(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-07
(54)【発明の名称】安定な経口カンナビジオール組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/05 20060101AFI20231130BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20231130BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20231130BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20231130BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20231130BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20231130BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20231130BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20231130BHJP
A61P 25/30 20060101ALI20231130BHJP
A61P 25/36 20060101ALI20231130BHJP
A61K 47/06 20060101ALI20231130BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20231130BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20231130BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20231130BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20231130BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20231130BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
A61K31/05
A61P25/00
A61P25/04
A61P25/08
A61P25/18
A61P25/20
A61P25/22
A61P25/28
A61P25/30
A61P25/36
A61K47/06
A61K47/22
A61K47/10
A61K47/20
A61K47/14
A61K47/44
A61K9/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023529028
(86)(22)【出願日】2020-12-07
(85)【翻訳文提出日】2023-07-14
(86)【国際出願番号】 CA2020051680
(87)【国際公開番号】W WO2022120457
(87)【国際公開日】2022-06-16
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522049233
【氏名又は名称】カーディオル セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】リステフスキ,ブラゴヤ
(72)【発明者】
【氏名】ボルトン,アンソニー アーネスト
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB01
4C076CC01
4C076DD34A
4C076DD37S
4C076DD46
4C076DD56S
4C076DD59S
4C076EE53
4C076FF51
4C076FF63
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA19
4C206KA01
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA72
4C206NA03
4C206ZA02
4C206ZA05
4C206ZA06
4C206ZA08
4C206ZA15
4C206ZA16
4C206ZC39
(57)【要約】
少なくとも98%の純度を有するカンナビジオール(CBD)を含む開示の安定化された経口カンナビジオール組成物。組成物は、β-カリオフィレン(BCP)、少なくとも1種の追加の親油性溶媒(例えば、中鎖トリグリセリド(MCT))及び少なくとも1種の追加の酸化防止剤(例えば、α-トコフェロール(ビタミンE))をさらに含有する。組成物は、THCを実質的に含まない。CBDは、合成、生合成又は植物由来であり得る。安定化された経口CBD組成物を製造する方法も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経口カンナビジオール組成物であって、
a.約1w/v%w/w~約35w/v%の濃度のカンナビジオール(CBD);
b.約60w/v%~約98.9w/v%の濃度の親油性担体であって、β-カリオフィレン(BCP)及び少なくとも1種の追加の親油性溶媒を含み、BCPと前記少なくとも1種の追加の親油性溶媒との体積比は、約1:1~約1:3である、親油性担体;
c.約0.1%w/v~約5%w/vの濃度の少なくとも1種の追加の酸化防止剤;及び
d.0%w/v~有効量の少なくとも1種の薬学的に許容できる賦形剤
を含むか、それらから基本的になるか又はそれらからなり、前記CBDは、少なくとも98重量%の純度であり、前記組成物は、THCを実質的に含まない、経口カンナビジオール組成物。
【請求項2】
前記CBDは、合成である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記CBDは、精製された植物性分離物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記CBDは、少なくとも98.5重量%の純度である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記CBDは、少なくとも99重量%の純度である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記CBDは、少なくとも99.5重量%の純度である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
THCは、存在しないか、又は前記組成物全体に基づいて10ppm以下の量で存在する、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1種の追加の親油性溶媒は、中鎖(C6~C12)トリグリセリド(MCT)、ヤシ油、ゴマ油、魚油、アボカド油、種実類由来の油、コーン油、落花生油、紅花油、大豆油及びパーム核油からなる群から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1種の追加の酸化防止剤は、α-トコフェロール(ビタミンE)、ポリフェノール、カロテノイド、没食子酸プロピル、レシチン、クルクミン、セサミン、セサモール、セサモリン、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)及びモノチオグリセロールtert-ブチルヒドロキノン(TBHQ)からなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
