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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-07
(54)【発明の名称】伸張性多層フィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/40 20060101AFI20231130BHJP
   C08G 18/42 20060101ALI20231130BHJP
   C09D 175/06 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
B32B27/40
C08G18/42
C09D175/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532461
(86)(22)【出願日】2021-11-16
(85)【翻訳文提出日】2023-07-10
(86)【国際出願番号】 US2021059432
(87)【国際公開番号】W WO2022115268
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】63/119,273
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594055158
【氏名又は名称】イーストマン ケミカル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100168066
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】クルカルニ,スニル・ビラス
(72)【発明者】
【氏名】ペコリーニ,トーマス・ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ジッチコフスキー,ジェイミー・スー
(72)【発明者】
【氏名】ボワソー,ジョン・エヴァン
(72)【発明者】
【氏名】オレイヤ,ババトゥンデ・サミュエル
【テーマコード(参考)】
4F100
4J034
4J038
【Fターム(参考)】
4F100AK41B
4F100AK51A
4F100AK51B
4F100AT00A
4F100BA02
4F100CC00B
4F100EH46
4F100JA05B
4F100JA07B
4F100JB01
4F100JB13B
4F100JB16A
4F100JK08
4F100YY00B
4J034DA01
4J034DB03
4J034DB07
4J034DF01
4J034DF16
4J034DF20
4J034HA01
4J034HA07
4J034HC03
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4J034HC46
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4J034HC73
4J034KA01
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4J034KC17
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4J034QB17
4J034QC03
4J038DG111
4J038DG261
4J038MA07
4J038MA14
4J038NA11
4J038PB06
4J038PB07
4J038PC06
4J038PC08
(57)【要約】
熱可塑性ポリウレタン基材、および熱可塑性ポリウレタン基材に塗布された熱硬化性コーティングを含む、伸張性多層フィルムが開示される。熱硬化性コーティングは、それぞれの場合において反応したジオールおよびポリオールの総モル量に対して、約30~約99mol%のトリメチロールプロパンおよび約1mol%~約70mol%のネオペンチルグリコールを含む、ジオールまたはポリオールと、反応したジカルボン酸およびポリカルボン酸の総モル量に対して、約1mol%~約70mol%の2~12個の炭素を有する1種または複数の環式または非環式脂肪酸を含む、ジカルボン酸またはポリカルボン酸との反応生成物を含むオリゴマーポリエステル樹脂の反応生成物を含んでもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性ポリウレタン基材、および
熱可塑性ポリウレタン基材に塗布された、熱硬化性コーティング
を含む伸張性多層フィルムであって、熱硬化性コーティングが、
i)
a.それぞれの場合において反応したジオールおよびポリオールの総モル量に対して、約30~約99mol%のトリメチロールプロパンおよび約1mol%~約70mol%のネオペンチルグリコールを含む、ジオールまたはポリオールと
b.反応したジカルボン酸およびポリカルボン酸の総モル量に対して、約1mol%~約70mol%の2~12個の炭素を有する1種または複数の環式または非環式脂肪酸を含む、ジカルボン酸またはポリカルボン酸と
の反応生成物を含むオリゴマーポリエステル樹脂と
(ii)脂肪族イソシアネート、イソシアヌレート、アロファネート、またはビウレットと
の反応生成物を含み、
オリゴマーポリエステル樹脂が、-40~55℃のガラス転移温度(Tg)、0~15mgKOH/gの酸価、100~370mgKOH/gのヒドロキシル価、500~10,000mgKOH/gの数平均分子量、および1000~40,000の重量平均分子量を有し、
伸張性多層フィルムが、50%を超える破断点伸びを示し、多層フィルムの調製の1週間以内に測定されたときに、歪み5%で0.358kg/cm(2lb/in)未満の伸張荷重/インチを有し、45℃を超える耐樹液性を有する、
伸張性多層フィルム。
【請求項2】
オリゴマーポリエステル樹脂が、0~10mgKOH/gの酸価、125~300mgKOH/gのヒドロキシル価、1000~4,000mgKOH/gの数平均分子量、および1000~25,000の重量平均分子量を有する、請求項1に記載の伸張性多層フィルム。
【請求項3】
トリメチロールプロパンの量が、約40~約70mol%であり、ネオペンチルグリコールの量が、約30mol%~約60mol%であり、2~12個の炭素を有する1種または複数の環式または非環式脂肪酸の量が、約20mol%~約70mol%である、請求項1または2に記載の伸張性多層フィルム。
【請求項4】
2~12個の炭素を有する1種または複数の環式または非環式脂肪酸が、アジピン酸を含む、請求項1から3のいずれかに記載の伸張性多層フィルム。
【請求項5】
ジオールまたはポリオールが、TMCDをさらに含む、請求項1から4のいずれかに記載の伸張性多層フィルム。
【請求項6】
ジカルボン酸またはポリジカルボン酸が、50mol%~100mol%の量で存在するHHPAまたはCHDAのうちの1種または複数をさらに含む、請求項1から5のいずれかに記載の伸張性多層フィルム。
【請求項7】
多層フィルムの調製の1週間以内に測定されたときに、歪み5%で0.179kg/cm(1lb/in)を超え、かつ歪み5%で0.358kg/cm(2lb/in)未満である伸張荷重/インチを示し、45℃~70℃の耐樹液性を有する、請求項1から6のいずれかに記載の伸張性多層フィルム。
【請求項8】
熱硬化性コーティングの厚さが0.1~25ミクロンの厚さである、請求項1から7のいずれかに記載の伸張性多層フィルム。
【請求項9】
コーティングの厚さが1~10ミクロンの厚さである、請求項1から8のいずれかに記載の伸張性多層フィルム。
【請求項10】
脂肪族ジイソシアネートが存在し、メチレンビス-4,4’-イソシアナトシクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、ペンタン-1,5-ジイソシアネート、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、またはポリイソシアネートのうちの1種または複数から選択される、請求項1から9のいずれかに記載の伸張性多層フィルム。
【請求項11】
脂肪族ジイソシアネートが存在し、以下の構造:
【化1】
のうちの1つに相当する、請求項1から10のいずれかに記載の伸張性多層フィルム。
【請求項12】
オリゴマーポリエステル樹脂のジオールまたはポリオールが、30mol%未満の量のTMCDをさらに含む、請求項1から11のいずれかに記載の伸張性多層フィルム。
【請求項13】
オリゴマーポリエステル樹脂のジカルボン酸またはポリカルボン酸が、5mol%以下の芳香族ジカルボン酸を含む、請求項1から12のいずれかに記載の伸張性多層フィルム。
【請求項14】
オリゴマーポリエステル樹脂の脂肪族イソシアネートまたはイソシアヌレートに対するモル比が、0.95~1.05である、請求項1から13のいずれかに記載の伸張性多層フィルム。
【請求項15】
熱可塑性ポリウレタン基材、および
熱可塑性ポリウレタン基材に塗布された、熱硬化性コーティング
を含む伸張性多層フィルムであって、熱硬化性コーティングが、
i)
a.a~cの総モルに対して、30~70モル%の量のトリメチロールプロパン(TMP)、
b.a~cの総モルに対して、1~70モル%の量のネオペンチルグリコール(NPG)、
c.a~cの総モルに対して、0~69モル%の量のNPG以外のジオール、
d.d~eの総モルに対して、30~100モル%の量の2~12個の炭素を有する1種または複数の環式または非環式脂肪酸、および
e.d~eの総モルに対して、0~70モル%の量の1種または複数の追加のジカルボン酸
を含むモノマーの反応生成物である、オリゴマーポリエステルと、
(ii)脂肪族イソシアネート、イソシアヌレート、アロファネート、またはビウレットと
の反応生成物を含み、
オリゴマーポリエステル樹脂が、-40~55℃のガラス転移温度(Tg)、0~15mgKOH/gの酸価、100~370mgKOH/gのヒドロキシル価、500~10,000mgKOH/gの数平均分子量、および1000~25,000の重量平均分子量を有し、
伸張性多層フィルムが、50%を超える破断点伸びを示し、多層フィルムの調製の1週間以内に測定されたときに、歪み5%で0.358kg/cm(2lb/in)未満の伸張荷重/インチを有し、45℃を超える耐樹液性を有する、
伸張性多層フィルム。
【請求項16】
トリメチロールプロパンの量が、約40~約70mol%であり、ネオペンチルグリコールの量が、約30mol%~約60mol%であり、2~12個の炭素を有する1種または複数の環式または非環式脂肪酸の量が、約20mol%~約70mol%である、請求項1から15のいずれかに記載の伸張性多層フィルム。
【請求項17】
2~12個の炭素を有する1種または複数の環式または非環式脂肪酸が、アジピン酸を含む、請求項1から16のいずれかに記載の伸張性多層フィルム。
【請求項18】
ジオールまたはポリオールが、TMCDをさらに含む、請求項1から17のいずれかに記載の伸張性多層フィルム。
【請求項19】
ジカルボン酸またはポリジカルボン酸が、50mol%~100mol%の量で存在するHHPAまたはCHDAのうちの1種または複数をさらに含む、請求項1から18のいずれかに記載の伸張性多層フィルム。
【請求項20】
多層フィルムの調製の1週間以内に測定されたときに、歪み5%で0.179kg/cm(1lb/in)を超え、かつ歪み5%で0.358kg/cm(2lb/in)未満である伸張荷重/インチを示し、45℃~70℃の耐樹液性を有する、請求項1から19のいずれかに記載の伸張性多層フィルム。
