(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-07
(54)【発明の名称】Z字形輪郭を伴う複合材料の構造要素を製造するための方法およびデバイス
(51)【国際特許分類】
B29C 70/38 20060101AFI20231130BHJP
B29C 70/54 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
B29C70/38
B29C70/54
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023530899
(86)(22)【出願日】2021-11-23
(85)【翻訳文提出日】2023-07-19
(86)【国際出願番号】 IB2021060870
(87)【国際公開番号】W WO2022107109
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】102020000028046
(32)【優先日】2020-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518160436
【氏名又は名称】レオナルド・エッセ・ピ・ア
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ・ガッロ
(72)【発明者】
【氏名】ステファノ・ジュゼッペ・コルヴァグリア
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ・ミアニ
(72)【発明者】
【氏名】ルカ・モノポリ
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ・ルベルト
(72)【発明者】
【氏名】マルコ・バリレ
【テーマコード(参考)】
4F205
【Fターム(参考)】
4F205AC03
4F205AD16
4F205AG24
4F205AH31
4F205AR07
4F205HA14
4F205HA23
4F205HA37
4F205HA45
4F205HB01
4F205HT26
(57)【要約】
直線または曲線の長手方向(D)に沿って延び、Z字形の断面を有し、その最終的な構成において、中心ウェブ(2a)と、ウェブ(2a)の両端部分からそれぞれ互いに反対方向に所与の最終角度で延びる2つのフランジ(2b、2c)とを備える複合材料の構造要素(2)を製造するための方法が記載されており、方法は、複合材料の複数の層(3)を形成型の成形部(4)に配置するステップと、ウェブ(2a)の少なくとも一部分が、その最終的な構成において配置され、第1のフランジ(2b)が、その最終的な構成において、その最終的な構成において配置されるウェブ(2a)の一部分に対して最終角度で配置され、第2のフランジ(2c)が、その初期の構成において、その最終的な構成において配置されるウェブ(2a)の一部分に対して、最終角度とは違うより大きい初期角度で配置されるように、複数の層(3)を成形部(4)に積層するステップと、形成型の固定部分(5)に対して静止位置から曲げ位置へと移動可能である形成型の移動可能部分(6)を移動させるステップと、第2のフランジ(2c)を、初期の構成から、その最終的な構成において配置されるウェブ(2a)の一部分に対して最終角度にある最終的な構成へと変位させるステップとを含み、変位させるステップd)は、移動させるステップc)を用いて実行される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線または曲線の長手方向(D)に沿って延び、前記長手方向(D)に関してZ字形の断面を有し、その最終的な構成において、中心ウェブ(2a)と、前記ウェブ(2a)の両端部分からそれぞれ互いに反対方向に所与の最終角度で延びる2つのフランジ(2b、2c)とを備える複合材料の構造要素(2)を製造するための方法であって、
a) 複合材料の複数の層(3)を形成型の成形部(4)に配置するステップと、
b) 前記ウェブ(2a)の少なくとも一部分が、その最終的な構成において配置され、第1のフランジ(2b)が、その最終的な構成において、その最終的な構成において配置される前記ウェブ(2a)の前記一部分に対して前記最終角度で配置され、第2のフランジ(2c)が、その初期の構成において、その最終的な構成において配置される前記ウェブ(2a)の前記一部分に対して、前記最終角度とは違うより大きい初期角度で配置されるように、前記複数の層(3)を前記成形部(4)に積層するステップと、
c) 前記形成型の固定部分(5)に対して静止位置から曲げ位置へと移動可能である前記形成型の移動可能部分(6)を移動させるステップであって、前記固定部分(5)と前記移動可能部分(6)とは一緒に前記成形部(4)を定め、前記成形部(4)は、前記固定部分(5)の外部形成面によって一部定められ、前記移動可能部分(6)の外部形成面によって一部定められる、ステップと、
