(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-06
(54)【発明の名称】検出器およびモバイル端末
(51)【国際特許分類】
G01J 5/0806 20220101AFI20231129BHJP
G01J 5/70 20220101ALI20231129BHJP
G01J 5/10 20060101ALI20231129BHJP
G01J 5/0831 20220101ALI20231129BHJP
【FI】
G01J5/0806
G01J5/70 A
G01J5/10 C
G01J5/0831
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532531
(86)(22)【出願日】2021-09-23
(85)【翻訳文提出日】2023-07-07
(86)【国際出願番号】 CN2021119831
(87)【国際公開番号】W WO2022111009
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】202011379887.1
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100132481
【氏名又は名称】赤澤 克豪
(74)【代理人】
【識別番号】100115635
【氏名又は名称】窪田 郁大
(72)【発明者】
【氏名】代 郁峰
(72)【発明者】
【氏名】汪 立
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 家杰
【テーマコード(参考)】
2G066
【Fターム(参考)】
2G066AC13
2G066BA22
2G066BA31
2G066BB01
2G066BB11
2G066CA01
2G066CA14
2G066CA15
(57)【要約】
検出器(100)およびモバイル端末が提供される。検出器(100)は、温度検出を実装するように構成される。検出器(100)は、主に光路上に配置されるレンズ(10)、コリメータ穴(20)、および赤外線センサ(30)を含む。レンズ(10)は、周辺光を収束するように構成されて、周辺光は、標的エリア光および別のエリア光を含む。コリメータ穴(20)は、スクリーニングによって標的エリア光を取得し、および別のエリア光を遮断するために使用される。具体的には、コリメータ穴(20)は、入射周辺光をスクリーニングするために使用され、および標的エリア光だけが赤外線センサ(30)に照射されることが可能である。赤外線センサ(30)は、標的エリア光を受けて、別のエリア光を遮断するように構成される。レンズ(10)の収束機能が比較的長い距離で検出器(100)が体温を検出することを可能にし、および標的エリアは、設けられたコリメータ穴(20)を通じて選択される。これは、検出精度を改善する。さらに、コリメータ穴(20)は、光をスクリーニングするための構造として使用される。これは、検出器(100)の体積を低減することができ、検出器(100)の小型化を容易にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光路上に配置されるレンズ、コリメータ穴、および赤外線センサを備える検出器であって、
前記レンズは、周辺光を収束するように構成され、および前記周辺光は、標的エリア光および別のエリア光を備え、
前記コリメータ穴は、スクリーニングによって前記標的エリア光を取得して、前記別のエリア光を遮断するために使用され、および
前記赤外線センサは、前記標的エリア光内の赤外光を受信して、前記赤外光に基づいて温度を検出するように構成される、検出器。
【請求項2】
前記コリメータ穴の直径対エアリーディスクの直径の比は、0.5以上3以下である請求項1に記載の検出器。
【請求項3】
較正センサおよびコントローラをさらに備え、
前記較正センサは、前記検出器の内部温度を検出するように構成され、および
前記コントローラは、前記較正センサによって検出された前記検出器温度に基づいて、前記赤外線センサによって検出された前記赤外光温度を較正するように構成される請求項1または2に記載の検出器。
【請求項4】
複数の赤外線センサがあり、レンズの数量は、赤外線センサの数量と同じであり、および前記レンズは、前記赤外線センサと1対1対応にある請求項1乃至3のいずれか一項に記載の検出器。
【請求項5】
光を隔離するための第1の光遮断層が、2つの隣接するレンズ間ごとに配置される請求項4に記載の検出器。
【請求項6】
複数の赤外線センサがあり、1つのレンズがあり、および複数のコリメータ穴があり、前記コリメータ穴は、前記赤外線センサと1対1対応にあり、および前記コリメータ穴の中心軸と、対応する前記赤外線センサの中心軸との間の相対距離は、対応する前記赤外線センサの前記中心軸と前記レンズの中心軸との間の距離が増大するにつれて増大する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の検出器。
【請求項7】
基板およびパッケージカバーをさらに備え、前記パッケージカバーおよび前記基板は、密封された様式で接続されて、赤外線検出器を収容するための空間を囲む請求項1乃至6のいずれか一項に記載の検出器。
【請求項8】
第2の光遮断層が前記パッケージカバー上に配置され、および前記コリメータ穴は、前記第2の光遮断層内に設けられる請求項7に記載の検出器。
【請求項9】
前記レンズは、前記パッケージカバー上に配置された突起構造物である請求項7または8に記載の検出器。
【請求項10】
熱を外部環境から隔離するように構成されたハウジングをさらに備え、前記コリメータ穴および前記赤外線センサは、前記ハウジング内に位置する請求項1乃至9のいずれか一項に記載の検出器。
【請求項11】
回路板と、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の、前記回路板上に配置された前記検出器とを備えるモバイル端末であって、前記回路板は、前記検出器の赤外線センサに電気的に接続される、モバイル端末。
【請求項12】
前記検出器がコントローラを備えるとき、前記コントローラは、前記回路板に電気的に接続される請求項11に記載のモバイル端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、撮像技術の分野に関し、および詳細には、検出器およびモバイル端末に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年11月30日に中国国家知識産権局に出願された「DETECTOR AND MOBILE TERMINAL」という名称の中国特許出願第202011379887.1号に対する優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0003】
赤外線撮像技術は、最も早い時期では、ミサイル誘導およびナイトビジョン調査など軍事目的で使用された。近年では、赤外線撮像技術は、徐々に民間分野へと発展させられている。たとえば、赤外線センサが非接触体温測定のための額温度計に使用されている。任意の物体は、絶対零度でない場合、電磁波を放射する。より高い温度は、より短い波長を示す。温度が3000Kより高いとき、電磁波の波長は可視光波長範囲内にあり、および人の目で見える。
【0004】
体温は、35℃から37℃(300Kケルビン)に及ぶ。放射される電磁波の波長は、8μmから12μmに及び、これは遠赤外線範囲内にある。したがって、赤外線センサを使用して体温を測定することは、そのセンサを使用して8μmから12μmの赤外線波長範囲を検出することを意味する。
【0005】
現在、広く使用されている赤外線温度計は、額温度計、サーマルイメージャなどである。額温度計は、サーモパイルセンサを使用して、通常、2cmの短い距離で温度を測定する。レンズはなく、およびコストは低い。サーマルイメージャは、写真を撮影するために使用されるカメラと同様である。それは、精密な光学レンズを備え、および明瞭な赤外線写真を撮影することができる。別のタイプの赤外線温度計は、セキュリティチェックゲートシステムである。セキュリティチェックゲートシステムの温度測定方法は、サーマルイメージャのものと同様である。通常、2つのカメラを備えられ、1つは可視光下で写真を撮影するためのものであって、他方は赤外光下で写真を撮影するためのものである。可視光および赤外光下で撮影された2枚の写真は、後でAIアルゴリズムに従って組み合わされ、および他の機能を使用して処理される。しかし、従来の技術では、額温度計の検出距離は比較的短く、およびサーマルイメージャの構造は比較的複雑である。その結果、額温度計もサーマルイメージャも薄い端末デバイスに一体化されることができない。
【発明の概要】
【0006】
本出願は、長距離赤外線温度測定を実装し、検出器の小型化を改善するために、検出器およびモバイル端末を提供する。
【0007】
