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特表2023-551209複数のサセプタセットを備えたエアロゾル発生装置用ヒーター
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-07
(54)【発明の名称】複数のサセプタセットを備えたエアロゾル発生装置用ヒーター
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/465 20200101AFI20231130BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20231130BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20231130BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/20
A24F40/40
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023530888
(86)(22)【出願日】2021-11-19
(85)【翻訳文提出日】2023-05-22
(86)【国際出願番号】 EP2021082246
(87)【国際公開番号】W WO2022112112
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】20209493.4
(32)【優先日】2020-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】バティスタ ルイ ヌーノ ロドリゲス アルヴェス
(72)【発明者】
【氏名】カリ リカルド
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AC12
4B162AC22
(57)【要約】
エアロゾル発生装置用のヒーター組立品は、エアロゾル形成基体を加熱するための加熱チャンバー(14)、加熱チャンバーの第一の加熱ゾーン(20)を加熱するように構成された第一のセットのサセプタ(16)および加熱チャンバーの第二の加熱ゾーン(22)を加熱するように構成された第二のセットのサセプタ(18)を備える。第一の加熱ゾーンおよび第二の加熱ゾーンは加熱チャンバーの異なる長軸方向の位置に配置される。サセプタは隆起した共通の支持ベース(30)上に取り付けられ得る。第二のセットのサセプタ(18)は、第一のセットのサセプタ(16)よりも長くてもよく、ステム(46)と加熱面(50)を備えるパドル形状である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置用ヒーター組立品であって、
エアロゾル形成基体を加熱するための加熱チャンバーと、
前記加熱チャンバーの第一の加熱ゾーンを加熱するように構成された第一のセットのサセプタと、
前記加熱チャンバーの第二の加熱ゾーンを加熱するように構成された第二のセットのサセプタと、を備え、
前記第一の加熱ゾーンおよび前記第二の加熱ゾーンが、前記加熱チャンバーの異なる長軸方向位置に配設される、ヒーター組立品。
【請求項2】
前記第一および第二のセットのサセプタの一方または両方のサセプタが、前記加熱チャンバーの長軸方向軸に沿って細長い、請求項1に記載のヒーター組立品。
【請求項3】
前記第一および第二のセットのサセプタの一方または両方が、前記加熱チャンバーの周りに円周方向に配設される、請求項1または請求項2に記載のヒーター組立品。
【請求項4】
前記第一のセットのサセプタの前記サセプタと前記第二のセットのサセプタの前記サセプタが交互に配設され、その結果、前記第一のセットのサセプタが、前記第二のセットの二つのサセプタに隣接する、請求項3に記載のヒーター組立品。
【請求項5】
前記第一および第二のセットのサセプタの一方または両方のサセプタが、前記加熱チャンバーの中に挿入された後にエアロゾル発生物品をしっかりと保持するために、前記加熱チャンバーの前記長軸方向軸に直交する方向に可撓性である、請求項1~4のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項6】
前記第一および第二のセットのサセプタの一方または両方のサセプタの少なくとも一部分が、前記加熱チャンバーの長軸方向に沿った湾曲した形状を含む、請求項1~5のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項7】
前記第二のセットのサセプタのサセプタが、前記第一のセットのサセプタのサセプタよりも長く、前記加熱チャンバーの前記長軸方向軸に対して平行に測定される、請求項1~6のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項8】
前記第二のセットのサセプタのサセプタが、より薄い遠位部分およびより広い近位部分を含む、請求項1~7のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項9】
前記第二のセットのサセプタのサセプタがパドル様の形状を形成する、請求項1~8のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項10】
前記第一のセットのサセプタの前記サセプタの加熱表面と、前記第二のセットのサセプタの前記サセプタの加熱表面との間にギャップが提供される、請求項1~9のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項11】
一つのセットのサセプタ内の前記サセプタの加熱表面の間にギャップが提供される、請求項1~10のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項12】
前記第一のセットのサセプタのサセプタの形状が、前記第二のセットのサセプタのサセプタの形状とは異なっている、請求項1~11のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項13】
前記第一および第二のセットのサセプタが、前記加熱チャンバーの遠位端に配設される共通基部上に取り付けられる、請求項1~12のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項14】
請求項1~13のいずれかに記載のヒーター組立品を備えるエアロゾル発生装置。
【請求項15】
請求項14に記載のエアロゾル発生装置と、エアロゾル形成基体を備えるエアロゾル発生物品とを備え、前記エアロゾル発生物品が、前記加熱チャンバーの中に少なくとも部分的に挿入されるように構成される、エアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル発生装置用のヒーター組立品に関する。本開示はさらに、エアロゾル発生装置に関する。本開示は、エアロゾル発生装置とエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムにさらに関する。