d) 前記第2のフランジ(2c)を、前記初期の構成から、その最終的な構成において配置される前記ウェブ(2a)の前記一部分に対して前記最終角度にある最終的な構成へと変位させるステップと
を含み、
積層する前記ステップb)は、前記第2のフランジ(2c)を前記移動可能部分(6)に配置することで実行され、
変位させる前記ステップd)は、移動させる前記ステップc)を用いて実行される、方法。
【請求項2】
移動させる前記ステップc)は、
e) 前記移動可能部分(6)を用いて前記第2のフランジ(2c)を押すステップを含み、
変位させる前記ステップd)は、
f) 前記静止位置から前記折り位置への前記移動可能部分(6)の移動を用いて、前記第2のフランジ(2c)を前記初期の構成から前記最終的な構成へと折るステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
移動させる前記ステップc)は、流体力学的アクチュエータまたは電気力学的アクチュエータ(8、8')を駆動することを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
配置する前記ステップa)は、前記第2のフランジ(2c)を前記移動可能部分(6)に位置決めすることで実行され、
移動させる前記ステップc)は、弾性戻し手段(8'')を変形状態から非変形状態へと解放することを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
h) 少なくとも前記ウェブ(2a)が当接体(11)と前記成形部(4)との間に介在させられるように、前記当接体(11)を前記複数の層(3)に当てて配置するステップと、
i) 少なくとも前記ウェブ(2a)を圧縮するために、前記当接体(11)を前記成形部(4)に向けて移動させるステップと
をさらに含み、
変位させる前記ステップd)は、前記移動可能部分(6)が前記当接体(11)に当接するまで、前記移動可能部分(6)を用いて前記第2のフランジ(2c)を押すことで実行される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
直線または曲線の長手方向(D)に沿って延び、前記長手方向(D)に関してZ字形の断面を有し、複合材料の複数の層(3)を備え、その最終的な構成において、中心ウェブ(2a)と、前記ウェブ(2a)の両端部分からそれぞれ互いに反対方向に所与の最終角度で延びる2つのフランジ(2b、2c)とを有する複合材料の構造要素(2)を製造するためのデバイス(1、1'、1'')であって、
前記デバイス(1、1'、1'')は、複合材料の前記複数の層(3)を支持するように構成される成形部(4)を有する形成型を備え、複合材料の前記複数の層(3)は、使用中に、前記ウェブ(2a)の少なくとも一部分が、その最終的な構成において配置され、第1のフランジ(2b)が、その最終的な構成において、その最終的な構成において配置される前記ウェブ(2a)の前記一部分に対して前記最終角度で配置され、第2のフランジ(2c)が、その初期の構成において、その最終的な構成において配置される前記ウェブ(2a)の前記一部分に対して、前記最終角度とは違うより大きい初期角度で配置されるように、前記成形部(4)に配置され、前記成形部(4)において一体に積層されるように構成され、
前記デバイス(1、1'、1'')、具体的には前記形成型は、固定部分(5)と、前記固定部分(5)に対して移動可能である移動可能部分(6)とを備え、前記固定部分(5)と前記移動可能部分(6)とは一緒に前記成形部(4)を定め、前記成形部(4)は、前記固定部分(5)の外部形成面によって一部定められ、前記移動可能部分(6)の外部形成面によって一部定められ、
前記第2のフランジ(2c)は、前記移動可能部分(6)において配置および積層されるように構成され、
前記移動可能部分(6)は、前記第2のフランジ(2c)を前記初期の構成から前記最終的な構成へと移動させるために、静止位置から曲げ位置へと移動させられるように構成される、デバイス(1、1'、1'')。
【請求項7】
前記移動可能部分(6)を前記静止位置から前記曲げ位置へと移動させるために駆動可能な流体力学的アクチュエータまたは電気力学的アクチュエータ(8、8')を備える、請求項6に記載のデバイス(1、1')。
【請求項8】
前記固定部分(5)と前記移動可能部分(6)との間に介在させられ、前記静止位置から前記曲げ位置への前記移動可能部分(6)の前記移動を駆動するために、変形位置から非変形位置へと解放されるように構成される弾性戻し手段(8'')を備える、請求項6に記載のデバイス(1、1')。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本特許出願は、2020年11月23日に出願されたイタリア特許出願第102020000028046号からの優先権を主張し、その特許出願の全体の開示は、本明細書において参照により組み込まれている。
