(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-07
(54)【発明の名称】メンソールと香味剤が添加されたカートリッジおよびこれを含むエアロゾル生成システム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/42 20200101AFI20231130BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20231130BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20231130BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/20
A24F40/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501608
(86)(22)【出願日】2022-10-31
(85)【翻訳文提出日】2023-01-18
(86)【国際出願番号】 KR2022016778
(87)【国際公開番号】W WO2023075533
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】10-2021-0148015
(32)【優先日】2021-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ヨン ジューン
(72)【発明者】
【氏名】グワク、ヒョ ミン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジェ ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】ジン、スン ジン
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB14
4B162AB23
4B162AC17
(57)【要約】
本発明は、エアロゾル生成物質を含む液状保存部および前記エアロゾル生成物質からエアロゾルを発生させる霧化器を含み、前記エアロゾル生成物質は、メンソール、香味剤、プロピレングリコール(PG)および植物性グリセリン(VG)を含む、カートリッジおよびこれを含むエアロゾル生成システムを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成物質を含む液状保存部および前記エアロゾル生成物質からエアロゾルを発生させる霧化器を含む、カートリッジであって、
前記エアロゾル生成物質は、メンソール、香味剤、プロピレングリコール(PG)および植物性グリセリン(VG)を含む、カートリッジ。
【請求項2】
前記香味剤は、ミント、チョコレート、ココア、コーヒー、甘草、コリアンダー、バニリン、エチルバニリン、マルトール、エチルマルトール、ユーカリプトール、酢酸(Acetic acid)、呼吸フレッシュナー(breath freshener)香、香辛料、ベルガモット油、ゼラニウム油、レモン油、オレンジ油、ライム油、グレープフルーツ油、ミント油、生姜油、イソ甘味剤(isosweet)、果物香成分、およびタバコ香からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記エアロゾル生成物質のうち、メンソールの含有量は0.5~4.0重量%であり、植物性グリセリン(VG)の含有量は80~59重量%である、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記エアロゾル生成物質のうち、メンソール以外の香味剤の含有量は10重量%以下である、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記霧化器は、エアロゾル生成物質を吸収する液体送達手段およびエアロゾルを発生させるヒーターを含む、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項6】
タバコ媒質部、せん断プラグおよびフィルター部を含むエアロゾル生成スティック、カートリッジおよびエアロゾル生成装置を含むエアロゾル生成システムであって、
前記タバコ媒質部は、メンソール、香味剤、プロピレングリコール(PG)および植物性グリセリン(VG)を含み、
前記カートリッジは、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のカートリッジであり、
前記エアロゾル生成装置は、エアロゾル生成スティック収容溝および前記エアロゾル生成スティックを加熱する加熱部を含むものである、エアロゾル生成システム。
【請求項7】
前記エアロゾル生成装置は、さらにバッテリー、制御部、および感知器を含むものである、請求項6に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項8】
