(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-07
(54)【発明の名称】電子膨張弁及び冷却機器
(51)【国際特許分類】
F16K 31/04 20060101AFI20231130BHJP
F25B 41/35 20210101ALI20231130BHJP
【FI】
F16K31/04 Z
F25B41/35
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532421
(86)(22)【出願日】2021-09-26
(85)【翻訳文提出日】2023-05-26
(86)【国際出願番号】 CN2021120607
(87)【国際公開番号】W WO2022127264
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】202011483239.0
(32)【優先日】2020-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517419375
【氏名又は名称】▲広▼▲東▼威▲靈▼▲電▼机制造有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】黄 ▲龍▼▲華▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 超
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ 茂
(72)【発明者】
【氏名】江 波
【テーマコード(参考)】
3H062
【Fターム(参考)】
3H062AA02
3H062AA15
3H062BB33
3H062CC02
3H062DD01
3H062EE06
3H062FF38
3H062GG06
3H062HH04
3H062HH08
3H062HH09
(57)【要約】
本願は電子膨張弁及び冷却機器を開示する。電子膨張弁は、弁チャンバ(101)を有する弁座(110)と、弁座(110)のチャンバ壁に当接して位置決めする円環状の位置決め部(211)が外壁に凸設され、一端が弁チャンバ(101)に取り付けられたナット(210)と、一端がナット(210)に固定的に接続され、他端がナット(210)から離れるように延在して弁座(110)の軸方向端面に固定的に接続された接続片(220)とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子膨張弁であって、
弁チャンバを有する弁座と、
前記弁チャンバのチャンバ壁に当接して位置決めする円環状の位置決め部が外壁に凸設され、一端が前記弁チャンバ内に設けられたナットと、
一端が前記ナットに固定的に接続され、他端が前記ナットから離れるように延在して前記弁座の軸方向端面に固定的に接続された接続片と
を含む、電子膨張弁。
【請求項2】
前記位置決め部は、前記弁座の内壁に締まりばめされた円柱状の接続セグメントを含む、請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項3】
前記位置決め部は、前記接続セグメントの前記接続片から離れる側に設けられて前記接続セグメントに接続された案内セグメントをさらに含み、
前記案内セグメントの外径は前記接続セグメントの外径より小さい、請求項2に記載の電子膨張弁。
【請求項4】
前記案内セグメントの外径は、前記接続セグメントに接続された端部から、前記接続セグメントから離れる端部に向かって漸減する、請求項3に記載の電子膨張弁。
【請求項5】
前記位置決め部と前記弁座との間には、前記位置決め部の軸方向における両側を連通させるバランス通路が設けられている、請求項1から請求項4の何れか一項に記載の電子膨張弁。
【請求項6】
前記接続片には、前記接続片の軸方向における両側を連通させ、前記バランス通路と連通するバランス孔が設けられている、請求項5に記載の電子膨張弁。
【請求項7】
前記接続片は前記位置決め部と間隔をおいて設置され、前記接続片、前記位置決め部及び前記弁座とで第1のチャンバを囲んで形成し、前記バランス通路と前記バランス孔とはいずれも前記第1のチャンバと連通する、請求項6に記載の電子膨張弁。
【請求項8】
前記バランス通路は前記位置決め部に設けられており、
且つ/又は、前記バランス通路は前記弁座に設けられている、請求項5に記載の電子膨張弁。
【請求項9】
前記接続片は溶接により前記弁座に固定されている、請求項1から請求項4の何れか一項に記載の電子膨張弁。
