(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-07
(54)【発明の名称】トポロジカル量子電界効果トランジスタ
(51)【国際特許分類】
H10N 50/80 20230101AFI20231130BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
H10N50/80 Z
H01L29/06 601Q
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527421
(86)(22)【出願日】2021-11-05
(85)【翻訳文提出日】2023-07-05
(86)【国際出願番号】 AU2021051306
(87)【国際公開番号】W WO2022094666
(87)【国際公開日】2022-05-12
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501249191
【氏名又は名称】モナッシュ ユニバーシティ
(71)【出願人】
【識別番号】506093452
【氏名又は名称】ニューサウス イノベーションズ ピーティーワイ リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】504003260
【氏名又は名称】ユニバーシティ・オブ・ウーロンゴン
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF WOLLONGONG
【住所又は居所原語表記】Northfields Avenue, Wollongong, NSW 2522, Australia
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カルサー ディミトリエ
(72)【発明者】
【氏名】フューラー マイケル シアーズ
(72)【発明者】
【氏名】ナディーム ムハンマド
【テーマコード(参考)】
5F092
【Fターム(参考)】
5F092AB10
5F092AC22
5F092AC26
5F092AC30
5F092AD06
5F092BD01
5F092BD19
5F092BD23
(57)【要約】
本明細書に開示されているのは、構造であって、ゲート電極、誘電体層、及び少なくとも誘電体層によってゲート電極から分離され、誘電体層との接触界面を有し、電界の印加時に電界制御されたラシュバスピン軌道相互作用を生成するトポロジカル材料の平面層、を備え、トポロジカル材料は、電界の印加時に臨界電界強度で自明な状態と非自明な状態との間のトポロジカル相転移を示し、ゲート電極は、平面層の平面に垂直な方向に、平面層にわたって電界を印加するように構成され、トポロジカル材料は、電界の存在下でバンドギャップの変化を示し、比例定数αRによって表されるスピン依存の寄与と比例定数αvによって表される非スピン依存の寄与を有し、式中、αR>αv/3である、構造である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造であって、
ゲート電極、
誘電体層、及び、
少なくとも前記誘電体層によって前記ゲート電極から分離され、前記誘電体層との接触界面を有し、電界の印加時に電界制御されたラシュバスピン軌道相互作用を生成する、トポロジカル材料の平面層、を備え、
前記トポロジカル材料は、前記電界の印加時に臨界電界強度で自明な状態と非自明な状態との間のトポロジカル相転移を示し、
前記ゲート電極は、前記平面層の平面に垂直な方向に、前記平面層にわたって前記電界を印加するように構成され、
前記トポロジカル材料は、前記電界の存在下でバンドギャップの変化を示し、比例定数α
Rによって表されるスピン依存の寄与と比例定数α
vによって表される非スピン依存の寄与を有し、
式中、α
R>α
v/3である、前記構造。
【請求項2】
構造であって、
ゲート電極、
誘電体層、及び、
少なくとも前記誘電体層によって前記ゲート電極から分離され、前記誘電体層との接触界面を有し、電界の印加時に電界制御されたラシュバスピン軌道相互作用を生成するトポロジカル材料の平面層、を備え、
前記トポロジカル材料は、前記電界の印加時に臨界電界強度で自明な状態と非自明な状態との間のトポロジカル相転移を示し、
前記ゲート電極は、前記平面層の平面に垂直な方向に前記平面層にわたって前記電界を印加するように構成され、
前記トポロジカル材料は、大きさΔR=α
RE
zのスピン寄与と大きさΔV=α
vE
zの非スピン寄与とを有するバンドギャップポテンシャルの変化を示し、
式中
Δ
Rは、前記バンドギャップの変化に対するスピン依存の寄与であり、
α
Rは、前記バンドギャップの変化に対するスピン依存の寄与を表す比例定数であり、
Δ
Vは、前記バンドギャップの変化に対する非スピン依存の寄与であり、
α
Vは、前記バンドギャップの変化に対する非スピン依存の寄与を表す比例定数であり、
E
zは前記電界強度であり、
式中、α
R>α
v/3である、前記構造。
【請求項3】
前記ラシュバスピン軌道相互作用は、前記自明な状態で前記トポロジカル材料の前記バンドギャップを増加させ、前記非自明な状態で前記トポロジカル材料の前記バンドギャップを減少させる、請求項1または2に記載の構造。
【請求項4】
前記トポロジカル材料の前記バンドギャップまたはバンド交差は、前記トポロジカル材料のブリルアンゾーンの中心に位置しない、請求項1~3のいずれか一項に記載の構造。
【請求項5】
前記バンドギャップまたは前記バンド交差は前記ブリルアンゾーンの角にある、請求項4に記載の構造。
【請求項6】
前記トポロジカル材料の前記平面層は、2次元トポロジカル材料の平面層である、請求項1~5のいずれか一項に記載の構造。
【請求項7】
前記2次元トポロジカル材料は、2単位胞以下の厚さの薄膜の形態である、請求項6に記載の構造。
【請求項8】
前記トポロジカル材料は互い違いのハニカム格子構造を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の構造。
【請求項9】
前記互い違いのハニカム格子構造の格子の原子は、As、Sb、Biからなる群から選択される1つ以上の原子を含む、請求項8に記載の構造。
【請求項10】
前記互い違いのハニカム格子は、X、XY、またはXYZの形態であり、式中Xは、As、Sb、Biからなる群から選択され、Y及びZは、それぞれ独立してH、Cl、Br、またはFからなる群から選択される、請求項8に記載の構造。
【請求項11】
前記互い違いのハニカム格子構造は、原子SOI(ξ)とSlater-Koster軌道間ホッピングパラメータ(V
spσ)との比が1より大きい、請求項8~10のいずれか一項に記載の構造。
【請求項12】
前記トポロジカル材料が前記自明な状態にあるとき、前記バンドギャップは10kTまたは250meVより大きい、請求項1~11のいずれか一項に記載の構造。
【請求項13】
前記トポロジカル材料と電気的に接触するソース電極と、前記ソース電極から離間し、前記トポロジカル材料と電気的に接触するドレイン電極とをさらに備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の構造。