前記タバコ媒質部は、香味剤を担持する担持体を含む、請求項6に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項9】
前記せん断プラグは、セルロースアセテートフィルター、紙フィルターまたは高分子物質からなるフィルターである、請求項6に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項10】
前記エアロゾル生成システムは、非燃焼加熱式である、請求項6に記載のエアロゾル生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メンソールと香味剤が添加されたカートリッジおよびエアロゾル生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、タバコは、双子葉植物目ナス科の多年生草木を言うが、最近では、タバコの葉をシガレットペーパーで包み、一側にフィルター部が構成され、喫煙を目的に製造された製品を通称したりする。そのようなタバコは、全世界的に数千種に至り、多様な様態や形態でもって市場に出回っている。
【0003】
そのうちでも、シガレット、葉巻、パイプタバコのように、火を付けて吸う燃焼式タバコの場合、煙にニコチンが含まれたエアロゾル以外に、タール、ニトロアミン、炭化水素、一酸化炭素のような成分が多く含まれている。
【0004】
そのような燃焼式タバコの短所を補うための代案として、シガレットを燃焼させてエアロゾルを生成させる方法ではなく、シガレットまたはカートリッジ内のエアロゾル生成物質が加熱されることによってエアロゾルが生成される方法が広く利用されており、それへの需要が増加している。それにより、加熱式(非燃焼式)シガレットまたは加熱式(非燃焼式)エアロゾル生成システムに対する研究が活発に進められている。
【0005】
具体的には、エアロゾル生成システムは、従来、燃焼式タバコと類似した形態を有し、加熱式(非燃焼式)シガレット内、あるいは、カートリッジ内のエアロゾル生成物質を、ヒーターや超音波振動のような方式を介して加熱することにより、エアロゾルを含む主流煙を生成するので、喫煙者の喫煙欲求を満足させる機能を果たしながらも、タールのような成分の排出を最小化させることができる長所があり、通常の燃焼式シガレットを代替する新たな市場を形成している。
【0006】
一方、非燃焼式(heat-not-burn)タバコの場合、従来の煙草形態のシガレットに比べてパフを持続するほどニコチン移行量が減少し、タバコ味と霧化量が減少するにつれて喫煙者に満足感を提供できない問題点がある。また、スティック内のメンソールやそれ以外の香味剤などを添加することもあるが、このような場合にもメンソール、香味の強度がPuffするほど低下し、タバコの香りと味の持続性を維持しにくいという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】大韓民国公開特許公報第10-2021-0042744号(2021.04.20.)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これにより、上記のような既存技術の問題点および/または限界点を克服するために、本発明は、メンソールと香味剤の両方を含むカートリッジおよびこれを含むエアロゾル生成システムを提供することを目的とする。
【0009】
しかし、本発明が解決しようとする課題は、上記で言及した課題に制限されず、言及されていない他の課題は、以下の記載から該当技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施例によれば、エアロゾル生成物質を含む液状保存部および前記エアロゾル生成物質からエアロゾルを発生させる霧化器を含む、カートリッジであって、
前記エアロゾル生成物質は、メンソール、香味剤、プロピレングリコール(PG)および植物性グリセリン(VG)を含むことを特徴とする、カートリッジを提供する。
【0011】
一側によれば、タバコ媒質部、せん断プラグおよびフィルター部を含むエアロゾル生成スティック、カートリッジおよびエアロゾル生成装置を含むエアロゾル生成システムであって、
前記タバコ媒質部は、メンソール、香味剤、プロピレングリコール(PG)および植物性グリセリン(VG)を含み、
前記カートリッジは、メンソール、香味剤、プロピレングリコール(PG)および植物性グリセリン(VG)を含有するエアロゾル生成物質を含む液状保存部および前記エアロゾル生成物質からエアロゾルを発生させる霧化器を有するカートリッジであり、
前記エアロゾル生成装置は、エアロゾル生成スティック収容溝および前記エアロゾル生成スティックを加熱する加熱部を含むものである、エアロゾル生成システムを提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一側面による、メンソール、香味剤、プロピレングリコール(PG)および植物性グリセリン(VG)を含むエアロゾル生成物質を含むカートリッジおよび/またはこれを含むエアロゾル生成システムを用いる場合、喫煙時、Puffごとに均一なメンソールおよび香味が移行され、味の持続性を向上させることができ、スティックおよびカートリッジの様々な組み合わせによって様々な喫煙経験が可能であり、使用者の満足感を向上させることができる。