【請求項10】
前記電子膨張弁は、弁棒と、前記弁棒に接続された弁ニードル部と、前記弁座に設けられた弁体座とをさらに含み、
前記ナットは、
前記弁棒と嵌合されるねじセグメントと、
前記ねじセグメントと接続され、前記弁体座に向けて延設され、前記弁ニードル部を案内するように前記弁ニードル部と嵌合される固定セグメントと、を含み、
前記接続片と前記位置決め部とは、いずれも前記固定セグメントの外壁に設けられている、請求項1から請求項4の何れか一項に記載の電子膨張弁。
【請求項11】
前記固定セグメントは、
前記ねじセグメントに接続され、前記接続片と前記位置決め部とがいずれも外壁に設置されている取付部と、
一端が前記取付部に接続され、他端が前記弁体座に向けて軸方向に延設されている延在部と
を含む、請求項10に記載の電子膨張弁。
【請求項12】
前記延在部の外壁と前記位置決め部とは段差状に配置され、前記延在部の外径が前記位置決め部の外径より小さい、請求項11に記載の電子膨張弁。
【請求項13】
前記延在部は前記弁体座と隙間を置いて設置されている、請求項11に記載の電子膨張弁。
【請求項14】
前記延在部には導流貫通孔が設けられている、請求項11に記載の電子膨張弁。
【請求項15】
前記導流貫通孔が複数設けられ、複数の前記導流貫通孔は、前記延在部の周縁を取り囲んで間隔を置いて設けられている、請求項14に記載の電子膨張弁。
【請求項16】
前記延在部と、前記取付部と、前記位置決め部とは一体構造である、請求項11に記載の電子膨張弁。
【請求項17】
請求項1から請求項16の何れか一項に記載の電子膨張弁を含む、冷却機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は2020年12月14日に出願された、出願番号が202011483239.0である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容を引用により本願に組み入れる。
【0002】
本願は流体制御の技術分野に関し、特に電子膨張弁及び冷却機器に関する。
【背景技術】
【0003】
エアコン、冷蔵庫、ヒートポンプ給湯器及び各種の冷却、加熱機器では、電子膨張弁を用いて流体の流量を調節するのが一般的である。
【0004】
関連技術において、電子膨張弁は通常、弁口が設けられた弁座組立体と、ナット組立体と、弁ニードル組立体とを含み、弁ニードル組立体は、ナット組立体に対して移動することで、弁ニードルを駆動して弁口を開閉させるため、流量を調整する機能を実現する。従来技術では、電子膨張弁内の各部品が協働する際に、電子膨張弁が固着する現象が発生しやすく、電子膨張弁の動作性能に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の主な目的は、電子膨張弁が固着しやすいという従来技術における現象を解決することを目的とする電子膨張弁を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願により提案されるである電子膨張弁は、弁チャンバを有する弁座と、前記弁チャンバのチャンバ壁に当接して位置決めする円環状の位置決め部が外壁に凸設され、一端が前記弁チャンバ内に設けられたナットと、一端が前記ナットに固定的に接続され、他端が前記ナットから離れるように延在して前記弁座の軸方向端面に固定的に接続された接続片とを含む。
【0007】
本願の一実施例において、前記位置決め部は、前記弁座の内壁に締まりばめされた円柱状の接続セグメントを含む。
【0008】
本願の一実施例において、前記位置決め部は、前記接続セグメントの前記接続片から離れる側に設けられて前記接続セグメントに接続された案内セグメントをさらに含み、前記案内セグメントの外径は前記接続セグメントの外径より小さい。
【0009】
本願の一実施例において、前記案内セグメントの外径は、前記接続セグメントに接続された端部から、前記接続セグメントから離れる端部に向かって漸減する。
【0010】
本願の一実施例において、前記位置決め部と前記弁座との間には、前記位置決め部の軸方向における両側を連通させるバランス通路が設けられている。
【0011】
本願の一実施例において、前記接続片には、前記接続片の軸方向における両側を連通させ、前記バランス通路と連通するバランス孔が設けられている。
【0012】
本願の一実施例において、前記接続片は前記位置決め部と間隔をおいて設置され、前記接続片、前記位置決め部及び前記弁座とで第1のチャンバを囲んで形成し、前記バランス通路と前記バランス孔とはいずれも前記第1のチャンバと連通する。
