IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アリゾナ・ボード・オブ・リージェンツ・オン・ビハーフ・オブ・アリゾナ・ステイト・ユニバーシティーの特許一覧

特表2023-551283電気スイング材料を使用した大気二酸化炭素の受動的回収のための装置および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-07
(54)【発明の名称】電気スイング材料を使用した大気二酸化炭素の受動的回収のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/04 20060101AFI20231130BHJP
   B01J 20/34 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
B01D53/04 110
B01J20/34 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532469
(86)(22)【出願日】2021-11-30
(85)【翻訳文提出日】2023-07-31
(86)【国際出願番号】 US2021061171
(87)【国際公開番号】W WO2022115773
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】63/119,325
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507243142
【氏名又は名称】アリゾナ・ボード・オブ・リージェンツ・オン・ビハーフ・オブ・アリゾナ・ステイト・ユニバーシティー
【氏名又は名称原語表記】Arizona Board of Regents on behalf of Arizona State University
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100210398
【弁理士】
【氏名又は名称】横尾 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ラックナー,クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ペイジ,ロバート
【テーマコード(参考)】
4D012
4G066
【Fターム(参考)】
4D012CA03
4D012CB05
4D012CD10
4D012CE01
4D012CE02
4D012CF04
4D012CF10
4G066AC21B
4G066CA35
4G066DA03
4G066GA40
(57)【要約】
大気二酸化炭素を受動的に回収するためのシステム、装置、および方法が開示される。この装置は、電源を備えた収着剤再生システムを有する放出チャンバと、放出チャンバに接続され、少なくとも1つの折りたたみ可能支持体に接続されそれに沿って離隔している複数のディスクを有する捕捉構造体とを含む。各ディスクは電気スイング収着剤材料を有する。捕捉構造体は、回収構成と放出構成の間で可動である。回収構成は、上向きに延在する回収構造を含み、回収構造を空気流に対して暴露し、回収電圧が収着剤材料全体に確立されている間に収着剤が大気二酸化炭素を捕捉できるようにする。放出構成は、放出チャンバ内に囲まれ電源に導電的に接続されたディスクを含み、電気スイング収着剤材料にわたって放出電圧が確立され、捕捉された二酸化炭素が放出されて濃縮ガスが形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部、電源を有する収着剤再生システム、および生成物出口を含む放出チャンバと、
前記放出チャンバに接続され、少なくとも1つの折りたたみ可能支持体と、前記少なくとも1つの折りたたみ可能支持体に接続され、それに沿って離隔している複数のディスクとを含む捕捉構造体であって、各ディスクは電気スイング収着剤材料を含み、前記捕捉構造体は回収構成と放出構成との間で可動である、捕捉構造体と、
前記捕捉構造体が前記放出構成にあるときに前記放出チャンバの前記開口部を覆う蓋と
を含み、
前記回収構成は、前記捕捉構造体の少なくとも一部分を空気流に対して暴露し、前記複数のディスクの前記収着剤材料が大気二酸化炭素を捕捉できるようにするために、前記放出チャンバから上向きに延在する前記捕捉構造体を含み、
前記複数のディスクの各ディスクにおいて、前記電気スイング収着剤材料にわたって回収電圧が確立され、
前記放出構成は、折りたたまれた前記捕捉構造体の前記少なくとも1つの折りたたみ可能支持体と、前記放出チャンバの前記開口部を覆う前記蓋と、前記放出チャンバ内に囲まれ、前記収着剤再生システムの前記電源に導電的に接続された前記複数のディスクと、を含み、複数のディスクが電力を受け取り、各ディスクの前記電気スイング収着剤材料にわたって放出電圧が確立され、前記電気スイング収着剤材料から捕捉された二酸化炭素が放出され、前記放出チャンバ内に濃縮ガスが形成される、
大気二酸化炭素を受動的に回収するための装置。
【請求項2】
前記複数のディスクの各ディスクは、前記ディスクの上部に少なくとも1対の電気接点と、前記ディスクの底部に少なくとも1対の導電性ポストとを含み、
電気接点の各対は、前記ディスクの前記電気スイング収着剤材料に通信可能に接続され、
各電気接点は、異なる導電性ポストに通信可能に接続され、整列され、
前記捕捉構造体が前記放出構成にあるとき、隣接する対のディスクの下側ディスクの前記電気接点が、前記隣接する対の上側ディスクの前記導電性ポストと直接導電接触し、
前記収着剤再生システムは、前記複数のディスクの下に少なくとも1対のベース電気接点をさらに含み、
前記少なくとも1対のベース電気接点は、前記電源に通信可能に接続され、配置され、 前記捕捉構造体が前記放出構成にあるとき、前記複数のディスクの少なくとも1対の導電ポストは、少なくとも1対のベース電気接点と直接導電接触しており、前記複数のディスクは前記収着剤再生システムの前記電源から電力を受け取る、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数のディスクの各ディスクは、そのディスクの前記電気スイング収着剤材料に通信可能に接続された少なくとも2つの縁接点を含み、
前記放出チャンバは、反対の極性を有する少なくとも1対の電源レールをさらに含み、
前記電源レールは前記収着剤再生システムと通信可能に接続され、配置され、