第1の態様によれば、検出器が提供される。検出器は、温度検出を実装するように構成される。検出器は、主にレンズ、コリメータ穴、および赤外線センサを含む。レンズ、コリメータ穴、および赤外線センサは、光路上に配置される。光は、レンズおよびコリメータ穴を通過して、次いで赤外線センサに照射され得る。レンズは、周辺光を収束するように構成され、および周辺光は、標的エリア光および別のエリア光を含む。周辺光は、被検出エリア内にあるかどうかにかかわらず、レンズを通って検出器内に入射し得る。コリメータ穴は、スクリーニングによって標的エリア光を取得し、および別のエリア光を遮断するために使用される。具体的には、コリメータ穴は、入射周辺光をスクリーニングするために使用され、および標的エリア光だけが赤外線センサに照射されることが可能である。赤外線センサは、標的エリア光を受けて、別のエリア光を遮断するように構成される。前述の技術的解決策では、レンズの収束機能が比較的長い距離で検出器が体温を検出することを可能にし、および標的エリアは、設けられたコリメータ穴を通じて選択される。これは、検出精度を改善する。さらに、コリメータ穴は、光をスクリーニングするための構造として使用される。これは、検出器の体積を低減することができ、検出器の小型化を容易にする。
【0008】
特定の実装解決策では、コリメータ穴の直径対エアリーディスクの直径の比は、0.5以上3以下である。これは、赤外光をスクリーニングする効果を確実にし、および検出効果を改善する。
【0009】
特定の実装解決策では、コリメータ穴とレンズとの間の距離は、レンズの焦点距離より大きくても、それに等しくても、それ未満でもよい。このようにして、異なる距離が検出要件に基づいて設定されることを必要とする。
【0010】
特定の実装解決策では、検出器は、較正センサおよびコントローラをさらに含む。較正センサは、検出器の内部温度を検出するように構成される。コントローラは、較正センサによって検出された検出器温度に基づいて、赤外線センサによって検出された赤外光温度を較正するように構成される。これは、検出器の検出効果を改善する。
【0011】
赤外線センサおよびレンズが配置されるとき、赤外線センサおよびレンズは、異なる方式で互いに対応し得る。たとえば、任意選択の解決策では、複数の赤外線センサがあって、複数のレンズがある。レンズの数量は、赤外線センサのものと同じであり、およびレンズは、赤外線センサと1対1対応にある。代替として、複数の赤外線センサがあって、1つのレンズがある。複数のコリメータ穴があり、およびコリメータ穴は、赤外線センサと1対1対応にある。
【0012】
任意選択の解決策では、複数のレンズがあるとき、光を隔離するための第1の光遮断層が複数のレンズ間に配置される。光のクロストークが、第1の光遮断層を使用することによって回避される。これは、各レンズを通過する光が干渉を受けないことを確実にする。
【0013】
任意選択の解決策では、1つのレンズがあるとき、コリメータ穴の中心軸と、対応する赤外線センサの中心軸との間の相対距離は、対応する赤外線センサの中心軸とレンズの中心軸との間の距離が増大するにつれて増大する。これは、光をコリメータ穴に照射する効果を改善する。
【0014】
任意選択の解決策では、基板およびパッケージカバーがさらに含まれる。パッケージカバーおよび基板は、密封された様式で接続されて、赤外線検出器を収容するための空間を囲む。基板およびパッケージカバーは、コリメータ穴およびレンズを支承するための支承部として使用される。
【0015】
任意選択の解決策では、第2の光遮断層がパッケージカバー上に配置され、およびコリメータ穴は、第2の光遮断層内に設けられる。
【0016】
任意選択の解決策では、レンズは、パッケージカバー上に配置された突起構造物である。これは、検出器の構造を単純化する。
【0017】
任意選択の解決策では、レンズは独立して配置され、およびレンズは、モバイル端末のブラケットまたはハウジングを使用することによって支持されてもよい。
【0018】
任意選択の解決策では、検出器は、熱を外部環境から隔離するように構成されたハウジングをさらに含む。コリメータ穴および赤外線センサは、ハウジング内に位置する。これは、検出効果をさらに改善する。
【0019】
第2の態様によれば、モバイル端末が提供される。モバイル端末は、回路板と、前述のいずれか1つによる、回路板上に配置された検出器とを含む。回路板は、検出器の赤外線センサに電気的に接続される。前述の技術的解決策では、レンズの収束機能が比較的長い距離で検出器が体温を検出することを可能にし、および周辺の迷光は、設けられたコリメータ穴を通じて除去される。これは、検出精度を改善する。さらに、コリメータ穴は、光をスクリーニングするための構造として使用される。これは、検出器の体積を低減することができ、検出器の小型化を容易にする。
【0020】
任意選択の解決策では、検出器がコントローラを含むとき、コントローラは、回路板に電気的に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】本出願の一実施形態による検出器の構造のブロック図である。
【
図3】本出願の一実施形態による検出器の構造の概略図である。
【
図4】本出願の一実施形態による検出器の適用シナリオの概略図である。
【
図5】本出願の一実施形態によるモバイル端末の構造の概略図である。
【
図6】本出願の一実施形態による別の検出器の構造の概略図である。
【
図7】本出願の一実施形態による別の検出器の構造の概略図である。
【
図8】本出願の一実施形態による別の検出器の構造の概略図である。
【
図9】本出願の一実施形態による別の検出器の構造の概略図である。
【
図10】本出願の一実施形態による別の検出器の構造の概略図である。
【
図11】本出願の一実施形態による別の検出器の構造の概略図である。
【
図12】本出願の一実施形態による別の検出器の構造の概略図である。
【
図13】本出願の一実施形態による別の検出器の構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下は、添付の図面を参照して、本出願の実施形態についてさらに記載している。
【0023】
本出願の実施形態において使用される検出器の理解を容易にするために、最初に検出器の適用シナリオが記載される。本出願の実施形態において提供される検出器は、体温検出の分野に適用される。
図1は、体温テストシナリオである。検出器100は、被検出者の額に面して、人体の額温度を検出することによって体温を検出する。従来の技術では、額温度計は通常、体温を検出するように構成される。しかし、額温度計の検出距離はわずか1cmから3cmで比較的短く、および額温度計のサイズは比較的大きい。したがって、本出願の一実施形態は、検出距離を増大するための検出器100を提供する。このようにして、額温度は、20cmから2mの距離で、またはさらに長い距離で測定されることが可能である。これは、小型化を実装する。以下は、検出器について、特定の添付の図面および実施形態を参照して詳細に記載する。
【0024】
図2は、本出願の一実施形態による検出器の構造のブロック図である。検出器は、レンズ10、コリメータ穴20、および赤外線センサ30を含む。レンズ10、コリメータ穴20、および赤外線センサ30は、光路上に配置される。コリメータ穴20は、中央に位置する。レンズ10および赤外線センサ30は、コリメータ穴20の両側に位置する。光は、レンズ10およびコリメータ穴20を通過し、次いで赤外線センサ30に照射され得る。赤外線センサ30は、レンズ10およびコリメータ穴20を通過する光における受信された赤外光の光信号を電気信号に変換し、電気信号に基づいて、受信された赤外光の温度を決定し得る。被検出者の体温は、赤外光の検出された温度に基づいて決定される。
【0025】
レンズ10は、周辺光を収束して、検出器の外側の光を検出器内に収束するように構成される。レンズ10は、光が収束されることができることを条件に、異なるタイプのレンズを使用してもよい。たとえば、レンズ10は、両凸レンズ、単凸レンズ、三角プリズム、および多面プリズムなど、異なるタイプのレンズであってもよい。
【0026】
レンズ10は、光をスクリーニングしない。レンズ10を通過する周辺光は、標的エリア光および別のエリア光を含む。標的エリア光は、検出のために被検出者が位置するエリアを意味する。
図1に示されている適用シナリオを参照されたい。検出器が被検出者の額を検出するとき、被検出者の額エリアが標的エリアであり、および額から放たれる光が標的エリア光である。別のエリア光は、標的エリア以外のエリア内の光を意味する。たとえば、検出中、第1の被検出者と第2の被検出者とがいる。第1の被検出者が検出されるとき、第1の被検出者の標的エリアによって送られる光が標的エリア光であり、および第2の被検出者によって放たれる赤外光は、別のエリア光である。同様に、第2の被検出者が検出されるとき、第1の被検出者によって放たれる赤外光は、別のエリア光である。
【0027】
検出精度を確保するために、検出中、別のエリア光は、赤外線センサ30に照射されるべきでない。したがって、異なるエリア内の光がコリメータ穴20を通じて選択されることが可能であるように、コリメータ穴20が光路上に設けられる。
図2に示されている構造から、コリメータ穴20およびレンズ10は、望遠鏡に似た構造を形成し、およびレンズ10の直径は、コリメータ穴20のものよりはるかに大きいことが理解されることができる。したがって、標的エリア光および別のエリア光がコリメータ穴20に照射されるとき、標的エリア光だけがコリメータ穴20を通過することができ、および別のエリア光は、コリメータ穴20を通過することができない。