【請求項21】
熱硬化性コーティングの厚さが0.1~25ミクロンの厚さである、請求項1から20のいずれかに記載の伸張性多層フィルム。
【請求項22】
コーティングの厚さが1~10ミクロンの厚さである、請求項1から21のいずれかに記載の伸張性多層フィルム。
【請求項23】
脂肪族ジイソシアネートが存在し、メチレンビス-4,4’-イソシアナトシクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、ペンタン-1,5-ジイソシアネート、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、またはポリイソシアネートのうちの1種または複数から選択される、請求項1から22のいずれかに記載の伸張性多層フィルム。
【請求項24】
脂肪族ジイソシアネートが存在し、以下の構造:
【化2】
のうちの1つに相当する、請求項1から23のいずれかに記載の伸張性多層フィルム。
【請求項25】
オリゴマーポリエステル樹脂が、ポリオールとして、30mol%未満の量のTMCDをさらに含む、請求項1から24のいずれかに記載の伸張性多層フィルム。
【請求項26】
オリゴマーポリエステル樹脂が、ポリカルボン酸として、5mol%以下の芳香族ジカルボン酸をさらに含む、請求項1から25のいずれかに記載の伸張性多層フィルム。
【請求項27】
オリゴマーポリエステル樹脂の脂肪族イソシアネートまたはイソシアヌレートに対するモル比が、0.95~1.05である、請求項1から26のいずれかに記載の伸張性多層フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は一般に、保護用フィルム、特に塗料保護フィルムとして有用な伸張性多層フィルムを対象とする。
【背景技術】
【0002】
[0002]伸張性フィルム、例えば自動車パネルやコーティングされた木材などを保護するために使用される塗料保護フィルムは一般に、熱可塑性エラストマーと、片側の主面に塗布された熱硬化性コーティングおよび反対側の主面上の接着剤とで構成される。これらの保護用フィルムは、3次元の対象物に沿うことができるように伸張性であるとともに、紫外光、酸性雨、樹液などの環境因子に対して耐性があることが望ましい。環境因子に対する耐性は一般に、この熱硬化性コーティングの最外層によりもたらされる。
【0003】
[0003]米国特許第10,265,932号は、延伸性の多層保護用シートを開示している。これらは、例えば輸送、建築、およびスポーツ用品の産業において、様々な屋内および屋外用途で有用である。保護用シートは、保護が望まれるあらゆる物品の表面の少なくとも一部に有利に適用されうる。一態様において、延伸性多層保護用シートは、担持層および本質的に未架橋のトップコート層を含みうる。後者のさらなる一実施形態によれば、トップコート層は、ポリウレタンベースとすることができる。
【0004】
[0004]塗料保護フィルムには既存市場があるが、一方で、自動車ボディパネル上の自動車トップコートによりもたらされる環境因子への耐性は、一般にかなり良好である。これらのトップコートは、イソシアネートを含む架橋剤とヒドロキシル官能性樹脂を反応させることによって得られる、熱硬化性で顔料不含の透明コートである。これらのコーティングは、典型的に約50~70ミクロンのコーティングの厚さで所望の性能を発揮するように開発されている。
【0005】
[0005]塗料保護フィルムが自動車透明コートの耐環境性に匹敵することは望ましいことであろう。しかしながら、透明コート配合物は硬質であるが、保護用フィルムの最も外側のコーティングは、適用の目的で、下にある熱可塑性エラストマー基材の伸張性を維持するように設計される必要がある。さらに、典型的に5~15ミクロンである保護用フィルムの厚さは、自動車コーティングよりもずっと薄い。これらの設計上の制約により、保護用フィルムの環境因子に対する耐性は、自動車コーティングの耐性よりも一般的に劣る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006]改善された耐樹液性をもたらし、同時に、50%を超える破断点伸びをもたらし、低歪み値での引張強さを減少させる、保護用トップコートおよび熱可塑性ポリウレタンを含む伸張性多層フィルムの発見が、引き続き必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]一態様において、本発明は、熱可塑性ポリウレタン基材、および熱可塑性ポリウレタン基材に塗布された熱硬化性コーティングを含む、伸張性多層フィルムに関する。熱硬化性コーティングは、オリゴマーポリエステル樹脂と脂肪族イソシアネートまたはイソシアヌレートとの反応生成物を含む。そしてオリゴマーポリエステル樹脂は、それぞれの場合において反応したジオールおよびポリオールの総モル量に対して、約30~約99mol%のトリメチロールプロパンおよび約1mol%~約70mol%のネオペンチルグリコールを含む、ジオールまたはポリオールと;反応したジカルボン酸およびポリカルボン酸の総モル量に対して、約1mol%~約70mol%の2~12個の炭素を有する1種または複数の環式または非環式脂肪酸を含む、ジカルボン酸またはポリカルボン酸との反応生成物を含む。伸張性多層フィルムは、50%を超える破断点伸びを示し、多層フィルムの調製の1週間以内に測定されたときに、歪み5%で0.358kg/cm(2lb/in)未満の伸張荷重/インチを有し、45℃を超える耐樹液性を有する。
【0008】
[0008]別の態様において、本発明は、熱可塑性ポリウレタン基材、および熱可塑性ポリウレタン基材に塗布された熱硬化性コーティングを含む、伸張性多層フィルムに関する。この態様において、熱硬化性コーティングは、オリゴマーポリエステルと反応した、脂肪族イソシアネート、イソシアヌレート、アロファネート、またはビウレットの反応生成物である。そしてオリゴマーポリエステルは、a~cの総モルに対して、30~70モル%の量のトリメチロールプロパン(TMP)、a~cの総モルに対して、1~70モル%の量のネオペンチルグリコール(NPG)、a~cの総モルに対して、0~69モル%の量のNPG以外のジオール、d~eの総モルに対して、30~100モル%の量の2~12個の炭素を有する1種または複数の環式または非環式脂肪酸、およびd~eの総モルに対して、0~70モル%の量の1種または複数の追加のジカルボン酸を含むモノマーの反応生成物であり、オリゴマーポリエステル樹脂は、-40~55℃のガラス転移温度(Tg)、0~15mgKOH/gの酸価、100~370mgKOH/gのヒドロキシル価、500~10,000mgKOH/gの数平均分子量、および1000~25,000の重量平均分子量を有する。この態様において、伸張性多層フィルムは、50%を超える破断点伸びを示し、多層フィルムの調製の1週間以内に測定されたときに、歪み5%で0.358kg/cm(2lb/in)未満の伸張荷重/インチを有し、45℃を超える耐樹液性を有する。
【0009】
[0009]本発明のさらなる態様は、本明細書に開示され、特許請求される通りである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例(X)および比較例(O)中のNPGおよびアジピン酸含有量を示す図である。
図2】本発明の実施例(X)および比較例(O)についての耐樹液性および歪み5%での荷重/inを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0010]一態様において、本発明は、架橋した熱硬化性コーティングでコーティングされた熱可塑性エラストマー基材、例えば熱可塑性ポリウレタンを含む、伸張性多層フィルムを対象とする。熱硬化性コーティングは、反応したジオールまたはポリオールの総モル量に対して、約30mol%~約99mol%のトリメチロールプロパン(TMP)および約1mol%~約70mol%のネオペンチルグリコール(NPG)を、ジオールまたはポリオールとして含む、オリゴマーポリエステル樹脂の反応生成物であるか、または本明細書の他の箇所に記載される通りである。本発明のオリゴマーポリエステル樹脂は、他のジオールまたはポリオールを含んでもよい。オリゴマーポリエステル樹脂は、ジカルボン酸またはポリカルボン酸の総モル量に対して、約1mol%~約60mol%の1~12個の炭素を有する環式または非環式脂肪族ジカルボン酸、特にアジピン酸を、ジカルボン酸またはポリカルボン酸としてさらに含むか、または本明細書の他の箇所に記載される通りである。本発明のオリゴマーポリエステル樹脂は、他のジカルボン酸またはポリカルボン酸を含んでもよい。
【0012】
[0011]本発明のオリゴマーポリエステル樹脂を、脂肪族イソシアネート、イソシアヌレート、アロファネート、またはビウレットと反応させて、熱硬化性コーティングを得る。伸張性多層フィルムは、例えば塗料保護フィルムとして使用するため、熱硬化性コーティングの反対側の接着剤層をさらに含んでもよい。この接着剤は、感圧性接着剤としてもよい。コーティング層を含む伸張性多層フィルムは、50%を超える破断点伸びを示し、多層フィルムの調製の1週間以内に試験されたときに、歪み5%で0.358kg/cm(2lb/in)未満の伸張荷重/インチを有し、45℃を超える耐樹液性を有するか、または本明細書にさらに規定される通りである。
【0013】
[0012]伸張性多層フィルムは、伸張されたときにコーティング層の完全性を維持する熱硬化性コーティングを施された熱可塑性エラストマー基材から形成されうることを、本発明により我々は発見した。典型的には熱可塑性ポリウレタンである熱可塑性エラストマー基材は、塗料保護フィルムまたはオートラップとして使用するのに好適であり、したがって最大50%の伸びの量で伸張性である。熱可塑性ポリウレタンは構造が弾性をもつことが知られているが、本特許発明者らは、多層フィルム全体が50%の破断点伸びまで伸張することを可能にし、多層フィルムの調製の1週間以内に試験されたときに、歪み5%で0.358kg/cm(2lb/in)未満の伸張荷重/インチを有し、45℃を超える耐樹液性を有する熱硬化性コーティングを有する伸張性多層フィルムを意外なことに開発した。本明細書に記載のものと同様の熱硬化性コーティングは、例えば自動車に使用するための金属コーティングとして、または缶のコーティングとして有用なことが公知であるが、典型的に、いくらか認められる程度にも伸張しない。
【0014】
[0013]本発明では、「伸張性多層フィルム」は、少なくとも50%の歪みまで亀裂なしで可逆的に伸ばされうるものである。「伸張性フィルム」のさらなる態様は、フィルムを可逆的に伸ばすのに必要とされる力が小さいことであり、なぜなら、これによって取付け者がフィルムを自動車表面に沿わせるのがより容易になるからである。
【0015】
[0014]別段の指示がない限り、本明細書および特許請求の範囲において使用される、構成成分の量、特性、例えば分子量、反応条件などを表す全ての数字は、全ての例において「約」という用語により修飾されていると理解されるものとする。そうではないと示されていない限り、以下の本明細書および添付の特許請求の範囲において記載される数値パラメーターは近似値であり、その近似値は、本発明によって得られようとされている所望の特性に応じて変動しうる。最低限でも、各数値パラメーターは、報告された有効数字の数を考慮し、通常の丸め法を適用することによって解釈されるべきである。さらに、本開示および特許請求の範囲において述べられた範囲は、終点のみではなく、範囲全体を具体的に含むことが意図される。例えば、0~10と述べられた範囲は、0~10の全ての整数、例えば1、2、3、4など、0~10の全ての小数、例えば1.5、2.3、4.57、6.1113など、ならびに端点0および10を開示することが意図される。また、例えば「C~Cジオール」のような化学置換基に関する範囲は、C、C、C、C、およびCジオールを具体的に含み、開示することが意図される。