【請求項14】
前記誘電体層または各誘電体層は4より大きい誘電率を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の構造。
【請求項15】
前記平面層は、10nm未満の厚さを有する薄膜の形態である、請求項1~14のいずれか一項に記載の構造。
【請求項16】
前記構造は、電界効果トランジスタまたはその構成要素であり、前記電界効果トランジスタは、60mV/dec未満のサブスレッショルドスイングを有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の構造。
【請求項17】
前記ゲート電極は第1のゲート電極であり、誘電体層は第1の誘電体層であり、前記構造は第2のゲート電極及び第2の誘電体層をさらに含み、
前記第1のゲート電極及び前記第2のゲート電極は、前記平面層の反対側に配置され、
トポロジカル材料の前記平面層は、少なくとも前記第2の誘電体層によって前記第2のゲート電極から分離され、
前記第2のゲート電極は、前記平面層の前記平面に垂直な方向に前記平面層にわたって電界を印加するように構成される、請求項1または2に記載の構造。
【請求項18】
前記第1のゲート電極及び前記第2のゲート電極は、互いに独立して動作可能である、請求項17に記載の構造。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載の構造を備える、トランジスタ。
【請求項20】
請求項1~18のいずれか一項に記載の構造を操作する方法であって、
前記平面層の平面に垂直な方向に前記平面層にわたって電界を生成または変化するように前記ゲート電極に対してゲート電圧を印加または変調すること、及び、
前記自明な状態と前記非自明な状態の間で前記トポロジカル材料を切り替え、前記ラシュバスピン軌道相互作用を変調して前記トポロジカル材料のバンドギャップを変更することを含む、前記方法。
【請求項21】
請求項17または18に記載の構造、または請求項19に記載のトランジスタを操作する方法であって、
前記平面層の平面に垂直な方向に前記平面層にわたって電界を生成または変化するように、前記第1のゲート電極に対して第1のゲート電圧を印加または変調し、前記第2のゲート電極に対して第2のゲート電圧を印加または変調すること、及び、
前記自明な状態と前記非自明な状態の間で前記トポロジカル材料を切り替え、前記ラシュバスピン軌道相互作用を変調して前記トポロジカル材料のバンドギャップを変更することを含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トポロジカル材料を含む、電界効果トランジスタを含む電子部品などの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
トポロジカル絶縁体は、内部にバンドギャップを有する最近発見された材料であるが、それらの電子状態のトポロジは、境界に、ギャップのない伝導モード-2次元(2D)トポロジカル絶縁体の場合は1次元(1D)のエッジ、3次元(3D)トポロジカル絶縁体の場合は2Dの表面-が存在する必要がある。これらの伝導モードは、時間反転対称性によって後方の散乱から保護されており、2Dトポロジカル絶縁体の1Dエッジモードの場合、弾道伝導体であると予想される。これらの特性を考えると、トポロジカル絶縁体は、電界効果トランジスタ(FET)などの電子デバイスに役立つと考えられている。
【0003】
従来の半導体トランジスタでは、ゲートコンデンサの不可逆的な充電及び放電により、導通をオン及びオフにすることにより、電力損失の大部分が発生する。その効率は、サブスレッショルドスイングが小さいトランジスタがオン(高電流)状態とオフ(低電流)状態の間で急速に遷移するように、サブスレッショルドスイングによって、特徴付けられる。サブスレッショルドスイングは、スイッチなどの低電力の用途でトランジスタの動作を決定する基本的な重要なパラメータである。これは、デバイスのオンとオフを切り替えるために使用されるゲート容量による損失の割合を決定し、従来のトランジスタでは、「ボルツマンの暴虐(Boltzmann’s tyranny)」として非公式に知られている基本的な考慮事項によって室温で10年あたりkBTln(10)/qか、または60mVに制限され、式中kBはボルツマン定数、Tは温度、qは素電荷である。
【0004】
次世代トランジスタのサブスレッショルドスイングを下げるための戦略は、ゲートキャパシタまたはチャネルのいずれにおいても、トンネリングまたは電子間相互作用のいずれかに頼る。強誘電性絶縁体の非線形誘電応答を利用して、負の静電容量と負の静電容量電界効果トランジスタ(NC-FET)を備えたゲート絶縁体を設計でき、これにより、表面ポテンシャルの曲がりがトップゲートのポテンシャルの関数として増加するが、このレジームはエネルギー的に不安定になる傾向がある。トンネリング電界効果トランジスタ(TFET)は、空間的に分離された価電子帯と伝導帯の間の電荷トンネリングを、所定のエネルギーウィンドウ内でのキャリア注入源として利用するが、トンネリング輸送はオン状態の電流を比較的低い値に制限する。
【0005】
トポロジカル絶縁体のトポロジカル特性は、輸送が散逸しないレジームにつながることが示されている。これは、ゲート電界によって誘起されるトポロジカル相転移を介して伝導がオン/オフされるトランジスタ設計の新しい青写真を提示する、つまり、従来のキャリア反転がトポロジカル相転移に置き換えられる。トポロジカルトランジスタ内側の電荷輸送は無損失である可能性があるが、パフォーマンスはトランジスタのオンとオフを切り替えるときに散逸される電力によって制限される。完全に散逸がない輸送の理想的なケースでは、これがトランジスタ内のすべての散逸の原因となる。サブスレッショルドスイングが小さいデバイスを設けることによって、トランジスタの効率をさらに向上させることが望ましい。
【0006】
本発明の目的は、先行技術の1つまたは複数の欠点に対処し、及び/または有用な代替物を提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様では、構造であって、
ゲート電極、
誘電体層、及び、
少なくとも誘電体層によってゲート電極から分離され、誘電体層との接触界面を有し、電界の印加時に電界制御されたラシュバスピン軌道相互作用を生成するトポロジカル材料の平面層、を備え、
トポロジカル材料は、電界の印加時に臨界電界強度で自明な状態と非自明な状態との間のトポロジカル相転移を示し、
ゲート電極は、平面層の平面に垂直な方向に、平面層にわたって電界を印加するように構成され、
トポロジカル材料は、電界の存在下でバンドギャップの変化を示し、
比例定数αRによって表されるスピン依存の寄与と比例定数αvによって表される非スピン依存の寄与を有し、式中、αR>αv/3である、構造が提供される。
【0008】
実施形態では、トポロジカル材料は、大きさΔR=αREzのスピン寄与及び大きさΔV=αvEzの非スピン寄与を有するバンドギャップポテンシャルの変化を示し、式中ΔRはバンドギャップの変化に対するスピン依存の寄与であり、αRは、バンドギャップの変化に対するスピン依存の寄与を表す比例定数であり、ΔVは、バンドギャップの変化に対する非スピン依存の寄与であり、αvは、バンドギャップの変化に対する非スピン依存の寄与を表す比例定数であり、Ezは電界強度である。