【0028】
任意選択の解決策として、コリメータ穴20がスクリーニングによって標的エリア光を取得するために使用されるとき、コリメータ穴20の直径対エアリーディスクの直径の比は、0.5以上3以下である。エアリーディスクは、点光源が制限された回折を通じて撮像されるとき回折により焦点に形成される光点である。光点の中心は明るい丸い点であり、弱い明暗が交互する同心の環状帯のグループによって囲まれる。第1の暗環によって境界を画された中心の明るい点がエアリーディスクと呼ばれる。
【0029】
たとえば、コリメータ穴20の直径対エアリーディスクの直径の比は、0.5、1、2、2.5、3などである。前述の構造を使用するとき、コリメータ穴20は、標的エリア光が通過することを可能にし、および別のエリア光を遮断し得る。
【0030】
赤外線センサ30は、標的エリア光内の赤外光を受けて、赤外光に基づいて温度を検出するように構成される。赤外線センサ30がコリメータ穴20を通過する標的エリア光を受信するとき、標的エリア光は、赤外光および周辺の迷光を含む。しかし、検出中には、赤外光だけが検出されることを必要とする。したがって、赤外線センサ30は、検出器として使用される。赤外線センサ30は、赤外光だけを受信することができ、および他の周辺の迷光を受信しない。これは、周辺の迷光の干渉を回避することができる。赤外光が赤外線センサ30に照射されるとき、光信号は、赤外線センサ30によって電気信号に変換され得、および被検出者の温度は、この電気信号を検出することによって決定され得る。
【0031】
図3は、本出願の一実施形態による検出器の構造の概略図である。検出器のレンズ10は、モバイル端末のハウジングまたはブラケット上に配置され得る。
図3は、レンズ10がモバイル端末のハウジング200上に配置される一例を示す。周辺光は、レンズ10を通ってハウジング200内に入射し得る。
【0032】
検出器は、基板40およびパッケージカバー50を含む。赤外線センサ30の支承構造物として、基板40が赤外線センサ30を支承するように構成される。回路層が基板40上に配置され、および赤外線センサ30は、基板40の回路層に電気的に接続されることを理解されたい。
【0033】
基板40は、赤外線センサ30を収容するために使用される第1の溝41を備える。赤外線センサ30は、第1の溝41内に配置され、および第1の溝41内に延びるカンチレバービーム42を使用することによって基板40に取り付けられる。これは、赤外線センサ30と別の構造物との間の接触を可能な限り低減し、および別の構造物の温度によって赤外線センサ30に対して引き起こされる干渉を回避する。
【0034】
パッケージカバー50は、基板40を覆い、およびパッケージカバー50は、1つの第2の溝51を有する。第2の溝51は、第1の溝41に対応し、およびそれらは共に、赤外線センサ30を収容するための空間を囲む。このようにして、赤外線センサ30は、基板40およびパッケージカバー50に接触しない。さらに、パッケージカバー50および基板40は、密封された様式で接続される。密封している間、第1の溝41および第2の溝51によって囲まれた空間は、真空パッケージングを形成するために真空化される。これは、赤外線センサ30に対する第1の溝41および第2の溝51内の気体の対流熱放散の干渉をさらに低減する。レンズ10を通過する光が赤外線センサ30に照射され得ることを確実にするために、パッケージカバー50は、赤外光が通過することを可能にする材料を使用してもよいことを理解されたい。たとえば、この材料は、ケイ素、ゲルマニウム、ZnS、ZnSe、カルコゲナイドガラスなどであってもよい。ケイ素材料が一例として使用される。ケイ素それ自体は、8μmから10μmの波長で赤外光範囲内における比較的良好な透過率を有する。
【0035】
任意選択の解決策として、反射防止コーティングがパッケージカバーの表面に追加されてもよい。これは、パッケージカバーの透過率を改善し、および通過する光の波長を8μmから12μm以上に延ばす。
【0036】
パッケージカバー50は、第1の表面を有する。第1の表面は、パッケージカバー50の表面であり、および基板40とは反対側の表面である。光は、第1の表面からパッケージカバー50内に入射する。第2の光遮断層70が第1の表面上に配置される。第2の光遮断層70は、第1の光透過穴71を備える。第1の光透過穴71は、光路上に位置する。レンズ10を通過する光は、第1の光透過穴71を通ってパッケージカバー50内に入射し得、および光路の外側の光は、第2の光遮断層70によって遮断され得る。このようにして、第2の光遮断層70は、赤外線センサ30に照射される何らかの周辺の迷光を低減して、赤外線センサ30に対する干渉を低減し得る。第2の光遮断層70は、アルミニウム、ニッケル、チタン、金、もしくは銅など金属材料製であってもよく、またはナノカーボンブラックなど吸光材料でコーティングすることによって作製されてもよい。第1の光透過穴71の直径は、レンズ10の直径より大きくても、それに等しくても、それ未満でもよい。これは、本明細書において特に限定されない。任意選択の解決策として、第1の光透過穴71の直径は、レンズ10の直径よりわずかに小さい。
【0037】
第1の光遮断層80は、パッケージカバー50の第2の溝51の側壁に配置される。コリメータ穴20は、第1の光遮断層80内に設けられる。パッケージカバー50内の光は、コリメータ穴20を通過し、および赤外線センサ30に照射され得る。標的エリア光は、コリメータ穴20を通じて選択される。別のエリア光は、第1の光遮断層80によって吸収または反射される。たとえば、第1の光遮断層80は、アルミニウム、ニッケル、チタン、金、もしくは銅など金属材料製であってもよく、またはナノカーボンブラックなど吸光材料でコーティングすることによって作製されてもよい。
【0038】
コリメータ穴20の直径対エアリーディスクの直径の比は、0.5以上3以下である。たとえば、コリメータ穴20の直径対エアリーディスクの直径の比は、0.5、1、2、2.5、3などである。前述の構造を使用するとき、コリメータ穴20は、標的エリア光が通過することを可能にし、および別のエリア光を遮断し得る。
【0039】
任意選択の解決策として、検出器は、熱を外部環境から隔離するように構成されたハウジング60をさらに含む。
図3に示されているように、基板40およびパッケージカバー50はどちらも、ハウジング60内に位置する。さらに、コリメータ穴20および赤外線センサ30がハウジング60内に位置する。外部熱は、ハウジング60を使用することによって隔離され得て、赤外線センサ30の検出結果に対する外部熱の悪影響を低減する。たとえば、ハウジング60は、樹脂、プラスチック、または比較的低い熱伝導率を有する別の一般的な材料製であってもよい。任意選択の解決策として、ハウジング60の内側壁は、断熱層でコーティングされてもよく、またはハウジング60は、断熱材料製である。これは、断熱効果をさらに改善する。
【0040】
図4は、本出願の一実施形態による検出器の適用シナリオの概略図である。使用中、レンズ10は、被検出者に面する。レンズ10を通過した後、被検出者によって放たれる赤外光は、コリメータ穴20を通って検出のために赤外線センサ30に進入し得る。コリメータ穴20は何らかの進入光の量を低減するが、空間サンプリングサイズの低減は、グラフおよび像の解像度を改善し得る。さらに、コリメータ穴20は、検出器がより長い距離を検出することを可能にし得る。
【0041】
図5は、本出願の一実施形態によるモバイル端末の構造の概略図である。検出器は、モバイル端末のハウジング200内に配置され、たとえばハウジング200内のブラケット201または回路板など構成要素を支承することができる構造物に取り付けられる。
図5から、ハウジング200がレンズ10を支持し、およびコリメータ穴20および赤外線センサ30がハウジング内に位置することが理解されることができる。このようにして、検出器は、モバイル電話またはタブレットコンピュータなど、比較的小さいサイズを有するモバイル端末に一体化され得る。
【0042】
図6は、
図3に示されている検出器に基づく変形構造である。
図6におけるいくつかの参照符号については、
図3における同じ参照符号を参照されたい。詳細は、本明細書において再度記載されていない。レンズ10は、パッケージカバー40に一体化され得る。
図6に示されているように、パッケージカバー40のものであって第1の光透過穴71内で露出される部分は、パッケージカバー40に面する外部の弧状突起構造物を形成する。この弧状突起構造物は、検出器のレンズ10として使用され、その結果、検出器全体の構造がよりコンパクトである。
【0043】
レンズ10およびコリメータ穴20が特に設けられるとき、レンズ10からコリメータ穴20への距離dは、レンズ10の焦点距離fにほぼ等しくなり得る。距離dは、異なる設計目的に基づいて調整され得る。たとえば、コリメータ穴20とレンズ10との間の距離dは、レンズ10の焦点距離fより大きくても、それに等しくても、それ未満でもよい。以下は、特定の添付の図面を参照して、異なる提供方式について記載する。添付の図面に示されている直線矢印は、検出器の受光可能な範囲の縁部における光を表すことを理解されたい。
【0044】
