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特表2023-551103新型コロナウイルスに対する抗体、新型コロナウイルスを検出する試薬及びキット
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  • 特表-新型コロナウイルスに対する抗体、新型コロナウイルスを検出する試薬及びキット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-07
(54)【発明の名称】新型コロナウイルスに対する抗体、新型コロナウイルスを検出する試薬及びキット
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20231130BHJP
   C07K 16/10 20060101ALI20231130BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20231130BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20231130BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20231130BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20231130BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20231130BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20231130BHJP
   G01N 33/536 20060101ALI20231130BHJP
   G01N 33/569 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/10 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
G01N33/53 D
G01N33/536 B
G01N33/536 C
G01N33/536 D
G01N33/536 E
G01N33/569 L
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526469
(86)(22)【出願日】2021-09-10
(85)【翻訳文提出日】2023-05-05
(86)【国際出願番号】 CN2021117802
(87)【国際公開番号】W WO2022089044
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】202011182628.X
(32)【優先日】2020-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521131797
【氏名又は名称】菲鵬生物股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Fapon Biotech Inc.
【住所又は居所原語表記】Room 604,603,602,601, Unit ABCD, 6 / F, Building D2, TCL Science Park, No.1001 Zhongshan Yuan Road, Liuxiandong, Xili, Nanshan District, Shenzhen City, Guangdong Province 518063, China
(74)【代理人】
【識別番号】100158920
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 英樹
(72)【発明者】
【氏名】サイ,ペン
(72)【発明者】
【氏名】カ,チーチャン
(72)【発明者】
【氏名】モウ,エン
(72)【発明者】
【氏名】ヂォン,トウバイ
(72)【発明者】
【氏名】ロウ,ウェンケン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,リンユン
【テーマコード(参考)】
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC15
4B065BA02
4B065BC01
4B065CA25
4B065CA46
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA53
4H045FA74
(57)【要約】
新型コロナウイルスに対する抗体、新型コロナウイルスを検出する試薬及びキットであって、抗体技術の分野に関する。新型コロナウイルスに対する抗体は、重鎖相補性決定領域及び軽鎖相補性決定領域を含む。当該抗体の新型コロナウイルスのNタンパク質に対する親和性が比較的良く、当該抗体を使用した新型コロナウイルスの検出は、比較的良い感度及び特異性を有する。新型コロナウイルスの検出に、抗体選択肢を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
新型コロナウイルス又はそのNタンパク質に対する抗体又はその機能性断片であって、前記抗体又はその機能性断片は、下記の相補性決定領域を含み、
CDR-VH1:G-X1-T-F-S-X2-F-X3-M-H、ここで、X1はV或いはFであり、X2はS或いはTであり、X3はG或いはAであり、
CDR-VH2:Y-X1-N-S-X2-S-N-X3-I-Y-Y-A-D-T-X4-K、ここで、X1はL或いはIであり、X2はG或いはAであり、X3はI、V或いはLであり、X4はI、V或いはLであり、
CDR-VH3:X1-R-H-X2-M、ここで、X1はA或いはTであり、X2はA或いはVであり、
CDR-VL1:S-Q-S-X1-D-Y-X2-G-D-S-X3-M、ここで、X1はI、V或いはLであり、X2はD或いはNであり、X3はF或いはYであり、
CDR-VL2:X1-A-S-N-X2-E-S、ここで、X1はA或いはDであり、X2はI、V或いはLであり、
CDR-VL3:Q-X1-S-N-E-X2-P-Y、ここで、X1はN、H或いはQであり、X2はD或いはEであることを特徴とする新型コロナウイルス又はそのNタンパク質に対する抗体又はその機能性断片。
【請求項2】
CDR-VH1において、X1はFであり、
CDR-VH2において、X1はIであり、
CDR-VH3において、X1はAであり、
CDR-VL1において、X3はYであり、
好ましくは、CDR-VH1において、X2はSであり、
好ましくは、CDR-VH1において、X2はTであり、
好ましくは、CDR-VH1において、X3はGであり、
好ましくは、CDR-VH1において、X3はAであり、
好ましくは、CDR-VH2において、X2はGであり、
好ましくは、CDR-VH2において、X2はAであり、
好ましくは、CDR-VH2において、X3はIであり、
好ましくは、CDR-VH2において、X3はVであり、
好ましくは、CDR-VH2において、X3はLであり、
好ましくは、CDR-VH2において、X4はIであり、
好ましくは、CDR-VH2において、X4はVであり、
好ましくは、CDR-VH2において、X4はLであり、
好ましくは、CDR-VH3において、X2はAであり、
好ましくは、CDR-VH3において、X2はVであり、
好ましくは、CDR-VL1において、X1はIであり、
好ましくは、CDR-VL1において、X1はVであり、
好ましくは、CDR-VL1において、X1はLであり、
好ましくは、CDR-VL1において、X2はDであり、
好ましくは、CDR-VL1において、X2はNであり、
好ましくは、CDR-VL2において、X1はAであり、
好ましくは、CDR-VL2において、X1はDであり、
好ましくは、CDR-VL2において、X2はIであり、
好ましくは、CDR-VL2において、X2はVであり、
好ましくは、CDR-VL2において、X2はLであり、
好ましくは、CDR-VL1において、X1はNであり、
好ましくは、CDR-VL1において、X1はHであり、
好ましくは、CDR-VL1において、X1はQであり、
好ましくは、CDR-VL2において、X2はDであり、
好ましくは、CDR-VL2において、X2はEであり、
好ましくは、前記抗体又はその機能性断片の各相補性決定領域は、下記の突然変異組合せ1~68から選択されるいずれか1つであることを特徴とする請求項1に記載の抗体又はその機能性断片。
【表1(1)】
【表1(2)】
【請求項3】
前記抗体又はその機能性断片が新型コロナウイルスのNタンパク質とK≦8×10-9mol/Lの親和性で、好ましくは、K≦7×10-10mol/Lの親和性で結合することを特徴とする請求項2に記載の抗体又はその機能性断片。
【請求項4】
CDR-VH1において、X1はVであり、
CDR-VH2において、X1はLであり、
CDR-VH3において、X1はTであり、
CDR-VL1において、X3はFであり、
好ましくは、前記抗体又はその機能性断片の各相補性決定領域は、下記の突然変異組合せ69~76中から選択されるいずれか1つであることを特徴とする請求項1に記載の抗体又はその機能性断片。
【表2】
【請求項5】
前記抗体は、配列が順番に配列番号1~4に示されるか、又は配列番号1~4と少なくとも80%の相同性を有する軽鎖フレームワーク領域FR1-L、FR2-L、FR3-L及びFR4-L、及び/又は、配列が順番に配列番号5~8に示されるか、又は配列番号5~8と少なくとも80%の相同性を有する重鎖フレームワーク領域FR1-H、FR2-H、FR3-H及びFR4-Hを含み、
好ましくは、前記FR1-Hのアミノ酸配は配列番号15に示され、
好ましくは、前記抗体は、定常領域をさらに含み、
好ましくは、前記定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgM、IgE及びIgDから選択されるいずれか1つの定常領域であり、
