(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-06
(54)【発明の名称】コートされた基材にバリア特性を付与するためのゾル-ゲルコーティング及びその塗布の方法
(51)【国際特許分類】
C09D 183/04 20060101AFI20231129BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20231129BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20231129BHJP
D21H 19/10 20060101ALI20231129BHJP
D21H 19/32 20060101ALI20231129BHJP
D21H 19/62 20060101ALI20231129BHJP
D21H 27/10 20060101ALI20231129BHJP
B05D 7/00 20060101ALI20231129BHJP
B05D 7/02 20060101ALI20231129BHJP
B05D 7/14 20060101ALI20231129BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20231129BHJP
B05D 3/02 20060101ALI20231129BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20231129BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20231129BHJP
B32B 27/10 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
C09D183/04
C09D7/61
C09D7/63
D21H19/10 A
D21H19/32
D21H19/62
D21H27/10
B05D7/00 K
B05D7/02
B05D7/14 P
B05D7/24 303A
B05D7/24 302Y
B05D7/24 303B
B05D7/24 303E
B05D3/02 Z
B05D3/00 D
B32B27/00 101
B32B27/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533280
(86)(22)【出願日】2021-11-29
(85)【翻訳文提出日】2023-07-27
(86)【国際出願番号】 EP2021083400
(87)【国際公開番号】W WO2022112566
(87)【国際公開日】2022-06-02
(32)【優先日】2020-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(32)【優先日】2021-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523201764
【氏名又は名称】ミリエリー,マニュエル
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ミリエリー,マニュエル
【テーマコード(参考)】
4D075
4F100
4J038
4L055
【Fターム(参考)】
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4L055FA19
4L055FA30
4L055GA05
4L055GA47
4L055GA48
(57)【要約】
本出願は、基材、特にセルロースベースの基材の少なくとも1つの表面をコートし、かつ水、グリース、酸素、光、水分に対するバリア特性、耐熱性、より低い摩擦係数を付与するためのコーティング及びその塗布方法に関する。このコーティングは、元の基材の可撓性、生分解性、及びリサイクル性の元の特性を変化させない。本発明に係るコートされた基材は、印刷され得、リサイクルされ得、かつ紙又はボール紙の折り畳みを必要とする領域において変化しない特性を呈する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
A.ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、トリエトキシシラン、(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン、(3-メルカプトプロピル)トリエトキシシラン、3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3-(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビス-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド、1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン、N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アニリン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミン、ビス-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、トリエトキシフェニルシラン及びトリメトキシフェニルシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ビニルトリメチルシラン、クロロビニルシラン、クロロジメチルビニルシラン及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのシランと、
B.前記少なくとも1つのシランの重量に対し0.01重量%~3重量%の一塩基酸及び/又は多塩基酸から選択される触媒と、
水及び直鎖の又は分岐鎖のC1~C4アルコールと分散剤の体積に対し55体積%を超える水とを含有する含水アルコール溶液からなる群から選択される分散剤、
を含む、セルロース含有基材をコートするための組成物の使用。
【請求項2】
前記少なくとも1つのシランは、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記一塩基酸は、塩酸、硝酸、及び酢酸からなる群から選択され、好ましくは前記一塩基酸は、塩酸であり、及び/又は、前記多塩基酸は、炭酸、硫酸及びクエン酸からなる群から選択される、請求項1又は請求項2に記載の使用。
【請求項4】
前記組成物は、三酸化硫黄、塩化アルミニウム、塩化鉄(III)及び塩化亜鉛からなる群から選択される少なくとも1つのルイス酸をさらに含み、好ましくは前記ルイス酸は、塩化鉄(III)である、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記組成物は、
C.前記少なくとも1つのシランの重量に対し0.30重量%~50重量%のフィラー組成物をさらに含み、ここで、前記フィラー組成物は、
c1.二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、フィロケイ酸塩、イノケイ酸塩、テクトケイ酸塩、タルカムパウダー、硫酸亜鉛、酸化マグネシウム、亜鉛フレーク、タルク、カオリン、アルバリン、ドロマイト、酸化セリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、及びそれらの混合物からなる群から選択される、好ましくは二酸化ケイ素である、少なくとも1つの無機フィラー、
及び/又は
c2.セルロース、ミクロフィブリル化セルロース、ナノフィブリル化セルロース、微結晶セルロース、デンプン、キチン又はそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機フィラー、
を含む、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記組成物は、C7~C18の範囲の多数の炭素原子Cを有するアルキル鎖、及びアルコキシ基を呈する、前記少なくとも1つのシランの重量に対し0重量%超~1.5重量%のオルガノポリシロキサン(D)をさらに含む、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
A.プロピルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのシランと、
B.前記少なくとも1つのシランの重量に対し0.01重量%~3重量%の、一塩基酸及び/又は多塩基酸から選択される触媒と、
水及び直鎖の又は分岐鎖のC1~C4アルコールと分散剤の重量に対し55重量%を超える水とを含有する含水アルコール溶液からなる群から選択される分散剤、
を含む、コーティング組成物。
【請求項8】
C.前記少なくとも1つのシランの重量に対し0.30重量%~10重量%のフィラー組成物をさらに含み、ここで、前記フィラー組成物は、
c1.二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、フィロケイ酸塩、イノケイ酸塩、テクトケイ酸塩、タルカムパウダー、硫酸亜鉛、酸化マグネシウム、亜鉛フレーク、タルク、カオリン、アルバリン、ドロマイト、酸化セリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの無機フィラーを含む無機フィラー組成物、
及び/又は
c2.セルロース、ミクロフィブリル化セルロース、ナノフィブリル化セルロース、微結晶セルロース、デンプン、キチン又はそれらの混合物からなる群から選択される、好ましくはミクロフィブリル化セルロース、ナノフィブリル化セルロース及びそれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1つの有機フィラーを含む有機フィラー組成物、
を含む、請求項7に記載のコーティング組成物。
【請求項9】
A.前記コーティング組成物の総重量に対し40重量%~80重量%の範囲の量で、プロピルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つのシランと、
B.前記少なくとも1つのシランの重量に対し0.01重量%~1重量%の範囲の量で、一塩基酸及び/又は多塩基酸から選択される触媒、
を含む、請求項7又は請求項8に記載のコーティング組成物。
【請求項10】
c1.前記少なくとも1つのシランの重量に対し0.30重量%~5.0重量%の範囲の量の二酸化ケイ素、
及び/又は
c2.前記少なくとも1つのシランの重量に対し0.30重量%~5.0重量%の範囲の量のミクロフィブリル化セルロース及び/又はナノフィブリル化セルロース、
から選択されるフィラー組成物(C)をさらに含む、請求項9に記載のコーティング組成物。
【請求項11】
- セルロース含有基材、金属基材、又はプラスチック基材からなる群から選択される、好ましくはセルロース含有基材である、基材からなる第1の層と、
- 請求項7~請求項10のいずれか一項に記載のコーティング組成物を含む少なくとも第2の層、
を備える、複合材料でコートされた物品。
【請求項12】
前記セルロース含有基材は、紙、表面処理紙、グラシン紙、ボール紙、セルロース系支持体、低多孔性セルロース系支持体及び木材からなる群から選択される、請求項11に記載の複合材料でコートされた物品。
【請求項13】
a)セルロース含有基材、金属基材又はプラスチック基材の中から選択される基材を提供するステップと、
b)請求項7~請求項10のいずれか一項に記載のコーティング組成物を調製するステップと、
c)前記基材の少なくとも1つの表面に前記コーティング組成物を塗布して、予備的な複合材料でコートされた物品を得るステップと、
d)数日の間20℃~1分未満の間280℃の範囲の温度で前記予備的な複合材料でコートされた物品を乾燥させて、複合材料でコートされた物品を得るステップ、
を含む、基材をコートするための方法。
【請求項14】
i.前記分散剤中で前記成分(A)、(B)及び随意的に(C)を分散させて混合物を得るステップと、
ii.5~5000cpsの粘度が得られるまで及び室温に達するまで前記ステップ(i)から得られた混合物を攪拌して、コーティング組成物を得るステップ、