図7は、d=fのときの概略図である。d=fのとき、真っ直ぐな光が受信され得て、最も遠い検出距離を得る。しかし、検出器の検出範囲は、比較的狭い。
【0045】
図8は、d<fのときの概略図である。d<fのとき、赤外線センサは、より多くの赤外光を受信し得て、検出器の検出率を改善する。配置中、実際の要件に基づいて、検出器の特定の視野が設計され得る。
【0046】
図9は、d>fのときの概略図である。d>fのとき、赤外線センサは、特定の検出距離範囲内で検出器の解像度を改善することができる。
【0047】
図10は、
図9に示されている検出器に基づく別の変形構造である。
図10におけるいくつかの参照符号については、
図9における同じ参照符号を参照されたい。詳細は、本明細書において再度記載されていない。検出器は、複数の赤外線センサを含み、および複数の対応するレンズおよびコリメータ穴がある。また、複数のレンズがあり、およびこれらの複数のレンズは、複数の赤外線センサと1対1対応にある。
図10は、第1の赤外線センサ31および第2の赤外線センサを示すにすぎない。光路上では、第1のレンズ11、第1のコリメータ穴21、および第1の赤外線センサ31が互いに対応して、第2のレンズ12、第2のコリメータ穴22、および第2の赤外線センサ32が互いに対応する。
【0048】
任意選択の解決策として、複数のレンズがあるとき、光を隔離するための第2の光遮断層70が複数のレンズ間に配置される。第2の光遮断層70は、パッケージカバー50の第1の表面上に配置される。光がレンズに照射されるとき、第2の光遮断層70を使用することによって、光のクロストークが回避される。これは、レンズのそれぞれを通過する光が干渉を受けないことを確実にする。
【0049】
図10に示されている第1のレンズ11および第2のレンズ12に対応する検出エリアは、
図9に示されている赤外線センサの検出エリアと同じであることを理解されたい。
【0050】
本出願のこの実施形態で提供されている赤外線センサの数量は、
図10に示されているように2つに限定されない。代替として3つ、4つの赤外線センサなどがあってもよい。複数の赤外線センサが使用されるとき、それらの複数の赤外線センサは、アレイで配置されてもよく、および対応するコリメータ穴およびレンズもまた、アレイで配置される。さらに、
図10に示されている複数の赤外線センサを配置する方式もまた、
図3に示されている構造に適用され得る。レンズが独立した構造を使用するとき、複数のレンズ、赤外線センサ、およびコリメータ穴を配置する方式もまた使用され得る。
【0051】
図11は、
図10に示されている変形構造である。
図11におけるいくつかの参照符号については、
図10における同じ参照符号を参照されたい。
図11に示されている構造では、第1の赤外線センサ31および第2の赤外線センサ32が1つの第3のレンズ14を共有する。第3のレンズ14を通過する光の一部は、第1のコリメータ穴21を通って第1の赤外線センサ31に入射し、および光の一部は、第2のコリメータ穴22を通って第2の赤外線センサ32に入射する。
【0052】
図11を参照されたい。第1の赤外線センサ31および第2の赤外線センサ32は、第3のレンズ14の中心軸L1の両側に別々に配置される。第1のコリメータ穴21の中心軸H1と第1の赤外線センサ31の中心軸G1との間の間隔は、d1である。第2のコリメータ穴22の中心軸H2と第2の赤外線センサ32の中心軸G2との間の間隔は、d2である。d1とd2との間の距離は、第1の赤外線センサ31によって受け入れられることができるレンズCRAに関係する。第1のコリメータ穴21および第2のコリメータ穴22は、第1の赤外線センサ31および第2の赤外線センサ32によって受け入れられることができる対応するレンズCRAに基づいて設けられ得る。CRA(Chief Ray Angle、主光線角度)は、レンズから赤外線センサの側への、赤外線センサ上で合焦させることができる光の最大角度を意味する。
【0053】
赤外線センサと対応するコリメータ穴との間の対応を容易に理解するために、
図12に示されている複数の赤外線センサを使用する検出器の構造を参照されたい。
【0054】
図12におけるいくつかの参照符号については、
図10における同じ参照符号を参照されたい。
図12に示されている構造では、複数の赤外線センサがあり、およびこれらの複数の赤外線センサは、アレイで配置される。
図12は、アレイにおいて赤外線センサの1つの列を配置する方式の一例を示す。赤外線センサの1つの列は、第1の赤外線センサ33、第2の赤外線センサ34、第3の赤外線センサ35、第4の赤外線センサ36、および第5の赤外線センサ37を含む。第1の赤外線センサ33から第5の赤外線センサ37は、1つのレンズ10を共有する。
【0055】
複数の前述の赤外線センサに対応する複数のコリメータ穴が、対応するセンサのCRAの要件に基づいてレンズ10に対してオフセットで設けられる。コリメータ穴と対応する赤外線センサとの間の対応を容易に記載するために、以下は、レンズ10の中心軸、赤外線センサの中心軸、およびコリメータ穴の中心軸を導入する。赤外線センサおよび対応するコリメータ穴は、以下の条件を満たす。すなわち、コリメータ穴の中心軸と対応する赤外線センサの中心軸との間の相対距離は、対応する赤外線センサの中心軸とレンズの中心軸との間の距離が増大するにつれて増大する。
【0056】
図12を参照されたい。第1の赤外線センサ33の中心軸G1は、レンズ10の中心軸L1と重なり合う。第2の赤外線センサ34と第3の赤外線センサ35との対、および第4の赤外線センサ36と第5の赤外線センサ37との対は、第1の赤外線センサ33の両側に対称に配置される。
【0057】
第1のコリメータ穴23の中心軸H1は、第1の赤外線センサ33の中心軸G1およびレンズ10の中心軸L1と重なり合う。第2のコリメータ穴24の中心軸H2と第2のレンズ10の中心軸G2との間の間隔はd1であり、および第3のコリメータ穴25の中心軸H3と第3の赤外線センサ35の中心軸G3との間の間隔はd2である。それに対応して、第4のコリメータ穴26の中心軸H4と第4の赤外線センサ36の中心軸G4との間の間隔はd1であり、および第5のコリメータ穴27の中心軸H5と第5の赤外線センサ37の中心軸G5との間の間隔はd2である。d1およびd2は、センサに対応するCRAが変化するにつれて、赤外線センサに対する対応するコリメータ穴の位置も変化することを確実にするために、以下の条件、すなわちd2>d1を満たすことを必要とする。このようにして、レンズ10を通過する光は、赤外線センサに照射されることが可能である。
【0058】
図13は、
図9に示されている検出器に基づく変形構造である。
図13におけるいくつかの参照符号については、
図3における同じ参照符号を参照されたい。赤外線センサ30に加えて、検出器は、較正センサ90をさらに含む。較正センサ90は、検出器の内部温度を検出するように構成される。配置中、較正センサ90および赤外線センサ30は、同じように配置される。カンチレバービームを使用することによって、基板40が較正センサ90に取り付けられ、および基板40とパッケージカバー50はどちらも、較正センサ90を回避する溝を備える。さらに、較正センサ90の検出感度を確保するために、較正センサ90に対して真空パッケージングも実施される。検出中、較正センサ90は、検出器内の温度を検出し、および較正センサ90の温度をより正確に検出し得る。
図13から、較正センサ90および赤外線センサ30は、同じ環境内にあることがわかる。したがって、較正センサ90によって検出された温度は、赤外線センサ30の温度とも考えられ得る。
【0059】
検出器は、1つのコントローラをさらに含む。コントローラは、較正センサ90によって検出された検出器温度に基づいて、赤外線センサ30によって検出された赤外光温度を較正するように構成される。たとえば、赤外線センサ30によって検出された温度がT1、および較正センサ90によって検出された温度がT2である場合、コントローラは、2つの検出された温度に基づいて、較正された温度T0=T1-T2を取得し得る。このようにして、検出器は、より正確な較正温度を取得し得る。
【0060】
本出願の一実施形態は、モバイル端末をさらに提供する。モバイル端末は、回路板と、前述のいずれか1つによる、回路板上に配置された検出器とを含む。回路板は、検出器の赤外線センサに電気的に接続される。さらに、検出器がコントローラを含むとき、コントローラもまた、回路板に電気的に接続される。前述の技術的解決策では、レンズの収束機能が比較的長い距離で検出器が体温を検出することを可能にし、および周辺の迷光は、設けられたコリメータ穴を通じて除去される。これは、検出精度を改善する。さらに、コリメータ穴は、光をスクリーニングするための構造として使用される。これは、検出器の体積を低減することができ、検出器の小型化を容易にする。
【0061】
任意選択の解決策では、モバイル端末は、ハウジングをさらに含む。ハウジングは、光透過穴を備える。検出器のレンズは、光透過穴内に埋め込まれてもよい。検出器のレンズは、ハウジングによって支持される。これは、モバイル端末内の検出器によって占有されるサイズをさらに低減する。
【0062】
