(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-07
(54)【発明の名称】高い壁面せん断応力で液体媒体を分離するためのエレメント
(51)【国際特許分類】
B01D 63/06 20060101AFI20231130BHJP
B01D 69/10 20060101ALI20231130BHJP
B01D 69/12 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
B01D63/06
B01D69/10
B01D69/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530828
(86)(22)【出願日】2021-11-19
(85)【翻訳文提出日】2023-07-18
(86)【国際出願番号】 FR2021052038
(87)【国際公開番号】W WO2022106786
(87)【国際公開日】2022-05-27
(32)【優先日】2020-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512226871
【氏名又は名称】テクノロジ アバンセ エ メンブラン アンデュストリエレ
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】レコシュ, フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】アンクティーユ, ジェローム
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA03
4D006GA06
4D006GA07
4D006HA22
4D006JA14A
4D006JA15A
4D006JA18A
4D006JA19A
4D006JA56A
4D006JA67Z
4D006KA12
4D006KA63
4D006KE06R
4D006MA02
4D006MA09
4D006MA21
4D006MA31
4D006MA40
4D006MB16
4D006MB20
4D006MC03
4D006MC18
4D006MC39
4D006MC62
4D006MC63
4D006PB01
4D006PB02
4D006PB08
4D006PC11
(57)【要約】
本発明の主題は、分離エレメントであって、
- 一方の側で、第1の外側平坦表面(3)を有し、反対側で、第2の外側平坦表面(4)を有する無機一部片硬質多孔質支持体(2)と、
- 長方形断面をそれぞれ有するように多孔質支持体内に形成された、液体媒体用の少なくとも2つの循環ダクト(6)と、
- 1組の循環ダクトへの液体媒体の分配用の少なくとも1つの内部接続システム(10)と、1組の循環ダクトから来る残渣の収集用の少なくとも1つの内部接続システム(12)と、を含み、分配用の内部接続システム(10)、循環ダクト(6)、および収集用の内部接続システム(12)に、多孔質支持体の入口(11)と出口(13)との間に連続的に堆積された少なくとも1つの分離層が設けられ、
- エレメントがさらに、1つまたは複数の分離層を通過した透過液用の収集システム(7)を含む、
エレメントに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離対象の液体媒体を透過液と残渣とに分離するためのエレメントであって、
- 一方の側で、第1の外側平坦表面(3)を有し、反対側で、少なくとも1つの外側接続表面(5)によって前記第1の外側平坦表面に接続された第2の外側平坦表面(4)を有する無機一部片硬質多孔質支持体(2)と、
- 互いに平行な2つの長辺と互いに平行な2つの短辺とによって画定される長方形断面をそれぞれ有するように前記多孔質支持体内に形成された、前記液体媒体用の少なくとも1組の少なくとも2つの循環ダクト(6)と、
- 前記多孔質支持体に形成された入口(11)から1組の少なくとも2つの循環ダクトに前記液体媒体を分配するために前記多孔質支持体内に配置された、前記液体媒体の分配用の少なくとも1つの内部接続システム(10)と、前記1組の少なくとも2つの循環ダクトから来る前記残渣を、前記多孔質支持体に形成された出口(13)まで収集して送るために前記多孔質支持体内に配置された、前記残渣の収集用の少なくとも1つの内部接続システム(12)と、を含み、前記分配用の前記内部接続システム(10)、前記循環ダクト(6)、および前記収集用の前記内部接続システム(12)に、前記多孔質支持体の前記入口(11)と前記出口(13)との間に連続的に堆積された少なくとも1つの分離層が設けられ、それにより、前記入口と前記出口との間で前記多孔質支持体内を循環する前記液体媒体が、前記分離層とのみ接触し、前記多孔質支持体(2)が、材料および多孔質テクスチャの連続性を有し、機械的強度が、前記分離層と前記透過液の前記出口表面との間の少なくとも1バールの前記液体媒体の圧力差に関して前記多孔質支持体の破壊を防止することを可能にし、
- エレメントがさらに、前記1つまたは複数の分離層を通過した前記透過液用の収集システム(7)を含む、
エレメント。
【請求項2】
請求項1に記載の分離エレメントであって、前記多孔質支持体(2)が、前記1つまたは複数の分離層を通過した前記透過液の経路を前記多孔質材料の気孔が確保するように構成された積層造形法の実施によって得られる、分離エレメント。
【請求項3】
請求項1または2に記載のエレメントであって、前記多孔質支持体(2)を構成する前記材料が、少なくとも10MPaの最大許容曲げ応力を有する、エレメント。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のエレメントであって、前記循環ダクト(6)の前記長方形断面が2つの寸法を有し、前記寸法の一方が、他方の寸法の少なくとも4分の1である、エレメント。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の分離エレメントであって、いくつかの循環ダクト(6)が、前記多孔質支持体(2)内に互いに平行に形成される、分離エレメント。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の分離エレメントであって、少なくとも1つの循環ダクト(6)が、処理対象の前記流体の主循環方向に従いながら柔軟な形状を有する、分離エレメント。
【請求項7】
請求項6に記載の分離エレメントであって、少なくとも1つの循環ダクト(6)が、周期的な柔軟な形状を有する、分離エレメント。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の分離エレメントであって、各循環ダクト(6)が、前記分配用の前記内部接続システム(10)と前記収集用の前記内部接続システム(12)との間のその全範囲にわたって一定の断面積を有する、分離エレメント。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の分離エレメントであって、前記循環ダクト(6)が、前記多孔質支持体の少なくとも2つの外側平坦表面(3、4)に対して垂直または平行である2つの平行な面によって画定される、分離エレメント。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の分離エレメントであって、前記分配用の前記内部接続システム(10)および前記収集用の前記内部接続システム(12)が、外側平坦表面(3、4)または外側接続表面(5)に配置された1つまたは複数のオリフィス(16)またはノズル(15)を通して前記多孔質支持体(2)の外に開いている、分離エレメント。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の分離エレメントであって、前記分配用の前記内部接続システム(10)と前記収集用の前記内部接続システム(12)とが、前記循環ダクト(6)の両側に非対称的に配置されている、分離エレメント。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の分離エレメントであって、前記分配用の前記内部接続システム(10)と前記収集用の前記内部接続システム(12)とが、前記循環ダクト(6)の両側に対称的に配置されている、分離エレメント。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のエレメントであって、前記透過液用の前記収集システム(7)が、前記1つまたは複数の分離層を通過した前記透過液を収集するために前記多孔質支持体の内部に配置された空間を含む、エレメント。
【請求項14】
請求項13に記載の分離エレメントであって、前記透過液用の前記収集システム(7)が、前記透過液を収集するための1つまたは複数のオリフィス(8)またはノズル(9)を介して前記多孔質支持体の外に開いている、分離エレメント。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の分離エレメントであって、前記第1の外側平坦表面(3)、前記第2の外側平坦表面(4)、および前記外側接続表面(5)が封止されている、分離エレメント。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載のエレメントであって、前記透過液用の前記収集システム(7)が、前記多孔質支持体の少なくとも1つの外側平坦表面(3、4)で凹んでおり、前記1つまたは複数の分離層を通過した前記透過液を収集し、凹んでいない前記外側平坦表面の残りの部分が封止される、エレメント。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載の分離エレメントであって、前記多孔質支持体(2)が、前記分配用の前記内部接続システム(10)の前記入口(11)および前記収集用の前記内部接続システム(12)の前記出口(13)を画定する、外側で封止されたノズル(15)を含む、分離エレメント。