BCPと前記少なくとも1種の追加の親油性溶媒との前記体積比は、約1:2である、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記CBDは、約2%w/v~約25%w/vの量で存在する、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記CBDは、約9%w/v~約23%w/vの量で存在する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記少なくとも1種の酸化防止剤は、α-トコフェロール(ビタミンE)からなる、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記α-トコフェロールは、約0.5%w/v~約1.5%w/vの量で存在する、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記少なくとも1種の追加の親油性溶媒は、C8及びC10トリグリセリドの混合物からなる、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記C8トリグリセリドと前記C10トリグリセリドとの重量比は、約55:45~約65:35である、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
安定な経口カンナビジオール組成物であって、
a.約2%w/v~約12%w/vの量の、少なくとも98.5重量%の純度を有するCBD;
b.約28%w/v~約30%w/vの量のBCP;
c.約56%w/v~約60%w/vの量の、C8及びC10トリグリセリドの混合物;
d.約0.5%w/v~約1.5%w/vの量のα-トコフェロール(ビタミンE);及び
e.0%w/v~有効量の少なくとも1種の薬学的に許容できる賦形剤
からなり、THCは、存在しないか、又は前記組成物全体に基づいて10ppm未満の量で不純物として存在する、安定な経口カンナビジオール組成物。
【請求項18】
前記C8トリグリセリドと前記C10トリグリセリドとの重量比は、約55:45~約65:35である、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
他のカンナビノイド、他のテルペン、他の溶媒、精油、界面活性剤、乳化剤、アルコール(エタノール及びグリコールを含む)及び他の薬学的に活性な成分を実質的に含まない、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
CBDを含有する経口組成物中の前記CBDを安定化する方法であって、少なくとも98重量%の純度を有するCBDを、BCP及び少なくとも1種の追加の親油性溶媒からなる親油性担体に溶解させること、BCP以外の酸化防止剤を添加及び混合することを含み、
a.前記BCPと前記少なくとも1種の追加の親油性溶媒との体積比は、約1:1~約1:3であり;及び
b.BCP以外の前記酸化防止剤は、約0.5%w/v~約1.5%w/vの量で存在する、方法。
【請求項21】
BCPと前記少なくとも1種の追加の親油性溶媒との前記体積比は、約1:2である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも追加の親油性溶媒は、C8及びC10トリグリセリドを含むMCTであり、前記C8トリグリセリドと前記C10トリグリセリドとの重量比は、約55:45~約65:35である、請求項20又は21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 分野
[0002] 本明細書は、経口カンナビノイド組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
[0003] 背景
[0004] 多くの研究は、カンナビノイド療法の治療能力を実証している。結果として、カンナビノイドは、慢性疼痛、神経因性疼痛、てんかんなど(例えば、ドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群、ミオクロニー発作、若年性ミオクロニーてんかん、難治性てんかん、若年性痙攣、ウエスト症候群、難治性乳児痙攣、乳児痙攣)、結節性硬化症、脳腫瘍(例えば、多形膠芽細胞腫又はGBM)、大麻使用障害、心的外傷後ストレス障害、不安、早期精神病、統合失調症、アルツハイマー病、自閉症並びにオピオイド、コカイン、ヘロイン、アンフェタミン及びニコチンからの離脱を含む種々の疾患、病態、障害及び/又はそれらの症状の治療における使用のために使用又は調査されてきた。
【0003】
[0005] カンナビス・サティバ(Cannabis sativa)植物中に天然に存在し、それから単離することができる、様々な作用を示す少なくとも113種の異なるカンナビノイドがある。これらには、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)及びカンナビノール(CBN)が含まれる。THCは、主要な精神活性成分であるが、カンナビジオール(CBD)は、酩酊性ではないため、治療用組成物、特に医療用途向けのものに使用するのに非常に望ましい。
【0004】
[0006] CBDは、経口を含む種々の方法で投与され得る。医薬品として有用であり、認可されるために、CBDを有効成分として利用する組成物は、安定で一貫した投薬を与えなければならず、治療上有効でなければならない。しかし、経口系の療法での課題は、組成物中のCBDの不安定性である。例えば、CBDは、保存中に分解して、カンナビノール(CBN)、THC、キノン及びCBDOなどの他の産物に転化し得る。これは、変動する効力、不正確な投薬及び予測不可能な反応を明らかにもたらし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0007] そのため、経口投与が意図される組成物中のCBDを安定化する必要がある。THC(不純物として存在する)のレベルを可能な限り低レベルに維持して、THCの量を制限する政府規制を満たすだけでなく、抗精神作用のリスクを減少させる必要もある。本発明は、これらの必要性を満たすことを意図する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0008] 発明の概要
[0009] 驚くべきことに、本発明者らは、β-カリオフィレン(BCP)が、極めて少ない他の成分と共に許容できる貯蔵寿命を得ることができるように、本発明による組成物中のCBDの可溶化及び安定化の両方に有効であることを見出した。CBD及びBCPの両方は、抗炎症性を有することが実証されている。したがって、同じ製剤中に両方を使用することは、増大した抗炎症作用を与えることも期待される。
【0007】
[0010] そのため、本発明は、第1の態様によると、安定な経口カンナビジオール組成物であって、(a)カンナビジオール(CBD);(b)β-カリオフィレン(BCP)及びCBDのための少なくとも1種の追加の親油性溶媒(例えば、中鎖トリグリセリド(MCT))からなる親油性担体;(c)少なくとも1種の追加の酸化防止剤(例えば、α-トコフェロール(ビタミンE));並びに(任意選択で)有効量の少なくとも1種の薬学的に許容できる賦形剤を含むか、それらから基本的になるか又はそれらからなり、THCを実質的に含まない、安定な経口カンナビジオール組成物を提供する。
【0008】
[0011] CBDは、合成又は天然由来であり得、すなわち化学合成、生合成又は植物から供給されて厳密に精製され得る。使用されるCBDの種類にかかわらず、CBDは、少なくとも98、98.5、99、99.5、99.6、99.7、99.8又は99.9重量%の純度を有しなければならない。
【0009】
