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特表2023-551147バッテリパック駆動式電動工具のためのバッテリパックを識別するためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-07
(54)【発明の名称】バッテリパック駆動式電動工具のためのバッテリパックを識別するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/378 20190101AFI20231130BHJP
   G01R 31/389 20190101ALI20231130BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
G01R31/378
G01R31/389
H01M10/48 P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023529886
(86)(22)【出願日】2021-11-19
(85)【翻訳文提出日】2023-06-29
(86)【国際出願番号】 US2021060034
(87)【国際公開番号】W WO2022109232
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】63/116,273
(32)【優先日】2020-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598073073
【氏名又は名称】ミルウォーキー エレクトリック ツール コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ブロジェク、ジェフリー、エム.
(72)【発明者】
【氏名】ポラコウスキ、マシュー、アール.
(72)【発明者】
【氏名】ダイクストラ、ジェイムズ、ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】チャオ、チエンチー
(72)【発明者】
【氏名】スポールディング、アンドリュー、ジェイ.
【テーマコード(参考)】
2G216
5H030
【Fターム(参考)】
2G216BA51
2G216CB01
5H030AA10
5H030AS06
5H030AS12
5H030AS18
5H030FF22
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
(57)【要約】
本明細書中に説明するシステムは、1つ以上のバッテリセルと、第1のバッテリセルの正極に接続される第1の抵抗素子とを含むバッテリパックを含む。システムはまた、バッテリパックを受け入れることができる外部装置も含む。外部装置は、第2の抵抗素子と、スイッチと、コントローラとを含む。第2の抵抗素子は、バッテリパックが外部装置内に受け入れられると、第1の抵抗素子と直列になるよう構成される。スイッチは、第2の抵抗素子と直列に位置決めされ、共通電位は、バッテリパック及び外部装置の両方に結合される。コントローラは、スイッチを作動させ、スイッチが作動されることに応答して第1の抵抗素子と第2の抵抗素子との間の電圧を測定し、測定した電圧に基づいてバッテリパックの識別子を特定するよう構成される。
【選択図】図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリパックシステムであって、
バッテリパックであって、
1つ以上のバッテリセルと、
前記1つ以上のバッテリセルのうちの第1のバッテリセルの正極に接続される第1の抵抗素子と、を含むバッテリパックと、
前記バッテリパックを受け入れることができる外部装置であって、
前記バッテリパックが前記外部装置によって受け入れられると、前記第1の抵抗素子と直列になるよう構成される第2の抵抗素子と、
前記第2の抵抗素子と、前記バッテリパック及び前記外部装置の両方に結合される共通電位とに直列に位置決めされるスイッチと、
コントローラであって、
前記スイッチを作動させ、
前記スイッチが作動されることに応答して、前記第1の抵抗素子と前記第2の抵抗素子との間の電圧を測定し、
前記測定した電圧に基づいて前記バッテリパックの識別を特定する、よう構成されるコントローラと、
を含む外部装置と、
を備える、バッテリパックシステム。
【請求項2】
前記外部装置は、バッテリパック駆動式電動工具である、請求項1に記載のバッテリパックシステム。
【請求項3】
前記外部装置は、バッテリパック充電器である、請求項1に記載のバッテリパックシステム。
【請求項4】
前記コントローラは、更に、前記バッテリパックの前記識別を特定することに応答して、前記外部装置の1つ以上の動作パラメータを修正するよう構成される、請求項1に記載のバッテリパックシステム。
【請求項5】
前記1つ以上の動作パラメータは、前記バッテリパックに提供される充電電流を含む、請求項4に記載のバッテリパックシステム。
【請求項6】
前記1つ以上のバッテリセルは、リチウムイオンバッテリセルである、請求項1に記載のバッテリパックシステム。
【請求項7】
バッテリパックシステムであって、
バッテリパックであって、
1つ以上のバッテリセルと、
サーミスタと、
前記サーミスタと並列に接続されるコンデンサと、
を含むバッテリパックと、
前記バッテリパックを受け入れるよう構成される外部装置であって、
前記バッテリパックが前記外部装置によって受け入れられると、前記サーミスタ及び前記コンデンサと直列になるよう構成される抵抗要素と、
コントローラであって、
前記抵抗素子、前記サーミスタ、及び前記コンデンサに電流を提供し、
前記抵抗素子と前記サーミスタとの間の電圧を測定し、
前記電圧が所定の閾値を超える時間を特定し、
前記特定した時間に基づいて前記バッテリパックの識別情報を特定する、よう構成されるコントローラと、
を含む外部装置と、
を備える、バッテリパックシステム。
【請求項8】
前記時間は、前記コンデンサの時定数と関連する、請求項7に記載のバッテリパックシステム。
【請求項9】
前記バッテリパックの前記識別情報は、前記コンデンサの容量値に基づく、請求項7に記載のバッテリパックシステム。
【請求項10】
前記抵抗素子に前記電流を提供する前に、前記コントローラは、前記コンデンサが放電されているかどうかを特定するよう構成される、請求項7に記載のバッテリパックシステム。
【請求項11】
前記コントローラは、前記コンデンサが所定時間の間放電状態にあることに基づいて、前記コンデンサが放電しているかどうかを特定するよう構成される、請求項10に記載のバッテリパックシステム。
【請求項12】
前記コントローラは、更に、
タイマを開始する前に、前記サーミスタ及び前記コンデンサに電流を提供し、
前記タイマを開始する前に、前記コンデンサ及び前記サーミスタの初期電圧を特定し、
前記初期電圧を格納する、よう構成される、
請求項7に記載のバッテリパックシステム。
【請求項13】
前記所定の閾値は、全コンデンサ電圧のパーセンテージである、請求項12に記載のバッテリパックシステム。
【請求項14】
前記全コンデンサ電圧の前記パーセンテージは、前記全コンデンサ電圧の約63%である、請求項13に記載のバッテリパックシステム。
【請求項15】
前記外部装置は、バッテリパック駆動式電動工具及びバッテリ充電器のうちの1つである、請求項7に記載のバッテリパックシステム。
【請求項16】
バッテリパックであって、
前記バッテリパックに電気的に結合されるよう構成される外部装置に前記バッテリパックの識別情報の指示を提供するよう構成される識別回路を備え、
前記バッテリパックは、18V未満の公称電圧出力を有する、
バッテリパック。
【請求項17】
前記識別回路は、誘導識別回路である、請求項16に記載のバッテリパック。
【請求項18】
前記誘導識別回路は、前記バッテリパックの識別に関連する誘導素子を含む、請求項17に記載のバッテリパック。
【請求項19】
前記識別回路は、磁界を生成するよう構成される磁石を含み、
前記磁界は、前記外部装置のセンサによって測定可能であり、
前記磁界は、前記バッテリパックの前記識別情報を提供する、
請求項16に記載のバッテリパック。
【請求項20】
前記磁石の位置は、前記バッテリパックの前記識別情報を示す、請求項19に記載のバッテリパック。
【請求項21】
前記識別回路は、前記バッテリパックの前記識別情報を送信するよう構成されるRFID送信機である、請求項16に記載のバッテリパック。
【請求項22】
前記識別回路は、
スイッチと、
前記スイッチの動作を制御するよう構成されるコントローラと、
を含む、請求項16に記載のバッテリパック。
【請求項23】
前記コントローラは、前記スイッチを制御して、出力信号を生成するよう構成され、
前記出力信号は、前記バッテリパックの前記識別情報を提供する、
請求項22に記載のバッテリパック。
【請求項24】
前記識別回路は、ツェナーダイオードの降伏電圧を克服するのに十分な電圧を前記外部装置から受け取るよう構成される前記ツェナーダイオードを含む、請求項16に記載のバッテリパック。
【請求項25】
前記バッテリパックは、前記ツェナーダイオードの前記降伏電圧を出力して、前記バッテリパックの前記識別情報を提供するよう構成される、請求項24に記載のバッテリパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2020年11月20日出願の米国仮特許出願第63/116,273号明細書の利益及びそれに対する優先権を主張し、その内容の全てを本明細書中に組み込む。
【背景技術】
【0002】
本開示は、電動工具バッテリパック識別システム及び方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