任意選択の解決策として、本出願のこの実施形態において提供される検出器は、さらにモバイル端末の前方カメラまたは後方カメラと共に動作し得る。温度測定は、体温を測定するために前方カメラまたは後方カメラを用いて、自分撮りするとき、または後方カメラでポートレート写真を撮るとき実施され得る。
【0063】
任意選択の解決策として、検出器は、さらにモバイル端末のAI(Artificial Intelligence、人工知能)顔認識と共に動作し得る。ユーザがAI顔認識を通じてモバイル端末をロック解除するとき、モバイル端末は、個人の健康および体温についてユーザの監視データを自動的に記録してもよい。
【0064】
本出願のこの実施形態において提供される検出器は、さらに、モバイル端末に一体化されて、モバイル電話の距離センサと共に動作し得る。体温検出中、被検出者の距離情報が距離センサを使用することによって検出され、被検出者の温度情報が検出器を使用することによって検出され、および温度測定データが、収集された深さ情報に基づいて較正される。
【0065】
さらに、検出器は、レンズのないCIS撮像システムを実装するために、可視光像/ビデオ撮影のCIS(密着イメージセンサ、スキャナ)設計のためにさらに使用されてもよい。
【0066】
当業者は本出願の精神および範囲から逸脱することなく様々な修正および変更を本出願になすことができることは明らかに。本出願は、本出願のこれらの修正および変更を、それらが以下の特許請求の範囲によって規定される保護の範囲およびそれらの均等な技術内に入ることを条件に包含することが意図されている。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光路上に配置されるレンズ、コリメータ穴、および赤外線センサを備える検出器であって、
前記レンズは、周辺光を収束するように構成され、および前記周辺光は、標的エリア光および別のエリア光を備え、
前記コリメータ穴は、スクリーニングによって前記標的エリア光を取得して、前記別のエリア光を遮断するために使用され、および
前記赤外線センサは、前記標的エリア光内の赤外光を受信して、前記赤外光に基づいて温度を検出するように構成される、検出器。
【請求項2】
前記コリメータ穴の直径対エアリーディスクの直径の比は、0.5以上3以下である請求項1に記載の検出器。
【請求項3】
較正センサおよびコントローラをさらに備え、
前記較正センサは、前記検出器の内部温度を検出するように構成され、および
前記コントローラは、前記較正センサによって検出された前記
内部温度に基づいて、前記赤外線センサによって検出された前
記温度を較正するように構成される請求項1または2に記載の検出器。
【請求項4】
複数の赤外線センサがあり、レンズの数量は、赤外線センサの数量と同じであり、および前記レンズは、前記赤外線センサと1対1対応にある請求項1乃至3のいずれか一項に記載の検出器。
【請求項5】
光を隔離するための第1の光遮断層が、2つの隣接するレンズ間ごとに配置される請求項4に記載の検出器。
【請求項6】
複数の赤外線センサがあり、1つのレンズがあり、および複数のコリメータ穴があり、前記コリメータ穴は、前記赤外線センサと1対1対応にあり、および前記コリメータ穴の中心軸と、対応する前記赤外線センサの中心軸との間の相対距離は、対応する前記赤外線センサの前記中心軸と前記レンズの中心軸との間の距離が増大するにつれて増大する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の検出器。
【請求項7】
基板およびパッケージカバーをさらに備え、前記パッケージカバーおよび前記基板は、密封された様式で接続されて、赤外線検出器を収容するための空間を囲む請求項1乃至6のいずれか一項に記載の検出器。
【請求項8】
第2の光遮断層が前記パッケージカバー上に配置され、および前記コリメータ穴は、前記第2の光遮断層内に設けられる請求項7に記載の検出器。
【請求項9】
前記レンズは、前記パッケージカバー上に配置された突起構造物である請求項7または8に記載の検出器。
【請求項10】
熱を外部環境から隔離するように構成されたハウジングをさらに備え、前記コリメータ穴および前記赤外線センサは、前記ハウジング内に位置する請求項1乃至9のいずれか一項に記載の検出器。
【請求項11】
回路板と、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の、前記回路板上に配置された前記検出器とを備えるモバイル端末であって、前記回路板は、前記検出器の赤外線センサに電気的に接続される、モバイル端末。
【請求項12】
前記検出器がコントローラを備えるとき、前記コントローラは、前記回路板に電気的に接続される請求項11に記載のモバイル端末。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、撮像技術の分野に関し、および詳細には、検出器およびモバイル端末に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年11月30日に中国国家知識産権局に出願された「DETECTOR AND MOBILE TERMINAL」という名称の中国特許出願第202011379887.1号に対する優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0003】
赤外線撮像技術は、最も早い時期では、ミサイル誘導およびナイトビジョン調査など軍事目的で使用された。近年では、赤外線撮像技術は、徐々に民間分野へと発展させられている。たとえば、赤外線センサが非接触体温測定のための額温度計に使用されている。任意の物体は、絶対零度でない場合、電磁波を放射する。より高い温度は、より短い波長を示す。温度が3000Kより高いとき、電磁波の波長は可視光波長範囲内にあり、および人の目で見える。
【0004】
体温は、35℃から37℃(300K(ケルビン))に及ぶ。放射される電磁波の波長は、8μmから12μmに及び、これは遠赤外線範囲内にある。したがって、赤外線センサを使用して体温を測定することは、そのセンサを使用して8μmから12μmの赤外線波長範囲を検出することを意味する。
【0005】
現在、広く使用されている赤外線温度計は、額温度計、サーマルイメージャなどである。額温度計は、サーモパイルセンサを使用して、通常、2cmの短い距離で温度を測定する。レンズはなく、およびコストは低い。サーマルイメージャは、写真を撮影するために使用されるカメラと同様である。それは、精密な光学レンズを備え、および明瞭な赤外線写真を撮影することができる。別のタイプの赤外線温度計は、セキュリティチェックゲートシステムである。セキュリティチェックゲートシステムの温度測定方法は、サーマルイメージャのものと同様である。通常、2つのカメラを備えられ、1つは可視光下で写真を撮影するためのものであって、他方は赤外光下で写真を撮影するためのものである。可視光および赤外光下で撮影された2枚の写真は、後でAIアルゴリズムに従って組み合わされ、および他の機能を使用して処理される。しかし、従来の技術では、額温度計の検出距離は比較的短く、およびサーマルイメージャの構造は比較的複雑である。その結果、額温度計もサーマルイメージャも薄い端末デバイスに一体化されることができない。
【発明の概要】
【0006】
本出願は、長距離赤外線温度測定を実装し、検出器の小型化を改善するために、検出器およびモバイル端末を提供する。
【0007】
第1の態様によれば、検出器が提供される。検出器は、温度検出を実装するように構成される。検出器は、主にレンズ、コリメータ穴、および赤外線センサを含む。レンズ、コリメータ穴、および赤外線センサは、光路上に配置される。光は、レンズおよびコリメータ穴を通過して、次いで赤外線センサに照射され得る。レンズは、周辺光を収束するように構成され、および周辺光は、標的エリア光および別のエリア光を含む。周辺光は、被検出エリア内にあるかどうかにかかわらず、レンズを通って検出器内に入射し得る。コリメータ穴は、スクリーニングによって標的エリア光を取得し、および別のエリア光を遮断するために使用される。具体的には、コリメータ穴は、入射周辺光をスクリーニングするために使用され、および標的エリア光だけが赤外線センサに照射されることが可能である。赤外線センサは、標的エリア光を受けて、別のエリア光を遮断するように構成される。前述の技術的解決策では、レンズの収束機能が比較的長い距離で検出器が体温を検出することを可能にし、および標的エリアは、設けられたコリメータ穴を通じて選択される。これは、検出精度を改善する。さらに、コリメータ穴は、光をスクリーニングするための構造として使用される。これは、検出器の体積を低減することができ、検出器の小型化を容易にする。
【0008】
特定の実装解決策では、コリメータ穴の直径対エアリーディスクの直径の比は、0.5以上3以下である。これは、赤外光をスクリーニングする効果を確実にし、および検出効果を改善する。
【0009】
特定の実装解決策では、コリメータ穴とレンズとの間の距離は、レンズの焦点距離より大きくても、それに等しくても、それ未満でもよい。このようにして、異なる距離が検出要件に基づいて設定されることを必要とする。
【0010】