[0012] いくつかの実施形態において、組成物は、カンナビノイド、テルペン又は精油、溶媒、吸収促進剤、界面活性剤、乳化剤、水、アルコール(エタノール及びポリエチレングリコールなどのグリコールを含む)、送達剤、安定剤、ゲル化剤(例えば、アルギネート/アルギン/アルギン酸及び寒天)、薬学的に活性な成分及びビタミンである成分又は化合物(存在すると記載されるもの以外)を実質的に含まない。例えば、本組成物は、上記の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13種又は全てを実質的に含まなくてもよい。例えば、本組成物は、ベルガモテン(例えば、α-トランス-ベルガモテン、α-シス-ベルガモテン)、ビサボレン(例えば、トランス-γ-ビサボレン、シス-γ-ビサボレン)、ビサボロール(例えば、α-ビサボロール、エピ-α-ビサボロール)、ボルネオール、α-カジネン、カンフェン、カレン(例えば、デルタ-3-カレン)、α-カリオフィレン、カリオフィレンオキシド、シトロネロール、γ-クルクメン、p-シメン、β-エレメン、オイカリプトール、ユーデスモール(例えば、α-ユーデスモール、β-ユーデスモール、γ-ユーデスモール)、ファルネセン(例えば、α-ファルネセン、シス-β-ファルネセン)、フェンコール(例えば、β-フェンコール)、フェンコン、ゲラニオール、グアイオール、グアレン(例えば、α-グアレン)、フムレン(例えば、α-フムレン)、イプスジエノール、イソフィトール、イソプレゴール、リナロール、リモネン、α-ロンギピネン、メントール、γ-ムウロレン、ミルセン、ネロリドール、オシメン(例えば、トランス-及びシス-オシメン)、フェランドレン(例えば、α-フェランドレン、β-フェランドレン)、フィトール、ピネン(例えば、α-ピネン、β-ピネン)、プレゴン、サビネン(例えば、シス-サビネン水和物)、セリネン(例えば、α-セリネン、β-セリネン)、γ-テルピネン、テルピネン、テルピネオール、テルピノレン、α-ツジュン、バレンセン、α-イランゲン、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビゲロール酸(CBGA)、カンナビノール(CBN)、カンナビノール酸(CBNA)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビクロメン酸(CBCA)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビシクロール酸(CBLA)、カンナビバリン(CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロメバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビエルソイン(CBE)、カンナビシトラン(CBT)、カンナビジオール-ジメチルヘプチル(CBD-DMH)及びN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート(SNAC)を排除し得る。
【0010】
[0013] 本組成物から明らかに排除され得る薬学的に活性な薬剤としては、オピオイド受容体アゴニスト(例えば、オピオイド鎮痛剤)がある。
【0011】
[0014] いくつかの実施形態において、本組成物は、以下の吸収促進剤 - Gelucire(商標)44/14;Gelucire(商標)50/13;Tagat(商標)TO;Tween(商標)80;ミリスチン酸イソプロピル、ポリソルベート、ソルビタンエステル、ポロキサマーブロックコポリマー、PEG-35ヒマシ油、PEG-40水添ヒマシ油、カプリロカプロイルマクロゴール-8-グリセリド、PEG-8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、ラウリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチル、ポリエチレンラウリルエーテル、エトキシジグリコール、プロピレングリコールモノ-ジ-カプリレート、グリセロールモノカプリレート、グリセリル脂肪酸(C8~C18)エトキシ化、オレイン酸、リノール酸、(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、グリセリルモノアレエート、グリセリルモノラウレート、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、エトキシ化ノニルフェノール、PEG-(8-50)ステアレート、オリーブ油PEG-6エステル、トリオレインPEG-6エステル、レシチン、d-αトコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート、ポリカーボネート、グリココール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、シクロデキストリン、クエン酸、クエン酸ナトリウム、トリアセチン、それらの組み合わせなどを排除する。しかし、使用される場合、吸収促進剤は、約0.001%w/v~約10%w/v又は約0.01%w/v~約5%w/vの量で存在し得る。
【0012】
[0015] 同じ又は他の実施形態において、CBDは、約1%w/v~約35%w/vの量で存在し;親油性担体は、約60%w/v~約98.9%w/vの量で存在し;BCPと少なくとも1種の追加の親油性溶媒との体積比は、約1:1~約1:5であり;少なくとも1種の酸化防止剤は、約0.1%w/v~約5%w/vの量で存在する。
【0013】
[0016] いくつかの実施形態において、CBDは、約1、2、3、4、5、6、7、8又は9%w/v~約35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13又は12%w/vまでの量で存在し得る。同じ又は他の実施形態において、組成物は、CBDを約10、20、30、40、50、60、70、80、90又は100mg CBD/組成物のmL~約350、325、300、275、250、225、200、175及び150mg CBD/組成物のmLまでの量で含有し得る。例えば、CBDは、25、50、75又は100mg CBD/組成物のmLの量で存在し得る。
【0014】
[0017] BCPと少なくとも1種の追加の親油性溶媒との体積比は、約1:1~約1:4;約1:1~約1:3及び/又は約1:2など、上記範囲内の全ての値に変わり得る。
【0015】
[0018] 少なくとも1種の追加の親油性溶媒は、中鎖(C6~C12)トリグリセリド(MCT)、ヤシ油、ゴマ油、魚油、アボカド油、種実類由来の油、コーン油、落花生油、紅花油、大豆油及びパーム核油からなる群から選択され得る。いくつかの実施形態において、少なくとも1種の追加の親油性溶媒は、C8及びC10トリグリセリドの混合物からなる。C8トリグリセリドとC10トリグリセリドとの重量比は、約35:65~約85:15、約45:55~約75:25又は約55:45~約65:35であり得る。他の実施形態において、少なくとも1種の追加の親油性溶媒は、ヤシ油からなり得る。
【0016】
[0019] 少なくとも1種の追加の酸化防止剤は、α-トコフェロール(ビタミンE)、ポリフェノール、カロテノイド、没食子酸プロピル、レシチン、クルクミン、セサミン、セサモール、セサモリン、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)及びモノチオグリセロールtert-ブチルヒドロキノン(TBHQ)からなる群から選択され得る。いくつかの実施形態では、α-トコフェロール(ビタミンE)は、約0.3、0.5又は0.7~約1.5、1.3又は1.1%w/vまでの量で存在する。α-トコフェロールは、約0.75%w/v~約1.25%w/vの量でも存在し得る。
【0017】
[0020] 特定の実施形態において、組成物は、
a.約2%w/v~約12%w/vの量の、少なくとも99.5重量%の純度を有するCBD;
b.約28%w/v~約30%w/vの量のBCP;
c.約58.5%w/v~約67.5%w/vの量の、C8及びC10トリグリセリドの混合物であって、C8トリグリセリドとC10トリグリセリドとの重量比は、約55:45~約65:35である、混合物;
d.約0.5%w/v~約1.5%w/vの量のα-トコフェロール(ビタミンE);及び
e.(任意選択で)0%w/v~有効量の少なくとも1種の薬学的に許容できる賦形剤
からなり、THCは、存在しないか、又は組成物全体に基づいて10ppm未満の量で不純物として存在する。
【0018】
[0021] いくつかの実施形態において、CBDは、CBDの重量に基づいて2、1.5、1、0.7又は0.5重量%未満の総不純物を有する植物性CBD分離物である。同じ又は他の実施形態において、THCは、CBD 1グラムあたりわずか0.009mgであり得る。この低レベルのTHCを有する植物性CBD分離物は、Toronto, Ontario, CanadaのDalton Pharma Servicesから利用可能である(「Dalton Pharma CBD」)。Dalton Pharma CBDは、カンナビジバリン(CBDV)及びカンナビジブトール(CBDB)を含む0.3重量%未満の他のカンナビノイドも含有する。そのようなCBDは、はるかに高いレベルのこれらの不純物を含有する市販の他の植物性CBD分離物よりも純度が高いと考えられる。CBDV及びCBDBは、CBDに構造が類似していることが知られており、精製中にCBDから分離することがより困難であると考えられる。