好ましくは、前記定常領域の由来となる種属は、牛、馬、乳牛、豚、ヒツジ、ヤギ、ラット、マウス、イヌ、ネコ、ウサギ、ラクダ、ロバ、鹿、ミンク、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、七面鳥、闘鶏又はヒトであり、
好ましくは、前記定常領域はマウスに由来し、
好ましくは、前記定常領域の軽鎖定常領域の配列は、配列番号9に示されるか、又は配列番号9と少なくとも80%の相同性を有し、前記定常領域の重鎖定常領域の配列は、配列番号10に示されるか、又は配列番号10と少なくとも80%の相同性を有し、
好ましくは、前記重鎖定常領域の配列は、配列番号16に示され、
好ましくは、前記機能性断片は、前記抗体のVHH、F(ab’)2、Fab’、Fab、Fv及びscFvから選択されるいずれか1つであることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の抗体又はその機能性断片。
【請求項6】
前記抗体は、それぞれ順番に配列番号1、2、3、4と少なくとも80%の相同性を有する軽鎖フレームワーク領域FR1-L、FR2-L、FR3-L及びFR4-L、及び/又は、それぞれ順番に配列番号5、6、7、8と少なくとも80%の相同性を有する重鎖フレームワーク領域FR1-H、FR2-H、FR3-H及びFR4-Hを含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の新型コロナウイルスに対する抗体又はその機能性断片。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体又はその機能性断片を含むことを特徴とする新型コロナウイルス又はそのNタンパク質を検出する試薬又はキット。
【請求項8】
前記抗体又はその機能性断片には、検出可能なマーカーが標識され、
好ましくは、前記検出可能なマーカーは、蛍光染料、基質の発色を触媒する酵素、放射性同位元素、化学発光試薬及びナノ粒子類マーカーから選択され、
好ましくは、前記蛍光染料は、フルオレセイン類染料及びその誘導体、ローダミン類染料及びその誘導体、Cy系染料及びその誘導体、Alexa系染料及びその誘導体、並びにタンパク質類染料及びその誘導体から選択され、
好ましくは、前記基質の発色を触媒する酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、炭酸脱水酵素、アセチルコリンエステラーゼ及びグルコース6リン酸脱水素酵素から選択され、
好ましくは、前記放射性同位元素は、212Bi、131I、111In、90Y、186Re、211At、125I、188Re、153Sm、213Bi、32P、94mTc、99mTc、203Pb、67Ga、68Ga、43Sc、47Sc、110mIn、97Ru、62Cu、64Cu、67Cu、68Cu、86Y、88Y、121Sn、161Tb、166Ho、105Rh、177Lu、172Lu及び18Fから選択され、
好ましくは、前記化学発光試薬は、ルミノール及びその誘導体、ルシゲニン、甲殻類動物のフルオレセイン及びその誘導体、ビピリジンルテニウム及びその誘導体、アクリジニウムエステル及びその誘導体、ジオキシシクロエタン及びその誘導体、ロフィン及びその誘導体、並びにペルオキシシュウ酸塩及びその誘導体から選択され、
好ましくは、前記ナノ粒子類マーカーは、ナノ粒子、コロイド、有機ナノ粒子、磁性ナノ粒子、量子ドットナノ粒子及び希土類錯体ナノ粒子から選択され、
好ましくは、前記コロイドは、コロイド金属、分散型染料、染料標識のミクロスフェア及びラテックスから選択され、
好ましくは、前記コロイド金属は、コロイド金、コロイド銀及びコロイドセレンから選択されることを特徴とする請求項7に記載の試薬又はキット。
【請求項9】
請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体又はその機能性断片をコードすることを特徴とする核酸分子。
【請求項10】
請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体又はその機能性断片をコードする核酸断片を含有することを特徴とするベクター。
【請求項11】
請求項10に記載のベクターを含有することを特徴とする組換え細胞。
【請求項12】
請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体又はその機能性断片又は請求項7又は8に記載の試薬又はキットの、新型コロナウイルスの検出における使用。
【請求項13】
新型コロナウイルスを検出するために使用される、請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体又はその機能性断片又は請求項7又は8に記載の試薬又はキット。
【請求項14】
結合反応が発生するのに十分な条件下で、請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体又はその機能性断片と試料とを接触させて、結合反応を行うステップA)と、
結合反応によって生成される免疫複合体を検出するステップB)とを含む新型コロナウイルスを検出する方法。
【請求項15】
被験者の新型コロナウイルス感染又は新型コロナウイルス感染に関連する疾患を診断する方法であって、
結合反応が発生するのに十分な条件下で、請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体又はその機能性断片と前記被験者からの試料とを接触させて、結合反応を行うステップA)と、
結合反応によって生成される免疫複合体を検出するステップB)とを含む方法
【請求項16】
前記新型コロナウイルス感染に関連する疾患には、呼吸器症状、発熱、咳、息切れ、呼吸困難、肺炎、重症急性呼吸器症候群、腎不全が含まれる請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記新型コロナウイルスに感染した被験者には、無症候性感染者、明らかな症状のない感染者、症状のある感染者が含まれる請求項15に記載の方法。
【請求項18】
請求項11に記載の組換え細胞を培養し、培養物から単離精製して前記抗体又はその機能性断片を得ることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体又はその機能性断片を調製する方法。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本開示は、2020年10月29日に中国特許庁に提出された、出願番号が「202011182628.X」で、名称が「新型コロナウイルスに対する抗体、新型コロナウイルスを検出する試薬及びキット」である中国特許出願の優先権を主張しており、そのすべての内容は、引用により本開示に組み込まれている。
【技術分野】
【0002】
本開示は、抗体技術の分野に関し、具体的には、新型コロナウイルスに対する抗体、新型コロナウイルスを検出する試薬及びキットに関する。
【背景技術】
【0003】
新型コロナウイルス2019-nCoVの構造タンパク質は、スパイク糖タンパク質(Sタンパク質)、エンベロープ糖タンパク質(Eタンパク質)、膜糖タンパク質(Mタンパク質)、及びヌクレオカプシドタンパク質(Nタンパク質)に分けられ、これらのタンパク質には複数の抗原エピトープが含まれている。Nタンパク質とウイルスゲノムRNAとが互いに絡み合ってウイルスのヌクレオカプシドを形成し、ウイルスRNAの合成過程において重要な役割を果たす。また、Nタンパク質は比較的に保存的なものであり、ウイルスの構造タンパク質中で占める割合が最も大きく、生体は感染早期にNタンパク質に対する高いレベルの抗体を生成することができる。最後に、Nタンパク質は新型コロナウイルスの重要なマーカータンパク質であり、抗原と抗体との特異的な結合原理を利用して、Nタンパク質モノクローナル抗体で抗原の存在を検出でき、それにより、サンプルに新型コロナウイルスが含有されていることを直接証明し、新型コロナウイルスの検出が実現される。
【0004】
検出された抗体は、主に、IgM及びIgGの2つの種類に分けられる。現在のところ、新型コロナウイルスのこの2つの種類の抗体の生成と持続時間に関する体系的な研究がまだない。通常の場合、IgM抗体は、その生成が早く、一度感染すると、迅速に生成し、維持時間が短く、急速に消失し、血液からの陽性の検出は生体が急性感染状態にあることを反映し、早期感染の指標とすることができる。核酸検出法に比べ、抗体検出サンプルは血清や血漿であるので、サンプルのサンプリングによる影響が少なく、早期診断及び疑わしい症例の排除に有利でありながら、検出が迅速で便利であり、大規模なスクリーニングに適している。
【0005】
新型コロナウイルス2019-nCoV肺炎疫病が発生してから、全世界に拡散し、人間の生命安全と身体健康を深刻に脅かしている。呼吸器の飛沫及び密接な接触による伝播は、新型コロナウイルスによる肺炎の主な伝播経路であり、比較的閉鎖的な環境で高濃度のエアロゾルに長時間露出している場合に、エアロゾルにより伝播される可能性がある。2019-nCoVは非常に強い伝染性を有し、多くの患者は感染した後に臨床症状が現れたが、一部の患者は無症候性感染者である。ヒトがコロナウイルスに感染した後によく見られる身体的徴候には、呼吸器症状、発熱、咳、息切れ、呼吸困難などがある。比較的深刻な症例では、感染により肺炎、重症急性呼吸器症候群、腎不全、さらには死亡に至る可能性がある。現在のところ、新型コロナウイルスによる疾患に対する特異的な治療法はないが、治療により軽症や無症状の患者の完治率を大幅に高め、治療期間を短縮することができる。そのため、患者の検出と鑑定は特に重要となる。
【0006】
