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特表2023-551114少なくとも1つのタマリンダス・インディカ(TAMARINDUS INDICA)種子多糖を含む組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-07
(54)【発明の名称】少なくとも1つのタマリンダス・インディカ(TAMARINDUS INDICA)種子多糖を含む組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20231130BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20231130BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20231130BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20231130BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20231130BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/44
A61Q19/00
A61Q17/04
A61K8/34
A61K8/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527440
(86)(22)【出願日】2021-11-09
(85)【翻訳文提出日】2023-07-07
(86)【国際出願番号】 EP2021081105
(87)【国際公開番号】W WO2022101195
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】2011520
(32)【優先日】2020-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595100370
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L′OREAL
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100160738
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 由加里
(72)【発明者】
【氏名】リエバール,ブルーノ
(72)【発明者】
【氏名】シリチャンドラ,カロリーヌ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC111
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC581
4C083AC582
4C083AC711
4C083AC712
4C083AD211
4C083AD212
4C083BB51
4C083CC02
4C083CC05
4C083CC19
4C083DD27
4C083DD41
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE17
(57)【要約】
本発明は、ケラチン物質、例えば皮膚、の化粧組成物、特には、ケラチン物質を保湿する為の化粧組成物、であって、少なくとも1つのタマリンダス・インディカ(Tamarindus indica)種子多糖、少なくとも1つのアミノ酸又は少なくとも1つのアミノ酸誘導体及び水を含む、上記の化粧組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧組成物であって、
(i)少なくとも1つのタマリンダス・インディカ(Tamarindus indica)種子多糖;
(ii)少なくとも1つのアミノ酸又は少なくとも1つのアミノ酸誘導体;及び
(iii)水
を含む、前記化粧組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1つのタマリンダス・インディカ種子多糖が、前記組成物の総重量に対して、0.05重量%~10重量%、好ましくは0.1重量%~5重量%、より好ましくは0.5重量%~3重量%、さらにより好ましくは1重量%~2.5重量%、の範囲の量で存在することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1つのアミノ酸が、トリメチルグリシン(ベタイン)、プロリン及びそれらの混合物から選択され、より好ましくはトリメチルグリシン(ベタイン)であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1つのアミノ酸又は前記少なくとも1つのアミノ酸誘導体が、該組成物の総重量に対して、0.1重量%~30重量%、好ましくは1重量%~25重量%、より好ましくは5重量%~20重量%、の範囲の含有量で存在することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
該組成物が少なくとも1つのポリオールを含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つのポリオールが、ジグリセロール、グリセロール、プロパン-1,3-ジオール、オクタン-1,2-ジオール、及びそれらの混合物から、好ましくは、グリセロール、プロパン-1,3-ジオール、及びそれらの混合物から、選択され、さらに良くはグリセロールであることを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1つのポリオールが、該組成物の総重量に対して、5重量%~40重量%、より好ましくは7重量%~35重量%、さらにより良くは7重量%~30重量%、の範囲の含有量で存在することを特徴とする、請求項5又は6に記載の組成物。
【請求項8】