【0016】
[0015]本発明の広い範囲を記載している数値範囲およびパラメーターは近似値であるが、具体例において記載されている数値は、可能な限り正確に報告されている。しかしながら、いずれの数値も、それぞれの試験測定値において見出される標準偏差から必然的に生じる、ある特定の誤差を本質的に含む。
【0017】
[0016]本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、文脈が明らかにそうでないと示す場合を除き、単数形「a」「an」および「the」はその複数指示物を含む。例えば、「ポリエステル」、「ジカルボン酸」、「残基」の言及は、「少なくとも1種の」または「1種もしくは複数の」ポリエステル、ジカルボン酸、または残基と同義であり、したがって単数または複数両方のポリエステル、ジカルボン酸、または残基に言及することが意図される。加えて、「1種の」構成成分または「1種の」ポリエステルを「含む(comprising)」、「含有する」、「有する」、または「含む(including)」組成物の言及は、具体的に特定された構成成分または残基に加えて、それぞれ他の構成成分または他のポリエステルを含むことが意図される。したがって、「含有する」、「有する」、または「含む(including)」という用語は、「含む(comprising)」という用語と同義であることが意図され、互換に使用されることがあり、少なくとも挙げられた化合物、元素、粒子、または方法ステップなどが組成物または物品または方法に存在するが、他の化合物、触媒、材料、粒子、方法ステップなどの存在を排除せず、たとえ他のそのような化合物、材料、粒子、方法ステップなどが挙げられたものと同じ機能を有する場合であっても、特許請求の範囲において明示的に排除される場合を除き、排除しないことを意味する。
【0018】
[0017]また、1つまたは複数のプロセスステップについての言及は、組み合わされた記載のステップの前もしくは後の追加のプロセスステップ、または明示的に特定されたステップの間に介在するプロセスステップの存在を除外しないことが理解されるものとする。さらに、プロセスステップまたは構成成分の記述は、個別の活動または構成成分を特定するための便利な手段であり、記載された記述は、別段の指示がない限り、任意の順序で配置されうる。
【0019】
[0018]したがって本発明の伸張性多層フィルムは、熱硬化性コーティング、および熱硬化性コーティングが塗布された熱可塑性エラストマー基材を含む。熱硬化性コーティングは、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、および脂肪族二塩基酸、例えばアジピン酸の残基を含む、かなりの脂肪族含有量を有するオリゴマーポリエステル樹脂から作製される。本発明に従って有用なオリゴマーポリエステル樹脂は、さらなる量のジオールまたはポリオール、およびさらなる量のジカルボン酸またはポリカルボン酸を含んでもよい。
【0020】
[0019]本発明のオリゴマーポリエステル樹脂は、1種または複数の酸成分と1種または複数のヒドロキシル成分の重縮合によって調製される。これらの酸成分は、少なくとも2つのカルボン酸単位を有し、したがって場合によりジカルボン酸またはポリカルボン酸のいずれかであることが理解される。同様に、これらのヒドロキシル成分は、少なくとも2つのヒドロキシル単位を有し、したがって場合によりジオールまたはポリオールのいずれかであることが理解される。本明細書において使用される場合、「ポリオール」という語は、オリゴマーポリエステル樹脂を構築するのに使用されるモノマー単位を表し、2個以上のヒドロキシル基を有するモノマー単位を含むことになる。同様に、本明細書において使用される場合、「ポリカルボン酸」という語は、オリゴマーポリエステル樹脂を構築するのに使用されるモノマー単位を表し、2個以上のカルボン酸基を有するモノマー単位を含むことになる。我々は、本発明のオリゴマーポリエステル樹脂を形成するのに使用される2種の反応物として、「ジオールまたはポリオール」および「ジカルボン酸またはポリカルボン酸」という用語に、便宜上、しばしば言及することになる。全体にわたり使用される場合、ジオールまたはポリオールの各々のモル百分率は、存在するジオールまたはポリオールの総モルに対する。同様に、ジカルボン酸またはポリカルボン酸の各々のモル百分率は、存在するジカルボン酸またはポリカルボン酸の総モルに対する。
【0021】
[0020]本明細書において使用される場合、本発明のオリゴマーポリエステル樹脂は、脂肪族イソシアネート、イソシアヌレート、アロファネート、またはビウレットと反応した熱硬化性コーティングとは区別される。本発明のオリゴマーポリエステル樹脂は、脂肪族イソシアネートまたはイソシアヌレートと反応したときにポリオール反応物として作用して本発明の熱硬化性コーティングを形成する、比較的低分子量の脂肪族熱可塑性ポリエステルである。文脈により、イソシアネートという用語は、イソシアヌレート、アロファネート、またはビウレットを含むことがある。
【0022】
[0021]したがって本発明の熱硬化性コーティングは熱硬化性ポリマーであり、熱可塑性エラストマーをコーティングするのに適合されている。すなわち、オリゴマーポリエステル樹脂は、脂肪族イソシアネートまたはイソシアヌレートと、任意選択で微量の芳香族イソシアネートと共に配合され、その結果、熱硬化性コーティングは、望ましい伸張性および耐樹液性を保ちながら熱可塑性エラストマー基材を保護するための使用に好適である。したがってこれらのオリゴマーポリエステル樹脂は、高分子量熱可塑性ポリマーに通常使用される押出、鋳込み、吹込成形、および他の熱形成プロセスによる、フィルム、シート、および他の成形物の製造のための独立ポリマーとして好適ではないと考えられる。オリゴマーポリエステル樹脂は、ヒドロキシル基および/またはカルボキシル基である反応性官能基を有し、これがコーティング配合物中の脂肪族イソシアネートと後に反応する。オリゴマーポリエステル樹脂の官能基は、オリゴマーポリエステル樹脂組成物中に過剰のポリオールまたはポリカルボン酸のいずれかを有することにより制御される。ポリエステル樹脂がヒドロキシル末端となるかカルボン酸末端となるかは、所望の架橋経路が決定することになる。この概念は当業者に公知であり、例えばOrganic Coatings Science and Technology、第2版、246~257頁、Z.Wicks、F.Jones、およびS.Pappas著、Wiley社、ニューヨーク、1999年に記載され、この全開示は参照により本明細書に組み入れられる。
【0023】
[0022]オリゴマーポリエステル樹脂の酸成分は、1~12個の炭素原子を有するジカルボン酸およびポリカルボン酸から調製される。典型的に、本明細書において総称的にポリカルボン酸と記載される酸成分は、少なくとも1種のジカルボン酸を含み、任意選択でポリカルボン酸を含んでもよい。酸成分は本質的に脂肪族ポリカルボン酸であるが、微量の芳香族ポリカルボン酸、例えばイソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、または無水フタル酸から誘導される残基を含んでもよく、しかしこれは好ましいことではない。一部の態様において、芳香族酸含有分の量は、5mol%以下、または3mol%以下、または2mol%以下、または1mol%以下、または0.5mol%以下、または実質的にゼロの芳香族酸の含有分としてもよい。
【0024】
[0023]これらの脂肪族ポリカルボン酸は、非環式および環式の変形体にさらに分けられうる。非環式脂肪族ジカルボン酸は、非環式脂肪族および環式脂肪族二塩基酸の総モルに対して、1~60モル%、1~50モル%、1~40モル%、1~30モル%、1~20モル%、1~10モル%、10~60モル%、10~50モル%、10~40モル%、10~30モル%、10~20モル%、20~60モル%、20~50モル%、20~40モル%、20~30モル%、30~60モル%、30~50モル%、30~40モル%、40~60モル%、40~50モル%、または50~60モル%を占める。
【0025】
[0024]したがって、本発明に従って有用な非環式脂肪族酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、ウンデカン二酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ドデカン二酸、セバシン酸、アゼライン酸、アセチレンジカルボン酸、グルタコン酸、トラウマチン酸、ダイマー酸、水素化ダイマー酸など、またはこれらの残基が挙げられる。アジピン酸は、望ましい非環式脂肪族酸である。
【0026】
[0025]本発明に従って有用な環式脂肪族酸としては、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物(HHPA)、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸、2,3-ノルボルナンジカルボン酸、2,3-ノルボルナンジカルボン酸無水物、およびこれらの混合物、またはこれらの残基が挙げられる。HHPAは、望ましい環式脂肪族二塩基酸である。
【0027】
[0026]オリゴマーポリエステル樹脂のヒドロキシル成分は、2~20個の炭素原子を典型的に有するジオールおよびポリオールから調製される。上述の通り、ポリオールという用語は、文脈によりジオールを含む。
【0028】
[0027]本発明に従って有用なジオールは、分岐鎖状または直鎖状で飽和または不飽和の脂肪族または脂環式のC2~C20化合物である、2個のヒドロキシル基を有するジオールを含み、ヒドロキシル基は第一級、第二級、および/または第三級であり、望ましくは第一級である。したがって、本発明に従って有用なジオールおよびポリオールとしては、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレート、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-イソブチル-1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2,4,4-テトラメチル-1,6-ヘキサンジオール、1,10-デカンジオール、1,4-ベンゼンジメタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、およびポリエチレングリコール、ならびにこれらの混合物、またはこれらの残基が挙げられる。
【0029】
[0028]本発明に従って有用なポリオールは、飽和または不飽和の脂肪族または脂環式のC2~C20化合物である3個以上のヒドロキシル基を有するポリオールを含んでもよく、ヒドロキシル基は第一級、第二級、および/または第三級であり、望ましくはヒドロキシル基のうちの少なくとも2つが第一級である。望ましくは、ポリオールは炭化水素であり、水素、炭素、および酸素以外の原子を含有しない。これらのポリオールの例としては、1,1,1-トリメチロールプロパン(TMP)、1,1,1-トリメチロールエタン、グリセリン、ペンタエリトリトール、エリトリトール、トレイトール、ジ-ペンタエリトリトール、ソルビトール、およびこれらの混合物、またはこれらの残基が挙げられる。
