(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-07
(54)【発明の名称】電気自動車用給電装置
(51)【国際特許分類】
H02H 7/00 20060101AFI20231130BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
H02H7/00 K
H02J7/00 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530534
(86)(22)【出願日】2021-11-18
(85)【翻訳文提出日】2023-06-28
(86)【国際出願番号】 EP2021082187
(87)【国際公開番号】W WO2022106559
(87)【国際公開日】2022-05-27
(32)【優先日】2020-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523183921
【氏名又は名称】インドラ リニューアブル テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】スクーリング,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ストロング,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】クンノス,ペトロス
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA06
(57)【要約】
電気自動車用給電装置(1)は、第1の試験モードから少なくとも第2の試験モードに切り替え可能であるように構成された試験回路(8)を有する。第1の試験モードにおいて、試験回路(8)は、ライブ端子(2)とニュートラル端子(3)との間の第1の電圧差、ライブ端子(2)と基準接地端子(5)との間の第2の電圧差、及び回路保護導体端子(4)と基準接地端子(5)との間の第3の電圧差を測定するように、並びに、第1の電圧差、第2の電圧差、及び第3の電圧差のうちの少なくとも1つが、それぞれの電圧制限値を超える場合には、充電用給電(12)を遮断するように構成されている。第2の試験モードにおいて、試験回路は、第1の電圧差を測定するように、及び、第1の電圧差がそれぞれの電圧制限値を超える場合には、充電用給電(12)を遮断し、第2の電圧差又は第3の電圧差のうちのいずれかの試験に応答して、充電用給電を遮断しないように構成されている。第1の電圧差の電圧制限値は、第1の試験モードにおける方が、第2の試験モードにおけるよりも大きくなるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幹線電源のそれぞれの導体に接続するための、少なくとも第1のライブ端子、ニュートラル端子及び回路保護導体端子、並びに接地基準に接続するための基準接地端子を有する電気自動車用給電装置であって、
電気自動車への充電用給電を提供するための給電回路であって、前記電気自動車から前記充電用給電を遮断するように制御可能な絶縁デバイスを含む、給電回路と、
前記電気自動車用給電装置の前記端子間の1つ又は複数の電圧差を試験するように、及び、少なくとも1つの電圧差が、前記それぞれの端子間のそれぞれの電圧制限値を超える場合には、前記給電回路の前記絶縁デバイスに前記電気自動車から前記充電用給電を遮断させるように構成された試験回路と、
を含み、
前記試験回路が、第1の試験モードから少なくとも第2の試験モードに切り替え可能であるように構成され、
前記試験回路が、前記第1の試験モードにおいて、前記第1のライブ端子と前記ニュートラル端子との間の第1の電圧差、前記第1のライブ端子と前記基準接地端子との間の第2の電圧差、及び前記回路保護導体端子と前記基準接地端子との間の第3の電圧差を試験するように、並びに、前記第1の電圧差、前記第2の電圧差、及び前記第3の電圧差のうちの少なくとも1つが、前記それぞれの端子間のそれぞれの電圧制限値を超える場合には、前記電気自動車から前記充電用給電を遮断するように構成され、
前記試験回路が、前記第2の試験モードにおいて、前記第1の電圧差を試験するように、及び、前記第1の電圧差がそれぞれの電圧制限値を超える場合には、前記電気自動車から前記充電用給電を遮断し、前記第2の電圧差又は前記第3の電圧差のうちのいずれかの試験に応答して、前記電気自動車から前記充電用給電を遮断しないように構成され、