【0009】
本発明の第2の態様では、構造であって、
ゲート電極、
誘電体層、及び、
少なくとも誘電体層によってゲート電極から分離され、誘電体層との接触界面を有し、電界の印加時に電界制御されたラシュバスピン軌道相互作用を生成するトポロジカル材料の平面層、を備え、
トポロジカル材料は、電界の印加時に臨界電界強度で自明な状態と非自明な状態との間のトポロジカル相転移を示し、
ゲート電極は、平面層の平面に垂直な方向に平面層にわたって電界を印加するように構成され、
トポロジカル材料は、大きさΔR=αREzのスピン寄与と大きさΔV=αvEzの非スピン寄与とを有するバンドギャップポテンシャルの変化を示し、
式中
ΔRは、バンドギャップの変化に対するスピン依存の寄与であり、
αRは、バンドギャップの変化に対するスピン依存の寄与を表す比例定数であり、
ΔVは、バンドギャップの変化に対する非スピン依存の寄与であり、
αVは、バンドギャップの変化に対する非スピン依存の寄与を表す比例定数であり、
Ezは電界強度であり、
式中、αR>αv/3である、構造を提供する。
【0010】
第1及び第2の態様の実施形態では、αR>αv/2である。
【0011】
第1及び第2の態様の実施形態では、ラシュバスピン軌道相互作用は、自明な状態でトポロジカル材料のバンドギャップを増加させ、非自明な状態でトポロジカル材料のバンドギャップを減少させる。
【0012】
第1及び第2の態様の実施形態では、トポロジカル材料は、運動量がゼロではないバンド交差を有する。
【0013】
第1及び第2の態様の実施形態では、トポロジカル材料のバンドギャップまたはバンド交差は、トポロジカル材料のブリルアンゾーンの中心に位置しない。好ましくは、バンドギャップまたはバンド交差は、ブリルアンゾーンの角にある。
【0014】
第1及び第2の態様の実施形態では、トポロジカル材料の平面層は、2次元トポロジカル材料の平面層である。
【0015】
適切な材料には、2次元トポロジカル絶縁体が含まれ、Bi2Se3、Bi2Te3、Sb2Te3、BiTeCl、Bi1.5Sb0.5Te1.8Se1.2、SmB6、Pt2HgSe3、WTe2またはCd3As2からなる群から選択されるもののようなディラック半金属、またはビスムテンのような互い違いのハニカム格子構造を有する材料からなる群から選択される材料などの薄層であってもよい。
【0016】
上記の実施形態の一形態では、2次元トポロジカル材料は、2単位胞以下の厚さを有する薄膜の形態である。好ましくは、フィルムの厚さは1単位胞である。
【0017】
第1及び第2の態様の実施形態では、トポロジカル材料は、互い違いのハニカム格子構造を有する。
【0018】
上記の実施形態の一形態では、互い違いのハニカム格子構造の格子原子は、As、Sb、Biからなる群から選択される1つ以上の原子を含む。
【0019】
上記の実施形態の一形態では、互い違いのハニカム格子は、X、XY、またはXYZの形態であり、式中、Xは、As、Sb、Biからなる群から選択される原子であり、Y及びZは、それぞれ独立してH、Cl、Br、またはFからなる群から選択される原子である。
【0020】
互い違いのハニカム格子構造は、原子SOI(ξ)とSlater-Koster軌道間ホッピングパラメータ(Vspσ)との比が1より大きい(例えば、ξ/Vspσ>1)ことが好ましい。好ましくは、ξ/Vspσ>1.5である。さらに好ましくは、ξ/Vspσ>2である。
【0021】
第1及び第2の態様の実施形態では、トポロジカル材料が自明な状態にあるとき、バンドギャップは10kBTまたは250meVより大きい。
【0022】
第1及び第2の態様の実施形態では、構造は、トポロジカル材料と電気的に接触するソース電極と、ソース電極から離間し、トポロジカル材料と電気的に接触するドレイン電極とをさらに備える。
【0023】
第1及び第2の態様の実施形態では、誘電体層は4より大きい誘電率を有する。好ましくは、誘電率は6より大きい。より好ましくは、誘電率は8より大きい。最も好ましくは、誘電率は10より大きい。
【0024】
第1及び第2の態様の実施形態では、平面層は、10nm未満の厚さを有する薄膜の形態である。好ましくは、厚さは8nm未満である。さらに好ましくは、厚さは6nm未満である。さらにより好ましくは、厚さは4nm未満である。最も好ましくは、厚さは2nm未満である。
【0025】
第1及び第2の態様の実施形態では、構造は電界効果トランジスタまたはその構成要素であり、電界効果トランジスタは60mV/dec未満のサブスレッショルドスイングを有する。
【0026】
第1及び第2の態様の実施形態では、ゲート電極は第1のゲート電極であり、誘電体層は第1の誘電体層であり、第2のゲート電極及び第2の誘電体層をさらに含み、
第1のゲート電極及び第2のゲート電極は、平面層の反対側に配置され、
トポロジカル材料の平面層は、少なくとも第2の誘電体層によって第2のゲート電極から分離され、
第2のゲート電極は、平面層の平面に垂直な方向に平面層にわたって電界を印加するように構成される。
【0027】
上記の実施形態の一形態では、第2の誘電体層は4より大きい誘電率を有する。好ましくは、誘電率は6より大きい。より好ましくは、第2の誘電体層の誘電率は8より大きい。最も好ましくは、誘電率は10より大きい。
【0028】
上記の実施形態の形態では、第1のゲート電極及び第2のゲート電極は、互いに独立して動作可能である。
【0029】
本発明の第3の態様では、先行請求項のいずれか一項に記載の構造を備えるトランジスタが提供される。
【0030】
本発明の第4の態様では、本発明の第1または第2の態様による構造物、または本発明の第3の態様によるトランジスタを操作する方法であって、
平面層の平面に垂直な方向に平面層にわたって電界を生成または変化するようにゲート電極に対してゲート電圧を印加または変調すること、及び、
自明な状態と非自明な状態の間でトポロジカル材料を切り替え、ラシュバスピン軌道相互作用を変調してトポロジカル材料のバンドギャップを変更することを含む、方法が提供される。
【0031】
実施形態では、ゲート電極が第1のゲート電極であり、誘電体層が第1の誘電体層であり、構造は、第2のゲート電極と第2の誘電体層とをさらに含み、第1のゲート電極及び第2のゲート電極は、平面層の反対側に配置され、トポロジカル材料の平面層は、少なくとも第2の誘電体層によって第2のゲート電極から分離され、第2のゲート電極は、平面層の平面に垂直な方向に平面層全体に電界を印加するよう構成され、本発明の第5の態様による方法は、
平面層の平面に垂直な方向に平面層にわたって電界を生成または変化するように、第1のゲート電極に対して第1のゲート電圧を印加または変調し、第2のゲート電極に対して第2のゲート電圧を印加または変調すること、及び、
自明な状態と非自明な状態の間でトポロジカル材料を切り替え、ラシュバスピン軌道相互作用を変調してトポロジカル材料のバンドギャップを変更することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】トポロジカル量子電界効果トランジスタ。ゲート電界が存在しない場合、QSH絶縁体は量子化コンダクタンス2e