【0030】
[0029]他の態様において、本発明のオリゴマーポリエステル樹脂は、1種または複数の脂環式ジオール、例えば2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールをさらに含んでもよい。他の態様において、本発明のオリゴマーポリエステル樹脂は、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールをほとんど含まないか、またはまったく含まなくてもよく、例えば15mol%以下、または10mol%以下、または5mol%以下、または2mol%以下を含んでもよい。
【0031】
[0030]一態様において、本発明のオリゴマーポリエステル樹脂は、モノマーポリオールとして、トリメチロールプロパンとネオペンチルグリコールの両方で構成されている。
[0031]一態様において、トリメチロールプロパンは、TMPならびに他のジオールおよびポリオールの総モルに対して、約30もしくは30~99モル%、または30~80モル%、または30~70モル%、または30~50モル%、または30~40モル%、または40~99%、または40~80モル%、または40~70モル%、または40~60モル%、または40~50モル%、または50~99モル%、または50~80モル%、または50~70モル%、または60~99%、または60~80モル%、または60~70モル%、または70~99%、または70~80モル%、または80~99%の量で、オリゴマーポリエステル樹脂中に存在してもよい。
【0032】
[0032]さらなる態様において、オリゴマーポリエステル樹脂中の2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)(NPG)は、NPGならびに他のジオールおよびポリオールの総モルに対して、1~70%、または10~70%、または20~70モル%、または30~70モル%、または40~70モル%、または50~70モル%、または60~70モル%、1~60%、または10~60%、または20~60モル%、または30~60モル%、または40~60モル%、または50~60モル%、1~50%、または10~50%、または20~50モル%、または30~50モル%、または40~50%、または1~40%、または10~40%、または20~40モル%、または30~40モル%、1~30%、または10~30%、または20~30モル%、または1~20%、または10~20%、または1~10%を占める。
【0033】
[0033]オリゴマーポリエステル樹脂を形成するための重縮合反応の速度を加速するために、触媒が使用されうる。
[0034]酸成分およびヒドロキシル成分の追加の例としては、限定されるものではないが下記で考察されるものを含む当業者に公知のもの、および当業者に公知の様々な文献、例えばResins for Surface Coatings、第III巻、63~167頁、P.K.T.OldringおよびG.Hayward編、SITA Technology社、英国ロンドン、1987年のものが挙げられ、この開示は参照により本明細書に組み入れられる。
【0034】
[0035]本発明のオリゴマーポリエステル樹脂に関連して本明細書において使用される場合、「残基」という用語は、対応するモノマーを含む重縮合または開環反応によりポリマー中に組み入れられた任意の有機構造を意味する。本発明の様々な硬化可能ポリエステルに結合された残基は、親モノマー化合物自体または親化合物の任意の誘導体から誘導されうることも、当業者によって理解されることになる。例えば、本発明のポリマーにおいて言及されるジカルボン酸残基は、ジカルボン酸、もしくはその関連する酸ハロゲン化物、エステル、塩、無水物、またはこれらの混合物から誘導されうる。したがって、本明細書において使用される場合、「ポリカルボン酸」という用語は、その最も広い意味で、硬化可能脂肪族ポリエステルを作製するためのジオールとの重縮合プロセスに有用なポリカルボン酸、およびポリカルボン酸の任意の誘導体、例えばその関連する酸ハロゲン化物、エステル、半エステル、塩、半塩、無水物、およびこれらの混合物を含むことが意図される。
【0035】
[0036]したがって、残基が存在する、と本特許発明者らが言う場合は、使用されたモノマーの反応生成物として残基が存在することを意味する。反応した量は、反応した材料中に存在する量であると、特許発明者らは想定する。
【0036】
[0037]「脂肪族」という用語は、当業者によって理解されると考えられる一般的なその意味を有し、すなわち、ベンゼノイドまたは他の芳香族系を除いた、非環式または環式の飽和または不飽和の炭素化合物であることが意図される。本明細書において使用される場合、「脂環式」または「環式脂肪族」という用語は、環式の脂肪族化合物を意味することが意図される。本明細書において使用される場合、「脂肪族ポリエステル」という用語は、例えば、二塩基酸またはジオール残基の総モルに対して、90モルパーセント以上の脂肪族二塩基酸またはジオール残基を含有するポリエステルを意味すると理解される。少量、例えば10モル%未満、または9モル%未満、または8モル%未満、または5モル%未満、または3モル%未満、または2モル%未満、または1モル%未満の芳香族ジカルボン酸残基または芳香族ジオール残基も、硬化可能脂肪族ポリエステル中に存在してもよい。望ましくは、硬化可能脂肪族オリゴマーポリエステル樹脂は、芳香族二塩基酸および/または芳香族ジオール残基を本質的に含まず、すなわち1モル%未満の芳香族二塩基酸および/または芳香族ジオール残基を有する。
【0037】
[0038]樹液は、ある期間にわたって車の塗料を損傷させると知られる、攻撃的な物質である。コーティングの樹液に対する耐性は、典型的にコーティングの架橋密度およびガラス転移温度を増加させることによって達成され、その両方が、本発明の保護用フィルムのもちろん非常に望ましい特徴である伸張性に悪影響を及ぼすことを本特許発明者らは見出した。したがって、塗料保護フィルムが、必要とされる伸張性を保ちながら、樹液に対する良好な耐性を達成することは非常に望ましい。
【0038】
[0039]したがって、様々な実施形態において、本発明は、本発明の伸張性多層フィルムを得るためにオリゴマーポリエステル樹脂から作製された、本発明の熱可塑性エラストマー基材に塗布された熱硬化性コーティングを提供する。一態様において、本発明のフィルムは、本明細書に記載される方法によって測定されたときに、45℃を超える、または50℃を超える、または60℃を超える、または70℃を超える耐樹液性を示す。
【0039】
[0040]別の態様において、本発明の伸張性多層フィルムは、本明細書に記載される方法によって測定されたときに、50%を超える、または60%を超える、または65%を超える破断点伸びを示す。
【0040】
[0041]さらなる態様において、本発明の伸張性多層フィルムは、コーティングが約0.1~25ミクロン、または0.1~20ミクロン、または0.1~15ミクロン、または0.1~10ミクロン、または0.5~25ミクロン、または0.5~20ミクロン、または0.5~15ミクロン、または0.5~10ミクロン、または1~25ミクロン、または1~20ミクロン、または1~15ミクロン、または1~10ミクロン、または1~5ミクロン、または2~25ミクロン、または2~20ミクロン、または2~15ミクロン、または2~10ミクロン、または3~8ミクロンの厚さを有するときに、各場合において本明細書に記載される方法によって測定されたとき、歪み5%で2%未満の引張強さを示す。
【0041】
[0042]本発明のオリゴマーポリエステル樹脂のヒドロキシル価は、約100~約370、または125~300、または150~300、または170~330、または180~280、または190~240mgKOH/gのポリエステルであり、酸価は0~15mgKOH/gまたは1~10mgKOH/gである。
【0042】
[0043]本発明のオリゴマーポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、約500~約10,000、または800~6,000、または1,000~4,000g/モルであってもよい。本発明の硬化可能オリゴマーポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、約1,000~約40,000、1,000~25,000、または2,000~20,000g/モルであってもよい。分子量は、ポリスチレン当量分子量および溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を用いて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される。他の態様において、Mw分子量は、少なくとも約1,000、または少なくとも1,500、または少なくとも2,000、最大約20,000、または最大約21,000、または最大22,000、または最大約24,000、または最大約25,000、または最大約40,000であってもよい。
【0043】
[0044]本発明のオリゴマーポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、-40℃~55℃、-30℃~25℃、または-10℃~10℃であってもよい。
[0045]熱硬化性コーティングのイソシアネート架橋剤は、望ましくは脂肪族イソシアネートまたは脂肪族ポリマーイソシアネート型である。好適なイソシアネートとしては、限定されるものではないが、メチレンビス-4,4’-イソシアナトシクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、ペンタン-1,5-ジイソシアネート、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンが挙げられる。熱硬化性コーティングのイソシアネート架橋剤は、上記で挙げられたモノマーイソシアネートのポリマーイソシアネートも含む。これは、限定されるものではないが、イソシアヌレート、アロファネート、およびビウレットを含む。ジオールおよびポリオール、例えばエチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、トリメチロールプロパンなどのイソシアネート末端付加物も使用されうる。これらは、1モルを超えるジイソシアネート、例えば挙げられたジイソシアネートを、1モルのジオールまたはポリオールと反応させて、2~3の官能性を有するより高分子量のイソシアネートプレポリマーを形成することによって形成される。例としては、Covestro LLC社製のDesmodurおよびMondurという商品名のイソシアネート架橋剤が挙げられる。イソシアネートが架橋剤として使用される場合、脂肪族イソシアネートを使用することが好ましく、これは脂肪族イソシアネートがより良好な屋外耐久性および色安定性を硬化コーティングにもたらすからである。例としては、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4-ブチレンジイソシアネート、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)、およびイソホロンジイソシアネートが挙げられる。イソシアネート架橋剤の混合物も使用されうる。望ましいイソシアネート架橋剤としては、変性イソシアネート、例えばカルボジイミド変性イソシアネート、シラン変性イソシアネート、およびブロック化イソシアネートも挙げられる。
