(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-06
(54)【発明の名称】包装材料ウェブの特徴を検出及び追跡する方法。
(51)【国際特許分類】
B65H 26/02 20060101AFI20231129BHJP
B65B 57/00 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
B65H26/02
B65B57/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533324
(86)(22)【出願日】2021-11-25
(85)【翻訳文提出日】2023-07-10
(86)【国際出願番号】 EP2021082958
(87)【国際公開番号】W WO2022117425
(87)【国際公開日】2022-06-09
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391053799
【氏名又は名称】テトラ ラバル ホールディングス アンド ファイナンス エス エイ
【住所又は居所原語表記】70 Avenue General Guisan,CH-1009 Pully,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100151105
【氏名又は名称】井戸川 義信
(72)【発明者】
【氏名】ボレッリ、ガブリエーレ
【テーマコード(参考)】
3F105
【Fターム(参考)】
3F105AA00
3F105AB00
3F105BA37
3F105DA57
3F105DB11
3F105DC05
(57)【要約】
包装材料のウェブ(102)から距離(d)の位置に配置された第1のキャパシタ(106)を使用して、包装材料のウェブ(102)の特徴を検出及び追跡する方法(600)が提供される。方法(600)は、包装材料(102)のウェブのセクションを第1の位置(p)に供給し(S602)、セクションが第1のキャパシタ(106)の誘電特性に影響を与えること、時点(t)において、第1のキャパシタ(106)の静電容量を測定し(S604)、静電容量に基づいて、時点(t)における第1のキャパシタ(106)を通過するセクションの特徴を決定する(S612)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装材料のウェブ(102)から距離(d)の位置に配置された第1のキャパシタ(106)を使用して、前記包装材料のウェブ(102)の特徴を検出及び追跡する方法(600)であって、前記方法(600)は、
包装材料(102)のウェブのセクションを第1の位置(p)に供給し(S602)、前記セクションが前記第1のキャパシタ(106)の誘電特性に影響を与えること、
時点(t)において、前記第1のキャパシタ(106)の静電容量を測定し(S604)、
前記静電容量に基づいて、前記時点(t)における前記第1のキャパシタ(106)を通過するセクションの特徴を決定する(S612)、
方法(600)。
【請求項2】
前記時間(t)の時点で、第2の位置(p’)における第2のキャパシタ(302)の静電容量を測定し(S606)、前記第2の位置(p’)は、前記第1の位置(p)の下流に位置し、
前記第1のキャパシタ(106)の静電容量と、前記第2のキャパシタ(302)の静電容量との差として、差動静電容量を決定する(S608)、
ことをさらに備え、
前記時点(t)における前記第1のキャパシタ(106)を通過する区間の特徴を決定するステップ(S612)は、前記差動静電容量に基づく、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のキャパシタ(106)の第1のキャパシタプレートは、前記第2のキャパシタ(302)の第2のキャパシタプレートに接続されている、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ロール供給式包装機のローラーが前記第1のキャパシタに対向して配置され、前記静電容量を測定するステップ(S604)が、前記ウェブが前記ローラーに接触している状態で実行される、
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記測定の時点(t)を用いて、前記特徴を追跡し(S614)、
前記特徴の存在に基づいて、前記ロール供給式包装機の装置の設定を適合させる(S616)、
ことをさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記キャパシタ(106、302)と前記ウェブ(102)との間の距離(d)に影響を与えるウェブ(102)の振動を決定する(S610)し、
前記特徴量を決定するステップ(S608)において、前記振動を補償する、
ことをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記キャパシタ(106、302)と前記包装材料のウェブ(102)との間の距離(d)が2~5mmである、
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記キャパシタ(106、302)が平面キャパシタである、
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記特徴は、包装材料のウェブ(102)の厚さに関連している、
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記特徴は、前記包装材料の2つの端部の間のスプライスである、
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記特徴は、材料が包装材料のウェブに追加された、又は包装材料のウェブから除去された領域(402)である、
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ロール供給式包装機における包装材料のウェブ(102)の特徴を検出し、追跡するための構成(700)であって、
第1のキャパシタ(702)と、
キャパシタ測定ユニット(704)と、
プロセッサ(708)とメモリ(710)とを含む制御ユニット(706)と、を備え、
前記制御ユニット(706)は、前記第1のキャパシタ(702)に通信可能に接続されており、
前記制御ユニット(706)は、
前記包装材料のウェブ(102)から距離(d)に置かれた第1のキャパシタ(702)に既知の量の電荷を注入するように、キャパシタンス測定ユニットに要求を送り、
前記包装材料のウェブ(102)のセクションが第1の位置(p)に供給され、前記セクションが第1のキャパシタ(702)の誘電特性に影響を与えるようになったことを示す指示を受け取り、
前記キャパシタ測定ユニットによって、時点(t)において、前記第1のキャパシタ(702)のキャパシタンスを測定し、
前記静電容量に基づいて、前記時点(t)における前記第1のキャパシタ(702)を通過する区間の特徴を決定する、
ことを備える、構成(700)。
【請求項13】
第2のキャパシタ(712)をさらに備え、
前記制御ユニット(706)は、
前記キャパシタ測定ユニット(704)によって、前記時点(t)で、第2の位置(p’)における第2のキャパシタ(712)の静電容量を測定し、前記第2の位置(p’)は、第1の位置(p)よりも上流に位置し、
前記第1のキャパシタ(702)のキャパシタンスと、前記第2のキャパシタ(712)のキャパシタンスとの差として、差動静電容量を決定する、
ことを備え、
前記時点(t)において前記第1のキャパシタ(702)を通過する区間の特徴を判定するステップが、前記差動静電容量に基づく、
請求項12に記載の構成。
【請求項14】
ロール供給式包装機(800)であって、
包装材料(102)のロールを受け取るためのリール受け(802)と、
前記包装材料(102)のウェブのチューブ(806)を形成するための長手方向のシール装置(804)と、
前記チューブ(806)内に製品(810)を充填するための製品充填パイプ(808)と、
前記製品(810)が充填されたパッケージ(814)を前記チューブ(806)から形成するための横方向シール装置(812)と、
請求項10~13のいずれかに記載のロール供給式包装機における包装材料のウェブの特徴を検出し追跡するための構成(700)と、
を備えるロール供給式包装機(800)。
【請求項15】
前記制御ユニット(706)は、前記特徴が前記ロール供給包装機全体で追跡されるように、前記ロール供給包装機の制御システムに通信可能に接続され、
前記ロール供給式包装機の制御システムは、追跡される特徴に基づいて、前記ロール供給式包装機の1つ又は複数のデバイスの設定を適応させるように構成される、
請求項14に記載のロール供給包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装技術に関する。より詳細には、包装材料のウェブの特徴を検出及び追跡するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、食品業界では、食品の製造にロール供給式包装機が一般的に使用されている。このような機械では、パッケージの包装材料は、包装材料のリール上に提供される。リールから巻き取ることによって、包装材料のウェブが形成され、機械に供給され、形成され、製品が充填され、個々のパッケージが作成される。
【0003】
連続生産を可能にするために、いわゆる自動スプライシングユニット(ASU)が使用される。ASUを使用することにより、第1のリールを第2のリールに交換する際に、第1のリールから形成されたウェブを第2のリールからのウェブに接合できるため、第1のリールを第2のリールに交換するために生産を停止する必要がなくなる。2つのウェブの間の取り付け部分は、ASUスプライス又は単にスプライスと呼ばれる。
