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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-06
(54)【発明の名称】滑り軸受
(51)【国際特許分類】
   F16C 17/10 20060101AFI20231129BHJP
   F03D 80/70 20160101ALI20231129BHJP
【FI】
F16C17/10 B
F03D80/70
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532566
(86)(22)【出願日】2021-11-29
(85)【翻訳文提出日】2023-07-28
(86)【国際出願番号】 AT2021060451
(87)【国際公開番号】W WO2022109648
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】A51044/2020
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(31)【優先権主張番号】A50259/2021
(32)【優先日】2021-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】315015564
【氏名又は名称】ミバ・グライトラーガー・オーストリア・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ツェー
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ラウビヒラー
(72)【発明者】
【氏名】アルベルト バルドル
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンネス ヘルツル
【テーマコード(参考)】
3H178
3J011
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB35
3H178CC25
3H178DD08X
3H178DD12Z
3H178DD67X
3J011BA10
3J011DA02
3J011JA02
3J011KA04
3J011LA04
3J011MA02
3J011NA02
3J011PA02
(57)【要約】
本発明は、内側リング要素(13)と、外側リング要素(14)と、内側リング要素(13)と外側リング要素(14)の間に配置された少なくとも1つの滑り軸受要素(15)とを有する滑り軸受(9)に関し、滑り軸受要素(15)は少なくとも2つの滑り軸受パッド(18)を含み、個々の滑り軸受パッド(18)はそれぞれ軸方向に見て反った軸受面(20)を有し、軸受面(20)の頂点(25)が軸受面(20)の最大の直径(26)を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
滑り軸受(9)であって、
内側リング要素(13)と、
外側リング要素(14)と、
前記内側リング要素(13)と前記外側リング要素(14)の間に配置された少なくとも1つの滑り軸受要素(15)と、を有し、
前記滑り軸受要素(15)の軸受面(20)と前記外側リング要素(14)の係合面(21)は互いに対向しており、
前記滑り軸受要素(15)は少なくとも2つの滑り軸受パッド(18)を含み、個々の滑り軸受パッド(18)はそれぞれ少なくとも部分領域において軸方向に見て反った軸受面(20)を有する滑り軸受(9)。
【請求項2】
個々の滑り軸受パッド(18)は、球冠部(29)では球冠半径(30)を持つ球冠の基本形状(30)を有し、移行部(31)では移行半径を持つことを特徴とする、請求項1に記載の滑り軸受(9)。
【請求項3】
前記球冠部(29)は頂点(25)まで延び、前記頂点(25)において前記球冠部(29)に移行部(31)が続いていることを特徴とする、請求項2に記載の滑り軸受(9)。
【請求項4】
頂点(25)は、前記滑り軸受パッド(18)の第2端面(27)から距離(33)を置いて配置されており、該距離(33)は前記滑り軸受パッド(18)の軸方向延長部(34)の1%~49%、特に5%~35%、好ましくは10%~25%であることを特徴とする、請求項2又は3に記載の滑り軸受(9)。
【請求項5】
前記外側リング要素(14)に、該外側リング要素(14)の第1端面(42)を起点として前記外側リング要素(14)の前記係合面(21)を中断する取出し開口部(41)が形成されていることを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載の滑り軸受(9)。
【請求項6】
前記取出し開口部(41)は周方向延長部(47)を有し、前記滑り軸受パッド(18)はそれぞれ周方向延長部(48)を有し、前記滑り軸受パッド(18)前記の周方向延長部(48)は、前記取出し開口部(41)の前記周方向延長部(47)の60%~99.9%、特に80%~99%、好ましくは90%~98%であることを特徴とする、請求項5に記載の滑り軸受(9)。
【請求項7】
前記取出し開口部(41)は、前記第1端面(42)に向かって半径方向に拡がって形成されていることを特徴とする、請求項5又は6に記載の滑り軸受(9)。
【請求項8】
前記滑り軸受パッド(18)を固定する機能を有する滑り軸受パッド保持リング(110)が形成され、該滑り軸受パッド保持リング(110)は前記内側リング要素(13)に保持されていることを特徴とする、請求項1~7の何れか一項に記載の滑り軸受(9)。
【請求項9】
前記滑り軸受パッド保持リング(110)は前記内側リング要素(13)に焼き嵌めされていることを特徴とする、請求項8に記載の滑り軸受(9)。
【請求項10】
前記滑り軸受パッド保持リング(110)には複数のねじ穴(111)が形成され、該複数のねじ穴(111)は前記滑り軸受パッド保持リング(110)の軸方向に配置され、締め付けねじ(113)を保持する機能を有し、前記滑り軸受パッド(18)には貫通孔が形成され、該貫通孔を通して前記締め付けねじ(113)が差し込まれて、前記滑り軸受パッド(18)を前記締め付けねじ(113)により前記滑り軸受パッド保持リング(110)に締め付けることを特徴とする、請求項8又は9に記載の滑り軸受(9)。
【請求項11】
前記滑り軸受パッド(18)はそれらの内面(72)に、前記滑り軸受パッド保持リング(110)の第1端面(115)と対向する段差部(114)を有し、該段差部(114)の領域に貫通孔(112)が配置されていることを特徴とする、請求項8~10の何れか一項に記載の滑り軸受(9)。
【請求項12】
前記外側リング要素(14)を収容している軸受ブロック(17)が形成され、該軸受ブロック(17)の少なくとも1つの軸方向端面(35)にカバー(36)が設けられ、該カバー(36)内に組み込まれて又は該カバー(36)に結合されて潤滑油容器(37)が設けられていることを特徴とする、請求項1~11の何れか一項に記載の滑り軸受(9)。
【請求項13】
取出し開口部(41)は周方向に油供給部(44)、特に、5mmより大きい、好ましくは10mmより大きい、特に20mmより大きい丸み又は斜角面を有することを特徴とする、請求項6~12の何れか一項に記載の滑り軸受(9)。
【請求項14】
前記滑り軸受パッド(18)の第1端面(23)に、結合要素を保持する機能を有する形状要素(69)、特にねじ山が形成されていることを特徴とする、請求項1~13の何れか一項に記載の滑り軸受(9)。
【請求項15】
前記滑り軸受パッド(18)の第2端面(27)にはスラストリングセグメント(68)が配置されていることを特徴とする、請求項1~14の何れか一項に記載の滑り軸受(9)。
【請求項16】
周方向に見て個々の滑り軸受パッド(18)の間にスペーサ(73)が配置されていることを特徴とする、請求項1~15の何れか一項に記載の滑り軸受(9)。