【0013】
本発明の効果は、上記の効果に限定されるものではなく、本発明の詳細な説明または特許請求の範囲に記載された発明の構成から推論可能な全ての効果を含むものと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1a】エアロゾルに存在するメンソール(Menthol In Aerosol;MIA)を1.10mg/stickを有するスティックと同等な程度のMIAを有するカートリッジのメンソール含量(%)を示すグラフである。
【
図1b】カートリッジのメンソール含量によるカートリッジのグリセリン(VG)含量を示すグラフである。
【
図2a】メンソールを2.6%含有したスティックおよびメンソールを含有せず、VGを80%含有したカートリッジを適用した対照群(左)と、メンソールを含有しないスティックおよびVGを60%含有し、メンソールを3.6%含有したカートリッジを適用した実験群(右)とを比較して、エアロゾルにおけるニコチン含量の差を示すグラフである。
【
図2b】メンソールを2.6%含有したスティックおよびメンソールを含有せず、VGを80%含有したカートリッジを適用した対照群(左)と、メンソールを含有しないスティックおよびVGを60%含有し、メンソールを3.6%含有したカートリッジを適用した実験群(右)とを比較して、エアロゾルにおけるグリセリン含量の差を示すグラフである。
【
図2c】メンソールを2.6%含有したスティックおよびメンソールを含有せず、VGを80%含有したカートリッジを適用した対照群(左)と、メンソールを含有しないスティックおよびVGを60%含有し、メンソールを3.6%含有したカートリッジを適用した実験群(右)とを比較して、エアロゾルにおけるメンソール含量の差を示すグラフである。
【
図3a】メンソールを7mg/stick含むスティックおよび無加香カートリッジを適用した#1と、メンソールを7mg/stick含むスティックおよびメロン香(3.6%)を含むメロンカートリッジを適用した#2とを比較して、Puffごとにグリセリンの含量変化を示すグラフである。
【
図3b】メンソールを7mg/stick含むスティックおよび無加香カートリッジを適用した#1と、メンソールを7mg/stick含むスティックおよびメンソール(3.6%)とメロン香(3.6%)を含むメロンカートリッジを適用した#2とを比較して、Puffごとにメンソールの含量変化を示すグラフである。
【
図4】本発明の一実施例によるカートリッジおよびエアロゾル生成装置を含むエアロゾル生成システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照して実施例を詳細に説明する。しかし、実施例には様々な変更が加えられるので、特許出願の権利範囲は、これらの実施例によって制限または限定されるものではない。実施例に対するすべての変更、均等物または代替物は、権利範囲に含まれるものと理解されなければならない。
【0016】
実施例で使用した用語は、ただ、説明を目的として使用されたものであり、限定しようとする意図として解釈されるべきではない。単数の表現は、文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」または「有する」というような用語は、明細書上に記載された特徴、数、段階、動作、構成要素、部品、またはそれらの組み合わせが存在するということを指定するものであり、1またはそれ以上の他の特徴や数、段階、動作、構成要素、部品、またはそれらの組み合わせの存在または付加の可能性をあらかじめ排除するものではないと理解されなければならない。
【0017】
別途の定義がない限り、技術的および科学的用語を含めて、本明細書で使用されるすべての用語は、実施例が属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有している。一般的に使用される辞書に定義されている用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有するものと解釈されなければならず、本出願において明白に定義されていない限り、理想的にまたは過度に形式的な意味として解釈されない。
【0018】
なお、添付図面を参照して説明するにあたって、図面符号にかかわらず同一の構成要素は同一の参照符号を付し、これに対する重複する説明は省略する。実施例を説明するにあたって、関連した公知技術についての具体的な説明が実施例の要旨を不要に濁す恐れがあると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0019】
また、実施例の構成要素を説明するにあたって、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を用いることができる。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものであるだけで、その用語によって該当構成要素の本質や順番、または順序などが限定されない。