【0004】
ASUスプライスを含む個々のパッケージは廃棄する必要があるため、包装材料のウェブ上のこのようなスプライスを検出するためのシステムは、多くの場合、包装機に組み込まれている。
【0005】
現在、多くのロール供給式包装機で採用されているスプライス検出のソリューションは、包装材料上で回転するベアリングと、そのベアリングを所定の位置に維持するレバーシステムが採用されている。ベアリングがスプライス上を通過するたびに、ベアリングは上下に動く。この動きはレバーシステムによって増幅され、スプライスの存在を検出できる。
【0006】
このようなソリューションがあるにもかかわらず、信頼性が高くコスト効率の高い方法で、ウェブのスプライスやその他の類似した特徴をさらによく検出できる、改良されたソリューションが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上述した従来技術の限界の1つ以上を少なくとも部分的に克服することである。特に、包装材料のウェブの特徴を検出及び追跡するための改善された方法を提供することが目的である。
【0008】
包装材料のウェブの誘電特性に依存することにより、スプライスなどの特徴を検出するための改良された方法を達成できることが認識されている。ウェブが一部を構成するキャパシタの静電容量の変化を識別することによって特徴を検出してもよく、この変化に基づいて特徴を検出できる。
【0009】
第1の態様によれば、包装材料のウェブから距離(d)の位置に配置された第1のキャパシタを使用して、包装材料のウェブの特徴を検出及び/又は追跡する方法が提供される。本方法は、
包装材料のウェブのセクションを第1の位置(p)に送り、そのセクションが第1のキャパシタの誘電特性に影響を与える、
時点(t)において、第1のキャパシタの静電容量を測定し、
前記静電容量に基づいて、時点(t)における第1のキャパシタを通過するセクションの特徴を決定する、
ことを備える。
【0010】
包装材料は、複数の層で構成されてもよい。包装材料は、板紙層を含んでもよい。さらに、包装材料は、アルミニウム箔等の金属層を含んでもよい。
【0011】
特徴という用語は、ウェブの包装材料における異常を示してもよい。特徴の存在は、プロセスを最適化又は変更するために、生産ラインを通じて検出及び追跡することに関連してもよい。
【0012】
静電容量を測定するステップは、第1のキャパシタに既知の量の電荷を注入し、第1のキャパシタの2つのプレート上の電圧を測定することを備えてもよい。
【0013】
特徴を決定するステップは、特徴が包装材料のウェブのセクションに存在するかどうかを決定することを含んでもよい。別の言い方をすれば、特徴を決定するステップは、多数の事前設定された特徴のうちの1つが包装材料のウェブのセクションに存在するか否かを決定してもよい。さらに、特徴を決定するステップは、複数の事前設定された特徴のうち、どの特徴がセクションに存在するかを決定してもよい。
【0014】
包装材料のウェブのセクションは、第1のキャパシタの誘電体媒体に影響を与えるウェブの一部を指してもよい。後続のセクションは、前のセクションと部分的に重なってもよい。重なりの量は、包装材料のウェブの速度、及び静電容量測定の時間間隔に依存してもよい。
【0015】
提案された方法の利点は、包装材料のウェブに物理的に接触することなく、特徴を検出できることである。これは、包装材料の殺菌が重要であるため、食品安全の観点から有利であると考えられる。さらに、カメラベースのシステムとは異なり、キャパシタは視線を必要としない。この効果は、固体樹脂の堆積等のハウジング、コーティング等で保護できることである。牛乳やその他の食品、及び/又は蒸気が存在する可能性があるため、これは動作信頼性の面で有利である。
【0016】
さらに、提案された方法は、レバーとベアリングによる解決策とは対照的に、可動部分がないという点で有利であることが判明している。そのため、より信頼性の高いソリューションとなり、誤検出の可能性が低くなる。
【0017】
さらに、ウェブとの接触を必要としないため、装飾、すなわちウェブの印刷に悪影響を与えないという効果もある。
【0018】
本方法は、時点(t)において、第2の位置(p’)における第2のキャパシタの静電容量を測定することをさらに含んでもよく、第2の位置(p’)は、第1の位置(p)の下流に位置してもよい。さらに、本方法は、第1のキャパシタのキャパシタンスと、第2のキャパシタのキャパシタンスとの間の差として、差動静電容量を決定することを含んでいてもよい。時点(t)で第1のキャパシタを通過する区間の特徴を決定するステップは、差動静電容量に基づいてもよい。
【0019】
第2キャパシタの静電容量を測定するステップは、第2キャパシタに既知の量の電荷を注入し、第2キャパシタの2つのプレート上の電圧を測定することを含んでもよい。
【0020】