【0002】
本発明は、直線または曲線の長手方向に沿って延び、長手方向に関してZ字形の断面を有する複合材料の構造要素を製造するための方法に関し、詳細には、航空分野で使用され、例えば、以下の記載が一般性を失うことなく明示的に言及する飛行機の機体の梁、ストリンガ、桁など、航空機の構造の一部を形成する複合材料の構造要素を製造するための方法に関する。
【0003】
本発明は、直線または曲線の長手方向に沿って延び、長手方向に関してZ字形の断面を有する複合材料の構造要素を製造するためのデバイスに関し、詳細には、航空分野で使用され、例えば、以下の記載が一般性を失うことなく明示的に言及する飛行機の機体の梁、ストリンガ、桁など、航空機の構造の一部を形成する複合材料の構造要素を製造するためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0004】
複合材料で作られ、航空分野で使用される機体およびその部品などの構造要素が、知られている。前記材料の使用は、航空機の全体の重量を低減するために、および、飛行構造の腐食の問題を排除または最小限にするために、必要により決定付けられる。
【0005】
最先端の技術によれば、軽合金、つまり、金属材料で製作されてから機体に適用されなければならない飛行構造要素がある。
【0006】
前記金属要素の使用、および、複合材料において構造と接触しての前記金属要素の組み立ては、金属の腐食に関連する危険性と結び付けられるガルバニックの問題と、検査レベルを高める必要性とをもたらす。これは、これらの構成要素の生産者にとって、延いては航空会社にとって、全体コストの増加につながる。
【0007】
そのため、これらの構造要素も複合材料で作る必要性が生じている。
【0008】
複合材料の使用は、飛行機の全体の重量を低減することができ、同時に非常に強力な構造を得ることができる。
【0009】
上記の構造要素を製作するために、未硬化または予備硬化の複合材料の複数の層が、構造要素に付与される形に依存して、適切に成形された形成工具に置かれる。
【0010】
複合材料は、通常は繊維材料である。具体的には、各々の層は、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維など、様々な種類の繊維で補強された熱硬化性の(樹脂)マトリックスプリプレグから通常は成る。
【0011】
このように得られた層は、形成工具において一体に積層される。
【0012】
積層の後、形成過程は、通常は真空の助けによって形成型で実行され、この方法では、層は圧縮され、所望の形(例えば、T字形、Z字形、C字形、Ω字形の輪郭など)が構造要素に与えられる。
【0013】
そのように形成された組立体は、その後、複合材料を硬化させ、前述の層を一体に圧縮するように、高い圧力および温度を適用することで、硬化型において硬化過程を受ける。
【0014】
例えば梁、ストリンガ、桁など、直線または曲線の長手方向に沿って延び、長手方向に関してZ字形の断面を有し(すなわち、Z字形の輪郭を有し)、構造要素のウェブを定める中心部分と、ウェブの両側に配置され、ウェブに対して直角の2つのそれぞれの翼部またはフランジを定め、Z字形の輪郭を正確に定めるように互いに反対方向に延びる2つの端部分とを有する複合材料の構造要素が、知られている。
【0015】
容易に自動化できる動作を用いて、好ましくは、自動動作を用いて、作業者の手作業の助けなしで、複合材料の構造要素をZ字形の輪郭で製作する分野において、必要性が感じられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、直線または曲線の長手方向に沿って延び、長手方向に関してZ字形の断面を有する複合構造要素を製造するための方法を提供することであり、これによって、既知の種類のZ字形の断面を伴う複合材料の構造要素に関連付けられる前述の必要性を、簡単で経済的な方法で満たすことができる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によれば、この目的は、請求項1において請求されているような、Z字形の断面を伴う複合材料の構造要素を製造するための方法によって達成される。
【0018】
本発明のさらなる目的は、直線または曲線の長手方向に沿って延び、長手方向に関してZ字形の断面を有する複合材料の構造要素の製造のためのデバイスを実現することであり、これによって、既知の種類のZ字形の断面を伴う複合材料の構造要素に関連付けられる前述の必要性を、簡単で経済的な方法で満たすことができる。
【0019】
本発明によれば、この目的は、請求項8において請求されているような、Z字形の断面を伴う複合材料の構造要素の製造のためのデバイスによって達成される。
【0020】