を含む、請求項7~請求項10のいずれか一項に記載のコーティング組成物を調製するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨て包装、一次、二次、又は三次包装、使い捨て用途(コップ、ストロー、フォーク、皿など)、チョコレート及びスナックのベース紙及び包装紙、フライドポテト、フライドチキン、ドーナツ、冷凍食品、ペットフード、クラッカー、及びケーキの紙箱及び紙袋、及びハンバーガー及び揚げ物の包装紙を含む食品包装及び包装紙、或いはベルト、ペン、紙、ブラシ、スポンジ、石鹸、ねじ、電話、植物、マスクなどの他の非食品製品の包装紙での使用を見出す、重縮合後の付着を特徴とするバリアコーティング組成物の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
産業分野では、例えば、生鮮食品(野菜、肉、果物など)、調理済み食品(肉などの油分を多く含有する製品)、焼き菓子、焼き野菜、揚げ物など)、菓子(キャンディ、バター菓子)、タバコ製品(RYOタバコ、シガレット、葉巻など)、衛生又は美容用品(石鹸、パウダー類、リップスティックなど)、又は家庭用及び趣味用ケア製品(スポンジ、ねじ、家庭用電気器具の部品、自動車部品)などのCPG(消費財)を輸送するために利用可能な包装製品が必要とされている。
【0003】
これらの使用のために、プラスチックフィルム、並びにコート紙又はパーチメント紙などのセルロース系複合基材が、当該技術分野でよく知られている。コートされた紙又はパーチメント紙は、プラスチックフィルムにラミネートされた一枚の紙から一般になる。特に、これらのよく知られたセルロース系複合材料は、内面(すなわち、食品と接触する面)にプラスチックフィルムおよび外面(すなわち、ユーザの手と接触する面)に紙を有し、これもまたしばしば主に石油由来のパラフィン又はポリマーでコートされる。このようにして、セルロース系複合基材は、パッケージの内容物からの液体(水、油など)の漏れを回避し、内容物を酸化から保護し(酸素バリア)、水分から保護し(パッケージの外部への水分の損失又はパッケージの外部からの水分の吸収に対する、すなわち水蒸気バリア)又は他の汚染物(水、油など)から保護する。
【0004】
ポリマー、モノマー、又は他のプラスチックを含む撥水性かつ撥油性の紙シートは、揚げ物及び油脂を含有する食品などの油分の多い食品を包装する又は包むための食品包装及び包装紙として一般的に利用される。これらの撥水性かつ撥油性の紙シートは、十分に撥水性かつ撥油性であることが求められるだけでなく、安全でなくてはならない。
【0005】
第1の重大な欠点は、プラスチックフィルムの存在が、いくつかの分離プロセスなしに製品をリサイクルすることを難しくし、重大な紙の損失(「粗大リジェクト」としても知られる)をもたらすことである。
【0006】
公知のセルロース系複合材料の困難なリサイクルに関連した別の欠点は、プラスチックフィルムと紙の間の接着剤の存在である。さらに、プラスチックの存在は、あらゆるタイプ(電気、燃料、マイクロ波)のオーブン内でのそれらの使用を不可能にする。
【0007】
最近では、その中に有機フッ素樹脂を組み込んだ撥水性かつ撥油性の紙シートが、上記の欠点の解決策として提案されている。しかしながら、フッ素系有機化合物は、消費者の安全性への潜在的懸念がある。
【0008】
ゾル-ゲルコーティングが、上記の欠点を克服するために提案されている。しかしながら、薄いコーティングフィルム中へのそれらの適用は現在のところ、高エネルギーを必要として実現可能であり、したがって、セルロースベースの基材としばしば適合しないPVD/CVD(蒸着)及びプラズマビーム堆積などの技術を産業環境に取り入れることは難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、上記の技術的障害を克服する、安全で、生分解性で、リサイクル可能な、かつ塗布が容易なコーティング組成物を提供することが、実質的に必要とされている。
【0010】
本発明の著者により行われた実験的試験を考慮して、より良好な紙及びボール紙の特性を可能にするナノ粒子ベースのコーティングの開発にはまだ革新の余地があると結論づけられる。例えば、塗布後のコーティングは、紙又はボール紙の印刷に影響せず、かつ得られるボール紙箱の接着を必要とする接合部又は領域上の付着も含むことが望ましい。コーティングは、コートされたセルロース系支持体のリサイクル性又は生分解性を防げることなく、水蒸気、酸素などの液体に対するバリアをさらに向上させることも望ましい。本発明者による他の製品でのこれまでの経験から、適切な官能基化のないシリコンオキサイドなどの金属酸化物の使用は、より大きな固定化を必要とすることを確認できており、かつそれらは時間とともに剥がれ、紙を折る、紙を加熱する、包装を取り扱う間に、その性能を低下させる、又はさらには基材の色を変化させる(すなわち、黄変)可能性もある。
【0011】
紙及びボール紙上の疎水性コーティングの性能及びそれらの水分バリア特性を向上させるために、本発明では、紙又はボール紙の少なくとも1つの表面の繊維上への塗布中の上記シリコンオキサイドナノ粒子の分散性を向上させるための、シランベースの化合物の使用が提案される。
【0012】
本出願人は、安全で、リサイクル可能で、例えば噴霧及び乾燥などによる塗布が容易である、有利なコーティング組成物を開発した。さらに有利なことに、本発明に係るコーティング組成物は、印刷可能であり、かつコートされた基材の折り畳みを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、セルロース含有基材をコートするための組成物の使用に関し、組成物は、
A.ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、トリエトキシシラン、(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン、(3-メルカプトプロピル)トリエトキシシラン、3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3-(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビス-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド、1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン、N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アニリン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミン、ビス-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、トリエトキシフェニルシラン及びトリメトキシフェニルシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ビニルトリメチルシラン、クロロビニルシラン、クロロジメチルビニルシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのシランと、
B.少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~3重量%の一塩基酸及び/又は多塩基酸から選択される触媒と、
水及び、直鎖の又は分岐鎖のC1~C4アルコールと分散剤の体積に対して55体積%を超える水とを含有する含水アルコール溶液、からなる群から選択される分散剤、
を含む。
【0014】
一実施形態では、少なくとも1つのシランは、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0015】
一実施形態によれば、一塩基酸は、塩酸、硝酸、及び酢酸からなる群から選択され、好ましくは一塩基酸は、塩酸であり、及び/又は多塩基酸は、炭酸、硫酸、及びクエン酸からなる群から選択される。
【0016】
組成物は、三酸化硫黄、塩化アルミニウム、塩化鉄(III)、及び塩化亜鉛からなる群から選択される少なくとも1つのルイス酸をさらに含んでよく、好ましくはルイス酸は、塩化鉄(III)である。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、組成物は、
C.少なくとも1つのシランの重量に対して0.30重量%~50重量%のフィラー組成物、
をさらに含み、フィラー組成物は、
c1.二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、フィロケイ酸塩、イノケイ酸塩、テクトケイ酸塩、タルカムパウダー、硫酸亜鉛、酸化マグネシウム、亜鉛フレーク、タルク、カオリン、アルバリン、ドロマイト、酸化セリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、及びそれらの混合物からなる群から選択される、好ましくは二酸化ケイ素である、少なくとも1つの無機フィラー、
及び/又は
c2.セルロース、ミクロフィブリル化セルロース、ナノフィブリル化セルロース、微結晶セルロース、デンプン、キチン、又はそれらの混合物からなる群から選択される、好ましくはミクロフィブリル化セルロース、ナノフィブリル化セルロース、及びそれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1つの有機フィラー、
を含む。
【0018】
随意的に、組成物は、少なくとも1つのシランの重量に対して0重量%超~1.5重量%の、C7~C18の範囲の多数の炭素原子Cを有するアルキル鎖及びアルコキシ基を呈するオルガノポリシロキサン(D)をさらに含み得る。
【0019】
別の態様によれば、本発明は、
A.プロピルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのシランと、
B.少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~3重量%の一塩基酸及び/又は多塩基酸から選択される触媒と、
水及び、直鎖の又は分岐鎖のC1~C4アルコールと分散剤の重量に対して55重量%を超える水とを含有する含水アルコール溶液、からなる群から選択される分散剤、
を含む、コーティング組成物に関する。
【0020】
そのような組成物は、
C.少なくとも1つのシランの重量に対して0.30重量%~10重量%のフィラー組成物、
をさらに含んでよく、フィラー組成物は、
c1.二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、フィロケイ酸塩、イノケイ酸塩、テクトケイ酸塩、タルカムパウダー、硫酸亜鉛、酸化マグネシウム、亜鉛フレーク、タルク、カオリン、アルバリン、ドロマイト、酸化セリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの無機フィラーを含む無機フィラー組成物、
及び/又は
c2.セルロース、ミクロフィブリル化セルロース、ナノフィブリル化セルロース、微結晶セルロース、デンプン、キチン、又はそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくはセルロースであり、好ましくはミクロフィブリル化セルロース、ナノフィブリル化セルロース、及びそれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1つの有機フィラーを含む有機フィラー組成物、
を含む。
【0021】
一実施形態によれば、組成物は、
A.コーティング組成物の総重量に対して40重量%~80重量%の範囲の量の、プロピルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つのシランと、
B.少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~1重量%の範囲の量の、一塩基酸及び/又は多塩基酸から選択される触媒、
を含む。
【0022】
別の実施形態によれば、組成物は、
c1.少なくとも1つのシランの重量に対して0.30重量%~5.0重量%の範囲の量の二酸化ケイ素、
及び/又は
c2.少なくとも1つのシランの重量に対して0.30重量%~5.0重量%の範囲の量のミクロフィブリル化セルロース及び/又はナノフィブリル化セルロース、
から選択されるフィラー組成物(C)をさらに含む。
【0023】
本発明はさらに、
- セルロース含有基材、金属基材、又はプラスチック基材からなる群から選択される、好ましくはセルロース含有基材である、基材からなる第1の層と、
- 本明細書において上で詳述したコーティング組成物を含む少なくとも第2の層、