前記複数のディスクが前記放出構成にあるとき、前記複数のディスクの各ディスクは、前記少なくとも2つの縁接点を介して前記少なくとも1対の電源レールと接触し、前記電気スイング収着剤材料は、前記少なくとも1対の電源レールを介して前記収着剤再生システムの電源と通信可能に接続される、
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1対の電源レールは、複数の付勢要素を介して前記放出チャンバに接続され、
前記捕捉構造体が前記放出構成にあるときに前記電源レールが前記複数のディスクに向かって付勢され、前記複数のディスクの前記縁接点との接触を維持するようにする、
請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記複数のディスクの各ディスクは、バッテリおよび電圧コントローラをさらに含み、
前記電圧コントローラは、前記バッテリおよび前記ディスクの前記電気スイング収着剤材料に通信可能に接続され、
前記複数のディスクの各バッテリは、少なくとも前記捕捉構造体が前記放出構成にある間、前記収着剤再生システムの前記電源から電力を受け取る、
請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記複数のディスクの前記電気スイング収着剤材料は、前記捕捉構造体が前記回収構成と放出構成との間で移動している間、前記放出チャンバの前記電源に導電的に接続され、
前記複数のディスクは、前記少なくとも1つの折りたたみ可能支持体を介して前記放出チャンバの前記電源に導電的に接続される、
請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記複数のディスクの各ディスクは、前記ディスクの重心から測定して第1の半径を有し、前記第1の半径より小さい半径の前記ディスクとして定義される第1のセグメントおよび前記重心から測定して第2の半径を有し、前記第2の半径より小さいが前記第1の半径より大きい半径の前記ディスクとして定義される第2のセグメントを含み、
前記第1のセグメントは前記第2のセグメントから電気的に絶縁され、
前記回収電圧はセグメント化されており、第1のセグメント電圧と、前記第1のセグメント電圧とは異なる第2のセグメント電圧とを含み、
前記複数のディスクの各ディスクについて、前記第1のセグメント電圧が前記第1のセグメントにわたって確立されると同時に、前記第2のセグメント電圧が前記第2のセグメントにわたって確立されるときに、前記回収電圧が確立され、前記捕捉構造体が前記回収構成にある間に前記電気スイング収着剤材料に収着される二酸化炭素の前記流れを操作する、
請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記複数のディスクの各ディスクは、前記ディスクの重心から測定して第1の半径を有し、前記第1の半径より小さい半径の前記ディスクとして定義される第1のセグメントおよび前記重心から測定して第2の半径を有し、前記第2の半径より小さいが前記第1の半径より大きい半径の前記ディスクとして定義される第2のセグメントを含み、
前記第1のセグメントは前記第2のセグメントから電気的に絶縁され、
前記放出電圧はセグメント化されており、第3セグメント電圧と、前記第3セグメント電圧とは異なる第4セグメント電圧とを含み、
前記複数のディスクの各ディスクについて、前記第3のセグメント電圧が前記第1のセグメントにわたって確立されると同時に、前記第4のセグメント電圧が前記第2のセグメントにわたって確立されるときに、前記放出電圧が確立され、前記捕捉構造体が前記放出構成にある間に前記電気スイング収着剤材料によって放出される二酸化炭素の前記流れを操作する、
請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記放出チャンバは、前記捕捉構造体が前記放出構成にあるときに前記蓋が前記放出チャンバと接触する前記放出チャンバの上部の周囲に埋め込まれたトラフを含み、
前記トラフは内壁と外壁を有し、
前記トラフは少なくとも部分的に水で満たされ、
前記蓋は前記蓋から突き出た封止スパイクを含み、
前記封止スパイクは、前記捕捉構造体が前記放出構成にある間に前記蓋が前記放出チャンバの前記開口部を覆っているときに、前記封止スパイクは前記トラフの内部にあり、前記水が前記大気と前記放出チャンバとの間のガス移動を阻止するように、前記トラフの前記水中に少なくとも部分的に浸漬されるようなサイズおよび位置にある、
請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記収着剤再生システムが熱源を含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記熱源はスチーム源である、
請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記放出チャンバが、掃引ガス源に接続され、前記放出チャンバに掃引ガスを導入して前記濃縮ガスを押しのけるように構成された、掃引ガス入口をさらに備える、
請求項1、10または11に記載の装置。
【請求項13】
前記掃引ガスがスチームである、
請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記複数のディスクの各ディスクは実質的に平面である、
請求項1または10に記載の装置。
【請求項15】
前記複数のディスクの各ディスクについて、前記電気スイング収着剤材料が、ゼロより大きい角度で前記ディスクの表面に接続された複数の収着剤表面を含む、
請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記複数のディスクの各ディスクがアパーチャを含む、
請求項1または14に記載の装置。
【請求項17】
前記捕捉構造体に接続されたアクチュエータと、
前記アクチュエータに通信可能に接続され、前記アクチュエータを駆動して前記捕捉構造体を前記回収構成と前記放出構成との間で移動させるように構成されている制御システムと
をさらに含む、
請求項1または10に記載の装置。
【請求項18】
前記制御システムに通信可能に接続された少なくとも1つのセンサをさらに備え、
前記制御システムが、前記少なくとも1つのセンサから受信した信号に基づき、少なくとも1つの周囲条件を判定し、前記少なくとも1つの周囲条件に基づき、前記アクチュエータを自律的に駆動して前記捕捉構造体を前記回収構成と前記放出構成との間で動かすように構成され、
前記少なくとも1つの周囲条件が、温度、湿度、および風速のうちの少なくとも1つを含む、
請求項17に記載の装置。
【請求項19】