本発明のより良い理解のために、いくつかの好ましい非限定的な実施形態が、純粋に例を用いて、添付の図面の助けで、以下に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】明確性の目的のために一部が除去されている、Z字形の輪郭を伴う複合材料の構造要素の製造のためのデバイスの一部の斜視図である。
【
図2】
図1におけるデバイスを用いて得られたZ字形の輪郭を伴う複合材料の構造要素の斜視図である。
【
図3】拡大した尺度で、明確性の目的のために一部が除去されている、所与の動作条件の間の
図1のデバイスの詳細の概略的な上面図である。
【
図4A】明確性の目的のために一部が除去されている、3つのその後の動作条件の間での本発明の第1の実施形態による、
図1のデバイスを概略的に示す部分的に断面とされた図である。
【
図4B】明確性の目的のために一部が除去されている、3つのその後の動作条件の間での本発明の第1の実施形態による、
図1のデバイスを概略的に示す部分的に断面とされた図である。
【
図4C】明確性の目的のために一部が除去されている、3つのその後の動作条件の間での本発明の第1の実施形態による、
図1のデバイスを概略的に示す部分的に断面とされた図である。
【
図5A】明確性の目的のために一部が除去されている、3つのその後の動作条件の間での本発明の第2の実施形態による、
図1のデバイスを概略的に示す部分的に断面とされた図である。
【
図5B】明確性の目的のために一部が除去されている、3つのその後の動作条件の間での本発明の第2の実施形態による、
図1のデバイスを概略的に示す部分的に断面とされた図である。
【
図5C】明確性の目的のために一部が除去されている、3つのその後の動作条件の間での本発明の第2の実施形態による、
図1のデバイスを概略的に示す部分的に断面とされた図である。
【
図6A】明確性の目的のために一部が除去されている、2つのその後の動作条件の間での本発明の第3の実施形態による、
図1のデバイスを概略的に示す部分的に断面とされた図である。
【
図6B】明確性の目的のために一部が除去されている、2つのその後の動作条件の間での本発明の第3の実施形態による、
図1のデバイスを概略的に示す部分的に断面とされた図である。
【
図7A】明確性の目的のために一部が除去されている、例示の目的だけのために示され、請求されている発明の保護の範囲に含まれないが、請求されている発明を理解するために有用である第4の実施形態による、
図1のデバイスの3つのその後の動作条件を概略的に示す部分的に断面とされた図である。
【
図7B】明確性の目的のために一部が除去されている、例示の目的だけのために示され、請求されている発明の保護の範囲に含まれないが、請求されている発明を理解するために有用である第4の実施形態による、
図1のデバイスの3つのその後の動作条件を概略的に示す部分的に断面とされた図である。
【
図7C】明確性の目的のために一部が除去されている、例示の目的だけのために示され、請求されている発明の保護の範囲に含まれないが、請求されている発明を理解するために有用である第4の実施形態による、
図1のデバイスの3つのその後の動作条件を概略的に示す部分的に断面とされた図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
添付の図面を参照すると、符号1は、曲線の長手方向Dに沿って延び、長手方向に関してZ字形の断面を有する複合材料の構造要素2の製造のためのデバイスを示している。
【0023】
具体的には、構造要素2は、Z字形の輪郭を有し、航空分野で使用され、本記載が一般性を失うことなく言及する飛行機の機体の梁、ストリンガ、桁などの航空機(図示されていない)の構造の一部を形成する多層要素である。
【0024】
図示されていない一実施形態において、構造要素2は直線の長手方向に沿って延び得る。
【0025】
構造要素2は、飛行機の機体の全体の重量を低減し、同時に強い構造を得るために、飛行機の機体を強化するために都合良く使用される。
【0026】
記載されている例において、構造要素2は、この長手方向Dに対して直角の他の2つの方向における延在より、長手方向Dに沿って相当により大きい延在を有する。
【0027】
図2において見られるように、構造要素2は、長手方向DにおいてZ字の形での輪郭である断面を有し、
図2に加えて
図4C、
図5C、
図6B、および
図7Cにおいても示されている最終的な構成において、中心ウェブ2aと、ウェブ2aの両端部分からそれぞれ互いに反対方向に直角に延びる2つの翼部またはフランジ2b、2cとを備える。
【0028】
長手方向Dは、ゼロでない曲率半径Rを有する。
【0029】
図示されていない一実施形態において、フランジ2b、2cは、例えば、排他的ではないが、30°、45°、60°、80°、85°など、90°以外の所与の最終角度でウェブ2aから延び得る。
【0030】
詳細には、フランジ2b、2cの最終角度は互いから異なってもよい。
【0031】