を含む複合材料でコートされた物品に関する。
【0024】
1つの例示的な実施形態では、セルロース含有基材は、紙、表面処理紙、グラシン紙、ボール紙、セルロース系支持体、低多孔性セルロース系支持体、及び木材からなる群から選択される。
【0025】
本発明はまた、、
a)セルロース含有基材、金属基材、又はプラスチック基材の中から選択される基材を提供するステップと、
b)本発明に係るコーティング組成物を調製するステップと、
c)基材の少なくとも1つの表面にコーティング組成物を塗布して複合材料でコートされた予備的な物品を得るステップと、
d)数日の間20℃~1分未満の間280℃の範囲の温度にて複合材料でコートされた予備的な物品を乾燥させて、複合材料でコートされた物品を得るステップ、
を含む、基材をコートするための方法に関する。
【0026】
最後に、本発明は、本発明に係るコーティング組成物を調製するための方法に関し、方法は、
i.分散剤中に、前述の成分(A)、(B)、及び随意的に(C)を分散させて混合物を得るステップと、
ii.5~5000cpsの粘度が得られるまで及び室温に達するまで、ステップ(i)から得られた混合物を攪拌して、コーティング組成物を得るステップ、
を含む。
【発明を実施するための形態】
【0027】
第1の態様によれば、本発明は、 A.オルガノアルコキシシランなどのオルガノシラン、アルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン、オルトケイ酸塩、シラントリオール、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのシランと、
B.少なくとも1つのシラン誘導体の重量に対して0.01重量%~3重量%の一塩基酸及び/又は多塩基酸から選択される触媒と、
水と、水と直鎖の又は分岐鎖のC1~C4アルコールとを含有する含水アルコール溶液の間で選択される分散剤、
を含む、基材をコートするのに適したコーティング組成物に関する。
【0028】
一実施形態では、コーティング組成物は、有機質又は無機質のフィラーをさらに含んでよい。したがって、一実施形態では、コーティング組成物は、
C.少なくとも1つのシラン誘導体の重量に対して0.30重量%~50重量%のフィラー組成物、
をさらに含み、フィラー組成物は、
c1.二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、フィロケイ酸塩、イノケイ酸塩、テクトケイ酸塩、タルカムパウダー、硫酸亜鉛、酸化マグネシウム、亜鉛フレーク、タルク、カオリン、アルバリン、ドロマイト、酸化セリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、及びそれらの混合物からなる群から選択される、好ましくは二酸化ケイ素である、少なくとも1つの無機フィラーを含む無機フィラー組成物、
及び/又は
c2.セルロース、ミクロフィブリル化セルロース、ナノフィブリル化セルロース、微結晶セルロース、デンプン、キチン、又はそれらの混合物からなる群から選択される、好ましくはセルロースである、少なくとも1つの有機フィラーを含む有機フィラー組成物、
を含む。
【0029】
少なくとも1つのシランは、
- オルガノアルコキシシラン、
- ジメチルクロロシラン及び1,2-ビス(クロロジメチルシリル)エタンからなる群から典型的には選択される、オルガノシラン、
- アルコキシシラン、又はオルトケイ酸テトラエチル及びオルトケイ酸テトラメチルからなる群から典型的には選択される、オルトケイ酸塩、
- アルキルアルコキシシラン、
- シラントリオール、典型的には1-(3-メルカプトプロピル)-シラントリオール、及び
- それらの混合物、
からなる群から選択される。
【0030】
緩和組成物が、シラン(A)を加水分解及び架橋することにより形成される。典型的なシラン(A)は、以下に挙げるものである。
【0031】
好ましくは、オルトケイ酸塩は、オルトケイ酸テトラエチルとオルトケイ酸テトラメチルの間で選択される。
【0032】
典型的には、オルガノシランは、ジメチルクロロシランと1,2-ビス(クロロジメチルシリル)エタンの間で選択される。
【0033】
典型的には、オルガノアルコキシシランは、メチルトリエトキシシラン、トリメトキシメチルシラン、トリメチルエトキシシラン、メトキシトリメチルシラン、(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン、(3-メルカプトプロピル)トリエトキシシラン、3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビス-[3(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド、1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン、N-[3(トリメトキシシリル)プロピル]アニリン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス-[3(トリエトキシシリル)プロピル]アミン、ビス-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、トリエトキシフェニルシラン、及びトリメトキシフェニルシランからなる群から選択される。
【0034】
典型的には、シラントリオールは、1-(3-メルカプトプロピル)-シラントリオールである。
【0035】
少なくとも1つのシランは、1つのシラン、少なくとも2つのシランの混合物、3つのシランの混合物、4つのシランの混合物を指し得る。典型的には、少なくとも1つのシランは、1つのシラン、又は第1のシランと第2のシランの混合物を指す。一実施形態では、少なくとも1つのシランは、少なくとも1つの第1のシラン及び少なくとも1つの第2のシランであり、少なくとも1つの第1のシランと少なくとも1つの第2のシランのモル比は、1:1、2:1、3:1、4:1、又は5:1である。
【0036】
シラン(A)
一実施形態では、本発明に係る少なくとも1つのシランは、1つ又は2つのシラン官能基を呈する。一実施形態では、本発明に係る少なくとも1つのシランは、1つのシラン官能基を呈する。
【0037】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つのシランは、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、トリエトキシシラン、(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン、(3-メルカプトプロピル)トリエトキシシラン、3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3-(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビス-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド、1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン、N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アニリン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミン、ビス-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、トリエトキシフェニルシラン、トリメトキシフェニルシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ビニルトリメチルシラン、クロロビニルシラン、クロロジメチルビニルシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0038】
一実施形態によれば、少なくとも1つのシランは、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、トリエトキシシラン、3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3-(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン、N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アニリン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミン、ビス-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、トリエトキシフェニルシラン、トリメトキシフェニルシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ビニルトリメチルシラン、クロロビニルシラン、クロロジメチルビニルシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0039】
第2の実施形態によれば、少なくとも1つのシランは、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、トリエトキシシラン、(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン、(3-メルカプトプロピル)トリエトキシシラン、3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3-(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビス-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド、1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン、トリエトキシフェニルシラン、トリメトキシフェニルシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ビニルトリメチルシラン、クロロビニルシラン、クロロジメチルビニルシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0040】
第3の実施形態によれば、少なくとも1つのシランは、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、トリエトキシシラン、3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3-(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン、トリエトキシフェニルシラン、トリメトキシフェニルシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ビニルトリメチルシラン、クロロビニルシラン、クロロジメチルビニルシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0041】
第4の実施形態によれば、少なくとも1つのシランは、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、トリエトキシシラン、3,1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン、トリエトキシフェニルシラン、トリメトキシフェニルシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ビニルトリメチルシラン、クロロビニルシラン、クロロジメチルビニルシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0042】
第5の実施形態によれば、少なくとも1つのシランは、メチルトリメトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、トリエトキシシラン、3,1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン、トリエトキシフェニルシラン、トリメトキシフェニルシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0043】