下流という用語は、包装材料のウェブの方向に関連して解釈されるべきである。別の言い方をすれば、包装材料のウェブのセクションは、最初に第1の位置(p)に到達し、次に第2の位置(p’)に到達する。
【0021】
第2のキャパシタは、第1のキャパシタから離間距離(d’)で配置されてもよい。離間距離(d’)は、特徴が、第2の位置(p’)に同時に存在することなく、第1の位置(p)に存在することができるものであってもよい。
【0022】
静電容量の差動測定を使用する利点は、測定からのノイズを除去することができることである。
【0023】
第1キャパシタの第1キャパシタプレートは、第2キャパシタの第2キャパシタプレートに接続されてもよい。別の言い方をすれば、第1及び第2のキャパシタは相互接続されてもよい。これにより、第1及び第2のキャパシタが同じ量の電荷で励起されることが保証され、差動静電容量を測定する際に有利になり得る。さらに、必要なコネクタが1つ少なくなり、同じデバイスによって励起され得るので、回路基板の構造を単純化することができる。さらに、相互接続された一対のキャパシタを有することは、静電容量の測定を同時に行うことができる点で有利である。
【0024】
ロール供給式包装機のローラーは、第1のキャパシタに対向して配置されてもよく、静電容量を測定するステップは、ウェブがローラーに接触している状態で実行されてもよい。別の言い方をすれば、静電容量を測定するステップは、ロール給紙式包装機のローラーにおける第1の位置(p)を用いて実行されてもよい。又、ローラーの直前又は直後の位置に配置してもよい。すなわち、第1のキャパシタはこの領域に配置される。この領域で静電容量を測定する利点は、包装材料のウェブの振動が、典型的にはこの領域で小さく、ローラーから離れるほど高くなることである。
【0025】
本方法は、測定の時点(t)を用いて、特徴を追跡すること、特徴の存在に基づいてロール供給式包装機のデバイスの設定を適応させること、をさらに含んでもよい。別の言い方をすれば、いつ、どこで特徴が検出されたのかを知ることによって、その特徴を処理ライン全体にわたって追跡することができる。これは、例えば、特徴が存在する場合に包装機の装置の設定を適合させる必要がある場合に有利となる。
【0026】
装置という用語は、本明細書では、ロール供給式包装機のサブシステムとして解釈され得る。非限定的な例として、包装材料を滅菌するためのシステム、パッケージを密封するためのシステム、又はパッケージに製品を充填するためのシステムであってもよい。
【0027】
本方法は、キャパシタとウェブとの間の距離(d)に影響を与えるウェブの振動を決定することをさらに含んでもよい。さらに、特徴を決定するステップは、振動を補償することを含んでもよい。これは、特徴のより正確な決定が達成され得るという点で有利である。さらに、ウェブの異常な振動が検出され、包装機内で何らかの問題があることを示す可能性もある。
【0028】
振動は機械の別の部分によって決定されてもよく、特徴を決定する際にこれらが考慮されてもよい。又、距離の変化の結果である可能性が高い静電容量の規則的な変化を検出することにより、第1のキャパシタ自体が振動を決定することも可能である。
【0029】
キャパシタと包装材料のウェブとの間の距離(d)は、2~5mmであってもよい。
【0030】
キャパシタは、平面キャパシタであってもよい。これは、包装材料のウェブがキャパシタを通過するのとは対照的に、キャパシタを包装材料のウェブの片側に配置することができるという点で利点となり得る。これにより、複雑さが軽減され、包装材料のウェブがキャパシタにはまり込む危険性が減少する。
【0031】
特徴は、包装材料のウェブの厚さに関連してもよい。別の言い方をすれば、包装材料のウェブの厚さの変化に関連してもよい。
【0032】
特徴は、包装材料の2つの端の間のスプライスであってもよい。スプライスは、包装材料の新しいロールと終了間際のロールを接合する際に生じる。又、包装材料のウェブの一部が取り除かれたときに、そのウェブを加工することによっても生じる。
【0033】
スプライスは、包装材料が重なっているため、ウェブの他の部分よりも厚みがあると理解すべきである。
【0034】
あるいは、特徴は、包装材料のウェブに材料が追加された、又は包装材料のウェブから除去された領域であってよい。このような特徴は、包装材料の1つ以上の層が取り除かれたプレラミネートホール(PLH)であってもよい。
【0035】
第2の態様によれば、ロール供給式包装機における包装材料のウェブの特徴を検出し追跡するための構成が提供される。この構成は、
第1のキャパシタと、
キャパシタの測定部と、
プロセッサとメモリとを含み、前記キャパシタに通信可能に接続された制御ユニットと、を備え、
前記制御ユニットは、
包装材料のウェブから距離(d)に置かれた第1のキャパシタに既知の量の電荷を注入する要求を静電容量測定ユニットに送信し、
包装材料のウェブの一部分が第1の位置(p)に供給され、その部分が第1のキャパシタの誘電特性に影響を与えることを示す指示を受け取り、
