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特表2023-551204最適化ペプチドワクチンの組成物および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-07
(54)【発明の名称】最適化ペプチドワクチンの組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/12 20060101AFI20231130BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20231130BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20231130BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231130BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231130BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20231130BHJP
   C07K 14/47 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
C12N15/12
A61P37/04 ZNA
A61K48/00
A61P43/00 105
A61P35/00
A61K39/00 H
C07K14/47
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530750
(86)(22)【出願日】2021-11-19
(85)【翻訳文提出日】2023-07-18
(86)【国際出願番号】 US2021060013
(87)【国際公開番号】W WO2022109220
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】17/389,875
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/114,237
(32)【優先日】2020-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/336,960
(32)【優先日】2021-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/249,235
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/100,630
(32)【優先日】2020-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】523186829
【氏名又は名称】シンク・セラピューティクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Think Therapeutics, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】ギフォード,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】カーター,ブランドン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA13
4C084NA14
4C084ZB091
4C084ZB092
4C084ZB211
4C084ZB212
4C084ZB261
4C084ZB262
4C085AA03
4C085BB01
4C085BB11
4C085CC01
4C085DD62
4C085EE01
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045CA40
4H045DA86
4H045EA31
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、核酸配列およびペプチド配列の方法、系、および組成物を提供する。本開示は、配列番号1~6、配列番号8~10、配列番号12~28、および配列番号30~41からなる群から選択される少なくとも2つのアミノ酸配列をコードする核酸配列を提供する。また、本開示は、配列番号42~65からなる群から選択される少なくとも1つのペプチドを含む免疫原性ペプチド組成物を提供する。本開示は、配列番号1550~1593からなる群から選択される少なくとも2つのアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む組成物を提供する。本開示は、配列番号1595~1661からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列をコードする核酸配列をさらに提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、および配列番号41からなる群から選択される少なくとも2つのアミノ酸配列をコードする核酸配列。
【請求項2】
免疫原性組成物である、請求項1に記載の核酸配列。
【請求項3】
発現用のコンストラクト中にてインビボで投与される、請求項1に記載の核酸配列。
【請求項4】
前記核酸配列の前記インビボ投与は、HLAクラスI分子により提示される少なくとも1つのペプチドを産生するように構成されている、請求項3に記載の核酸配列。
【請求項5】
前記少なくとも1つのペプチドは、突然変異型KRASタンパク質の修飾断片または未修飾断片である、請求項4に記載の核酸配列。
【請求項6】
前記突然変異型KRASタンパク質は、KRAS G12D、KRAS G12V、KRAS G12R、KRAS G12C、およびKRAS G13Dからなる群から選択される、請求項5に記載の核酸配列。
【請求項7】
がんを予防するために有効量で対象に投与される、請求項3に記載の核酸配列。
【請求項8】
がんを治療するために有効量で対象に投与される、請求項3に記載の核酸配列。
【請求項9】
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、および配列番号41からなる群から選択される少なくとも2つペプチドを含む免疫原性ペプチド組成物。
【請求項10】
前記少なくとも2つのペプチドのうちの少なくとも1つのペプチドは、対象においてHLAクラスI分子により提示される、請求項9に記載の免疫原性ペプチド組成物。
【請求項11】
前記少なくとも2つのペプチドのうちの少なくとも1つのペプチドは、突然変異型KRASタンパク質の修飾断片または未修飾断片である、請求項9に記載の免疫原性ペプチド組成物。
【請求項12】
前記突然変異型KRASタンパク質は、KRAS G12D、KRAS G12V、KRAS G12R、KRAS G12C、およびKRAS G13Dからなる群から選択される、請求項11に記載の免疫原性ペプチド組成物。
【請求項13】
がんを予防するために有効量で対象に投与される、請求項9に記載の免疫原性ペプチド組成物。
【請求項14】
がんを治療するために有効量で対象に投与される、請求項9に記載の免疫原性ペプチド組成物。
【請求項15】
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、および配列番号41からなる群から選択される少なくとも3つのペプチドを含む、請求項9に記載の免疫原性ペプチド組成物。
【請求項16】
配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、および配列番号65からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列をコードする核酸配列。
【請求項17】
請求項16に記載の核酸配列を含む免疫原性組成物。
【請求項18】
発現用のコンストラクト中にてインビボで投与される、請求項16に記載の核酸配列。
【請求項19】
前記核酸配列の前記インビボ投与は、HLAクラスII分子により提示される少なくとも1つのペプチドを産生するように構成されている、請求項18に記載の核酸配列。
【請求項20】
前記少なくとも1つのペプチドは、突然変異型KRASタンパク質の修飾断片である、請求項16に記載の核酸配列。
【請求項21】
前記突然変異型KRASタンパク質は、KRAS G12D、KRAS G12V、KRAS G12R、KRAS G12C、およびKRAS G13Dからなる群から選択される、請求項20に記載の核酸配列。
【請求項22】
がんを予防するために有効量で対象に投与される、請求項16に記載の核酸配列。
【請求項23】
がんを治療するために対象に有効量で投与される、請求項16に記載の核酸配列。
【請求項24】
配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、および配列番号65からなる群から選択される少なくとも1つのペプチドを含む免疫原性ペプチド組成物。
【請求項25】
前記免疫原性ペプチド組成物中の少なくとも1つのペプチドは、HLAクラスII分子により提示される、請求項24に記載の免疫原性ペプチド組成物。
【請求項26】
前記免疫原性ペプチド組成物中の少なくとも1つのペプチドは、突然変異型KRASタンパク質の修飾断片または未修飾断片である、請求項24に記載の免疫原性ペプチド組成物。
【請求項27】
前記突然変異型KRASタンパク質は、KRAS G12D、KRAS G12V、KRAS G12R、KRAS G12C、およびKRAS G13Dからなる群から選択される、請求項26に記載の免疫原性ペプチド組成物。
【請求項28】
がんを予防するために有効量で対象に投与される、請求項24に記載の免疫原性ペプチド組成物。
【請求項29】
がんを治療するために有効量で対象に投与される、請求項24に記載の免疫原性ペプチド組成物。
【請求項30】
配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、および配列番号65からなる群から選択される少なくとも2つのペプチドを含む、請求項24に記載の免疫原性ペプチド組成物。
【請求項31】
免疫原性ペプチド組成物を形成するための方法であって、
プロセッサを使用して、
複数の未修飾ペプチド配列を選択することにより第1のペプチドセットを作出する工程であって、前記複数の未修飾ペプチド配列のうちの少なくとも1つのペプチド配列は、腫瘍ネオ抗原または自己タンパク質に関連付けられる、工程、
前記第1のペプチドセット中の各ペプチド配列毎に、複数のペプチド-HLA結合スコアを決定する工程、
前記第1のペプチドセット中の各ペプチド配列が、少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して第1の閾値を満たすペプチド-HLA結合スコアを有するか否かを決定する工程、
前記第1のペプチドセットおよび複数の修飾ペプチド配列を含む第2のペプチドセットを作出する工程であって、前記複数の修飾ペプチド配列の各修飾ペプチド配列は、前記第1のペプチドセット中のペプチド配列の少なくとも1つのアミノ酸残基の置換を含む、工程、
前記第2のペプチドセット中の各修飾ペプチド配列が、前記少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して第2の閾値を満たすペプチド-HLA結合スコアを有するか否かを決定する工程であって、前記第2の閾値は前記第1の閾値よりも制約されている、工程、ならびに
前記第2のペプチドセットのサブセットを選択することにより第3のペプチドセットを作出する工程であって、前記選択は集団カバー率を計算することを含み、前記集団カバー率の計算は、修飾ペプチド配列に関連付けられる未修飾ペプチド配列のペプチド-HLA結合スコアが、第1のHLA対立遺伝子に関して前記第1の閾値を満たさない場合、前記修飾ペプチド配列の、前記第1のHLA対立遺伝子に関するペプチド-HLA結合スコアを除外することを含み、前記選択されたサブセットは、第3の閾値を上回る集団カバー率を有する、工程
を実施すること;
実験的アッセイを実施して、前記第3のペプチドセット中の少なくとも1つのペプチド配列について、ペプチド-HLA免疫原性メトリックを得ること;ならびに
前記実験的アッセイが実施された前記第3のペプチドセット中の前記少なくとも1つのペプチド配列を含む免疫原性ペプチド組成物を形成すること
を含む方法。
【請求項32】
前記複数の未修飾ペプチド配列を選択して前記第1のペプチドセットを作出することは、前記腫瘍ネオ抗原または前記自己タンパク質をコードするアミノ酸配列にわたってサイズnの窓をスライドさせることを含み、nは、約8アミノ酸長~約25アミノ酸長であり、nは、前記第1のペプチドセット中の前記複数の未修飾ペプチド配列の各ペプチド配列の長さである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記第1のペプチドセット中の各ペプチド配列は、HLAクラスI分子またはHLAクラスII分子に結合する、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記第1のペプチドセットをフィルタリングして、標的残基をアンカー位置に含む予測結合コアを有するペプチド配列を除外することをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記第1のペプチドセット中の各ペプチド配列の少なくとも1つのアミノ酸残基を置換することをさらに含み、前記第1のペプチドセット中の少なくとも1つのペプチド配列について、前記少なくとも1つのアミノ酸残基は、アンカー位置に存在する、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記第1の閾値は、約1000nM未満の結合親和性である、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
前記集団カバー率は、前記少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して計算される、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
前記第2の閾値は、約500nM未満の結合親和性である、請求項31に記載の方法。
【請求項39】
前記集団カバー率は、ヒト集団におけるHLAハプロタイプの頻度に基づいて計算される、請求項31に記載の方法。
【請求項40】
前記集団カバー率は、ヒト集団における前記少なくとも3つのHLA対立遺伝子の頻度に基づいて計算される、請求項31に記載の方法。
【請求項41】
前記複数の未修飾ペプチド配列は、対象に存在する前記腫瘍ネオ抗原または前記自己タンパク質に由来する、請求項31に記載の方法。
【請求項42】
前記第3の閾値は、約0.7~約0.8のヒト集団の割合である、請求項31に記載の方法。
【請求項43】
前記腫瘍ネオ抗原または前記自己タンパク質は、がんに関連付けられ、前記がんは、膵臓、結腸、直腸、腎臓、気管支、肺、子宮、子宮頸部、膀胱、肝臓、および胃からなる群から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項44】
免疫原性ペプチド組成物を形成するための方法であって、
プロセッサを使用して、
複数の未修飾ペプチド配列を選択することにより第1のペプチドセットを作出する工程であって、前記複数の未修飾ペプチド配列は、腫瘍ネオ抗原または自己タンパク質に関連付けられる、工程、
前記第1のペプチドセット中の各ペプチド配列毎に、複数のペプチド-HLA免疫原性メトリックを決定する工程、前記第1のペプチドセット中の各ペプチド配列が、少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して第1の閾値を満たすペプチド-HLA免疫原性メトリックを有するか否かを決定する工程、
前記第1のペプチドセットおよび複数の修飾ペプチド配列を含む第2のペプチドセットを作出する工程であって、前記複数の修飾ペプチド配列の各修飾ペプチド配列は、前記第1のペプチドセット中のペプチド配列の少なくとも1つのアミノ酸残基の置換を含む、工程、
前記第2のペプチドセット中の各修飾ペプチド配列が、前記少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して第2の閾値を満たすペプチド-HLA免疫原性メトリックを有するか否かを決定する工程であって、前記第2の閾値は前記第1の閾値よりも制約されている、工程、ならびに
前記第2のペプチドセットのサブセットを選択することにより第3のペプチドセットを作出する工程であって、前記選択は、予測ワクチン性能を計算することを含み、前記予測ワクチン性能の計算は、修飾ペプチド配列に関連付けられる未修飾ペプチド配列のペプチド-HLA免疫原性メトリックが、第1のHLA対立遺伝子に関して前記第1の閾値を満たさない場合、前記修飾ペプチド配列の、前記第1のHLA対立遺伝子に関するペプチド-HLA免疫原性メトリックを除外することを含み、前記予測ワクチン性能は、前記第3のペプチドセット中の各ペプチド配列の非除外ペプチド-HLA免疫原性メトリックの関数である、工程
を実施すること;
実験的アッセイを実施して、前記第3のペプチドセット中の少なくとも1つのペプチド配列について、ペプチド-HLA免疫原性メトリックを得ること;ならびに
前記実験的アッセイが実施された前記第3のペプチドセット中の前記少なくとも1つのペプチド配列を含む免疫原性ペプチド組成物を形成すること
を含む方法。
【請求項45】
前記複数の未修飾ペプチド配列を選択して前記第1のペプチドセットを作出することは、前記腫瘍ネオ抗原または前記自己タンパク質をコードするアミノ酸配列にわたってサイズnの窓をスライドさせることを含み、nは、約8アミノ酸長~約25アミノ酸長であり、nは、前記第1のペプチドセット中の前記複数の未修飾ペプチド配列の各ペプチド配列の長さである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記第1のペプチドセット中の各ペプチド配列は、HLAクラスI分子またはHLAクラスII分子に結合する、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記第1のペプチドセットをフィルタリングして、標的残基をアンカー位置に含む予測結合コアを有するペプチド配列を除外することをさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記第1のペプチドセット中の各ペプチド配列の少なくとも1つのアミノ酸残基を置換することをさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
前記第1の閾値は、約1000nM未満の結合親和性である、請求項44に記載の方法。
【請求項50】
免疫原性ペプチド組成物を形成するための方法であって、
プロセッサを使用して、
複数の未修飾ペプチド配列を選択することにより第1のペプチドセットを作出する工程であって、前記複数の未修飾ペプチド配列の各ペプチド配列は、腫瘍ネオ抗原または自己タンパク質に関連付けられる、工程、
前記第1のペプチドセット中の各ペプチド配列毎に、複数のペプチド-HLA結合スコアを決定する工程、前記第1のペプチドセット中の各ペプチド配列が、少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して第1の閾値を満たすペプチド-HLA結合スコアを有するか否かを決定する工程、
前記第1のペプチドセットおよび複数の修飾ペプチド配列を含む第2のペプチドセットを作出する工程であって、前記複数の修飾ペプチド配列の各修飾ペプチド配列は、前記第1のペプチドセット中のペプチド配列の少なくとも1つのアミノ酸残基の置換を含む、工程、
前記第2のペプチドセット中の各修飾ペプチド配列が、前記少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して第2の閾値を満たすペプチド-HLA結合スコアを有するか否かを決定する工程であって、前記第2の閾値は前記第1の閾値よりも制約されている、工程、ならびに
前記第2のペプチドセットのサブセットを選択することにより第3のペプチドセットを作出する工程であって、前記選択は、予測ワクチン性能を計算することを含み、前記予測ワクチン性能の計算は、修飾ペプチド配列に関連付けられる未修飾ペプチド配列のペプチド-HLA結合スコアが、第1のHLA対立遺伝子に関して前記第1の閾値を満たさない場合、前記修飾ペプチド配列の、前記第1のHLA対立遺伝子に関するペプチド-HLA結合スコアを除外することを含み、前記予測ワクチン性能は、前記第3のペプチドセット中の各ペプチド配列の非除外ペプチド-HLA結合スコアの関数である、工程
を実施すること;
実験的アッセイを実施して、前記第3のペプチドセット中の少なくとも1つのペプチド配列について、ペプチド-HLA免疫原性メトリックを得ること;ならびに
前記実験的アッセイが実施された前記第3のペプチドセット中の前記少なくとも1つのペプチド配列を含む免疫原性ペプチド組成物を形成すること
を含む方法。
【請求項51】
前記第2の閾値は、1つまたは複数の実験的アッセイから得られるデータに基づく、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記予測ワクチンの性能は、さらに、前記第1のペプチドセット中の第1のペプチド配列が、第1の結合コアにより前記少なくとも3つのHLA対立遺伝子のうちの第2のHLA対立遺伝子に結合すると予測される場合、前記少なくとも3つのHLA対立遺伝子のうちの前記第2のHLA対立遺伝子に結合した前記複数の修飾ペプチド配列のうちの少なくとも1つの修飾ペプチド配列のペプチド-HLA免疫原性メトリックの関数であり、前記第1の結合コアは、前記第1のペプチド配列の結合コアであり、前記第1の結合コアは第2の結合コアと同一であり、前記第1の結合コアおよび前記第2の結合コアは、ペプチド配列内にアミノ酸位置を含み、前記第2の結合コアは、前記第2のHLA対立遺伝子に結合した前記複数の修飾ペプチド配列のうちの前記少なくとも1つの修飾ペプチド配列の結合コアである、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
免疫原性ペプチド組成物を形成するための方法であって、
プロセッサを使用して、
複数の未修飾ペプチド配列を選択することにより第1のペプチドセットを作出する工程であって、前記複数の未修飾ペプチド配列のうちの少なくとも1つのペプチド配列は、腫瘍ネオ抗原または自己タンパク質に関連付けられる、工程、前記第1のペプチドセット中の各ペプチド配列毎に、複数のペプチド-HLA結合スコアを決定する工程、
前記第1のペプチドセット中の各ペプチド配列が、少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して第1の閾値を満たすペプチド-HLA結合スコアを有するか否かを決定する工程、
前記第1のペプチドセットおよび複数の修飾ペプチド配列を含む第2のペプチドセットを作出する工程であって、前記複数の修飾ペプチド配列の各修飾ペプチド配列は、前記第1のペプチドセット中のペプチド配列の少なくとも1つのアミノ酸残基の置換を含む、工程、
前記第2のペプチドセット中の各修飾ペプチド配列が、前記少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して第2の閾値を満たすペプチド-HLA結合スコアを有するか否かを決定する工程であって、前記第2の閾値は前記第1の閾値よりも制約されている、工程、
前記第2のペプチドセットのサブセットを選択することにより第3のペプチドセットを作出する工程であって、前記選択は、対象のHLA型に基づき予測ワクチン性能を計算することを含み、前記予測ワクチン性能の計算は、修飾ペプチド配列に関連付けられる未修飾ペプチド配列のペプチド-HLA結合スコアが、前記第1のHLA対立遺伝子に関して前記第1の閾値を満たさない場合、前記修飾ペプチド配列の、前記第1のHLA対立遺伝子に関するペプチド-HLA結合スコアを除外することを含む、工程
を実施すること;
実験的アッセイを実施して、前記第3のペプチドセット中の少なくとも1つのペプチド配列について、ペプチド-HLA免疫原性メトリックを得ること;ならびに
前記実験的アッセイが実施された前記第3のペプチドセット中の前記少なくとも1つのペプチド配列を含む免疫原性ペプチド組成物を形成すること
を含む方法。
【請求項54】
前記第1のペプチドセット中の各ペプチド配列は、HLAクラスI分子またはHLAクラスII分子に結合する、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記複数の未修飾ペプチド配列は、対象に存在する前記腫瘍ネオ抗原または前記自己タンパク質に由来する、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記少なくとも3つのHLA対立遺伝子は、対象のHLA型に存在する、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記複数の未修飾ペプチド配列は、対象に存在する前記腫瘍ネオ抗原または前記自己タンパク質に由来する、請求項53に記載の方法。
【請求項58】
前記複数の未修飾ペプチド配列は、前記対象に存在する前記腫瘍ネオ抗原または前記自己タンパク質に由来する、請求項53に記載の方法。
【請求項59】
前記免疫原性ペプチド組成物は、前記第3のペプチドセット中の前記少なくとも1つのペプチド配列のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項60】
前記免疫原性ペプチド組成物は、前記第3のペプチドセット中の前記少なくとも1つのペプチド配列のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項61】
配列番号1550~1593からなる群から選択される少なくとも2つのアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む組成物。
【請求項62】
免疫原性である、請求項61に記載の組成物。
【請求項63】
前記核酸配列は、発現用のコンストラクト中にてインビボで投与される、請求項61に記載の組成物。
【請求項64】
前記核酸配列の前記インビボ投与は、HLAクラスI分子により提示される少なくとも1つのペプチドを産生するように構成されている、請求項63に記載の組成物。
【請求項65】
前記少なくとも1つのペプチドは、BCL-ABL遺伝子融合物の修飾断片または未修飾断片である、請求項64に記載の組成物。
【請求項66】
前記BCR-ABL遺伝子融合物は、b3a2またはb2a2である、請求項65に記載の組成物。
【請求項67】
前記核酸配列は、がんを予防するために有効量で対象に投与される、請求項63に記載の組成物。
【請求項68】
前記核酸配列は、がんを治療するために有効量で対象に投与される、請求項63に記載の組成物。
【請求項69】
配列番号1550~1593からなる群から選択される少なくとも2つのペプチドを含む免疫原性ペプチド組成物。
【請求項70】
前記少なくとも2つのペプチドのうちの少なくとも1つのペプチドは、対象においてHLAクラスI分子により提示される、請求項69に記載の免疫原性ペプチド組成物。
【請求項71】
前記免疫原性ペプチド組成物中の少なくとも1つのペプチドは、BCL-ABL遺伝子融合物の修飾断片または未修飾断片である、請求項69に記載の免疫原性ペプチド組成物。
【請求項72】
前記BCR-ABL遺伝子融合物は、b3a2またはb2a2である、請求項71に記載の免疫原性ペプチド組成物。
【請求項73】
がんを予防するために有効量で対象に投与される、請求項69に記載の免疫原性ペプチド組成物。
【請求項74】
がんを治療するために有効量で対象に投与される、請求項69に記載の免疫原性ペプチド組成物。
【請求項75】
配列番号1550~1593からなる群から選択される少なくとも3つのペプチドを含む、請求項69に記載の免疫原性ペプチド組成物。
【請求項76】
配列番号1595~1661からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列をコードする核酸配列。
【請求項77】
請求項76に記載の核酸配列を含む免疫原性組成物。
【請求項78】
発現用のコンストラクト中にてインビボで投与される、請求項76に記載の核酸配列。
【請求項79】
前記核酸配列の前記インビボ投与は、HLAクラスII分子により提示される少なくとも1つのペプチドを産生するように構成されている、請求項78に記載の核酸配列。
【請求項80】
前記少なくとも1つのアミノ酸配列は、BCL-ABL遺伝子融合物の修飾断片に由来する、請求項76に記載の核酸配列。
【請求項81】
前記BCR-ABL遺伝子融合物は、b3a2またはb2a2である、請求項80に記載の核酸配列。
【請求項82】
がんを予防するために有効量で対象に投与される、請求項76に記載の核酸配列。
【請求項83】
がんを治療するために有効量で対象に投与される、請求項76に記載の核酸配列。
【請求項84】
配列番号1595~1661からなる群から選択される少なくとも1つのペプチドを含む免疫原性ペプチド組成物。
【請求項85】
前記少なくとも1つのペプチドは、対象においてHLAクラスII分子により提示される、請求項84に記載の免疫原性ペプチド組成物。
【請求項86】
前記免疫原性ペプチド組成物中の前記少なくとも1つのペプチドは、BCL-ABL遺伝子融合物の修飾断片または未修飾断片である、請求項84に記載の免疫原性ペプチド組成物。
【請求項87】
前記BCR-ABL遺伝子融合物は、b3a2またはb2a2である、請求項86に記載の免疫原性ペプチド組成物。
【請求項88】
がんを予防するために有効量で対象に投与される、請求項84に記載の免疫原性ペプチド組成物。
【請求項89】
がんを治療するために有効量で対象に投与される、請求項84に記載の免疫原性ペプチド組成物。
【請求項90】
配列番号1595~1661からなる群から選択される少なくとも2つのペプチドを含む、請求項84に記載の免疫原性ペプチド組成物。
【請求項91】
免疫原性ペプチド組成物を形成するための方法であって、
プロセッサを使用して、
複数の未修飾ペプチド配列を選択することにより第1のペプチドセットを作出する工程であって、前記複数の未修飾ペプチド配列のうちの少なくとも1つのペプチド配列は、腫瘍ネオ抗原、病原体プロテオーム、または自己タンパク質に関連付けられる、工程、
前記第1のペプチドセット中の各ペプチド配列毎に、複数のペプチド-HLA結合スコアを決定する工程、
前記第1のペプチドセット中の各ペプチド配列が、少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して第1の閾値を満たすペプチド-HLA結合スコアを有するか否かを決定する工程、
前記第1のペプチドセットおよび複数の修飾ペプチド配列を含む第2のペプチドセットを作出する工程であって、前記複数の修飾ペプチド配列の各修飾ペプチド配列は、前記第1のペプチドセット中のペプチド配列の少なくとも1つのアミノ酸残基の置換を含む、工程、
前記第2のペプチドセット中の各ペプチド配列毎に、複数のペプチド-HLA結合スコアを決定する工程、ならびに
前記第2のペプチドセットのサブセットを選択することにより第3のペプチドセットを作出する工程であって、前記選択は集団カバー率を計算することを含み、前記集団カバー率の計算は、修飾ペプチド配列に関連付けられる未修飾ペプチド配列のペプチド-HLA結合スコアが、第1のHLA対立遺伝子に関して前記第1の閾値を満たさない場合、前記修飾ペプチド配列の、前記第1のHLA対立遺伝子に関するペプチド-HLA結合スコアを除外することを含み、前記選択されたサブセットは、第2の閾値を上回る集団カバー率を有する、工程
を実施すること;
実験的アッセイを実施して、前記第3のペプチドセットの少なくとも1つのペプチド配列について、ペプチド-HLA免疫原性メトリックを得ること;ならびに
実験的アッセイが実施された前記第3のペプチドセットの少なくとも1つのペプチド配列を含む免疫原性ペプチド組成物を形成すること
を含む方法。
【請求項92】
前記複数の未修飾ペプチド配列を選択して前記第1のペプチドセットを作出することは、前記腫瘍ネオ抗原、前記病原体プロテオーム、または前記自己タンパク質をコードするアミノ酸配列の少なくとも一部分にわたってサイズnの窓をスライドさせることを含み、nは、約8アミノ酸長~約25アミノ酸長であり、nは、前記第1のペプチドセットの前記複数の未修飾ペプチド配列の各ペプチド配列の長さである、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記第1のペプチドセットの各ペプチド配列は、HLAクラスI分子またはHLAクラスII分子に結合する、請求項91に記載の方法。
【請求項94】
前記第1のペプチドセットをフィルタリングして、標的アミノ酸残基をアンカー位置に含む予測結合コアを有するペプチド配列を除外することをさらに含む、請求項91に記載の方法。
【請求項95】
前記第1のペプチドセットの各ペプチド配列の少なくとも1つのアミノ酸残基を置換することをさらに含み、前記第1のペプチドセットの少なくとも1つのペプチド配列について、前記少なくとも1つのアミノ酸残基は、アンカー位置に存在する、請求項91に記載の方法。
【請求項96】
前記第1の閾値は、約1000nM未満の結合親和性である、請求項91に記載の方法。
【請求項97】
前記集団カバー率は、前記少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して計算される、請求項91に記載の方法。
【請求項98】
前記集団カバー率は、ヒト集団におけるHLAハプロタイプの頻度に基づいて計算される、請求項91に記載の方法。
【請求項99】
前記集団カバー率は、ヒト集団における前記少なくとも3つのHLA対立遺伝子の頻度に基づいて計算される、請求項91に記載の方法。
【請求項100】
前記複数の未修飾ペプチド配列は、対象に存在する前記腫瘍ネオ抗原、前記病原体プロテオーム、または前記自己タンパク質に由来する、請求項91に記載の方法。
【請求項101】
前記第2の閾値は、約0.7~約0.8のヒト集団の割合である、請求項91に記載の方法。
【請求項102】
前記腫瘍ネオ抗原または前記自己タンパク質はがんに関連付けられ、前記がんは、膵臓、結腸、直腸、腎臓、気管支、肺、子宮、子宮頸部、膀胱、肝臓、および胃からなる群から選択される、請求項91に記載の方法。
【請求項103】
前記病原体プロテオームは、ヒト対象における病原体感染に関連付けられる、請求項91に記載の方法。
【請求項104】
前記免疫原性ペプチド組成物は、前記第3のペプチドセットの前記少なくとも1つのペプチド配列のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む、請求項91に記載の方法。
【請求項105】
免疫原性ペプチド組成物を形成するための方法であって、
プロセッサを使用して、
複数の未修飾ペプチド配列を選択することにより第1のペプチドセットを作出する工程であって、前記複数の未修飾ペプチド配列は、腫瘍ネオ抗原、病原体プロテオーム、または自己タンパク質に関連付けられる、工程、
前記第1のペプチドセット中の各ペプチド配列毎に、複数のペプチド-HLA免疫原性メトリックを決定する工程、
前記第1のペプチドセット中の各ペプチド配列が、少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して閾値を満たすペプチド-HLA免疫原性メトリックを有するか否かを決定する工程、
前記第1のペプチドセットおよび複数の修飾ペプチド配列を含む第2のペプチドセットを作出する工程であって、前記複数の修飾ペプチド配列の各修飾ペプチド配列は、前記第1のペプチドセット中のペプチド配列の少なくとも1つのアミノ酸残基の置換を含む、工程、
前記第2のペプチドセット中の各ペプチド配列毎に、複数のペプチド-HLA免疫原性メトリックを決定する工程、ならびに
