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特表2023-551056固体分散体、医薬製剤、その製造方法及び応用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-06
(54)【発明の名称】固体分散体、医薬製剤、その製造方法及び応用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/496 20060101AFI20231129BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20231129BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231129BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20231129BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20231129BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20231129BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20231129BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20231129BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20231129BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20231129BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
A61K31/496
A61P35/02
A61P35/00
A61K9/14
A61K47/32
A61K47/38
A61K47/34
A61K47/36
A61K47/26
A61K47/02
A61K47/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532648
(86)(22)【出願日】2021-11-25
(85)【翻訳文提出日】2023-05-24
(86)【国際出願番号】 CN2021132990
(87)【国際公開番号】W WO2022111558
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/131357
(32)【優先日】2020-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011343661.6
(32)【優先日】2020-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.LABRASOL
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】520344855
【氏名又は名称】アセンテージ ファーマ(スーチョウ)カンパニー,リミティド
(71)【出願人】
【識別番号】523195887
【氏名又は名称】アセンテージ、ファーマ、グループ、コープ、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ASCENTAGE PHARMA GROUP CORP LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】リン、ヤンチオン
(72)【発明者】
【氏名】シュイ、ホアリャン
(72)【発明者】
【氏名】シュイ、フォン
(72)【発明者】
【氏名】ウー、チェン
(72)【発明者】
【氏名】クオ、ホンタオ
(72)【発明者】
【氏名】ホー、シアオリン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA30
4C076AA32
4C076DD26
4C076DD29G
4C076DD41
4C076DD42
4C076DD67A
4C076EE16
4C076EE23F
4C076EE31
4C076EE33
4C076EE38
4C076GG01
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB05
4C086MA02
4C086MA05
4C086NA03
4C086NA11
4C086NA13
4C086ZB26
4C086ZB27
(57)【要約】
本明細書は、式 (I) に示される化合物及び/又はその薬学的に許容される塩の固体分散体、医薬製剤、その製造方法及び応用を提出した。該固体分散体は、ベクターと式 (I) の化合物とを含む。該ベクターは、「N-ビニルラクタムのホモポリマーとコポリマー」及び/又はpH依存型セルロース系誘導体である。該製剤は、該固体分散体と、充填剤と、崩壊剤とを含む。該固体分散体は、良好な溶出度と安定性を有し、且つ式 (I) の化合物の溶解度とバイオアベイラビリティを有意に改善することができる。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体分散体であって、該固体分散体は、ベクターと活性成分とを含み、且つ該活性成分は、式(I)に示される化合物及び/又はその薬学的に許容される塩であり、該ベクターは、「N-ビニルラクタムのホモポリマーとコポリマー」及び/又はpH依存型セルロース系誘導体である、固体分散体。
【化1】
【請求項2】
該「N-ビニルラクタムのホモポリマーとコポリマー」は、K値が12、25、30又は90であるポビドン、又はPVPとポリ酢酸ビニルとのコポリマーであり、好ましくは、該ポビドンは、PVP K30であり、好ましくは、該PVPとポリ酢酸ビニルとのコポリマーは、PVP VA64であり、
及び/又は、該pH依存型セルロース系誘導体は、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルであり、好ましくは、該ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルにおけるアセチル基の置換度は、5%~9%、7%~11%又は10~14%であり、且つサクシノイル基の置換度は、それぞれ14~18%、10~14%又は4~8%であり、好ましくは、該ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルは、HPMCAS 716G、HPMCAS 912G、HPMCAS 126G、HPMCAS 716F、HPMCAS912F、HPMCAS126F、HPMCAS LG、HPMCAS MG、HPMCAS HG、HPMCAS LF、HPMCAS MF及びHPMCAS HFのうちの一つ又は複数であり、
及び/又は、該活性成分と該ベクターとの質量比が1:(1~10)であり、好ましくは、1:(1.5~7)(例えば、1:1.5、1:2、3:7、1:3、1:4又は1:6.7)であり、さらに好ましくは、それは、1:(3~4)であり、
及び/又は、該固体分散体は、界面活性剤をさらに含み、
及び/又は、該固体分散体は、流動性助剤をさらに含み、
及び/又は、該固体分散体は、非晶質固体分散体である、請求項1に記載の固体分散体。
【請求項3】
該ベクターは、ポビドン、コポビドン及びヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルのうちの一つ又は複数であり、好ましくは、該ベクターは、PVP K30、PVP VA64、HPMCAS 716G、HPMCAS LG、HPMCAS 126G、HPMCAS HG、HPMCAS 912G及びHPMCAS MGのうちの一つ又は複数であり、
及び/又は、該固体分散体が界面活性剤をさらに含む場合、該界面活性剤は、カプリル酸カプリン酸ポリエチレングリコールグリセリル、TPGS、ポロキサマー及びツィーン80のうちの一つ又は複数であり、
及び/又は、該固体分散体が界面活性剤をさらに含む場合、該界面活性剤と該活性成分との質量比は、(0.1~5):1(例えば、0.21:1、0.33:1、0.4:1、0.58:1、0.8:1又は1.2:1)であり、好ましくは、(0.1~2):1であり、
及び/又は、当該固体分散体が流動性助剤をさらに含む場合、該流動性助剤は、コロイダルシリカであり、
及び/又は、当該固体分散体が流動性助剤をさらに含む場合、該流動性助剤と該活性成分との質量比は、(0.02~1):1(例えば、0.03:1、0.04:1、0.05:1、0.06:1、0.08:1又は0.2:1)であり、好ましくは、(0.02~0.2):1である、請求項2に記載の固体分散体。
【請求項4】
該固体分散体は、1部の該活性成分と1~10部の該ベクターという成分を含み、好ましくは、該固体分散体は、1部の該活性成分と1.5~7部の該ベクターという成分を含み、さらに好ましくは、該固体分散体は、1部の該活性成分と3~4部の該ベクターという成分を含み、
又は、該固体分散体は、1部の該活性成分、1~10部の該ベクターと0.1~5部の界面活性剤という成分を含み、好ましくは、該固体分散体は、1部の該活性成分、1.5~7部の該ベクターと0.1~2部の界面活性剤という成分を含み、
又は、該固体分散体は、1部の該活性成分、1~10部の該ベクターと0.02~1部の該流動性助剤という成分を含み、好ましくは、該固体分散体は、1部の該活性成分、1.5~7部の該ベクターと0.02~0.2部の該流動性助剤という成分を含み、
又は、該固体分散体は、1部の該活性成分、1.5~7部の該ベクター、0.1~5部の界面活性剤と0.02~0.2部の流動性助剤という成分を含み、好ましくは、該固体分散体は、1部の該活性成分、1.5~7部の該ベクター、0.1~2部の界面活性剤と0.02~0.2部の流動性助剤という成分を含む、請求項1に記載の固体分散体。
【請求項5】
1部の該活性成分と4部のPVP VA64、
又は、該固体分散体は、1部の該活性成分と3部のPVP VA64という成分を含み、
又は、該固体分散体は、1部の該活性成分と4部のPVP K30という成分を含み、
又は、該固体分散体は、1部の該活性成分、6.7部のPVP VA64、0.58部のツィーン80と0.0834部のコロイダルシリカという成分を含み、
又は、該固体分散体は、1部の該活性成分、3部のHPMCAS 716Gと0.08部のコロイダルシリカという成分を含み、
又は、該固体分散体は、1部の該活性成分、3部のHPMCAS 126Gと0.08部のコロイダルシリカという成分を含み、
又は、該固体分散体は、1部の該活性成分、3部のHPMCAS 912Gと0.08部のコロイダルシリカという成分を含み、
又は、該固体分散体は、1部の該活性成分、6.7部のHPMCAS 716Gと0.08部のコロイダルシリカという成分を含み、
又は、該固体分散体は、1部の該活性成分、3部のHPMCAS 716G、0.21部のツィーン80と0.08部のコロイダルシリカという成分を含み、
又は、該固体分散体は、1部の該活性成分、3部のPVP VA64と1.2部のポロキサマーという成分を含み、
又は、該固体分散体は、1部の該活性成分、3部のPVP VA64と0.8部のTPGSという成分を含み、
又は、該固体分散体は、1部の該活性成分、3部のPVP VA64と0.4部のカプリル酸カプリン酸ポリエチレングリコールグリセリルという成分を含み、
又は、該固体分散体は、1部の該活性成分、2部のHPMCAS 716Gと0.33部のTPGSという成分を含む、請求項1に記載の固体分散体。
【請求項6】
以下の方法1、方法2又は方法3を含む:
該方法1は、式Iに示される化合物、その薬学的に許容される塩、その結晶形とその溶媒和物のうちの一つ又は複数、及び他の成分を、溶媒と混合し、溶液又は懸濁液を形成し、該溶媒を除去し、該固体分散体を得るステップを含み、
該方法2は、該式Iに示される化合物、その薬学的に許容される塩、その結晶形とその溶媒和物のうちの一つ又は複数、及び他の成分を混合し、加熱して押出を行い、該固体分散体を得るステップを含み、
方法3は、該式Iに示される化合物、薬学的に許容される塩、その結晶形とその溶媒化合物のうちの一つ又は複数、及び他の成分を混合し、溶媒と混合し、噴霧乾燥を行い、該固体分散体を得るステップを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の固体分散体の製造方法。
【請求項7】
方法1において、該溶媒は、水、アルコール系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、ニトリル系溶媒及びエーテル系溶媒のうちの一つ又は複数であり、ここで、該アルコール系溶媒は、好ましくは、エタノール及び/又はメタノールであり、該エステル系溶媒は、好ましくは、酢酸エチルであり、該ケトン系溶媒は、好ましくは、アセトンであり、該ハロゲン化炭化水素溶媒は、好ましくは、ジクロロメタンであり、該ニトリル系溶媒は、好ましくは、アセトニトリルであり、該エーテル系溶媒は、好ましくは、テトラヒドロフランであり、好ましくは、該溶媒は、アセトン及び/又はエタノールであり、
及び/又は、方法1において、「該式Iに示される化合物、その薬学的に許容される塩、その結晶形とその溶媒和物のうちの一つ又は複数」と該溶媒との質量体積比は、(0.1~30):1 mg/mlであり、好ましくは、(1~10):1mg/mlであり、
及び/又は、方法2において、該押出の温度は、150~250℃であり、好ましくは、160~220℃であり、
及び/又は、方法2において、該押出操作は、粉砕ステップをさらに含み、
及び/又は、方法3において、該溶媒は、アルコール系溶媒及び/又はハロゲン化炭化水素溶媒であり、ここで、該アルコール系溶媒は、好ましくは、メタノールであり、該ハロゲン化炭化水素溶媒は、好ましくは、ジクロロメタンであり、好ましくは、該溶媒は、メタノールとジクロロメタンであり、ここで、エタノールとジクロロメタンとの体積比は、好ましくは、5:95であり、
及び/又は、方法3において、「該式Iに示される化合物、その薬学的に許容される塩、その結晶形とその溶媒和物のうちの一つ又は複数」と該溶媒との質量体積比は、(0.1~30):1mg/mlであり、
及び/又は、方法3において、該噴霧乾燥材料の温度は、40℃~200℃に設定され、好ましくは、50℃~110℃である、請求項6に記載の固体分散体の製造方法。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか一項に記載の固体分散体と、充填剤と、崩壊剤とを含む、製剤。
【請求項9】
該充填剤は、微結晶セルロース、乳糖、プレゲル化澱粉、リン酸水素カルシウム及びリン酸カルシウムのうちの一つ又は複数であり、例えば、微結晶セルロース、乳糖、リン酸水素カルシウム、微結晶セルロース及び乳糖の組み合わせ、微結晶セルロースとプレゲル化澱粉との組み合わせ、又は「微結晶セルロースとリン酸カルシウムとの組み合わせ」であり、好ましくは、該充填剤は、リン酸水素カルシウム又は「微結晶セルロースとリン酸カルシウムとの組み合わせ」であり、
及び/又は、該固体分散体の質量を1部とし、該充填剤の質量部数は、0.2~8部であり、好ましくは、0.2~2部であり、例えば、0.25、0.40、0.43、0.72、0.84、0.85、0.86又は0.90部であり、