【0019】
[0022] 他の実施形態において、CBDは、以下でさらに議論されるように合成により製造される。
【0020】
[0023] 第2の態様によると、本発明は、第1の態様による経口組成物中のカンナビジオール(CBD)を安定化する方法であって、少なくとも98、98.5、99、99.5、99.6、99.7、99.8又は99.9重量%の純度を有する有効量のCBDをBCP及び少なくとも1種の追加の親油性溶媒と、CBDが溶媒に溶解するまで混合すること、次いで少なくとも1種の追加の酸化防止剤及び(任意選択で)少なくとも1種の薬学的に許容できる賦形剤を添加することを含み、組成物を製造するのに使用される化合物又は成分の量は、第1の態様による組成物を提供するように選択される、方法を提供する。
【0021】
[0024] 本発明のこれら及び他の態様が以下でより詳細に記載される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[0025] 詳細な説明
[0026] 定義
[0027] 明快さのため及び曖昧さを避けるために、特定の用語が下記の通り本明細書で定義される。
【0023】
[0028] 用語「薬学的に活性な薬剤」は、治療効果(例えば、疾患、病態又はそれらの症状を治癒し、緩和し、予防し、及び/又はその進行を緩徐化すること)を対象に与えることが可能である、薬物、細胞、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、タンパク質及びペプチドを含むあらゆる組成物(例えば、薬剤、化合物又は成分)を意味する。
【0024】
[0029] 本明細書は、CBDの純度を「X」重量%の観点から記載する。これは、CBDがCBDの重量に基づいて100-X重量%までの不純物(CBD以外の化合物)を含有し得ることを意味する。他の成分の純度が記載される場合、類似の原理が当てはまる。成分、例えばCBDの純度は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、例えばHPLC又はGC-FIDプロファイルの面積百分率により決定することができる。そのため、CBDが少なくとも99.7重量%の純度を有するという言及は、CBDがCBDの重量に基づいて0.3重量%までの不純物を含有し得ることを意味する。本組成物は、CBD以外の化合物/成分を含有するため、CBD中に存在する不純物は、組成物の重量に基づいて重量%を単位としてはるかに少ない量で存在するであろう。
【0025】
[0030] 用語「対象」は、ヒト及び他の哺乳動物を含む動物界のメンバーを意味する。
【0026】
[0031] 本明細書で使用される場合、用語「治療」及び「予防」は、対象の「生活の質を改善すること」又は「寿命を延ばすこと」を含むものとし、必ずしも病態、障害又は疾患を「治すこと」を含むものではない。
【0027】
[0032] 本明細書で使用される場合の「薬学的に許容できる賦形剤」は、1つ又は複数の所望の機能を達成するために、薬学的に活性な薬剤と共に製剤され得るか、又はそれと共に存在するあらゆる物質を意味する。例としては、着色剤、着香剤及び保存剤がある。「薬学的に許容できる」ために、賦形剤は、ヒト及び/又は動物の摂取のために非毒性で安全でなければならず、経口投与様式を考慮して組成物中の他の成分と適合性でなければならない。当業者は、本明細書の教示及びパブリックドメインにある情報を考慮して、いずれの化合物又は成分が薬学的に許容できる賦形剤として適切であるかを認識するであろう。
【0028】
[0033] 本明細書で使用される通り、本発明による組成物と関連して使用される用語「安定性」、「安定な」などは、密封された容器内において、光を避けて40℃±2℃及び相対湿度(RH)75%±5%で少なくとも8週間保存される場合、組成物中のCBDの統計的に有意な損失がないことを意味する。約5℃±3℃の温度の冷蔵庫内で保存される場合、そのような組成物は、他の条件が全て同じであると仮定して、より長い期間にわたって安定であると期待され得る。本発明による組成物は、投薬の一貫性を可能にする透明で均一な液体のままである。
【0029】
[0034] 句「少なくとも1つ」、「1つ以上」及び「及び/又は」は、運用において結合的及び分離的の両方である非限定的表現である。例えば、表現「A、B及びCの少なくとも1つ」、「A、B又はCの少なくとも1つ」、「A、B及びCの1つ以上」、「A、B又はCの1つ以上」及び「A、B及び/又はC」のそれぞれは、Aのみ、Bのみ、Cのみ、一緒にA及びB、一緒にA及びC、一緒にB及びC又は一緒にA、B及びCを意味する。
【0030】
[0035] 用語「1つの(a)」又は「1つの(an)」実体は、1つ以上のその実体を指す。したがって、用語「1つの(a)」(又は「1つの(an)」)、「1つ以上」及び「少なくとも1つ」は、本明細書において互換的に使用され得る。用語「又は」が、文脈上そうでないとする明確な指示がない限り、一般的に「及び/又は」の意味で利用されることに留意すべきである。
【0031】
[0036] 用語「含む」は、「非限定的に含む」を意味する。そのため、成分のリストを含む組成物は、明示的に列挙されない追加の成分を含み得る。用語「含む」、「包含する」及び「有する」は、互換的に使用され得ることにも留意されたい。
【0032】
[0037] 用語「からなる」は、「列記された成分及び列記された成分中において天然又は市販の不純物又は添加剤として存在し得る追加の成分を含む」を意味する。天然及び市販の不純物及び添加剤は、当業者に明らかであろう。
【0033】
[0038] 用語「から基本的になる」は、「列記された成分(天然又は商業的不純物及び前記成分への典型的な商業的添加剤を含む)並びに基本的及び新規な性質に実質的に影響しないあらゆる追加成分を含むこと」を意味する。「基本的及び新規な性質」とは、組成物中のCBDの安定性及び組成物全体に基づいて0.3重量%未満の量のTHCの存在を意味する。
【0034】
[0039] 特記されない限り、用語「重量%」、「%w/w」及びこれらの変形は、本明細書において互換的に使用され、物質の重量を、その物質を含有する組成物の総重量で割り、100倍したものとしてその物質の量を指す。
【0035】
[0040] 用語「%w/v」は、「パーセント重量/体積」を意味し、重量(w)の基本尺度としてグラムを使用して以下の式に従って計算される。
%w/v=成分又は化合物のg/100mLの溶液
【0036】
[0041] 特記されない限り、「Y」を「実質的に含まない」組成物は、「Y」が存在しないか、又は組成物に基づいて0.3重量%未満の量で存在することを意味する。
【0037】
[0042] 用語「約」は、例えば、医薬組成物の製造に使用される測定及び液体取扱い、組成物の製造に使用される成分の製造、源若しくは純度の差異及び/又は初期混合物から生じる組成物の異なる平衡条件若しくは異なる反応レベルによる差異により起こり得る、表された数量の変動を指す。明快さのために、用語「約」は、表された値の±5%までの変動を含む。値が用語「約」により修飾されているかどうかを問わず、請求項は、値の均等物を含む。
【0038】
[0043] 本明細書で使用される場合、成分の量を明示するために使用される用語「有効量」は、組成物中の成分の目的及び機能並びにその成分を含有する組成物の目的及び機能も考慮して所望の効果をもたらすであろう量を意味する。有効量を構成するものは、発明に関する実験に従事する必要なしに当業者により決定されるであろう。
【0039】
[0044] 本明細書に列挙される値は、明示的に列挙されていないものを含む、述べられたパラメーターを満たす全ての値を含むものとする。そのため、例えば、1.0未満の値は、0.99未満、0.98未満、0.97未満、0.90未満、0.84未満、0.56未満、0.01未満などを含むものとする。そのため、本明細書に開示される全範囲は、その中に含まれるあらゆる部分的範囲を包含すると理解されるべきである。例えば、「1~10」の述べられた範囲は、最低値1~最大値10(両端地を含む)のあらゆる部分的範囲、例えば1~6.3、又は5.5~10、又は2.7~6.1などを含むと考えられるべきである。
【0040】