【請求項17】
前記軸受面(20)の領域で前記滑り軸受パッド(18)の第1周面(74)に潤滑油輸送溝(75)が形成されていることを特徴とする、請求項1~16の何れか一項に記載の滑り軸受(9)。
【請求項18】
前記滑り軸受パッド(18)はその内面(72)に昇降装置のための保持部(70)が設けられていることを特徴とする、請求項1~17の何れか一項に記載の滑り軸受(9)。
【請求項19】
滑り軸受(9)の滑り軸受パッド(18)を交換する方法であって、
交換すべき前記滑り軸受パッド(18)を外側リング要素(14)内に形成された取出し開口部(41)に移動するステップと、
交換すべき前記滑り軸受パッド(18)の軸方向ロック要素(51)を緩めるステップと、
交換すべき前記滑り軸受パッド(18)を取出し開口部(41)を通して軸方向に取り外すステップと、
新しい滑り軸受パッド(18)を前記取出し開口部(41)を通して軸方向に挿入するステップと、
新しい滑り軸受パッド(18)を軸方向ロック要素(51)で固定するステップと、を含む、方法。
【請求項20】
風力タービン(1)用のナセル(2)であって、
ナセルハウジング(4)と、
ロータシャフト(16)と、
前記ロータシャフト(16)に配置されたロータハブ(6)と、
前記ロータシャフト(16)を前記ナセルハウジング(4)に支持するためのロータ軸受(8)と、を有するナセル(2)において、
前記ロータ軸受(8)は請求項1~18の何れか一項に記載の滑り軸受(9)を含むことを特徴とするナセル(2)。
【請求項21】
前記ロータ軸受(8)は、外側リング要素(14)を収容している軸受ブロック(17)を含み、該軸受ブロック(17)は前記外側リング要素(14)に対する軸方向ストッパ(62)を有し、該軸方向ストッパ(62)は前記ロータハブ(6)とは反対側の前記軸受ブロック(17)の軸方向端面(35)に形成されていることを特徴とする、請求項20に記載のナセル(2)。
【請求項22】
前記外側リング要素(14)に、該外側リング要素(14)の第1端面(42)を起点として前記外側リング要素(14)の係合面(21)を中断する取出し開口部(41)が形成され、前記外側リング要素(14)の前記第1端面(42)は前記軸受ブロック(17)の前記ロータハブ(6)とは反対側に形成されていることを特徴とする、請求項21に記載のナセル(2)。
【請求項23】
前記軸方向ストッパ(62)は、前記外側リング要素(14)の前記取出し開口部(41)の領域に、該取出し開口部(41)と対応する凹部(63)を有することを特徴とする、請求項22に記載のナセル(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滑り軸受、及び滑り軸受を装備された風力タービン用ナセルに関する。
【背景技術】
【0002】
風力タービンのロータハブを支持するための軸受要素は特許文献1により知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2011/127510(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は改良された滑り軸受を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は特許請求の範囲に記載された装置によって解決される。
【0006】
本発明によれば滑り軸受が構成されている。滑り軸受は、
内側リング要素と、
外側リング要素と、
内側リング要素と外側リング要素の間に配置された少なくとも1つの滑り軸受要素と、を有し、
滑り軸受要素の軸受面と外側リング要素の係合面は互いに対向しており、
滑り軸受要素は少なくとも2つの滑り軸受パッドを含み、個々の滑り軸受パッドはそれぞれ軸方向に見て反った軸受面を有する。
【0007】
特に、軸受面は外側に湾曲しているようにすることができる。言い換えれば、軸受面は凸状に形成できる。
【0008】
本発明による滑り軸受は、本発明による構造形態により、軸方向力も半径方向力も吸収できるように構成されているという利点がある。
【0009】
更に、軸受面の頂点は回転軸に対して軸受面の半径方向で最大距離を有するようにすることができる。
【0010】
更に、個々の滑り軸受パッドは、球冠部では球冠半径を持つ球冠の基本形状を有し、移行部では移行半径を持つと好都合であり得る。
【0011】
第1実施形態では、移行半径は球冠半径よりも小さくすることができる。このことは、球冠部が、半径方向力又は第1の方向に作用する軸方向力を吸収するように構成できるという利点を有する。移行部は、第2の方向に作用する軸方向力を吸収するように構成することができる。ここで、第1の方向に作用する軸方向力は、第2の方向に作用する軸方向力よりも大きくすることができる。
【0012】
更に、移行半径と球冠半径は同じ大きさであるようにすることができる。
【0013】
更に、球冠部は頂点まで延び、頂点において球冠部に移行部が続いているようにすることができる。このように構成された滑り軸受は、驚くほど長い寿命を有する。
【0014】
更に、移行部は接線方向で球冠部に移行するようにすることができる。特に、このように構成された滑り軸受は驚くほど良好な滑り特性を有する。
【0015】
頂点が滑り軸受パッドの第2端面から距離を置いて配置されており、この距離は滑り軸受パッドの軸方向延長部の1%~49%、特に5%~35%、好ましくは10%~25%であるようにする構成も有利である。特に、このように構成された滑り軸受では、第1の方向における高い半径方向力又は又は高い軸方向力を吸収することができる。
【0016】
変形例によれば、外側リング要素に、外側リング要素の第1端面を起点として外側リング要素の係合面を中断する取出し開口部が形成されていることが可能である。この方策は、個々の滑り軸受パッドを容易に交換することができ、そのために滑り軸受全体を個別部品に分解する必要はないという利点を有する。特に、この方策により、滑り軸受を完全に分解することなく、滑り軸受を取り付け状態で個々の滑り軸受パッドを交換できるようになることが考えられる。更に、取出し開口部は外側リング要素の第1端面から少なくとも滑り軸受要素の頂点まで延びているようにすることができる。
【0017】
更に、滑り軸受の運転状態において取出し開口部内に、潤滑油を一時的に吸収する機能を有するスポンジなどの多孔性材料が配置されていることが考えられる。この方策により、個々の滑り軸受パッドの摺動面を潤滑油膜で均一に覆うことができる。
【0018】
変形例において、取出し開口部内に、滑り軸受の運転状態又は摩耗状態を検出する機能を有するセンサシステムが配置されているようにすることができる。このようなセンサは、例えば温度センサ、振動センサ又はこれに類済むものであってよい。
【0019】
個々の滑り軸受パッドは、取出し開口部を通して運転位置から簡単に取り外すことができる。
【0020】
更に、取出し開口部は周方向延長部を有しており、滑り軸受パッドはそれぞれ周方向延長部を有し、滑り軸受パッドの周方向延長部は、取出し開口部の周方向延長部の60%~99.9%、特に80%~99%、好ましくは90%~98%であると好都合であり得る。特にこのようなサイズ比で取出し開口部は十分な周方向延長部を有し、個々の滑り軸受パッドを取出し開口部を通して滑り軸受から容易に取り外すことができる。同時に取出し開口部は、外側リング要素の弱体化又は滑り軸受の耐荷重の減少を引き起こすことがないように十分に小さい。
【0021】
更に、取出し開口部は、第1端面に向かって半径方向に拡がって形成されているようにすることができる。このことは、外側リング要素が可能な限り高い安定性を有すると同時に、取出し開口部を通して滑り軸受パッドを可能な限り容易に取り外すことができるという利点を有する。
【0022】