リチウムイオンバッテリパック等の電動工具バッテリパックは、一般に、バッテリパック内部のセルの充電及び放電を管理するよう、並びに電動工具及びバッテリ充電器等の装置にバッテリパック情報を提供するためのインテリジェンスを内蔵している。しかし、より小さいフォームファクタを有するバッテリパック(例えば、12Vバッテリパック)等の幾つかのバッテリパックは、他のバッテリパック内に含まれるのと同じインテリジェンスを有していない場合がある。これらのより小型で、より低電圧のバッテリパックは、依然として、高容量バッテリパック、高速放電バッテリパック等のような異なる構成を有する場合がある。しかし、インテリジェンスがなければ、バッテリパックによって給電されている装置に、どの特徴若しくはパラメータが利用可能であるか、又はバッテリパックの構成を通知することは困難である。従って、本明細書中に説明するシステム及び方法は、バッテリパックのある特定のパラメータ又は特徴に関して装置に指示を提供する様々なバッテリパック識別技術に関する。
【0004】
本明細書中に説明するバッテリパックシステムは、1つ以上のバッテリセルと、1つ以上のバッテリセルのうちの第1のバッテリセルの正極に接続される第1の抵抗素子とを含むバッテリパックを含む。システムはまた、バッテリパックを受け入れることができる外部装置も含む。外部装置は、第2の抵抗素子と、スイッチと、コントローラとを含む。第2の抵抗素子は、バッテリパックが外部装置によって受け入れられると、第1の抵抗素子と直列になるよう構成される。スイッチは、第2の抵抗素子と直列に位置決めされ、共通電位は、バッテリパック及び外部装置の両方に結合される。コントローラは、スイッチを作動させ、スイッチが作動されることに応答して第1の抵抗素子と第2の抵抗素子との間の電圧を測定し、測定した電圧に基づいてバッテリパックの識別子を特定するよう構成される。
【0005】
一態様において、外部装置は、バッテリパック駆動式電動工具である。
【0006】
別の態様において、外部装置は、バッテリパック充電器である。
【0007】
別の態様において、コントローラは、更に、バッテリパックの識別を特定することに応答して、外部装置の1つ以上の動作パラメータを修正するよう構成される。
【0008】
別の態様において、1つ以上の動作パラメータは、バッテリパックに提供される充電電流を含む。
【0009】
別の態様において、1つ以上のバッテリセルは、リチウムイオンバッテリセルである。
【0010】
本明細書中に説明するバッテリパックシステムは、1つ以上のバッテリセルと、サーミスタと、サーミスタと並列に接続されるコンデンサとを含むバッテリパックを含む。システムはまた、バッテリパックを受け入れるよう構成される外部装置も含む。外部装置は、抵抗素子とコントローラとを含む。抵抗素子は、バッテリパックが外部装置によって受け入れられると、サーミスタ及びコンデンサと直列になるよう構成される。コントローラは、抵抗素子、サーミスタ、及びコンデンサに電流を供給し、抵抗素子とサーミスタとの間の電圧を測定し、電圧が所定の閾値を超える時間を特定し、特定した時間に基づいてバッテリパックの識別情報を特定するよう構成される。
【0011】
別の態様において、時間は、コンデンサの時定数と関連する。
【0012】
別の態様において、バッテリパックの識別情報は、コンデンサの容量値に基づく。
【0013】
別の態様において、抵抗素子に電流を提供する前に、コントローラは、コンデンサが放電されているかどうかを特定するよう構成される。
【0014】
別の態様において、コントローラは、コンデンサが所定時間の間放電状態にあることに基づいて、コンデンサが放電しているかどうかを特定するよう構成される。
【0015】
別の態様において、コントローラは、更に、タイマを開始する前に、サーミスタ及びコンデンサに電流を提供し、タイマを開始する前に、コンデンサ及びサーミスタの初期電圧を特定し、初期電圧を格納するよう構成される。
【0016】
別の態様において、所定の閾値は、全コンデンサ電圧のパーセンテージである。
【0017】
別の態様において、全コンデンサ電圧のパーセンテージは、全コンデンサ電圧の約63%である。
【0018】
別の態様において、外部装置は、バッテリパック駆動式電動工具及びバッテリ充電器のうちの1つである。
【0019】
本明細書中に説明するバッテリパックは、バッテリパックに電気的に結合されるよう構成される外部装置にバッテリパックの識別情報の指示を提供するよう構成される識別回路を含む。バッテリパックは、18V未満の公称電圧出力を有する。
【0020】
一態様において、識別回路は、誘導識別回路である。
【0021】
別の態様において、誘導識別回路は、バッテリパックの識別に関連する誘導素子を含む。
【0022】
別の態様において、識別回路は、磁界を生成するよう構成される磁石を含み、磁界は、外部装置のセンサによって測定可能であり、磁界は、バッテリパックの識別情報を提供する。
【0023】
別の態様において、磁石の位置は、バッテリパックの識別情報を示す。
【0024】
別の態様において、識別回路は、バッテリパックの識別情報を送信するよう構成されるRFID送信機である。
【0025】
別の態様において、識別回路は、スイッチと、スイッチの動作を制御するよう構成されるコントローラとを含む。
【0026】
別の態様において、コントローラは、スイッチを制御して、出力信号を生成するよう構成され、出力信号は、バッテリパックの識別情報を提供する。
【0027】
別の態様において、識別回路は、ツェナーダイオードの降伏電圧を克服するのに十分な電圧を外部装置から受け取るよう構成されるツェナーダイオードを含む。
【0028】
別の態様において、バッテリパックは、ツェナーダイオードの降伏電圧を出力して、バッテリパックの識別情報を提供するよう構成される。
【0029】
いずれかの実施形態を詳細に説明する前に、実施形態は、その適用において、以下の説明に記載されるか又は添付の図面に示されるコンポーネントの構成及び配置の詳細に限定されないことを理解されたい。実施形態は、様々な方法において実行することが可能である。また、本明細書中で用いられる語句や用語は説明を目的としており、限定的とみなすべきではないと理解されたい。「含む」、「備える」、又は「有する」、及びそれらの変形例の使用は、それ以降に挙げる項目及びその均等物並びに追加項目を包含することを意味する。別段の明示又は限定がない限り、「取り付けられる」、「接続される」、「支持される」、及び「連結される」という用語並びにその変化形は広い意味で用いられており、直接的及び間接的両方の取付け、接続、支持、及び連結を含む。
【0030】
加えて、実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア及び電子構成部品又はモジュールを含み得、これらは、論述する目的のために、構成部品の大部分がハードウェアのみで実装されているかのように図示及び説明される可能性があることを理解されたい。しかし、当業者には、この詳細説明の読解に基づき、少なくとも1個の実施形態において、電子的態様がマイクロプロセッサ及び/又は特定用途向け集積回路(「ASIC」)等の1個以上の処理ユニットにより実行可能な(例えば非一時的コンピュータ可読媒体に保存された)ソフトウェアで実装され得ることが認識されよう。このため、複数のハードウェア及びソフトウェアベースの装置、並びに複数の異なる構造的構成部品が、実施形態を実装するために利用されてもよいことに留意されたい。例えば、本明細書中に説明する「サーバ」「コンピューティングデバイス」、「コントローラ」、「プロセッサ」等は、1つ以上の処理ユニット、1つ以上のコンピュータ読取可能媒体モジュール、1つ以上の入力/出力インターフェース、及びコンポーネント同士を接続する種々の接続手段(例えば、システムバス)を含むことができる。
【0031】
量又は状態との関連で用いる相対用語、例えば「約」、「ほぼ」、「実質的に」等が宣言された値を含み、文脈で言及された意味を有する(例えば、用語が少なくとも測定精度関連付けられた誤差、特定の値に関連付けられた公差[例えば、製造、組み立て、使用等]等)ことが当業者には理解されよう。かかる用語はまた、2個の終点の絶対値により定義される範囲を示すものと考えるべきである。例えば、「約2~約4」という表現は「2~4」の範囲を示している。相対用語は、示された値のある百分率(例えば、1%、5%、10%以上)の増減を指す場合がある。
【0032】
ある特定の図面は特定の装置内にあるハードウェア及びソフトウェアを例示しているが、これらの描写は例示を目的としているにすぎないと理解すべきである。本明細書中に1つのコンポーネントにより実行されると記載されている機能は、複数のコンポーネントにより分散的に実行され得る。同様に、複数のコンポーネントにより実行される機能は、まとめて1つのコンポーネントにより実行され得る。幾つかの実施形態において、例示されたコンポーネントは、結合されても、別々のソフトウェア、ファームウェア、及び/又はハードウェアに分割されてもよい。例えば、ロジックや処理は、単一の電子プロセッサの中にあってそれにより実行されるのではなく、複数の電子プロセッサに分散されてもよい。これらがどのように結合又は分割されるにせよ、ハードウェア及びソフトウェアコンポーネントは、同じコンピューティングデバイス上にあっても、1つ又は複数のネットワーク又はその他の適当な通信リンクにより接続される異なるコンピューティングデバイス間で分散されてもよい。同様に、特定の機能を実行すると説明されているコンポーネントは、本明細書に記載されていないその他の機能も実行し得る。例えば、特定の仕方で「構成された」装置又は構造は少なくともその仕方で構成されているが、明示的に列挙しない複数の仕方で構成されていてもよい。
【0033】