[0045] 本明細書は、本明細書に列記される任意の成分を省略する可能性を企図する。本明細書は、任意の成分が、含まれるか又は本明細書から除外されるとして明示的に挙げられていないとしても、その成分の省略をさらに企図する。
【0041】
[0046] 本明細書の化学構造は、当技術分野で公知である従来の基準に従って描写される。そのため、描写される炭素原子などの原子が、満たされていない原子価を有するように見える場合、その原子価は、水素原子が必ずしも明確に描写されていないとしても、水素原子により満たされるとみなされる。本明細書の化合物の一部の構造は、立体異性を生じさせる炭素原子を含む。そのような不斉から生じる異性体(例えば、全エナンチオマー及びジアステレオマー)は、別途示されない限り、本明細書の範囲内に含まれることが理解されるべきである。すなわち、別途規定されない限り、あらゆるキラル炭素中心は、(R)又は(S)立体化学のいずれかであり得る。そのような異性体は、従来の分離技法及び立体化学が制御された合成により、実質的に純粋な形態で得ることができる。さらに、アルケンは、適切な場合、E又はZ配置のいずれかを含み得る。
【0042】
[0047] 経口カンナビジオール組成物
[0048] 本組成物は、カンナビジオール(CBD)を有効成分として含有する。CBDは、以下に示される化合物である。
【化1】
【0043】
[0049] 本組成物に使用されるCBDは、合成又は天然由来である。合成CBDは、化学的手段を使用して製造される。合成カンナビジオールを製造する方法は、当技術分野で公知である。例えば、Wilmington Delaware, U.S.A.に本社があるNoramco, Inc.(Athens, Georgiaに本社がある現Purisys Inc.)のCBDは、米国特許出願公開第2017/0008868A1号(米国特許第10,059,683号として付与)及び米国特許出願公開第2018/031,976A1号に記載されるものなどのプロセスに従って製造される。これらの参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。他のプロセス及び製造業者により製造された合成CBDも本組成物に使用され得る。
【0044】
[0050] 生合成CBDは、遺伝子操作された酵母菌、細菌などから誘導され、培養で増殖させたCBDである。生合成により、各遺伝子改変された細胞は、大量のCBDを生産する工場として機能するため、この方法は、潜在的により効率がよく、費用があまりかからず、拡大可能である。
【0045】
[0051] 植物から供給されたCBDは、マリファナ及び麻を含む種々の植物から公知の抽出及び精製方法を使用して誘導され得る。
【0046】
[0052] 本組成物を製造するのに使用されるCBDの種類にかかわらず、本明細書で使用されるCBDは、少なくとも98、98.5、99、99.5.、99.6、99.7、99.8又は99.9重量%の純度を有する。さらに、THCは、存在しないか、又は存在する場合、CBDの重量に基づいて0.3重量%以下、好ましくは0.2重量%以下であろう。いくつかの実施形態において、THCは、CBD中に検出可能ではないであろう。
【0047】
[0053] 当業者は、合成CBDの商業的供給源が残留溶媒及び製造の副生成物、例えばオリベトール、モノブロモ-CBD及びデルタ-9-THCなどの少量の不純物を含有することを認識するであろう。残留溶媒としては、メタノール、n-ヘプタン、ジクロロメタン及びトリエチルアミンがある。
【0048】
[0054] CBD(合成及び植物性CBDを含む)中に存在し得る不純物としては、THC並びに他のカンナビノイドがある。THCの化学構造が以下に示される。
【化2】
【0049】
[0055] THCは、デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール及びデルタ-9-THCと称されることもある。本明細書で使用される場合、THCは、その二重結合異性体及びそれらの立体異性体を含むものとする。
【0050】
[0056] いくつかの実施形態において、本組成物に使用されるCBDは、「超低」レベルのTHCを含有する。これは、THCが存在しないか、又は検出不能であるか、又は検出可能である場合、それがCBDの重量に基づいて0.0009重量%以下の量で存在することを意味する。
【0051】
[0057] 同じ又は他の実施形態において、本発明による経口CBD組成物中のTHCのそれぞれのレベルは、組成物全体に基づいて100、90、80、70、60、50、40、30、20又は10ppm以下であろう。好ましくは、THCのレベルは、可能な限り低く減少される。さらにより好ましくは、THCの量は、組成物全体(最終組成物)に基づいて10ppm未満である。
【0052】
[0058] さらに同じ又は他の実施形態において、精製されたCBD中のCBDB及びCBDVの量は、CBDに基づいてそれぞれ0.3重量%以下であろう。さらに他の実施形態において、CBDBとCBDVとの総量は、CBDに基づいて0.3重量%以下であろう。
【0053】
[0059] CBDの溶媒
[0060] 本発明による組成物は、少なくとも2種の溶媒を、組成物中のCBDを安定化するのに有効な量で含有するであろう。溶媒は、親油性であり、一般に安全と認められ(GRAS)、ヒト又は動物摂取のために好適でなければならない。溶媒の1つは、トランス-(1R,9S)-8-メチレン-4,11,11-トリメチルビシクロ[7.2.0]ウンデカ-4-エン又は[1R-(1R,4E,9S)]-4,11,11-トリメチル-8-メチレン-ビシクロ[7.2.0]ウンデカ-4-エンとも称されるβ-カリオフィレン(BCP)であり、カンナビス・サティバ(Cannabis sativa)を含む植物の植物抽出物に見られる天然の二環式セスキテルペン化合物である。それは、多くの精油、特にクローブであるシジギウム・アロマティカム(Syzygium aromaticum)油の成分であり、「一般に安全と認められる」(GRAS)。
【0054】
[0061] カリオフィレンは、内因性カンナビノイド系と(CB2受容体で)相互作用することが知られている唯一のテルペンである。β-カリオフィレンは、選択的にCB2受容体に結合し、機能的CB2アゴニストである。さらに、β-カリオフィレンは、食料品中の機能的非精神活性CB2受容体リガンドとして及び大麻中のマクロ環状抗炎症カンナビノイドであると特定された(Proc Natl Acad Sci USA. 2008 Jul. 1; 105 (26): 9099-104. doi: 10.1073/pnas.0803601105. Epub 2008 Jun. 23. Beta-caryophyllene is a dietary cannabinoid.)。BCPは、着香剤、酸化防止剤、胃腸粘膜を経由する浸透促進剤、抗炎症剤及び溶媒として使用され得る(例えば、Schwankl et alの国際公開第2002034294号を参照されたい)。それは、CBDの全身性アベイラビリティを改善するのに有用であり得る(Schwankl et al.の国際公開第2002034275A1号)。本発明による組成物は、対象の血流へのCBDの増大した吸収を与え、したがって増大した治療効能を与えることが予測される。これは、BCPが、腸内の細菌により放出される、CBDの分解を促進する酵素を遮断又は阻害できるという理論に基づくものである。消化管中でCBDの分解を妨げることにより、CBDの投与量のより高いパーセンテージが生物学的に利用可能になるはずである。
【0055】
[0062] 驚くべきことに、本発明者らは、BCPが、少なくとも1種の追加の親油性溶媒と組み合わせて、本明細書に記載の量で使用される場合、CBDの非常に有効な溶媒及び安定剤であることを見出した。例えば、少なくとも300mgのCBDを1mLのBCPに溶解させることができる。CBDの増大された安定性は、許容できる貯蔵寿命を有し、投薬における一貫性及び増大された安定性を提供できる組成物を提供する。
【0056】
[0063] 理論に拘束されることなく、本明細書に開示される量のBCPの存在は、少なくとも1種の追加の親油性化合物(例えば、MCT)が、水分(組成物の製造に使用される成分中に不純物として存在するか又は雰囲気中に存在する)と相互作用して、CBDをTHCに転化させる酸性環境をもたらし得る遊離脂肪酸に分解することを妨げると考えられる。本組成物中のBCPは、ビタミンEと相乗的に作用してこの転化を妨げ、それにより超低レベルのTHCを有するより安定なCBD生成物を提供するようである。