少なくとも1つのバッフルをさらに備える、
請求項1に記載の装置。
【請求項20】
受動的回収装置を準備するステップであって、制御システムによって駆動されるアクチュエータを用いて前記捕捉構造体を回収構成に移動させることによって大気二酸化炭素を回収する、放出チャンバおよび捕捉構造体を含み、前記捕捉構造体は、少なくとも1つの折りたたみ可能支持体と、前記少なくとも1つの折りたたみ可能支持体に接続され、それに沿って離隔している複数のディスクとを含み、各ディスクは電気スイング収着剤材料を含み、前記回収構成は、前記電気スイング収着材料にわたって回収電圧が確立されている間、前記放出チャンバから上向きに延在する前記捕捉構造体を含む、ステップと、
前記捕捉構造体の少なくとも一部分を空気流に対して暴露して、前記複数のディスクの前記電気スイング収着剤材料が大気二酸化炭素を捕捉できるようにするステップと、
前記少なくとも1つの折りたたみ可能支持体が折りたたまれ、前記複数のディスクが完全に前記放出チャンバ内にあり、前記複数のディスクが電力を受け取ることができるように収着剤再生システムの電源に導電的に接続されるように、前記アクチュエータを駆動して前記捕捉構造体を前記放出チャンバ内に降下させることにより、前記捕捉構造体を放出構成に置くステップと、
前記放出チャンバを蓋で閉じて、前記複数のディスクを前記放出チャンバ内に閉じ込めるステップと、
前記収着剤再生システムを用いて各ディスクの前記電気スイング収着剤にわたって放出電圧を確立することによって、前記複数のディスクの前記収着剤材料を再生し、前記捕捉された二酸化炭素を放出し、前記放出チャンバ内で濃縮ガスを形成するステップと、
前記放出チャンバに導入された掃引ガスで前記濃縮ガスを置換することによって、前記放出チャンバの内部と流体連通する生成物出口を通して濃縮ガスの生成物ストリームを放出するステップと
を含む、
大気二酸化炭素を受動的に回収する方法。
【請求項21】
前記制御システムに通信可能に接続された少なくとも1つのセンサから受信した信号に基づき、前記受動的回収装置の現地の少なくとも1つの周囲条件を判定するステップと、
前記少なくとも1つの周囲条件に基づき、前記捕捉構造体にとって最適な暴露時間を判定するステップと
をさらに含む、
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記掃引ガスは、空気、窒素、水蒸気、およびスチームのうちの1つである、
請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記複数のディスクの各ディスクは、前記ディスクの上部に少なくとも1対の電気接点と、前記ディスクの底部に少なくとも1対の導電性ポストとを含み、
各対の電気接点は、前記ディスクの前記電気スイング収着剤材料に通信可能に接続され、
各電気接点は、異なる導電性ポストに通信可能に接続され、整列され、
前記捕捉構造体が前記放出構成にあるとき、隣接する対のディスクの下側ディスクの前記電気接点は、前記隣接する対の上側ディスクの前記導電性ポストと直接導電接触し、
前記捕捉構造体を前記放出構成に置くステップは、前記収着剤再生システムの少なくとも1対のベース電気接点と直接導電接触する前記複数のディスクの少なくとも1対の導電性ポストを配置するステップをさらに含み、
前記ベース電気接点は、前記電源に通信可能に接続され、
各ディスクの前記電気スイング収着剤材料にわたって前記放出電圧を確立することは、前記収着剤再生システムの前記電源を用いて前記複数のディスクに電力を供給することを含む、
請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記複数のディスクの各ディスクは、そのディスクの前記電気スイング収着剤材料に通信可能に接続された少なくとも2つの縁接点を含み、
前記放出チャンバはさらに、反対の極性を有する少なくとも1対の電源レールを含み、前記電源レールは前記収着剤再生システムと通信可能に接続され、
前記捕捉構造体を前記放出構成に置くステップは、前記複数のディスクのすべてのディスクを、前記少なくとも2つの縁接点を介して前記少なくとも1対の電源レールに接触させるステップをさらに含み、
前記電気スイング収着剤材料が前記収着剤再生システムと通信可能に接続され、
各ディスクの前記電気スイング収着剤材料にわたって前記放出電圧を確立することは、前記少なくとも1対の電源レールを介して前記収着剤再生システムの前記電源を用いて前記複数のディスクに電力を供給することを含む、
請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも1対の電源レールは、複数の付勢要素を介して前記放出チャンバに接続され、
前記捕捉構造体が前記放出構成にあるときに前記電源レールが前記複数のディスクに向かって付勢され、前記複数のディスクの前記縁接点との接触を維持するようにする、
請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記複数のディスクの各ディスクのバッテリおよび電圧コントローラに電力を供給することをさらに含み、
前記電圧コントローラは、前記捕捉構造体が前記放出構成にある間に前記収着剤再生システムを使用して、前記バッテリおよび前記ディスクの前記電気スイング収着剤材料に通信可能に接続され
前記回収電圧は、前記捕捉構造体が前記回収構成にあるときに前記バッテリからの電力を使用して確立される、
請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記複数のディスクの前記電気スイング収着剤材料は、前記捕捉構造体が前記回収構成と放出構成との間で移動している間、前記放出チャンバの前記電源に導電的に接続され、
前記複数のディスクは、前記少なくとも1つの折りたたみ可能支持体を介して前記放出チャンバの前記電源に導電的に接続される、
請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記複数のディスクの各ディスクは、前記ディスクの重心から測定して第1の半径を有し、前記第1の半径より小さい半径の前記ディスクとして定義される第1のセグメントおよび前記重心から測定して第2の半径を有し、前記第2の半径より小さいが前記第1の半径より大きい半径の前記ディスクとして定義される第2のセグメントを含み、
前記第1のセグメントは、前記第2のセグメントから電気的に絶縁され、
前記回収電圧はセグメント化されており、第1のセグメント電圧と、前記第1のセグメント電圧とは異なる第2のセグメント電圧とを含み、