キャパシタ測定ユニットによって、ある時点(t)で、第1のキャパシタのキャパシタンスを測定し、
前記静電容量に基づいて、前記時点(t)における前記第1のキャパシタを通過する区間の特徴を判定する、
ことを備える。
【0036】
前記配置は、第2のキャパシタをさらに含んでもよく、前記制御ユニットは、
キャパシタ測定ユニットによって、時点(t)で、第2の位置(p’)における第2のキャパシタの静電容量を測定し、第2の位置(p’)は、第1の位置(p)よりも上流に位置し、
前記第1のキャパシタの静電容量と、前記第2のキャパシタの静電容量との差として、差動静電容量を決定する、
こと備え、
前記時点(t)において前記第1のキャパシタを通過する区間の特徴を判定するステップは、前記差動静電容量に基づくものであってよい。
【0037】
第3の態様によれば、ロール供給式パッケージングマシンが提供される。ロール供給式包装機は、包装材料のウェブの特徴を検出及び追跡するために有効であり得る。ロール供給式包装機は、
包装材のロールを受け取るためのリール受け台と、
前記包装材料のウェブのチューブを形成するための長手方向のシール装置と、
前記チューブ内に製品を充填するための製品充填チューブと、
製品で満たされたパッケージをチューブから形成するための横方向シール装置と、
第2の態様による、ロール供給包装機における包装材料のウェブの特徴を検出し追跡するための構成と、
を備える。
【0038】
ロール供給式包装機は、廃棄ユニットをさらに備えてもよい。廃棄ユニットは、パッケージを廃棄するように構成されてもよい。
【0039】
制御ユニットは、特徴がロール供給式包装機全体にわたって追跡され得るように、ロール供給式包装機の制御システムに通信可能に接続されてもよい。ロール供給式包装機の制御システムは、追跡される特徴に基づいて、ロール供給式包装機の1つ又は複数のデバイスの設定を適応させるように構成されてもよい。
【0040】
本発明のさらに他の目的、特徴、態様及び利点は、以下の詳細な説明から、又図面から明らかであろう。ある態様に関して説明された同じ特徴及び利点は、明示的に別段の記載がない限り、他の態様にも適用可能である。
【課題を解決するための手段】
【0041】
本発明の実施形態は、例として、添付の概略図を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図2a】キャパシタを包装材料のウェブの近くに配置した場合の2つの異なるシナリオを示す図である。
【
図2b】キャパシタを包装材料のウェブの近くに配置した場合の2つの異なるシナリオを示す図である。
【
図3a】2つのキャパシタが包装材料のウェブの近くに配置された場合の2つの異なるシナリオを示す図である。
【
図3b】2つのキャパシタが包装材料のウェブの近くに配置された場合の2つの異なるシナリオを示す図である。
【
図4】2つのキャパシタを包装材料のウェブに近接して配置した場合のシナリオを示す図である。
【
図6】包装材料のウェブの特徴を検出し追跡する方法のフローチャートである。
【
図7】ロール供給式包装機において包装材料のウェブの特徴を検出し追跡するための配置を示す概略図である。
【0043】
図は限定的なものと考えるのではなく、説明や理解のために使用される。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、添付図面を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載された実施形態に限定して解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、徹底性及び完全性を目的として、又、当業者に本発明の範囲を十分に伝えるために提供される。
【0045】
図1は、包装材料のウェブ102に対するキャパシタ106の配置を示す。包装材料のウェブ102の特徴を検出するためにキャパシタ106の静電容量を測定する場合、キャパシタ106の好適な配置は、ローラー104に関連してもよい。この領域では、ウェブ102の振動又は揺動は、例えば、2つのローラーの間よりも小さい。キャパシタは、包装材料102のウェブがローラー104と接触する屈曲部に沿って配置できるように、ローラー104と同じ直径で湾曲してもよい。矢印は、包装材料のウェブの移動方向を示す。
【0046】
図2aは、包装材料102のウェブから距離dに配置されたキャパシタ106を断面図で示している。
図2aに示すシナリオでは、キャパシタの下の、位置pに特徴的な特徴は存在しない。距離dは2~5mmであってもよい。キャパシタ106を包装材料102のウェブにどれだけ近づけることができるかは、ウェブがどれだけ振動するかに依存し得る。距離dは、包装材料102のウェブがキャパシタ106に触れることができないように十分に大きくする必要がある。これは、キャパシタ106又は包装材料102のウェブのいずれかに損傷を与える可能性があるためである。さらに、距離dは、包装材料102のウェブがキャパシタ106の誘電特性に影響を与える領域を通って供給されるように、十分に小さくすべきである。距離が近いほど、その効果はより明確である。
