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特表2023-551019重水素化2-芳香族ヘテロ環-3-オキソ-2,3-ジヒドロピリダジン-4-カルボキサミド系阻害剤及びその製造方法並びに応用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-06
(54)【発明の名称】重水素化2-芳香族ヘテロ環-3-オキソ-2,3-ジヒドロピリダジン-4-カルボキサミド系阻害剤及びその製造方法並びに応用
(51)【国際特許分類】
   C07D 403/04 20060101AFI20231129BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20231129BHJP
   A61K 31/501 20060101ALI20231129BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
C07D403/04 CSP
C07D405/14
A61K31/501
A61P35/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532529
(86)(22)【出願日】2021-11-29
(85)【翻訳文提出日】2023-07-27
(86)【国際出願番号】 CN2021134146
(87)【国際公開番号】W WO2022111708
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】202011367513.8
(32)【優先日】2020-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521437839
【氏名又は名称】スーヂョウ ゼルゲン バイオファーマシューティカルズ カンパニー, リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU ZELGEN BIOPHARMACEUTICALS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 209 Chenfeng Road, Yushan Town, Kunshan, Suzhou, Jiangsu 215300, China
(71)【出願人】
【識別番号】522185151
【氏名又は名称】シャンハイ ゼルゲン ファーマ.テック カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI ZELGEN PHARMA.TECH CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Floor 3&4,Building 5,Lane 67 Libing Road,China(Shanghai)Pilot Free Trade Zone,Pudong New Area,Shanghai 201203 CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルー,ビンファ
(72)【発明者】
【氏名】ツェイ,ダーウェイ
(72)【発明者】
【氏名】リウ,リェンジュン
(72)【発明者】
【氏名】パン,シュードン
(72)【発明者】
【氏名】チャイ,チュアンク
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063AA03
4C063BB02
4C063BB09
4C063CC28
4C063CC73
4C063CC78
4C063DD22
4C063DD28
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC41
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZC41
(57)【要約】
本発明は、重水素化3-オキソ-2,3-ジヒドロピリダジン-4-カルボキサミド系阻害剤及びその製造方法並びに応用に関する。具体的に、本発明に係る化合物は式(I)で表される構造を有し、本発明は前記化合物の製造方法及びAhR阻害剤とする使用を更に開示し、本発明に係る化合物はAhRに対して優れた選択性抑制効果を有すると共に、より優れた薬力学性能や薬物動態学性能、及びより低い毒性と副作用を有する。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)で表される構造を有する重水素化3-オキソ-2,3-ジヒドロピリダジン-4-カルボキサミド系化合物、その立体異性体、互変異性体、結晶形、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物又はプロドラッグ。
【化1】
(式中、
R1は、置換された、C2~C6アルキル基、C3~C10シクロアルキル基、又は4~10員ヘテロ環基からなる群より選ばれ、そのうち、前記C2~C6アルキル基、C3~C10シクロアルキル基、又は4~10員ヘテロ環基が少なくとも1つのヒドロキシ基で置換される。
R2は、水素又は重水素からなる群より選ばれる。
R3は、置換された又は置換されていない、C1~C3アルキル基、C3~C6シクロアルキル基又は4~6員ヘテロ環基からなる群より選ばれる。
Xは、N又はCR4からなる群より選ばれる。
R4、R5、R6、R8、R9、又はR10は、水素又は重水素からなる群より選ばれる。
R7は、Cl、CF3、CHF2、OCF3、OCHF2、又はN(Me)2からなる群より選ばれる。
そのうち、前記置換は、水素、重水素、C1~C18アルキル基、重水素化C1~C18アルキル基、ハロゲン化C1~C18アルキル基、ハロゲン化C1~C18アルキルヒドロキシ基、C3~C20シクロアルキル基、C1~C18アルコキシ基、重水素化C1~C18アルコキシ基、ハロゲン化C1~C18アルコキシ基、C6~C14アリール基、5~14員ヘテロアリール基、4~20員ヘテロ環基、ハロゲン、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、エステル基、アミン基、アミド基、スルホンアミド基又は尿素基からなる群より選ばれる1つ又は複数の基で置換されることである。
限定条件として、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、又はR10の少なくとも1つは、重水素又は重水素原子含有置換基である。)
【請求項2】
一般式(II)で表される構造を有することを特徴とする、請求項1に記載の一般式(I)で表される構造を有する重水素化3-オキソ-2,3-ジヒドロピリダジン-4-カルボキサミド系化合物、その立体異性体、互変異性体、結晶形、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物又はプロドラッグ。
【化2】
(R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、及びR10の定義は請求項1に記載される通りである。)
【請求項3】
一般式(III)で表される構造を有することを特徴とする、請求項1に記載の一般式(I)で表される構造を有する重水素化3-オキソ-2,3-ジヒドロピリダジン-4-カルボキサミド系化合物、その立体異性体、互変異性体、結晶形、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物又はプロドラッグ。
【化3】
(式中、R11、R12、R13、及びR14は、それぞれ独立的に、置換された又は置換されていない、H、重水素、シアノ基、C1-C6アルキル基、C3-C6シクロアルキル基、又は4-6員ヘテロ環基からなる群より選ばれる。R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、及びR10の定義は請求項1に記載される通りである。)
【請求項4】
一般式(IV)で表される構造を有することを特徴とする、請求項1に記載の一般式(I)で表される構造を有する重水素化3-オキソ-2,3-ジヒドロピリダジン-4-カルボキサミド系化合物、その立体異性体、互変異性体、結晶形、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物又はプロドラッグ。
【化4】
(式中、R11、R12、R13、及びR14は、それぞれ独立的に、置換された又は置換されていない、H、重水素、シアノ基、C1~C6アルキル基、C3~C6シクロアルキル基、又は4~6員ヘテロ環基からなる群より選ばれ、R2、R3、R4、R5、R6、R8、R9、及びR10の定義は請求項1及び3に記載される通りである。)
【請求項5】
R3は、CH3、CD3からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の一般式(I)で表される構造を有する重水素化3-オキソ-2,3-ジヒドロピリダジン-4-カルボキサミド系化合物、その立体異性体、互変異性体、結晶形、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物又はプロドラッグ。
【請求項6】
R13及びR14は、それぞれ独立的に、重水素であることを特徴とする、請求項1に記載の一般式(I)で表される構造を有する重水素化3-オキソ-2,3-ジヒドロピリダジン-4-カルボキサミド系化合物、その立体異性体、互変異性体、結晶形、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物又はプロドラッグ。
【請求項7】
前記化合物は、
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の一般式(I)で表される構造を有する重水素化3-オキソ-2,3-ジヒドロピリダジン-4-カルボキサミド系化合物、その立体異性体、互変異性体、結晶形、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物又はプロドラッグ。
【請求項8】
一般式(I)で表される構造を有する重水素化3-オキソ-2,3-ジヒドロピリダジン-4-カルボキサミド系化合物、その立体異性体、互変異性体、結晶形、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物又はプロドラッグの製造方法であって、
【化10】
(i)第1アルカリ(例えば酢酸ナトリウム)の存在下で、式(P-1)化合物と式(Q)化合物を反応させて、式(P-2)化合物を得るステップと、
(ii)銅塩(例えばCuCl2)の存在下で、式(P-2)化合物を脱水素反応させて、式(P-3)化合物を得るステップと、
(iii)第2アルカリ(例えばLiOH)の存在下で、式(P-3)化合物を加水分解させて、式(P-4)化合物を得るステップと、
(iv)式(P-4)化合物とアミン(R1H)とを反応させて、式(I)化合物を得るステップと、を含むことを特徴とする、前記製造方法。
(式中、R1、R2、R3、R5、R6、R7、R8、R9、R10、及びXの定義は請求項1に記載される通りである。)
【請求項9】
i)1種又は複数種の、請求項1~5の何れか1項に記載の一般式(I)で表される構造を有する化合物、その立体異性体、互変異性体、結晶形、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物又はプロドラッグと、ii)薬学的に許容される担体と、を含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項10】
請求項1~7の何れか1項に記載の一般式(I)で表される構造を有する重水素化3-オキソ-2,3-ジヒドロピリダジン-4-カルボキサミド系化合物、その立体異性体、互変異性体、結晶形、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物又はプロドラッグ、或いは請求項9に記載の医薬組成物の使用であって、AhRにより仲介される疾患を予防及び/又は治療するための医薬組成物の製造に用いられることを特徴とする、前記使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬物分野に属し、具体的に、重水素化2-芳香族ヘテロ環-3-オキソ-2,3-ジヒドロピリダジン-4-カルボキサミド系阻害剤及びその製造方法並びに応用に関する。
【背景技術】
【0002】
芳香族炭化水素受容体(Aryl Hydrocarbon Receptor、AhR)はリガンドが活性化された転写因子であり、細胞増殖、新陳代謝及び免疫調節などを含む様々な細胞プロセスの調節に関与する。AhRは、PASヘテロ二量体パートナーARNT(芳香族炭化水素受容体カリオフェリン)、シャペロニン及び免疫様プロティン(例えばHSP90)、AIP(芳香族炭化水素受容体相互作用タンパク質)、p23、CK2(カゼインキナーゼ2)、PKC(プロテインキナーゼC)などを含む、様々な調節タンパク質及びシグナルタンパク質と相互作用することで、細胞シグナル伝達に影響することができる。また、AhRは、ホルモン受容体、低酸素、NF-KappaB、Rbタンパク質により仲介されるシグナル経路、MAPKシグナル経路、EGFRシグナル経路などと相互作用する。研究によれば、AhRは、肺がん、結腸直腸がん、頭頸部扁平上皮がんなどの様々な腫瘍においてAhRの高発現を観察しており、腫瘍微小環境において免疫抑制の調節に対して重要な役割を果たしている。前臨床研究によれば、活性化し続けされたマウスは腫瘍が自発的に発生する。