前記複数のディスクの各ディスクについて、前記回収電圧を確立することは、前記第2のセグメントにわたって前記第2のセグメント電圧が確立されるのと同時に、前記第1のセグメントにわたって前記第1のセグメント電圧を確立することを含み、前記捕捉構造体が前記回収構成にある間に前記電気スイング収着剤材料に収着される二酸化炭素の前記流れを操作する、
請求項20に記載の方法。
【請求項29】
前記複数のディスクの各ディスクは、前記ディスクの重心から測定して第1の半径を有し、前記第1の半径より小さい半径の前記ディスクとして定義される第1のセグメントおよび前記重心から測定して第2の半径を有し、前記第2の半径より小さいが前記第1の半径より大きい半径の前記ディスクとして定義される第2のセグメントを含み、
前記第1のセグメントは、前記第2のセグメントから電気的に絶縁され、
前記放出電圧はセグメント化されており、第3セグメント電圧と、前記第3セグメント電圧とは異なる第4セグメント電圧とを含み、
前記複数のディスクの各ディスクについて、前記放出電圧を確立することは、前記第4のセグメント電圧が前記第2のセグメントにわたって確立されるのと同時に、前記第1のセグメントにわたって前記第3のセグメント電圧を確立することを含み、前記捕捉構造体が前記放出構成にある間に前記電気スイング収着剤材料によって放出される二酸化炭素の前記流れを操作する、
請求項20に記載の方法。
【請求項30】
前記放出チャンバは、前記捕捉構造体が前記放出構成にある間に前記蓋が前記放出チャンバと接触する前記放出チャンバの上部の周りに埋め込まれたトラフを含み、
前記トラフは内壁と外壁を有し、
前記トラフは少なくとも部分的に水で満たされ、
前記蓋は、前記蓋から突き出た封止スパイクを含み、
前記蓋で前記放出チャンバを閉じることは、前記封止スパイクが少なくとも部分的に前記トラフの前記水中に浸漬されるように、前記封止スパイクを前記トラフに挿入することを含み、
前記水は、前記大気と前記放出チャンバとの間のガス移動を阻止する、
請求項20に記載の方法。
【請求項31】
少なくとも1つの受動的回収クラスタを含む、大気二酸化炭素を受動的に回収するためのシステムであって、
各受動的回収クラスタは少なくとも2つの受動的回収装置を含み、
各受動的回収装置は、
開口部と、電源を有する収着剤再生システムとを含む放出チャンバと、
前記放出チャンバに接続され、少なくとも1つの折りたたみ可能支持体と、前記少なくとも1つの折りたたみ可能支持体に接続され、それに沿って離隔している複数のディスクとを含む捕捉構造体であって、各ディスクは電気スイング収着剤材料を含み、前記捕捉構造体は回収構成と放出構成との間で可動である、捕捉構造体と、
前記捕捉構造体が前記放出構成にあるときに前記放出チャンバの前記開口部を覆う蓋と、
前記捕捉構造体に接続されたアクチュエータと、
前記放出チャンバの前記内部と流体連通し、濃縮ガスの生成物ストリームを受け入れるように構成された生成物出口と、
各受動的回収クラスタに通信可能に接続され、前記アクチュエータを駆動して前記少なくとも1つの受動的回収装置の前記捕捉構造体を前記回収構成と前記放出構成との間で移動させるように構成された制御システムと
を含み、
同じクラスタ内の各受動的回収装置の前記生成物出口は、流体連通し、
各受動的回収装置について、前記回収構成は、前記捕捉構造体の少なくとも一部分を空気流に対して暴露し、前記複数のディスクの前記収着剤材料が大気二酸化炭素を捕捉できるようにするために、前記放出チャンバから上向きに延在する前記捕捉構造体を含み、一方、前記複数のディスクの各ディスクにおいて、前記電気スイング収着剤材料にわたって回収電圧が確立され、
各受動的回収装置について、前記放出構成は、折りたたまれた前記捕捉構造体の前記少なくとも1つの折りたたみ可能支持体と、前記放出チャンバの前記開口部を覆う前記蓋と、前記放出チャンバ内に囲まれ、前記収着剤再生システムの前記電源に導電的に接続された前記複数のディスクと、を含み、複数のディスクが電力を受け取り、各ディスクの前記電気スイング収着剤材料にわたって放出電圧が確立され、前記電気スイング収着剤材料から捕捉された二酸化炭素が放出され、前記放出チャンバ内に濃縮ガスが形成される、
システム。
【請求項32】
各クラスタの前記少なくとも2つの受動的回収装置が、同じアクチュエータを共有する、
請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
同じクラスタ内の各受動的回収装置の前記放出チャンバが流体連通しており、
1つの回収装置の前記濃縮ガスが、隣接する回収装置の前記放出チャンバを通って掃引されることが可能である、
請求項31または32に記載のシステム。
【請求項34】
前記制御システムに通信可能に接続された少なくとも1つのセンサをさらに備え、
前記制御システムが、前記少なくとも1つのセンサから受信した信号に基づき、少なくとも1つの周囲条件を判定し、前記少なくとも1つの周囲条件に基づき、少なくとも1つのアクチュエータを自律的に駆動して、少なくとも1つの捕捉構造体を前記回収構成と前記放出構成との間で動かすように構成され、
前記少なくとも1つの周囲条件が、温度、湿度、および風速のうちの少なくとも1つを含む、
請求項31~33のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項35】
前記制御システムが、前記受動的回収装置を順番に動作させて、濃縮ガスの継続的な生成物流れを作り出すように構成された、
請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
各クラスタの前記少なくとも1つの受動的回収装置が同じ電源を共有する、