【背景技術】
【0002】
吸入可能なベイパーを発生するためのエアロゾル発生装置を提供することが知られている。こうした装置は、エアロゾル形成基体を燃焼することなく、エアロゾル発生物品に含有されたエアロゾル形成基体を加熱し得る。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置の加熱チャンバーの中にエアロゾル発生物品を挿入するためにロッド形状を有してもよい。発熱体は、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の加熱チャンバーの中に挿入された後に、エアロゾル形成基体を加熱するために、加熱チャンバーの中に、またはその周りに配設されている。
【0003】
エアロゾル発生物品は、使用中に加熱チャンバー内にしっかりと保持されるべきである。エアロゾル発生物品は、装置がエアロゾルを発生できなくなるため、加熱チャンバーから落ちることがないように十分な力で保持されるべきである。。
【0004】
誘導加熱を使用することが知られており、これにより、インダクタコイル内の交流電流が交番磁場を誘導する。この交番磁場は、サセプタが導電性である場合にサセプタ内に交流リング電流(渦電流)を誘導することができるため、誘導場と呼ばれる。サセプタが磁性である場合、ヒステリシス損失はサセプタで生じる。導電性および磁性の両方を備えるサセプタは、両方の効果(渦電流およびヒステリシス損失)によりサセプタを加熱させる。一般的に、交番磁場によって貫通される時に加熱される物質は、サセプタと呼ばれる。このようにして生成される熱は次に、エアロゾル発生基体に伝播され、それを加熱し、したがってエアロゾルを発生する。一部の誘導加熱装置は、複数の加熱ゾーンを有するように設計され、すなわち、加熱システムは、全消耗品のサブ部分のみ加熱することができる。これは、例えば、単一の消耗品が複数回使用されることを可能にするため、または単一の消耗品が、エアロゾルを発生するのに使用されるサブ部分に応じて異なるユーザー体験を提供することを可能にするため、または単により長い時間にわたってより均一なユーザー体験を達成するために行うことができる。サセプタの異なる加熱ゾーンを加熱するために、異なるインダクタコイルを使用することが知られている。
【0005】
ヒーター組立品によって消費されるエネルギーの量を低減し得るエアロゾル発生装置を有することが望ましい。複数の加熱ゾーンの特定の加熱ゾーンを選択的に加熱し得るエアロゾル発生装置を有することが望ましい。異なる加熱ゾーン間の熱伝達を低減し得るエアロゾル発生装置を有することが望ましい。サセプタの熱質量を低減し得るエアロゾル発生装置を有することが望ましい。
【0006】
さらに、サセプタとエアロゾル形成基体との間に密接な熱接触を提供し得るエアロゾル発生装置を有することが望ましい。加熱チャンバー内にエアロゾル発生物品をしっかりと保持し得るエアロゾル発生装置を有することが望ましい。エアロゾル発生物品が加熱チャンバーの中に簡単に挿入され、かつ加熱チャンバーから取り外されることを可能にし得る、エアロゾル発生装置を有することが望ましい。
【発明の概要】
【0007】
本発明の一実施形態によると、エアロゾル発生装置のためのヒーター組立品が提供される。ヒーター組立品は、エアロゾル形成基体を加熱するための加熱チャンバーを含んでもよい。ヒーター組立品は、加熱チャンバーの第一の加熱ゾーンを加熱するように構成された第一のセットのサセプタを含んでもよい。ヒーター組立品は、加熱チャンバーの第二の加熱ゾーンを加熱するように構成された第二のセットのサセプタを含んでもよい。第一の加熱ゾーンおよび第二の加熱ゾーンは、加熱チャンバーの異なる長軸方向位置に配設されてもよい。
【0008】
本発明の一実施形態によると、エアロゾル発生装置のためのヒーター組立品が提供される。ヒーター組立品は、エアロゾル形成基体を加熱するための加熱チャンバーを含む。ヒーター組立品は、加熱チャンバーの第一の加熱ゾーンを加熱するように構成された第一のセットのサセプタを含む。ヒーター組立品は、加熱チャンバーの第二の加熱ゾーンを加熱するように構成された第二のセットのサセプタをさらに含む。第一の加熱ゾーンおよび第二の加熱ゾーンは、加熱チャンバーの異なる長軸方向位置に配設される。
【0009】
本発明のヒーター組立品を提供することによって、ヒーター組立品によって消費されるエネルギーの量が減少され得る。本発明のヒーター組立品を提供することによって、複数の加熱ゾーンの特定の加熱ゾーンを選択的に加熱することができる。本発明のヒーター組立品を提供することによって、異なる加熱ゾーン間の熱伝達を低減することができる。本発明のヒーター組立品を提供することによって、サセプタの熱質量を低減することができる。
【0010】
本発明のヒーター組立品を提供することによって、サセプタとエアロゾル形成基体との密接な熱接触を達成することができる。本発明のヒーター組立品を提供することによって、エアロゾル発生物品を加熱チャンバー内にしっかりと保持するエアロゾル発生装置が提供され得る。本発明のヒーター組立品を提供することによって、エアロゾル発生物品が加熱チャンバーの中に簡単に挿入され、かつ加熱チャンバーから取り外されることを可能にする、エアロゾル発生装置が提供され得る。
【0011】
好ましくは、ヒーター組立品は、エアロゾル発生装置の構成要素部分である。
【0012】
第一の加熱ゾーンは、加熱チャンバーの長軸方向軸に対して第二の加熱ゾーンの遠位に配設されてもよい。
【0013】
各加熱ゾーンに対して個別のサセプタのセットを有することは、有利には、異なる加熱ゾーンのサセプタ間の熱接触を低減し得る。これにより、異なる加熱ゾーン間の不注意による熱伝達が低減され得る。特定の加熱ゾーン内の熱の封じ込めは有利に改善され得る。個々の加熱ゾーンの選択的な加熱は、改善され得る。加熱ゾーン間の熱損失が低減され得る。エネルギー消費量が低減され得る。
【0014】
本明細書で使用される場合、用語「サセプタのセット」は、例えば、一つのセット内の二つ以上のサセプタ、例えば3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、または8つ以上のサセプタを意味する、複数のサセプタを指す。各加熱ゾーンに対して複数のサセプタを有することは、完全な加熱ゾーンに対して一つの大きな単一のサセプタを有することと比較して、サセプタ材料の総質量を減少させることができる。これにより、各加熱ゾーンに対するサセプタ材料の熱質量および熱慣性のうちの一方または両方を低減し得る。これにより、加熱ゾーンを所望の温度に加熱するために必要なエネルギーが少なくなり得る。これにより、加熱ゾーンは、所望の温度までより迅速に加熱され得る。各加熱ゾーンに対して複数のサセプタを有することにより、サセプタ配設の機械的可撓性が改善され得る。
【0015】