【請求項18】
請求項17に記載の分離エレメントであって、前記ノズル(15)が、前記液体媒体の前記主循環方向に対する角度が0°~90°の方向に沿って延びる、分離エレメント。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載の少なくとも1つの分離エレメント(1)を含む分離ユニットであって、一方では処理対象の前記液体媒体の流入と前記残渣の流出、他方では前記透過液の収集を保証するために接続部(21M、21R、21P)を備える装置(20)に取り付けられる分離ユニット。
【請求項20】
請求項1から18のいずれか一項に記載の少なくとも1つの分離エレメント(1)を含む分離ユニットであって、前記分離エレメント(1)の前記ノズル(15)が、処理対象の前記液体媒体の前記分配用の前記内部接続システム(10)の前記入口、および前記残渣の前記収集用の前記内部接続システム(12)の前記出口を画定し、前記透過液を収集するための前記1つまたは複数のノズル(9)が、前記ノズルに封止されて固定された接続部を備える、分離ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に濾過膜と呼ばれる、接線方向の流れによって処理対象の液体媒体を濾液または透過液と残渣とに分離するためのエレメントの技術分野に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、濾液の流れを増加させる、および/またはこれらの分離エレメントを実装する設備のエネルギー消費を低減することを可能にする、これらの分離エレメントの新規の幾何学形状に関する。
【背景技術】
【0003】
膜を使用する分離方法は、多くの分野、特に飲料水の製造および工業廃水の処理に関する環境分野、化学、石油化学、製薬、食品産業分野、およびバイオテクノロジー分野で使用されている。
【0004】
膜は、移動力の作用下で、処理対象の流体媒体の特定の成分の通過または遮断を可能にする選択的障壁を構成する。成分の通過または遮断は、フィルタのように機能する膜の細孔のサイズと比べた成分のサイズに起因する。孔径に応じて、これらの技法は、精密濾過、限外濾過、またはナノ濾過と呼ばれる。
【0005】
異なる構造およびテクスチャの膜が存在する。膜は、一般に、膜の機械的強度を提供する多孔質支持体で構成され、処理対象の液体媒体用の循環ダクトの数および形態を定義し、膜の総濾過表面積を決定する。実際、これらの循環ダクトの内壁で、分離層(separating layer)、濾過層、分離層(separation layer)、活性層、またはスキンと呼ばれる層が分離を保証している。分離中、濾過された液体媒体の移動が分離層を通して生じ、次いでこの液体が支持体の多孔質テクスチャ内に広がり、多孔質支持体の外周面に向かって移動する。分離層および多孔質支持体を通過した処理対象の液体のこの部分は、透過液または濾液と呼ばれ、収集システムによって回収される。他方の部分は残渣と呼ばれ、多くの場合、循環ループにより、膜の上流で処理対象の液体に再注入される。
【0006】
分離層を通る濾液の移動に相反する主な現象は、濃度分極、堆積、または細孔の閉塞に起因する詰まりの発生である。濾過操作を実施するために使用される濾過層の性質に関係なく、および処理対象の液体媒体の性質に関係なく、濾過操作の開始時から常に透過流量の低下が発生し、これは、分離層の上記詰まりの結果であり、時として非常に大幅でありかつ急速であり得る。
【0007】
濃度分極の現象は、濾過操作中に、処理対象の液体媒体中に存在する高分子が膜/溶液界面に集中し、そこでそれらの高分子が分離力に反する逆浸透圧を及ぼす、またはフィックの法則に従って処理対象の液体媒体の中心へ逆拡散するときに作用する。濃度分極の現象は、溶媒の透過により膜の近傍に保持された化合物の蓄積により生じる。
【0008】
膜の表面での粒子の濃度が増加し、ゲルまたは凝集堆積物の形での凝縮相の出現を引き起こすとき、ダイヤフラムの抵抗に加えて水圧抵抗が生じる。細孔の閉塞は、細孔のサイズ以下のサイズの粒子が侵入するときに発生し、これは、濾過表面の減少につながる。
【0009】
詰まり、その可逆性または不可逆性は、濾過エレメント、ならびに特に分離層、処理対象の液体、および操作パラメータに依存する複雑な現象である。
【0010】
詰まりは、濾過設備のサイズ設計時に、一方では、処理すべき体積要件を満たすために設置表面を増加させることになり、他方では、洗剤を使用した洗浄サイクルや定期的な逆濾過など、事後的に克服するために特定の技術手段の実施を必要とするので、濾過の経済的魅力に対する大きな障害となる。
【0011】
物質の上記蓄積を排除、制限、または遅延するために、濾過層の表面に対して接線方向での処理対象の流体の連続的な流速の良好な効果が広く研究され、従来技術で述べられている。
【0012】
したがって、実際、液体の接線方向濾過の現在の関心は、濾過層の詰まりの大きさおよび動力学に作用する速度および圧力の条件下で処理対象の液体媒体(残渣)を循環ダクト内で制御下で連続的に循環させることにあり、すなわち、詰まりを遅らせる壁面せん断応力τpを生成する残渣の移動速度、したがって濾過層およびその支持体の気孔内での濾液(透過液)の流量の増加にある。
【0013】
速度が速いほど、壁面応力τpの値は大きくなり、詰まりが軽減または遅延される。しかし、欠点は、この「速度効果」が、一方では、一般にそれに反して作用する出力の増加を必要とし、他方では、異なる断面の循環ダクトを比較することを可能にしないことである。
【0014】
壁面せん断応力τp自体の値を得ることで、異なる断面の循環ダクトを比較することが可能になる。まず、H. Barnier “Colmatage de membranes minerales d’ultrafiltration ou de microfiltration dans les bio-industries”, Membranes and Bio-industries Study Days, Paris (France), (1993)、次いで、G. Gesan-Guiziou, G. Daufin, E. Boyaval, O. Le Berre, “Wall shear stress: effective parameter for the characterisation of the cross-flow transport in turbulent regime during skimmed milk microfiltration”, Milk, 79, 347-354, (1999)において、壁面応力は、処理対象の流体が同じである場合、それらの性能を比較することを可能にする唯一のパラメータであると考えられている。
【0015】
壁面せん断応力は、膜表面エレメント上の膜の表面に接線方向に流れる流体によって加えられる力を表す。
【0016】
これは、ある圧力での均質な量であり、その単位はパスカル(Pa)またはN・m
-2である。これは、以下の関係で経験的に決定することができる。
【数1】
ここで、dは水力直径、Lは循環ダクトの長さである。
【0017】
これは、以下の関係に従って、圧損Δp、ダルシー摩擦係数f
D(無次元数)、およびレイノルズ数Reによって液体媒体の性質(その粘度)に依存する。
【数2】
【0018】
【数3】
とする。ここで、円形断面を有し、層流領域にある循環ダクトの場合、f
Dは、f
D=64/Reとなり、係数64は、円形断面を有する循環ダクトの特性である。
【0019】
Yunus A. CengelおよびJohn M. Cimbala著“Mecanique des Fluides, Fondements et Applications” Copyright 2017 by De Boeck Superieur (A. Chagnes, S. Griveau, V. LairおよびA. Ringuedeによる翻訳)には、この係数が、処理対象の流体の循環ダクトの断面幾何学形状に応じて変化することが示されている。この研究から、同一のレイノルズ数において、強く平坦化された長方形断面を有する循環ダクトに関して、円形断面を有する循環ダクトの摩擦係数よりも摩擦係数が高くなることが明らかである。
【0020】
これらの条件下で、他のすべての条件が等しい場合、そのような循環ダクトでの壁面せん断応力τpは、円形または正方形断面を有する循環ダクトでの壁面せん断応力よりも大きく、したがって、より効果的な詰まり解消および透過流束の利得を可能にする。
【0021】
従来技術では、長方形断面の循環ダクトを備えた濾過膜の様々な実施形態が提案されている。例えば、仏国特許第2696653号には、スラスト・プレートと対向スラスト・プレートとの間に挿間された硬質多孔質構造を含む濾過ユニットが記載されている。硬質多孔質構造は主平坦面を有し、主平坦面は、これらの主面とスラスト・プレートおよび対向スラスト・プレートとの間を流れる処理対象の液体媒体と接触する分離層によって覆われる。この解決策は、スラスト・プレートおよび対向スラスト・プレートの実装を必要とする。