請求項31に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001]本出願は、2020年11月30日に出願された「Device and Method for Passive Collection of Atmospheric Carbon Dioxide With Electro-Swing Materials」と題する米国仮特許出願63/119,325号の利益を主張し、その開示全体は、この参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本明細書の態様は、一般に、大気二酸化炭素の受動的回収に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]周囲空気から二酸化炭素を取り除くための技術が必要であることが、十分に証明されてきている。しかし、技術はまだ新しく、初期の空気捕捉プロセスは、運転するために大量のエネルギーを必要とする。空気中のCOは非常に希薄(400体積百万分率)なので、CO回収装置は、大量の空気を吸い込むために膨大な量のエネルギーを投じてはならない。空気の加熱または冷却、空気の乾燥、または空気圧の大幅な変動により、妥当なエネルギー収支を超過することになる。さらに、従来の回収システムは、コストがかかるうえに脆いという不都合を呈することが多い。従来の捕捉装置は、高い運転コストとともに多額の初期資本コストがかかることも多い。さらに、従来の捕捉装置は、場合により特定の環境には好適であるが、他の環境では非効率的なことがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004]一態様によれば、大気二酸化炭素を受動的に回収するための装置は、開口部、電源を有する収着剤再生システム、および生成物出口を有する放出チャンバを含む。この装置はまた、放出チャンバに接続され、少なくとも1つの折りたたみ可能支持体と、少なくとも1つの折りたたみ可能支持体に接続され、それに沿って離隔している複数のディスクとを有する捕捉構造体を含み、各ディスクは電気スイング収着剤材料を有し、捕捉構造体は回収構成と放出構成との間で可動である。この装置はまた、捕捉構造体が放出構成にあるときに放出チャンバの開口部を覆う蓋を有する。回収構成は、捕捉構造体の少なくとも一部分を空気流に対して暴露し、複数のディスクの収着剤材料が大気二酸化炭素を捕捉できるようにするために、放出チャンバから上向きに延在する捕捉構造体を含み、一方、複数のディスクの各ディスクにおいて、電気スイング収着剤材料にわたって回収電圧が確立される。放出構成は、折りたたまれた捕捉構造体の少なくとも1つの折りたたみ可能支持体と、放出チャンバの開口部を覆う蓋と、放出チャンバ内に囲まれ、収着剤再生システムの電源に導電的に接続された複数のディスクと、を含み、その結果、複数のディスクが電力を受け取り、各ディスクの電気スイング収着剤材料にわたって放出電圧が確立され、その結果、電気スイング収着剤材料から捕捉された二酸化炭素が放出され、放出チャンバ内に濃縮ガスが形成される。
【0005】
[0005]特定の実施形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。複数のディスクの各ディスクは、ディスクの上部に少なくとも1対の電気接点を含み、ディスクの底部に少なくとも1対の導電性ポストを含むことができる。電気接点の各対は、ディスクの電気スイング収着剤材料に通信可能に接続され得、各電気接点は、異なる導電性ポストに通信可能に接続され、整列され、その結果、捕捉構造体が放出構成にあるとき、隣接する対のディスクの下側ディスクの電気接点が、隣接する対の上側ディスクの導電性ポストと直接導電接触することができるようにする。収着剤再生システムは、複数のディスクの下に少なくとも1対のベース電気接点を含んでもよく、少なくとも1対のベース電気接点は、電源に通信可能に接続され、配置され、その結果、捕捉構造体が放出構成にあるとき、複数のディスクの少なくとも1対の導電ポストは、少なくとも1対のベース電気接点と直接導電接触することができ、複数のディスクは収着剤再生システムの電源から電力を受け取る。複数のディスクの各ディスクは、そのディスクの電気スイング収着剤材料に通信可能に接続された少なくとも2つの縁接点を含むことができる。放出チャンバは、反対の極性を有する少なくとも1対の電源レールを含むことができる。電源レールは、収着剤再生システムと通信可能に接続され、配置され得、その結果、複数のディスクが放出構成にあるとき、複数のディスクの各ディスクは、少なくとも2つの縁接点を介して少なくとも1対の電源レールと接触することができ、その結果、電気スイング収着剤材料は、少なくとも1対の電源レールを介して収着剤再生システムの電源と通信可能に接続される。少なくとも1対の電源レールは、複数の付勢要素を介して放出チャンバに接続され得、その結果、捕捉構造体が放出構成にあるときに電源レールが複数のディスクに向かって付勢され、複数のディスクの縁接点との接触を維持するようにする。複数のディスクの各ディスクは、バッテリおよび電圧コントローラを含むことができる。電圧コントローラは、バッテリおよびディスクの電気スイング収着剤材料に通信可能に接続され得る。複数のディスクの各バッテリは、少なくとも捕捉構造体が放出構成にある間、収着剤再生システムの電源から電力を受け取ることができる。複数のディスクの電気スイング収着剤材料は、捕捉構造体が回収構成と放出構成との間で移動している間、放出チャンバの電源に導電的に接続され得る。複数のディスクは、少なくとも1つの折りたたみ可能支持体を介して放出チャンバの電源に導電的に接続され得る。複数のディスクの各ディスクは、ディスクの重心から測定して第1の半径を有し、第1の半径よりも小さい半径のディスクとして定義される第1のセグメントおよび/または重心から測定して第2の半径を有し、第2の半径より小さいが第1の半径より大きい半径のディスクとして定義される第2のセグメントを含むことができる。第1のセグメントは、第2のセグメントから電気的に絶縁され得る。回収電圧はセグメント化されており、第1のセグメント電圧と、第1のセグメント電圧とは異なる第2のセグメント電圧とを有してもよい。複数のディスクの各ディスクについて、第1のセグメント電圧が第1のセグメントにわたって確立されると同時に、第2のセグメント電圧が第2のセグメントにわたって確立されるときに、回収電圧が確立され得、捕捉構造体が回収構成にある間に電気スイング収着剤材料に収着される二酸化炭素の流れを操作する。複数のディスクの各ディスクは、ディスクの重心から測定して第1の半径を有し、第1の半径よりも小さい半径のディスクとして定義される第1のセグメントおよび重心から測定して第2の半径を有し、第2の半径より小さいが第1の半径より大きい半径のディスクとして定義される第2のセグメントを含むことができ、第1のセグメントは第2のセグメントから電気的に絶縁されている。放出電圧はセグメント化されており、第3のセグメント電圧と、第3のセグメント電圧とは異なる第4のセグメント電圧とを有してもよい。複数のディスクの各ディスクについて、第3のセグメント電圧が第1のセグメントにわたって確立されると同時に、第4のセグメント電圧が第2のセグメントにわたって確立されるときに、放出電圧が確立され得、捕捉構造体が放出構成にある間に電気スイング収着剤材料によって放出される二酸化炭素の流れを操作する。放出チャンバは、捕捉構造体が放出構成にある間に蓋が放出チャンバと接触する放出チャンバの上部の周りに埋め込まれたトラフを含んでもよく、トラフは内壁と外壁を有し、トラフは少なくとも部分的に水で満たされている。