2/hの最小値(TQFETのオン状態(a))の散逸のないらせん伝導チャネルをホストする。ゲート電界が閾値の限界を超えると、薄いQSH絶縁体層(互い違いのハニカム格子)は、コンダクタンスの最小値がゼロ(オフ状態)に低下する自明なレジームに入る。このような電界スイッチングには、ゲート電界によって駆動されるトポロジカル相転移を強化し、サブスレッショルドスイングを低減するトポロジカル量子電界効果が伴う(c)。ここで、Δは、トポロジカル量子電界効果による非自明な/自明なバンドギャップE
Gのシフトを表す。
【
図2】電界スイッチング(Δ
R=0)とトポロジカル量子電界効果(Δ
R≠0)(a~c)。ラシュバSOIが存在していない場合、均一な面外電界がQSH(a)を正常な絶縁(NI)相(c)に駆動しながら臨界点(Δv=Δcv)を通過し、それにおいて谷K(K’)は完全にスピン偏極しスピンダウン(アップ)するギャップレス状態(b)である(df)。トポロジカルな量子電界効果は、非自明なバンドギャップ(d)を減少させ、閾値ゲート電界で自明なバンドギャップを開き(e)、自明なバンドギャップを高める(f)。トポロジカル量子電界効果は、トポロジカル量子電界効果が存在しない場合の臨界点であるΔ
v=Δ
v
c(e)のときに自明なバンドギャップを開くことによって、トポロジカル相転移を加速する(b)。ここで、t=1eV、Δ
so=0.519ev、Δ
R=0.225eV(d)、Δ
R=0.30eV(e)、Δ
R=0.375eV(f)である。実線(破線)は、ラシュバSOIが存在しない(存在する)場合のバンド分散を表す。
【
図3】バンドギャップ、閾値ゲート電圧、及びサブスレッショルドスイングに対するトポロジカル量子電界効果。原子SOI及びSlater-Kosterパラメータ比ξ/V
spσ=1、1.5、2に対応する、バンドギャップ(a)、閾値ゲート電圧(b)、及びサブスレッショルドスイング(c)に対するトポロジカル量子電界効果が示されている。(a)非自明な(自明な)バルクバンドギャップEGは、ξ/V
spσの増加に伴って急激に減少(増加)する。したがって、閾値ゲート電圧(b)及びサブスレッショルドスイング(c)は、ξ/V
spσの増加と共に減少する。円(三角形)は、自由原子(正規化)SOIを伴うアンチモネンとビスムテンに基づくTQFETのサブスレッショルドスイングを表す。ここで、本発明者らは準平面/低座屈ハニカム格子に対して、d
z≒z及びsinθ≒1と仮定する。
【
図4】ジグザグなエッジの半無限ハニカムストリップのエッジ状態分散とコンダクタンス量子化。(a~c)オン状態(a)、臨界ギャップレスフェーズ(b)、自明な絶縁体またはオフ状態(c)で使用可能な導電チャネルとしてらせんエッジ状態を示すトポロジカル相転移による電界スイッチング。(d~f)「オン」状態でのトポロジカル量子電界効果は、エネルギー軸に沿って価電子帯をシフトすることによってバンドギャップを減少させる(d)。一方、臨界点(e)及び「オフ」状態(f)では、トポロジカルな量子電界効果により、価電子帯の最大値は固定されたままであるが、伝導帯の最小値はエネルギー軸に沿ってリフトされる自明なバンドギャップが増大する。(g~i)QSHフェーズ(g)、臨界点λ
v=λ
v
c(h)、及びオフ状態(i)で、TQFETの特定のエネルギーで利用可能なモードM(E)の数で表した量子化コンダクタンス。オフ状態では、(i)はトポロジカル量子電界効果の有無両方での、量子化されたコンダクタンスを示す。オン(オフ)状態では、コンダクタンスはエネルギーE
c(E
v)にある伝導/価電子帯の先端で2e
2/h(0)から6e
2/h(2e
2/h)にジャンプする一方、電界スイッチング(b、e、h)は、2e
2/hと0の間の最小コンダクタンスの操作に基づいており、トポロジカル量子電界効果がこのプロセスを強化する。ここでt=1eVであり、エッジ状態のスピンカイラリティは、大規模なディラックコーンを接続するヒントについて示されているものと同じである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、構造であって、ゲート電極、誘電体層、及び電場を印加すると臨界電場強度で自明な状態と非自明な状態の間のトポロジカル相転移を示し、少なくとも誘電体層によってゲート電極から分離され、誘電体層との接触界面を有し、電界の印加時に電界制御されたラシュバスピン軌道相互作用を生成するトポロジカル材料の平面層、を備え、トポロジカル材料は、電界の印加時に臨界電界強度で自明な状態と非自明な状態との間のトポロジカル相転移を示し、ゲート電極は、平面層の平面に垂直な方向に、平面層にわたって電界を印加するように構成される、または位置付けられる。
【0034】
本発明者らは、電界の存在下でバンドギャップの変化を示し、比例定数αRによって表されるスピン依存の寄与と比例定数αvによって表される非スピン依存の寄与を有するトポロジカル材料を選択することを発見し、式中αR>αv/3であり、サブスレッショルドスイングは、既存のトポロジカルデバイスのボルツマン限界と比較して25%以上(S*<0:75)減少させることができる。
【0035】
下部の説明において、本発明者らは、電極に印加されるゲートポテンシャルUG=qVによって開かれる輸送エネルギーギャップEGの一般的な問題に対する解決策を概説し、非相互作用電子系においてボルツマンの暴虐を克服できることを実証する。本発明者らは、フルスイングがS=S*kBTln(10)/qとなるように、S*=[dEG/d(UG)]-1として低減されたサブスレッショルドスイングを定義し、一般にMOSFETに対して[dEG/d(UG)]-1≧1なので、S≧kBTln(10)/qとした。単一粒子ハミルトニアンによって記述されるギャップのあるシステムでは、適用されたポテンシャルで線形の項が存在し、サブユニタリ比例定数が存在する場合、それはこれまでS*≧1であると想定されていた。S*はサブユニタリであり得、任意の小さな正の数である可能性があり、S自体が、本明細書でトポロジカルトランジスタと呼ばれるデバイスの一般的なクラスでボルツマンの暴虐によって予測される値よりも小さい可能性があることを意味することを実証し、その従来の英知をくつがえしてきた。
【0036】
特に、本発明者らは、電界スイッチングを介したトポロジカル相転移によって伝導が可能となるトポロジカルトランジスタのサブスレッショルドスイングが、トップゲート電界を介してラシュバスピン軌道相互作用を変調することによって、非相互作用の系でかなり低減できることを実証している。この効果は、本明細書ではトポロジカル量子電界効果(TQFE)と呼ばれる。また、本明細書では、トポロジカル量子電界効果トランジスタ(TQFET)と呼ばれる、TQFEを利用する電界効果トランジスタも開示される。本発明者の知る限り、TQFEは、従来の金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)に相当するものを有していない。この効果には、スピン軌道結合の相対論的量子力学的現象とトポロジカル相転移への近接の両方が必要である。