ここで記載および図示されている構造要素2は、複合材料の複数の層3から始まって作られており、各々の層は、例えば炭素繊維、アラミド繊維、および/またはガラス繊維など、異なる性質を有し得る繊維によって好ましくは補強される、熱硬化性樹脂などにおけるポリマーマトリックスによるプリプレグによって構成される。
【0032】
代替で、構造要素2は、好ましくは、先に指示された種類の繊維で好ましくは補強された熱可塑性樹脂マトリックスによるプリプレグから始まって作られてもよい。
【0033】
好ましくは、複合材料は、硬化された材料、または予備硬化された材料によって定められる。
【0034】
上記を考慮して、各々の層3は、熱可塑性ポリマーマトリックスにおいて分散された繊維を含む複合材料によって定められる。
【0035】
図2は、デバイス1を用いて得られた、最終的な構成における構造要素2を示している。
【0036】
デバイス1は、成形部4を担持する形成型を備える。
【0037】
図1、
図3、および
図4A~
図4Cを参照すると、構造要素2は、好ましくは、自動化された手法で制御されるように、プログラム可能ロボット20を用いるなど、自動化された移動を用いて、複合材料の前述の複数の層3を、形成型に配置することで得られ、具体的には、形成型の成形部4に配置することで得られる。
【0038】
具体的には、ロボット20は、自動化された手法で、繊維複合材料の各々の層を、都合良くは層ごとに異なる所定の配向を用いて、成形部に配置するように構成されている。
【0039】
より正確には、
図3において見られるように、ロボット20は、使用中に、成形部4に、所定の連続に従って、すなわち、
- (曲線の)長手方向Dに沿う0°の配向、つまり、長手方向Dと平行な配向に従って、繊維材料の層3aを配置し、
- 長手方向Dに対して45°の配向に従って、繊維材料の層3bを配置し、
- 長手方向Dに対して-45°の配向に従って、つまり、層3bの配向に対して垂直な配向に従って、繊維材料の層3cを配置し、
- 長手方向Dに対して90°の配向に従って、繊維材料の層3dを配置する。
【0040】
図示されていない代替の実施形態において、層3の配置は作業者によって手作業で実行されてもよい。
【0041】
記載されている例では、複合材料の繊維である層3を所定の配向で置くためのロボット20の使用のおかげで、これらの繊維のいわゆる「操向」を得ることが可能であり、これは、構造要素2の長手方向Dが、ゼロでない曲率半径Rを有する場合、つまり、湾曲されている場合に、特に有利である。具体的には、0°における層3aの繊維は、成形部4においてそれぞれの帯片へと直接的に積層され、それら帯片は、ゼロでない曲率半径Rを伴う連続的な「単一品」をそれぞれ定める。
【0042】
この方法では、繊維は、「バラバラ」の不連続な手法ではなく、連続的な手法で、それらを曲げることで直接的に配置できる。これは、繊維同士の間に接合部分がないため、構造要素2の機械的特性の観点からすると相当の向上をもたらす。
【0043】
都合良くは、構造要素2は、所定のパターンに従って互いに重ね合わされた層3a、3b、3c、3dを含む複数の層3を備える。
【0044】
層3は、成形部4に配置されると、例えば前述のロボットを用いて、成形部4に、以下のようになるように(
図4A)、すなわち、
- ウェブ2aの少なくとも一部分がその最終的な構成で配置され、
- 第1のフランジ2bが、その最終的な構成において、すなわち、ウェブ2aに対して、より正確には、その最終的な構成において配置されるウェブ2aの位置に対して、所与の最終角度で配置され、好ましくは直角に配置され、
- 第2のフランジ2cが、その初期の構成において、ウェブ2aに対して、より正確には、その最終的な構成において配置されるウェブ2aの一部分に対して、相対的な最終角度とは違うより大きい初期角度で配置され、好ましくは90°と異なるより大きい(直角ではない)初期角度で配置されるように、
自動化された手法で一体に積層される。
【0045】
図4Aに示されている例では、ウェブ2aは全体的にその最終的な構成で配置されており、第2のフランジ2cはウェブ2aに対して180°で配置されている。より正確には、第2のフランジ2cはウェブ2aの延長を定めている。
【0046】
別の言い方をすると、層3は、積層体がL字形の輪郭を形成するように成形部4に初期に配置され、このL字形の輪郭の短い辺は第1のフランジ2bによって定められ、長い辺はウェブ2aおよび第2のフランジ2cによって定められる。
【0047】
デバイス1、具体的には形成型は、固定部分5と、固定部分5に対して移動可能である移動可能部分6とを備える。
【0048】
固定部分5と移動可能部分6とは一緒に成形部4を定めており、より正確には、成形部4は、固定部分5の外部形成面によって一部定められており、移動可能部分6の外部形成面によって一部定められている。
【0049】
図4Aおよび