更に、滑り軸受パッドを固定する機能を有する滑り軸受パッド保持リングが形成されており、滑り軸受パッド保持リングが内側リング要素に保持されているようにすることができる。この方策は、滑り軸受パッドが内側リング要素と固く連結できるいう利点を有する。
【0023】
更に、滑り軸受パッド保持リングは、内側リング要素に焼き嵌めされているようにすることができる。このことは、特にロータシャフトにとって極めて持続維持可能性が高く実用的な接合方法である。焼き嵌めする際には滑り軸受パッド保持リングを加熱し、及び/又は内側リング要素を冷却して軸方向の押し込みを容易にする。温度平衡と、それに伴う熱膨張の平衡に達した後、滑り軸受パッド保持リングは内側リング要素に固着することができる。
【0024】
代替的な実施態様において又は追加的に、滑り軸受パッド保持リングは、溶接などの材料結合によって内側リング要素と連結されているようにすることができる。
【0025】
更に別の実施態様では、滑り軸受パッド保持リングは、ねじ結合などの形状結合によって内側リング要素と連結されているようにすることができる。
【0026】
更に、滑り軸受パッド保持リングには、滑り軸受パッド保持リングの軸方向に配置されて締め付けねじを保持する機能を有する複数のねじ穴が形成されており、滑り軸受パッド内には貫通孔が形成されており、これらの貫通孔を通して締め付けねじが差し込まれて、滑り軸受パッドを締め付けねじにより滑り軸受パッド保持リングに締め付けるようにすることができる。滑り軸受パッドと滑り軸受パッド保持リングとの間のこのような連結は、容易に形成することができる。
【0027】
変形例において、滑り軸受パッドはその内側に、滑り軸受パッド保持リングの端面に対向する段差部を有しており、この段差部の領域に貫通孔が配置されているようにすることができる。この方策により、滑り軸受パッドと内側リングとの間で十分持に続維持可能性のある連結が達成される。
【0028】
更に、軸方向ロック要素保持部を有するシャフトナットが形成され、軸方向ロック要素保持部内に各滑り軸受パッドについて少なくとも1つの、滑り軸受パッドを軸方向に固定する機能を有する軸方向ロック要素が保持されている。このことは、軸方向ロック要素によって個々の滑り軸受パッドを所定の位置に固定できるという利点を有する。更に、シャフトナットはその軸方向位置を容易に調整することができ、個々の軸方向ロック要素に対して十分な保持を与えることができる。
【0029】
代替的な実施形態では、シャフトナットの代わりに、例えば押し付けることができる軸リングが、軸方向ロック要素を保持する機能を有することができる。
【0030】
更に別の実施形態では、シャフトナットの代わりに、ロータシャフト自体が軸方向ロック要素を保持する機能を有し、相応の形状を有することができる。
【0031】
特別な構成形態によれば、軸方向ロック要素は、半径方向に作用する締め付けねじによってシャフトナットと連結されていることが可能であり、軸方向ロック要素は少なくとも1つの軸方向端面に回転軸に向かって先細になった楔面を有し、この楔面は滑り軸受パッドの第1端面に形成された第1の係合楔面に対応しているようにすることができる。この方策により滑り軸受パッドは、軸方向ロック要素は締め付けねじを締めることによって滑り軸受パッドに軸方向の圧力を加えることができ、これにより滑り軸受パッドは軸方向ロック要素によって締め付けることができる。
【0032】
更に、回転軸に向かって先細になった軸方向ロック要素の楔面が、滑り軸受要素の第1端面に形成された第1の係合楔面に対応しているようにすることができる。この方策により、滑り軸受パッドは軸方向に締め付けることができるだけでなく、半径方向にも締め付けることができる。更に、楔面の先細り形状と、これに対応する第1の係合楔面の係合摺動面形状により、軸方向ロック要素と滑り軸受パッドとの間の形状結合を実現することができる。特に、第1の係合楔面は、滑り軸受パッドがその内側に広い底部を有し、第1の係合楔面の領域で外方に先細になるように形成されているようにすることができる。
【0033】
有利な変形例によれば、シャフトナットがその外側にシャフト封止リングに対する摺動面を有するようにすることができる。このことは、シャフトナットが同時にシャフト封止リングに対する係合摺動面要素として機能できるという利点を有する。更に、シャフト封止リングに対して必要な摺動面の表面性状、例えば旋条がないように研削された表面を、例えばロータシャフトよりも容易にシャフトナットに形成することができる。これにより、滑り軸受の構造を単純にし、滑り軸受の寿命を向上させることができる。
【0034】
特に、外側リング要素が収容されている軸受ブロックが構成されていて、この軸受ブロックの少なくとも1つの軸方向端面にカバーが形成され、カバー内に組み込まれて又はカバーに連結されて潤滑油容器が形成されていると有利であり得る。このことは、このように形成された潤滑油容器に流体力学的滑り軸受のための潤滑油を十分貯留できるという利点がある。
【0035】
更に、軸方向ストップリングが形成されているようにすることができる。更に、軸方向ストップリングと少なくとも1つの滑り軸受パッドとの間に作用する、少なくとも1つの反ねじれ保護要素が形成されているようにすることができる。この方策により、少なくとも1つの滑り軸受パッドが軸に対して相対的に回動しないように確保することができる。
【0036】
更に、軸方向ストップリングが、滑り軸受パッドと軸方向ストップリングとの間で形状結合を達成できるように形成された楔面を有するようにすることができる。特に、滑り軸受パッドの第2端面に第2の係合楔面が形成されているようにすることができる。特に、第2の係合楔面は、滑り軸受パッドがその内側に広いベースを有し、第2の係合楔面の領域で外方に先細になるように形成されているようにすることができる。
【0037】
第1の係合楔面と第2の係合楔面により、滑り軸受パッドを軸方向に締め付ける際に、楔面が係合楔面に当接することによって、追加的に滑り軸受パッドの半径方向締付け又はロータシャフトへの滑り軸受パッドの半径方向押圧を達成することができる。このことは特に、楔面とそれぞれの係合楔面との形状結合によって達成することができる。
【0038】
更に、滑り軸受パッドの各々に対して、別個の反ねじれ保護要素が形成されているようにすることができる。
【0039】
更に、軸方向ストップリングが軸に焼き嵌めされているようにすることができる。
【0040】
更に、シャフト封止リングがその外側にシャフト封止リングに対する摺動面を有するようにすることができる。このことは、シャフトナットが同時にシャフト封止リングに対する係合摺動面要素として機能できるという利点を有する。更に、シャフト封止リングに対して必要な摺動面の表面性状、例えば旋条がないように研削された表面を、例えばロータシャフトよりも容易にシャフト封止リングに形成することができる。これにより、滑り軸受の構造を単純にし、滑り軸受の寿命を向上させることができる。
【0041】
取出し開口部が周方向に油供給部、特に、5mmより大きい、好ましくは10mmより大きい、特に20mmより大きい丸み又は斜角面を有するようにすることができる構成形態も有利である。このことは、滑り軸受パッドに、特に軸受面に付着する潤滑油が、取出し開口部を通して拭い取られずに軸受面上に留まるという利点を有する。
【0042】
更に、滑り軸受パッドの第1端面に、結合要素を保持する機能を持つ形状要素、特にねじ山が形成されているようにすることができる。このことには、滑り軸受パッドは簡易に滑り軸受パッド交換装置と連結できるという利点がある。
【0043】
更に、滑り軸受パッドの第2の端面にスラストリングセグメントが配置されているようにすることができる。このことは、球冠部が半径方向力又は第1の方向に作用する軸方向力を吸収するように形成できるという利点がある。スラストリングセグメントは、第2の方向に作用する軸方向力を吸収するように形成することができる。ここで、第1の方向に作用する軸方向力は、第2の方向に作用する軸方向力よりも大きくすることができる。特に、スラストリングセグメントが、外側リング要素の対応する係合摺動面と協働する摺動面を有するようにすることができる。