蓋は、蓋から突き出た封止スパイクを含んでもよく、封止スパイクは、捕捉構造体が放出構成にある間に蓋が放出チャンバの開口部を覆うときのようなサイズおよび位置にある。封止スパイクはトラフの内部にあり、水が大気と放出チャンバとの間のガス移動を阻止するように、トラフの水中に少なくとも部分的に浸漬されていてもよい。収着剤再生システムは熱源を含んでもよい。熱源はスチーム源であってもよい。放出チャンバは、掃引ガス源に接続された掃引ガス入口を含むことができ、放出チャンバに掃引ガスを導入して濃縮ガスを置換するように構成することができる。掃引ガスはスチームであってもよい。複数のディスクの各ディスクは、実質的に平面であってもよい。複数のディスクの各ディスクについて、電気スイング収着剤材料は、ゼロより大きい角度でディスクの表面に接続された複数の収着剤表面を含むことができる。複数のディスクの各ディスクはアパーチャを含むことができる。装置は、捕捉構造体に接続されたアクチュエータを含むことができる。この装置は、アクチュエータに通信可能に接続され、アクチュエータを駆動して捕捉構造体を回収構成と放出構成との間で移動させるように構成された制御システムを含んでもよい。また、装置は、制御システムに通信可能に接続された少なくとも1つのセンサを含んでもよい。制御システムは、少なくとも1つのセンサから受信した信号に基づき、少なくとも1つの周囲条件を判定し、少なくとも1つの周囲条件に基づき、アクチュエータを自律的に駆動して捕捉構造体を回収構成と放出構成との間で動かすように構成されてもよい。少なくとも1つの周囲条件は、温度、湿度、および風速のうちの少なくとも1つを含んでもよい。装置は、少なくとも1つのバッフルを有してもよい。
【0006】
[0006]本開示の別の態様によれば、大気二酸化炭素の受動的回収のための方法は、大気二酸化炭素を回収するための、放出チャンバおよび捕捉構造体を有する受動的回収装置を、制御システムによって駆動されるアクチュエータを用いて捕捉構造体を動かして回収構成にすることによって準備するステップを含む。捕捉構造体は、少なくとも1つの折りたたみ可能支持体と、少なくとも1つの折りたたみ可能支持体に接続されそれに沿って離隔している複数のディスクとを有し、各ディスクは電気スイング収着剤材料を有する。回収構成には、放出チャンバから上向きに延在する捕捉構造体があり、一方、回収電圧は電気スイング収着剤材料にわたって確立される。この方法はまた、複数のディスクの電気スイング収着剤材料が大気二酸化炭素を捕捉できるように、捕捉構造体の少なくとも一部分を空気流に対して暴露するステップと、少なくとも1つの折りたたみ可能支持体が折りたたまれ、複数のディスクが完全に放出チャンバ内にあり、複数のディスクが電力を受け取ることができるように収着剤再生システムの電源に導電的に接続されるように、アクチュエータを駆動して捕捉構造体を放出チャンバ内に降下させることにより、捕捉構造体を放出構成に置くステップと、を含む。この方法は、放出チャンバを蓋で閉じるステップと、複数のディスクを放出チャンバ内に閉じ込めるステップと、収着剤の再生システムによって各ディスクの電気スイング収着剤材料にわたって放出電圧を確立することによって複数のディスクの収着剤材料を再生し、捕捉された二酸化炭素を放出するステップと、放出チャンバ内で濃縮ガスを形成するステップと、を含む。最後に、方法は、放出チャンバに導入された掃引ガスで濃縮ガスを押しのけることにより、放出チャンバの内側と流体連通している生成物出口を通して、濃縮ガスの生成物流れを排出するステップを含む。
【0007】
[0007]特定の実施形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含んでもよい。この方法は、制御システムに通信可能に接続された少なくとも1つのセンサから受信した信号に基づいて、受動的回収装置の現地の少なくとも1つの周囲条件を判定することを含むことができる。この方法は、少なくとも1つの周囲条件に基づいて捕捉構造体の最適な暴露時間を判定することを含むことができる。掃引ガスは、空気、窒素、水蒸気、およびスチームのうちの1つであってもよい。複数のディスクの各ディスクは、ディスクの上部に少なくとも1対の電気接点、および/またはディスクの底部に少なくとも1対の導電性ポストを含むことができる。電気接点の各対は、ディスクの電気スイング収着剤材料に通信可能に接続され得、各電気接点は異なる導電性ポストに通信可能に接続され、整列されて、その結果、捕捉構造体が放出構成にあるとき、隣接する対のディスクの下側ディスクの電気接点が、隣接する対の上側ディスクの導電性ポストと直接導電接触することができるようにする。捕捉構造体を放出構成に配置することは、収着剤再生システムの少なくとも1対のベース電気接点と直接導電接触する複数のディスクの少なくとも1対の導電性ポストを配置することをさらに含むことができ、ベース電気接点は電源に通信可能に接続される。各ディスクの電気スイング収着剤材料にわたる放出電圧を確立することは、収着剤再生システムの電源を用いて複数のディスクに電力を供給することを含むことができる。複数のディスクの各ディスクは、そのディスクの電気スイング収着剤材料に通信可能に接続された少なくとも2つの縁接点を含むことができる。放出チャンバはさらに、反対の極性を有する少なくとも1対の電源レールを含んでもよく、電源レールは収着剤再生システムと通信可能に接続される。捕捉構造体を放出構成に置くことは、複数のディスクのすべてのディスクを、少なくとも2つの縁接点を介して少なくとも1対の電源レールに接触させることをさらに含むことができ、その結果、電気スイング収着剤材料は収着剤再生システムと通信可能に接続される。各ディスクの電気スイング収着剤材料にわたる放出電圧を確立することは、少なくとも1対の電源レールを介して収着剤再生システムの電源を用いて複数のディスクに電力を供給することを含むことができる。少なくとも1対の電源レールは、複数の付勢要素を介して放出チャンバに接続され得、その結果、捕捉構造体が放出構成にあるときに電源レールが複数のディスクに向かって付勢され、複数のディスクの縁接点との接触を維持するようにする。この方法は、複数のディスクの各ディスクのバッテリおよび電圧コントローラに電力を供給することをさらに含んでもよく、電圧コントローラは、捕捉構造体が放出構成にある間に収着剤再生システムを使用して、バッテリおよびディスクの電気スイング収着剤材料に通信可能に接続される。回収電圧は、捕捉構造体が回収構成にあるときにバッテリからの電力を使用して確立され得る。