【0013】
本願の一実施例において、前記バランス通路は前記位置決め部に設けられている。
【0014】
本願の一実施例において、前記バランス通路は前記弁座に設けられている。
【0015】
本願の一実施例において、前記接続片は溶接により前記弁座に固定されている。
【0016】
本願の一実施例において、前記電子膨張弁は、弁棒と、前記弁棒に接続された弁ニードル部と、前記弁座に設けられた弁体座とをさらに含み、前記ナットは、前記弁棒と嵌合されるねじセグメントと、前記ねじセグメントと接続され、前記弁体座に向けて延設され、前記弁ニードル部を案内するように前記弁ニードル部と嵌合される固定セグメントとを含み、前記接続片と前記位置決め部とは、いずれも前記固定セグメントの外壁に設けられている。
【0017】
本願の一実施例において、前記固定セグメントは、
前記ねじセグメントに接続され、前記接続片と前記位置決め部とがいずれも外壁に設置されている取付部と、
一端が前記取付部に接続され、他端が前記弁体座に向けて軸方向に延設されている延在部とを含む。
【0018】
本願の一実施例において、前記延在部の外壁と前記位置決め部とは段差状に配置され、前記延在部の外径が前記位置決め部の外径より小さい。
【0019】
本願の一実施例において、前記延在部は前記弁体座と隙間を置いて設置されている。
【0020】
本願の一実施例において、前記延在部には導流貫通孔が設けられている。
【0021】
本願の一実施例において、前記導流貫通孔が複数設けられ、複数の前記導流貫通孔は、前記延在部の周縁を取り囲んで間隔を置いて設けられている。
【0022】
本願の一実施例において、前記延在部と、前記取付部と、前記位置決め部とは一体構造である。
【0023】
上記の目的を達成するために、本願は、上述した電子膨張弁を含む冷却機器をさらに提供する。当該電子膨張弁は、弁チャンバを有する弁座と、前記弁チャンバのチャンバ壁に当接して位置決めする円環状の位置決め部が外壁に凸設され、一端が前記弁チャンバ内に設けられたナットと、一端が前記ナットに固定的に接続され、他端が前記ナットから離れるように延在して前記弁座の軸方向端面に固定的に接続された接続片とを含む。
【発明の効果】
【0024】
本願の技術方案による電子膨張弁において、ナット組立体の改良により、ナット組立体は、ナットとナットに固定的に接続された接続片とを含み、ナットは、弁チャンバのチャンバ壁に当接して位置決めする円環状の位置決め部が外壁に凸設され、一端が弁座の弁チャンバ内に設けられることにより、ナットと弁座との径方向での位置決めを実現する。
接続片は、一端がナットに固定的に接続され、他端がナットから離れるように延在して弁座の軸方向端面に固定的に接続されることにより、ナットと弁座との軸方向の位置決めが実現されるため、ナットと弁座との軸方向及び径方向両方の位置決め機能が実現される。これにより、ナットと弁座の位置決めと嵌合を保証し、更にナットと弁体座との同軸度を保証し、電子膨張弁の固着現象を防止し、電子膨張弁の作動性能を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本願の実施例及び従来技術の技術案をより明確に説明するために、以下では、実施例或いは従来技術の説明に必要とされる添付図面を簡単に紹介する。下記説明における添付図面は本願の一部の実施例に過ぎないことは明らかであって、当業者にとって、創造的な労働を行うことなく、これらの添付図面が示す構造により他の添付図面を得ることができる。
【0026】
【
図1】本願の電子膨張弁の実施例における一構造模式図である。
【
図2】本願の電子膨張弁の実施例における別の構造模式図である。
【
図3】本願の電子膨張弁におけるナット組立体の実施例の構造模式図である。
【
図4】本願の実施例における位置決め部と弁座との嵌合の一構造模式図である。
【
図5】本願の実施例における位置決め部と弁座との嵌合の別の構造模式図である。
【0027】
添付図面を参照して、実施例と組み合わせて本願目的の実現、機能特徴及び長所をさらに説明する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、本願実施例における図面と組み合わせ、本願実施例における技術案を明確且つ完全に説明する。説明される実施例は本願の全ての実施例ではなく、本願の一部の実施例に過ぎないことは明らかである。本願における実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を行わないことを前提に得られる全ての他の実施例は、本願の保護する範囲に属する。