第一および第二のセットのサセプタの一方または両方のサセプタは、加熱チャンバーの中に挿入された後、エアロゾル発生物品をしっかりと保持するために、加熱チャンバーの長軸方向軸に直交する方向に可撓性であってもよい。本明細書で使用される場合、加熱チャンバーの長軸方向軸に直交する方向は、横断方向に対応する。
【0016】
第一および第二のセットのサセプタの一方または両方のサセプタは、加熱チャンバーの長軸方向軸に沿って細長い場合がある。第一および第二のセットのサセプタの一方または両方のサセプタの長軸方向軸は、加熱チャンバーの長軸方向軸に対して同一直線であってもよい。これは、有利には、エアロゾル発生物品を担持するためのサセプタの横断方向の可撓性を提供し得る。
【0017】
一つのセットのサセプタの個々のサセプタの間にギャップがある場合がある。これにより、ギャップを通る横断方向の気流が可能である場合がある。
【0018】
第一および第二のセットのサセプタの一方または両方は、加熱チャンバーの周りに円周方向に配設されてもよい。
【0019】
第一のセットのサセプタのサセプタと第二のセットのサセプタのサセプタは、第一のセットのサセプタが第二のセットの二つのサセプタに隣接するように、交互に配設されてもよい。第一のセットのサセプタのサセプタと第二のセットのサセプタのサセプタは、第一のセットのサセプタが、横断方向の周方向で第二のセットの二つのサセプタに隣接するように、横断方向の周方向に沿って交互に配設されてもよい。
【0020】
第一および第二のセットのサセプタの一方または両方のサセプタは、いくつかの部分を含んでもよい。サセプタは、その遠位端で支持基部上にサセプタを取り付けるためのステムを備えてもよい。サセプタは、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体を加熱するための加熱部分を備えてもよい。加熱部分は、加熱表面を含んでもよい。加熱表面は、エアロゾル発生物品と密接に熱接触するように構成された平坦な部分であってもよい。サセプタは、その近位端に先端部分を備えてもよい。先端部分は、サセプタおよび加熱チャンバーの一方または両方の長軸方向に直交する横断方向に曲げられてもよい。サセプタの先端部分が曲がっているため、サセプタのセットのフレア状の配置が生じ得る。これにより、エアロゾル発生物品の加熱チャンバー内への挿入を容易にし得る。
【0021】
第一のセットのサセプタのサセプタの加熱表面と、第二のセットのサセプタのサセプタの加熱表面との間にギャップが提供されてもよい。サセプタのセット内のサセプタの加熱表面の間にギャップが提供されてもよい。
【0022】
第一および第二のセットのサセプタの一方または両方のサセプタの少なくとも一部分は、加熱チャンバーの長軸方向に沿った湾曲した形状を含み得る。第一および第二のセットのサセプタの一方または両方のサセプタの少なくとも一部分は、加熱チャンバーの長軸方向に沿ったS字形状を含み得る。湾曲したまたはS字形状は、サセプタの加熱部分または加熱表面のみがそれぞれの加熱ゾーンでエアロゾル発生物品と密接に熱接触するようにサセプタを構成することができる。
【0023】
第二のセットのサセプタのサセプタは、第一のセットのサセプタのサセプタよりも長く、加熱チャンバーの長軸方向軸に対して平行に測定されてもよい。
【0024】
第一および第二のセットのサセプタの一方または両方のサセプタは、より薄い遠位部分およびより広い近位部分を含み得る。より薄い遠位部分は、例えば、共通基部などの装置内の固定具にサセプタを取り付けるように構成され得る。より薄い遠位部分は、第一および第二のセットのサセプタの一方または両方に、機械的可撓性、すなわち曲げ可能性を追加し得る。より薄い遠位部分は、取り付ける固定具への熱伝達を低減し得る。熱伝達の低減により、固定具は、過剰な熱に耐えることができる高価な材料で作られる必要はなく、硬質プラスチックなどのより安価な材料で作られ得る。
【0025】
第二のセットのサセプタのサセプタは、パドル様の形状を形成し得る。
【0026】
第一および第二のセットのサセプタのサセプタの一方または両方の加熱表面は、ハチの巣状のパターンで配設され得る。
【0027】
第一のセットのサセプタのサセプタの形状は、第二のセットのサセプタのサセプタの形状とは異なる場合がある。第一のセットのサセプタのサセプタの材料は、第二のセットのサセプタのサセプタの材料とは異なる場合がある。
【0028】
サセプタは、誘導加熱され得る材料で完全に作製されてもよい。サセプタの一部分は、磁気的に不活性な材料を含んでもよい。本明細書で使用される場合、用語「磁気的に不活性な材料」は、交番磁場によって貫通された時に実質的に加熱されない材料を指す。サセプタの一部分は、サセプタ材料ではない材料を含んでもよい。これは、その部分が、変動磁場の浸透により加熱可能なサセプタ材料を含まないことを意味する。サセプタの加熱部分のみ、または加熱表面は、サセプタ材料を含み得る。例えば、加熱表面は、サセプタ材料によって被覆されてもよい。従って、使用時に、加熱表面を加熱するために変動磁場のより多くのエネルギーが利用可能であり得る。
【0029】
磁気的に不活性な材料は、鉱物、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリアクリルアミド、ビニルエステル樹脂、木材、セラミック、アルミナ、ジルコニア、アラミド、ガラス繊維、ポリエチレン、およびガラス様材料を含み得る。
【0030】
本明細書で使用される場合、サセプタ材料を含み、誘導加熱されるように構成されたサセプタの一部分は、「サセプタ素子」と呼ばれる。
【0031】
本明細書で使用される「サセプタ素子」とは、変化する磁場に供された時に加熱する導電性素子である。これはサセプタ素子内で誘起された渦電流、またはヒステリシス損失、または渦電流とヒステリシス損失の両方の結果であり得る。使用中に、サセプタ素子は、エアロゾル発生装置のヒーター組立品の加熱チャンバーの中に受容されたエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と熱的に接触して、または熱的に近接して位置する。このように、エアロゾル形成基体は、エアロゾルが形成されるように、サセプタ素子によって加熱される。
【0032】
有利には、個々のサセプタのセットから形成される加熱ゾーンを提供することにより、加熱ゾーンのサイズ、位置、またはサイズおよび位置を、サセプタのサイズ、位置、形状、およびパターンのうちの一つ以上を変更することによって容易に変化させることができる。サセプタの一部分のみがサセプタ素子を含む場合、サセプタの残りの部分は、サセプタ材料よりも軽くなり得るか、またはより安価であり得る非サセプタ材料から形成され得る。さらに、サセプタ素子以外のサセプタの一部分は、熱絶縁材料から形成されてもよい。これにより、サセプタ素子内で発生した熱が加熱ゾーン内に集中したままになることが可能になる。さらに、エアロゾル発生装置の他の構成要素に失われる熱の量を減少させることができる。例えば、エアロゾル発生装置のハウジングが使用中に加熱される度合いをさらに低減し得る。
【0033】