典型的な実施形態によれば、少なくとも1つのシランは、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0044】
第1の変形例によれば、少なくとも1つのシランは、メチルトリエトキシシランである。第2の変形例によれば、少なくとも1つのシランは、メチルトリエトキシシラン、トリメトキシシラン、及び/又はトリエトキシシランである。第3の変形例によれば、少なくとも1つの第1のシランはメチルトリエトキシシランであり、少なくとも1つの第2のシランはトリエトキシシランである。第4の変形例によれば、少なくとも1つのシランは、メチルトリメトキシシランである。第5の変形例によれば、少なくとも1つのシランは、メチルトリメトキシシラン、トリメトキシシラン、及び/又はトリエトキシシランである。
【0045】
少なくとも1つのシランは、上で定義されるように、組成物の総重量に対して50重量%~90重量%の範囲の量であってよい。一実施形態では、少なくとも1つのシランは、組成物の総重量に対して40重量%~80重量%、60重量%~80重量%の範囲の量である。
【0046】
触媒(B)
触媒(B)は、一塩基酸、多塩基酸、及びそれらの混合物から選択され得る。一実施形態では、一塩基酸は、塩酸、硝酸、及び酢酸からなる群から選択される。一実施形態では、多塩基酸は、炭酸、硫酸、及びクエン酸からなる群から選択される。1つの特定の実施形態では、触媒は、塩酸である。
【0047】
触媒(B)は、ヒドロキシル基の形成に触媒作用を及ぼすのに十分な量で、典型的には少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~3重量%の範囲の量で存在する。
【0048】
一実施形態では、触媒は、上で定義されるように、少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~2重量%の範囲の量である。一実施形態では、触媒は、上で定義されるように、少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~1重量%の範囲の量である。一実施形態では、触媒は、上で定義されるように、少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~1.5重量%の範囲の量である。一実施形態では、触媒は、上で定義されるように、少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~1重量%の範囲の量である。一実施形態では、触媒は、上で定義されるように、少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~0.5重量%の範囲の量である。一実施形態では、触媒は、上で定義されるように、少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~0.3重量%の範囲の量である。一実施形態では、触媒は、上で定義されるように、少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~0.05重量%の範囲の量である。
【0049】
1つの特定の実施形態では、触媒は、塩酸であり、少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~1重量%の範囲の量である。1つの特定の実施形態では、触媒は、塩酸であり、少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~0.3重量%の範囲の量である。1つの特定の実施形態では、触媒は、塩酸であり、少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~0.05重量%の範囲の量である。
【0050】
触媒は、後述するように組成物中にそのまま添加されてよく、又は少量の分散剤中で希釈されてもよい。一実施形態では、触媒、典型的には塩酸は、水中で希釈される。
【0051】
分散剤
本発明の有利な態様の1つは、分散剤が本質的に水性媒体であることである。一実施形態では、分散剤は、水又は、水と直鎖の又は分岐鎖のC1~C4アルコールを含有する含水アルコール溶液であってよい。
【0052】
一実施形態では、分散剤は、水である。
【0053】
一実施形態では、分散剤は、水と直鎖の又は分岐鎖のC1~C4アルコールを含有する含水アルコール溶液である。
【0054】
直鎖の又は分岐鎖のC1~C4アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、及びtert-ブタノールからなる群から選択され得る。一実施形態では、直鎖の又は分岐鎖のC1~C4アルコールは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及びそれらの混合物から選択される。一実施形態では、直鎖の又は分岐鎖のC1~C4アルコールは、メタノール、エタノール、及びそれらの混合物からなる群から選択される直鎖のC1~C4アルコールである。1つの特定の実施形態では、直鎖の又は分岐鎖のC1~C4アルコールは、エタノールである。
【0055】
典型的には、含水アルコール溶液は、分散剤の体積に対して50体積%を超える量の水を含有する。一実施形態では、分散剤は、直鎖の又は分岐鎖のC1~C4アルコールと分散剤の体積に対して55体積%を超える水とを含有する含水アルコール溶液である。
【0056】
一実施形態では、上記実施形態のいずれか1つに係る分散剤は、組成物の総重量に対して5重量%~60重量%の範囲の量である。一実施形態では、上記実施形態のいずれか1つに係る分散剤は、組成物の総重量に対して10重量%~50重量%の範囲の量である。一実施形態では、上記実施形態のいずれか1つに係る分散剤は、組成物の総重量に対して15重量%~40重量%の範囲の量である。一実施形態では、上記実施形態のいずれか1つに係る分散剤は、組成物の総重量に対して20重量%~30重量%の範囲の量である。
【0057】
随意的な実施形態によれば、組成物は、三酸化硫黄、塩化アルミニウム、塩化鉄(III)、及び塩化亜鉛からなる群から選択される少なくとも1つのルイス酸を含む。一実施形態では、ルイス酸は、塩化鉄(III)である。一実施形態では、少なくとも1つのルイス酸は、シラン化合物の約0.01%~約3重量%、より好ましくはシラン化合物の約0.02%~約2重量%の量である。
【0058】
いくつかの実施形態によれば、組成物は、少なくとも1つの無機フィラー(c1)、少なくとも1つの有機フィラー(c2)、及びそれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1つのシランの重量に対して0.30重量%~50重量%のフィラー組成物(C)をさらに含む。
【0059】
無機フィラー(C1)
少なくとも1つの無機フィラー(c1)は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、フィロケイ酸塩、イノケイ酸塩、テクトケイ酸塩、タルカムパウダー、硫酸亜鉛、酸化マグネシウム、亜鉛フレーク、タルク、カオリン、アルバリン、ドロマイト、酸化セリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0060】
一実施形態では、少なくとも1つの無機フィラーは、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、タルカムパウダー、硫酸亜鉛、酸化マグネシウム、亜鉛フレーク、タルク、カオリン、アルバリン、ドロマイト、酸化セリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0061】
1つの特定の実施形態では、無機フィラーは、二酸化ケイ素(シリカ)である。一実施形態では、無機フィラーは、典型的には1~100マイクロメートル(μm)の範囲の平均直径を呈する、微粒子の形態である。一実施形態では、無機フィラー、特にシリカは、典型的には1~100ナノメートル(nm)の範囲の平均直径を呈する、ナノ粒子の形態である。一実施形態では、シリカナノ粒子は、約90~約130m2/gの範囲の表面積を呈する。さらに特定の実施形態では、シリカナノ粒子は、フュームドシリカである。
【0062】
一実施形態によれば、少なくとも1つの無機フィラー、典型的にはシリカは、少なくとも1つのシランの重量に対して0.30重量%~50%、0.30重量%~30重量%の範囲の量である。一実施形態では、少なくとも1つの無機フィラー、典型的にはシリカは、少なくとも1つのシランの重量に対して0.30重量%~10重量%、0.30重量%~5重量%、0.50重量%~5重量%、1重量%~5重量%の範囲の量である。一実施形態では、少なくとも1つの無機フィラー、典型的にはシリカは、少なくとも1つのシランの重量に対して0.5重量%~3重量%、1重量%~3重量%、1.5重量%~3重量%の範囲の量である。
【0063】
一実施形態では、少なくとも1つのシラン対分散剤対無機フィラーのモル比は、20/10/1~20/9/2の範囲である。一実施形態では、少なくとも1つのシラン対、水から選択される分散剤対、シリカから選択される無機フィラーのモル比は、20/10/1~20/9/2の範囲である。
【0064】
少なくとも1つの無機フィラー、典型的にはシリカは、典型的には本発明に係る分散剤、好ましくは水中で、粉末又は懸濁液の形態であり得る。一実施形態では、少なくとも1つの無機フィラー、典型的にはシリカが、粉末又は懸濁液の形態であるとき、上記少なくとも1つの無機フィラーの量は、少なくとも1つのシランの乾燥重量に対する乾燥重量として表される量を指す。
【0065】
一実施形態では、少なくとも1つの無機フィラー、典型的にはシリカ粒子は、水中の懸濁液の形態である。一実施形態では、少なくとも1つの無機フィラーは、シリカナノ粒子であり、水中のコロイドの懸濁液の形態である。
【0066】
有機フィラー(C2)
少なくとも1つの有機フィラー(c2)は、セルロース、ミクロフィブリル化セルロース、ナノフィブリル化セルロース、微結晶セルロース、デンプン、キチン、又はそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0067】
一実施形態では、少なくとも1つの有機フィラーは、セルロース、ミクロフィブリル化セルロース、ナノフィブリル化セルロース、微結晶セルロース、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0068】
第1の実施形態によれば、少なくとも1つの有機フィラーは、ミクロフィブリル化セルロースである。第2の実施形態によれば、少なくとも1つの有機フィラーは、ナノフィブリル化セルロースである。ミクロフィブリル化セルロース(MFC)及びナノフィブリル化セルロース(NFC)は、木材パルプなどの任意のセルロース源材料から調製され得る
。ミクロフィブリル化セルロース又はナノフィブリル化セルロースは、パルプを高い剪断力に曝し、より大きな木質繊維をそれぞれマイクロ繊維又はナノ繊維に引き裂く、機械的方法を使用してセルロース源材料繊維から単離され得る。この目的のために、繊維の細胞壁を剥がし、かつナノサイズのフィブリルを遊離させるために、例えば、高圧ホモジナイザ、グラインダ、又はマイクロフルイダイザなどの当該技術分野で公知の任意の高剪断力適用手段を、適用できる。MCF及びNFCは、市販の有機フィラーである。
【0069】
一実施形態によれば、典型的にはセルロース、ミクロフィブリル化セルロース、ナノフィブリル化セルロース、微結晶セルロース、及びそれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1つの有機フィラーは、少なくとも1つのシランの重量に対して0.20重量%~50重量%又は0.30重量%~50重量%の範囲の量である。一実施形態では、典型的にはミクロフィブリル化セルロース、ナノフィブリル化セルロース、及びそれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1つの有機フィラーは、少なくとも1つのシランの重量に対して0.30重量%~10重量%、0.30重量%~5重量%、0.3重量%~1重量%、1重量%~5重量%の範囲の量である。1つの特定の実施形態では、典型的にはミクロフィブリル化セルロースである、少なくとも1つの有機フィラーは、少なくとも1つのシランの重量に対して0.2重量%~3重量%、0.2重量%~1重量%、0.3重量%~0.5重量%の範囲の量である。