現在のところ、主に、核酸検出とウイルス遺伝子シークエンシングを病原学確定診断の証拠とし、サンプリング、操作及び試薬などの多岐にわたる要素に影響されるため、核酸検出の結果が偽陰性になる場合がある。2019新型コロナウイルス(2019-nCoV)に感染されたと高度に疑われる患者のウイルス核酸検出の陽性率は30%~50%にすぎない。また、核酸検出は計器・設備、検出場所及び環境条件に対する要求が高く、検出時間が長く、スループットが低いなどの欠点があり、現在の疫病状況でのヒトの大規模な検出には不向きである。そのため、感染したヒトをできるだけ早く隔離してウイルスの伝播を遮断するために、臨床検出のための迅速で便利な検出キットを開発することが急務となっている。そのため、抗体検出キットがより重要となっている。
【0007】
現在、2019-nCoV Nタンパク質モノクローナル抗体製品は少なく、性能に差がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、新型コロナウイルス又はそのNタンパク質に対する抗体又はその機能性断片を提供し、前記抗体又はその機能性断片は、下記の相補性決定領域を含み、
CDR-VH1:G-X1-T-F-S-X2-F-X3-M-H、ここで、X1はV或いはFであり、X2はS或いはTであり、X3はG或いはAであり、
CDR-VH2:Y-X1-N-S-X2-S-N-X3-I-Y-Y-A-D-T-X4-K、ここで、X1はL或いはIであり、X2はG或いはAであり、X3はI、V或いはLであり、X4はI、V或いはLであり、
CDR-VH3:X1-R-H-X2-M、ここで、X1はA或いはTであり、X2はA或いはVであり、
CDR-VL1:S-Q-S-X1-D-Y-X2-G-D-S-X3-M、ここで、X1はI、V或いはLであり、X2はD或いはNであり、X3はF或いはYであり、
CDR-VL2:X1-A-S-N-X2-E-S、ここで、X1はA或いはDであり、X2はI、V或いはLであり、
CDR-VL3:Q-X1-S-N-E-X2-P-Y、ここで、X1はN、H或いはQであり、X2はD或いはEである。
【0009】
いくつかの実施形態では、
CDR-VH1において、X1はFであり、
CDR-VH2において、X1はIであり、
CDR-VH3において、X1はAであり、
CDR-VL1において、X3はYである。
【0010】
いくつかの実施形態では、CDR-VH1において、X2はSである。
いくつかの実施形態では、CDR-VH1において、X2はTである。
いくつかの実施形態では、CDR-VH1において、X3はGである。
いくつかの実施形態では、CDR-VH1において、X3はAである。
いくつかの実施形態では、CDR-VH2において、X2はGである。
いくつかの実施形態では、CDR-VH2において、X2はAである。
いくつかの実施形態では、CDR-VH2において、X3はIである。
いくつかの実施形態では、CDR-VH2において、X3はVである。
いくつかの実施形態では、CDR-VH2において、X3はLである。
いくつかの実施形態では、CDR-VH2において、X4はIである。
いくつかの実施形態では、CDR-VH2において、X4はVである。
いくつかの実施形態では、CDR-VH2において、X4はLである。
いくつかの実施形態では、CDR-VH3において、X2はAである。
いくつかの実施形態では、CDR-VH3において、X2はVである。
いくつかの実施形態では、CDR-VL1において、X1はIである。
いくつかの実施形態では、CDR-VL1において、X1はVである。
いくつかの実施形態では、CDR-VL1において、X1はLである。
いくつかの実施形態では、CDR-VL1において、X2はDである。
いくつかの実施形態では、CDR-VL1において、X2はNである。
いくつかの実施形態では、CDR-VL2において、X1はAである。
いくつかの実施形態では、CDR-VL2において、X1はDである。
いくつかの実施形態では、CDR-VL2において、X2はIである。
いくつかの実施形態では、CDR-VL2において、X2はVである。
いくつかの実施形態では、CDR-VL2において、X2はLである。
いくつかの実施形態では、CDR-VL1において、X1はNである。
いくつかの実施形態では、CDR-VL1において、X1はHである。
いくつかの実施形態では、CDR-VL1において、X1はQである。
いくつかの実施形態では、CDR-VL2において、X2はDである。
いくつかの実施形態では、CDR-VL2において、X2はEである。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記抗体又はその機能性断片の各相補性決定領域は、下記の突然変異組合せ1~68から選択されるいずれか1つである。
【表1(1)】
【表1(2)】
【0012】
いくつかの実施形態では、前記抗体又はその機能性断片は、新型コロナウイルスのNタンパク質とK≦8×10-9mol/Lの親和性で結合する。いくつかの実施形態では、K≦7×10-10mol/Lである。
【0013】
いくつかの実施形態では、
CDR-VH1において、X1はVであり、
CDR-VH2において、X1はLであり、
CDR-VH3において、X1はTであり、
CDR-VL1において、X3はFである。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記抗体又はその機能性断片の各相補性決定領域は、下記の突然変異組合せ69~76から選択されるいずれか1つである。
【表2】
【0015】
いくつかの実施形態では、前記抗体は、それぞれ順番に配列番号1、2、3、4と少なくとも80%の相同性を有する軽鎖フレームワーク領域FR1-L、FR2-L、FR3-L及びFR4-L、及び/又は、それぞれ順番に配列番号5、6、7、8と少なくとも80%の相同性を有する重鎖フレームワーク領域FR1-H、FR2-H、FR3-H及びFR4-Hを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記FR1-Hのアミノ酸配は、例えば配列番号15に示される。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記抗体は、定常領域をさらに含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgM、IgE及びIgDから選択されるいずれか1つの定常領域である。
【0019】
いくつかの実施形態では、前記定常領域の由来となる種属は、牛、馬、乳牛、豚、ヒツジ、ヤギ、ラット、マウス、イヌ、ネコ、ウサギ、ラクダ、ロバ、鹿、ミンク、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、七面鳥、闘鶏又はヒトである。
【0020】
いくつかの実施形態では、前記定常領域はマウスに由来する。
【0021】
いくつかの実施形態では、前記定常領域の軽鎖定常領域の配列は、配列番号9に示されるか、又は配列番号9と少なくとも80%の相同性を有し、前記定常領域の重鎖定常領域の配列は、配列番号10に示されるか、又は配列番号10と少なくとも80%の相同性を有する。
【0022】
いくつかの実施形態では、前記重鎖定常領域の配列は、配列番号16に示される。
【0023】
いくつかの実施形態では、前記機能性断片は、前記抗体のVHH、F(ab’)2、Fab’、Fab、Fv及びscFvから選択されるいずれか1つである。
【0024】
本開示は、上記のいずれか1項に記載の抗体又はその機能性断片を含む新型コロナウイルス又はそのNタンパク質を検出する試薬又はキットを提供する。
【0025】
いくつかの実施形態では、前記抗体又はその機能性断片には、検出可能なマーカーが標識されている。
【0026】
いくつかの実施形態では、前記検出可能なマーカーは、蛍光染料、基質の発色を触媒する酵素、放射性同位元素、化学発光試薬及びナノ粒子類マーカーから選択される。
【0027】
いくつかの実施形態では、前記蛍光染料は、フルオレセイン類染料及びその誘導体、ローダミン類染料及びその誘導体、Cy系染料及びその誘導体、Alexa系染料及びその誘導体、並びにタンパク質類染料及びその誘導体から選択される。
【0028】
いくつかの実施形態では、前記基質の発色を触媒する酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、炭酸脱水酵素、アセチルコリンエステラーゼ及びグルコース6リン酸脱水素酵素から選択される。
【0029】
いくつかの実施形態では、前記放射性同位元素は、212Bi、131I、111In、90Y、186Re、211At、125I、188Re、153Sm、213Bi、32P、94mTc、99mTc、203Pb、67Ga、68Ga、43Sc、47Sc、110mIn、97Ru、62Cu、64Cu、67Cu、68Cu、86Y、88Y、121Sn、161Tb、166Ho、105Rh、177Lu、172Lu及び18Fから選択される。
【0030】
いくつかの実施形態では、前記化学発光試薬は、ルミノール及びその誘導体、ルシゲニン、甲殻類動物のフルオレセイン及びその誘導体、ビピリジンルテニウム及びその誘導体、アクリジニウムエステル及びその誘導体、ジオキシシクロエタン及びその誘導体、ロフィン(Lophine)及びその誘導体、並びにペルオキシシュウ酸塩及びその誘導体から選択される。
【0031】
いくつかの実施形態では、前記ナノ粒子類マーカーは、ナノ粒子、コロイド、有機ナノ粒子、磁性ナノ粒子、量子ドットナノ粒子及び希土類錯体ナノ粒子から選択される。
【0032】
いくつかの実施形態では、前記コロイドは、コロイド金属、分散型染料、染料標識のミクロスフェア及びラテックスから選択される。
【0033】
いくつかの実施形態では、前記コロイド金属は、コロイド金、コロイド銀及びコロイドセレンから選択される。
【0034】
本開示は、上記のいずれか1項に記載の抗体又はその機能性断片をコードする核酸分子を提供する。
【0035】
本開示は、上記のいずれか1項に記載の抗体又はその機能性断片をコードする核酸断片を含有するベクターを提供する。
【0036】
本開示は、前記ベクターを含有する組換え細胞を提供する。
【0037】