前記第2のペプチドセットのサブセットを選択することにより第3のペプチドセットを作出する工程であって、前記選択は、予測ワクチン性能を計算することを含み、前記予測ワクチン性能の計算は、修飾ペプチド配列に関連付けられる未修飾ペプチド配列のペプチド-HLA免疫原性メトリックが、第1のHLA対立遺伝子に関して前記閾値を満たさない場合、前記修飾ペプチド配列の、前記第1のHLA対立遺伝子に関するペプチド-HLA免疫原性メトリックを除外することを含み、前記予測ワクチン性能は、前記第3のペプチドセット中の各ペプチド配列のペプチド-HLA免疫原性メトリックの関数である、工程
を実施すること;
実験的アッセイを実施して、前記第3のペプチドセットの少なくとも1つのペプチド配列について、ペプチド-HLA免疫原性メトリックを得ること;ならびに
前記実験的アッセイが実施された前記第3のペプチドセットの前記少なくとも1つのペプチド配列を含む免疫原性ペプチド組成物を形成すること
を含む方法。
【請求項106】
前記複数の未修飾ペプチド配列を選択して前記第1のペプチドセットを作出することは、前記腫瘍ネオ抗原、病原体プロテオーム、または前記自己タンパク質をコードするアミノ酸配列の少なくとも一部分にわたってサイズnの窓をスライドさせることを含み、nは、約8アミノ酸長~約25アミノ酸長であり、nは、前記第1のペプチドセットの前記複数の未修飾ペプチド配列の各ペプチド配列の長さである、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記第1のペプチドセットの各ペプチド配列は、HLAクラスI分子またはHLAクラスII分子に結合する、請求項105に記載の方法。
【請求項108】
前記第1のペプチドセットをフィルタリングして、標的アミノ酸残基をアンカー位置に含む予測結合コアを有するペプチド配列を除外することをさらに含む、請求項105に記載の方法。
【請求項109】
前記第1のペプチドセットの各ペプチド配列の少なくとも1つのアミノ酸残基を置換することをさらに含む、請求項105に記載の方法。
【請求項110】
前記閾値は、約1000nM未満の結合親和性である、請求項105に記載の方法。
【請求項111】
前記少なくとも3つのHLA対立遺伝子は、対象のHLA型に存在する、請求項105に記載の方法。
【請求項112】
前記複数のペプチド配列は、前記対象に存在する前記腫瘍ネオ抗原、前記病原体プロテオーム、または前記自己タンパク質に由来する、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
前記免疫原性ペプチド組成物は、前記第3のペプチドセットの少なくとも1つのペプチド配列のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む、請求項105に記載の方法。
【請求項114】
免疫原性ペプチド組成物を形成するための方法であって、
プロセッサを使用して、
複数の未修飾ペプチド配列を選択することにより第1のペプチドセットを作出する工程であって、前記複数の未修飾ペプチド配列の各ペプチド配列は、腫瘍ネオ抗原、病原体プロテオーム、または自己タンパク質に関連付けられる、工程、
前記第1のペプチドセット中の各ペプチド配列毎に、複数のペプチド-HLA結合スコアを決定する工程、
前記第1のペプチドセット中の各ペプチド配列が、少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して閾値を満たすペプチド-HLA結合スコアを有するか否かを決定する工程、
前記第1のペプチドセットおよび複数の修飾ペプチド配列を含む第2のペプチドセットを作出する工程であって、前記複数の修飾ペプチド配列の各修飾ペプチド配列は、前記第1のペプチドセット中のペプチド配列の少なくとも1つのアミノ酸残基の置換を含む、工程、
前記第2のペプチドセット中の各ペプチド配列毎に、複数のペプチド-HLA結合スコアを決定する工程、ならびに
前記第2のペプチドセットのサブセットを選択することにより第3のペプチドセットを作出する工程であって、前記選択は、予測ワクチン性能を計算することを含み、前記予測ワクチン性能の計算は、修飾ペプチド配列に関連付けられる未修飾ペプチド配列のペプチド-HLA結合スコアが、第1のHLA対立遺伝子に関して前記閾値を満たさない場合、前記修飾ペプチド配列の、前記第1のHLA対立遺伝子に関するペプチド-HLA結合スコアを除外することを含み、前記予測ワクチン性能は、前記第3のペプチドセット中の各ペプチド配列のペプチド-HLA結合スコアの関数である、工程
を実施すること;
実験的アッセイを実施して、前記第3のペプチドセットの少なくとも1つのペプチド配列について、ペプチド-HLA免疫原性メトリックを得ること;ならびに
前記実験的アッセイが実施された前記第3のペプチドセットの前記少なくとも1つのペプチド配列を含む免疫原性ペプチド組成物を形成すること
を含む方法。
【請求項115】
第2の閾値は、1つまたは複数の実験的アッセイから得られるデータに基づく、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記予測ワクチン性能は、さらに、前記第1のペプチドセットの第1のペプチド配列が、第1の結合コアにより第2のHLA対立遺伝子に結合すると予測される場合、前記第2のHLA対立遺伝子に関する、前記第2のペプチドセットの少なくとも1つの修飾ペプチド配列のペプチド-HLA免疫原性メトリックの関数であり、前記第1の結合コアは、前記第1のペプチド配列の結合コアであり、前記第1の結合コアは第2の結合コアと同一であり、前記第1の結合コアおよび前記第2の結合コアは各々、ペプチド配列内にアミノ酸位置を含み、前記第2の結合コアは、前記少なくとも1つの修飾ペプチド配列の結合コアである、請求項114に記載の方法。
【請求項117】
前記複数のペプチド配列は、対象に存在する前記腫瘍ネオ抗原、前記病原体プロテオーム、または前記自己タンパク質に由来する、請求項114に記載の方法。
【請求項118】
免疫原性ペプチド組成物を形成するための方法であって、
プロセッサを使用して、
複数の未修飾ペプチド配列を選択することにより第1のペプチドセットを作出する工程であって、前記複数の未修飾ペプチド配列のうちの少なくとも1つのペプチド配列は、腫瘍ネオ抗原、病原体プロテオーム、または自己タンパク質に関連付けられる、工程、
前記第1のペプチドセット中の各ペプチド配列毎に、複数のペプチド-HLA結合スコアを決定する工程、
前記第1のペプチドセット中の各ペプチド配列が、少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して閾値を満たすペプチド-HLA結合スコアを有するか否かを決定する工程、
前記第1のペプチドセットおよび複数の修飾ペプチド配列を含む第2のペプチドセットを作出する工程であって、前記複数の修飾ペプチド配列の各修飾ペプチド配列は、前記第1のペプチドセット中のペプチド配列の少なくとも1つのアミノ酸残基の置換を含む、工程、
前記第2のペプチドセット中の各ペプチド配列毎に、複数のペプチド-HLA結合スコアを決定する工程、ならびに
前記第2のペプチドセットのサブセットを選択することにより第3のペプチドセットを作出する工程であって、前記選択は、対象のHLA型に基づき予測ワクチン性能を計算することを含み、前記予測ワクチン性能の計算は、修飾ペプチド配列に関連付けられる未修飾ペプチド配列のペプチド-HLA結合スコアが、第1のHLA対立遺伝子に関して前記閾値を満たさない場合、前記修飾ペプチド配列の、前記第1のHLA対立遺伝子に関するペプチド-HLA結合スコアを除外することを含む、工程
を実施すること;
実験的アッセイを実施して、前記第3のペプチドセットの少なくとも1つのペプチド配列について、ペプチド-HLA免疫原性メトリックを得ること;ならびに
前記実験的アッセイが実施された前記第3のペプチドセットの前記少なくとも1つのペプチド配列を含む免疫原性ペプチド組成物を形成すること
を含む方法。
【請求項119】
前記第1のペプチドセット中の各ペプチド配列は、HLAクラスI分子またはHLAクラスII分子に結合する、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
前記複数のペプチド配列は、前記対象に存在する前記腫瘍ネオ抗原、前記病原体プロテオーム、または前記自己タンパク質に由来する、請求項118に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年6月2日に出願された米国特許出願第17/336,960号に対する米国特許法第119条(e)の利益および優先権を主張するものである。米国特許出願第17/336,960号は、現在は2021年7月13日に特許登録された米国特許第11,058,751号である、2020年11月20日に出願された米国特許出願第17/100,630号の継続である。これらの文献の各々の内容は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
また、本出願は、2021年7月30日に出願された米国特許出願第17/389,875号に対する米国特許法第119条(e)の利益および優先権を主張するものであり、米国特許出願第17/389,875号は、現在は2021年11月2日に特許登録された米国特許第11,161,892号である、2020年12月7日に出願された米国特許出願第17/114,237号の継続である。これらの文献の各々の内容は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
また、本出願は、2021年9月28日に出願された米国特許出願第63/249,235号の利益を主張するものであり、その内容は全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
本明細書に引用されるすべての特許、特許出願、および刊行物は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。そうした刊行物の開示はそれらの全体が、参照により本出願に組み込まれる。
【0005】
本特許開示は、著作権保護の対象である内容を含む。著作権所有者は、米国特許商標局特許ファイルまたは記録に記載されている特許文書または特許開示のファクシミリ複製に対して異議を唱えないが、それ以外の場合はありとあらゆる著作権を留保する。
【0006】
参照による組み込み
本明細書に引用されている文書はすべて、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0007】
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出されている配列表を含み、この配列表は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。このASCIIコピーは、2021年11月15日に作成され、ファイル名は2215269_00123WO1_SL.txtであり、サイズは23,070,263バイトである。
【0008】
技術分野
本発明は、概して、ペプチドワクチンの組成物、系、および方法に関する。より詳細には、本発明は、予測集団免疫原性に基づいて最適化された、疾患を治療または予防するためのペプチドワクチンを設計するための組成物、系、および方法に関する。
【背景技術】
【0009】
ペプチドワクチンの目標は、標的ペプチドを提示する細胞を認識し、それらをエンゲージする能力を拡張するように免疫系をトレーニングして、がん性細胞または病原体に対する免疫応答を向上させることである。ペプチドワクチンは、因果関係のあるがん、他の疾患、または病原体に対する免疫応答を増加させるために、すでに罹患しているものに投与することもできる。その代わりに、ペプチドワクチンを投与して、1つまたは複数のペプチドに対して治療的寛容を有するように免疫系を誘導することができる。がん、他の疾患、または病原体感染から宿主を防御するために提示されることになる標的ペプチドの予測に基づくペプチドワクチンの組成物、系、および方法の必要性が存在する。本発明者らは、多数のがんで生じるRAS遺伝子の突然変異により導入されるネオ抗原、ならびに慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、および急性骨髄性白血病(AML)、浸潤性乳管癌、および他のがんの症例で生じるBCR-ABL遺伝子融合に基づく、新規の予防用および治療用がんワクチンを提供する。
【発明の概要】
【0010】
一態様では、本発明は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、および配列番号41からなる群から選択される少なくとも2つのアミノ酸配列をコードする核酸配列を提供する。
【0011】
一部の実施形態では、核酸配列は、免疫原性組成物である。一部の実施形態では、核酸配列は、発現用のコンストラクト中にてインビボ(in vivo)で投与される。一部の実施形態では、核酸配列のインビボ投与は、HLAクラスI分子により提示される少なくとも1つのペプチドを産生するように構成されている。一部の実施形態では、少なくとも1つのペプチドは、突然変異型KRASタンパク質の修飾断片または未修飾断片である。一部の実施形態では、突然変異型KRASタンパク質は、KRAS G12D、KRAS G12V、KRAS G12R、KRAS G12C、およびKRAS G13Dからなる群から選択される。一部の実施形態では、核酸配列は、がんを予防するために有効量で対象に投与される。一部の実施形態では、核酸配列は、がんを治療するために有効量で対象に投与される。
【0012】
別の態様では、本発明は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、および配列番号41からなる群から選択される少なくとも2つのペプチドを含む免疫原性ペプチド組成物を提供する。
【0013】
一部の実施形態では、少なくとも2つのペプチドのうちの少なくとも1つのペプチドは、対象においてHLAクラスI分子により提示される。一部の実施形態では、少なくとも2つのペプチドのうちの少なくとも1つのペプチドは、突然変異型KRASタンパク質の修飾断片または未修飾断片である。一部の実施形態では、突然変異型KRASタンパク質は、KRAS G12D、KRAS G12V、KRAS G12R、KRAS G12C、およびKRAS G13Dからなる群から選択される。一部の実施形態では、免疫原性ペプチド組成物は、がんを予防するために有効量で対象に投与される。一部の実施形態では、免疫原性ペプチド組成物は、がんを治療するために有効量で対象に投与される。一部の実施形態では、免疫原性ペプチド組成物は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、および配列番号41からなる群から選択される少なくとも3つのペプチドを含む。
【0014】
別の態様では、本発明は、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、および配列番号65からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列をコードする核酸配列を提供する。
【0015】
一部の実施形態では、核酸配列は免疫原性組成物である。一部の実施形態では、核酸配列は、発現用のコンストラクト中にてインビボで投与される。一部の実施形態では、核酸配列のインビボ投与は、HLAクラスII分子により提示される少なくとも1つのペプチドを産生するように構成されている。一部の実施形態では、少なくとも1つのペプチドは、突然変異型KRASタンパク質の修飾断片である。一部の実施形態では、突然変異型KRASタンパク質は、KRAS G12D、KRAS G12V、KRAS G12R、KRAS G12C、およびKRAS G13Dからなる群から選択される。一部の実施形態では、核酸配列は、がんを予防するために有効量で対象に投与される。一部の実施形態では、核酸配列は、がんを治療するために有効量で対象に投与される。
【0016】
別の態様では、本発明は、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、および配列番号65からなる群から選択される少なくとも1つのペプチドを含む免疫原性ペプチド組成物を提供する。
【0017】
一部の実施形態では、免疫原性ペプチド組成物中の少なくとも1つのペプチドは、HLAクラスII分子により提示される。一部の実施形態では、免疫原性ペプチド組成物中の少なくとも1つのペプチドは、突然変異型KRASタンパク質の修飾断片または未修飾断片である。一部の実施形態では、突然変異型KRASタンパク質は、KRAS G12D、KRAS G12V、KRAS G12R、KRAS G12C、およびKRAS G13Dからなる群から選択される。一部の実施形態では、免疫原性ペプチド組成物は、がんを予防するために有効量で対象に投与される。一部の実施形態では、免疫原性ペプチド組成物は、がんを治療するために有効量で対象に投与される。一部の実施形態では、免疫原性ペプチド組成物は、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、および配列番号65からなる群から選択される少なくとも2つのペプチドを含む。
【0018】
別の態様では、本発明は、免疫原性ペプチド組成物を形成するための方法であって、プロセッサを使用して、複数の未修飾ペプチド配列を選択することにより第1のペプチドセットを作出する工程であって、複数の未修飾ペプチド配列のうちの少なくとも1つのペプチド配列は、腫瘍ネオ抗原または自己タンパク質と関連付けられる、工程、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列毎に、複数のペプチド-HLA結合スコアを決定する工程、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列が、少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して第1の閾値を満たすペプチド-HLA結合スコアを有するか否かを決定する工程、第1のペプチドセットおよび複数の修飾ペプチド配列を含む第2のペプチドセットを作出する工程であって、複数の修飾ペプチド配列の各修飾ペプチド配列は、第1のペプチドセット中のペプチド配列の少なくとも1つのアミノ酸残基の置換を含む、工程、第2のペプチドセット中の各修飾ペプチド配列が、少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して第2の閾値を満たすペプチド-HLA結合スコアを有するか否かを決定する工程であって、第2の閾値は第1の閾値よりも制約されている、工程、ならびに第2のペプチドセットのサブセットを選択することにより第3のペプチドセットを作出する工程であって、選択は集団カバー率を計算することを含み、集団カバー率の計算は、修飾ペプチド配列に関連付けられる未修飾ペプチド配列のペプチド-HLA結合スコアが、第1のHLA対立遺伝子に関して第1の閾値を満たさない場合、修飾ペプチド配列の第1のHLA対立遺伝子に関するペプチド-HLA結合スコアを除外することを含み、選択されたサブセットは、第3の閾値を上回る集団カバー率を有する、工程を実施すること;実験的アッセイを実施して、第3のペプチドセット中の少なくとも1つのペプチド配列について、ペプチド-HLA免疫原性メトリックを得ること;ならびに実験的アッセイが実施された第3のペプチドセット中の少なくとも1つのペプチド配列を含む免疫原性ペプチド組成物を形成することを含む方法を提供する。
【0019】
一部の実施形態では、複数の未修飾ペプチド配列を選択して、第1のペプチドセットを作出することは、腫瘍ネオ抗原または自己タンパク質をコードするアミノ酸配列にわたってサイズnの窓をスライドさせることを含み、nは、約8アミノ酸長~約25アミノ酸長であり、nは、第1のペプチドセット中の複数の未修飾ペプチド配列の各ペプチド配列の長さである。一部の実施形態では、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列は、HLAクラスI分子またはHLAクラスII分子に結合する。一部の実施形態では、この方法は、第1のペプチドセットをフィルタリングして、標的残基をアンカー位置に含む予測結合コアを有するペプチド配列を除外することをさらに含む。一部の実施形態では、この方法は、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列の少なくとも1つのアミノ酸残基を置換することをさらに含み、第1のペプチドセット中の少なくとも1つのペプチド配列について、少なくとも1つのアミノ酸残基は、アンカー位置に存在する。一部の実施形態では、第1の閾値は、約1000nM未満の結合親和性である。一部の実施形態では、第2の閾値は、約500nM未満の結合親和性である。一部の実施形態では、集団カバー率は、ヒト集団におけるHLAハプロタイプの頻度に基づいて計算される。一部の実施形態では、集団カバー率は、ヒト集団における少なくとも3つのHLA対立遺伝子の頻度に基づいて計算される。一部の実施形態では、複数の未修飾ペプチド配列は、対象に存在する腫瘍ネオ抗原または自己タンパク質に由来する。一部の実施形態では、第3の閾値は、約0.7~約0.8のヒト集団の割合である。一部の実施形態では、腫瘍ネオ抗原または自己タンパク質はがんに関連付けられ、がんは、膵臓、結腸、直腸、腎臓、気管支、肺、子宮、子宮頸部、膀胱、肝臓、および胃からなる群から選択される。
【0020】
別の態様では、本発明は、免疫原性ペプチド組成物を形成するための方法であって、プロセッサを使用して、複数の未修飾ペプチド配列を選択することにより第1のペプチドセットを作出する工程であって、複数の未修飾ペプチド配列は、腫瘍ネオ抗原または自己タンパク質に関連付けられる、工程、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列毎に、複数のペプチド-HLA免疫原性メトリック(metrics)を決定する工程、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列が、少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して第1の閾値を満たすペプチド-HLA免疫原性メトリックを有するか否かを決定する工程、第1のペプチドセットおよび複数の修飾ペプチド配列を含む第2のペプチドセットを作出する工程であって、複数の修飾ペプチド配列の各修飾ペプチド配列は、第1のペプチドセット中のペプチド配列の少なくとも1つのアミノ酸残基の置換を含む、工程、第2のペプチドセット中の各修飾ペプチド配列が、少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して第2の閾値を満たすペプチド-HLA免疫原性メトリックを有するか否かを決定する工程であって、第2の閾値は第1の閾値よりも制約されている、工程、ならびに第2のペプチドセットのサブセットを選択することにより第3のペプチドセットを作出する工程であって、選択は、予測ワクチン性能を計算することを含み、予測ワクチン性能の計算は、修飾ペプチド配列に関連付けられる未修飾ペプチド配列のペプチド-HLA免疫原性メトリックが、第1のHLA対立遺伝子に関して第1の閾値を満たさない場合、修飾ペプチド配列の、第1のHLA対立遺伝子に関するペプチド-HLA免疫原性メトリックを除外することを含み、予測ワクチン性能は、第3のペプチドセット中の各ペプチド配列の非除外ペプチド-HLA免疫原性メトリックの関数である、工程を実施すること;実験的アッセイを実施して、第3のペプチドセット中の少なくとも1つのペプチド配列について、ペプチド-HLA免疫原性メトリックを得ること;ならびに実験的アッセイが実施された第3のペプチドセット中の少なくとも1つのペプチド配列を含む免疫原性ペプチド組成物を形成することを含む方法を提供する。
【0021】
一部の実施形態では、複数の未修飾ペプチド配列を選択して第1のペプチドセットを作出することは、腫瘍ネオ抗原または自己タンパク質をコードするアミノ酸配列にわたってサイズnの窓をスライドさせることを含み、nは、約8アミノ酸長~約25アミノ酸長であり、nは、第1のペプチドセット中の複数の未修飾ペプチド配列の各ペプチド配列の長さである。一部の実施形態では、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列は、HLAクラスI分子またはHLAクラスII分子に結合する。一部の実施形態では、この方法は、第1のペプチドセットをフィルタリングして、標的残基をアンカー位置に含む予測結合コアを有するペプチド配列を除外することをさらに含む。一部の実施形態では、この方法は、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列の少なくとも1つのアミノ酸残基を置換することをさらに含み、第1のペプチドセット中の少なくとも1つのペプチド配列について、少なくとも1つのアミノ酸残基は、アンカー位置に存在する。一部の実施形態では、第1の閾値は、約1000nM未満の結合親和性である。
【0022】
別の態様では、本発明は、免疫原性ペプチド組成物を形成するための方法であって、プロセッサを使用して、複数の未修飾ペプチド配列を選択することにより第1のペプチドセットを作出する工程であって、複数の未修飾ペプチド配列の各ペプチド配列は、腫瘍ネオ抗原または自己タンパク質に関連付けられる、工程、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列毎に、複数のペプチド-HLA結合スコアを決定する工程、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列が、少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して第1の閾値を満たすペプチド-HLA結合スコアを有するか否かを決定する工程、第1のペプチドセットおよび複数の修飾ペプチド配列を含む第2のペプチドセットを作出する工程であって、複数の修飾ペプチド配列の各修飾ペプチド配列は、第1のペプチドセット中のペプチド配列の少なくとも1つのアミノ酸残基の置換を含む、工程、第2のペプチドセット中の各修飾ペプチド配列が、少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して第2の閾値を満たすペプチド-HLA結合スコアを有するか否かを決定する工程であって、第2の閾値は第1の閾値よりも制約されている、工程、ならびに第2のペプチドセットのサブセットを選択することにより第3のペプチドセットを作出する工程であって、選択は、予測ワクチン性能を計算することを含み、予測ワクチン性能の計算は、修飾ペプチド配列に関連付けられる未修飾ペプチド配列のペプチド-HLA結合スコアが、第1のHLA対立遺伝子に関して第1の閾値を満たさない場合、修飾ペプチド配列の、第1のHLA対立遺伝子に関するペプチド-HLA結合スコアを除外することを含み、予測ワクチン性能は、第3のペプチドセット中の各ペプチド配列の非除外ペプチド-HLA結合スコアの関数である、工程を実施すること;実験的アッセイを実施して、第3のペプチドセット中の少なくとも1つのペプチド配列について、ペプチド-HLA免疫原性メトリックを得ること;ならびに実験的アッセイが実施された第3のペプチドセット中の少なくとも1つのペプチド配列を含む免疫原性ペプチド組成物を形成することを含む方法を提供する。
【0023】
一部の実施形態では、第2の閾値は、1つまたは複数の実験的アッセイから得られるデータに基づく。一部の実施形態では、予測ワクチンの性能は、さらに、第1のペプチドセット中の第1のペプチド配列が、第1の結合コアにより少なくとも3つのHLA対立遺伝子のうちの第2のHLA対立遺伝子に結合すると予測される場合、少なくとも3つのHLA対立遺伝子のうちの第2のHLA対立遺伝子に結合した複数の修飾ペプチド配列のうちの少なくとも1つの修飾ペプチド配列のペプチド-HLA免疫原性メトリックの関数であり、第1の結合コアは第1のペプチド配列の結合コアであり、第1の結合コアは第2の結合コアと同一であり、第1の結合コアおよび第2の結合コアは、ペプチド配列内にアミノ酸位置を含み、第2の結合コアは、第2のHLA対立遺伝子に結合した複数の修飾ペプチド配列のうちの少なくとも1つの修飾ペプチド配列の結合コアである。
【0024】
別の態様では、本発明は、免疫原性ペプチド組成物を形成するための方法であって、プロセッサを使用して、複数の未修飾ペプチド配列を選択することにより第1のペプチドセットを作出する工程であって、複数の未修飾ペプチド配列のうちの少なくとも1つのペプチド配列は、腫瘍ネオ抗原または自己タンパク質に関連付けられる、工程、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列毎に、複数のペプチド-HLA結合スコアを決定する工程、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列が、少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して第1の閾値を満たすペプチド-HLA結合スコアを有するか否かを決定する工程、第1のペプチドセットおよび複数の修飾ペプチド配列を含む第2のペプチドセットを作出する工程であって、複数の修飾ペプチド配列の各修飾ペプチド配列は、第1のペプチドセット中のペプチド配列の少なくとも1つのアミノ酸残基の置換を含む、工程、第2のペプチドセット中の各修飾ペプチド配列が、少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して第2の閾値を満たすペプチド-HLA結合スコアを有するか否かを決定する工程であって、第2の閾値は第1の閾値よりも制約されている、工程、第2のペプチドセットのサブセットを選択することにより第3のペプチドセットを作出する工程であって、選択は、対象のHLA型に基づき予測ワクチン性能を計算することを含み、予測ワクチン性能の計算は、修飾ペプチド配列に関連付けられる未修飾ペプチド配列のペプチド-HLA結合スコアが、第1のHLA対立遺伝子に関して第1の閾値を満たさない場合、修飾ペプチド配列の第1のHLA対立遺伝子に関するペプチド-HLA結合スコアを除外することを含む、工程を実施すること;実験的アッセイを実施して、第3のペプチドセット中の少なくとも1つのペプチド配列について、ペプチド-HLA免疫原性メトリックを得ること;ならびに実験的アッセイが実施された第3のペプチドセット中の少なくとも1つのペプチド配列を含む免疫原性ペプチド組成物を形成することを含む方法を提供する。
【0025】
一部の実施形態では、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列は、HLAクラスI分子またはHLAクラスII分子に結合する。一部の実施形態では、複数の未修飾ペプチド配列は、対象に存在する腫瘍ネオ抗原または自己タンパク質に由来する。一部の実施形態では、少なくとも3つのHLA対立遺伝子は、対象のHLA型に存在する。一部の実施形態では、複数の未修飾ペプチド配列は、対象に存在する腫瘍ネオ抗原または自己タンパク質に由来する。一部の実施形態では、複数の未修飾ペプチド配列は、対象に存在する腫瘍ネオ抗原または自己タンパク質に由来する。一部の実施形態では、免疫原性ペプチド組成物は、第3のペプチドセット中の少なくとも1つのペプチド配列のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。一部の実施形態では、免疫原性ペプチド組成物は、第3のペプチドセット中の少なくとも1つのペプチド配列のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。
【0026】
別の態様では、本発明は、配列番号1550~1593からなる群から選択される少なくとも2つのアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む組成物を提供する。
【0027】
一部の実施形態では、組成物は免疫原性である。一部の実施形態では、核酸配列は、発現用のコンストラクト中にてインビボで投与される。一部の実施形態では、核酸配列のインビボ投与は、HLAクラスI分子により提示される少なくとも1つのペプチドを産生するように構成されている。一部の実施形態では、少なくとも1つのペプチドは、BCL-ABL遺伝子融合物の修飾断片または未修飾断片である。一部の実施形態では、BCR-ABL遺伝子融合物はb3a2またはb2a2である。一部の実施形態では、核酸配列は、がんを予防するために有効量で対象に投与される。一部の実施形態では、核酸配列は、がんを治療するために有効量で対象に投与される。
【0028】
別の態様では、本発明は、配列番号1550~1593からなる群から選択される少なくとも2つのアミノペプチドを含む組成物を提供する。
【0029】
一部の実施形態では、少なくとも2つのペプチドのうちの少なくとも1つのペプチドは、対象においてHLAクラスI分子により提示される。一部の実施形態では、免疫原性ペプチド組成物中の少なくとも1つのペプチドは、BCL-ABL遺伝子融合物の修飾断片または未修飾断片である。一部の実施形態では、BCR-ABL遺伝子融合物はb3a2またはb2a2である。一部の実施形態では、免疫原性ペプチド組成物は、がんを予防するために有効量で対象に投与される。一部の実施形態では、免疫原性ペプチド組成物は、がんを治療するために有効量で対象に投与される。別の態様では、本発明は、配列番号1550~1593からなる群から選択される少なくとも2つのペプチドを含む組成物を提供する。
【0030】
別の態様では、本発明は、配列番号1595~1661からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列をコードする核酸配列を提供する。
【0031】
一部の実施形態では、組成物は免疫原性である。一部の実施形態では、核酸配列は、発現用のコンストラクト中にてインビボで投与される。一部の実施形態では、核酸配列のインビボ投与は、HLAクラスII分子により提示される少なくとも1つのペプチドを産生するように構成されている。一部の実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸配列は、BCL-ABL遺伝子融合物の修飾断片に由来する。一部の実施形態では、BCR-ABL遺伝子融合物はb3a2またはb2a2である。一部の実施形態では、核酸配列は、がんを予防するために有効量で対象に投与される。一部の実施形態では、核酸配列は、がんを治療するために有効量で対象に投与される。
【0032】
別の態様では、本発明は、配列番号1595~1661からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列をコードする核酸配列を提供する。
【0033】
一部の実施形態では、少なくとも1つのペプチドは、対象においてHLAクラスII分子により提示される。一部の実施形態では、免疫原性ペプチド組成物中の少なくとも1つのペプチドは、BCL-ABL遺伝子融合物の修飾断片または未修飾断片である。一部の実施形態では、BCR-ABL遺伝子融合物はb3a2またはb2a2である。一部の実施形態では、免疫原性ペプチド組成物は、がんを予防するために有効量で対象に投与される。一部の実施形態では、免疫原性ペプチド組成物は、がんを治療するために有効量で対象に投与される。一部の実施形態では、免疫原性ペプチド組成物は、配列番号1595~1661からなる群から選択される少なくとも2つのペプチドを含む。
【0034】