前記水が、該組成物の総重量に対して、40重量%~90重量%、さらに良くは50重量%~80重量%、さらにより良くは50重量%~75重量%の総量で存在することを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
該組成物が液体水性ゲルの形態で提供されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
ケラチン物質の化粧処置の為の、特にケラチン物質、好ましくは皮膚、を保湿する為の、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項11】
ケラチン物質、例えば皮膚、の化粧処置の方法、特にはケラチン物質を保湿する方法、であって、該方法が、
少なくとも1つのタマリンダス・インディカ(Tamarindus indica)種子多糖及び水を含む組成物A)と、
請求項3において定義された少なくとも1つのアミノ酸又は少なくとも1つのアミノ酸誘導体を含む組成物B)と
を混合する第1の段階を含み、
次に、該混合物を該ケラチン物質に施与して、支持体の助けを借りずに該ケラチン物質上にゲルを形成する第2の段階を含む、
前記方法。
【請求項12】
該組成物A)及び該組成物B)が、1:1の比で混合されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
該組成物A)及び該組成物B)の該混合物、すなわち、本発明に従う組成物は、5分以下、好ましくは3分以下、より好ましくは2分以下、のリーブオン時間(leave-on time)の後に、ケラチン物質に施与されることを特徴とする、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
該組成物A)及び該組成物B)の該混合物の施与後にケラチン物質上で形成されるゲルは、周囲温度で粘着性水性ゲルであることを特徴とする、請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
ケラチン物質への該組成物A)及び該組成物B)の該混合物の施与の後に、該粘着性水性ゲルが、30分以下、好ましくは20分以下、より好ましくは15分以下、の期間の最後に形成されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
マルチコンパートメントキットであって、
(i)請求項11に記載された組成物A)を含む第1のコンパートメント;及び
(ii)請求項11に記載された組成物B)を含む第2のコンパートメント
を備えている、前記のマルチコンパートメントキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン物質、例えば皮膚、の為の化粧組成物、特にはケラチン物質を保湿する為の化粧組成物、であって、少なくとも1つのタマリンダス・インディカ(Tamarindus indica)種子多糖、少なくとも1つのアミノ酸又は少なくとも1つのアミノ酸誘導体、及び水を含む、上記の化粧組成物に関する。
【0002】
本発明の別の主題は、ケラチン物質、例えば皮膚、の化粧処置の方法、特にはケラチン物質を保湿する方法、であって、少なくとも1つのタマリンダス・インディカ(Tamarindus indica)種子多糖及び水を含む組成物A)と、少なくとも1つのアミノ酸又は少なくとも1つのアミノ酸誘導体を含む組成物B)とを混合する第1の段階を含み、次に、該混合物を該ケラチン物質に施与して、支持体の助けを借りずに該ケラチン物質上にゲルを形成する第2の段階を含む、上記の方法である。
【0003】
本発明の別の主題は、マルチコンパートメントキットであって、第1のコンパートメント中に、少なくとも1つのタマリンダス・インディカ(Tamarindus indica)種子多糖及び水を含む組成物A);並びに、第2のコンパートメント中に、少なくとも1つのアミノ酸又は少なくとも1つのアミノ酸誘導体を含む組成物B)を含む、上記のマルチコンパートメントキットである。
【背景技術】
【0004】
皮膚は、環境に対する防御及び交換バリアであり、頑丈であり且つ脆弱でもあり、該皮膚は、その柔軟性を失う場合があり、そして、その水分保持能力が低下し、次に、皮膚乾燥を引き起こす。
【0005】
顔は、外的攻撃、例えば、汚れ、日光、及び温度変化、に最も多く曝露される身体表面のうちの1つである。この毎日の曝露は、非常に多くの場合、皮膚の外観に時期尚早な変化をもたらし、それにより、皮膚は、くすむか、水分が失われるか、又はさらに、早期にしわを生じる可能性がある。
【0006】
より上手くこれらの攻撃に対抗する為に、皮膚を保湿することによって又は例えば1以上の化粧有効成分を皮膚に施与することによって、顔の皮膚に対する影響を制限することを目的とするところの多数のケア方法が現在、存在する。
【0007】
慣用的に、美容マスクタイプの製品が、化粧品分野において周知である。これらは、水を加えて用いられる粉末の形態、ゲルの形態、エマルジョンの形態、含浸布の形態、ヒドロゲルの形態、又はペーストの形態で提供されることができる。従って、このマスクタイプの様々な配合物が、文献、例えば"Cosmetic and Toiletry Formulations",Second edition,Ernest W. Flick,1992に記載されている。
【0008】
これらの美容マスクは、フィルムからなり、該フィルムは、合成ポリマー、例えばポリビニルピロリドン若しくはポリビニルアルコール、に基づく、又は天然ポリマー、例えば、カルシウムイオン若しくは粘土、と一緒にされたアルギネート、に基づく、特定のマスクにおいて、処置される皮膚に施与されると形成し、且つ、ある程度のリーブオン(leave-on)時間をとって乾燥した後、洗い流すこと又は剥がすこと、すなわち引き剥がすこと若しくは剥皮すること、によって除去され、その際、剥かれた大きな皮がいくらか形成する。
【0009】