本発明の他の態様は、発明を実施するための形態及び添付図面を考慮することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】幾つかの実施形態による、手持ち式電動工具のためのバッテリパックを示す。
図2】幾つかの実施形態による、手持ち式電動工具のためのバッテリパックを示す。
図3】幾つかの実施形態による、手持ち式電動工具のためのバッテリパックを示す。
図4】幾つかの実施形態による、手持ち式電動工具のための電子回路を示す。
図5】幾つかの実施形態による、バッテリパックを識別するための電子回路を示す。
図6】幾つかの実施形態による、図5の電子回路を用いてバッテリパックを識別するためのプロセスを示すフロー図である。
図7】幾つかの実施形態による、バッテリパックを識別するための電子回路を示す。
図9】幾つかの実施形態による、図7の電子回路を用いてバッテリパックを識別するためのプロセスを示すフロー図である。
図10】幾つかの実施形態による、誘導結合を用いてバッテリパックを識別するための電子回路を示す。
図11】幾つかの実施形態による、誘導識別回路を用いてバッテリパックを識別するための電子回路を示す。
図12】幾つかの実施形態による、誘導識別回路を用いてバッテリパックを識別するための電子回路を示す。
図13】幾つかの実施形態による、図10~12の電子回路を用いてバッテリパックを識別するためのプロセスを示すフロー図である。
図14】幾つかの実施形態による、専用端子を介してバッテリパックを識別するための電子回路を示す。
図15】幾つかの実施形態による、ホールセンサを介してバッテリパックを識別するための電子回路を示す。
図16】幾つかの実施形態による、単線通信を介してバッテリパックを識別するための電子回路を示す。
図17】幾つかの実施形態による、ツェナーダイオード配置を介してバッテリパックを識別するための電子回路を示す。
図18】幾つかの実施形態による、図17の電子回路を用いてバッテリパックを識別するためのプロセスを示すフロー図である。
図19】幾つかの実施形態による、RFIDを介してバッテリパックを識別するための電子回路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1~3は、手持ち式電動工具と共に用いられるよう構成されるバッテリパック100を示している。バッテリパック100は、手持ち式電動工具に取り外し可能且つ交換可能に接続されて、手持ち式電動工具に動作電力を供給する。図1~3に示す実施形態において、バッテリパック100は、1つ以上のバッテリセル115を有する。バッテリセル115は、直列、並列、又は直並列の組み合わせで配置することができる。例えば、バッテリパック100は、直列配置で構成される合計3つのバッテリセル115を含むことができる。しかし、バッテリセル115の他の組み合わせも考えられる。例えば、他の実施形態において、バッテリパック100は、公称バッテリパック電圧及びバッテリ容量の所望の組み合わせを有するバッテリパックを生産するために、直列、並列、又は直並列の組み合わせで接続されてもよい異なる数のバッテリセル115を含んでもよい。
【0036】
図示のバッテリセル115は、例えば、大韓民国のSamsung SDI Co.,Ltd.によって製造及び販売されているINR18650-15Mリチウムイオン充電式バッテリセル等の円筒形18650バッテリセル(直径18mm及び長さ65mm)である。他の実施形態において、バッテリセル115は、例えば、円筒形14500バッテリセル(直径14mm及び長さ50mm)、14650バッテリセル(直径14mm及び長さ65mm)、17500バッテリセル(直径17mm及び長さ50mm)、17670バッテリセル(直径17mm及び長さ67mm)、18500バッテリセル(直径18mm及び長さ50mm)、26650バッテリセル(直径26mm及び長さ65mm)、26700バッテリセル(直径26mm及び長さ70mm)等である。各バッテリセル115は、略円筒形であることができ、円筒形外側セル壁と平行なセル軸1035に沿って延在することができる。
【0037】
バッテリセル115は、例えば、リチウム-コバルト(「Li-Co」)、リチウム-マンガン(「Li-Mn」)、又はLi-Mnスピネルの化学物質を有するリチウムベースのバッテリセルである。幾つかの実施形態において、バッテリセル115は、マンガン等を含むリチウムベースの化学物質等の他の適切なリチウム又はリチウムベースの化学物質を有する。バッテリパック100内部のバッテリセル115は、電動工具に動作電力(例えば、電圧及び電流)を提供する。幾つかの実施形態において、各バッテリセル115は、バッテリパック100が約12Vの公称電圧を有するように、約3.6Vの公称電圧を有する。他の実施形態において、バッテリセル115は、例えば、3.6V~4.2Vの間等の異なる公称電圧を有し、バッテリパック100は、例えば、10.8V、12V、14.4V、18V未満等のような異なる公称電圧を有する。バッテリセル115はまた、例えば、約1.0アンペア時(「Ah」)~8.0Ahの間の容量も有する。例示的な実施形態において、バッテリセル115は、約1.5Ah、2.4Ah、3.0Ah、4.0Ah、1.5Ah~8.0Ahの間等の容量を有する。
【0038】
バッテリパック100は、ケーシング105と、ケーシング105に結合される外側ハウジング110と、ケーシング105内に位置決めされる複数のバッテリセル115(図2参照)とを含む。ケーシング105は、手持ち式電動工具の開口部及びキャビティ内に嵌合するよう形状及び大きさにされる。例えば、その内容の全てを引用して本明細書に組み込む2012年8月28日発行の米国特許第8,251,157号明細書、発明の名称「BATTERY PACK FOR USE WITH A POWER TOOL AND A NON-MOTORIZED SENSING TOOL」における装置において開示されているものと同様のバッテリパック100を受け入れるための凹部を用いることができる。ケーシング105は、バッテリセル115をケーシング105内部に実質的に封入するエンドキャップ120を含む。図示のエンドキャップ120は、手持ち式電動工具から延在する対応する電力端子と接続するよう構成される2つの電力端子125を含む。他の実施形態において、エンドキャップ120は、バッテリパック100から延在し、手持ち式電動工具によって支持されるレセプタクルに受け入れられるよう構成される端子を含んでいてもよい。エンドキャップ120はまた、手持ち式電動工具からの対応する端子と接続するよう構成される検知又は通信端子130(図3に示す)も含む。ケーシング105及びレセプタクルは、バッテリパック100が開口部内部に位置決めされる場合に、工具上の端子を実質的に囲み、覆う。即ち、バッテリパック100は、手持ち式電動工具の開口部及び端子のカバーとして機能する。バッテリパック100が手持ち式電動工具から切り離され、ケーシング105が開口部から取り外されると、手持ち式電動工具のバッテリ端子は、一般に、周囲環境に露出する。
【0039】
外側ハウジング110は、エンドキャップ120に略対向するケーシング105の端部に結合され、ケーシング105の一部を囲む。図示の構成において、ケーシング105が手持ち式電動工具における対応する開口部内に少なくとも部分的に挿入されるか又は配置される場合、外側ハウジング110は、手持ち式電動工具の外面と概ね整列する。この実施形態において、外側ハウジング110は、手持ち式電動工具の輪郭に略従って、手持ち式電動工具のハンドルの外側ケーシングの全体の形状に一致するよう設計されている。幾つかの実施形態において、ケーシング105は、手持ち式電動工具のグリップに少なくとも部分的に挿入される。かかる実施形態において、外側ハウジング110は、概して、工具のグリップ(即ち、本体の下の電動工具の一部)の長さを増加させる(例えば、延長する)。
【0040】
図示の実施形態において、2つのアクチュエータ135(そのうちの1つのみを示す)及び2つのタブ140が、バッテリパック100の外側ハウジング110内に形成される。アクチュエータ135及びタブ140は、バッテリパック100を手持ち式電動工具に解放可能に固定する結合機構を画成する。各タブ140は、手持ち式電動工具に形成される対応する凹部に係合して、バッテリパック100を所定位置に固定する。タブ140は、通常、外側ハウジング110を形成する材料の弾性により、ケーシング105から離間するよう(即ち、互いから離間するよう)付勢される。アクチュエータ135を作動させる(例えば、押し下げる)ことにより、バッテリパック100を開口部から引き出し、手持ち式電動工具から離間することができるように、タブ140をケーシング105に向かって(即ち、互いに向かって)、凹部との係合から外れるよう移動させる。幾つかの実施形態において、単一のタブ及びアクチュエータがバッテリパック100に含まれる。
【0041】
図2に示すように、バッテリパック100は、ケーシング105内部に位置決めされ、端子125に電気的に結合される3つのバッテリセル115を含んでいる。バッテリセル115は、手持ち式電動工具に動作電力(例えば、DC電力)を供給する。図示の実施形態において、バッテリセル115は直列に配置され、各バッテリセル115は、バッテリパック100が約12ボルト(12V)の公称電圧を有するように、約3.6V~4.2Vの公称電圧を有する。
【0042】
バッテリパック100によって手持ち式電動工具に供給される電力は、図4の電気機械図に示すように、手持ち式電動工具内部及びバッテリパック100内部の制御電子機器を用いて制御、監視、及び調整される。
【0043】
