(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-07
(54)【発明の名称】脱着可能なスペーサーシムを含むリチウム二次電池用コーティングダイ
(51)【国際特許分類】
H01M 4/08 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
H01M4/08 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023531090
(86)(22)【出願日】2022-10-12
(85)【翻訳文提出日】2023-05-23
(86)【国際出願番号】 KR2022015360
(87)【国際公開番号】W WO2023063705
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0135173
(32)【優先日】2021-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヨンジュ・ハン
(72)【発明者】
【氏名】ビョン・フン・アン
(72)【発明者】
【氏名】ヒュンウ・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン・グン・チェ
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA19
5H050BA17
5H050GA30
(57)【要約】
本発明は、リチウム二次電池用コーティングダイであって、前記コーティングダイは、ダイ上板、ダイ下板、および前記ダイ上板と前記ダイ下板との間に介されるシム組立体を含み、前記シム組立体はボディシム、および一つ以上のスペーサーシムを含み、前記スペーサーシムはコーティングダイにおいて個別に脱着可能に形成されているコーティングダイに関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム二次電池用のコーティングダイであって、
前記コーティングダイは、ダイ上板、ダイ下板、および前記ダイ上板と前記ダイ下板との間に介されるシム組立体を含み、
前記シム組立体は、ボディシム、および一つ以上のスペーサーシムを含み、
前記スペーサーシムはコーティングダイにおいて個別に脱着可能に形成されている、コーティングダイ。
【請求項2】
前記ダイ上板は、絶縁液が投入される絶縁液投入経路を含む、請求項1に記載のコーティングダイ。
【請求項3】
前記絶縁液投入経路は、前記ダイ上板の上部から下部に形成されている、請求項2に記載のコーティングダイ。
【請求項4】
前記ダイ下板は前記ダイ上板に結合され、活物質スラリーが投入されるスラリー投入経路、および前記活物質スラリーを貯蔵するマニホールドを含む、請求項1に記載のコーティングダイ。
【請求項5】
前記ダイ下板は、固定ピン、固定ボルト、またはこれら両方によって前記ダイ上板に結合される、請求項1に記載のコーティングダイ。
【請求項6】
前記ボディシムは前記ダイ上板および前記ダイ下板に結合され、前記ダイ下板に形成され活物質スラリーを貯蔵するマニホールドをカバーしないように、前記マニホールドからコーティングが行われる外側に向かって開口されていて前記マニホールドに貯蔵される前記活物質スラリーを排出する排出口を有する、請求項1に記載のコーティングダイ。
【請求項7】
前記ボディシムは、固定ピン、固定ボルト、またはこれら両方によって前記ダイ上板と前記ダイ下板に結合される、請求項1に記載のコーティングダイ。
【請求項8】
前記スペーサーシムはそれぞれ前記ダイ上板に、前記ダイ下板に、または前記ダイ上板および前記ダイ下板に結合され、前記ダイ上板の絶縁液投入経路に対応するように位置して前記ダイ上板の投入経路から投入された絶縁液を貯蔵し排出する絶縁流路を含む、請求項1に記載のコーティングダイ。
【請求項9】
前記スペーサーシムは、固定ピン、固定ボルト、またはこれら両方によって前記ダイ上板に、前記ダイ下板に、または前記ダイ上板およびダイ下板に結合される、請求項8に記載のコーティングダイ。
【請求項10】
前記固定ピンおよび前記固定ボルトは結合および取り外しが可能な構造に形成されていて、前記スペーサーシムが前記コーティングダイに脱着可能に形成される、請求項9に記載のコーティングダイ。
【請求項11】
前記スペーサーシムの個数は、一つ以上であって前記ダイ上板に形成される絶縁液投入経路の個数以下である、請求項1に記載のコーティングダイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2021年10月12日付韓国特許出願第10-2021-0135173号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は脱着可能なスペーサーシムを含むリチウム二次電池用コーティングダイに関するものである。