本開示は、前記抗体又はその機能性断片、前記試薬又はキットの、新型コロナウイルスの検出における使用を提供する。
【0038】
本開示は、新型コロナウイルスを検出するために使用される前記抗体又はその機能性断片、前記試薬又はキットを提供する。
【0039】
本開示は、新型コロナウイルスを検出する方法を提供し、当該方法は、
結合反応が発生するのに十分な条件下で、上記のいずれか1項に記載の抗体又はその機能性断片と試料とを接触させて、結合反応を行うステップA)と、
結合反応によって生成される免疫複合体を検出するステップB)と、を含む。
【0040】
本開示は、被験者の新型コロナウイルス感染又は新型コロナウイルス感染に関連する疾患を診断する方法を提供し、当該方法は、
結合反応が発生するのに十分な条件下で、上記のいずれか1項に記載の抗体又はその機能性断片と前記被験者からの試料とを接触させて、結合反応を行うステップA)と、
結合反応によって生成される免疫複合体を検出するステップB)とを含む。
いくつかの実施形態では、前記新型コロナウイルス感染に関連する疾患には、呼吸器症状、発熱、咳、息切れ、呼吸困難、肺炎、重症急性呼吸器症候群、腎不全が含まれる。
【0041】
いくつかの実施形態では、前記新型コロナウイルスに感染した被験者には、無症候性感染者、明らかな症状のない感染者、症状のある感染者が含まれる。
【0042】
本開示は、前記組換え細胞を培養して、培養物から単離精製して前記抗体又はその機能性断片を得るステップを含む上記のいずれか1項に記載の抗体又はその機能性断片を調製する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
本開示の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例に使用する必要のある図面について簡単に説明したが、以下の図面は本開示の一部の実施例を示しただけであるため、範囲を限定するものとして見なすべきではなく、当業者であれば、創造的な努力なしに、これらの図面に基づいて他の関連する図面を得ることができることを理解されたい。
図1】実施例1の新型コロナウイルスに対する抗体の還元性SDS-PAGEの結果である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本開示の実施例の目的、技術的解決手段、及び利点をより明確にするために、以下、本開示の実施例における技術的解決手段について明確かつ完全に説明する。具体的な条件が以下の実施形態及び実施例に記載されていない場合、通常の条件又は製造者が提案した条件にしたがって行う。使用された試薬又は計器は、製造メーカが明記されていない場合、いずれも市販で購入することができる通常の製品である。
【0045】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本開示の内容が属する分野の一般技術者が一般に理解する意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されたそれらの方法及び材料と類似するか又は同等であるいずれの方法及び材料は、いずれも本明細書の製剤又は単位用量の実施又は試験に使用され得るが、本明細書にはいくつかの方法及び材料が記載されている。別段の説明がない限り、本明細書で採用又は検討されている技術は標準的な方法である。材料、方法及び例は、例示的なものにすぎず、限定的なものではない。
【0046】
特に明記されていない限り、本開示の実施には、細胞生物学、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、生化学、及び免疫学の従来技術が使用されており、前記従来技術は当業者の能力の範囲内にある。このような技術は、『分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)』、第2版(Sambrookら、1989)、『オリゴヌクレオチド合成(Oligonucleotide Synthesis)』(M.J.Gait編集、1984)、『動物細胞培養(Animal Cell Culture)』(R.I.Freshney編集、1987)、『酵素学的方法(Methods in Enzymology)』(アカデミックプレス株式会社(Academic Press,Inc.)、『実験免疫学ハンドブック(Handbook of Experimental Immunology)』(D.M.WeirとC.C.Blackwell編集)、『哺乳動物細胞用遺伝子導入ベクター(Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells)』(J.M.MillerとM.P.Calos編集、1987)、『現代分子生物学的方法(Current Protocols in Molecular Biology)』(F.M.Ausubelら編集、1987)、『PCR:ポリメラーゼ連鎖反応(PCR:The Polymerase Chain Reaction)』(Mullisら編集、1994)、及び『現代の免疫学的方法(Current Protocols in Immunology)』(J.E.Coliganら編集、1991)などの文献で十分に説明されており、これらの文献の各々は引用によって本明細書に明示的に組み込まれている。
【0047】
用語の定義
本明細書で使用されるように、「相補性決定領域」という用語は、無傷又は完全な抗体が2本の重鎖及び2本の軽鎖を含むことを意味し、各重鎖は可変領域(VH)及び定常領域(CH)を含有し、各軽鎖は一つの可変領域(VL)及び一つの定常領域(CL)を含有し、抗体は「Y」字状であり、Yの茎部はジスルフィド結合により一体に結合された2本の重鎖の第2定常領域及び第3定常領域から構成されており、Yの各アーム部は、単一の軽鎖の可変領域及び定常領域に結合された単一の重鎖の可変領域及び第1定常領域を含み、当該軽鎖の可変領域及び重鎖の可変領域は抗原結合を担当し、2本の鎖中の可変領域は、通常、相補性決定領域と呼ばれる3つの超可変領域を含む。
【0048】
本明細書で使用されるように、抗体を表すために使用される場合、「機能性断片」という用語は、断片由来の抗体の一部又はすべての結合活性を保存する重鎖又は軽鎖ポリペプチドを含む抗体の一部を意味する。これらの機能性断片は、(例えば)Fd、Fv、Fab、F(ab’)、F(ab)2、F(ab’)2、一本鎖Fv(scFv)、二本鎖抗体(diabody)、三本鎖抗体(triabody)、四本鎖抗体(tetrabody)、及びマイクロ抗体(minibody)を含むことができる。他の機能性断片は、(例えば)重鎖又は軽鎖ポリペプチド、可変領域ポリペプチド、CDRポリペプチド又はその部分を含むことができ、これらの機能性断片が結合活性を保存していればよい。
【0049】
本明細書で使用されるように、「定常領域」という用語は、抗体分子の軽鎖及び重鎖中のC末端に近いアミノ酸配列が相対的安定した領域を意味する。
【0050】
本明細書で使用されるように、「可変領域」という用語は、抗体分子の軽鎖及び重鎖中のN末端に近いアミノ酸配列の変化が比較的大きい領域を意味する。
【0051】
本明細書で使用されるように、「裸抗体安定性」という用語は、標識されていない抗体又はその機能性断片、例えば検出可能なマーカーが標識されていない抗体又はその機能性断片を意味する。
【0052】
本開示のいくつかの実施形態は、新型コロナウイルスに対する抗体、新型コロナウイルス検出用の試料及びキットを提供し、当該抗体は、新型コロナウイルスのNタンパク質に特異的に結合することができ、このNタンパク質に対して比較的高い親和性を有し、当該抗体を用いた新型コロナウイルスの検出は、比較的良い感度及び特異性を有する。本開示は、新型コロナウイルスの検出に、より豊富な抗体選択肢を提供する。
【0053】
本開示の一実施形態は、新型コロナウイルス又はそのNタンパク質に対する抗体又はその機能性断片を提供し、前記抗体又はその機能性断片は、下記の相補性決定領域を有し、
CDR-VH1:G-X1-T-F-S-X2-F-X3-M-H、ここで、X1はV或いはFであり、X2はS或いはTであり、X3はG或いはAであり、
CDR-VH2:Y-X1-N-S-X2-S-N-X3-I-Y-Y-A-D-T-X4-K、ここで、X1はL或いはIであり、X2はG或いはAであり、X3はI、V或いはLであり、X4はI、V或いはLであり、
CDR-VH3:X1-R-H-X2-M、ここで、X1はA或いはTであり、X2はA或いはVであり、
CDR-VL1:S-Q-S-X1-D-Y-X2-G-D-S-X3-M、ここで、X1はI、V或いはLであり、X2はD或いはNであり、X3はF或いはYであり、
CDR-VL2:X1-A-S-N-X2-E-S、ここで、X1はA或いはDであり、X2はI、V或いはLであり、
CDR-VL3:Q-X1-S-N-E-X2-P-Y、ここで、X1はN、H或いはQであり、X2はD或いはEである。
【0054】
本開示にて提供される新型コロナウイルスに対する抗体又はその機能性断片は、上記の相補性決定領域構造を有し、上記の相補性決定領域構造により、抗体又はその機能性断片は新型コロナウイルスのNタンパク質に特異的に結合することができ、このNタンパク質に対して比較的良い親和性を有し、当該抗体又はその機能性断片を用いた新型コロナウイルスの検出は、比較的良い特異性及び感度を有する。本開示は、新型コロナウイルスの検出に、より豊富な抗体選択肢を提供する。
【0055】
選択可能な実施形態では、CDR-VH1において、X1はFであり、CDR-VH2において、X1はIであり、CDR-VH3において、X1はAであり、CDR-VL1において、X3はYである。
【0056】
本実施例の実験結果から分かるように、各相補性決定領域における上記の突然変異部位が上記のアミノ酸残基である場合、当該抗体は新型コロナウイルスのNタンパク質に対して、より高い親和性を示す。
【0057】
選択可能な実施形態では、CDR-VH1において、X2はSである。