【発明の概要】
【0022】
本発明の主題は、製造が容易でありながら濾液の流れを増加させることを目的として、効果的な詰まり解消を保証するように適合された幾何学的形状を有する新規の硬質濾過エレメントを提供することを提案する。
【0023】
そのような目的を達成するために、本発明の主題は、分離対象の液体媒体を透過液と残渣とに分離するためのエレメントであって、
- 一方の側で、第1の外側平坦表面を有し、反対側で、少なくとも1つの外側接続表面によって第1の外側平坦表面に接続された第2の外側平坦表面を有する無機一部片硬質多孔質支持体と、
- 長方形断面をそれぞれ有するように多孔質支持体内に形成された、液体媒体用の少なくとも2つの循環ダクトと、
- 多孔質支持体に形成された入口から1組の循環ダクトに液体媒体を分配するために多孔質支持体内に配置された、液体媒体の分配用の少なくとも1つの内部接続システムと、多孔質支持体に形成された出口まで収集して送るために多孔質支持体内に配置された、1組の循環ダクトから来る残渣の収集用の少なくとも1つの内部接続システムと、を含み、分配用の内部接続システム、循環ダクト、および収集用の内部接続システムに、多孔質支持体の入口と出口との間に連続的に堆積された少なくとも1つの分離層が設けられ、それにより、入口と出口との間で多孔質支持体内を循環する液体媒体が、分離層とのみ接触し、多孔質支持体が、材料および多孔質テクスチャの連続性を有し、機械的強度が、分離層と透過液の出口表面との間の少なくとも1バールの液体媒体の圧力差に関して多孔質支持体の破壊を防止することを可能にし、
- エレメントがさらに、1つまたは複数の分離層を通過した透過液用の収集システムを含む、
エレメントに関する。
【0024】
有利には、多孔質支持体が、1つまたは複数の分離層を通過した透過液の経路を多孔質材料の気孔が確保するように適合された積層造形法の実施によって得られる。
【0025】
典型的には、多孔質支持体の構成材料は、少なくとも10MPaの最大許容曲げ応力を有する。
【0026】
有利な実施形態の特徴によれば、循環ダクトの長方形断面が2つの寸法を有し、それらの寸法の一方が、他方の寸法の少なくとも4分の1である。
【0027】
例えば、いくつかの循環ダクトが、多孔質支持体内に互いに平行に形成される。
【0028】
別の例によれば、少なくとも1つの循環ダクトが、処理対象の流体の主循環方向に従いながら柔軟な形状を有する。
【0029】
例えば、少なくとも1つの循環ダクトが、周期的な柔軟な形状を有する。
【0030】
一実施形態によれば、各循環ダクトが、分配用の内部接続システムと収集用の内部接続システムとの間の全範囲にわたって一定の断面積を有する。
【0031】
例示的実施形態によれば、循環ダクトが、多孔質支持体の少なくとも2つの外側平坦表面に対して垂直または平行である2つの平行な面によって画定される。
【0032】
変形実施形態によれば、分配用の内部接続システムおよび収集用の内部接続システムが、外側平坦表面または外側接続表面に配置された1つまたは複数のオリフィスまたはノズルを通して多孔質支持体の外に開いている。
【0033】
例えば、分配用の内部接続システムと収集用の内部接続システムとは、循環ダクトの両側に非対称的に配置されている。
【0034】
別の例によれば、分配用の内部接続システムと収集用の内部接続システムとが、循環ダクトの両側に対称的に配置されている。
【0035】
一実施形態の特徴によれば、透過液用の収集システムが、1つまたは複数の分離層を通過した透過液を収集するために多孔質支持体の内部に配置された空間を含む。
【0036】
典型的には、透過液用の収集システムが、透過液を収集するための1つまたは複数のオリフィスまたはノズルを介して多孔質支持体の外に開いている。
【0037】
第1の外側平坦表面、第2の外側平坦表面、および外側接続表面が封止されている。
【0038】
一実施形態の特徴によれば、透過液用の収集システムが、多孔質支持体の少なくとも1つの外側平坦表面で凹んでおり、1つまたは複数の分離層を通過した透過液を収集し、凹んでいない外側平坦表面の残りの部分が封止される。
【0039】
例えば、多孔質支持体が、分配用の内部接続システムの入口および収集用の内部接続システムの出口を画定する、外側で封止されたノズルを含む。
【0040】
ノズルが、液体媒体の主循環方向に対する角度が0°~90°の方向に沿って延びる。
【0041】
本発明の別の主題は、一方では処理対象の液体媒体の流入と残渣の流出、他方では透過液の収集を保証するために接続部を備える装置に取り付けられた少なくとも1つの分離エレメントを含む分離ユニットであって、分離エレメントのノズルが、処理対象の液体媒体の分配用の内部接続システムの入口、および残渣の収集用の内部接続システムの出口を画定し、透過液収集ノズルが、ノズルに封止されて固定された接続部を備える、分離ユニットを提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本発明の主題の全般的な原理を示す、
図2の切断線B-Bに実質的に沿って取られた、分離エレメントの長手方向断面の概略図である。
【
図2】
図1の切断線A-Aに実質的に沿って取られた、分離エレメントの断面図である。
【
図3】接続ノズルを備える形態に関する本発明による分離エレメントの第1の例示的実施形態を示す斜視図である。
【
図4】
図3のIV-IV線に沿って取られた断面図である。
【
図5】
図4のV-V線に沿って取られた長手方向断面図である。
【
図6】接続ノズルを備える形態に関する本発明による分離エレメントの別の例示的実施形態を示す斜視図である。
【
図7】
図6のVII-VII線に沿って取られた平面断面図である。
【
図8】
図7のVIII-VIII線に沿って取られた平面断面図である。
【
図9】
図8のIX-IX線に沿って取られた断面図である。
【
図10】
図6のX-X線に沿って取られた長手方向断面図である。
【
図11】本発明による分離エレメントの接続ノズルに関する別の例示的実施形態を示す、
図6と同様の斜視図である。
【
図12】
図6に示される例示的実施形態と同一の設計を有するが、液体媒体用の入口と出口とが非対称的に形成された、本発明による分離エレメントの別の例示的実施形態を示す斜視図である。
【
図13】ねじ切りされた接続端部を備えた別の例示的実施形態を示す、
図12と同様の斜視図である。
【
図13A】
図13のA-A線に実質的に沿って取られた長手方向断面を有する斜視図である。
【
図13B】
図13のB-B線に実質的に沿って取られた長手方向断面図である。
【
図13D】
図13のD-D線に実質的に沿って取られた平面断面図である。
【
図14】液体媒体用の循環ダクトが外側平坦表面に垂直に配置された、直方体形状に形成された、接続オリフィスを備える形態に関する本発明による分離エレメントの別の例示的実施形態を示す斜視図である。
【
図15】
図14のXV-XV線に沿って取られた平面断面図である。
【
図16】
図14のXVI-XVI線に沿って取られた断面図である。
【
図17】
図16のXVII-XVII線に沿って取られた断面図である。
【
図18】
図14のXVIII-XVIII線に沿って取られた長手方向断面図である。
【
図19】直方体形状に形成され、多孔質支持体の表面でのみ透過液を回収するためのシステムを含む、接続オリフィスを備える形態に関する本発明による分離エレメントの別の例示的実施形態を示す斜視図である。
【
図20】
図19のXX-XX線に沿って取られた平面断面図である。
【
図21】
図19のXXI-XXI線に沿って取られた断面図である。
【
図22】
図19のXXII-XXII線に沿って取られた長手方向断面図である。
【
図23】
図22と同様であり、液体媒体用の循環ダクトが2つの重なり合った列として配置された、変形実施形態の長手方向断面図である。
【
図24】
図23に示される変形実施形態の循環ダクトおよび透過液回収システムを反転して示す図である。
【
図25】液体媒体用の循環ダクトが外側平坦表面に平行に配置された、直方体形状に形成された、接続オリフィスを備える形態に関する本発明による分離エレメントの別の例示的実施形態を示す斜視図である。
【
図26】
図25のXXVI-XXVI線に沿って取られた断面図である。
【
図27】
図25のXXVII-XXVII線に沿って取られた長手方向断面図である。
【
図28】
図25のXXVIII-XXVIII線に沿って取られた断面図である。
【
図29】
図25のXXIX-XXIX線に沿って取られた平面断面図である。
【
図30】接続オリフィスを備える形態に関する、
図14~
図29に示される変形形態のうちの1つによる分離エレメントを接続するための接続部を備えた商用装置の例示的実施形態の斜視図である。
【
図31】
図30に示される装置の例示的実施形態の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の主題は、透過液または濾液Pと残渣Rとに分離される液体媒体Mの接線方向の流れによる、分離エレメント1に関する。この処理対象の液体媒体は、任意の性質のものでよい。わかりやすくするために詳細をすべては示さずに本発明の特徴を全般的に示す
図1および