特定の実装解決策では、検出器は、較正センサおよびコントローラをさらに含む。較正センサは、検出器の内部温度を検出するように構成される。コントローラは、較正センサによって検出された検出器温度に基づいて、赤外線センサによって検出された赤外光温度を較正するように構成される。これは、検出器の検出効果を改善する。
【0011】
赤外線センサおよびレンズが配置されるとき、赤外線センサおよびレンズは、異なる方式で互いに対応し得る。たとえば、任意選択の解決策では、複数の赤外線センサがあって、複数のレンズがある。レンズの数量は、赤外線センサのものと同じであり、およびレンズは、赤外線センサと1対1対応にある。代替として、複数の赤外線センサがあって、1つのレンズがある。複数のコリメータ穴があり、およびコリメータ穴は、赤外線センサと1対1対応にある。
【0012】
任意選択の解決策では、複数のレンズがあるとき、光を隔離するための第1の光遮断層が複数のレンズ間に配置される。光のクロストークが、第1の光遮断層を使用することによって回避される。これは、各レンズを通過する光が干渉を受けないことを確実にする。
【0013】
任意選択の解決策では、1つのレンズがあるとき、コリメータ穴の中心軸と、対応する赤外線センサの中心軸との間の相対距離は、対応する赤外線センサの中心軸とレンズの中心軸との間の距離が増大するにつれて増大する。これは、光をコリメータ穴に照射する効果を改善する。
【0014】
任意選択の解決策では、基板およびパッケージカバーがさらに含まれる。パッケージカバーおよび基板は、密封された様式で接続されて、赤外線検出器を収容するための空間を囲む。基板およびパッケージカバーは、コリメータ穴およびレンズを支承するための支承部として使用される。
【0015】
任意選択の解決策では、第2の光遮断層がパッケージカバー上に配置され、およびコリメータ穴は、第2の光遮断層内に設けられる。
【0016】
任意選択の解決策では、レンズは、パッケージカバー上に配置された突起構造物である。これは、検出器の構造を単純化する。
【0017】
任意選択の解決策では、レンズは独立して配置され、およびレンズは、モバイル端末のブラケットまたはハウジングを使用することによって支持されてもよい。
【0018】
任意選択の解決策では、検出器は、熱を外部環境から隔離するように構成されたハウジングをさらに含む。コリメータ穴および赤外線センサは、ハウジング内に位置する。これは、検出効果をさらに改善する。
【0019】
第2の態様によれば、モバイル端末が提供される。モバイル端末は、回路板と、前述のいずれか1つによる、回路板上に配置された検出器とを含む。回路板は、検出器の赤外線センサに電気的に接続される。前述の技術的解決策では、レンズの収束機能が比較的長い距離で検出器が体温を検出することを可能にし、および周辺の迷光は、設けられたコリメータ穴を通じて除去される。これは、検出精度を改善する。さらに、コリメータ穴は、光をスクリーニングするための構造として使用される。これは、検出器の体積を低減することができ、検出器の小型化を容易にする。
【0020】
任意選択の解決策では、検出器がコントローラを含むとき、コントローラは、回路板に電気的に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】本出願の一実施形態による検出器の構造のブロック図である。
【
図3】本出願の一実施形態による検出器の構造の概略図である。
【
図4】本出願の一実施形態による検出器の適用シナリオの概略図である。
【
図5】本出願の一実施形態によるモバイル端末の構造の概略図である。
【
図6】本出願の一実施形態による別の検出器の構造の概略図である。
【
図7】本出願の一実施形態による別の検出器の構造の概略図である。
【
図8】本出願の一実施形態による別の検出器の構造の概略図である。
【
図9】本出願の一実施形態による別の検出器の構造の概略図である。
【
図10】本出願の一実施形態による別の検出器の構造の概略図である。
【
図11】本出願の一実施形態による別の検出器の構造の概略図である。
【
図12】本出願の一実施形態による別の検出器の構造の概略図である。
【
図13】本出願の一実施形態による別の検出器の構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下は、添付の図面を参照して、本出願の実施形態についてさらに記載している。
【0023】
本出願の実施形態において使用される検出器の理解を容易にするために、最初に検出器の適用シナリオが記載される。本出願の実施形態において提供される検出器は、体温検出の分野に適用される。
図1は、体温テストシナリオである。検出器100は、被検出者の額に面して、人体の額温度を検出することによって体温を検出する。従来の技術では、額温度計は通常、体温を検出するように構成される。しかし、額温度計の検出距離はわずか1cmから3cmで比較的短く、および額温度計のサイズは比較的大きい。したがって、本出願の一実施形態は、検出距離を増大するための検出器100を提供する。このようにして、額温度は、20cmから2mの距離で、またはさらに長い距離で測定されることが可能である。これは、小型化を実装する。以下は、検出器について、特定の添付の図面および実施形態を参照して詳細に記載する。
【0024】
図2は、本出願の一実施形態による検出器の構造のブロック図である。検出器は、レンズ10、コリメータ穴20、および赤外線センサ30を含む。レンズ10、コリメータ穴20、および赤外線センサ30は、光路上に配置される。コリメータ穴20は、中央に位置する。レンズ10および赤外線センサ30は、コリメータ穴20の両側に位置する。光は、レンズ10およびコリメータ穴20を通過し、次いで赤外線センサ30に照射され得る。赤外線センサ30は、レンズ10およびコリメータ穴20を通過する光における受信された赤外光の光信号を電気信号に変換し、電気信号に基づいて、受信された赤外光の温度を決定し得る。被検出者の体温は、赤外光の検出された温度に基づいて決定される。
【0025】
レンズ10は、周辺光を収束して、検出器の外側の光を検出器内に収束するように構成される。レンズ10は、光が収束されることができることを条件に、異なるタイプのレンズを使用してもよい。たとえば、レンズ10は、両凸レンズ、単凸レンズ、三角プリズム、および多面プリズムなど、異なるタイプのレンズであってもよい。
【0026】
レンズ10は、光をスクリーニングしない。レンズ10を通過する周辺光は、標的エリア光および別のエリア光を含む。標的エリア光は、検出のために被検出者が位置するエリア
における光を意味する。
図1に示されている適用シナリオを参照されたい。検出器が被検出者の額を検出するとき、被検出者の額エリアが標的エリアであり、および額から放たれる光が標的エリア光である。別のエリア光は、標的エリア以外のエリア内の光を意味する。たとえば、検出中、第1の被検出者と第2の被検出者とがいる。第1の被検出者が検出されるとき、第1の被検出者の標的エリアによって送られる光が標的エリア光であり、および第2の被検出者によって放たれる赤外光は、別のエリア光である。同様に、第2の被検出者が検出されるとき、第1の被検出者によって放たれる赤外光は、別のエリア光である。
【0027】
検出精度を確保するために、検出中、別のエリア光は、赤外線センサ30に照射されるべきでない。したがって、異なるエリア内の光がコリメータ穴20を通じて選択されることが可能であるように、コリメータ穴20が光路上に設けられる。
図2に示されている構造から、コリメータ穴20およびレンズ10は、望遠鏡に似た構造を形成し、およびレンズ10の直径は、コリメータ穴20のものよりはるかに大きいことが理解されることができる。したがって、標的エリア光および別のエリア光がコリメータ穴20に照射されるとき、標的エリア光だけがコリメータ穴20を通過することができ、および別のエリア光は、コリメータ穴20を通過することができない。
【0028】
任意選択の解決策として、コリメータ穴20がスクリーニングによって標的エリア光を取得するために使用されるとき、コリメータ穴20の直径対エアリーディスクの直径の比は、0.5以上3以下である。エアリーディスクは、点光源が制限された回折を通じて撮像されるとき回折により焦点に形成される光点である。光点の中心は明るい丸い点であり、弱い明暗が交互する同心の環状帯のグループによって囲まれる。第1の暗環によって境界を画された中心の明るい点がエアリーディスクと呼ばれる。
【0029】
たとえば、コリメータ穴20の直径対エアリーディスクの直径の比は、0.5、1、2、2.5、3などである。前述の構造を使用するとき、コリメータ穴20は、標的エリア光が通過することを可能にし、および別のエリア光を遮断し得る。
【0030】
赤外線センサ30は、標的エリア光内の赤外光を受けて、赤外光に基づいて温度を検出するように構成される。赤外線センサ30がコリメータ穴20を通過する標的エリア光を受信するとき、標的エリア光は、赤外光および周辺の迷光を含む。しかし、検出中には、赤外光だけが検出されることを必要とする。したがって、赤外線センサ30は、検出器として使用される。赤外線センサ30は、赤外光だけを受信することができ、および他の周辺の迷光を受信しない。これは、周辺の迷光の干渉を回避することができる。赤外光が赤外線センサ30に照射されるとき、光信号は、赤外線センサ30によって電気信号に変換され得、および被検出者の温度は、この電気信号を検出することによって決定され得る。