【0044】
[0046]望ましいイソシアネートの構成単位の一般構造が以下に示される。
【0045】
【化1】
【0046】
[0047]本明細書において使用される場合、アロファネートは、本明細書において開示されるイソシアネートとウレタンとの反応生成物である。ビウレットは、本明細書において開示される2種以上のイソシアネートの反応生成物である。
【0047】
[0048]微量の芳香族イソシアネートは、トルエンジイソシアネート、メチレンジフェニルイソシアネート、およびポリマーアロファネート、イソシアヌレート、ならびにこれらの材料のビウレットを含んでもよい。
【0048】
[0049]本発明の熱硬化性コーティング組成物は、本発明のポリエステルのヒドロキシル基または残りの酸基と反応しうる、当業者に公知の1種または複数の他の架橋剤をさらに含有してもよい。一例は、メラミン、またはヒドロキシル基と反応することができる「アミノ」型の架橋剤である。別の例は、残りの酸基と反応しうるエポキシドである。
【0049】
[0050]ポリエステル樹脂とイソシアネートの反応の化学量論計算は当業者に公知であり、The Chemistry of Polyurethane Coatings、Technical Publication 20頁、Bayer Material Science社、2005年に記載されており、これは参照により本明細書に組み入れられる。理論的に、ポリエステル樹脂とイソシアネートの間の架橋は、1当量のイソシアネート(NCO)が1当量のヒドロキシル(OH)と反応したとき(NCO対OH比が1.0/1.0であるとき)、最大分子量および分子量に関する最適特性に達する。大気、溶媒、および顔料由来の水分によるイソシアネートの消費可能性を考慮するため、約5~10%の小過剰のイソシアネートを使用することが一般的な方法である。NCO対OH比を1.0/1.0未満に変えて可撓性を改善すること、またはより硬質でより耐薬品性があり、より耐候性のあるコーティングのために1.0/1.0超に変えることが望ましい場合がある。
【0050】
[0051]好ましい実施形態において、NCO対OH比は、0.7~1.3、または0.75~1.25、または0.8~1.2、または0.85~1.15、または0.9~1.1、または0.95~1.05としてもよい。
【0051】
[0052]別の態様において、本発明は、1種または複数の架橋触媒をさらに含んでもよい熱硬化性コーティング組成物をさらに提供する。有用な触媒としては、第三級アミン、例えばトリエチレンジアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、ジエチルエタノールアミン、1-メチル-4-ジメチルアミノエチルピペラジン、3-メトキシ-N-ジメチルプロピルアミン、N-ジメチル-N’-メチルイソプロピルプロピレンジアミン、N,N-ジエチル-3-ジエチルアミノプロピルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、2,4,6-トリスジメチルアミノメチルフェノール、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-ブチルアミン、1,8-ジアザ-ビクロロ[5,40]-ウンデセン-7 N-メチルジエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジエチルシクロヘキシルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-エチレンジアミン、1,4-ジアザ-ビシクロ-[2,2,2]-オクタン N-メチル-N-ジメチルアミノエチル-ピペラジン、アジピン酸ビス-(N,N-ジエチルアミノエチル)、N,N-ジエチルベンジルアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,3-ブタンジアミン、1,2-ジメチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール;スズ化合物、例えば塩化第一スズ、ジ-2-エチルヘキサン酸ジブチルスズ、オクタン酸第一スズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、水酸化トリメチルスズ、二塩化ジメチルスズ、ジブチルスズ二酢酸、ジブチルスズオキシド、酢酸トリブチルスズ、テトラメチルスズ、ジメチルジオクチルスズ、エチルヘキサン酸スズ、ラウリン酸スズ、マレイン酸ジブチルスズ、ジオクチルスズ二酢酸;他の金属有機物、例えばオクタン酸亜鉛、プロピオン酸フェニル水銀、オクタン酸鉛、ナフテン酸鉛、およびナフテン酸銅が挙げられうる。本発明に特に有用であるのは、ジラウリン酸ジブチルスズ(DBTDL)である。触媒の有用な量は、樹脂固体の総重量に対して、約0.01~5%になる。
【0052】
[0053]熱硬化性コーティング組成物は、1種または複数のレベリング、レオロジーおよび流動制御剤、例えばシリコーン、フルオロカーボン、またはセルロース系材料;湿潤剤;艶消し剤;顔料湿潤および分散剤;界面活性剤;紫外線(UV)吸収剤;UV光安定剤;着色顔料;脱泡および消泡剤;沈降防止、垂れ防止および増稠剤;皮張り防止剤;色別れ防止および浮き色防止剤;殺菌剤および防カビ剤;腐食防止剤;増粘剤;流動剤;レオロジー制御剤;スリップ剤;撥油剤;超疎水剤;または融合助剤も含有しうる。このような添加剤の特定の例は、Raw Materials Index、the National Paint&Coatings Associationによる出版、1500 Rhode Island Avenue,N.W.,Washington,D.C.20005において見出されうる。
【0053】
[0054]一部の有用な実施形態において、本明細書において記載される熱硬化性コーティング組成物は、艶消し剤を含んでもよい。艶消し剤は一般に、水に不溶な材料の小さな固体粒子であり、光沢を減らすのに効果的である。好ましくは、艶消し剤粒子は、約0.05~約10ミクロンの大きさを有するが、最大約50ミクロンの塊または凝集体で存在してもよい。艶消し剤粒子は、無機物であっても有機物であってもよい。好適な無機艶消し剤の例としては、ケイ酸塩、例えばタルク、および様々な形態のシリカ、例えば非晶質、エーロゲル、ケイ藻、ヒドロゲル、およびヒュームドシリカが挙げられる。好適な有機艶消し剤の例としては、不溶性尿素-ホルムアルデヒド樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース繊維、およびポリウレタン/ポリ尿素コポリマーが挙げられる。
【0054】
[0055]UV吸収剤およびUV光安定剤の一部の例は、Cytec Specialty Chemicals社からCYASORB(登録商標)UVとして入手可能であり、Ciba Specialty Chemicals社からTINUVIN(登録商標)として入手な、置換ベンゾフェノン、置換ベンゾトリアゾール、ヒンダードアミン、およびヒンダードベンゾエート;ジエチル-3アセチル-4-ヒドロキシ-ベンジル-ホスホネート;4-ドデシルオキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、およびレソルシノールモノベンゾエートである。
【0055】
[0056]所望される場合、熱硬化性コーティング組成物は、他の機能材料、例えば染料着色剤、顔料、耐摩耗粒子(BYK Chemie社製NANOBYK(商標)添加剤など)、酸化防止剤、チキソトロープ剤、および充填剤を含むことができる。顔料の例としては、表面コーティング分野の当業者によって一般に認識される顔料が挙げられる。例えば、顔料は、典型的な有機または無機顔料、特にthe Colour Index、第3版、第2次改訂版、1982年、the Society of Dyers and Colourists in association with the American Association of Textile Chemists and Coloristsによる出版に記載された顔料としてもよい。好適な顔料の他の例としては、二酸化チタン、バライト、粘土、炭酸カルシウム、CIピグメントホワイト6(二酸化チタン)、CIピグメントブラック7、CIピグメントブラック11、CIピグメントブラック22、CIピグメントブラック27、CIピグメントブラック28、CIピグメントレッド101(赤色酸化鉄)、CIピグメントイエロー42、CIピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4(銅フタロシアニン)、CIピグメントレッド49:1、およびCIピグメントレッド57:1が挙げられる。着色剤、例えばフタロシアニンブルー、モリブデンオレンジ、またはカーボンブラックも熱硬化性コーティング組成物に添加されうる。
【0056】
[0057]本発明の熱硬化性コーティング組成物は、疎水性向上剤、例えばヒドロキシル、アミノ、またはエポキシ官能性を付与された単官能性シリコーン成分をさらに含んでもよい。単官能性材料が使用される場合、それが重合または架橋中の連鎖停止剤として作用してもよい。
【0057】
[0058]したがって、添加剤は、モノグリシジルエーテル末端ポリ(ジメチルシロキサン)、ジグリシジルエーテル末端ポリ(ジメチルシロキサン)、ビス(3-アミノプロピル)末端ポリ(ジメチルシロキサン)(Gelest社から入手可能なDMS-A11)、(アミノプロピルメチルシロキサン(sioxane))-ジメチルシロキサンコポリマー(例えば、Gelest社から入手可能なAMS-132、AMS-152、AMS-162、AMS-163、AMS-191、またはAMS-1203)、(アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン(sioxane))-ジメチルシロキサンコポリマー(例えば、Gelest社から入手可能なAMS-2202、AMS-233、またはAMS-242)、モノヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(例えば、Gelest社から入手可能なMCS-C11、MCR-C12、MCR-C18、MCR-C22、またはMCS-C13)、ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(例えば、Gelest社から入手可能なDMS-C15またはDMS-C16)、およびシラノール末端ポリジメチルシロキサン(例えば、Gelest社から入手可能なDMS-S12)のうちの1種または複数としてもよい。
【0058】
[0059]配合物が基材にコーティングされることを可能にする任意の溶媒を使用してもよく、これらは当業者に周知である。好適な有機溶媒としては、グリコール、グリコールエーテルアルコール、アルコール、ケトン、ならびに芳香族、例えばキシレンおよびトルエン、アセテート、石油スピリット、ナフサ、ならびに/またはこれらの混合物が挙げられる。「アセテート」は、グリコールエーテルアセテートを含む。有機溶媒の量は、熱硬化性コーティング組成物の総重量に対して、最大60重量%とすることができる。