前記第1の電圧差の前記電圧制限値が、前記第1の試験モードにおける方が、前記第2の試験モードにおけるよりも大きくなるように構成される、
電気自動車用給電装置。
【請求項2】
前記第1の試験モードにおいて、前記試験回路が、前記第1のライブ端子と前記ニュートラル端子との間の測定された電圧差、及び前記ニュートラル端子と前記基準接地端子との間の測定された電圧差を組み合わせることによって、前記第2の電圧差を試験するように、並びに、前記回路保護導体端子と前記ニュートラル端子との間の測定された電圧差、及び前記ニュートラル端子と前記基準接地端子との間の測定された電圧差を組み合わせることによって、前記第3の電圧差を試験するように構成される、請求項1に記載の電気自動車用給電装置。
【請求項3】
前記試験回路が、前記ニュートラル端子を基準とするアナログ回路と、前記回路保護導体端子を基準とするデジタル回路と、を含み、前記アナログ回路が保護絶縁回路によって前記デジタル回路に結合されており、前記アナログ回路が、少なくとも前記第1のライブ端子と前記ニュートラル端子との間の前記電圧差、前記ニュートラル端子と前記基準接地端子との間の前記電圧差、及び前記回路保護導体端子と前記ニュートラル端子との間の前記電圧差を測定するように構成される、請求項2に記載の電気自動車用給電装置。
【請求項4】
第2のライブ端子、及び第3のライブ端子を有し、前記第1のライブ端子、前記第2のライブ端子及び前記第3のライブ端子が、三相の幹線電源に接続するためのものであり、
前記試験回路が、前記第1の試験モード及び前記第2の試験モードにおいて、前記第2のライブ端子と前記ニュートラル端子との間の第4の電圧差を試験するように、及び、前記第3のライブ端子と前記ニュートラル端子との間の第5の電圧差を試験するように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の電気自動車用給電装置。
【請求項5】
幹線電源のそれぞれの導体に接続するための、少なくともライブ端子、ニュートラル端子及び回路保護導体端子、並びに接地基準に接続するための基準接地端子を有する電気自動車用給電装置であって、
電気自動車への充電用給電を提供するための給電回路であって、前記電気自動車から前記充電用給電を遮断するように制御可能な絶縁体デバイスを含む、給電回路と、
前記ライブ端子と前記ニュートラル端子との間の第1の電圧差、前記ライブ端子と前記基準接地端子との間の第2の電圧差、及び前記回路保護導体端子と前記基準接地端子との間の第3の電圧差を試験するように構成された試験回路であって、前記第1の電圧差、前記第2の電圧差、及び前記第3の電圧差のうちの少なくとも1つが、前記それぞれの端子間のそれぞれの電圧制限値を超える場合には、前記給電回路の前記絶縁体デバイスに、前記電気自動車から前記充電用給電を遮断させるように構成されている、試験回路と、
を含み、
前記試験回路が、前記ライブ端子と前記ニュートラル端子との間の測定された電圧差、及び前記ニュートラル端子と前記基準接地端子との間の測定された電圧差を組み合わせることによって、前記第2の電圧差を試験するように、並びに、前記回路保護導体端子と前記ニュートラル端子との間の測定された電圧差、及び前記ニュートラル端子と前記基準接地端子との間の測定された電圧差を組み合わせることによって、前記第3の電圧差を試験するように構成される、電気自動車用給電装置。
【請求項6】
前記試験回路が、前記ニュートラル端子を基準とするアナログ回路と、前記回路保護導体端子を基準とするデジタル回路と、を含み、前記アナログ回路は保護絶縁回路によって前記デジタル回路に接続されており、前記アナログ回路が、前記第1のライブ端子と前記ニュートラル端子との間の少なくとも前記電圧差を測定するように、前記ニュートラル端子と前記基準接地端子との間の前記電圧差を測定するように、及び、前記回路保護導体端子と前記ニュートラル端子との間の前記電圧差を測定するように構成される、請求項5に記載の電気自動車用給電装置。
【請求項7】
前記電気自動車用給電装置は、第2のライブ端子、及び第3のライブ端子を有し、前記第1のライブ端子、前記第2のライブ端子及び前記第3のライブ端子が、三相の幹線電源に接続するためのものであり、