しかしながら、水を加えて用いる粉末又はペーストタイプの提示形態を有するマスクは、即時且つ長期に持続するみずみずしい感覚もしっとり感も与えない。一部のマスクはまた、洗い流され、従って、該マスク中に存在する有効成分によってもたらされる恩恵の大半を失う。
【0010】
さらに、含浸布タイプの提示形態を有するマスクは、施与時のみずみずしい感覚及び良好な保湿を与える。しかしながら、これらのマスクは、顔の形態のそれぞれにフィットしない独特な型の使用を伴う。従って、保湿性有効成分の分布は、顔全体にわたって、特には、口、眼、及び鼻の周辺で、均一ではない。
【0011】
タマリンダス・インディカ(Tamarindus indica)種子に由来する多糖は、その保湿特性を理由として化粧品中で使用されることが多く、且つ皮膚の弾力性を高めることが知られている(Cosmetic Technology,Vol.14(5),pages 17-21,2011)。
【0012】
韓国登録特許第10-1580809号公報は、2種の組成物、すなわちタマリンド種子に由来するガムを含む一方の組成物及びアルコールを含む他方の組成物、の混合物を含む、ゲル型の化粧パッチを製造する方法を記載する。しかしながら、この組成物は、顔に直接的に施与され、次に、固化して、鋳型も支持体も用いずに周囲温度で顔上に直接的にマスクを形成するには、十分な流動性を有していない。従って、記載されている方法は、顔全体にわたる保湿性有効成分の均一な分布を可能にしない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、前述された不都合な点がない、化粧組成物、特にケラチン物質を保湿する為の化粧組成物、を開発する必要性が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
従って、本発明の目的は、顔に施与することが容易であり、保湿マスク又は保湿パッチを該顔上に直接的に形成することを可能にし、及び顔の全ての領域、特には眼及び口の周辺部分、を均一に保湿することを可能にする化粧組成物を提供することである。
【0015】
この目的は、本発明によって達成され、本発明の主題は、化粧組成物であって、
(i)少なくとも1つのタマリンダス・インディカ(Tamarindus indica)種子多糖;
(ii)少なくとも1つのアミノ酸又は少なくとも1つのアミノ酸誘導体;及び
(iii)水
を含む、上記の化粧組成物である。
【0016】
本発明はまた、ケラチン物質、例えば皮膚、の化粧処置の方法、特にはケラチン物質を保湿する方法、であって、
少なくとも1つのタマリンダス・インディカ(Tamarindus indica)種子多糖及び水を含む組成物A)と、
少なくとも1つのアミノ酸又は少なくとも1つのアミノ酸誘導体を含む組成物B)と
を混合する第1の段階、
次に、該混合物を該ケラチン物質に施与して、支持体の助けを借りずに該ケラチン物質上にゲルを形成する第2の段階
を含む、上記の方法に関する。
【0017】
本発明はまた、マルチコンパートメントキットであって、
(i)前述された組成物Aを含む第1のコンパートメント;及び
(ii)前述された組成物Bを含む第2のコンパートメント
を備えている、上記のマルチコンパートメントキットに関する。
【0018】
従って、前述された化粧組成物は、鋳型も支持体も用いずに、ケラチン物質、例えば顔、上で直接的に、ゲルの形態で保湿パッチ又は保湿マスクを形成することを可能にすることが実証されている。本発明に従う組成物は、顔に施与された後に、該顔上で固化して、粘着性水性ゲルの形態で保湿パッチ又は保湿マスクを形成する。従って、この粘着性水性ゲルは、ケラチン物質を洗い流さずに、除去されることができる。
【0019】
さらに、本発明に従う組成物は、例えば指又はブラシを用いて、顔の全ての領域に容易に施与される。このように形成されたマスクは、顔の全ての領域、特に乾燥領域、例えば眼及び口の周辺部分、を均一に保湿することを可能にする。従って、本発明に従う組成物は、慣用的な布マスクによって近づき難い領域、例えば眼及び口の周辺部分、を標的とすることを可能にする。
【0020】
さらに、本発明に従う組成物は、顔のある種の領域、特には乾燥領域、例えば眼及び口の周辺部分、を特に標的とする為に、パッチの形態で施与されることができる。語「パッチ」は、皮膚の特定の領域、例えば顔の或る領域、で、皮膚に施与されることが意図される小さな装具を意味すると理解される。
【0021】
本発明は、例示される実施例に限定されない。特に、様々な実施例の特徴は、例示されていない代替形態内で組み合わされることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
表現「少なくとも1つの」は、1以上を意味する。
【0023】
本発明に従う語「ケラチン物質」は、体、顔、及び/若しくは眼の周辺部分の皮膚、唇、爪、粘膜、睫毛、眉、体毛、頭皮及び/若しくは頭髪、又は身体の他の任意の皮膚領域を意味すると理解される。より特には、本発明に従うケラチン物質は、頭皮、頭髪、及び/又は皮膚である。
【0024】
好ましくは、本発明に従うケラチン物質は、皮膚である。
【0025】
語「皮膚」は、体の皮膚の全て、好ましくは、顔、ネックライン、首、腕、及び前腕の皮膚、さらにより好ましくは、顔、特には、額、鼻、頬、下顎、及び眼の周辺部分の皮膚、を意味すると理解される。
【0026】
表現「均一な」は、使用者のケラチン物質、特には顔、の全体にわたる、組成物の均質な分布を意味する。
【0027】
語「液体」は、組成物が入っている容器が周囲温度(25℃)で傾けられた場合に流れるところの該組成物を意味すると理解される。
【0028】
本発明に従う組成物は全て、化粧組成物である。語「化粧」(cosmetic)は、皮膚、粘膜、及び表面的な身体成長と適合性のある組成物を意味すると理解される。
【0029】
好ましくは、本発明に従う組成物は、ケラチン物質、例えば皮膚、の処置の為の、好ましくは皮膚を保湿する為の、化粧組成物である。
【0030】
好ましくは、ケラチン物質の化粧処置の方法は、ケラチン物質、特には皮膚、を保湿する方法である。
【0031】
