を有する加水分解コラーゲン、Eisaiから入手可能な商標名Emix-dのビタミンE、Rocheから入手可能なパンテノール、Rocheから入手可能なパンテニルエチルエーテル、加水分解ケラチン、タンパク質、植物抽出物、及び栄養素)、防腐剤(ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、及びイミダゾリジニル尿素など)、pH調整剤(クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、リン酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなど)、塩(酢酸カリウム及び塩化ナトリウムなど)、着色剤、香料又は芳香剤、金属イオン封鎖剤(エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムなど)、紫外線及び赤外線スクリーニング及び吸収剤(サリチル酸オクチルなど)、毛髪脱色剤、毛髪パーマ剤、毛髪固定剤、抗ふけ剤、抗菌剤、育毛剤又は補充剤、共溶媒又は他の追加の溶媒などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
好適な美容及び/又はスキンケア活性物質としては、化粧品での使用が認可され、CTFA Cosmetic Ingredient Handbook,Second Edition,The Cosmetic,Toiletries,and Fragrance Association,Inc.1988,1992などの参考文献に記載されている物質が挙げられる。好適な美容及び/又はスキンケア活性物質の更なる非限定的な例としては、防腐剤、香料又は芳香剤、着色剤又は染料、増粘剤、保湿剤、皮膚軟化剤、医薬活性物質、ビタミン又は栄養素、日焼け止め剤、脱臭剤、感覚剤、植物抽出物、栄養素、収れん剤、化粧品粒子、吸収性粒子、繊維、抗炎症剤、美白剤、皮膚色調剤(皮膚色調全体を改善するように機能し、ビタミンB3化合物、糖アミン、ヘキサミジン化合物、サリチル酸、ヘキシルレゾルシノール及びレチノイドなどの1,3-ジヒドロキシ-4-アルキルベンゼンを含み得る)、皮膚日焼け剤、剥離剤、保湿剤、酵素、酸化防止剤、フリーラジカル捕捉剤、抗しわ活性物質、抗にきび剤、酸、塩基、ミネラル、懸濁剤、pH調整剤、顔料粒子、抗菌剤、防虫剤、シェービングローション剤、共溶媒又は他の追加の溶媒などが挙げられる。
【0081】
本発明の可撓性溶解性多孔質物品によって形成され得る製品タイプの実施形態の非限定的な例としては、洗濯洗剤製品、布地柔軟製品、手洗浄製品、毛髪シャンプー又は他の毛髪処理製品、ボディクレンジング製品、シェービング調製製品、食器洗浄製品、医薬又は他のスキンケア活性物質を含有するパーソナルケア基材、保湿製品、日焼け止め製品、美容製品又はスキンケア製品、脱臭製品、口腔ケア製品、女性用洗浄製品、ベビーケア製品、芳香剤含有製品などが挙げられる。
【0082】
IV.可撓性溶解性多孔質シートの製造プロセス
本発明の可撓性溶解性多孔質物品は、可撓性多孔質溶解性固体シートの1つ以上の層を含んでもよく、それは、(a)水若しくは好適な溶媒中に溶解又は分散された原材料(例えば、水溶性ポリマー、界面活性剤などの活性成分、及び任意選択で可塑剤)を含有する、約40℃及び1s-1で測定した約1,000cps~約25,000cpsの粘度によって特徴付けられるプレミックスを形成する工程と、(b)当該プレミックスを(例えば、湿潤スラリーにガスを導入することによって)通気して、通気された湿潤プレミックスを形成する工程と、(c)当該通気された湿潤プレミックスを、対向する第1及び第2の面を有するシートに形成する工程と、(d)当該形成されたシートを、当該形成されたシートの第1の面から第2の面まで低下する温度勾配を形成する加熱方向に沿って、1分~60分の乾燥時間にわたって70℃~200℃の温度で乾燥させる工程であって、加熱方向は、乾燥時間の半分を超えて、重力方向から実質的にオフセットされ、すなわち、主に「抗重力」加熱方向に沿った加熱下で実施される、工程と、を含む方法によって形成され得る。このような主に「反重力」加熱方向は、底部伝導式加熱/乾燥構成及び回転ドラム式加熱/乾燥構成を含むが、これらに限定されない、様々な手段によって達成することができる。
【0083】
湿潤プレミックスは、大略的に、水溶性ポリマー、界面活性剤(複数種可)、及び/又は他の有益剤、任意選択的な可塑剤、並びに他の任意選択的な成分を含む、対象の固体を、プレミックスタンク内の十分な量の水又は別の溶媒と混合することによって調製される。湿潤プレミックスは、メカニカルミキサーを使用して形成することができる。本明細書で有用なメカニカルミキサーには、ピッチ翼を有するタービン、又はMAXBLENDミキサー(Sumitomo Heavy Industries)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