【0029】
もし本願実施例で方向性指示(例えば上、下、左、右、前、後…)に関わる場合、当該方向性指示はある特定の姿勢(添付図面に示す)における各部品間の相対的位置関係、運動状況等を説明するためだけに用いられ、もし当該特定の姿勢が変わる場合、当該方向性指示もそれに応じて変わることは理解すべきである。
【0030】
また、本願実施例において「第一」、「第二」等の説明に関わる場合、当該「第一」、「第二」等の説明は、説明のために利用されるだけであって、その相対的重要性を提示又は暗示する、或いは提示される技術的特徴の数を暗示的に指定するように理解すべきではない。これにより、「第一」、「第二」に限定された特徴は明示的或いは暗示的に少なくとも一つの当該特徴を含んでもよい。また、各実施例の技術案は互いに組み合わせることができる。ただし、当業者が実現できることはその前提である。技術案の組み合わせに矛盾が生じるか、実現できない場合には、このような技術案の組み合わせが存在せず、且つ本願が請求する保護範囲にないと理解すべきである。
【0031】
本願は電子膨張弁を提案する。
【0032】
本願の実施例において、
図1から
図5に示すように、当該電子膨張弁は、弁座組立体100と、ナット組立体200と、弁ニードル組立体300と、ハウジング400とを含む。
【0033】
弁座組立体100は、弁座110と、弁口121を有する弁体座120とを含む。
ハウジング400は、弁座110上に配置され、弁座110に当接して、ナット組立体200と、弁ニードル組立体300と、回転子組立体500とを収容する収容チャンバを囲んで形成し、電子膨張弁の全体構造の完全性及び密封性を達成する。ナット組立体200は弁座110に固定的に接続され、弁ニードル組立体300は、ナット組立体200内に移動可能に設置されるため、弁体座120の弁口121に接近する又は弁口121から離れるように、ナット組立体200の軸方向に上下移動することができ、さらには弁口121を閉塞または開放する機能を実現する。また、弁ニードル組立体300の、弁体座120からの距離または弁口121内への延出具合を調節することにより、電子膨張弁の開度を調節して流体の流量を調節する機能を実現することができる。
【0034】
ナット組立体200は、弁座110の弁チャンバ101のチャンバ壁に当接して位置決めする円環状の位置決め部211が外壁に凸設され、一端が弁チャンバ101内に設けられたナット210と、一端がナット210に固定的に接続され、他端がナット210から離れるように延在して弁座110の軸方向端面に固定的に接続された接続片220とを含む。
【0035】
ナット210は、弁ニードル組立体300がナット210内で軸方向に移動して弁口121を円滑に閉塞又開放できるように、弁ニードル組立体300を取り付けて案内するように機能することがわかる。接続片220は、ナット210と弁座110とを固定的に接続するように機能することで、構造の安定性を確保する。ナット210の外壁には、弁座110の内壁に当接して位置決めする位置決め部211が凸設されているため、ナット210と弁座110との径方向の位置決めを実現する。同時に、接続片220が弁座110の軸方向端面に固定的に接続されることにより、ナット210と弁座110との軸方向の位置決めが実現されるため、ナット210と弁座110との径方向及び軸方向の両方の位置決め機能、即ちナット210と弁座110との同軸度が保証され、さらに、ナット210と弁座110上の弁体座120との同軸度が保証されるため、弁ニードル組立体300が弁口121に対してより円滑に出入りできるようになり、電子膨張弁の固着現象を防止し、電子膨張弁の作動性能を向上させる。
【0036】
実際の適用時に、位置決め部211の形状構造は、実際の状況に応じて決定でき、例えば円環構造とすることができる。位置決め部211が円環構造である場合、位置決め部211がナット210の外周を取り囲んでナット210と同心の環構造を形成する。この場合、位置決め部211の外壁が弁座110の内壁に当接することにより、ナット210と弁座110との径方向の位置決めを保証することができる。なお、位置決め部211が円環構造である場合、位置決め部211を円環凸条構造であってもよく、一定の軸方向長さを有する円柱構造であってもよい。本実施例において、位置決めの効果及び加工の容易性を考慮して、位置決め部211として、一定の軸方向長さを有する円柱構造を採用する。位置決め部211の円柱外面と弁座110の円柱内面との当接により、両者の接触面積をさらに増大させ、周方向の位置決め効果を向上させる。