【0003】
AhRは、樹状細胞(dendritic cells、DCs)、マクロファージ、T細胞及びNK細胞などを含む、免疫系の多くの細胞に発現される。AhRは、(1)内因性AhRリガンドのようにTMEにおけるTreg細胞の発育を促進できることと、(2)AhRが様々な仕組みによりTh17細胞の分化を促進し、一方で、AhRがTh17プロモーターにおけるDRE部位に結合することで、Th17の発現を調節し、更に、AhRがStat3と共同でIkarosファミリーメンバーAiolos(IKZF3)の発現を誘導し、IL-2の発現を低下させると共に、Th17細胞の生成を促進することができることと、(3)AhRとc-Mafとの相互作用がマウス及びヒトTr1制御性細胞の発育にとって非常に重要であることと、(4)AhRがB細胞の初期遺伝子EBF1とPAX5の転写を制御することで、B細胞の分化を調節することとなど、免疫調節において重要な役割を果たしている。免疫系における細胞が内因性及び外因性AhRリガンドに曝露し続ける。これらのリガンドは生理機能を乱し、免疫の安定状態を変更して、炎症性疾患、自己免疫性疾患及びがんに進展する。AhRによる抑制は免疫抑制を軽減することで、免疫治療を更に有効化させることができる。
【0004】
PAH(多環芳香族炭化水素)、ダイオキシン(例えばTCDD)及びポリ塩化ビフェニルなどの外因性リガンドは、大部分の毒性反応の根源である。これらの環境毒素に結合した後、シトクロムp450酵素など(CYP1A1、CYP1A2、及びCYP1B1など)、AhRにより誘導される代謝仕組みは環境毒素を除去する。研究によれば、TCDDなどの外因性リガンドによるAhR活性化は、胚発生、腫瘍発生及び炎症などの多くの細胞プロセスにおいて役割を果たしていることが証明された。
【0005】
AhRは外因性リガンド以外に、トリプトファン分解により得られた代謝産物にも結合することができる。kynurenine及びkynurenic acidのようなトリプトファン代謝物は内因性AhRリガンドであり、生理的条件でAhRを活性化させることができる。kynurenine及びトリプトファン分解の免疫抑制特性は十分に証明されており、且つがん関連の免疫抑制に関する。トリプトファン分解経路において、インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ1及び2(IDO1/IDO2)並びにトリプトファン-2,3-ジオキシゲナーゼ2(TDO2)は、トリプトファン代謝を触媒として進行させる第1ステップ及び速度調整ステップを担当する。動物モデルにおいて、抗腫瘍免疫反応を低下させること及びIDOを抑制することで、腫瘍の形成を抑制することができる。がんにおいてTDO2も高発現を示し、免疫抑制に繋がるkynurenineを発生する。神経膠腫において、kynurenineはAhRを活性化させ、トリプトファン分解を仲介する下流により抗腫瘍免疫反応を抑制すると共に、腫瘍細胞の生存及び活性を直接的に促進することで、腫瘍成長を促進する。そのため、腫瘍細胞で産生されたAhRリガンドは、自己分泌及び傍分泌により腫瘍細胞及びリンパ球にそれぞれ作用して、腫瘍成長を促進する。
【0006】
AhR標的タンパク質が病理学上の様々な疾患に関することから、現在、臨床治療向けの新しいAhR阻害剤が必要とする。高選択性且つ高活性のAhR阻害剤は、AhR異常により仲介されるがんなどの疾患をより効果的に治療すると共に、オフターゲット効果の潜在力を低減させることができるため、より切迫した臨床需要を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、AhRに対して選択性抑制効果及び/又はより優れた薬力学性能を有する新しい化合物及びその使用を提供すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様は、一般式(I)で表される構造を有する重水素化3-オキソ-2,3-ジヒドロピリダジン-4-カルボキサミド系化合物、その立体異性体、互変異性体、結晶形、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物又はプロドラッグを提供する。
【化1】
(式中、
R1は、置換された、C2~C6アルキル基、C3~C10シクロアルキル基、又は4~10員ヘテロ環基からなる群より選ばれ、そのうち、上記C2~C6アルキル基、C3~C10シクロアルキル基、又は4-10員ヘテロ環基が少なくとも1つのヒドロキシ基で置換される。
R2は、水素又は重水素からなる群より選ばれる。
R3は、置換された又は置換されていない、C1~C3アルキル基、C3~C6シクロアルキル基又は4~6員ヘテロ環基からなる群より選ばれる。
Xは、N又はCR4からなる群より選ばれる。
R4、R5、R6、R8、R9、又はR10は、水素又は重水素からなる群より選ばれる。
R7は、Cl、CF3、CHF2、OCF3、OCHF2、又はN(Me)2からなる群より選ばれる。
そのうち、上記置換は、水素、重水素、C1~C18アルキル基、重水素化C1~C18アルキル基、ハロゲン化C1~C18アルキル基、ハロゲン化C1~C18アルキルヒドロキシ基、C3~C20シクロアルキル基、C1~C18アルコキシ基、重水素化C1~C18アルコキシ基、ハロゲン化C1~C18アルコキシ基、C6~C14アリール基、5~14員ヘテロアリール基、4~20員ヘテロ環基、ハロゲン、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、エステル基、アミン基、アミド基、スルホンアミド又は尿素基からなる群より選ばれる1つ又は複数の基で置換されることである。
限定条件として、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、又はR10の少なくとも1つは、重水素又は重水素原子含有置換基である。)
【0009】
別の好適例において、上記化合物は一般式(II)で表される構造を有する。
【化2】
(R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、及びR10の定義は上記に示される通りである。)
別の好適例において、上記R1は、置換された又は置換されていないC3~C10シクロアルキル基、或いは置換された又は置換されていない飽和の4~10員ヘテロ環基である。
【0010】
別の好適例において、上記化合物は一般式(III)で表される構造を有する。
【化3】
(式中、R11、R12、R13、及びR14は、それぞれ独立的に、置換された又は置換されていない、H、重水素、シアノ基、C1~C6アルキル基、C3~C6シクロアルキル基、又は4~6員ヘテロ環基からなる群より選ばれ、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、及びR10の定義は上記に示される通りである。)
【0011】
別の好適例において、上記R11又はR12は、D、CN、CH3、CD3、CF3、イソプロピル基、C3~C6シクロアルキル基、又は4~6員ヘテロ環基からなる群より選ばれる。
別の好適例において、上記R11又はR12と連結する炭素原子は不斉炭素原子であり、且つ上記不斉炭素原子の立体配置はR型又はS型である。
【0012】
別の好適例において、上記化合物は一般式(IV)で表される構造を有する。
【化4】
(式中、R11、R12、R13、及びR14は、それぞれ独立的に、置換された又は置換されていない、H、重水素、シアノ基、C1~C6アルキル基、C3~C6シクロアルキル基、又は4~6員ヘテロ環基からなる群より選ばれ、R2、R3、R4、R5、R6、R8、R9、及びR10の定義は上記に示される通りである。)
【0013】
別の好適例において、R3は、CH3、CD3からなる群より選ばれる。
別の好適例において、R13及びR14は、それぞれ独立的に、重水素である。
別の好適例において、R2は、Dである。
別の好適例において、R3は、CD3である。
別の好適例において、R9及びR10は、それぞれ独立的に、重水素である。
別の好適例において、R4、R5、R6、R8は、それぞれ独立的に、重水素である。
別の好適例において、R4、R6は、それぞれ独立的に、重水素である。
別の好適例において、R5、R8は、それぞれ独立的に、重水素である。
【0014】
別の好適例において、上記化合物は、
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
からなる群より選ばれる。
【0015】
本発明の第2態様は、一般式(I)で表される構造を有する重水素化3-オキソ-2,3-ジヒドロピリダジン-4-カルボキサミド系化合物、その立体異性体、互変異性体、結晶形、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物又はプロドラッグの製造方法であって、
【化9】
(i)第1アルカリ(例えば酢酸ナトリウム)の存在下で、式(P-1)化合物と式(Q)化合物を反応させて、式(P-2)化合物を得るステップと、
(ii)銅塩(例えばCuCl2)の存在下で、式(P-2)化合物を脱水素反応させて、式(P-3)化合物を得るステップと、
(iii)第2アルカリ(例えばLiOH)の存在下で、式(P-3)化合物を加水分解させて、式(P-4)化合物を得るステップと、
(iv)式(P-4)化合物とアミン(R1H)とを反応させて、式(I)化合物を得るステップと、を含む製造方法を提供する。
(式中、R1、R2、R3、R5、R6、R7、R8、R9、R10、及びXの定義は上記に示される通りである。)
【0016】
本発明の第3態様は、i)1種又は複数種の本発明の第1態様に係る一般式(I)で表される構造を有する化合物、その立体異性体、互変異性体、結晶形、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物又はプロドラッグと、ii)薬学的に許容される担体と、を含む医薬組成物を提供する。
【0017】
本発明の第4態様は、本発明の第1態様に係る一般式(I)で表される構造を有する重水素化3-オキソ-2,3-ジヒドロピリダジン-4-カルボキサミド系化合物、その立体異性体、互変異性体、結晶形、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物又はプロドラッグ、或いは本発明の第3態様に係る医薬組成物の使用において、AhRにより仲介される疾患を予防及び/又は治療するための医薬組成物の製造に利用することを特徴とする、使用を提供する。
【0018】
別の好適例において、上記AhR異常により仲介される疾患は腫瘍又は障害疾患である。
別の好適例において、上記疾患は、肺がん、乳がん、前立腺がん、食道がん、結腸直腸がん、骨がん、腎がん、胃がん、肝がん、黒色腫、リンパ腫、白血病、脳腫瘍、骨髄腫、軟部肉腫、膵臓がん、皮膚がんからなる群より選ばれる。本発明の別の様態は、必要とする患者に、本発明の第1態様に係る一般式(I)の化合物、その立体異性体、互変異性体、結晶形、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物又はプロドラッグを有効量で投与し、或いは本発明の第3態様に係る医薬組成物を投与するステップを含む、AhRの抑制方法を提供する。
【0019】
本発明の範囲内において、本発明の上記各技術特徴と下記(例えば実施例)で具体的に記述した各技術特徴を互いに組合せることで、新しい又は好ましい実施形態を構成することができると理解すべきである。冗長な文章にならないように、ここで詳しく記述しない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】抗腫瘍活性薬力学試験における腫瘍成長グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明者は長期的に鋭意研究した結果、AhRに対して選択性抑制効果及び/又はより優れた薬力学性能を有する新しい化合物を意外に発見した。本発明者はこれに基づいて、本発明を完成した。
【0022】
用語
本発明において、特に断りのない限り、使用される用語は当業者にとって周知の一般的な意味を有する。
用語「アルキル基」は、直鎖又は分岐鎖又は環状アルキル基であり、1~20個の炭素原子を含み、例えば、1~18個の炭素原子であり、特に1~18個の炭素原子である。代表的な「アルキル基」は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、イソブチル基、
【化10】
、ペンチル基、イソペンチル基、ヘプチル基、4,4-ジメチルペンチル基、オクチル基、2,2,4-トリメチルペンチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基などを含む。
【0023】
用語「C1~C18アルキル基」は、直鎖又は分岐鎖又は環状アルキル基であり、1~18個の炭素原子を含み、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基(
【化11】
)、n-ブチル基、t-ブチル基、イソブチル基(例えば