【0037】
ラシュバ相互作用によるTQFETのサブスレッショルドスイングの減少は、スピン軌道相互作用(SOI)に起因する微視的なバルクバンドトポロジと密接に関連している。ゲート誘起の巨視的電流制御の代わりに、ラシュバSOIは、微視的スケールで量子ダイナミクスを制御することにより、ゲート誘起トポロジカル相転移を効果的に強化し、したがって、バルク境界対応による巨視的エッジ状態のコンダクタンスを強化する。ラシュバSOIは、ゲート電界、原子SOI、QSH格子の幾何学的構造、及びSlater-Koster軌道間ホッピングパラメータに依存するため、純粋にゲート容量メカニズムに依存するのではなく、TQFETのサブスレッショルドスイングを制御するための調整可能なパラメータを設ける。
【0038】
図1に示すように、量子スピンホール(QSH)効果をホストする、トポロジ的に非自明な凝縮物質系に基づくトランジスタは、ゲート電界によって誘起されるトポロジカル相転移を介して設計できる。
【0039】
図1(a)は、本発明の非限定的な一実施形態によるデュアルゲートトランジスタ100の概略図を提示する。しかし、当業者は、単一ゲート設計も使用できることを理解するであろう。トランジスタ100は、トップゲート電極102、第1の誘電体層104、トポロジカル材料から形成されたチャネル106を上から下に含む層状構造を有し、チャネル106は、ソース電極108、及びチャネル106の両端にあるドレイン電極110、第2の誘電体層112、及びボトムゲート電極114に電気的に接続されている。この場合、トポロジ材料は
図1(b)に示すように互い違いのハニカム格子を有するものである。
【0040】
図1(c)を参照すると、ゲート電界が存在しない場合、QSH絶縁体などのトポロジカル材料は、量子化コンダクタンス2e
2/hの最小値(TQFETのオン状態)で散逸のないらせん伝導チャネルをホストする。
【0041】
エネルギーがゼロに近い場合、ナノリボンジオメトリのQSH格子のエッジ状態コンダクタンスは、(i)量子化され、(ii)トポロジカルに保護され、(iii)バルク内の微視的な量子現象に関連付けられる。量子化されたコンダクタンスの最小値は、システムが電界スイッチングを介してQSHフェーズ(オン)から自明なレジーム(オフ)に遷移すると、2e2/hからゼロに低下する。
【0042】
ゲート電界が閾値の限界を超えると、薄いQSH絶縁体層(例えば、互い違いのハニカム格子を持つ材料、
図1(b)を参照)は、コンダクタンスの最小値がゼロ(オフ状態)に低下する自明なレジームに入る。このような電界スイッチングには、ゲート電界によって駆動されるトポロジカル相転移を強化し、サブスレッショルドスイングを低減するトポロジカル量子電界効果が伴う。ここで、Δは、トポロジカル量子電界効果による非自明な/自明なバンドギャップE
Gのシフトを表す。
【0043】
トポロジカル量子電界効果トランジスタのモデル
QSHは、グラフェンやその他のIV族及びV族のハニカム格子構造、1T’構成の単層遷移金属ジカルコゲニド、3Dトポロジカル絶縁体Bi2Se3の薄膜、及びディラック半金属Na3Biで提案されている。ただし、小さなサブスレッショルドスイングには、上部ゲート電圧の関数としてギャップが急速に増加する材料が必要であり、そのギャップが最初の理論的予測よりもゆっくりと増加することが判明している2層グラフェンを除外することに留意されたい。
【0044】
ハニカム格子構造を持つQSH材料に特化した有効な低エネルギーディラック理論を再現する、タイトバインディングモデルハミルトニアンを考察していく。
【数1】
【0045】
ここで、c†(c
iα)は、サイトiでのスピン分極α=↑、↓を備える生成(消滅)電子オペレーターであり、パウリ行列s
zは、電子の固有スピンを表し、一方でs
z
αβは、サイトiとjでのスピン分極αとβを表す対応する行列要素であり、副格子A(B)のv
i=+1(-1)、及びv
ij=d
ik×d
kj=±1は、副格子A(B)のサイトiとjを、副格子B(A)の一意の中間サイトkを介して接続する。最近傍結合ベクトルd
ik及びd
kjは、A及びB副格子のi(k)及びk(j)サイトを接続する。第1項は振幅tの最近傍ホッピングであり、一方で第2項は強度λ
soの固有原子カネメレ型SOIである。第3項と第4項は、互い違いの副格子ポテンシャルλ
v=U
Gと、外部から印加されたゲート電界λ
R(0)=0に関連するスピン混合ラシュバSOIを表す。電界によって誘起されるトポロジカル相転移の間、バンドギャップはq=0で閉じるため、nnn固有のラシュバSOIは無視され、QSHバンドギャップには影響しない。長波長の極限では、基底ψ
k={a
k,↑,b
k,↑,a
k,↓,b
k,↓}で、低エネルギー有効4バンドブロッホハミルトニアンH(q)は、ディラックポイントK(K’)近傍で、以下のように読み取れる:
【数2】
式中、η
τ=+(-)はK(K’)を表す谷指数、v
F=3at/2はフェルミ速度、aは格子定数、sとσはそれぞれスピンと擬スピンのパウリ行列、Δ
v=λ
v及びΔ
so=3√3λ
so及びΔ
R=3λ
R/2はSOIパラメータである。
図1に示されているように、トランジスタの設計のデュアルゲート(またはトップゲートのみの)バージョンでは、副格子Aに対してΔ
v=+U
G(またはΔ
v=2U
G)、副格子Bに対してΔ
v=-U
G(またはΔ
v=0)である。デュアルゲートバージョンは、トップゲートが正のポテンシャル項のみを追加するより単純なシングルトップゲートの定式化と同等であるため、AとBの副格子はそれぞれU
Gと0になり、+U
G/2と-U
G/2の適用に、U
G=ed
zE
zの厳密なシフトで対応する。ここで、-eは電子の電荷、E
zはゲート電界、d
zはゼロポテンシャルのサイトからi番目のサイトまでの距離である。
【0046】
ラシュバSOIが無視できるほど小さくΔ
R≒0であり、スピンが適切な量子数であると仮定して、トポロジカルトランジスタのトポロジカル相転移を介した電界スイッチングの単純なケースを考察する。ディラック点付近の低エネルギー単粒子バンド分散は次のように読み取れる。
【数3】
式中、η
s=+(-)はスピンアップ(ダウン)セクターを表し、η
τ=+(-)は谷K(K’)を表す。スピン/谷に依存するバンドギャップE
G(λ
R=0)=|2Δ
so+η
sη
τΔ
v|は、ブリルアンゾーン(BZ)のコーナーで開く。電界が両方の谷でバンドギャップを対称的に開く/調整することを示しているが、
図2に示されているようにスピン・谷の縮退が崩壊しているため、スピンギャップは非対称で谷に依存している。臨界点Δ
v=Δ
c
v=2Δ
soでは、システムは半金属になり、両方の谷K(K’)が完全にスピン偏極し、スピンダウン(アップ)ギャップレスフェーズをホストする。臨界のギャップレスフェーズから離れても、システムは有限バンドギャップE
G(λ
R=0)≠0で絶縁性を維持する。
図4に示すように、バルク境界対応は0<Δ
v<2Δ
soの場合、トポロジ的に自明ではない(QSH位相)が、Δ
v>2Δ
soの場合は自明になることを確証する。
【0047】
つまり、