【0044】
第1実施形態では、スラストリングセグメントが固定手段、特にねじによって滑り軸受パッドと連結されているようにすることができる。特に、スラストリングセグメントは、少なくとも2つの固定手段、好ましくは3つの固定手段、特に六角穴付ボルトによって、滑り軸受パッドと連結されているようにすることができる。ここで、固定手段は等しい角度間隔で配分することができる。
【0045】
別の実施形態では、スラストリングセグメントが、滑り軸受パッドと一体的に又は一体部品として形成されているようにすることができる。
【0046】
更に、周方向に見て個々の滑り軸受パッドの間にスペーサが配置されているようにすることができる。このことは、滑り軸受パッドを所定の位置に保持できるという利点がある。
【0047】
変形例では、スペーサが直接滑り軸受パッドに配置されるようにすることができる。代替的な実施形態では、スペーサは、滑り軸受パッドの間に配置される独立した要素として形成されているようにすることができる。
【0048】
更に、軸受面の領域で滑り軸受パッドの第1周面に潤滑油輸送溝が形成されているようにすることができる。このような潤滑油輸送溝は、潤滑油輸送溝によって潤滑油を潤滑油容器から上方に搬送でき、それにより外側リング要素の係合面に分配することができるという利点を有している。
【0049】
更に、滑り軸受パッドはその内側に昇降装置のための保持部が形成されているようにすることができる。そうすることにより、滑り軸受パッドの最初の組立を容易にすることができる。
【0050】
本発明によれば、滑り軸受の滑り軸受パッドを交換する方法が提供されている。この方法は、
交換すべき滑り軸受パッドを外側リング要素内に形成された取出し開口部に移動するステップと、
交換すべき滑り軸受パッドの軸方向ロック要素を緩めるステップと、
交換すべき滑り軸受パッドを取出し開口部を通して軸方向に取り外すステップと、
新しい滑り軸受パッドを取出し開口部を通して軸方向に挿入するステップと、
新しい滑り軸受パッドを軸方向ロック要素で固定するステップと、を含む。
【0051】
本発明による方法は、滑り軸受を組み立てた状態でも個々の滑り軸受パッドを交換できるという利点を有する。これによりメンテナンス工程を大幅に簡略化することができる。
【0052】
本発明によれば、風力タービン用のナセルが提供されている。ナセルは、
ナセルハウジングと、
ロータシャフトと、
ロータシャフトに配置されたロータハブと、
ロータシャフトをナセルハウジングに支持するためのロータ軸受と、を有する。ロータ軸受は、上記の構成形態のいずれかに従って形成された滑り軸受を含む。
【0053】
特に、本発明による滑り軸受は、メンテナンスが容易であることから、風力タービンのナセルにおいて特に有利である。
【0054】
特別な実施形態によれば、ロータ軸受は、外側リング要素が収容されている軸受ブロックを含み、軸受ブロックは外側リング要素に対する軸方向ストッパを有しており、軸方向ストッパは軸受ブロックのロータハブとは反対側の軸方向端面に形成されていることが可能である。このことは、軸方向ストッパがロータ軸受の主負荷方向に作用するという利点がある。
【0055】
有利な変形例によれば、外側リング要素内に取出し開口部が形成されており、この取出し開口部は外側リング要素の第1端面から少なくとも滑り軸受要素の頂点まで延びており、取出し開口部は軸受ブロックのロータハブとは反対側に形成されている。このことは、ナセルを組み立てた状態で個々の滑り軸受パッドを交換するために容易に取り外すことができるという利点がある。
【0056】
特に、軸方向ストッパが外側リング要素の取出し開口部の領域で、取出し開口部に対応する凹部を有していると有利であり得る。このことは、個々の滑り軸受パッドを容易に取り付け又は取り外すことができるという利点を有する。
【0057】
代替的な実施形態では、外側リング要素が軸受ブロックと一体的に又は一体部品として形成されているようにすることができる。言い換えれば、軸受ブロックが同時に外側リング要素として機能できるようにすることができる。そのため外側リング要素について述べたすべての特徴、例えば取出し開口部は、直接軸受ブロック内に形成することも可能である。
【0058】
軸受ブロックは、軸受ブロックベースと軸受ブロックカバーを有することができる。このことは、軸受ブロックカバーは容易に取り外すことができ、それによってメンテナンス時の滑り軸受パッドの取り外しを簡略化することができるという利点を有する。特に、この方策により滑り軸受パッドは内側リング要素から半径方向に取り外すことができる。更にこの方策により、滑り軸受を組み立てる際に、内側リング要素を軸受ブロックカバーの開口部を通して半径方向に内側リング要素と外側リング要素との間の間隙に押し込むことによって、個々の滑り軸受パッドを内側リング要素に簡単に配置することができる。特に、滑り軸受の運転中に外側リング要素が静止し、滑り軸受パッドが内側リング要素に固定されて内側リング要素と共に回転するようにすることができる。
【0059】
更に、軸受面が外側リング要素と協働し、外側リング要素には軸受面に対する係合面が形成されているようにすることができる。このことは、摺動面又は係合面も容易に製造できるという利点がある。
【0060】
更に、滑り軸受パッドの少なくとも1つに反ねじり保護手段が形成されており、それによってこの滑り軸受パッドが内側リングに対して相対的にねじれることが阻止されるようにすることができる。このような反ねじり保護手段は、例えば隆起部、凹み部、又は滑り軸受パッドと内側リング要素との間で形状的に作用するその他の要素、例えば連行ピンであることができる。
【0061】
一変化例によれば、少なくとも個々の滑り軸受パッドは結合要素によって互いに連結されていることが可能である。このことは、個々の軸受パッドを互いに対して固定できるという利点を有する。そのため個々の軸受パッドの位置を固定することができる。
【0062】
更に、外側リング要素が、外側リング要素のせん断中心の位置を変更する機能を持つ凹部及び/又は補強部を有するようにすることができる。このことは、滑り軸受に作用する力によって引き起こされる外側リング要素の変形に影響を与えることができるという利点を有する。そのためこの方策により、荷重によって発生する面圧を低減又は変位させることができる。
【0063】
更に、外側リング要素の係合面及び/又は滑り軸受パッドの軸受面が、理想的な球冠から0.001mm~10mm、特に0.05mm~5mm、好ましくは0.5mm~1mmの範囲で逸脱した形状を有するようにすることができる。この形状は、内側リング要素及び/又は外側リング要素及び/又は滑り軸受パッドの荷重に起因する変形が補償され、負荷された状態において滑り軸受パッドの軸受面が外側リング要素の係合面に対向するように形成されている。この方策は、滑り軸受の個々の構成要素の荷重に起因する変形を予想することができ、その結果として運転時に軸受面と係合面とが互いに可能な限り面状に更にして面圧を防止することができるという利点を有する。
【0064】
代替的な実施形態では、内側リング要素がロータシャフトと一体的に又は一体部品として形成されているようにすることができる。言い換えれば、ロータシャフトが同時に内側リング要素として機能できるようにすることができる。そのため内側リング要素について述べたすべての特徴は、直接ロータ軸受内に形成することも可能である。
【0065】
滑り軸受を流体力学的滑り軸受として構成することができる実施態様も有利である。特に流体力学的滑り軸受は摩擦抵抗が小さく、そのため効率が高い。
【0066】
本明細書でいう頂点とは、滑り軸受パッドの縦断面で見て、軸受面の直径が最大となる点をいう。この点は、回転軸を中心に回転対称であり、滑り軸受パッド全体で見て包絡線又は包絡曲線をなす。