【化12】
)、n-ペンチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基である。「置換アルキル基」は、1つ又は複数の位置が置換されたアルキル基であり、特に1~4個の置換基があり、任意の位置で置換されてもよい。代表的な置換は、水素、重水素、ハロゲン(例えば、モノハロゲン置換基又はポリハロゲン置換基、後者は例えば、トリフルオロメチル基又はCl3を含むアルキル基)、ニトリル基、ニトロ基、酸素(例えば=O)、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、ヘテロ環、芳香環、ORa、SRa、S(=O)Re、S(=O)2Re、P(=O)2Re、S(=O)2ORe、P(=O)2ORe、NRbRc、NRbS(=O)2Re、NRbP(=O)2Re、S(=O)2NRbRc、P(=O)2NRbRc、C(=O)ORd、C(=O)Ra、C(=O)NRbRc、OC(=O)Ra、OC(=O)NRbRc、NRbC(=O)ORe、NRdC(=O)NRbRc、NRdS(=O)2NRbRc、NRdP(=O)2NRbRc、NRbC(=O)Ra、又はNRbP(=O)2Reの1つ又は複数の基を含むが、これらに限定されず、そのうち、ここのRaは独立的に、水素、重水素、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、ヘテロ環又は芳香環を示し、Rb、Rc及びRdは独立的に、水素、重水素、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロ環又は芳香環を示し、或いはRb及びRcはN原子と共にヘテロ環を形成してもよく、Reは独立的に、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、ヘテロ環又は芳香環を示す。例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、ヘテロ環又は芳香環などの、上記代表的な置換基は、任意に置換されてもよい。
【0024】
用語「シクロアルキル基」は、完全飽和の環状炭化水素系化合物基であり、1~4個の環を含み、各環に3~8個の炭素原子を含む。「置換シクロアルキル基」は、1つ又は複数の位置が置換されたシクロアルキル基であり、特に1-4個の置換基があり、任意の位置で置換されてもよい。代表的な置換は、水素、重水素、ハロゲン(例えば、モノハロゲン置換基又はポリハロゲン置換基、後者は例えば、トリフルオロメチル基又はCl3を含むアルキル基)、ニトリル基、ニトロ基、酸素(例えば=O)、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、ヘテロ環、芳香環、ORa、SRa、S(=O)Re、S(=O)2Re、P(=O)2Re、S(=O)2ORe、P(=O)2ORe、NRbRc、NRbS(=O)2Re、NRbP(=O)2Re、S(=O)2NRbRc、P(=O)2NRbRc、C(=O)ORd、C(=O)Ra、C(=O)NRbRc、OC(=O)Ra、OC(=O)NRbRc、NRbC(=O)ORe、NRdC(=O)NRbRc、NRdS(=O)2NRbRc、NRdP(=O)2NRbRc、NRbC(=O)Ra、又はNRbP(=O)2Reの1つ又は複数の基を含むが、これらに限定されず、そのうち、ここのRaは独立的に、水素、重水素、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、ヘテロ環又は芳香環を示し、Rb、Rc及びRdは独立的に、水素、重水素、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロ環又は芳香環を示し、或いはRb及びRcはN原子と共にヘテロ環を形成してもよく、Reは独立的に、水素、重水素、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、ヘテロ環又は芳香環を示す。上記代表的な置換基は、任意に置換されてもよい。代表的な置換は、スピロ環、架橋環又は縮合環置換基を更に含み、特にスピロシクロアルキル基、スピロシクロアルケニル基、スピロヘテロ環(ヘテロ芳香環を含まない)、架橋シクロアルキル基、架橋シクロアルケニル基、架橋ヘテロ環(ヘテロ芳香環を含まない)、縮合シクロアルキル基、縮合シクロアルケニル基、縮合ヘテロ環基又は縮合芳香環基であり、上記シクロアルキル基、シクロアルケニル基、ヘテロ環基、及びヘテロアリール基は、任意に置換されてもよい。環における任意の2つ又は2つ以上の原子は、その他のシクロアルキル基、ヘテロ環基、アリール基、及びヘテロアリール基と更に環化連結してもよい。
【0025】
用語「ヘテロ環基」は、完全飽和又は一部不飽和の環状基(例えば、3~7員単環、6~11員二環、又は8~16員三環の系を含むが、これらに限定されない)であり、そのうち、少なくとも1つのヘテロ原子は少なくとも1つの炭素原子を有する環に存在する。ヘテロ原子を含むヘテロ環のそれぞれは1、2、3又は4個のヘテロ原子を有してもよく、これらのヘテロ原子は窒素原子、酸素原子又は硫黄原子からなる群より選ばれ、そのうち、窒素原子又は硫黄原子は酸化されてもよく、窒素原子は第四級化されてもよい。ヘテロ環基は、環又は環系分子の任意のヘテロ原子又は炭素原子の残基に連結されてもよい。代表的な単環式ヘテロ環は、アゼチジニル基、ピロリジニル基、オキセタニル基、ピラゾリニル基、イミダゾリニル基、イミダゾリジニル基、オキサゾリジニル基、イソオキサゾリジニル基、チアゾリジニル基、イソチアゾリジニル基、テトラヒドロフラニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、2-オキソピペラジニル基、2-オキソピペリジニル基、2-オキソピロリジニル基、ヘキサヒドロアゼピニル基、4-ピペリドニル基、テトラヒドロピラニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、チオモルホリニルスルホキシド基、チオモルホリニルスルフリル基、1,3-ジオキサニル基、及びテトラヒドロ-1,1-ジオキシチオフェンなどを含むが、これらに限定されない。多環式ヘテロ環基は、スピロ環、縮合環、及び架橋環のヘテロ環基を含み、そのうち、係るスピロ環、縮合環、及び架橋環のヘテロ環基は、単結合により任意にその他の基と連結し、或いは環における任意の2つ又は2つ以上の原子によりその他のシクロアルキル基、ヘテロ環基、アリール基、及びヘテロアリール基と更に環化連結し、ヘテロ環基は、置換されたもの又は置換されていないものでもよいが、置換された場合、置換基は、独立的に、アルキル基、重水素化アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、ハロゲン、アミノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、スルフヒドリル基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロ環基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキルチオ基、オキソ基、カルボキシ基、及びカルボキシラート基からなる群より選ばれる1つ又は複数の基が好ましく、そのうち、環における任意の2つ又は2つ以上の原子は、その他のシクロアルキル基、ヘテロ環基、アリール基、及びヘテロアリール基と更に環化連結してもよい。
【0026】
用語「アリール基」は、芳香環状炭化水素系化合物基であり、1~5個の環を有し、特に単環基及び二環基であり、例えば、フェニル基、ビフェニル基又はナフチル基である。2つ又は2つ以上の芳香環(二環など)を含む場合、アリール基の芳香環は単結合により連結してもよく(例えば、キセネン)、又は縮合してもよい(例えば、ナフタレン、アントラセンなど)。「置換アリール基」は、1つ又は複数の位置が置換されたアリール基であり、特に1-3個の置換基があり、任意の位置で置換されてもよい。代表的な置換は、水素、重水素、ハロゲン(例えば、モノハロゲン置換基又はポリハロゲン置換基、後者は例えば、トリフルオロメチル基又はCl3を含むアルキル基)、ニトリル基、ニトロ基、酸素(例えば=O)、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、ヘテロ環、芳香環、ORa、SRa、S(=O)Re、S(=O)2Re、P(=O)2Re、S(=O)2ORe、P(=O)2ORe、NRbRc、NRbS(=O)2Re、NRbP(=O)2Re、S(=O)2NRbRc、P(=O)2NRbRc、C(=O)ORd、C(=O)Ra、C(=O)NRbRc、OC(=O)Ra、OC(=O)NRbRc、NRbC(=O)ORe、NRdC(=O)NRbRc、NRdS(=O)2NRbRc、NRdP(=O)2NRbRc、NRbC(=O)Ra、又はNRbP(=O)2Reの1つ又は複数の基を含むが、これらに限定されず、そのうち、ここのRaは独立的に、水素、重水素、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、ヘテロ環又は芳香環を示し、Rb、Rc及びRdは独立的に、水素、重水素、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロ環又は芳香環を示し、或いはRb及びRcはN原子と共にヘテロ環を形成してもよく、Reは独立的に、水素、重水素、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、ヘテロ環又は芳香環を示す。上記代表的な置換基は、任意に置換されてもよい。代表的な置換は、縮合環置換基を更に含み、特に縮合シクロアルキル基、縮合シクロアルケニル基、縮合ヘテロ環基又は縮合芳香環基であり、上記シクロアルキル基、シクロアルケニル基、ヘテロ環基、及びヘテロアリール基は、任意に置換されてもよい。
【0027】
用語「ヘテロアリール基」は、1~4個のヘテロ原子、5~14個の環原子を含むヘテロ芳香族系であり、そのうち、ヘテロ原子は酸素、窒素及び硫黄からなる群より選ばれる。ヘテロアリール基は、5~10員環が好ましく、5員又は6員がより好ましく、例えば、ピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、イソチアゾリル基、フラニル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、チアジニル基、トリアゾリル基、及びテトラゾリル基などである。「ヘテロアリール基」は、置換されたもの又は置換されていないものでもよいが、置換された場合、置換基は、独立的にアルキル基、重水素化アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、ハロゲン、アミノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、スルフヒドリル基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロ環基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキルチオ基、オキソ基、カルボキシ基、及びカルボキシラート基からなる群より選ばれる1つ又は複数の基であることが好ましい。
【0028】
用語「ハロゲン」又は「ハロ」は塩素、臭素、フッ素、ヨウ素である。
用語「ハロゲン化」はハロゲンで置換されることである。
用語「重水素化」は重水素で置換されることである。
用語「ヒドロキシ基」は構造OHを有する基である。
用語「ニトロ基」は構造NO2を有する基である。
用語「シアノ基」は構造CNを有する基である。
【0029】
用語「エステル基」は構造-COORを有する基であり、そのうち、Rは、水素、アルキル基又は置換されたアルキル基、シクロアルキル基又は置換されたシクロアルキル基、シクロアルケニル基又は置換されたシクロアルケニル基、アリール基又は置換されたアリール基、ヘテロ環又は置換されたヘテロ環を示す。
【0030】
用語「アミド基」は構造-NRR’を有する基であり、そのうち、R及びR’は独立的に、水素、アルキル基又は置換されたアルキル基、シクロアルキル基又は置換されたシクロアルキル基、シクロアルケニル基又は置換されたシクロアルケニル基、アリール基又は置換されたアリール基、ヘテロ環又は置換されたヘテロ環を示し、上記に定義される。R及びR’は、ジアルキルアミン断片において相同又は相異であってもよい。
【0031】
用語「アシルアミド基」は構造-CONRR’を有する基であり、そのうち、R及びR’は独立的に、水素、アルキル基又は置換されたアルキル基、シクロアルキル基又は置換されたシクロアルキル基、シクロアルケニル基又は置換されたシクロアルケニル基、アリール基又は置換されたアリール基、ヘテロ環又は置換されたヘテロ環を示し、上記に定義される。R及びR’は、ジアルキルアミン断片において相同又は相異であってもよい。
【0032】
用語「スルファミド基」は構造-SO2NRR’を有する基であり、そのうち、R及びR’は独立的に、水素、アルキル基又は置換されたアルキル基、シクロアルキル基又は置換されたシクロアルキル基、シクロアルケニル基又は置換されたシクロアルケニル基、アリール基又は置換されたアリール基、ヘテロ環又は置換されたヘテロ環を示し、上記に定義される。R及びR’は、ジアルキルアミン断片において相同又は相異であってもよい。