本発明において、40℃及び1s-1で測定したときに約1,000cps~約25,000cpsの所定の範囲内にあるように、湿潤プレミックスの粘度を調節することが特に重要である。湿潤プレミックスの粘度は、後続の乾燥工程中に通気されたプレミックスの細孔膨張及び細孔開口に著しい影響を及ぼし、異なる粘度を有する湿潤プレミックスは、非常に異なる発泡構造体の可撓性多孔質溶解性固体シートを形成し得る。一実施形態では、湿潤プレミックスの粘度は、40℃及び1秒-1で測定したときに約3,000cps~約24,000cps、好ましくは約5,000cps~約23,000cps、より好ましくは約10,000cps~約20,000cpsの範囲である。プレミックスの粘度値を、コーン及びプレート形状を有するMalvern Kinexus Lab+レオメータ(CP1/50 SR3468 SS)を使用して、ギャップ幅0.054mm、温度40℃、及び剪断速度1.0レシプロカル秒で360秒間測定する。
【0085】
好ましいが必須ではない実施形態では、対象の固体は、湿潤プレミックスの総重量に基づいて、約15%~約70%、好ましくは約20%~約50%、より好ましくは約25%~約45%の濃度で湿潤プレミックス中に存在する。固体含有パーセントは、水及び低沸騰アルコールのような明らかに揮発性のあらゆる物質を除いた、固体成分、半固体成分、及び液体成分の全ての総加工混合物の重量に基づく重量パーセントの合計である。
【0086】
本発明の湿潤プレミックス中の対象の固体のうち、固体の総重量に対して約1重量%~約75重量%の界面活性剤、約0.1重量%~約25重量%の水溶性ポリマー、及び任意選択的に約0.1重量%~約25重量%の可塑剤が存在し得る。他の活性剤又は有益剤をプレミックスに添加することもできる。
【0087】
任意選択的に、湿潤プレミックスを、通気プロセスに先立って及び/又は通気プロセス中に、周囲温度よりも高い温度であるが、内部で成分の分解を引き起こすいかなる温度よりも低い温度で、迅速に予熱する。一実施形態では、湿潤プレミックスを、約40℃~約100℃、好ましくは約50℃~約95℃、より好ましくは約60℃~約90℃、最も好ましくは約75℃~約85℃の範囲の高温に維持する。一実施形態では、任意選択的な連続加熱を、通気工程の前に利用する。更に、このような高温で湿潤プレミックスを試し、維持するために、通気プロセス中に追加の熱を加えることができる。これは、1つ以上の表面からの伝導性加熱、蒸気の注入、又は他の処理手段により達成することができる。混合物への気泡の導入及び所望の固体シートの形成を改善するために、通気工程前に及び/又は通気工程中に湿潤プレミックスを予熱する行為により、固体をより高い含有パーセントで含む湿潤プレミックスの粘度を低下させる手段が提供され得ると考えられる。固体のより高い含有パーセントを実現することは、乾燥の全体的なエネルギー要件を低減し得るために望ましい。したがって、固体パーセントの増加は逆に、水濃度含有量の減少及び粘度の増加をもたらし得る。上述したように、粘度が高すぎる湿潤プレミックスは、本発明の実施には望ましくない。予熱することは、そのような粘度を効果的に妨害し、これにより、高い固体含有量のプレミックスを使用した場合であっても、高速溶解性シートの製造を可能にする。
【0088】
湿潤プレミックスの通気は、引き続き乾燥時に内部にOCF構造を形成するために十分な量の気泡を湿潤プレミックスに導入するために実施される。十分に通気された後、湿潤プレミックスは、非通気の湿潤プレミックス(不注意に閉じ込められた気泡をわずかに含んでもよい)又は不十分に通気された湿潤プレミックス(気泡をいくらか含有し得るが、非常に低い体積割合で及びかなり大きい気泡サイズのものを含んでもよい)の密度より著しく低い密度によって特徴付けられる。好ましくは、通気された湿潤プレミックスは、約0.05g/mL~約0.5g/mL、好ましくは約0.08g/mL~約0.4g/mL、より好ましくは約0.1g/mL~約0.35g/mL、更により好ましくは約0.15g/mL~約0.3g/mL、最も好ましくは約0.2g/mL~約0.25g/mLの範囲の密度を有する。
【0089】
通気は、本発明における物理的又は化学的手段のいずれかによって達成することができる。一実施形態では、それは、例えば、ロータステータミキサー、プラネタリミキサー、加圧ミキサー、非加圧ミキサー、バッチミキサー、連続ミキサー、半連続ミキサー、高剪断ミキサー、低剪断ミキサー、水中スバージャ、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない任意の好適な機械的処理手段を使用することによって、機械的撹拌を通して湿潤プレミックスにガスを導入することにより達成することができる。別の実施形態では、それは、化学的手段を通して、例えば、発泡系による二酸化炭素(CO2ガス)の形成を含む1つ以上の成分の化学反応を介してインサイチュでガス形成を提供するために化学的発泡剤を使用して達成することができる。
【0090】