図4Bにおいて、使用中、層3は、第2のフランジ2cが移動可能部分6に配置されるように積層される。
【0050】
別の言い方をすれば、第2のフランジ2cを構成する層3の部分は、移動可能部分6の前述の外部形成面によって支持されるように配置される。
【0051】
デバイス1は、好ましくは自動化された手法で、静止位置(
図4Aおよび
図4B)から曲げ位置(
図4C)への固定部分5に対する移動可能部分6の移動を駆動するように構成されているアクチュエータ手段7を備える。
【0052】
具体的には、デバイス1は、静止位置から曲げ位置への移動可能部分6の移動を自動化された手法で駆動するように構成されている制御ユニット(図示されていない)を備える。
【0053】
有利には、移動可能部分6は、第2のフランジ2cを、初期の構成から、最終的な構成、つまり、好ましくは直角(90°)である前述の最終角度をウェブ2aと定める構成へと移動させるためにであって、具他的には曲げるために、静止位置から曲げ位置へと移動させられるように構成される。
【0054】
より正確には、移動可能部分6は、自動化された手法で第2のフランジ2cを初期の構成から最終的な構成へと曲げるように、第2のフランジ2cを押すように適合されている。
【0055】
この方法では、Z字形の輪郭(
図4c)を伴う複合材料の構造要素2が、簡単かつ迅速で経済的な手法で得られ、好ましくは、作業者の手作業の介入なしで、静止位置から曲げ位置への移動可能部分6の自動的な移動を用いた全体で自動化された手法で得られる。
【0056】
この好ましい実施形態によれば、移動可能部分6は、固定部分5に対して直線的に並進するように適合されている。
【0057】
この目的のために、アクチュエータ手段7は、
- 相対的な外部形成面と反対の移動可能部分6の一端に固定される流体力学的ピストン(空気圧式、液圧式、または油圧式)といったピストン8と、
- 移動可能部分6の線形並進を定めるために移動可能部分6を案内するように構成される案内滑動システム10と
を備える。
【0058】
代替で、アクチュエータ手段7は、案内滑動システム10によって定められる線形モータ(図示されていない)といった、電気力学的アクチュエータを備え得る。
【0059】
使用中、ピストン8は、静止位置から曲げ位置まで移動可能部分6の案内滑動システム10によって案内される線形並進移動を駆動するために駆動可能である。
【0060】
都合良くは、ピストン8の作動は制御ユニットによって自動的に制御される。
【0061】
代替で、ピストン8は作業者によって手作業で駆動されてもよい。
【0062】
好ましくは、デバイス1は、材料に事前に含侵する樹脂を若干より低粘性にさせるように、および、層3同士を一体に滑らせるように、積層動作の間であって、具体的には後続の形成動作の間に、層3に向けて赤外線放射を発するように構成された、それ自体は知られており、詳細には記載または図示されていない少なくとも1つの赤外線ランプなど、赤外線手段を含む。この方法では、シワが、形成の間、具体的には第2のフランジ2cの曲げの間に回避される。
【0063】
一実施形態では、赤外線手段はロボット20によって担持される。
【0064】
都合良くは、デバイス1は、静止位置(図示されていない)と、複数の層3に当たる圧縮位置(
図4B)との間で変位させられ得る当接体11をさらに備え、そのため、ウェブ2aは当接体11と成形部4(つまり、形成型)との間に介在させられる。
【0065】
詳細には、当接体11は、ウェブ2aに当てて配置されるように構成される。
【0066】
使用中、前述の制御ユニットは、少なくともウェブ2aを圧縮するために、圧縮位置への当接体11の変位を駆動する。
【0067】
都合良くは、第2のフランジ2cの変位(曲げ)は、
図4bにおいて見られるように、第2のフランジ2cが当接体11に当接するまで、移動可能部分6を用いて実行される。
【0068】
この方法では、第2のフランジ2cのより効果的な曲げが達成でき、ウェブ2aに対する第2のフランジ2cの正確な最終角度、具体的には、90°の前述の角度を確保する。
【0069】
好ましくは、構造要素2の積層および形成が、先に記載された方法に従って完了させられると、構造要素2は、使用中に、少なくとも1回の硬化または共硬化のサイクルを実施するために、硬化または共硬化のデバイス(それ自体既知であり、図示されていない)で、既知の方法に従って配置され、詳細には説明されない。
【0070】
より詳細には、構造要素2は、真空バッグの中に挿入され、この業界では既知の特定の圧力および特定の温度に曝すために、硬化または共硬化のデバイス(典型的には、オートクレーブ)の中に置かれる。
【0071】
上記のことを踏まえて、構造要素2の重合サイクルが実行される。
【0072】
マトリックスの樹脂が熱可塑性の種類のものである場合、1つまたは複数の「強化」サイクルが、詳細には記載されていない既知の方法に従って実行される。
【0073】
図5A、
図5B、および