別の態様では、本発明は、免疫原性ペプチド組成物を形成するための方法であって、プロセッサを使用して、複数の未修飾ペプチド配列を選択することにより第1のペプチドセットを作出する工程であって、複数の未修飾ペプチド配列のうちの少なくとも1つのペプチド配列は、腫瘍ネオ抗原、病原体プロテオーム、または自己タンパク質に関連付けられる、工程、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列毎に、複数のペプチド-HLA結合スコアを決定する工程、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列が、少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して第1の閾値を満たすペプチド-HLA結合スコアを有するか否かを決定する工程、第1のペプチドセットおよび複数の修飾ペプチド配列を含む第2のペプチドセットを作出する工程であって、複数の修飾ペプチド配列の各修飾ペプチド配列は、第1のペプチドセット中のペプチド配列の少なくとも1つのアミノ酸残基の置換を含む、工程、第2のペプチドセット中の各ペプチド配列毎に、複数のペプチド-HLA結合スコアを決定する工程、ならびに第2のペプチドセットのサブセットを選択することにより第3のペプチドセットを作出する工程であって、選択は集団カバー率を計算することを含み、集団カバー率の計算は、修飾ペプチド配列に関連付けられる未修飾ペプチド配列のペプチド-HLA結合スコアが、第1のHLA対立遺伝子に関して第1の閾値を満たさない場合、修飾ペプチド配列の第1のHLA対立遺伝子に関するペプチド-HLA結合スコアを除外することを含み、選択されたサブセットは、第3の閾値を上回る集団カバー率を有する、工程を実施すること;実験的アッセイを実施して、第3のペプチドセット中の少なくとも1つのペプチド配列について、ペプチド-HLA免疫原性メトリックを得ること;ならびに実験的アッセイが実施された第3のペプチドセットの少なくとも1つのペプチド配列を含む免疫原性ペプチド組成物を形成することを含む方法を提供する。
【0035】
一部の実施形態では、複数の未修飾ペプチド配列を選択して第1のペプチドセットを作出することは、腫瘍ネオ抗原、病原体プロテオーム、または自己タンパク質をコードするアミノ酸配列の少なくとも一部分にわたってサイズnの窓をスライドさせることを含み、nは、約8アミノ酸長~約25アミノ酸長であり、nは、第1のペプチドセットの複数の未修飾ペプチド配列の各ペプチド配列の長さである。一部の実施形態では、第1のペプチドセットの各ペプチド配列は、HLAクラスI分子またはHLAクラスII分子に結合する。一部の実施形態では、第1のペプチドセットをフィルタリングして、標的アミノ酸残基をアンカー位置に含む予測結合コアを有するペプチド配列を除外することをさらに含む。一部の実施形態では、第1のペプチドセットの各ペプチド配列の少なくとも1つのアミノ酸残基を置換することをさらに含み、第1のペプチドセットの少なくとも1つのペプチド配列について、少なくとも1つのアミノ酸残基は、アンカー位置に存在する。一部の実施形態では、第1の閾値は、約1000nM未満の結合親和性である。一部の実施形態では、集団カバー率は、少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して計算される。一部の実施形態では、集団カバー率は、ヒト集団におけるHLAハプロタイプの頻度に基づいて計算される。一部の実施形態では、集団カバー率は、ヒト集団における少なくとも3つのHLA対立遺伝子の頻度に基づいて計算される。一部の実施形態では、複数の未修飾ペプチド配列は、対象に存在する腫瘍ネオ抗原、病原体プロテオーム、または自己タンパク質に由来する。一部の実施形態では、第2の閾値は、約0.7~約0.8のヒト集団の割合である。一部の実施形態では、腫瘍ネオ抗原または自己タンパク質はがんに関連付けられ、がんは、膵臓、結腸、直腸、腎臓、気管支、肺、子宮、子宮頸部、膀胱、肝臓、および胃からなる群から選択される。一部の実施形態では、病原体プロテオームは、ヒト対象における病原体感染に関連付けられる。一部の実施形態では、免疫原性ペプチド組成物は、第3のペプチドセットの少なくとも1つのペプチド配列のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。
【0036】
別の態様では、本発明は、免疫原性ペプチド組成物を形成するための方法であって、プロセッサを使用して、複数の未修飾ペプチド配列を選択することにより第1のペプチドセットを作出する工程であって、複数の未修飾ペプチド配列は、腫瘍ネオ抗原、病原体プロテオーム、または自己タンパク質に関連付けられる、工程、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列毎に、複数のペプチド-HLA免疫原性メトリックを決定する工程、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列が、少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して閾値を満たすペプチド-HLA免疫原性メトリックを有するか否かを決定する工程、第1のペプチドセットおよび複数の修飾ペプチド配列を含む第2のペプチドセットを作出する工程であって、複数の修飾ペプチド配列の各修飾ペプチド配列は、第1のペプチドセット中のペプチド配列の少なくとも1つのアミノ酸残基の置換を含む、工程、第2のペプチドセット中の各ペプチド配列毎に、複数のペプチド-HLA免疫原性メトリックを決定する工程、ならびに第2のペプチドセットのサブセットを選択することにより第3のペプチドセットを作出する工程であって、選択は、予測ワクチン性能を計算することを含み、予測ワクチン性能の計算は、修飾ペプチド配列に関連付けられる未修飾ペプチド配列のペプチド-HLA免疫原性メトリックが、第1のHLA対立遺伝子に関して閾値を満たさない場合、修飾ペプチド配列の、第1のHLA対立遺伝子に関するペプチド-HLA免疫原性メトリックを除外することを含み、予測ワクチン性能は、第3のペプチドセット中の各ペプチド配列のペプチド-HLA免疫原性メトリックの関数である、工程を実施すること;実験的アッセイを実施して、第3のペプチドセットの少なくとも1つのペプチド配列について、ペプチド-HLA免疫原性メトリックを得ること;ならびに実験的アッセイが実施された第3のペプチドセットの少なくとも1つのペプチド配列を含む免疫原性ペプチド組成物を形成することを含む方法を提供する。
【0037】
一部の実施形態では、複数の未修飾ペプチド配列を選択して第1のペプチドセットを作出することは、腫瘍ネオ抗原、病原体プロテオーム、または自己タンパク質をコードするアミノ酸配列の少なくとも一部分にわたってサイズnの窓をスライドさせることを含み、nは、約8アミノ酸長~約25アミノ酸長であり、nは、第1のペプチドセットの複数の未修飾ペプチド配列の各ペプチド配列の長さである。一部の実施形態では、第1のペプチドセットの各ペプチド配列は、HLAクラスI分子またはHLAクラスII分子に結合する。一部の実施形態では、第1のペプチドセットをフィルタリングして、標的アミノ酸残基をアンカー位置に含む予測結合コアを有するペプチド配列を除外することをさらに含む。一部の実施形態では、第1のペプチドセットの各ペプチド配列の少なくとも1つのアミノ酸残基を置換することをさらに含む。一部の実施形態では、閾値は、約1000nM未満の結合親和性である。一部の実施形態では、少なくとも3つのHLA対立遺伝子は、対象のHLA型に存在する。一部の実施形態では、複数のペプチド配列は、対象に存在する腫瘍ネオ抗原、病原体プロテオーム、または自己タンパク質に由来する。一部の実施形態では、免疫原性ペプチド組成物は、第3のペプチドセットの少なくとも1つのペプチド配列のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。
【0038】
別の態様では、本発明は、免疫原性ペプチド組成物を形成するための方法であって、プロセッサを使用して、複数の未修飾ペプチド配列を選択することにより第1のペプチドセットを作出する工程であって、複数の未修飾ペプチド配列の各ペプチド配列は、腫瘍ネオ抗原、病原体プロテオーム、または自己タンパク質に関連付けられる、工程、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列毎に、複数のペプチド-HLA結合スコアを決定する工程、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列が、少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して閾値を満たすペプチド-HLA結合スコアを有するか否かを決定する工程、第1のペプチドセットおよび複数の修飾ペプチド配列を含む第2のペプチドセットを作出する工程であって、複数の修飾ペプチド配列の各修飾ペプチド配列は、第1のペプチドセット中のペプチド配列の少なくとも1つのアミノ酸残基の置換を含む、工程、第2のペプチドセット中の各ペプチド配列毎に、複数のペプチド-HLA結合スコアを決定する工程、ならびに第2のペプチドセットのサブセットを選択することにより第3のペプチドセットを作出する工程であって、選択は、予測ワクチン性能を計算することを含み、予測ワクチン性能の計算は、修飾ペプチド配列に関連付けられる未修飾ペプチド配列のペプチド-HLA結合スコアが、第1のHLA対立遺伝子に関する閾値を満たさない場合、修飾ペプチド配列の、第1のHLA対立遺伝子に関するペプチド-HLA結合スコアを除外することを含み、予測ワクチン性能は、第3のペプチドセット中の各ペプチド配列のペプチド-HLA結合スコアの関数である、工程を実施すること;実験的アッセイを実施して、第3のペプチドセットの少なくとも1つのペプチド配列について、ペプチド-HLA免疫原性メトリックを得ること;ならびに実験的アッセイが実施された第3のペプチドセットの少なくとも1つのペプチド配列を含む免疫原性ペプチド組成物を形成することを含む方法を提供する。
【0039】
一部の実施形態では、第2の閾値は、1つまたは複数の実験的アッセイから得られるデータから決定される。一部の実施形態では、予測ワクチンの性能は、さらに、第1のペプチドセットの第1のペプチド配列が、第1の結合コアにより第2のHLA対立遺伝子に結合すると予測される場合、第2のHLA対立遺伝子に関する、第2のペプチドセットの少なくとも1つの修飾ペプチド配列のペプチド-HLA免疫原性メトリックの関数であり、第1の結合コアは第1のペプチド配列の結合コアであり、第1の結合コアは第2の結合コアと同一であり、第1の結合コアおよび第2の結合コアは各々、ペプチド配列内にアミノ酸位置を含み、第2の結合コアは、少なくとも1つの修飾ペプチド配列の結合コアである。一部の実施形態では、複数のペプチド配列は、対象に存在する腫瘍ネオ抗原、病原体プロテオーム、または自己タンパク質に由来する。
【0040】
別の態様では、本発明は、免疫原性ペプチド組成物を形成するための方法であって、プロセッサを使用して、複数の未修飾ペプチド配列を選択することにより第1のペプチドセットを作出する工程であって、複数の未修飾ペプチド配列のうちの少なくとも1つのペプチド配列は、腫瘍ネオ抗原、病原体プロテオーム、または自己タンパク質に関連付けられる、工程、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列毎に、複数のペプチド-HLA結合スコアを決定する工程、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列が、少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して閾値を満たすペプチド-HLA結合スコアを有するか否かを決定する工程、第1のペプチドセットおよび複数の修飾ペプチド配列を含む第2のペプチドセットを作出する工程であって、複数の修飾ペプチド配列の各修飾ペプチド配列は、第1のペプチドセット中のペプチド配列の少なくとも1つのアミノ酸残基の置換を含む、工程、第2のペプチドセット中の各ペプチド配列毎に、複数のペプチド-HLA結合スコアを決定する工程、ならびに第2のペプチドセットのサブセットを選択することにより第3のペプチドセットを作出する工程であって、選択は、対象のHLA型に基づき予測ワクチン性能を計算することを含み、予測ワクチン性能の計算は、修飾ペプチド配列に関連付けられる未修飾ペプチド配列のペプチド-HLA結合スコアが、第1のHLA対立遺伝子に関して閾値を満たさない場合、修飾ペプチド配列の第1のHLA対立遺伝子に関するペプチド-HLA結合スコアを除外することを含む、工程を実施すること;実験的アッセイを実施して、第3のペプチドセットの少なくとも1つのペプチド配列について、ペプチド-HLA免疫原性メトリックを得ること;ならびに実験的アッセイが実施された第3のペプチドセットの少なくとも1つのペプチド配列を含む免疫原性ペプチド組成物を形成することを含む方法を提供する。
【0041】
一部の実施形態では、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列は、HLAクラスI分子またはHLAクラスII分子に結合する。一部の実施形態では、複数のペプチド配列は、対象に存在する腫瘍ネオ抗原、病原体プロテオーム、または自己タンパク質に由来する。
【0042】
以下の図は、本発明の例示的な実施形態を図示する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1図1は、ワクチン最適化法のフローチャートである。
図2図2は、シードセット圧縮によるワクチン最適化法のフローチャートである。
図3図3は、KRAS G12D、KRAS G12V、KRAS G12R、KRAS G12C、およびKRAS G13D標的に対するワクチンサイズ別のMHCクラスIワクチンの予測集団カバー率を示すグラフである。
図4図4は、KRAS G12D、KRAS G12V、KRAS G12R、KRAS G12C、およびKRAS G13D標的に対するワクチンサイズ別のMHCクラスIIワクチンの予測集団カバー率を示すグラフである。
図5図5は、BCR-ABL b3a2融合物、少なくとも1つのペプチド-HLAヒット(丸)、少なくとも3つのペプチド-HLAヒット(三角)、および少なくとも5つのペプチド-HLAヒット(四角)に対する、ヘテロクリティックペプチドを含むMHCクラスIワクチンのワクチンサイズ別の予測集団カバー率を示すグラフである。破線は、1個体当たり少なくとも1つ(上部破線)および5つ(下部破線)のペプチド-HLAヒットに対する、ヘテロクリティックペプチドを含まないBCR-ABL b3a2融合ワクチンの予測集団カバー率を示す。
図6図6は、BCR-ABL b3a2融合物、少なくとも1つのペプチド-HLAヒット(丸)、少なくとも3つのペプチド-HLAヒット(三角)、および少なくとも5つのペプチド-HLAヒット(四角)に対する、ヘテロクリティックペプチドを含むMHCクラスIIワクチンのワクチンサイズ別の予測集団カバー率を示すグラフである。破線は、1個体当たり少なくとも1つのペプチド-HLAヒットに対する、ヘテロクリティックペプチドを有しないBCR-ABL b3a2融合ワクチンの予測集団カバー率を示す。
図7図7は、BCR-ABL b2a2融合物、少なくとも1つのペプチド-HLAヒット(丸)、少なくとも3つのペプチド-HLAヒット(三角)、少なくとも5つのペプチド-HLAヒット(四角形)に対する、ヘテロクリティックペプチドを含むMHCクラスIワクチンのワクチンサイズ別の予測集団カバー率を示すグラフである。破線は、1個体当たり少なくとも1つのペプチド-HLAヒットに対する、ヘテロクリティックペプチドを有しないBCR-ABL b3a2融合ワクチンの予測集団カバー率を示す。
図8図8は、BCR-ABL b2a2融合物、少なくとも1つのペプチド-HLAヒット(丸)、少なくとも3つのペプチド-HLAヒット(三角)、および少なくとも5つのペプチド-HLAヒット(四角)に対する、ヘテロクリティックペプチドを含むMHCクラスIIワクチンのワクチンサイズ別の予測集団カバー率を示すグラフである。破線は、1個体当たり少なくとも1つ(上部破線)および5つ(下部破線)のペプチド-HLAヒットに対する、ヘテロクリティックペプチドを有しないBCR-ABL b3a2融合ワクチンの予測集団カバー率を示す。
図9図9は、HLAディプロタイプHLA-A02:03、HLA-A11:01、HLA-B55:02、HLA-B58:01、HLA-C03:02、HLA-C03:03について、KRAS G12Vワクチンのワクチンサイズ別の予測ペプチド-HLAヒットを示す。
図10図10は、膵臓、結腸/直腸、および気管支/肺の疾患提示の確率、ならびに種々の突然変異型タンパク質標的の標的提示の対応する確率を示す。
図11図11は、複数標的(組合せ)ワクチン最適化法のフローチャートである。
図12図12は、KRAS G12D、KRAS G12V、およびKRAS G12R標的に対する、膵臓がん複数標的(組合せ)MHCクラスIワクチンのワクチンサイズ別の予測集団カバー率を示す。破線は、MHCクラスIのヘテロクリティックペプチドを有さない膵臓がん組合せワクチンの予測集団カバー率を示す。
図13図13は、KRAS G12D、KRAS G12V、およびKRAS G12R標的に対する、膵臓がん複数標的(組合せ)MHCクラスIIワクチンのワクチンサイズ別の予測集団カバー率を示す。破線は、MHCクラスIIのヘテロクリティックペプチドを有さない膵臓がん組合せワクチンの予測集団カバー率を示す。
図14】組合せワクチン設計手順のためのMergeMulti関数のPython実装例を示すスクリプトである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
一部の実施形態では、本開示は、細胞上の主要組織適合性複合体(MHC)分子により提示され、がんまたは病原体罹患細胞を認識するように免疫系をトレーニングすることになるペプチド配列が組み込まれたペプチドワクチンを提供する。一部の実施形態では、本開示は、自己免疫疾患に対する抗原特異的免疫療法において治療的寛容を誘導するために(Alhadj Ali et al., 2017、Gibson, et al. 2015)、細胞上の主要組織適合性複合体(MHC)分子により提示されることになるペプチド配列が組み込まれたペプチドワクチンを提供する。一部の実施形態では、ペプチドワクチンは、1つまたは複数のペプチドからなる組成物である。一部の実施形態では、ペプチドワクチンは、1つまたは複数のペプチドをコードする、発現のためにインビボで投与されるmRNAまたはDNAコンストラクトである。
【0045】
MHC分子によるペプチド提示は、ペプチドが免疫原性であり、生じたペプチド-MHC複合体を個体のT細胞により認識させて、T細胞の活性化、拡大増殖、および免疫メモリを誘発させるために必要であるが、十分ではない。一部の実施形態では、ELISPOT(Slota et al., 2011)または免疫アッセイおよび免疫受容体配列決定(MIRA)アッセイの組合せを使用した抗原特異的T細胞受容体の多重特定(Klinger et al., 2015)を使用して、MHC分子(例えば、HLA対立遺伝子)によるペプチド提示(例えば、ペプチド結合を必要とするペプチド免疫原性)をスコア付けする(例えば、ペプチド-HLA結合スコアとして測定される)。一部の実施形態では、ELISPOT(Slota et al., 2011)、または免疫アッセイおよび免疫受容体配列決定(MIRA)アッセイの組合せを使用した抗原特異的T細胞受容体の多重特定(Klinger et al., 2015)などのアッセイからの実験データを使用して、所与の実験状況または個体におけるペプチドおよびHLA対立遺伝子に関するペプチド-HLA免疫原性メトリックを生成することができる。一部の実施形態では、ELISPOT(Slota et al., 2011)、または免疫アッセイおよび免疫受容体配列決定(MIRA)アッセイの組合せを使用した抗原特異的T細胞受容体の多重特定(Klinger et al., 2015)などのアッセイからの実験データを、MHC分子(例えば、HLA対立遺伝子)によるペプチド提示(例えば、結合親和性)をスコア付けする(例えば、ペプチド-HLA結合スコアとして測定される)ために、またはペプチド-免疫原性メトリックを決定するために、機械学習に基づく予測と組み合わせることができる。一部の実施形態では、MHCflurryまたはNetMHCpan(Reynisson et al., 2020)計算法(当技術分野で公知)を使用して、HLA対立遺伝子によるペプチドのMHCクラスI提示を予測する(表1を参照)。一部の実施形態では、NetMHCIIpan計算法(Reynisson et al., 2020)を使用して、HLA対立遺伝子によるペプチドのMHCクラスII提示を予測する(表2を参照)。
【0046】
一部の実施形態では、MHCflurry(Odonnell et al., 2018、Odonnell et al.,2020。これらの文献は参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)、NetMHCpan(Reynisson et al., 2020。この文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、およびNetMHCIIpan(Reynisson et al., 2020)を使用して、HLA対立遺伝子によるペプチドのMHCクラスI(MHCflurry、NetMHCpan)提示またはクラスII(NetMHCIIpan)提示のいずれかを予測する。他の実施形態では、国際公開第2005/042698号パンフレットに開示のような、ペプチド-HLA結合を決定するための他の方法が使用される。この文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。NetMHCpan-4.1およびNetMHCIIpan-4.0では、ペプチド-HLA結合を予測するためにNNAlign_MAアルゴリズム(Alvarez et al., 2019。この文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)が使用される。NNAlign_MAは、次いでNNAlign(Nielsen et al., 2009、Nielsen et al., 2017、参照により全体が本明細書に組み込まれる)ニューラルネットワークに基づく。NetMHCpan-4.1(Reynisson et al., 2020)では、ペプチド配列を記述する少なくとも180入力(9×20=180入力)を有するNNAlign_MAネットワークが使用される。56個および66個の隠れニューロンの両方ならびに2つの出力を有するネットワークが使用される(Alvarez et al., 2019)。各ネットワークアーキテクチャ(56個または66個の隠れニューロン)は、5つの異なるランダムパラメーター初期化および5重相互検証でトレーニングされ、合計50個の個々のトレーニング済みネットワーク(2つのアーキテクチャ×5つの初期化×5つの相互検証)がもたらされる。こうした50個のトレーニング済みネットワークは、少なくとも10,800個のパラメーター(180入力×56ニューロン)を有する25個のネットワーク、および少なくとも11,880個のパラメーター(180入力×66ニューロン)からなる25個のネットワークを有するアンサンブルとして使用される。したがって、NetMHCpan-4.1の50個のネットワークのアンサンブルは、ペプチド-MHC結合を計算するための少なくとも567,000回の算術演算で評価しなければならない少なくとも567,000個のパラメーターからなる。NetMHCpan-4.1(Reynisson et al., 2020)では、ペプチド配列を記述する少なくとも180入力(9×20=180入力)を有するNNAlign_MAネットワークが使用される。2、10、20、40、および60個の隠れニューロンならびに2つの出力を有するネットワークが使用される(Alvarez et al., 2019)。各ネットワークアーキテクチャ(2、10、20、40、および60個の隠れニューロン)は、10個の異なるランダムパラメーター初期化および5重相互検証でトレーニングされ、合計250個の個々のトレーニング済みネットワーク(5つのアーキテクチャ×10個の初期化×5つの相互検証)がもたらされる。こうした250個のトレーニング済みネットワークは、少なくとも360個のパラメーター(180入力×2ニューロン)を有する50個のネットワーク、少なくとも1800個のパラメーター(180入力×10ニューロン)を有する50個のネットワーク、少なくとも3600個のパラメーター(180入力×20ニューロン)を有する50個のネットワーク、少なくとも7200個のパラメーター(180入力×40ニューロン)を有する50個のネットワーク、少なくとも10,800個のパラメーター(180入力×60ニューロン)を有する50個のネットワークを有するアンサンブルとして使用される。したがって、NetMHCpan-4.1の250個のネットワークのアンサンブルは、ペプチド-MHC結合を計算するための少なくとも1,188,000回の算術演算で評価しなければならない少なくとも1,188,000個のパラメーターからなる。
【0047】
ペプチドは、MHC分子の溝内に結合するとMHC分子により提示され、細胞表面に輸送され、そこでT細胞受容体により認識され得る。標的ペプチドは、外来性ペプチドまたは自己ペプチドを指す。一部の実施形態では、健康な個体における正常なプロテオームの一部であるペプチドは自己ペプチドであり、正常なプロテオームの一部ではないペプチドは外来性ペプチドである。一部の実施形態では、標的ペプチドは、異常な発現を呈する正常なプロテオームの一部であり得る(例えば、NY-ESO-1などの、がん-精巣抗原)。外来性ペプチドは、ネオ抗原と呼ばれるエピトープを作出する腫瘍細胞内の正常な自己タンパク質の突然変異により、または病原体感染により生成され得る。一部の実施形態では、ネオ抗原は、ヒトタンパク質の任意の部分配列であり、部分配列は、健康な個体には出現しない1つまたは複数の変更されたアミノ酸またはタンパク質修飾を含む。したがって、本開示では、外来性ペプチドは、標的タンパク質/ペプチド(または完全長タンパク質/ペプチド)の断片をコードするアミノ酸配列を指し、標的タンパク質/ペプチドは、ネオ抗原タンパク質、病原体プロテオーム、または非自己であり、HLA対立遺伝子により結合および提示されることが予想される任意の他の望ましくないタンパク質からなる。
【0048】
例えば、KRAS遺伝子突然変異は、がんにおいて最も頻繁に突然変異するがん遺伝子であるが、小分子療法剤で治療することが非常に困難である。KRASタンパク質は、細胞増殖を制御するシグナル伝達経路の一部であり、このタンパク質における点突然変異は、構成的経路活性化および制御されない細胞増殖を引き起こす可能性がある。単一アミノ酸KRAS突然変異は、タンパク質構造にわずかな変化しかもたらさず、そのため、突然変異型特異的結合ポケットを認識してKRASシグナル伝達を不活化する小分子薬の開発が困難である。KRAS発がん性突然変異としては、12位における、グリシンからアスパラギン酸への(G12D)、グリシンからバリンへの(G12V)、グリシンからアルギニンへの(G12R)、もしくはグリシンからシスチンへの(G12C)への突然変異;または13位におけるグリシンからアスパラギン酸への突然変異(G13D)が挙げられる。対応する外来性ペプチドは、こうした突然変異を含む。KRASは、RAS遺伝子ファミリーのメンバーであり、HRASおよびNRASも含まれる。KRAS、HRAS、およびNRASは、残基1から残基86までは配列が同一である。したがって、1つのRASファミリーメンバーにおける突然変異に対する本明細書に記載のワクチンおよびペプチド配列はすべて、任意の他のRASファミリーメンバーにおける同一の突然変異に対して使用することができる(例えば、KRAS G12Dワクチンは、HRAS G12Dに対するワクチンでもある)。
【0049】
BCR-ABL突然変異は、第22番染色体のBCR遺伝子と第9番染色体のABL遺伝子との異常接合の結果であり、第22番染色体での2つの遺伝子の融合がもたらされる。形成される融合産物の違いにより、異なるBCR-ABL転写物がもたらされ、b3a2(e14a2としても知られている)およびb2a2(e13a2としても知られている)が最も一般的である。BCR-ABL罹患患者200人の研究では、42%がb2a2を発現し、41%がb3a2を発現し、18%が両転写物を発現した(Jain et al., 2016)。異常なb2a2およびb3a2 BCR-ABL融合は、BCLおよびABLの接合部に外来性ペプチドを含む新規タンパク質配列を作出する。本明細書では、こうした外来性ペプチドおよびそれらの誘導体を、ワクチン設計のためのネオ抗原エピトープとして使用する方法が開示される。
【0050】
ペプチドワクチンの設計における課題は、ヒトMHC対立遺伝子(HLA対立遺伝子)の多様性であり、ヒトMHC対立遺伝子(HLA対立遺伝子)は、それらが提示することになるペプチド配列に対して各々が特定の優先順位を示す。MHC内に位置するヒト白血球抗原(HLA)遺伝子座は、HLAクラスIおよびクラスII分子をコードする。3つの古典的なクラスI遺伝子座(HLA-A、HLA-B、およびHLA-C)およびクラスII分子をコードする3つの遺伝子座(HLA-DR、HLA-DQ、およびHLA-DP)が存在する。個人のHLA型は、こうした遺伝子座の各々に個人が有する対立遺伝子を記述する。約8~約11残基の長さのペプチドは、HLAクラスI(またはMHCクラスI)分子に結合することができるが、約13~約25残基の長さのペプチドは、HLAクラスII(またはMHCクラスII)分子に結合する(Rist et al., 2013;Chicz et al., 1992)。異なる地理学的地域を起源とするヒト集団では、HLA対立遺伝子の頻度が異なり、そうした集団は、HLA遺伝子座間の連鎖不平衡を呈し、それにより集団特異的ハプロタイプ頻度がもたらされる。一部の実施形態では、ロバストに提示される可能性が高いペプチドのセットを達成するために、標的集団におけるHLA対立遺伝子頻度ならびにHLA遺伝子間の連鎖不均衡を考慮することを含む、有効なワクチンを作出するための方法が開示される。
【0051】
本開示は、単一のまたは複数の標的に対する免疫を生成するワクチン設計の組成物、系、および方法を提供する。一部の実施形態では、標的は、ネオ抗原タンパク質配列、病原体プロテオーム、または非自己であり、HLA分子(本明細書ではHLA対立遺伝子とも呼ばれる)により結合および提示されることが予想される任意の他の望ましくないタンパク質配列である。標的が個体に存在する場合、様々なHLA対立遺伝子により提示される複数のペプチド配列がもたらされる可能性がある。一部の実施形態では、選択された自己ペプチドを含むワクチンを作出することが望ましい可能性があり、したがって、そうした選択された自己ペプチドは、本目的のための標的ペプチドであるとみなされる。
【0052】
ペプチド-HLA結合という用語は、ペプチドとHLA対立遺伝子との結合であると規定され、計算的に予測すること、実験的に観察すること、または実験的観察を使用して計算的に予測することのいずれも可能である。ペプチド-HLA結合のメトリックは、親和性、パーセンタイル順位、所定の閾値におけるバイナリ、確率、または当技術分野で公知の他のメトリックとして表すことができる。ペプチド-HLA免疫原性メトリックという用語は、HLA対立遺伝子が結合した際のペプチドの認識に基づくT細胞の活性化であると規定される。ペプチド-HLA免疫原性スコアという用語は、ペプチド-HLA免疫原性メトリックの別の用語であり、こうした用語は同義的である。ペプチド-HLA免疫原性メトリックは、個体間で異なる可能性があり、ペプチド-HLA免疫原性のメトリックは、確率、バイナリ指標、またはペプチド-HLA組合せが免疫原性となる尤度に関する他のメトリックとして表すことができる。一部の実施形態では、ペプチド-HLA免疫原性は、HLA対立遺伝子が結合した際のペプチドの認識に基づく免疫寛容の誘導であると規定される。ペプチド-HLA免疫原性メトリックは、計算的に予測することができるか、実験的に観察することができるか、または実験的観察を使用して計算的に予測することができる。一部の実施形態では、ペプチド-HLA免疫原性にはペプチド-HLA結合が必要であるため、ペプチド-HLA免疫原性メトリックは、ペプチド-HLA結合にのみ基づく。一部の実施形態では、ペプチド-HLA免疫原性データまたはペプチド-HLA免疫原性の計算的予測を含めて、本明細書で開示の方法においてペプチド提示のスコアと組み合わせることができる。スコアを組み合わせる1つの方法は、罹患個体またはワクチン接種個体での免疫原性についてアッセイしたペプチドの免疫原性データを使用し、計算的方法により提示の尤度が最も高いと予測されたHLA対立遺伝子を選択することにより、ペプチドを、個体においてペプチドを提示したHLA対立遺伝子に帰属させることである。実験的にアッセイされていないペプチドについては、計算的提示予測を使用することができる。一部の実施形態では、ペプチド-HLA免疫原性またはペプチド-HLA結合を予測するための異なる計算法を組み合わせることができる(Liu et al., 2020b)。ペプチドの所与のセットおよびHLA対立遺伝子のセットの場合、ペプチド-HLAヒットという用語は、所定の閾値においてペプチド-HLA免疫原性または結合を呈するペプチドおよびHLA対立遺伝子の固有な組合せの数である。例えば、ペプチド-HLAヒットが2であることは、1つのペプチドが2つの異なるHLA対立遺伝子に結合する(またはT細胞活性化を誘発する)と予測されるか、2つのペプチドが2つの異なるHLA対立遺伝子に結合する(またはT細胞活性化を誘発する)と予測されるか、または2つのペプチドが同じHLA対立遺伝子に結合する(またはT細胞活性化を誘発する)と予測されることを意味することができる。所与のセットのペプチドおよびHLA頻度、HLAハプロタイプ頻度、またはHLAディプロタイプ頻度の場合、予想ペプチド-HLAヒット数は、それらの出現頻度で加重された、個体を表すHLAの各セットにおけるペプチドHLAヒットの平均数である。
【0053】
免疫原性は個体間で異なる可能性があるため、ワクチン有効性の確率を増加させる1つの方法は、多様なセットの標的ペプチド(例えば、少なくとも2つのペプチド)を使用して、それらの一部のサブセットが所与の個体において免疫原性になる見込みを増加させることである。マウスモデルを使用した以前の研究では、ほとんどのMHC提示ペプチドが免疫原性であることが示されているが、免疫原性は、Croft et al. (2019)に記載のように、個体間で異なる。一部の実施形態では、実験的なペプチド-HLA免疫原性データを使用して、どの標的ペプチドおよびそれらの修飾がワクチンにおいて有効な免疫原となるかを決定する。
【0054】
ペプチドワクチンの設計に関する考慮事項は、Liu et al., Cell Systems 11, Issue 2, p. 131-146 (Liu et al., 2020)および(Liu et al., 2020b)ならびに米国特許第11,058,751号明細書および米国特許第11,161,892号に概説されている。これらの文献は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0055】
ある特定の標的ペプチドは、幅広い範囲のHLA分子に対して高い親和性では結合しない可能性がある。標的ペプチドとHLA分子との結合を増加させるために、それらのアミノ酸組成を変更して、1つまたは複数のアンカー残基または他の残基を変化させることができる。一部の実施形態では、HLA分子により提示された場合に標的ペプチドの免疫原性を増加させるために、標的ペプチドのアミノ酸組成を変更して、1つまたは複数の残基を変化させることができる。アンカー残基は、HLA分子と相互作用し、HLA分子に対するペプチドの親和性に最も大きな影響を及ぼすアミノ酸である。1つまたは複数のアミノ酸残基が変更されたペプチドは、ヘテロクリティックペプチドと呼ばれる。一部の実施形態では、ヘテロクリティックペプチドには、アンカー位置に残基修飾を有する標的ペプチドが含まれる。一部の実施形態では、ヘテロクリティックペプチドには、非アンカー位置に残基修飾を有する標的ペプチドが含まれる。一部の実施形態では、ヘテロクリティックペプチドには、非天然アミノ酸および/またはアミノ酸誘導体を含む残基修飾を有する標的ペプチドが含まれる。ヘテロクリティックペプチドを作出するための修飾は、MHCクラスI分子およびMHCクラスII分子の両方に対するペプチドの結合を向上させることができ、必要とされる修飾は、ペプチドおよびMHCクラスの両方に特異的であり得る。ペプチドアンカー残基は、MHC分子溝に面しているため、T細胞受容体からは、他のペプチド残基よりも見えにくい。したがって、アンカー残基修飾を有するヘテロクリティックペプチドは、刺激されたT細胞が未修飾ペプチドにも応答するT細胞応答を誘導することが観察されている。ワクチンにおけるヘテロクリティックペプチドの使用は、ワクチンの有効性を向上させることができることが観察されている(Zirlik et al., 2006)。一部の実施形態では、当技術分野で公知のように(Houghton et al., 2007)、ヘテロクリティックペプチドの免疫原性を実験的に決定し、ヘテロクリティックペプチドの対応する基本(シードとも呼ばれる)ペプチドをも認識するT細胞を活性化する能力を決定する。一部の実施形態では、ヘテロクリティックペプチドの免疫原性および交差反応性のこうしたアッセイは、ヘテロクリティックペプチドが特定のHLA対立遺伝子により提示される場合に実施される。