タマリンダス・インディカ(Tamarindus indica)種子多糖:
【0032】
本発明に従う組成物は、少なくとも1つのタマリンダス・インディカ(Tamarindus indica)種子多糖を含む。
【0033】
タマリンドの木の種子多糖、すなわち、INCI名称がタマリンダス・インディカ(Tamarindus indica)種子多糖、は、食品添加剤として主に使用されており、及び化粧品の為に使用されることができる増粘剤でもある。タマリンドの木の種子多糖は、例えば、有効成分として、グルコース、キシロース及び/又はガラクトースを含む複合多糖である。
【0034】
本発明に従う組成物は、該組成物の総重量に対して、0.05重量%~10重量%、好ましくは0.1重量%~5重量%、より好ましくは0.5重量%~3重量%、さらにより好ましくは1重量%~2.5重量%、の範囲の量で、1以上のタマリンダス・インディカ(Tamarindus indica)種子多糖を含むことができる。
【0035】
アミノ酸又はアミノ酸誘導体
【0036】
本発明に従う組成物は、少なくとも1つのアミノ酸又は少なくとも1つのアミノ酸誘導体を含む。
【0037】
「語アミノ酸」は、本発明の意味の範囲内で、2つの官能基、すなわち、カルボキシル-COOH基又はカルボキシレート基とアミン-NH2基との両方を有する有機化合物を意味すると理解され、ここで、該アミノ基は任意的にメチル化されていてもよいことが可能であり、すなわち、-NR2又はN+R3(ここで、少なくとも1つのRはCH3である)の形態であることが可能である。
【0038】
本発明に従うアミノ酸又はアミノ酸誘導体は、合成又は天然且つ修飾又は非修飾のアミノ酸、それらの塩、それらのエナンチオマー、少なくとも2つのアミノ酸を含む合成又は天然のオリゴマー又はポリマー、それらの塩、並びにそれらの混合物から選択される、任意の化合物に相当することができる。
【0039】
本発明において使用されることができるアミノ酸として、特に、アラニン、グリシン、トリメチルグリシン(ベタイン)、イソロイシン、メチオニン、プロリン、チロシン、バリン、システイン、フェニルアラニン、トリプトファン、グルタミン、アルギニン、及びそれらの混合物が言及されうる。
【0040】
アミノ酸誘導体はまた、以下の化合物から選択されることができる:
-修飾アミノ酸、特にはN-アシルアミノ酸(ここで、該アシル基は、10~30個の炭素原子、好ましくは12~22個の炭素原子を含む)、例えば、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ベヘノイル基、オリボイル(olivoyl)基、又はココイル基によって置換されているアミノ酸、好ましくは、ポリカルボン酸ではなく及び/又は水不溶性(pH7及び25℃で1%未満の溶解度)であるアミノ酸、例えばラウロイル-L-リジン;カルボキシアルキル基、特にはカルボキシメチル基、によって置換されているアミノ酸、例えばカルボキシメチルシステイン、
-少なくとも2つのアミノ酸を含む、合成又は天然のオリゴマー又はポリマー。これらは、天然アミノ酸又は修飾アミノ酸のホモポリマー又はコポリマーであることができる。
【0041】
ホモポリマーとして、ポリリジン、ポリ-β-アラニン、又はポリアスパラギン酸が言及されうる。
【0042】
アミノ酸のオリゴマー又はポリマーとして、タンパク質又はタンパク質加水分解物、例えばダイズ(グリシン)タンパク質、例えば、Laboratoires SerobiologiquesよりEleseryl HGP LS 9874の名称下で販売されているグリシンダイズタンパク質分散物、又は絹タンパク質、例えばCrodaより販売されている絹タンパク質粉末、がまた言及されうる。
【0043】
好ましくは、該組成物は、トリメチルグリシン(ベタイン)、プロリン、及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つのアミノ酸を含み、より好ましくはトリメチルグリシン(ベタイン)を含む。
【0044】
「グリシンベタイン」又は「ベタイン」としてまた知られているトリメチルグリシンは、四級アミノ酸である。中性pHで、該化合物は、両性イオン化合物の形態で存在し、該分子の四級アンモニウム官能基とカルボキシル官能基との間で塩を形成する。強酸の存在下において、該化合物は、酸付加塩、例えば塩酸塩、を形成する。該化合物はもともとは、サトウダイコンから単離された。
【0045】
例として、DaniscoよりGenencare OSMS BA(INCI名:ベタイン)の商品名で販売されているトリメチルグリシンが言及されうる。
【0046】
本発明に従う組成物は、該組成物の総重量に対して、0.1重量%~30重量%、好ましくは1重量%~25重量%、より好ましくは5重量%~20重量%、の範囲の含有量で、1以上のアミノ酸又は1以上のアミノ酸誘導体を含むことができる。
【0047】
ポリオール
【0048】
本発明に従う組成物は、少なくとも1つのポリオールを含むことができる。
【0049】
語「ポリオール」は、本発明の意味の範囲内で、任意的に1以上の酸素に割り込まれていてもよく、且つ別々の炭素原子に結合された(carried by)少なくとも2つの遊離ヒドロキシル(-OH)基を有する炭化水素鎖で構成された有機化合物を意味すると理解され、ここで、この化合物は、環式又は非環式、直鎖状又は分枝状、及び飽和又は不飽和であることが可能である。
【0050】
より特には、該1以上のポリオールは、2~30個のヒドロキシル基、より好ましくは2~10個のヒドロキシル基、さらにより好ましくは2~3個のヒドロキシル基、を含む。
【0051】
該1以上のポリオールは好ましくは、ジグリセロール、グリセロール、プロピレングリコール、プロパン-1,3-ジオール、1,3-ブチレングリコール、ペンタン-1,2-ジオール、オクタン-1,2-ジオール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、糖類、例えばグルコース、及びそれらの混合物から選択される。