【0047】
誘電特性は、包装材料のウェブ102とキャパシタ106との間の距離によって影響される。又、空気の体積が同じ体積の包装材料で置き換えられ、包装材料が空気とは異なる誘電特性を有するため、材料のウェブの厚さによって影響されることもある。
【0048】
距離dは、
図2bに例示されるように、包装材料の厚さに依存し得る。
図2bは、包装材102のウェブから
図2aと同じ距離dに配置されたキャパシタ106を断面図で示している。
図2bに示すシナリオでは、キャパシタ106の下、位置pにスプライスの形をした特徴が存在する。スプライスの形成方法によって、ウェブの一部が距離dよりもキャパシタ106の近くに到達する。
【0049】
ここで、包装材料102のウェブは、
図2aの場合と比較して、若干傾いている。その理由は、スプライスの形成方法によるものである。スプライスの周囲の小さな領域を見る場合、この方がより正確な図となり得る。包装材料のウェブ102を遠くから見ると、ウェブ102は、
図2aのようにキャパシタ106に対してほぼ平行である。スプライスがどのように形成され、スプライスの隣に配置されたウェブのセクションがどのように影響されるかは、包装材料に依存する。
【0050】
スプライスは、包装材料の独立した2つのリール間の接合部となる。包装機の通常の操作では、自動スプライシングユニット(ASU)内の2つのリールのうち1つが終了しようとするときに、スプライスを作成する必要がある。代替案として、スプライスはドクタースプライスであってもよい。このようなスプライスは、包装材料のウェブの一部を取り除かなければならないときに形成する。ドクタースプライスは、ウェブの一部を取り除くことによって生じた2つの端部を結合するために形成する。このように、スプライスは、2つの端部間の接合により、包装材料のウェブのより厚い部分として見える。
図2bのシナリオの静電容量を測定すると、ウェブの厚い部分のために、
図2aのシナリオよりも高い値が得られる可能性がある。
【0051】
包装材料が重なり合うため、スプライスにおける包装材102のウェブの厚みが増すと、包装材料102のウェブが距離dよりも小さい距離でキャパシタ106を通過する場合がある。包装材料が厚いほど、包装材料102のウェブはキャパシタ106に近くなる。
【0052】
誘電特性は、スプライスによる厚さの増加により距離dが減少することのみならず、第1のキャパシタ106の近傍により多くの包装材料が設けられること、すなわち包装材料が2層設けられることにも影響され得る。
【0053】
図3a及び
図3bは、それぞれ
図2a及び
図2bの2つのシナリオを示すが、位置pの第1のキャパシタ106に加えて、位置p’の第2のキャパシタ302を有する。第1及び第2のキャパシタ106、302は、ここでは、包装材料102のウェブから同じ距離dに配置される。さらに、第1及び第2のキャパシタ106、302は、互いから離間距離d’に配置される。離間距離d’は、特徴が第1又は第2のキャパシタ106、302のいずれかの静電容量に異なる影響を与えることができるように、十分に大きくてもよい。効果として、差動静電容量は、特徴の存在を明確に示すことができる。例えば、離間距離d’は、10mmであってもよい。
【0054】
特徴は、本明細書に例示するように位置pで検出されるか、又は、特徴が上流に移動したときに位置p’で検出されるかのいずれかであってもよい。
【0055】
図4は、第1及び第2のキャパシタ106、302によって検出される異なるタイプの特徴を示している。この特徴は、材料が包装材料102のウェブに追加された、又は包装材料102のウェブから除去された領域402であってもよい。ここでは、特徴は、材料が除去された領域402として図示されている。このような領域402は、プレラミネートホール、PLH、すなわちカートン層が除去された領域であってもよい。PLHは、後にキャップ又は他の開封装置によって覆われてもよい。別の代替案は、ウェブ102をパッケージに折り畳むための折り目線であってもよい。折り目線は、弱化線とも呼ばれることがあるが、包装材料が圧縮された領域であってもよい。線として形成されたこれらの領域を有することにより、ウェブの折り畳みが容易になり、意図しない折り畳みが発生するリスクを低減できる。
【0056】
図5は、一例として、第1及び第2のキャパシタ106,302を備える構成500を示す。第1及び第2のキャパシタ106、302は、本明細書では、インターディジタル平面キャパシタ(interdigital planar capacitors)として図示される。相互接続されたキャパシタのプレートは、複数のサブプレートを有してもよい。それぞれ10個のサブプレートが図示されているが、サブプレートの数は異なってもよい。
【0057】