図4は、手持ち式電動工具に関連する例示的な手持ち式電動工具制御回路400を示している。手持ち式電動工具制御回路400は、手持ち式電動工具に関連するコントローラ402を含んでいる。手持ち式電動工具は、単に「電動工具」と称する場合があることは言うまでもない。また、手持ち式電動工具は、バッテリ充電器であってもよく、この2つは、特に断りのない限り、本明細書中で区別なく用いられてもよいも言うまでもない。コントローラ402は、手持ち式電動工具の様々なモジュール又はコンポーネントに電気的及び/又は通信可能に接続される。例えば、図示のコントローラ402は、1つ以上のインジケータ405、電力入力モジュール410、バッテリパックインターフェース415、1つ以上のセンサ420、ユーザ入力モジュール430、トリガスイッチ435(トリガ440に接続される)、及びFETスイッチングモジュール445に接続される。幾つかの実施形態において、トリガスイッチ435は、手持ち式電動工具内のハウジング内でコントローラ402と組み合わされ、一体化される。コントローラ402は、とりわけ、手持ち式電動工具の動作を制御し、手持ち式電動工具の動作を監視し、バッテリパックの識別情報を特定する等を行うよう動作可能なハードウェア及びソフトウェアの組み合わせを含む。1つ以上のセンサ420は、とりわけ、1つ以上の温度センサ、1つ以上のホール効果センサ等を含む。
【0044】
幾つかの実施形態において、コントローラ402は、コントローラ402及び/又は手持ち式電動工具内のコンポーネント及びモジュールに電力、動作制御、及び保護を提供する多くの電気及び電子コンポーネントを含んでいる。例えば、コントローラ402は、とりわけ、処理ユニット450(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、電子プロセッサ、電子コントローラ又は別の適切なプログラム可能なデバイス)、メモリ455、入力ユニット460及び出力ユニット465を含む。処理ユニット450は、とりわけ、制御ユニット470、演算論理ユニット(「ALU」)475、及び複数のレジスタ480(図4においてレジスタのグループとして示す)を含み、修正ハーバードアーキテクチャ、フォンノイマンアーキテクチャ等のような公知のコンピュータアーキテクチャを用いて実装される。処理ユニット450、メモリ455、入力ユニット460、及び出力ユニット465、並びにコントローラ402に接続される様々なモジュールは、1つ以上の制御及び/又はデータバス(例えば、共通バス485)によって接続される。制御バス及び/又はデータバスを説明のために図4において大まかに示す。様々なモジュール及びコンポーネント間の相互接続及び通信のための1つ以上の制御及び/又はデータバスの使用は、本明細書中に説明する本発明を検討することで当業者に分かるであろう。
【0045】
メモリ455は、非一時的コンピュータ読取可能媒体であり、例えば、プログラム格納領域及びデータ格納領域を含む。プログラム格納領域及びデータ格納領域は、読み取り専用メモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)(例えば、ダイナミックRAM[「DRAM」]、同期DRAM[「SDRAM」]、等)、電気的消去可能なプログラム可能読み取り専用メモリ(「EEPROM」)、フラッシュメモリ、ハードディスク、SDカード、又は他の適切な磁気、光学、物理、若しくは電子メモリ装置(単数又は複数)等の異なる種類のメモリの組み合わせを含むことができる。処理ユニット450は、メモリ455に接続され、メモリ455のRAM(例えば、実行中に)、メモリ455のROM(例えば、一般的に永続的に)、又は別のメモリやディスク等の別の非一時的コンピュータ読取可能媒体に格納することができるソフトウェア命令を実行する。手持ち式電動工具の実装に含まれるソフトウェアは、コントローラ402のメモリ455に格納することができる。ソフトウェアは、例えば、ファームウェア、1つ以上のアプリケーション、プログラムデータ、フィルタ、ルール、1つ以上のプログラムモジュール、及びその他の実行可能命令を含む。コントローラ402は、とりわけ、本明細書中に説明する制御プロセス及び方法に関する命令をメモリ455から読み出し、実行するよう構成されている。他の構成において、コントローラ402は、追加的か、より少ないか、又は異なるコンポーネントを含む。
【0046】
バッテリパックインターフェース415は、手持ち式電動工具をバッテリパック(例えば、バッテリパック100)とインターフェース接続する(例えば、機械的、電気的、及び通信可能に接続する)よう構成され、且つそのために動作可能な電気的及び機械的コンポーネントの組み合わせを含んでいる。例えば、バッテリパック100によって手持ち式電動工具に提供される電力は、バッテリパックインターフェース415を介して電力入力モジュール410に提供される。電力入力モジュール410は、アクティブ及びパッシブコンポーネントの組み合わせを含み、コントローラに電力が提供される前に、バッテリパック100から受け取った電力を調整及び制御する。バッテリパックインターフェース415はまた、FETスイッチングモジュール445に電力を供給し、スイッチングFETによって切り替えられて、モータ492に選択的に電力を提供する。幾つかの実施形態において、バッテリパックインターフェース415はまた、例えば、コントローラ402とバッテリパック100との間にリンクを提供するための通信ライン490も含んでいる。
【0047】
ユーザ入力モジュール430は、コントローラ402に動作可能に結合されて、例えば、順方向動作モード又は逆方向動作モード、手持ち式電動工具のトルク及び/又は速度設定等を(例えば、トルク及び/又は速度スイッチを用いて)選択する。幾つかの実施形態において、ユーザ入力モジュール430は、1つ以上のノブ、1つ以上のダイヤル、1つ以上のスイッチ、1つ以上のボタン等のような手持ち式電動工具の所望の動作レベルを達成するために必要なデジタル及びアナログ入力又は出力装置の組み合わせを含む。
【0048】
幾つかの実装において、電動工具又はバッテリ充電器は、どの種類のバッテリパックが電動工具に結合されているかを知ることが有利である。幾つかの実装において、バッテリパックは、バッテリパックが電動工具に結合される場合にバッテリの識別情報を他のデータと共に電動工具に通信するために用いることができるコントローラ又は他のインテリジェント回路を含んでいてもよい。しかし、本明細書中に説明するような幾つかのバッテリパックは、情報を電動工具及び/又は充電器に提供するためのコントローラを含まない。従って、以下の実装は、バッテリパックの識別情報が電動工具及び/又はバッテリ充電器に提供されることを可能にする様々な構成を説明する。
【0049】
幾つかの特定の実装において、バッテリパックの識別情報を理解することは、バッテリパックの電力容量を理解することを含んでいてもよい。例えば、複数のバッテリパックが一定の電圧レベル(例えば、12V)を出力する可能性がある一方で、異なるバッテリパックは、他のバッテリパックとは異なる電力利用可能性(例えば、アンペア時容量)を有する可能性がある。電動工具がバッテリパックの識別情報を認識することを可能にすることによって、電動工具は、バッテリパックに関連付けられる様々なパラメータ(例えば、電力定格、アンペア時容量等)に基づいて、ユーザのための性能を向上させるように1つ以上の動作を最適化することが可能であってもよい。例えば、電動工具がバッテリの識別情報/電力定格を知ることによって、電動工具は、バッテリパック及び/又は工具の過温状態を防止するよう電流引き込みを調整することによって性能を最適化してもよい。他の最適化は、より強力なバッテリパックのためのピークトルクを増加させるようパック識別情報に基づいてソフトスタート動作を変化させること、長時間/低電流用途(例えば、照明装置)での実行時間を改善すること、空気圧式ツール(例えば、釘打ち機、ステープラ等)でのより速い発射速度、機械的機構への損傷を防止するよう出力電力を制限すること等を含んでもよい。
【0050】
加えて、バッテリパックの識別を理解することは、充電器がバッテリパックの充電を最適化することを可能にしてもよい。例えば、充電器は、ある特定のバッテリパック種類(例えば、高電力バッテリパック)を他のバッテリパック種類(例えば、低電力バッテリパック)よりも速く充電するよう構成することができる。加えて、充電されているバッテリパックの識別情報を理解することによって、充電器は、どの種類のバッテリパックが充電されたかを経時的に記録することができる。
【0051】
ここで図5に目を向けると、幾つかの実施形態による、電動工具500によってバッテリパック100等のバッテリパックの識別情報を特定するための電気回路が示されている。図5の実施形態は、バッテリパック100を電動工具500に結合するものとして説明されているが、電動工具500は、バッテリパック100を充電するよう構成されるバッテリ充電器によって置き換えることができることは言うまでもない。幾つかの実施形態において、バッテリパック100及び電動工具500は、コントローラ402等の電動工具500のコントローラと組み合わされて、バッテリパック100の識別情報を特定する多数の電気部品を含む。
【0052】
バッテリパック100は、サーミスタ502と、多数のバッテリセル504、506、508と、第1の識別抵抗510と、第2の識別抵抗512とを含む。一実施例において、バッテリセル504、506、508は、上で説明したバッテリセル115と同様であってもよい。電動工具500は、上で説明したコントローラ402等のコントローラと、第1の分圧抵抗514と、第2の分圧抵抗516と、第1のスイッチ518と、第2のスイッチ520とを含む。第1のスイッチ518及び第2のスイッチ520は、制御ライン521を介してコントローラ402に結合され、それによって制御される。バッテリパック100は、正電力端子522及び共通電圧端子524を介して電力を電動工具500に結合する。バッテリパック100は、更に、温度端子526、第1の電圧タップ端子528、及び第2の電圧タップ端子530を含んでもよい。第1の電圧タップ端子528及び第2の電圧タップ端子530は、それぞれ、第1のセル504及び第1のセル504と第2のセル506との組合せの電圧を出力する。第1の電圧タップ端子528は、電動工具500上の第1の端子532に結合し、第2の電圧タップ端子530は、電動工具500上の第2の端子534に結合する。一実施形態において、スイッチは、ソリッドステートスイッチ(例えば、MOSFET、BJT、IGBT等)又はリレー等の電気機械スイッチであってもよい。