図2は電気(ΔR=0)とトポロジカル量子電界効果(ΔR≠0)を示している。ラシュバSOIが存在しない場合、一様な面外電界は、臨界点(Δ
v=Δ
c
v)を通過しながらQSH(
図2(a))を通常の絶縁(NI)相(
図2(c))に駆動し、谷K(K’)は完全にスピン偏極しており、スピンダウン(アップ)ギャップレス状態をホストしている(
図2(b))。
図2(d~f)は、トポロジカルな量子電界効果が非自明なバンドギャップを減少させ(
図2(d)、閾値ゲート電界で自明なバンドギャップを開き(
図2(e))、自明なバンドギャップを増強する(
図2(f))ことを示している。トポロジカル量子電界効果は、トポロジカル量子電界効果が存在しない場合の臨界点であるΔ
v=Δ
v
c(
図2(e))のときに自明なバンドギャップを開くことによって、トポロジカル相転移を加速する(
図2(b))。ここで、t=1eV、Δ
so=0.519ev、ΔR=0.225eV(
図2(d))、ΔR=0.30eV(
図2(e))、ΔR=0.375eV(
図2(f))である。実線(破線)は、ラシュバSOIが存在しない(存在する)場合のバンド分散を表す。
【0048】
サブスレッショルドスイングに対するトポロジカル量子電界効果
図1に示すトランジスタの形状では、ソースとドレインが接触する2Dトポロジカル絶縁体材料の平面に垂直に印加されるゲート電界E
zは、ミラー対称性M
zを破り、スピン混合ラシュバSOIを誘起する。電界誘起ラシュバSOIも摂動効果として考慮される場合、方程式4に示されるバンドギャップの導出された式は、QSHから自明な絶縁トポロジカル相転移Δ
c
v=2(Δ
so
2)/Δ
soでの互い違いのポテンシャルの臨界値が2Δ
R
2/Δ
so減少することを示している。
【数4】
【0049】
互い違いの副格子ポテンシャルと付随するラシュバSOIは両方とも、ゲート電界E
z内で線形であり、それぞれΔ
v=α
vE
z及びΔ
R=α
RE
zとしてシミュレートできる。ここで、α
vとα
Rは、格子の形状と材料固有のパラメータに依存する。トポロジカルトランジスタの減少したサブスレッショルドスイングは、そのとき、ゲート電界E
zによるバンドギャップE
Gの変化を介してα
vとα
Rの観点で、S
*=[(1/α
v)dEG/d(E
z)]
-1と書き記すことができる。ラシュバSOIが存在しない場合、減少したサブスレッショルドスイングS
*(λ
R=0)は1に制限される。つまり、ボルツマンの暴虐である。ただし、電界スイッチングのプロセスでは、ラシュバSOIはまた、トポロジ的に自明/非自明なバンドギャップに、そのため、電界駆動のトポロジカル相転移に影響を与え、この効果は、トポロジカル量子電界効果として表される。ラシュバ効果を組み込むことにより、ボルツマンの暴虐は、次のような量子電界効果を介してトポロジカルトランジスタで克服できる。
【数5】
【0050】
これは、αR>αv/3の場合、S*<0.75のサブスレッショルドスイングの低減が容易に達成できることを示している。材料の実現を理解するために、Slater-Koster軌道間ホッピングパラメータを見つけることによるαRの推定によって、減少したサブスレッショルドスイングを定量化することができる。バンド理論の観点では、固有の原子SOIとシュタルク効果によるσとπバンドの混合は、有限のラシュバSOIにつながる。sp微視的タイトバインディングモデルと2次摂動理論に基づいて、座屈したXenesのラシュバSOIの明示的な式はΔR=(ezξ/3sinθVspσ)Ezと読み取れる。ここで、eは電子の電荷、zはサイトiの原子のサイズに比例するシュタルク行列要素、ξは原子SOI、θは座屈角、VspσはSlater-Kosterパラメータで、s軌道とp軌道によって形成されるσ結合に対応している。
【0051】
要約すると、TQFETの自明/非自明なバンドギャップ、オン/オフスイッチングの電界の臨界値、及びサブスレッショルドスイングS
*の減少に対するトポロジカル量子電界効果の影響は、原子SOI、格子パラメータ、及びSlater-Kosterの軌道間ホッピングパラメータの観点から以下のようにシミュレートできる。
【数6】
【数7】
【数8】
【0052】
これらの式から、多くの興味深い特徴がトポロジカル量子電界効果によって捉えられていることが明らかである。
【0053】
まず、ラシュバSOIは、ゲート電界によって駆動されるトポロジカル相転移において中心的な役割を果たす。ラシュバSOIは、真性SOIによって開かれた非自明なバンドギャップを減少させ、ゲート電界によって開かれた自明なバンドギャップを高める。トポロジカル相転移によって駆動される電界スイッチングと、関連するトポロジカル量子電界効果の効果を
図2に示す。
図2(d~f)に示すように、固有のSOIを固定したままラシュバSOIを変化させる。非自明なレジームでは、谷K(K’)での伝導帯の最小値(CBM)は、ラシュバSOI強度に影響されないままである。ただし、ラシュバSOIは、エネルギー軸に沿って谷K(K’)で価電子帯の最大値(VBM)を上げることにより、非自明なバンドギャップを減少させる。一方、自明なレジームでは、谷K(K’)のVBMは谷K(K’)に固定されたままであるが、ラシュバSOIはCBMをエネルギー軸に沿ってシフトすることで自明なバンドギャップを増加させる。トポロジカル量子電界効果は、臨界電界が
図2(b)に示すギャップレスフェーズにつながるTQFETの遷移点で最もよく表されるが、ラシュバSOIλ
R≠0は、
図2(e)に示されているトポロジカル量子電界効果によって自明なバンドギャップを開く。要するに、特にBZ K-M-K’の端に沿った価電子(伝導)バンドのラシュバスピン分裂は、非自明(自明)なレジームのバンドギャップを減少(増加)させ、電界スイッチングを高速化する。
【0054】
第2に、ラシュバSOIが存在しない場合、非自明な(自明な)バンドギャップは電界に比例して減少(増加)し、減少したサブスレッショルドスイングはS*=1のままである。ただし、ラシュバSOIが存在する場合、原子SOIξの主要に至るまでの順序では、減少したサブスレッショルドスイングは、ラシュバSOI強度の増加と共に減少し、1よりも小さく、S*<1になる可能性がある。さらに、QSH格子の幾何学的構造、原子SOI、及びSlater-Koster軌道間ホッピングパラメータに依存することに起因して、トポロジカル量子電界効果は、純粋にゲート容量メカニズムに依存するのではなく、TQFETのサブスレッショルドスイングを制御するための調整可能なパラメータをもたらす。
【0055】
微視的な軌道の全体像は、d
z≒z及びsinθ≒1である準平面/低座屈ハニカム格子に基づくTQFETの場合、閾値ゲート電圧とサブスレッショルドスイングの両方が原子SOIとSlater-Kosterのパラメータ比ξ/V
spσの増加と共に減少することを示している。
図3と表1に示すように、サブスレッショルドスイングのボルツマン限界(S
*<0.75)の25%の削減は、ξ/V
spσ=1の場合に容易に達成できる。これらの制約は、K/K’谷に位置するバンドギャップを有する準平面/低座屈ビスマテンシートで現実的に実現できる。さらに、機能化されたビスマス単層BiX及びBi
2XY、式中X/Y=H、F、Cl、及びBrでは、強化されたアトミックSOIにより、ξ/V