一般的なキャパシタの物理的形状や構造は、大きく異なる場合がある。しかし、典型的なキャパシタは、2つの導電体を形成する2枚のプレートを備える。2つのプレートは、典型的には、誘電体媒体によって分離されている。
図5において提案された実施形態では、第1及び第2のキャパシタ106、302は、互いに接続されている第1及び第2のプレートを備え、したがって、共通プレート504を形成する。第1及び第2のキャパシタ106、302は、それぞれ第3及び第4のプレート502、506をさらに含んでおり、各キャパシタは、誘電媒体によって分離された2つのプレートを備える。
【0058】
第1及び第2のキャパシタ106、302の誘電媒体は、周囲の空気及び包装材料102のウェブなどの材料の体積によって形成することができる。
【0059】
あるいは、共通プレート504は、各キャパシタ106,302に1つずつ、すなわち2つのプレートに分離されてもよい。
【0060】
製造コストと複雑さを抑えるため、プレートは標準的なフレキシブルプリント回路基板(PCB)として製造できる。
【0061】
第1及び第2のキャパシタ106、302は、特徴によって引き起こされる静電容量の変動を最大化するために、検出される特徴の幅に対応する幅wを有してもよい。非限定的な例として、幅wは、10~20mm、より好ましくは、16mmであってもよい。
【0062】
各プレート502、504、506は、キャパシタを電荷源に接続するための励磁コネクタ508a~cを備えてもよい。
【0063】
前述したように、2つのキャパシタを持つことで、差動容量を求めることが可能となる。特徴が存在する場合の静電容量の変化は、フェムトファラド(femtofarads)の範囲になることがある。したがって、差動静電容量を使用してノイズを除去することは有利であり、コモンモードノイズ、キャパシタとウェブの間の距離の変化、ウェブの動き、異なるタイプの包装材料、支持構造、ローラーに対して方法を堅牢にすることができる。
【0064】
図6は、包装材料102のウェブから距離dの位置に配置された第1のキャパシタ106を用いて、包装材料102のウェブの特徴を検出し追跡するための方法600のステップを示すフローチャートである。
【0065】
第1のステップS602において、包装材料102のウェブのセクションが第1の位置pに供給され、そのセクションが第1のキャパシタ106の誘電特性に影響を与える。
【0066】
第2のステップS604において、時間tの時点における第1のキャパシタ106の静電容量が測定される。
【0067】
第3ステップS612において、測定された静電容量に基づいて、時間tの時点で第1のキャパシタ106を通過するセクションの特徴を決定する。
【0068】
オプションとして、第4のステップS606において、第2のキャパシタ302の静電容量は、第2の位置p’において時間tの時点で測定されてもよい。第2の位置p’は、第1の位置pの下流に位置してもよい。言い換えれば、第1及び第2のキャパシタ106、302の静電容量は、同じ時点で測定されるが、ウェブの異なるセクションで測定される。したがって、2つのキャパシタは、異なる誘電媒体にさらされてもよい。
【0069】
オプションとして、第5ステップS608において、差動静電容量が、第1のキャパシタ106の容量と第2キャパシタ302の容量の間の差として決定されてもよい。
【0070】
なお、時間tの時点で第1のキャパシタ106を通過するセクションの特徴を決定するステップS612は、差動静電容量に基づいてもよい。
【0071】
静電容量を測定するステップS604は、ロール給紙式包装機のローラーにおける第1の位置pを用いて実行してもよい。
【0072】
オプションとして、第6ステップS614において、測定の時間tを用いて、特徴を追跡してもよい。
【0073】
オプションとして、第7ステップS616において、ロール供給式包装機の装置の設定を、特徴の存在に基づいて適合させてもよい。
【0074】
オプションとして、第8のステップS610において、キャパシタ106、302とウェブ102との間の距離dに影響を与えるウェブ102の振動が決定されてもよい。特徴を決定するステップS608において、決定された振動を補償してもよい。
【0075】
特定の順序で説明されていたとしても、異なるステップは他の順序で実行されてもよく、又複数回実行されてもよい。例えば、包装材料のウェブは、ウェブの任意のセクションで特徴を検出することができるように、キャパシタを通過して連続的に供給してもよい。この方法は、ウェブの後続のセクションで特徴を検出できるように、後続の時点t’で繰り返されてもよい。ウェブの後続のセクションは、ウェブの速度や、前の時点と後続の時点の間の時間間隔の長さによって、前のセクションと部分的に重なってもよい。
【0076】