特に好ましい実施形態では、湿潤プレミックスの通気は、マシュマロの製造において食品業界で従来利用されている連続加圧エアレータ又はミキサーを使用することによって達成される。連続加圧ミキサーは、湿潤プレミックスを均質化する又は通気するように働き、均一な気泡サイズを有する、高度に均一かつ安定した発泡構造体を生じさせ得る。高剪断ロータ/ステータの撹拌ヘッドの固有の設計は、連続気泡発泡体の層において均一な気泡サイズをもたらすことができる。好適な連続加圧エアレータ又はミキサーとしては、Morton泡立て器(Morton Machine Co.,Motherwell,Scotland)、Oakes連続自動ミキサー(E.T.Oakes Corporation,Hauppauge,New York)、Fedco連続ミキサー(Peerless Group,Sidney,Ohio)、Mondo(Haas-Mondomix B.V.,Netherlands)、Aeros(Aeros Industrial Equipment Co.,Ltd.,Guangdong Province,China)、及びPreswhip(Hosokawa Micron Group,Osaka,Japan)が挙げられる。例えば、Aeros A20連続エアレータは、約300~800(好ましくは約400~600)の混合ヘッド速度設定を伴う約300~800(好ましくは約500~700)の供給ポンプ速度設定で、それぞれ約50~150(好ましくは60~130、より好ましくは80~120)の空気流量で動作させることができる。別の例では、Oakes連続自動ミキサーは、約10~30rpm(好ましくは約15~25rpm、より好ましくは約20rpm)の混合ヘッド速度設定で、約10~30リットル/時間(好ましくは約15~25L/時、より好ましくは約19~20L/時間)の空気流量で動作させることができる。
【0091】
別の特定の実施形態では、湿潤プレミックスの通気は、回転ドラム乾燥機の一部である回転バー、より具体的には、湿潤プレミックスがドラム乾燥機の加熱された外面上にコーティングされて乾燥される前に貯蔵される供給トラフの構成要素を使用することによって達成することができる。回転バーは、典型的には、ドラム乾燥機の加熱された回転ドラム上にコーティングされる前の待機時間中に、湿潤プレミックスを撹拌して、供給トラフ内の相分離又は沈降を防止するために使用される。本発明では、このような回転バーを、約150~約500rpm、好ましくは約200~約400rpm、より好ましくは約250~約350rpmの範囲の回転速度で動作させて、湿潤プレミックスを空気界面で混合し、湿潤プレミックスの所望の通気を達成するのに必要な十分な機械的撹拌を提供することが可能である。
【0092】
上述したように、湿潤プレミックスは、通気プロセス中に高温に維持されて、乾燥中の最適化された通気及び制御された排水のために湿潤プレミックスの粘度を調整することができる。例えば、通気が回転ドラムの回転バーを使用することによって達成されるとき、供給トラフ内の通気された湿潤プレミックスは、典型的には、回転バーによる初期通気中(回転ドラムが静止している間)、約60℃に維持され、次いで、回転ドラムが加熱されて回転を開始するときに約70℃まで加熱される。
【0093】
通気された湿潤プレミックスの気泡サイズは、得られる固体シートのOCF構造内で均一な層を達成するのを助ける。一実施形態では、通気された湿潤プレミックスの気泡サイズは、約5~約100マイクロメートルであり、別の実施形態では、気泡サイズは、約20マイクロメートル~約80マイクロメートルである。気泡サイズの均一性により、得られる固体シートは、一貫した密度を有する。
【0094】
十分な通気後、通気された湿潤プレミックスは、対向する第1の面及び第2の面を有する1つ以上のシートを形成する。シート形成工程は、例えば、押出成形、鋳造、成型、真空成形、プレス、印刷、コーティングなどによって、任意の好適な様式で実施することができる。より具体的には、通気された湿潤プレミックスは、(i)それを浅いキャビティ若しくはトレー又は特別に設計されたシート型に鋳造することと、(ii)それを乾燥機の連続ベルト又はスクリーン上に押出成形することと、(iii)それを回転ドラム乾燥機の外面上にコーティングすることと、を行うことによってシートに形成することができる。好ましくは、シートが形成される支持面は、金属(例えば、鋼、クロムなど)、TEFLON(登録商標)、ポリカーボネート、NEOPRENE(登録商標)、HDPE、LDPE、ゴム、ガラスなどの、防食で非相互作用及び/又は非粘着性の材料によって形成されるか、又はコーティングされる。
【0095】
好ましくは、エアレートされた湿潤プレミックスの形成されたシートは、0.5mm~4mm、好ましくは0.6mm~3.5mm、より好ましくは0.7mm~3mm、更により好ましくは0.8mm~2mm、最も好ましくは0.9mm~1.5mmの範囲の厚さを有する。
【0096】
通気された湿潤プレミックスのそのように形成されたシートの乾燥は、伝導式加熱/乾燥構成又は回転ドラム式加熱/乾燥構成のいずれかを使用することによって、反重力方式で行われる。
【0097】