【0037】
一実施例において、位置決め部211の設置位置は、実際の状況に応じて決定してもよく、取付中に位置決め部211が弁座110の弁チャンバ101に進入して弁座110の内壁に当接して位置決めできれば、ナット210の弁体座120に近い位置、ナット210の弁座110の端面に近い位置、あるいは弁座110の内部中央に対応する位置などとすることができる。なお、接続片220は、ナット210と弁座110との間に接続されているため、その外径寸法は弁座110の内径寸法よりも大きい。一実施例において、位置決め部211は、接続片220の弁チャンバ101に向けた側に設けられていてもよい。実際に取り付ける場合、まず、接続片220をナット210に固定的に接続し、その後、ナット210の位置決め部211が設けられ側を弁座110の弁チャンバ101内に挿入する。このとき、位置決め部211を弁座110の内壁に当接させて周方向の位置決めを保証するとともに、接続片220と弁座110の端面の位置を制限して、弁座110の軸方向でのナット210の位置決めを実現する。その後、接続片220を弁座110に固定的に接続することで、ナット210と弁座110との安定した嵌合を実現し、取り付けを容易にすると同時に、ナット210と弁座110との同軸度を保証する。
【0038】
一実施例において、構造の安定性を保証し、電子膨張弁の高い内部圧力により外れるのを防止するために、前記接続片220は、溶接により弁座110に固定されている。接続片220とナット210とは、ホットメルトプロセスを用いて一体構造として成形されてもよい。接続片220として金属材料を使用し、ナット210として非金属材料を使用する。
【0039】
本願の技術思想による電子膨張弁において、ナット組立体200の改良により、ナット組立体200は、ナット210とナット210に固定的に接続された接続片220とを含み、ナット210は、弁チャンバ101のチャンバ壁に当接して位置決めする位置決め部211が外壁に凸設され、一端が弁座110の弁チャンバ101内に設けられることにより、ナット210と弁座110との径方向の位置決めを実現する。接続片220は、一端がナット210に固定的に接続され、他端がナット210から離れるように延在して弁座110の軸方向端面に固定的に接続されることにより、ナット210と弁座110との軸方向の位置決めが実現されるため、ナットと弁座との軸方向及び径方向両方の位置決め機能が実現される。これにより、ナット210と弁座110との同軸度を保証し、更にナット210と弁体座120との同軸度を保証し、電子膨張弁の固着現象を防止し、電子膨張弁の作動性能を向上させる。
【0040】
ナット210と弁座110との構造安定性をさらに向上させるために、
図1から
図3を参照し、本願の一実施例において、前記位置決め部211は、前記弁座110の内壁に締まりばめされた円柱状の接続セグメント211aを含む。接続セグメント211aは取り付けて位置決めするように機能し、接続セグメント211aは弁座110の内壁に締まりばめされることにより、接続セグメント211aと弁座110との固定的な接続の機能を実現し、固定セグメント211と弁座110との位置決め効果を保証するため、ナット210と弁座110との径方向の位置決め効果を保証する。前述した実施例に基づいて、接続セグメント211aを円柱状構造としてもよい。接続セグメント211aの外壁を円柱面とすることにより、弁座110との位置決め面積を大きくし、位置決め効果をさらに保証することができる。
【0041】
一実施例において、取り付けを容易にするために、前記位置決め部211は、前記接続セグメント211aの前記弁体座120に近い側に設けられて前記接続セグメント211aに接続された案内セグメント211bをさらに含み、前記案内セグメント211bの外径は前記接続セグメント211aの外径より小さい。
【0042】
実際の取り付けにおいて、ナット210の位置決め部211が設けられた側が弁座110内に挿入され、位置決め部211の接続セグメント211aの外径寸法と弁座110の内径寸法とが締まりばめの関係にあるため、接続セグメント211aの弁体座120に近い側に、外径が接続セグメント211aの外径より小さい案内セグメント211bを設けることができる。案内セグメント211bの外径を弁座110の内径より小さくすることで、案内セグメント211bがナット210の取り付けを案内するように機能するため、位置決め部211が弁座110の弁チャンバ101内により迅速に進入することができるようになる。