【0059】
[0060]分散剤の例としては、限定されるものではないが、スルホコハク酸ビス(トリデシル)ナトリウム、スルホコハク酸ジ(2-エチルヘキシル)ナトリウム、スルホコハク酸ジヘキシルナトリウム、スルホコハク酸ジシクロヘキシルナトリウム、スルホコハク酸ジアミルナトリウム、スルホコハク酸ジイソブチル(dusobutyl)ナトリウム、スルホコハク酸イソデシル二ナトリウム、スルホコハク酸のエトキシル化アルコール半エステル二ナトリウム、アルキルアミドポリエトキシスルホコハク酸二ナトリウム、N-(1,2-ジカルボキシエチル)-N-オクタデシルスルホスクシンアミド酸四ナトリウム、N-オクタスルホスクシンアミド酸二ナトリウム、硫酸化エトキシル化ノニルフェノール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールなどが挙げられる。
【0060】
[0061]粘度、懸濁、および流動制御剤の例としては、ポリアミノアミドホスフェート、ポリアミンアミドの高分子量カルボン酸塩、および不飽和脂肪酸のアルキレンアミン塩が挙げられ、これらは全て、BYK Chemie USA社からANTI TERRA(商標)として入手可能である。さらなる例としては、限定されるものではないが、ポリシロキサンコポリマー、ポリアクリレート溶液、セルロースエステル、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアミドワックス、ポリオレフィンワックス、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレンオキシドなどが挙げられる。
【0061】
[0062]いくつかの有標消泡剤が市販されており、限定されるものではないが、Buckman Laboratories Inc.社から入手可能なBUBREAK(商標)、BYK Chemie,U.S.A.社から入手可能なBYK(商標)、Henckel Corporation Coating Chemicals社から入手可能なFOAMASTER(商標)およびNOPCO(商標)、Ashland Chemical Company社のDrew Industrial Divisionから入手可能なDREWPLUS(商標)、Troy Chemical Corporation社から入手可能なTRYSOL(商標)およびTROYKYD(商標)、ならびにUnion Carbide Corporation社から入手可能なSAG(商標)が挙げられる。
【0062】
[0063]UV吸収剤およびUV光安定剤の一部の例は、Cytec Specialty Chemicals社からCYASORB(登録商標)UVとして入手可能であり、Ciba Specialty Chemicals社からTINUVIN(登録商標)として入手可能な、置換ベンゾフェノン、置換ベンゾトリアゾール、ヒンダードアミン、およびヒンダードベンゾエート;ジエチル-3アセチル-4-ヒドロキシ-ベンジル-ホスホネート;4-ドデシルオキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、およびレソルシノールモノベンゾエートである。
【0063】
[0064]本明細書において使用される場合、熱可塑性エラストマー基材は、いくつかの熱可塑性エラストマー、例えばポリウレタン、スチレンブロックコポリマー、ポリアクリレート、ポリオレフィン、塩化ビニルポリマー、ポリエーテル-エステル、ポリアミド、イオノマー、シリコーン、およびフルオロポリマーを含んでもよい。本発明の熱可塑性エラストマー基材は、その弾性によって部分的に特徴付けられる。
【0064】
[0065]一態様において、熱可塑性エラストマー基材は、熱可塑性ポリウレタン、すなわちTPUを含む。TPUは、ポリエステル系、ポリエーテル系、およびポリカプロラクトン系の3つの化学的なクラスに分けられる。ポリエステルTPUは一般にPVCおよび他の極性プラスチックと相容性があり、優れた耐摩耗性を提供し、物理特性の良好なバランスをもたらし、ポリマーブレンドにおいて有用である。ポリエーテル系TPUは、より低温での可撓性、ならびに良好な耐摩耗性および引裂抵抗をもたらす。これらは良好な加水分解安定性も有する。ポリカプロラクトン系TPUは、固有の靱性およびポリエステル系TPUの耐性、ならびに良好な低温性能および加水分解安定性を有する。
【0065】
[0066]TPUはまた、芳香族TPUと脂肪族TPUにさらに分けることができ、ここでは使用されるジイソシアネートに言及する。トルエンジイソシアネート(TDI)およびメチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)などの、イソシアネートをベースとする芳香族TPUは、TPUのうちの大多数であり、強度、可撓性、および靱性が必要とされる場合に使用される。しかしながら、これらは典型的にあまり耐候性がない。4,4’-メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート(H12 MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、およびイソホロンジイソシアネート(IPDI)などの、イソシアネートをベースとする脂肪族TPUは、光安定性があり、優れた透明性をもたらす。これらは、自動車の内装および外装用途で一般的に使用され、安全ガラスを合わせて結合するのに使用されうる。脂肪族ポリカプロラクトン系TPUは、多くの自動車外装用途で必要とされる耐候性と、低温での可撓性と、耐衝撃性の良好なバランスをもたらし、本発明に従って特に有用であることを本特許発明者らは見出した。
【0066】
[0067]特定の態様において、本発明に従って熱可塑性エラストマー基材として有用な熱可塑性ポリウレタンは、脂肪族ジイソシアネートと反応したポリカプロラクトン系ポリマージオールで構成された、脂肪族ポリカプロラクトン系熱可塑性ポリウレタンとしてもよい。この態様において、脂肪族ジイソシアネートは、例えば、4,4’-メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート(H12 MDIまたはHMDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、およびイソホロンジイソシアネート(IPDI)から選択されてもよい。この態様において、ポリカプロラクトン系ポリマージオールは、カプロラクトン単位、グリコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、またはブタンジオールで構成され、グリコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、またはブタンジオールで開始されてもよい。好ましい態様において、熱可塑性ポリウレタンは、HMDI、1,4-ブタンジオール、およびカプロラクトンの残基を含む。本発明の熱可塑性ポリウレタンを形成するために使用されるポリカプロラクトン系ポリマージオールは、例えば約500~約5000、または約800~約4000、または約900~約3000、または約1000~約2500の分子量を有してもよい。
【0067】
[0068]脂肪族ポリカプロラクトン系熱可塑性ポリウレタンの他の特性としては、固有の靱性、およびポリエステル系TPUの耐性、および良好な低温性能、良好な耐候性、および耐光性、および加水分解安定性が挙げられる。
【0068】
[0069]本発明に従って熱可塑性エラストマー基材として有用なTPUとしては、米国特許第10,265,932号において開示および特許請求されたTPUが挙げられ、この開示は参照により本明細書に組み入れられる。それらは、ウレタン(カルバメートとしても知られる)結合、尿素結合、またはこれらの組合せ(すなわち、ポリ(ウレタン-尿素)の場合)を含有するポリマーである。したがって、本発明に従って有用なポリウレタンは、少なくともウレタン結合と、任意選択で尿素結合とを含有する。一態様において、本発明のポリウレタン系層は、重合中に形成された少なくとも約80%のウレタンおよび/または尿素繰返し結合をバックボーンが有する、ポリウレタンベースである。
【0069】
[0070]本発明に従って熱可塑性エラストマー基材として有用なTPUは、同じまたは異なる化学のポリウレタンポリマー、すなわちポリマーブレンドを含むことができる。ポリウレタンは一般に、少なくとも1種のイソシアネート反応性成分と、少なくとも1種のイソシアネート官能性成分、ならびに1種または複数の任意の成分、例えば乳化剤および鎖延長剤の反応生成物を含む。
【0070】
[0071]本発明に従ってTPUにおいて有用なイソシアネート反応性成分は、少なくとも1つの活性水素、例えばアミン、チオール、およびポリマージオール、特にヒドロキシル官能性材料、例えばイソシアネート官能性成分と反応したときにウレタン結合をもたらすポリマージオールを含む。目的の特定のポリマージオールとしては、ポリエステルポリマージオール(例えば、ラクトンポリマージオール)およびそのアルキレンオキシド付加物(例えば、エチレンオキシド;1,2-エポキシプロパン;1,2-エポキシブタン;2,3-エポキシブタン;イソブチレンオキシド;およびエピクロロヒドリン)、ポリエーテルポリマージオール(例えば、ポリオキシアルキレンポリマージオール、例えばポリプロピレンオキシドポリマージオール、ポリエチレンオキシドポリマージオール、ポリプロピレンオキシドポリエチレンオキシドコポリマーポリマージオール、およびポリオキシテトラメチレンポリマージオール;ポリオキシシクロアルキレンポリマージオール;ポリチオエーテル;ならびにこれらのアルキレンオキシド付加物)、ポリアルキレンポリマージオール、ポリカーボネートポリマージオール、これらの混合物、ならびにこれらのコポリマーが挙げられる。さらなる目的のポリマージオールは、本明細書においてポリカプロラクトン系ポリマージオールと称される、カプロラクトンから誘導されるものである。
【0071】
[0072]したがって、本発明の熱可塑性エラストマー基材のイソシアネート反応性成分は、イソシアネート官能性成分と反応してTPUを形成する。イソシアネート官能性成分は、1種のイソシアネート官能性材料またはその混合物を含有しうる。ポリイソシアネートの誘導体(例えば、尿素、ビウレット、アロファネート、ポリイソシアネートの二量体および三量体、ならびにこれらの混合物)を含むポリイソシアネート(以降、集合的に「ポリイソシアネート」と称される)は、イソシアネート官能性成分に好ましいイソシアネート官能性材料である。ポリイソシアネートは、少なくとも2つのイソシアネート官能基を有し、ヒドロキシ官能性イソシアネート反応性成分と反応したときにウレタン結合をもたらす。一実施形態において、ポリウレタンを調製することに有用なポリイソシアネートは、ポリウレタンを調製するために用いられる脂肪族または任意選択で芳香族のポリイソシアネートのいずれかの1種またはその組合せである。
【0072】