及び/又は、該崩壊剤は、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースナトリウム及びカルボキシメチルスターチナトリウムのうちの一つ又は複数であり、好ましくは、該崩壊剤は、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムであり、
及び/又は、該固体分散体の質量を1部とし、該崩壊剤の質量部数は、0.03~0.4部であり、好ましくは、0.05~0.3部であり、例えば、0.075部、0.09部、0.1部、0.14部であり、
及び/又は、該製剤は、流動性助剤をさらに含み、
及び/又は、該製剤は、潤滑剤をさらに含み、
及び/又は、該製剤は、コーティング材料をさらに含む、請求項8に記載の製剤。
【請求項10】
当該充填剤が微結晶セルロースとリン酸カルシウムとの組み合わせである場合、微結晶セルロースとリン酸カルシウムとの質量比は、1:(0.5~2)(例えば、1:0.5、1:1又は1:2)であり、好ましくは、1:(1~2)であり、さらに好ましくは、1:1であり、
及び/又は、該充填剤が微結晶セルロースを含む場合、該微結晶セルロースは、微結晶セルロースAvicel(登録商標)PH102、ケイ化微結晶セルロース90、ケイ化微結晶セルロースHD 90、微結晶セルロースPH105、微結晶セルロースKG802及び微結晶セルロースAvicel(登録商標)PH101のうちの一つ又は複数であり、好ましくは、該微結晶セルロースは、微結晶セルロースAvicel(登録商標)PH102及び/又は微結晶セルロースKG802であり、
及び/又は、該製剤が流動性助剤をさらに含む場合、該流動性助剤は、コロイダルシリカであり、
及び/又は、該製剤が流動性助剤をさらに含む場合、該固体分散体の質量を1部とし、該流動性助剤の質量部数は、0.006~0.2部であり、好ましくは、該流動性助剤の質量分率は、0.01~0.06であり、例えば、0.01、0.02、0.03又は0.04であり、
及び/又は、該製剤が潤滑剤をさらに含む場合、該潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム及び/又はステアリルフマル酸ナトリウムであり、
及び/又は、該製剤が潤滑剤をさらに含む場合、該固体分散体の質量を1部とし、該潤滑剤の質量部数は、0.004~0.1部であり、好ましくは、該潤滑剤の質量分率は、0.004~0.04であり、例えば、0.006、0.007、0.01又は0.02であり、
及び/又は、該製剤がコーティング材料をさらに含む場合、該コーティング材料は、胃溶型フィルムコーティングプレミックス剤であり、例えば、Opadry(登録商標)IIであり、
及び/又は、該製剤がコーティング材料をさらに含む場合、該固体分散体の質量を1部とし、該コーティング材料の質量部数は、0.01~0.2であり、好ましくは、該コーティング材料の質量部数は、0.04~0.1部であり、例えば、0.06部である、請求項9に記載の製剤。
【請求項11】
該製剤は、1部の該固体分散体、0.2~8部の該充填剤と0.03~0.4部の該崩壊剤という成分を含み、好ましくは、該製剤は、1部の該固体分散体、0.2~2部の該充填剤と0.05~0.3部の該崩壊剤という成分を含み、
又は、該製剤は、1部の該固体分散体、0.2~8部の該充填剤、0.03~0.4部の該崩壊剤と0.006~0.2部の該流動性助剤という成分を含み、好ましくは、該製剤は、1部の該固体分散体、0.2~2部の該充填剤、0.05~0.3部の該崩壊剤と0.01~0.06部の該流動性助剤という成分を含み、
又は、該製剤は、1部の該固体分散体、0.2~8部の該充填剤、0.03~0.4部の該崩壊剤、0.006~0.2部の該流動性助剤と0.004~0.1部の該潤滑剤という成分を含み、好ましくは、該製剤は、1部の該固体分散体、0.2~2部の該充填剤、0.05~0.3部の該崩壊剤、0.01-0.06部の該流動性助剤と0.004-0.04部の該潤滑剤という成分を含み、
又は、該製剤は、1部の該固体分散体、0.2~8部の該充填剤、0.03~0.4部の該崩壊剤、0.006~0.2部の該流動性助剤、0.004~0.1部の該潤滑剤と0.01~0.2部の該コーティング材料という成分を含み、好ましくは、該製剤は、1部の該固体分散体、0.2~2部の該充填剤、0.05~0.3部の該崩壊剤、0.01~0.06部の該流動性助剤、0.004~0.04部の該潤滑剤と0.04~0.1部の該コーティング材料という成分を含む、請求項8に記載の製剤。
【請求項12】
該製剤は、1部の該固体分散体と0.05部のコロイダルシリカという成分を含み、
又は、該製剤は、1部の該固体分散体と0.9部の微結晶セルロースAvicel(登録商標)PH102及び0.1部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムという成分を含み、
又は、該製剤は、1部の該固体分散体と0.6部の微結晶セルロースAvicel(登録商標)PH102、0.3部の乳糖及び0.1部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムという成分を含み、
又は、該製剤は、1部の該固体分散体と0.6部の微結晶セルロースAvicel(登録商標)PH102、0.3部のプレゲル化澱粉及び0.1部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムという成分を含み、
又は、該製剤は、1部の該固体分散体と0.6部の微結晶セルロースAvicel(登録商標)PH102、0.3部のリン酸カルシウム及び0.1部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムという成分を含み、
又は、該製剤は、1部の該固体分散体と0.45部の微結晶セルロースAvicel(登録商標)PH102、0.45部のリン酸カルシウム及び0.1部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムという成分を含み、
又は、該製剤は、1部の該固体分散体と0.3部の微結晶セルロースAvicel(登録商標)PH102、0.6部のリン酸カルシウム及び0.1部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムという成分を含み、
又は、該製剤は、1部の該固体分散体と0.428部の微結晶セルロースAvicel(登録商標)PH102、0.428部のリン酸カルシウム、0.1部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、0.04部のコロイダルシリカ及び0.06部のステアリン酸マグネシウムという成分を含み、
又は、該製剤は、1部の該固体分散体、0.45部のケイ化微結晶セルロース90、0.45部のリン酸カルシウムと0.1部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムという成分を含み、
又は、該製剤は、1部の該固体分散体、0.45部のケイ化微結晶セルロースHD 90、0.45部のリン酸カルシウムと0.1部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムという成分を含み、
又は、該製剤は、1部の該固体分散体、0.43部の微結晶セルロースPH105、0.43部のリン酸カルシウム、0.1部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムと0.04部のコロイダルシリカという成分を含み、
又は、該製剤は、1部の該固体分散体、0.43部の微結晶セルロースKG802、0.43部のリン酸カルシウム、0.1部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムと0.04部のコロイダルシリカという成分を含み、
又は、該製剤は、1部の該固体分散体と0.42部の微結晶セルロースAvicel(登録商標)PH101及び0.07部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムという成分を含み、
又は、該製剤は、1部の該固体分散体と0.42部の微結晶セルロースAvicel(登録商標)PH101及び0.07 phrの低置換度ヒドロキシプロピルセルロースナトリウムという成分を含み、
又は、該製剤は、1部の該固体分散体と0.39部の微結晶セルロースAvicel(登録商標)PH101、0.07部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム及び0.03部のコロイダルシリカという成分を含み、
又は、該製剤は、1部の該固体分散体と0.3部の微結晶セルロースAvicel(登録商標)PH102、0.6部のリン酸カルシウム、0.1部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム及び0.06部のコロイダルシリカという成分を含み、
又は、該製剤は、1部の該固体分散体と0.3部の微結晶セルロースAvicel(登録商標)PH102、0.6部のリン酸カルシウム、0.1部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、0.04部のコロイダルシリカ及び0.01部のステアリン酸マグネシウムという成分を含み、
又は、該製剤は、1部の該固体分散体、0.42部の微結晶セルロースKG802、0.42部のリン酸カルシウム、0.1部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、0.04部のコロイダルシリカ及び0.02部のステアリン酸マグネシウムという成分を含み、
又は、該製剤は、1部の該固体分散体と0.43部の微結晶セルロースAvicel(登録商標)PH102、0.43部のリン酸カルシウム、0.1部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、0.04部のコロイダルシリカ、0.02部のステアリン酸マグネシウム及び0.006部の胃溶型フィルムコーティングプレミックス剤という成分を含み、
又は、該製剤は、1部の該固体分散体、0.42部の微結晶セルロースKG802、0.42部のリン酸カルシウム、0.1部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、0.04部のコロイダルシリカ、0.02部のステアリン酸マグネシウムと0.06部の胃溶型フィルムコーティングプレミックス剤という成分を含み、
又は、該製剤は、1部の該固体分散体、0.26部のリン酸水素カルシウム、0.01部のコロイダルシリカと0.006部のステアリルフマル酸ナトリウムという成分を含み、
又は、該製剤は、1部の該固体分散体、0.26部のリン酸水素カルシウム、0.1部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、0.01部のコロイダルシリカと0.007部のステアリルフマル酸ナトリウムという成分を含み、
又は、該製剤は、1部の該固体分散体、0.36部の微結晶セルロース、0.36部のリン酸カルシウム、0.1部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、0.04部のコロイダルシリカと0.02部のステアリン酸マグネシウムという成分を含む、請求項8に記載の製剤。
【請求項13】
該方法は、該製剤の各成分を混合するステップを含む、請求項8~12のいずれか一項に記載の製剤の製造方法。
【請求項14】
請求項8~12のいずれか一項に記載の製剤の、過増殖性疾患を治療するための薬物の製造における応用。
【請求項15】
該過増殖性疾患は、癌であり、好ましくは、該癌は、急性単球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、混合型白血病、NUT-正中線癌、多発性骨髄腫、小細胞肺癌、神経芽細胞腫、リンパ腫、子宮頸癌、食道癌、卵巣癌、結腸直腸癌、前立腺癌及び乳癌から選択されたものである、請求項14に記載の応用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年11月25日に提出されたPCT/CN 2020/131357及び2020年11月25日に提出された2020113436616の優先権を主張し、その内容は全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明は、固体分散体、製剤、その製造方法及びその応用に関する。
【背景技術】
【0003】
式(I)に示される化合物4-{4-{[6-(4-クロロ-フェニル)-スピロ[3,5]ノナン-6-エン-7-イル]メチル}-ピペラジン-1-イル}-N-{{3-ニトロ-4-[((2S)-[1,4]ジオキサン-2-イルメチル)-アミノ]フェニル}スルホニル}-2-(1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イルオキシ)-ベンズアミドは、Bcl-2阻害剤であり、Bcl-2は、調節タンパク質Bcl-2ファミリーの最初に見出されるメンバーであり、それは、アポトーシスを誘導(アポトーシス促進)するか又は阻害(抗アポトーシス)することによって、細胞死(アポトーシス)を調節する。
【化1】
【0004】
該化合物は、通常、結晶形であり、溶解性が極めて低く、且つ水性媒体及びメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール及びアセトンなどのほとんどの有機溶媒に溶解しにくい。薬物の胃腸溶液における溶解度及び溶出度を改善することによって経口バイオアベイラビリティを向上させるために、安定性に優れ、溶出度が高く、該化合物を含む製剤の開発が切望されている。
【発明の開示】
【0005】
本発明が解決しようとする技術課題は、従来のBcl-2阻害剤の溶解度が低く、製剤化が困難であるという欠陥を克服し、且つ固体分散体、製剤、その製造方法及び応用を提供することである。該固体分散体は、良好な溶出度を有し、且つ有効成分の溶解度が有意に向上した。該製剤は、Bcl-2阻害剤のバイオアベイラビリティを効果的に改善することができ、良好な溶出度と安定性を有し、且つ投与の安全性を向上させることができる。
【0006】
上記発明目的を実現するために、本発明は以下の技術案を提供する。
【0007】
本発明は、固体分散体を提供し、それは、ベクターと活性成分とを含み、活性成分は、式(I)に示される化合物及び/又はその薬学的に許容される塩であり、ベクターは、「N-ビニルラクタムのホモポリマーとコポリマー」及び/又はpH依存型セルロース系誘導体である。
【化2】
【0008】
式 (I) 化合物は、通常、結晶形であり、且つ溶解性が極めて低い。水性媒体において、37℃、24時間の場合、pH値が1-7である酸性又は中性媒体での溶解度は、0.0006-0.0003 mg/mlである。出願者は、式(I)化合物を適切なベクターと組み合わせることにより、式(I)化合物を非晶質状態でベクター中に高度に分散させ得ることを、研究により予想外に発見した。高い薬物負荷容量を維持した上で、式(I)化合物の溶解性も大幅に改善され、且つその溶出度とバイオアベイラビリティを向上させた。固体分散体の安定性は大幅に向上した。本発明の固体分散体は、高湿度(60%)及び長期(12ヶ月)の保存後でも、式 (I) 化合物が形質転換又は分解しない。
【0009】