【0052】
より好ましくは、該1以上のポリオールは、ジグリセロール、グリセロール、プロパン-1,3-ジオール、オクタン-1,2-ジオール、及びそれらの混合物から、さらにより好ましくは、グリセロール、プロパン-1,3-ジオール、及びそれらの混合物から選択され、さらに良くはグリセロールである。
【0053】
好ましくは、該1以上のポリオールは、該組成物の総重量に対して、5重量%以上、より好ましくは7重量%以上、さらに良くは10重量%以上、の総量で存在する。
【0054】
該組成物は、該組成物の総重量に対して、5重量%~40重量%、より好ましくは7重量%~35重量%、さらにより良くは7重量%~30重量%の範囲、の含有量で1以上のポリオールを含むことができる。
【0055】
:
【0056】
本発明に従う組成物は、水を含む。
【0057】
本発明に従う組成物は、該組成物の総重量に対して、40重量%以上、該組成物の総重量に対して、好ましくは、50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、の含有量で水を含むことができる。
【0058】
好ましくは、本発明に従う組成物は、該組成物の総重量に対して、40重量%~90重量%、さらに良くは50重量%~80重量%、さらにより良くは50重量%~75重量%、の総量で水を含む。
【0059】
有機溶媒:
【0060】
本発明に従う組成物はまた、前述されたポリオール以外の1以上の有機溶媒を含むことができる。
【0061】
有機溶媒として、例えば、低級C1~C4アルカノール、例えばエタノール及びイソプロパノール;ポリオールエーテル、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル又はジエチレングリコールモノエチルエーテル及びジエチレングリコールモノメチルエーテル;並びにまた、芳香族アルコール、例えばベンジルアルコール又はフェノキシエタノール;並びにそれらの混合物が言及されうる。
【0062】
好ましくは、該組成物は、低級C1~C4アルカノールから選択される1以上の有機溶媒、より好ましくはエタノール、を含む。
【0063】
該有機溶媒は、存在する場合、好ましくは、該組成物の総重量に対して、両端の数値を含めて、0.1重量%~20重量%、より好ましくは、該組成物の総重量に対して1重量%~10重量%、の割合で存在する。
【0064】
添加剤
【0065】
本発明に従う組成物はまた、1以上の追加の化粧有効成分及び皮膚科学的有効成分を含むことができる。
【0066】
本発明に従う組成物は、化粧アジュバントを、それらの親水性性質又は親油性性質に応じて追加的に含むことができ、例えば、乳白剤、保存剤、日焼け止め、増量剤、懸濁化剤、金属イオン封鎖剤、芳香剤、着色料、脱臭有効成分、剥離剤、抗微生物剤、保湿剤、鎮静剤、抗酸化剤、収斂剤、抗老化剤、抗しわ剤、軟化剤、安定化剤、ビタミン、又はこのタイプの用途向けの化粧品において習慣的に使用されている他の任意の成分、及びそれらの混合物を追加的に含むことができる。
【0067】
当然ながら、当業者は、本発明に従う化粧組成物に本来備わっている有利な特性が、想定される1以上の添加によって有害な影響を受けないか又は実質的に受けないように、この又はこれらの任意的な追加化合物を選択するように注意するであろう。
【0068】
好ましくは、該組成物は、「生理的に許容される媒体」を含む。語「生理的に許容される媒体」は、組成物の局所投与の為に適しており、及びあらゆるヒトケラチン物質、例えば皮膚、唇、爪、粘膜、睫毛、眉、頭皮及び/若しくは頭髪、又は身体の他の任意の皮膚領域、と適合性のある媒体を意味すると理解される。
【0069】
本発明に従うと、生理的に許容される媒体は好ましくは、化粧用に許容される媒体、すなわち、匂いも不快な外観もなく且つ局所投与経路と完全に適合性のある媒体である。
【0070】
より特には、該組成物は、局所投与の為に、すなわち、考慮中のケラチン物質、例えば考慮中の皮膚、の表面での施与による投与の為に、適している。
【0071】
この組成物は特には、顔及び/又は身体への局所施与向けである。
【0072】
特に、該組成物は、顔の領域、特にはT領域(額、鼻、頬、下顎)、に施与される。
【0073】
好ましくは、本発明に従う組成物は、ケラチン物質、例えば皮膚、特には顔及び/又は身体の皮膚、を保湿する為に、それらの弾力性を高める為に、及び/又は皮膚の有害な変化を予防、軽減、及び/又は処置する為に使用される。
【0074】
提示形態
【0075】
本発明に従う組成物は好ましくは、ケラチン物質への施与の前に、周囲温度(25℃)で液体水性ゲルの形態で提供される。
【0076】
好ましくは、ケラチン物質、例えば皮膚、にひとたび施与されると、本発明に従う組成物は、周囲温度(25℃)で粘着性水性ゲルになる。
【0077】
語「液体水性ゲル」は、該組成物が、ケラチン物質、例えば皮膚、特には顔、に容易に施与されるのに十分な流動性であることを意味すると理解される。
【0078】
語「粘着性水性ゲル」は、液体水性ゲルの形態の該組成物がケラチン物質にひとたび施与されると、該組成物が固化して、該ケラチン物質、例えば皮膚、特には顔、上で直接的にマスクを形成することを意味すると理解される。
【0079】
好ましくは、本発明に従う組成物は、まず初めに、液体水性ゲルの形態で提供され、その後、ケラチン物質、例えば皮膚、特には顔、にひとたび施与されると、数分後に粘着性水性ゲルになる。
【0080】
本発明に従う組成物は有利なことに、一方では、施与時に使用者によって指又はブラシで取り上げられる為に及びケラチン物質、例えば皮膚、の一面に均一に塗布する為に、他方では、リーブオン時間中、望ましくない流出を起こさずにケラチン物質、例えば皮膚、上で存続する為に、適した粘度を有する。
【0081】
該組成物は、有利なことに、施与中に25℃で100センチポアズから3000センチポアズまで変動する粘度を有する。本発明に従う組成物は、数分後に固化する。
【0082】