ドラム乾燥は、大量の乾燥に好適な連続乾燥プロセスとして特に好ましい。ドラム乾燥に使用される加熱された回転可能なシリンダは、例えば蒸気又は電気によって内部で加熱され、所定の回転速度でベースブラケットに取り付けられた電動駆動装置によって回転される。加熱された回転可能なシリンダ又はドラムは、約0.5メートル~約10メートル、好ましくは約1メートル~約5メートル、より好ましくは約1.5メートル~約2メートルの範囲の外径を有することが好ましい。それは、約80℃~約170℃、好ましくは約90℃~約150℃、より好ましくは約100℃~約140℃の制御された表面温度を有してもよい。更に、このような加熱された回転可能なシリンダは、約0.005rpm~約0.25rpm、好ましくは約0.05rpm~約0.2rpm、より好ましくは約0.1rpm~約0.18rpmの速度で回転する。
【0098】
この加熱された回転可能なシリンダは、好ましくは、その外面上が非粘着性コーティングでコーティングされている。非粘着性コーティングは、加熱された回転可能なドラムの外面上に重なってもよく、又は加熱された回転可能なドラムの外面の媒体に固定されてもよい。媒体としては、耐熱不織布、耐熱性炭素繊維、耐熱金属又は非金属メッシュなどが挙げられるが、これらに限定されない。非粘着性コーティングは、シート形成プロセス中の損傷からシート状物品の構造的一体性を効果的に維持することができる。
【0099】
また、上述したような原材料の通気された湿潤プレミックスを加熱された回転可能なドラム上に加えるための供給機構をベースブラケット上に提供し、それによって、加熱された回転可能なドラムの外面上に粘性プレミックスの薄層を形成する。したがって、プレミックスのこのような薄層は、加熱された回転可能なドラムによって接触加熱/乾燥を介して乾燥される。供給機構は、ベースブラケットに設置された供給トラフを含む一方、供給トラフは、その上に、少なくとも1つの(好ましくは2つの)供給ホッパ、供給の動的観察のための撮像装置、並びに供給ホッパの位置及び傾斜角度を調節するための調整装置が設置されている。調整装置を使用して、供給ホッパと加熱された回転可能なドラムの外面との間の距離を調整することによって、形成されたシート状物品の異なる厚さの必要性を満たすことができる。調整装置はまた、速度及び品質の材料要件を満たすように、供給ホッパを異なる傾斜角度に調整するために使用することができる。供給トラフはまた、湿潤プレミックスが加熱された回転可能なドラムの外面上にコーティングされる前に相分離及び沈降を回避するために、湿潤プレミックスをその中で撹拌するための回転バーを含んでもよい。このような回転バーは、上述したように、必要に応じて湿潤プレミックスを通気するために使用することもできる。
【0100】
また、急速な熱損失を防止するために、ベースブラケットに取り付けられた加熱シールドが存在してもよい。加熱シールドはまた、加熱された回転可能なドラムによって必要とされるエネルギーを効果的に節約することができ、それにより、エネルギー消費の低減を実現し、コスト削減を提供することができる。加熱シールドは、モジュール式組立構造体、又は統合型構造体であり、ベースブラケットから自由に取り外すことができる。熱蒸気を吸引するための加熱シールドには、何らかの水凝縮物が、形成されているシート状物品上に落下するのを回避するために、吸引装置が設置されている。
【0101】
加熱された回転可能なドラムによって既に形成されたシート状物品を掻き取るか又は掬い付けるための、ベースブラケットに取り付けられた任意選択的な静的掻き取り機構が存在してもよい。静的掻き取り機構は、更なる処理のために既に形成されたシート状物品を下流に搬送するために、ベースブラケット上又はその片側上に設置することができる。静的掻き取り機構は、加熱された回転可能なドラムに、自動的に又は手動で接近し及びそこから離れるように移動することができる。
【0102】
本発明の可撓性多孔質溶解性固体シートの作製プロセスは、以下のとおりである。まず、ベースブラケット上の非粘着性コーティングを有する加熱された回転可能なドラムを、電動駆動装置によって駆動する。次に、調整装置が、供給ホッパと加熱された回転可能なドラムの外面との間の距離が予め設定された値になるように供給機構を調整する。一方、供給ホッパは、可撓性多孔質溶解性固体シートを作製するための、全て又はいくつかの原材料を含有する通気された湿潤プレミックスを、加熱された回転可能なドラムの外面上に加えて、その上に、前のセクションで上述したように所望の厚さを有する通気された湿潤プレミックスの薄層を形成する。任意選択的に、加熱シールドの吸引装置は、加熱された回転可能なドラムによって生成された熱蒸気を吸引する。次に、静的掻き取り機構が、加熱された回転可能なドラムによって比較的低温(例えば、130℃)で乾燥された後に、通気された湿潤プレミックスの薄層によって形成された乾燥/固化したシートを掻き取る/掬い上げる。乾燥/固化したシートはまた、このような静的掻き取り機構を用いずに、手動で又は自動的に剥離され、次いでローラバーによって巻き上げることもできる。
【0103】