【0043】
一実施例において、案内セグメント211bの形状構造は、実際の状況に応じて決定でき、例えば、円柱構造、円錐構造、または斜面構造などとすることができる。本実施例において、ナット210及び弁座110自体の円環状構造を考慮して、より良い案内作用を得るために、当該案内セグメント211bとして円環状構造を採用し、案内セグメント211bの外壁を錐面として設けて、前記案内セグメント211bの外径を、前記接続セグメント211aに接続された端部から、前記接続セグメント211aから離れる端部に向かって漸減させる。なお、位置決め部211の外径寸法は、弁体座120から離れる軸方向に漸増してから一定に保たれる。一実施例において、位置決め部211の外壁では、案内セグメント211bと接続端部211aとの接続部に丸みをつけて、案内セグメント211bと接続端部211aとの接続部の平滑性を向上させることができる。これにより、案内セグメント211bの案内により、接続セグメント211aが弁座110の弁チャンバ101内へよりスライドしやすくなり、位置決め部211と弁座110との取付効率が向上する。
【0044】
電子膨張弁の内部圧力の安定性を保証するために、本願の一実施例において、
図1から
図3を参照し、前記位置決め部211と前記弁座110との間には、前記位置決め部211の軸方向における両側を連通させるバランス通路103が設けられている。
【0045】
なお、前述した実施例に基づいて、位置決め部211の外壁が弁チャンバ101のチャンバ壁に締まりばめされるため、位置決め部211と弁座110との位置決めと嵌合により、位置決め部211の軸方向における両側の領域が2つの領域に仕切られ、位置決め部211と弁座110との間にバランス通路103を設けることで、位置決め部211の軸方向における両側の領域、すなわち、位置決め部211の上部領域と下部の弁チャンバ101とを連通させるため、位置決め部211の軸方向における両側の圧力バランスが保証され、不均一な圧力による電子膨張弁の性能への影響が防止される。
【0046】
実際の適用において、当該バランス通路103の形状構造は、実際の状況に応じて決定でき、例えば、円柱状貫通孔、錐状貫通孔、傾斜貫通孔、湾曲状貫通孔等の異形貫通孔とすることができる。もちろん、溝や切欠きなどの構造であってもよい。バランス通路103の数は、実際の状況に応じて決定でき、例えば、流体がより均一にバランス通路を通過するように、位置決め部211の周縁や弁座110の内壁に間隔をおいて分布する複数のバランス通路103を設置してもよい。
【0047】
なお、本実施例において、
図4と
図5に示すように、当該バランス通路103の設置位置を実際の状況に応じて決定してもよい。例えば、当該バランス通路103を前記位置決め部211に設置してもよく、あるいは、バランス通路103を前記弁座110の内壁に設けてもよい。バランス通路103は、位置決め部211に設けられる場合、位置決め部211上の貫通孔構造であってもよいし、位置決め部211の外壁から凹んで形成された切欠き構造や溝構造等であってもよい。バランス通路103は、弁座110の内壁に設けられている場合、弁座110の内壁から凹設された切欠きや溝構造などであってもよい。
【0048】
一実施例において、
図1から
図3を参照し、前記接続片220には、接続片220の軸方向における両側を連通させ、前記バランス通路103と連通するバランス孔221が設けられている。
【0049】
接続片220は、一端がナット210に固定され、他端が弁座110まで延在するため、接続片220の両側のチャンバは接続片220により仕切られる。両側の圧力バランスを保証するために、接続片220にバランス孔221を開けることでバランス通路103とハウジング400の内部チャンバとを連通させ、弁チャンバ101とハウジング400の内部チャンバとを連通させ、さらには弁チャンバ101とハウジング400の内部チャンバとの圧力バランスを保証し、電子膨張弁全体の圧力バランスを保証し、電子膨張弁の安定性を向上させることができる。
【0050】
実際の適用において、バランス孔221の形状構造は、実際の状況に応じて決定でき、例えば、円形貫通孔、方形貫通孔、または他の異形の貫通孔などとすることができる。また、接続片220の周縁を取り囲んで均等に間隔を置いて分布する複数のバランス孔221を設けて、圧力をより良くバランスさせる効果を得ることができる。
【0051】
一実施例において、
図1から