選択可能な実施形態では、CDR-VH1において、X2はTである。
選択可能な実施形態では、CDR-VH1において、X3はGである。
選択可能な実施形態では、CDR-VH1において、X3はAである。
選択可能な実施形態では、CDR-VH2において、X2はGである。
選択可能な実施形態では、CDR-VH2において、X2はAである。
選択可能な実施形態では、CDR-VH2において、X3はIである。
選択可能な実施形態では、CDR-VH2において、X3はVである。
選択可能な実施形態では、CDR-VH2において、X3はLである。
選択可能な実施形態では、CDR-VH2において、X4はIである。
選択可能な実施形態では、CDR-VH2において、X4はVである。
選択可能な実施形態では、CDR-VH2において、X4はLである。
選択可能な実施形態では、CDR-VH3において、X2はAである。
選択可能な実施形態では、CDR-VH3において、X2はVである。
選択可能な実施形態では、CDR-VL1において、X1はIである。
選択可能な実施形態では、CDR-VL1において、X1はVである。
選択可能な実施形態では、CDR-VL1において、X1はLである。
選択可能な実施形態では、CDR-VL1において、X2はDである。
選択可能な実施形態では、CDR-VL1において、X2はNである。
選択可能な実施形態では、CDR-VL2において、X1はAである。
選択可能な実施形態では、CDR-VL2において、X1はDである。
選択可能な実施形態では、CDR-VL2において、X2はIである。
選択可能な実施形態では、CDR-VL2において、X2はVである。
選択可能な実施形態では、CDR-VL2において、X2はLである。
選択可能な実施形態では、CDR-VL1において、X1はNである。
選択可能な実施形態では、CDR-VL1において、X1はHである。
選択可能な実施形態では、CDR-VL1において、X1はQである。
選択可能な実施形態では、CDR-VL2において、X2はDである。
選択可能な実施形態では、CDR-VL2において、X2はEである。
選択可能な実施形態では、前記抗体又はその機能性断片の各相補性決定領域は、下記の突然変異組合せ1~68から選択されるいずれか1つである。
【0058】
【表3(1)】
【表3(2)】
【0059】
選択可能な実施形態では、前記抗体又はその機能性断片は、新型コロナウイルスのNタンパク質とK≦8×10-9mol/Lの親和性で結合する。
【0060】
選択可能な実施形態では、K≦7×10-10mol/Lである。
【0061】
選択可能な実施形態では、K≦8×10-9mol/L、K≦7×10-9mol/L、K≦6×10-9mol/L、K≦5×10-9mol/L、K≦4×10-9mol/L、K≦3×10-9mol/L、K≦2×10-9mol/L、K≦1×10-9mol/L、K≦9×10-10mol/L、K≦8×10-10mol/L、K≦7×10-10mol/L、K≦6×10-10mol/L、K≦5×10-10mol/L、K≦4×10-10mol/L、K≦3×10-10mol/L、K≦2×10-10mol/L、K≦1×10-10mol/L、K≦9×10-11mol/L又はK≦8×10-11mol/Lである。
【0062】
選択可能な実施形態では、8.75×10-11mol/L≦K≦7.08×10-10mol/Lである。
【0063】
の検出は、本開示の実施例における方法を参照して行われる。
【0064】
選択可能な実施形態では、CDR-VH1において、X1はVであり、CDR-VH2において、X1はLであり、CDR-VH3において、X1はTであり、CDR-VL1において、X3はFである。
【0065】
選択可能な実施形態では、前記抗体又はその機能性断片の各相補性決定領域は、下記の突然変異組合せ69~76中から選択されるいずれか1つである。
【表4】
【0066】
選択可能な実施形態では、前記抗体は、配列が順番に配列番号1~4に示される如き軽鎖フレームワーク領域FR1-L、FR2-L、FR3-L及びFR4-L、及び/又は、配列が順番に配列番号5~8に示される如き重鎖フレームワーク領域FR1-H、FR2-H、FR3-H及びFR4-Hを含む。
【0067】
通常の場合、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)は、以下の番号のCDRとFRとを、FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4のような組合せで並ばれて連結することにより得ることができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、抗体は、それぞれ順番に配列番号1、2、3、4と少なくとも80%の相同性を有する軽鎖フレームワーク領域FR1-L、FR2-L、FR3-L及びFR4-L、及び/又は、それぞれ順番に配列番号5、6、7、8と少なくとも80%の相同性を有する重鎖フレームワーク領域FR1-H、FR2-H、FR3-H及びFR4-Hを含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、抗体は、それぞれ順番に配列番号1、2、3、4と少なくとも80%の同一性を有する軽鎖フレームワーク領域FR1-L、FR2-L、FR3-L及びFR4-L、及び/又は、それぞれ順番に配列番号5、6、7、8と少なくとも80%の同一性を有する重鎖フレームワーク領域FR1-H、FR2-H、FR3-H及びFR4-Hを含む。
【0070】
なお、他の実施形態及び実施例では、本開示にて提供される抗体又はその機能性断片の各フレームワーク領域のアミノ酸配列は、上記の対応するフレームワーク領域(配列番号1、2、3、4、5、6、7又は8)と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の相同性を有してもよい。例えば、FR1-Hのアミノ酸配列は、さらに、配列番号15であってもよい。
【0071】
選択可能な実施形態では、前記抗体は、定常領域をさらに含む。
【0072】
選択可能な実施形態では、前記定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgM、IgE及びIgDから選択されるいずれか1つの定常領域である。
【0073】
選択可能な実施形態では、前記定常領域の由来となる種属は哺乳類動物又は家禽類動物である。選択可能な実施形態では、哺乳類動物には、牛、馬、乳牛、豚、ヒツジ、ヤギ、ラット、マウス、イヌ、ネコ、ウサギ、ラクダ、ロバ、鹿、ミンク又はヒトが含まれる。選択可能な実施形態では、家禽類動物には、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、七面鳥又は闘鶏が含まれる。
【0074】
選択可能な実施形態では、前記定常領域の由来となる種属は、牛、馬、乳牛、豚、ヒツジ、ヤギ、ラット、マウス、イヌ、ネコ、ウサギ、ラクダ、ロバ、鹿、ミンク、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、七面鳥、闘鶏又はヒトである。
【0075】
選択可能な実施形態では、前記定常領域はマウスに由来する。
【0076】
選択可能な実施形態では、前記定常領域の軽鎖定常領域(CL)配列は、配列番号9に示され、前記定常領域の重鎖定常領域(CH)配列は、配列番号10に示される。
【0077】
なお、他の実施例では、本開示にて提供される抗体の定常領域配列は、上記の定常領域(配列番号9又は10)と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%或99%の相同性を有してもよい。例えば、重鎖定常領域は、さらに、配列番号16であってもよい。
【0078】
選択可能な実施形態では、前記機能性断片は、前記抗体のVHH、F(ab’)2、Fab’、Fab、Fv及びscFvから選択されるいずれか1つである。
【0079】
上記の抗体の機能性断片は、通常、その由来となる抗体と同じ結合特異性を有する。当業者が本開示に記載の内容に基づいて容易に理解できるように、上記抗体の機能性断片は、酵素消化方法(ペプシン又はパパインを含むが、これらに限定されない)及び/又は化学的還元によりジスルフィド結合を開裂する方法を含むが、これらに限定されない方法により得ることができる。当業者は本開示にて提供される無傷抗体の構造を基に、上記の機能性断片を容易に取得することができる。
【0080】
上記の抗体の機能性断片は、さらに、当業者に知られている組換え遺伝学技術により、又は、例えばApplied BioSystems社などにより販売されている自動ペプチド合成装置を含むがこれに限定されない自動ペプチド合成機の合成により取得することができる。本開示の一実施形態では、上記のいずれか1項に記載の抗体又はその機能性断片を含む新型コロナウイルス又はそのNタンパク質を検出する試薬又はキットを提供する。
【0081】
選択可能な実施形態では、上記の試薬又はキットにおいて、前記抗体又はその機能性断片には検出可能なマーカーが標識されている。
【0082】
本明細書で使用されるように、「検出可能なマーカー」とは、肉眼で直接観察できるか、又は計器により検出又は探知できる特性、例えば発光、発色、放射性等の特性を有する一種類の物質をいい、当該特性により対応する目標物の定性的又は定量的検出を実現することができる。
【0083】
選択可能な実施形態では、前記検出可能なマーカーは、蛍光染料、基質の発色を触媒する酵素、放射性同位元素、化学発光試薬、及びナノ粒子類マーカーを含むが、これらに限定されない。
【0084】
実際の使用中に、当業者は、検出条件又は実際のニーズに応じて適切なマーカーを選択することができ、どのようなマーカーが使用されても、いずれも本開示の保護範囲に属する。
【0085】