本発明における総乾燥時間は、湿潤プレミックス中の配合物量及び固体含有量、乾燥温度、熱エネルギー流量、及び乾燥されるシート材料の厚さに依存する。好ましくは、乾燥時間は、約1分~約60分、好ましくは約2分~約30分、より好ましくは約2~約15分、更により好ましくは約2~約10分、最も好ましくは約2~約5分である。
【0104】
このような乾燥時間中、加熱方向は、乾燥時間の半分超、好ましくは乾燥時間の55%又は60%超(例えば、上述の回転ドラム式加熱/乾燥構成におけるもののように)、より好ましくは乾燥時間の75%超又は更には100%(例えば、上述の底部伝導式加熱/乾燥構成におけるもののように)にわたって重力方向とは実質的に反対となるように配置される。更に、通気された湿潤プレミックスのシートは、第1の加熱方向の下で第1の持続時間にわたって乾燥され、次いで第2の反対側の加熱方向の下で第2の持続時間にわたって乾燥させることができ、第1の加熱方向は、重力方向とは実質的に反対であり、第1の持続時間は、全乾燥時間の51%~99%(例えば、55%、60%、65%、70%~80%、85%、90%、又は95%)のいずれかにある。このような加熱方向の変化は、例えば、長手方向中心軸に沿って回転することができる蛇行形状の細長い加熱ベルトによって、本明細書に図示されていない様々な他の構成によって容易に達成することができる。
【0105】
可撓性溶解性多孔質固体シートが上述のプロセスによって形成されると、複数のシートが一緒に積み重ねられて、本発明の三次元物品を形成する前に、任意のコーティング組成物を当該固体シートの1つ以上に塗布することができる。コーティング組成物は、シートに含有されるものとは異なる界面活性剤(第2の界面活性剤)をレオロジー変性剤及び任意選択で溶媒と共に含んでもよい。コーティング組成物は、追加の消費者利益及び改善された性能のために、香料及び界面活性剤を含む追加の成分を本発明の可撓性溶解性多孔質物品に充填するのに役立ち得る。本発明の好ましい実施形態では、第2の界面活性剤は、非イオン性界面活性剤を含み得、より好ましくは、5~15の範囲の重量平均アルコキシル化度を有するC6~C20直鎖又は分岐鎖アルキルアルコキシル化アルコール(alkylalkoxylated alcohol、AA)、好ましくは7~9の範囲の重量平均アルコキシル化度を有するC12~C14直鎖エトキシル化アルコールを含み得る。コーティング組成物は、約20℃及び1s-1で測定されるとき、好ましくは約1cps~約25,000cps、好ましくは約2cps~約10,000cps、より好ましくは約3cps~約5,000cps、最も好ましくは約1,000cps~約5,000cpsの粘度を有する。粘度値を、コーン及びプレート形状を有するMalvern Kinexus Lab+レオメータ(CP1/50 SR3468 SS)を使用して、0.054mmのギャップ幅、20℃の温度及び360秒にわたる1.0レシプロカル秒の剪断速度で測定する。
【0106】
コーティング組成物が塗布されると、複数の上述の可撓性溶解性多孔質固体シートを一緒に積み重ねて、本発明による三次元物品を形成することができ、三次元物品は、球状、立方体、矩形、楕円形、円筒形、ロッド状、シート状、花形状、扇形状、星形、ディスク形状などを含むが、これらに限定されない、任意の所望の三次元形状であり得る。シートは、その例として化学的手段、機械的手段、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない当該技術分野において既知の任意の手段によって、組み合わされ、かつ/又は処理されてもよい。このような組み合わせ工程及び/又は処理工程は、本明細書において集合的に「変換」プロセスと称され、すなわち、これは、本発明の2つ以上の可撓性溶解性多孔質シートを、単一物品に変換するように機能する。
【0107】
本発明の可撓性溶解性多孔質物品は、そのような物品の外面(例えば、1つ以上の側面)から見える、異なる色の個々のシートを含んでもよい。異なる色のこのような可視シートは、消費者にとって審美的に心地良いものである。更に、個々のシートの異なる色は、個々のシートに含まれる異なる有益剤を示す視覚的手がかりを提供することができる。例えば、多層溶解性固体物品は、第1の色を有しかつ第1の有益剤を含有する第1のシートと、第2の色を有しかつ第2の有益剤を含有する第2のシートとを含んでもよく、第1の色は、第1の有益剤を示す視覚的手がかりを提供し、第2の色は、第2の有益剤を示す視覚的手がかりを提供する。
【0108】
試験法
試験1:圧縮力及び復元時間の測定
直径25mmの中空円形穴パンチを使用して、厚さ約8mm(ノギスを使用して測定)の可撓性溶解性多孔質物品から直径約25mmのサンプルディスクを切断する。当該物品は、所望の厚さを達成するように、複数の可撓性溶解性多孔質シート(例えば、上述したドラム乾燥製造プロセスによって形成されたもの)のスタックを含むことができる。サンプルディスクを、温度及び湿度制御能力を有するオーブン内に、平衡湿度40%で25℃にて4時間の最小持続時間にわたって保管する。
【0109】