【0067】
更に、ロータシャフト及び/又は軸受ブロック及び/又は外側リング要素及び/又は滑り軸受パッドの表面の1つに摺動コーティングが設けられていることが考えられる。この摺動コーティングは、付加製造法によって作製することができる。特に、滑り軸受コーティングは以下のプロセス、即ちメタル・ワイヤ・トランスファ、電子ビーム溶接、摩擦溶接、レーザクラッディング、金属3Dプリント、直接エネルギー堆積、結合剤噴射法、コールドガス溶射、選択的レーザ溶融、材料押出、直接金属レーザ焼結、直接金属レーザ溶融、冷金属移送、金属不活性ガス(MIG)溶接、タングステン不活性ガス(TIG)溶接、液槽光重合のいずれか1つによって製造することが考えられる。
【0068】
更に、滑り軸受コーティングは、プラズマ溶射、フレーム溶射、ワイヤーフレーム溶射、アーク溶射、大気圧プラズマ溶射、高速フレーム溶射などの熱溶射によって製造することが考えられる。
【0069】
更に、摺動コーティングは以下のプロセス、即ち爆発溶射、レーザ溶射、ガルバニックコーティング、粉体塗装、電磁パルス溶接、電子ビーム蒸着のいずれか1つによって製造することが考えられる。
【0070】
摺動コーティングの材料として考えられるものは、青銅合金、アルミニウム亜鉛合金、ホワイトメタル、金属マトリックス複合材と乾燥潤滑剤、及びこれらの組み合わせである。
【0071】
本発明をよりよく理解するために、以下の図を参照しながらより詳細に説明する。
【0072】
図は、それぞれ非常に単純化された模式的な表現で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1図1は風力タービンの模式図である。
図2図2は滑り軸受の第1実施例の斜視図である。
図3図3は滑り軸受の第1実施例の縦断面図である。
図4図4は滑り軸受の第1実施例の縦断面を示す斜視図である。
図5図5は、滑り軸受の第1実施例の縦断面を示す斜視図であり、カバーは示されていない。
図6図6は外側リング要素の第1実施例を示す斜視図である。
図7図7は滑り軸受パッドを配置したロータ軸受の第1実施例を示す斜視図である。
図8図8は滑り軸受の第2実施例の縦断面図である。
図9図9は滑り軸受の第3実施例の縦断面図である。
図10図10は滑り軸受の第4実施例の縦断面図である。
図11図11は滑り軸受の第3実施例の縦断面を示す斜視図である。
図12図12は滑り軸受の第3実施例の断面図である。
図13図13は滑り軸受の第3実施例の外側リング要素を示す斜視図である。
図14図14は滑り軸受の第3実施例の軸受パッドを示す第1斜視図である。
図15図15は滑り軸受の第3実施例の滑り軸受パッドを示す第2斜視図である。
図16図16は滑り軸受の第3実施例の軸受パッドを示す第3斜視図である。
図17図17は滑り軸受パッドが滑り軸受パッド保持リングとねじ止めされた滑り軸受の別の実施例を示す第1の斜視図である。
図18図18は滑り軸受パッドが滑り軸受パッド保持リングとねじ止めされた滑り軸受の別の実施例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
最初に確認しておくと、記載された異なる実施形態において同じ要素には同じ参照符号又は同じ部品名称を付す。説明全体に含まれている開示内容は同じ参照符号又は同じ部品名称を有する同じ要素に準用できる。説明の中で選択された位置を表す言葉、例えば上、下、横なども直接説明されている表示された図を基準としており、これらの位置を表す言葉は位置が変化した場合には新しい位置に準用される。
【0075】
図1は、風力から電気エネルギーを生成するための風力タービンの第1実施例の模式図である。風力タービン1は、塔3に回転可能に保持されているナセル2を有している。ナセル2は、ナセルの主要構造体をなすナセルハウジング4を含んでいる。ナセル2のナセルハウジング4内には、風力タービン1の発電機などの電気技術部品が配置されている。
【0076】
更に、ロータハブ6とこれに取り付けたロータブレード7を有するロータ5が形成されている。ロータハブ6はナセルの一部と見なされる。ロータハブ6は、ロータ軸受8によってナセルハウジング4に回転可能に保持されている。特に、以下に詳述する本発明による滑り軸受9は、ロータ軸受8として使用されるようになっている。特に、ロータハブ6はロータシャフト16に配置されて、ロータシャフト16がロータ軸受8に支持されているようにすることができる。
【0077】
ロータハブ6をナセル2のナセルハウジング4に支持するためのロータ軸受8は、半径方向力10と軸方向力11を吸収するように構成されている。軸方向力11は、風の力によって生じる。半径方向力10は、ロータの重力によって生じ、ロータ5の重心に作用する。ロータ5の重心はロータ軸受8の外部にあるので、ロータ軸受8内では半径方向力10により傾きモーメント12が引き起こされる。傾きモーメント12は、ロータブレード7に不均一な負荷がかかることによっても引き起こされる。この傾きモーメント12は、ロータ軸受8から距離を置いて配置された第2の軸受によって吸収することができる。第2の軸受は、例えば発電機の領域に形成することができる。
【0078】
図2は、ナセル2内に取り付けられた滑り軸受9の第1実施例を示す。もちろん図2に示す滑り軸受9は、風力タービン以外のあらゆる産業用途にも使用することができる。図2では、滑り軸受9は斜視図で示されている。
【0079】
図3には滑り軸受9の第1実施例が縦断面図で示されている。
【0080】
以下では、滑り軸受9を、図2及び図3を併せて参照して説明する。
【0081】
図2及び図3から分かるように、滑り軸受9は内側リング要素13と外側リング要素14を有するようにすることができる。内側リング要素13と外側リング要素14との間には滑り軸受要素15が配置されており、この滑り軸受要素15は外側リング要素14に対して相対的に回転する内側リング要素13の滑り軸受の働きをする。
【0082】
図2及び図3に示す実施例では、内側リング要素13はロータシャフト16として形成されている。もちろん、内側リング要素13は別の軸であってもよい。更に、内側リング要素13が独立した要素として形成されて、軸、特にロータシャフト16に保持されるようにすることも考えられる。
【0083】
特に図3からよく分かるように、外側リング要素14は軸受ブロック17内に保持されているようにすることができる。特に、軸受ブロック17はナセルハウジング4と連結されているか、又は代替的に直接ナセルハウジング4内に成形されているようにすることができる。この実施例では、それにより外側リング要素14はナセルハウジング4と剛性的と連結されていて、内側リング要素13は滑り軸受要素15によって回転軸19を中心に外側リング要素14に対して相対的に回動可能であるようにすることができる。
【0084】
更に、軸受ブロック17が直接的に外側リング要素14として機能するようにすることができる。
【0085】
これにより、ロータシャフト16を滑り軸受9によってナセルハウジング4内に回転可能に保持されている。
【0086】
図2及び図3から更に分かるように、滑り軸受要素15は、内側リング要素13と外側リング要素14との間で円周上に分布配置された複数の個々の滑り軸受パッド18を含んでいる。
【0087】
個々の滑り軸受パッド18は、図3に示す構造により滑り軸受9の動作状態において内側リング要素13と固く連結されており、それによりこの内側リング要素13と共に外側リング要素14に対して相対的に回転する。内側リング要素13と外側リング要素14との間の回転運動を可能にするために、個々の滑り軸受パッド18にはそれぞれ1つの軸受面20が形成されており、この軸受面20は滑り軸受9の使用可能状態において外側リング要素14の係合面21に対向している。この係合面21は、外側リング要素14の内面22に配置されている。
【0088】