【0057】
[0064] 本明細書で使用される場合、「BCP」は、「食品グレード」で一般に安全と認められる(「GRAS」)BCPの商業的供給源を意味する。そのような製品は、典型的には、植物抽出物を精製することにより製造され、したがって多数の化合物を含有し得る。例えば、以下に記載される本発明の実施形態は、Sigma AldrichのBCPを使用する。この製品の製品仕様書は、添付文書Aに含まれる(CAS番号87-44-5)。製品仕様書から分かる通り、Sigma Aldrich BCPは、少なくとも95%w/wの主要及び微量のC15H24テルペン並びに5%w/wまでの製造の副生成物などの不純物を含有する。そのため、Sigma AldrichのBCPは、少なくとも95%の「純度」を有する。Vigon International, Inc.(Stroudsburg, Pennsylvania, U.S.A.)のBCPは、90~100%w/wの範囲の純度を有する(Vigonコード500796;CAS番号87-44-5)。本発明は、少なくとも90%w/w、例えば少なくとも90.5、91、91.5、92、92.5、93、93.5、94、94.5、95、95.5、96、96.5、97、97.5、98、98.5及び99%w/wの純度を有するBCPを使用することを企図する。
【0058】
[0065] BCPとCBDとの相対量は、変わり得る。例えば、BCPの1mLごとに、CBDの量は、約1mg、2mg、5mg又は10mg~約300mg、275mg、200mg又は100mgまでで変わり得る。CBDとBCPとの重量比は、約1:5、1:4、1:3、1:2又は1:1であり得る。
【0059】
[0066] 本組成物は、少なくとも1種の追加の親油性溶媒と共にBCPも含有する。BCPと少なくとも1種の追加の親油性溶媒との体積比は、約1:2を含み、上述の通り約1:1~約1:5の範囲であり得る。少なくとも1種の他の溶媒は、アボカド油、キャノーラ油、ヤシ油、コーン油、魚油、麻油、中鎖(C6~C12)トリグリセリド(MCT)(天然及び合成の両方)、MCTと長鎖トリグリセリド(LCT)とのブレンド、オリーブ油、パーム油、パーム核油、落花生油、紅花油、大豆油、構造脂質、アーモンド油、ビーチナッツ油、ブラジルナッツ油、カシュー油、綿実油、グレープシード油、ヘーゼルナッツ油、マカデミア油、モンゴンゴナッツ油、ペカン油、パインナッツ油、ピスタチオ油、カボチャ種子油、ゴマ油、ナタネ油、ヒマワリ油及びクルミ油からなる群から選択される少なくとも1種の油であり得る。
【0060】
[0067] 1種以上の他の食用油も少なくとも1種の溶媒として使用され得る。これらには、アマランス油、アンズ油、リンゴ種子油、アルガン油、ババス油、ベン油、ボルネオタロウナッツ油、ケープチェストナッツ油(ヤング油とも呼ばれる)、キャロブポッド油、カカオバター、オナモミ油、コフネヤシ油、コリアンダー種子油、ナツメヤシ種子油、ディカ油、アマナズナ油、カポック種子油、ケナフ種子油、ラッレマンチア油、マフラ油、マルラ油、メドウフォーム種子油、カラシ油、ニガー種子油、ケシ種子油、ナツメグバター、オクラ種子油、パパイヤ種子油、エゴマ種子油、柿種子油、ペキー油、ピリナッツ油、ザクロ種子油、ケシ種子油、プラカシー油、プルーン種子油、キノア油、ラムティル油、米ぬか油、ロイル油、シアバター、サチャインチ油、サポテ油、セジェ油、タラミラ油、茶の実油(椿油)、アザミ油、タイガーナッツ油(又はカヤツリグサ油)、タバコ種子油、トマト種子油、コムギ胚芽油並びメロン及びウリ類の種子由来の油(例えば、ニガウリ油、ユウガオ油、バッファローカボチャ油、バターナッツカボチャ種子油、エグシ種子油、カボチャ種子油及びスイカ種子油)がある。
【0061】
[0068] 当業者は、上記で列記された油の多くが種実類由来の油であることを認識するであろう。
【0062】
[0069] ヤシ油は、主にMCT(中鎖トリグリセリド)を含有するだけでなく、LCT(長鎖トリグリセリド)も約10%w/wの量で含有する。LCTの存在は、ホルモンコレシストキニン(CCK)の分泌を促進し、それは、親油性分子のリンパ管取込みを容易にするカイロミクロンの形成を促進する。これは、肝臓によるCBDの分解の初回通過効果を避けることを促進し得る。
【0063】
[0070] 一実施形態において、溶媒は、1種以上の中鎖トリグリセリド(MCT)を含む。中鎖トリグリセリドは、合成又は天然(例えば、ヤシ油及び/又はパーム核油などの分画された油から製造される)であり得る。「中鎖トリグリセリド」は、3つのC6~C12脂肪酸鎖を有し、3つの脂肪酸鎖が同じであるか又は異なり得るグリセロールのエステルを指す。中鎖トリグリセリドは、以下の式により表される。
【化3】
【0064】
[0071] 式中、各xは、独立に、4、6、8又は10である。xが4である場合、鎖は、C6脂肪酸と称される。xが6である場合、鎖は、C8脂肪酸と称される。xが8である場合、鎖は、C10脂肪酸と称される。xが10である場合、鎖は、C12脂肪酸と称される。種々の実施形態において、各xは、同じ整数であるか;2つのxは、同じ整数であり、1つのxは、異なる整数であるか;又は各xは、異なる整数である。
【0065】
[0072] 種々の実施形態において、中鎖トリグリセリドは、(i)3つのC8脂肪酸;(ii)3つのC10脂肪酸;(iii)2つのC8脂肪酸及び1つのC10脂肪酸;(iv)2つのC10脂肪酸及び1つのC8脂肪酸;(v)2つのC8脂肪酸及び1つのC6脂肪酸;(vi)2つのC10脂肪酸及び1つのC6脂肪酸;(vii)1つのC8脂肪酸、1つのC10脂肪酸及び1つのC6脂肪酸;又は(viii)C6、C8、C10及びC12脂肪酸の任意の他の組合せのエステルを含む。
【0066】
[0073] 当業者は、中鎖トリグリセリドの混合物が、中鎖トリグリセリドを調製するために使用されるあらゆるプロセス(例えば、分画、水素化)から生じ得ることを認識するであろう。例えば、分画されたヤシ油から得られる実質的に全ての中鎖トリグリセリドは、C8及び/又はC10脂肪酸を含み得る。しかし、C6及び/又はC12脂肪酸を含有するいくらかの中鎖トリグリセリドが存在し得る。
【0067】
[0074] 一実施形態において、中鎖トリグリセリドは、(i)0~2%w/wのC6脂肪酸、65~80%w/wのC8脂肪酸、20~35%w/wのC10脂肪酸及び0~2%w/wのC12脂肪酸;(ii)0~2%w/wのC6脂肪酸、50~65%w/wのC8脂肪酸、30~45%w/wのC10脂肪酸及び0~2%w/wのC12脂肪酸;(iii)0~2%w/wのC6脂肪酸、45~65%w/wのC8脂肪酸、30~45%w/wのC10脂肪酸、0~3%w/wのC12脂肪酸及び0~5%w/wのリノール酸;又は(iv)0~2%w/wのC6脂肪酸、45~55%w/wのC8脂肪酸、30~40%w/wのC10脂肪酸、0~3%w/wのC12脂肪酸及び10~20%w/wのコハク酸のエステルを含む。一実施形態において、中鎖トリグリセリドは、0~2%w/wのC6脂肪酸、50~65%w/wのC8脂肪酸、30~45%w/wのC10脂肪酸及び0~2%w/wのC12脂肪酸を含み、MIGLYOL(登録商標)812(Sasol Germany GmbH, Witten, Germany)として市販されている。この段落で挙げられている重量%値は、トリグリセリドの総脂肪酸含量の重量に基づいている。一実施形態において、中鎖トリグリセリドは、2%w/wまでのC14脂肪酸を含み得る。
【0068】
[0075] MCT溶媒は、1、2、3、4種以上の異なる中鎖トリグリセリドを含み得る。一実施形態において、溶媒は、2つのC8脂肪酸及び1つのC10脂肪酸のエステルを含む中鎖トリグリセリドを含む。一実施形態において、溶媒は、1つのC8脂肪酸及び2つのC10脂肪酸のエステルを含む中鎖トリグリセリドを含む。一実施形態において、溶媒は、2種の異なる中鎖トリグリセリドを含み、第1の中鎖トリグリセリドは、2つのC8脂肪酸及び1つのC10脂肪酸のエステルを含み、第2の中鎖トリグリセリドは、1つのC8脂肪酸及び2つのC10脂肪酸のエステルを含む。一実施形態において、溶媒は、中鎖トリグリセリドの総脂肪酸含量に基づいて0~2%w/wのC6脂肪酸、50~65%w/wのC8脂肪酸、30~45%w/wのC10脂肪酸、0~2%w/wのC12脂肪酸を含む中鎖トリグリセリドを含む。