【0033】
用語「カルバミド基」は構造-NRCONR’R”を有する基であり、そのうち、R、R’及びR”は独立的に、水素、アルキル基又は置換されたアルキル基、シクロアルキル基又は置換されたシクロアルキル基、シクロアルケニル基又は置換されたシクロアルケニル基、アリール基又は置換されたアリール基、ヘテロ環又は置換されたヘテロ環を示し、上記に定義される。R、R’及びR”はジアルキルアミン断片において相同又は相異であってもよい。
【0034】
用語「アルキルアミドアルキル基」は構造-RNHR’を有する基であり、そのうち、R及びR’は独立的に、水素、アルキル基又は置換されたアルキル基、シクロアルキル基又は置換されたシクロアルキル基、シクロアルケニル基又は置換されたシクロアルケニル基、アリール基又は置換されたアリール基、ヘテロ環又は置換されたヘテロ環を示し、上記に定義される。R及びR’は相同又は相異であってもよい。
【0035】
用語「ジアルキルアミドアルキル基」は構造-RNHR’R”を有する基であり、そのうち、R、R’及びR”は独立的に、アルキル基又は置換されたアルキル基、シクロアルキル基又は置換されたシクロアルキル基、シクロアルケニル基又は置換されたシクロアルケニル基、アリール基又は置換されたアリール基、ヘテロ環又は置換されたヘテロ環を示し、上記に定義される。R、R’及びR”はジアルキルアミン断片において相同又は相異であってもよい。
【0036】
用語「ヘテロ環アルキル基」は構造-RR’を有する基であり、そのうち、Rは独立的に、アルキル基又は置換されたアルキル基、シクロアルキル基又は置換されたシクロアルキル基、シクロアルケニル基又は置換されたシクロアルケニル基、アリール基又は置換されたアリール基を示し、R’はヘテロ環又は置換されたヘテロ環を示す。
【0037】
本発明において、用語「置換」は特定の基における1つ又は複数の水素原子が特定の置換基で置換されることである。特定の置換基は上記で記述された置換基、又は各実施例で記述された置換基である。特に断りのない限り、特定の置換された基は当該基の任意の置換可能な位置に特定の群からなる群より選ばれる1つの置換基を有してもよく、上記置換基は各位置において相同又は相異であってもよい。当業者は、本発明の期待される置換基の組合せは、安定的又は化学的に実現可能な組合せであると理解すべきである。上記置換基は、例えば、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシ基(-COOH)、C1~C6アルキル基、C2~C6アルケニル基、C2~C6アルキニル基、C3~C8シクロアルキル基、3~12員ヘテロ環基、アリール基、ヘテロアリール基、C1~C8アルデヒド基、C2~C10アシル基、C2~C10エステル基、アミド基、C1~C6アルコキシ基、C1~C10スルホニル基、及びC1~C6カルバミド基などである(これらに限定されない)。
【0038】
特に断りのない限り、原子価状態が未満である任意のヘテロ原子に対して原子価状態を補充するための十分な水素原子があると仮定する。
置換基は非末端置換基である場合、対応する基の二価基であり、例えば、アルキル基の場合はアルキレン基、シクロアルキル基の場合はシクロアルキレン基、ヘテロ環基の場合はアルキレン化ヘテロ環基、アルコキシ基の場合はアルキレンオキシ基である。
【0039】
活性成分
本発明は、一般式(I)で表される構造を有する重水素化3-オキソ-2,3-ジヒドロピリダジン-4-カルボキサミド系化合物、その立体異性体、互変異性体、結晶形、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物又はプロドラッグを提供する。
【化13】
(式中、
R1は、置換された、C2~C6アルキル基、C3~C10シクロアルキル基、又は4~10員ヘテロ環基からなる群より選ばれ、そのうち、上記C2~C6アルキル基、C3~C10シクロアルキル基、又は4~10員ヘテロ環基が少なくとも1つのヒドロキシ基で置換される。
R2は、水素又は重水素からなる群より選ばれる。
R3は、置換された又は置換されていない、C1~C3アルキル基、C3~C6シクロアルキル基又は4~6員ヘテロ環基からなる群より選ばれる。
Xは、N又はCR4からなる群より選ばれる。
R4、R5、R6、R8、R9、又はR10は、水素又は重水素からなる群より選ばれる。
R7は、Cl、CF3、CHF2、OCF3、OCHF2、又はN(Me)2からなる群より選ばれる。
そのうち、上記置換は、水素、重水素、C1~C18アルキル基、重水素化C1~C18アルキル基、ハロゲン化C1~C18アルキル基、ハロゲン化C1~C18アルキルヒドロキシ基、C3~C20シクロアルキル基、C1~C18アルコキシ基、重水素化C1~C18アルコキシ基、ハロゲン化C1~C18アルコキシ基、C6~C14アリール基、5~14員ヘテロアリール基、4~20員ヘテロ環基、ハロゲン、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、エステル基、アミン基、アミド基、スルホンアミド基又は尿素基からなる群より選ばれる1つ又は複数の基で置換されることである。
限定条件として、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、又はR10の少なくとも1つは、重水素又は重水素原子含有置換基である。)
【0040】
本発明における化合物が形成し得る塩も本発明の範囲に属する。特に断りのない限り、本発明における化合物は、その塩類を含むものと理解される。ここで使用する用語「塩」は、無機又は有機の酸及び塩基で形成された酸性又は塩基性の塩である。また、本発明に係る化合物は、1つの塩基性断片を含む場合、ピリジン又はイミダゾールを含むが、これらに限定されず、1つの酸性断片を含む場合、カルボン酸を含むが、これらに限定されず、形成可能な双性イオン(「分子内塩」)が用語「塩」の範囲内に含まれる。薬学的に許容される(即ち、毒性がなく、生理的に許容される)塩は最適であるが、その他の塩類も利用可能であり、例えば、製造過程における分離又は精製ステップに利用できる。本発明に係る化合物は塩を形成することが可能であり、例えば、化合物Iを一定量、例えば同じ当量の酸又は塩基と反応させて、媒体中で塩を析出させ、又は水溶液中で凍結乾燥させることで塩を得る。
【0041】
本発明における化合物に含まれる塩基性断片は、アミン又はピリジン又はイミダゾール環を含むがこれらに限定されず、有機又は無機酸と塩を形成する可能性がある。代表的な酸から形成される塩は、酢酸塩(例えば、酢酸又はトリフルオロ酢酸などのトリハロゲン化酢酸を利用)、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、硫酸水素塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、カンフル酸塩、カンフルスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグリコール酸塩、ラウリル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、カプロン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、ヒドロキシエタンスルホン酸塩(例えば、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩)、乳酸塩、マレイン酸塩、メシル酸塩、ナフタレンスルホン酸塩(例えば、2-ナフタレンスルホン酸塩)、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニルプロピオン酸塩(例えば、3-フェニルプロピオン酸塩)、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩(例えば、硫酸と形成されたもの)、スルホン酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩などのトルエンスルホン酸塩、ドデカン酸塩などを含む。
【0042】
本発明の特定の化合物に含有可能な酸性断片は、カルボン酸を含むが、これらに限定されず、様々な有機又は無機塩基と塩を形成する可能性がある。代表的な塩基と形成する塩は、アンモニウム塩、例えば、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、例えば、ベンザチン、ジシクロヘキシルアミン、ヒドラバミン(N,N-ビス(デヒドロアビエチル)エチレンジアミンと形成する塩)、N-メチル-D-グルコサミン、N-メチル-D-グルコンアミド、t-ブチルアミンなどの有機塩基と形成する塩(例えば、有機アミン)、及びアルギニン、リジンなどのアミノ酸と形成する塩を含む。塩基性窒素含有基は、例えば、小分子ハロゲン化アルキル(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基の塩化物、臭化物、及びヨウ化物)、ジアルキル硫酸塩(例えば、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジブチル、及び硫酸ジペンチル)、長鎖ハロゲン化物(例えば、デシル基、ドデシル基、ミリスチル基、及びミリスチル基の塩化物、臭化物、及びヨウ化物)、ハロゲン化アラルキル(例えば、ベンジル基、及びフェニル基の臭化物)などのハロゲン化物と第4級アンモニウム塩を形成できる。
【0043】
本発明に係る化合物のプロドラッグ及び溶媒和物も範囲内に含まれている。ここの用語「プロドラッグ」は化合物であり、関連疾患の治療にあたって、代謝又は化学過程の化学変換により本発明に係る化合物、塩、又は溶媒和物が産生される。本発明に係る化合物は水和物などの溶媒和物を含む。
【0044】
本発明に係る化合物、塩又は溶媒和物、存在可能な互変異性形態(例えば、アシルアミド、及びイミノエーテル)、これらの全ての互変異性体は本発明の一部である。
エナンチオマー形態及びジアステレオマー形態を含む全ての化合物の立体異性体(例えば、様々な置換に対して存在可能な不斉炭素原子)は、本発明の想定範囲に含まれる。本発明に係る化合物は、独立の立体異性体であり、その他の異性体と同時に存在しなくてもよく(例えば、1つの純粋な又は実質的に純粋な光学異性体として特別な活性を有する)、或いはラセミ体などの混合物であってもよく、又は全てのその他の立体異性体又はその一部と形成する混合物であってもよい。本発明の不斉中心はS又はRの2種の立体配置があり、1974年に国際純正応用化学連合(IUPAC)の提案により定義された。ラセミ形態は、分別結晶などの物理的方法で解決でき、又はジアステレオ異性体に誘導されることで結晶を分離し、又はキラルカラムクロマトグラフィーにより分離される。単一の光学異性体は適切な方法でラセミ体から得られ、該方法は例えば、光学活性酸と塩を形成してから結晶する方法など、従来の方法を含むが、これらに限定されない。
【0045】
本発明における化合物は、製造、分離精製を順次経て得られる当該化合物の重量含有量が90%以上、例えば、95%以上、99%以上(「非常に純粋な」化合物)であることは、本明細書の説明に記載されている。ここでこの「非常に純粋な」本発明の化合物もまた本発明の一部である。
【0046】
本発明に係る化合物の立体配置異性体は、混合物にしても、純粋な又は非常に純粋な形態にしても、全て範囲内に含まれる。本発明に係る化合物の定義はシス(Z)及びトランス(E)の2種のオレフィン異性体、並びに炭素環及びヘテロ環のシス及びトランス異性体を含む。
全明細書において、基及び置換基は安定的な断片と化合物を提供するように選択されてもよい。
【0047】
特定官能基と化学用語の定義は下記に詳しく紹介する。本発明にとって、化学元素の定義はPeriodic Table of the Elements, CAS version, Handbook of Chemistry and Physics, 75th Ed.と同じである。特定官能基の定義もこの中に記述されている。また、有機化学の基本原則及び特定官能基と反応性は“Organic Chemistry”, Thomas Sorrell, University Science Books, Sausalito: 1999,にも説明され、その全内容が参考文献に組み込まれている。
【0048】
本発明に係る特定の化合物は、特定の幾何又は立体異性体の形態で存在してもよい。本発明に含まれる全ての化合物は、そのシスとトランス異性体、RとSエナンチオマー、ジアステレオマー、(D)型異性体、(L)型異性体、ラセミ混合物、及びその他の混合物を含む。また、不斉炭素原子は、アルキル基などの置換基を示してもよい。全ての異性体及びこれらの混合物は本発明に含まれる。
【0049】
本発明によれば、異性体の混合物に含まれる異性体の比率が様々であってもよい。例えば、2つの異性体だけの混合物は、50:50、60:40、70:30、80:20、90:10、95:5、96:4、97:3、98:2、99:1、又は100:0の組合せであってもよく、異性体の全ての比率が本発明の範囲内である。当業者が理解しやすい類似の比率、及びより複雑な異性体の混合物の比率も本発明の範囲内である。
【0050】