spσ≒2のとき、サブスレッショルドスイングを約50%(S
*≒0.5)減少させることができる。
【0056】
サブスレッショルドスイングの減少は、純粋に微視的な量子現象に起因し、バルクバンドトポロジに関連している。例えば、セメノフ型のトポロジ的に自明な絶縁システムに基づくFETでは、Δ
so=0であり、ゲート電界によって開かれた絶対的に自明なバンドギャップは、QSH材料に基づくTQFETとは対照的なラシュバSOIの影響を受けないままである。QSH絶縁体に基づくTQFETのトポロジカル量子電界効果は、nnn固有のSOIΔ
so、したがってバルクバンドトポロジに依存しているが、サブスレッショルドスイングの導出された式は、Δ
soとは無関係のままであるようである。ただし、TQFETの動作は、Δ
soによって開かれた非自明なバンドギャップに大きく依存する。大きな固有のSOIΔ
soはまた、トポロジスイッチングに大きなゲート電界も必要とし、エネルギーゼロTQFET運用レジームの近くで、関連するラシュバSOIの強度を自動的に高める。微視的なタイトバインディングモデルを使用すると、グラフェンのΔ
R(Δ
so)の強度は、対称性解析に基づいて求められる値よりも100倍大きく(小さく)なる。この効果は、
図3に示すように、重い元素のV族キセン、特に大きな原子SOIを持つアンチモネンとビスムテンの大きなゲート電界でより顕著になり得る。トポロジ的に非自明なバンドギャップと、QSHと自明な絶縁体との間の電界スイッチングを実現するには、Δ
so>Δ
Rである。それ以外の場合、ハニカム格子は、Δ
so=Δ
Rの場合はゼロギャップ半導体になり、Δ
so<Δ
Rの場合は自明な金属になる。
【0057】
単純なランダウアーアプローチに従って、ジグザグエッジのQSHハニカムナノリボンの低エネルギー有効タイトバインディングハミルトニアンの解を見つけることによって、最小の量子化コンダクタンスを取得できる。平衡に近く、μ
1=μ
2=E
F、式中μ
1(
2)は左(右)接点での化学ポテンシャルであると、E
Fはドーピングによって制御可能なフェルミエネルギー、ジグザグの端のハニカムナノリボンのコンダクタンスは、E
Fの関数として計算される。
図4は、TQFETの「オン」、「遷移点」、「オフ」の状態にそれぞれ対応するゲート電界E
z=0、E
z=E
zc、及びE
z>E
zcでのコンダクタンスの量子化を示している。
【0058】
QSHレジームでは、半分の充填で、反対側の谷を接続するトポロジ的に保護されたエッジ状態が、時間反転不変運動量でエネルギーゼロを交差する。E
Fが増加すると、フェルミ準位は新しいバンドを交差し、コンダクタンスの新しいチャネルを開く。つまり、
図4(b)に示すように、エッジ状態(n=0)を表す低エネルギーモードは谷非縮退であるが、バルク状態(n=1、2、3、...)をバルク状態(n=1、2、3、...)は二重の谷縮退である。その結果、エネルギーEで利用可能な横モードの数は、M(E)=2n+1として表すことができる。さらに、コンダクタンスに利用できるすべてのモードは、2倍のスピン縮退を保持する。各モード(スピンと谷の自由度各々に対するもの)は、e
2/hによってコンダクタンスに寄与するチャネルとして機能するため、TQFETの「オン」状態での低バイアス及び低温量子化コンダクタンスを、G
ON=(2e
2/h)(2n+1)Tとして表すことができる。ここでTは、弾道QSHレジームで1になるモードごとの対応する透過確率である。
図4(c)に示すように、G
ON/(2e
2/h)のコンダクタンスプラトーは、「奇数」の整数値に現れる。
【0059】
オフ状態でのコンダクタンスを見積もるために、チャネルが半導体リードに接続され、トランスポートまでのギャップがE
Gであると仮定して、Landauerアプローチが再び採用される。
図4(h)に示すように、自明な絶縁レジームでは、ほぼゼロエネルギーの最小伝導チャネルは、互い違いの足のポテンシャル項が支配的であるため消失する。さらに、SOIの存在下では、電界はスピンの縮退もリフトし、低エネルギーで利用可能な伝導モードの総数がM(E)=2nになるようにする。その結果、自明なレジームでのゼロ温度コンダクタンスは、G
OFF=(2e
2/h)nTとして近似できる。QSHフェーズのスピン縮退スペクトルとは異なり、コンダクタンスG
OFFの係数2は谷の自由度によるものであり、対応するG
OFF/(2e
2/h)のコンダクタンスプラトーは、
図4(i)に示すように、整数値n=0、1、2、3...に現れることに留意されたい。ここでの利益は最小コンダクタンス量子を操作することにあるため、TQFETの動作がコンダクタンス量子2e
2/hから0へのシフトを扱うと、システムが半分の充填でフェルミ準位はナノスケールTQFETのバンドギャップEG内にある限り、自明なフェーズで選択されたランダウアーアプローチも合理的な近似になる。
【0060】
エネルギーEでの全電子透過確率M(E)Tがフェルミ関数df(E)/dEのエネルギー導関数で畳み込まれるランダウアーの式を使用することにより、オフ状態のコンダクタンスG
OFFはまた、有限温度でのフェルミエネルギーの関数としてプロットされる。
図4(i)に示すように、コンダクタンスプラトーはT>0の場合により滑らかになる。予想どおり、トポロジカル量子電界効果は、
図4(i)に示すようにエネルギー軸に沿ってG
OFFのコンダクタンスプラトーをシフトする。これは、
図2に示す無限シートと
図4(d)に示す半無限シートの両方のバンドの進化と一致している。オフ状態では、トポロジカルな量子電界効果により、価電子帯の最大値がピン留めされたままであるが、伝導帯の最小値がエネルギー軸に沿ってリフトされる自明なバンドギャップが強化される。
【0061】
物質的な実現
一般に、IV族とV族の両方のXeneはQSH絶縁体であり、トポロジカルFETのチャネルの目的を果たすことができる。ただし、表1に示すように、グループIVのXenesの弱いラシュバSOIは、サブスレッショルドスイングに無視できるわずかな影響を与える。一方、ビスムテンまたは機能化ビスマス単分子層BiX及びBi2XY、式中X/Y=H、F、Cl、及びBなどの大きな原子SOIを備えるV族キセンは、提案されたトランジスタの形状でトポロジカル量子電界効果を実現するための有望な材料である。
【0062】
自立型(As、Sb、Bi)単分子層、SiC基板上の(As、Sb、Bi)単分子層、及び機能化されたビスマス単分子層BiX及びBi2XYなどのさまざまなV族単分子層構造は、大きなギャップのQSH絶縁体である。しかし、減少したサブスレッショルドスイング(S*<0.75)と、室温で機能するために オフ状態の大きなバンドギャップ(>10kTまたは250meV)を備える高いオン/オフ比(105~1010)を備えた、本発明者らが開発した、TQFETのためのフレームワークは、ブリルアンゾーンΓの中心から離れたバルクバンドギャップの座屈構造が強く望まれる。座屈は、トポロジカル量子電界効果による電界スイッチングを実現するために1つまたは複数の実施形態で重要であるが、ブリルアンゾーンK(K’)の角のバンドギャップは、トポロジカル量子電界効果による大きなバルクバンド分割に非常に望まれる。ラシュバSOIは、K(K’)にある価電子帯/伝導帯の上部/下部を分割することによってバンドギャップを効率的に調整するが、時間反転不変運動量で開かれたバンドギャップには影響しない。