【0070】
随意的な実施形態によれば、組成物は、少なくとも1つのシランの重量に対して0重量%超~1.5重量%で、C7~C18の範囲の多数の炭素原子Cを有する置換アルキル鎖及びアルコキシ基を呈するオルガノポリシロキサン(D)から選択されるさらなるシロキサンをさらに含む。一実施形態では、オルガノポリシロキサン(D)は、少なくとも2つのシラン部分、少なくとも3つのシラン部分、又は少なくとも4つのシラン部分を呈する。好ましくは、成分(D)の化学構造は、ヒドロキシル基を含まない。
【0071】
一実施形態では、組成物は随意的に、とりわけ、UV又はIR吸収染料などの、着色剤を含み得る。
【0072】
一実施形態では、組成物は、溶液、エマルジョン、及び分散液からなる群から選択される形態である。一実施形態では、組成物は、エマルジョンの形態である。
【0073】
一実施形態では、組成物は、
A.ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、トリエトキシシラン、(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン、(3-メルカプトプロピル)トリエトキシシラン、3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3-(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビス-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド、1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン、N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アニリン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミン、ビス-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、トリエトキシフェニルシラン及びトリメトキシフェニルシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ビニルトリメチルシラン、クロロビニルシラン、クロロジメチルビニルシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのシランと、
B.少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~3重量%の一塩基酸及び/又は多塩基酸から選択される、好ましくは少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~1重量%の範囲の量の塩酸である、触媒と、
水及び、直鎖の又は分岐鎖のC1~C4アルコールと分散剤の体積に対して55体積%を超える水を含有する含水アルコール溶液、からなる群から選択される分散剤、
を含む又はそれらからなる。
【0074】
一実施形態では、組成物は、
A.ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、トリエトキシシラン、3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3-(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン、N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アニリン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミン、ビス-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、トリエトキシフェニルシラン、トリメトキシフェニルシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ビニルトリメチルシラン、クロロビニルシラン、クロロジメチルビニルシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのシランと、
B.少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~3重量%の一塩基酸及び/又は多塩基酸から選択される、好ましくは少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~1重量%の範囲の量の塩酸である、触媒と、
水及び、直鎖の又は分岐鎖のC1~C4アルコールと分散剤の体積に対して55体積%を超える水を含有する含水アルコール溶液、からなる群から選択される分散剤、
を含む又はそれらからなる。
【0075】
一実施形態では、組成物は、
A.ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、トリエトキシシラン、3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3-(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン、トリエトキシフェニルシラン、トリメトキシフェニルシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ビニルトリメチルシラン、クロロビニルシラン、クロロジメチルビニルシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのシランと、
B.少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~3重量%の一塩基酸及び/又は多塩基酸から選択される、好ましくは少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~1重量%の範囲の量の塩酸である、触媒と、
水及び、直鎖の又は分岐鎖のC1~C4アルコールと分散剤の体積に対して55体積%を超える水を含有する含水アルコール溶液、からなる群から選択される分散剤、
を含む又はそれらからなる。
【0076】
一実施形態では、組成物は、
A.メチルトリメトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、トリエトキシシラン、3,1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン、トリエトキシフェニルシラン、トリメトキシフェニルシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのシランと、
B.少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~3重量%の一塩基酸及び/又は多塩基酸から選択される、好ましくは少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~1重量%の範囲の量の塩酸である、触媒と、
水及び、直鎖の又は分岐鎖のC1~C4アルコールと分散剤の体積に対して55体積%を超える水を含有する含水アルコール溶液、からなる群から選択される分散剤、
を含む又はそれらからなる。
【0077】
一実施形態では、組成物は、
A.メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのシランと、
B.少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~3重量%の一塩基酸及び/又は多塩基酸から選択される、好ましくは少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~1重量%の範囲の量の塩酸である、触媒と、
水及び、直鎖の又は分岐鎖のC1~C4アルコールと分散剤の体積に対して55体積%を超える水を含有する含水アルコール溶液、からなる群から選択される分散剤、
を含む又はそれらからなる。
【0078】
一実施形態では、組成物は、
A.ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、トリエトキシシラン、(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン、(3-メルカプトプロピル)トリエトキシシラン、3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3-(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビス-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド、1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン、N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アニリン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミン、ビス-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、トリエトキシフェニルシラン及びトリメトキシフェニルシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ビニルトリメチルシラン、クロロビニルシラン、クロロジメチルビニルシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのシランと、
B.少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~3重量%の一塩基酸及び/又は多塩基酸から選択される、好ましくは少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~1重量%の範囲の量の塩酸である、触媒と、
C.少なくとも1つのシランの重量に対して0.30重量%~50重量%のフィラー組成物、ここで、フィラー組成物は、
c1.二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、フィロケイ酸塩、イノケイ酸塩、テクトケイ酸塩、タルカムパウダー、硫酸亜鉛、酸化マグネシウム、亜鉛フレーク、タルク、カオリン、アルバリン、ドロマイト、酸化セリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、及びそれらの混合物からなる群から選択される、好ましくは二酸化ケイ素である、少なくとも1つの無機フィラー、
及び/又は
c2.セルロース、ミクロフィブリル化セルロース、ナノフィブリル化セルロース、微結晶セルロース、デンプン、キチン、又はそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機フィラー、
を含む、と、
水及び、直鎖の又は分岐鎖のC1~C4アルコールと分散剤の体積に対して55体積%を超える水を含有する含水アルコール溶液、からなる群から選択される分散剤、
を含む又はそれらからなる。
【0079】
一実施形態では、組成物は、
A.ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、トリエトキシシラン、3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3-(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン、N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アニリン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミン、ビス-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、トリエトキシフェニルシラン、トリメトキシフェニルシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ビニルトリメチルシラン、クロロビニルシラン、クロロジメチルビニルシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのシランと、