本発明は同位体で標識された化合物を更に含み、始発化合物がここで開示されたことと同様である。ところが、実際に、1つ又は複数の原子が原子量又は質量数の異なる原子で置換されることは一般的にある。本発明に係る化合物の同位体として挙げられる例は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素及び塩素の同位体を含み、例えば、それぞれ、2H、3H、13C、11C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F及び36Clである。本発明に係る化合物、又はエナンチオマー、ジアステレオマー、異性体、又は薬学的に許容される塩又は溶媒和物、上記化合物の同位体又はその他の同位体原子を含むものは、本発明の範囲内である。本発明に係る特定の同位体で標識された化合物、例えば3Hと14Cの放射性同位体で標識された化合物も含まれ、薬物及び基質の組織分布実験において有用である。三重水素、即ち、3H、及び炭素-14、即ち14Cは、製造と検出が比較的に容易できるため、最適な同位体である。また、比較的に重い同位体、例えば、重水素、即ち2Hによる置換は、より優れた代謝安定性を有することから、特定の治療において例えば、インビボで半減期の増加又は投与量の減少などの優位性がある。そのため、特定の場合では最優先に考慮してもよい。同位体で標識された化合物は一般的な方法を利用してもよく、入手しやすい同位体標識試薬を非同位体の試薬に取り替えることで、例示に開示された案で製造できる。
【0051】
本発明に係る化合物の特定のエナンチオマーの合成を設計する場合、不斉合成により製造してもよく、又はキラル添加剤で誘導し、得られたジアステレオマー混合物を分離し、キラル添加剤を除去して、純粋なエナンチオマーを得る。また、分子にアミノ酸などの塩基性官能基、又はカルボキシ基などの酸性官能基を含む場合、適切な光学活性の酸又は塩基とジアステレオ異性体塩を形成し、結晶分離又はクロマトグラフィーなどの通常手段で分離してから、純粋なエナンチオマーを得る。
【0052】
本明細書の上記に示される通り、本発明に係る化合物は、任意数の置換基又は官能基で置換されることで、その保護範囲が拡大される。通常、用語「置換」が用語「任意」の前又は後のどちらかにあるにも関わらず、本発明の配合に置換基の一般式を含むことは、指定の構造置換基で水素遊離基を置換することである。特定構造における多くの位置が多くの特定の置換基で置換された場合、置換基の各位置は相同又は相異であってもよい。本明細書で使用される用語「置換」は全ての許容される有機化合物で置換されることを含む。広義に捉える場合、許容される置換基は、非環状、環状、分岐鎖、非分岐鎖、炭素環、ヘテロ環、芳香環、非芳香環の有機化合物を含む。本発明において、ヘテロ原子である窒素は、その原子価状態を補充するための水素置換基又は任意の許容される上記有機化合物を有してもよい。また、本発明は任意の方式で許容される置換有機化合物を限定するものではない。本発明によれば、置換基と可変基の組合せは安定化合物の形態で、例えば、伝染病又は過形成性疾患などの疾患の治療にとって優れたものである。ここの用語「安定」は、安定的な化合物を有することであり、十分長い時間内で化合物構造を十分に維持できる完全性を検出し、好適的に十分長い時間内で有効であること、を目的とする。
【0053】
本願に係る化合物及びその薬学的に許容される塩の代謝産物、並びにインビボで本願に係る化合物及びその薬学的に許容される塩の構造に変換できるプロドラッグも、本願の請求範囲に含まれる。
【0054】
調製方法
以下、本発明の一般式(I)で表される構造の化合物の製造方法についてより具体的に記述するが、これらの具体的な方法は本発明を限定するものではない。本発明の化合物は、本明細書に記述され、又は本分野で既知される様々な合成方法を任意に組合せることで、容易に取得でき、これらの組合せは本発明に係る分野の当業者が容易に実施できる。
【0055】
代表的に、本発明の化合物の製造プロセスは下記の通りであり、そのうち、使用される原料と試薬は特別に説明しない限り、商業ルートで入手できるものである。
【化14】
(i)第1アルカリ(例えば酢酸ナトリウム)の存在下で、式(P-1)化合物と式(Q)化合物を反応させて、式(P-2)化合物を得る。
(ii)銅塩(例えばCuCl2)の存在下で、式(P-2)化合物を脱水素反応させて、式(P-3)化合物を得る。
(iii)第2アルカリ(例えばLiOH)の存在下で、式(P-3)化合物を加水分解させて、式(P-4)化合物を得る。
(iv)式(P-4)化合物とアミン(R1H)とを反応させて、一般式(I)で表される化合物を得る。
(式中、R1、R2、R3、R5、R6、R7、R8、R9、R10、及びXの定義は上記に示される通りである。)
【0056】
医薬組成物及び投与方法
本発明に係る医薬組成物は、炎症、がん、心血管疾患、感染、免疫性疾患、代謝性疾患などの疾患を予防及び/又は治療するために利用される。
【0057】
一般式(I)で表される化合物は、類似病状を治療又は改善するための既知のその他の薬物と併用できる。併用投与する場合、元の薬物の投与方式と投与量をそのままにして、同時に又はその後に式Iの化合物を経口投与する。一般式(I)で表される化合物とその他の1種又は複数種の薬物を同時に経口投与する場合、好ましくは、1種又は複数種の既知の薬物と一般式(I)で表される化合物を同時に含む医薬組成物を使用する。薬物併用は、重なり合う時間帯で一般式(I)で表される化合物とその他の1種又は複数種の既知の薬物を経口投与することを含む。一般式(I)で表される化合物とその他の1種又は複数種の薬物を併用する場合、式I化合物又は既知の薬物の投与量はこれらの単独投与の投与量より低い可能性がある。
【0058】
一般式(I)で表される化合物と併用できる薬物又は活性成分は、PD-1阻害剤(例えば、nivolumab、pembrolizumab、pidilizumab、cemiplimab、JS-001、SHR-120、BGB-A317、IBI-308、GLS-010、GB-226、STW204、HX008、HLX10、BAT 1306、AK105、LZM 009又は上記薬物のバイオシミラーなど)、PD-L1阻害剤(例えば、durvalumab、atezolizumab、avelumab、CS1001、KN035、HLX20、SHR-1316、BGB-A333、JS003、CS1003、KL-A167、F520、GR1405、MSB2311又は上記薬物のバイオシミラーなど)、CD20抗体(例えば、rituximab、obinutuzumab、ofatumumab、veltuzumab、tositumomab、131I-tositumomab、ibritumomab、90Y-ibritumomab、90In-ibritumomab、ibritumomab tiuxetanなど)、CD47抗体(例えば、Hu5F9-G4、CC-90002、TTI-621、TTI-622、OSE-172、SRF-231、ALX-148、NI-1701、SHR-1603、IBI188、IMM01)、ALK阻害剤(例えば、Ceritinib、Alectinib、Brigatinib、Lorlatinib、Alkotinib)、PI3K阻害剤(例えば、Idelalisib、Duvelisib、Dactolisib、Taselisib、Bimiralisib、Omipalisib、Buparlisibなど)、BTK阻害剤(例えば、Ibrutinib、Tirabrutinib、Acalabrutinib、Zanubrutinib、Vecabrutinibなど)、EGFR阻害剤(例えば、Afatinib、Gefitinib、Erlotinib、Lapatinib、Dacomitinib、Icotinib、Canertinib、Sapitinib、Naquotinib、Pyrotinib、Rociletinib、Osimertinibなど)、VEGFR阻害剤(例えば、Sorafenib、Pazopanib、Regorafenib、Sitravatinib、Ningetinib、Cabozantinib、Sunitinib、Donafenibなど)、HDAC阻害剤(例えば、Givinostat、Tucidinostat、Vorinostat、Fimepinostat、Droxinostat、Entinostat、Dacinostat、Quisinostat、Tacedinalineなど)、CDK阻害剤(例えば、Palbociclib、Ribociclib、Abemaciclib、Milciclib、Trilaciclib、Lerociclibなど)、MEK阻害剤(例えば、Selumetinib(AZD6244)、Trametinib(GSK1120212)、PD0325901、U0126、Pimasertib(AS-703026)、PD184352(CI-1040)など)、mTOR阻害剤(例えば、Vistusertibなど)、SHP2阻害剤(例えば、RMC-4630、JAB-3068、TNO155など)又はその組合せを含むが、これらに限定されない。
【0059】
本発明に係る医薬組成物の剤形は、注射剤、錠剤、カプセル、スプレー剤、坐剤、被膜剤、ドロップ丸剤、外用擦剤、時限放出型又は徐放型又はナノ製剤を含む(これらに限定されない)。
【0060】
本発明の医薬組成物は、本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される賦形剤又は担体を安全有効量の範囲内で含む。「安全有効量」は、重篤な副作用を生じさせずに症状を明らかに改善する程度の化合物の量である。通常、医薬組成物は、1-2000 mg本発明化合物/ドースを含み、より好ましくは、10-1000 mg本発明化合物/ドースを含む。好ましくは、上記「ドース」は1つのカプセル又は錠剤である。
【0061】
「薬学的に許容される担体」は、1つ又は複数種の相溶性の固体又は液体の充填剤又はゲル状物質であり、これらは人が使用するのに適しており、十分な純度と十分低い毒性が必須条件である。ここでの「相溶性」は、化合物の薬効を明らかに低下させることなく、組成物の各成分が本発明の化合物に混合し、及びこれらの成分が互いに混合することができることを意味する。薬学的に許容される担体の一部の例には、セルロース及びその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースナトリウム、酢酸セルロースなど)、ゼラチン、タルク、固体潤滑剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムなど)、硫酸カルシウム、植物油(例えば、大豆油、ゴマ油、ピーナッツ油、オリーブ油など)、ポリオール(例えば、プロピレングリコール、グリセロール、マンニトール、ソルビトールなど)、乳化剤(例えば、TweenR)、湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムなど)、着色剤、調味料、安定剤、酸化防止剤、防腐剤、パイロジェンフリー水などがある。
【0062】
本発明の化合物又は医薬組成物の投与方式は特に限定されず、代表的な投与方式として、経口、腫瘍内、直腸、非経口(静脈内、筋肉内又は皮下)、局部投与を含む(これらに限定されない)。
【0063】
経口投与に利用される固体剤形は、カプセル、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤を含む。これらの固体剤形において、活性化合物は、例えば、クエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウムなどの、少なくとも1種の通常の不活性賦形剤(又は担体)と混合し、或いは、下記成分、即ち、(a)例えば、でん粉、乳糖、スクロース、グルコース、マンニトール、ケイ酸などの、充填剤又は増量剤、(b)例えば、ヒドロキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、アラビアゴムなどの、接着剤、(c)例えば、グリセロールなどの、保湿剤、(d)例えば、寒天、炭酸カルシウム、片栗粉又はタピオカでん粉、アルギン酸、特定の複合型ケイ酸塩、炭酸ナトリウムなどの、崩壊剤、(e)例えば、パラフィンなどの、溶解遅延剤、(f)例えば、第4級アンモニウム化合物などの、吸収促進剤、(g)例えば、セタノール、モノステアリン酸グリセリルなどの、湿潤剤、(h)例えば、カオリンなどの、吸着剤、(i)例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムなどの、潤滑剤、又はこれらの混合物と混合する。カプセル、錠剤、丸剤において、剤形にも緩衝剤が含まれてもよい。
【0064】
錠剤、糖衣錠、カプセル、丸剤、顆粒剤などの固体剤形は、糖衣、その他の本分野周知の材料などの包埋材、シェル材で製造できるこれらは不透明剤を含んでもよく、この組成物における活性化合物又は化合物が消化器内の特定の部分で遅延して放出できる。使用可能な包埋成分の実例は重合物、ワックス系物質である。必要な場合、活性化合物は上記賦形剤の1種又は複数種と微小カプセル形態を形成できる。
【0065】