図5Cを参照すると、符号1'が、本発明の第2の実施形態により作られるZ字形の断面(輪郭)を伴う複合材料の構造要素2の製造のためのデバイスを示している。
【0074】
デバイス1'はデバイス1と構造的および機能的に同様であるため、デバイス1'をデバイス1から区別する態様のみにおいて以下で説明され、可能な場合、対応する部品および構成要素を同じ符号で示している。
【0075】
具体的には、デバイス1'は、移動可能部分6がヒンジ12を用いて固定部分5にヒンジ連結されていることと、移動可能部分6が、ヒンジ12に関して枢動の手法で、移動可能部分6を固定部分5に対して静止位置から曲げ位置へと移動させるように構成されているアクチュエータ手段7'を備えることとにおいて、デバイス1と異なる。
【0076】
記載されている例では、アクチュエータ手段7'は、相対的な外部形成面と反対の移動可能部分6の一端に固定される流体力学的ピストン(空気圧式、液圧式、または油圧式)といったピストン8'を備える。
【0077】
ピストン8'は、制御ユニットによって、自動化された手法で駆動されるように構成されている。
【0078】
代替で、ピストン8'は作業者によって手作業で駆動されてもよい。
【0079】
先に記載されていることを考慮して、移動可能部分6は、好ましくは自動化された手法で、ピストン8'を用いて静止位置と曲げ位置との間で移動させられ、ヒンジ12の周りで枢動させられる回転を実施するように適合されている。
【0080】
この方法では、デバイス1'の構成が案内滑動システム10を必要としないため、デバイス1が使用される場合よりも簡単な構造を用いて、さらに効率的な手法で、第2のフランジ2cのその最終的な構成への曲げを得ることが可能である。
【0081】
図6Aおよび
図6Bを参照すると、符号1''が、本発明の第3の実施形態により作られるZ字形の断面(輪郭)を伴う複合材料の構造要素2の製造のためのデバイスを示している。
【0082】
デバイス1''はデバイス1'と構造的および機能的に同様であるため、デバイス1''をデバイス1'から区別する態様のみにおいて以下で説明され、可能な場合、対応する部品および構成要素を同じ符号で示している。
【0083】
具体的には、デバイス1''は、前述のアクチュエータ手段を定め、固定部分5と移動可能部分6との間に介在させられ、好ましくは自動化された手法での静止位置から曲げ位置への移動可能部分6の移動を駆動するために、好ましくは自動化された手法で変形位置から非変形位置へと解放されるように構成される弾性戻し手段7''を備える点において、デバイス1'と異なる。
【0084】
詳細には、弾性戻し手段7''は、第1の端において、相対的な外部形成面と反対の移動可能部分6の端に固定され、第2の端において、固定部分5に固定される、好ましくは螺旋バネであるバネ8''を備える。
【0085】
バネ8''は、成形部4への層3の積層の間、移動可能部分6を静止位置で保つために、変形位置で圧縮させられる。
【0086】
使用中、バネ8''は、移動可能部分6を静止位置から曲げ位置へと変位させ、延いては第2のフランジ2cの曲げを決定するように、好ましくは制御ユニットの命令による自動化された手法で、圧縮した変形位置(
図6A)から延長した非変形位置(
図6b)へと解放され得る。
【0087】
代替で、バネ8''は作業者によって手作業で駆動されてもよい。
【0088】
この構成は、先に記載された実施形態の構成よりさらに簡単である移動可能部分6の移動を駆動するためのシステムを得ることを可能にしている。
【0089】
都合良くは、デバイス1''は、移動可能部分6が、その初期の静止位置において、固定部分5に対して180°以外の角度で置かれ、具体的には、90°より大きく180°より小さい角度で置かれる点において、デバイス1'と異なる。
【0090】
図6Aに示されているように、これは、第2のフランジ2cが、その初期の構成において、ウェブ2aに対して180°以外の角度で置かれ、具体的には、ウェブ2aに対して90°より大きく180°より小さい角度で置かれるように、層3を成形部4に積層させる。
【0091】
この具体的な配置は、第2のフランジ2cの曲げが、ロボット20を用いた積層の間、ある方法ですでに「開始」されている、または、前もって実行されていることを意味する。これは、移動可能部分6を用いた第2のフランジ2cの実際の曲げの間、第2のフランジ2cは、曲げへと入り込んでいき、曲げにより容易に順応するというさらなる利点を有する。
【0092】
さらに、この適合におかげで、型である成形部4は、自動的な積層に特に適しており、つまり、ロボット20を用いて、自動化された手法で実行される。
【0093】
図7A、
図7B、および
図7Cを参照すると、符号1'''が、例を用いてのみ示され、請求されている発明の保護の範囲に含まれないが、本発明を理解するために有用である第4の実施形態により作られるZ字形の断面(輪郭)を伴う複合材料の構造要素2の製造のためのデバイスを示している。詳細には、この第4の実施形態は、独立請求項の保護の範囲に含まれていない。