【0053】
以下でより詳細に説明するように、コントローラ402は、第1のスイッチ518及び第2のスイッチ520の一方又は両方を一時的にオンに作動させて(例えば、スイッチに電流を導通させて)、それぞれ、識別抵抗510、512と分圧抵抗514、516との間に分圧回路を形成するよう構成される。第1のセル504と第2のセル506との合成電圧を分圧した第1の識別抵抗510と第1の分圧抵抗514との間の電圧は、第1のスイッチ518がオンされ、それによって回路を閉じる場合に接続ライン536を介してコントローラ402に提供される。同様に、第1のセル504の電圧を分圧した、第2の識別抵抗512と第2の分圧抵抗516との間の電圧は、第2のスイッチ520がオンであり(例えば、共通電圧端子524への経路を提供し)、それによって回路を閉じる場合に接続ライン538を介してコントローラ402に提供される。
【0054】
図5は、2つの別個の分圧回路(第1の識別抵抗510及び第1の分圧抵抗514、並びに第2の識別抵抗512及び第2の分圧抵抗516)を示しているが、幾つかの実装において、第2の識別抵抗512及び第2の分圧抵抗516によって形成される分圧回路のみを、バッテリパック100を識別することにおいて用いてもよいことが考えられる。他の実装において、第1の識別抵抗510及び第1の分圧抵抗によって形成される分圧回路のみを、バッテリパック100を識別することにおいて用いることが考えられる。
【0055】
図6は、幾つかの実施形態による、図5において説明した回路を用いること等の、抵抗分圧回路を用いてバッテリを識別するためのプロセス600を示している。プロセスブロック602において、バッテリパック100等のバッテリパックは、電動工具500等の電動工具及び/又はバッテリ充電器内に受け入れられる。例えば、バッテリパック100は、上で説明したように、電動工具及び/又はバッテリ充電器のバッテリパックインターフェース415に受け入れられてもよい。幾つかの実施形態において、バッテリパック100を電動工具及び/又はバッテリ充電器内に受け入れることは、バッテリパック100と電動工具との電気的及び機械的結合が達成される場合に行われる。しかし、他の実施形態において、バッテリパック100を電動工具内に受け入れることは、バッテリパック100と電動工具とが電気的に結合される場合に達成される。
【0056】
プロセスブロック604において、コントローラ402は、バッテリパック100の1つ以上のセル電圧を測定する。例えば、コントローラ402は、バッテリパック100の総電圧を測定してもよい。個々のセル電圧は、次いで、バッテリパック100の総電圧を3(バッテリパック100内の直列接続されたセルの数)で除算することによって推定されてもよい。他の実施形態において、コントローラ402は、正端子522、第1の電圧タップ端子528、及び第2の電圧タップ端子530の1つ以上における電圧を測定してもよい。幾つかの実施形態において、コントローラ402は、プロセス600の後半まで、又は全くセル電圧を測定しなくてもよい。プロセスブロック606において、コントローラ402は、1つ以上のスイッチを作動させて、1つ以上の分圧回路を作成する。例えば、コントローラは、第1のスイッチ518及び第2のスイッチ520のうちの1つ以上を作動させてもよい。上述したように、幾つかの実施形態において、単一の分圧回路のみがバッテリパック100を識別するために用いられる。他の実施形態において、2つ(又はそれ以上)の分圧回路がバッテリパック100を識別するために用いられてもよい。ただ1つの分圧回路が用いられる場合、バッテリパック100の可能な識別の数は制限される可能性がある。例えば、単一のセルの電圧は約3.6Vであるため、分圧される電圧の数は、抵抗素子の精度と同様に、電圧検知回路の感度によって制限される可能性がある。一実施形態において、セル電圧は、識別値当たり約0.5Vに等しい7つの異なる識別値に分割されてもよい。従って、2つ以上の分圧回路を有するシステムに対して、又は分圧された電圧が2つのバッテリセルの合計である場合、識別値の数は14であってもよい。しかし、他の数量の識別値が考えられ、高精度抵抗及び/又は高感度電圧検知回路若しくはコンポーネントを用いて達成されてもよい。
【0057】
プロセスブロック608において、コントローラ402は、上で説明したように、1つ以上の電圧を測定する。例えば、コントローラ402は、接続ライン538を介して第1の電圧、及び接続ライン536を介して第2の電圧を測定してもよい。幾つかの実施例において、1つの電圧のみがコントローラ402によって測定される。例えば、幾つかの実施形態において、第2の識別抵抗512、第2の分圧抵抗516、及び第2のスイッチ520から構成される分圧回路、又は第1の識別抵抗510、第1の分圧抵抗514、及び第1のスイッチ518から構成される分圧回路等の1つだけの分圧回路が存在してもよい。
【0058】
上述のように、コントローラ402が第1のスイッチ518及び/又は第2のスイッチ520を作動させることによって、識別抵抗510、512及び分圧抵抗514、516を通る電流フローに起因して電圧が誘起される。例えば、第1のスイッチ518がオンに切り替えられる場合、電流は、第1のバッテリセル504及び第2のバッテリセル506(集合的にVcell1)から、第1の識別抵抗(R1)510及び第1の分圧抵抗514(R3)を通って流れる。分圧された電圧(Vd1)は、第1の接続ライン536において誘導され、以下に等しい。
【数1】
同様に、第2のスイッチ520がオンに切り替えられる場合、電流は、第1のバッテリセル504(Vcell2)から、第2の識別抵抗512(R2)及び第2の分圧抵抗516(R4)を通って流れる。分圧された電圧(Vd2)は、第2の接続ライン538において誘導され、以下に等しい。
【数2】
【0059】
プロセスブロック610において、コントローラ402は、Vd1及び/又はVd2等の測定された電圧に基づいて、バッテリパック100の識別情報を特定する。コントローラ402は、メモリ455に格納されたルックアップテーブルにアクセスして、測定電圧(単数又は複数)に基づいてバッテリパック100の識別情報を特定してもよい。例えば、セル電圧が3.6ボルトに等しいと仮定すると、コントローラ402は、0V~3.6Vの間の多数の電圧に等しい、メモリ455に格納されたバッテリパック識別情報を有していてもよい。従って、2.5Vの測定分圧電圧は、第1のバッテリ識別を示してもよい一方で、1.5Vの測定分圧電圧は、第2のバッテリ識別を示してもよい。上述のように、可能な識別の数は、電圧測定回路の感度、抵抗(例えば、分圧抵抗514、516、及び識別抵抗510、512)の精度等の要因に依存する。更に、バッテリセル電圧の変動もまた、用いられてもよい識別値の数に影響を及ぼす可能性がある。バッテリパック識別を特定すると、工具及び/又は充電器は、上で説明したように、1つ以上の動作を修正してもよい。
【0060】
図7は、幾つかの実施形態による、手持ち式電動工具702に結合され、バッテリパック700の識別情報を特定するよう構成される、上で説明したバッテリパック100と同様のバッテリパック700を含む電気回路である。バッテリパック700は、電動工具702に接続されるものとして示されているが、電動工具702は、上で説明したように、バッテリ充電装置であってもよいことが考えられる。同様に、電動工具702は、上で説明した電動工具400と同様のコンポーネントを含んでいてもよい。幾つかの実施形態において、バッテリパック700及び電動工具702は、電動工具702のコントローラ402と組み合わされて、バッテリパック100の識別情報を特定する多数の電気部品を含む。
【0061】
バッテリパック700は、サーミスタ回路707を形成する識別コンデンサ706と並列のサーミスタ704と、複数のバッテリセル708、710、712とを含む。一実施例において、バッテリセル708、710、712は、上で説明したバッテリセル115と同様であってもよい。電動工具702は、コントローラ402と、放電抵抗714とを含む。バッテリパック700は、少なくとも正電力端子716、負電力端子718、及び温度端子720を介して、電力を電動工具702に結合する。一実施形態において、コントローラ402は、サーミスタ回路707に電力を提供するよう、並びにサーミスタ704及び関連する識別コンデンサ706が放電することを可能にするよう構成される。コントローラ402は、更に、温度端子720における識別コンデンサ706の電圧を特定するよう構成される。
【0062】
図8は、幾つかの実施形態によるバッテリパック700の識別情報を特定するためのプロセス800を示している。プロセス800は、バッテリパック700及び電動工具702に関連して説明されるが、当業者によって理解されるように、プロセス800は、他のバッテリパック及び電動工具設計に適用可能であることは言うまでもない。プロセスブロック802において、コントローラ402は、バッテリパック700等のバッテリパックが電動工具702等の電動工具内に受け入れられたかどうかを特定する。例えば、バッテリパック700は、電動工具702の上で説明したバッテリパックインターフェース415等のバッテリパックインターフェース内に受け入れられてもよい。幾つかの実施形態において、バッテリパック700を電力内に受け入れることは、バッテリパック700と電動工具702との電気的及び機械的結合が達成702される場合に行われる。しかし、他の実施形態において、バッテリパック700を電動工具702内に受け入れることは、バッテリパック700と電動工具702とが電気的に結合される場合に達成される。