好ましくは、「N-ビニルラクタムのホモポリマーとコポリマー」は、N-ビニルピロリドンのホモポリマー(即ちポビドン又はPVP)とコポリマーであり、さらに好ましくは、それは、K値(ポビドンの水溶液の粘度)が約12、約25、約30又は約90であるポビドン(例えば、PVP-K12、PVP-K20、PVP-K30又はPVP-K90)であり、又はPVPとポリ酢酸ビニルとのコポリマー(PVP-VAシリーズ、例えば、PVP VA64、即ちポリビニルピロリドンとポリ酢酸ビニルを60:40で重合して形成したコポリマー)である。
【0010】
好ましくは、ポビドンは、PVP K30を含むが、それに限らない。
【0011】
好ましくは、PVPとポリ酢酸ビニルとのコポリマーは、PVP VA64を含むが、それに限らない。
【0012】
好ましくは、pH依存型セルロース系誘導体は、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルであり、さらに好ましくは、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルにおけるアセチル基の置換度は、5%~9%、7%~11%又は10~14%であってもよく、且つサクシノイル基の置換度は、それぞれ14~18%、10~14%又は4~8%であってもよい。
【0013】
好ましくは、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルは、HPMCAS 716G、HPMCAS 912G、HPMCAS 126G、HPMCAS 716F、HPMCAS912F、HPMCAS126F、HPMCAS LG、HPMCAS MG、HPMCAS HG、HPMCAS LF、HPMCAS MF及びHPMCAS HFのうちの一つ又は複数、例えば、HPMCAS 716G、HPMCAS LG、HPMCAS 126G、HPMC AS HG、HPMCAS 912G及びHPMCAS MGのうちの一つ又は複数を含むが、それらに限らない。
【0014】
好ましくは、ベクターは、ポビドン、コポビドン及びヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル(HPMCAS)のうちの一つ又は複数であり、さらに好ましくは、ベクターは、PVP K30、PVP VA64、HPMCAS 716G、HPMCAS LG、HPMCAS 126G、HPMC AS HG、HPMCAS 912G及びHPMCAS MGのうちの一つ又は複数であり、好ましくは、PVP VA64、HPMCAS 716G及びHPMCAS LGのうちの一つ又は複数である。
【0015】
ベクターの用量は、当該分野における従来のものであってもよい。活性成分とベクターとの質量比は、好ましくは、1:(1~10)であり、さらに好ましくは、1:(1.5~7)(例えば、1:1.5、1:2、3:7、1:3、1:4又は1:6.7)であり、最も好ましくは、1:(3~4)である。活性成分とベクターとの質量比が1:(1.5~7)の範囲内にある場合、固体分散体は、平衡溶解度、成形性と溶出度などの少なくとも一つにおいて、良好な効果を有する。例えば、溶出度は、いずれも単独の活性成分より優れている。活性成分とベクターとの質量比が1:(3~4)の範囲内にある場合、固体分散体は、平衡溶解度、成形性と溶出度などの少なくとも一つにおいて、より良い効果を有する。例えば、60minでの溶出度は、90%以上に達することができ、温度が25℃であり、且つ湿度が60% RHである場合、12ヶ月保存しても、依然として非晶質であり、且つ結晶が析出せず、単独の活性成分に比べて、平衡溶解度は、有意に向上した。
【0016】
好ましくは、固体分散体は、界面活性剤をさらに含む。
【0017】
固体分散体が界面活性剤をさらに含む場合、界面活性剤の種類は、当該分野における従来のものであってもよい。好ましくは、界面活性剤は、カプリル酸カプリン酸ポリエチレングリコールグリセリル(Labrasol)、TPGS、ポロキサマー及びツィーン80(Tween80)のうちの一つ又は複数である。
【0018】
固体分散体が界面活性剤をさらに含む場合、界面活性剤の用量は、当該分野における従来のものであってもよく、且つ界面活性剤と活性成分との質量比は、好ましくは、(0.1~5):1(例えば、0.21:1、0.33:1、0.4:1、0.58:1、0.8:1又は1.2:1)であり、さらに好ましくは、(0.1~2):1である。
【0019】
好ましくは、固体分散体は、流動性助剤をさらに含む。
【0020】
固体分散体が流動性助剤をさらに含む場合、流動性助剤の種類は、当該分野における従来のものであってもよい。好ましくは、流動性助剤は、コロイダルシリカである。
【0021】
固体分散体が流動性助剤をさらに含む場合、流動性助剤の用量は、当該分野における従来のものであってもよく、流動性助剤と活性成分との質量比は、好ましくは、(0.02~1):1(例えば、0.03:1、0.04:1、0.05:1、0.06:1、0.08:1又は0.2:1)であり、さらに好ましくは、(0.02~0.2):1である。
【0022】
本発明の実施例において、固体分散体は、非晶質固体分散体である。
【0023】
本発明の好ましい態様として、固体分散体は、1部の活性成分と1~10部のベクターという成分を含む。
【0024】
本発明の好ましい態様として、固体分散体は、1部の活性成分と1.5~7部のベクターという成分を含む。
【0025】
本発明の好ましい態様として、固体分散体は、1部の活性成分と3~4部のベクターという成分を含む。
【0026】
本発明の好ましい態様として、固体分散体は、1部の活性成分、1~10部のベクターと0.1~5部の界面活性剤という成分を含む。
【0027】
本発明の好ましい態様として、固体分散体は、1部の活性成分、1.5~7部のベクターと0.1~2部の界面活性剤という成分を含む。
【0028】
本発明の好ましい態様として、固体分散体は、1部の活性成分、1~10部のベクターと0.02~1部の流動性助剤という成分を含む。
【0029】
本発明の好ましい態様として、固体分散体は、1部の活性成分、1.5~7部のベクターと0.02~0.2部の流動性助剤という成分を含む。
【0030】
本発明の好ましい態様として、固体分散体は、1部の活性成分、1.5~7部のベクター、0.1~5部の界面活性剤と0.02~0.2部の流動性助剤という成分を含む。
【0031】
本発明の好ましい態様として、固体分散体は、1部の活性成分、1.5~7部のベクター、0.1~2部の界面活性剤と0.02~0.2部の流動性助剤という成分を含む。
【0032】
本発明の好ましい態様として、固体分散体は、1部の活性成分と4部のPVP VA 64という成分を含む。
【0033】
本発明の好ましい態様として、固体分散体は、1部の活性成分と3部のPVP VA 64という成分を含む。
【0034】
本発明の好ましい態様として、固体分散体は、1部の活性成分と4部のPVP K30という成分を含む。
【0035】
本発明の好ましい態様として、固体分散体は、1部の活性成分、6.7部のPVP VA 64、0.58部のツィーン80と0.0834部のコロイダルシリカという成分を含む。
【0036】
本発明の好ましい態様として、固体分散体は、1部の活性成分、3部のHPMCAS 716 Gと0.08部のコロイダルシリカという成分を含む。
【0037】
本発明の好ましい態様として、固体分散体は、1部の活性成分、3部のHPMCAS 126Gと0.08部のコロイダルシリカという成分を含む。
【0038】
本発明の好ましい態様として、固体分散体は、1部の活性成分、3部のHPMCAS 912 Gと0.08部のコロイダルシリカという成分を含む。
【0039】
本発明の好ましい態様として、固体分散体は、1部の活性成分、6.7部のHPMCAS 716 Gと0.08部のコロイダルシリカという成分を含む。
【0040】
本発明の好ましい態様として、固体分散体は、1部の活性成分、3部のHPMCAS 716 G、0.21部のツィーン80と0.08部のコロイダルシリカという成分を含む。
【0041】
本発明の好ましい態様として、固体分散体は、1部の活性成分、3部のPVP VA64と1.2部のポロキサマーという成分を含む。
【0042】
本発明の好ましい態様として、固体分散体は、1部の活性成分、3部のPVP VA64と0.8部のTPGSという成分を含む。
【0043】
本発明の好ましい態様として、固体分散体は、1部の活性成分、3部のPVP VA64と0.4部のカプリル酸カプリン酸ポリエチレングリコールグリセリルという成分を含む。
【0044】
本発明の好ましい態様として、固体分散体は、1部の活性成分、2部のHPMCAS 716Gと0.33部のTPGSという成分を含む。
【0045】
本発明は、固体分散体の製造方法をさらに提供し、以下の方法1、方法2又は方法3を含み、
方法1は、式Iに示される化合物、その薬学的に許容される塩、その結晶形とその溶媒和物のうちの一つ又は複数、及び他の成分を、溶媒と混合し、溶液又は懸濁液を形成し、溶媒を除去し、固体分散体を得るステップを含み、
方法2は、式Iに示される化合物、その薬学的に許容される塩、その結晶形とその溶媒和物のうちの一つ又は複数、及び他の成分を混合し、加熱して押出を行い、固体分散体を得るステップを含み、
方法3は、式Iに示される化合物、薬学的に許容される塩、その結晶形とその溶媒化合物のうちの一つ又は複数、及び他の成分を混合し、且つ溶媒と混合し、噴霧乾燥を行い、固体分散体を得るステップを含む。
【0046】
方法1において、溶媒の種類は、当該分野における従来のものであってもよい。好ましくは、溶媒は、水、アルコール系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、ニトリル系溶媒及びエーテル系溶媒のうちの一つ又は複数である。ここで、アルコール系溶媒は、エタノール及び/又はメタノールであってもよく、エステル系溶媒は、酢酸エチルであってもよく、ケトン系溶媒は、アセトンであってもよく、ハロゲン化炭化水素溶媒は、ジクロロメタンであってもよく、ニトリル系溶媒は、アセトニトリルであってもよく、エーテル系溶媒は、テトラヒドロフランであってもよい。好ましくは、溶媒は、アセトン及び/又はエタノールである。
【0047】
方法1において、溶媒の用量は、当該分野における従来のものであってもよい。好ましくは、「式Iに示される化合物、その薬学的に許容される塩、その結晶形とその溶媒和物のうちの一つ又は複数」と溶媒との質量体積比は、(0.1~30):1 mg/mlであり、且つ(1~10):1mg/mlであってもよい。
【0048】
方法2において、押出温度は、当該分野における従来のものであってもよい。好ましくは、押出の温度は、150~250℃であり、さらに好ましくは、押出の温度は、160~220℃である。
【0049】
方法2において、好ましくは、押出操作後に、粉砕ステップをさらに含む。
【0050】
方法3において、溶媒の種類は、当該分野における従来のものであってもよい。好ましくは、溶媒は、アルコール系溶媒及び/又はハロゲン化炭化水素溶媒であり、ここで、アルコール系溶媒は、メタノールであってもよく、ハロゲン化炭化水素溶媒は、ジクロロメタンであってもよい。好ましくは、溶媒は、エタノールとジクロロメタンであり、ここで、エタノールとジクロロメタンとの体積比は、好ましくは、5:95である。
【0051】
方法3において、溶媒の用量は、当該分野における従来のものであってもよい。好ましくは、「式Iに示される化合物、その薬学的に許容される塩、その結晶形とその溶媒和物のうちの一つ又は複数」と溶媒との質量体積比は、(0.1~30):1mg/mlである。
【0052】
方法3において、好ましくは、噴霧乾燥材料の温度は、40℃~200℃に設定されてもよく、好ましくは、50℃~110℃である。
【0053】
本発明は、固体分散体を含む製剤をさらに提供し、それは、固体分散体と、充填剤と、崩壊剤とを含む。
【0054】
該製剤において、充填剤の種類は、当該分野における従来のものであってもよい。好ましくは、充填剤は、微結晶セルロース、乳糖、プレゲル化澱粉、リン酸水素カルシウム及びリン酸カルシウムのうちの一つ又は複数であり、例えば、微結晶セルロース、乳糖、リン酸水素カルシウム、微結晶セルロースと乳糖との組み合わせ、微結晶セルロースとプレゲル化澱粉との組み合わせ、又は「微結晶セルロースとリン酸カルシウムとの組み合わせ」であり、さらに好ましくは、充填剤は、リン酸水素カルシウム又は「微結晶セルロースとリン酸カルシウムとの組み合わせ」である。
【0055】
充填剤が微結晶セルロースとリン酸カルシウムとの組み合わせである場合、好ましくは、微結晶セルロースとリン酸カルシウムとの質量比は、1:(0.5~2)(例えば、1:0.5、1:1又は1:2)であり、さらに好ましくは、1:(1~2)であり、好ましくは、1:1である。
【0056】
ここで、充填剤が微結晶セルロースを含む場合、微結晶セルロースの種類は、当該分野における従来のものであってもよい。好ましくは、微結晶セルロースは、微結晶セルロースAvicel(登録商標)PH102、ケイ化微結晶セルロース90、ケイ化微結晶セルロースHD90、微結晶セルロースPH105、微結晶セルロースKG802及び微結晶セルロースAvicel(登録商標)PH101のうちの一つ又は複数であり、さらに好ましくは、微結晶セルロースは、微結晶セルロースAvicel(登録商標)PH102及び/又は微結晶セルロースKG802である。
【0057】
製剤において、充填剤の用量は、当該分野における従来のものであってもよい。好ましくは、固体分散体の質量を1部とし、充填剤の質量部数は、0.2~8部であり、さらに好ましくは、充填剤の質量部数は、0.2~2部であり、例えば、0.25部、0.40部、0.43部、0.72部、0.84部、0.85部、0.86部又は0.90部である。
【0058】
製剤において、崩壊剤の種類は、当該分野における従来のものであってもよい。好ましくは、崩壊剤は、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースナトリウム及びカルボキシメチルスターチナトリウムのうちの一つ又は複数であり、さらに好ましくは、崩壊剤は、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムである。
【0059】
製剤において、崩壊剤の用量は、当該分野における従来のものであってもよい。好ましくは、固体分散体の質量を1部とし、崩壊剤の質量部数は、0.03~0.4部であり、さらに好ましくは、崩壊剤の質量分率は、0.05~0.3であり、例えば、0.075、0.09、0.1、0.14である。
【0060】
好ましくは、製剤は、流動性助剤をさらに含む。
【0061】
製剤が流動性助剤をさらに含む場合、流動性助剤の種類は、当該分野における従来のものであってもよい。好ましくは、流動性助剤は、コロイダルシリカである。
【0062】
製剤が流動性助剤をさらに含む場合、流動性助剤の用量は、当該分野における従来のものであってもよい。好ましくは、固体分散体の質量に対して、流動性助剤の質量分率は、0.006~0.2部であり、さらに好ましくは、流動性助剤の質量分率は、0.01~0.06であり、例えば、0.01、0.02、0.03又は0.04である。
【0063】
好ましくは、製剤は、潤滑剤をさらに含む。
【0064】