複数のディスクの電気スイング収着剤材料は、捕捉構造体が回収構成と放出構成との間で移動している間、放出チャンバの電源に導電的に接続され得る。複数のディスクは、少なくとも1つの折りたたみ可能支持体を介して放出チャンバの電源に導電的に接続され得る。複数のディスクの各ディスクは、ディスクの重心から測定して第1の半径を有し、第1の半径よりも小さい半径のディスクとして定義される第1のセグメントおよび重心から測定して第2の半径を有し、第2の半径より小さいが第1の半径より大きい半径のディスクとして定義される第2のセグメントを含むことができ、第1のセグメントは第2のセグメントから電気的に絶縁されている。回収電圧はセグメント化されており、第1のセグメント電圧と、第1のセグメント電圧とは異なる第2のセグメント電圧とを有してもよい。複数のディスクの各ディスクについて、回収電圧を確立することは、第2のセグメントにわたって第2のセグメント電圧が確立されるのと同時に、第1のセグメントにわたって第1のセグメント電圧を確立することを含むことができ、捕捉構造体が回収構成にある間に電気スイング収着剤材料に収着される二酸化炭素の流れを操作する。複数のディスクの各ディスクは、ディスクの重心から測定して第1の半径を有し、第1の半径よりも小さい半径のディスクとして定義される第1のセグメントおよび重心から測定して第2の半径を有し、第2の半径より小さいが第1の半径より大きい半径のディスクとして定義される第2のセグメントを含むことができ、第1のセグメントは第2のセグメントから電気的に絶縁されている。放出電圧はセグメント化されており、第3のセグメント電圧と、第3のセグメント電圧とは異なる第4のセグメント電圧とを有してもよい。複数のディスクの各ディスクについて、放出電圧を確立することは、第4のセグメント電圧が第2のセグメントにわたって確立されるのと同時に、第1のセグメントにわたって第3のセグメント電圧を確立することを含むことができ、捕捉構造体が放出構成にある間に電気スイング収着剤材料によって放出される二酸化炭素の流れを操作する。放出チャンバは、捕捉構造体が放出構成にあるときに蓋が放出チャンバと接触する放出チャンバの上部の周囲に埋め込まれたトラフを含んでもよい。トラフは内壁と外壁を有することができ、トラフは少なくとも部分的に水で満たされる。蓋は、蓋から突き出た封止スパイクを含んでもよい。蓋で放出チャンバを閉じることは、封止スパイクがトラフの水中に少なくとも部分的に浸漬されるように、封止スパイクをトラフに挿入することを含み得、水は大気と放出チャンバとの間のガス移動を阻止する。
【0008】
[0008]本開示の別の態様によれば、大気二酸化炭素の受動的回収のためのシステムは、少なくとも1つの受動的回収クラスタを含み、各受動的回収クラスタが、少なくとも2つの受動的回収装置を含む。各受動的回収装置は、開口部を備えた放出チャンバと、電源を備えた収着剤再生システムと、放出チャンバに接続され、少なくとも1つの折りたたみ可能支持体と、少なくとも1つの折りたたみ可能支持体に接続され、それに沿って離隔している複数のディスクとを有する捕捉構造体と、を備えて、各ディスクは電気スイング収着剤材料を有し、捕捉構造体は回収構成と放出構成との間で可動である。各受動的回収装置はまた、捕捉構造体が放出構成にあるときに放出チャンバの開口部を覆う蓋と、捕捉構造体に接続されたアクチュエータと、放出チャンバの内部と流体連通しており、濃縮ガスの生成物ストリームを受け入れるように構成されている生成物出口と、を含む。各受動的回収装置はまた、各受動的回収クラスタに通信可能に接続され、アクチュエータを駆動して少なくとも1つの受動的回収装置の捕捉構造体を回収構成と放出構成との間で移動させるように構成された制御システムを含む。同じクラスタ内の各受動的回収装置の生成物出口は流体連通している。受動的回収装置ごとに、回収構成は、放出チャンバから上向きに延在する捕捉構造体を含み、捕捉構造体の少なくとも一部分を空気流に対して暴露し、複数のディスクの収着剤材料が大気二酸化炭素を捕捉できるようにするが、複数のディスクの各ディスクにおいて、電気スイング収着剤材料にわたって回収電圧が確立される。受動的回収装置ごとに、放出構成は、折りたたまれた捕捉構造体の少なくとも1つの折りたたみ可能支持体、放出チャンバの開口部を覆う蓋と、および放出チャンバ内に囲まれ、収着剤再生システムの電源に導電的に接続された複数のディスクとを含み、その結果、複数のディスクが電力を受け取り、各ディスクの電気スイング収着剤材料にわたって放出電圧が確立され、その結果、捕捉された二酸化炭素が電気スイング収着剤材料から放出され、放出チャンバ内で濃縮ガスが形成される。
【0009】
[0009]特定の実施形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を備えてもよい。各クラスタの少なくとも2つの受動的回収装置は、同じアクチュエータを共有してもよい。同じクラスタ内の各受動的回収装置の放出チャンバは、流体連通していてもよく、それにより1つの回収装置の濃縮ガスが、隣接する回収装置の放出チャンバを通って掃引されることが可能である。システムは、制御システムに通信可能に接続された少なくとも1つのセンサを含んでもよい。制御システムが、少なくとも1つのセンサから受信した信号に基づき、少なくとも1つの周囲条件を判定し、少なくとも1つの周囲条件に基づき、少なくとも1つのアクチュエータを自律的に駆動して、少なくとも1つの捕捉構造体を回収構成と放出構成との間で動かすように構成されてもよい。少なくとも1つの周囲条件は、温度、湿度、および風速のうちの少なくとも1つを含んでもよい。制御システムは、受動的回収装置を順番に動作させて、濃縮ガスの継続的な生成物流れを作り出すように構成されてもよい。各クラスタの少なくとも1つの受動的回収装置は、同じ電源を共有してもよい。
【0010】
[0010]本明細書に提示した本開示の態様および用途が、以下の図面および詳細な説明に記載される。明示的に記載のない限り、本明細書および特許請求の範囲の単語および言い回しには、平易な通常の、当業者にとって親しみのある意味が与えられることが意図される。本発明者らは、所望される場合、自らの辞書編集者になれることを完全に認識している。本発明者らは、自らの辞書編集者として、別段に明確に記載し、次いでさらに本明細書および特許請求の範囲における用語の「特別な」定義を明示的に述べ、その用語が平易な通常の意味とどのように違うのかを説明しない限り、その用語の平易な通常の意味だけを使用することを明示的に選択する。「特別な」定義を適用する意図が、そのように明確に述べられていなければ、その用語に対する単純で平易な通常の意味を、本明細書および特許請求の範囲の解釈に適用することが、本発明者らの意図であり望みである。