【0063】
バッテリパック700が電動工具702内に受け入れられていないと特定することに応答して、コントローラ402は、プロセスブロック802においてバッテリパック700の監視を継続する。バッテリパック700が受け入れられたと特定することに応答して、コントローラ402は、サーミスタ回路707に通電し、サーミスタ回路707の出力における電圧を、検知ライン又は温度端子720を介して初期温度値として格納する。プロセスブロック806において、コントローラ402は、サーミスタ回路707を放電する。例えば、コントローラ402は、放電抵抗714を介してサーミスタ回路707を接地に結合してもよい。しかし、他の放電動作も考えられる。プロセスブロック808において、コントローラ402は、サーミスタ回路707が放電されているかどうかを特定する。幾つかの実施形態において、コントローラ402は、サーミスタ回路707が所定の期間にわたって放電しているかどうかを特定することに基づいて、サーミスタ回路707が放電されているかどうかを特定する。幾つかの実施形態において、所定の期間は約5秒である。しかし、5秒を超える又は5秒未満の値も考えられる。サーミスタ回路707が放電されていないと特定することに応答して、コントローラ402は、プロセスブロック806においてサーミスタ回路707の放電を継続する。サーミスタ回路707が放電されていると特定することに応答して、コントローラ402は、プロセスブロック810においてタイマを開始する。プロセスブロック812において、コントローラは、サーミスタ回路707に通電し、サーミスタ回路707の電圧を継続的に監視する。例えば、コントローラ402は、温度端子720においてサーミスタ回路707の電圧を監視する。識別コンデンサ706がサーミスタ704と並列であるため、サーミスタ回路707の電圧は、識別コンデンサ706及び放電抵抗714の容量値(F)に基づいて経時的に上昇する。例えば、識別コンデンサ706及び放電抵抗714は、時定数(τ)を特定する。当該技術分野において理解されるように、1つの時定数の後、コンデンサは、完全充電の約63%充電され、コンデンサは、概して、5つの時定数の後、完全に充電されたと見なされる。時定数は、以下の公知の式に基づいて求められる:τ=RxC、ここで、Rはオーム単位の抵抗であり、Cはファラッド単位の静電容量である。幾つかの実施形態において、電圧を「連続的に監視する」とは、サーミスタ回路707の電圧を所定の間隔(例えば、9.5μ秒毎)で特定して、電圧特定が識別コンデンサ706の充電を監視するのに十分迅速に行われることを確実にすることを意味する。しかし、9.5μ秒を超え、9.5μ秒未満の期間も考えられる。
【0064】
プロセスブロック814において、コントローラ402は、サーミスタ回路707の電圧が所定の電圧に等しいかどうかを特定する。一実施形態において、所定の電圧は、上で説明した、63%の初期温度値であってもよい。所定の電圧として63%の初期温度値を用いることによって、識別コンデンサ706の単一の時定数を特定することができる。しかし、他の実施形態において、63%の初期温度値を超える、又は63%の初期温度値未満の所定の電圧が考えられる。サーミスタ回路707の電圧が所定の電圧に等しくないと特定することに応答して、タイマが処理ブロック816においてインクリメントされる。
【0065】
サーミスタ回路707の電圧が所定の電圧に等しいと特定することに応答して、コントローラ402は、プロセスブロック818において、タイマ値に基づいてバッテリパック700の識別を特定する。幾つかの実施形態において、コントローラ402は、タイマ値に基づいて識別コンデンサ706の値を特定することによって、バッテリパック700の識別を特定する。例えば、放電抵抗714の値が既知であるため、所定の電圧に達するまでの時間(例えば、1つの時定数)を用いて、識別コンデンサ706の値を特定することができる。コントローラ402は、メモリ455に格納されたルックアップテーブル又は他のデータベースにアクセスして、識別コンデンサ706の特定された値に基づいてバッテリパック700の識別情報を特定してもよい。他の実施形態において、タイマ値は、異なる識別コンデンサ706値に対して異なるため、タイマ値は、バッテリの識別を特定するためにコントローラ402によって用いられてもよい。バッテリパック識別を特定すると、工具702及び/又は充電器は、上で説明したように、1つ以上の動作を修正してもよい。
【0066】
図9は、幾つかの実施形態による、手持ち式電動工具902に結合され、バッテリパック900内の誘導キー904を用いてバッテリパック900の識別情報を特定するよう構成される、上で説明したバッテリパック100と同様のバッテリパック900を含む電気回路を示している。同様に、電動工具902は、上で説明した電動工具400と同様のコンポーネントを含んでいてもよい。図9は、電動工具902に結合されるバッテリパック900に関して説明しているが、バッテリパック900は、上で説明したように、バッテリ充電器に結合される可能性があることが考えられる。電動工具902は、コントローラ402と、誘導素子908及び抵抗素子910を含むタンク回路906とを含んでいてもよい。コントローラ402は、上で説明したように、誘導キー904とタンク回路906との間の距離が所定の距離内にある場合、例えば、バッテリパック900が電動工具902に装着されている場合に、誘導キー904と相互作用する磁界を生成するタンク回路906を駆動する。磁界は、タンク回路906内のインピーダンスを変化させる、誘導キー904内の渦電流を生成し、それによって、コントローラ402がインピーダンス変化を検出することを可能にする。幾つかの実施形態において、コントローラ402は、TEXAS INSTRUMENTSからのLDCシリーズインダクタンス/デジタル変換器等のインダクタンス/デジタル変換器と通信してもよい。誘導キー904は、その中に誘導される渦電流の量を変化させるよう、異なる金属材料及び構成を含んでいてもよい。幾つかの実施例において、誘導キー904は、アルミニウム、鋼、銅等から作られてもよい。従って、異なる誘導キー904は、タンク回路906のインピーダンスに影響を及ぼす。例えば、材料組成、質量、及びタンク回路906への近接は、タンク回路のインピーダンスに影響を及ぼす可能性がある。従って、異なる誘導キー904は、異なるバッテリパック識別のために用いられてもよい。コントローラ402は、異なるインピーダンス値を異なるバッテリパック識別と関連付けるために、メモリ455内に1つ以上のルックアップテーブル又は他のデータベースを含んでもよい。
【0067】
図10A~10Cは、図9において説明したものに対する代替の電気回路を示しており、図10A及び10Bにおいて、幾つかの実施形態による、電動工具902内の(上で説明したタンク回路906と同様の)タンク回路1001の長尺コイル1000を示している。長尺コイル1000は、横方向にテーパが付けられ、それによって、長尺コイル1000が先細になるにつれて、長尺コイル1000内の巻きがより圧縮される。巻きがより圧縮されるにつれて、タンク回路1001によって生成される力線密度はより密になる。図10Aに示すように、誘導キー1002は、長尺コイル1000の上方の位置Aに位置決めされる。コイル巻き同士のより大きな分離のために、力線密度が位置Aにおいて最も低いため、第1のインピーダンス変化がコントローラ402等のコントローラによって検出され、それによって、第1の位置Aにおける誘導キー1002に関連付けられたバッテリパックの識別を提供する。図10Bに示すように、誘導キー1002は、長尺コイル1000の上方の位置Bに位置決めされる。コイル巻き同士のより小さい分離のために、力線密度が位置Bにおいて最も高いため、第2のインピーダンス変化がコントローラによって検出され、それによって、第2の位置Bにおける誘導キー1002に関連付けられたバッテリパックの識別を提供する。
【0068】
図10Cは、異なる誘導キー位置1006、1008、及び1010を有する、上で説明したバッテリパック100と同様のバッテリパック1004を示している。誘導キー1006、1008、1010に対して3つの可能な位置を有することによって、どの誘導キーがバッテリパックに設置されるかに基づいて、3つの異なる識別値が、異なるバッテリパックに対して提供されてもよい。例えば、誘導キー1006が設置されたバッテリパックは、長尺コイル1000に対するそれらの相対的な位置に起因して、誘導キー1008又は誘導キー1010が設置されたバッテリパックとは異なるインピーダンス変化をタンク回路1001に及ぼす。結果として生じる各インピーダンス変化は、コントローラ402内部のバッテリパック識別と関連付けられてもよい。図10Cに示す実施例は、誘導キーのための3つの可能な位置を示すが、1つ以上の誘導キーが、3つを超える位置に、且つ3つの軸全てに沿って配置されて、複数の識別がコントローラ402によって特定されることを可能にし得ることが考えられる。
【0069】