【0069】
[0076] トリグリセリドは、当技術分野で公知である方法により調製され得、MIGLYOL(登録商標)810、812、818、829(Sasol Germany GmbH, Witten, Germany)又はNEOBEE(登録商標)1053、895、M-5(Stepan Company, Northfield, IL)として市販されている。
【0070】
[0077] 別の実施形態において、溶媒は、C8及びC10の鎖長を有する飽和植物脂肪酸(カプリル酸及びカプリン酸)のプロピレングリコールジエステルである。そのような市販の溶媒の例は、MIGLYOL(登録商標)840(Sasol Germany GmbH, Witten, Germany)である。
【0071】
[0078] 好ましくは、組成物は、Vigon International, Inc.から入手可能なものなど、約55:45~約65:35の比(C8:C10)のC8及びC10トリグリセリドの混合物を含むMCTを含有する(添付文書Aを参照されたい)。
【0072】
[0079] 酸化防止剤
[0080] 本組成物は、BCP以外に少なくとも1種の酸化防止剤を利用する。少なくとも1種の酸化防止剤は、ビタミンEであり得、それは、便宜上、本明細書においてall-rac-α-トコフェロール及びα-トコフェロールと互換的に使用される。
【0073】
[0081] ビタミンEは、トコフェロール及びトコトリエノールを含む8種の水不溶性化合物の群を指し得る。本組成物に使用されるビタミンEは、化学式C
29H
50O
2を有する、以下に示される化合物である(CAS番号10191-41-0)。
【化4】
そのような化合物は、New Brunswick, New Jersey, U.S.A.のSpectrum Chemical Manufacturing Corporation(「Spectrum Chemical」)から利用可能である。化学化合物の全商業的供給源と同様に不純物が存在し得る。不純物としては、製造の残留溶媒、例えば890ppm未満の量で存在するトルエンがある。Spectrum ChemicalビタミンEが以下の例で使用され、少なくとも99重量%の純度を有する。
【0074】
[0082] 使用できる他の酸化防止剤としては、ポリフェノール(フェノール酸、フラボノイド、アントシアニン、リグナン及びスチルベン)、カロテノイド(キサントフィル及びカロテン)、没食子酸プロピル、レシチン、クルクミン、セサミン、セサモール、セサモリン、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)及びブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)及びモノチオグリセロールtert-ブチルヒドロキノン(TBHQ)がある。酸化防止剤、例えばビタミンEは、約0.001、0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6又は0.7%w/v~約10、5、4.5、4.0、3.5、3.0、2.5、2.0、1.5、1.25又は1%w/vまでの量で使用され得る。
【0075】
[0083] 当技術分野で公知である通り、調合物は、有効量の酸化防止相乗剤も含有し得る。
【0076】
[0084] 追加の薬学的に許容できる賦形剤
[0085] カンナビノイド組成物は、少なくとも1種の追加の薬学的に許容できる賦形剤を含み得る。薬学的に許容できる賦形剤の例は、希釈剤、担体、溶媒、粘度調整剤、着色剤、着香剤、甘味剤、矯味剤、追加の安定剤又は保存剤、吸収促進剤及び着臭剤を含むが、これらに限定されない。賦形剤の選択及び量は、当業者により容易に決定され得、組成物中の他の成分、最終組成物の所望の性質、経口投与経路及び所望の貯蔵寿命を有する安定な最終生成物の必要性によるであろう。
【0077】
[0086] 本明細書で使用される場合の用語「保存剤」は、殺菌性及び/又は殺真菌性を有する化合物を意味する。
【0078】
[0087] 本組成物に使用できる甘味剤は、脂溶性のものである。例としては、サッカリン、アルコキシ芳香族、オキシム、スルファミン酸、ジヒドロカルコン、アスパルチルマロネート、サッカニリン酸及びこれらの混合物がある。甘味剤は、約0.001%w/v~約5%w/v、約0.01%w/v~約1%w/v又は約0.25%w/v~約0.5%w/vの量で存在し得る。
【0079】
[0088] 使用できる着香剤は、脂溶性の天然又は合成の化合物である。これらの化合物は、約0.1%w/v~約5%w/v、約0.1%w/v~約1%w/v又は約0.25%w/v~約0.75%w/vの量で存在し得る。例としては、非限定的に、スウィートバーチの油、スペアミントの油、ウィンターグリーンの油、アニス油、ディル油、セロリシード油、柑橘油(例えば、レモン、オレンジ、ライム、タンジェリン及びグレープフルーツ油)、クローブ油、ハッカ油、カシア、ニンジン種子油、コーラ濃縮液、ショウガ油、アンジェリカ油、バニリン及びこれらの組み合わせがある。
【0080】
[0089] 本組成物に使用できる着色剤としては、非限定的に、赤色、黒色及び黄色酸化鉄並びにFD&Cブルー2号、FD&Cレッド40号などのFD&C染料がある。
【0081】
[0090] 本組成物に使用される成分又は化合物は、2つ以上の機能を果たし得ることが認識される。例えば、BCPは、溶媒、酸化防止剤、着香剤及び薬学的に活性な薬剤として機能する。したがって、賦形剤、化合物又は成分が上述のカテゴリーのいずれか1つ以上に含まれることは、その賦形剤、化合物又は成分の機能を明示されたカテゴリーに限定しないものとする。
【0082】
[0091] 剤形
[0092] 本組成物は、液体、シロップ、エリキシル、ソフトジェルカプセル及び液体入り2ピースカプセルを含む、消化管への経口投与のための種々の形態を取り得る。本開示を読む当業者は、本教示に基づいて、本組成物の実施形態がどのような他の形態を取り得るかを認識するであろう。
【0083】
[0093] 本明細書で使用される通り、ソフトジェルカプセルは、ゼラチン又はゼラチン代替物、水、乳白剤並びにグリセリン及び/又はソルビトールなど、柔軟性を与える可塑剤から製造され得るソフトジェルシェルを含む経口剤形である。ソフトジェルシェル内において、単一又は分割投与量のCBDを与える、本発明による組成物が含まれる。本明細書で使用される通り、分割投与量は、カプセルとして与えられる場合、単回投与量を与えるために複数のカプセルが必要とされるような、全量よりも少ない量を指す。典型的には、分割投与量は、全量の少なくとも20%、25%、50%である。
【0084】
[0094] 投与経路
[0095] 本組成物は、消化管に投与される。「経口投与」への言及は、経鼻胃投与を含む、消化管への全投与経路を含むものとする。
【0085】
[0096] 本発明は、以下の実施例を参照してよりよく理解され得る。
【実施例】
【0086】
[0097] 実施例
[0098] 以下の成分を使用して、本発明による溶液を調製した。
【0087】
【0088】
[00100] 添付文書Aは、製品仕様シート及び/又は表A中のBCP及びMCTの分析証明書を含む。Noramco(現Purisys, Inc.)及びBioVectra Inc.のCBDは、化学合成されており、結晶性粉末形態で存在する。Dalton Pharma ServicesのCBDは、超精製された植物から供給されたCBDであり、やはり結晶形態である。表Aに示される全形態のCBDは、少なくとも98.5重量%の純度である。本組成物の実施形態を製造する以下の方法は、表Aに列記されたCBD製品のいずれでも使用され得る。
【0089】
[00101] 実施例1