【0020】
いずれかの実施例に含まれる構成要素と、共通の機能を含む構成要素は、他の実施例において同じ名称を用いて説明する。反対の記載がない限り、いずれかの実施例に記載の説明は他の実施例にも適用することができ、重複する範囲で具体的な説明は省略する。
【0021】
本発明の一実施例によれば、エアロゾル生成物質を含む液状保存部および前記エアロゾル生成物質からエアロゾルを発生させる霧化器を含み、前記エアロゾル生成物質は、メンソール(menthol)、香味剤、プロピレングリコール(PG)および植物性グリセリン(VG)を含むカートリッジを提供する。
【0022】
既存のエアロゾル生成スティック(シガレット)内にメンソールと香味剤とを添加する場合、メンソールおよび香味の強度がPuffするほど減少するのに対し、カートリッジ内にメンソールと香味剤とを添加する場合には、一定の温度に加熱して持続的に均一なメンソールおよび香味が移行できるため、喫煙者が味の持続性を向上させることができるという効果がある。
【0023】
一方、前記カートリッジに含まれる香味剤の種類としては、ミント、チョコレート、ココア、コーヒー、甘草、コリアンダー、バニリン、エチルバニリン、マルトール、エチルマルトール、ユーカリプトール、酢酸(Acetic acid)、呼吸フレッシュナー(breath freshener)香、香辛料、ベルガモット油、ゼラニウム油、レモン油、オレンジ油、ライム油、グレープフルーツ油、ミント油、生姜油、イソ甘味剤(isosweet)、果物香成分、およびタバコ香からなる群より選ばれる1つ以上であってもよく、前記並べられた種類に限定されるものではない。
【0024】
カートリッジは、エアロゾル生成物質を含む液状保存部と、前記エアロゾル生成物質からエアロゾルを発生させる霧化器を含むものであって、前記液状保存部に含まれるエアロゾル生成物質は、一般にプロピレングリコール(PG)および植物性グリセリン(VG)のうち、少なくとも1つを含むことができ、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールおよびオレイルアルコールのうち、少なくとも1つをさらに含むこともでき、ニコチン、水分および香味剤のうち、少なくとも1つを含むことができる。
【0025】
しかし、本発明においては、前記エアロゾル生成物質は、メンソール(menthol)、香味剤、プロピレングリコール(PG)および植物性グリセリン(VG)を含むことができ、このように、メンソールとプロピレングリコール(PG)および植物性グリセリン(VG)がカートリッジにすべて含まれる場合は、既存のエアロゾル生成スティックに添加される場合とは異なり、プロピレングリコールおよび植物性グリセリンの割合に一定の制約が従うことになり、それらの割合はメンソールがカートリッジに添加されるのに非常に重要な役割を果たすことになる。
【0026】
具体的には、プロピレングリコール(PG)は、その特性上、メンソールとよく混ざることができるが、植物性グリセリン(VG)はメンソールとよく溶解できず、温度の影響を受けて温度が低いほどメンソールを含有した液状のエアロゾル生成物質が流動性を持たず、凝固する現状がひどく現れる。したがって、このようなメンソールと、プロピレングリコール(PG)および植物性グリセリン(VG)の特性上、VG含量によってメンソールの含有量が定められ、その結果は、表1、
図1aおよび
図1bに示す通りである。
【0027】
本願に記載の表1、
図1aおよび
図1bを検討すると、メンソールとVGは一定温度で溶解できる程度が定められている点で、メンソールの含有率によってVGの含有率が変化することが確認でき、これを通じて単純計算したとき、エアロゾルに存在するメンソール(Menthol In Aerosol;MIA)を1.10mg/stickを有する既存のエアロゾル生成スティックと同等な程度のMIAを有するためには、カートリッジのメンソール含有率は5.3%であり、それによるVGの含有率は55.6%でなければならないことがわかる。
【表1】
【0028】
しかし、一般液状エアロゾル生成システム(液状電子タバコ)とは異なり、エアロゾル生成スティックを挿入するハイブリッド型の場合には、カートリッジで発生したエアロゾルがスティック内のフィルターリングとなるため、豊富な霧化量を提供するためには既存の液状電子タバコに対して植物性グリセリン(VG)含量がさらに高くなければならず(80%以上)、メンソールおよび香味剤もまたエアロゾル生成スティック内でフィルターリングされるので、適正含量を選定することが重要である。
【0029】
したがって、表1、
図1aおよび
図1bに示すように、植物性グリセリン(VG)の含有率を55.6%(メンソール含有率5.3%)とすることは、霧化量を決定する要素である植物性グリセリン(VG)の含量が低いので、ハイブリッド型エアロゾル発生装置においては不適である。