[0073]TPUのイソシアネートは、典型的にジイソシアネートであり、芳香族ジイソシアネート、芳香族-脂肪族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、および2つのイソシアネート官能基が末端となった他の化合物(例えば、トルエン-2,4-ジイソシアネート末端ポリプロピレンオキシドポリマージオールのジウレタン)が挙げられる。したがって、本発明に従って有用なジイソシアネートとしては、2,6-トルエンジイソシアネート;2,5-トルエンジイソシアネート;2,4-トルエンジイソシアネート;フェニレンジイソシアネート;5-クロロ-2,4-トルエンジイソシアネート;1-クロロメチル-2,4-ジイソシアナトベンゼン;キシリレンジイソシアネート;テトラメチル-キシリレンジイソシアネート;1,4-ジイソシアナトブタン;1,6-ジイソシアナトヘキサン;1,12-ジイソシアナトドデカン;2-メチル-1,5-ジイソシアナトペンタン;メチレンジシクロヘキシレン-4,4’-ジイソシアネート;3-イソシアナトメチル-3,5,5’-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート);2,2,4-トリメチルヘキシルジイソシアネート;シクロヘキシレン-1,4-ジイソシアネート;ヘキサメチレン-1,6-ジイソシアネート;テトラメチレン-1,4-ジイソシアネート;シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート;ナフタレン-1,5-ジイソシアネート;ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート;ヘキサヒドロキシリレンジイソシアネート;1,4-ベンゼンジイソシアネート;3,3’-ジメトキシ-4,4’-ジフェニルジイソシアネート;フェニレンジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート;ポリメチレンポリフェニルイソシアネート;4,4’-ビフェニレンジイソシアネート;4-イソシアナトシクロヘキシル-4’-イソシアナトフェニルメタン;およびp-イソシアナトメチルフェニルイソシアネートが挙げられる。
【0073】
[0074]これらのポリウレタンの成分は、以下で特定の炭化水素基およびそのポリマーバージョンを参照しながらさらに説明される。したがって、「ポリ」という接頭辞は、対応する炭化水素基に付けられる。炭化水素基は、炭素に加えて1種または複数のヘテロ原子を含んでもよく、官能基、例えばオキシム、エステル、カーボネート、アミド、イミド、エーテル、ウレタン、尿素、カルボニル、またはこれらの混合物も含有してもよい。
【0074】
[0075]一態様において、本発明に従って熱可塑性エラストマー基材として有用なTPUは、脂肪族イソシアネートとオリゴマーポリエステル樹脂から作製されるTPUを含む。「脂肪族」という用語は、飽和または不飽和の直鎖状、分岐鎖状、または環式の炭化水素基を意味する。この用語は、アルキレン(例えば、オキシアルキレン)、アラルキレン、およびシクロアルキレン基を含む。「アルキレン基」という用語は、飽和の直鎖状または分岐鎖状の2価の炭化水素基を意味する。好ましいアルキレン基としてはオキシアルキレン基が挙げられ、これは、末端酸素原子を有する飽和の直鎖状または分岐鎖状の2価の炭化水素基である。「アラルキレン基」は、少なくとも1つの芳香族基を有する飽和の直鎖状または分岐鎖状の2価の炭化水素基である。「シクロアルキレン基」という用語は、少なくとも1つの環式基を有する飽和の直鎖状または分岐鎖状の2価の炭化水素基を意味する。「オキシシクロアルキレン基」という用語は、少なくとも1つの環式基および末端酸素原子を有する飽和の直鎖状または分枝鎖状の2価の炭化水素基を意味する。「芳香族基」という用語は、単環式芳香族炭化水素基または多環式芳香族炭化水素基を意味する。この用語は、アリーレン基を含む。「アリーレン基」という用語は、2価の芳香族基を意味する。
【0075】
[0076]したがって、本発明による熱可塑性エラストマー基材において有用な脂肪族イソシアネートは脂肪族基を含み、脂肪族基はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基などであってもよく、分岐鎖状であっても直鎖状であってもよく、直鎖状が有利である。脂肪族基は2~30個の炭素原子、または3~12個の炭素原子、または4~10個の炭素原子を含んでもよい。例としては、1,12-ジイソシアナトドデカン;2-メチル-1,5-ジイソシアナトペンタン;メチレンジシクロヘキシレン-4,4’-ジイソシアネート;3-イソシアナトメチル-3,5,5’-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート);2,2,4-トリメチルヘキシルジイソシアネート;シクロヘキシレン-1,4-ジイソシアネート;ヘキサメチレン-1,6-ジイソシアネート;テトラメチレン-1,4-ジイソシアネート;シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート;およびイソホロンジイソシアネートが挙げられる。
【0076】
[0077]本発明の熱可塑性エラストマー基材の調製において、1種または複数の鎖延長剤も使用されうる。例えば、そのような鎖延長剤は、ポリウレタンを調製するのに使用される脂肪族ポリマージオール、脂肪族ポリアミン、または芳香族ポリアミンのいずれかまたは組合せでありうる。したがって、本発明に従って有用な鎖延長剤としては、以下のもの:1,4-ブタンジオール;プロピレングリコール;エチレングリコール;1,6-ヘキサンジオール;グリセリン;トリメチロールプロパン;ペンタエリトリトール;1,4-シクロヘキサンジメタノール;およびフェニルジエタノールアミンが挙げられる。また、ヒドロキノンビス(β-ヒドロキシエチル)エーテル;テトラクロロヒドロキノン-1,4-ビス(β-ヒドロキシエチル)エーテル;およびテトラクロロヒドロキノン-1,4-ビス(β-ヒドロキシエチル)スルフィドのようなジオールは、芳香環を含有するが、本発明では脂肪族ポリマージオールとみなされることに注意されたい。2~10個の炭素原子の脂肪族ジオールが好ましい。特に好ましいのは、1,4-ブタンジオールである。
【0077】
[0078]本発明によれば、本発明の伸張性多層フィルムは、耐樹液性と伸張性の改善されたバランスを示す。様々な実施形態において、本発明の伸張性多層フィルムは、以下に記載されるように決定されたとき、45℃を超える耐樹液性を有し、50%を超える破断点伸びを示し、以下に記載されるように決定されたとき、多層フィルムの調製の1週間以内に試験された場合に、歪み5%で0.358kg/cm(2lb/in)未満の伸張荷重/インチを有する。
【0078】
[0079]本発明の伸張性多層フィルムは、フィルムが接着される表面にフィルムを設置するのを助けるように設けられた感圧接着剤(PSA)をさらに含んでもよい。これらの感圧接着剤は、例えば、剥離ライナーによって付けられてもよく、または熱可塑性エラストマー基材にコーティングされてもよい。本発明に従って有用な感圧接着剤としては、米国特許第5,883,149号に開示されている感圧接着剤が挙げられ、この開示は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0079】
[0080]本発明に従って有用な感圧接着剤としては、アクリルポリマーを含むアクリレート感圧接着剤が挙げられ、アクリルポリマーはそのガラス転移温度(Tg)によって特徴付けられうる。ポリマーのTgは、約-55℃~約15℃、または-30℃~5℃、または-25℃~0℃であってもよい。本発明による接着剤は、ホモポリマーが0℃未満、特に-20℃未満のTgを有するアクリル酸エステルを約25~約98部、または60~95部;ホモポリマーが0℃を超える、または10℃を超えるTgを有するエチレン性不飽和モノマーを約2~約75部、または5~45部;酸またはヒドロキシルを有する極性エチレン性不飽和モノマーを0~約15部、または0~10部含んでもよい。任意選択で、接着剤ポリマーは、0~約50部、または10~30部の粘着付与剤とブレンドされてもよい。
【0080】
[0081]本発明に従って有用なアクリル酸エステルは、アルコール部分に約4~約18個の炭素原子を有する一価アルコールの単官能性アクリル酸エステルであり、そのホモポリマーは0℃未満のTgを有する。このクラスのアクリル酸エステルに含まれるのは、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ブチル、およびアクリル酸オクタデシル、またはこれらの組合せである。アクリル酸オクタデシルの場合、量は、室温で側鎖の結晶化が起こらないように選択される。
【0081】
[0082]ホモポリマーが0℃を超える、または10℃を超えるTgを有するエチレン性不飽和モノマーの例としては、限定されるものではないが、アクリル酸3,3,5トリメチルシクロヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、N-オクチルアクリルアミド、アクリル酸t-ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、N,Nジメチルアクリルアミド、N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、アクリロニトリル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸グリシジル、2-フェノキシエチルアクリレート、およびベンジルアクリレート、またはこれらの組合せが挙げられる。
【0082】
[0083]本発明に従って有用な酸またはヒドロキシルを有するモノマーとしては、限定されるものではないが、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸ベータカルボキシエチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、およびメタクリル酸ヒドロキシブチルが挙げられる。
【0083】
[0084]これらの接着剤ポリマーは架橋剤を任意選択で含むことになり、架橋剤としては、限定されるものではないが、アルミニウムアセチルアセトネートのような金属キレートおよび様々なチタン酸塩が挙げられる。他の架橋剤としては、限定されるものではないが、多官能性エポキシ、シラン、アジリジン、イソシアネート、および/または(メタ)アクリレートが挙げられる。任意選択で、PSAは、他の添加剤、例えば粘着付与剤、可塑剤、UV吸収剤/安定剤、および酸化防止剤も含みうる。
【0084】
[0085]本発明の組成物は、2つの最終使用での実用性を有する2つの例示的な実施形態に関して上記で詳細に説明されたが、本発明の組成物は、多種多様な最終使用用途で利用することができ、それらの用途において所望の性能を達成するように所望される任意の量でキレート剤を含みうることは、当業者には理解されることになる。例えば、本発明の組成物は、他のクリーニング用途、例えば、室内装飾クリーナー、カーペットクリーナー、硬質表面クリーナー、ならびに水処理、パルプおよび紙の製造、ならびに農薬処理などの実用において有用でありうる。
【0085】
[0086]以下の実施例は、本発明による好適な、および/または好ましい方法および結果を記載する。しかしながら、これらの実施例は例示目的で提供されるものであり、実施例において、本発明の範囲全体を限定するものとして受け取られるべきものはないことが理解されるものとする。別段の指定がない限り、全ての百分率は重量基準である。
【実施例
【0086】
オリゴマーポリエステル樹脂の調製