経口投与に利用される液体剤形は、薬学的に許容される乳液、溶液、懸濁液、シロップ又はチンキを含む。活性化合物以外に、液体剤形は、水又はその他の溶媒などの本分野で一般的に使用される不活性希釈剤、例えば、エタノール、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ジメチルカルボキサミドなどの可溶化剤及び乳化剤、特に、綿実油、ピーナッツオイル、トウモロコシ油、オリーブ油、キャスターオイル、ゴマ油などの油、又はこれらの混合物などを含む。
【0066】
これらの不活性希釈剤以外に、組成物は、例えば、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、甘味剤、矯味薬及び香料などの添加剤を含んでもよい。
活性化合物以外に、懸濁液は、例えば、エトキシ化イソオクタデカノール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタン、微結晶セルロース、アルミニウムメトキサイド及び寒天などの懸濁剤、又はこれらの混合物などを含んでもよい。
【0067】
非経口注射に利用される組成物は、生理的に許容される無菌含有水又は無水溶液、分散液、懸濁液又は乳液、及び注射可能な無菌溶液又は分散液に改めて溶解するための無菌粉末を含んでもよい。適切な含有水及び非水担体、希釈剤、溶媒又は賦形剤は、水、エタノール、ポリオール及びその適切な混合物を含む。
【0068】
局部投与に利用される本発明化合物の剤形は、軟膏剤、散剤、湿布剤、噴射剤、吸入剤を含む。活性成分は、生理的に許容される担体及び任意の防腐剤、緩衝剤、又は必要な場合に必要とされる推進剤を無菌条件で混合する。
本発明の治療方法は単独で投与でき、或いはその他の治療手段又は治療薬物と併用できる。
【0069】
医薬組成物を使用する場合、本発明の化合物を安全有効量で治療を必要とする哺乳動物(例えば、ヒト)に適用し、そのうち、投与時の投与量が薬学的に有効な投与量であり、60 kg体重のヒトにとって1日投与量が通常1~2000 mgであり、好ましくは50~1000 mgである。もちろん、具体的な投与量は、投与経路、患者の健康状況などの要素も考慮すべきであり、これらはいずれも熟練医師のスキル範囲内にある。
【0070】
本発明は、薬学的に許容される担体と本発明に係る一般式(I)で表される化合物又はその結晶形、薬学的に許容される塩、水和物又は溶媒和物とを混合することで、医薬組成物を形成するステップを含む、医薬組成物の製造方法を更に提供する。
【0071】
本発明は、治療を必要とする対象に、本発明に係る一般式(I)で表される化合物、又はその結晶形、薬学的に許容される塩、水和物又は溶媒和物を投与し、或いは本発明に係る医薬組成物を投与して、AhRを選択的に抑制するステップを含む、治療方法を更に提供する。
【0072】
本発明は従来の技術と比べて、下記の利点を有する。
(1)上記化合物はAhRに対して優れた選択性抑制効果を有し、
(2)上記化合物はより優れたインビボとインビトロ薬力学性能や薬物動態学性能及びより低い毒性と副作用を有する。
【0073】
以下、具体的な実施例を参照しながら本発明を更に説明する。なお、これらの実施例は本発明を説明するためのものだけであり、本発明の範囲を限定するものではない。下記の実施例では、具体的な条件が明記されていない実験方法は、通常、一般的な条件、例えば、Sambrookら、分子クローニング:実験マニュアル(New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)に記載される条件、又は製造業者によって提案された条件に従う。特に断りのない限り、パーセントと部数は、重量で計算する。
【0074】
特に定義されていない限り、本明細書で使用されている専門用語及び科学用語は、当業者が熟知している用語と同じ意味を有する。更に、記載された内容と類似又は均等な任意の方法や材料は、本発明の方法に応用することができる。本明細書に記載の好適な実施方法及び材料は、あくまで例示的なものである。
【0075】
本発明の化合物の構造は、核磁気共鳴(NMR)及び液体クロマトグラフ質量分析(LC-MS)によって確認される。
NMRはBruker AVANCE-400核磁気共鳴装置で検出され、測定溶媒は重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO-d6)、重水素化アセトン(CD3COCD3)、重水素化クロロホルム(CDCl3)及び重水素化メタノール(CD3OD)などを含み、内部標準はテトラメチルシラン(TMS)を使用し、化学シフトは百万分の一(ppm)の単位で示す。
【0076】
液体クロマトグラフ質量分析(LC-MS)はWaters SQD2質量分析装置で検出した。HPLCの測定はAgilent 1100高速クロマトグラフ(Microsorb 5 micron C18 100×3.0 mmカラム)が利用された。
薄層クロマトグラフィーシリカゲルプレートは青島GF254シリカゲルプレートを使用した。TLCに使用される仕様は0.15-0.20 mmであり、薄層クロマトグラフィーの製造に使用される仕様は0.4 mm-0.5 mmである。カラムクロマトグラフィーは、一般的に青島シリカゲル200-300メッシュのシリカゲルを担体として使用した。
【0077】
本発明の実施例における出発原料は既知の市販品、或いは本分野で報道された文献資料を使い、又は参考して合成できるものである。
特別に説明しない限り、本発明の全ての反応は乾燥した不活性ガス(例えば、窒素ガス又はアルゴンガス)の保護で連続的な磁気撹拌で行い、反応温度の単位がセルシウス度である。
【0078】
実施例
実施例1 中間体の調製
実施例1-1 4-ヒドラジノ-1-(メチル-d3)-1H-ピラゾールの合成
【化15】
【0079】
第1ステップ:4-ブロモ-1-(メチル-d3)-1H-ピラゾールの調製
4-ブロモピラゾール(3.90 g、26.50 mmol)を無水テトラヒドロフラン(39 mL)に溶解させ、氷水浴で5℃まで冷却してから、水素化ナトリウム(wt%:60%、1.22 g、30.50 mmol)を数回に分けて入れた。添加完了後、反応液を室温に昇温して30 min攪拌し、その後5℃まで降温してから、重水素化ヨードメタン(5.0 g、34.49 mmol)を入れた。取得した反応液を室温で16 h攪拌してから、乾燥するまで真空濃縮させた。残留物をメチルt-ブチルエーテル(30 mL)でパルプ化させて濾過し、ケーキをメチルt-ブチルエーテルでリンスし、濾液を濃縮して、目標製品(3.5 g)を取得した。精製せずに、そのまま次のステップの反応に利用した。
【0080】
第2ステップ:1-(1-(メチル-d3)-1H-ピラゾール-4-イル)ヒドラジノ-1,2-ジカルボン酸ジ-t-ブチルの調製
4-ブロモ-1-(メチル-d3)-1H-ピラゾール(3.5 g、21.3 mmol)をTHF(50 mL)に入れ、-65℃まで冷却してから、n-ブチルリチウム溶液(2.5 M、10 mL、25.56 mmol)を滴下した。添加完了後、反応液を温度保持しながら0.5 h攪拌し、その後(E)-ジアゼン-1,2-ジカルボン酸ジ-t-ブチル(5.2 g、22.4 mmol)のTHF溶液(50 mL)を反応フラスコに滴下して、温度を-60℃以下となるように制御した。添加完了後、反応液を温度保持しながら2 h攪拌し、その後塩化アンモニウム水溶液でクエンチ反応を行った。取得した混合物を室温に昇温し、100 mL水を入れてから、酢酸エチルで2回抽出した。合併した有機相を飽和塩化ナトリウムで1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥してから、乾燥するまで濃縮させた。取得した残留物を酢酸エチル/石油エーテルでパルプ化させて、目標製品(1.6 g)を取得した。
LC-MS:m/z 316 (M+H)+
【0081】
第3ステップ:4-ヒドラジノ-1-(メチル-d3)-1H-ピラゾールの調製
1-(1-(メチル-d3)-1H-ピラゾール-4-イル)ヒドラジノ-1,2-ジカルボン酸ジ-t-ブチル(1.6 g、5.07 mmol)をHCl/ジオキサン(4 N、40 mL)に入れ、室温で16 h攪拌してから、55℃まで加熱し4 h攪拌した。取得した反応液を乾燥するまで真空濃縮させて、固体目標製品(1.2 g)を取得した。精製せずに、そのまま次のステップの反応に利用した。
LC-MS:m/z 116 (M+H)+
【0082】
実施例2
【化16】
【0083】
第1ステップ:6-(4-クロロフェニル)-2-(1-(メチル-d3)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロピリダジン-4-ぎ酸メチルの調製
2-(2-(4-クロロフェニル)-2-オキシエチル)マロン酸ジメチル(809 mg、2.84 mmol)を酢酸(12 mL)に入れてから、酢酸ナトリウム(746 mg、9.09 mmol)と4-ヒドラジノ-1-(メチル-d3)-1H-ピラゾール(641 mg、3.41 mmol)を順次に入れた。添加完了後、反応液を室温で1 h攪拌してから、50℃で一晩撹拌した。取得した反応液を濃縮させ、pHが8になるように過量の炭酸水素ナトリウム溶液を入れてから、酢酸エチル(3×30 mL)で抽出した。合併した有機相を飽和塩化ナトリウムで1回洗浄し、その後無水硫酸ナトリウムで乾燥して、乾燥するまで濃縮させた。残留物を液体クロマトグラフィーにより分離して、目標製品(357 mg、収率36%)を取得した。
LC-MS:m/z 350 (M+H)+
【0084】
第2ステップ:6-(4-クロロフェニル)-2-(1-(メチル-d3)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-オキソ-2,3-ジヒドロピリダジン-4-ぎ酸メチルの調製
6-(4-クロロフェニル)-2-(1-(メチル-d3)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロピリダジン-4-ぎ酸メチル(357 mg、1.02 mmol)をアセトニトリル(16 mL)に入れて、無水塩化銅(411 mg、3.06 mmol)を入れた。添加完了後、反応させ90℃まで昇温して、2 h攪拌した。混合物を室温まで降温し、減圧濃縮させて、溶媒を除去した。残留物を水でパルプ化させて、目標製品(230 mg、収率64.7%)を取得した。更に精製せずに、そのまま次のステップの反応に利用した。
LC-MS:m/z 348 (M+H)+
【0085】
第3ステップ:6-(4-クロロフェニル)-2-(1-(メチル-d3)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-オキソ-2,3-ジヒドロピリダジン-4-ぎ酸の調製
6-(4-クロロフェニル)-2-(1-(メチル-d3)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-オキソ-2,3-ジヒドロピリダジン-4-ぎ酸メチル(230.0 mg、0.66 mmol)をTHF(3.0 mL)に溶解させ、更にLiOH・H2O(83.0 mg、1.99 mmol)の水溶液(0.6 mL)を反応系に滴下した。取得した反応液を室温で1.0 h攪拌してから、濾過して不溶物を除去し、THFで固体を洗浄した。合併した濾液を濃縮してから、pHが3-4になるようにHCl水溶液(1 M)で調節し、その後酢酸エチルで抽出した(3×10 mL)。合併した有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥してから、減圧濃縮させて、目標製品(197.0 mg、収率89.4%)を取得した。更に精製せずに、そのまま次のステップの反応に利用した。
LC-MS:m/z 334 (M+H)+
【0086】
第4ステップ:(S)-6-(4-クロロフェニル)-N-(1-ヒドロキシプロパン-2-イル)-2-(1-(メチル-d3)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-オキソ-2,3-ジヒドロピリダジン-4-カルボキサミドの調製
6-(4-クロロフェニル)-2-(1-(メチル-d3)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-オキソ-2,3-ジヒドロピリダジン-4-ぎ酸(197.0 mg、0.59 mmol)をDMF(4.0 mL)に溶解させて、L-アミノプロパノール(97.5 mg、1.3 mmol)とDIPEA(0.3 mL、1.95 mmol)とHATU(493.8 mg、1.3 mmol)を順次に入れた。反応液を室温で15 min攪拌し、その後水(15 mL)を入れクエンチ反応を行って、酢酸エチルで抽出した(3×10 mL)。合併した有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させて、減圧濃縮させた。取得した残留物を液体クロマトグラフィーにより分離して、目標製品(115.0 mg、収率50%)を取得した。
LC-MS:m/z 391 (M+H)+1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 9.52 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 8.56 (d, J = 9.5 Hz, 2H), 8.17 - 7.98 (m, 3H), 7.59 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 4.96 (s, 1H), 4.06 (s, 1H), 3.48 (m, 2H), 1.19 (d, J = 6.6 Hz, 3H)。