滑り軸受パッド18の軸受面20と外側リング要素14の係合面21は、滑り軸受9の動作中に互いに接して摺動する摺動面として形成されている。特に、外側リング要素14の係合面21は、耐摩耗性の硬い表面として形成されており、これは例えば焼入鋼によって形成することができる。滑り軸受パッド18の軸受面20は、係合面と比較して軟らかい滑り軸受材で形成することができる。もちろん、軸受面20は、滑りコーティングを備えることも考えられる。
【0089】
図3から特によく分かるように、個々の滑り軸受パッド18は、それぞれ軸方向に見て湾曲した軸受面20を有するようにすることができる。
【0090】
図3から更に分かるように、軸受面20は4軸受パッド18の第1端面23の領域に第1の直径24を有している。軸受面20の直径は、この第1端面側を起点として頂点25に向かって拡大できる。軸受面20は、頂点25において直径26を有することができる。
【0091】
軸受面20は頂点25を起点として滑り軸受パッド18の第2端面27に向かって直径が縮小することができる。第2端面27の領域で軸受面20は、第2の直径28を有することができる。
【0092】
特に、第1端面23と頂点25との間に球冠部29が形成されている。この球冠部29は、球冠半径30を持つ球冠の基本形状を有することができる。
【0093】
第2端面27と頂点25との間に移行部31を形成することができる。移行部31は、移行半径32を有することができる。特に、移行半径は球冠半径30よりも小さくすることができる。
【0094】
更に、頂点25は滑り軸受パッド18の第2端面27から距離33を置いて配置されているようにすることができる。この滑り軸受パッド18は、軸方向延長部34を有することができる。
【0095】
図4は、滑り軸受9の第1実施形態の斜視断面図であり、ここでも先の図1図3と同じ要素には同じ参照符号又は要素名称が使用されている。不必要な繰り返しを避けるために、先の図1図3における詳細な説明が留意され、又は参照される。
【0096】
図4から分かるように、軸受ブロック17の軸方向端面35にカバー36が配置されているようにすることができる。このカバー36は、軸受ブロック17の内部を閉じるために用いられる。
【0097】
図4から更に分かるように、カバー36には潤滑油38の収容に用いられる潤滑油容器37が結合されているようにすることができる。特にこの場合、カバー36内には貫通孔39が設けられており、この貫通孔を通って潤滑油38が潤滑油容器37から軸受ブロック17の内部に流入できるようにすることができる。
【0098】
図4から更に分かるように、カバー36内にはカバー36を軸受ブロック17に密封する機能を持つ封止リング40が収容されているようにすることができる。更に、カバー36とロータシャフト16との間を密封する機能を持つ別の封止リングが形成されているようにすることができる。特にこの別の封止リングは、図4に示すように、ロータシャフト16と直接的に結合されているようにすることができる。別の封止リングは、例えばシャフト封止リングであることができ。
【0099】
図5は、滑り軸受9の斜視断面図であり、ここでも先の図1図4と同じ要素には同じ参照符号又は要素名称が使用されている。不必要な繰り返しを避けるために、先の図1図4における詳細な説明が留意され、又は参照される。
【0100】
図5では見やすくするために、カバー36と潤滑油容器37は示されていない。それによって滑り軸受9の内部の要素が見えている。
【0101】
図5に示すように、外側リング要素14には個々の滑り軸受パッド18を軸方向に取り出すために用いる取出し開口部41が形成されている。
【0102】
図6は、外側リング要素14の斜視図であり、ここでも先の図1図5と同じ要素には同じ参照符号又は要素名称が使用されている。不必要な繰り返しを避けるために、先の図1図5における詳細な説明が留意され、又は参照される。
【0103】
図6には、取出し開口部41が特に明瞭に見える。
【0104】
図5及び図6から分かるように、取出し開口部41は外側リング要素14内に形成された係合面21を少なくとも部分的に中断するようにすることができる。特に、取出し開口部41は外側リング要素14の第1端面42を起点として延びるようにすることができる。特に、取出し開口部41は外側リング要素14の第2端面43まで延びるようにすることができる。反対に、取出し開口部41は頂点25までしか延びないようにすることも可能である
【0105】
図6に見られるように、外側リング要素14内で取出し開口部41に続いて周方向に油供給部44が形成され、油供給部44は取出し開口部41と係合面21との間の移行部をなすようにすることができる。特に、油供給部44は例えば楔形に形成されているようにすることができる。
【0106】
図3図6を併せて見ると特によく分かるように、取出し開口部で41は、第1端面42に向かって半径方向に拡がって形成されているようにすることができる。特にこの場合、第1の取出し開口部領域45と第2の取出し開口部領域46が形成されていて、これらは半径方向の拡がりがそれぞれ異なる。更に、外側リング要素14の第1端面42に近い方の取出し開口部領域46は、第1の取出し開口部領域よりも大きな半径方向の拡がりを有している。
【0107】
図示しない別の実施形態で、取出し開口部41が外側リング要素14を半径方向に完全に貫通しているようにすることも、もちろん可能である。
【0108】
図7は、ロータシャフト16とそれに配置された滑り軸受パッド18を斜視図で示しており、ここでも先の図1図6と同じ要素には同じ参照符号又は要素名称が使用されている。不必要な繰り返しを避けるために、先の図1図6における詳細な説明が留意され、又は参照される。
【0109】
図6図7を併せて見ると分かるように、取出し開口部41が周方向延長部47を有するようにすることができる。個々の滑り軸受パッド18は、周方向延長部48を有することができる。
【0110】
図5から特によく分かるように、ロータシャフト16にねじ込むことができるシャフトナット49が形成されているようにすることができる。シャフトナット49には、個々の軸方向ロック要素51を保持する機能を持つ軸方向ロック要素保持部50を形成することができる。特に、軸方向ロック要素保持部50はねじ穴を有し、個々の軸方向ロック要素51を締め付けねじ52によって半径方向にねじ穴内にねじ込むことができる。
【0111】
更に、軸方向ロック要素51は軸方向端面53に楔面54を有するようにすることができる。滑り軸受パッド18の第1端面には、第1の係合楔面55を形成することができる。特に、楔面54は第1の係合楔面55と協働し、又はこれに当接している。
【0112】
図5から更に分かるように、軸方向ロック要素51と共に滑り軸受パッド18を締め付ける機能を持つ軸方向ストップリング56が形成されているようにすることができる。特に個々の滑り軸受パッド18は、軸方向ストップリング56と軸方向ロック要素51との間又は複数の軸方向ロック要素51の間に締め付けることができる。
【0113】
図5から分かるように、軸方向ストップリング56が、滑り軸受パッド18と軸方向ストップリング56との間で形状結合を達成できるように形成された楔面57を有するようにすることができる。
【0114】
図3に示すように、軸方向ストップリング56と滑り軸受パッドとの間に作用する反ねじれ保護要素58が形成されているようにすることができる。反ねじれ保護要素58は、軸方向ストップリング56の孔又は滑り軸受パッド18の孔内に受容されている円筒形ピンの形で形成されているようにすることができる。
【0115】
図5に示すように、シャフトナット49にはカバー36内に配置されたシールに対する摺動面59が形成されているようにすることができる。これと同様に、軸方向ストップリング56内に摺動面60を形成することができる。摺動面60は、第2カバー61内に配置されたシールと協働することができる。
【0116】