図2によれば、分離エレメント1は、一方の側に第1の外側平坦表面3を有し、反対側に、少なくとも1つの接続表面5によって第1の外側平坦表面に接続された第2の外側平坦表面4を有する、無機一部片硬質多孔質支持体2を含む。処理対象の液体媒体のための少なくとも2つの循環ダクト6が多孔質支持体2内に形成され、それらの内面に少なくとも1つの分離層が設けられている。
【0044】
硬質多孔質支持体2が、対向してまたは互いに面して位置された第1の外側平坦表面3と第2の外側平坦表面4とを有するとすれば、分離エレメント1は、最適化された幾何学形状を有する。
図1および
図2に示される例では、第1の外側平坦表面3と第2の外側平坦表面4とは互いに平行ではないことに留意されたい。
図3以降の図に示される好ましい変形実施形態によれば、第1の外側平坦表面3と第2の外側平坦表面4とは互いに平行であり、分離エレメント1を互いに積み重ねることができる可能性を提供する。これら2つの外側平坦表面3、4間の接続表面5は、1つまたは複数の接続面を画定することによって、任意の適切な様式で、例えば曲面によって、または外側平坦表面3、4に垂直な平坦表面によって生成することができる。この接続表面5は、例えば、
図3~
図11に示されるように互いに平行な2つの接続面を画定することができ、または
図14以降の図に示されるように、多孔質支持体2が直方体形状を有するように互いに平行な2×2の4つの接続面を画定することができる。
【0045】
そのような分離エレメント1において、多孔質支持体2を構成する本体は、多孔質テクスチャを有する。この多孔質テクスチャは、平均細孔直径によって特徴付けられる。平均細孔直径は、体積分布の値d50を意味し、総細孔体積の50%が、このd50よりも小さい直径を有する細孔の体積に対応することを想起されたい。体積分布は、細孔体積の頻度をそれらの直径の関数として表す曲線(解析関数)である。d50は、水銀圧入によって得られた頻度曲線の下に位置する領域を2つの等しい部分に分割した中央値に対応する。特に、水銀圧入による測定技法に関しては、規格ISO15901-1:2005に記載されている技法を使用することができる。
【0046】
考慮中の材料に存在する相互連結された空隙(細孔)の総体積に対応する、多孔質支持体の気孔率は、上記多孔質体の流動および保持能力を条件付ける物理量である。材料を濾過に使用するには、相互連結された総開気孔率が、支持体を通る濾液の満足な流れのために少なくとも10%でなければならず、多孔質支持体の適切な機械的強度を保証するために最大でも60%でなければならない。
【0047】
多孔質支持体の気孔率は、液体(水または他の溶媒)中に長時間置く前と後で上記材料を秤量することによって、上記多孔質体に含まれる上記液体の体積を決定することによって測定することができる。考慮中の材料と使用される液体とのそれぞれの密度がわかっていれば、体積に換算された質量差が、細孔の体積、したがって多孔質支持体の総開気孔率を直接表す。
【0048】
以下のものを含む他の技法によっても、多孔質支持体の総開気孔率を正確に測定することが可能である。
- 水銀圧入ポロシメトリ(前述のISO15901-1規格):水銀が、圧力下で注入されて、加えられた圧力において到達可能な細孔を充填し、注入された水銀の体積が細孔の体積に対応する。
- 小角散乱:中性子線またはX線を使用するこの技法は、試料全体にわたって平均化された物理量を得られるようにする。測定は、試料によって散乱された強度の角度分布を分析することからなる。
- 顕微鏡によって得られた2D画像の分析。
- X線断層撮影によって得られた3D画像の分析。
【0049】
多孔質支持体2は、0.5μm~50μmの範囲内の平均細孔直径を有する。多孔質支持体2の気孔率は、10~60%の間、好ましくは20~50%の間である。
【0050】
多孔質支持体2の気孔は開放型であり、すなわち3次元で相互連結された細孔のアレイを形成し、これにより、1つまたは複数の分離層によって濾過された流体が、多孔質支持体2の全体または一部を通過して、1つまたは複数の分離層を通過した透過液P用の収集システム7に流れることが可能になる。本明細書の残りの部分で詳細に述べるように、透過液P用の収集システム7は、多孔質支持体2内に、または
図1~
図5に示されるように多孔質支持体2の外に配置される。透過液P用の収集システム7が多孔質支持体2内に配置される場合、収集システム7は、外部透過液回収回路と連通する透過液を収集するための1つまたは複数のオリフィス8またはノズル9を介して多孔質支持体2の外に開く。そのような外部透過液回収回路は、任意の適切な様式で形成することができ、特に、例えば収集システム7がオリフィス8を通して多孔質支持体2の外に開くときには
図30および
図31で述べるような接続部を備えた装置を含み、または、収集システム7がノズル9を通して多孔質支持体2の外に開くときにはノズル9に封止されて固定されることが意図された接続部を備えたパイプを含む。
【0051】
多孔質支持体の水圧耐性を評価するためには、多孔質支持体2の透水性を測定することが通例である。実際、多孔質媒体では、非圧縮性粘性流体の定常流はダルシーの法則に支配される。気孔内での流体(透過液)の速度は、例えばフランス規格NF X 45-101(1996年12月)に従って測定することができる透過性と呼ばれる特性パラメータにより、圧力勾配に比例し、流体の動粘度に反比例する。
【0052】
従来、本発明の文脈で使用される1つまたは複数の分離層は、処理対象の液体媒体の濾過を保証する。濾過分離層は、定義上、多孔質支持体の平均細孔直径よりも小さい平均細孔直径を有さなければならない。分離層は、接線方向の流れ分離エレメントの表面を画定し、流れ分離エレメントは、処理対象の液体媒体と接触するように意図され、そこに沿って処理対象の液体媒体が循環する。
【0053】
濾過分離層の厚さは、典型的には厚さ1μm~100μmの間である。当然、分離層は、その分離機能を保証して活性層として機能するために、多孔質支持体の平均細孔直径よりも小さい平均細孔直径を有する。ほとんどの場合、濾過分離層の平均細孔直径は、多孔質支持体の平均細孔直径と比べて少なくとも3分の1以下、好ましくは少なくとも5分の1以下である。
【0054】
精密濾過、限外濾過、およびナノ濾過分離層の概念は、当業者によく知られている。一般に、以下のことが受け入れられる。
- 精密濾過分離層は、0.1μm~10μmの間の平均細孔直径を有する。
- 限外濾過分離層は、10nm~0.1μmの間の平均細孔直径を有する。
- ナノ濾過分離層は、0.5nm~10nmの間の平均細孔直径を有する。
【0055】
活性層と呼ばれるこの精密または限外濾過層は、多孔質支持体上に直接堆積することが可能であり、または、より小さい平均細孔直径の中間層の上に堆積することも可能であり、中間層自体が多孔質支持体上に直接堆積されることも可能である。
【0056】
分離層は、例えば、酸化物、窒化物、炭化物から選択されるセラミック、または他のセラミック材料、およびそれらの混合物、ならびに、特に、任意選択で別のセラミック材料と混合された酸化チタン、アルミナ、ジルコニア、またはそれらの混合物、窒化チタン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素からなることがある。
【0057】
分離層は、例えば、PAN、PS、PSS、PES、PVDF、酢酸セルロース、または他のポリマーなど1つまたは複数のポリマーからなることもある。
【0058】
本発明の1つの特徴によれば、分離エレメント1は、処理対象の液体媒体の分配用の少なくとも1つの内部接続システム10を含み、これは、多孔質支持体2内に配置されて、処理対象の液体媒体を、多孔質支持体2に形成された少なくとも1つの入口11から1組の循環ダクト6に分配する。分離エレメント1は、処理済みの液体媒体の収集用の少なくとも1つの内部接続システム12も含み、これは、多孔質支持体2内に配置されて、1組の循環ダクト2から来る処理済みの液体媒体を収集して、多孔質支持体2に形成された少なくとも1つの出口13に送る。分配用の内部接続システム10、1組の循環ダクト6、および収集用の内部接続システム12は、液体媒体の循環のための空いた空間によって、すなわちいかなる多孔質材料をも含まない多孔質支持体2の領域によって形成されることを理解されたい。
【0059】
分配用の内部接続システム10は、多孔質支持体2に形成された液体媒体M用の入口11から1組の循環ダクト6に液体媒体を分配するように配置される。典型的には、この分配用の内部接続システム10は、入口11から、循環ダクト6と同数の分配チャネルを含むように多孔質支持体によって形成された二又部または交差部10bに開く共通の入口セグメント10eを含む。以下の説明で詳細に述べるように、分配用の内部接続システム10は、その入口11を通して、外側平坦表面3、4または外側接続表面5に形成された1つまたは複数のノズル15またはオリフィス16によって多孔質支持体10の外に開いている。処理対象の液体媒体用の入口11は、任意の適切な様式で製造することができる外部循環回路と連通する。この外部循環回路は、特に、例えば、分配用の内部接続システム10がオリフィス16を通して多孔質支持体2の外に開くときには例えば
図30および
図31で述べるような接続部を備えた装置を含み、または分配用の内部接続システム10がノズル15を通して多孔質支持体2の外に通ずるときにはノズル15に封止されて固定されることが意図された接続部を備えたパイプを含む。
【0060】