図7は、ロール供給式包装機における包装材料のウェブ102の特徴を検出し追跡するための構成700の概略図である。この構成は、第1のキャパシタ702と、静電容量測定ユニット704と、キャパシタ702に通信可能に接続され、プロセッサ708及びメモリ710を含む制御ユニット706と、を備える。メモリは、プロセッサが実行するための命令を保持してもよい。制御ユニットは、静電容量測定ユニット704に、包装材料102のウェブから距離dの位置に置かれた第1のキャパシタ702に既知の量の電荷を注入する要求を送信し、包装材料102のウェブのセクションが第1の位置pに供給されたという指示を受信するように構成されている、このセクションが第1のキャパシタ702の誘電特性に影響を与えるように、静電容量測定ユニット704によって、時間tの時点で、第1のキャパシタ702の静電容量を測定し、静電容量に基づいて、時間tの時点で第1のキャパシタ702を通過するセクションの特徴を決定する。
【0077】
構成700は、第2のキャパシタ712をさらに含んでもよい。制御ユニット706は、静電容量測定部704によって、時点tにおいて、第2の位置p’における第2のキャパシタ712の静電容量を測定し、第2の位置p’が第1の位置pの上流に位置し、第1のキャパシタ702の静電容量と、第2のキャパシタ712の静電容量との差として、差動静電容量を決定する構成を備えてもよく、時点tにおいて第1のキャパシタ702を通るセクションの特徴を決定するステップが差動静電容量に基づく。
【0078】
この構成は、既存のロール供給式包装機のアップデートキットとして提供してもよい。
【0079】
図8は、ロール供給式包装機800の概略図である。ロール供給式包装機800は、包装材料102のロールの特徴を検出し追跡することが可能である。ロール供給式包装機800は、包装材料102のリールを受け取るためのリール受け802と、包装材料102のウェブのチューブ806を形成するための縦方向シール装置804と、チューブ806に製品810を充填するための製品充填チューブ808と、チューブ806から製品810を充填したパッケージ814を形成するための横方向シール装置812と、
図7において説明した、ロール供給式包装機における包装材料のウェブの特徴を検知し追跡する構成700と、を備える。ロール供給式包装機800は、構成700を備える任意の一般的なロール供給式包装機であってもよい。この構成は、好ましくは、
図1に示されるように、包装機のローラーと関連して提供されてもよい。
【0080】
構成700は、包装機800の一体的な部分として設置されてもよいが、後の時点でアップグレードキットとして設置してもよい。さらに、図示されていないが、構成700は、配置のプログラムコードを必要に応じて更新できるように、又、特徴にリンクされた参照データを配置によって検索できるように、リモートサーバに接続されてもよく、それによって、例えば、新しいタイプの包装材料が使用される場合に、構成700を更新することが可能となる。さらに、構成700をリモートサーバに接続させることにより、データを収集し、他の同様の構成から取得された同様のデータと組み合わせることができる。そうすることで、例えばML又はAIアルゴリズムを使用することによって、参照データを継続的に改善することができる。
【0081】
ロール供給包装機800は、特定のパッケージを廃棄するための廃棄ユニット816をさらに含んでもよい。例えば、ASUスプライス又はドクタリングスプライスがウェブで検出された場合、機械を通して追跡してもよい。ウェブから形成され、ASUスプライス又はドクタリングスプライスを含んでいるパッケージは、廃棄される。念のため、このパッケージの前後にある複数のパッケージも廃棄される。構成700によって可能になるトレーサビリティの向上により、廃棄されるパッケージの数を減少できる。
【0082】
制御ユニット706は、ロール供給式包装機800全体にわたって特徴を追跡できるように、ロール供給式包装機800の制御システムに通信可能に接続されてもよい。さらに、ロール供給式包装機800の制御システムは、追跡される特徴に基づいてロール供給式包装機800の1つ又は複数のデバイスの設定を適応させてもよい。一例として、パッケージ内にスプライスが存在する場合、縦方向シールのためにより多くの電力が供給されることがある。1層だけでなく2層の包装材料を有することは、信頼性の高いシールを提供するために、より多くの電力、すなわち追加の加熱を必要とする。言い換えると、スプライスが存在するときを機械が知っていれば、これを補償するために縦方向シール装置804の設定を変更することができる。さらに、スプライスを含むパッケージ814は、食品安全上の理由から廃棄されなければならない場合がある。一般的には、スプライスを構成するパッケージの前後のパッケージも1つずつ廃棄する。この場合も、スプライスを追跡することにより、廃棄ユニット816は、どのパッケージ814を廃棄すべきかを知ることができる。
【0083】
以上の説明から、本発明の様々な実施形態を説明し、図示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、以下の請求項に定義される主題の範囲内で他の方法で具体化することも可能である。
【国際調査報告】