図3を参照し、前記接続片220は前記位置決め部211と間隔をおいて設置され、前記接続片220、前記位置決め部211及び前記弁座110とで第1のチャンバ102を囲んで形成し、前記バランス通路103と前記バランス孔221とはいずれも前記第1のチャンバ102と連通する。
【0052】
実際の適用において、位置決め部211と接続片220とは、密着するように設置されてもよく、間隔を置いて設置されてもよい。どの方法も、ナット210と弁座110との位置決めや嵌合の機能にはほとんど影響しない。しかし、取り付けのプロセスにおいて、位置決め部211はナット210の外壁に凸設された構造であり、位置決め部211とナット210とは一体構造であってもよいが、接続片220が金属材料であるため、他のホットメルト又は射出成形等の方法によりナット210と固定する必要がある。接続片220を位置決め部211と間隔を置いて設置する方が、密着して設置する方法に比べて、作業空間が大きく、プロセスをより簡単にする。
【0053】
一実施例において、前記接続片220、前記位置決め部211及び前記弁座110とで第1のチャンバ102を囲んで形成し、バランス通路103とバランス孔221とはいずれも第1のチャンバ102と連通することで、ハウジング400内のチャンバ、第1のチャンバ102及び弁チャンバ101をすべて連通させる機能を実現し、さらに電子膨張弁全体の内部チャンバの圧力バランスを達成し、圧力の不均一による電子膨張弁の性能への影響を防止する。
【0054】
本願の一実施例において、
図1から
図3を参照し、前記弁ニードル組立体300は、弁棒310と、前記弁棒310と前記弁体座120との間に設置された弁ニードル部320とを含み、前記ナット210は、前記弁棒310と嵌合されるねじセグメント212と、前記ねじセグメント212と接続され、前記弁体座120に向けて延設され、前記弁ニードル部320を案内するように前記弁ニードル部320と嵌合される固定セグメント213とを含み、前記接続片220と前記位置決め部211とは、いずれも前記固定セグメント213の外壁に設けられている。
【0055】
ねじセグメント212と固定セグメント213とは、軸方向に反対する2つのセグメントであり、弁棒310は、ねじセグメント212に貫設され、ねじセグメント212のねじ212aと螺合されることにより、ねじセグメント212のねじ212aに対する弁棒310の回転が軸方向の弁棒310の運動に変換して、さらに弁ニードル部320の軸方向の運動を駆動し、弁ニードル部320の運動の安定性を保証するために、固定セグメント213の内壁が弁ニードル部320を案内するように弁ニードル部320に嵌合される。接続片220と位置決め部211とはいずれも固定セグメント213の外壁に設けられているため、位置決め部211と接続片220との弁座110に対する位置決めや嵌合の機能により、固定セグメント213と弁座110との同軸度が保証される。一方、固定セグメント213の内壁が弁ニードル部320を案内するように弁ニードル部320と嵌合されることにより、弁ニードル部320が弁体座120の弁口121までより円滑に進入できるようになり、電子膨張弁の使用性能を向上させることができる。
【0056】
具体的には、前記固定セグメント213は、前記ねじセグメント212に接続され、前記接続片220と前記位置決め部211とがいずれも外壁に設置されている取付部213aと、一端が前記取付部213aに接続され、他端が前記弁体座120に向けて軸方向に延設されている延在部213bとを含む。取付部213aは取り付けて位置決めするように機能し、取付部213aと弁座110との同軸度を保証するために、接続片220と位置決め部211とがいずれも取付部213aに設けられている。弁ニードル部320との案内長さを保証し、さらに弁ニードル部320と弁体座120との同軸度を保証するために、延在部213bは、取付部213aに接続され、弁体座120に向かって軸方向に延在する。
【0057】
一実施例において、前記延在部213bと、前記取付部213aと、前記位置決め部211とは一体構造である。本実施例において、弁体座120に向かって延在する延在部213bをナット210に設けるとともに、接続片220及び位置決め部211によりナット210と弁座110との位置決め機能を実現することにより、ナット210と弁体座120との間に案内スリーブを設けて位置決めする従来技術に比べて、案内スリーブという部品を無くすことができるため、加工及び組付の工程を削減し、製造及び組付のコストを低減することができる。
【0058】