B.少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~3重量%の一塩基酸及び/又は多塩基酸から選択される、好ましくは少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~1重量%の範囲の量の塩酸である、触媒と、
C.少なくとも1つのシランの重量に対して0.30重量%~10重量%のフィラー組成物、ここで、フィラー組成物は、
c1.二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、フィロケイ酸塩、イノケイ酸塩、テクトケイ酸塩、タルカムパウダー、硫酸亜鉛、酸化マグネシウム、亜鉛フレーク、タルク、カオリン、アルバリン、ドロマイト、酸化セリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、及びそれらの混合物からなる群から選択される、好ましくは二酸化ケイ素である、少なくとも1つの無機フィラー、
及び/又は
c2.セルロース、ミクロフィブリル化セルロース、ナノフィブリル化セルロース、微結晶セルロース、デンプン、キチン、又はそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機フィラー、
を含む、と、
水及び、直鎖の又は分岐鎖のC1~C4アルコールと分散剤の体積に対して55体積%を超える水を含有する含水アルコール溶液、からなる群から選択される分散剤、
を含む又はそれらからなる。
【0080】
一実施形態では、組成物は、
A.ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、トリエトキシシラン、3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3-(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン、トリエトキシフェニルシラン、トリメトキシフェニルシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ビニルトリメチルシラン、クロロビニルシラン、クロロジメチルビニルシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのシランと、
B.少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~3重量%の一塩基酸及び/又は多塩基酸から選択される、好ましくは少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~1重量%の範囲の量の塩酸である、触媒と、
c1.少なくとも1つのシランの重量に対して0.5重量%~3重量%、1重量%~3重量%、1.5重量%~3重量%の二酸化ケイ素、
及び/又は
c2.少なくとも1つのシランの重量に対して0.30重量%~10重量%、0.30重量%~5重量%、0.3重量%~1重量%、1重量%~5重量%の、典型的にはミクロフィブリル化セルロース、ナノフィブリル化セルロース、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機フィラーと、
水及び、直鎖の又は分岐鎖のC1~C4アルコールと分散剤の体積に対して55体積%を超える水を含有する含水アルコール溶液、からなる群から選択される分散剤、
を含む又はそれらからなる。
【0081】
一実施形態では、組成物は、
A.メチルトリメトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、トリエトキシシラン、3,1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン、トリエトキシフェニルシラン、トリメトキシフェニルシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのシランと、
B.少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~3重量%の一塩基酸及び/又は多塩基酸から選択される、好ましくは少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~1重量%の範囲の量の塩酸である、触媒と、
c1.少なくとも1つのシランの重量に対して0.5重量%~3重量%、1重量%~3重量%、1.5重量%~3重量%の二酸化ケイ素、
及び/又は
c2.少なくとも1つのシランの重量に対して0.30重量%~10重量%、0.30重量%~5重量%、0.3重量%~1重量%、1重量%~5重量%の、典型的にはミクロフィブリル化セルロース、ナノフィブリル化セルロース、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機フィラーと、
水及び、直鎖の又は分岐鎖のC1~C4アルコールと分散剤の体積に対して55体積%を超える水を含有する含水アルコール溶液、からなる群から選択される分散剤、
を含む又はそれらからなる。
【0082】
一実施形態では、組成物は、
A.メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのシランと、
B.少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~3重量%の一塩基酸及び/又は多塩基酸から選択される、好ましくは少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~1重量%の範囲の量の塩酸である、触媒と、
c1.少なくとも1つのシランの重量に対して0.5重量%~3重量%、1重量%~3重量%、1.5重量%~3重量%の二酸化ケイ素、
及び/又は
c2.少なくとも1つのシランの重量に対して0.30重量%~10重量%、0.30重量%~5重量%、0.3重量%~1重量%、1重量%~5重量%の、典型的にはミクロフィブリル化セルロース、ナノフィブリル化セルロース、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機フィラーと、
水及び、直鎖の又は分岐鎖のC1~C4アルコールと分散剤の体積に対して55体積%を超える水を含有する含水アルコール溶液、からなる群から選択される分散剤、
を含む又はそれらからなる。
【0083】
一実施形態では、組成物は、
C.メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのシランと、
D.少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~3重量%の一塩基酸及び/又は多塩基酸から選択される、好ましくは少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~1重量%の範囲の量の塩酸である、触媒と、
c1.少なくとも1つのシランの重量に対して0.30重量%~5.0重量%の範囲の量の二酸化ケイ素、
及び/又は
c2.少なくとも1つのシランの重量に対して0.30重量%~5.0重量%の範囲の量のミクロフィブリル化又はナノフィブリル化セルロースと、
水及び、直鎖の又は分岐鎖のC1~C4アルコールと分散剤の体積に対して55体積%を超える水を含有する含水アルコール溶液、からなる群から選択される分散剤、
を含む又はそれらからなる。
【0084】
一実施形態では、組成物は、
A.メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのシランと、
B.少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~3重量%の一塩基酸及び/又は多塩基酸から選択される、好ましくは少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~1重量%の範囲の量の塩酸である、触媒と、
c1.少なくとも1つのシランの重量に対して0.30重量%~5.0重量%の範囲の量の二酸化ケイ素、
及び/又は
c2.少なくとも1つのシランの重量に対して0.30重量%~5.0重量%の範囲の量のミクロフィブリル化又はナノフィブリル化セルロースと、
水及び、直鎖の又は分岐鎖のC1~C4アルコールと分散剤の体積に対して55体積%を超える水を含有する含水アルコール溶液、からなる群から選択される分散剤、
を含む又はそれらからなる。
【0085】
一実施形態では、組成物は、
A.メチルトリエトキシシラン及びメチルトリメトキシシランからなる群から選択される第1のシランと、トリメトキシシラン、トリエトキシシランからなる群から選択される第2のシランと、
B.少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~3重量%の一塩基酸及び/又は多塩基酸から選択される、好ましくは少なくとも1つのシランの重量に対して0.01重量%~1重量%の範囲の量の塩酸である、触媒と、
c1.少なくとも1つのシランの重量に対して0.30重量%~5.0重量%の範囲の量の二酸化ケイ素、
及び/又は
c2.少なくとも1つのシランの重量に対して0.30重量%~5.0重量%の範囲の量のミクロフィブリル化又はナノフィブリル化セルロースと、
水及び、直鎖の又は分岐鎖のC1~C4アルコールと分散剤の体積に対して55体積%を超える水を含有する含水アルコール溶液、からなる群から選択される分散剤、
を含む又はそれらからなる。
【0086】
有利なことに、本発明の組成物は、生分解性でない及び/又はリサイクル可能でないポリマーの不在を前提として、生分解性であり、リサイクル可能である。一実施形態では、この組成物は、プラスチックポリマーを含まない。一実施形態では、この組成物は、ポリアルキレン、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリビニルアリレン、ポリビニルエステル、ポリビニレン/アルキレンコポリマー、ポリアルキレンオキシド、又はそれらの組み合わせを含まない。一実施形態では、この組成物は、ラテックスを含まない。一実施形態では、この組成物は、ポリヒドロキシアルカノエート又はポリ乳酸などの生分解性プラスチックを含まない。
【0087】
基材をコートするための組成物の使用
第2の態様によれば、本発明は、基材をコートするための、上記実施形態のいずれか1つに記載の組成物の使用に関する。
【0088】
本出願の目的上、基材は、そのようなコーティング組成物でコートされるものであると意図される。一実施形態では、コーティング組成物でコートするのに適した基材は、セルロース含有又はセルロースベースの基材、金属基材、及びプラスチック基材からなる群から選択される。セルロースベースの基材とは、本質的にセルロースからなる、又は基材の重量に対して70重量%を超える、80%重量%を超えるセルロースを含有する基材を指す。
【0089】
一実施形態では、セルロース含有又はセルロースベースの基材は、紙、表面処理紙、グラシン紙、ボール紙、セルロース系支持体、低多孔性セルロース系支持体、及び木材からなる群から選択される。一実施形態では、セルロース含有又はセルロースベースの基材は、紙、表面処理紙、及びボール紙からなる群から選択される。
【0090】
本発明のコーティング組成物によるコーティング処理は、ムラがほとんどない均一なコーティングを提供する。
【0091】
紙又はボール紙などのセルロース含有基材をこの組成物で処理すると、得られるコーティングは、撥水性、防水性、撥油性を付与し、酸素バリア、水蒸気バリア、及びおそらく光バリア(UV、IR)などの他のバリアを少なくとも30%向上させる。
【0092】
好ましい実施形態によれば、複合材料でコートされる物品のセルロースベースの基材は、紙である。このような紙は有利なことに、
- 紙の第1の層と、
- コーティング組成物からなる、第1の層に付着する、少なくとも第2の層、
を含む、折りたたみ耐性を有する撥水性で撥油性のシートをもたらす。
【0093】
上記の好ましい実施形態に関して、紙上のこのコーティング組成物の利点は、それが特に可撓性であり、かつ例示されるもののような、そのバリア特性が、紙の最終的な折り畳みの後でも同じままであることである。
【0094】
金属は好ましくは、金属表面が酸化物膜によって保護される、不動態状態の金属の中から選択される。
【0095】
例えば、本発明の目的に適した金属は、鉄、鉄鋼、又はアルミニウムの中から選択される。
【0096】