【0056】
1つまたは複数の標的に対する免疫を誘導するペプチドワクチン
一部の実施形態では、1つまたは複数の標的に対する単一のワクチン設計を使用してペプチドワクチンを製剤化するための方法が提供される。一部の実施形態では、単一の標的は、特定の突然変異を有する外来性タンパク質(例えば、KRAS G12D)である。一部の実施形態では、単一の標的は、自己タンパク質(例えば、がん/精巣抗原などの腫瘍細胞において過剰発現されるタンパク質)である。一部の実施形態では、単一の標的は、病原体タンパク質(例えば、ウイルスプロテオームに含まれるタンパク質)である。一部の実施形態では、複数の標的を使用することができる(例えば、KRAS G12DおよびKRASの両方、またはBCL-ABL転写物b2a2およびb3a2に由来する外来性ペプチド)。
【0057】
一部の実施形態では、本方法は、Liu et al. (2020)に記載のように、すべての標的プロテオーム配列からペプチドを抽出して候補セットを構築することを含む。
【0058】
図1および図2は、MHCクラスIまたはMHCクラスIIワクチン設計に使用することができる例示的なワクチン設計法のフローチャートを示す。候補ペプチドセット(図1および図2を参照)は、入力タンパク質配列を窓処理することにより抽出された標的ペプチドで構成されている。一部の実施形態では、抽出された標的ペプチドは、約8~約10アミノ酸長である[例えば、MHCクラスI結合の場合(Rist et al., 2013)]。一部の実施形態では、MHCクラスI分子により提示される抽出された標的ペプチドは、11残基など、10アミノ酸残基より長い(Trolle et al., 2016)。一部の実施形態では、抽出された標的ペプチドは、約13~約25の長さである[例えば、クラスII結合の場合(Chicz et al., 1992)]。一部の実施形態では、本明細書に記載の種々のサイズ範囲のスライド窓が、プロテオーム全体にわたって使用される。一部の実施形態では、MHCクラスIおよびクラスIIスライド窓には、他の標的ペプチド長を使用することができる。一部の実施形態では、プロテアソーム切断の計算的予測を使用して、候補セット中のペプチドをフィルタリングまたは選択する。プロテアソーム切断を予測するための1つの計算方法は、Nielsen et al. (2005)に記載されている。一部の実施形態では、Liu et al. (2020)に記載のように、ペプチド突然変異率、グリコシル化、切断部位、または他の基準を、ペプチドのフィルタリングに使用することができる。一部の実施形態では、ペプチドは、所定の閾値を上回る進化的配列多様性に基づいてフィルタリングすることができる。進化的配列多様性は、他の種、他の病原体、他の病原体株、または他の関連生物に関して計算することができる。一部の実施形態では、第1のペプチドセットは候補セットである。
【0059】
一部の実施形態では、異常な遺伝子融合により生成される外来性ペプチドに対するワクチンを設計するために、候補ペプチドセットに含めるための標的ペプチドを、遺伝子融合産物から抽出し、抽出された標的ペプチドは各々、2つの遺伝子間にブレイクポイント(breakpoint)を含む。例えば、BCR-ABLワクチンを設計するための一部の実施形態では、BCR-ABL b3a2(e14a2)およびb2a2(e13a2)キメラタンパク質配列をNCBIから入手した(それぞれ、GenBank ID CAA10376.1およびCAA10377.1)。各アイソフォーム毎に、長さ8~11(MHCクラスI)および13~25(MHCクラスII)のスライド窓を、BCR-ABLブレイクポイント周囲で抽出した。スライド窓は、本明細書の「MHCクラスIワクチン設計手順」および「MHCクラスIIワクチン設計手順」に記載の手順を使用して抽出することができ、その場合、P1...nは、キメラタンパク質配列を含み、tは、キメラタンパク質配列中のブレイクポイントの位置を指定し、s=真である。b3a2の場合、BCR-ABL接合部はトリプレットコドンを破壊し、ブレイクポイントに新規のリジン(「K」)が生成される(Clark et al., 2001)。b2a2の場合、接合部のコドン破壊は、AspからGluへの変更を引き起こすが、この新規アミノ酸は、正常なa1a2接合部にも存在する(Clark et al., 2001)。したがって、b3a2の場合、「K」ブレイクポイントをまたぐすべての得られた窓を保持した。b2a2の場合、配列「KEE」を含む窓のみを保持し、BCRタンパク質配列またはABLタンパク質配列にのみ見出される窓を排除した。この手順を適用して、融合遺伝子間のブレイクポイントを特定し、本記載の窓戦略を使用することにより、他の異常な遺伝子融合物に対するワクチンを生成することができる。
【0060】
図1~2に示されているように、一部の実施形態では、この方法の次の工程は、Liu et al. (2020)およびLiu et al. (2020b)に記載のように、すべての考慮されるHLA対立遺伝子に対するペプチド-HLA結合について、候補セット中の標的ペプチドをスコア付けすることを含む。一部の実施形態では、第1のペプチドセットは、標的ペプチドをスコア付けした後の候補セットである。スコア付けは、ヒトHLA分子、マウスH-2分子、ブタSLA分子、または予測アルゴリズムが使用可能もしくは開発可能な任意の種のMHC分子について達成することができる。したがって、非ヒト種を標的とするワクチンを、この方法を用いて設計することができる。スコア付けメトリックとしては、HLA対立遺伝子に対する標的ペプチドのナノモル濃度での親和性、溶出リガンド、提示、およびパーセンタイル順位として表すことができるその他のスコア、または他のメトリックを挙げることができる。候補セットをさらにフィルタリングして、予測結合コアが目的の特定の病原性またはネオ抗原標的残基を含まないペプチド、または予測結合コアがアンカー位置に標的残基を含むペプチドを除外することができる。また、候補セットを、例えば、MHCクラスIの長さ9など、特定の長さの標的ペプチドについてフィルタリングしてもよい。一部の実施形態では、標的ペプチドのスコア付けは、実験データ、または実験データおよび計算的予測法の組合せにより達成される。特定の(ペプチド、HLA)対についてペプチド-HLA結合予測を行うための計算モデルが使用できない場合、そのような対の結合値は、サポートされている対について得られている免疫原性値の平均値、中央値、最小値、もしくは最大値、固定値(結合しないことの指標など)により規定してもよく、またはスコア付けモデルにて使用可能な最も類似した(ペプチド、HLA)対を予測する関数を含む他の技法を使用して推論してもよい。
【0061】
一部の実施形態では、異常な遺伝子融合により作出される外来性ペプチドは、HLA対立遺伝子のMHCクラスIまたはクラスIIアンカー位置に入る融合ブレイクポイントを含む場合、排除されない。例えば、MHCクラスIのBCL-ABLワクチンの設計では、BCR-ABLブレイクポイントがペプチドアンカー位置内に入る場合、窓は排除されない。MHCクラスIIの場合、スコア付けモデルでは、ブレイクポイントが、所与のHLAの予測9-mer結合コア内(任意の位置)に存在する必要があり、この基準を満たさないペプチド-HLA対のスコアは排除される。一部の実施形態では、MHCクラスIのBCR-ABLワクチンの設計の場合、BCR-ABLブレイクポイントがペプチドアンカー位置内に入る場合、窓は排除される。一部の実施形態では、MHCクラスIIのBCR-ABLワクチンの設計の場合、BCR-ABLブレイクポイントが、所与のペプチド-HLA対の予測9-mer結合コアのアンカー位置内に存在する場合、ペプチド-HLAスコアは排除される。一部の実施形態では、MHCクラスIIワクチンの設計の場合、遺伝子融合ブレイクポイントは、所与のペプチド-HLA対の予測9-mer結合コアの内側または外側のいずれの位置に存在してもよい。
【0062】
一部の実施形態では、基本セット(本明細書ではシードセットとも呼ばれる)は、個々のペプチド-HLA結合または免疫原性基準を使用して、スコア付け候補セットからペプチドを選択することにより構築される(例えば、第1のペプチドセット)(図1)。一部の実施形態では、所与のペプチドは複数のペプチド-HLAスコアを有するため、選択は、最も良好な親和性または最も高い免疫原性(例えば、所与のHLA対立遺伝子に対して、最も強力に結合するかまたは最も強力にT細胞を活性化すると予測される)を有するペプチド-HLA結合スコアまたはペプチド-HLA免疫原性メトリックに基づいていてもよい。スコア付け手順中にペプチド-HLA結合をスコア付けするために使用される基準は、基本セット選択段階中およびワクチン設計段階中の様々な目標に対応することができる。例えば、500nMのペプチド-HLA結合親和性を有する標的ペプチドは、罹患している個体により提示される可能性があるが、その頻度は、50nMのペプチド-HLA結合親和性を有する標的ペプチドよりも低い。ワクチンのコンビナトリアル設計段階中には、ワクチンペプチドがHLA分子により見出され、提示されることになる確率を増加させるために、50nMなどの、より制約された親和性基準を使用することができる(例えば、図1および図2では、第3のペプチドセット、標的に対するワクチンを選択する際)。一部の実施形態では、特定のHLA対立遺伝子のスコアについて、ペプチド-HLA免疫原性またはペプチド-HLA結合の比較的制約の少ない閾値(例えば、約1000nM未満または約500nM未満)を、候補ペプチド-HLAスコアのフィルタリングの第1の閾値として使用し(図1および図2では、第1のペプチドスコア付けおよびスコアフィルタリング工程)、比較的より制約の大きな第2の閾値(例えば、約50nM未満)を、拡張セットペプチド-HLAスコアのフィルタリングに使用する(図1および図2では、第2のペプチドフィルタリングおよびスコア付け工程)。一部の実施形態では、所与のHLAの修飾ペプチドの特定のペプチド-HLAスコアは、それらの未修飾対応ペプチドが第1の制約の少ない閾値を満たさない場合、ワクチン設計には使用されない。ペプチド-HLAスコアのこのフィルタリングは、ワクチン包含に十分な程度に免疫原性でないペプチドでも抗原性であり得るため(第1の閾値を満たす)、ワクチンにより拡大増殖されたT細胞クロノタイプにより認識される可能性があるという観察に基づく。ペプチドは、T細胞受容体により認識され、CD8+T細胞細胞傷害性またはCD4+細胞活性化などの応答をもたらす場合、抗原性である。抗原性ペプチドの誘導体は、強力に免疫原性であり、ワクチンに含まれ、したがって抗原性ペプチドを認識するT細胞を活性化および拡大増殖させる。未修飾抗原性ペプチドを認識するT細胞の拡大増殖は、疾患制御に寄与する免疫応答を提供することができる。一部の実施形態では、ペプチドは、約500nM未満のペプチド-HLA結合親和性を有する第3のペプチドセット(図1および図2では、標的に対するワクチン)潜在的包含についてスコア付けされる。一部の実施形態では、少なくとも1つのHLA対立遺伝子に対して約1000nM未満のペプチド-HLA結合親和性を有するペプチドが基本セットに選択される。その代わりに、ペプチド-HLA免疫原性の予測を使用して、基本セット包含のための標的ペプチドを認定してもよい。一部の実施形態では、HLA対立遺伝子によりそれらが提示される状況におけるペプチドの免疫原性の実験的観察、またはペプチドとHLA対立遺伝子との結合の実験的観察を使用して、HLA対立遺伝子に対する結合またはペプチド-HLA免疫原性についてペプチドをスコア付けすることができる。
【0063】
一部の実施形態では、腫瘍細胞における特定のHLA対立遺伝子によるペプチド提示の実験的観察を使用して、ペプチド-HLA結合またはペプチド-HLA免疫原性についてペプチドをスコア付けすることができる。一部の実施形態では、特定のHLA対立遺伝子によるペプチド腫瘍細胞(peptides tumor cell)の提示の実験的観察を使用して、そのHLA対立遺伝子に対するペプチド-HLA結合またはペプチド-HLA免疫原性についてペプチドをスコア付けすることができる。一部の実施形態では、ペプチド腫瘍細胞の提示の実験的観察を使用して、ペプチド-HLA結合またはペプチド-HLA免疫原性についてペプチドをスコア付けすることができ、特定の観察されたペプチドに対するHLA対立遺伝子は、予測ペプチド-HLA結合または免疫原性閾値を満たす、腫瘍に存在するHLA対立遺伝子から選択される。一部の実施形態では、腫瘍細胞によるペプチドの提示を、Bear et al. (2021)またはWang et al. (2019)に記載のように、質量分析法を使用して実験的に決定し、こうしたデータを使用して、ペプチド-HLA結合またはペプチド-HLA免疫原性をスコア付けする。一部の実施形態では、腫瘍細胞によるペプチドの提示を、質量分析法を使用して実験的に決定し、こうした実験データを使用して、ワクチンのための1つまたは複数のHLA対立遺伝子の基本セット(シードセット)ペプチドの包含を認定する。一部の実施形態では、腫瘍細胞によるペプチドの提示を、質量分析法を使用して実験的に決定し、こうした実験データを使用して、そのペプチドがHLA対立遺伝子により提示されることが表示質量分析で観察されない場合、ペプチドのペプチド-HLA結合スコアまたはペプチド-HLA免疫原性スコアを除外する。一部の実施形態では、個体における腫瘍細胞によるペプチドの提示を、質量分析法を使用して実験的に決定し、こうした実験データを使用して、1つまたは複数のHLA対立遺伝子について、その個体の基本セット(シードセット)ペプチドの包含を認定する。一部の実施形態では、個体における腫瘍細胞によるペプチドの提示を、質量分析法を使用して実験的に決定し、こうした実験データを使用して、ペプチドがHLA対立遺伝子により提示されることが表示質量分析で観察されない場合、そのペプチドのペプチド-HLA結合スコアまたはペプチド-HLA免疫原性スコアを除外する。一部の実施形態では、Ogishi et al. (2019)またはBulik-Sullivan et al. (2019)の方法などの、HLA対立遺伝子による提示の状況におけるペプチドの免疫原性の計算的予測を、スコア付けに使用することができる。
【0064】
一部の実施形態では、所与のHLA対立遺伝子の基本セット(シードセット)中の第1のペプチドのペプチド-HLAスコアまたはペプチド-HLA免疫原性スコアは、第1のペプチドに対応する野生型ペプチド(例えば、そのペプチドの未突然変異天然形態または規定の配列編集距離内の対応する種のペプチド)が、規定の閾値内の同じHLA対立遺伝子のペプチド-HLAスコアまたはペプチド-HLA免疫原性スコアを有する場合は、排除され、ワクチン設計に考慮されない。閾値は、第1のペプチドおよび野生型ペプチドのスコアの差、第1のペプチドおよび野生型ペプチドのスコアの比、野生型ペプチドのスコア、または他のメトリックに基づいていてもよい。規定の閾値は、指定の値より大きいかまたは小さいかのいずれであってもよい。一部の実施形態では、閾値は、野生型ペプチドが提示されないと予測されるように規定される。一部の実施形態では、ワクチン設計中に第1のペプチドのペプチド-HLAスコアまたはペプチド-HLA免疫原性スコアが排除される場合、同じHLA対立遺伝子に対するその誘導体(例えば、ヘテロクリティックペプチド誘導体)のすべてのペプチド-HLAスコアまたはペプチド-HLA免疫原性スコアも排除され、ワクチン設計に考慮されない。
【0065】
一部の実施形態では、この方法は、集団のHLAハプロタイプ頻度を使用して、Liu et al. (2020)に記載のOptiVax-Robustアルゴリズムを、スコア付けされた候補セットに対して実行し、標的ペプチドの基本セット(本明細書ではシードセットとも呼ばれる)を構築することをさらに含む(図2)。一部の実施形態では、HLAディプロタイプ頻度を、OptiVaxに提供してもよい。OptiVax-Robustは、様々な窓サイズを用いたスライド窓手法から生じるペプチド冗長性を排除するアルゴリズムを含むが、他の冗長性排除手段を使用して、候補セット中の標的ペプチド間の最小編集距離の制約を強制することができる。シードセットのサイズは、シードセット中の標的ペプチドの数の関数としての集団カバー率の収益逓減点により決定される。最小ワクチン標的ペプチド数、最大ワクチン標的ペプチド数、および所望の予測集団カバー率を含む、他の基準も使用することができる。一部の実施形態では、所定の集団カバー率は、約0.4未満であるか、約0.4~0.5であるか、約0.5~0.6であるか、約0.6~0.7であるか、約0.7~0.8であるか、約0.8~0.9であるか、または約0.9よりも大きい。別の考え得る基準は、各個体における最小予想ペプチド-HLA結合ヒット数である。代替的な実施形態では、本方法は、OptiVax-Robustの代わりに、Liu et al. (2020)に記載のOptiVax-Unlinkedアルゴリズムを実行することをさらに含む。
【0066】
OptiVax-Robust法では、ペプチド-HLA免疫原性のバイナリ予測が使用され、こうしたバイナリ予測は、Liu et al. (2020b)に記載のように生成することができる。OptiVax-Unlinked法では、標的ペプチドがHLA対立遺伝子に結合する確率が使用され、Liu et al. (2020)に記載のように生成することができる。一部の実施形態では、OptiVax-UnlinkedおよびEvalVax-Unlinkedは、ペプチド-HLA免疫原性の確率と共に使用される。いずれの方法も、本明細書に記載の目的のために使用することができ、したがって「OptiVax」という用語は、Robust法またはUnlinked法のいずれをも指す。一部の実施形態では、実験的アッセイで観察されるペプチド-HLA免疫原性の確率を、EvalVax-UnlinkedおよびOptiVax-Unlinkedにおいてペプチド-HLA結合の確率として使用することができる。一部の実施形態では、ワクチン設計のためにOptiVaxに提供される集団のHLAハプロタイプまたはHLA対立遺伝子頻度は、世界集団を表すものである。代替的な実施形態では、ワクチン設計のためにOptiVaxに提供される集団のHLAハプロタイプまたはHLA対立遺伝子頻度は、地理学的地域に特有なものである。代替的な実施形態では、ワクチン設計のためにOptiVaxに提供される集団のHLAハプロタイプまたはHLA対立遺伝子頻度は、祖先に特有なものである。代替的な実施形態では、ワクチン設計のためにOptiVaxに提供される集団のHLAハプロタイプまたはHLA対立遺伝子頻度は、人種に特有なものである。代替的な実施形態では、ワクチン設計のためにOptiVaxに提供される集団のHLAハプロタイプまたはHLA対立遺伝子頻度は、リスクの遺伝的指標、年齢、化学物質への曝露、アルコール摂取、慢性炎症、食事、ホルモン、免疫抑制、感染性因子、肥満、放射線、日光、または喫煙などのリスク因子を有する個体に特有なものである。代替的な実施形態では、ワクチン設計のためにOptiVaxに提供される集団のHLAハプロタイプまたはHLA対立遺伝子頻度は、ある特定のHLA対立遺伝子を有する個体に特有なものである。代替的な実施形態では、ワクチン設計のためにOptiVaxに提供されるHLAディプロタイプは、単一の個体を表し、個別化ワクチンの設計に使用される。
【0067】
一部の実施形態では、標的ペプチドの候補セットへのOptiVax適用からもたらされる標的ペプチドの基本(またはシード)セット(例えば、第1のペプチドセット)は、考え得る小型ワクチン設計である未修飾標的ペプチドのセットを表す(図2のシードセット)。基本ペプチドは、基本またはシードペプチドセット(例えば、第1のペプチドセット)に含まれている標的ペプチドである。一部の実施形態では、シードセット(例えば、第1のペプチドセット)は、HLA分子に関する予測または観察された親和性または免疫原性による候補ペプチドスコアのフィルタリングに基づく(図1のシードセット)。しかしながら、幅広い範囲のHLAハプロタイプにおける標的ペプチドの提示を可能な限り向上させるため、一部の実施形態は、シード(または基本)セットの修飾を含む。一部の実施形態では、実験的アッセイを使用して、修飾シード(または基本)ペプチドが、基本/シードペプチドをも認識するT細胞を活性化することを保証することができる。
【0068】
所与の標的ペプチドについて、最適アンカー残基選択は、標的ペプチドに結合し、それを提示するHLA対立遺伝子およびHLA対立遺伝子のクラス(MHCクラスIまたはクラスII)に依存する可能性がある。シードペプチドセット(例えば、第1のペプチドセット)は、MHCクラスIまたはIIペプチドのいずれかのアンカー残基修飾ペプチドを含めることにより拡張セットになり得る(図1図2)。したがって、ワクチン設計の1つの態様は、異なるヘテロクリティックペプチドが、異なると共に潜在的に重複する集団カバー率を有することになることに照らして、ワクチン包含のために、同じ標的ペプチドに由来するヘテロクリティックペプチドの限定セットを選択する方法を考慮することである。
【0069】
一部の実施形態では、標的ペプチドの各基本セットのすべての考え得るアンカー修飾が考慮される。典型的には、MHCクラスI分子が結合するペプチドには2つのアンカー残基があり、9-merペプチドの場合、典型的には2位および9位にある。一部の実施形態では、8-mer、10-mer、および11-merのアンカーは、2位およびn位に見出され、nは最後の位置である(それぞれ、8、10、および11位)。MHCクラスI分子の場合、最後の位置nは、本明細書ではカルボキシル末端の「C」位と呼ばれる。一部の実施形態では、最良のヘテロクリティックペプチドを選択するために、各アンカー位置において20個の考え得るアミノ酸が試みられる。したがって、MHCクラスI結合の場合、各基本標的ペプチド毎に400(つまり、2つの位置毎に20個アミノ酸=20)-1個のヘテロクリティックペプチドが生成される。典型的には、MHCクラスII分子が結合するペプチドには4つのアンカー残基があり、典型的には、9-mer結合コアの1、4、6、および9位にある。したがって、MHCクラスII結合の場合、各基本標的ペプチド毎に160,000(つまり、4つの位置毎に20個アミノ酸=20)-1個のヘテロクリティックペプチドが生成される。一部の実施形態では、2つよりも多くの(MHCクラスI)または4つよりも多くの(MHCクラスII)位置がアンカーとして考慮される。ベイジアン最適化を含む他の方法を使用して、最適なアンカー残基を選択し、各シード(または基本)セットペプチドからヘテロクリティックペプチドを作出することができる。最適なアンカー残基を選択する他の方法は、Dai et al. (2020)による「Machine learning optimization of peptides for presentation by class II MHCs」に示されている。この文献はその全体が本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、アンカー位置は、ペプチドを提示するHLA対立遺伝子により決定され、したがって、ヘテロクリティックペプチドのセットは、HLA特異的アンカー位置の各セット毎にすべての考え得るアンカー修飾を含む。
【0070】
一部の実施形態では、基本/シードセット中の標的ペプチドのすべてについて、すべての考え得るアンカー残基修飾(例えば、MHCクラスIまたはクラスII)を有する新しいペプチド配列が作出され、こうした修飾のすべてを含む新しいヘテロクリティック基本セット(図1図2では、拡張セット)がもたらされる。一部の実施形態では、ペプチドのアンカー残基位置のうちの1つまたは複数が、ペプチドを自己ペプチドと区別する置換突然変異を含む場合、ペプチドのアンカー残基修飾は、ヘテロクリティック基本セットには含まれない。一部の実施形態では、基本/シードペプチドのアンカー残基修飾は、基本/シードペプチドを自己ペプチドと区別する置換突然変異を含まないペプチド位置のみがヘテロクリティック基本セットに含まれる。一部の実施形態では、ペプチドのアンカー残基修飾は、その隣接するアンカー残基の対の間にペプチドの突然変異の1つまたは複数が生じていない場合、ヘテロクリティック基本セットには含まれない。一部の実施形態では、基本/シードセット中のペプチドのすべてについて、アンカー残基修飾(例えば、MHCクラスIまたはクラスII)を有する新しいペプチド配列が作出され、選択された修飾を含む新しいヘテロクリティック基本セット(図1図2では、拡張セット)がもたらされる。一部の実施形態では、ペプチドを修飾するために使用されるアンカー残基位置は、ワクチン評価中に考慮されるHLA対立遺伝子により決定されるアンカー残基位置から選択される。一部の実施形態では、ヘテロクリティック基本セット(図1図2では、拡張セット)は、元のシード(または基本)セット(図1図2では、シードペプチドセット)も含む。一部の実施形態では、ヘテロクリティック基本セットは、非アンカー残基にアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、基本ペプチド残基の修飾は、T細胞受容体との結合を変更して療法有効性を向上させるために達成される(Candia et al., 2016)。一部の実施形態では、ヘテロクリティック基本セットは、非天然アミノ酸アナログのアミノ酸置換を含む。ヘテロクリティック基本セットは、HLA親和性、ペプチド-HLA免疫原性、または本明細書に記載の他のメトリックについてスコア付けされる(図1図2に示されている、別のラウンドのペプチドスコア付けおよびスコアフィルタリング)。一部の実施形態では、ヘテロクリティックペプチドおよびHLA対立遺伝子の対について、スコア付け予測をさらに更新して、ヘテロクリティックペプチドが、ペプチド-HLA結合スコアまたは指定のペプチド-HLA免疫原性メトリックの指定の閾値ではHLA対立遺伝子により提示されることが予測されない、それが由来したシード(または基本)ペプチドを有する対を排除することができる。また、一部の実施形態では、ペプチド-HLAスコアをフィルタリングして、特定のHLA対立遺伝子により提示されるヘテロクリティックペプチドの予測結合コアが、そのHLA対立遺伝子の対応するシード(または基本)セット標的ペプチドの結合コアと位置が正確にアラインされることを保証することができる。一部の実施形態では、スコア付け予測をHLA対立遺伝子についてフィルタリングして、そのHLA対立遺伝子に関して考慮されるヘテロクリティックペプチドが、そのHLA対立遺伝子により決定されるアンカー位置でのみ修飾されていることを保証する。スコア付けは、ペプチドおよびHLA対立遺伝子のペプチドHLA免疫原性のメトリックを生成し、メトリックは、バイナリ、免疫原性の確率、またはペプチド-HLA親和性またはパーセント順位などの免疫原性の他のメトリックのいずれであってもよく、計算的予測、実験的観察、または計算的予測および実験的観察の両方の組合せに基づいてもよい。一部の実施形態では、ペプチド-HLA免疫原性の確率が、OptiVax-Unlinkedにより使用される。一部の実施形態では、ヘテロクリティックペプチドは、特定のHLA対立遺伝子に関するそれらのペプチド-HLA免疫原性メトリックを決定するために、MIRA(Klinger et al., 2015)またはELISPOTなどの実験的アッセイに含まれる。一部の実施形態では、Liu et al. (2020b)の方法を使用して、ヘテロクリティックペプチドのMIRAデータを、ペプチド-HLA免疫原性のモデルに組み込むことができる。一部の実施形態では、ヘテロクリティックペプチドのペプチド-HLA免疫原性メトリックを実験的に決定し、ヘテロクリティックペプチドの対応するシード(または基本)ペプチドをも認識するT細胞を活性化する能力を当技術分野で公知のように実施して、ヘテロクリティックペプチドのワクチン包含を認定する(Houghton et al., 2007)。一部の実施形態では、ヘテロクリティックペプチドの免疫原性および交差反応性のこうしたアッセイは、ヘテロクリティックペプチドが特定のHLA対立遺伝子により提示される場合に実施される。
【0071】
一部の実施形態では、細胞における特定のHLA対立遺伝子によるヘテロクリティックペプチドの提示に関する実験的観察を使用して、ペプチド-HLA結合またはペプチド-HLA免疫原性についてペプチドをスコア付けすることができる。一部の実施形態では、細胞によるヘテロクリティックペプチドの提示を、Bear et al. (2021)またはWang et al. (2019)に記載のように、質量分析法を使用して実験的に決定し、そうしたデータを使用して、ペプチド-HLA結合またはペプチド-HLA免疫原性についてスコア付けする。一部の実施形態では、細胞によるヘテロクリティックペプチドの提示を、質量分析法を使用して実験的に決定し、そうした実験データを使用して、ワクチンに含めるためのヘテロクリティックペプチドの包含を認定する。一部の実施形態では、腫瘍細胞によるペプチドの提示を、質量分析法を使用して実験的に決定し、そうした実験データを使用して、ペプチドがHLA対立遺伝子により提示されることが表示質量分析により観察されない場合に、ペプチドのペプチド-HLA結合スコアまたはペプチド-HLA免疫原性スコアを除外する。一部の実施形態では、個体に見出されるHLA対立遺伝子を有する細胞によるヘテロクリティックペプチドの提示を、質量分析法を使用して実験的に決定し、そうした実験データを使用して、その個体のためのワクチンに含めるためのヘテロクリティックペプチドの包含を認定する。一部の実施形態では、個体における腫瘍細胞によるペプチドの提示を、質量分析法を使用して実験的に決定し、そうした実験データを使用して、ペプチドがHLA対立遺伝子により提示されることが表示質量分析により観察されない場合に、そのペプチドのペプチド-HLA結合スコアまたはペプチド-HLA免疫原性スコアを除外する。一部の実施形態では、Ogishi et al. (2019)またはBulik-Sullivan et al. (2019)の方法などの、HLA対立遺伝子による提示の状況におけるヘテロクリティックペプチドの免疫原性の計算的予測を、スコア付けに使用することができる。
【0072】
一部の実施形態では、ヘテロクリティック基本セット中のペプチドは、(1)HLA対立遺伝子に対するそのアンカー位置のうちの1つが、基本/シードペプチドを自己ペプチドと区別する、それが由来した基本/シードペプチドの突然変異の位置に対応する場合、および(2)自己ペプチドのペプチド-HLA結合またはペプチド-HLA免疫原性が、自己ペプチド結合または免疫原性の特定の閾値よりも強力である場合、除去される。これにより、TCRに面した残基を自己ペプチドと共有する結果として自己ペプチドと交差反応する可能性のある、ヘテロクリティック基本セット中のペプチドが排除される。一部の実施形態では、自己ペプチド結合の閾値は、およそ500nM~1000nMである。
【0073】
一部の実施形態では、ヘテロクリティック基本セット中の冗長ペプチドが除去される。一部の実施形態では、冗長ペプチドは、すべてのスコア付けされたHLAに対して、ヘテロクリティック基本セット中の第2のヘテロクリティックペプチドよりも免疫原性が低いペプチド-HLA免疫原性スコアまたはペプチド-HLA結合スコアを有する第1のヘテロクリティックペプチドであり、第1および第2のヘテロクリティックペプチドは両方とも、同じ基本(またはシード)ペプチドに由来する。一部の実施形態では、ペプチド冗長性は、HLA対立遺伝子のペプチド-HLA免疫原性スコアまたはペプチド-HLA結合スコアを比較することによってのみ決定され、HLA対立遺伝子に対する両ペプチドのペプチド-HLA免疫原性スコアまたはペプチド-HLA結合スコアは、所定の閾値(例えば、結合の場合は50nM)よりも免疫原性が高い。一部の実施形態では、冗長ペプチドは、ヘテロクリティック基本セット中の第2のヘテロクリティックペプチドの平均ペプチド-HLA免疫原性スコアまたはペプチド-HLA結合スコアよりも免疫原性が低い平均ペプチド-HLA免疫原性スコアまたはペプチド-HLA結合スコアを有する第1のヘテロクリティックペプチドであり、第1および第2のヘテロクリティックは両方とも、同じ基本(またはシード)ペプチドに由来し、HLA対立遺伝子の平均スコアが計算され、HLA対立遺伝子に対する両ペプチドのペプチド-HLA免疫原性スコアまたはペプチド-HLA結合スコアは、所定の閾値(例えば、結合の場合は、50nM)よりも免疫原性が高い。一部の実施形態では、冗長ペプチドは、ヘテロクリティック基本セット中の第2のヘテロクリティックペプチドの加重ペプチド-HLA免疫原性スコアまたはペプチド-HLA結合スコアよりも免疫原性が低い加重ペプチド-HLA免疫原性スコアまたはペプチド-HLA結合スコアを有する第1のヘテロクリティックペプチドであり、第1および第2のヘテロクリティックは両方とも、同じ基本(またはシード)ペプチドに由来し、加重は、ヒト集団におけるHLA対立遺伝子の頻度により決定され、HLA対立遺伝子の加重スコアが計算され、HLA対立遺伝子に対する両ペプチドのペプチド-HLA免疫原性スコアまたはペプチド-HLA結合スコアは、所定の閾値(例えば、結合の場合は、50nM)よりも免疫原性が高い。
【0074】
一部の実施形態では、次の工程は、ヘテロクリティック基本セット(第2のペプチドセット)をスコア付けすること、および得られたスコアをフィルタリングして、1つまたは複数のHLA対立遺伝子に対するペプチドのペプチド-HLA免疫原性スコアまたはペプチド-HLA結合スコアを閾値と比較することにより第2のペプチドセットを作出することを含む。一部の実施形態では、約50nMの親和性基準を使用して、ワクチンペプチドがHLA分子により見出され提示されることになる確率を増加させる。一部の実施形態では、親和性基準は、50nMよりも制約されている(つまり、<50nM)。一部の実施形態では、親和性基準は、500nMよりも制約されている(つまり、<500nM)。一部の実施形態では、個々のペプチド-HLA結合スコアまたは免疫原性メトリックが決定され、したがってペプチドは、少なくとも1つのHLA対立遺伝子に対する基準を満たす限り保持することができ、基準を満たすペプチド-HLAスコアのみがワクチン設計のために考慮される。
【0075】