同様に、収集用の内部接続システム12も多孔質支持体2内に配置され、液体媒体を液体ダクトから回収し、多孔質支持体2に配置された出口13に液体媒体を搬送し、残渣Rの排出を保証する。典型的には、収集用の内部接続システム12は、出口13から、循環ダクト6と同数の収集経路を含むように多孔質支持体によって形成された分岐部または交差部12eに開く共通の出口セグメント12sを含む。以下の記載で詳細に説明するように、収集用の内部接続システム12は、出口13を通して、外側平坦表面3、4または外側接続表面5に配置された1つまたは複数のノズル15またはオリフィス16によって多孔質支持体2の外に開いている。残渣用の出口13は、任意の適切な様式で製造することができる外部循環回路と連通する。この外部循環回路は、特に、例えば、収集用の内部接続システム12がオリフィス16を通して多孔質支持体2の外に開くときには例えば
図30および
図31で述べるような接続部を備えた装置を含み、または、収集用の内部接続システム12がノズル15を通して多孔質支持体2の外に開くときにはノズル15に封止されて固定されることが意図された接続部を備えたパイプを含む。
【0061】
図1および
図2に示される例では、分配用の内部接続システム10と収集用の内部接続システム12とは、循環ダクト6の両側に非対称的に配置されている。分配用の内部接続システム10と収集用の内部接続システム12とは、
図3以降の図に示される例におけるように、循環ダクト6の両側に対称的に配置することもできることに留意されたい。
【0062】
図1および
図2に示される例では、分離エレメント1は、一方の側で分配用の内部接続システム10を介して入口11と連通し、反対側で収集用の内部接続システム12を介して出口13と連通する2つの循環ダクト6を含む。当然、様々な変形実施形態で詳細に述べるように、分離エレメント1は、入口11と出口13との間に、1組の3つ以上の循環ダクト6を含むこともある。同様に、分離エレメント1は、いくつかの入口11およびいくつかの出口13、ならびにそれぞれが入口11および出口13と連通する複数組の循環ダクト6を含むこともできる。
【0063】
本発明の有利な特徴によれば、処理対象の液体媒体の分配用の内部接続システム10、循環ダクト6、および処理済みの液体媒体の収集用の内部接続システム12には、多孔質支持体2の入口11と出口13との間に連続的に堆積された少なくとも1つの分離層が設けられ、入口11と出口13との間で多孔質支持体2内を循環する液体媒体が上記分離層とのみ接触する。言い換えると、分配用の内部接続システム10、循環ダクト6、および収集用の内部接続システム12の内面に、少なくとも1つの分離層が設けられる。したがって、液体媒体は、分離層とのみ接触しながら多孔質支持体2内を循環することになる。
【0064】
本発明の主題の特徴によれば、処理対象の液体媒体用の循環ダクト6は多孔質支持体2内に形成され、それぞれ、長さaの互いに平行な2つの長辺と幅bの互いに平行な2つの短辺とによって画定される長方形断面を有する。循環ダクト6の長方形断面は、処理対象の液体の流れ線に垂直に取られる。
図1から明らかなように、循環ダクト6の長方形断面の辺は必ずしも直線である必要はないことに留意されたい。しかし、好ましい変形実施形態によれば、循環ダクト6の長方形断面のすべての辺が直線である。有利には、循環ダクト6の長方形断面は、循環ダクト6の全長に沿って一定であり、または分配用の内部接続システム10と収集用の内部接続システム12との間の距離にわたって拡大される。
【0065】
有利な実施形態の特徴によれば、寸法の一方、すなわち長方形断面の短辺の幅bは、他方の寸法、すなわち循環ダクト6の長方形断面の長辺の長さaの少なくとも4分の1である。例えば、長方形断面の短辺の幅bは、循環ダクト6の長方形断面の長辺の長さaの4分の1~80分の1である。
【0066】
以下の説明では、本発明による分離エレメント1の様々な変形実施形態を非限定的な例として示し、その全般的な原理を
図1および
図2に関連して述べる。
図1および
図2に関連して述べる本発明のすべての特徴は、これらの特徴がそれぞれ詳細に述べられてないとしても、これらの様々な実施形態によって実現される。
【0067】
図1および
図2に示される例によれば、循環ダクト6は、多孔質支持体2内に形成されるが、互いに平行ではない。
図3以降の図に示される実施形態によれば、循環ダクト6は、多孔質支持体2内に互いに平行に形成される。
図3~
図13および
図25~
図29に示される例では、循環ダクト6は、多孔質支持体2の2つの外側平坦表面3、4に平行な2つの平行な平坦面によって画定され、
図14~
図24の例では、循環ダクト6の2つの平行な平坦面は、多孔質支持体2の2つの外側平坦表面3、4に垂直であることに留意されたい。
【0068】
図示されていない例示的実施形態によれば、多孔質支持体2は、処理対象の流体の主循環方向に従いながら柔軟な体積を有する少なくとも1つの循環ダクト6を含むことができることに留意されたい。屈曲体積は、平坦生成セクションの曲線軌道に沿って基準軸の周りでの変位によって画定され、この基準軸は、上記生成セクションを通過せず、多孔質支持体の体積に含まれる。少なくとも1つの循環ダクトは、周期的な屈曲形状を有する。
【0069】
図3~
図5は、液体媒体用の外部循環回路に接続されることが意図されるノズル15を備えた略長方形の平坦なブロックの形状に形成された分離エレメント1の例示的実施形態を示す。この分離エレメント1は、第1の外側平坦表面3と第2の外側平坦表面4とを含む多孔質支持体2を含み、外側平坦表面3、4は互いに平行であり、互いに面して位置され、接続表面5によって相互接続され、接続表面5は、互いに平行な2つの接続面と、多孔質支持体2の2つの対向端部それぞれにある2つのノズル15とを形成するように構成される。ノズル15は、処理対象の流体の流れの主方向に対する角度が0°の方向に延びる。当然、ノズル15は、液体媒体の主循環方向に対する角度が0°~90°の方向など、異なる方向に延びることもできる。
【0070】
2つの循環ダクト6は、多孔質支持体2内に互いに平行にかつ互いに対向して形成され、それぞれ、幅が長さの少なくとも4分の1である長方形断面を有する。これら2つの循環ダクト10は、外側平坦表面3、4に平行である。これらの循環ダクト6は、一方の側が、多孔質支持体2内に配置された分配用の内部接続システム10に接続され、他方の側が、多孔質支持体2内に配置された収集用の内部接続システム12に接続される。分配用の内部接続システム10は、入口11が形成されたノズル15を通して多孔質支持体2の外に開き、収集用の内部接続システム12は、出口13が形成された他のノズル15を通して多孔質支持体2の外に開く。この例によれば、透過液P用の収集システム7は多孔質支持体2内に配置されず、透過液は、外側平坦表面3、4および接続表面5で収集される。また、多孔質支持体2の外に位置する収集システム7は、容器として、多孔質支持体2の外面から出る透過液を回収するための任意の適切なシステムによって形成される。
【0071】
図6~
図10は、液体媒体用の外部循環回路に接続されることが意図されたノズル15と、外部透過液収集回路に接続されることが意図されたノズル9とを備えた、略長方形の平坦なブロックの形状で形成された分離エレメント1の別の例示的実施形態を示し、透過液用の収集システム7が多孔質支持体2内に配置されている。この分離エレメント1は、互いに平行な2つの接続面5lを形成するように配置された接続表面5によって相互接続されることにより、互いに平行であり互いに対向する第1の外側平坦表面3と第2の外側平坦表面4とを含む多孔質支持体2を含む。これらの2つの接続面5lは、それらの各端部で接続面5によって相互接続され、接続面5は、一端に、液体媒体用の入口11を画定するノズル15および透過液収集ノズル9を形成し、他端に、残渣Rの出口13用のノズル15および別の透過液収集ノズル9を形成するように構成される。図面に示されているように、流体媒体および残渣用の2つのノズル15は、分離エレメント1の長手方向軸に沿って位置合わせされ、一方、透過液収集ノズル9は、流体媒体および残渣用のノズル15の両側に対称的に配置されている。さらに、ノズル9、15は、処理対象の流体の主循環方向に対する角度が0°の方向に延びているが、液体媒体の主循環方向に対する角度が0°~90°の方向など、ノズル9、15が異なる方向に沿って延びることもできることは明らかである。
【0072】
2つの循環ダクト6は、多孔質支持体2内に互いに平行に形成されており、それぞれ、幅が長さの実質的に30分の1である長方形断面を有する。これら2つの循環ダクト6は、外側平坦表面3、4に平行である。これらの循環ダクト6は、一方の側が分配用の内部接続システム10に接続され、他方の側が収集用の内部接続システム12に接続される。
【0073】
分配用の内部接続システム10は、ノズル15内に配置され、入口11を通してノズル15の端部で多孔質支持体2の外に開く管状導管によって形成された共通の入口セグメント10eを含む(
図10)。共通の入口セグメント10eは、入口11とは反対側で、多孔質支持体内に形成された二又部10bを介して2つの循環ダクト6と連通する。同様に、収集用の内部接続システム12は、ノズル15内に配置された、出口13を通してノズルの端部で多孔質支持体2の外に開く管状導管によって形成された共通の出口セグメント12sを含む。共通の出口セグメント12sは、出口13とは反対側で、多孔質支持体2内に配置された分岐部12eを介して2つの循環ダクト6と連通する。
【0074】