[00102] ヤシ油を26℃~27℃に加温して、油を液化した。測定された量の液化されたヤシ油をメイン製剤容器に室温で加えた。溶媒を、中程度の渦流を使用して撹拌した。測定された量のBCPを加えて、生じた混合物を、共溶媒の均質な混合物が形成されるまで5~15分撹拌した。この共溶媒混合物の15%を、後の工程でCBD及びビタミンEの容器をすすぐのに使用するために取り除いた。メイン製剤容器のボルテックス速度を上げ、次いで測定された量の結晶性CBD(粉末形態)を、それを収容している容器から徐々に加えた。その後、CBDを収容している容器を、先に取り分けた共溶媒混合物の一部で3回すすぎ、すすいだ液をメイン製剤容器に加えた。CBDが完全に溶解するまで、主要混合物をさらに30分~4時間にわたってより高い速度で撹拌した。CBD混合物の撹拌中、溶解していないCBD粒子を確認するために、撹拌器を一定時間ごとに止めた。透明で均質なCBD溶液の形成後、酸化防止剤(濃い油状の液体としてのビタミンE)をメイン製剤容器に加えた。その後、先に取り分けた共溶媒混合物の残りを使用して、酸化防止剤容器をすすぐ。この最後のすすぎ液をメイン容器に加えた。透明で均質な最終溶液(溶液1)が形成されるまで、混合物をより低い速度で少なくともさらに10分間撹拌したままにした。
【0090】
[00103] 溶液1
[00104] 溶液1を以下の表1にまとめる。
【0091】
【0092】
[00106] CBD:BCPの重量比は、1:1~1:2であり、BCP:ヤシ油の比は、1:2~1:3又はおよそ1:2であった。
【0093】
[00107] 上記の方法に対する様々な変更形態がなされ得る。例えば、使用する成分の量を変えて、本発明による組成物を製造することができる。例えば、ビタミンEの量を約1、2、3、4又は5%w/wに増加させることができ、溶媒混合物(BCP及びヤシ油)の量を対応する量だけ減少させることができる。
【0094】
[00108] 実施例2
[00109] MCTを(室温で)ヤシ油の代わりに使用したことを除いて、実施例1を繰り返して、以下の表2にまとめられた溶液2を製造した。
【0095】
【0096】
[00111] MCTは、室温で液体である。ヤシ油と異なり、それは、本方法に使用する前に加温する必要がない。
【0097】
[00112] 実施例3
[00113] それぞれ30mg/ml、100mg/ml及び250mg/mlのCBDの目標濃度を有する3つの500mlバッチのカンナビジオール溶液(溶液3~5)を調製した。各溶液において、1部のBCP、2部のヤシ油及び1%v/vのビタミンEを利用した。
【0098】
[00114] CBD製剤プロトタイプバッチ、500mlの材料、目標濃度及び組成を以下の表3にまとめる。
【0099】
【0100】
[00116] 溶液3~5中のCBDの濃度を、クロマトグラフィー技法を使用して検査し、表4に示される結果は、商業的な医薬目的に許容できるとみなされる。
【0101】
【0102】
[00118] 実施例4
[00119] 試験を実施して、本発明による組成物の安定性を評価した。
【0103】
[00120] 本発明のさらなる実施形態による溶液6~8(ロット180-2842、181-2842及び182-2842)を調製し、以下の表5にまとめた。
【0104】
【0105】
[00122] 溶液6及び7は、Noramco(現Purisys, Inc.)の合成CBD(ロット番号004803)を使用したが、溶液8は、Charlottetown, P.E.I.のBioVectra Inc.の合成CBD(カタログ番号7082、ロット番号49395;CAS登録番号13956-29-1)を使用した。Noramco(現Purisys, Inc.)の合成CBD及びBioVectra Inc.の合成CBDは、両方とも純度が少なくとも98.5重量%であった。
【0106】
[00123] 溶液6~8をそれぞれ40個の試料に分けた。各製剤の10個の試料を、CRキャップ(20mm、PEフォームライナー20/40)を閉め具として使用して、1オンス褐色ガラスボストンラウンド200/400ボトル中で保存した。これらの試料を本来の向きで(RSU)保存した。各製剤の別の10個の試料を、逆さまにした(USD)同じ容器中で保存した。各製剤のさらに別の10個の試料を、CRキャップ(20mmピクトリアルホワイト、PEフォームライナー20/400)を閉め具として使用して、ポリエチレン(PET)ボストンラウンド20/400ボトル中において本来の向きで(RSU)保存した。最後に、各製剤の別の10個の試料を同じボトル中で逆さまにして(USD)保存した。全試料を、プロトコル番号STA-2842-7119に従い、チャンバー(DCL 004065)内で40℃±2℃において相対湿度(RH)75%±5%で保存した。
【0107】
[00124] CBD、BCP及びTHCの量を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して、時間=0、2、4、6及び8週に検査した。CBD及びBCPのラベルクレームに対するパーセンテージ(%LC)を決定し、全10ボトルの平均結果を表6、7及び8にまとめる。これらの表は、組成物全体に対するppmで表す試料中のTHCの限界も示す。
【0108】
【0109】
[00126] 溶液6のCBDの平均パーセンテージLCは、100.105±0.390224標準偏差(期間にわたる)及び±1.597686標準偏差(ボトルタイプ及び向きにわたる)であった。
【0110】
【0111】
[00128] 溶液7では、CBDの平均パーセンテージLCは、98.965±0.699482標準偏差(期間にわたる)及び±1.671347標準偏差(ボトルタイプ及び向きにわたる)であった。
【0112】
【0113】
[00130] 溶液8では、CBDの平均パーセンテージLCは、100.305±0.219716標準偏差(期間にわたる)及び±3.062777標準偏差(ボトルタイプ及び向きにわたる)であった。
【0114】
[00131] 上記の結果は、CBDを保存するために使用した容器及びキャップ閉め具の種類にかかわらず、経時的なCBD減少の傾向が全くないことを示した。また、全試料のTHCレベルは、試験期間中に1ppmを超えなかった。これらの結果は、溶液6~8がより冷たい温度において、例えば冷蔵庫(5℃±3℃)において又は冷凍庫において-15℃±10℃で保存される場合、長期保存条件下(光を避けて25℃±2℃及び60℃の相対湿度)で少なくとも16週間及びそれよりはるかに長期間、安定なままであるはずであることを示唆する。試料中のごく低レベルのTHCは、これらの製剤が安全なはずであり、医薬用途において一貫した投薬を与えるはずであることを示す。
【0115】
[00132] 溶液6~8は、t=0、2、4、6及び8週で目視検査もされた。全時点で、これらの溶液の全試料は、均質で薄黄色の透明な液体であるように見え、目視検査に合格した。
【0116】
[00133] 実施例4は、合成CBDを利用した。しかし、同じ安定性結果は、合成CBDを、Toronto, Ontario, CanadaのDalton Pharma Servicesにより精製されたCBDに代えた場合に期待することができる。そのような製品は、上述の(-)-カンナビジオール(CAS番号13956-29-1)(Dalton Pharma CBD)である。Dalton Pharma CBDは、本明細書の目的で上記の実験に使用された合成CBDに等しい。
【0117】
[00134] 病態、障害、疾患又はその症状を治療する方法
[00135] 本組成物は、非限定的に、癌(例えば、多形膠芽細胞腫)、心血管疾患(例えば、急性心筋炎、駆出率の保たれた心不全(HFpEF)を含む心不全)、不安、自閉症、発作、慢性疼痛、精神病、関節炎及び炎症を含む他の疾患又は障害の治療及び/又は予防を含む、カンナビジオールが適応とされるあらゆる療法に使用されるように意図される。
【0118】
[00136] 投与されるCBDの量は、体重及び病態の性質により変わるであろう。投与計画は、1日あたり0.1~30mgのCBD/kg体重、好ましくは1日あたり体重1kgあたり10~20mgのCBDの投与を含み得る。投与量は、1日あたり2、3又は4回の投与に分割され得る。CBD組成物は、2、3、4、5、6又は7日ごとに1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10週間の期間投与され得る。より低い投与量のCBDをより長い期間投与して、病状を治療するよりもむしろ健康を促進することができる。
【0119】
[00137] 実施形態の上記の説明は、例示のためのみのものであり、本明細書で記載及び特許請求される本発明の範囲を限定するものではない。
【0120】
【0121】
【0122】
【国際調査報告】