本明細書で使用される「断熱(thermally insulating」および「断熱(thermally insulative」という用語は、23℃および改良された非定常平面熱源(MTPS)法を使用して測定した相対湿度50%で、約50ミリワット/メートル・ケルビン(mW/(mK))未満のバルク熱伝導率を有する材料を指す。
【0034】
サセプタ素子は、サセプタの加熱表面上に適用されたサセプタ材料の箔またはフィルムを含み得る。例えば、加熱表面に接着または溶接されたサセプタ材料の箔またはフィルム。
【0035】
サセプタ素子は、加熱表面上に堆積されたサセプタコーティングであり得る。例えば、サセプタコーティングは、液体として加熱表面上に塗装または印刷され得る。サセプタコーティングは、蒸着などの真空堆積プロセス、またはスパッタリングによって、サセプタの加熱表面上に堆積され得る。サセプタコーティングは、電着によって加熱表面上に堆積され得る。
【0036】
サセプタ素子は、エアロゾル形成基体をエアロゾル化するのに十分な温度に誘導加熱されることができるあらゆる材料から形成され得る。サセプタ素子のために適した材料としては、黒鉛、モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス鋼、ニオブ、アルミニウム、ニッケル、ニッケル含有化合物、チタン、および金属材料の複合材料が挙げられる。好ましいサセプタ要素は金属または炭素を含む。有利なことに、サセプタ素子は、例えばフェライト鉄、強磁性鋼またはステンレス鋼などの強磁性合金、強磁性粒子、およびフェライトなどの強磁性材料を含む、またはその強磁性材料から成る。適切なサセプタ素子はアルミニウムであってよく、またはアルミニウムを含んでもよい。サセプタ素子は、5パーセント超の強磁性材料もしくは常磁性材料を含むことが好ましく、20パーセント超の強磁性材料もしくは常磁性材料を含むことが好ましく、50パーセント超または90パーセント超の強磁性材料もしくは常磁性材料を含むことがより好ましい。好ましいサセプタ要素は摂氏250度を超える温度に加熱されてもよい。
【0037】
サセプタ素子は、金属または金属合金を含み得る。サセプタ素子は、金属または金属合金から形成され得る。
【0038】
サセプタ素子は、炭化ケイ素、モリブデン、グラファイト、ステンレス鋼、ステンレス鋼合金、Kovar(登録商標)、銅、銅タングステン合金、銅モリブデン合金、ならびにニッケル、銀、金、銀-プラチナ合金、および銀-パラジウム合金などの電気メッキ導電体のうちの一つ以上を含み得るか、またはそれから作製され得る。サセプタは、炭化ケイ素、モリブデン、グラファイト、およびステンレス鋼のうちの一つ以上から作製され得る。
【0039】
サセプタの少なくとも一部分は、形状記憶材料を含んでもよく、または形状記憶材料から作製されてもよい。これにより、エアロゾル発生物品の一時的な担持が容易になり得る。
【0040】
第一および第二のセットのサセプタは、加熱チャンバーの遠位端に配設された共通基部上に取り付けてもよい。共通基部は、隆起していてもよい。共通基部は断熱性の材料を含んでもよく、またはそれから作製されてもよい。これにより、サセプタ間の熱伝達が低減され得る。本明細書に記載されるように、好ましい断熱材料は、例えば、耐熱性プラスチック、ガラス、またはポリマー材料、好ましくは、繊維性材料、エアロゲルおよび発泡体のような空気含有物を含む。
【0041】
ヒーター組立品は、少なくとも第一の加熱ゾーンおよび第二の加熱ゾーンを備える。ヒーター組立品は複数の加熱ゾーンを備えてもよい。使用中、異なる加熱ゾーンは、異なる温度に加熱されてもよい。複数の加熱ゾーンは、互いに直接隣接して位置付けられ得る。ヒーター組立品は、加熱チャンバーの長軸方向軸に沿って分離された異なる加熱ゾーンを含み得る。このことにより、加熱ゾーンを使用して異なるセットのサセプタに熱的に近接したエアロゾル発生物品の異なる部分を加熱することが可能となり得る。例えば、同一のエアロゾル形成基体、または異なるエアロゾル形成基体、またはエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体およびエアロゾル形成体の異なる部品である。
【0042】
加熱チャンバーの長軸方向軸に沿って間隔を置いている複数の加熱ゾーンによって、エアロゾル発生物品の隣接部分を不注意に加熱することなく、異なるセットのサセプタに熱的に近接するエアロゾル発生物品の異なる部分を加熱するように加熱ゾーンを使用することが可能になり得る。例えば、間隙を介したエアロゾル形成基体を加熱することである。例えば、第一の加熱ゾーンで第一のエアロゾル形成基体を加熱すること、および第一の加熱ゾーンで第二のエアロゾル形成基体を実質的に加熱することなく第二の加熱ゾーンで第二のエアロゾル形成基体を加熱すること、または第二の加熱ゾーンで第一のエアロゾル形成基体を実質的に加熱すること。
【0043】
複数の加熱ゾーンは、同じサセプタ材料から形成されてもよい。加熱ゾーンの一つ以上は、少なくとも一つの他の加熱ゾーンのサセプタに対して異なる組成を有するサセプタから形成されてもよく、そのため異なるサセプタ特性を有する。この構成により、第一および第二のサセプタ材料の異なるサセプタ特性のおかげで、第一および第二の加熱ゾーンによって異なる加熱プロフィールが提供され得る。各加熱ゾーンによって提供される熱は、各サセプタの一部を形成するサセプタ材料、または各サセプタが形成される材料の選択によって微調整され得る。これはまた、サセプタの逐次的な加熱を容易にし得る。例えば、交流電流の異なる周波数で最適な加熱が発生するサセプタ材料から加熱ゾーンを形成することによってなどである。第一および第二の加熱ゾーンは、異なる温度サイクルを有し得る。
【0044】
ヒーター組立品は、サセプタの追加のセットおよび長軸方向に分離された追加の加熱ゾーンを含んでもよい。例えば、ヒーター組立品は、加熱チャンバーの第三の加熱ゾーンを加熱するように構成された第三のセットのサセプタを含んでもよい。ヒーター組立品は、加熱チャンバーの第四の加熱ゾーンを加熱するように構成された第四のセットのサセプタを含んでもよい。
【0045】
ヒーター組立品は、第一の加熱ゾーンを加熱するための第一のインダクタコイル、および第二の加熱ゾーンを加熱するための第二のインダクタコイルを備えてもよい。
【0046】
ヒーター組立品は、第一および第二の加熱ゾーンの両方を加熱するための単一のインダクタコイルを備えてもよい。
【0047】
ヒーター組立品は、第一および第二のセットのサセプタの一つまたは両方のサセプタの少なくとも一部分を加熱するための、一つ以上のインダクタコイルを備えてもよい。ヒーター組立品は、第一のセットのサセプタを加熱するための第一インダクタコイル、および第二のセットのサセプタを加熱するための第二のインダクタコイルを含み得る。ヒーター組立品は、第一のセットのサセプタおよび第二のセットのサセプタの両方を加熱するための単一のインダクタコイルを備えてもよい。
【0048】