好ましくは、基材が上に挙げたものからの金属、好ましくはアルミニウムであるとき、コーティング組成物のpHは、そのような金属を酸化し、かつその上に適切に付着できるように適合されてよい。この目的のために、コーティング組成物のpHの好ましい範囲は、2~4の範囲である。
【0097】
プラスチック基材は好ましくは、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、及びポリ塩化ビニル(PVC)の中から選択される。
【0098】
コーティング組成物から得られるコーティングは好ましくは、セルロースベースの基材、金属基材、又はプラスチック基材などの基材に十分に付着する。
【0099】
好ましくは、このような使用は、本明細書で説明する塗布方法によって可能になる。
【0100】
コーティング方法
したがって、第3の態様によれば、本発明は、 a)上で定義された基材を提供するステップと、
b)上記実施形態のいずれか1つに係るコーティング組成物を供給するステップと、
c)基材の少なくとも1つの表面にコーティング組成物を塗布して、複合材料でコートされた予備的な物品を得るステップと、
d)数日の間20℃~1分未満の間280℃の範囲の温度にて複合材料でコートされた予備的な物品を乾燥させて、複合材料でコートされた物品を得るステップ、
を含む、基材をコートするための方法に関する。
【0101】
コーティング組成物の溶液が、基材上にコートされる。
【0102】
複合材料でコートされた物品を得るために基材に塗布されると、上記コーティング組成物は、ヒドロゲルに変わる。特に、基材に塗布されると、上記コーティング組成物の溶液は、乾燥される。乾燥は、分散剤、直鎖の又は分岐鎖のC1~C4アルコールを適用可能ならば典型的には水、を蒸発させる及び実質的に除去するのに効果的である。
【0103】
乾燥するステップは、ゾルの凝縮及び硬化のために不可欠であり、基材と、好ましくはセルロースなどの基材のポリマーと架橋されたゲル又はヒドロゲルへとそれを変える。一実施形態では、基材とコーティング組成物の間のヒドロキシル基と、乾燥により誘導されるその後の加水分解の組み合わせは、基材とそのようなコーティング組成物、好ましくは紙とシリカ、の間に網目構造を生じる。好ましい実施形態では、乾燥は、紙基材と適合する温度で行われ、かつ経済的な乾燥時間に応じて、好ましくは約100℃~約200℃、好ましくは180℃である、約20℃~約280℃の範囲であり得る。
【0104】
本発明の範囲において、表面(又は側面)は、コーティング組成物でコートされる表面(又は側面)を指す。
【0105】
コーティング組成物のゾルが網目構造化すると、少なくとも1つの表面(又は側面)にコートされた、複合材料でコートされた物品は、コートされない基材よりも少なくとも80%、好ましくは約20%低い酸素透過率を有する。好ましくは、複合材料でコートされた物品は、ASTM D-3985により計算される約1500cm3/m2/日未満の酸素透過率を有する。
【0106】
基材は、乾燥時に基材上に実質的に亀裂のない層を提供する過剰でない厚さにて、緩和されたコーティング組成物の実質的に均一なコーティングでによりコートされる。コーティング組成物が乾燥すると、得られた緩和ポリマーコーティング組成物は、基材上で実質的に亀裂のない層を提供する。
【0107】
好ましくは、ステップ(c)で塗布されるコーティング組成物の量は、撥水性で撥油性の、ガスバリア性の、光バリア性のコーティング層を得るために、少なくとも2.0g/m2の乾燥コーティング重量を得るのに適する。
【0108】
好ましくはセルロースベースの基材上に広げられ乾燥された実質的に均一なコーティング組成物は、実質的に亀裂がなく、かつ主に粒子の存在又は不在に応じて、約10μm以下、好ましくは0.3μm以下の好ましい厚さを有するものである。
【0109】
このコーティング方法は、室温で効果的な酸素バリア及び水蒸気バリアコーティング、強力な耐熱性又は難燃性を保証し、紙、ボール紙、又は他のセルロース系支持体に水及び油をはじく能力を与える。本発明は、コーティング組成物、ゾル、及び塗布手順が紙又はボール紙の印刷、セルロース系支持体の折り畳み性又はリサイクル性に影響を及ぼさないため、以前の発明より優れている。さらに、本発明は、好ましくは最終のコートされたアイテムの唯一の非セルロース系成分が二酸化ケイ素であることからコーティング組成物、ゾル、及び塗布手順が元の基材の生分解性に影響しないため、以前の発明より優れている。
【0110】
好ましい実施形態によれば、基材は、その主表面の1つだけをコートされてよく、特に、188μm以下の、好ましくは160μm~188μmの範囲の厚さを有する、セルロース含有基材、好ましくは紙、が選択されるとき、コーティング組成物は、基材の主表面の1つにのみ塗布される。このようにして、コーティング組成物は、縁側でも撥水性および撥油性を達成することを可能にし、切断ライン上ならびに平面側で機能する。
【0111】
上記の厚さは、例示であり、それは、とりわけ、材料の多孔率、基材の比表面積及び相対湿度に大きく関係するため、160μm~188μmの範囲に限定されない。
【0112】
代替的な実施形態によれば、コートされる物品は、その主表面の両方でコートされ、特に、188μmより大きく最大で900μmの厚さを有する、セルロースベースの基材、好ましくは紙、が選択されるとき、コーティング組成物は、基材の主表面(又は側面)の両方に塗布される。両面コーティングは、紙の縁側の区域がほぼ均一なコーティング、したがってバリア特性を維持することを可能にする。本発明の好ましい実施形態、特に900μmを超える厚さを有するボール紙では、コーティングは、上述の技術的効果を達成するために縁にも塗布されるべきである。
【0113】
好ましい実施形態によれば、上記の塗布方法は好ましくは、水蒸気及び酸素に対する重要なバリアを有する、撥水性かつ撥油性のセルロースベースの基材、好ましくは紙、を作製するためである。好ましくは、基材は、紙である。
【0114】
紙基材は好ましくは、クラフト紙、上質紙、板紙、ライナ、グラシン紙、再生紙、MFCコート紙、及びパーチメント紙の中から選択される。
【0115】
塗布方法は、例えば、輪転グラビア印刷又はフレキソ印刷などの現在のコーティング機又は印刷機で、又は製紙機のサイジングセクションで、又は直接スプレーのような、あまり一般的ではない紙コーティング技術で印刷するのが容易な新しい複合材料でコートされた物品の製造を可能にする。これは、コーティング組成物のおかげで可能であり、その粘度特性は、例えばナノサイズシリカのサイズ及び/又はナノサイズシリカの量及び/又は少なくとも1つのシラン及び/又は界面活性剤としての無機又は有機粒子の種類及びモル比を変えることにより、5~5000cps(ASTM D445)で調整できる。
【0116】
別の実施形態において、本発明は、好ましくはシリカをベースとし、かつ噴霧又はサイズプレスでのデンプン浴の置換のような技術、又は製紙機の同じ区域でのあまり一般的でない直接噴霧コーティングを含む製紙機又はコーティング機での他のコーティング技術により作製される、このコーティング組成物を、特別な効果的な方法で塗布するための新しい方法を提供する。
【0117】
どちらの場合も、基材、好ましくはセルロースベースの基材、さらにより好ましくは紙は、元の未コートの基材の生分解性及びリサイクル性を保ちながら、高い耐熱性に加えて、水、グリース、酸素、水蒸気、水分、光、又はUV放射に対する重要なバリア特性を付与される。これらのすべては、ベースのコーティング組成物と前述の塗布方法の両方のおかげで、重金属又はプラスチックポリマーを使用しない。
【0118】
好ましくは製紙機で上記のコーティング組成物を塗布する利点は、紙を乾燥させる高い温度(およそ60℃)についてであり、後述するようにゾルの網目構造化を向上させる。
【0119】
基材は、好ましくは約10g/m2~30g/m2の湿潤製品、理想的には15g/m2から20g/m2の湿潤製品を塗布することによって、例えば、輪転グラビア印刷機などの印刷機でコートされ得る。
【0120】
印刷機は、およそ180℃、少なくとも75℃の温度に達する通風オーブンで典型的に構成される熱乾燥機を有する必要がある。これは、ゲル化のプロセスを開始する。好ましい実施形態によれば、乾燥機内の紙の長さは、少なくとも2メートル、理想的には20メートルを超えるべきである。
【0121】
その後、赤外線ランプ群が、コーティングの表面をおよそ200℃以上にして網目構造化を完了する。
【0122】
好ましい実施形態によれば、好ましい複合材料でコートされた物品となる、処理された紙はこのように、シリカと架橋されたその繊維を有し、水、グリース、油に対する重要なバリアを得て、かつ食品の保存に必要な酸素バリア(OTR)及び水蒸気バリア又は水分バリア(WVTR/MVTR)を向上し、紙包装が貯蔵寿命の点でプラスチック又はプラスチックでコートされた包装と競合することを可能にする。
【0123】
特定のタイプのセルロースベースの基材、好ましくはグラシン紙のような紙、又は低多孔性の他のセルロース系支持体では、Ra(共焦点)は4μm未満である。これらのバリア指標は、プラスチックフィルムに非常に近く、場合によってはさらにより良好である。
【0124】
好ましくは、これらのグラシン紙上で測定される接触角は、本発明により説明されるコーティング後に、150°を超える。これは、飲料容器などのための高い可能性のある適用を意味する。
【0125】
代替的な形態又は製造では、コーティング組成物は、光触媒をさらに含み得る。これらの光触媒は、セルロースベースの基材、好ましくは紙上に堆積されたゾルのフリーラジカル重縮合を活性化する。
【0126】
これは、熱乾燥機をUVランプに置き換えることを可能にし、複合材料でコートされた物品の製造中の速度を増加させ、かつエネルギー消費及び蒸気を減少させる。この構成は、大部分の印刷システムマシン(例えば、輪転グラビア、フレキソ印刷、グラビア印刷、インクジェット、オフセット、リソグラフィ、パッド印刷など)、又はシート給紙又はウェブ給紙の他の方法(サイズプレス、スプレーなど)と適合性がある。
【0127】
コーティング組成物のコーティング層のおかげで、紙は有利なことに、撥水性かつ撥油性及び他のバリア特性を示す。さらに、それが折り畳まれるときでも、折り畳まれた部分は、水バリア、油バリア、又はガスバリアの損失をほとんど経験しない又は損失は無視できるほどである。紙シートはしたがって、使い捨て包装、一次、二次、又は三次包装、使い捨て製品(コップ、ストロー、フォーク、皿など)、チョコレート及びスナックのベース紙及び包装紙、フライドポテト、フライドチキン、ドーナツ、冷凍食品、クラッカー、及びケーキの紙箱及び紙袋、及びハンバーガー及び揚げ物の包装紙を含む食品包装及び包装紙、或いはベルト、ペン、紙、ブラシ、スポンジ、石鹸、ねじ、電話、植物、マスクなどの他の非食品製品の包装紙での使用を見出す。
【0128】
本発明のさらなる目的は、特に包装又は使い捨て用途のために、水(すなわち、COBB又は水接触角)、グリース(すなわち、キット)、酸素(すなわち、OTR)、水蒸気(すなわち、WVTR/MVTR)、光又はUV放射に対する高いバリア特性、高い耐熱性(すなわち、R値)をもつ、上記の基材、好ましくはセルロースベースの基材を処理するための上記コーティング組成物を調製する方法である。
【0129】
本発明は、コーティング組成物及び塗布手順が基材、特にセルロースベースの基材の印刷に影響しないため、従来技術より優れている。さらに、本発明に係るコーティング組成物の塗布は、特にセルロースマトリクスで作製される場合、基材のリサイクルを妨げず、工業用製函機へのその適応を容易にする。他方で、この新しいコーティング組成物の塗布は、現在の印刷機及びコーティング機と適合性があり、好ましくは現在の製紙及び紙変換産業環境への適応を容易にする。
【0130】
好ましくは、コートされたセルロースベースの基材、例えば紙は、一次、二次、又は三次包装ならびに使い捨て用途に使用でき、これは、既存の方策の上記の欠点及び他の制限を解決する実現の方法を含む。
【0131】
複合材料でコートされた物品
第4の態様によれば、本発明は、
- セルロース含有基材、金属基材、又はプラスチック基材の中から典型的に選択される、好ましくはセルロース含有基材である、前述の基材からなる第1の層と、
- 上記実施形態のいずれか1つに係るコーティング組成物を含む少なくとも第2の層、
を備える複合材料でコートされた物品に関する。
【0132】
一実施形態では、複合材料でコートされた物品は、本発明のコーティング方法による基材のコーティングにより得ることができる又は直接得られる。