【0031】
図3は、本出願の一実施形態による検出器の構造の概略図である。検出器のレンズ10は、モバイル端末のハウジングまたはブラケット上に配置され得る。
図3は、レンズ10がモバイル端末のハウジング200上に配置される一例を示す。周辺光は、レンズ10を通ってハウジング200内に入射し得る。
【0032】
検出器は、基板40およびパッケージカバー50を含む。赤外線センサ30の支承構造物として、基板40が赤外線センサ30を支承するように構成される。回路層が基板40上に配置され、および赤外線センサ30は、基板40の回路層に電気的に接続されることを理解されたい。
【0033】
基板40は、赤外線センサ30を収容するために使用される第1の溝41を備える。赤外線センサ30は、第1の溝41内に配置され、および第1の溝41内に延びるカンチレバービーム42を使用することによって基板40に取り付けられる。これは、赤外線センサ30と別の構造物との間の接触を可能な限り低減し、および別の構造物の温度によって赤外線センサ30に対して引き起こされる干渉を回避する。
【0034】
パッケージカバー50は、基板40を覆い、およびパッケージカバー50は、1つの第2の溝51を有する。第2の溝51は、第1の溝41に対応し、およびそれらは共に、赤外線センサ30を収容するための空間を囲む。このようにして、赤外線センサ30は、基板40およびパッケージカバー50に接触しない。さらに、パッケージカバー50および基板40は、密封された様式で接続される。密封している間、第1の溝41および第2の溝51によって囲まれた空間は、真空パッケージングを形成するために真空化される。これは、赤外線センサ30に対する第1の溝41および第2の溝51内の気体の対流熱放散の干渉をさらに低減する。レンズ10を通過する光が赤外線センサ30に照射され得ることを確実にするために、パッケージカバー50は、赤外光が通過することを可能にする材料を使用してもよいことを理解されたい。たとえば、この材料は、ケイ素、ゲルマニウム、ZnS、ZnSe、カルコゲナイドガラスなどであってもよい。ケイ素材料が一例として使用される。ケイ素それ自体は、8μmから10μmの波長で赤外光範囲内における比較的良好な透過率を有する。
【0035】
任意選択の解決策として、反射防止コーティングがパッケージカバーの表面に追加されてもよい。これは、パッケージカバーの透過率を改善し、および通過する光の波長を8μmから12μm以上に延ばす。
【0036】
パッケージカバー50は、第1の表面を有する。第1の表面は、パッケージカバー50の表面であり、および基板40とは反対側の表面である。光は、第1の表面からパッケージカバー50内に入射する。第2の光遮断層70が第1の表面上に配置される。第2の光遮断層70は、第1の光透過穴71を備える。第1の光透過穴71は、光路上に位置する。レンズ10を通過する光は、第1の光透過穴71を通ってパッケージカバー50内に入射し得、および光路の外側の光は、第2の光遮断層70によって遮断され得る。このようにして、第2の光遮断層70は、赤外線センサ30に照射される何らかの周辺の迷光を低減して、赤外線センサ30に対する干渉を低減し得る。第2の光遮断層70は、アルミニウム、ニッケル、チタン、金、もしくは銅など金属材料製であってもよく、またはナノカーボンブラックなど吸光材料でコーティングすることによって作製されてもよい。第1の光透過穴71の直径は、レンズ10の直径より大きくても、それに等しくても、それ未満でもよい。これは、本明細書において特に限定されない。任意選択の解決策として、第1の光透過穴71の直径は、レンズ10の直径よりわずかに小さい。
【0037】
第1の光遮断層80は、パッケージカバー50の第2の溝51の側壁に配置される。コリメータ穴20は、第1の光遮断層80内に設けられる。パッケージカバー50内の光は、コリメータ穴20を通過し、および赤外線センサ30に照射され得る。標的エリア光は、コリメータ穴20を通じて選択される。別のエリア光は、第1の光遮断層80によって吸収または反射される。たとえば、第1の光遮断層80は、アルミニウム、ニッケル、チタン、金、もしくは銅など金属材料製であってもよく、またはナノカーボンブラックなど吸光材料でコーティングすることによって作製されてもよい。
【0038】
コリメータ穴20の直径対エアリーディスクの直径の比は、0.5以上3以下である。たとえば、コリメータ穴20の直径対エアリーディスクの直径の比は、0.5、1、2、2.5、3などである。前述の構造を使用するとき、コリメータ穴20は、標的エリア光が通過することを可能にし、および別のエリア光を遮断し得る。
【0039】
任意選択の解決策として、検出器は、熱を外部環境から隔離するように構成されたハウジング60をさらに含む。
図3に示されているように、基板40およびパッケージカバー50はどちらも、ハウジング60内に位置する。さらに、コリメータ穴20および赤外線センサ30がハウジング60内に位置する。外部熱は、ハウジング60を使用することによって隔離され得て、赤外線センサ30の検出結果に対する外部熱の悪影響を低減する。たとえば、ハウジング60は、樹脂、プラスチック、または比較的低い熱伝導率を有する別の一般的な材料製であってもよい。任意選択の解決策として、ハウジング60の内側壁は、断熱層でコーティングされてもよく、またはハウジング60は、断熱材料製である。これは、断熱効果をさらに改善する。
【0040】
図4は、本出願の一実施形態による検出器の適用シナリオの概略図である。使用中、レンズ10は、被検出者に面する。レンズ10を通過した後、被検出者によって放たれる赤外光は、コリメータ穴20を通って検出のために赤外線センサ30に進入し得る。コリメータ穴20は何らかの進入光の量を低減するが、空間サンプリングサイズの低減は、グラフおよび像の解像度を改善し得る。さらに、コリメータ穴20は、検出器がより長い距離を検出することを可能にし得る。
【0041】
図5は、本出願の一実施形態によるモバイル端末の構造の概略図である。検出器は、モバイル端末のハウジング200内に配置され、たとえばハウジング200内のブラケット201または回路板など構成要素を支承することができる構造物に取り付けられる。
図5から、ハウジング200がレンズ10を支持し、およびコリメータ穴20および赤外線センサ30がハウジング内に位置することが理解されることができる。このようにして、検出器は、モバイル電話またはタブレットコンピュータなど、比較的小さいサイズを有するモバイル端末に一体化され得る。
【0042】
図6は、
図3に示されている検出器に基づく変形構造である。
図6におけるいくつかの参照符号については、
図3における同じ参照符号を参照されたい。詳細は、本明細書において再度記載されていない。レンズ10は、パッケージカバー
50に一体化され得る。
図6に示されているように、パッケージカバー
50のものであって第1の光透過穴71内で露出される部分は、パッケージカバー
50に面する外部の弧状突起構造物を形成する。この弧状突起構造物は、検出器のレンズ10として使用され、その結果、検出器全体の構造がよりコンパクトである。
【0043】
レンズ10およびコリメータ穴20が特に設けられるとき、レンズ10からコリメータ穴20への距離dは、レンズ10の焦点距離fにほぼ等しくなり得る。距離dは、異なる設計目的に基づいて調整され得る。たとえば、コリメータ穴20とレンズ10との間の距離dは、レンズ10の焦点距離fより大きくても、それに等しくても、それ未満でもよい。以下は、特定の添付の図面を参照して、異なる提供方式について記載する。添付の図面に示されている直線矢印は、検出器の受光可能な範囲の縁部における光を表すことを理解されたい。
【0044】
図7は、d=fのときの概略図である。d=fのとき、真っ直ぐな光が受信され得て、最も遠い検出距離を得る。しかし、検出器の検出範囲は、比較的狭い。
【0045】
図8は、d<fのときの概略図である。d<fのとき、赤外線センサは、より多くの赤外光を受信し得て、検出器の検出率を改善する。配置中、実際の要件に基づいて、検出器の特定の視野が設計され得る。
【0046】
図9は、d>fのときの概略図である。d>fのとき、赤外線センサは、特定の検出距離範囲内で検出器の解像度を改善することができる。
【0047】
図10は、
図9に示されている検出器に基づく別の変形構造である。
図10におけるいくつかの参照符号については、
図9における同じ参照符号を参照されたい。詳細は、本明細書において再度記載されていない。検出器は、複数の赤外線センサを含み、および複数の対応するレンズおよびコリメータ穴がある。また、複数のレンズがあり、およびこれらの複数のレンズは、複数の赤外線センサと1対1対応にある。
図10は、第1の赤外線センサ31および第2の赤外線センサ
32を示すにすぎない。光路上では、第1のレンズ11、第1のコリメータ穴21、および第1の赤外線センサ31が互いに対応して、第2のレンズ12、第2のコリメータ穴22、および第2の赤外線センサ32が互いに対応する。
【0048】
任意選択の解決策として、複数のレンズがあるとき、光を隔離するための第2の光遮断層70が複数のレンズ間に配置される。第2の光遮断層70は、パッケージカバー50の第1の表面上に配置される。光がレンズに照射されるとき、第2の光遮断層70を使用することによって、光のクロストークが回避される。これは、レンズのそれぞれを通過する光が干渉を受けないことを確実にする。