【0094】
デバイス1'''はデバイス1と構造的および機能的に同様であるため、デバイス1'''をデバイス1から区別する態様のみにおいて以下で説明され、可能な場合、対応する部品および構成要素を同じ符号で示している。
【0095】
具体的には、デバイス1'''は、移動可能部分6を定め、前述の積層の間の初期の構成において(
図7A)、第2のフランジ2cの少なくとも一部を支持し、好ましくは第2のフランジ2c全体を支持するために、成形部4と複数の層3との間の介在位置に配置されるように構成される挿入体13を備える点において、デバイス1と異なる。
【0096】
挿入体13は、例えば前述のロボットを用いて、使用中に、自動化された手法で、第2のフランジ2cが挿入体13と成形部4との間に介在させられるように(
図7B)、前述の静止位置を定める介在位置から、複数の層3に対する外部位置へと変位させることができる。
【0097】
挿入体13は、第2のフランジ2cを成形部に当てて圧縮し、第2のフランジ2cを初期の構成から最終的な構成(
図7Cに示されている)へと変位させるために、外部位置から、前述の曲げ位置を定める圧縮位置へと移動可能である。
【0098】
好ましくは、挿入体13は、例えば、この場合には前述のアクチュエータ手段を定めるロボット20を用いて、自動化された手法で移動可能である。
【0099】
代替で、挿入体13は、介在位置から外部位置へと作業者によって手作業で変位させられてもよい。
【0100】
この具体的な実施形態は、成形部4と層3との間に介在させられる挿入体13の存在のおかげで、同じくロボット20を用いて層3自体を型に積層させることができ、つまり、
図7A、
図7B、および
図7Cにおいて見られるように、「Z字形」ように成形された成形部4に積層させることができるという利点をさらに有する。
【0101】
挿入体13のない場合、実際には、直角の内角において、つまり、第2のフランジ2cがウェブ2aから延びるところにおいて、ロボット20の圧縮ローラ(それ自体知られており、詳細には示されていない)が層3を積層するのが複雑にさせられる。
【0102】
そのため、挿入体13の存在のおかげで、共通のZ字形の型(成形部4)を使用して、自動化された方法で、Z字形の輪郭を伴う構造要素2を得ることが可能であり、したがって、自動ロボット20を用いてそれを自動積層過程で実施することが可能である。
【0103】
都合良くは、使用中、積層された層3と、外部位置へと変位させられた挿入体13とは、真空バッグ15(既知の種類のものであり、詳細に説明されない)と成形部4との間(したがって、真空バッグ15と形成型との間)に画定される真空室14に収容される。
【0104】
この点において、初期の構成から最終的な構成への、初期の構成においての第2のフランジ2cの曲げおよび任意選択でのウェブ2aの一部分の曲げをもたらすために、挿入体13を外部位置から圧縮位置へと変位させるように、真空が真空室14の内部に適用される。
【0105】
本発明によって実現されるデバイス1、1'、1''および製造方法の特性の精査から、本発明が得ることができる利点は明らかである。
【0106】
具体的には、本発明によるデバイス1、1'、1''および製造方法は、容易に自動化できる動作を用いて、Z字形の断面(輪郭)を伴う複合材料の構造要素2を実現することを可能とし、それによって、前記構造要素2の製造過程の自動化の度合いを増加させ、同時に、適切であると考えられるときおよび場合には、作業者の手作業の介入を通じて前記過程を実施させることができる。
【0107】
実際、移動可能部分6を移動させるように構成されるアクチュエータ手段7、7'、7''は、自動的に、または、作業者の介入を通じた手作業でのいずれかで駆動され得る。
【0108】
これは、非常に柔軟な製造過程をもたらす。
【0109】
さらに、デバイス1、1'、1''の構造は、しばしば嵩張って高価である既知の自動化された製造デバイスに対して非常に単純にされている。
【0110】
ここで記載および図示されたデバイス1、1'、1''および方法が、請求項によって定められる保護の範囲から逸脱することはなく改良および変更を受ける可能性があることは、明らかである。
【0111】
具体的には、移動可能部分6は作業者によって手作業で移動させられてもよい。
【符号の説明】
【0112】
1、1'、1''、1''' デバイス
2 構造要素
2a 中心ウェブ
2b、2c 翼部、フランジ
3、3a、3b、3c 層
4 成形部
5 固定部分
6 移動可能部分
7、7' アクチュエータ手段
7'' 弾性戻し手段
8、8' ピストン
8'' バネ
10 案内滑動システム
11 当接体
12 ヒンジ
13 挿入体
14 真空室
15 真空バッグ
20 プログラム可能ロボット
D 長手方向
R 曲率半径
【国際調査報告】