【0087】
実施例2の方法により異なる出発原料で下記の化合物を合成した。
実施例3 6-(4-クロロフェニル)-N-((トランス)-2-ヒドロキシシクロヘキシル)-2-(1-(メチル-d3)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-オキソ-2,3-ジヒドロピリダジン-4-カルボキサミドの調製
【化17】
LC-MS:m/z 431 (M+H)+1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 9.51 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 8.57 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 8.19 - 8.01 (m, 3H), 7.60 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 4.84 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 3.74 - 3.58 (m, 1H), 3.38 (m, 1H), 2.10 - 1.92 (m, 1H), 1.88 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 1.64 (m, 2H), 1.39 - 1.11 (m, 4H)。
【0088】
実施例4 6-(4-クロロフェニル)-N-((トランス)-3-ヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-2-(1-(メチル-d3)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-オキソ-2,3-ジヒドロピリダジン-4-カルボキサミドの調製
【化18】
LC-MS:m/z 433 (M+H)+1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 9.55 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 8.57 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 8.22 - 7.96 (m, 3H), 7.60 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 5.17 (d, J = 5.4 Hz, 1H), 3.95 - 3.69 (m, 3H), 3.52 - 3.34 (m, 2H), 3.11 (m, 1H), 2.03 (m, 1H), 1.51 (m, 1H)。
【0089】
実施例5 6-(4-クロロフェニル)-N-((トランス)-2-ヒドロキシシクロペンチル)-2-(1-(メチル-d3)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-オキソ-2,3-ジヒドロピリダジン-4-カルボキサミドの調製
【化19】
LC-MS:m/z 417 (M+H)+1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 9.44 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 8.55 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 8.14 - 7.97 (m, 3H), 7.60 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 4.96 (d, J = 4.3 Hz, 1H), 4.12 - 3.85 (m, 2H), 2.07 (m, 1H), 1.91 - 1.80 (m, 1H), 1.78 - 1.60 (m, 2H), 1.60 - 1.34 (m, 2H)。
【0090】
実施例6 6-(4-クロロフェニル)-N-((トランス)-4-ヒドロキシテトラヒドロフラニル-3-イル)-2-(1-(メチル-d3)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-オキソ-2,3-ジヒドロピリダジン-4-カルボキサミドの調製
【化20】
LC-MS:m/z 419 (M+H)+1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 9.56 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 8.56 (s, 2H), 8.10 (d, J = 9.2 Hz, 3H), 7.60 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 5.50 (d, J = 3.8 Hz, 1H), 4.26 (dd, J = 6.9, 5.0 Hz, 1H), 4.20 (s, 1H), 3.99 (dd, J = 9.2, 4.8 Hz, 1H), 3.93 (dd, J = 9.6, 4.6 Hz, 1H), 3.68 (dd, J = 9.2, 1.8 Hz, 1H), 3.56 (dd, J = 9.6, 1.7 Hz, 1H)。
【0091】
実施例7 (S)-6-(4-クロロフェニル)-N-(1-ヒドロキシプロパン-2-イル-1,1-d2)-2-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-yl)-3-オキソ-2,3-ジヒドロピリダジン-4-カルボキサミドの調製
【化21】
LC-MS:m/z 390 (M+H)+1HNMR (400M, CDCl3) 9.81 (d, J = 8.0 Hz,1H), 8.68 (s,1H), 8.35 (s,1H), 8.12 (s,1H), 7.88 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.50 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 4.29 (m,1H), 3.98 (s, 3H), 1.34 (d, J = 4 Hz, 3H)。
【0092】
実施例8 (S)-6-(4-クロロフェニル)-N-(1-ヒドロキシプロパン-2-イル-1,1-d2)-2-(1-(メチル-d3)-1H-ピラゾール-4-yl)-3-オキソ-2,3-ジヒドロピリダジン-4-カルボキサミドの調製
【化22】
LC-MS:m/z 393 (M+H)+1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 9.52 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 8.57 (d, J = 9.1 Hz, 2H), 8.16 - 8.03 (m, 3H), 7.60 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 4.91 (s, 1H), 4.04 (p, J = 6.7 Hz, 1H), 1.19 (d, J = 6.7 Hz, 3H)。
【0093】
実施例9 (S)-6-(4-クロロフェニル)-N-(1-ヒドロキシプロパン-2-イル)-2-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3-オキソ-2,3-ジヒドロピリダジン-5-d-4-カルボキサミドの調製
【化23】
LC-MS:m/z 389 (M+H)+1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 9.52 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 8.58 (s, 1H), 8.14 - 8.04 (m, 3H), 7.60 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 4.95 (t, J = 5.2 Hz, 1H), 4.06 (m, 1H), 3.93 (s, 3H), 3.48 (s, 2H), 1.19 (d, J = 6.7 Hz, 3H)。
【0094】
実施例10 (S)-6-(4-クロロフェニル)-N-(1-ヒドロキシプロパン-2-イル-1,1-d2)-2-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3-オキソ-2,3-ジヒドロピリダジン-5-d-4-カルボキサミドの調製
【化24】
LC-MS:m/z 391 (M+H)+
【0095】
実施例11 (S)-6-(4-クロロフェニル)-N-(1-ヒドロキシ-3-メチルブタン-2-イル)-2-(1-(メチル-d3)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-オキソ-2,3-ジヒドロピリダジン-4-カルボキサミドの調製
【化25】
LC-MS:m/z 419 (M+H)+1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 9.53 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 8.59 (d, J = 9.1 Hz, 2H), 8.19 - 8.02 (m, 3H), 7.61 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 4.83 (t, J = 5.3 Hz, 1H), 3.87 (m, 1H), 3.58 (m, 1H), 3.48 (m, 1H), 2.00 (m, 1H), 1.01 - 0.88 (m, 6H)。
【0096】
実施例12 (S)-6-(4-クロロフェニル)-N-(1-シクロプロピル-2-ヒドロキシエチル)-2-(1-(メチル-d3)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-オキソ-2,3-ジヒドロピリダジン-4-カルボキサミドの調製
【化26】
LC-MS:m/z 417(M+H)+1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 9.66 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 8.58 (d, J = 6.7 Hz, 2H), 8.22 - 8.00 (m, 3H), 7.60 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 4.94 (t, J = 5.3 Hz, 1H), 3.69 - 3.53 (m, 2H), 3.46 (m, 1H), 1.17 - 1.03 (m, 1H), 0.53 - 0.23 (m, 4H)。
【0097】
実施例13 (S)-6-(4-クロロフェニル)-N-(1-ヒドロキシプロパン-2-イル-1,1,2,3,3,3-d6)-2-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3-オキソ-2,3-ジヒドロピリダジン-4-カルボキサミドの調製
【化27】
LC-MS:m/z 394 (M+H)+
【0098】
実施例14 (S)-6-(4-クロロフェニル)-N-(1-ヒドロキシプロパン-2-イル-1,1,2,3,3,3-d6)-2-(1-(メチル-d3)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-オキソ-2,3-ジヒドロピリダジン-4-カルボキサミドの調製
【化28】
LC-MS:m/z 397 (M+H)+
【0099】
実施例15 (S)-6-(4-クロロフェニル-2,3,5,6-d4)-N-(1-ヒドロキシプロパン-2-イル)-2-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3-ホルミル-2,3-ジヒドロピリダジン-4-カルボキサミドの調製
【化29】
【0100】
第1ステップ:2-クロロ-1-(4-クロロフェニル-2,3,5,6-d4)エチル-1-オンの調製
丸底フラスコに化合物1-クロロフェニル-2,3,4,5,6-d5(5 g、42.5 mmol)とジクロロメタン(35 mL)を順次に入れた。反応液を氷浴で0℃まで冷却し、その後化合物塩化クロロアセチル(5.8 g、51 mmol)を入れ、最後に三塩化アルミニウム(9 g、68 mmol)を入れた。取得した反応液を0℃で2時間反応させ、その後氷水に入れクエンチ反応を行ってから、更にジクロロメタンで抽出した。合併した有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥して濾過し、その後濃縮させて、目標化合物(7.4 g、収率90.7%)を取得した。精製せずに、そのまま次のステップの反応に利用した。