一つ以上のインダクタコイルの磁気軸は、加熱チャンバーの長軸方向軸に対してある角度を有してもよい、すなわち、非平行であってもよい。好ましい実施形態において、一つ以上のインダクタコイルの磁気軸は、加熱チャンバーの長軸方向軸と実質的に平行である。これは、よりコンパクトな配設を容易にする場合がある。サセプタの少なくとも一部分は、一つ以上のインダクタコイルの磁気軸と実質的に平行であることが好ましい。これは、一つ以上のインダクタコイルによるサセプタ素子またはサセプタの均一な加熱を容易にし得る。特に好ましい実施形態において、サセプタは、一つ以上のインダクタコイルの磁気軸、および加熱チャンバーの長軸方向軸と実質的に平行である。
【0049】
本発明は、本明細書に記載のヒーター組立品を備えるエアロゾル発生装置にさらに関する。
【0050】
エアロゾル発生装置は、一つ以上のインダクタコイルに接続されたコントローラと、電源と、を含み得る。コントローラは、電源からインダクタへの電力供給を制御するように構成され得る。コントローラは、マイクロプロセッサを備えてもよく、これはプログラマブルマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または特定用途向け集積回路チップ(ASIC)もしくは制御を提供する能力を有するその他の電子回路であってもよい。コントローラは、さらなる電子構成要素を備えてもよい。コントローラは一つ以上のインダクタコイルへの電流供給を調節するよう構成され得る。電流はエアロゾル発生装置の起動後、一つ以上のインダクタコイルに連続的に供給されてもよく、または断続的に(毎回の吸煙ごとなど)供給されてもよい。電気回路は有利なことにDC/ACインバータを備えてもよく、これはクラスDまたはクラスEの電力増幅器を備えてもよい。コントローラは、第一の加熱ゾーンおよび第二の加熱ゾーンを独立して制御するように構成され得る。コントローラは、第一の加熱ゾーンを加熱するための第一のインダクタコイル、および第二の加熱ゾーンを加熱するための第二の加熱コイルを独立して制御するように構成されてもよい。
【0051】
本発明はさらに、本明細書に記載のヒーター組立品を備えるエアロゾル発生装置と、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムに関する。エアロゾル発生物品は、加熱チャンバーの中に少なくとも部分的に挿入されるように構成されてもよい。
【0052】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品の第一の長軸方向位置に位置し、エアロゾル発生物品が加熱チャンバーの中に挿入される時に、第一の加熱ゾーンで第一のセットサセプタによって加熱されるように構成される、第一のエアロゾル形成基体を含んでもよい。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品の第二の長軸方向位置に位置し、エアロゾル発生物品が加熱チャンバーの中に挿入される時に、第二の加熱ゾーンで第二のセットのサセプタによって加熱されるように構成される、第二のエアロゾル形成基体を含んでもよい。
【0053】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体を含む中空管状基体部分を含み得る。中空管状基体部分は、管状タバコマットから形成されてもよい。
【0054】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体を指す。揮発性化合物はエアロゾル形成基体を加熱する、または燃焼することによって放出されてもよい。加熱または燃焼に代わるものとして、一部の場合において、化学反応によって、または超音波などの機械的な刺激によって揮発性化合物が放出されてもよい。エアロゾル形成基体は固体または液体であってもよく、または固体構成成分と液体構成成分の両方を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の一部であってもよい。
【0055】
本明細書で使用される「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成基体を含む物品を指す。エアロゾル発生物品は使い捨てであってもよい。
【0056】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾル形成基体と相互作用してエアロゾルを発生する装置を指す。エアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品と、エアロゾル形成基体を含むカートリッジの一方または両方と相互作用してもよい。一部の実施例において、エアロゾル発生装置はエアロゾル形成基体を加熱して、基体からの揮発性化合物の放出を容易にする場合がある。電気的に作動するエアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体を加熱してエアロゾルを形成するための、電気ヒーターなどのアトマイザーを備えてもよい。
【0057】
本明細書で使用される場合、用語「エアロゾル発生システム」は、エアロゾル発生装置とエアロゾル形成基体の組み合わせを指す。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の一部を形成する時、エアロゾル発生システムはエアロゾル発生装置とエアロゾル発生物品の組み合わせを指す。エアロゾル発生システムでは、エアロゾル形成基体およびエアロゾル発生装置は協働して、エアロゾルを発生する。
【0058】
本明細書で使用される「長軸方向」という用語は、ヒーター組立品の主軸、エアロゾル発生装置の主軸、エアロゾル発生物品の主軸、またはエアロゾル発生装置またはエアロゾル発生物品の構成要素の主軸に沿った方向を説明するために使用され、「横断」という用語は、長軸方向と直角を成す方向を説明するために使用される。加熱チャンバーを参照する時、「長軸方向」という用語は、エアロゾル発生物品がチャンバーの中に挿入される方向を指し、「横断」という用語は、エアロゾル発生物品がチャンバーの中に挿入される方向と直角を成す方向を指す。
【0059】
概して、加熱チャンバーはエアロゾル発生物品が挿入される開端部と、開端部と反対側の閉端部とを有し得る。こうした実施形態において、長軸方向は開端部と閉端部との間に延びる方向である。特定の実施形態において、加熱チャンバーの長軸方向軸は、エアロゾル発生装置の長軸方向軸と平行である。例えば、チャンバーの開端部はエアロゾル発生装置の近位端に位置付けられている。その他の実施形態において、加熱チャンバーの長軸方向軸は、エアロゾル発生装置の長軸方向軸に対して角度を成し、例えばエアロゾル発生装置の長軸方向軸に対して横断方向である。例えば、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の長軸方向軸と直角を成す方向に加熱チャンバーの中に挿入され得るように、加熱チャンバーの開端部がエアロゾル発生装置の一方の側に沿って位置付けられている場合である。
【0060】