製剤が潤滑剤をさらに含む場合、潤滑剤の種類は、当該分野における従来のものであってもよい。好ましくは、潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム及び/又はステアリルフマル酸ナトリウムである。
【0065】
製剤が潤滑剤をさらに含む場合、潤滑剤の量は、当該分野における従来のものであってもよい。好ましくは、固体分散体の質量を1部とし、潤滑剤の質量部数は、0.004~0.1部であり、さらに好ましくは、潤滑剤の質量分率は、0.004-0.04であり、例えば、0.006、0.007、0.01又は0.02である。
【0066】
好ましくは、製剤は、コーティング材料をさらに含む。
【0067】
製剤がコーティング材料をさらに含む場合、コーティング材料の種類は、当該分野における従来のものであってもよい。好ましくは、コーティング材料は、胃溶型フィルムコーティングプレミックス剤であり、例えば、Opaday(登録商標)IIである。
【0068】
製剤がコーティング材料をさらに含む場合、コーティング材料の用量は、当該分野における従来のものであってもよい。好ましくは、固体分散体の質量を1部とし、コーティング材料の質量部数は、0.01~0.2部であり、さらに好ましくは、コーティング材料の質量部数は、0.04~0.1部であり、例えば、0.06部である。
【0069】
本発明の好ましい態様として、製剤は、1部の固体分散体、0.2~8部の充填剤と0.03~0.4部の崩壊剤という成分を含む。
【0070】
本発明の好ましい態様として、製剤は、1部の固体分散体、0.2~2部の充填剤と0.05~0.3部の崩壊剤という成分を含む。
【0071】
本発明の好ましい態様として、製剤は、1部の固体分散体、0.2~8部の充填剤、0.03~0.4部の崩壊剤と0.006~0.2部の流動性助剤という成分を含む。
【0072】
本発明の好ましい態様として、製剤は、1部の固体分散体、0.2~2部の充填剤、0.05~0.3部の崩壊剤と0.01~0.06部の流動性助剤という成分を含む。
【0073】
本発明の好ましい態様として、製剤は、1部の固体分散体、0.2~8部の充填剤、0.03~0.4部の崩壊剤、0.006~0.2部の流動性助剤と0.004~0.1部の潤滑剤という成分を含む。
【0074】
本発明の好ましい態様として、製剤は、1部の固体分散体、0.2~2部の充填剤、0.05~0.3部の崩壊剤、0.01~0.06部の流動性助剤と0.004~0.04部の潤滑剤という成分を含む。
【0075】
本発明の好ましい態様として、製剤は、1部の固体分散体、0.2~8部の充填剤、0.03~0.4部の崩壊剤、0.006~0.2部の流動性助剤、0.004~0.1部の潤滑剤と0.01~0.2部のコーティング材料という成分を含む。
【0076】
本発明の好ましい態様として、製剤は、1部の固体分散体、0.2~2部の充填剤、0.05~0.3部の崩壊剤、0.01~0.06部の流動性助剤、0.004~0.04部の潤滑剤と0.04~0.1部のコーティング材料という成分を含む。
【0077】
本発明の好ましい態様として、製剤は、1部の固体分散体と0.05部のコロイダルシリカという成分を含む。
【0078】
本発明の好ましい態様として、製剤は、1部の固体分散体と0.9部の微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH102)及び0.1部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムという成分を含む。
【0079】
本発明の好ましい態様として、製剤は、1部の固体分散体と0.6部の微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH102)、0.3部の乳糖及び0.1部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムという成分を含む。
【0080】
本発明の好ましい態様として、製剤は、1部の固体分散体と0.6部の微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH102)、0.3部のプレゲル化澱粉及び0.1部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムという成分を含む。
【0081】
本発明の好ましい態様として、製剤は、1部の固体分散体と0.6部の微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH102)、0.3部のリン酸カルシウム及び0.1部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムという成分を含む。
【0082】
本発明の好ましい態様として、製剤は、1部の固体分散体と0.45部の微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH102)、0.45部のリン酸カルシウム及び0.1部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムという成分を含む。
【0083】
本発明の好ましい態様として、製剤は、1部の固体分散体と0.3部の微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH102)、0.6部のリン酸カルシウム及び0.1部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムという成分を含む。
【0084】
本発明の好ましい態様として、製剤は、1部の固体分散体と0.428部の微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH102)、0.428部のリン酸カルシウム、0.1部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、0.04部のコロイダルシリカ及び0.06部のステアリン酸マグネシウムという成分を含む。
【0085】
本発明の好ましい態様として、製剤は、1部の固体分散体、0.45部のケイ化微結晶セルロース90、0.45部のリン酸カルシウム及び0.1部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムという成分を含む。
【0086】
本発明の好ましい態様として、製剤は、1部の固体分散体、0.45部のケイ化微結晶セルロースHD 90、0.45部のリン酸カルシウム及び0.1部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムという成分を含む。
【0087】
本発明の好ましい態様として、製剤は、1部の固体分散体、0.43部の微結晶セルロースPH105、0.43部のリン酸カルシウム、0.1部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム及び0.04部のコロイダルシリカという成分を含む。
【0088】
本発明の好ましい態様として、製剤は、1部の固体分散体、0.43部の微結晶セルロースKG802、0.43部のリン酸カルシウム、0.1部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム及び0.04部のコロイダルシリカという成分を含む。
【0089】
本発明の好ましい態様として、製剤は、1部の固体分散体と0.42部の微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH101)及び0.07部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムという成分を含む。
【0090】
本発明の好ましい態様として、製剤は、1部の固体分散体と0.42部の微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH101)及び0.07部の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースという成分を含む。
【0091】
本発明の好ましい態様として、製剤は、1部の固体分散体と0.39部の微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH101)、0.07部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム及び0.03部のコロイダルシリカという成分を含む。
【0092】
本発明の好ましい態様として、製剤は、1部の固体分散体と0.3部の微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH101)、0.6部のリン酸カルシウム、0.1部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム及び0.06部のコロイダルシリカという成分を含む。
【0093】
本発明の好ましい態様として、製剤は、1部の固体分散体と0.3部の微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH101)、0.6部のリン酸カルシウム、0.1部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、0.04部のコロイダルシリカ及び0.01部のステアリン酸マグネシウムという成分を含む。
【0094】
本発明の好ましい態様として、製剤は、1部の固体分散体、0.42部の微結晶セルロースKG802、0.42部のリン酸カルシウム、0.1部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、0.04部のコロイダルシリカ及び0.02部のステアリン酸マグネシウムという成分を含む。
【0095】
本発明の好ましい態様として、製剤は、1部の固体分散体と0.43部の微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH102)、0.43部のリン酸カルシウム、0.1部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、0.04部のコロイダルシリカ、0.02部のステアリン酸マグネシウム及び0.006部の胃溶型フィルムコーティングプレミックス剤(Opadry(登録商標)II)という成分を含む。
【0096】
本発明の好ましい態様として、製剤は、1部の固体分散体、0.42部の微結晶セルロースKG802、0.42部のリン酸カルシウム、0.1部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、0.04部のコロイダルシリカ、0.02部のステアリン酸マグネシウム及び0.06部の胃溶型フィルムコーティングプレミックス剤(Opadry(登録商標)II)という成分を含む。
【0097】
本発明の好ましい態様として、製剤は、1部の固体分散体、0.26部のリン酸水素カルシウム、0.01部のコロイダルシリカ及び0.006部のステアリルフマル酸ナトリウムという成分を含む。
【0098】
本発明の好ましい態様として、製剤は、1部の固体分散体、0.26部のリン酸水素カルシウム、0.1部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、0.01部のコロイダルシリカ及び0.007部のステアリルフマル酸ナトリウムという成分を含む。
【0099】
本発明の好ましい態様として、製剤は、1部の固体分散体、0.36部の微結晶セルロース、0.36部のリン酸カルシウム、0.1部の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、0.04部のコロイダルシリカ及び0.02部のステアリン酸マグネシウムという成分を含む。
【0100】
本発明は、該固体分散体を含む製剤の製造方法をさらに提供し、それは、製剤の各成分を混合するステップを含む。
【0101】
製剤の製造方法において、好ましくは、各成分をまず粉砕し、そして混合する。
【0102】
本発明は、該固体分散体を含む製剤の、過増殖性疾患を治療するための薬物の製造における応用をさらに提供した。
【0103】
好ましくは、過増殖性疾患は、癌である。
【0104】
好ましくは、癌は、急性単球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、混合型白血病、NUT-正中線癌、多発性骨髄腫、小細胞肺癌、神経芽細胞腫、リンパ腫、子宮頸癌、食道癌、卵巣癌、結腸直腸癌、前立腺癌及び乳癌から選択されたものである。
【0105】
当技術分野における常識に反することなく、上記の各好ましい条件を任意に組み合わせて、本発明の各好適な例を得ることができる。
【0106】
本発明に使用される試薬と原料は、いずれも市販で入手可能である。
【0107】
本発明の積極的な効果は、本発明による固体分散体が活性成分を非晶質状態でベクター中に高度に分散させることができ、高い薬物負荷容量を維持した上で、式(I)化合物の胃腸液中での溶解を改善し、その溶出度とバイオアベイラビリティを向上させ、固体分散体の安定性を大幅に向上させたことである。本発明の製剤は、溶出度が良く、不純物含有量が低く(総不純物含有量が2%未満であり、最大単一不純物含有量が0.5%未満であり)、ロット差が小さく、含有量の均一性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0108】
図1】実施例7の固体分散体のXRDパターンを示す図である。
図2】実施例7における固体分散体の長期放置後のXRDパターンを示す図である。
図3】実施例27における条件3で製造された固体分散体のDSCパターンを示す図である。
図4】実施例44の固体分散体のXRD回折パターンを示す図である。
図5】実施例45の固体分散体のXRDパターンを示す図である。
【実施例
【0109】
以下では、実施例の方式によって本発明をさらに説明するが、本発明は、実施例の範囲に限定されるものではない。以下の実施例に具体的な条件の実験方法を明記していないが、従来の方法と条件に従って、または商品説明書に従って選択される。
【0110】
以下の実施例において、使用される試薬と原料は、いずれも市販で入手可能である。
【0111】
X-線粉末回折測定条件:Cu 40kV/40mA、ステップサイズが0.02°であり、走査速度が60°/分間であり、範囲が4°~60°である。
【0112】
DSC試験条件:密閉したアルミニウムパンに試験サンプルを入れ、窒素気流下で10℃/分間の速度で約240℃まで昇温させ、示差走査熱量測定(DSC)曲線を得る。
【0113】
以下の実施例において、WO2018/027097A1に従って式 (I) 化合物を製造し、そして式 (I) 化合物をボルトに入れ、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、1,4-ジオキサン、トルエン又はエタノールなどの従来の溶媒を適量加え、室温で静置し、得られた結晶形を遠心分離し、室温で乾燥させ、化合物 (I) の結晶形を得た。
【0114】
実施例1:式 (I) 化合物の製造方法
【0115】
WO2018/027097A1に従って式 (I) 化合物を製造し、式 (I) 化合物をボルトに入れ、1,4-ジオキサンを適量加え、室温で2日間静置し、得られた結晶形を遠心分離し、室温で乾燥させ、化合物 (I) の結晶形を得た。
【0116】
実施例2:式 (I) 化合物の製造方法