図5から更に分かるように、軸受ブロック17が外側リング要素14に対する軸方向ストッパ62を有するようにすることができる。更に、軸方向ストッパ62内に取出し開口部41と対応する凹部63が形成されているようにすることができる。
【0117】
滑り軸受9を組み立てた状態で外側リング要素14は軸受ブロック17に収容されている。外側リング要素14は第2カバー61と軸受ブロック17内の軸方向ストッパ62との間で締め付けられているようにすることができる。ここで、第2カバー61は、固定手段によって軸受ブロック対して軸方向にねじ止めされているようにすることができる。
【0118】
軸方向ストップリング56は、ロータシャフト16に固定することができる。更に、シャフトナット49をロータシャフト16にねじ込むことができる。図5から分かるように、個々の滑り軸受パッド18は、軸方向ストップリング56とそれぞれ少なくとも1つの軸方向ロック要素51との間に締め付けることができる。軸方向ストップリング56又は軸方向ロック要素51を成形することにより、滑り軸受パッド18は軸方向にも半径方向にもロータシャフト16と形状的に締め付けて連結されることができる。
【0119】
個々の滑り軸受パッド18を交換するために、軸受ブロック17からカバー36を取り外すことができる。この代替として、カバー36内に保守用開口部が形成されていて、カバー36を通して軸受ブロック17の内部にアクセスできるようにすることも考えられる。
【0120】
別の代替策では、カバー36が分割して形成されて、ロータシャフト16から半径方向に取り外すことができ、ロータシャフト16に沿って軸方向に移動する必要がないようにすることも考えられる。カバー36は例えば中心面で分割して形成することができる。
【0121】
軸受ブロック17の内部にある構成要素が図5の表現に従ってアクセス可能である場合、個々の滑り軸受パッド18を交換するために、それぞれ1つの交換すべき滑り軸受パッド18を取出し開口部41の領域に回動させることができる。続いて、交換すべき滑り軸受パッド18の軸方向ロック要素51を緩めて取り外すことができる。それにより交換すべき滑り軸受パッド18は、ロータシャフト16に締め付けられなくなる。別の方法では、交換すべき滑り軸受パッド18は軸方向に、又は任意選択で同時に半径方向外側にも取出し開口部を貫通して移動させて、滑り軸受パッド18を軸受ブロック17の内部から取り出すことができる。別の方法において、新しい滑り軸受パッド18を逆の順序で再び軸受ブロック17の内部に挿入し、又は軸方向ロック要素51と締め付けることができる。この手順は、交換すべきすべての軸受パッドについて繰り返すことができる。
【0122】
次いで、軸受ブロック17の内部を再びカバー36で閉じて、滑り軸受9を再び運転可能な状態にすることができる。
【0123】
図8には、滑り軸受9の別の、場合によってはそれ自体独立の実施形態が示されており、ここでも先の図1図7と同じ要素には同じ参照符号又は要素名称が使用されている。不必要な繰り返しを避けるために、先の図1図7における詳細な説明が留意され、又は参照される。
【0124】
図8から分かるように、反ねじれ保護要素58は、例えば調整ばねの形で形成でき、滑り軸受パッド18とねじ止めすることができる。更に、軸方向ストップリング56内に反ねじれ保護要素58を受容するための凹部を形成することができる。
【0125】
その他の特徴とは別に、図8から分かるように、軸方向ロック要素51は、ロータシャフト16内に内形成された溝65に受容できる停止突起部64を有する。軸方向ロック要素51も、滑り軸受パッド18を締め付ける機能を持つ楔面54を有することができる。更に、ロータシャフト16内にはスライドブロック67を受容できる台形溝66を形成することができる。特に、スライドブロック67はロータシャフト16に対して周方向に移動できる。スライドブロック67は、軸方向ロック要素51を締め付ける目的で締め付けねじ52をねじ込むために用いる雌ねじを有することができる。
【0126】
図9には、滑り軸受9の別の、場合によってはそれ自体独立の実施形態が示されており、ここでも先の図1図8と同じ要素には同じ参照符号又は要素名称が使用されている。不必要な繰り返しを避けるために、先の図1図8における詳細な説明が留意され、又は参照される。
【0127】
図9に示すように、滑り軸受パッド18にスラストリングセグメント68が配置されているようにすることができる。このスラストリングセグメント68は、滑り軸受パッド18と外側リング要素14との間の軸方向力を吸収する機能を有する。特に、スラストリングセグメント68は摺動面を有し、外側リング要素14は係合摺動面を有し、この摺動面と係合摺動面は互いに当接し、運転時は互いに摺動する。
【0128】
図10図13には、滑り軸受9の別の、場合によってはそれ自体独立の第3の実施形態が示されており、ここでも先の図1図9と同じ要素には同じ参照符号又は要素名称が使用されている。不必要な繰り返しを避けるために、先の図1図9における詳細な説明が留意され、又は参照される。
【0129】
図10から分かるように、軸受面20は滑り軸受パッド18の第1端面23の領域で第1端面23を起点として頂点25に向かって直径が拡大するようにすることができる。軸受面20は、頂点25で直径26を有することができる。
【0130】
図10から更に分かるように、軸受面20は頂点25を起点として第2端面27に向かって直径が縮小している。
【0131】
図10による実施形態例において、第1端面23と頂点25の間に球冠部29が形成されているようにすることができる。この球冠部29は、球冠半径30を持つ球冠の基本形状を有することができる。
【0132】
第2端面27と頂点25との間に移行部31を形成することができる。移行部31は、移行半径32を持つことができる。図10による実施例では、移行半径32と球冠半径30は同じ大きさであるようにするようにすることができる。そのため移行半径32と球冠半径30は、頂点25で屈曲することなく互いに移行している。
【0133】
移行部31に加えて、滑り軸受パッド18の第2端面27には、軸方向力を吸収する機能を有するスラストリングセグメント68を配置できる。
【0134】
図11から分かるように、ロータシャフト16はロータハブ6にフランジ止めするために用いるロータシャフトフランジ71を有するようにすることができる。
【0135】
図12から分かるように、個々の滑り軸受パッド18にスペーサ73が形成されているようにすることができる。これらのスペーサ73は、個々の滑り軸受パッド18を周方向で互いに適切に離間する機能を有する。特にスペーサ73は滑り軸受パッド18の周面74の少なくとも1つに、専ら内面72の領域に形成され、滑り軸受パッド18の全高を越えて延びないようにすることができる。更に、滑り軸受パッド18の両方の周面74にスペーサ73が形成されているようにすることができる。
【0136】
図11図12及び図13を併せて見ると分かるように、外側リング要素14の外周に周方向に延びる潤滑油分配溝77が形成されているようにすることができる。この潤滑油分配溝77は、外側リング要素14が軸受ブロック17に当接する面に形成することができる。そうすると潤滑油分配溝77は、外側リング要素14と軸受ブロック17によって仕切られ、それによって潤滑油を輸送するための流路を形成することができる。更に、潤滑油分配溝77と係合面21とを流体結合する潤滑油孔78が形成されているようにすることができる。係合面21の領域で潤滑油孔78は、オイルポケットに79に開口できる。オイルポケット79は、係合面21の幅の大部分にわたって延びることができる。このことは、オイルポンプを用いて潤滑油分配溝30を介して滑り軸受パッド18に潤滑油を供給できるという利点がある。
【0137】
更に、潤滑油分配溝30の両側に、外側リング要素14と軸受ブロック17との間の潤滑油分配溝30を密封する機能を果たすシールが配置されているようにすることができる。