【0030】
このような点を考慮すると、本発明の一実施例によるカートリッジに含まれるメンソールの含有量は0.5~4.0重量%であることが好ましく、これによる植物性グリセリン(VG)の含有量は80重量%~59重量%であることが好ましい。
【0031】
もし、植物性グリセリン(VG)の含有量が80重量%を超える場合には、下記表2に示すように、温度25℃および相対湿度60%の場合に、粘度が約500cPを超えるようになり、カートリッジの液状保存部に含まれるエアロゾル生成物質は、液状形態ではなく、ゲルのようなどろりとした形状で存在することになり、エアロゾル生成が難しくなる可能性があり、温度および湿度変化による保管上の困難も現れる。
【0032】
さらに、前記植物性グリセリン(VG)の含有量が59重量%未満である場合、十分な霧化量のエアロゾルを発生させることができず、喫煙者の喫煙満足度が低下するという問題点が現れる。
【0033】
下記表2の結果を得るために、本発明者は、600mlビーカーに試料400mlを満たした後、蓋を密封し、以後3時間25℃乾燥機の中で調和した後、粘度計(BROOKFILED VISCOMETER(DV2TRVTJ0))を用いて粘度を測定した。その結果を下記の表に示す。
【表2】
【0034】
一方、カートリッジのエアロゾル生成物質に含まれる、メンソール以外の香味剤の含有量は、10重量%以下であることが好ましく、3~8重量%であることがより好ましい。
【0035】
前記含有量が10重量%を超える場合には、香味剤を溶解させるためのPGの含量が増加するにつれて、VGの含量が相対的に低下することになり、霧化量の性能が低下するという問題点が発生する。
【0036】
一方、本願発明のさらに他の実施例によれば、タバコ媒質部、せん断プラグおよびフィルター部を含むエアロゾル生成スティック、カートリッジおよびエアロゾル生成装置を含むエアロゾル生成システムであって、
前記タバコ媒質部は、メンソール、香味剤、プロピレングリコール(PG)および植物性グリセリン(VG)を含み、
前記カートリッジは、メンソール、香味剤、プロピレングリコール(PG)および植物性グリセリン(VG)を含有するエアロゾル生成物質を含む液状保存部および前記エアロゾル生成物質からエアロゾルを発生させる霧化器を有するカートリッジであり、
前記エアロゾル生成装置は、エアロゾル生成スティック収容溝および前記エアロゾル生成スティックを加熱する加熱部を含むものである、エアロゾル生成システムを提供する。
【0037】
この場合、前記カートリッジは、前述したように、メンソールを0.5~4.0重量%含有し、植物性グリセリン(VG)を80~59重量%含有するものであってもよく、メンソール以外の香味剤を10重量%以下で含有するものであってもよい。
【0038】
本発明における「エアロゾル生成システム」は、使用者の口を通じて使用者の肺に直接吸入可能なエアロゾルを発生させるために、エアロゾル発生基材を用いてエアロゾルを発生させる装置を意味することができる。エアロゾル生成システムは、直接燃焼ではなく電気エネルギーで間接加熱する非燃焼式タバコ物品であって、非燃焼式タバコ物品には加熱式と非加熱式タバコ物品が存在し、本発明の場合、加熱式タバコに使用されることが好ましい。加熱式タバコ物品の場合、電気エネルギーを介して加熱された周囲の空気を吸い込んでエアロゾルを発生させ、そのようなエアロゾルが使用者に吸入された後に放出される方式によって喫煙が行われるようにする物品であることができ、例えば、液状カートリッジとシガレットとをともに用いるハイブリッド型エアロゾル発生装置を含むことができ、他にも様々な類型のエアロゾル発生装置がさらに含まれ、本開示の範囲は上記述べた例示に限定されるものではない。
【0039】
さらに、エアロゾル生成スティックは、タバコ媒質部、せん断プラグおよびフィルター部を含むことができ、前記タバコ媒質部に、本発明の一実施例により、メンソールおよび香味剤が含まれる。
【0040】
エアロゾル発生基材は、1つ以上のエアロゾル生成物質を含む液状組成物を意味することができる。例えば、エアロゾル生成物質は、プロピレングリコール(PG)および植物性グリセリン(VG)のうち、少なくとも1つを含むことができ、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールおよびオレイルアルコールのうち、少なくとも1つをさらに含むこともできる。さらに、エアロゾル発生基材は、ニコチン、水分および香味剤のうち、少なくとも1つを含むことができる。
【0041】
一方、下記表3および
図3a~
図3bは、本発明の一実施例により、メンソールおよび香味剤を含むエアロゾル生成スティックと、メンソールおよび香味剤を含むカートリッジ(メロンカートリッジ)を含むエアロゾル生成システム(実施例)を、メンソールおよび香味剤を含むエアロゾル生成スティックと、無加香カートリッジを含むエアロゾル生成システム(比較例)とを比較し、Puffごとにグリセリンおよびメンソールの移行量変化などを確認した結果を示したものであり、具体的な実験方法は、以下の通りである。