【0117】
WO2018/027097A1に従って式 (I) 化合物を製造し、式 (I) 化合物をボルトに入れ、エタノールを適量加え、室温で5日間撹拌し、遠心分離し、得られた結晶形にアセトンを加え、室温で1.5時間撹拌し、遠心分離し、室温で乾燥させ、アセトン溶媒和物の結晶形を得た。
【0118】
実施例3:式 (I) 化合物の製造方法
【0119】
WO2018/027097A1に従って式 (I) 化合物を製造し、式 (I) 化合物をボルトに入れ、アセトニトリル溶媒を適量加え、室温で5日間撹拌し、得られた結晶形を遠心分離し、室温で乾燥させ、アセトニトリル溶媒和物の結晶形を得た。
【0120】
式(I)化合物の非晶質体又は他の結晶形も固体分散体を製造するために用いられてもよい。無論、式 (I) 化合物の塩を用いて固体分散体を製造してもよい。
【0121】
実施例4:固体分散体の製造方法
【0122】
以下の真空蒸発法によって固体分散体を製造する:実施例1で製造された化合物 (I) の結晶形(以下で「API」と略称する)約100 mgを正確に秤取し、それを100 mlの丸底フラスコに入れ、アセトン20mlを加え、振とうして溶解させ、一定量のベクターを正確に秤取し、それを同一の丸底フラスコに入れ、アセトン又はエタノールを適量加えて完全に溶解させ、長音波によってそれらを均一に混合し、回転蒸発器に置き、60℃で加熱し回転させ、徐々に真空を加え、丸底フラスコ内に沸騰が現れた時、溶媒が揮散するまで、温度を80℃に上昇させ、1h回転蒸発し続けた後取り出し、固体分散体粉末を得た。
【0123】
本実施例において、化合物 (I) の結晶形とPVP VA64との質量比は、1:4であり、即ち薬物負荷容量は20%であった。
【0124】
固体分散体に対して薬物溶出試験(回転バスケット法、0.2% SDS溶液、500 ml、100rpm)を行った。その結果、10min、30min及び60minの薬物溶出度は、それぞれ67.47%、88.99%及び95.86%であった。同じ条件で、API(実施例1で製造された化合物)は、10min、30min及び60minの薬物溶出度がそれぞれ7%、13%及び22%であった。
【0125】
実施例5:固体分散体の製造方法
【0126】
実施例4におけるPVP VA64をPVP K30に置き換え、実施例4と同じ方法で固体分散体を製造し、それに対して特徴付けを行った。回転バスケット法(0.2% SDS溶液、500ml、100rpm)によって、固体分散体の薬物溶出度を試験した。その結果、10min、30min及び60minの薬物溶出度は、それぞれ36.59%、71.47%及び84.39%であった。
【0127】
実施例6:固体分散体の製造方法
【0128】
実施例4における化合物(I)の結晶形とPVP VA64との質量比を1:3に置き換え、即ち薬物負荷容量を25%に置き換えた。実施例4と同じ方法で固体分散体を製造し、それに対して特徴付けを行った。回転バスケット法(0.2%SDS溶液、500ml、100rpm)によって、固体分散体の薬物溶出度を試験した。その結果、10min、30min及び60minの薬物溶出度は、それぞれ68.46%、89.56%及び92.73%であった。
【0129】
実施例7:固体分散体の製造方法
【0130】
実施例1で製造されたAPI、ベクターPVP VA64及びコロイダルシリカ(ここで、API、ベクターPVP VA64及びコロイダルシリカの質量占有率は、それぞれ23.75%、71.25%及び5.00%である)を秤取し、30メッシュの篩にかけ、APIとPVP VA64を混合バケツ内で、20rpm下で10分間混合し、且つそしてそれをホットメルト押出ホッパー内に入れてホットメルト押出を行った。プロセスパラメータ:195℃であり、フィード速度は、50g/minであり、スクリュー速度は、135rpmであり、製造された押出物を粉砕し、所定量の流動性助剤のコロイダルシリカを加え、且つ混合バケツ内で、20rpm下で10分間混合することによって固体分散体を製造した。
【0131】
製造された固体分散体をXRD走査によって特徴付けた。図1を参照されたい。活性成分は、非晶質状態でベクター中に分散していた。該固体分散体の安定性を調べるために、25℃の温度と60%RHの湿度で、固体分散体を12ヶ月放置し、且つXRDによって固体分散体を再び走査した。結果は、図2に示すとおりである。その結果、該固体分散体は、結晶化を全く行わずに非晶質状態のままであった。
【0132】
実施例8:医薬製剤の製造方法
【0133】
実施例1で製造されたAPIとベクターPVP VA64を、それぞれ30メッシュの篩にかけてスクリーニングし、25%の薬物負荷容量(即ち薬物負荷比が1:3である)の割合でホッパーミキサーに入れ、20rpmの混合速度で10分間混合し、且つホットメルト押出機においてホットメルト押出を行った。プロセスパラメータは以下のとおりである:操作温度は、195℃であり、フィード速度は、約50rpmであり、スクリュー速度は、135rpmであり、得られた押出物は固体分散体であった。
【0134】
固体分散体と微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH102)及び架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(ここで、固体分散体、微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH102)及び架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムは、それぞれ総材料の50%、45%及び5%を占める)を秤取した。固体分散体、微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH102)及び架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムを粉砕し、30メッシュの篩にかけ、ホッパーミキサー中で混合し、回転速度は20rpmであり、且つ混合時間は10分間であった。
【0135】
実験型打錠機(ZP14)において10mmの円形ダイで錠剤をプレスし、錠剤重量が400mgである素錠を製造した。素錠の各パラメータを試験し、ここで、平均硬度は100Nであり、平均厚さは5.87mmであり、且つ崩壊時間は5分30秒であった。
【0136】
実施例9:製剤の製造方法
【0137】
実施例8で製造された固体分散体、微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH102)、乳糖及び架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(ここで、固体分散体、微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH102)、乳糖及び架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムの総材料における質量占有率は、それぞれ50%、30%、15%及び5%である)を秤取し、且つ固体分散体、微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH102)、乳糖及び架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムを篩にかけ、粉砕し混合した。具体的な操作とパラメータは、実施例8におけるものと同じであった。
【0138】
実験型打錠機(ZP14)において10mmの円形ダイで錠剤をプレスし、錠剤重量が400mgである素錠を製造した。試験素錠の各パラメータにおいて、平均硬度は51Nであり、平均厚さは5.81mmであり、且つ崩壊時間は3分55秒であった。
【0139】
実施例10:医薬製剤の製造方法
【0140】
実施例8で製造された固体分散体、微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH102)、プレゲル化澱粉及び架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(ここで、固体分散体、微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH102)、プレゲル化澱粉及び架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムの総材料における質量占有率は、それぞれ50%、30%、15%及び5%である)を秤取した。固体分散体、微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH102)、プレゲル化澱粉及び架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムを篩にかけ、粉砕し混合した。具体的な操作とパラメータは、実施例8におけるものと同じであった。
【0141】
実験型打錠機(ZP14)において10mmの円形ダイで錠剤をプレスし、錠剤重量が400mgである素錠を製造した。試験素錠の各パラメータにおいて、平均硬度は57Nであり、平均厚さは5.81mmであり、且つ崩壊時間は4分16秒であった。
【0142】
実施例11:医薬製剤の製造方法
【0143】
実施例8で製造された固体分散体、微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH102)、リン酸カルシウム及び架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(ここで、固体分散体、微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH102)、リン酸カルシウム及び架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムの総材料における質量占有率は、それぞれ50%、30%、15%及び5%である)を秤取し、固体分散体、微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH102)、リン酸カルシウム及び架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムを篩にかけ、粉砕し混合した。具体的な操作とパラメータは、実施例8におけるものと同じであった。
【0144】
実験型打錠機(ZP14)において10mmの円形ダイで錠剤をプレスし、錠剤重量が400mgである素錠を製造した。素錠のパラメータと薬物溶出度を試験した。平均硬度は59Nであり、平均厚さは5.29mmであり、且つ崩壊時間は49秒であった。
【0145】
溶出度測定:薬局方溶出度測定法II(パドル法)を用い、溶出媒体としてpH 6.8のリン酸塩溶液(0.2%ドデシル硫酸ナトリウム)900mlを用い、回転速度は毎分75回転であり、且つ45分間後の累積溶出度は、表示量の75%以上であった。製剤は、5min、15min、30min、45min、60min、90min及び120minの薬物溶出度がそれぞれ14%、39%、63%、76%、83%、90%及び91%であった。
【0146】
実施例12:医薬製剤の製造方法
【0147】
実施例8で製造された固体分散体、微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH102)、リン酸カルシウム及び架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(ここで、固体分散体、微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH102)、リン酸カルシウム及び架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムの総材料における質量占有率は、それぞれ50%、30%、15%及び5%である)を秤取し、固体分散体、微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH102)、リン酸カルシウム及び架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムを篩にかけ、粉砕し混合した。具体的な操作とパラメータは、実施例8におけるものと同じであった。
【0148】
実験型打錠機(ZP14)において10mmの円形ダイで錠剤をプレスし、錠剤重量が400mgである素錠を製造した。試験素錠の各パラメータにおいて、平均硬度は78Nであり、平均厚さは5.05mmであり、且つ崩壊時間は3分22秒であった。
【0149】
実施例13:医薬製剤の製造方法
【0150】
実施例8で製造された固体分散体、微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH102)、リン酸カルシウム及び架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(ここで、固体分散体、微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH102)、リン酸カルシウム及び架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムの総材料における質量占有率は、それぞれ50%、22.5%、22.5%及び5%である)を秤取し、固体分散体、微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH102)、リン酸カルシウム及び架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムを篩にかけ、粉砕し混合した。具体的な操作とパラメータは、実施例8におけるものと同じであった。
【0151】
実験型打錠機(ZP14)において10mmの円形ダイで錠剤をプレスし、錠剤重量が400mgである素錠を製造した。試験素錠の各パラメータにおいて、平均硬度は78Nであり、平均厚さは4.95mmであり、且つ崩壊時間は3分7秒であった。
【0152】
実施例14:医薬製剤の製造方法
【0153】
実施例8で製造された固体分散体、微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH102)、リン酸カルシウム及び架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(ここで、固体分散体、微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH102)、リン酸カルシウム及び架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムの総材料における質量占有率は、それぞれ50%、15%、30%及び5%である)を秤取し、固体分散体、微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH102)、リン酸カルシウム及び架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムを篩にかけ、粉砕し混合した。具体的な操作とパラメータは、実施例8におけるものと同じであった。
【0154】