一実施例において、前記延在部213bの外壁と前記位置決め部211とは段差状に配置され、前記延在部213bの外径が前記位置決め部211の外径より小さい。延在部213bは主に内部の弁ニードル部320を案内するように機能することがわかる。一方、位置決め部211は、外部の弁座110の内壁に当接して位置決めするように機能する。したがって、延在部213bの外径を位置決め部211の外径より小さくすることで、材料を節約しつつ弁座110との位置決め機能及び弁ニードル部320に対する案内機能を保証することができる。
【0059】
一実施例において、前記延在部213bは前記弁体座120と隙間を置いて設置されている。なお、ナット210は、接続片220と位置決め部211とにより弁座110との位置決めを実現することで、ナット210と弁体座120との同軸度を保証することが分かる。同時に、延在部213bを介して弁ニードル部320を案内するように弁ニードル部320と嵌合されることにより、弁ニードル部320が弁体座120と同軸上となることが可能であるため、延在部213bと弁体座120とが接触しなくてもよくなる。一実施例において、流体通過時の騒音を低減するために、延在部213bは弁体座120と隙間を置いて設置されている。
【0060】
一実施例において、前記延在部213bには導流貫通孔201が設けられている。この導流貫通孔201は、閉じた貫通孔又は切欠きであってもよい。前記導流貫通孔201が複数設けられ、複数の前記導流貫通孔201は、前記延在部213bの周縁を取り囲んで間隔を置いて設けられている。導流貫通孔201を複数設けることにより、延在部213b内への流体の進入経路を多くし、延在部213bの周縁を取り囲んで複数の導流貫通孔201を設けることにより、延在部213bの周縁から流体を均一に進入させることができ、構造の安定化を図ることができる。
【0061】
図1から
図3を参照し、一実施例において、前記弁ニードル部320は、前記弁棒310に接続され、前記固定セグメント213の内壁に案内されるように嵌合される弁ニードルスリーブ321と、前記弁ニードルスリーブ321の前記弁棒310から離れる側に接続された弁ニードル322とを含み、前記弁棒310は、前記ナット210の軸方向に前記弁体座120に接近する又は前記弁体座120から離れるように弁ニードル322を駆動して、弁口121を閉塞又は開放することができる。
【0062】
本願の一実施例において、
図1から
図3を参照し、前記電子膨張弁は、前記ハウジング400内に設置されて前記弁ニードル組立体300に接続された回転子組立体500をさらに含み、前記回転子組立体500は、前記弁ニードル組立体300を回転させることで、前記弁ニードル組立体300を前記ナット210内で軸方向に移動させる。
【0063】
弁棒310は、一端が回転子組立体500に固定的に接続され、他端が弁ニードルスリーブ321内に貫設されて弁ニードル322に接続され、回転子組立体500の回転により弁棒310が回転駆動される。一方、弁棒310がねじセグメント212と螺合されるため、ナット210が弁座110に固定的に接続されている場合、弁棒310が回転する時、ナット210の軸方向に移動し、さらに、弁ニードル322がナット210の軸方向に弁体座120に接近する又は弁体座120から離れるように移動するように、弁ニードルスリーブ321を固定セグメント213の内壁に沿って軸方向に移動させて、弁口121を閉塞又は開放する目的を達成する。
【0064】
本実施例において、弁ニードル322は、一端が弁ニードルスリーブ321に取り付けられ、他端は弁体座120の弁口121に挿設され、弁ニードルスリーブ321は、固定セグメント213の内壁に案内されるように嵌合されて、弁ニードル322の軸方向移動をより安定化させるように、案内して取り付けるように機能する。
【0065】
本願はまた、冷却装置を提案する。当該冷却装置は電子膨張弁を含み、当該電子膨張弁の具体的な構造については、上記実施例を参照されたい。本冷却機器は上記全ての実施例の全ての技術案を採用したので、少なくとも上記実施例の技術案がもたらす全ての技術的効果を有し、ここでは説明を省く。または、電器機器は、エアコンや冷蔵庫などであってもよい。
【0066】
以上に述べたことは本願の好ましい実施例に過ぎず、それによって本願の特許の範囲を制限するわけではない。本願の発明構想の下で、本願の明細書及び添付図面の内容を利用してなされる均等構造変換、或いは他の関連する技術分野への直接/間接的な応用は、何れも本願発明の保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
【国際調査報告】