【背景技術】
【0003】
モバイル機器に対する技術開発と需要が増加するにつれてエネルギー源としての二次電池に対する需要が急激に増加しており、そのような二次電池の中でも高いエネルギー密度と作動電位を示し、サイクル寿命が長く、自己放電率の低いリチウム二次電池が商用化されて広く使用されている。
【0004】
また、最近は環境問題に対する関心が大きくなるにつれて大気汚染の主要原因の一つであるガソリン車両、ディーゼル車両など化石燃料を使用する車両を代替することができる電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)などに対する研究が多く行われている。このような電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)などの動力源としては、高いエネルギー密度、高い放電電圧および出力安定性のリチウム二次電池が主に研究、使用されている。
【0005】
このようなリチウム二次電池は一般に、正極と負極の電極を分離膜を挟んで積層または巻取りし、これを電解液と共に電池ケースに内蔵する方式で製造される。
【0006】
このうち、前記正極と負極のような電極は集電体上に活物質スラリーを塗布、乾燥および圧延して製造され、この時、活物質スラリーの塗布は一般に活物質スラリーを吐出する形態のコーティングダイによって行われる。
【0007】
この時、一つの例として、前記コーティングダイ10の斜視図を下記
図1に示した。
【0008】
このようなコーティングダイ10は、下記
図1を参照すれば、上部コーティングダイ11、下部コーティングダイ12、およびこれらの間に介されるシム組立体13から構成され、この時、シム組立体13は、上部コーティングダイ11および下部コーティングダイ12に結合するボディシム14と絶縁液を吐出するスペーサーシム15、16、17、18が一体化した構成を有する。
【0009】
しかし、最近、電極を製造するレーン数が増え、集電体として使用される金属ホイルの幅が長くなるにつれて、一体化したシム組立体は個別スラリー幅、ローディング、ミスマッチ調整に困難が多く、絶縁液と活物質スラリーの同時形成において、スペーサーシムの精密な設計および組み立てに問題がある。
【0010】
したがって、これを解決することができる技術の開発が必要であるのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、必要によってレーン別に活物質スラリーまたは絶縁液のコーティング幅、ローディング、およびミスマッチの調整が可能なようにした新規な構造のリチウム二次電池用コーティングダイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池用コーティングダイは、
ダイ上板、ダイ下板、および前記ダイ上板と前記ダイ下板との間に介されるシム(shim)組立体を含み、
前記シム組立体はボディシム(body shim)、および一つ以上のスペーサーシム(spacer shim)を含み、
前記スペーサーシムはコーティングダイにおいて個別に脱着可能に形成されていることを特徴とする。
【0013】
一つの具体的な例で、前記ダイ上板は、絶縁液が投入される絶縁液投入経路を含むことができる。
【0014】
この時、前記絶縁液投入経路は上部から下部に形成されていてもよい。
【0015】
一つの具体的な例で、前記ダイ下板は前記ダイ上板に結合され、活物質スラリーが投入されるスラリー投入経路、および前記活物質スラリーを貯蔵するマニホールド(manifold)を含むことができ、この時、前記ダイ下板は固定ピン、固定ボルト、またはこれら両方によって前記ダイ上板に結合できる。
【0016】
一つの具体的な例で、前記ボディシムは前記ダイ上板および前記ダイ下板に結合され、前記ダイ下板に形成され活物質スラリーを貯蔵するマニホールドをカバーしないように、前記マニホールドからコーティングが行われる外側に向かって開口されていて前記マニホールドに貯蔵される前記活物質スラリーを排出する排出口を有することができる。
【0017】
この時、前記ボディシムは、固定ピン、固定ボルト、またはこれら両方によって前記ダイ上板と前記ダイ下板に結合できる。
【0018】
一つの具体的な例で、前記スペーサーシムはそれぞれ前記ダイ上板に、前記ダイ下板に、または前記ダイ上板および前記ダイ下板に結合され、前記ダイ上板の絶縁液投入経路に対応するように位置して前記ダイ上板の投入経路から投入された絶縁液を貯蔵し、排出する絶縁流路を含むことができる。
【0019】