実験型打錠機(ZP14)において10mmの円形ダイで錠剤をプレスし、錠剤重量が400mgである素錠を製造した。試験素錠の各パラメータにおいて、平均硬度は79Nであり、平均厚さは4.84mmであり、且つ崩壊時間は2分21秒であった。
【0155】
実施例15:医薬製剤の製造方法
【0156】
実施例8で製造された固体分散体、微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH102)、リン酸カルシウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、コロイダルシリカ及びステアリン酸マグネシウム(ここで、固体分散体、微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH102)、リン酸カルシウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、コロイダルシリカ及びステアリン酸マグネシウムの総材料における質量占有率は、それぞれ50%、21.4%、21.4%、5%、2%及び0.3%である)を秤取し、固体分散体、微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH102)、リン酸カルシウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、コロイダルシリカ及びステアリン酸マグネシウムを篩にかけ、粉砕し、且つ混合した。具体的な操作とパラメータは、実施例8におけるものと同じであった。
【0157】
実験型打錠機(ZP14)において10mmの円形ダイで錠剤をプレスし、錠剤重量が400mgである素錠を製造した。素錠の各パラメータ及び薬物溶出度を試験し、ここで、平均硬度は50Nであり、且つ平均厚さは5.10mmであった。素錠において、含有量(乾燥生成物として計算)は100.2%であり、総不純物は1.76%であり、且つ溶出度(パドル法、溶出媒体としてpH6.8のリン酸塩溶液(0.2%ドデシル硫酸ナトリウム)900mlを用い、且つ回転速度は75 rpmである)。5min、30min、45min、60min、90min及び120minの溶出度は、それぞれ5%、64%、84%、93%、98%及び98%であった。
【0158】
実施例16:医薬製剤の製造方法
【0159】
実施例8で製造された固体分散体、ケイ化微結晶セルロース90、リン酸カルシウム及び架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(ここで、固体分散体、ケイ化微結晶セルロース90、リン酸カルシウム及び架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムの総材料における質量占有率は、それぞれ50%、22.5%、22.5%及び5%である)を秤取し、固体分散体、ケイ化微結晶セルロース90、リン酸カルシウム及び架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムを篩にかけ、粉砕し、且つ混合した。具体的な操作とパラメータは、実施例8におけるものと同じであった。
【0160】
実験型打錠機(ZP14)において10mmの円形ダイで錠剤をプレスし、錠剤重量が400mgである素錠を製造した。素錠の各パラメータを試験し、ここで、平均硬度は65Nであり、且つ平均厚さは5.11mmであった。
【0161】
実施例17:医薬製剤の製造方法
【0162】
実施例8で製造された固体分散体、ケイ化微結晶セルロースHD 90、リン酸カルシウム及び架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(ここで、固体分散体、ケイ化微結晶セルロースHD 90、リン酸カルシウム及び架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムの総材料における質量占有率は、それぞれ50%、22.5%、22.5%及び5%である)を秤取し、固体分散体、ケイ化微結晶セルロースHD 90、リン酸カルシウム及び架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムを篩にかけ、粉砕し、且つ混合した。具体的な操作とパラメータは、実施例8におけるものと同じであった。
【0163】
実験型打錠機(ZP14)において10mmの円形ダイで錠剤をプレスし、錠剤重量が400mgである素錠を製造した。素錠の各パラメータを試験し、ここで、平均硬度は43Nであり、且つ平均厚さは5.09mmであった。
【0164】
実施例18:医薬製剤の製造方法
【0165】
実施例8で製造された固体分散体、微結晶セルロースPH105、リン酸カルシウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム及びコロイダルシリカ(ここで、固体分散体、微結晶セルロースPH105、リン酸カルシウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム及びコロイダルシリカの総材料における質量占有率は、それぞれ50%、21.5%、21.5%、5%及び2%である)を秤取し、固体分散体、微結晶セルロースPH105、リン酸カルシウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム及びコロイダルシリカを篩にかけ、粉砕し、且つ混合した。具体的な操作とパラメータは、実施例8におけるものと同じであった。
【0166】
実験型打錠機(ZP14)において10mmの円形ダイで錠剤をプレスし、錠剤重量が400mgである素錠を製造した。素錠の各パラメータを試験し、ここで、平均硬度は75Nであり、且つ平均厚さは5.12mmであった。
【0167】
実施例19:医薬製剤の製造方法
【0168】
実施例8で製造された固体分散体、微結晶セルロースKG802、リン酸カルシウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム及びコロイダルシリカ(ここで、固体分散体、微結晶セルロースKG802、リン酸カルシウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム及びコロイダルシリカの総材料における質量占有率は、それぞれ50%、21.5%、21.5%、5%及び2%である)を秤取し、固体分散体、微結晶セルロースKG802、リン酸カルシウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム及びコロイダルシリカを篩にかけ、粉砕し、且つ混合した。具体的な操作とパラメータは、実施例8におけるものと同じであった。
【0169】
実験型打錠機(ZP14)において10mmの円形ダイで錠剤をプレスし、錠剤重量が400mgである素錠を製造した。素錠の各パラメータを試験し、ここで、平均硬度は93Nであり、平均厚さは5.10mmであった。
【0170】
実施例15~19から分かったように、微結晶セルロースの種類は、錠剤の硬度に多少の影響を与えるが、影響は大きくない。ここで、微結晶セルロースKG802含有の錠剤処方は、同じレベルの錠剤厚さ下で、硬度が最も高く、且つ圧縮成形性が最も良い。
【0171】
実施例20:医薬製剤の製造方法
【0172】
実施例8で製造された固体分散体、微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH101)及び架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(ここで、固体分散体、微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH101)及び架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムの総材料における質量占有率は、それぞれ66.7%、28.3%及び5%である)を秤取し、固体分散体、微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH101)及び架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムを篩にかけ、粉砕し、且つ混合した。具体的な操作とパラメータは、実施例8におけるものと同じであった。
【0173】
実験型打錠機(ZP14)において10mmの円形ダイで錠剤をプレスし、錠剤重量が300mgである素錠を製造した。素錠の各パラメータ及び薬物溶出度を試験し、ここで、平均硬度は35Nであり、且つ平均厚さは4.94mmであった。溶出度(パドル法、溶出媒体としてpH 6.8のリン酸塩溶液(0.2%ドデシル硫酸ナトリウム)900mlを用い、且つ回転速度は75rpmである)について、5min、15min、30min、45min、60min、90min及び120minの薬物溶出度は、それぞれ1%、10%、33%、53%、67%、85%及び93%であった。
【0174】
実施例21:医薬製剤の製造方法
【0175】
実施例8で製造された固体分散体、微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH101)及び低置換度のヒドロキシプロピルセルロースナトリウム(ここで、固体分散体、微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH101)及び低置換度のヒドロキシプロピルセルロースナトリウムの総材料における質量占有率は、それぞれ66.7%、28.3%及び5%である)を秤取し、固体分散体、微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH101)及び低置換度のヒドロキシプロピルセルロースナトリウムを篩にかけ、粉砕し、且つ混合した。具体的な操作とパラメータは、実施例8におけるものと同じであった。
【0176】
実験型打錠機(ZP14)において10mmの円形ダイで錠剤をプレスし、錠剤重量が300mgである素錠を製造した。素錠の各パラメータ及び薬物溶出度を試験し、ここで、平均硬度は31Nであり、且つ平均厚さは5.10mmであった。溶出度(パドル法、溶出媒体としてpH 6.8のリン酸塩溶液(0.2%ドデシル硫酸ナトリウム)900mlを用い、且つ回転速度は75rpmである)について、5min、15min、30min、45min、60min、90min及び120minの薬物溶出度は、それぞれ1%、2%、6%、11%、14%、21%及び29%であった。
【0177】
実施例20~21から分かったように、崩壊剤の種類は、錠剤の硬度と溶出度に多少の影響を与え、且つ、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムを崩壊剤として用いる場合の効果が最も良かった。
【0178】
実施例22:医薬製剤の製造方法
【0179】
実施例8で製造された固体分散体、微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH101)、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム及びコロイダルシリカ(ここで、固体分散体、微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH101)、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム及びコロイダルシリカの総材料における質量占有率は、それぞれ66.7%、26.3%、5%及び2%である)を秤取し、固体分散体、微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH101)、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム及びコロイダルシリカを篩にかけ、粉砕し、且つ混合した。具体的な操作とパラメータは、実施例8におけるものと同じであった。
【0180】
実験型打錠機(ZP14)において10mmの円形ダイで錠剤をプレスし、錠剤重量が300mgである素錠を製造した。素錠の各パラメータ及び薬物溶出度を試験し、ここで、平均硬度は26Nであり、且つ平均厚さは4.85mmであった。溶出度(パドル法、溶出媒体としてpH 6.8のリン酸塩溶液(0.2%ドデシル硫酸ナトリウム)900mlを用い、且つ回転速度は75rpmである)について、5min、15min、30min、45min、60min、90min及び120minの薬物溶出度は、それぞれ3%、14%、38%、58%、73%、89%及び96%であった。実験結果により、実施例20に比べて、本実施例において、2%コロイダルシリカの添加が、錠剤の物理及び化学的特性に影響を与えず、且つ薬物の溶出を促進したことが示された。
【0181】
実施例23:医薬製剤の製造方法
【0182】
実施例8で製造された固体分散体、微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH102)、リン酸カルシウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、コロイダルシリカ及びステアリン酸マグネシウム(ここで、固体分散体、微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH102)、リン酸カルシウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、コロイダルシリカ及びステアリン酸マグネシウムの総材料における質量占有率は、それぞれ48.9%、14.6%、29.3%、4.9%、2%及び0.3%である)を秤取し、固体分散体、微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH102)、リン酸カルシウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、コロイダルシリカ及びステアリン酸マグネシウムを篩にかけ、粉砕し混合した。具体的な操作とパラメータは、実施例8におけるものと同じであった。
【0183】
実験型打錠機(ZP14)において10mmの円形ダイで錠剤をプレスし、且つ錠剤重量が409.2mgである素錠を製造した。錠剤プレスは、正常なものである。素錠の各パラメータを試験し、ここで、平均硬度は60Nであり、平均厚さは5.01mmであり、且つ崩壊時間は4分23秒であった。
【0184】
実施例24:医薬製剤の製造方法
【0185】
実施例8で製造された固体分散体、微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH102)、リン酸カルシウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、コロイダルシリカ及びステアリン酸マグネシウム(ここで、固体分散体、微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH102)、リン酸カルシウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、コロイダルシリカ及びステアリン酸マグネシウムの総材料における質量占有率は、それぞれ48.8%、14.6%、29.2%、4.9%、2%及び0.5%である)を秤取し、固体分散体、微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH102)、リン酸カルシウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、コロイダルシリカ及びステアリン酸マグネシウムを篩にかけ、粉砕し混合した。具体的な操作とパラメータは、実施例8におけるものと同じであった。