圧縮性測定は、レオメーター制御ユニットに設置されたPP60mmプレート-プレート測定ジオメトリー(モデル番号222-1271)及びMPC60測定プレート(モデル番号222-1550)を有するHaake MarsIIレオメーターを使用して行われる。当該レオメーターのベースプレート温度は、試験の期間を通して25℃に設定及び制御される。測定距離0及び垂直力0の両方が正確に設定されることを確実にするために、ソフトウェアを使用して実験を開始する前にレオメーターを最初に較正する。
【0110】
次に、以下のように圧縮試験を実施する。
1)厚さ8mmのサンプルディスクをオーブンから取り出し、直ちにMPC60測定プレートの中心に置く。ディスクが測定ジオメトリーに粘着するのを防ぐために、パラフィルムの薄い層をスタックの上に置く。
2)測定ジオメトリーを、レオメーターソフトウェアによって設定された2.5mm/分の速度で4mm(すなわち、レオメーター測定位置)まで下げる。レオメーター測定位置は、サンプルディスクの元の厚さの約50%に設定され、それによって、サンプルディスクにおいて約50%の体積圧縮を達成する。
3)測定ジオメトリーが4mmに達したら、測定ジオメトリーの状態を5分間静止状態に保ち、レオメーターによってそれに加えられた圧力を毎秒記録する。
【0111】
4)5分が経過したら、測定ジオメトリーを上げ、サンプルディスクを手動で取り出す。
5)取り出したサンプルディスクの厚さをノギスを使用して測定するが、これは、測定ジオメトリーを上げてから約5秒後に開始し、その後30秒毎に行う。
【0112】
次に、以下のパラメータが以下のように計算される。
【0113】
【0114】
レオメーターによってサンプルディスクに加えられる実際の圧縮力は、5分の測定期間内に時間と共に減少することが認められ、平均圧縮力は以下のように計算される。
【0115】
【0116】
試験2:物品の連続気泡含有率
連続気泡含有率を、ガス比重瓶法によって測定する。ガス比重瓶法は、体積を正確に測定するガス置換法を使用する一般的な分析技術である。置換媒体としてヘリウム又は窒素のような不活性ガスが使用される。本発明の可撓性溶解性多孔質物品のサンプルを既知の体積の計器コンパートメント内に封止し、適切な不活性ガスを入れ、次に別の精密な内部体積に膨張させる。膨張前及び膨張後の圧力を測定し、これを使用してサンプル物品の体積を計算する。
【0117】
ASTM標準試験方法D2856は、気体比重瓶(air comparison pycnometer)のより古いモデルを使用して連続気泡の割合を決定するための手順を提供する。この装置はもはや製造されていない。しかしながら、MicromeriticsのAccuPyc比重瓶を使用する試験を実施することにより、便利にかつ精密に連続気泡パーセントを決定することができる。ASTM手順書D2856は、発泡材料の連続気泡比率を決定するための5つの方法(A、B、C、D及びE)について述べている。これらの実験のために、窒素ガスを使用し、Accupyc 1340を使用して、ASTM foampycソフトウェアにより、サンプルを分析することができる。ASTM手順書の方法Cは、連続気泡パーセントを計算するために使用されるべきである。この方法は、以下の等式に従って、キャリパー及び標準体積計算を使用して決定される幾何学的体積を、Accupycによって測定される連続気泡体積と単純に比較する。
【0118】
連続気泡含有率(%)=サンプルの連続気泡体積/サンプルの幾何学的体積*100%
これらの測定は、Micromeretics Analytical Services,Inc.(One Micromeritics Dr,Suite 200,Norcross,GA 30093)により行うことが推奨される。この技術に関するより多くの情報は、Micromeretics Analytical Servicesのウェブサイト(www.particletesting.com若しくはwww.micromeritics.com)上で入手可能であり、又はClyde Orr及びPaul Webb著「Analytical Methods in Fine particle Technology」において公開されている。
【0119】
試験3:連続気泡発泡体(Open Cell Foam、OCF)の全体の平均孔径及び平均気泡壁厚を決定するためのマイクロコンピュータ断層撮影(Micro-Computed Tomographic、μCT)法
多孔度は、空隙空間のOCFによって占有される全空間に対する比率である。多孔度は、空隙空間を閾値化によって区画化し、全ボクセルに対する空隙ボクセルの比率を決定することによって、μCTスキャンから計算することができる。同様に、固体体積分率(solid volume fraction、SVF)は、固体空間の全空間に対する比率であり、SVFは、占有されたボクセルの全ボクセルに対する比率として計算することができる。多孔度及びSVFの両方とも、OCFの高さ方向における孔径分布、又はOCFストラットの平均気泡壁厚などの構造情報を提供しない平均スカラー値である。
【0120】