一部の実施形態では、次の工程は、第2のペプチドセットをOptiVaxに入力して、予測ワクチン性能を最大化するワクチンペプチドの小型セットを選択することを含む(ワクチン性能最適化;図1図2)。一部の実施形態では、予測ワクチン性能は、予想ペプチド-HLA結合親和性の関数である(例えば、所与のペプチドセットのすべてのペプチド-HLA組合せにわたるか、または集団もしくは個体におけるHLA対立遺伝子の出現により加重された、ペプチド-HLA結合親和性の分布の関数である)。一部の実施形態では、予測ワクチン性能は、ワクチンの予想集団カバー率である。一部の実施形態では、予測ワクチン性能は、集団または個体においてワクチンにより生成される予想ペプチド-HLAヒット数である。一部の実施形態では、予測ワクチン性能は、ワクチンにより生成される最小予測ペプチド-HLAヒット数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8つ、またはそれよりも多く)を必要とする。一部の実施形態では、予測ワクチン性能は、集団カバー率およびワクチンにより生成される所望の予測ペプチド-HLAヒット数の関数である。一部の実施形態では、予測ワクチン性能は、ワクチンの全体的免疫原性特性を記述するメトリックであり、ワクチン中のペプチドのすべてが、2つまたはそれよりも多くのHLA対立遺伝子(例えば、3つまたはそれよりも多くのHLA対立遺伝子)に対するペプチド-HLA免疫原性についてスコア付けされる。一部の実施形態では、予測ワクチン性能は、最大ペプチド-HLAヒット数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8つ、またはそれよりも多く)を上回る、選択されたHLA対立遺伝子による免疫原性寄与を除外する。一部の実施形態では、予測ワクチン性能は、最大ペプチド-HLAヒット数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8つ、またはそれよりも多く)を上回る、個々のHLAディプロタイプの疫原性寄与を除外する。一部の実施形態では、予測ワクチン性能は、カバーされる対立遺伝子の分率(fraction)であり、これは、ワクチンにより生成される予測ペプチド-HLA免疫原性を有する最小数のペプチド(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8つ、またはそれよりも多く)を有する各個体におけるHLA対立遺伝子の予想分率である。一部の実施形態では、予測ワクチン性能は、ワクチンにより生成される予測ペプチド-HLA免疫原性を有する最小数のペプチド(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8つ、またはそれよりも多く)を有する単一の個体におけるHLA対立遺伝子の予想分率である。
【0076】
一部の実施形態では、ワクチンは、ヘテロクリティック基本セット(図1図2に示されているように、拡張セットとも呼ばれる)から、予測ペプチド免疫原性または提示に関する徐々に厳格性が低くなる基準でペプチドを反復選択することにより設計される。一部の実施形態では、ペプチドは、そのペプチド-HLAスコアの少なくとも1つが、使用される閾値により排除されない場合、保持される。一部の実施形態では、まずOptiVaxを使用して、特定のペプチド認定基準(例えば、候補セットからのシードHLA-ペプチドスコアは、少なくとも1つのMHC分子に500nMでまたはそれよりも強力に結合しなければならず、拡張セットからのペプチド-HLAスコアは、少なくとも1つのMHC分子に50nMでまたはそれよりも強力に結合しなければならない)を用いて所望のワクチン性能を有するワクチンを設計する。次いで、OptiVaxのこの応用から得られたワクチンを、厳格性がより低い基準を用いて(例えば、候補セットからのシードペプチド-HLAスコアは、少なくとも1つのMHC分子と1000nMでまたはそれよりもより強力に結合しなければならず、拡張セットからのペプチド-HLAスコアは、少なくとも1つのMHC分子と100nMでまたはそれよりもより強力に結合しなければならない)ワクチン増補の基礎として使用して所望のワクチン性能をさらに向上させる。ワクチン増補の方法は、Liu et al. (2020b)に記載されており、この文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、複数ラウンドのワクチン増補を使用することができる。一部の実施形態では、最終的な増補ワクチンは、選択されたワクチンである。
【0077】
一部の実施形態では、所望の予測ワクチン性能を満たすペプチドセットの選択は、OptiVax以外の計算アルゴリズムにより達成することができる。一部の実施形態では、ペプチドセットを選択するために、OptiVaxの代わりに整数線形計画法または混合整数線形計画法が使用される。ペプチドセット選択のための整数計画法の一例は、Toussaint et al. (2008)に記載されている。この文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。混合整数線形計画法の例示的な解法は、Toussaint et al. (2008)と併せて使用することができるPython-MIPである。ワクチンペプチド選択の方法の第2の例は、Liu et al. (2021)による「Maximum n-times Coverage for Vaccine Design」に記載されており、この文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0078】
予測ワクチン性能は、メトリックを指す。予測ワクチン性能は、単一の数値、複数の数値、任意の数の非数値、およびそれらの組合せとして表すことができる。1つまたは複数の値は、任意の数学または記号用語および任意の尺度(例えば、名義尺度、順序尺度、間隔尺度、または比例尺度)で表すことができる。
【0079】
シード(または基本)ペプチドおよびそのシード(または基本)ペプチドに由来する修飾ペプチドのすべては、単一のペプチドファミリーを構成する。一部の実施形態では、所与のHLA対立遺伝子のペプチド-HLA免疫原性に基づくワクチン性能の構成要素における、同じペプチドファミリーであるペプチドの最大数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8つ、またはそれよりも多く)には、そのHLA対立遺伝子の計算的免疫原性クレジット(credit)が与えられる。ペプチドファミリーの免疫原性に対するこの制限は、同じ基本ペプチドの多数の修飾型により引き起こされるクレジットを制限する。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法は、予測ワクチン性能の所望のメトリックに対応するEvalVax目的関数を用いてOptiVaxを実行するために含まれる。一部の実施形態では、集団カバー率は、シード(または基本)標的ペプチドに応答してT細胞を活性化する1つまたは複数の免疫原性ペプチドを提示する対象集団の割合を意味する。集団カバー率のメトリックは、代表的なヒト集団などの所与の集団におけるHLAハプロタイプ頻度を使用して計算される。一部の実施形態では、集団カバー率のメトリックは、集団における限界HLA頻度(marginal HLA frequencies)を使用して計算される。集団カバー率の最大化は、所与の集団(例えば、代表的なヒト集団)におけるHLAハプロタイプの割合に基づき、少なくとも最小数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8つ、またはそれよりも多く)の免疫原性ペプチド-HLA結合を示す集団の最大分率を集合的にもたらすペプチドセット(基本ペプチドセット、修飾ペプチドセット、または基本ペプチドおよび修飾ペプチドの組合せのいずれか;例えば、第1のペプチドセット、第2のペプチドセット、または第3のペプチドセット)を選択することを意味する。一部の実施形態では、このプロセスは、対応するシード(または基本)ペプチドおよびヘテロクリティック基本ペプチドに応答するT細胞を活性化するヘテロクリティックペプチド(本開示に記載のような)をOptiVax選択して、集団カバー率を向上させることを含む。一部の実施形態では、最終ワクチン設計にはシード(または基本)標的ペプチドが常に含まれる。一部の実施形態では、ペプチドは、臨床データ、動物モデル、または組織培養モデルにおいて免疫原性であることが観察された場合にのみ、ワクチン設計の候補とみなされる(例えば、第1、第2、および/または第3のペプチドセットに含まれる)。
【0080】
本開示ではヘテロクリティックペプチドが例示的な実施形態として使用されているが、ヘテロクリティックペプチドの代わりに任意の修飾ペプチドを使用することができる。修飾ペプチドは、標的基本/シードペプチドの1つまたは複数のアミノ酸置換を有するペプチドである。アミノ酸置換は、アンカー位置に位置してもよく、または任意の他の非アンカー位置に位置してもよい。
【0081】
一部の実施形態では、候補ワクチンペプチド(例えば、基本ペプチドまたは修飾ペプチド)は、自己ペプチドを認識するT細胞を活性化する場合、ワクチン包含から排除される(例えば、これは、図1図2に示されているペプチドフィルタリングおよび選別の第1ラウンドおよび/または第2ラウンドで達成することができる)。一部の実施形態では、候補ワクチンペプチド(例えば、基本ペプチドまたは修飾ペプチド)は、HLA対立遺伝子が結合した際にその外向きのアミノ酸が、同じHLA対立遺伝子により提示される外向きの自己ペプチド残基と類似する場合、ワクチン包含から計算的に排除され、この場合、類似性は、同一性により規定してもよく、またはBLOSUMマトリックス(BLOSUMマトリックスは当技術分野で公知である)などの類似性メトリックにより規定してもよい。自己ペプチドを認識するT細胞を活性化する能力に関するワクチンペプチドの試験は、動物モデルにワクチン接種し、続いてELISPOTもしくは他の免疫原性アッセイを行うか、またはヒト組織プロトコールを用いることにより実験的に達成することができる。いずれの場合でも、ワクチンペプチドを提示するHLA対立遺伝子を有するモデルが使用される。一部の実施形態では、ヒト初代血液単核球(PBMC)をワクチンペプチドで刺激し、T細胞の増殖を可能にし、次いで自己ペプチドによるT細胞活性化を、Tapia-Calle et al. (2019)に記載の通りにまたは当技術分野で公知の他の方法でアッセイする。一部の実施形態では、T細胞が自己ペプチドにより活性化される場合、そのワクチンペプチドはワクチン包含から除外される。一部の実施形態では、自己ペプチドをも認識するT細胞を活性化するペプチドの能力の計算的予測を使用することができる。こうした予測は、ペプチド-HLA複合体の外向きの残基および他のペプチド残基とのそれらの相互作用のモデリングに基づいてもよい。一部の実施形態では、候補ワクチンペプチド(例えば、基本ペプチドまたは修飾ペプチド)は、候補ペプチド(例えば、基本ペプチドまたは修飾ペプチド)のペプチド-MHC複合体および自己ペプチドのペプチド-MHC複合体の構造的類似性に基づき自己ペプチドをも認識するT細胞を活性化すると予測される場合、ワクチン包含から排除されるか、または交差反応性について実験的に試験される。ペプチド-MHC構造を予測するための1つの方法は、Park et al. (2013)に記載されている。
【0082】
一部の実施形態では、候補ヘテロクリティックワクチンペプチド(例えば、修飾ペプチド)およびHLA対立遺伝子のペプチド-HLA結合スコアまたはペプチド-HLA免疫原性メトリックは、候補ヘテロクリティックワクチンペプチドが、所与のHLA対立遺伝子の場合に、その対応する基本/シード標的ペプチドを認識するT細胞を活性化しない場合、ワクチン設計中の考慮から排除される(ペプチドスコア付けおよびスコアフィルタリングの第2ラウンド、図1図2)。一部の実施形態では、ヘテロクリティックワクチンペプチド(例えば、修飾ペプチド)は、候補ヘテロクリティックワクチンペプチドが、所与のHLA対立遺伝子の場合に、その対応する基本/シード標的ペプチドを認識するT細胞を活性化しない場合、ワクチン設計から排除される(ペプチドスコア付けおよびスコアフィルタリングの第2ラウンド、図1図2)。同じHLA対立遺伝子に関して、その対応するシード(または基本)標的ペプチドを認識するT細胞を活性化する能力について候補ヘテロクリティックペプチド(例えば、修飾ペプチド)に関する試験は、動物モデルにワクチン接種し、続いてELISPOTもしくは他の免疫原性アッセイを行うか、またはヒト組織プロトコールを用いることにより実験的に達成することができる。いずれの場合でも、ヘテロクリティックペプチドを提示するHLA対立遺伝子を有するモデルが使用される。一部の実施形態では、ヒトPBMCをヘテロクリティックペプチドで刺激し、T細胞の増殖を可能にし、次いでシード(または基本)標的ペプチドによるT細胞活性化を、Tapia-Calle et al. (2019)に記載の通りにまたは当技術分野で公知の他の方法を使用してアッセイする。一部の実施形態では、対応するシード(または基本)標的ペプチドをも認識するT細胞を活性化するヘテロクリティックペプチドの能力の計算的予測を使用することができる。こうした予測は、ペプチド-HLA複合体の外向きの残基および他のペプチド残基とのそれらの相互作用のモデリングに基づいてもよい。一部の実施形態では、ヘテロクリティックペプチドのペプチド-HLA複合体および対応するシード(または基本)標的のペプチド-HLA複合体の構造的類似性を使用して、ワクチン包含のためにヘテロクリティックペプチドを認定するか、またはワクチン包含前に実験的免疫原性試験が必要とされる。
【0083】
TCRインターフェースダイバージェンス(TCRID、TCR Interface Divergence)は、特定のHLA対立遺伝子に関する、第1のペプチドのTCR対向残基の3D位置と第2のペプチドの対応する残基位置との間の差異の最小二乗平均平方偏差である。一部の実施形態では、TCRIDには、最小二乗平均二乗偏差の代わりに他のメトリックが使用される。一部の実施形態では、TCRIDには、特定のHLA対立遺伝子に由来する非TCR対向残基およびMHC残基の位置偏差を含む他のメトリックが使用される。一部の実施形態では、TCRIDを使用して、所与のHLA対立遺伝子により提示された場合に2つのペプチドが同じT細胞クロノタイプを活性化することになるか否かを予測する。一部の実施形態では、HLA分子の結晶構造と併せて、FlexPepDock(London et al., 2011、この文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)またはDINC(Antunes et al., 2018、この文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を使用して、ペプチドの対のTCRIDメトリックをあるHLA分子を考慮して計算することができる。一部の実施形態では、TCRIDは、(1)特定のHLA対立遺伝子が結合する2つの異なるペプチドの3Dペプチド-HLA構造を決定すること、(2)ペプチド-HLA構造のHLAアルファヘリックスをアラインすること、および(3)アラインされたアルファヘリックス基準枠に関して2つのペプチドのTCR対向残基間の差異の最小二乗平均平方偏差を計算することにより計算される。
【0084】
一部の実施形態では、図1および図2における第2のペプチドスコア付けおよびスコアフィルタリング工程は、ヘテロクリティックペプチドとそれが由来したその対応する基本(またはシード)ペプチドとの間のHLA特異的TCRIDが第1のTCRID閾値を上回る場合、特定のHLA対立遺伝子に対するヘテロクリティックペプチドのペプチド-HLA結合または免疫原性スコアを排除することになる。一部の実施形態では、図1および図2における第2のペプチドスコア付けおよびスコアフィルタリング工程は、ヘテロクリティックペプチドとそれが由来したその対応する未突然変異型自己ペプチドとの間のHLA特異的TCRIDが第2のTCRID閾値を下回る場合、ヘテロクリティックペプチドのすべてのペプチド-HLA結合または免疫原性スコアを排除することになる。一部の実施形態では、図1および図2における第1のペプチドスコア付けおよびスコアフィルタリング工程は、ペプチドとその対応する未突然変異型自己ペプチドとの間のHLA特異的TCRIDが第3のTCRID閾値を下回る場合、候補ペプチドのすべてのペプチド-HLA結合または免疫原性スコアを排除することになる。一部の実施形態では、TCRID閾値のいずれかは、ペプチド-HLA複合体に対するTCR分子の交差反応性を実験的に観察するかまたは計算的に予測することにより決定される。
【0085】
図3(MHCクラスI)および図4(MHCクラスII)は、KRAS突然変異G12D、G12V、G12R、G12C、およびG13Dに対して設計された、異なる数のペプチドを有するOptiVax-Robustで選択された単一標的特異的ワクチンの予測集団カバー率を示す。図3図4は、ワクチンのペプチド数が増加すると共に、その予測集団カバー率が増加することを示す。図3図4に示されている集団カバー率は、ワクチンがカバーするように設計された特定の突然変異を有する個体のものである。ペプチド計数が増加すると、典型的には、その集団の各個体における平均ペプチド-HLAヒット数も増加することになる。
【0086】
図5は、b3a2を生成するBCL-ABL融合物に対するMHCクラスIワクチンのワクチンサイズ別の予測集団カバー率を示す。図6は、b3a2を生成するBCL-ABL融合物に対するMHCクラスIIワクチンのワクチンサイズ別の予測集団カバー率を示す。図7は、b2a2を生成するBCL-ABL融合物に対するMHCクラスIワクチンのワクチンサイズ別の予測集団カバー率を示す。図8は、b2a2を生成するBCL-ABL融合物に対するMHCクラスIIワクチンのワクチンサイズ別の予測集団カバー率を示す。
【0087】
OptiVaxを使用して、HLA分子が、ワクチンの少なくともp個のペプチドと結合しそれらを提示すると予測される集団の分率/割合を最大化するようにワクチンを設計することができる。一部の実施形態では、この予測(例えばスコア付け)は、少なくともp個のペプチドが免疫原性であることを直接的に予測するための実験的免疫原性データを含む。数値pをOptiVaxに入力し、OptiVaxを、pの値を変動させて複数回実行して、様々なペプチド計数pの場合の予測最適標的ペプチドセットを得ることができる。より大きなpの値は、所望の集団カバー率を達成するためにペプチドをより多くする代償として、ワクチンの冗長性を増加させることになる。一部の実施形態では、特定のヘテロクリティック基本セットを考慮した場合、所与の集団カバー率を達成することが可能ではない場合がある。一部の実施形態では、数値pは、ワクチンの所望のサイズの関数である。
【0088】
本明細書に記載の方法を使用して、MHCクラスIおよびクラスIIに基づく免疫のために別々のワクチン製剤を設計することができる。
【0089】
一部の実施形態では、この手順は、個体のためのワクチンを作出するために使用される。一部の実施形態では、個体に存在する標的ペプチドは、個体の腫瘍RNAまたはDNAを配列決定し、外来性ペプチドを産生する突然変異を特定することにより決定される。この方法の一実施形態は、米国特許第10,738,355号明細書に記載されており、この文献はその全体が本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、ペプチド配列決定法を使用して、個体における標的ペプチドを特定する。この一実施形態は、米国特許出願公開第2011/0257890号明細書に記載されている。一部の実施形態では、個体のワクチンに使用される標的ペプチドは、自己ペプチド、外来性ペプチド、病原体ペプチド、または自己ペプチド、外来性ペプチド、もしくは病原体ペプチドをコードするRNAが、個体に由来する検体中に観察され、所定のレベルで存在する場合に選択される。個体における標的ペプチドは、本明細書に開示のワクチンを構築するために使用される。ワクチン設計のため、OptiVaxには、個体のHLA型を含むディプロタイプが提供される。代替的な実施形態では、個体のHLA型は、合計が1である頻度を有する複数のディプロタイプへと分離され、各ディプロタイプは、個体の1つまたは複数のHLA対立遺伝子、および他の対立遺伝子位置が評価されるべきではないという表記を含む。複数のディプロタイプの使用は、OptiVaxの目的関数が、構築されたディプロタイプのすべてにより免疫原性ペプチドが提示されることになる見込みの増加を引き起こすことになる。これにより、ペプチド-HLA免疫原性を呈する個体における別個のHLA対立遺伝子の数を最大化するという目的が達成され、したがって個体におけるワクチンの対立遺伝子カバー率が向上する。
【0090】
図9は、MHCクラスI HLAディプロタイプHLA-A02:03、HLA-A11:01、HLA-B55:02、HLA-B58:01、HLA-C03:02、およびHLA-C03:03を有する単一の個体のための10例のG12V MHCクラスIワクチンの予測ワクチン性能(予測ペプチド-HLAヒット数)を示す。OptiVaxを使用して、ペプチド計数が1~10の範囲である、このHLAディプロタイプに対する10個のG12V MHCクラスIワクチンを設計した。図9の結果の場合、各々が等しく加重され、各々が個々のHLAディプロタイプに由来する1つのHLA対立遺伝子を有し、他の対立遺伝子位置が評価されないように標記された6つの合成ディプロタイプを用いてOptiVaxを実行した。図9の10個のペプチドワクチンは、配列番号3(GAVGVGKSL)、配列番号4(LMVVGAVGV)、配列番号7(VVGAVGVGK)、配列番号14(GPVGVGKSV)、配列番号69(LMVVGAVGI)、配列番号72(LMVVGAVGL)、配列番号131(GAVGVGKSM)、配列番号138(GPVGVGKSA)、配列番号142(VTGAVGVGK)、および配列番号198(VAGAVGVGM)を含む。2つのペプチド配列番号3(GAVGVGKSL)および配列番号131(GAVGVGKSM)は、50nMまたはそれよりも低い親和性でHLA対立遺伝子の2つに結合することが予測される。
【0091】
MHCクラスIワクチン設計手順
一部の実施形態では、MHCクラスIワクチン設計手順は、以下の計算工程からなる。
【0092】
一部の実施形態では、計算のための入力は以下の通りである。
1...n:目的のネオ抗原または病原性標的(例えば、KRAS G12D、KRAS G12V、KRAS G12R、KRAS G12C、KRAS G13D、BCR-ABL b3a2、BCR-ABL b2a2)を含むペプチド配列(長さn)。Pは、i位のアミノ酸を示す。
t:Pにおける標的突然変異の位置、t∈[1,...n](例えば、KRAS G12Dの場合、t=12)。
s:置換突然変異s∈[真,偽]は、突然変異が置換の場合は真であり、突然変異が欠失もしくは挿入である場合またはペプチドが突然変異を含まない場合(病原体標的など)は偽である。突然変異が欠失または挿入である場合、tは、欠失または挿入の直前の位置を示す。
τ:ペプチド-MHCスコア付けのための、MHCによるペプチドの潜在的提示の閾値(例えば、500nM結合親和性)
τ:ペプチド-MHCスコア付けのための、MHCによるペプチドの予測提示の閾値(例えば、50nM結合親和性)
N:EvalVaxおよびOptiVax目的関数のパラメーター。個体がカバーされるとみなされるための集団カバー率目標の最小予測個体別ヒット数を指定する。初期設定=1(P(n≧1)集団カバー率を計算する)。
【0093】
一部の実施形態では、使用されるペプチド-HLAスコア付け関数は以下の通りである。
【0094】

【0095】
2番目の条件j≠{t-(k-1),t-1}は、tにおける突然変異が、窓処理されたk-merペプチドのP2またはPk位(つまり、アンカー位置)にあり、突然変異が置換であるペプチドを除外する。
【0096】
したがって、Bは、少なくとも1つのHLAにより潜在的に提示されると予測される天然ペプチドを含む。
B中のペプチドに由来するすべてのヘテロクリティックペプチドのセットB’を作出する:
数式中、ANCHOR-MODIFIED(b)は、bに由来するすべての399個のアンカー修飾ペプチド(P2およびP9のアミノ酸に対するすべての考え得る修飾を有する)のセットを返す。
【0097】
【0098】
数式中、各ヘテロクリティックペプチドb’∈B’は、基本ペプチドb∈Bの突然変異である。この条件は、hがbを潜在的に提示すると予測されなかった場合、bに由来するすべてのヘテロクリティックペプチドb’は、hにより提示されないことになることを強制する(たとえhがb’を提示すると別様に予測された場合であっても)。
【0099】
【0100】
一部の実施形態では、この手順を各目的の標的毎に独立して繰り返し、得られた独立ワクチンセットを、下記に記載のように組合せワクチンへと統合することができる。
【0101】
MHCクラスIIワクチン設計手順
一部の実施形態では、MHCクラスIIワクチン設計手順は、以下の計算工程からなる。
【0102】
一部の実施形態では、計算のための入力は以下の通りである。
1...n:目的のネオ抗原(例えば、KRAS G12D、KRAS G12V、KRAS G12R、KRAS G12C、KRAS G13D、BCR-ABL b3a2、BCR-ABL b2a2)を含むペプチド配列(長さn)。Pは、i位のアミノ酸を示す。
t:Pにおける標的突然変異の位置、t∈[1,...,n](例えば、KRAS G12Dの場合、t=12)。
s:置換突然変異s∈[真,偽]は、突然変異が置換の場合は真であり、突然変異が欠失もしくは挿入である場合またはペプチドが突然変異を含まない場合(病原体標的など)は偽である。突然変異が欠失または挿入である場合、tは、欠失または挿入の直前の位置を示す。
τ:ペプチド-MHCスコア付けのための、MHCによるペプチドの潜在的提示の閾値(例えば、500nM結合親和性)
τ:ペプチド-MHCスコア付けのための、MHCによるペプチドの予測提示の閾値(例えば、50nM結合親和性)
N:EvalVaxおよびOptiVax目的関数のパラメーター。個体がカバーされるとみなされるための集団カバー率目標のための最小予測個体別ヒット数を指定する。初期設定=1(P(n≧1)集団カバー率を計算する)。
【0103】
一部の実施形態では、使用されるペプチド-HLAスコア付け関数は以下の通りである。


【0104】


【0105】
なお、Sはバイナリ行列であり、1は、HLAがペプチドを潜在的に提示すると予測されることを示し、0は、潜在的提示がないことを示すことに留意されたい。
【0106】
【0107】
数式中、Pは目的の標的残基(例えば、KRAS G12Dの突然変異部位)である。この条件は、S中の非ゼロスコアを有するすべての(ペプチド,HLA対立遺伝子)対について、標的残基が非アンカー位置の結合コア内に入ることを強制し、結合コアが、ペプチド毎に対立遺伝子により異なることを可能にする(特定のペプチドの結合コアは、そのペプチドを提示するHLA対立遺伝子に基づいて異なる可能性がある)。したがって、各対(p,h)毎に、予測結合コアC[p,h]が、標的残基Pをアンカー位置(9-merコアのP1、P4、P6、またはP9)に特定する場合、またはPが結合コア内に含まれていない場合、S[p,h]=0である。代替的な実施形態では、Pは、コアの外側に位置してもよくまたはコア内部の非アンカー位置に位置してもよい。一部の実施形態では、Pは、コアの内部および/または外部の特定の位置にのみ位置してもよい。一部の実施形態では、Cにおける結合コア予測には、予測信頼度が伴う。一部の実施形態では、予測コアC[p,h]の信頼度が所望の閾値(例えば、0.5、0.6、0.7、0.8、または0.9)を下回る場合、S[p,h]=0である。
【0108】
【0109】
次に、B中のペプチドに由来するすべてのヘテロクリティックペプチドのセットB’を作出する:
数式中、ANCHOR-MODIFIED(b,c)は、9-mer結合コアcのP1、P4、P6、およびP9にアミノ酸に対するすべての考え得る修飾を有するbに由来するすべての20-1個のアンカー修飾ペプチドのセットを返す。したがって、各基本ペプチドb毎に、ヘテロクリティックセットB’は、スコア付け行列Sにより示される有効なコア位置を有するbを潜在的に提示するあらゆるHLA対立遺伝子について特定されたbのすべての固有コアに対する修飾を有するすべてのアンカー修飾ペプチドb’を含む。
【0110】
【0111】
【0112】
特定のHLAにより同じオフセットで生じるヘテロクリティックおよび基本ペプチドの特定された結合コアを条件として、ヘテロクリティックペプチドの更新スコア付け行列
を計算する。
数式中、各ヘテロクリティックペプチドb’∈B’は、基本ペプチドb∈Bの突然変異である。この条件は、ヘテロクリティックペプチドb’の結合コアが、基本ペプチドbと同じ相対位置にあることを強制し、暗黙的に、標的残基Pが依然として9-mer結合コア内の非アンカー位置に入ることを強制する(工程3)。
【0113】
各HLAによる対応する基本ペプチドの潜在的な提示を条件として、ヘテロクリティックペプチドについて更新スコア行列:
を計算する。
数式中、各ヘテロクリティックペプチドb’∈B’は、基本ペプチドb∈Bの突然変異である。この条件は、hがbを提示すると予測されなかった場合、bに由来するすべてのヘテロクリティックペプチドb’は、hにより提示されないことになることを強制する(たとえhがb’を提示すると別様に予測された場合であっても)。
【0114】
【0115】
一部の実施形態では、この手順を各目的の単一標的毎に独立して繰り返し、得られた独立ワクチンセットを、下記に記載のように組合せワクチンへと統合することができる。
【0116】
ペプチド保存度を優先したMHCクラスIまたはクラスIIワクチン設計法
一部の実施形態では、ワクチン包含には、目的の菌株、種、または他のタンパク質源にわたってより保存されているペプチド配列が優先される。一部の実施形態では、ワクチン設計には、タンパク質変異体と呼ばれる関連タンパク質配列のセットが考慮される。タンパク質変異体は、タンパク質配列ファミリーの一例であり、タンパク質変異体は、種々の種、病原体株、ウイルス株、またはワクチン設計に考慮される他の変異体に由来する配列であってもよい。一部の実施形態では、各タンパク質変異体は、タンパク質変異体確率と呼ばれる関連確率を有し、タンパク質変異体の供給セットに対するすべてのタンパク質変異体確率の合計は1である。一部の実施形態では、ペプチド保存度を優先するMHCクラスIまたはクラスIIワクチン設計法を使用して、複数の目的のタンパク質を単一ワクチンの設計に考慮することができる。こうした実施形態では、候補ペプチドを生成するために、すべての目的のタンパク質のタンパク質変異体が集合的に考慮される。一部の実施形態では、考慮される複数のタンパク質のすべてにわたるタンパク質変異体確率の合計は1である。
【0117】
タンパク質変異体をペプチド配列にパースする(parse)スライド窓法を使用して、候補ペプチドのセットを各タンパク質変異体から作出する。一部の実施形態では、MHCクラスIの場合、8-mer、9-mer、10-mer、および11-merが生成されるが、このプロセスは、任意の所望の窓長で実施することができ、得られたペプチドセットを組み合わせることができる。一部の実施形態では、MHCクラスIの場合、9-merのみが生成される。一部の実施形態では、MHCクラスIIの場合、長さ13~25のすべての窓処理ペプチドが生成されるが、このプロセスは、任意の所望の窓長(例えば、15-merのみ)を使用して実施することができる。一部の実施形態では、Liu et al. 2020に記載のように、所与のタンパク質変異体においてグリコシル化されると予測されるペプチドは除去され、その変異体は考慮されない。この文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0118】
一部の実施形態では、各々の生成されたペプチド配列(MHCクラスIまたはクラスII)保存度は、そのペプチド配列が生じる入力タンパク質変異体の分率として規定される。例えば、入力として提供されたタンパク質変異体の90%から生成されたペプチドに所与の9-merペプチド配列が存在する場合、その保存度は0.90である。一部の実施形態では、各々の生成されたペプチド配列(MHCクラスIまたはクラスII)の保存度は、そのペプチド配列が生じるタンパク質変異体頻度の合計として規定される。例えば、所与の9-merペプチド配列が、タンパク質変異体確率0.10および0.20を有するタンパク質変異体から生成されたペプチドに生じる場合、その保存度は0.30である。一部の実施形態では、この機能性は、ペプチド配列を含むタンパク質変異体の頻度の合計を計算するComputeConservation関数により実装される。一部の実施形態では、十分なタンパク質変異体が、予想される将来の保存度を計算するのに十分ではない場合、その全体が参照により本明細書に組み込まれるHie et al., 2021に見出されるものなどの、保存度を予測するための方法を使用して、ComputeConservationを実装することができる。
【0119】
一部の実施形態では、ワクチン設計では、所望のワクチン性能メトリックを満たすために、他のペプチドよりも保存度の高いペプチドをワクチン包含に優先させることにより保存度が考慮される。一部の実施形態では、このワクチン設計法では、まず、すべてが第1の保存閾値を満たす候補ペプチドを用いてワクチンを設計することを試み、所望のワクチン性能が満たされない場合、厳格性がより低い保存度を有する追加のペプチドを繰り返し追加して、所望のワクチン性のメトリックを満たすことを試みる。一部の実施形態では、保存度を優先するワクチン設計は、ワクチン設計Dを空集合に設定し、次いで以下の工程を実施することにより進められる:(1)各ペプチドが候補ペプチドセットを作出するための保存度閾値を満たし、Dに存在しない候補ペプチドを選択する工程、(2)この候補セットから様々なペプチド数/組合せを有するワクチン設計を選択し、MHCクラスIまたはクラスIIワクチン設計について本明細書に開示の方法を使用してワクチン性能メトリックを最適化し、Dに含まれているワクチン設計を増補する工程(ワクチン増補の一実装形態は、(Liu et al., 2021)に記載されており、この文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)、(3)工程2から、所望のワクチン性能メトリックを満たすか、または選択されたセットにもう1つペプチドを追加しても、ワクチン性能メトリックに所望の最低限の向上がもたらされないかのいずれかの最小ワクチンペプチドセット設計を選択する工程、(4)工程3にてワクチンペプチドセットが見出された場合、工程3のワクチンペプチドセット設計をワクチン設計Dに追加する工程、ならびに(5)ワクチン設計Dが所望のワクチン性能メトリック目標を満たすか否かを決定し、満たす場合には、ワクチン設計Dを最終ワクチン設計として返す工程。工程6で、ワクチン設計Dが所望のワクチン性能メトリック目標を満たさない場合は、計算は以下の工程に進む:(6)更新された保存度閾値を、現在の保存度閾値よりも低く(より制約が少なく)設定する工程、および(7)工程6にて所望のワクチン性能メトリック目標が達成されるか、または更新された保存度閾値が最小の所望の保存度閾値よりも低くなるかのいずれかまで、現在のワクチン設計Dおよび現在の候補セットを保持しながら、工程1から始まるプロセスを繰り返す工程。いずれかの繰り返しにおいて、更新された保存度閾値が最小の所望の保存度閾値よりも低い場合、ワクチン設計Dの最新バージョンが最終ワクチン設計として使用されることになる。プロセスが完了した際には、最終ワクチン設計Dには、ワクチンに使用することができるペプチドのすべてが含まれている。
【0120】
一部の実施形態では、MHCクラスIまたはクラスIIワクチン設計手順は、以下の計算工程からなる。
【0121】
一部の実施形態では、計算のための入力は以下の通りである。
:タンパク質変異体Pのタンパク質変異体確率
:標的突然変異のタンパク質変異体Pにおける位置 t∈[1,...n]
D:空集合φに初期化されたワクチン設計
s:置換突然変異s∈[真,偽]は、突然変異が置換の場合は真であり、突然変異が欠失もしくは挿入である場合またはペプチドが突然変異を含まない場合は偽である。突然変異が欠失または挿入である場合、tは、欠失または挿入の直前の位置を示す。
:ペプチドの初期保存度レベル
:現在の保存度閾値
:各繰り返しでの保存度レベルの変化
:最小最終保存度
ν:標的ワクチン性能メトリック
ν:ワクチンサイズを増加させためのワクチン性能メトリックの最小変化
N:EvalVaxおよびOptiVax目的関数のパラメーター。個体がカバーされるとみなされるための集団カバー率目標のための最小予測個体別ヒット数を特定する。初期設定=1(P(n≧1)集団カバー率を計算する)。
【0122】