【0138】
図13からよく分かるように、外側リング要素14の取出し開口部41に挿入するために用いる挿入要素80が形成されているようにすることができる。挿入要素80は、挿入された状態で係合面21を補完し又は少なくとも部分的に補完することができる。これは、摺動特性を向上させる。
【0139】
更に、挿入要素80はインターロック結合部81によって、特に連結溝によって外側リング要素14と連結できるようにすることができる。更に、挿入要素80は、図示しない固定要素によって所定の位置に固定されるようにすることができる。
【0140】
図14図16では、第3の実施形態の滑り軸受9から滑り軸受パッド18の詳細が種々の斜視図で示されており、ここでも先の図1図13と同じ要素には同じ参照符号又は要素名称が使用されている。不必要な繰り返しを避けるために、先の図1図13における詳細な説明が留意され、又は参照される。
【0141】
図14図16から分かるように、スラストリングセグメント68は3つの固定手段によって滑り軸受パッド18の第2端面27と連結されているようにすることができる。
【0142】
図14図16ではスペーサ73も明瞭に見て取れる。
【0143】
図14から特によく分かるように、滑り軸受パッド18の内面72に昇降装置と形状結合するための保持部70が形成されているようにすることができる。
【0144】
図16から分かるように、滑り軸受パッド18の第1端面23に結合要素を保持する機能を持つ形状要素69、特にねじ山が形成されているようにすることができる。この形状要素69によって滑り軸受パッド18を滑り軸受パッド交換装置83と連結することができる。
【0145】
更に、形状要素69の領域に、形状要素69と協働して滑り軸受パッド18を滑り軸受パッド交換装置83と連結するために用いる凹部82が形成されているようにすることができる。
【0146】
図17及び図18は、滑り軸受9の別の、場合によってはそれ自体独立の第4の実施形態が示されており、ここでも先の図1図16と同じ要素には同じ参照符号又は要素名称が使用されている。不必要な繰り返しを避けるために、先の図1図18における詳細な説明が留意され、又は参照される。
【0147】
図17及び図18では、簡素化のために単一の滑り軸受パッド18のみを示しているが、先の実施例と同様に、複数の滑り軸受パッド18を円周上に均等に分布配置することもできる。
【0148】
図18から分かるように、内側リング要素13には個々の滑り軸受パッド18を保持する機能を持つ滑り軸受パッド保持リング110が配置されているようにすることができる。
【0149】
特に、個々の滑り軸受パッド18はその内面72に段差部114を有するようにすることができる。段差部114は、当接面を形成することができ、滑り軸受パッド18は段差部114の領域で滑り軸受パッド保持リング110の第1端面115に当接できる。これにより、滑り軸受パッド18は軸方向に滑り軸受パッド保持リング110に対して相対的に位置決めできる。
【0150】
更に、段差部114は、滑り軸受パッド18の内面72に形成された凹部116を限定するようにすることができる。凹部116は、滑り軸受パッド18の第2端面を起点として段差部114まで延びることができる。凹部116又は段差部114は、回転対称に形成できる。
【0151】
特に、滑り軸受パッド18が取り付けられた状態で滑り軸受パッド保持リング110は少なくとも部分的に滑り軸受パッド18の凹部116に受容されているようにすることができる。
【0152】
更に、滑り軸受パッド保持リング110の第1端面に複数のねじ穴111が形成されているようにすることができる。これらのねじ穴111に対応して、滑り軸受パッド18内にそれぞれ1つの、特に複数の貫通孔112を形成することができる。
【0153】
更に、貫通孔112に締め付けねじ113を貫通させてねじ穴111にねじ入れることができ、それにより滑り軸受パッド18を滑り軸受パッド保持リング110に固定する機能を果たすことができる。
【0154】
図18から更に分かるように、滑り軸受パッド保持リング110の第2端面117がシャフト隆起部118に当接するためにすることができる。これにより滑り軸受パッド保持リング110は、軸方向に内側リング要素13に位置決めすることができる。
【0155】
上記の実施例は可能な実施態様を示すものであり、この箇所で注記しておくと、本発明は特別に図示された実施形態に制限されるものではなく、反対に個々の実施態様を互いに様々に組み合わせることも可能であり、この変形可能性は本発明による技術的行為に関する教示に基づき当該技術分野に従事する当業者の能力の範囲内にある。
【0156】
保護の範囲は請求項によって規定されている。しかしながら請求項を解釈するために詳細な説明と図面を援用する必要がある。図示及び説明された異なる実施例に記載された個々の特徴又は特徴の組み合せは、それ自体で独立した発明的解決をなすことができる。これらの独立した発明的解決の基礎にある課題は、本明細書から読み取ることができる。
【0157】
本発明の説明において値の範囲に関するすべての指示は、当該範囲内のすべての任意の部分範囲を含むものと理解すべきである。例えば1~10という指示には、下限1から上限10に至るまでのすべての部分範囲が含まれていると理解すべきである。即ち、すべての部分範囲は、例えば1~1.7又は3.2~8.1又は5.5~10のように、下限の1又はそれ以上から始まって上限の10又はそれ以下で終わる。
【0158】
最後に形式的に指摘しておくと、構造を理解しやすくするために、要素は一部縮尺通りではなく、及び/又は拡大して、及び/又は縮小して表現された。
【符号の説明】
【0159】
1 風力タービン
2 ナセル
3 塔
4 ナセルハウジング
5 ロータ
6 ロータハブ
7 ロータブレード
8 ロータ軸受
9 滑り軸受
10 半径方向力
11 軸方向力
12 傾きモーメント
13 内側リング要素
14 外側リング要素
15 滑り軸受要素
16 ロータシャフト
17 軸受ブロック
18 滑り軸受パッド
19 回転軸
20 軸受面
21 係合面
22 内面
23 第1端面
24 第1の直径
25 頂点
26 頂点の直径
27 第2端面
28 第2の直径
29 球冠部
30 球冠半径
33 距離
34 滑り軸受パッドの軸方向延長部
35 軸受ブロックの軸方向端面
36 カバー
37 潤滑油容器
38 潤滑油
39 貫通孔
41 取出し開口部
42 外側リング要素の第1端面
43 外側リング要素の第2端面
45 第1の取出し開口部領域
46 第2の取出し開口部領域
47 取出し開口部の周方向延長部
48 滑り軸受パッドの周方向延長部
49 シャフトナット
50 軸方向ロック要素保持部
51 軸方向ロック要素
52 締め付けねじ
53 軸方向ロック要素の軸方向端面
54 軸方向ロック要素の楔面
55 第1の係合楔面
56 軸方向ストップリング
57 軸方向ストップリングの楔面
58 反ねじれ保護要素
59 軸受ナットの摺動面
60 軸方向ストップリングの摺動面
61 第2カバー
62 軸方向ストッパ
63 凹部
64 停止突起部
65 溝
66 台形溝
67 スライドブロック
68 スラストリングセグメント
69 滑り軸受パッドの形状要素
70 昇降装置用保持部
71 ロータシャフトフランジ
72 内面
73 スペーサ
74 周面
75 潤滑油輸送溝
76 第2の係合楔面
77 潤滑油分配溝
78 潤滑油孔
80 挿入要素
81 インターロック結合部
82 凹部
110 滑り軸受パッド保持リング
111 ねじ穴
112 貫通孔
113 締め付けねじ
114 段差部
115 滑り軸受パッド保持リングの第1端面
116 凹部
117 滑り軸受パッド保持リングの第2端面
118 シャフト隆起部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【国際調査報告】