LC-MS: m/z 191 (M-H)-
【0101】
第2ステップ:2-(2-(4-クロロフェニル-2,3,5,6-d4)-2-ホルミルメチル)マロン酸ジメチルの調製
丸底フラスコに化合物2-クロロ-1-(4-クロロフェニル-2,3,5,6-d4)エチル-1-オン(7.4 g、38 mmol)とマロン酸ジメチル(25 g、191 mmol)と炭酸カリウム(26 g、191 mmol)とアセトン(150 mL)を順次に入れた。反応液を室温で20時間反応させて濃縮させた。残留物に水を入れて、酢酸エチルで抽出した。合併した有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させて濾過し、その後濃縮させた。取得した粗製品をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して(酢酸エチル/石油エーテル=1/5)、目標化合物(9.3 g、収率84.7%)を取得した。
LC-MS: m/z 289 (M+H)+
【0102】
第3ステップ:6-(4-クロロフェニル-2,3,5,6-d4)-2-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3-ホルミル-2,3,4,5-テトラヒドロピリダジン-4-ぎ酸メチルの調製
丸底フラスコに化合物2-(2-(4-クロロフェニル-2,3,5,6-d4)-2-ホルミルメチル)マロン酸ジメチル(130 mg、0.45 mmol)/4-ヒドラジノ-1-メチル-1H-ピラゾール二塩酸塩(100 mg、0.54 mmol)と酢酸ナトリウム(118 mg、1.44 mmol)と酢酸(3 mL)を順次に入れた。反応液を室温で1時間反応させ、更に50℃まで昇温して、20時間反応させた。取得した反応液を濃縮させてから水を入れ、その後pHが8になるように調節して、更に酢酸エチルで抽出した。合併した有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させて濾過し、その後濃縮させた。取得した粗製品をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して(酢酸エチル/石油エーテル=1/3)、目標化合物(47 mg、収率29.8%)を取得した。
LC-MS: m/z 351 (M+H)+
【0103】
第4ステップ:6-(4-クロロフェニル-2,3,5,6-d4)-2-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3-ホルミル-2,3-ジヒドロピリダジン-4-ぎ酸メチルの調製
丸底フラスコに化合物6-(4-クロロフェニル-2,3,5,6-d4)-2-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3-ホルミル-2,3,4,5-テトラヒドロピリダジン-4-ぎ酸メチル(47 mg、0.13 mmol)と塩化銅(54 mg、0.40 mmol)とアセトニトリル(4 mL)を順次に入れた。反応液を90℃まで昇温し4時間反応させ、更に濃縮させてから、水を入れた。取得した混合物を攪拌して濾過し、ケークを水で洗浄してから乾燥させ、目標化合物(50 mg、定量収率)を取得した。
LC-MS: m/z 349 (M+H)+
【0104】
第5ステップ:(S)-6-(4-クロロフェニル-2,3,5,6-d4)-N-(1-ヒドロキシプロパン-2-イル)-2-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3-ホルミル-2,3-ジヒドロピリダジン-4-カルボキサミドの調製
丸底フラスコに化合物6-(4-クロロフェニル-2,3,5,6-d4)-2-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3-ホルミル-2,3-ジヒドロピリダジン-4-ぎ酸メチル(50 mg、0.14 mmol)とL-アミノプロパノール(16 mg、0.22 mmol)とジクロロエタン(1 mL)を順次に入れた。反応液を50℃で3時間反応させて濃縮させ、残留物を液体クロマトグラフィーにより分離して、目標化合物(27 mg、収率49.2%)を取得した。
LC-MS: m/z 392 (M+H)+1H NMR(400 MHz,DMSO-d6) δ 9.52 (d, J = 8.0Hz, 1H), 8.58 (s, 1H), 8.56 (s, 1H), 8.12 (s, 1H), 4.95 (t, J = 5.2Hz, 1H), 4.10-4.01(m, 1H), 3.93 (s, 3H),3.49-3.46 (m, 2H),1.19 (d, J = 6.8Hz, 3H)。
【0105】
実施例15の方法により異なる出発原料で下記の化合物を合成した。
実施例16 (S)-6-(4-クロロフェニル-2,3,5,6-d4)-N-(1-ヒドロキシプロパン-2-イル)-2-(1-(メチル-d3)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-オキソ-2,3-ジヒドロピリダジン-4-カルボキサミドの調製
【化30】
LC-MS: m/z 395 (M+H)+
【0106】
実施例17 (S)-6-(4-クロロフェニル-2,3,5,6-d4)-N-(1-ヒドロキシプロパン-2-イル-1,1-d2)-2-(1-(メチル-d3)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-オキソ-2,3-ジヒドロピリダジン-4-カルボキサミドの調製
【化31】
LC-MS: m/z 397 (M+H)+
【0107】
実施例18 生物学的試験及び評価
下記生物学的試験例は本発明を更に詳しく説明するためのものであるが、これらの実例は本発明の範囲を限定するものではない。
AhR b-ラクタマーゼの拮抗実験
試薬の調製
(1)育種培地:Opti-MEM、5% FBS、1uM sodium Pyruvate、0.1 mM NEAA、4℃で保存。
(2)実験培地:Opti-MEM、0.1% BSA、1uM sodium Pyruvate、0.1 mM NEAA、 4℃で保存。
【0108】
実験の手順:
1日目:
試験プレートを塗布する(試験1日前)
1)25 mgポリ-L-リジンを500 mL DPBSに溶解させた。
2)20 uL/ウェルで入れ、37℃、5% CO2で1-2時間インキュベートした。
3)溶液を全て注ぎ出して、50 uL MEMで1回洗浄した。
プレートに細胞を接種する
1)CYP1A1-bla LS-180細胞系細胞をインキュベーターから取り出した。
2)培地を除去して、2 mL TrypLE/flaskで入れた。
3)フラスコを37℃で5-8分間静置して、細胞を分離した。
4)10 mL播種培地/フラスコで入れた。
5)細胞混合物を50 mL無菌遠心分離チューブに移動して均一に攪拌した。
6)細胞を計数して、細胞を細胞プレートに播種した。
7)15K細胞/ウェル:1ウェルあたり30 uL培地で15K細胞を入れた。
8)30 uL育種培地でウェルに播種し、1ウェルあたり生体膜ポリ-D-リジン384ウェルTC処理マイクロプレートのCombi標準モデルを採用した。
9)37℃5% CO2で一晩インキュベートした。
【0109】
2日目:
化合物を投与する
a)比較化合物の準備
DMSOでLDVプレートに20投与量の比較CH-223191を調製した。CH-223191の最大作業溶液は10 mMのDMSO溶液である。Bravoで2倍連続希釈した。
b)Max及びMin Wells
最大ウェル:10 mMのCH-223191のDMSO標準溶液がLDVプレートにある。
最小ウェル:純粋なDMSO溶液がLDVプレートにある。
c)ECHOでプレートマッピングによって80個のnLをLDVプレートから複合板に伝達した(PE6008590)。
d)Combi Standモデルで1ウェルあたり20 uL検出媒体を入れ、2000回転/分間で2分間遠心分離して、均一に混合した。
e)細胞の飢餓処理
Bravoで29 uLの培地を細胞プレートウェルに移動した。
Combi縦式モデルで1ウェルあたり20 uLの温い試液を入れ、300回転/分間で1分間遠心分離した。
37℃5% CO2で1時間インキュベートした。
f)化合物の添加
Bravoで10 uL希釈物又はDMSO(4倍作業溶液)を複合板(PE6008590)から細胞プレートに移動した。
37℃5% CO2で1時間インキュベートした。
g)受容体アゴニストの添加
Bravoで10 uL 4X ITE作業溶液(2 nM)を細胞プレートの全ウェルに入れた。全体検出系は40 uL/Wellである。
37℃5% CO2で4時間インキュベートした。
ローディング試薬を入れる前に、プレートを室温で10分間放置した。
h)最終測定条件
最終ウェル:15 k/ウェル
最小値:0.1% DMSO溶液
Max: 10 uM CH-223191
CH-223191 CRC:10 uMとなるように2倍希釈し、20ポイント
ITE最終濃度:0.5 nM
【0110】
2日目:検出緩衝液の添加及びプレートデータの読取り
A.基質のアップロード及プレートデータの読取り
a)試薬キットの取扱説明書に従って各試薬を保存し準備した。
b)-20℃冷蔵庫から溶液Aと溶液Dを取り出した。完全に解凍した後、下記の混合溶液を準備した。
c)A溶液をB溶液に入れ、ボルテックスが良好である
d)C溶液をAとBの混合物に入れ、ボルテックスが良好である
e)D溶液をA、B、C溶液に入れ、ボルテックスが良好である
f)Combiスモールモデルで各プレートに9.5 uL最終溶液を入れた。
g)室温で少なくとも1時間遮光してインキュベートし、プレートデータを読取った。シグナルが少なくとも3个時間作業できる。
【0111】
B.Envisionによるプレートデータの読取り
Envision Readerの設定
【表1】
【0112】
本発明の一部実施例の化合物の、AhRに対する拮抗活性は表1を参照する。
【表2】
表1によれば、本発明の実施例の化合物はAhRに対して優れた拮抗活性を示した。
【0113】
ラット薬物動態試験及び評価
体重約220 gのオスSDラットを一晩断食させ、2 mg/kg本発明化合物の溶液[CMC/TW80が担体である]を胃内投与した。本発明化合物投与後0.5、1.0、2.0、4.0、6.0、8.0、12、24 hにそれぞれ採血し、LC/MS/MSにより本発明化合物の血中濃度を測定した。
比較化合物:BAY-2416964
【化32】
【表3】
対照化合物BAY-2416964と比べて、本発明により取得した実施例化合物は、ラットの体内でより優れた代謝特性を示し、より高い血漿曝露量AUCとCmaxを有することから、より優れた薬効を有する。
【0114】
マウス薬物動態試験及び評価
体重約20~30 gのオスICRマウスを一晩断食させ、2 mg/kg本発明化合物の溶液[CMC/TW80が担体である]を胃内投与した。本発明化合物投与後0.5、1.0、2.0、4.0、6.0、8.0、12、24 hにそれぞれ採血し、LC/MS/MSにより本発明化合物の血中濃度を測定した。
【表4】
対照化合物BAY-2416964と比べて、本発明により取得した実施例化合物は、マウスの体内でより優れた代謝特性を示し、より高い血漿曝露量AUCを有することから、より優れた薬効を有する。
【0115】
ビーグル薬物動態試験及び評価
体重約6-7kgのオスビーグルを一晩断食させ、2 mg/kg本発明化合物の溶液[CMC/TW80が担体である]を胃内投与した。本発明化合物投与後0.5、1.0、2.0、4.0、6.0、8.0、12、24 hにそれぞれ採血し、LC/MS/MSにより本発明化合物の血中濃度を測定した。
【表5】
対照化合物BAY-2416964と比べて、本発明により取得した実施例化合物は、ビーグルの体内でより優れた代謝特性を示し、より高い血漿曝露量AUCとCmaxを有することから、より優れた薬効を有する。
【0116】
抗腫瘍活性薬力学試験及び評価
1.CT26.WT皮下移植がんモデル
5×105/100 μLマウス結腸がん細胞CT26.WTをヌードマウスの右後背部に皮下接種した。マウスの健康状況を毎日観察し、腫瘍が接触できる程度まで成長した場合、測定を開始した。腫瘍体積の計算式は0.5×L×W2であり、そのうち、L、Wはそれぞれ腫瘍の長と幅を示す。腫瘍が50 mm3程度まで成長し、マウスをランダムで群分けした。マウスに化合物の溶液[CMC/TW80が担体である]を対応する投与量(30 mg/kg)で毎日胃内投与し、その一般状態を観察した。投与開始後、1週間目にマウスの体重を2回量り、腫瘍体積を2回測定した。2週間目から、マウスの体重を週3回量り、腫瘍体積を週3回測定した。試験結果は表4と図1に示される。
【表6】
結果によれば、対照化合物BAY-2416964と比べて、本発明により取得した実施例化合物はより優れた抗腫瘍効果を有する。
【0117】
各文献がそれぞれ単独に引用されるように、本発明に係るすべての文献は本出願で参考として引用する。また、当業者は本発明の上記内容を読み終わった後、本発明に対して様々な変動や修正を行ってもよいが、これらの等価形態のものも本発明の請求の範囲に含まれると理解される。
図1
【国際調査報告】