本明細書で使用される「近位」という用語は、ユーザー端またはエアロゾル発生装置の口側端を指し、また「遠位」という用語は、近位端の反対側の端を指す。同様に、加熱組立品またはサセプタに関して、用語「近位」は、使用中にユーザーに最も近い方向を指し、用語「遠位」は、使用中にユーザーから離れた方向を指す。相応して、エアロゾル発生装置、加熱組立品、サセプタ、および加熱チャンバーのそれぞれは、近位端および対向する遠位端を有する。加熱チャンバーまたはインダクタコイルに言及する時、「近位」という用語は、加熱チャンバーの開端部に最も近い領域を指し、「遠位」という用語は、閉端部に最も近い領域を指す。エアロゾル発生装置または加熱チャンバーの端部はまた、エアロゾル発生装置を通して空気が流れる方向に関して言及され得る。近位端は「下流端」と呼ばれることがあり、また遠位端は「上流端」呼ばれることがある。
【0061】
本明細書で使用される場合、「長さ」という用語は、サセプタの、加熱チャンバーの、エアロゾル発生装置の、エアロゾル発生物品の、またはエアロゾル発生装置もしくはエアロゾル発生物品の構成要素の長軸方向における主要な寸法を指す。
【0062】
本明細書で使用される「幅」という用語は、サセプタの、加熱チャンバーの、エアロゾル発生装置の、エアロゾル発生物品の、またはエアロゾル発生装置もしくはエアロゾル発生物品の構成要素の、その長さに沿った特定の場所での、横断方向における主要な寸法を指す。「厚さ」という用語は、幅と直角を成す横断方向における寸法を指す。
【0063】
以下に、非限定的な実施例の非網羅的なリストが提供される。これらの実施例の特徴のうちの任意の一つ以上は、本明細書に記述される別の実施例、実施形態、または態様のうちの任意の一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【0064】
実施例A:
エアロゾル発生装置用のヒーター組立品であって、
エアロゾル形成基体を加熱するための加熱チャンバーと、
加熱チャンバーの第一の加熱ゾーンを加熱するように構成された第一のセットのサセプタと、
加熱チャンバーの第二の加熱ゾーンを加熱するように構成された第二のセットのサセプタと、を備え、
第一の加熱ゾーンおよび第二の加熱ゾーンが、加熱チャンバーの異なる長軸方向位置に配設される、ヒーター組立品。
実施例B:
第一の加熱ゾーンが、加熱チャンバーの長軸方向軸に対して第二の加熱ゾーンの遠位に配設される、実施例Aに記載のヒーター組立品。
実施例C:
第一および第二のセットのサセプタの一方または両方のサセプタが、加熱チャンバーの長軸方向軸に沿って細長い、実施例Aまたは実施例Bに記載のヒーター組立品。
実施例D:
第一および第二のセットのサセプタの一方または両方が、加熱チャンバーの周りに円周方向に配設される、実施例A~Cのいずれかに記載のヒーター組立品。
実施例E:
第一のセットのサセプタのサセプタと第二のセットのサセプタのサセプタが交互に配設され、その結果、第一のセットのサセプタが、第二のセットの二つのサセプタに隣接する、実施例Dに記載のヒーター組立品。
実施例F:
第一および第二のセットのサセプタの一方または両方のサセプタが、加熱チャンバーの中に挿入された後にエアロゾル発生物品をしっかりと保持するために、加熱チャンバーの長軸方向軸に直交する方向に可撓性である、実施例A~Eのいずれかに記載のヒーター組立品。
実施例G:
第一および第二のセットのサセプタの一方または両方のサセプタの少なくとも一部分が、加熱チャンバーの長軸方向に沿った湾曲した形状を含む、実施例A~Fのいずれかに記載のヒーター組立品。
実施例H:
第一および第二のセットのサセプタの一方または両方のサセプタの少なくとも一部分が、加熱チャンバーの長軸方向に沿ったS字形状を含む、実施例Gに記載のヒーター組立品。
実施例I:
第二のセットのサセプタのサセプタが、第一のセットのサセプタのサセプタよりも長く、加熱チャンバーの長軸方向軸に対して平行に測定される、実施例A~Hのいずれかに記載のヒーター組立品。
実施例J:
第二のセットのサセプタのサセプタが、より薄い遠位部分およびより広い近位部分を含む、実施例A~Iのいずれかに記載のヒーター組立品。
実施例K:
第二のセットのサセプタのサセプタがパドル様の形状を形成する、実施例A~Jのいずれかに記載のヒーター組立品。
実施例L:
第一および第二のセットのサセプタのサセプタの一方または両方の加熱表面が、ハチの巣状のパターンで配設される、実施例A~Kのいずれかに記載のヒーター組立品。
実施例M:
第一のセットのサセプタのサセプタの加熱表面と、第二のセットのサセプタのサセプタの加熱表面との間にギャップが提供される、実施例A~Lのいずれかに記載のヒーター組立品。
実施例N:
サセプタのセット内のサセプタの加熱表面の間にギャップが提供される、実施例A~Mのいずれかに記載のヒーター組立品。
実施例O:
第一のセットのサセプタのサセプタの形状が、第二のセットのサセプタのサセプタの形状とは異なる、実施例A~Nのいずれかに記載のヒーター組立品。
実施例P:
第一のセットのサセプタのサセプタの材料が、第二のセットのサセプタのサセプタの材料とは異なる、実施例A~Oのいずれかに記載のヒーター組立品。
実施例Q:
第一および第二のセットのサセプタが、加熱チャンバーの遠位端に配設された共通基部上に取り付けられる、実施例A~Pのいずれかに記載のヒーター組立品。
実施例R:
第一のセットのサセプタを加熱するための第一のインダクタコイルと、第二のセットのサセプタを加熱するための第二のインダクタコイルとを含む、実施例A~Qのいずれかに記載のヒーター組立品。
実施例S:
第一のセットのサセプタおよび第二のセットのサセプタの両方を加熱するための単一のインダクタコイルを含む、実施例A~Qのいずれかに記載のヒーター組立品。
実施例T:
サセプタの少なくとも一部分が、炭化ケイ素、モリブデン、グラファイト、ステンレス鋼、ステンレス鋼合金、Kovar(登録商標)、銅、銅タングステン合金、銅モリブデン合金、ならびにニッケル、銀、金、銀-白金合金、および銀-パラジウム合金などの電気メッキ導電体を含むか、またはそれらから作製される、実施例A~Sのいずれかに記載のヒーター組立品。
実施例U:
サセプタの少なくとも一部分が、形状記憶材料を含むか、または形状記憶材料から作製される、実施例A~Tのいずれかに記載のヒーター組立品。
実施例V:
実施例A~Uのいずれかに記載のヒーター組立品を備えるエアロゾル発生装置。
実施例W:
実施例Vに記載のエアロゾル発生装置と、エアロゾル形成基体を備えるエアロゾル発生物品を備え、エアロゾル発生物品が、加熱チャンバーの中に少なくとも部分的に挿入されるように構成される、エアロゾル発生システム。
実施例X:
エアロゾル発生物品が、エアロゾル発生物品が加熱チャンバーの中に挿入される時、エアロゾル発生物品の第一の長軸方向位置に位置し、第一の加熱ゾーンで第一のセットのサセプタによって加熱されるように構成される、第一のエアロゾル形成基体と、エアロゾル発生物品が加熱チャンバーの中に挿入される時、エアロゾル発生物品の第二の長軸方向位置に位置し、第二の加熱ゾーンで第二のセットのサセプタによって加熱されるように構成される、第二のエアロゾル形成基体と、を含む、実施例Wに記載のエアロゾル発生システム。