この例示的実施形態によれば、分配用の内部接続システム10と収集用の内部接続システム12とは、循環ダクト6の両側に対称的に配置され、ノズル15は、多孔質支持体2の中央を通過する長手方向軸の中心にある。当然、上に示したように、分配用の内部接続システム10の内面、循環ダクト6の内面、および収集用の内部接続システム12の内面には、少なくとも1つの分離層が設けられる。
【0075】
この例示的実施形態によれば、透過液P用の収集システム7は多孔質支持体2内に配置され、外側平坦表面3、4および接続表面5は封止される。当然、入口11および出口13を画定するノズル15、ならびに接続表面5によって形成される2つの透過液収集ノズル9も外側で封止される。
図8および
図9においてより正確に示されているように、収集システム7は、同じ平面に従って互いに平行に、2つの循環ダクト6の間で支持体2内に配置された8つのチャネル7aのアレイを含み、1つまたは複数の分離層および支持体2を通過した透過液Pを回収する。チャネル7aは、長手方向隔壁2aによって互いに分離され、隔壁2bによって循環ダクト6から分離される。これらのチャネル7aは、ノズル9の端部で多孔質支持体2の外に開くようにノズル9内に配置された導管7dによって延びる収集チャネル7cによって各端部で互いに連通している。図面から明らかなように、透過液P用の第1の出口ノズル9は、液体媒体用の入口11を画定するノズル15と平行に配置され、透過液P用の第2の出口ノズル9は、液体媒体用の出口13を画定するノズル15と平行に配置される。
【0076】
図6~
図10のこの例によれば、それぞれ外部透過液回収回路と液体媒体供給および残渣出口回路とへの接続用のノズル9、15は、溝付き管状タイプのものである。当然、接続ノズル9、15は、異なるタイプの接続システムを有するように構成することもできる。
図11は、
図6~
図10に例示される例と同一の分離エレメント1の例示的実施形態を示し、相違点は、ノズル9、15が滑らかであることである。図示されていない別の実施形態によれば、ノズル9、15はねじ切りすることもできる。
【0077】
図12および
図13、
図13A~
図13Dは、
図6~
図10に示される例と同一の設計を有する分離エレメント1の別の例示的実施形態を示し、相違点は、処理対象の液体媒体の分配用の内部接続システム10と処理済みの液体媒体の収集用の内部接続システム12とが、循環ダクト6の両側に非対称的に配置されていることである。したがって、
図6~
図10に記載された分離エレメント1と、この別の例示的実施形態との共通のエレメントについては繰り返さない。液体媒体用の入口11を画定するノズル15は、多孔質支持体2の中央を通過する長手方向軸に対して一方の側にずらされ、透過液P用の出口13を画定するノズル15は、多孔質支持体2の中央を通過する長手方向軸に対して他方の側にずらされる。したがって、分離エレメント1は、その各端部に、多孔質支持体2Aの中央を通過する長手方向軸に関して対称的に延びる透過液P用の出口ノズル9を含み、ノズル15が入口11または出口13を画定する。
【0078】
したがって、図に示されるように、概して平坦な長方形状のこの分離エレメント1は、第1の端部にノズル15を含み、このノズル15は、入口11を画定し、第2の端部に位置する透過液用の出口ノズル9と位置合わせされ、この第2の端部には、出口13を画定し、透過液用の出口ノズル9と位置合わせされたノズル15が設けられている。
【0079】
6つの循環ダクト6が、多孔質支持体2内に互いに平行に形成され、それぞれ、短辺の幅が長辺の長さの実質的に50分の1の長方形断面を有する。これら6つの循環ダクト6は、外側平坦表面3、4に平行である。これらの循環ダクト6は、一方の側が分配用の内部接続システム10に接続され、他方の側が収集用の内部接続システム12に接続される。
【0080】
分配用の内部接続システム10は、ノズル15内に配置された、入口11を通してノズル15の端部で多孔質支持体2の外に開く管状導管によって形成された共通の入口セグメント10eを含む(
図13B)。共通の入口セグメント10eは、入口11とは反対側で、多孔質支持体2内に形成された二又部10bを介して6つの循環ダクト6と連通する。同様に、収集用の内部接続システム12は、ノズル15内に配置された、出口13を通してノズルの端部で多孔質支持体2の外に開く管状導管によって形成された共通の出口セグメント12sを含む(
図13A)。共通の出口セグメント12sは、出口13とは反対側で、多孔質支持体2内に配置された分岐部12eを介して6つの循環ダクト6と連通する。
【0081】
この例示的実施形態によれば、分配用の内部接続システム10と収集用の内部接続システム12とは、循環ダクト6の両側に対称的に配置される。当然、上に示したように、分配用の内部接続システム10の内面、循環ダクト6の内面、および収集用の内部接続システム12の内面には、少なくとも1つの分離層が設けられる。
【0082】
この例示的実施形態によれば、透過液P用の収集システム7は多孔質支持体2内に配置され、外側平坦表面3、4および接続表面5は封止される。当然、入口11および出口13を画定するノズル15、ならびに接続表面5によって形成される2つの透過液収集ノズル9も外側で封止される。
図13Cおよび
図13Dにおいてより正確に示されるように、収集システム7は、互いに平行に、かつ外側平坦表面3、4に平行に配置された7つのチャネル7aのアレイを含み、各チャネル7aがシートの形状である。チャネル7aは、循環ダクト6と外側平坦表面3、4との間に挿入され、隔壁2bによって循環ダクト6から分離され、支持体2の1つまたは複数の分離層および隔壁2bを通過した透過液Pを回収する。これらのチャネル7aは、例えば
図13Dに示されるように、ノズル9の端部で多孔質支持体2の外に開くように各ノズル9内に配置された導管7dによって延びる収集チャンバ7cによって互いに連通している。
図13Dは、チャネル7aだけでなく二又部10bおよび分岐部12eも画定するために多孔質支持体2に配置された隔壁2bの形状を示すことに留意されたい。
【0083】
図12は、ノズル9、15が滑らかである分離エレメント1の例示的実施形態を示すが、
図13に示される例示的実施形態では、ノズル9、15がねじ切りされていることに留意されたい。
【0084】
図14~
図18は、分離エレメント1の別の例示的実施形態を示し、これは、接続オリフィスを備える形態に属し、
図30および
図31に示される装置20に取り付けられることが意図された直方体ブロックの形状に製造され、一方では処理対象の液体媒体の流入および残渣の流出を保証し、他方では透過液の収集を保証するための接続部を備える。この分離エレメント1は、互いに平行な2つの大きな接続面5gを形成するように配置された接続表面5によって相互接続され、互いに平行な2つの小さな接続面5pによって端部で相互接続された、互いに平行であり互いに対向する第1の外側平坦表面3と第2の外側平坦表面4とを含む多孔質支持体2を含む。
【0085】
図示される例では、分離エレメント1は、外側平坦表面3に、または
図17に示されるように第2の外面4にも形成されたオリフィス16を介して多孔質支持体10の外に開く液体媒体M用の5つの入口11および残渣R用の5つの出口13を含み、分離エレメント1の重なり合った取付け、および分離エレメント間の流体媒体のための連通を可能にする。分離エレメント1はまた、5組の循環ダクト6の2つの重なり合った列を含み、循環ダクト6はそれぞれ、分配用の内部接続システム10を介して入口11と連通し、収集用の内部接続システム12を介して出口13と連通する。
【0086】
重なり合った各列において、3組は3つの循環ダクト6を有し、2組は2つの循環ダクト6を含む。これらの循環ダクト6は、多孔質支持体2内に互いに平行に形成され、隔壁2bによって分離される。これらの循環ダクト6はそれぞれ、幅が長さの実質的に10分の1である長方形断面を有する。これらの循環ダクト6は、外側平坦表面3、4に垂直である。これらの循環ダクト6は、一方の側で、多孔質支持体2に形成された二又部10bを介して連通する管状導管によって形成された共通の入口セグメント10eを各組の循環ダクトごとに含む、分配用の内部接続システム10に接続されており、1組のすべてのダクトが、オリフィス16を介して少なくとも1つ、図示される例では2つの外側平坦表面3、4に開いている。これらの循環ダクト6は、他方の側で、多孔質支持体2に配置された分岐部12eを介して連通する管状導管によって形成された共通の出口セグメント12sを各組の循環ダクトごとに含む、収集用の内部接続システム12に接続されており、1組のすべてのダクトが、オリフィス16を介して少なくとも1つ、図示される例では2つの外側平坦表面3、4に開いている。
【0087】
各組の循環ダクト6について、分配用の内部接続システム10と収集用の内部接続システム12とは、多孔質支持体2内に循環ダクト6の両側で対称的に配置され、オリフィス16は、大きな接続表面5gに平行な長手方向軸に関して対称な2本の線に沿って配置され、多孔質支持体2の中央を通過する。共通の入口セグメント10eと共通の出口セグメント12sとは、外側平坦表面3、4に垂直であるが、液体媒体の主循環方向にも垂直である方向に平行に延びている。共通の入口セグメント10eは、互いに平行に、大きな接続面5gに近接して配置され、共通の出口セグメント12sは、互いに平行に、他方の大きな接続面5gに近接して配置されている。
【0088】