選択可能な実施形態では、前記蛍光染料は、フルオレセイン類染料及びその誘導体(例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ヒドロキシフルオレセイン(FAM)、テトラクロロフルオレセイン(TET)など又はその類似体を含むが、これらに限定されない)、ローダミン類染料及びその誘導体(例えば、赤色ローダミン(RBITC)、テトラメチルローダミン(TAMRA)、ローダミンB(TRITC)など又はその類似体を含むが、これらに限定されない)、Cy系染料及びその誘導体(例えば、Cy2、Cy3、Cy3B、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy3など又はその類似体を含むが、これらに限定されない)、Alexa系染料及びその誘導体(例えば、AlexaFluor350、405、430、488、532、546、555、568、594、610、33、647、680、700、750など又はその類似体を含むが、これらに限定されない)、並びに、タンパク質類染料及びその誘導体(例えば、フィコエリトリン(PE)、フィコシアニン(PC)、アロフィコシアニン(APC)、ペリジニン-クロロフィルタンパク質(preCP)などを含むが、これらに限定されない)を含むが、これらに限定されない。
【0086】
選択可能な実施形態では、前記基質の発色を触媒する酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、炭酸脱水酵素、アセチルコリンエステラーゼ及びグルコース6リン酸脱水素酵素を含むが、これらに限定されない。
【0087】
選択可能な実施形態では、前記放射性同位元素は、212Bi、131I、111In、90Y、186Re、211At、125I、188Re、153Sm、213Bi、32P、94mTc、99mTc、203Pb、67Ga、68Ga、43Sc、47Sc、110mIn、97Ru、62Cu、64Cu、67Cu、68Cu、86Y、88Y、121Sn、161Tb、166Ho、105Rh、177Lu、172Lu及び18Fを含むが、これらに限定されない。
【0088】
選択可能な実施形態では、前記化学発光試薬は、ルミノール及びその誘導体、ルシゲニン、甲殻類動物のフルオレセイン及びその誘導体、ビピリジンルテニウム及びその誘導体、アクリジニウムエステル及びその誘導体、ジオキシシクロエタン及びその誘導体、ロフィン及びその誘導体、並びにペルオキシシュウ酸塩及びその誘導体を含むが、これらに限定されない。
【0089】
選択可能な実施形態では、前記ナノ粒子類マーカーは、ナノ粒子、コロイド、有機ナノ粒子、磁性ナノ粒子、量子ドットナノ粒子及び希土類錯体ナノ粒子を含むが、これらに限定されない。
【0090】
選択可能な実施形態では、前記コロイドは、コロイド金属、分散型染料、染料標識のミクロスフェア及びラテックスを含むが、これらに限定されない。
【0091】
選択可能な実施形態では、前記コロイド金属は、コロイド金、コロイド銀及びコロイドセレンを含むが、これらに限定されない。
本開示の一実施形態は、上記の抗体又はその機能性断片をコードする核酸分子を提供する。本開示の一実施形態は、上記の核酸分子を含有するベクターを提供する。本開示の一実施形態は、上記のベクターを含有する組換え細胞を提供する。本開示の一実施形態は、上記のような組換え細胞を培養して、培養物から単離精製して前記抗体又はその機能性断片を得るステップを含む抗体又はその機能性断片を調製する方法を提供する。
【0092】
当業者は、本開示にて提供される抗体又はその機能性断片のアミノ酸配列を基に、遺伝子工学技術又は他の技術(化学合成、ハイブリドーマ細胞)を用いて当該抗体又はその機能性断片を調製することを容易に想到することができ、例えば、上記のいずれか1項に記載の抗体又はその機能性断片を組み換えて発現する組換え細胞の培養物から単離精製して、当該抗体又はその機能性断片を得ることができ、これは、当業者にとって容易に達成できることであり、それに基づいて、本開示の抗体又はその機能性断片は、どのような技術を用いて調製するかにかかわらず、いずれも本開示の特許範囲に属する。
【実施例
【0093】
以下、実施例を参照して本開示の特徴及び性能について、さらに詳細に説明する。
【0094】
(実施例1)
本実施例では、制限エンドヌクレアーゼ、Prime Star DNAポリメラーゼはTakara社から購入したものである。MagExtractor-RNA抽出キットはTOYOBO社から購入したものである。BD SMARTTM RACE cDNA Amplification KitキットはTakara社から購入したものである。pMD-18TベクターはTakara社から購入したものである。プラスミド抽出キットは天根公司から購入したものである。プライマー合成と遺伝子シークエンシングはInvitrogen社によって行われた。
【0095】
1 組換えプラスミドの構築
(1)抗体遺伝子の調製
新型コロナウイルスのNタンパク質に対する抗体を分泌するハイブリドーマ細胞株からmRNAを抽出し、RT-PCR方法によりDNA産物を取得し、当該産物に対してrTaq DNAポリメラーゼでA添加反応を行った後、pMD-18Tベクターに挿入し、DH5αコンピテント細胞に形質転換し、コロニーが成長した後、重鎖(Heavy Chain)及び軽鎖(Light Chain)遺伝子クローンをそれぞれ採集し、シークエンシングのために、それぞれの4つのクローンを遺伝子シークエンシング会社に送った。
【0096】
(2)抗体の可変領域遺伝子の配列分析
上記のシークエンシングによって得られた遺伝子配列をIMGT抗体データベース(IMGT抗体データベースの出所:http://www.imgt.org)に入れて分析し、VNTI11.5ソフトウェアで分析して、重鎖と軽鎖プライマーペアから増幅された遺伝子がいずれも正しいことを決定し、ここで、軽鎖から増幅された遺伝子断片のうち、VL遺伝子配列は342bpで、VkII遺伝子ファミリーに属し、その前方に57bpのプリアンブルペプチド配列があり、重鎖プライマーペアから増幅された遺伝子断片のうち、VH遺伝子配列は336bpで、VH1遺伝子ファミリーに属し、その前方に57bpのプリアンブルペプチド配列がある。
【0097】
(3)組換え抗体発現プラスミドの構築
pcDNATM3.4 TOPO(登録商標) vectorは、構築された組換え抗体真核発現ベクターであり、当該発現ベクターは、すでにHindIII、BamHI、EcoRIなどの多重クローニング酵素切断部位が導入され、pcDNA3.4A発現ベクターと命名し、その後、3.4A発現ベクターと略称した。上記のpMD-18T中の抗体可変領域の遺伝子シークエンシング結果に基づいて、当該抗体のVL及びVH遺伝子特異性プライマーを設計し、プライマーの両端のそれぞれにHindIII、EcoRI酵素切断部位と保護塩基があり、PCR増幅方法により0.72kbの軽鎖遺伝子断片及び1.41kbの重鎖遺伝子断片を増幅した。
【0098】
重鎖及び軽鎖の遺伝子断片に対してそれぞれHindIII/EcoRIで二重酵素切断を行い、3.4Aベクターに対してHindIII/EcoRIで二重酵素切断を行い、断片とベクターを精製して回収した後、重鎖遺伝子及び軽鎖遺伝子を3.4A発現ベクターに連結して、重鎖及び軽鎖の組換え発現プラスミドを得た。
【0099】
2 安定した細胞株のスクリーニング
(1)組換え抗体発現プラスミドをCHO細胞に一過性トランスフェクションし、発現プラスミド活性を決定する
ステップ1-(3)で得られたプラスミドを超純水で400ng/mlに希釈し、CHO細胞を遠心分離管で1.43×10個の細胞/mlに調整して、100μLのプラスミドと700μLの細胞を混合してエレクトロポレーションカップに入れ、エレクトロポレーションを行い、3、5、7日目に試料を採取してカウントし、7日目に試料を採取して検出した。
【0100】
コーティング液(主成分NaHCO)で2019-nCoV Nタンパク質抗原を1μg/mlに希釈し、1ウェル当たり100μLとし、4℃で一晩放置し、翌日、洗浄液で2回洗浄し、叩いて乾かし、ブロッキング液(20%のBSA+80%のPBS)を1ウェル当たり120μL加え、37℃で1h叩いて乾かし、希釈されたCHO細胞の上清を100μL/ウェルになるように加え、37℃で30min(一部の上清は1h)であり、洗浄液で5回洗浄し、叩いて乾かし、ヤギ抗マウスIgG-HRP(ここで、HRPは西洋ワサビペルオキシダーゼマーカーである)を加え、1ウェル当たり100μLとし、37℃で30minであり、洗浄液で5回洗浄し、叩いて乾かし、発色液A液(50μL/ウェル、クエン酸+酢酸ナトリウム+アセトアニリド+過酸化尿素を含む)を加え、発色液B液(50μL/ウェル、クエン酸+EDTA・2Na+TMB+濃HCLを含む)を加え、10minであり、停止液(50μL/ウェル、EDTA・2Na+濃HSOを含む)を加え、マイクロプレートリーダの450nm(630nmを参照)でOD値を読み取った。その結果、細胞の上清で1000倍希釈した後の反応のODは依然として1.0より大きく、細胞の上清を加えなかった反応のODは0.1より小さいことを示し、これは、プラスミドの一過性トランスフェクション後に生成された抗体は、2019-nCoV Nタンパク質抗原に対して活性があることを示す。
【0101】
(2)組換え抗体発現プラスミドの直線化
50μLのBuffer、100μg/管のDNA、10μLのPuv I酵素、及び500μLになるまでの残量の無菌水の試薬を用意して、37℃の水浴にて一晩酵素切断し、先に等体積のフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール(下層)25:24:1を用いて、続いてクロロホルム(水相)を用いて順次抽出し、0.1倍体積(水相)の3M酢酸ナトリウムと2倍体積のエタノールを氷上に沈殿させ、70%のエタノールで沈殿物をリンスして、有機溶媒を除去し、エタノールが完全に揮発すると、適量の殺菌水で再溶解し、最後に濃度を測定した。
【0102】
(3)組換え抗体発現プラスミドの安定的なトランスフェクション、安定した細胞株の加圧スクリーニング