この測定は、該組成物の質感に応じて、適切なスピンドル(スピンドル2、3、又は4)を用いるレオメーター(LamyからのRheomat RM180)を用いて実施される。該粘度は、24時間、周囲温度(25℃)で、及び大気圧で測定される。
【0083】
当業者は、一方では、使用される構成物の性質、特には支持体へのそれらの溶解性、を、他方では、該組成物に対して想定される用途を考慮に入れつつ、自身の一般的知識に基づいて、適切な提示形態、及びまた、その調製の方法を選択することができる。
【0084】
本発明の好ましい実施態様において、本発明に従う組成物は、4~7のpH、好ましくは4~6のpH、を示す。
【0085】
好ましい実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、少なくとも1つのタマリンダス・インディカ(Tamarindus indica)種子多糖;トリメチルグリシン(ベタイン)、プロリン、及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つのアミノ酸;並びに任意的に、ジグリセロール、グリセロール、プロパン-1,3-ジオール、オクタン-1,2-ジオール、及びそれらの混合物から選択される1以上のポリオールを含む。
【0086】
好ましい実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、少なくとも1つのタマリンダス・インディカ(Tamarindus indica)種子多糖;トリメチルグリシン(ベタイン);並びに任意的に、グリセロール、プロパン-1,3-ジオール及びそれらの混合物から選択される1以上のポリオールを含む。
【0087】
本発明はまた、ケラチン物質の化粧処置の為の上記で定義された組成物、特にはケラチン物質、好ましくは皮膚、を保湿する為の上記で定義された組成物、の使用に関する。
【0088】
化粧処置方法
【0089】
本発明はまた、ケラチン物質、例えば皮膚、の化粧処置の方法であって、上記で定義された組成物が該ケラチン物質に施与される、上記の方法に関する。
【0090】
本発明はまた、ケラチン物質、例えば皮膚、の化粧処置の方法、特にはケラチン物質を保湿する方法、であって、該方法が、
上記で定義された少なくとも1つのタマリンダス・インディカ(Tamarindus indica)種子多糖及び水を含む組成物A)と、
上記で定義された少なくとも1つのアミノ酸又は少なくとも1つのアミノ酸誘導体を含む組成物B)と
を混合する第1の段階を含み、
次に、該混合物を該ケラチン物質に施与して、支持体の助けを借りずに該ケラチン物質上にゲルを形成する第2の段階を含む、
上記の方法に関する。
【0091】
好ましくは、1以上のタマリンダス・インディカ(Tamarindus indica)種子多糖は、該組成物A)の総重量に対して、0.1重量%~10重量%、好ましくは0.5重量%~7重量%、より好ましくは1重量%~5重量%、の範囲の量で存在する。
【0092】
該組成物A)はまた、少なくとも1つのアミノ酸又は少なくとも1つのアミノ酸誘導体を含むことができる。該組成物A)は、該組成物A)の総重量に対して0.5重量%~30重量%、好ましくは1重量%~25重量%、より好ましくは2重量%~20重量%、の範囲の含有量で1以上のアミノ酸又はアミノ酸誘導体を含むことができる。
【0093】
該組成物B)は、該組成物B)の総重量に対して、0.5重量%~30重量%、好ましくは1重量%~25重量%、より好ましくは2重量%~20重量%、の範囲の含有量で1以上のアミノ酸又は1以上のアミノ酸誘導体を含むことができる。
【0094】
該組成物A)及び/又は該組成物B)は、前述された1以上のポリオールを含むことができる。
【0095】
好ましくは、該組成物A)は、該組成物A)の総重量に対して、1重量%~50重量%の範囲、より好ましくは3重量%~40重量%の範囲、さらに良くは3重量%~30重量%、の範囲の含有量で1以上のポリオールを含む。
【0096】
好ましくは、該組成物B)は、該組成物B)の総重量に対して、5重量%~70重量%、より好ましくは10重量%~65重量%、さらにより良くは15重量%~63重量%、の範囲の含有量で1以上のポリオールを含む。
【0097】
該組成物B)は、水を含むことができる。
【0098】
好ましくは、水は、該組成物A)の総重量に対して、50重量%以上、該組成物A)の総重量に対して、より好ましくは60重量%以上、さらに良くは65重量%以上、さらにより良くは70重量%以上、の含有量で存在する。
【0099】
本発明に従う組成物B)は、該組成物B)の総重量に対して、両端の数値を含めて、5重量%~60重量%、好ましくは10重量%~50重量%、より好ましくは15重量%~45重量%、さらにより特には20重量%~40重量%、の総量で水を含むことができる。
【0100】
本発明の該組成物A)及び該組成物B)は好ましくは、液体であるか又は粉末形態である。
【0101】
好ましい実施態様に従うと、上記で定義されたケラチン物質の化粧処置の方法は、
(i)少なくとも1つのタマリンダス・インディカ(Tamarindus indica)種子多糖、水、及び任意的に少なくとも1つのポリオールを含む組成物A)であって、該1以上のポリオールが、プロパン-1,3-ジオール、オクタン-1,2-ジオール、及びそれらの混合物から選択される、上記の組成物A)と、
(ii)トリメチルグリシン(ベタイン)、プロリン、及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つのアミノ酸、並びに任意的に少なくとも1つのポリオールを含む組成物B)であって、該1以上のポリオールが、ジグリセロール、グリセロール、プロパン-1,3-ジオール、オクタン-1,2-ジオール、及びそれらの混合物から、さらに良くは、グリセロール、プロパン-1,3-ジオール、及びそれらの混合物から選択される、上記の組成物B)と
を混合する第1の段階と、
次に、該混合物を該ケラチン物質に施与して、支持体の助けを借りずに該ケラチン物質上にゲルを形成する第2の段階と