当然、各組当たりの循環ダクト6の数、循環ダクト6の組の数、および循環ダクト6の列の数は、例としてのみ与えられている。上に示したのと同様に、分配用の内部接続システム10の内面、循環ダクト6の内面、および収集用の内部接続システム12の内面には、少なくとも1つの分離層が設けられる。
【0089】
この例によれば、透過液P用の収集システム7は、多孔質支持体2内に配置されており、また多孔質支持体2の少なくとも1つ、図示される例では2つの外側平坦表面3、4で凹んでおり、1つまたは複数の分離層を通過した透過液を収集する。したがって、収集システム7は、
図16および
図18に示されるように、一方では、2つの外側平坦表面3、4の間および2つの隣接する組の循環ダクト6の間で多孔質支持体2内に配置された4組の3つの重なり合ったチャネル7eを含み、他方では、各組のチャネルと位置合わせして各外側平坦表面3、4に配置された溝7fを含む。これらの組それぞれの3つのチャネル7eおよび2つの溝7fは、各端部で管状キャビティ7gと連通し、管状キャビティ7gが、少なくとも1つ、図示の例では2つの外側平坦表面3、4に形成されたオリフィス8を通って開く。管状キャビティ7gは、互いに平行に、しかしまた共通の入口セグメント10eおよび共通の出口セグメント12sにも平行に配置されている。有利には、管状キャビティ7gの一部分と共通の入口セグメント10eとは同一平面内に配置され、管状キャビティ7gの別の部分と共通の出口セグメント12sとは同一平面内に配置される。
【0090】
凹部または溝7fに配置されていない外側平坦表面3、4の残りの部分は封止されていることに留意されたい。言い換えると、溝7fを除いて外側平坦表面3、4はすべて封止される。同様に、接続表面5も封止される。それぞれ外部透過液回収回路および液体媒体用の循環回路へのオリフィス8、16の接続については、
図30および
図31に関連して以下の説明でより詳細に述べる。
【0091】
図19~
図24は、接続オリフィスを備える形態に関する、直方体形状で製造された分離エレメント1の別の例示的実施形態を示す。この例示的実施形態は、
図14~
図18に示される例と設計が同一であるが、相違点は、透過液回収システム7が多孔質支持体2の表面にのみ形成されていることである。この分離エレメント1は、互いに平行な2つの大きな接続面5gを形成するように配置された接続表面5によって相互接続され、互いに平行な2つの小さな接続面5pによって端部で相互接続された、互いに平行であり互いに対向する第1の外側平坦表面3と第2の外側平坦表面4とを含む多孔質支持体2を含む。
【0092】
分離エレメント1は、外側平坦表面3に、または
図21に示されるように第2の外面4にも形成されたオリフィス16を介して多孔質支持体10の外に開く液体媒体M用の5つの入口11および残渣R用の5つの出口13を含み、分離エレメント1の重なり合った取付けを可能にする。
図19~
図22に示される例では、分離エレメント1は、5組の循環ダクト6の列を含み、循環ダクト6はそれぞれ、分配用の内部接続システム10を介して入口11と連通し、収集用の内部接続システム12を介して出口13と連通する。当然、各組当たりの循環ダクト6の数、循環ダクト6の組の数、および循環ダクト6の列の数は、例としてのみ与えられている。例として、
図23および
図24は、
図19~
図22に示される変形実施形態と同一の変形実施形態を示し、相違点は、循環ダクト6が2つの重なり合った列に分散されていることである。
【0093】
各列は、5組の循環ダクト6を含み、そのうち、中央の3組はそれぞれ6つの循環ダクト6を含み、小さい接続面5pの近くに位置する両端の2組はそれぞれ4つの循環ダクト6を含む。これらの循環ダクト6は、多孔質支持体2内に互いに平行に形成されており、それぞれ、幅が長さの実質的に10分の1である長方形断面を有する。これらの循環ダクト6は、外側平坦表面3、4に垂直である。これらの循環ダクト6は、一方の側で、多孔質支持体2内に配置された、多孔質支持体2に形成された二又部10bを介して連通する管状導管によって形成された共通の入口セグメント10eを各組の循環ダクトごとに含む、分配用の内部接続システム10に接続されており、1組のすべてのダクトが、オリフィス16を介して少なくとも1つ、図示される例では2つの外側平坦表面3、4に開いている。これらの循環ダクト6は、他方の側で、多孔質支持体2内に配置された、また、多孔質支持体に配置された分岐部12eを介して連通する管状導管によって形成された共通の出口セグメント12sを各組の循環ダクトごとに含む、収集用の内部接続システム12に接続されており、1組のすべてのダクトが、オリフィス16を介して少なくとも1つ、図示される例では2つの外側平坦表面3、4に開いている。各組の循環ダクト6について、分配用の内部接続システム10と収集用の内部接続システム12とは、循環ダクト6の両側で対称的に配置され、オリフィス16は、大きな接続表面5gに平行な長手方向軸に関して対称な2本の線に沿って配置され、多孔質支持体2の中央を通過する。上に示したように、分配用の内部接続システム10の内面、循環ダクト6の内面、および収集用の内部接続システム12の内面には、少なくとも1つの分離層が設けられる。
【0094】
図19~
図24に示される例示的実施形態によれば、透過液P用の収集システム7は多孔質支持体2内に配置されておらず、多孔質支持体2の少なくとも1つ、図示される例では2つの外側平坦表面3、4で凹んでいるだけであり、1つまたは複数の分離層を通過した透過液を収集する。したがって、
図19~
図24に示されるように、収集システム7は、
図14~
図18に示される例で既に述べたように、外側平坦表面3、4に配置された4組の2つの重なり合った溝7fを含む。これらの組それぞれの2つの溝7fは、各端部で、多孔質支持体に形成された管状キャビティ7gと連通し、少なくとも1つ、図示の例では両方の外側平坦表面3、4に形成されたオリフィス8を通って開く。凹部または溝7fに配置されていない外側平坦表面3、4の残りの部分は封止されていることに留意されたい。同様に、接続表面5も封止される。それぞれ外部透過液回収回路および液体媒体用の循環回路へのオリフィス8、16の接続については、
図30および
図31に関連して以下の説明でより詳細に述べる。
【0095】
図25~
図29は、分離エレメント1の別の例示的実施形態を示し、これは、接続オリフィスを備える形態に関し、
図30および
図31に示される装置20に取り付けられることが意図された直方体ブロックの形状に製造され、一方では処理対象の液体媒体の流入および残渣の流出を保証し、他方では透過液の収集を保証するための接続部を備える。この例示的実施形態は、循環ダクト6が外側平坦表面3、4に垂直に配置されている
図14~
図18の例とは異なり循環ダクト6が外側平坦表面3、4と平行に配置されている限りにおいて、
図14~
図18に示される例示的実施形態とは異なる。
【0096】
この分離エレメント1は、互いに平行な2つの大きな接続面5gを形成するように配置された接続表面5によって相互接続され、互いに平行な2つの小さな接続面5pによって端部で相互接続された、互いに平行であり互いに対向する第1の外側平坦表面3と第2の外側平坦表面4とを含む多孔質支持体2を含む。
【0097】
分離エレメント1は、外側平坦表面3に、または
図26に示されるように第2の外面4にも形成されたオリフィス16を介して多孔質支持体10の外に開く液体媒体M用の5つの入口11および残渣R用の5つの出口13を含み、分離エレメント1の重なり合った組立てを可能にする。分離エレメント1は、分配用の内部接続システム10を介して入口11と連通し、収集用の内部接続システム12を介して出口13と連通するように多孔質支持体内に配置された循環ダクト6も含む。循環ダクト6は、2組の4つの重なり合った循環ダクトと、3組の4対の重なり合った循環ダクトとを形成することによって、4つの重なり合ったステージに配置される。
図29においてより具体的に示されているように、各ステージにおいて、循環ダクト6は、多孔質支持体2によって形成された隔壁2cによって分離され、隔壁2cは、互いに平行に、かつ液体媒体の入口11と出口13との間の液体媒体の主循環方向に平行に延びる。これらの隔壁2cは多孔質支持体の一端から他端まで連続しておらず、したがって、液体媒体の入口11および出口13において各ステージの循環ダクト6間の連通を可能にしていることに留意されたい。
【0098】
これらの循環ダクト6は、互いに平行に、かつ外側平坦表面3、4に平行に多孔質支持体2内に形成されている。これらの循環ダクト6はそれぞれ、幅が長さの少なくとも4分の1である長方形断面を有する。これらの循環ダクト6は、一方の側で、二又部10bを介して連通する管状導管によって形成された共通の入口セグメント10eを各組の循環ダクトごとに含む、分配用の内部接続システム10に接続されており、1組のすべてのダクトが、オリフィス16を介して少なくとも1つ、図示される例では2つの外側平坦表面3、4に開いており、これらの循環ダクト6は、他方の側で、分岐部12eを介して連通する管状導管によって形成された共通の出口セグメント12sを各組の循環ダクトごとに含む、収集用の内部接続システム12に接続されており、1組のすべてのダクトが、オリフィス16を介して少なくとも1つ、図示される例では2つの外側平坦表面3、4に開いている。
【0099】