【0063】
すべてのIV族Xene構造、平面グラフェン及び座屈したシリセン、ゲルマン、及びスタネンのバンドギャップは谷K(K’)にあるが、V族Xeneのディラックポイントとバンドギャップの位置は、幾何学的構造、基質効果、及びそれらの機能化に依存する。例えば、ディラックポイントとバンドギャップは、座屈したハニカム構造を持つ自立型(As、Sb、Bi)単層の対称性の高いΓポイントにある。ただし、(As、Sb、Bi)/SiCは平面ハニカム構造で安定し、ディラックポイントとブリルアンゾーンのコーナーのバンドギャップをホストする。一方、機能化されたビスマス単層BiX及びBi
2XYは、ディラックポイントまたはバルクバンドギャップが谷K(K’)に位置している間、X/Y原子によって低座屈が誘起される理想的な候補である。表1は、グループIV及びVのXenesのラシュバSOIの存在下での原子SOI、Slater-KosterパラメータVspσ、及びサブスレッショルドスイングの強度をまとめたものである。
【表1】
【0064】
最後に、ビスムテンシートの自由原子SOIξ=1.25は、機能化ビスマス単層BiX及びBi
2XYでさらに向上させることができる。自由なGe原子でのスピン軌道分裂は0.2eVであるが、固体では0.29eVである。同様に、くりこみ係数3/2は、他のIV族及びV族の構造に適している。したがって、発明者らは、表1に列挙されるように、ビスムテンの自由原子ξ
0=1.5eV及び正規化されたSOIξ
N=3ξ
0/2=2.25eVの両方を考慮した。このような大きな繰り込みは、次のように理解できる。SOI項(h/4m
2c
2)(∇V×p).σは、Vが球対称に近似される場合、ξ(r)lsの形式に縮小され、式中ξ(r)=(h
2/4m
2c
2)(∂V/∂r)である。ベクトル座標がdで示される各格子点を中心とするワニエ関数w
s
k(r-d)に関して、SOI行列要素は次のように近似される。
【数9】
式中、波動関数ψ
s(k)はワニエ関数の重ね合わせであり、V(r-d)は各格子点に対称の中心を持つポテンシャルである。タイトバインディング法では、ξ(r)は、(i)異なる格子点を中心とするワニエ関数は直交しているため、ウィグナー・ザイツセルに局在化、(ii)異なる格子点を中心とするV(r-d)は、球対称性を持ち、各Wigner-Seitzセル内で同じであり、外側で消失する。ただし、ワニエ関数は完全には直交しておらず、ポテンシャルVは固体内の周囲の原子のために完全な球対称ではない。したがって、最も近いセルへのワニエ関数のスピルオーバーとVのより低い対称性は、実質的な修正/くりこみにつながる。
【0065】
SOIくりこみは、ダイヤモンド及び亜鉛混合化合物のIV族及びV族元素のさまざまなイオンの配置に大きく依存する。化学結合の部分的なイオン特性により、IV族及びV族元素の化合物におけるカチオンのp状態のスピン軌道分裂は、カチオン及びアニオンサイトの周りで電子が費やす時間に依存する。そのため、IV族及びV族化合物のカチオンのp状態のSOIは、同様のQSH相とQSHから自明な絶縁体への遷移を示す場合、量子デバイスでさらに強化できる。これらのラインに従って、純粋にIV族及びV族の元素ハニカム格子の場合でも、価電子帯の上部近くの原子機能/軌道は純粋にp様である必要はないが、より高い角運動量(d様)状態の混合物を有することができる。つまり、カチオンp状態のくりこまれたSOIは、(i)s及びp電子をより高い状態に昇格させるか、(ii)イオンのようにs及びp電子を完全に除去することによって、増加させることができる。これは、光を照らすか、ポテンシャルV(r-d)の特異点で固有ベクトルが消失しない電子状態のエネルギーを、ゲート制御で調整することによって、実現できる。
【0066】
結論
要約すると、本発明者らは、量子化され、トポロジ的に保護され、SOI及びバンドトポロジなどの固有の微視的量子現象に依存するコンダクタンスに基づいて、QSHハニカムナノリボンのエネルギーゼロエッジ状態を使用して、TQFETの動作を分析した。本発明者らは、SOI及びバンドトポロジに関連し、したがってMOSFETまたは二層グラフェンなどの従来の半導体とは対照的に、トポロジカル量子電界効果が電界スイッチングを増強し、いずれの下限もなしにサブスレッショルドスイングを減少させることを発見した。これは、電界スイッチングとサブスレッショルドスイングを制御するための調整可能なパラメータをもたらすラシュバSOIを介してモデル化されたトポロジカル量子電界効果の影響を受ける。これは、サブスレッショルドスイングがボルツマンの暴虐によって制限される従来の半導体トランジスタのゲート容量メカニズムとは完全に対照的である。バルクバンドギャップ、臨界電界、及びサブスレッショルドスイングの導出された式は、TQFETの動作がQSH格子の幾何学的構造、原子SOI、及びSlater-Koster軌道間ホッピングパラメータによって制御できることを明確に示している。
【0067】
エンジニアリングTQFETにトポロジカル量子電界効果を組み込む一方で、互い違いのハニカム構造のようなビスムテンで実現できるξ/Vspσ>1の場合、サブスレッショルドスイングのボルツマン限界と比較して25%以上の減少が可能である。サブスレッショルドスイングは、歪みと基板効果による格子の歪み、すなわちSlater-KosterパラメータとStarkマトリックス要素の調整、及びラシュバSOIと座屈パラメータの最適化によってさらに減少させることができる。これは、従来の半導体トランジスタとは異なり、TQFETがそのサブスレッショルドスイングに急激な下限を持たないため、トポロジカルな暴虐がないことを示している。要約すると、サブスレッショルドスイングを低減するための代替メカニズムであるトポロジカル量子電界効果により、さらなる研究とエネルギー効率の高い量子デバイスの開発のための有望なプラットフォームを得る。
【0068】
ちなみに、トポロジカル量子電界効果は、凝縮物質物理学の実験で基板の効果をシミュレートするために使用できる。サンプルと基板間の相互作用によって引き起こされるラシュバSOIの理論的なモデル化は、ゲート電界によるモデル化よりも困難である。トポロジカル量子電界効果を組み込んだTQFETは、基板誘起ラシュバSOIを推定/モデル化するためのデバイスとして使用できる。まず、フリーハンギング2Dシートのサブスレッショルドスイングを測定し、次いで基板効果を組み込みながら、再度測定を実行する。基板誘起のラシュバSOIの強度は、TQFETのサブスレッショルドスイングの減少によってシミュレートできる。
【0069】
本発明をその態様及び好ましい実施形態に関連して説明してきたが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲において定義される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明に対して様々な修正、追加及び変更を行うことができることを理解されたい。
【国際調査報告】