を含むことを特徴とする。
【0102】
好ましい実施態様に従うと、上記で定義されたケラチン物質の化粧処置の方法は、
(i)少なくとも1つのタマリンダス・インディカ(Tamarindus indica)種子多糖、水、及び任意的に少なくとも1つのポリオールを含む組成物A)であって、該1以上のポリオールが、プロパン-1,3-ジオール、オクタン-1,2-ジオール、及びそれらの混合物から選択される、上記の組成物A)と、
(ii)トリメチルグリシン(ベタイン)、及び任意的に少なくとも1つのポリオールを含む組成物B)であって、該1以上のポリオールが、グリセロール、プロパン-1,3-ジオール、及びそれらの混合物から選択される、上記の組成物B)と
を混合する第1の段階と、
次に、該混合物を該ケラチン物質に施与して、支持体の助けを借りずに該ケラチン物質上にゲルを形成する第2の段階と
を含むことを特徴とする。
【0103】
好ましくは、該組成物A)及び該組成物B)は、1:1の比で混合される。
【0104】
好ましくは、ケラチン物質、例えば皮膚、に施与する前に、該組成物A)及び該組成物B)の混合物は、液体水性ゲルである。
【0105】
該組成物A)及び該組成物B)を混合する段階の後に、該混合物が、ケラチン物質、例えば皮膚、に施与される。
【0106】
該組成物A)及び該組成物B)の該混合物は、指、ブラシ、又はケラチン物質、特には皮膚、への均一な施与を可能にする他の任意の手段を用いて施与されることができる。
【0107】
好ましくは、該組成物A)及び該組成物B)の該混合物は、顔の皮膚、特には、額、鼻、頬、下顎、及び眼の周辺部分の皮膚、に施与される。
【0108】
好ましい実施態様に従うと、該組成物A)及び該組成物B)の該混合物、すなわち、本発明に従う組成物、は、5分以下、好ましくは3分以下、より好ましくは2分以下、のリーブオン時間(leave-on time)の後に、ケラチン物質に施与される。
【0109】
ケラチン物質、例えば皮膚、への、該組成物A)及び該組成物B)の該混合物の施与後に、粘着性水性ゲルが、周囲温度(25℃)で皮膚上に形成される。
【0110】
好ましい実施態様に従うと、該組成物A)及び該組成物B)の該混合物の施与後にケラチン物質上に形成されるゲルは、周囲温度(25℃)で粘着性水性ゲルである。
【0111】
好ましい実施態様に従うと、該ケラチン物質への該組成物A)及び該組成物B)の該混合物の施与の後に、該粘着性水性ゲルは、30分以下、好ましくは20分以下、より好ましくは15分以下、の期間の最後に形成される。
【0112】
好ましくは、該組成物A)及び該組成物B)の該混合物から生じる該粘着性水性ゲルは、ケラチン物質にひとたび施与されると、使用者によって除去されるまで、そのゲル構造を保持する。
【0113】
好ましくは、該組成物A)及び該組成物B)の該混合物から生じる該粘着性水性ゲルは、10分以上、より好ましくは20分以上、さらにより好ましくは30分以上、さらに良くは1時間以上、の期間の間、ケラチン物質、特には皮膚、上に残ったままにされる。
【0114】
該組成物A)及び該組成物B)の該混合物から生じる該ゲルは、施与中に、皮膚を保湿する良好な感覚を与える。ケラチン物質上で形成される該ゲルは、洗い流されずに、粘着性フィルムの形態で容易に除去される。
【0115】
前述された化粧処置方法は、1分~数週間までの様々なリーブオン時間の後に、数回繰り返されることができる。
【0116】
本発明はまた、マルチコンパートメントキットであって、
(i)前述された組成物A)を含む第1のコンパートメント;及び
(ii)前述された組成物B)を含む第2のコンパートメント
を備えている、上記のマルチコンパートメントキットに関する。
【0117】
本発明は、実施例を用いて以下にさらに具体的に説明されるが、これらの実施例は、本発明の範囲を決して限定するものでない。しかしながら、該実施例は、本発明の具体的な特徴、代替的な形態、及び好ましい実施態様を裏付けることを可能にする。
【0118】
実施例
これらの実施例において、温度は、別段の定めがない限り、摂氏温度で与えられ、且つ周囲温度(20~25℃)に相当し、並びに圧力は、別段の定めがない限り、海面での大気圧である。
【0119】
実施例1
【0120】
下記の組成物1~6は、以下のプロセスに従って調製された:
-組成物A)が、水中に分散されたタマリンダス・インディカ(Tamarindus indica)種子多糖から、25℃で20分間、(例えば、VMIにより販売されるローター/ステーターを用いて)勢いよく撹拌して、調製される;
-次に、組成物B)が、25℃で、マグネチックバーを用いて撹拌して、後述の様々な化合物を水中で混合することにより、調製される
10gの該組成物A)が、10gの該組成物B)と混合される。
【0121】
該組成物(A)及び該組成物(B)は、1:1の比で混合される。
【0122】
該混合物は、20秒間手動で撹拌された後に、ペトリ皿の中に注がれ、この時点をt=0とする。
【0123】
【表1】
【0124】
【表2】
【0125】
(1)IndenaよりXilogel HSの商品名で販売されている
【0126】
各組成物1~6について、ペトリ皿中で得られたゲルの外観は、30分の時点で評価された。この研究の結果は、下記の表3において詳細に記載されている。
【0127】
【表3】
【0128】
1:1の比における組成物A及び組成物Bの混合物から生じるゲルの外観は、以下のグレード決定尺度に基づいてt=30分の時点で評価された(グレード決定は、1~6の尺度で実施される):
-該ゲルが厳密に4未満のグレードを示す場合、該水性ゲルは流動性である。該ゲルは、ペトリ皿が傾けられた場合に流れ、且つ30分間の終了時点で固化しない。
-該ゲルが、4~5の範囲のグレードを示す場合、該水性ゲルは、使用者によって皮膚、特には顔に容易に施与可能な液体水性ゲルの形態である。該ゲルは、30分間の終了時点又はそれより前の時点に、粘着性水性ゲルになる。この粘着性水性ゲルは弾力性である。