前記試験回路が、前記第2のライブ端子と前記ニュートラル端子との間の第4の電圧差を試験するように、及び、前記第3のライブ端子と前記ニュートラル端子との間の第5の電圧差を試験するように構成される、請求項5又は請求項6に記載の電気自動車用給電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、電気自動車用給電装置に関する。電気自動車用給電装置は、電気自動車に接続させて電力を供給するのに適しており、通常、電力を供給して電気自動車のバッテリを充電するのに適している。
【背景技術】
【0002】
背景
1台又は複数台の電気自動車に接続させて電力を供給するための電気自動車用給電装置の市場が成長している。電気自動車用給電装置は、通常、単相若しくは三相の幹線電源、又は発電機などの電源に接続するように構成されており、これらの電源は、建物の内部に位置している場合もあれば、建物の外部に位置している場合もある。多種多様な状況で電気自動車用給電装置を設置することが必要な場合があり、こうした状況では、電源の特性、特に、電気アースとも呼ばれる電気接地に装置を接続するための配置に関してはバリエーションが多岐にわたる場合がある。それぞれの状況では、電気的安全性に対する要件を遵守することが必要であり、要件が満たされない場合は通常、車両への給電及びアース接続を切断することが必要である。電気的安全性要件を確実に遵守するようにすることは、装置の設置者にとって要求度が高く、時間がかかる可能性があり、複数の電気自動車用給電装置の代替的なバージョンが必要になったり、さらなる保護デバイスが必要になったりする可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
概要
本発明の第1の態様に従って、幹線電源のそれぞれの導体に接続するための、少なくとも第1のライブ端子、ニュートラル端子及び回路保護導体端子、並びに接地基準に接続するための基準接地端子を有する電気自動車用給電装置であって、
電気自動車への充電用給電を提供するための給電回路であって、電気自動車から充電用給電を遮断するように制御可能な絶縁デバイスを含む、給電回路と、
電気自動車用給電装置の端子間の1つ又は複数の電圧差を試験するように、及び、少なくとも1つの電圧差が、それぞれの端子間のそれぞれの電圧制限値を超える場合には、給電回路の絶縁デバイスに電気自動車から充電用給電を遮断させるように構成された試験回路と、
を含み、
試験回路が、第1の試験モードから少なくとも第2の試験モードに切り替え可能であるように構成され、
試験回路が、第1の試験モードにおいて、第1のライブ端子とニュートラル端子との間の第1の電圧差、第1のライブ端子と基準接地端子との間の第2の電圧差、及び回路保護導体端子と基準接地端子との間の第3の電圧差を試験するように、並びに、第1の電圧差、第2の電圧差、及び第3の電圧差のうちの少なくとも1つが、それぞれの端子間のそれぞれの電圧制限値を超える場合には、電気自動車から充電用給電を遮断するように構成されており、
試験回路が、第2の試験モードにおいて、第1の電圧差を試験するように、及び、第1の電圧差がそれぞれの電圧制限値を超える場合には、電気自動車から充電用給電を遮断し、第2の電圧差又は第3の電圧差のうちのいずれかの試験に応答して、電気自動車から充電用給電を遮断しないように構成されており、
第1の電圧差の電圧制限値は、第1の試験モードにおける方が、第2の試験モードにおけるよりも大きくなるように構成される、電気自動車用給電装置が提供されている。
【0004】
この配置により、電気的安全性要件により第1の試験モード又は第2の試験モードのいずれかの試験を実行することが要求される状況での設置に、単一バージョンの電気自動車用給電装置が好適であるようにすることが可能になる。さらに、第1の電圧差が、第1の試験モードにおける方が、第2の試験モードにおけるよりも大きくなるように電圧制限値を構成すると、第1の試験モードにおける充電用給電の電気自動車からの不必要な遮断の発生を低減する可能性がある。
【0005】
第1の試験モードにおいて、試験回路は、第1のライブ端子とニュートラル端子との間の測定された電圧差、及びニュートラル端子と基準接地端子との間の測定された電圧差を組み合わせることによって、第2の電圧差を試験するように、並びに、回路保護導体端子とニュートラル端子との間の測定された電圧差、及びニュートラル端子と基準接地端子との間の測定された電圧差を組み合わせることによって、第3の電圧差を試験するように構成することができる。