図11は、幾つかの実施形態による、手持ち式電動工具1102及び/又はバッテリ充電器に結合され、誘導結合を用いてバッテリパック1100の識別情報を特定するよう構成される、バッテリパック100と同様のバッテリパック1100を含む代替の電気回路を示している。幾つかの実施例において、電動工具1102は、上で説明した電動工具400と同様のコンポーネントを含んでいてもよい。電動工具1102は、コントローラ402と、共通電圧1106、一次巻線1108、スイッチ1110、及び電流検知抵抗1112を含む誘導結合回路1104とを含んでいる。バッテリパック1100は、バッテリパック100に関して上で説明したコンポーネントに加えて、二次巻線1114及び抵抗負荷1116を含んでいる。バッテリパック1100が電動工具1102に装着されると、コントローラ402は、スイッチ1110をオンにし、それによって、共通電圧1106と接地接続1118との間に回路を形成してもよい。幾つかの実施形態において、スイッチ1110は、電界効果トランジスタ(FET)又は他のトランジスタ種類等のソリッドステートスイッチである。他の実施形態において、スイッチ1110は、リレー、リードスイッチ等のような機械的スイッチであってもよい。電流が一次巻線1108を通って流れると、磁界が誘導され、二次巻線1114が一次巻線1108に近接している場合に、二次巻線1114と結合する。磁界は、負荷1116を通る電流を生成する二次巻線114に電圧を誘導する。負荷1116の値に応じて、二次巻線1114を通る電流が変化し、これは、ひいては、一次巻線1108のインピーダンスに影響を及ぼす(即ち、一次巻線1108を通る電流を増加させ、一次巻線1108両端のより大きい電圧降下を生じる)。一次巻線1108のインピーダンスのこの変化は、電流検知抵抗1112にわたる電流の流れに影響を及ぼし、この電流は、ひいては、検出された電流値に等しいデジタル値をコントローラ402に伝達するアナログデジタル変換器1120に提供される。コントローラ402は、メモリ455内のルックアップテーブル又は他のデータベースにアクセスして、検知した電流に基づいてバッテリパック1100の識別情報を特定してもよい。従って、負荷1116の値を変更することによって、バッテリパック1100の識別情報は変更され、その後、誘導結合回路1104内部の電流の変化に基づいてコントローラ402によって特定されてもよい。
【0070】
図12は、幾つかの実施形態による、手持ち式電動工具1202及び/又はバッテリ充電器に結合され、誘導検知を用いてバッテリパック1200の識別情報を特定するよう構成される、バッテリパック100と同様のバッテリパック1200を含む代替の電気回路を示している。幾つかの実施例において、電動工具1102は、上で説明した電動工具400と同様のコンポーネントを含んでいてもよい。電動工具1202は、スイッチ1206に結合されるコントローラ402を含む。幾つかの実施形態において、スイッチ1206は、MOSFET等のソリッドステートスイッチである。しかし、他の種類のスイッチも考えられる。コントローラ402は、固定周波数でスイッチ1206を駆動するよう構成される。スイッチが「閉」状態にある場合、バッテリセル1208(上で説明したバッテリセル115と同様)からの電流は、セルタップ抵抗1210、バッテリパックインダクタ1212を通って、端子1214及び1216を介して電動工具1202に流れる。電流は、次いで、スイッチ1206、電動工具インダクタ1218、及び電流検知抵抗1220を通って流れる。電流は、負端子1222及び1224を介してバッテリセル1208に戻る。一実施形態において、バッテリパックインダクタ1212及び電動工具インダクタ1218の値は既知であり、セルタップ抵抗1210の値は、バッテリパック1200を識別するために用いられる。例えば、コントローラ402は、バッテリパックインダクタ1212及び電動工具インダクタ1218の共振周波数でスイッチ1206を駆動してもよく、次いで、セルタップ抵抗1210と電流検知抵抗1220との間に生成される分圧器によって生じる検知点1226における電圧を検知する。アナログデジタル変換器(ADC)1228は、検知点1226におけるアナログ電圧を変換し、電圧をデジタル信号としてコントローラ402に提供してもよい。コントローラ402は、次いで、メモリ455内の1つ以上のルックアップテーブル及び/又はデータベースにアクセスして、検知した電圧に基づいてバッテリパック1200の識別情報を特定してもよい。従って、セルタップ抵抗1210の抵抗値を変更することによって、異なるバッテリ識別を提供することができる。バッテリパック1200の識別情報を特定することに応答して、電動工具及び/又は充電器1202の1つ以上の動作を修正してもよい。
【0071】
図13は、幾つかの実施形態による、図9~12に示す誘導検知実装のうちの1つを用いてバッテリパックの識別情報を特定するためのプロセス1300を示している。プロセスブロック1302において、バッテリパック900、1004、1100、1200等のバッテリパックが、上で説明したような電動工具及び/又はバッテリ充電器に受け入れられる。幾つかの実施形態において、バッテリパック900、1004、1100、1200を電動工具及び/又は充電器に受け入れることは、バッテリパック900、1004、1100、1200と電動工具及び/又は充電器との電気的及び機械的結合が達成される場合であってもよい。しかし、他の実施形態において、バッテリパック900、1004、1100、1200を電動工具及び/又は充電器に受け入れることは、バッテリパック900、1004、1100、1200と電動工具及び/又は充電器との電気的結合が達成される場合であってもよい。プロセスブロック1304において、電動工具及び/又は充電器のコントローラ402は、上で説明したように誘導識別回路を作動させる。誘導性識別回路を作動させると、図9~12の誘導識別回路に関して上で説明したように、識別値がコントローラ402によって受信される。プロセスブロック1308において、コントローラ402は、受信した識別値に基づいてバッテリパック900、1004、1100、1200の識別情報を特定する。例えば、コントローラ402は、受信した識別値を、コントローラ402のメモリ455に格納されたルックアップテーブル又は他のデータベースに格納された既知の識別値と比較してもよい。バッテリパックの識別情報を特定することに応答して、コントローラ402は、電動工具及び/又は充電器の1つ以上の動作を修正することができる。
【0072】
図14は、幾つかの実施形態によるバッテリパック1400の識別情報を特定するための代替の回路を示している。バッテリパック1400は、上で説明したものと同様の電動工具及び/又は充電器1402に結合される。バッテリパック1400は、上で説明したバッテリパック100と同様であってもよい。バッテリパック1400は、電動工具1402上の識別端子1406に結合する追加の識別端子1404を含んでいてもよい。識別抵抗1408は、負のバッテリ端子1410に結合される。識別抵抗1408は、バッテリパック1400の識別情報に関連付けられる抵抗値を有するよう構成される。
【0073】
コントローラ402は、出力1414を介して分圧抵抗1412に電圧を結合する。コントローラが電圧を分圧抵抗1412に結合すると、識別電圧がコントローラ402に戻される検知ライン1416を介して検知される。図示していないが、アナログデジタル変換器は、コントローラ402による処理のために識別電圧をデジタル信号に変換する可能性があることが考えられる。識別電圧は、分圧抵抗1412及び識別抵抗1408によって分圧される、コントローラ402によって出力される電圧に基づいている。分圧抵抗1412の値は、コントローラ402によって出力される電圧と同様に既知であるため、識別電圧は、識別抵抗1408の抵抗値に基づいてのみ変化する。コントローラ402は、識別電圧に基づいてバッテリパック1400の識別情報を特定するよう構成される。例えば、コントローラ402は、メモリ455に格納された1つ以上のルックアップテーブル及び/又はデータベースにアクセスして、特定した識別電圧に基づいてバッテリパック1400の識別情報を特定してもよい。例えば、ルックアップテーブル及び/又はデータベースは、バッテリパックの識別情報に関連付けられる多数の識別電圧値を有してもよい。バッテリパック識別情報を特定すると、電動工具及び/又は充電器1402は、上で説明したように、特定した識別情報に基づいて1つ以上の動作を修正してもよい。
【0074】
図15は、幾つかの実施形態によるバッテリパック1500の識別情報を特定するための代替の回路を示している。バッテリパック1500は、上で説明したものと同様の電動工具及び/又はバッテリ充電器1502に結合される。バッテリパック1500は、上で説明したバッテリパック100と同様であってもよい。バッテリパック1500は、バッテリパック100に関して上で説明した回路に加えて、磁石1504を含む。電動工具1502は、コントローラ402と、コントローラ402に結合されるホール効果センサ1506とを含む。ホール効果センサ1506は、入力ライン1508を介してコントローラ402に提供される出力を生成するよう構成される。ホール効果センサ1506は、磁石1504によって生成される磁界に基づいて変化する出力を生成するよう構成される。磁石1504によって生成される磁界は、ハウジング内の磁石1504の位置及びホール効果センサ1506に対する相対位置に基づいて変化する可能性がある。コントローラ402は、入力ライン1508を介してホール効果センサ1506の出力を受信するよう構成される。図示しないが、アナログデジタル変換器は、ホール効果センサ1506の出力を受信し、ホール効果センサ1506からの出力のデジタル値をコントローラ402に提供してもよい。例えば、ホール効果センサ1506は、0~5Vの間の電圧値を出力してもよい。しかし、他の出力値も考えられる。
【0075】