タンパク質変異体配列Pを使用して、各位置mから開始してk残基のペプチド長を有するタンパク質配列にわたる窓処理されたペプチドを生成する。結果は、タンパク質変異体Pjのペプチド配列のすべてを含むセットXである。Pj,m...m+(k-1)は、下付文字が、規定のタンパク質Pの範囲内にある場合にのみ配列を生成する。一部の実施形態では、MHCクラスIの場合、kは、8-mer、9-mer、10-mer、および11-merを生成するように選択されるが、このプロセスは、任意の所望の窓長で実施することができ、得られたペプチドセットを組み合わせることができる。一部の実施形態では、MHCクラスIの場合、9-merのみが生成される。一部の実施形態では、MHCクラスIIの場合、本発明者らは、長さ13~25のすべての窓処理されたペプチドを抽出するが、このプロセスは、任意の所望の窓長(例えば、15-merのみ)を使用して実施することができる。
【0123】
一部の実施形態では、MHCクラスIの場合、2番目の条件m≠{t-(k-1),t-1}は、tにおける突然変異が、窓処理されたk-merペプチドのP2またはPk位(つまり、アンカー位置)にあり、突然変異が置換であり、MHCクラスI設計のためである場合、ペプチドを除外する。MHCクラスII設計法では、MHCクラスIIアンカー位置をフィルタリングする。
【0124】
任意の入力タンパク質変異体に生じるすべてのペプチドのセットBを作出する。
【0125】
【0126】
次いで、現在の保存度閾値を初期保存度閾値に設定する。
【0127】
【0128】
【0129】
【0130】
【0131】
工程5では、ワクチン設計Dが所望のワクチン性能メトリック目標を満たしているか否かを決定する。ワクチン設計セットDが最終ワクチン性能設計メトリックνを満たす場合、Dを最終設計として返す。
【0132】
工程6では、保存度閾値を、現在の保存度閾値よりも低く(制約がより少なく)なるように更新する。ワクチン設計セットDが最終ワクチン性能設計メトリックνを満たさない場合、cを低減させる。
【0133】
工程7では、工程5にて所望のワクチン性能メトリック目標が達成されるか、または更新された保存度閾値が最小の所望の保存度閾値よりも低くなるかのいずれかまで、現在のワクチン設計Dおよび現在の候補セットを保持しながら、工程1から始まるプロセスを繰り返す。c<cの場合、設計セットDを最終ワクチンとして返す。そうでない場合は、工程1に戻り、すべての後続の工程を繰り返す。
【0134】
一部の実施形態では、この手順を各々の目的の病原体遺伝子変異体または標的変異体毎に独立して繰り返し、得られた独立ワクチンセットを、組合せワクチンへと統合することができる。
【0135】
複数のワクチンを組み合わせる方法
上記に記載の方法では、1つまたは複数の個々の標的に対して最適化標的ペプチドセット(例えば、第3のペプチドセット)を生成することになる。一部の実施形態では、複数の標的(例えば、KRAS G12DおよびKRAS G12Vなどの2つまたはそれよりも多くの標的)に対する、MHCクラスIおよびクラスIIに基づく免疫のための別々のワクチンを設計するための方法が提供される。
【0136】
一部の実施形態では、がんゲノムアトラス(TCGA)などの情報源からの経験的データに基づく、疾患での提示に関する表を使用することにより、複数の標的に対する組合せペプチドワクチンを生産するための方法が開示される。図10は、種々の突然変異標的(例えば、KRAS G12D、KRAS G12V、およびKRAS G12R)に対して提示される、各疾患提示に関する標的の確率により、疾患提示タイプ確率(例えば、膵臓がん、結腸直腸がん、および皮膚がん)をファクター化(factoring)するための一実施形態を示す。提示は、疾患の1つの形態(例えば、図10に示されているような異なるタイプのがんまたはがん徴候)により提示される標的の固有セットである。図10は、各提示毎に、その提示の確率、および所与の標的が観察される確率の例を示す。所与の提示について、各々が確率を有する1つまたは複数の標的が存在し得る。一部の実施形態では、多標的ワクチン設計の方法では、例えば、図10に示されているように提示およびそれぞれの標的確率に基づいて疾患免疫を誘導するためにペプチド資源が配分されることになる。一部の実施形態では、提示は、異なるヒト集団または異なるリスク群における標的の出現率に対応する。集団における標的の確率は、各々の考え得る提示毎に、その提示の確率とその提示における標的の確率との積を合計することにより計算される。図10は、各標的に対する個々のワクチン(行)を各疾患徴候に対する組合せワクチン(列)に統合するために使用される加重を示す。値は、各標的突然変異を含む症例の観察された分率を示す。データは、がんゲノムアトラス(TCGA)からのものである。TCGAデータは、各疾患徴候毎に、主要部位が徴候である症例にフィルタリングされている。
【0137】
一部の実施形態では、異なるタンパク質に対する突然変異により生成された基本ペプチドが同一である場合、異なるタンパク質に対する突然変異に対して同じワクチン設計が生成されることになる。例えば、基本ペプチド選択の一部の実施形態では、以下の突然変異は、基本ペプチドの同じセットを共有するため、同一のワクチン設計を有する:HRAS Q61K、NRAS Q61K、およびKRAS Q61K;HRAS Q61L、NRAS Q61L、およびKRAS Q61L;HRAS Q61R、NRAS Q61R、およびKRAS Q61R。図10を参照すると、一部の実施形態では、2つの突然変異が同一の個々のワクチン設計を有する場合、下記に記載のように、組合せワクチンに含めるために個々のワクチン設計を加重する際にそれらの提示特異的確率が加算される(例えば、甲状腺がんNRAS Q61RおよびHRAS Q61Rの場合)。
【0138】
図11を参照すると、一部の実施形態では、この方法は、まず、各標的に対する個々のペプチドワクチンを設計して、複数の標的に対する組合せワクチン設計を作出することを含む。これにより、初期には、標的特異的ワクチン設計のセットがもたらされる。一部の実施形態では、サイズkの各標的特異的ワクチンの限界予測ワクチン性能(marginal predicted vaccine performance)は、サイズkの予測ワクチン性能からサイズk-1のワクチンの予測ワクチン性能を減算することにより規定される。ワクチンの組成は、ワクチンに使用されるペプチドの数が増加すると共に変化する可能性があるため、組合せワクチンに対する寄与を計算するためは、ペプチドの特定のセットの代わりに、各標的特異的ワクチンの限界予測ワクチン性能が使用される。
【0139】
一部の実施形態では、各標的特異的ワクチンサイズ毎に、標的特異的ワクチン設計の加重限界予測ワクチン性能を、図11に示されるように計算する。所与の標的特異的ワクチンサイズについて、その予測ワクチン性能に、集団における標的の確率を乗算することにより(例えば、図10に示されているような値を使用することにより)、その加重予測ワクチン性能を計算する。標的特異的ワクチンの限界加重予測ワクチン性能は、サイズkにおける加重カバー率からサイズk-1におけるカバー率を減算したものである。サイズ1の標的特異的ワクチンの限界加重予測ワクチン性能は、その加重予測ワクチン性能である。図11に示されているように、すべてのワクチンの限界加重予測ワクチン性能を組み合わせて単一のリストにし、この組合せリストを、標的特異的ワクチンの加重限界予測ワクチン性能により最大から最小へと並べ替える。次いで、サイズnの組合せワクチンを、このリストの最初のn要素により決定する。組合せワクチンのペプチドは、それらのサイズが加算されてnになり、それらの加重予測ワクチン性能の合計が、並替えリストの最初のn要素と同じ合計になる個々のペプチド標的ワクチンにより決定される。これにより、サイズnの組合せワクチンの予測ワクチン性能が最大化される。
【0140】
一部の実施形態では、組合せ複数標的ワクチンは、使用される提示表(例えば、図10を参照)に応じて記載されている疾患に対するその全体的予測カバー率に基づいて、特定の徴候に対するその予測カバー率により、および/または予測ワクチン性能に使用される加重をそれに応じて調整することによる特定の標的のその予測カバー率により設計することができる。所望のカバー率レベルを選択したら、組合せワクチンのペプチドを、標的特異的設計の寄与により決定する。例えば、組合せワクチンがサイズkの標的特異的ワクチンを含む場合、サイズkの、この標的に対するワクチンペプチドが混合ワクチンに使用される。
【0141】
一実施形態の例として、図10は、突然変異(例えば、KRAS G12D、G12V、およびG12R)、および様々ながん徴候(例えば、膵臓がん)を有する個体に生じるそれぞれの確率を示す。図3(MHCクラスI)および図4(MHCクラスII)は、本明細書に記載のワクチンのための方法を使用した、KRAS G12D、G12V、G12R、G12C、およびG13D標的に対する標的特異的ワクチンの集団カバー率を示す。所与のワクチンサイズにおける各標的特異的ワクチンの限界集団カバー率(marginal population coverage)は、そのサイズおよびそのサイズ-1におけるカバー率の向上である。ペプチドが存在しない場合のカバー率はゼロである。各標的特異的ワクチンの限界カバー率(marginal coverage)に、選択された徴候(例えば、膵臓がん)について図10に示されている割合により決定される集団における標的の確率を乗算する。すべての標的特異的ワクチンのこうした加重限界カバー率を並べ替えて、最良の標的特異的組成を決定する。得られたリストは、リストの最初のk要素を取ることにより、選択された徴候に対する各サイズkの組合せワクチンの組成を記述する。一実施形態の例として、図12(MHCクラスI)および図13(MHCクラスII)は、3つの突然変異型KRAS G12D、G12V、およびG12Rに対する組合せKRASワクチンの各ワクチンサイズにおける標的特異的寄与を示す。図12および図13では、本明細書に記載の組合せワクチンプロトコールの方法を使用して、こうした例を計算した。各組合せワクチンサイズにおいて、異なる成分の標的特異的ワクチンを表記の徴候に使用する。表1(下記)には、KRAS G12D、G12V、G12R、G12C、およびG13D標的に対する独立(単一標的)および組合せ(複数標的)MHCクラスIワクチン設計に存在するペプチドが含まれている。表2(下記)には、KRAS G12D、G12V、G12R、G12C、およびG13D標的に対する独立(単一標的)MHCクラスIIワクチン設計に存在するペプチドが含まれており、個々の/単一の標的ワクチンの任意のサブセットを組み合わせて、2つまたはそれよりも多くの複数標的に対するMHCクラスIIワクチンを作出することができる。代替的な実施形態では、配列表は、KRAS G12D、G12V、G12R、G12C、およびG13D標的に対するMHCクラスIワクチンに有用なヘテロクリティックペプチドを提供する。
【0142】
組合せワクチン設計手順
一部の実施形態では、本明細書に記載の手順を使用して、異なる標的に対して最適化された個々の小型ワクチンを、単一の最適化された組合せワクチンへと組み合わせる。
【0143】
一部の実施形態では、計算入力は以下の通りである。
τ:目的のネオ抗原または病原性標的のセット(例えば、KRAS G12D、KRAS G12V、KRAS G12R、BCR-ABL b3a2、BCR-ABL b2a2)
ν:各標的毎に個々に最適化されたワクチンセット。Vt,kは、標的t∈Tに対する正確にk個のペプチドの最適ワクチンセットを示す(例えば、上記に記載の手順により計算される)。なお、νt,k+1は、必ずしもνt,kの上位セットであるとは限らないことに留意されたい。
W:τ→[0,1]:各標的t∈τを、特定の目的の顕示(例えば、膵臓がん、提出物A、例えば表1を参照)におけるtの確率または加重にマッピングする標的加重関数。
【0144】
工程1では、各標的t毎に(個々に)、サイズ1~mの最適化ワクチンをセットνt,k(kはワクチンのサイズを示す)として計算し、次いで各ワクチンサイズにおけるそれらのワクチン性能を計算する。各標的t(個々に)およびワクチンサイズ(ペプチド計数)k毎に、非加重集団カバー率ct,kを計算する。

一部の実施形態では、各標的のt、ct,kは、一般に単調増加し、kの値が増加すると共に下方へと窪む(各追加ペプチドは、カバー率を増加させるが、リターンは減少する)。
【0145】
工程2では、ワクチン限界性能が計算され、各標的の出現率加重により加重される。各標的t(個々に)毎に、ワクチンセットに追加されるk番目のペプチドの限界カバー率mt,kを計算する。
一部の実施形態では、各標的tのmt,kは、k(上記の工程1による)の単調減少関数であるはずである。
【0146】
加重限界集団カバー率は、提示における標的の出現率により加重されたワクチンのk番目のペプチドの有効限界カバー率をもたらす(提示における標的の確率/加重を乗算することにより)。
【0147】
【0148】
工程4では、所望の性能を有するワクチンを選択する。最終ワクチンサイズkは、ワクチンの特定の集団カバー率目標に基づき様々であり得る。組合せワクチンの限界加重カバー率値Mをk個分にわたって累積的に合計して、k個のペプチドを含む組合せワクチンの全体的有効(標的加重)集団カバー率を、Σj≦Kとして得る(提示における標的の確率/加重およびHLA提示に基づくペプチドの予想集団カバー率の両方を考慮して)。
【0149】
【0150】
したがって、k個のペプチドを有する組合せワクチンは、最適な個々の(Ct,k)個のペプチドワクチンの組合せである。
【0151】
RASワクチンのMHCクラスIペプチド配列
一部の実施形態では、ペプチドワクチン(単一標的ワクチンまたは組合せ複数標的ワクチン)は、各ペプチドが8つまたはそれよりも多くのアミノ酸からなる約5、10、または20個のMHCクラスIペプチドを含む。一部の実施形態では、MHCクラスIペプチドワクチンは、KRAS G12D、G12V、およびG12R標的のうちの1つまたは複数に対するものであることが意図されている。一部の実施形態では、5個ペプチドの組合せワクチン中の第1のペプチドのアミノ酸配列は、配列番号1.GADGVGKSM(配列番号1)を含む。一部の実施形態では、5個ペプチドの組合せワクチン中の第2のペプチドのアミノ酸配列は、配列番号2.LMVVGADGV(配列番号2)を含む。一部の実施形態では、5個ペプチドの組合せワクチン中の第3のペプチドのアミノ酸配列は、配列番号3.GAVGVGKSL(配列番号3)を含む。一部の実施形態では、5個ペプチドの組合せワクチン中の第4のペプチドのアミノ酸配列は、配列番号4.LMVVGAVGV(配列番号4)を含む。一部の実施形態では、5個ペプチドの組合せワクチン中の第5のペプチドのアミノ酸配列は、配列番号5.VTGARGVGK(配列番号5)を含む。KRAS G12D、G12V、およびG12R標的に対する、5個のペプチド(配列番号1~配列番号5)を有する例示的な組合せワクチンは、0.3620の加重集団カバー率を有すると予測される。
【0152】
一部の実施形態では、5個ペプチドのワクチン中のペプチド(ペプチド1~5)のいずれか1つは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、または配列番号5と80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0153】
一部の実施形態では、10個ペプチドの組合せワクチン中のペプチド1~5のアミノ酸配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、および配列番号5を含む。一部の実施形態では、10個ペプチドの組合せワクチン中の第6のペプチドのアミノ酸配列は、配列番号6.VMGAVGVGK(配列番号6)を含む。一部の実施形態では、10個ペプチドの組合せワクチン中の第7のペプチドのアミノ酸配列は、配列番号7.VVGAVGVGK(配列番号7)を含む。一部の実施形態では、10個ペプチドの組合せワクチン中の第8のペプチドのアミノ酸配列は、配列番号8.GARGVGKSY(配列番号8)を含む。一部の実施形態では、10個ペプチドの組合せワクチン中の第9のペプチドのアミノ酸配列は、配列番号9.GPRGVGKSA(配列番号9)を含む。一部の実施形態では、10個ペプチドの組合せワクチン中の第10のペプチドのアミノ酸配列は、配列番号10.LMVVGARGV(配列番号10)を含む。KRAS G12D、G12V、およびG12R標的に対する、10個のペプチド(配列番号1~配列番号10)を有する例示的な組合せワクチンは、0.4374の加重集団カバー率を有すると予測される。
【0154】
一部の実施形態では、10個ペプチドのワクチン中のペプチド(ペプチド1~10)のいずれか1つは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、または配列番号10と80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0155】
一部の実施形態では、20個ペプチドの組合せワクチン中のペプチド1~10のアミノ酸配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、および配列番号10を含む。一部の実施形態では、20個ペプチドの組合せワクチン中の第11のペプチドのアミノ酸配列は、配列番号11.GADGVGKSL(配列番号11)を含む。一部の実施形態では、20個ペプチドの組合せワクチン中の第12のペプチドのアミノ酸配列は、配列番号12.GADGVGKSY(配列番号12)を含む。一部の実施形態では、20個ペプチドの組合せワクチン中の第13のペプチドのアミノ酸配列は、配列番号13.GYDGVGKSM(配列番号13)を含む。一部の実施形態では、20個ペプチドの組合せワクチン中の第14のペプチドのアミノ酸配列は、配列番号14.GPVGVGKSV(配列番号14)を含む。一部の実施形態では、20個ペプチドの組合せワクチン中の第15のペプチドのアミノ酸配列は、配列番号15.LTVVGAVGV(配列番号15)を含む。一部の実施形態では、20個ペプチドの組合せワクチン中の第16のペプチドのアミノ酸配列は、配列番号16.VVGAVGVGR(配列番号16)を含む。一部の実施形態では、20個ペプチドの組合せワクチン中の第17のペプチドのアミノ酸配列は、配列番号17.GARGVGKSM(配列番号17)を含む。一部の実施形態では、20個ペプチドの組合せワクチン中の第18のペプチドのアミノ酸配列は、配列番号18.GPRGVGKSV(配列番号18)を含む。一部の実施形態では、20個ペプチドの組合せワクチン中の第19のペプチドのアミノ酸配列は、配列番号19.LLVVGARGV(配列番号19)を含む。一部の実施形態では、20個ペプチドの組合せワクチン中の第20のペプチドのアミノ酸配列は、配列番号20.VAGARGVGM(配列番号20)を含む。KRAS G12D、G12V、およびG12R標的に対する、20個のペプチド(配列番号1~配列番号20)を有する例示的な組合せワクチンは、0.4604の加重集団カバー率を有すると予測される。
【0156】
一部の実施形態では、20個ペプチドのワクチン中のペプチド(ペプチド1~20)のいずれか1つは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、および配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、または配列番号20と80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0157】
表1は、それぞれの配列番号、配列番号に対応するアミノ酸配列、KRASタンパク質標的(特定の突然変異を有する)、シードアミノ酸配列(つまり、野生型KRAS断片のアミノ酸配列)、2位および9位におけるヘテロクリティックペプチドのアミノ酸置換(存在する場合)を含む、本明細書に記載のMHCクラスIペプチド配列、ならびにペプチドが本明細書に記載の5、10、または20個組合せペプチドワクチン中に含まれていてもよい実施形態を詳述する備考を示す。表1には、配列番号21~41を含む追加のペプチド配列も含まれている。一部の実施形態では、表1に列挙されているペプチド(配列番号1~41)の任意の組合せを使用して、約2~約40個のペプチドを有する組合せペプチドワクチンを作出することができる。一部の実施形態では、組合せワクチン中のペプチド(ペプチド1~41;配列番号1~41)のいずれか1つは、配列番号1~41のいずれかと80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0158】
【表1-1】

【表1-2】

【表1-3】

【表1-4】
【0159】
MHCクラスIヘテロクリティックペプチドの追加のアミノ酸配列は、配列表(配列番号67~1522)に提供されている。一部の実施形態では、本明細書で開示のMHCクラスIペプチド(配列番号1~41、67~1522、1524~1536、および1547~1549)の任意の組合せを使用して、約2~約40個のペプチドを有する組合せペプチドワクチンを作出することができる。一部の実施形態では、組合せワクチン中のペプチド(ペプチド1~41、67~1522、1524~1536、および1547~1549)のいずれか1つは、配列番号1~41、67~1522、1524~1536、または1547~1549のいずれかと80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0160】
RASワクチンのMHCクラスIIペプチド配列
一部の実施形態では、ペプチドワクチン(単一標的ワクチンまたは組合せ複数標的ワクチン)は、各ペプチドが約20個のアミノ酸からなる約2~40個のMHCクラスIIペプチドを含む。一部の実施形態では、MHCクラスIIペプチドワクチンは、KRAS G12D、G12V、G12R、G12C、およびG13D標的のうちの1つまたは複数に対するものであることが意図されている。
【0161】
表2には、それぞれの配列番号、配列番号に対応するアミノ酸配列、ペプチドの結合コアに対応するアミノ酸配列、KRASタンパク質標的(特異的突然変異を有する)、シードアミノ酸配列(つまり、野生型KRAS断片のアミノ酸配列)、結合コアのシードアミノ酸配列、ならびに1、4、6、および9位におけるヘテロクリティックペプチドのアミノ酸置換(存在する場合)を含む、本明細書に記載のMHCクラスIIペプチド配列がまとめられている。表2は、組換えペプチドをコードする配列番号42~66.配列番号42~65(表2)を含むペプチド配列を含む。一部の実施形態では、表2に列挙されているペプチド(配列番号42~66)の任意の組合せを使用して、単一標的(個々の)ペプチドワクチンまたは約2~約40個のペプチドを有する組合せペプチドワクチンを作出することができる。一部の実施形態では、組合せワクチン中のペプチド(ペプチド42~66;配列番号42~66)のいずれか1つは、配列番号42~66のいずれかと80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0162】
【表2-1】

【表2-2】

【表2-3】
【0163】
一部の実施形態では、本明細書で開示のMHCクラスIおよび/またはMHCクラスIIペプチド(配列番号1~1522および1524~1549)の任意の組合せを使用して、単一標的(個々の)ペプチドワクチンまたは約2~約40個のペプチドを有する組合せペプチドワクチンを作出することができる。一部の実施形態では、組合せワクチン中のペプチド(ペプチド1~1522および1524~1549;配列番号1~1522および1524~1549)のいずれか1つは、配列番号1~1522または1524~1549のいずれかと80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0164】
RAS mRNAおよびDNAワクチン
一部の実施形態では、ワクチンペプチドは、mRNA分子またはDNA分子としてコードされ、当技術分野で公知のように、発現のためにインビボで投与される。mRNAによるワクチンのデリバリーの一例は、Kranz et al. (2016)および米国特許第8,637,006号明細書に見出され、これらの文献は参照により本明細書に組み込まれる。一実施形態では、本明細書に記載の手順により最適化された、5個ペプチドのMHCクラスI組合せ膵臓がんワクチン(標的:KRAS G12D、G12V、G12R)および5個ペプチドのMHCクラスII組合せ膵臓がんワクチン(標的:KRAS G12D、G12V、G12R)を含むコンストラクトは、10個のペプチドを含む。ペプチドには、N末端に分泌シグナル配列、続いてMHCクラスI輸送シグナル(MITD)(Kreiter et al., 2008;Sahin et al., 2017;米国特許第8,637,006号明細書)が付加されている。MITDは、抗原を、HLAクラスIおよびクラスII提示のための経路に導くことが示されている(Kreiter et al., 2008)。ここで、本発明者らは、Sahin et al. (2017)の非免疫原性グリシン/セリンリンカーを使用して、各MHCクラスのすべてのペプチドを単一のコンストラクトへと組み合わせるが、Kreiter et al. (2008)により示されているように、同じ分泌シグナルおよびMITDシグナルを有する単一のペプチドを含む個々のコンストラクトを構築することも考えられる。
【0165】
一部の実施形態では、mRNAワクチンによりコードされるアミノ酸配列は、配列番号1523を含む。下線のアミノ酸は、シグナルペプチド(またはリーダー)配列に対応する。太字のアミノ酸は、MHCクラスI(9アミノ酸長;5個のペプチド)およびMHCクラスII(13~25アミノ酸長;5個のペプチド)ペプチド配列に対応する。イタリック体のアミノ酸は輸送シグナルに対応する。
【0166】
一部の実施形態では、ワクチンは、配列番号1523からなるアミノ酸配列をコードする核酸配列を含むmRNAワクチンである。一部の実施形態では、mRNAワクチンの核酸配列は、配列番号1523と80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%同一であるアミノ酸配列をコードする。
【0167】
一部の実施形態では、ワクチンは、配列番号1523からなるアミノ酸配列をコードする核酸配列を含むDNAワクチンである。一部の実施形態では、DNAワクチンの核酸配列は、配列番号1523と80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%同一であるアミノ酸配列をコードする。
【0168】
一部の実施形態では、mRNAコードワクチンペプチドが、自己増幅RNAワクチンのペイロードとして使用される。一実施形態では、Geall et al. (2012)に記載のように、感染性アルファウイルス粒子の1つまたは複数の構造タンパク質が、ワクチンペプチドをコードするmRNA配列により置き換えられている。この文献は参照により本明細書に組み込まれる。Geall et al. (2012)に記載されているように、自己増幅RNAワクチンは、抗原産生の効率をインビボで増加させることができる。
【0169】
一部の実施形態では、本明細書で開示の1つまたは複数のMHCクラスIおよび/またはMHCクラスIIペプチド(配列番号1~1522および1524~1549)を、1つまたは複数のmRNA分子またはDNA分子にコードし、発現のためにインビボで投与することができる。一部の実施形態では、約2~約40個のペプチド配列が、1つまたは複数のmRNAコンストラクトにコードされる。一部の実施形態では、約2~約40個のペプチド配列が、1つまたは複数のDNAコンストラクト(つまり、配列番号1~1522および1524~1549の1つまたは複数を含むアミノ酸配列をコードする核酸)にコードされる。一部の実施形態では、mRNAワクチンのアミノ酸配列またはDNAワクチンの核酸配列は、配列番号1~1522または1524~1549のいずれかと80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%同一であるアミノ酸配列をコードする。
【0170】
BCR-ABLワクチンのMHCクラスIペプチド配列
一部の実施形態では、ペプチドワクチン(単一標的ワクチンまたは組合せ複数標的ワクチン)は、各ペプチドが8つまたはそれよりもよりも多くのアミノ酸からなる約1~40個のMHCクラスIペプチドを含む。一部の実施形態では、MHCクラスIペプチドワクチンは、BCR-ABL遺伝子融合物に対するものであることが意図されている。一部の実施形態では、BCR-ABL遺伝子融合物は、b3a2およびb2a2からなる群から選択される。一部の実施形態では、MHCクラスIペプチドワクチンは、がんを予防するためであることが意図されている。一部の実施形態では、MHCクラスIペプチドワクチンは、がんを治療することが意図されている。一部の実施形態では、MHCクラスIペプチドワクチンは、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、または浸潤性乳管癌を予防するためであることが意図されている。一部の実施形態では、MHCクラスIペプチドワクチンは、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、または浸潤性乳管癌を治療するためであることが意図されている。
【0171】
一部の実施形態では、BCR-ABLに対するMHCクラスIペプチドワクチンのアミノ酸配列ワクチンは、配列番号1550~1594の1つまたは複数を含む。一部の実施形態では、BCR-ABLワクチン中のペプチドのいずれか1つは、配列番号1550~1594と80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0172】
一部の実施形態では、BCR-ABLに対するMHCクラスIペプチドワクチンのアミノ酸配列ワクチンは、配列番号1550~1594の2つまたはそれよりも多くを含む。一部の実施形態では、BCR-ABLワクチン中のペプチドのいずれか1つは、配列番号1550~1594と80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0173】
表3は、それぞれの配列番号、配列番号に対応するアミノ酸配列、シードアミノ酸配列(つまり、野生型BCR-ABLたんぱく質融合物断片のアミノ酸配列)、2位およびC位(カルボキシル末端)におけるヘテロクリティックペプチドのアミノ酸置換(存在する場合)を含む、本明細書に記載のMHCクラスIペプチド配列、ならびにペプチドが本明細書に記載の組合せペプチドワクチンに含まれていてもよい実施形態を詳述する備考を示す。配列番号1550~1582および1594はBCR-ABL b3a2に由来し、配列番号1583~1593はBCR-ABL b2a2に由来する。一部の実施形態では、表3に列挙されるペプチド(配列番号1550~1594)の任意の組合せを使用して、約1~約40個のペプチドを有する組合せペプチドワクチンを作出することができる。一部の実施形態では、組合せワクチン中のペプチド(ペプチド1550~1594;および1550~1594)のいずれか1つは、配列番号1550~1594のいずれかと80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0174】
一部の実施形態では、表3の「b3a2ワクチン」列に列挙されているペプチド(配列番号1550~1582および配列番号1594)の任意の組合せを使用して、約1~約40個のペプチドを有する組合せペプチドワクチンを作出することができる。一部の実施形態では、組合せワクチン中のこうしたペプチドのいずれか1つは、表3の「b3a2ワクチン」列に列挙されているペプチド(配列番号1550~1582および配列番号1594)と80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0175】
一部の実施形態では、表3の「b2a2ワクチン」列に列挙されているペプチド(配列番号1583~1593)の任意の組合せを使用して、約1~約40個のペプチドを有する組合せペプチドワクチンを作出することができる。一部の実施形態では、組合せワクチン中のこうしたペプチドのいずれか1つは、表3の「b2a2ワクチン」列に列挙されているペプチド(配列番号1583~1593)と80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0176】
MHCクラスIワクチンペプチドの追加のアミノ酸配列は、配列表(配列番号1662~2249)に提供されている。一部の実施形態では、本明細書で開示のMHCクラスIペプチド(配列番号1550~1594および配列番号1662~2249)の任意の組合せを使用して、約1~約40個のペプチドを有する組合せペプチドワクチンを作出することができる。一部の実施形態では、組合せワクチン中のペプチド(配列番号1550~1594および配列番号1662~2249)のいずれか1つは、配列番号1550~1594または配列番号1662~2249のいずれかと80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0177】
【表3-1】

【表3-2】
【0178】
BCR-ABLワクチンのMHCクラスIIペプチド配列
一部の実施形態では、ペプチドワクチン(単一標的ワクチンまたは組合せ複数標的ワクチン)は、各ペプチドが約20個のアミノ酸からなる約1~40個のMHCクラスIIペプチドを含む。一部の実施形態では、MHCクラスIIペプチドワクチンは、BCR-ABL遺伝子融合物に対するものであることが意図されている。一部の実施形態では、BCR-ABL遺伝子融合物は、b3a2およびb2a2からなる群から選択される。一部の実施形態では、MHCクラスIIペプチドワクチンは、がんを予防するためであることが意図されている。一部の実施形態では、MHCクラスIIペプチドワクチンは、がんを治療するためであることが意図されている。一部の実施形態では、MHCクラスIペプチドワクチンは、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、または浸潤性乳管癌を予防するためであることが意図されている。一部の実施形態では、MHCクラスIペプチドワクチンは、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、または浸潤性乳管癌を治療するためであることが意図されている。
【0179】
一部の実施形態では、BCR-ABLに対するMHCクラスIIペプチドワクチンのアミノ酸配列ワクチンは、配列番号1595~1661の1つまたは複数を含む。一部の実施形態では、BCR-ABLワクチン中のペプチドのいずれか1つは、配列番号1595~1661と80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0180】
一部の実施形態では、BCR-ABLに対するMHCクラスIIペプチドワクチンのアミノ酸配列ワクチンは、配列番号1595~1661の2つまたはそれよりも多くを含む。一部の実施形態では、BCR-ABLワクチン中のペプチドのいずれか1つは、配列番号1595~1661と80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0181】
表4には、それぞれの配列番号、配列番号に対応するアミノ酸配列、ペプチドの結合コアに対応するアミノ酸配列、シードアミノ酸配列(つまり、野生型BCR-ABLタンパク質融合物断片のアミノ酸配列)、結合コアのシードアミノ酸配列、ならびに1、4、6、および9位におけるヘテロクリティックペプチドのアミノ酸置換(存在する場合)を含む、本明細書に記載のMHCクラスIIペプチド配列がまとめられている。表4には、配列番号1595~1661を含むペプチド配列が含まれている。配列番号1595~1661(表4)は組換えペプチドをコードする。配列番号1595~1627はBCR-ABL b3a2に由来し、配列番号1628~1661はBCR-ABL b2a2に由来する。一部の実施形態では、表4に列挙されるペプチド(配列番号1595~1661)の任意の組合せを使用して、単一標的(個々の)ペプチドワクチンまたは約1~約40個のペプチドを有する組合せペプチドワクチンを作出することができる。一部の実施形態では、組合せワクチン中のペプチド(ペプチド1595~1661;配列番号1595~1661)のいずれか1つは、配列番号1595~1661のいずれかと80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0182】