【0006】
この配置により、すべてがニュートラル端子を基準とする電圧測定値を使用して、第1のモードにおいて試験を実行することが可能になる。すべての測定値がニュートラル端子を基準とすることにより、単一の保護絶縁回路の使用が可能になることで、試験回路の複雑さの軽減が可能になる。
【0007】
試験回路は、ニュートラル端子を基準とするアナログ回路と、異なる端子、典型的には、回路保護導体端子を基準とするデジタル回路と、を含むことができ、アナログ回路は保護絶縁回路によってデジタル回路に結合されており、アナログ回路は、少なくとも第1のライブ端子とニュートラル端子との間の電圧差、ニュートラル端子と基準接地端子との間の電圧差、及び回路保護導体端子とニュートラル端子との間の電圧差を測定するように構成されている。
【0008】
この配置は、単一の保護絶縁回路を使用することによって、複雑さが軽減された試験回路を提供する。
【0009】
電気自動車用給電装置は、第2のライブ端子、及び第3のライブ端子を有することができ、第1のライブ端子、第2のライブ端子及び第3のライブ端子が、三相の幹線電源に接続するためのものであり、
試験回路が、第1の試験モード及び第2の試験モードにおいて、第2のライブ端子とニュートラル端子との間の第4の電圧差を試験するように、及び、第3のライブ端子とニュートラル端子との間の第5の電圧差を試験するように構成されている。
【0010】
この配置により、三相電源を使用して、第1のモード及び第2のモードにおいて試験回路を動作させることが可能になる。
【0011】
本発明の第2の態様に従って、幹線電源のそれぞれの導体に接続するための、少なくともライブ端子、ニュートラル端子及び回路保護導体端子、並びに接地基準に接続するための基準接地端子を有する電気自動車用給電装置であって、
電気自動車への充電用給電を提供するための給電回路であって、電気自動車から充電用給電を遮断するように制御可能な絶縁体デバイスを含む、給電回路と、
ライブ端子とニュートラル端子との間の第1の電圧差、ライブ端子と基準接地端子との間の第2の電圧差、及び回路保護導体端子と基準接地端子との間の第3の電圧差を試験するように構成された試験回路であって、第1の電圧差、第2の電圧差、及び第3の電圧差のうちの少なくとも1つが、それぞれの端子間のそれぞれの電圧制限値を超える場合には、給電回路の絶縁体デバイスに、電気自動車から充電用給電を遮断させるように構成されている、試験回路と、
を含み、
試験回路が、ライブ端子とニュートラル端子との間の測定された電圧差、及びニュートラル端子と基準接地端子との間の測定された電圧差を組み合わせることによって、第2の電圧差を試験するように、並びに、回路保護導体端子とニュートラル端子との間の測定された電圧差、及びニュートラル端子と基準接地端子との間の測定された電圧差を組み合わせることによって、第3の電圧差を試験するように構成される、電気自動車用給電装置が提供されている。
【0012】
この配置により、すべてがニュートラル端子を基準とする電圧測定値を使用して、第1のモードにおいて試験を実行することが可能になる。すべての測定値がニュートラル端子を基準とすることにより、単一の保護絶縁回路の使用が可能になることで、試験回路の複雑さの軽減が可能になる。
【0013】
試験回路は、ニュートラル端子を基準とするアナログ回路と、回路保護導体端子を基準とするデジタル回路と、を含むことができ、アナログ回路は、保護絶縁回路によってデジタル回路に接続されており、アナログ回路は、少なくとも第1のライブ端子とニュートラル端子との間の電圧差を測定するように、ニュートラル端子と基準接地端子との間の電圧差を測定するように、及び、回路保護導体端子とニュートラル端子との間の電圧差を測定するように構成されている。
【0014】
この配置は、単一の保護絶縁回路を使用することによって、複雑さが軽減された試験回路を提供する。
【0015】
電気自動車用給電装置は、第2のライブ端子、及び第3のライブ端子を有することができ、第1のライブ端子、第2のライブ端子及び第3のライブ端子が、三相の幹線電源に接続するためのものであり、
試験回路が、第2のライブ端子とニュートラル端子との間の第4の電圧差を試験するように、及び、第3のライブ端子とニュートラル端子との間の第5の電圧差を試験するように構成されている。
【0016】
この配置により、三相電源を使用して、第1のモード及び第2のモードにおいて試験回路を動作させることが可能になる。