各組の循環ダクト6について、分配用の内部接続システム10と収集用の内部接続システム12とは、循環ダクト6の両側で対称的に多孔質支持体2内に配置され、オリフィス16は、大きな接続表面5gに平行な長手方向軸に関して対称な2本の線に沿って配置され、多孔質支持体2の中央を通過する。共通の入口セグメント10eと共通の出口セグメント12sとは、外側平坦表面3、4に垂直であるが、液体媒体の主循環方向にも垂直である方向に平行に延びている。共通の入口セグメント10eは、互いに平行に、大きな接続面5gに近接して配置され、共通の出口セグメント12sは、互いに平行に、他方の大きな接続面5gに近接して配置されている。
【0100】
当然、各組当たりの循環ダクト6の数、循環ダクト6の組の数、および循環ダクト6の列の数は、例としてのみ与えられている。上に示したのと同様に、分配用の内部接続システム10の内面、循環ダクト6の内面、および収集用の内部接続システム12の内面には、少なくとも1つの分離層が設けられる。
【0101】
この例によれば、透過液P用の収集システム7は、多孔質支持体2内に配置されており、また多孔質支持体2の少なくとも1つ、図示される例では2つの外側平坦表面3、4で凹んでおり、1つまたは複数の分離層を通過した透過液を収集する。したがって、収集システム7は、
図25、
図27、および
図28に示されているように、2つの外側平坦表面3、4の間および循環ダクト6の2つの隣接するステージの間で多孔質支持体2内に配置された3つの重なり合った収集層7j、ならびに各外側平坦表面3、4に形成された凹部領域7kを含む。収集シート7jが、隣接する2つの循環ダクト6の間に挿間され、隔壁2bによって循環ダクト6から分離される。
【0102】
図示される例では、各収集層7jにおいて、補強リブ7nが多孔質支持体内に互いに平行に配置されて、それらの各端部でつながり合う平行なチャネルを画定し、各側で少なくとも1つ、図示の例では2つの外側平坦表面3、4に形成されたオリフィス8を通して開いている1組の4つの管状キャビティ7gに通ずることに留意されたい。管状キャビティ7gは、互いに平行に、しかしまた共通の入口セグメント10eおよび共通の出口セグメント12sにも平行に配置されている。有利には、管状キャビティ7gの第1の組と共通の入口セグメント10eとは同一平面内に配置され、管状キャビティ7gの第2の組と共通の出口セグメント12sとは同一平面内に配置される。
【0103】
同様に、多孔質支持体によって形成される補強リブ7nが、外側平坦表面3、4内に突出して互いに平行に配置され、各凹部領域7kが、それらの各端部でつながり合う平行なチャネルを有し、各側で1組の4つの管状キャビティ7gに通ずる。これらの組それぞれの3層のチャネル7jおよび2つの凹部領域7fは、各端部で管状キャビティ7gと連通し、管状キャビティ7gが、少なくとも1つ、図示の例では両方の外側平坦表面3、4に形成されたオリフィス8を通って開く。
【0104】
凹んでいない外側平坦表面3、4の残りの部分は封止されることに留意されたい。したがって、外側平坦表面3、4内に突出する多孔質支持体によって形成された補強リブ7nは封止される。同様に、接続表面5も封止される。それぞれ外部透過液回収回路および液体媒体用の循環回路へのオリフィス8、16の接続については、
図30および
図31に関連して以下の説明でより詳細に述べる。
【0105】
図30および
図31は、接続オリフィス8、16を備える形態に関する、
図14~
図29に示される変形形態のうちの1つによる少なくとも1つの分離エレメント1を接続するための接続部を備えた商用装置20の例示的実施形態を示す。したがって、1つまたは複数の分離エレメント1を備えたこの装置20は、すべてのタイプの流体媒体のための分離ユニットを形成する。この例によれば、装置20は接続プレート21を含み、接続プレート21の上で、シール24によって封止されて取り付けられた少なくとも1つの分離エレメント1が、この接続プレート21とタイプレート26との間にねじ付きロッド22およびナット23によって固定されるように意図されている。接続プレート21は、一方では分離エレメント1の入口11のオリフィス16と連通し、他方では液体媒体を供給するための回路27(図面ではその一部のみが示されている)と連通するように位置決めされたオリフィス21Mを含む。接続プレート21は、一方では分離エレメント1の出口13のオリフィス16と連通し、他方では残渣回収回路28(図面ではその一部のみが示されている)と連通するように位置決めされたオリフィス21Rも含む。接続プレート21は、一方では透過液用の収集システムのオリフィス8と連通し、他方では外部透過液回収回路29と連通するように位置決めされたオリフィス21Pも含む。
【0106】
本発明の文脈では、多孔質支持体2の製造、さらには分離エレメント全体の製造は、積層造形技法を使用して実施することができ、その方法は、材料の追加または凝集によって一部片の部品を得ることからなり、連続する層が積み重ねられるときに対象物が形状を成す。当然、この積層造形法は、多孔質支持体の多孔質材料の気孔が、1つまたは複数の分離層を通過した透過液の経路を確保するように構成または適合される。この方法は、別々に製造された異なる部品の接着による組立てなど他の技法と比較して、単一の製造ステップで支持体を製造し、多様な形状およびサイズの実現を可能にし、処理対象の液体媒体用および透過液の収集用の循環ダクトを形成するという利点がある。積層造形技法の中でも、SLS(Selective Laser Sintering:選択的レーザ焼結)、フィラメントまたは顆粒からのFDM(Fused Deposition Modeling:溶融堆積モデリング)、PEM(Paste Extrusion Modeling:ペースト押出モデリング)、およびBJ(Binder Jetting:バインダ・ジェッティング)が特によく適合される。
【0107】
粉末などの固体材料を使用する場合、粉末床の厚さ、したがって連続的に凝固される各層の厚さは比較的薄く、それにより、エネルギーの寄与の印加(SLS)またはバインダ液の投射(BJ)によって下の層への接続を可能にする。特に、20μm~200μmの厚さの粉末が堆積され、この厚さは、選択される積層造形技法によって決まる。これは、粉末の床を堆積し、続いて凝固するという2つのシーケンスの繰り返しであり、層ごとに望ましい3次元形状を構築することを可能にする。凝固パターンは、層ごとに異なることがある。所望の3次元形状の成長は、選択された成長方向に従って行われる。セラミック・ペースト(PEM)、またはフィラメント、またはホットメルト顆粒(FDM)の形態でのセラミック組成物を使用する場合、層の厚さは、連続か不連続か、並置されているか並置されていないかに関係なく、選択された成長方向に沿って同じ高さで押し出される1組のコードによって定義される。
【0108】
有利な実施形態の特徴によれば、多孔質支持体を構成する材料は、少なくとも10MPaの最大許容曲げ応力を有し、この特徴は、一方では積層造形技法、他方では焼結後の必要な熱処理を可能にする3次元連続性および3次元均質性に起因する。
【0109】
多孔質支持体の幾何学形状(寸法や、外壁または内壁の厚さなど)に関連するこの最大曲げ特性、ならびに材料および多孔質テクスチャの連続性により、分離層と透過液出口表面との間の液体媒体の圧力差によって生成される応力の影響で多孔質支持体が破損されるのを防ぐのに十分な機械的強度を提供することが可能なこの多孔質支持体2を定義することができ、上記透過液出口表面は、透過液用の収集システム7が多孔質支持体2内に配置されるときには透過液用の収集システム7を画定する内面に対応し、または収集システム7が多孔質支持体2内に配置されていないときには分離エレメント1の外面に対応する。
【0110】
分離層と透過液の出口表面との間の液体媒体の圧力差は、一般に、当業者が膜間圧力(TMP)と呼ぶものに対応する。この圧力差は、本発明の文脈では、供給圧力P
A(これは処理対象の液体媒体の入口で測定される絶対圧力である)と残渣圧力P
R(これは処理済みの液体媒体の出口で測定される絶対圧力である)との平均によって定義され、そこから、透過液用の収集システム7が多孔質支持体2内に配置されているときには収集システム7で測定された絶対圧力P
P、または収集システム7が多孔質支持体2の外部に配置されているときには大気圧Paを差し引く。膜間圧力(TMP)は、以下のようになる。
【数4】
【0111】
この定義、材料の特性、および多孔質支持体の寸法設定(これら後者の2点は上で示した)に基づいて、多孔質支持体2は、1バール以上の液体媒体の圧力差に関して多孔質材料の破壊による劣化が発生しないように定義される。
【0112】
無機一部片硬質多孔質支持体2が少なくとも1つの亀裂または割れを有するとすぐに、上記亀裂または割れの位置における多孔質材料の局所的な変位の有無に関わらず破損が生じ、上記破損が、多孔質の連続性を途切れさせ、一方としての、処理対象の液体媒体の分配用の内部接続システム10、循環ダクト6、および残渣の収集用の内部接続システム12によって形成されたアセンブリと、他方としての、透過液用の収集システム7との間に液体用の直接通路を開き、上記液体が濾過層を通過しなくなる。
【0113】
そのような破損は、一方では、分離層と透過液の出口表面との間の液体媒体の圧力差として定義される膜間圧力の低下によって、他方では、透過液用の収集システムにおける流量の増加によって即座に観察可能である。処理済みの液体の流量が未処理の液体の流量に比べて異常に増加されると、透過液と残渣とのこの混合により破損が生じ、分離エレメントの使用が不適切になる。分離エレメントは破壊されたとみなされ、交換しなければならない。
【国際調査報告】