一部の実施形態では、表4の「b3a2ワクチン」列に列挙されているペプチド(配列番号1595~1627)の任意の組合せを使用して、約1~約40個のペプチドを有する組合せペプチドワクチンを作出することができる。一部の実施形態では、組合せワクチン中のこうしたペプチドのいずれか1つは、表4の「b3a2ワクチン」列に列挙されているペプチド(配列番号1595~1627)と80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0183】
一部の実施形態では、表4の「b2a2ワクチン」列に列挙されているペプチド(配列番号1628~1661)の任意の組合せを使用して、約1~約40個のペプチドを有する組合せペプチドワクチンを作出することができる。一部の実施形態では、組合せワクチン中のこうしたペプチドのいずれか1つは、表4の「b2a2ワクチン」列に列挙されているペプチド(配列番号1628~1661)と80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0184】
MHCクラスIIワクチンペプチドの追加のアミノ酸配列は、配列表(配列番号2250~63661)に提供されている。一部の実施形態では、本明細書で開示のMHCクラスIIペプチド(配列番号1595~1661および配列番号2250~63661)の任意の組合せを使用して、約1~約40個のペプチドを有する組合せペプチドワクチンを作出することができる。一部の実施形態では、組合せワクチン中のペプチド(配列番号1595~1661および配列番号2250~63661)のいずれか1つは、配列番号1595~1661または配列番号2250~63661のいずれかと80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0185】
一部の実施形態では、本明細書で開示のMHCクラスIおよび/またはMHCクラスIIペプチド(配列番号1550~63662)の任意の組合せを使用して、単一標的(個々の)ペプチドワクチンまたは約2~約40個のペプチドを有する組合せペプチドワクチンを作出することができる。一部の実施形態では、組合せワクチン中のペプチド(ペプチド1550~63662;配列番号1550~63662)のいずれか1つは、配列番号1550~63662のいずれかと80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0186】
【表4-1】

【表4-2】

【表4-3】

【表4-4】

【表4-5】
【0187】
BCR-ABL mRNAおよびDNAワクチン
一実施形態では、本明細書に記載の手順により最適化された、10個ペプチドのMHCクラスI BCR-ABL b3a2ワクチンおよび10個ペプチドのMHCクラスII BCR-ABL b3a2ワクチンを含むコンストラクトは、20個のペプチドを含む。ペプチドには、N末端に分泌シグナル配列、続いてMHCクラスI輸送シグナル(MITD)(Kreiter et al., 2008;Sahin et al., 2017;米国特許第8,637,006号明細書、これらの文献は参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)が付加されている。MITDは、抗原を、HLAクラスIおよびクラスII提示のための経路に導くことが示されている(Kreiter et al., 2008)。ここで、本発明者らは、Sahin et al. (2017)の非免疫原性グリシン/セリンリンカーを使用して、各MHCクラスのすべてのペプチドを単一のコンストラクトに組み合わせるが、Kreiter et al. (2008)により示されているように、同じ分泌シグナルおよびMITDシグナルを有する単一のペプチドを含む個々のコンストラクトを構築することも考えられる。
【0188】
一部の実施形態では、mRNAワクチンによりコードされるアミノ酸配列は、配列番号63662を含む。下線のアミノ酸は、シグナルペプチド(またはリーダー)配列に対応する。太字のアミノ酸は、MHCクラスI(8~11アミノ酸長;10個のペプチド)およびMHCクラスII(13~25アミノ酸長;10個のペプチド)ペプチド配列に対応する。イタリック体のアミノ酸は輸送シグナルに対応する。代替的な実施形態では、本明細書で開示の任意の数および変異型のペプチド配列を、下記の配列番号63662に示されているシグナルペプチド配列および輸送シグナルを含むmRNAワクチンに含めることができる。
【0189】
一部の実施形態では、ワクチンは、配列番号63662からなるアミノ酸配列をコードする核酸配列を含むmRNAワクチンである。一部の実施形態では、mRNAワクチンの核酸配列は、配列番号63662と80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%同一であるアミノ酸配列をコードする。
【0190】
一部の実施形態では、ワクチンは、配列番号63662からなるアミノ酸配列をコードする核酸配列を含むDNAワクチンである。一部の実施形態では、DNAワクチンの核酸配列は、配列番号63662と80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%同一であるアミノ酸配列をコードする。
【0191】
一部の実施形態では、本明細書で開示の1つまたは複数のMHCクラスIおよび/またはMHCクラスIIペプチド(配列番号1550~63662)を、1つまたは複数のmRNAまたはDNA分子にコードし、発現のためにインビボで投与することができる。一部の実施形態では、約2~約40個のペプチド配列が、1つまたは複数のmRNAコンストラクトにコードされる。一部の実施形態では、約2~約40個のペプチド配列が、1つまたは複数のDNAコンストラクト(つまり、配列番号1550~63662の1つまたは複数を含むアミノ酸配列をコードする核酸)にコードされる。一部の実施形態では、mRNAワクチンのアミノ酸配列またはDNAワクチンの核酸配列は、配列番号1550~63662のいずれかと80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%同一であるアミノ酸配列をコードする。
【0192】
本主題の非限定的な実施形態
一態様では、本発明は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、および配列番号41からなる群から選択される少なくとも2つのアミノ酸配列をコードする核酸配列を提供する。
【0193】
一部の実施形態では、核酸配列は、免疫原性組成物である。一部の実施形態では、核酸配列は、発現用のコンストラクト中にてインビボで投与される。一部の実施形態では、核酸配列のインビボ投与は、HLAクラスI分子により提示される少なくとも1つのペプチドを産生するように構成されている。一部の実施形態では、少なくとも1つのペプチドは、突然変異型KRASタンパク質の修飾断片または未修飾断片である。一部の実施形態では、突然変異型KRASタンパク質は、KRAS G12D、KRAS G12V、KRAS G12R、KRAS G12C、およびKRAS G13Dからなる群から選択される。一部の実施形態では、核酸配列は、がんを予防するために有効量で対象に投与される。一部の実施形態では、核酸配列は、がんを治療するために有効量で対象に投与される。
【0194】
別の態様では、本発明は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、および配列番号41からなる群から選択される少なくとも2つのペプチドを含む免疫原性ペプチド組成物を提供する。
【0195】
一部の実施形態では、少なくとも2つのペプチドのうちの少なくとも1つのペプチドは、対象においてHLAクラスI分子により提示される。一部の実施形態では、少なくとも2つのペプチドのうちの少なくとも1つのペプチドは、突然変異型KRASタンパク質の修飾断片または未修飾断片である。一部の実施形態では、突然変異型KRASタンパク質は、KRAS G12D、KRAS G12V、KRAS G12R、KRAS G12C、およびKRAS G13Dからなる群から選択される。一部の実施形態では、免疫原性ペプチド組成物は、がんを予防するために有効量で対象に投与される。一部の実施形態では、免疫原性ペプチド組成物は、がんを治療するために有効量で対象に投与される。一部の実施形態では、免疫原性ペプチド組成物は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、および配列番号41からなる群から選択される少なくとも3つのペプチドを含む。
【0196】
別の態様では、本発明は、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、および配列番号65からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列をコードする核酸配列を提供する。
【0197】
一部の実施形態では、核酸配列は免疫原性組成物である。一部の実施形態では、核酸配列は、発現用のコンストラクト中にてインビボで投与される。一部の実施形態では、核酸配列のインビボ投与は、HLAクラスII分子により提示される少なくとも1つのペプチドを産生するように構成されている。一部の実施形態では、少なくとも1つのペプチドは、突然変異型KRASタンパク質の修飾断片である。一部の実施形態では、突然変異型KRASタンパク質は、KRAS G12D、KRAS G12V、KRAS G12R、KRAS G12C、およびKRAS G13Dからなる群から選択される。一部の実施形態では、核酸配列は、がんを予防するために有効量で対象に投与される。一部の実施形態では、核酸配列は、がんを治療するために有効量で対象に投与される。
【0198】
別の態様では、本発明は、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、および配列番号65からなる群から選択される少なくとも1つのペプチドを含む免疫原性ペプチド組成物を提供する。
【0199】
一部の実施形態では、免疫原性ペプチド組成物中の少なくとも1つのペプチドは、HLAクラスII分子により提示される。一部の実施形態では、免疫原性ペプチド組成物中の少なくとも1つのペプチドは、突然変異型KRASタンパク質の修飾断片または未修飾断片である。一部の実施形態では、突然変異型KRASタンパク質は、KRAS G12D、KRAS G12V、KRAS G12R、KRAS G12C、およびKRAS G13Dからなる群から選択される。一部の実施形態では、免疫原性ペプチド組成物は、がんを予防するために有効量で対象に投与される。一部の実施形態では、免疫原性ペプチド組成物は、がんを治療するために有効量で対象に投与される。一部の実施形態では、免疫原性ペプチド組成物は、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、および配列番号65からなる群から選択される少なくとも2つのペプチドを含む。
【0200】
別の態様では、本発明は、免疫原性ペプチド組成物を形成するための方法であって、プロセッサを使用して、複数の未修飾ペプチド配列を選択することにより第1のペプチドセットを作出する工程であって、複数の未修飾ペプチド配列のうちの少なくとも1つのペプチド配列は、腫瘍ネオ抗原または自己タンパク質と関連付けられる、工程、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列毎に、複数のペプチド-HLA結合スコアを決定する工程、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列が、少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して第1の閾値を満たすペプチド-HLA結合スコアを有するか否かを決定する工程、第1のペプチドセットおよび複数の修飾ペプチド配列を含む第2のペプチドセットを作出する工程であって、複数の修飾ペプチド配列の各修飾ペプチド配列は、第1のペプチドセット中のペプチド配列の少なくとも1つのアミノ酸残基の置換を含む、工程、第2のペプチドセット中の各修飾ペプチド配列が、少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して第2の閾値を満たすペプチド-HLA結合スコアを有するか否かを決定する工程であって、第2の閾値は第1の閾値よりも制約されている、工程、ならびに第2のペプチドセットのサブセットを選択することにより第3のペプチドセットを作出する工程であって、選択は集団カバー率を計算することを含み、集団カバー率の計算は、修飾ペプチド配列に関連付けられる未修飾ペプチド配列のペプチド-HLA結合スコアが、第1のHLA対立遺伝子に関して第1の閾値を満たさない場合、修飾ペプチド配列の第1のHLA対立遺伝子に関するペプチド-HLA結合スコアを除外することを含み、選択されたサブセットは、第3の閾値を上回る集団カバー率を有する、工程を実施すること;実験的アッセイを実施して、第3のペプチドセット中の少なくとも1つのペプチド配列について、ペプチド-HLA免疫原性メトリックを得ること;ならびに実験的アッセイが実施された第3のペプチドセット中の少なくとも1つのペプチド配列を含む免疫原性ペプチド組成物を形成することを含む方法を提供する。
【0201】
一部の実施形態では、複数の未修飾ペプチド配列を選択して、第1のペプチドセットを作出することは、腫瘍ネオ抗原または自己タンパク質をコードするアミノ酸配列にわたってサイズnの窓をスライドさせることを含み、nは、約8アミノ酸長~約25アミノ酸長であり、nは、第1のペプチドセット中の複数の未修飾ペプチド配列の各ペプチド配列の長さである。一部の実施形態では、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列は、HLAクラスI分子またはHLAクラスII分子に結合する。一部の実施形態では、この方法は、第1のペプチドセットをフィルタリングして、標的残基をアンカー位置に含む予測結合コアを有するペプチド配列を除外することをさらに含む。一部の実施形態では、この方法は、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列の少なくとも1つのアミノ酸残基を置換することをさらに含み、第1のペプチドセット中の少なくとも1つのペプチド配列について、少なくとも1つのアミノ酸残基は、アンカー位置に存在する。一部の実施形態では、第1の閾値は、約1000nM未満の結合親和性である。一部の実施形態では、第2の閾値は、約500nM未満の結合親和性である。一部の実施形態では、集団カバー率は、ヒト集団におけるHLAハプロタイプの頻度に基づいて計算される。一部の実施形態では、集団カバー率は、ヒト集団における少なくとも3つのHLA対立遺伝子の頻度に基づいて計算される。一部の実施形態では、複数の未修飾ペプチド配列は、対象に存在する腫瘍ネオ抗原または自己タンパク質に由来する。一部の実施形態では、第3の閾値は、約0.7~約0.8のヒト集団の割合である。一部の実施形態では、腫瘍ネオ抗原または自己タンパク質はがんに関連付けられ、がんは、膵臓、結腸、直腸、腎臓、気管支、肺、子宮、子宮頸部、膀胱、肝臓、および胃からなる群から選択される。
【0202】
別の態様では、本発明は、免疫原性ペプチド組成物を形成するための方法であって、プロセッサを使用して、複数の未修飾ペプチド配列を選択することにより第1のペプチドセットを作出する工程であって、複数の未修飾ペプチド配列は、腫瘍ネオ抗原または自己タンパク質に関連付けられる、工程、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列毎に、複数のペプチド-HLA免疫原性メトリックを決定する工程、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列が、少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して第1の閾値を満たすペプチド-HLA免疫原性メトリックを有するか否かを決定する工程、第1のペプチドセットおよび複数の修飾ペプチド配列を含む第2のペプチドセットを作出する工程であって、複数の修飾ペプチド配列の各修飾ペプチド配列は、第1のペプチドセット中のペプチド配列の少なくとも1つのアミノ酸残基の置換を含む、工程、第2のペプチドセット中の各修飾ペプチド配列が、少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して第2の閾値を満たすペプチド-HLA免疫原性メトリックを有するか否かを決定する工程であって、第2の閾値は第1の閾値よりも制約されている、工程、ならびに第2のペプチドセットのサブセットを選択することにより第3のペプチドセットを作出する工程であって、選択は、予測ワクチン性能を計算することを含み、予測ワクチン性能の計算は、修飾ペプチド配列に関連付けられる未修飾ペプチド配列のペプチド-HLA免疫原性メトリックが、第1のHLA対立遺伝子に関して第1の閾値を満たさない場合、修飾ペプチド配列の、第1のHLA対立遺伝子に関するペプチド-HLA免疫原性メトリックを除外することを含み、予測ワクチン性能は、第3のペプチドセット中の各ペプチド配列の非除外ペプチド-HLA免疫原性メトリックの関数である、工程を実施すること;実験的アッセイを実施して、第3のペプチドセット中の少なくとも1つのペプチド配列について、ペプチド-HLA免疫原性メトリックを得ること;ならびに実験的アッセイが実施された第3のペプチドセット中の少なくとも1つのペプチド配列を含む免疫原性ペプチド組成物を形成することを含む方法を提供する。
【0203】
一部の実施形態では、複数の未修飾ペプチド配列を選択して第1のペプチドセットを作出することは、腫瘍ネオ抗原または自己タンパク質をコードするアミノ酸配列にわたってサイズnの窓をスライドさせることを含み、nは、約8アミノ酸長~約25アミノ酸長であり、nは、第1のペプチドセット中の複数の未修飾ペプチド配列の各ペプチド配列の長さである。一部の実施形態では、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列は、HLAクラスI分子またはHLAクラスII分子に結合する。一部の実施形態では、この方法は、第1のペプチドセットをフィルタリングして、標的残基をアンカー位置に含む予測結合コアを有するペプチド配列を除外することをさらに含む。一部の実施形態では、この方法は、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列の少なくとも1つのアミノ酸残基を置換することをさらに含み、第1のペプチドセット中の少なくとも1つのペプチド配列について、少なくとも1つのアミノ酸残基は、アンカー位置に存在する。一部の実施形態では、第1の閾値は、約1000nM未満の結合親和性である。
【0204】
別の態様では、本発明は、免疫原性ペプチド組成物を形成するための方法であって、プロセッサを使用して、複数の未修飾ペプチド配列を選択することにより第1のペプチドセットを作出する工程であって、複数の未修飾ペプチド配列の各ペプチド配列は、腫瘍ネオ抗原または自己タンパク質に関連付けられる、工程、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列毎に、複数のペプチド-HLA結合スコアを決定する工程、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列が、少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して第1の閾値を満たすペプチド-HLA結合スコアを有するか否かを決定する工程、第1のペプチドセットおよび複数の修飾ペプチド配列を含む第2のペプチドセットを作出する工程であって、複数の修飾ペプチド配列の各修飾ペプチド配列は、第1のペプチドセット中のペプチド配列の少なくとも1つのアミノ酸残基の置換を含む、工程、第2のペプチドセット中の各修飾ペプチド配列が、少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して第2の閾値を満たすペプチド-HLA結合スコアを有するか否かを決定する工程であって、第2の閾値は第1の閾値よりも制約されている、工程、ならびに第2のペプチドセットのサブセットを選択することにより第3のペプチドセットを作出する工程であって、選択は、予測ワクチン性能を計算することを含み、予測ワクチン性能の計算は、修飾ペプチド配列に関連付けられる未修飾ペプチド配列のペプチド-HLA結合スコアが、第1のHLA対立遺伝子に関して第1の閾値を満たさない場合、修飾ペプチド配列の、第1のHLA対立遺伝子に関するペプチド-HLA結合スコアを除外することを含み、予測ワクチン性能は、第3のペプチドセット中の各ペプチド配列の非除外ペプチド-HLA結合スコアの関数である、工程を実施すること;実験的アッセイを実施して、第3のペプチドセット中の少なくとも1つのペプチド配列について、ペプチド-HLA免疫原性メトリックを得ること;ならびに実験的アッセイが実施された第3のペプチドセット中の少なくとも1つのペプチド配列を含む免疫原性ペプチド組成物を形成することを含む方法を提供する。
【0205】
一部の実施形態では、第2の閾値は、1つまたは複数の実験的アッセイから得られるデータに基づく。一部の実施形態では、予測ワクチンの性能は、さらに、第1のペプチドセット中の第1のペプチド配列が、第1の結合コアにより少なくとも3つのHLA対立遺伝子のうちの第2のHLA対立遺伝子に結合すると予測される場合、少なくとも3つのHLA対立遺伝子のうちの第2のHLA対立遺伝子に結合した複数の修飾ペプチド配列のうちの少なくとも1つの修飾ペプチド配列のペプチド-HLA免疫原性メトリックの関数であり、第1の結合コアは第1のペプチド配列の結合コアであり、第1の結合コアは第2の結合コアと同一であり、第1の結合コアおよび第2の結合コアは、ペプチド配列内にアミノ酸位置を含み、第2の結合コアは、第2のHLA対立遺伝子に結合した複数の修飾ペプチド配列のうちの少なくとも1つの修飾ペプチド配列の結合コアである。
【0206】
別の態様では、本発明は、免疫原性ペプチド組成物を形成するための方法であって、プロセッサを使用して、複数の未修飾ペプチド配列を選択することにより第1のペプチドセットを作出する工程であって、複数の未修飾ペプチド配列のうちの少なくとも1つのペプチド配列は、腫瘍ネオ抗原または自己タンパク質に関連付けられる、工程、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列毎に、複数のペプチド-HLA結合スコアを決定する工程、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列が、少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して第1の閾値を満たすペプチド-HLA結合スコアを有するか否かを決定する工程、第1のペプチドセットおよび複数の修飾ペプチド配列を含む第2のペプチドセットを作出する工程であって、複数の修飾ペプチド配列の各修飾ペプチド配列は、第1のペプチドセット中のペプチド配列の少なくとも1つのアミノ酸残基の置換を含む、工程、第2のペプチドセット中の各修飾ペプチド配列が、少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して第2の閾値を満たすペプチド-HLA結合スコアを有するか否かを決定する工程であって、第2の閾値は第1の閾値よりも制約されている、工程、第2のペプチドセットのサブセットを選択することにより第3のペプチドセットを作出する工程であって、選択は、対象のHLA型に基づき予測ワクチン性能を計算することを含み、予測ワクチン性能の計算は、修飾ペプチド配列に関連付けられる未修飾ペプチド配列のペプチド-HLA結合スコアが、第1のHLA対立遺伝子に関して第1の閾値を満たさない場合、修飾ペプチド配列の第1のHLA対立遺伝子に関するペプチド-HLA結合スコアを除外することを含む、工程を実施すること;実験的アッセイを実施して、第3のペプチドセット中の少なくとも1つのペプチド配列について、ペプチド-HLA免疫原性メトリックを得ること;ならびに実験的アッセイが実施された第3のペプチドセット中の少なくとも1つのペプチド配列を含む免疫原性ペプチド組成物を形成することを含む方法を提供する。
【0207】
一部の実施形態では、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列は、HLAクラスI分子またはHLAクラスII分子に結合する。一部の実施形態では、複数の未修飾ペプチド配列は、対象に存在する腫瘍ネオ抗原または自己タンパク質に由来する。一部の実施形態では、少なくとも3つのHLA対立遺伝子は、対象のHLA型に存在する。一部の実施形態では、複数の未修飾ペプチド配列は、対象に存在する腫瘍ネオ抗原または自己タンパク質に由来する。一部の実施形態では、複数の未修飾ペプチド配列は、対象に存在する腫瘍ネオ抗原または自己タンパク質に由来する。一部の実施形態では、免疫原性ペプチド組成物は、第3のペプチドセット中の少なくとも1つのペプチド配列のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。一部の実施形態では、免疫原性ペプチド組成物は、第3のペプチドセット中の少なくとも1つのペプチド配列のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。
【0208】
別の態様では、本発明は、配列番号1550~1593からなる群から選択される少なくとも2つのアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む組成物を提供する。
【0209】
一部の実施形態では、組成物は免疫原性である。一部の実施形態では、核酸配列は、発現用のコンストラクト中にてインビボで投与される。一部の実施形態では、核酸配列のインビボ投与は、HLAクラスI分子により提示される少なくとも1つのペプチドを産生するように構成されている。一部の実施形態では、少なくとも1つのペプチドは、BCL-ABL遺伝子融合物の修飾断片または未修飾断片である。一部の実施形態では、BCR-ABL遺伝子融合物はb3a2またはb2a2である。一部の実施形態では、核酸配列は、がんを予防するために有効量で対象に投与される。一部の実施形態では、核酸配列は、がんを治療するために有効量で対象に投与される。
【0210】
別の態様では、本発明は、配列番号1550~1593からなる群から選択される少なくとも2つのアミノペプチドを含む組成物を提供する。
【0211】
一部の実施形態では、少なくとも2つのペプチドのうちの少なくとも1つのペプチドは、対象においてHLAクラスI分子により提示される。一部の実施形態では、免疫原性ペプチド組成物中の少なくとも1つのペプチドは、BCL-ABL遺伝子融合物の修飾断片または未修飾断片である。一部の実施形態では、BCR-ABL遺伝子融合物はb3a2またはb2a2である。一部の実施形態では、免疫原性ペプチド組成物は、がんを予防するために有効量で対象に投与される。一部の実施形態では、免疫原性ペプチド組成物は、がんを治療するために有効量で対象に投与される。別の態様では、本発明は、配列番号1550~1593からなる群から選択される少なくとも2つのペプチドを含む組成物を提供する。
【0212】
別の態様では、本発明は、配列番号1595~1661からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列をコードする核酸配列を提供する。
【0213】
一部の実施形態では、組成物は免疫原性である。一部の実施形態では、核酸配列は、発現用のコンストラクト中にてインビボで投与される。一部の実施形態では、核酸配列のインビボ投与は、HLAクラスII分子により提示される少なくとも1つのペプチドを産生するように構成されている。一部の実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸配列は、BCL-ABL遺伝子融合物の修飾断片に由来する。一部の実施形態では、BCR-ABL遺伝子融合物はb3a2またはb2a2である。一部の実施形態では、核酸配列は、がんを予防するために有効量で対象に投与される。一部の実施形態では、核酸配列は、がんを治療するために有効量で対象に投与される。
【0214】
別の態様では、本発明は、配列番号1595~1661からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列をコードする核酸配列を提供する。
【0215】
一部の実施形態では、少なくとも1つのペプチドは、対象においてHLAクラスII分子により提示される。一部の実施形態では、免疫原性ペプチド組成物中の少なくとも1つのペプチドは、BCL-ABL遺伝子融合物の修飾断片または未修飾断片である。一部の実施形態では、BCR-ABL遺伝子融合物はb3a2またはb2a2である。一部の実施形態では、免疫原性ペプチド組成物は、がんを予防するために有効量で対象に投与される。一部の実施形態では、免疫原性ペプチド組成物は、がんを治療するために有効量で対象に投与される。一部の実施形態では、免疫原性ペプチド組成物は、配列番号1595~1661からなる群から選択される少なくとも2つのペプチドを含む。
【0216】
別の態様では、本発明は、免疫原性ペプチド組成物を形成するための方法であって、プロセッサを使用して、複数の未修飾ペプチド配列を選択することにより第1のペプチドセットを作出する工程であって、複数の未修飾ペプチド配列のうちの少なくとも1つのペプチド配列は、腫瘍ネオ抗原、病原体プロテオーム、または自己タンパク質に関連付けられる、工程、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列毎に、複数のペプチド-HLA結合スコアを決定する工程、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列が、少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して第1の閾値を満たすペプチド-HLA結合スコアを有するか否かを決定する工程、第1のペプチドセットおよび複数の修飾ペプチド配列を含む第2のペプチドセットを作出する工程であって、複数の修飾ペプチド配列の各修飾ペプチド配列は、第1のペプチドセット中のペプチド配列の少なくとも1つのアミノ酸残基の置換を含む、工程、第2のペプチドセット中の各ペプチド配列毎に、複数のペプチド-HLA結合スコアを決定する工程、ならびに第2のペプチドセットのサブセットを選択することにより第3のペプチドセットを作出する工程であって、選択は集団カバー率を計算することを含み、集団カバー率の計算は、修飾ペプチド配列に関連付けられる未修飾ペプチド配列のペプチド-HLA結合スコアが、第1のHLA対立遺伝子に関して第1の閾値を満たさない場合、修飾ペプチド配列の第1のHLA対立遺伝子に関するペプチド-HLA結合スコアを除外することを含み、選択されたサブセットは、第3の閾値を上回る集団カバー率を有する、工程を実施すること;実験的アッセイを実施して、第3のペプチドセット中の少なくとも1つのペプチド配列について、ペプチド-HLA免疫原性メトリックを得ること;ならびに実験的アッセイが実施された第3のペプチドセットの少なくとも1つのペプチド配列を含む免疫原性ペプチド組成物を形成することを含む方法を提供する。
【0217】
一部の実施形態では、複数の未修飾ペプチド配列を選択して第1のペプチドセットを作出することは、腫瘍ネオ抗原、病原体プロテオーム、または自己タンパク質をコードするアミノ酸配列の少なくとも一部分にわたってサイズnの窓をスライドさせることを含み、nは、約8アミノ酸長~約25アミノ酸長であり、nは、第1のペプチドセットの複数の未修飾ペプチド配列の各ペプチド配列の長さである。一部の実施形態では、第1のペプチドセットの各ペプチド配列は、HLAクラスI分子またはHLAクラスII分子に結合する。一部の実施形態では、第1のペプチドセットをフィルタリングして、標的アミノ酸残基をアンカー位置に含む予測結合コアを有するペプチド配列を除外することをさらに含む。一部の実施形態では、第1のペプチドセットの各ペプチド配列の少なくとも1つのアミノ酸残基を置換することをさらに含み、第1のペプチドセットの少なくとも1つのペプチド配列について、少なくとも1つのアミノ酸残基は、アンカー位置に存在する。一部の実施形態では、第1の閾値は、約1000nM未満の結合親和性である。一部の実施形態では、集団カバー率は、少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して計算される。一部の実施形態では、集団カバー率は、ヒト集団におけるHLAハプロタイプの頻度に基づいて計算される。一部の実施形態では、集団カバー率は、ヒト集団における少なくとも3つのHLA対立遺伝子の頻度に基づいて計算される。一部の実施形態では、複数の未修飾ペプチド配列は、対象に存在する腫瘍ネオ抗原、病原体プロテオーム、または自己タンパク質に由来する。一部の実施形態では、第2の閾値は、約0.7~約0.8のヒト集団の割合である。一部の実施形態では、腫瘍ネオ抗原または自己タンパク質はがんに関連付けられ、がんは、膵臓、結腸、直腸、腎臓、気管支、肺、子宮、子宮頸部、膀胱、肝臓、および胃からなる群から選択される。一部の実施形態では、病原体プロテオームは、ヒト対象における病原体感染に関連付けられる。一部の実施形態では、免疫原性ペプチド組成物は、第3のペプチドセットの少なくとも1つのペプチド配列のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。
【0218】
別の態様では、本発明は、免疫原性ペプチド組成物を形成するための方法であって、プロセッサを使用して、複数の未修飾ペプチド配列を選択することにより第1のペプチドセットを作出する工程であって、複数の未修飾ペプチド配列は、腫瘍ネオ抗原、病原体プロテオーム、または自己タンパク質に関連付けられる、工程、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列毎に、複数のペプチド-HLA免疫原性メトリックを決定する工程、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列が、少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して閾値を満たすペプチド-HLA免疫原性メトリックを有するか否かを決定する工程、第1のペプチドセットおよび複数の修飾ペプチド配列を含む第2のペプチドセットを作出する工程であって、複数の修飾ペプチド配列の各修飾ペプチド配列は、第1のペプチドセット中のペプチド配列の少なくとも1つのアミノ酸残基の置換を含む、工程、第2のペプチドセット中の各ペプチド配列毎に、複数のペプチド-HLA免疫原性メトリックを決定する工程、ならびに第2のペプチドセットのサブセットを選択することにより第3のペプチドセットを作出する工程であって、選択は、予測ワクチン性能を計算することを含み、予測ワクチン性能の計算は、修飾ペプチド配列に関連付けられる未修飾ペプチド配列のペプチド-HLA免疫原性メトリックが、第1のHLA対立遺伝子に関して閾値を満たさない場合、修飾ペプチド配列の、第1のHLA対立遺伝子に関するペプチド-HLA免疫原性メトリックを除外することを含み、予測ワクチン性能は、第3のペプチドセット中の各ペプチド配列のペプチド-HLA免疫原性メトリックの関数である、工程を実施すること;実験的アッセイを実施して、第3のペプチドセットの少なくとも1つのペプチド配列について、ペプチド-HLA免疫原性メトリックを得ること;ならびに実験的アッセイが実施された第3のペプチドセットの少なくとも1つのペプチド配列を含む免疫原性ペプチド組成物を形成することを含む方法を提供する。