【0017】
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付の図面を参照しながらなされる以下の本発明の例の説明から明白になるであろう。
【0018】
図面の簡単な説明
本発明をより容易に理解できるようにするために、ここで添付の図面を参照しながら、本発明の例を説明することにする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】アース基準電極を有して設置された、電気自動車用給電装置を示す概略図である。
【
図2】アース基準電極なしで設置された、電気自動車用給電装置を示す概略図である。
【
図3】単相電源とともに使用するための電気自動車用給電装置を示す概略図である。
【
図4】三相電源とともに使用するための電気自動車用給電装置を示す概略図である。
【
図5】電気自動車用供電装置におけるアナログ回路とデジタル回路との間の保護絶縁回路の使用を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
詳細な説明
本発明の例は、電気自動車を充電する目的で電気自動車への電力供給を提供するために使用される、変電所からの幹線電源によって電力供給される家庭で使用するための電気自動車用給電装置(EVSE:electric vehicle supply equipment)の文脈で説明される。しかしながら、これらの例は、この文脈に限定されず、例えば、EVSEは、事務所内若しくは工業施設構内、又は任意の他の場所で使用することができ、建物の内部に設置してもよいし、建物の外部に設置してもよい。電力供給は、発電機又は他の電力源によって提供することができる。さらに、これらの例は、例えば、移動住宅などの他の屋外の電動車両、並びに家庭用バッテリ、エアコン及びヒートポンプなどの他の物品への電力供給を提供する他の電力供給装置に当てはまる場合がある。
【0021】
図1は、ライブ17、ニュートラル18及び回路保護導体(CPC:circuit protection conductor)19への接続に加え、接地基準16に接続させて設置されたEVSE1を示す。CPCは、示されているように、EVSE1が設置されている構内でニュートラル18に接続24してもよいし、構内に幹線電力を供給する変電所25でニュートラルに接続してもよい。CPC19は、障害状態にある障害電流を伝えるように構成されており、一方、接地基準16は、電圧基準源として意図されている。接地基準源は通常、障害電流を伝えるようには構成されておらず、CPC19に接続されていない。接地基準16は、EVSE1とともに使用するため専用に設置される場合もあれば、接地への既存の接続とする場合もある。
図1は、充電用のEVSE1に接続された電気自動車13もまた示している。
【0022】
図1に示されているように、この例では、変電所へのニュートラル接続が中断することによって引き起こされた電力供給の障害26が存在する可能性がある。この場合、ニュートラル及びCPCには、電気自動車が充電されている場所のまわりの局所的な接地よりも高い電圧がかかってしまう可能性がある。これは安全上の危険となる可能性がある。なぜなら、電気自動車13に触れる人が、街灯柱23又は任意の他のアースされた物体24など、局所的に接地された物体にも触れる可能性があり、感電する可能性があるからである。
図1に示されているような設備の安全上の危険を検出するために、安全規則又はそれ以外の規則によって、EVSE1は、ライブと基準接地との間の電圧22、ライブとニュートラルとの間の電圧21、及びCPCと基準接地との間の電圧20を試験し、これらの電圧のうちのいずれか1つが指定レベルを超える場合には、電気自動車への供給を遮断することが必要な場合がある。
【0023】
図2は、
図1に示されている設備の代替的な設備を示す。
図2の例の場合には、EVSE1は、接地基準電極なしで設置されている。この場合、CPCの変電所への接続の中断によって引き起こされる設備の安全上の危険を検出するために、安全規則又はそれ以外の規則によって、EVSE1は、ライブとニュートラルとの間の電圧21を試験することが必要な場合がある。この場合、基準接地がないので、ライブと基準接地との間の電圧、又はCPCと基準接地との間の電圧を試験することは必要でない可能性がある。この場合、ライブ17とニュートラル18との間の電圧21が指定レベルを超える場合には、電気自動車への供給を遮断することが必要な場合がある。