【0042】
温度22℃および相対湿度(RH)60%の条件で発生したエアロゾルをフィルターに捕集し、成分抽出を通じて定量化しており、このとき、デバイスは4分20秒、14Puffの稼働条件として、HCI(Health Canada Intense)喫煙方式を適用した。
【0043】
Puff流量は55ml/2sec、Puff間隔は19sec、Puff数は14Puffに該当する。
【表3】
【0044】
これにより、メンソールと香味剤とをスティックおよびカートリッジにいずれも含む本願実施例が同一スティックと無加香カートリッジとを含む比較例に比べてニコチン移行量においては大きな差を示さないのに対し、メンソールの移行量はより高く現れることが確認できる(
図3b)。一方、グリセリンの場合は、比較例の結果が実施例よりも高い数値で現れたが(
図3a)、これは無加香カートリッジのVG含有量がメロンカートリッジに比べて多量含まれているため発生する結果と見ることができる。
【0045】
したがって、本発明によるエアロゾル生成システムは、スティックとカートリッジの両方にメンソールと香味剤を特定量添加することによって、Puffが持続した後であっても、より強度の高い味で均一な味の持続性を維持することができ、この場合にも豊富な霧化量と高レベルのニコチン移行量を得ることができるという効果がある。
【0046】
一方、本発明の一実施例によるエアロゾル生成システムにおいて、前記カートリッジに含まれる霧化器は、エアロゾル生成物質を吸収する液体送達手段を含有することができ、エアロゾルを発生させるヒーターも含むことができる。
【0047】
なお、本願
図4に示すように、前記エアロゾル生成装置は、バッテリー、制御部および感知器を含むものであってもよく、
図4はエアロゾル生成システムの一例であるだけで、前記システム、装置および物品などの構造は、
図4に示されたものに限定されず、その他にも本実施例に関連した技術分野における通常の知識を有する者であればこれを異なるように配置するか、本発明の作用および用途などを大きく変化させない範囲内で追加的な構成も含むことができる。
【0048】
一方、前記エアロゾル生成スティックに含まれるタバコ媒質部は、加熱時、揮発性化合物を放出するようにするエアロゾル形成材料であり、通常的に葉タバコのようにニコチンを含むタバコ物質を含み、バインダーやその他の添加剤などのような賦形剤をさらに含むことができる。一例として、前記タバコ媒質部に含まれるタバコ媒質は、タバコ物質および賦形剤を含む顆粒の形態で製造することができ、前記賦形剤としては、タバコ媒質に含まれ得る物質としてタバコ物質を除いたpH調整剤、バインダー、エアロゾル形成剤、その他の添加剤などが含まれることができ、これに制限されない。
【0049】
本発明において、タバコ物質は、エアロゾル発生基材を形成する物質であり、タバコ葉片、タバコ茎、タバコ処理中に発生したタバコ粉塵および/またはタバコ葉の葉片ストリップであることができる。タバコ葉は、黄色種、バーレー種、オリエント種、シガー葉およびトーストのうち、選ばれる少なくとも1つ以上であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0050】
また、前記タバコ媒質部は、香味剤を担持する担持体を別途に含むことができ、前記担持体は、香味剤を収容することができる内部空間(cavity)を含むか、カプセルの形態で香味成分を担持することができる。前記担持体の種類としては、特定の香味剤を担持することができる種類であれば大きく制限されないが、一例として、シクロデキストリンなどが挙げられる。
【0051】
併せて、前記エアロゾル生成スティックに含まれるせん断プラグは、タバコ媒質部が外部に離脱することを防止することができ、喫煙中にタバコ媒質部から液状化したエアロゾルがエアロゾル生成装置に流れ込むことを防止することができる。また、その種類の一例として、セルロースアセテートフィルター、紙フィルター、または高分子物質からなるフィルターに該当することができる。
【0052】
以上のように、実施例が限定された図面によって説明されたが、該当技術分野における通常の知識を有する者であれば、上記に基づいて様々な技術的修正および変形を適用することができる。例えば、説明された技術は、説明された方法とは異なる順序で行われるか、および/または説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素は、説明された方法とは異なる形態で結合または組み合わせられるか、他の構成要素あるいは均等物によって代替または置き換えられても、適切な結果が達成できる。
【0053】
したがって、他の具現、他の実施例、および特許請求の範囲と均等なものも、後述する特許請求の範囲に属する。
【符号の説明】
【0054】
0:エアロゾル生成システム
1:エアロゾル生成スティック(シガレット)
2:エアロゾル生成スティック収容溝
3:エアロゾル生成装置(本体)
4:カートリッジ
5:制御部
6:バッテリー
【国際調査報告】