【0219】
一部の実施形態では、複数の未修飾ペプチド配列を選択して第1のペプチドセットを作出することは、腫瘍ネオ抗原、病原体プロテオーム、または自己タンパク質をコードするアミノ酸配列の少なくとも一部分にわたってサイズnの窓をスライドさせることを含み、nは、約8アミノ酸長~約25アミノ酸長であり、nは、第1のペプチドセットの複数の未修飾ペプチド配列の各ペプチド配列の長さである。一部の実施形態では、第1のペプチドセットの各ペプチド配列は、HLAクラスI分子またはHLAクラスII分子に結合する。一部の実施形態では、第1のペプチドセットをフィルタリングして、標的アミノ酸残基をアンカー位置に含む予測結合コアを有するペプチド配列を除外することをさらに含む。一部の実施形態では、第1のペプチドセットの各ペプチド配列の少なくとも1つのアミノ酸残基を置換することをさらに含む。一部の実施形態では、閾値は、約1000nM未満の結合親和性である。一部の実施形態では、少なくとも3つのHLA対立遺伝子は、対象のHLA型に存在する。一部の実施形態では、複数のペプチド配列は、対象に存在する腫瘍ネオ抗原、病原体プロテオーム、または自己タンパク質に由来する。一部の実施形態では、免疫原性ペプチド組成物は、第3のペプチドセットの少なくとも1つのペプチド配列のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。
【0220】
別の態様では、本発明は、免疫原性ペプチド組成物を形成するための方法であって、プロセッサを使用して、複数の未修飾ペプチド配列を選択することにより第1のペプチドセットを作出する工程であって、複数の未修飾ペプチド配列の各ペプチド配列は、腫瘍ネオ抗原、病原体プロテオーム、または自己タンパク質に関連付けられる、工程、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列毎に、複数のペプチド-HLA結合スコアを決定する工程、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列が、少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して閾値を満たすペプチド-HLA結合スコアを有するか否かを決定する工程、第1のペプチドセットおよび複数の修飾ペプチド配列を含む第2のペプチドセットを作出する工程であって、複数の修飾ペプチド配列の各修飾ペプチド配列は、第1のペプチドセット中のペプチド配列の少なくとも1つのアミノ酸残基の置換を含む、工程、第2のペプチドセット中の各ペプチド配列毎に、複数のペプチド-HLA結合スコアを決定する工程、ならびに第2のペプチドセットのサブセットを選択することにより第3のペプチドセットを作出する工程であって、選択は、予測ワクチン性能を計算することを含み、予測ワクチン性能の計算は、修飾ペプチド配列に関連付けられる未修飾ペプチド配列のペプチド-HLA結合スコアが、第1のHLA対立遺伝子に関する閾値を満たさない場合、修飾ペプチド配列の、第1のHLA対立遺伝子に関するペプチド-HLA結合スコアを除外することを含み、予測ワクチン性能は、第3のペプチドセット中の各ペプチド配列のペプチド-HLA結合スコアの関数である、工程を実施すること;実験的アッセイを実施して、第3のペプチドセットの少なくとも1つのペプチド配列について、ペプチド-HLA免疫原性メトリックを得ること;ならびに実験的アッセイが実施された第3のペプチドセットの少なくとも1つのペプチド配列を含む免疫原性ペプチド組成物を形成することを含む方法を提供する。
【0221】
一部の実施形態では、第2の閾値は、1つまたは複数の実験的アッセイから得られるデータから決定される。一部の実施形態では、予測ワクチンの性能は、さらに、第1のペプチドセットの第1のペプチド配列が、第1の結合コアにより第2のHLA対立遺伝子に結合すると予測される場合、第2のHLA対立遺伝子に関する、第2のペプチドセットの少なくとも1つの修飾ペプチド配列のペプチド-HLA免疫原性メトリックの関数であり、第1の結合コアは第1のペプチド配列の結合コアであり、第1の結合コアは第2の結合コアと同一であり、第1の結合コアおよび第2の結合コアは各々、ペプチド配列内にアミノ酸位置を含み、第2の結合コアは、少なくとも1つの修飾ペプチド配列の結合コアである。一部の実施形態では、複数のペプチド配列は、対象に存在する腫瘍ネオ抗原、病原体プロテオーム、または自己タンパク質に由来する。
【0222】
別の態様では、本発明は、免疫原性ペプチド組成物を形成するための方法であって、プロセッサを使用して、複数の未修飾ペプチド配列を選択することにより第1のペプチドセットを作出する工程であって、複数の未修飾ペプチド配列のうちの少なくとも1つのペプチド配列は、腫瘍ネオ抗原、病原体プロテオーム、または自己タンパク質に関連付けられる、工程、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列毎に、複数のペプチド-HLA結合スコアを決定する工程、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列が、少なくとも3つのHLA対立遺伝子に関して閾値を満たすペプチド-HLA結合スコアを有するか否かを決定する工程、第1のペプチドセットおよび複数の修飾ペプチド配列を含む第2のペプチドセットを作出する工程であって、複数の修飾ペプチド配列の各修飾ペプチド配列は、第1のペプチドセット中のペプチド配列の少なくとも1つのアミノ酸残基の置換を含む、工程、第2のペプチドセット中の各ペプチド配列毎に、複数のペプチド-HLA結合スコアを決定する工程、ならびに第2のペプチドセットのサブセットを選択することにより第3のペプチドセットを作出する工程であって、選択は、対象のHLA型に基づき予測ワクチン性能を計算することを含み、予測ワクチン性能の計算は、修飾ペプチド配列に関連付けられる未修飾ペプチド配列のペプチド-HLA結合スコアが、第1のHLA対立遺伝子に関して閾値を満たさない場合、修飾ペプチド配列の第1のHLA対立遺伝子に関するペプチド-HLA結合スコアを除外することを含む、工程を実施すること;実験的アッセイを実施して、第3のペプチドセットの少なくとも1つのペプチド配列について、ペプチド-HLA免疫原性メトリックを得ること;ならびに実験的アッセイが実施された第3のペプチドセットの少なくとも1つのペプチド配列を含む免疫原性ペプチド組成物を形成することを含む方法を提供する。
【0223】
一部の実施形態では、第1のペプチドセット中の各ペプチド配列は、HLAクラスI分子またはHLAクラスII分子に結合する。一部の実施形態では、複数のペプチド配列は、対象に存在する腫瘍ネオ抗原、病原体プロテオーム、または自己タンパク質に由来する。
【0224】
組成物
一部の実施形態では、ペプチドワクチンは、本開示の1つまたは複数のペプチドを含み、薬学的に許容される担体を含む医薬組成物中にて投与される。一部の実施形態では、ペプチドワクチンは、本開示に記載の第3のペプチドセットを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、噴霧、エアロゾル、ゲル、溶液、エマルション、脂質ナノ粒子、ナノ粒子、または懸濁物の形態である。一部の実施形態では、医薬組成物は、カチオン性ナノエマルジョンの形態であり、その一例は、Brito et al. (2014)に記載されている。この文献は参照により本明細書に組み込まれる。
【0225】
組成物は、好ましくは、薬学的に許容される担体と共に対象に投与される。典型的には、一部の実施形態では、一部の実施形態では製剤を等張にすることができる適切な量の薬学的に許容される塩が製剤に使用される。
【0226】
ある特定の実施形態では、ペプチドは、本明細書に記載のペプチドのいずれか1つおよび薬学的に許容される担体を含む免疫原性組成物として提供される。ある特定の実施形態では、免疫原性組成物はアジュバントをさらに含む。ある特定の実施形態では、ペプチドは、当業者に公知のように、その有効性を増加させるために他の分子とコンジュゲートされている。例えば、ペプチドを、抗原提示細胞の細胞表面タンパク質を認識する抗体にカップリングして、ワクチンの有効性を増強させることができる。ペプチドデリバリーの有効性を増加させるため1つのそのような方法は、Woodham et al. (2018)に記載されている。自己免疫障害を治療するためのある特定の実施形態では、ペプチドは、当技術分野で公知のように、寛容性を誘導するように設計された組成物およびプロトコールを用いてデリバリーされる。免疫寛容化のためにペプチドを使用するための方法の例は、Alhadj Ali, et al. (2017)およびGibson, et al. (2015)に記載されている。
【0227】
一部の実施形態では、薬学的に許容される担体は、生理食塩水、リンゲル溶液、デキストロース溶液、およびそれらの組合せからなる群から選択される。当技術分野で公知の他の好適な薬学的に許容される担体が企図される。適切な担体およびそれらの製剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 2005, Mack Publishing Co.に記載されている。溶液のpHは、好ましくは約5~約8、より好ましくは約7~約7.5である。また、製剤は凍結乾燥粉末を含んでいてもよい。さらなる担体としては、固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスなどの徐放性調製物が挙げられ、このマトリックスは、成形品、例えばフィルム、リポソーム、または微粒子の形態である。当業者には、例えば投与されるペプチドの投与経路および濃度に応じて、ある特定の担体がより好ましい場合があることは明らかであろう。
【0228】
薬学的に許容される担体という語句は、本明細書で使用される場合、主題の医薬品を、身体の1つの器官または部分から身体の別の器官または部分へと移動または輸送することに関与する、液体または固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、または封入材などの薬学的に許容される物質、組成物、または媒体を意味する。各担体は、製剤の他の成分と適合性であり、患者に有害ではないという意味で許容可能である。薬学的に許容される担体としての役目を果たすことができる物質の例としては、以下のものが挙げられる:ラクトース、グルコース、およびスクロースなどの糖;トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロースなどのセルロースおよびその誘導体;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;カカオバターおよび座薬ワックスなどの賦形剤;ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、および大豆油などの油;ブチレングリコールなどのグリコール;グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコールなどのポリオール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;無発熱物質水;等張性食塩水;リンゲル溶液;エチルアルコール;リン酸緩衝溶液;ならびに医薬製剤に使用される他の非毒性適合性物質。担体という用語は、適用を容易にするために活性成分と組み合わせる、天然または合成の有機または無機成分を指す。また、医薬組成物の成分は、所望の医薬効率を実質的に損なうことになる相互作用が存在しないように、本発明の化合物とまた相互に混合することができる。また、組成物は、等張化剤、保存剤、界面活性剤、および二価カチオン、好ましくは亜鉛などの追加の作用剤を含んでもよい。
【0229】
また、組成物は、賦形剤、または緩衝剤、還元剤、バルクタンパク質、アミノ酸(例えば、グリシンまたはプラリン(praline)など)、もしくは炭水化物などの、ペプチド組成物を安定化するための作用剤を含んでいてもよい。ペプチド組成物の製剤化に有用なバルクタンパク質としては、アルブミンが挙げられる。ペプチドの製剤化に有用な典型的な炭水化物としては、これらに限定されないが、スクロース、マンニトール、ラクトース、トレハロース、またはグルコースが挙げられる。
【0230】
界面活性剤は、組成物に含まれるペプチドまたはタンパク質の可溶性および不溶性の凝集および/または沈殿を防止するためにも使用することができる。好適な界面活性剤としては、これらに限定されないが、ソルビタントリオレエート、大豆レシチン、およびオレイン酸が挙げられる。ある特定の場合では、エタノールなどの溶媒を使用した溶液エアロゾルが好ましい。したがって、ペプチドを含む製剤は、エアロゾルを形成する際の溶液の噴霧化によるペプチドの表面誘導性凝集を低減または防止することができる界面活性剤をさらに含んでいてもよい。ポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびアルコール、ならびにポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルなどの種々の従来の界面活性剤を使用することができる。量は、一般には、製剤の0.001重量%~4重量%の範囲である。一部の実施形態では、本開示と共に使用される界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリソルベート80、ポリソルベート20である。また、当技術分野で公知の追加の作用剤が組成物に含まれていてもよい。
【0231】
一部の実施形態では、医薬組成物および剤形は、活性成分が崩壊することになるかまたは組成物の性質が変化することになる速度を低減する1つまたは複数の化合物をさらに含む。いわゆる安定剤または保存剤としては、これらに限定されないが、アミノ酸、酸化防止剤、pH緩衝剤、または塩緩衝剤を挙げることができる。酸化防止剤の非限定的な例としては、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビン酸およびその誘導体、トコフェロールおよびその誘導体、ブチル化ヒドロキシアニソール、およびシステインが挙げられる。保存剤の非限定的な例としては、p-ヒドロキシ安息香酸メチルまたはプロピルおよび塩化ベンザルコニウムなどのパラベンが挙げられる。アミノ酸のさらなる非限定的な例としては、グリシンまたはプロリンが挙げられる。
【0232】
また、本発明は、二価カチオンを有するかまたは有しない、プロリンまたはグリシンを含むアミノ酸を使用することにより、中性pHまたは中性pH未満のペプチドを含む液体溶液を安定化させ(阻害剤タンパク質の熱的または機械的に誘導される可溶性または不溶性の凝集および/または沈殿を防止するかまたは最小限に抑えて)、室温で安定であるかまたは医薬品投与に好ましい透明またはほぼ透明な溶液をもたらすことを教示する。
【0233】
一実施形態では、組成物は、単一単位剤形または複数単位剤形の医薬組成物である。本発明の単一単位剤形または複数単位剤形の医薬組成物は、予防的または治療的有効量の1つまたは複数の組成物(例えば、本発明の化合物、または他の予防剤または療法剤)、典型的には1つまたは複数の媒体、担体、または賦形剤、安定化剤、および/または保存剤を含む。好ましくは、媒体、担体、賦形剤、安定化剤、および保存剤は、薬学的に許容されるものである。
【0234】
一部の実施形態では、医薬組成物および剤形は、無水医薬組成物および剤形を含む。本発明の無水医薬組成物および剤形は、無水または低水分含有成分および低水分条件または低湿度条件を使用して調製することができる。ラクトース、および第一級または第二級アミンを含む少なくとも1つの活性成分を含む医薬組成物および剤形は、製造、包装、および/または保管中に水分および/または湿気との実質的な接触が予想される場合、好ましくは無水である。無水医薬組成物は、その無水性質が維持されるように調製および保管されるべきである。したがって、無水組成物は、好適な処方キットに含めることができるように、水への曝露を防止することが知られている材料を使用して包装されることが好ましい。好適な包装の例としては、これらに限定されないが、気密密封ホイル、プラスチック、単位用量容器(例えば、バイアル)、ブリスターパック、およびストリップパックが挙げられる。
【0235】
好適な媒体は、薬学分野の当業者に周知であり、好適な媒体の非限定的な例としては、グルコース、スクロース、デンプン、ラクトース、ゼラチン、米、シリカゲル、グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、プロピレングリコール、水、ステアリン酸ナトリウム、エタノール、および当技術分野で周知の類似物質が挙げられる。生理食塩溶液ならびにデキストロースおよびグリセロール水溶液も、液体媒体として使用することができる。特定の媒体が医薬組成物または剤形への組込みに好適であるか否かは、これらに限定されないが、剤形が患者に投与されることになる方法および剤形中の特定の活性成分を含む、当技術分野で周知の様々な要因に依存する。医薬媒体は、水および油などの無菌液体であってもよく、ピーナツ油、大豆油、鉱油、およびゴマ油などの石油、動物、植物、または合成由来のものが挙げられる。
【0236】
また、本発明は、医薬組成物が、量が示されているアンプルまたはサシェ(sachette)などの気密密封容器に包装され得ることを提供する。一実施形態では、医薬組成物は、患者の下気道への投与に好適なデリバリーデバイス内の無菌凍結乾燥粉末として供給することができる。医薬組成物は、必要に応じて、活性成分を含む1つまたは複数の単位剤形を含むことができるパックまたはディスペンサーデバイスに入れて提供することができる。パックは、例えば、ブリスターパックなどの金属箔またはプラスチック箔を含むことができる。パックまたはディスペンサーデバイスには、投与に関する説明書を添付することができる。
【0237】
こうした製剤または組成物を調製するための方法は、本発明の化合物を、担体および適宜1つまたは複数の副成分と付随させる工程を含む。一般に、製剤は、本発明の化合物を、液体担体、または微粉固体担体、またはその両方と均一および緊密に付随させ、次いで必要に応じて生成物を成形することにより調製される。
【0238】
投与に好適な本発明の製剤は、各々が所定量の本発明の化合物(例えば、ペプチド)を活性成分として含む、粉末、顆粒の形態で、または水性液体もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として、または水中油型もしくは油中水型液体エマルジョンとして、またはエリキシル剤もしくはシロップ剤として、またはトローチとして(ゼラチンおよびグリセリンなどの不活性基剤、またはスクロースおよびアカシアを使用して)、および/またはうがい薬などとしてであってもよい。
【0239】
本明細書の液体組成物は、そのままでデリバリーデバイスに使用することができるか、または例えば噴霧乾燥法により調製される、ペプチドを含む薬学的に許容される製剤の調製に使用することができる。Maa et al., Curr. Pharm. Biotechnol., 2001, 1, 283-302に開示されている、医薬品投与のためにペプチド/タンパク質を噴霧凍結乾燥する方法は、本明細書に組み込まれる。別の実施形態では、本明細書の液体溶液を凍結噴霧乾燥し、噴霧乾燥生成物を、個体に投与した場合に治療的に有効な分散性ペプチド含有粉末として収集する。
【0240】
本発明の化合物および医薬組成物は、併用療法に使用することができる。つまり、化合物および医薬組成物を、1つまたは複数の他の所望の療法剤または医療手技と同時に、その前に、またはその後に投与することができる(例えば、ペプチドワクチンは、化学療法、放射線、医薬品、および/または別の治療などの別の治療との併用療法に使用することができる)。併用レジメンで使用するための療法(療法剤または手技)の特定の組合せには、所望の療法剤および/または手技の適合性ならびに達成しようとする所望の治療効果が考慮されることになる。使用される療法は、同じ障害に対して所望の効果を達成することができることも理解されるだろう(例えば、本発明の化合物は、別の療法剤または予防剤と同時に投与することができる)。
【0241】
また、本発明は、本発明の医薬組成物の成分の1つまたは複数が充填された1つまたは複数の容器を含む医薬パックまたはキットを提供する。そのような容器には、医薬製品または生物学的製品の製造、使用、または販売を規制する政府機関が定める形式の通知が、適宜、添付されていてもよく、この通知は、ヒト投与に関する製造、使用、または販売の政府機関による承認を反映する。
【0242】
本発明は、がんまたは他の疾患の治療に好適なペプチドを含む剤形を提供する。剤形は、例えば、噴霧、エアロゾル、ナノ粒子、リポソーム、または当業者に公知の他の形態として製剤化することができる。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences; Remington: The Science and Practice of Pharmacy supra; Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems by Howard C., Ansel et al., Lippincott Williams & Wilkins; 7th edition (Oct. 1, 1999)を参照されたい。
【0243】
一般に、疾患の急性治療に使用される剤形は、それに含まれている活性成分の1つまたは複数を、同じ疾患の慢性治療に使用される剤形よりも多量に含んでいてもよい。加えて、予防的におよび治療的に有効な剤形は、条件が異なれば様々であり得る。例えば、がんまたは他の疾患を治療することが目的である場合、治療的に有効な剤形は、適切な免疫原性作用を有するペプチドを含んでいてもよい。その一方で、異なる有効投薬量は、本発明のペプチドをがんまたは別の疾患/状態に対する予防剤(例えばワクチン)として使用することが目的である場合、適切な免疫原性作用を有するペプチドを含んでいてもよい。本発明に包含される特定の剤形が互いに異なることになるこうした方法および他の方法は、当業者には直ちに明らかになるだろう。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 2005, Mack Publishing Co.;Remington: The Science and Practice of Pharmacy by Gennaro, Lippincott Williams & Wilkins; 20th edition (2003);Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems by Howard C. Ansel et al., Lippincott Williams & Wilkins;7th edition (Oct. 1, 1999);およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technology, edited by Swarbrick, J. & J.C. Boylan, Marcel Dekker, Inc., New York, 1988を参照されたい。これらの文献は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0244】
また、医薬組成物または剤形のpHを調整して、1つまたは複数の活性成分のデリバリーおよび/または安定性を向上させることができる。同様に、溶媒担体の極性、そのイオン強度、または張度を調整して、デリバリーを向上させることができる。ステアレートなどの化合物を医薬組成物または剤形に添加して、1つまたは複数の活性成分の親水性または親油性を有利に変更してデリバリーを向上させることもできる。これに関して、ステアレートは、製剤の脂質媒体として、乳化剤または界面活性剤として、およびデリバリー促進剤または浸透促進剤としての役目を果たすこともできる。活性成分の異なる塩、水和物、または溶媒和物を使用して、得られる組成物の特性をさらに調整することができる。
【0245】
組成物は、免疫化に好適な組成物を得るための技法を使用して、適切な担体およびアジュバントと共に製剤化することができる。組成物は、例えば、これらに限定されないが、免疫化に好適なミョウバン、ポリIC、MF-59、スクアレン系アジュバント、またはリポソーム系アジュバントなどのアジュバントを含んでいてもよい。
【0246】
一部の実施形態では、組成物および方法は、宿主免疫寛容の機序および誘導された抗体の放出をモジュレートすることができる任意の好適な作用剤または免疫調節を含む。ある特定の実施形態では、免疫調節剤は、例えば、腫瘍ネオ抗原[つまり、腫瘍特異的抗原(TSA)]に対する抗体を含む免疫応答を誘導するために、対象の免疫応答の一過性モジュレーションに十分な時間および量で投与される。
【0247】
発現系
ある特定の態様では、本発明は、本明細書に記載のペプチドのいずれかを含む培養培地中で本発明のペプチドのいずれか1つを発現する細胞株を培養することを提供する。
【0248】
組換えタンパク質/ペプチドを産生するための種々の発現系が当技術分野で公知であり、原核生物(例えば、細菌)発現系、植物発現系、昆虫発現系、酵母発現系、および哺乳動物発現系が挙げられる。好適な細胞株を、目的の分子を産生するために、本発明のペプチドのコード配列を含む核酸で形質転換、形質導入、またはトランスフェクトすることができる。宿主細胞でのヌクレオチド配列の発現を可能にするように少なくとも1つの調節配列に連結されていてもよいそのような核酸配列を含む発現ベクターを、当技術分野で公知の方法により導入することができる。当業者であれば、発現ベクターの設計は、トランスフェクトしようとする宿主細胞の選択ならびに/または発現させようとする所望のタンパク質のタイプおよび/もしくは量などの要因に依存する場合があることを理解する。エンハンサー領域は、非コードDNA領域にあるプロモーター領域の上流または下流に見出される配列であり、当技術分野では、発現の最適化に重要であることが公知である。必要に応じて、プラスミドDNAの導入に原核生物宿主を使用する場合などでは、ウイルス起源の複製起点を使用することができる。しかしながら、真核生物では、染色体組込みが、DNA複製の一般的な機序である。哺乳動物細胞の安定トランスフェクションでは、ごく一部の細胞しか、導入DNAをゲノムに組み込むことができない。使用される発現ベクターおよびトランスフェクション法は、組込み事象の成功に寄与する要因であり得る。所望のタンパク質を安定的に増幅および発現させるために、目的のタンパク質をコードするDNAを含むベクターを、真核細胞(例えば、哺乳動物細胞)のゲノムに安定的に組み込んで、トランスフェクトされた遺伝子の安定発現をもたらす。目的のタンパク質をコードする遺伝子を安定的に発現するクローンを特定および選択するために、選択可能なマーカー(例えば、抗生物質または薬物に対する耐性)をコードする遺伝子を、目的の遺伝子と共に宿主細胞に導入することができる。目的の遺伝子を含む細胞を薬物選択により特定することができ、その場合、選択可能なマーカー遺伝子が組み込まれた細胞は薬物の存在下で生存することになる。選択可能なマーカーの遺伝子が組み込まれていない細胞は死滅する。次いで、生存細胞を、所望のタンパク質分子の産生についてスクリーニングすることができる。
【0249】
挿入配列の発現をモジュレートするか、または所望の特定の様式で核酸を修飾およびプロセシングする宿主細胞菌株も選択することができる。ペプチド/タンパク質産物のそのような修飾(例えば、グリコシル化および他の翻訳後修飾)およびプロセシング(例えば、切断)は、ペプチド/タンパク質の機能にとって重要であり得る。異なる宿主細胞菌株は、タンパク質および遺伝子産物の翻訳後プロセシングおよび修飾のための特徴的で特異的な機構を有する。したがって、適切な宿主系または細胞株を選択すれば、発現された標的タンパク質の正しい修飾およびプロセシングを確実に行うことができる。したがって、一次転写産物の正しいプロセシング、グリコシル化、および遺伝子産物のリン酸化のための細胞機構を有する真核宿主細胞を使用してもよい。
【0250】
培養中の宿主細胞に関しては、種々の培養パラメーターを使用することができる。哺乳動物細胞の適切な培養条件は、当技術分野で周知であるか(Cleveland WL, et al., J lmmunol Methods, 1983, 56(2): 221-234)、または当業者により決定することができる[例えば、Animal Cell Culture: A Practical Approach 2nd Ed., Rickwood, D. and Hames, B. D., eds. (Oxford University Press: New York, 1992を参照)]。細胞培養条件は、選択した宿主細胞のタイプに応じて様々であり得る。市販の培地を使用することができる。
【0251】
本発明のペプチドは、本発明のペプチドを発現する発現コンストラクトをトランスフェクトされた細胞を含む、ポリペプチドを発現する任意のヒトまたは非ヒト細胞から精製することができる。タンパク質の回収、単離、および/または精製の場合、細胞培養培地または細胞ライセートを遠心分離して、粒子状細胞および細胞破片を除去する。所望のポリペプチド分子は、好適な精製技法により、夾雑物である可溶性タンパク質およびポリペプチドから単離または精製される。タンパク質の非限定的な精製方法としては、以下のものが挙げられる:サイズ排除クロマトグラフィー;親和性クロマトグラフィー;イオン交換クロマトグラフィー;エタノール沈殿;逆相HPLC;シリカなどの樹脂またはカチオン交換樹脂、例えばDEAEでのクロマトグラフィー;クロマトフォーカシング;SDS-PAGE;硫酸アンモニウム沈殿;例えばSephadex G-75、セファロースを使用したゲル濾過;および免疫グロブリン夾雑物を除去するためのプロテインAセファロースクロマトグラフィーなど。プロテアーゼ阻害剤(例えば、PMSFまたはプロテイナーゼK)などの他の添加剤を使用して、精製中のタンパク質分解を阻害することができる。また、炭水化物を選択することができる精製手順、例えば、より酸性の画分が収集される、イオン交換ソフトゲルクロマトグラフィーまたはカチオン交換樹脂もしくはアニオン交換樹脂を使用したHPLCを使用することができる。
【0252】
治療の方法
一部の実施形態では、本明細書で開示の主題は、がんの診断後に、疾患の悪化を防止するためにまたは疾患を治癒するために開始される防止的医学的治療に関する。一部の実施形態では、「防止する」という用語は、潜在的な疾患発症(例えば、1つまたは複数のタイプのがん)を阻止するために対象に医学的治療を提供すること(例えば、本明細書で開示の核酸またはペプチドを投与することにより)を指すが、「防止する」とは、医学的治療を受けた対象の100%に疾患が生じないことを必ずしも意味するわけではない。一実施形態では、本明細書で開示の主題は、がんのリスクがあると考えられる対象、または以前にがん(または別の疾患)と診断された対象の予防に関する。一実施形態では、対象には、本明細書に記載のペプチドワクチンまたはその医薬組成物を投与することができる。本発明では、本明細書に記載の系および方法により生成されるペプチドのいずれかを使用することが企図される。一実施形態では、本明細書に記載のペプチドワクチンは、シリンジまたは当技術分野で公知の他の好適な方法により皮下投与することができる。
【0253】
本明細書で開示の化合物もしくは化合物の組合せまたは医薬組成物は、任意の好適な手段により細胞、哺乳動物、またはヒトに投与することができる。投与方法の非限定的な例としては、なかでも、以下のものが挙げられる:(a)カプセル剤、錠剤、顆粒剤、噴霧剤、シロップ剤、または他のそのような形態での投与を含む、経口経路による投与;(b)水性懸濁物もしくは油性調製物などまたは点滴、噴霧、座薬、膏薬、もしくは軟膏などとしての投与を含む、眼内、鼻腔内、耳介内、直腸、膣、尿道内、経粘膜、頬側、または経皮などの非経口経路による投与;(c)注入ポンプデリバリーを含む、皮下、腹腔内、静脈内、筋肉内、皮内、眼窩内、嚢内、脊髄内、または胸骨内などを含む注射による投与;(d)腎臓領域または心臓領域への直接注射などによる、例えばデポー移植による局部投与;(e)局所投与;本明細書で開示の化合物または化合物の組合せを生体組織と接触させるのに当業者が適切であると考えるもの;(f)エアロゾル化、噴霧化、および粉末化製剤を含む、吸入による投与;ならびに(g)移植による投与。
【0254】
当業者には直ちに明らかになることであるが、投与する有効インビボ用量および特定の投与方法は、年齢、体重、および治療される種、ならびに本明細書で開示の化合物または化合物の組合せが使用される特定の使用に応じて様々であろう。有効用量レベル、つまり所望の結果を達成するために必要な用量レベルの決定は、当業者であれば日常的な薬理学的方法を使用して達成することができる。典型的には、製品のヒト臨床応用は、より低用量レベルで開始され、所望の効果が達成されるまで用量レベルを増加させていく。その代わりに、許容可能なインビトロ(in vitro)研究を使用して、確立された薬理学的方法を使用して、本方法により特定された組成物の有用な用量および投与経路を確立することができる。インビボ研究での有効動物用量は、当技術分野で公知の変換方法を使用して適切なヒト用量に変換することができる(例えば、Nair AB, Jacob S. A simple practice guide for dose conversion between animals and human. Journal of basic and clinical pharmacy. 2016 Mar;7(2):27を参照)。
【0255】
予防方法
一部の実施形態では、本発明の方法を使用して調製したペプチドは、がんに対する(例えば、腫瘍ネオ抗原に対する)免疫応答を促進するためのワクチンとして使用することができる。一部の実施形態では、本発明は、免疫応答を誘導するための、例えば腫瘍ネオ抗原に対する抗体を誘導するための組成物および方法を提供する。一部の実施形態では、抗体は、広域中和抗体である。一部の実施形態では、本発明の方法を使用して調製したペプチドは、病原体に対する免疫応答を促進するためのワクチンとして使用することができる。一部の実施形態では、本発明の方法を使用して調製したペプチドは、自己免疫疾患療法剤として免疫寛容を促進するために使用することができる。
【0256】
一部の実施形態では、本発明の方法を使用して調製したペプチドは、追加のワクチン成分と組み合わせることができる。一部の実施形態では、こうした組合せワクチンは、本明細書に記載の方法を用いて生成されるペプチドおよび当技術分野で公知の追加のワクチン成分(例えば、ペプチドまたはタンパク質)をコードする1つまたは複数の核酸にコードされていてもよい。一部の実施形態では、こうした組合せワクチンは、組合せ製剤およびパッケージングに関して本明細書に記載されている方法からもたらされるペプチドの追加のワクチン成分をコードするペプチドまたはタンパク質を添加することにより作出される。ワクチン成分の組合せの例は、RASワクチンの作出であり、その場合、KRAS G12DおよびKRAS G12Vに対するワクチンの成分をコードする1つまたは複数の核酸が使用され、そうした核酸をmRNA-LNPもしくはDNA製剤にパッケージングするか、またはmRNA-LNPもしくはDNAとして異なる成分を別々に製剤化し、次いでパッケージングのためにもしくは個人に投与する直前にそれらを組み合わせる。
【0257】
本明細書で開示の組成物、系、および方法は、本明細書に記載の特定の実施形態の範囲に限定されるものではない。実際、当業者には、記載されているものに加えて、組成物、系、および方法の種々の修飾が上述の説明から明らかになるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【配列表】
2023551204000001.app
【国際調査報告】