【0065】
一実施形態に関して説明される特徴は、本発明の他の実施形態にも等しく適用されてもよい。
【0066】
例証としてのみであるが、添付図面を参照しながら本発明をさらに記述する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1図1は、本発明のヒーター組立品を示す。
図2図2a~2fは、個々のサセプタを示す。
図3図3は、交互配設の二つのセットのサセプタを示す。
図4図4aおよび4bは、本発明のヒーター組立品の中に挿入されるエアロゾル発生物品および物品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0068】
図1aおよび1bは、断面図でエアロゾル発生装置の一部であるものとしての本発明のヒーター組立品10を示す。点線は、ヒーター組立品10の中央長軸方向軸12を示す。ヒーター組立品10は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体を加熱するための加熱チャンバー14を備える。二つのセットのサセプタ、すなわち第一のセットのサセプタ16と第二のセットのサセプタ18は、加熱チャンバー14の遠位部分に円周方向に配設される。図1aおよび1bは、同じヒーター組立品10を示す。しかしながら、図1bは、第一のセットのサセプタ16が、加熱チャンバー14の第一の加熱ゾーン20を加熱するように構成され、第二のセットのサセプタ18が、加熱チャンバー14の第二の加熱ゾーン22を加熱するように構成されることを視覚化する。第一の加熱ゾーン20および第二の加熱ゾーン22は、加熱チャンバー14の異なる長軸方向位置に配設される。ヒーター組立品10は、第一のセットのサセプタ16を加熱するための第一のインダクタコイル24と、第二のセットのサセプタ18を加熱するための第二のインダクタコイル26とをさらに備える。第一のインダクタコイル24および第二のインダクタコイル26は、サセプタ配設を同軸に取り囲む加熱チャンバー14の異なる長軸方向位置に対応するように配設される。インダクタコイル24、26とサセプタ16、18との間の同軸に、熱絶縁管28が提供される。
【0069】
サセプタ16、18は、加熱チャンバー14の遠位端の隆起した共通支持基部30上に取り付けられる。ヒーター組立品10はまた、遠位の熱絶縁体部材32、空気入口34、封止部材36、およびハウジング38を含む。
【0070】
個々のサセプタ16、18は、物理的に互いに接触しない。隣接するサセプタ16、18の間にはギャップがある。したがって、異なるセットのサセプタのサセプタ16、18の間にギャップがある。異なるセットのサセプタ16、18間のギャップにより、異なる加熱ゾーン間の熱伝達が低減される。
【0071】
また、一つのセット内のサセプタ間の長軸方向のギャップもある。一つのセットのサセプタ内のサセプタ間のギャップにより、空気入口34からサセプタ間のギャップを通して、および中央長軸方向軸12で加熱チャンバー14の中央領域内への横方向の気流が可能である。これは、特に、中空管状エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品を加熱チャンバー14内に挿入する時に、エアロゾル発生を有利に改善し得る。
【0072】
図2a~2fは、図1aおよび1bのヒーター組立品10の二つのセットのサセプタの個々のサセプタ16、18を示す。第一および第二のセットのサセプタ16、18の両方の各サセプタ16、18は、加熱チャンバーの長軸方向軸に沿って細長い。
【0073】
図2a~2cは、第一のセットのサセプタのサセプタ16の正面図、側面図、および上面図をそれぞれ示す。図2aの正面図は、ステム40、加熱表面42、および先端44を含むサセプタ16を示す。図1aおよび1bのヒーター組立品では、各サセプタ16の遠位端は、ステム40で共通支持基部30に取り付けられる。エアロゾル発生物品が加熱チャンバー14の中に挿入されると、加熱表面42は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と密接に熱接触する。
【0074】
図2bの側面図および図2cの上面図は、先端44が傾斜していることを示す。これにより、エアロゾル発生物品の挿入を容易にする第一のサセプタ16の円周方向に配設されたセットの近位端にフレア形状が生じる。
【0075】
図2d~2fは、第二のセットのサセプタ18のサセプタ18の正面図、側面図、および上面図をそれぞれ示す。第二のセットのサセプタのサセプタ18は、第一のセットのサセプタのサセプタ16よりも長く、加熱チャンバーの長軸方向軸に対して平行に測定される。図2dの正面図は、より薄い遠位部分およびより広い近位部分を含む、第二のセットのサセプタ18のサセプタ18を示す。サセプタ18は、パドル様の形状を形成する。サセプタ18は、ステム46、湾曲部分48、加熱表面50、および先端52を含む。図1aおよび1bのヒーター組立品では、各サセプタ18の遠位端は、ステム46で共通支持基部30に取り付けられる。湾曲部分48は、加熱チャンバーの長軸方向に沿って湾曲した形状を有する。これにより、横方向に突出する部分が生じる。部分48の湾曲した形態は、図2eの側面図に示されている。組み立てられた状態では、部分48は、加熱チャンバーの長軸方向中心軸から離れて湾曲している。加熱チャンバー14の長軸方向に沿ったサセプタ18のS字形状が示されている。それによって、エアロゾル発生物品が加熱チャンバー14の中に挿入される時、加熱表面50のみが、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と密接に熱接触する。第二のサセプタ18は有利には、第一の加熱ゾーン20の領域でエアロゾル発生物品に接触せず、したがって加熱しない。
【0076】
図2eの側面図および図2fの上面図は、先端52が傾斜していることを示す。これにより、エアロゾル発生物品の挿入を容易にする第二のサセプタ18の円周方向に配設されたセットのフレア形状がもたらされる。
【0077】
図3は、図1aおよび1bのヒーター組立品における第一および第二のサセプタ16、18の交互配設を可視化する。第一のセットの各サセプタ16は、第二のセットの二つのサセプタ18に隣接している。図3はまた、第一および第二のセットのサセプタのサセプタ16、18の加熱表面42、50が、ハチの巣状のパターンで配設されていることも示す。図3はまた、個々のサセプタ間のギャップも示す。提示を容易にするために、図3は、図1aおよび1bの組み立てられた状態の中心軸12の周りの円周方向配置の代わりに、平坦な配置のサセプタ16、18を示す。
【0078】