OCFの3D構造によって特徴付けるために、高い等方性空間分解能でデータセットを取得することができるμCT X線走査機器を使用してサンプルを撮像する。好適な計測器の一例は、以下の設定で作動するSCANCO Systemモデル50μCTスキャナ(Scanco Medical AG,Bruttisellen,Switzerland)である:133μAで45kVpのエネルギーレベル;3000投影;15mm視野;750ms積分時間;5回の平均化;及び1画素当たり3μmのボクセルサイズ。走査及びその後のデータ再構成が完了した後、スキャナシステムは、ISQファイルと称される16ビットデータセットを作成し、そこでは、グレーレベルは、X線減衰の変化を反映し、ひいては材料密度に関連する。次いで、ISQファイルを、スケーリング係数を使用して8ビットに変換する。
【0121】
走査されたOCFサンプルを、通常、直径およそ14mmのコアを穿孔することによって調製する。OCFパンチを、低減衰発泡体上に平らに置き、次いで、走査用の直径15mmのプラスチック円筒管に取り付ける。取り付けられた切断サンプル全ての体積全体がデータセットに含まれるように、サンプルの走査を取得する。このより大きなデータセットから、サンプルデータセットのより小さいサブボリュームを、走査されたOCFの総断面から抽出して3Dのデータスラブを作成し、ここで、細孔は、縁/境界効果なしに定性的に評価することができる。
【0122】
高さ方向における孔径分布を特徴付けるために、ストラットサイズ、局所厚さマップアルゴリズム、又はLTMを、サブボリュームデータセット上に実装する。LTM法は、ユークリッド距離マッピング(Euclidean Distance Mapping、EDM)で開始し、各空隙ボクセルのその最も近い境界からの距離に等しいグレーレベル値を割り当てる。EDMデータに基づいて、細孔を表す3D空隙空間(又は、ストラットを表す3D固体空間)を、EDM値に一致するようにサイズ決めされた球体でモザイク化する。球体によって囲まれたボクセルに、最大球面の半径値を割り当てる。換言すれば、各空隙ボクセル(又はストラットの固体ボクセル)には、両方が空隙空間境界(又はストラットの固体空間境界)内に適合し、かつ割り当てられたボクセルを含む、最大球面の径方向値が割り当てられる。
【0123】
LTMデータ走査から出力された3D標識された球面分布は、高さ方向(又はZ方向)における二次元画像のスタックとして処理され、スライスからスライスへの球面直径の変化をOCF深度の関数として推定するために使用することができる。ストラットの厚さを、3Dデータセットとして処理し、平均値は、サブボリュームの全体又は一部について評価することができる。計算及び測定は、Thermo Fisher ScientificのAVIZO Lite(9.2.0)及びMathworksのMATLAB(登録商標)(R2017a)を使用して行った。
【0124】
試験4:可撓性溶解性多孔質シートの厚さ
可撓性多孔質溶解性シートの厚さを、Mitutoyo Corporation Digital Disk Stand Micrometer Model Number IDS-1012E(Mitutoyo Corporation,965 Corporate Blvd,Aurora,IL,USA 60504)などのマイクロメータ又は厚さゲージを用いて得る。そのマイクロメータは、直径1インチ、重さ約32グラムのプラテンを有し、約0.09psi(6.32gm/cm2)の印加圧力において厚さを測定する。
【0125】
プラテンを上げ、シート物品の一部分をプラテンの真下のスタンド上に置き、注意深くプラテンを下げて、シート物品に接触させ、プラテンを離し、シートの厚さをミリメートル単位で数値表示装置上で測定することにより、可撓性多孔質溶解性シートの厚さを測定する。平らでないより堅い基材の場合を除いて、厚さを可能な限り小さい表面圧力において測定するのを確実にするために、シートをプラテンの全ての縁まで十分に延ばすべきである。
【0126】
試験5:物品の最終水分含量
本発明の物品の最終水分含量を、Mettler Toledo HX204 Moisture Analyzer(S/N B706673091)を使用することによって得る。乾燥したシート物品の最低1gを測定トレー上に置く。次いで、標準プログラムを、10分の分析時間及び110℃の温度の追加のプログラム設定で実行する。
【0127】
試験6:物品の坪量
本発明の可撓性多孔質溶解性物品の坪量を、面積当たりの物品の重量(グラム/m2)として計算する。面積は、物品の外縁と垂直な平坦表面上の投影面積として計算される。本発明の物品は、10cm×10cmの正方形サンプルに切断されているため、その面積は既知である。次いで、このような正方形サンプルの各々を秤量し、次に、得られた重量を100cm2の既知の面積で割って、対応する坪量を決定する。
【0128】