【0186】
実験型打錠機(ZP14)において10mmの円形ダイで錠剤をプレスし、錠剤重量が410mgである素錠を製造した。錠剤プレスは、正常なものである。素錠の各パラメータを試験し、ここで、平均硬度は56Nであり、平均厚さは5.04mmであり、且つ崩壊時間は4分40秒であった。
【0187】
実施例25:医薬製剤の製造方法
【0188】
実施例8で製造された固体分散体、微結晶セルロースKG802、リン酸カルシウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、コロイダルシリカ及びステアリン酸マグネシウム(ここで、固体分散体、微結晶セルロースKG802、リン酸カルシウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、コロイダルシリカ及びステアリン酸マグネシウムの総材料における質量占有率は、それぞれ50%、21%、21%、5%、2%及び1%である)を秤取した。固体分散体、微結晶セルロースKG802、リン酸カルシウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、コロイダルシリカ及びステアリン酸マグネシウムを篩にかけ、粉砕し混合した。具体的な操作とパラメータは、実施例8におけるものと同じであった。
【0189】
実験型打錠機(ZP14)において10mmの円形ダイで錠剤をプレスし、錠剤重量が400mgである素錠を製造した。錠剤プレスは、正常なものである。素錠の各パラメータを試験し、ここで、平均硬度は64Nであり、平均厚さは5.25mmであり、且つ崩壊時間は7分02秒であった。
【0190】
実施例26:医薬製剤の製造方法
【0191】
APIは、光に敏感であった。実施例15の製造方法を参照し、胃溶型フィルムコーティングプレミックス剤(Opadry(登録商標)II 85F92209黄色)を選択して錠剤のコーティングを行い、目標のコーティングによる重量増加は、3%(即ち実施例15の素錠に対してコーティングを行い、且つ得られたコーティング錠剤は、約素錠重量の3%のコーティング剤を含む)であった。その結果、コーティング錠剤において、含有量(乾燥生成物として計算)は99.8%であり、総不純物は1.73%であり、且つ溶出度(パドル法、溶出媒体としてpH6.8のリン酸塩溶液(0.2%ドデシル硫酸ナトリウム)900mlを用い、且つ回転速度は75 rpmである)。5min、15min、30min、45min、60min、90min及び120minの溶出度は、それぞれ6%、22%、55%、77%、87%、94%及び95%であり、品質要件を満たした。
【0192】
実施例27:固体分散体の製造方法
【0193】
実施例1で製造されたAPIとベクターPVP VA64を、薬物負荷容量が25%(即ち薬物負荷比が1:3)である割合で、適切なホッパーマシン中で混合した。従来のホッパーミキサーを用いてプレミックスを行った。ホットメルト押出のパラメータは、以下の表1に示すとおりである。得られた押出物は、固体分散体であった。
【表1】
【0194】
180~200℃の押出温度下で得られた押出物は、非晶質であった。
【0195】
DSCによって条件3下での固体分散体を走査した。図3を参照されたい。DSCパターンには、活性成分結晶形の特徴的ピークがなかった。その結果、活性成分は、非晶質状態でベクター中に分散していた。
【0196】
実施例28:医薬製剤の製造方法であり、本実施例において、製剤は、以下の成分で構成される:
実施例1で製造されたAPI 12.14%(w/w)、
PVP VA64 36.41%(w/w)、
微結晶セルロースKG802 20.39%(w/w)、
リン酸カルシウム20.39%(w/w)、
架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム4.85%(w/w)、
コロイダルシリカ1.94%(w/w)、
ステアリン酸マグネシウム0.97%(w/w)
Opadry(登録商標)IIフィルムコーティングプレミックス剤2.91%(w/w)。
【0197】
実施例27の条件3の方法に従って固体分散体を製造し、且つ実施例8の製造方法に従って、規格が50mgである製剤を製造した。
【0198】
以上の方法に従って、製剤の溶出度(パドル法、溶出媒体としてpH6.8のリン酸塩溶液(0.2%ドデシル硫酸ナトリウム)900mlを用い、且つ回転速度は75 RPMである)、含有量及び関連物質を測定し、且つ二つのロットを製造した。分析データは、表2に示されている:
【表2】
【0199】
結果から分かったように、50mgの製剤の45minと75rpmでのロット別の最低溶出度は99%であった。ロット別の単一不純物は、0.5%以下であり、且つ総不純物は、1.5%以下であった。含有量限度と含有量均一度は、期待を満たした。
【0200】
実施例29:医薬製剤の製造方法
該実施形態において、製剤は、以下の成分で構成される:
実施例1で製造されたAPI 14.8%(w/w)、
PVP VA64 44.4%(w/w)、
微結晶セルロースKG802 13.9%(w/w)、
リン酸カルシウム 13.9%(w/w)、
架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム 10%(w/w)、
コロイダルシリカ 2%(w/w)、
ステアリン酸マグネシウム 1%(w/w)。
【0201】
実施例27の条件3の方法に従って固体分散体を製造し、且つ実施例8の製造方法に従って、規格が200mgである製剤を製造した。
【0202】
以上の方法に従って、製剤の溶出度(パドル法、溶出媒体としてpH6.8のリン酸塩溶液(0.5%ドデシル硫酸ナトリウム)900mlを用い、且つ回転速度は75 RPMである)、及び二つのロットの関連物質を測定した。分析データは、表3に示すとおりである:
【表3】
【0203】
結果から分かったように、200mgの製剤の45minと75rpmでのロット別の溶出度は、90%より大きかった。ロット別の単一不純物は、0.5%以下であり、且つ総不純物は、1.5%以下であった。
【0204】
実施例30
【0205】
実施例1で製造されたAPIとベクターPVP VA6をそれぞれ30メッシュの篩にかけ、50Lのホッパーミキサーに入れ、且つ20rpmの混合速度で10分間混合し、ここで、APIとPVP VA6と質量比は、それぞれ12.5%と37.5%であった。
【0206】
上記混合された材料をホットメルト押出機のフィーダーに入れ、且つホットメルト押出機においてホットメルト押出を行った。プロセスパラメータは以下のとおりである:操作温度は180~200℃であり、スクリュー速度は95~105rpmであり、且つ投与速度は25~35g/minであり、得られた押出物は、固体分散体であった。
【0207】
該固体分散体、微結晶セルロースKG802、リン酸カルシウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、コロイダルシリカ及びステアリン酸マグネシウム(ここで、固体分散体、微結晶セルロースKG802、リン酸カルシウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、コロイダルシリカ及びステアリン酸マグネシウムの総材料における質量占有率は、それぞれ50%、21%、21%、5%、2%及び1%である)を篩にかけ、粉砕し混合し、具体的な操作とパラメータは、実施例8におけるものと同じであった。
【0208】
実験型打錠機(ZP14)において10mmの円形ダイで錠剤をプレスし、錠剤重量が400mgである素錠を製造した。素錠の各パラメータを試験し、ここで、平均硬度は50Nであった。
【0209】
実施例31
【0210】
実施例1で製造されたAPI、ベクターPVP VA64及びコロイダルシリカを、それぞれ30メッシュの篩にかけ、篩にかけた材料を均一に混合し(30メッシュの篩に3回かけた後、LDPE袋内で100回振とう混合し)、且つそしてそれらを粉砕機に入れ、減量法において、プラスチック製スポイトで処方量のツィーン80を取り、混合粉体に均一に滴下し、且つ粉砕機を起動させて、ツィーン80と粉体を均一に混合し、実施例1で製造されたAPI、ベクターPVP VA64、コロイダルシリカ及びツィーン80の質量比は、1:6.67:0.08:0.58であった。
【0211】
上記混合された材料をホットメルト押出機のフィーダーに入れ、且つホットメルト押出機においてホットメルト押出を行った。プロセスパラメータは以下のとおりである:操作温度は195℃であり、スクリュー速度は、500rpmであり、得られた押出物は、固体分散体であった。
【0212】
固体分散体、リン酸水素カルシウム、コロイダルシリカ及びステアリルフマル酸ナトリウム(ここで、固体分散体、リン酸水素カルシウム、コロイダルシリカ及びステアリルフマル酸ナトリウムの総材料における質量占有率は、それぞれ78.49%、20%、1%及び0.51%である)を秤取し、固体分散体、リン酸水素カルシウム、コロイダルシリカ及びステアリルフマル酸ナトリウムを篩にかけ、粉砕し混合し、具体的な操作とパラメータは、実施例8におけるものと同じであった。
【0213】
実験型打錠機(ZP14)において10mmの円形ダイで錠剤をプレスし、錠剤重量が530.9mgである素錠を製造した。素錠の各パラメータを試験し、ここで、平均硬度は120Nであった。
【0214】
実施例32:固体分散体の製造方法
【0215】
実施例1で製造されたAPI、ベクターPVP VA64及びポロキサマー188(ここで、API、ベクターPVP VA64及びポロキサマー188の質量占有率は、それぞれ19.23%、57.69%及び23.08%である)を秤取し、それぞれ30メッシュの篩にかけ、API、PVP VA64及びポロキサマー188を、混合バケツ内で、20rpmの回転速度で10分間混合し、且つそしてそれらをホットメルト押出ホッパーに入れてホットメルト押出を行い、プロセスパラメータ:200℃±5であり、スクリュー速度は、500rpmであり、押出物を粉砕し、固体分散体を製造した。
【0216】
実施例33:固体分散体の製造方法
【0217】
実施例1で製造されたAPI、ベクターPVP VA64及びTPGS(ここで、API、ベクターPVP VA64及びTPGSの質量占有率は、それぞれ20.83%、62.5%及び16.67%である)を秤取し、30メッシュの篩にかけ、API、PVP VA64及びTPGSを、混合バケツ内で、20rpmの速度で10分間混合し、且つそしてそれらをホットメルト押出ホッパーに入れてホットメルト押出を行った。プロセスパラメータ:200℃ ±5であり、スクリュー速度は、500rpmであり、製造された押出物を粉砕し、固体分散体を製造した。
【0218】
実施例34:固体分散体の製造方法
【0219】
実施例1で製造されたAPI、ベクターPVP VA64及びカプリル酸カプリン酸ポリエチレングリコールグリセリル(ここで、API、ベクターPVP VA64及びカプリル酸カプリン酸ポリエチレングリコールグリセリルの質量占有率は、それぞれ22.73%、68.18%及び9.09%である)を秤取し、30メッシュの篩にかけ、API、PVP VA64及びカプリル酸カプリン酸ポリエチレングリコールグリセリルを、混合バケツ内で、20rpmで10分間混合し、且つそしてそれらをホットメルト押出ホッパーに入れてホットメルト押出を行った。プロセスパラメータ:200℃ ±5であり、スクリュー速度は、500rpmであり、押出物を粉砕し、固体分散体を製造した。
【0220】
実施例35:固体分散体の製造方法 - ベクター種類
【0221】
実施例1で製造されたAPI、HPMCAS 716G及びコロイダルシリカを、24.5:73.5:2の質量比でメタノール/ジクロロメタン(5:95、V/V)に溶解させ、且つ濃度は13.33mg/mlであった。噴霧乾燥法を用いて固体分散体を製造し、且つ噴霧乾燥のパラメータは以下のとおりである:孔径は、1.5mmであり、吸気温度は、85℃であり、風量は100%であり、蠕動ポンプ速度は、20~25%であり、Q-Flowは、20~30mmであり、蠕動チューブの材質は、TYGON(登録商標)2375、NSF-51であり、内径は、2mmであり、外径は、3.7mmであった。
【0222】
実施例36:固体分散体の製造方法
【0223】
実施例1で製造されたAPI、HPMCAS 716G及びコロイダルシリカ(ここで、API、HPMCAS 716G及びコロイダルシリカの質量占有率は、それぞれ12.86%、86.14%及び1%である)を、メタノール/ジクロロメタン(5:95、V/V)に溶解させ、濃度は13.33mg/mlであった。噴霧乾燥法を用いて固体分散体を製造し、且つ噴霧乾燥のパラメータは以下のとおりである:孔径は、1.5mmであり、吸気温度は、85℃であり、風量は100%であり、蠕動ポンプ速度は、20~25%であり、Q-Flowは、20~30mmであり、蠕動チューブの材質は、TYGON(登録商標)2375、NSF-51であり、内径は、2mmであり、外径は、3.7mmであった。
【0224】
実施例37:固体分散体の製造方法
【0225】
実施例1で製造されたAPI、HPMCAS 716G、ツィーン80及びコロイダルシリカ(ここで、API、HPMCAS 716G、ツィーン80及びコロイダルシリカの質量占有率は、それぞれ23.3%、69.7%、5%及び2%である)を、メタノール/ジクロロメタン(5:95、V/V)に溶解させ、濃度は13.33mg/mlであった。噴霧乾燥法を用いて固体分散体を製造し、且つ噴霧乾燥のパラメータは以下のとおりである:孔径は、1.5mmであり、吸気温度は、85℃であり、風量は100%であり、蠕動ポンプ速度は、20~25%であり、Q-Flowは、20~30mmであり、蠕動チューブの材質は、TYGON(登録商標)2375、NSF-51であり、内径は、2mmであり、外径は、3.7mmであった。
【0226】
実施例38:固体分散体の製造方法
【0227】
実施例1で製造されたAPI、HPMCAS 716G及びコロイダルシリカ(ここで、API、HPMCAS 716G及びコロイダルシリカの質量占有率は、それぞれ24.5%、73.5%及び2%である)を、メタノール/ジクロロメタン(5:95、V/V)に溶解させ、濃度は13.33mg/mlであった。噴霧乾燥法を用いて固体分散体を製造し、且つ噴霧乾燥のパラメータは以下のとおりである:孔径は、1.5mmであり、吸気温度は、85℃であり、風量は100%であり、蠕動ポンプ速度は、20~25%であり、Q-Flowは、20~30mmであり、蠕動チューブの材質は、TYGON(登録商標)2375、NSF-51であり、内径は、2mmであり、外径は、3.7mmであった。
【0228】
溶出度(パドル法、溶出媒体としてpH7.4のリン酸塩溶液(0.05%ドデシル硫酸ナトリウム)900mlを用い、且つ回転速度は毎分75回転である)について、30min、60min、90min、120min、150min及び180minの溶出度は、それぞれ81.8%、86.6%、89.3%、90.0%、90.3%、90.8%であった。
【0229】
実施例39:固体分散体の製造方法