ステップ2-(2)で得られたプラスミドを超純水で400ng/mlに希釈し、CHO細胞を遠心分離管で1.43×10個の細胞/mlに調整し、100μLのプラスミドと700μLの細胞とを混合してエレクトロポレーションカップに入れ、エレクトロポレーションを行い、翌日カウントし、25umol/LのMSX96ウェルにて加圧培養を約25日間行った。
【0103】
細胞が成長したクローンウェルを顕微鏡で観察しマークして、そのコンフルエンシーを記録し、培養上清を採取して、サンプルを検出のために送り、抗体濃度、相対濃度の高い細胞株を選んで24ウェルに転移し、3日ほどで6ウェルに転移し、3日間後に種ものを保存した後にバッチ培養を行い、細胞の密度を0.5×10個の細胞/mlに調整して、2.2mlでバッチ培養を行い、細胞の密度を0.3×10個の細胞/mlとして、2mlで種ものを保存し、7日間後に、6ウェルのバッチ培養の上清サンプルを検出のために送り、抗体濃度及び細胞直径が比較的小さい細胞株を選んで、TPPで種ものを保存して継代した。
【0104】
3 組換え抗体の生産
(1)細胞拡大培養
ステップ2-(3)で得られた継代による細胞を蘇生させた後、125ml規格の振とうフラスコにて培養し、接種体積は30mlであり、培地は100%のDynamis培地であり、回転数が120r/minで、温度が37℃で、二酸化炭素が8%であるシェーカーに置いた。72h培養し、50万個の細胞/mlの接種密度で接種して拡大培養し、拡大培養体積は、生産のニーズに応じて計算し、培地は100%のDynamis培地である。その後、72hごとに一回拡大培養した。細胞量が生産のニーズを満たす場合には、接種密度を50万個の細胞/ml程度に厳格に制御して生産した。
【0105】
(2)振とうフラスコによる生産及び精製
振とうフラスコパラメータ:回転速度が120r/minで、温度が37℃で、二酸化炭素が8%である。流加補充:振とうフラスコで72h培養した後から始まって材料を毎日補充し、初期培養体積の3%のHyClone Cell Boost Feed 7aを毎日流加し、初期培養体積の1000分の1の流加量で、Feed 7bを毎日流加し、12日目(12日目も補充)までに補充した。6日目にブドウ糖を3g/L補充した。13日目に試料を採取した。プロテインA(proteinA)アフィニティークロマトグラフィーカラムを用いてアフィニティー精製を行った。精製された抗体を4μg取って還元性SDS-PAGEを行い、4μgの外因性対照抗体を対照とし、電気泳動図は図1に示すように、還元性SDS-PAGEの後に2本のバンドを示し、1本のMrは50KD(重鎖、配列番号14)で、もう1つのMrは28KD(軽鎖、配列番号13)である。
【0106】
(実施例2)
抗体の性能検出
(1)実施例1の抗体及びその突然変異体の活性検出
実施例1の抗体(WT)配列を分析すると、その重鎖可変領域は配列番号12に示され、ここで、重鎖可変領域上の各相補性決定領域のアミノ酸配列は以下のとおりであり、
CDR-VH1:G-V(X1)-T-F-S-T(X2)-F-A(X3)-M-H、
CDR-VH2:Y-L(X1)-N-S-A(X2)-S-N-L(X3)-I-Y-Y-A-D-T-L(X4)-K、
CDR-VH3:T(X1)-R-H-A(X2)-M、
その軽鎖可変領域は配列番号11に示され、ここで、軽鎖可変領域上の各相補性決定領域のアミノ酸配列は以下のとおりである。
CDR1-VL:S-Q-S-I(X1)-D-Y-D(X2)-G-D-S-F(X3)-M、
CDR-VL2:D(X1)-A-S-N-V(X2)-E-S、
CDR-VL3:Q-H(X1)-S-N-E-D(X2)-P-Y。
【0107】
実施例1の新型コロナウイルスに対する抗体(WT)を基に、相補性決定領域中で抗体の活性に関連する部位を突然変異させ、ここで、X1、X2、X3、X4はいずれも突然変異部位である。次の表1を参照する。
【表5】
【0108】
表1の抗体の結合活性の検出
コーティング液(主成分NaHCO)で2019-nCoV Nタンパク質抗原を1μg/mlに希釈し、1ウェル当たり100μlでマイクロプレートコーティングを行い、4℃で一晩放置し、翌日、洗浄液で2回洗浄し、叩いて乾かし、ブロッキング液(20%BSA+80%PBS)を1ウェル当たり120μlになるように加え、37℃で1h叩いて乾かし、希釈された表1のモノクローナル抗体を100μl/ウェルで加え、37℃で30min~60minであり、洗浄液で5回洗浄し、叩いて乾かし、ヤギ抗マウスIgG-HRPを1ウェル当たり100μlになるように加え、37℃で30minであり、洗浄液(PBS)で5回洗浄し、叩いて乾かし、発色液A(50μl/ウェル、2.1g/Lのクエン酸、12.25g/Lのクエン酸、0.07g/Lのアセトアニリド、及び0.5g/Lの過酸化尿素を含む)を加え、発色液B液(50μl/ウェル、1.05g/Lのクエン酸、0.186g/LのEDTA・2Na、0.45g/LのTMB、0.2ml/Lの濃HClを含む)を加え、10minであり、停止液(50μl/ウェル、0.75g/LのEDTA・2Na及び10.2ml/Lの濃HSOを含む)を加え、マイクロプレートリーダの450nm(630nm参照)でOD値を読み取った。結果を次の表2に示した。
【表6】
【0109】
表2の結果から分かるように、WT及び突然変異体は、両方とも良好な結合活性を有し、ここで、突然変異1の活性が最適である。
【0110】
(2)抗体及びその突然変異体の親和性の検出
(a)突然変異1を基に、各CDR領域の他の部位を突然変異させ、各突然変異の配列を次の表3に示した。
【表7(1)】
【表7(2)】
【表7(3)】
【0111】
親和性分析
AMCセンサーを利用して、精製した抗体をPBST(リン酸塩ツイーン緩衝液、主成分はNaHPO+NaCl+TW-20である)で10μg/mLに希釈し、2019-nCoV Nタンパク質抗原をPBSTで1.41μg/mL、0.70μg/mL、0.35μg/mL、0.18μg/mL、0.09μg/mL、0.04μg/mLに段階的に希釈した。
【0112】
実行プロセス:緩衝液1(PBST)中で60s平衡化し、抗体溶液中で抗体を300s固化し、緩衝液2(PBST)中で180sインキュベートし、抗原溶液中で420s結合し、緩衝液2中で1200s解離し、10mMのpH1.69GLY溶液及び緩衝液3でセンサー再生を行って、データを出力した。Kは、親和性である平衡解離定数を表し、konは、結合速度を表し、kdisは、解離速度を表す。結果を次の表4に示した。
【表8(1)】
【表8(2)】
【0113】
表4のデータは、突然変異1及びそのシリーズ突然変異体は、両方とも良好な親和性を有することを示し、これは、突然変異1を基に表3の突然変異方式で突然変異させて得られた抗体は、いずれも比較的良い親和性を有することを明らかに示す。
【0114】
(b)WTを基に、他の部位を突然変異させ、且つ上記の2(a)の親和性測定方法を利用して各突然変異体の親和性を検出し、各突然変異の配列を次の表5に示し、対応する親和性データを次の表6に示した。
【表9】
【表10】
【0115】
表6のデータは、WT及びそのシリーズ突然変異体は、抗原に対しても良い親和性を有することを示し、これは、WTを基に、表5の突然変異方式で突然変異させて得られた抗体は、いずれも良い親和性を有することを明らかに示す。
【0116】
(3)裸抗体の安定性評価
上記の抗体を4℃(冷蔵庫)、-80℃(冷蔵庫)、37℃(恒温槽)にて21日間放置し、7日目、14日目、21日目に試料を取って状態を観察し、21日目の試料に対して活性検出を行った結果は、抗体を3種類の評価条件で21日間放置し、いずれにもタンパク質状態の明らかな変化が見られず、活性も評価温度の上昇に伴って低下する傾向が見られないことを示し、これは、上記の抗体が安定していることを明らかに示す。表7の突然変異1抗体は、21日間評価した酵素結合免疫活性検出のOD結果である。
【表11】
【0117】
以上は、本開示の好ましい実施例にすぎず、本開示を限定するものではなく、当業者にとって、本開示の様々な変更及び変化が可能である。本開示の精神及び原則内で行われる修正、等価置換、改良などは、いずれも本開示の保護範囲内に含まれるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本開示は、新型コロナウイルスに対する抗体、新型コロナウイルスを検出する試薬及びキットを提供し、当該抗体は、新型コロナウイルスのNタンパク質に特異的に結合することができ、Nタンパク質に対して高親和性を有し、当該抗体を用いた新型コロナウイルスの検出は、優れた感度及び特異性を有する。本開示は、新型コロナウイルスの検出のために、より豊富な抗体選択を提供する。また、本開示にて提供される検出キットも、同様に、当該抗体と同じ技術的効果を有し、広い応用の見込みと高い市場価値を有する。

図1
【配列表】
2023551103000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2023-11-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
いくつかの実施形態では、前記抗体又はその機能性断片の各相補性決定領域は、下記の突然変異組合せ1~68から選択されるいずれか1つである。
【表1(1)】
【表1(2)】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
【表3(1)】
【表3(2)】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0110
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0110】
(2)抗体及びその突然変異体の親和性の検出
(a)突然変異1を基に、各CDR領域の他の部位を突然変異させ、各突然変異の配列を次の表3に示した。
【表7(1)】
【表7(2)】