【0024】
図3は、基準接地を有する
図1の配置、又は基準接地のない
図2の配置のいずれかにおける設備に使用し得るEVSE1の一例を示している。EVSE1は、例えば、
図1に示されているような、接地基準が使用される場合に必要な電圧を試験するための第1の試験モードと、例えば、
図2に示されているような、接地基準が使用されない場合に必要な電圧を試験するための第2の試験モードと、の間で切り替え可能な試験回路8を有する。モード間の切り替えは、スイッチ27によるものとすることができる。スイッチは、機械的なものであってもよいし、電気機械的なものであってもよいし、ソフトウェア制御を介して実現してもよい。スイッチは、設置者が操作してもよいし、適切な試験回路類又はソフトウェアに応答して自動的に制御してもよいし、例えば、インターネット接続を介して遠隔で制御してもよい。
【0025】
図3に示されているように、この例におけるEVSE1は、幹線電源のそれぞれの導体に接続するための、第1のライブ端子2と、ニュートラル端子3及びCPC端子4と、接地基準に接続するための基準接地端子5と、を有する。端子は、例えば、無頭ねじ、圧着、クランプ又は任意の他の適切な接続方法によって、幹線電源、典型的には、交流電流(AC)幹線電源に接続するのに適した標準的な電気端子とすることができる。
図3の例では、単相の幹線電源は、単一のライブ端子2を有して示されている。
【0026】
EVSE1は、電気自動車13への充電用給電を提供するための給電回路6を含み、この給電回路6は、電気自動車13から充電用給電を遮断又は減結合するように制御可能な絶縁デバイス7を含む。この例による絶縁デバイス7は、継電器とすることができる。給電回路6は、電気自動車13に接続するための、ライブ端子2及びニュートラル端子3から充電用給電6のそれぞれの出力12への接続を含み、これにより、電気自動車用の充電用給電もまた、ACであるようにすることができる。給電回路から電気自動車への接続は通常、CPC端子4に接続されたアース接続28と、EVSE1と電気自動車13との間で交信される信号を伝える通信接続29と、を含む。
【0027】
試験回路8は、1つ又は複数のデジタルプロセッサによって実装することができるが、それは、EVSE1の端子間の1つ又は複数の電圧差を試験するように、及び、少なくとも1つの電圧差が、それぞれの端子間のそれぞれの電圧制限値を超える場合には、給電回路の絶縁デバイス7に、電気自動車13から充電用給電12を遮断させるように構成されている。試験回路8は、第1の試験モードから少なくとも第2の試験モードにスイッチ27によって、本例では、電気機械的なスイッチによって切り替え可能であるように構成されている。試験回路8は、第1の試験モードにおいて、第1のライブ端子2とニュートラル端子3との間の第1の電圧差、第1のライブ端子2と基準接地端子5との間の第2の電圧差、及びCPC端子4と基準接地端子5との間の第3の電圧差を試験するように構成されている。いくつかの例では、試験は、異なる端子の対の間の測定を組み合わせることによるものとすることができる。第2の試験モードにおいて、試験回路8は、第1の電圧差、すなわち、ライブ端子とニュートラル端子との間の電圧差を試験し、第2の電圧差も第3の電圧差も試験しないように構成されている。ニュートラル及びライブの対以外の端子の対の間の電圧を測定するための回路類は、任意に、第2のモードにおいてアクティブであってもよいが、どの測定の結果も、電気自動車への充電用給電12が遮断されるかどうかの判定には使用されない。
【0028】
本発明者らは、第1の試験モードのライブ-ニュートラル間電圧の電圧制限値又は閾値を、第2の試験モードのライブ-ニュートラル間電圧の電圧制限値又は閾値よりも高く設定することが有益な場合があることを見出した。第1の試験モードが適切な設備の場合のように、接地基準を有する設備では、電圧制限値を高くすると、安全性要件を満たすことができる。しかしながら、第2の試験モードが適切な設備では、電圧制限値を高くすると、特に、接地基準のない設備のいくつかの場合には、安全性要件を満たさない場合がある。通常、電気自動車及びアースされた物体と同時に接触している危険がある場合には、第1の試験モードを選択することができ、電気自動車及びアースされた物体と同時に接触している危険がない場合には、第2の試験モードを選択することができる。第1の試験モード及び第2の試験モードはいずれも、