【0230】
実施例38におけるベクターをHPMCAS 126Gに置き換え、且つ他のパラメータは変化しなかった。該固体分散体は、30min、60min、90min、120min、150min及び180minの溶出度がそれぞれ80.9%、87.6%、90.3%、90.7%、91.0%及び91.2%であった。
【0231】
実施例38におけるベクターをHPMCAS 912Gに置き換え、且つ他のパラメータは変化しなかった。該固体分散体は、30min、60min、90min、120min、150min及び180minの溶出度がそれぞれ78.8%、84.8%、86.6%、87.2%、87.3及び88.1%であった。
【0232】
実施例40:医薬製剤の製造方法
【0233】
実施例36で製造された固体分散体、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、リン酸水素カルシウム、コロイダルシリカ及びステアリルフマル酸ナトリウム(ここで、固体分散体、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、リン酸水素カルシウム、コロイダルシリカ及びフマル酸ステアリルナトリウムの総材料における質量占有率は、それぞれ70.6%、10.0%、18.0%、0.9%及び0.5%である)を秤取し、固体分散体、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、リン酸水素カルシウム、コロイダルシリカ及びフマル酸ステアリルナトリウムを篩にかけ、粉砕し混合した。具体的な操作とパラメータは、実施例8におけるものと同じであった。
【0234】
実験型打錠機(ZP14)において10mmの円形ダイで錠剤をプレスし、錠剤重量が550.4mgである素錠を製造した。素錠の各パラメータを試験し、ここで、平均硬度は226Nであり、且つ崩壊時間は1分30秒であった。溶出度(パドル法、溶出媒体としてpH7.4のリン酸塩溶液(0.05%ドデシル硫酸ナトリウム)900mlを用い、且つ回転速度は毎分75回転である)について、30minと60minの溶出度は、それぞれ43.5%、91.4%であった。
【0235】
実施例41:製剤の製造方法
【0236】
実施例37で製造された固体分散体、微結晶セルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、リン酸カルシウム、コロイダルシリカ及びステアリン酸マグネシウム(ここで、固体分散体、微結晶セルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、リン酸カルシウム、コロイダルシリカ及びステアリン酸マグネシウムの総材料における質量占有率は、それぞれ53.7%、19.2%、5.0%、19.2%、2.0%及び1.0%である)を秤取し、固体分散体、微結晶セルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、リン酸カルシウム、コロイダルシリカ及びステアリン酸マグネシウムを篩にかけ、粉砕し混合した。具体的な操作とパラメータは、実施例8におけるものと同じであった。
【0237】
実験型打錠機(ZP14)において10mmの円形ダイで錠剤をプレスし、錠剤重量が400mgである素錠を製造した。素錠の各パラメータを試験し、ここで、平均硬度は100.4Nであり、且つ崩壊時間は23秒であった。溶出度(パドル法、溶出媒体としてpH6.8のリン酸塩溶液(0.2%ドデシル硫酸ナトリウム)900mlを用い、且つ回転速度は75rpmである)について、5min、15min、30min、45min及び60minの溶出度は、それぞれ96.6%、99.7%、98.4%、98.8%及び100.2%であった。
【0238】
実施例42:固体分散体の製造方法 - ホットメルト押出
【0239】
実施例1で製造されたAPI、HPMCAS 716G及びTPGS(ここで、API、HPMCAS 716G及びTPGSの質量占有率は、それぞれ30%、60%及び10%である)を、30メッシュの篩にかけ、API、HPMCAS 716G及びTPGSを、混合バケツ内で、20rpmの速度で10分間混合し、且つそしてそれらをホットメルト押出ホッパーに入れてホットメルト押出を行った。プロセスパラメータ:180℃であり、フィード速度は、30rpmであり、スクリュー速度は、100rpmであり、押出物を粉砕し、固体分散体を得た。
【0240】
実施例43:固体分散体の製造方法 - 噴霧乾燥
【0241】
実施例1で製造されたAPI、HPMCAS 716G及びTPGS(ここで、API、HPMCAS 716G及びTPGSの質量占有率は、それぞれ30%、60%及び10%である)を秤取し、且つそれらをメタノール/ジクロロメタン(5:95、V/V)に溶解させ、濃度は13.33mg/mlであった。噴霧乾燥法を用いて固体分散体を製造し、且つ噴霧乾燥のパラメータは以下のとおりである:孔径は、1.5mmであり、吸気温度は、85℃であり、風量は100%であり、蠕動ポンプ速度は、20~25%であり、Q-Flowは、20~30mmであり、蠕動チューブの材質は、TYGON(登録商標)2375、NSF-51であり、内径は、2mmであり、外径は、3.7mmであった。
【0242】
実施例44:固体分散体の製造方法
【0243】
実施例2の式 (I) 化合物のアセトン溶媒和物とベクターPVP VA64を、それぞれ30メッシュの篩にかけ、薬物負荷容量が25%(即ち薬物負荷比が1:3)である割合でホッパーミキサーに入れ、20rpmの混合速度で10分間混合し、且つホットメルト押出機においてホットメルト押出を行った。プロセスパラメータは以下のとおりである:操作温度は165℃であり、スクリュー速度は、150rpmであり、得られた押出物は、固体分散体であった。
【0244】
溶出度(パドル法、溶出媒体としてpH6.8のリン酸塩溶液(0.2%ドデシル硫酸ナトリウム) 900mlを用い、且つ回転速度は75rpmである)について、5min、15min、30min、45min、60min及び90minの薬物溶出は、それぞれ57.6%、88.4%、97.9%、99.7%、99.9%及び100.0%であった。
【0245】
XRDによって、製造された固体分散体を検出した。結果は、図4に示すとおりである。XRDパターンには、活性成分結晶形の特徴的ピークがなかった。その結果、活性成分は、非晶質状態でベクター中に分散していた。
【0246】
実施例45:固体分散体の製造方法
【0247】
実施例3の式 (I) 化合物のアセトニトリル溶媒和物とベクターPVP VA64を、それぞれ30メッシュの篩にかけ、薬物負荷容量が25%(即ち薬物負荷比が1:3)である割合でホッパーミキサーに入れ、20rpmの混合速度で10分間混合し、且つホットメルト押出機においてホットメルト押出を行った。プロセスパラメータは以下のとおりである:操作温度は165℃であり、スクリュー速度は、150rpmであり、得られた押出物は、固体分散体であった。
【0248】
溶出度(パドル法、溶出媒体としてpH6.8のリン酸塩溶液(0.2%ドデシル硫酸ナトリウム)900mlを用い、且つ回転速度は75rpmである)について、5min、15min、30min、45min、60min及び90minの薬物溶出は、それぞれ57.9%、89.3%、97.9%、99.6%、99.7%及び100.0%であった。
【0249】
XRDによって、製造された固体分散体を検出した。結果は、図5に示すとおりである。XRDパターンには、活性成分結晶形の特徴的ピークがなかった。その結果、活性成分は、非晶質状態でベクター中に分散していた。
【0250】
効果実施例1:平衡溶解度試験
【0251】
平衡溶解度の測定:過剰のAPI(実施例1で製造された)と固体分散体を、それぞれ37℃で溶媒と混合し、2、24時間撹拌した。2、24時間高速遠心した後、上層の清澄液を取り、且つ高速液体クロマトグラフィによって上層の清澄液におけるAPIの濃度を測定した。APIの異なる溶媒における平衡溶解度の測定結果は、以下の表4に示すとおりである:
【表4】
【0252】
上記結果から、APIを固体分散体として製造した後、平衡溶解度が大幅に向上したことが分かった。
【0253】
効果実施例2:バイオアベイラビリティ試験
【0254】
マウス絶対的バイオアベイラビリティ試験条件:
経口灌胃投与群:72匹のCD-1マウス(雌雄半分ずつ)を、12匹/性別/群のように三つの群にランダムに分けた。単回灌胃によって投与された供試品(実施例7で製造された固体分散体)の用量は、25、50及び100mg/kgであり、且つ溶媒は、逆浸透(R.O.)水であった。
【0255】
静脈内注射投与群:24匹のCD-1マウスを、雌雄半分ずつに単回静脈内注射によって供試品(実施例1で製造されたAPI)に投与した。用量は、2mg/kgであり、且つ溶媒は、5%DMSO + 5%Solutol HS15 + 90%の生理食塩水であった。
【0256】
全ての動物は、投与前及び投与後0.083h(静脈内注射のみ)、0.25h、0.5h、1h、2h、4h、6h、8h、12h及び24hに血液サンプルを採取した。実証されたLC-MS/MS分析法を用いて、血漿における薬物濃度を検出した。分析方法の定量下限は、2 ng/mlであった。winnonlinのノンコンパートメントモデル(NCA)を用いて、血漿濃度データを分析し、薬物動態学的パラメータを計算した。
【0257】
ビーグル犬絶対的バイオアベイラビリティ試験条件:
雌及び雄ビーグル犬を三匹ずつ選択し、三つの用量がそれぞれ5、10、20mg/kgである経口供試品(実施例7で製造された固体分散体の懸濁液)群、及び用量が0.5mg/kgである静脈内注射供試品(実施例1で製造されたAPI)群に分けた。経口灌胃投与群の溶媒は、逆浸透(R.O.)水であり、且つ静脈内注射群の溶媒は、5%DMSO+5%Solutol HS15+90%の生理食塩水であった。
【0258】
投与前及び投与後0.083h(静脈内注射のみ)、0.25h、0.5h、1.0h、2.0h、4.0h、6.0h、8.0h、24h、48h及び72hに血液サンプルを採取した。実証されたLC-MS/MS法を用いて、イヌ血漿における薬物濃度を検出した。該方法の定量下限は、2 ng/mlであった。winnonlinのノンコンパートメントモデル(NCA)を用いて、血漿濃度データを分析し、且つ薬物動態学的パラメータを計算し、絶対的バイオアベイラビリティを計算した。
【0259】
以上に記載したように、実施例7で製造された固体分散体を用いて、マウスとビーグル犬の二つの動物モデルを選択して、薬物動態学的挙動評価を行った。結果により、固体分散体の、マウスとイヌにおける絶対的バイオアベイラビリティは、それぞれ19%~27.2%及び19.5%~23.6%であった。
【0260】
効果実施例3:薬物動態学的試験
【0261】
四群の雄マウスを二群にランダムに分けた:供試品1(実施例7で製造された固体分散体であり、逆浸透水を溶媒として懸濁液を配合する)は、用量がそれぞれ25mg/kgと100mg/kgであり、供試品2(実施例1で製造されたAPIであり、0.2%HPMC-E5を含む水溶液で懸濁液を配合する)は、用量がそれぞれ25mg/kgと100mg/kgであった。各群の動物に対して、いずれも単回灌胃投与を行った。
【0262】
全ての動物は、投与後0.087h、0.25h、0.5h、1h、2h、4h、6h、8h、24hに血液サンプルを採取した。LC-MS/Msによって、全ての血漿サンプルを分析した。該方法の定量下限は、10 ng/mlであった。代謝動態学データ分析ソフトウェアwinnonlin8.0.0.3176のノンコンパートメントモデル法(NCA)を用いて、血漿濃度データを分析し、薬物動態学的パラメータを計算し、投与後のAPIの動物体内での動態学的特徴を評価した。結果は、表5に示すとおりである。
【表5】
【0263】
効果実施例4:長期安定性試験
【0264】
実施例28における、規格が50mgであり、ロット番号がB1ロットである製剤に対して、長期安定性研究を行った。サンプルを40±2℃と75%±5%RH下で6ヶ月放置した。結果は、表6に示すとおりである。
【表6】
【0265】
以上の結果により、各検出項目には明らかな変化がないことが示された。
【0266】
効果実施例5:薬物動態学的試験 - ビーグル犬
【0267】
三つの雄ビーグル犬を選択し、経口供試品(コーティングされていない錠剤)群に分けた。用量は5mg/kgであり、且つ溶媒は浄化水であった。
【0268】
投与後1.0h、2.0h、4.0h、6.0h、8.0h、24h、48hに血液サンプルを採取した。実証されたLC-MS/MS法を用いて、イヌ血漿における薬物濃度を検出した。該方法の定量下限は、2 ng/mlであった。winnonlinのノンコンパートメントモデル(NCA)を用いて、血漿濃度データを分析し、薬物動態学的パラメータを計算した。
【0269】
結果は、表7に示すとおりである。
【表7】
【0270】
効果実施例6:薬物動態学的試験 - マウス
【0271】
九匹の雄CD-1マウスをランダムに選択した。試験サンプルは固体分散体であり、精製水を溶媒として懸濁液を製造した。用量は、50mg/kgであった。全ての動物に対して、いずれも単回灌胃投与を行った。
【0272】
全ての動物は、投与後0.083h、0.25h、0.5h、1h、2h、4h、6h、8h、24hに血液サンプルを採取し、血漿を分離させた。LC-MS/Msによって、全ての血漿サンプルを分析した。該方法の定量下限は、10 ng/mlであった。代謝動態学データ分析ソフトウェアwinnonlin8.0.0.3176のノンコンパートメントモデル法(NCA)を用いて、血漿濃度データを分析し、薬物動態学的パラメータを計算し、投与後のAPIの動物体内での動態学的特徴を評価した。結果は、表8に示すとおりである。
【表8】
【0273】
効果実施例7:薬物動態学的試験 - マウス
【0274】
経口灌胃投与群:9匹のCD-1マウスを選択し、且つ供試物質(固体分散体)を単回灌胃投与した。用量は50mg/kgであり、且つ溶媒は浄化水であった。
【0275】
投与後0.083h、0.25h、0.5h、1h、2h、4h、6h、8h及び24hに血液サンプルを採取した。実証されたLC-MS/MS分析法を用いて、血漿における薬物濃度を検出した。該分析方法の定量下限は、10 ng/mlであった。winnonlinのノンコンパートメントモデル(NCA)を用いて、血漿濃度データを分析し、薬物動態学的パラメータを計算し、且つ投与後のAPIの動物体内での動態学的特徴を評価した。結果は、表9に示すとおりである。
【表9】
【0276】
効果実施例8:薬物動態学的試験 - ビーグル犬
【0277】
三つのビーグル犬を選択し、該試験を行った。供試物質(固体分散体懸濁液)を経口投与し、用量は、5mg/kgであった。
【0278】
投与前及び投与後0.083h、0.25h、0.5h、1.0h、2.0h、4.0h、6.0h、8.0h、24h及び48hに血液サンプルを採取した。実証されたLC-MS/MS法を用いて、イヌ血漿における薬物濃度を検出した。該方法の定量下限は、2 ng/mlであった。winnonlinのノンコンパートメントモデル(NCA)を用いて、血漿濃度データを分析し、薬物動態学的パラメータを計算した。結果は、表10に示すとおりである。
【表10】
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】