【0049】
図10に示されている第1のレンズ11および第2のレンズ12に対応する検出エリアは、
図9に示されている赤外線センサの検出エリアと同じであることを理解されたい。
【0050】
本出願のこの実施形態で提供されている赤外線センサの数量は、
図10に示されているように2つに限定されない。代替として3つ、4つの赤外線センサなどがあってもよい。複数の赤外線センサが使用されるとき、それらの複数の赤外線センサは、アレイで配置されてもよく、および対応するコリメータ穴およびレンズもまた、アレイで配置される。さらに、
図10に示されている複数の赤外線センサを配置する方式もまた、
図3に示されている構造に適用され得る。レンズが独立した構造を使用するとき、複数のレンズ、赤外線センサ、およびコリメータ穴を配置する方式もまた使用され得る。
【0051】
図11は、
図10に示されている変形構造である。
図11におけるいくつかの参照符号については、
図10における同じ参照符号を参照されたい。
図11に示されている構造では、第1の赤外線センサ31および第2の赤外線センサ32が1つの第3のレンズ14を共有する。第3のレンズ14を通過する光の一部は、第1のコリメータ穴21を通って第1の赤外線センサ31に入射し、および光の一部は、第2のコリメータ穴22を通って第2の赤外線センサ32に入射する。
【0052】
図11を参照されたい。第1の赤外線センサ31および第2の赤外線センサ32は、第3のレンズ14の中心軸L1の両側に別々に配置される。第1のコリメータ穴21の中心軸H1と第1の赤外線センサ31の中心軸G1との間の間隔は、d1である。第2のコリメータ穴22の中心軸H2と第2の赤外線センサ32の中心軸G2との間の間隔は、d2である。d1とd2との間の距離は、第1の赤外線センサ31によって受け入れられることができるレンズCRAに関係する。第1のコリメータ穴21および第2のコリメータ穴22は、第1の赤外線センサ31および第2の赤外線センサ32によって受け入れられることができる対応するレンズCRAに基づいて設けられ得る。CRA(Chief Ray Angle、主光線角度)は、レンズから赤外線センサの側への、赤外線センサ上で合焦させることができる光の最大角度を意味する。
【0053】
赤外線センサと対応するコリメータ穴との間の対応を容易に理解するために、
図12に示されている複数の赤外線センサを使用する検出器の構造を参照されたい。
【0054】
図12におけるいくつかの参照符号については、
図10における同じ参照符号を参照されたい。
図12に示されている構造では、複数の赤外線センサがあり、およびこれらの複数の赤外線センサは、アレイで配置される。
図12は、アレイにおいて赤外線センサの1つの列を配置する方式の一例を示す。赤外線センサの1つの列は、第1の赤外線センサ33、第2の赤外線センサ34、第3の赤外線センサ35、第4の赤外線センサ36、および第5の赤外線センサ37を含む。第1の赤外線センサ33から第5の赤外線センサ37は、1つのレンズ10を共有する。
【0055】
複数の前述の赤外線センサに対応する複数のコリメータ穴が、対応するセンサのCRAの要件に基づいてレンズ10に対してオフセットで設けられる。コリメータ穴と対応する赤外線センサとの間の対応を容易に記載するために、以下は、レンズ10の中心軸、赤外線センサの中心軸、およびコリメータ穴の中心軸を導入する。赤外線センサおよび対応するコリメータ穴は、以下の条件を満たす。すなわち、コリメータ穴の中心軸と対応する赤外線センサの中心軸との間の相対距離は、対応する赤外線センサの中心軸とレンズの中心軸との間の距離が増大するにつれて増大する。
【0056】
図12を参照されたい。第1の赤外線センサ33の中心軸G1は、レンズ10の中心軸L1と重なり合う。第2の赤外線センサ34と第3の赤外線センサ35との対、および第4の赤外線センサ36と第5の赤外線センサ37との対は、第1の赤外線センサ33の両側に対称に配置される。
【0057】
第1のコリメータ穴23の中心軸H1は、第1の赤外線センサ33の中心軸G1およびレンズ10の中心軸L1と重なり合う。第2のコリメータ穴24の中心軸H2とレンズ10の中心軸G2との間の間隔はd1であり、および第3のコリメータ穴25の中心軸H3と第3の赤外線センサ35の中心軸G3との間の間隔はd2である。それに対応して、第4のコリメータ穴26の中心軸H4と第4の赤外線センサ36の中心軸G4との間の間隔はd1であり、および第5のコリメータ穴27の中心軸H5と第5の赤外線センサ37の中心軸G5との間の間隔はd2である。d1およびd2は、センサに対応するCRAが変化するにつれて、赤外線センサに対する対応するコリメータ穴の位置も変化することを確実にするために、以下の条件、すなわちd2>d1を満たすことを必要とする。このようにして、レンズ10を通過する光は、赤外線センサに照射されることが可能である。
【0058】
図13は、
図9に示されている検出器に基づく変形構造である。
図13におけるいくつかの参照符号については、
図3における同じ参照符号を参照されたい。赤外線センサ30に加えて、検出器は、較正センサ90をさらに含む。較正センサ90は、検出器の内部温度を検出するように構成される。配置中、較正センサ90および赤外線センサ30は、同じように配置される。カンチレバービームを使用することによって、基板40が較正センサ90に取り付けられ、および基板40とパッケージカバー50はどちらも、較正センサ90を回避する溝を備える。さらに、較正センサ90の検出感度を確保するために、較正センサ90に対して真空パッケージングも実施される。検出中、較正センサ90は、検出器内の温度を検出し、および較正センサ90の温度をより正確に検出し得る。
図13から、較正センサ90および赤外線センサ30は、同じ環境内にあることがわかる。したがって、較正センサ90によって検出された温度は、赤外線センサ30の温度とも考えられ得る。
【0059】
検出器は、1つのコントローラをさらに含む。コントローラは、較正センサ90によって検出された検出器温度に基づいて、赤外線センサ30によって検出された赤外光温度を較正するように構成される。たとえば、赤外線センサ30によって検出された温度がT1、および較正センサ90によって検出された温度がT2である場合、コントローラは、2つの検出された温度に基づいて、較正された温度T0=T1-T2を取得し得る。このようにして、検出器は、より正確な較正温度を取得し得る。
【0060】
本出願の一実施形態は、モバイル端末をさらに提供する。モバイル端末は、回路板と、前述のいずれか1つによる、回路板上に配置された検出器とを含む。回路板は、検出器の赤外線センサに電気的に接続される。さらに、検出器がコントローラを含むとき、コントローラもまた、回路板に電気的に接続される。前述の技術的解決策では、レンズの収束機能が比較的長い距離で検出器が体温を検出することを可能にし、および周辺の迷光は、設けられたコリメータ穴を通じて除去される。これは、検出精度を改善する。さらに、コリメータ穴は、光をスクリーニングするための構造として使用される。これは、検出器の体積を低減することができ、検出器の小型化を容易にする。
【0061】
任意選択の解決策では、モバイル端末は、ハウジングをさらに含む。ハウジングは、光透過穴を備える。検出器のレンズは、光透過穴内に埋め込まれてもよい。検出器のレンズは、ハウジングによって支持される。これは、モバイル端末内の検出器によって占有されるサイズをさらに低減する。
【0062】
任意選択の解決策として、本出願のこの実施形態において提供される検出器は、さらにモバイル端末の前方カメラまたは後方カメラと共に動作し得る。温度測定は、体温を測定するために前方カメラまたは後方カメラを用いて、自分撮りするとき、または後方カメラでポートレート写真を撮るとき実施され得る。
【0063】
任意選択の解決策として、検出器は、さらにモバイル端末のAI(Artificial Intelligence、人工知能)顔認識と共に動作し得る。ユーザがAI顔認識を通じてモバイル端末をロック解除するとき、モバイル端末は、個人の健康および体温についてユーザの監視データを自動的に記録してもよい。
【0064】
本出願のこの実施形態において提供される検出器は、さらに、モバイル端末に一体化されて、モバイル電話の距離センサと共に動作し得る。体温検出中、被検出者の距離情報が距離センサを使用することによって検出され、被検出者の温度情報が検出器を使用することによって検出され、および温度測定データが、収集された温度情報に基づいて較正される。
【0065】
さらに、検出器は、レンズのないCIS撮像システムを実装するために、可視光像/ビデオ撮影のCIS(密着イメージセンサ、スキャナ)設計のためにさらに使用されてもよい。
【0066】
当業者は本出願の精神および範囲から逸脱することなく様々な修正および変更を本出願になすことができることは明らかである。本出願は、本出願のこれらの修正および変更を、それらが以下の特許請求の範囲によって規定される保護の範囲およびそれらの均等な技術内に入ることを条件に包含することが意図されている。
【国際調査報告】