【0133】
一実施形態では、複合材料でコートされた物品は、複合材料でコートされた予備的な物品である。
【0134】
一実施形態では、複合材料でコートされた物品は、複合材料でコートされた(乾燥された)物品である。乾燥ステップ(d)が、コーティング組成物の分散剤を除去することを理解されたい。したがって、複合材料でコートされた物品は、
- セルロース含有基材、金属基材、又はプラスチック基材の中から典型的に選択される、好ましくはセルロース含有基材である、前述の基材からなる第1の層と、
- 前述のコーティング組成物の成分A、B、及び随意的にC及び/又はDのコーティング組成物を含む少なくとも第2の層、
を備える。
【0135】
本発明の複合材料でコートされた物品はしたがって、あらゆる液体成分(水、油など)を包装の内側又は外側に保持でき、汚染又は漏れを回避する。
【0136】
コーティング組成物はまた、重要なガスバリアを付与し、水蒸気バリア(WVTR)、水分バリア(MTR)、及び酸素バリア(OTR)などの紙の元の特性を30%~90%向上させる。
【0137】
前述のように、複合材料でコートされた物品の好ましい実施形態は、基材として、好ましくはセルロースベースの基材、最も好ましくは紙、を含む。好ましくは紙に基づく、複合材料でコートされた物品は、一次、二次、又は三次包装又は使い捨て用途(コップ、ストロー、フォーク、皿など)のためのコートされたセルロース系支持体の真の生分解性及びリサイクル性の元の特性と併せて、電子レンジとの十分な適合性を残しながら、より高い耐熱性を有する。
【0138】
特に、コーティング組成物の紙上の堆積は、好ましくはシリコーン、水酸化物基に基づきかつ有機、鉱物、又は無機フィラー(又は粒子)の分散をさらに含む、粘稠な液体コーティングをもたらす。好ましくは、コーティング組成物である、シリカをベースとした技術で作製されたこの粘稠な液体は、乾燥され網目構造化すると、好ましくは紙又はボール紙上に被覆層を形成し、より詳細には、紙又はボール紙の繊維に含浸してセルロース系支持体に完全に化学的に付着するようになる。
【0139】
いわゆるコーティング組成物である、シリコーンベースの材料のこの化学付着層は、非晶質及び不活性であり、任意のコートされた基材、好ましくはセルロースベースの基材、さらにより好ましくはコート紙を不浸透性にすることができ、したがって、それは、水、グリース、酸素、水蒸気、及びUV光に対する強いバリアを有し得る、ならびにセルロース系支持体の耐火性及び耐熱性を大幅に向上させ、一方でセルロース系コーティング基材のすべての典型的なリサイクル性及び生分解性特性を維持する。
【0140】
セルロースベースの基材を含む複合材料でコートされた物品、好ましくは紙又はボール紙、を次いで、包装又は他の使い捨て用途のために(ウェブ又はシートで)使用できる(上記参照)。好ましい実施形態によれば、この方法でコートされたいくらかの紙は、いくらかのプラスチックフィルムに近い又はそれより良好なOTR(酸素透過率)及びWVTR(水蒸気透過率)並びにCobb(吸水性)のような他のバリア指標を達成でき、又はプラスチックフィルム又は他のコートされた紙又はコートされない紙よりもはるかに良好なR値(断熱-特定のタイプの断熱材が熱流にどれだけ耐えられるかを測定するのに用いられる値)を達成できる。そのようなセルロースベースの基材、好ましくはコート紙又はボール紙、はまた、断熱材、ベーキングペーパー、熱成形皿、ストロー、又は他の使い捨ての紙ベースのアイテムなどの他のタイプの用途のために加工業者に供給できる(ウェブ又はシートで)。
【0141】
コーティング組成物の塗布にもかかわらず、得られるコートされた紙は依然として、リサイクル可能で、生分解性で、及び印刷可能である。
【0142】
コーティング組成物を調製するための方法
第5の態様によれば、本発明は、
i.混合物を得るために、分散剤中に成分(A)、(B)、及び随意的に(C)及び/又は(D)を分散させるステップと、
ii.コーティング組成物を得るために、5~5000cpsの粘度が得られるまで及び室温に達するまで、ステップ(i)から得られた混合物を攪拌するステップ、
を含む、上記実施形態のいずれか1つに係るコーティング組成物を調製するための方法に関する。
【0143】
緩和組成物が、シラン(A)を加水分解及び架橋することにより形成される。
【0144】
一実施形態では、ステップ(i)は、成分(A)を成分(B)と混合すること、次いで、随意的に成分(C)及び/又は(D)と混合すること、次いで、このようにして得られた混合物を分散剤中に分散させることを含む。一実施形態では、ステップ(i)は、成分(A)を成分(C)と、随意的に成分(D)と混合すること、次いで、成分(B)と混合すること、次いで、このようにして得られた混合物を分散剤中に分散させることを含む。
【0145】
加水分解は、成分(A)のいくつかの又はすべてのアルコキシ基が触媒(B)によりヒドロキシル基に変換されるときに起こる発熱反応であり、コーティングプロセス中に、上記に挙げたものからの基材の表面に塗布されると、これらのヒドロキシル基は、そのような基材、好ましくはセルロースベースの基材、さらにより好ましくは紙基材の上で重合及び架橋して、上記複合材料でコートされた物品を与えることに留意されたい。
【0146】
本発明の範囲に関して、室温(RT)は、約23℃~約30℃の範囲、好ましくは25℃~27℃の範囲であり、さらにより好ましくは25℃に等しい。同じ目的で、「温度が通常に戻るまで」という表現は、室温に達するまでを意味する。
【0147】
上記の成分は、好ましくは磁気法、レイネリ法、超音波法、又はロータ・ステータ法により、激しく攪拌される必要がある。
【0148】
加水分解の発熱反応は、攪拌を開始してから数分又は数時間後に始まる。反応は、効果的なゾルを生成するために、室温に達するまで及び5~5000cps、好ましくは10~2000cpsの粘度が得られるまで行われる。これは普通は、室温及び成分量に応じて、約3時間~約2日かかる。100gの最終的な質量には40℃で4時間かかる。
【0149】
特に明記しない限り、本明細書の文脈において、粘度値は、透明及び不透明液体の動粘度に関する標準試験法D445方法(D445-17a)により測定される。
【0150】
本発明の1つの好ましい実施形態では、コーティング組成物のシラン(A)が熟成し加水分解が(B)により起こると、それは次いで、(C)と混合され、典型的には分散剤で希釈される。この添加は、粘度を増加させ、コーティングシリンダへの付着力を向上させ、かつ必要とされるコーティング組成物の量を減少させる。熟成したコーティング組成物の好ましい粘度は、好ましくは約100cps~約5000cps、好ましくは約100~約1000cpsの範囲であり、最も好ましくは約500cpsである。得られた緩和ゾルコーティング組成物は、可視の有機フィラー又は成分(C)粒子を実質的に含まない。従来のプロセスは本質的に、可視の粒子を含むコーティングをもたらし、酸素透過率又は水蒸気透過率の顕著な向上はない。
【0151】
本発明の別の好ましい実施形態では、成分(B)がセルロース、ミクロフィブリル化セルロース、微結晶セルロース、デンプン、キチン、及びそれらの混合物からなる群から選択される有機フィラーを含むとき、成分(C)のそのような有機フィラーが、加水分解反応が始まる前に添加されてよい。この場合、そのような有機フィラーは、自己組織化するヒドロキシル基により作られたメッシュと部分的に架橋される。有機フィラー粒子、好ましくは粉末の形態のセルロース又はミクロフィブリル化セルロース又は微結晶セルロースは、加水分解の発熱反応の前に添加されている。好ましい粘度は、約100cps~約5000cps、好ましくは約100~約1000cpsの範囲であり、最も好ましくは約500cpsである。
【0152】
実施例
本発明は、以下の実施例によってさらに例示される。
【0153】
以下の実施例では、シラン(A)を、エタノール/水の溶液に溶解し、シラン対水対シリカのモル比を、20/10/1から20/9/2に変化させた。溶液を、濃ルイス酸又はHCl及びルイス酸で加水分解する。次いで、溶液を、2600~3200cPの粘度(ブルックフィールド#4スピンドル@50rpm)へと初期反応物質のモル比に応じて3~7日間ねかせる。この時点で、ゲルを、水/エタノールの混合物又はエタノールで1~5cPの粘度に希釈する。48ゲージPETにコートする前に、ルイス酸又は金属アセトアセトネート(AcAc)を、添加する。コーティングを、#7又は#32巻線ロッドを使用して塗布するか又は浸漬コートする。サンプルを、風乾する。
【0154】
実施例1
加水分解を、1.5グラムのナノサイズシリカ、10グラムの水、21.6グラムのトリメチルエトキシシラン、0.1グラムの濃塩酸、及び0.3グラムのルイス酸FeCl3を混合することにより実施した。溶液を、室温に達するまで及び溶液の粘度が100~1000cpsになるまで、したがっておよそ18~24時間後まで攪拌した。溶液中に粒子の目に見える兆候はなかった。溶液は、目で見て透明であり、10cPの粘度を有した。溶液を、巻線ロッドで48ゲージの紙フィルム上にコートし、熱風乾燥させた(75℃)。乾燥されたフィルムの厚さは、0.4ミクロンと推定され、SEM顕微鏡写真は、フィルムの亀裂を示さない。相対湿度(RH)0%での得られた酸素透過率(OTR)は、2000cm3/m2/日であり、23℃で相対湿度(RH)50%での水蒸気透過率(WVTR)は、69cm3/m2/日であった。
【0155】
実施例2
加水分解を、2.75グラムのナノサイズシリカ、10グラムの水、21.6グラムのトリメチルエトキシシラン、0.35グラムのルイス酸FeCl3を混合することにより実施した。溶液を、常温に戻るまで及び溶液の粘度が10~100cpsになるまで、およそ18~24時間攪拌した。溶液中に粒子の目に見える兆候はなかった。溶液は、目で見て透明であり、20cpsの粘度を有した。溶液を、巻線ロッドでグラシン紙の両面にコートし、風乾した(75℃)。乾燥されたフィルムの厚さは、0.6ミクロンと推定され、SEM顕微鏡写真は。折り畳み後のフィルムの亀裂を示さない。相対湿度(RH)0%での得られた酸素透過率(OTR)は、1500cm3/m2/日であり、23℃で相対湿度(RH)50%での水蒸気透過率(WVTR)は、69cm3/m2/日であった。OTRは、コートされないサンプルと比較して、82%向上し、WVTRは、51%向上した。
【0156】
実施例3
加水分解を、10グラムの水に分散された2.75グラムのナノサイズのシリカ、界面活性剤(非イオン)とともに5グラムの水に分散された0.2グラムのセルロース、21.6グラムのトリメトキシメチルシラン、及び0.35グラムのルイス酸FeCl3を混合することにより実施した。溶液を、ゆっくりと攪拌しながら18~24時間以内で、常温に戻るまで及び溶液の粘度がおよそ10~100cpsになるまで攪拌した。溶液中に粒子の目に見える兆候はなかった。溶液は、目で見て透明であり、20cpsの粘度を有した。溶液を、巻線ロッド(1インチあたり120線)でグラシン紙の両面にコートし、風乾した(75℃)。乾燥されたフィルムの厚さは、0.6ミクロンと推定され、SEM顕微鏡写真は、折り畳み後のフィルムの亀裂を示さない。相対湿度(RH)0%での得られた酸素透過率(OTR)は、1500cm3/m2/日であり、23℃で相対湿度(RH)50%での水蒸気透過率(WVTR)は、89cm3/m2/日であった。OTRは、コートされないサンプルと比較して、82%向上し、WVTRは、51%向上した。
【0157】
本発明は、セルロース系の基材がコーティング組成物で処理される場合、十分にリサイクル可能であり、再パルプ化後の紙の粗大リジェクトを5%未満に維持し、世界で最も厳しい規制に準拠しているので、以前の発明より優れている。
【0158】
実施例4-バリアの表
バリア試験用のサンプルを、平坦な紙の両面に、表1に記載のようにコートすることにより作製した。サンプルは、両主表面がコートされた92gsmのグラシン紙シートであった。上述の表面処理紙の酸素バリア、水蒸気バリア、及びグリースバリアに関するバリア特性を、前述のシリコーンベースのコーティングのグラビア印刷により得た。
【表1】
【0159】
酸素透過率(OTR)を、ASTM D3985(23℃、相対湿度0%)に基づく標準手順を使用して測定した。
【0160】
水蒸気透過率(WVTR)を、ASTM E-96(23℃、相対湿度50%)に基づく標準手順を使用して重量測定法で測定した。
【0161】
グリースバリアを、T559 Tappi-12=塗布される最もアグレッシブな溶液を使用して測定した。
【国際調査報告】