図1及び
図2に示されているように、EVSEが設置されている構内への幹線電源において保護アース/ニュートラル接続が中断26している危険に対する保護を提供する。
【0029】
電圧制限値を高くすると、電気自動車への給電の疑似的な遮断(spurious disconnection)の確率が低くなるという長所がある。一方の試験モードからもう一方の試験モードに変更するときに、ライブ-ニュートラル間電圧の制限値を変更することによって、設備が簡素化され、設置されたEVSEの動作が改良される。
【0030】
本例では、第1の試験モードにおいて、試験回路は、第1のライブ端子2とニュートラル端子3との間の測定された電圧差、及びニュートラル端子3と基準接地端子5との間の測定された電圧差を組み合わせることにより、典型的には、加算することにより、第2の電圧差、すなわち、ライブ端子2と基準接地端子5との間の差を試験するように構成されている。同じく、第3の電圧差(CPC-基準接地間)は、回路保護導体端子4とニュートラル端子3との間の測定された電圧差、及びニュートラル端子3と基準接地端子5との間の測定された電圧差を組み合わせることによって試験される。2対の端子間の測定をこのように組み合わせて単一の端子対間の電圧を試験することは、例えば、ニュートラル導体上のノイズが2つの測定で異なっている可能性があるために、精度の低い結果が得られる可能性がある、という短所を有すると考えられる場合がある。しかしながら、この手法は、測定がそれぞれ同じ導体、この場合ではニュートラル端子を基準とすることができるという、より大きな利点を有する可能性があることがわかっている。これにより、単一の保護絶縁回路10を使用した回路の実装が可能になり、この保護絶縁回路は変圧器であってもよいし、例えば、光アイソレータであってもよい。保護絶縁回路10は、高価で嵩が高い可能性があるため、1つだけをこの目的のために使用することが有利である。
【0031】
試験回路8は、
図3に示されているように、ニュートラル端子3を基準とするアナログ回路9と、CPC端子4を基準とするデジタル回路11と、を含み、アナログ回路9は保護絶縁回路10によってデジタル回路11に結合されている。アナログ回路は通常、アナログ-デジタル変換器を有するとともに、少なくとも、第1のライブ端子2とニュートラル端子3との間の電圧差、ニュートラル端子3と基準接地端子5との間の電圧差、及びCPC端子4とニュートラル端子3との間の電圧差を測定するように構成されている。試験回路は、必要に応じて動作モード間の切り替えができないEVSEで使用される場合があり得る。
【0032】
図4は、三相の電源とともに使用するために構成された、EVSE1の一例を示す。EVSEは、第2のライブ端子14と、第3のライブ端子15と、を有する。第1のライブ端子2、第2のライブ端子14、及び第3のライブ端子15は、三相の電源のそれぞれの3つのライブ相に接続するためのものであり、ニュートラル端子3は、三相の電源のニュートラル導体に接続するためのものである。
図4の配置の場合、試験回路は、第1の試験モード及び第2の試験モードにおいて、第2のライブ端子14とニュートラル端子3との間の第4の電圧差を試験するように、及び、第3のライブ端子15とニュートラル端子3との間の第5の電圧差を試験するように構成されている。ライブ-ニュートラル間電圧が、三相のうちのいずれかのモードの指定制限値を超える場合には、試験回路は、電気自動車への充電用給電を遮断することになる。
【0033】
試験回路の第1の試験モード及び第2の試験モードの具体的な一例は、以下のとおりである。第1の試験モードにおいて、「L-Nトリップ」が、トリップ電圧、すなわち、ライブ端子とニュートラル端子との間の指定電圧差を有するように設定され、これを上回ると、電気自動車への充電用給電12が遮断されるが、この例では、指定電圧差は公称で230Vの幹線系統の場合にRMS(実効値)で258Vである。これは公称電圧を12%上回っている。本例の、第2の試験モードにおいて、「L-Nトリップ」がRMSで253Vのトリップ電圧を有するように設定されており、これは公称電圧を10%上回っている。ライブ-ニュートラル間電圧測定値(第1の電圧差とも呼ばれる)の電圧制限値は、第1の試験モードにおける方が、第2の試験モードにおけるよりも大きくなるように構成されていることがわかる。