該ゲルが、6に等しいグレードを示す場合、該水性ゲルは、非常に固く且つ弾力性がない。該ゲルは、使用者によって顔に施与されることが難しい。
【0129】
ペトリ皿中で30分の時間tの経過後に、厳密に4未満又は6に等しいグレードを有する組成物は、リーブオンマスク用途において使用不可能とみなされる。
【0130】
ペトリ皿中で30分の時間tの経過後に、4又は5に等しいグレードを有する組成物は、リーブオンマスク用途において使用可能とみなされる。
【0131】
従って、アミノ酸又はアミノ酸誘導体、例えばトリメチルグリシン(ベタイン)を含む、本発明に従う組成物1~4は、マスク形態で使用される為に適したゲルを示す。
【0132】
比較例の組成物5及び6は、液体であり、マスク形態で使用可能なゲル外観を示さない。
【0133】
本発明に従う組成物1~4は、顔の全ての領域にわたる該組成物の均質な分布を有するように、ケラチン物質、例えば皮膚、特には顔、に容易に施与され、その後、固化してマスクを顔上に直接的に形成することができる。従って、本発明に従う組成物は、顔の全ての領域、特には眼及び口の周辺部分、を均一に保湿することを可能にする。
【0134】
さらに、本発明に従う組成物の皮膚への施与は、該マスクが顔から除去される場合に、洗い流すことを必要としない。
【0135】
実施例2
【0136】
以下の組成物7は、実施例1に記載されているプロセスに従って調製された。
【0137】
【表4】
【0138】
(1)IndenaよりXilogel HSの商品名で販売されている
【0139】
本発明に従う組成物7を用いて得られるゲルは液体水性ゲルであり、それは、顔に均等に施与され、その後、粘着性水性ゲルを形成する。
【0140】
本発明に従う組成物7は、施与中及び経時的に、皮膚を保湿する良好な感覚を与える。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧組成物であって、
(i)少なくとも1つのタマリンダス・インディカ(Tamarindus indica)種子多糖;
(ii)少なくとも1つのアミノ酸又は少なくとも1つのアミノ酸誘導体;及び
(iii)水
を含む、前記化粧組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1つのタマリンダス・インディカ種子多糖が、前記組成物の総重量に対して、0.05重量%~10重量%範囲の量で存在することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1つのアミノ酸が、トリメチルグリシン(ベタイン)、プロリン及びそれらの混合物から選択されことを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1つのアミノ酸又は前記少なくとも1つのアミノ酸誘導体が、該組成物の総重量に対して、0.1重量%~30重量%範囲の含有量で存在することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
該組成物が少なくとも1つのポリオールを含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つのポリオールが、ジグリセロール、グリセロール、プロパン-1,3-ジオール、オクタン-1,2-ジオール、及びそれらの混合物か選択されことを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1つのポリオールが、該組成物の総重量に対して、5重量%~40重量%範囲の含有量で存在することを特徴とする、請求項5又は6に記載の組成物。
【請求項8】
前記水が、該組成物の総重量に対して、40重量%~90重量%総量で存在することを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
該組成物が液体水性ゲルの形態で提供されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
ケラチン物質の化粧処置の為の請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項11】
ケラチン物質化粧処置の方法あって、該方法が、
少なくとも1つのタマリンダス・インディカ(Tamarindus indica)種子多糖及び水を含む組成物A)と、
請求項3において定義された少なくとも1つのアミノ酸又は少なくとも1つのアミノ酸誘導体を含む組成物B)と
を混合する第1の段階を含み、
次に、該混合物を該ケラチン物質に施与して、支持体の助けを借りずに該ケラチン物質上にゲルを形成する第2の段階を含む、
前記方法。
【請求項12】
該組成物A)及び該組成物B)が、1:1の比で混合されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
該組成物A)及び該組成物B)の該混合物、すなわち、本発明に従う組成物は、5分以下リーブオン時間(leave-on time)の後に、ケラチン物質に施与されることを特徴とする、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
該組成物A)及び該組成物B)の該混合物の施与後にケラチン物質上で形成されるゲルは、周囲温度で粘着性水性ゲルであることを特徴とする、請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
ケラチン物質への該組成物A)及び該組成物B)の該混合物の施与の後に、該粘着性水性ゲルが、30分以下期間の最後に形成されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
マルチコンパートメントキットであって、
(i)請求項11に記載された組成物A)を含む第1のコンパートメント;及び
(ii)請求項11に記載された組成物B)を含む第2のコンパートメント
を備えている、前記のマルチコンパートメントキット。
【国際調査報告】