[0087]オリゴマーポリエステル樹脂(表1)を以下の手順に従って調製した。全ての樹脂は、加熱マントル、メカニカルスターラー、熱電対、窒素ブランケット、油加熱式分縮器、凝縮液トラップ、および水冷式全縮器を備えた2リットルの反応釜で調製した。
【0087】
オリゴマーポリエステル樹脂1(PE1)
[0088]段階1-HHPA、TMCD、亜リン酸トリフェニル、およびキシレンを反応釜に装入した。追加のキシレンを使用して、凝縮液トラップを満たした。次いで温度を室温から140℃まで50分かけて上げた。溶融物が100℃に達したら撹拌を開始した。酸価242mgKOH/g以下の樹脂が達成されるまで、温度を140℃で維持した。
【0088】
[0089]段階2-NPG、総量の半分のTMP、AD、およびFascat4100触媒を反応器に添加し、230℃まで6時間かけて加熱した。
[0090]段階3-残りのTMPを添加し、最終酸価8mgKOH/gの樹脂が達成されるまで、反応物を230℃で維持した。樹脂を190℃に冷却し、中程度のメッシュの塗料フィルターを通して金属塗料缶に注いだ。
【0089】
オリゴマーポリエステル樹脂2(PE2)
[0091]段階1-HHPA、NPG、および亜リン酸トリフェニルを反応釜に装入した。追加のキシレンを使用して、凝縮液トラップを満たした。次いで温度を室温から140℃まで50分かけて上げた。溶融物が75℃に達したら撹拌を開始した。酸価193mgKOH/g以下の樹脂が達成されるまで、温度を190℃で維持した。次いで温度を165℃に冷却した。
【0090】
[0092]段階2-総量の半分のTMP、AD、および触媒を反応器に添加し、次に140℃まで加熱し、一晩維持した。次いで反応物を230℃まで6時間かけて加熱した。
[0093]段階3-残りのTMPを反応器に添加し、最終酸価8mgKOH/g樹脂が達成されるまで、反応物を230℃で維持した。樹脂を190℃に冷却し、中程度のメッシュの塗料フィルターを通して金属塗料缶に注いだ。
【0091】
オリゴマーポリエステル樹脂3(PE3)
[0094]段階1-HHPA、NPG、および亜リン酸トリフェニルを反応釜に装入した。追加のキシレンを使用して、凝縮液トラップを満たした。温度を室温から100℃まで1時間かけて上げた。溶融物が100℃に達したら撹拌を開始した。酸価272mgKOH/g以下の樹脂が達成されるまで、温度を130℃で維持した。
【0092】
[0095]段階2-TMPおよびFascat4100触媒を反応器に添加し、230℃まで4時間かけて加熱した。最終酸価2mgKOH/gの樹脂が達成されるまで、反応物を230℃で維持した。次いで樹脂を190℃に冷却し、中程度のメッシュの塗料フィルターを通して金属塗料缶に注いだ。
【0093】
オリゴマーポリエステル樹脂4(PE4)
[0096]段階1-HHPA、TMCD、亜リン酸トリフェニル、およびキシレンを反応釜に装入した。追加のキシレンを使用して、凝縮液トラップを満たした。温度を室温から100℃まで1時間かけて上げた。溶融物が100℃に達したら撹拌を開始した。酸価376mgKOH/g以下の樹脂が達成されるまで、温度を140℃で維持した。
【0094】
[0097]段階2-NPG、総量の半分のTMP、アジピン酸、およびFascat4100触媒を反応器に添加し、230℃まで6時間かけて加熱した。
[0098]段階3-残りのTMPを添加した。最終酸価5mgKOH/gの樹脂が達成されるまで、反応物を230℃で維持した。次いで樹脂を190℃に冷却し、中程度のメッシュの塗料フィルターを通して金属塗料缶に注いだ。
【0095】
オリゴマーポリエステル樹脂5(PE5)
[0099]段階1-HHPA、TMCD、アジピン酸、亜リン酸トリフェニル、およびFascat4100触媒を反応釜に装入した。温度を室温から100℃まで1時間かけて上げた。溶融物が100℃に達したら撹拌を開始した。酸価283mgKOH/g以下の樹脂が達成されるまで、温度を200℃で維持した。
【0096】
[00100]段階2-TMPおよび触媒を添加し、反応物を150℃に加熱した。温度を225℃まで4時間かけて上げ、最終酸価2mgKOH/gの樹脂が達成されるまで、その温度で維持した。次いで樹脂を170℃に冷却し、中程度のメッシュの塗料フィルターを通して金属塗料缶に注いだ。
【0097】
オリゴマーポリエステル樹脂6(PE6)
[00101]段階1-HHPA、TMCD、TMP、アジピン酸、亜リン酸トリフェニル、およびキシレンを反応釜に装入した。追加のキシレンを使用して、凝縮液トラップを満たした。温度を室温から100℃まで1時間かけて上げた。溶融物が100℃に達したら撹拌を開始した。酸価245mgKOH/g以下の樹脂が達成されるまで、温度を195℃で維持した。
【0098】
[00102]段階2-NPG、TMP、およびFascat4100触媒を添加し、反応物を150℃に加熱した。温度を230℃まで4時間かけて上げ、最終酸価8mgKOH/gの樹脂が達成されるまで、その温度で維持した。次いで樹脂を190℃に冷却し、中程度のメッシュの塗料フィルターを通して金属塗料缶に注いだ。
【0099】
オリゴマーポリエステル樹脂7(PE7)
[00103]段階1-NPG、TMCD、総量の半分のTMP、AD、Fascat4100触媒、亜リン酸トリフェニル、およびキシレンを反応釜に装入した。追加のキシレンを使用して、凝縮液トラップを満たした。温度を室温から100℃まで1時間かけて上げた。溶融物が100℃に達したら撹拌を開始した。温度を220℃で2時間にわたり維持し、エステル化の水の半分が得られるまで維持した。
【0100】
[00104]段階2-残りのTMPを添加し、最終酸価4mgKOH/gの樹脂が達成されるまで、温度を220℃で維持した。次いで樹脂を190℃に冷却し、中程度のメッシュの塗料フィルターを通して金属塗料缶に注いだ。
【0101】
オリゴマーポリエステル樹脂8(PE8)
[00105]段階1-HHPA、TMCD、亜リン酸トリフェニル、およびキシレンを反応釜に装入した。追加のキシレンを使用して、凝縮液トラップを満たした。次いで温度を室温から150℃まで2時間かけて上げた。溶融物が100℃に達したら撹拌を開始した。酸価248mgKOH/g以下の樹脂が達成されるまで、温度を150℃で維持した。
【0102】
[00106]段階2-TMPおよびFascat4100触媒を反応器に添加し、230℃まで2時間半かけて加熱した。最終酸価4mgKOH/gの樹脂が達成されるまで、反応物を230℃で維持した。樹脂を110℃に冷却し、酢酸n-ブチルを用いて75重量パーセントの固体になるよう調整した。次いでそれを、中程度のメッシュの塗料フィルターを通して金属塗料缶に注いだ。
【0103】
オリゴマーポリエステル樹脂の特性
[00107]ポリエステルの酸価(「AN」と略される)、ヒドロキシル価(「OHN」と略される)、数平均分子量(「Mn」と略される)、重量平均分子量(「Mw」と略される)、分子量分布多分散指数(「Mw/Mn」と略される)、およびガラス転移温度(「Tg」と略される)が表1に示される。
【0104】
[00108]酸価を、ASTM法D1639を用いて決定した。
[00109]ヒドロキシル価を、ピリジン中で過剰の無水酢酸と反応させることによって樹脂をエステル化し、次に未反応無水物を水で分解することによって決定した。次いで得られた酢酸をKOH標準液で滴定した。樹脂試料1グラムに相当するKOHのミリグラム数がヒドロキシル価として報告される。
【0105】
[00110]分子量を、ポリスチレン標準を用い、屈折率検出器を使用して、ゲル浸透クロマトグラフィーにより決定した。
[00111]樹脂中に残る、溶媒処理からの残留溶媒は、Tg測定値を人為的に低下させうる。より正確なTgを得るため、最初に樹脂試料を乾燥器中でのプレコンディショニングに付した。約0.3gの樹脂を、小さなアルミニウム製秤量皿に入れ、110℃で1時間加熱した。次いで試料を示差走査熱量計(TA Instruments DSC Q2000 V24.9 Build 121)に移した。第1の加熱サイクルにおいて、試料を窒素雰囲気下で-50℃から140℃まで20℃/分の速度で加熱した。次いで試料を-50℃に急冷した。第2の加熱サイクルでは、第1の加熱サイクルで使用したものと同じ条件下で試料を加熱した。第2の加熱サイクルの中点を試料のTgとして報告する。
【0106】
【表1】
【0107】
熱硬化性の調製および評価
2K透明コートの調製
[00112]表2に挙げた構成成分を混合することにより、実施例と比較例の両方の2K透明コート パートAを調製した。表1で調製されたオリゴマーポリエステル樹脂試料を酢酸n-ブチル中に事前に溶解して、75%固溶体を形成した。フィルムに塗布する直前に、パートAとパートBを一緒に混合した。酢酸n-ブチル4重量部およびPMアセテート1重量部の溶媒量は、所望の配合物固体分40重量%が達成されるように調整した。
【0108】
【表2-1】
【0109】
【表2-2】
【0110】
複合フィルムの調製
[00113]多層フィルムを、厚さ0.15mm(6ミル)のエラストマーポリウレタンフィルムの1主面上に透明コートを塗布することによって調製した。TecMaster(商標)ラボコーターでグラビアロールを使用してコーティングを塗布した。透明コート溶液の固体パーセントおよびTecMaster(商標)でのプロセス条件は、最終的なコーティングの厚さ5~15ミクロンが達成されるように調整した。全てのコーティングを、対流オーブン内にて60℃で15時間、後硬化させて、評価前の完全硬化を確実にした。
【0111】
試験パネル調製
[00114]多層フィルムは、自動車トップコート表面を模倣した基材上に設置した。試験パネルは以下のように調製した。灰色のプライマーで上塗りされた電着コートを有する、厚さ0.813mm(0.032インチ)の研磨した冷間圧延鋼鉄試験パネルを、ACT Test Panel LLC社から購入した。市販の水性黒色ベースコートでパネルをさらにコーティングし、ハードベークし、その後、自動車グレード2K透明コートを噴霧塗布して、乾燥フィルムの厚さ40ミクロンの透明コートを得た。コーティングされたパネルを室温で10分間フラッシングし、次に140℃で30分間硬化させた。
【0112】
[00115]多層フィルムは、適度な適用圧力で、テストパネルに手で適用した。適用流体として、2パーセントの石鹸溶液を使用した。基材に設置されたフィルムは、試験前に、周囲条件で少なくとも24時間乾燥させた。
【0113】
試験方法
[00116]歪み5%での引張強さは、最初に2.54cm(1インチ)幅の細片に多層フィルムを切断することによって測定した。Series 5 Forceゲージ(最大荷重22.7kg(50lb))を備えたMark-10 Tensile Testerのグリップに、5.08cm(2インチ)の間隔で細片を置く。フィルムを毎分25.4cm(10インチ)の速度で、50%の伸びまで引っ張る。荷重-変位曲線を記録し、歪み5%での荷重/インチを報告する。フィルムの引張特性は、多層フィルムの調製後1週間以内に測定した。
【0114】
[00117]樹液に対する耐性は、Erichsen Model432グラディエントオーブンを使用して測定した。温度範囲は30℃~75℃に設定した。試験はDIN EN ISO 2812-5:2007-05に従って行った。コーティングが樹液により回復不能な損傷を受けた温度を耐樹液性として報告する。
【0115】
2K透明コート評価結果
[00118]オリゴマーポリエステル樹脂のモノマー組成および2K透明コートでのそれらの性能を表3に報告する。
【0116】
【表3】
図1
図2
【国際調査報告】