コントローラ402は、ホール効果センサ1506からの出力に基づいてバッテリパック1500の識別情報を特定するよう構成される。上で説明したように、ホール効果センサ1506からの出力は、磁石1504によって生成される磁界に基づいて変化する。従って、バッテリパック1500は、異なるバッテリパック識別に対応するハウジング内部の異なる位置に磁石1504を位置決めしてもよい。コントローラ402は、メモリ455に格納された1つ以上のルックアップテーブル及び/又はデータベースにアクセスして、ホール効果センサ1506からの出力に基づいてバッテリパック1500の識別情報を特定してもよい。例えば、ルックアップテーブル及び/又はデータベースは、バッテリパックの識別情報に関連付けられる多数の出力値を有してもよい。バッテリパック識別情報を特定すると、電動工具及び/又は充電器1502は、上で説明したように、特定した識別情報に基づいて1つ以上の動作を修正してもよい。
【0076】
図16は、幾つかの実施形態によるバッテリパック1600の識別情報を特定するための代替の回路を示している。バッテリパック1600は、上で説明したものと同様の電動工具及び/又はバッテリ充電器1602に結合される。バッテリパック1600は、上で説明したバッテリパック100と同様であってもよい。バッテリパック1600は、サーミスタ1608と並列にスイッチ1606に結合されるコントローラ1604を含んでいる。コントローラ1604は、電動工具1602の工具温度端子1612に結合する温度端子1610に結合される。電動工具1602のコントローラ402は、工具温度端子1612及びスイッチ1614に結合される。コントローラ1604は、スイッチ1606を動作させて、コントローラ1604が温度端子1610に信号を出力することを可能にするよう構成される。スイッチ1606を作動させることによって、コントローラ1604の入力/出力ライン1616に印加される電圧は、温度端子1610を介して電動工具1602に伝達される。幾つかの実施形態において、コントローラ1604は、バッテリ識別値を示す一連の電圧パルスを出力するよう構成される。スイッチを非アクティブ化することによって、電圧が、コントローラ1604によって温度端子1610に提供されてもよく、次いで、入力/出力ライン1616を介してコントローラ402によって受信される。コントローラ402は、サーミスタ1608に通常提供される電圧を切り替えることによって他の信号を出力してもよい。しかし、他の実施例において、コントローラ402は、メッセージが送信されていることをコントローラ1604に示すよう、他の電圧を出力してもよい。同様に、コントローラ402は、スイッチ1614を作動させて、コントローラ1604と同様の送信及び受信動作を実行することができる。従って、コントローラ1604、402は、温度端子1610、1612を介してデータを送信してもよい。スイッチ1606、1614は、FET等のソリッドステートスイッチであってもよい。しかし、他の種類のスイッチも考えられる。
【0077】
従って、バッテリパック1600のコントローラ1604は、上で説明した通信方法を用いて、電動工具1602のコントローラ402に識別情報を提供することができる。幾つかの実施形態において、コントローラ402は、コントローラ1604によって出力されるバッテリ識別値に基づいてバッテリパック1600の識別情報を特定するよう構成される。バッテリパック識別情報を特定すると、電動工具及び/又は充電器1602は、上で説明したように、特定した識別情報に基づいて1つ以上の動作を修正してもよい。
【0078】
図17は、幾つかの実施形態によるバッテリパック1700の識別情報を特定するための代替の回路を示している。バッテリパック1700は、本明細書中に説明するものと同様の電動工具及び/又はバッテリ充電器1702に結合される。バッテリパック1700は、ツェナーダイオード1706と並列にサーミスタ1704を含む。上で説明したコンポーネントを除いて、バッテリパック1700は、上で説明したバッテリパック100と同様のコンポーネントを含んでもよい。電動工具1702は、第1の電源1710に結合される第1の抵抗1708を含んでいてもよい。一実施例において、第1の電源1710は、5V出力を出力するよう構成される。しかし、5Vを超える又は5V未満の出力も考えられる。電動工具1702はまた、抵抗素子1714、1716、1718を含む抵抗ネットワークに結合される第2の電源1712も含んでいる。第2の電源1712は、15V出力を出力するよう構成される。しかし、15Vを超える又は15V未満の出力も考えられる。電動工具1702は、更に、第1の接続点1722に結合されるアナログデジタル変換器1720と、第2の接続点1726に結合される第2のアナログデジタル変換器1724とを含む。アナログデジタル変換器は、コントローラ402に結合される。コントローラ402は、それらの動作を制御するために1710、1712のための電源に結合される。
【0079】
図18は、幾つかの実施形態によるバッテリパック1700の識別情報を特定するためのプロセス1800を示している。プロセスブロック1802において、バッテリパック100等のバッテリパックが、電動工具1702内に受け入れられる。プロセスブロック1804において、コントローラ402は、バッテリパック1700の識別情報が既知であるかどうかを特定する。バッテリパック1700の識別情報が既知であると特定することに応答して、コントローラ402は、プロセスブロック1806において通常動作する。バッテリパック1700の識別が既知ではないと特定することに応答して、コントローラは、プロセスブロック1808において、第1の電源1710を切断する。第1の電源1710を切断することは、出力を提供することを停止するよう電源1710に命令することを含んでもよい。他の実施形態において、第1の電源1710を切断することは、1つ以上のスイッチ(図示せず)を作動させて、第1の電源1710の出力を切断することを含む。プロセスブロック1810において、第2の電源1712が抵抗素子1714に接続される。第2の電源1712の出力は、第1の電源1710よりも高く、抵抗素子1714と、抵抗素子1716及び1718の組合せとの間で分割される。この分圧された電圧は、第1の接続点1722に印加され、それによって、バッテリパック1700に印加される。第1の接続点1722に存在する電圧は、ツェナーダイオード1706の降伏電圧を克服するのに十分である。ツェナーダイオード1706の降伏電圧を克服すると、接続点1722における電圧は、ツェナーダイオード1706の降伏電圧に等しくなる。プロセスブロック1814において、コントローラは、第2のアナログデジタル変換器1724によって提供されるように接続点1726における電圧を読み取る。この電圧は、抵抗素子1716及び抵抗素子1718によって分圧されるツェナーダイオード1706の降伏電圧に等しい。
【0080】
プロセスブロック1814において、コントローラ402は、接続点1726に存在する電圧に基づいてバッテリパック1700の識別を特定する。接続点1726における電圧はツェナーダイオード1706の降伏電圧に基づくため、異なるバッテリパックは、それらの関連するバッテリパックの識別に関連付けられてもよい異なる降伏電圧を有するツェナーダイオードを用いてもよい。コントローラ402は、メモリ455に格納された1つ以上のルックアップテーブル及び/又はデータベースにアクセスして、接続点1726における電圧に基づいてバッテリパック1700の識別情報を特定してもよい。例えば、ルックアップテーブル及び/又はデータベースは、バッテリパックの識別情報に関連付けられる多数の電圧値を有してもよい。処理ブロック1816において、第2の電源1712が切断され、第1の電源1710が再接続される。電動工具1702は、次いで、プロセスブロック1806において通常動作に戻る。
【0081】
図19は、幾つかの実施形態によるバッテリパック1900の識別情報を特定するための代替の回路を示している。バッテリパック1900は、本明細書中に説明するものと同様の電動工具及び/又はバッテリ充電器1902に結合される。バッテリパック1900は、RFID送信機1904を含んでいる。電動工具1902は、RFIDリーダ1906に結合されるコントローラ402を含む。バッテリパック1900が電動工具1902内に受け入れられると、RFIDリーダ1906は、RFID送信機1904からのデータを要求してもよい。幾つかの実施形態において、RFID送信機1904は、バッテリパック1900の識別情報をRFIDリーダ1906に送信してもよく、次いで、コントローラ402に通信される。他の実施形態において、RFID送信機1904は、バッテリパックの他の様々なパラメータをRFIDリーダ1906に送信してもよい。充電温度、電圧、放電/充電電流レベル等のようなパラメータは、RFIDリーダ1906に、次いで、コントローラ402に提供されてもよい。バッテリパック1900に関連する識別及び/又は1つ以上のパラメータを受信することに応答して、コントローラ402は、バッテリパック1900の情報に基づいて電動工具及び/又は充電器1902の動作を修正してもよい。
【0082】
更に他の実施形態において、ある特定のバッテリパック種類がある特定の電動工具又はバッテリ充電器内に受け入れることができないように、1つ以上の機械的特徴又はキーが、バッテリパック100のケーシング105等のバッテリパックのケーシングに適用されてもよい。
【0083】
従って、本明細書中に説明する実施形態は、とりわけ、電動工具及び/又は充電器がバッテリパックを識別することを可能にするための識別コンポーネント又は他の回路を有する、バッテリ駆動式電動工具のためのバッテリパックを提供する。その識別に基づいて、電動工具及び/又はバッテリ充電器は、電動工具及び/又はバッテリ充電器の動作を最適化するよう、1つ以上の動作パラメータを修正することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【国際調査報告】