この時、前記スペーサーシムは、固定ピン、固定ボルト、またはこれら両方によって前記ダイ上板に、前記ダイ下板に、または前記ダイ上板および前記ダイ下板に結合できる。
【0020】
また、前記固定ピンおよび前記固定ボルトは結合および取り外しが可能な構造に形成されていて、前記スペーサーシムが前記コーティングダイに脱着可能に形成できる。
【0021】
このような前記スペーサーシムは、一つ以上~前記ダイ上板に形成される絶縁液投入経路の個数以下に含まれる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によるリチウム二次電池用コーティングダイは、絶縁液を吐出するスペーサーシムを脱着可能に構成して、必要によって活物質スラリーと絶縁液のコーティング幅、ローディング、ミスマッチの調整が可能なようにすることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】従来のリチウム二次電池用コーティングダイの斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるリチウム二次電池用コーティングダイの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書および請求範囲に使用された用語や単語は通常的且つ辞典的な意味に解釈されるものではなく、発明者らはその自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に即して本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈されるものである。したがって、本明細書に記載された実施形態と図面に示された構成は本発明の好ましい実施形態に過ぎず、本発明の技術的思想を全て表すものではないので、本出願時点においてこれらを代替することができる多様な均等物と変形例があり得るし、本発明の範囲が以下に記述する実施形態に限定されるものではない。
【0025】
以下、本発明を図面を参照して詳しく説明することにする。本明細書および請求範囲に使用された用語や単語は通常的且つ辞典的な意味に限定して解釈されるものではなく、発明者はその自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に即して本発明の技術的思想に符合する意味と概念に解釈されるものである。
【0026】
また、以下、本明細書に記載された実施形態と図面に示された構成は本発明の最も好ましい実施形態に過ぎず、本発明の技術的思想を全て表すものではないので、本出願時点においてこれらを代替することができる多様な均等物と変形例があり得るのを理解されたい。
【0027】
本発明は、一実施形態によれば、リチウム二次電池用コーティングダイであって、
前記コーティングダイは、ダイ上板、ダイ下板、および前記ダイ上板と前記ダイ下板の間に介されるシム(shim)組立体を含み、
前記シム組立体はボディシム(body shim)、および一つ以上のスペーサーシム(spacer shim)を含み、
前記スペーサーシムはコーティングダイにおいて個別に脱着可能に形成されているコーティングダイが提供される。
【0028】
図2には本発明の一実施形態によるリチウム二次電池用コーティングダイ100の斜視図が示されており、
図3にはコーティングダイ100のダイ上板110の断面図が示されており、
図4にはコーティングダイ100の一つのスペーサーシム132の斜視図が示されている。
【0029】
本発明を説明するために、一つの例として、
図1~
図3を共に参照して説明する。
【0030】
図1を参照すると、本発明によるリチウム二次電池用コーティングダイ100は、ダイ上板110、ダイ下板120、およびダイ上板110とダイ下板120との間に介されるシム(shim)組立体130を含み、シム組立体130はボディシム(body shim)131、および一つ以上のスペーサーシム(spacer shim)132、133、134、135を含む。
【0031】
さらに具体的に、ダイ上板110は、ダイ下板120との結合のための固定ピン、固定ボルト、またはこれら両方が挿入される結合ホール141および絶縁液が投入される絶縁液投入経路142を含む。
【0032】
図2を
図1と共に参照すると、絶縁液投入経路142は上部から下部に形成されており、ダイ上板110を貫通する形態に形成されて、これを通じてスペーサーシム132、133、134、135に絶縁液を流入させる役割を果たす。
【0033】
結合ホール141は、以後説明するボディシム131とダイ下板120との結合のために形成されている。
【0034】