【表7(3)】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0114
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0114】
(b)WTを基に、他の部位を突然変異させ、且つ上記の2(a)の親和性測定方法を利用して各突然変異体の親和性を検出し、各突然変異の配列を次の表5に示し、対応する親和性データを次の表6に示した。
【表9】
【表10】
【手続補正6】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
新型コロナウイルス又はそのNタンパク質に対する抗体又はその機能性断片であって、前記抗体又はその機能性断片は、下記の相補性決定領域を含み、
CDR-VH1:G-X1-T-F-S-X2-F-X3-M-H、ここで、X1はV或いはFであり、X2はS或いはTであり、X3はG或いはAであり、
CDR-VH2:Y-X1-N-S-X2-S-N-X3-I-Y-Y-A-D-T-X4-K、ここで、X1はL或いはIであり、X2はG或いはAであり、X3はI、V或いはLであり、X4はI、V或いはLであり、
CDR-VH3:X1-R-H-X2-M、ここで、X1はA或いはTであり、X2はA或いはVであり、
CDR-VL1:S-Q-S-X1-D-Y-X2-G-D-S-X3-M、ここで、X1はI、V或いはLであり、X2はD或いはNであり、X3はF或いはYであり、
CDR-VL2:X1-A-S-N-X2-E-S、ここで、X1はA或いはDであり、X2はI、V或いはLであり、
CDR-VL3:Q-X1-S-N-E-X2-P-Y、ここで、X1はN、H或いはQであり、X2はD或いはEであることを特徴とする新型コロナウイルス又はそのNタンパク質に対する抗体又はその機能性断片。
【請求項2】
CDR-VH1において、X1はFであり、
CDR-VH2において、X1はIであり、
CDR-VH3において、X1はAであり、
CDR-VL1において、X3はYであり、
好ましくは、CDR-VH1において、X2はSであり、
好ましくは、CDR-VH1において、X2はTであり、
好ましくは、CDR-VH1において、X3はGであり、
好ましくは、CDR-VH1において、X3はAであり、
好ましくは、CDR-VH2において、X2はGであり、
好ましくは、CDR-VH2において、X2はAであり、
好ましくは、CDR-VH2において、X3はIであり、
好ましくは、CDR-VH2において、X3はVであり、
好ましくは、CDR-VH2において、X3はLであり、
好ましくは、CDR-VH2において、X4はIであり、
好ましくは、CDR-VH2において、X4はVであり、
好ましくは、CDR-VH2において、X4はLであり、
好ましくは、CDR-VH3において、X2はAであり、
好ましくは、CDR-VH3において、X2はVであり、
好ましくは、CDR-VL1において、X1はIであり、
好ましくは、CDR-VL1において、X1はVであり、
好ましくは、CDR-VL1において、X1はLであり、
好ましくは、CDR-VL1において、X2はDであり、
好ましくは、CDR-VL1において、X2はNであり、
好ましくは、CDR-VL2において、X1はAであり、
好ましくは、CDR-VL2において、X1はDであり、
好ましくは、CDR-VL2において、X2はIであり、
好ましくは、CDR-VL2において、X2はVであり、
好ましくは、CDR-VL2において、X2はLであり、
好ましくは、CDR-VL1において、X1はNであり、
好ましくは、CDR-VL1において、X1はHであり、
好ましくは、CDR-VL1において、X1はQであり、
好ましくは、CDR-VL2において、X2はDであり、
好ましくは、CDR-VL2において、X2はEであり、
好ましくは、前記抗体又はその機能性断片の各相補性決定領域は、下記の突然変異組合せ1~68から選択されるいずれか1つであることを特徴とする請求項1に記載の抗体又はその機能性断片。
【表1(1)】
【表1(2)】
【請求項3】
前記抗体又はその機能性断片が新型コロナウイルスのNタンパク質とK≦8×10-9mol/Lの親和性で、好ましくは、K≦7×10-10mol/Lの親和性で結合することを特徴とする請求項2に記載の抗体又はその機能性断片。
【請求項4】
CDR-VH1において、X1はVであり、
CDR-VH2において、X1はLであり、
CDR-VH3において、X1はTであり、
CDR-VL1において、X3はFであり、
好ましくは、前記抗体又はその機能性断片の各相補性決定領域は、下記の突然変異組合せ69~76中から選択されるいずれか1つであることを特徴とする請求項1に記載の抗体又はその機能性断片。
【表2】
【請求項5】
前記抗体は、配列が順番に配列番号1~4に示されるか、又は配列番号1~4と少なくとも80%の相同性を有する軽鎖フレームワーク領域FR1-L、FR2-L、FR3-L及びFR4-L、及び/又は、配列が順番に配列番号5~8に示されるか、又は配列番号5~8と少なくとも80%の相同性を有する重鎖フレームワーク領域FR1-H、FR2-H、FR3-H及びFR4-Hを含み、
好ましくは、前記FR1-Hのアミノ酸配は配列番号15に示され、
好ましくは、前記抗体は、定常領域をさらに含み、
好ましくは、前記定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgM、IgE及びIgDから選択されるいずれか1つの定常領域であり、
好ましくは、前記定常領域の由来となる種属は、牛、馬、乳牛、豚、ヒツジ、ヤギ、ラット、マウス、イヌ、ネコ、ウサギ、ラクダ、ロバ、鹿、ミンク、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、七面鳥、闘鶏又はヒトであり、
好ましくは、前記定常領域はマウスに由来し、
好ましくは、前記定常領域の軽鎖定常領域の配列は、配列番号9に示されるか、又は配列番号9と少なくとも80%の相同性を有し、前記定常領域の重鎖定常領域の配列は、配列番号10に示されるか、又は配列番号10と少なくとも80%の相同性を有し、
好ましくは、前記重鎖定常領域の配列は、配列番号16に示され、
好ましくは、前記機能性断片は、前記抗体のVHH、F(ab’)2、Fab’、Fab、Fv及びscFvから選択されるいずれか1つであることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の抗体又はその機能性断片。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1項に記載の抗体又はその機能性断片を含むことを特徴とする新型コロナウイルス又はそのNタンパク質を検出する試薬又はキット。
【請求項7】
前記抗体又はその機能性断片には、検出可能なマーカーが標識され、
好ましくは、前記検出可能なマーカーは、蛍光染料、基質の発色を触媒する酵素、放射性同位元素、化学発光試薬及びナノ粒子類マーカーから選択され、
好ましくは、前記蛍光染料は、フルオレセイン類染料及びその誘導体、ローダミン類染料及びその誘導体、Cy系染料及びその誘導体、Alexa系染料及びその誘導体、並びにタンパク質類染料及びその誘導体から選択され、
好ましくは、前記基質の発色を触媒する酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、炭酸脱水酵素、アセチルコリンエステラーゼ及びグルコース6リン酸脱水素酵素から選択され、
好ましくは、前記放射性同位元素は、212Bi、131I、111In、90Y、186Re、211At、125I、188Re、153Sm、213Bi、32P、94mTc、99mTc、203Pb、67Ga、68Ga、43Sc、47Sc、110mIn、97Ru、62Cu、64Cu、67Cu、68Cu、86Y、88Y、121Sn、161Tb、166Ho、105Rh、177Lu、172Lu及び18Fから選択され、
好ましくは、前記化学発光試薬は、ルミノール及びその誘導体、ルシゲニン、甲殻類動物のフルオレセイン及びその誘導体、ビピリジンルテニウム及びその誘導体、アクリジニウムエステル及びその誘導体、ジオキシシクロエタン及びその誘導体、ロフィン及びその誘導体、並びにペルオキシシュウ酸塩及びその誘導体から選択され、
好ましくは、前記ナノ粒子類マーカーは、ナノ粒子、コロイド、有機ナノ粒子、磁性ナノ粒子、量子ドットナノ粒子及び希土類錯体ナノ粒子から選択され、
好ましくは、前記コロイドは、コロイド金属、分散型染料、染料標識のミクロスフェア及びラテックスから選択され、
好ましくは、前記コロイド金属は、コロイド金、コロイド銀及びコロイドセレンから選択されることを特徴とする請求項に記載の試薬又はキット。
【請求項8】
請求項1~のいずれか1項に記載の抗体又はその機能性断片をコードすることを特徴とする核酸分子。
【請求項9】
請求項1~のいずれか1項に記載の抗体又はその機能性断片をコードする核酸断片を含有することを特徴とするベクター。
【請求項10】
請求項に記載のベクターを含有することを特徴とする組換え細胞。
【請求項11】
請求項1~のいずれか1項に記載の抗体又はその機能性断片又は請求項又はに記載の試薬又はキットの、新型コロナウイルスの検出における使用。
【請求項12】
新型コロナウイルスを検出するために使用される、請求項1~のいずれか1項に記載の抗体又はその機能性断片又は請求項又はに記載の試薬又はキット。
【請求項13】
結合反応が発生するのに十分な条件下で、請求項1~のいずれか1項に記載の抗体又はその機能性断片と試料とを接触させて、結合反応を行うステップA)と、
結合反応によって生成される免疫複合体を検出するステップB)とを含む新型コロナウイルスを検出する方法。
【請求項14】
請求項10に記載の組換え細胞を培養し、培養物から単離精製して前記抗体又はその機能性断片を得ることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の抗体又はその機能性断片を調製する方法。
【国際調査報告】