不規則な形状の物品に対しては、それが平らな物体である場合、その面積は、したがってそのような物体の外周内で取り囲まれている面積に基づいて計算される。したがって、球状物体に関しては、面積は、平均直径に基づいて3.14×(直径/2)2として計算される。したがって、円筒状物体に対しては、面積は、平均直径及び平均長さに基づいて直径×長さとして計算される。不規則な形状の三次元物体に対しては、その面積は、この側部に直角に方向付けられた平坦表面上に投影される最大外側寸法を備える側部に基づいて計算される。このことは、物体の外側寸法を1枚のグラフ用紙に鉛筆で注意深くトレーシングし、次に正方形を近似的に計数し、その正方形の既知の面積を乗算することによるか、又はスケールを含むトレーシングした領域(コントラストのために陰影がつけられている)の写真を撮り、画像分析技術を用いることにより、その面積を算定することによって達成することができる。
【0129】
試験7:物品の密度
本発明の可撓性多孔質溶解性物品の密度は、次の等式によって決定される。計算密度=多孔質固形物の坪量/(多孔質固形物の厚さ×1,000)。物品の坪量及び厚みは、本明細書に記載の方法に従って決定される。
【0130】
試験8:物品の比表面積
可撓性多孔質溶解性物品の比表面積を、ガス吸着技術によって測定する。表面積は、分子規模の固体サンプルの露出した表面の測定値である。BET(Brunauer、Emmet、及びTeller)理論は、表面積を決定するのに使用される最もよく知られているモデルであり、ガス吸着等温線に基づいている。ガス吸着は、物理的な吸着及び毛管凝縮を使用してガス吸着等温線を測定するものである。この技術は、以下のステップによって要約される。サンプルをサンプル管に入れ、真空下又はガス流下で熱してサンプルの表面上の汚染物を除去する。サンプル重量は、脱ガスされたサンプル及びサンプル管の混合重量から空のサンプル管重量を差し引いて得られる。次にサンプル管を分析ポート上に置き、分析を開始する。この分析プロセスの最初のステップは、サンプル管を排気し、次に液体窒素温度でヘリウムガスを使用してサンプル管内の自由空間体積を測定することである。次にサンプルを再度排気し、ヘリウムガスを除去する。計器は次に、要求される圧力測定値が達成されるまで、ユーザが指定する間隔でクリプトンガスを投与することによって吸着等温線を収集し始める。次にサンプルを、クリプトンガス吸着を備えるASAP2420を使用して分析してもよい。これらの測定は、Micromeretics Analytical Services,Inc.(One Micromeritics Dr,Suite 200,Norcross,GA 30093)により行うことが推奨される。この技術に関するより多くの情報は、Micromeretics Analytical Servicesのウェブサイト(www.particletesting.com若しくはwww.micromeritics.com)上で入手可能であり、又はClyde Orr及びPaul Webb著「Analytical Methods in Fine particle Technology」という書籍において公開されている。
【実施例】
【0131】
実施例1:異なる可撓性溶解性多孔質物品によって実証された異なる50%圧縮力及び90%復元時間を示す比較試験
本発明による高い圧縮性及び復元性を有する可撓性溶解性多孔質物品の3つの本発明の実施例(A)~(C)が、物品の2つの比較例(1)~(2)と共に提供される。
【0132】
本発明の実施例(A)~(C)及び比較例(1)~(2)は、以下の湿潤(乾燥前)配合物及び乾燥(乾燥後)配合物を用いて、上記のようにドラム乾燥プロセスで作製された可撓性溶解性多孔質固体シートの複数の層を積み重ねることによって作製される。
【0133】
【0134】
【0135】
本発明の実施例(A)~(C)及び比較例(1)~(2)について、上記試験1に記載したように50%圧縮力及び復元時間を測定した。試験結果は以下のとおりである。
【0136】
【表3】
*レオメーターの最大力限界により、50%の体積圧縮に達するほど十分に圧縮することができなかった。約43%の最大体積圧縮に達することのみが可能である。
**圧縮サンプルがその元の厚さ/体積の90%に復元するのに要した時間。
【0137】
上記の実施例は、それぞれの50%圧縮力及び90%復元時間において、可撓性溶解性多孔質物品間の有意差を示す。したがって、例えば、通常の製造/輸送/保管条件下で適度な力を加えることによって、圧縮及び圧縮解除を介して取り扱う/操作するために、本発明による、より圧縮性である物品及びより復元性である物品(例えば、本発明の実施例)を選択することが望ましい。
【0138】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲の両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0139】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいかなる発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0140】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
【国際調査報告】