一方、ダイ下板120は、活物質スラリーが投入されるスラリー投入経路(図示せず)、および活物質スラリーを貯蔵するマニホールド(manifold)121を含む。
【0035】
ここで、スラリー投入経路はマニホールド121に連結されている構造を有する。したがって、スラリー投入経路から投入された活物質スラリーはマニホールド121に到達して貯蔵される。
【0036】
マニホールド121に貯蔵される活物質スラリーは以下説明する組み立てられた状態のコーティングダイのシム組立体130のボディシム131の排出口136から吐出される形態で電極コーティングを行うことになる。
【0037】
このためにダイ下板120はダイ上板110に結合され、この時、固定ピン、固定ボルト、またはこれら両方によって結合できるので、ダイ下板120もダイ上板110に結合できる結合ホール122、123を含むことができる。
【0038】
シム組立体130の構成要素としてボディシム131は、ダイ下板120に形成されて活物質スラリーを貯蔵するマニホールド121をカバーしないように、マニホールド121からコーティングが行われる外側に向かって開口されていてマニホールド121に貯蔵される前記活物質スラリーを排出する排出口136を有する。
【0039】
以上で説明した通り、このような排出口136を通じてマニホールド121に貯蔵された活物質スラリーが吐出される。
【0040】
即ち、簡単に、ボディシム131は‘コ’の字形状を有する。
【0041】
また、このようなボディシム131はダイ上板110およびダイ下板120に結合される。この時、ボディシム131の結合も固定ピン、固定ボルト、またはこれら両方によって形成でき、したがって、ボディシム131にはこれらが挿入できる結合ホール137、138を含むことができる。
【0042】
一方、本願のコーティングダイ100に含まれるスペーサーシム132、133、134、135は個別に脱着できる構造になっている。
【0043】
具体的には、スペーサーシム132、133、134、135は個別にダイ上板110に、ダイ下板120に、またはダイ上板110およびダイ下板120に結合される。
【0044】
このように個別の脱着のために、スペーサーシム132、133、134、135は固定ピン、固定ボルト、またはこれら両方によってダイ上板110、ダイ下板120、またはダイ上板110とダイ下板120に結合できる。
【0045】
ここで、前記固定ピンおよび前記固定ボルトは結合および取り外しが可能な構造に形成されていて、前記スペーサーシム132、133、134、135がコーティングダイ100に脱着可能に形成される。
【0046】
この時、スペーサーシム132、133、134、135はダイ上板110の絶縁液投入経路142に対応する位置においていかなる位置でも形成でき、必要によって、その幅、および形成位置を適切に選択することができる。
【0047】
また、使用されるスペーサーシム132、133、134、135の個数も選択できるので、スペーサーシムは一つ以上~前記ダイ上板に形成される絶縁液投入経路の個数以下に含まれる。具体的に、スペーサーシムは一つ以上、詳しくは2つ以上、より詳しくは3つ以上であるのが好ましい。
【0048】
したがって、本発明によれば、スペーサーシム132、133、134、135が個別にコーティングダイ100に脱着でき、その個数およびそれぞれの位置を変更できるので、活物質スラリーと絶縁液のコーティング幅、ローディング、ミスマッチの調整が可能である。
【0049】
このようなスペーサーシム132、133、134、135の具体的な構造を示すために、
図3にはこのようなスペーサーシムのうちの一つ132の斜視図を模式的に示した。
【0050】
図3を参照すると、スペーサーシム132は、ダイ上板110、および/またはダイ下板120に結合されるための結合ホール132b、132cを含む。
【0051】
また、スペーサーシム132、133、134、135は具体的には絶縁液をコーティングする役割を果たす。したがって、スペーサーシム132、133、134、135はダイ上板110の絶縁液投入経路142から流入される絶縁液をコーティングダイ100外側に排出する絶縁流路132aを含む。
【0052】
したがって、ダイ下板120のマニホールド121の活物質スラリーはボディシム131の排出口136によって吐出されてコーティングされ、絶縁液はスペーサーシム132、133、134、135の絶縁流路132aによって吐出されてコーティングされる。
【0053】
したがって、活物質スラリーと絶縁液の同時コーティングが可能である。
【0054】
本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば前記内容に基づいて本発明の範疇内で多様な応用および変形を行うことができるはずである。
【国際調査報告】