この例では、ライブ-ニュートラル間電圧測定値の電圧制限値は、第1の試験モードにおける方が、第2の試験モードにおけるよりも2%だけ大きく構成されている。これらの例において、ライブ-ニュートラル間電圧測定値の電圧制限値は、第1の試験モードにおける方が、第2の試験モードにおけるよりも少なくとも1%、少なくとも2%、さらには少なくとも5%高くなるように構成することができる。これら例では、第2のモードにおいて、電圧制限値は、公称電圧を5%、7%又は10%上回っていてもよい。この一見わずかな差は、制限値又は閾値の約5Vの上昇に匹敵するが、それは、変わり易く、及び/又は信頼度の低い給電電圧に起因する充電用給電の不必要な遮断を低減するという点では有意な利点を有することがわかっている。第1の電圧差の下限値もまた設定される場合があり、電圧差がそれぞれの端子間の下限値未満である場合には、電気自動車への給電が遮断される場合がある。第1のモードでは、ライブ端子とニュートラル端子との間の電圧差に対する下限値は、これを下回ると電気自動車への充電用給電12が遮断されるが、この下限値は、RMSで202Vに設定することができ、第2モードでは、下限値は、RMSで207Vに設定することができる。制限値又は閾値のサイズは、任意の特定の給電区域の給電電圧の質に応じて変わる場合がある。第2のモードでは、規制により、第1のモードでは許容され得る電圧制限値の上昇が禁止されている場合がある。この例では、第1の試験モードにおけるライブ-基準接地間電圧試験「L-TT Refトリップ」は、指定制限値がRMSで258Vであり、CPC-基準接地間電圧試験「PME-TT Refトリップ」は、指定制限値がRMSで30Vである。第2の試験モードでは、ライブ-基準接地間電圧試験も、CPC-基準接地間電圧試験も行われない。
【0034】
図5は、EVSE内にアナログ回路9とデジタル回路11との間に保護絶縁回路10を有する試験回路8の一部の一例を示す概略図である。保護絶縁回路10は、例えば、変圧器又は光アイソレータによって実装することができる。これによりアナログ回路、(ニュートラルを基準とする)、及びデジタル回路(CPCを基準とする)のそれぞれの局所的な接地が相互に対して浮動することが可能になり、安全性及び場合によってはノイズ低減の面で利点を提供する。ライブ端子ライブ2、CPC端子4、及び基準接地端子5への接続が、それぞれのライブ信号、CPC(「アース」)信号、及び基準接地信号を供給するが、これらは、多重化スイッチを介して順次供給することができる。信号はそれぞれ、ニュートラル端子3によって提供される局所的なアナログ接地を基準とする。各信号は、アナログ回路類9に入り、抵抗器ネットワーク30によって減衰される。信号は、次に、100Hzよりも高い周波数を除去するようにフィルタリング31され、その後、アナログ-デジタル変換器(ADC)32に送給される。信号はADCの中に多重化することができる。ADCからのデジタル信号は、絶縁体33を介してシリアルマイクロコントローラのSPIポート34に送られる。デジタル信号は、高速フーリエ変換(FFT)を使用するデジタル信号処理機能ブロック35に供給され、幹線周波数における大きさのAC信号を供給する。マイクロコントローラは、入力幹線のライブ、アース、及び基準電極接続が利用可能な場合には、それを監視する。一例では、電圧のうちのいずれかが4秒よりも長く許容範囲外に低下した場合には、電圧低下後5秒以内に幹線が車両から遮断されるか、又は事象が過ぎ去ってしまうまで幹線電圧を車両に接続させないようにする。車両が接続され、充電されている場合には、障害が2秒続いた後に、車両に対する制御パイロット信号が、EVSEが充電用電流をもはや供給しておらず、車両の充電を停止しようとしていることを示すことになる。4秒間が経過する前に給電が正常に戻れば、EVSEは、正しい給電状態が続くことを10秒間観察しなければならず、その後、車両は再び充電を許可される。
【0035】
いずれかの一例に関して説明した特徴はすべて、単独で使用してもよいし、説明した他の特徴と組み合わせて使用してもよいし、また、任意の他の例のうちの1つ又は複数の特徴と組み合わせて、又は任意の他の例のうちの任意の組み合わせと組み合わせて、使用してもよいことを理解されたい。さらに、上述されていない均等物及び修正もまた、添付の特許請求の範囲で定義されている本発明の範囲から逸脱することなく、用いることができる。
【国際調査報告】