サセプタの細長い形状、およびそのステム40、46で共通支持基部30に取り付けられるサセプタにより、サセプタは横断方向、特にその先端44、52で可撓性である。このサセプタ16、18のばねのような可撓性は、エアロゾル発生物品の加熱チャンバー14の中への挿入を容易にする。また、可撓性のあるサセプタ16、18は、挿入されたエアロゾル発生物品の把持を改善し、しっかりと保持するようにする。エアロゾル発生物品が加熱チャンバー14の中に挿入される前に、加熱表面42、50と中心軸12の最も近い点との間の距離は、エアロゾル発生物品の直径よりも小さくてもよい。しかしながら、エアロゾル発生物品が誘導加熱チャンバー14の中に挿入されると、サセプタ16、18のばねのような特性は、それらを中心軸12から横方向に押し離し、エアロゾル発生物品を貫通することなく、エアロゾル発生物品を所定の位置で担持することを可能にする。したがって、ヒーター表面42、50は、エアロゾル発生物品に対して横方向に押すことで、エアロゾル発生物品をしっかりと保持し、密接な熱接触を提供する。同時に、エアロゾル発生物品は、長軸方向軸12に沿って引っ張り出すことによって、加熱チャンバー14から静かに取り外されてもよい。これはさらに、低摩擦係数を有するように構成されるヒーター表面42、50によって促進され得る。
【0079】
図4aは、本発明のヒーター組立品を備えるエアロゾル発生装置で使用するためのエアロゾル発生物品54を示す。エアロゾル発生物品54は、その遠位端における固体エアロゾル形成基体の二つの部分56、58と、その近位端60におけるマウスピースフィルター(図示せず)を含むマウスピースと、を備える中空円筒形管を備える。
【0080】
図4bは、図1aおよび1bのヒーター組立品10の加熱チャンバー14の中に挿入されている、図4aのエアロゾル発生物品54を示す。エアロゾル発生物品54の遠位端は、エアロゾル発生物品54の中空円筒形管がサセプタ配設によって円周方向に囲まれるように、加熱チャンバー14の中に挿入される。
【0081】
エアロゾル形成基体56の第一の部分は、第一のセットのサセプタのサセプタ16の加熱表面42によって囲まれ、かつ密接に熱接触している。エアロゾル形成基体56の第一の部分は、第一の加熱ゾーン20内に配設される。エアロゾル形成基体58の第二の部分は、第二のセットのサセプタのサセプタ18の加熱表面50によって囲まれ、かつ密接に熱接触している。エアロゾル形成基体58の第二の部分は、第二の加熱ゾーン22内に配設される。
【0082】
使用中、空気は、空気入口34に進入し、その後、サセプタ16、18の間を通り横方向に伝播し、さらにエアロゾル形成基体56、58に入ってもよい。次いで、形成されたエアロゾルは、エアロゾル発生物品54の中空コア内に横方向に伝播し、その後、エアロゾル発生物品54の近位端60でマウスピースに向かって長軸方向に伝播してもよく、ここでユーザーはエアロゾルを吸入してもよい。
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
図3
図4a
図4b
【手続補正書】
【提出日】2023-05-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置用ヒーター組立品であって、
エアロゾル形成基体を加熱するための加熱チャンバーと、
前記加熱チャンバーの第一の加熱ゾーンを加熱するように構成された第一のセットの二つ以上のサセプタと、
前記加熱チャンバーの第二の加熱ゾーンを加熱するように構成された第二のセットの二つ以上のサセプタと、を備え、
前記第一の加熱ゾーンおよび前記第二の加熱ゾーンが、前記加熱チャンバーの異なる長軸方向位置に配設される、ヒーター組立品。
【請求項2】
前記第一および第二のセットのサセプタの一方または両方のサセプタが、前記加熱チャンバーの長軸方向軸に沿って細長い、請求項1に記載のヒーター組立品。
【請求項3】
前記第一および第二のセットのサセプタの一方または両方が、前記加熱チャンバーの周りに円周方向に配設される、請求項1または請求項2に記載のヒーター組立品。
【請求項4】
前記第一のセットのサセプタの前記サセプタと前記第二のセットのサセプタの前記サセプタが交互に配設され、その結果、前記第一のセットのサセプタが、前記第二のセットの二つのサセプタに隣接する、請求項3に記載のヒーター組立品。
【請求項5】
前記第一および第二のセットのサセプタの一方または両方のサセプタが、前記加熱チャンバーの中に挿入された後にエアロゾル発生物品をしっかりと保持するために、前記加熱チャンバーの前記長軸方向軸に直交する方向に可撓性である、請求項1~4のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項6】
前記第一および第二のセットのサセプタの一方または両方のサセプタの少なくとも一部分が、前記加熱チャンバーの長軸方向に沿った湾曲した形状を含む、請求項1~5のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項7】
前記第二のセットのサセプタのサセプタが、前記第一のセットのサセプタのサセプタよりも長く、前記加熱チャンバーの前記長軸方向軸に対して平行に測定される、請求項1~6のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項8】
前記第二のセットのサセプタのサセプタが、より薄い遠位部分およびより広い近位部分を含み、前記近位という用語が、使用中のユーザーに近い方向を指し、前記遠位という用語が、使用中のユーザーから遠い方向を指す、請求項1~7のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項9】
前記第二のセットのサセプタのサセプタがパドル様の形状を形成する、請求項1~8のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項10】
前記第一のセットのサセプタの前記サセプタの加熱表面と、前記第二のセットのサセプタの前記サセプタの加熱表面との間にギャップが提供される、請求項1~9のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項11】
一つのセットのサセプタ内の前記サセプタの加熱表面の間にギャップが提供される、請求項1~10のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項12】
前記第一のセットのサセプタのサセプタの形状が、前記第二のセットのサセプタのサセプタの形状とは異なっている、請求項1~11のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項13】
前記第一および第二のセットのサセプタが、前記加熱チャンバーの遠位端に配設される共通基部上に取り付けられる、請求項1~12のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項14】
請求項1~13のいずれかに記載のヒーター組立品を備えるエアロゾル発生装置。
【請求項15】
請求項14に記載のエアロゾル発生装置と、エアロゾル形成基体を備えるエアロゾル発生物品とを備え、前記エアロゾル発生物品が、前記加熱チャンバーの中に少なくとも部分的に挿入されるように構成される、エアロゾル発生システム。
【国際調査報告】