【0011】
[0011]また、本発明者らは、英文法の標準的な教えも認識している。したがって、名詞、用語、または言い回しが、何らかのやり方でさらに特徴付けられ、特定され、または狭められることが意図されている場合、そのような名詞、用語、または言い回しは、英文法の標準的な教えに従って、追加的な形容詞、記述用語、または他の修飾語を明示的に含むことになる。そのような形容詞、記述用語、または修飾語が使用されていなければ、そのような名詞、用語、または言い回しには、上に述べた当技術分野の当業者に向けた平易な通常の英語の意味が与えられるものとする。
【0012】
[0012]さらに、本発明者らは、米国特許法112条(f)項の特例の規準および適用について十分に情報が与えられている。したがって、発明を実施するための形態、図面の説明、または特許請求の範囲における「機能」、「手段」、または「ステップ」という単語の使用は、本発明を定義するために米国特許法112条(f)項の特例を発動させるよう切望していることをどうにか示すことを意図するものではない。それとは反対に、本発明を定義するために米国特許法112条(f)項の条項を発動させようとするならば、特許請求の範囲に、具体的かつ明示的に、「のための手段」または「のためのステップ」という厳密な言い回しが記載され、また「機能」という単語も記載され(すなわち、「[機能を挿入]の機能を実行するための手段」と記載され)、そのような言い回しにおいて、機能を支持する任意の構造体、材料、または動作が同時に記載されることはない。したがって、特許請求の範囲に、「・・・の機能を実行するための手段」または「・・・の機能を実行するためのステップ」と記載されていても、特許請求の範囲に、その手段もしくはステップを支持する、または記載された機能を実行する任意の構造体、材料、または動作が同時に記載されている場合、これは、米国特許法112条(f)項の条項を発動させないという本発明者らの明確な意図である。さらに、特許請求される態様を定義するために米国特許法112条(f)項の条項が発動されても、これらの態様は、好ましい実施形態に記載された特定の構造、材料、または動作のみに限定されるものではなく、さらに本開示の代替的な実施形態もしくは形態に記載の特許請求される機能を実行するありとあらゆる構造、材料、もしくは動作、あるいは特許請求された機能を実行するための現在よく知られているもしくは今後開発される同等の構造、材料、もしくは動作である、ありとあらゆる構造、材料、もしくは動作を含むことが意図される。
【0013】
[0013]上記その他の態様、特徴、および利点は、発明を実施するための形態および図面の簡単な説明、ならびに特許請求の範囲から、当業者にとって明らかになろう。
【0014】
[0014]本開示は、添付図面と併せて以下で説明され、図面では、同様の参照符号が同様の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】[0015]電気スイング収着材料を使用して大気二酸化炭素を受動的に回収するための装置の斜視図および側面図である。
図1B】電気スイング収着材料を使用して大気二酸化炭素を受動的に回収するための装置の斜視図および側面図である。
図2】[0016]電気スイング収着剤材料の適用の断面図である。
図3A】[0017]様々な収着剤ディスクの幾何学的形状を示す図である。
図3B】様々な収着剤ディスクの幾何学的形状を示す図である。
図3C】様々な収着剤ディスクの幾何学的形状を示す図である。
図4A】[0018]回収構造が回収構成にある、大気二酸化炭素を受動的に回収するための装置の側面図である。
図4B】[0019]捕捉構造体が放出構成にある、図3Aの装置の側面図である。
図5A】[0020]放出構成にある、電気スイング収着材料を有する回収装置の他の実施形態の側断面図である。
図5B】放出構成にある、電気スイング収着材料を有する回収装置の他の実施形態の側断面図である。
図6】[0021]複数の受動的回収クラスタを含む大気二酸化炭素の受動的回収システムの概略図である。
図7A】[0022]図7Aは、大気二酸化炭素を受動的に回収するための装置用の水密蓋の側面図および上面図である。
【0016】
図7Bは、大気二酸化炭素を受動的に回収するための装置用の水密蓋の側面図および上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[0023]本開示、その態様、および実装形態は、本明細書に開示する特定の材料の種類、構成要素、方法、または他の例に限定されない。本開示の特定の実装形態とともに使用するために、当技術分野において知られている多数の追加的な材料の種類、構成要素、方法、および手順が企図される。したがって、例えば、特定の実装形態が開示されても、このような実装形態および実装構成要素は、意図する動作と一貫性のあるそのようなシステム向けおよび実装構成要素向けの当技術分野において知られている任意の構成要素、モデル、タイプ、材料、バージョン、量などを含んでもよい。
【0018】
[0024]「例示的」、「例」という単語、またはその様々な形は、本明細書において、例、実例、例証として機能することを意味するために使用される。「例示的な」または「例」として本明細書に記載する任意の態様または設計は、他の態様もしくは設計より好ましいまたは有利であるとは必ずしも解釈されない。さらに、例は、明瞭さおよび理解だけを目的として提供されており、本開示の開示される主題または関連部分を決して限定または制限することを意味するものではない。異なる範囲の無数の追加的または代替的な例が提示されたかもしれないが、簡潔にするために省略されていることが理解されるべきである。
【0019】
[0025]本開示は、多数の異なる形の複数の実施形態を含む一方で、特定の実施形態を図面に示し、本明細書で詳細に説明するが、本開示は、開示される方法およびシステムの原理の例示と考えられるべきであり、開示される概念の幅広い態様を、図示する実施形態に限定することは意図していないことが理解される。
【0020】
[0026]周囲空気から二酸化炭素を取り除くための技術が必要であることが、十分に証明されてきている。しかし、技術はまだ新しく、初期の空気捕捉プロセスは、運転するために大量のエネルギーを必要とする。空気中のCOは非常に希薄(400体積百万分率)なので、CO回収装置は、大量の空気を吸い込むために膨大な量のエネルギーを投じてはならない。空気の加熱または冷却、空気の乾燥、または空気圧の大幅な変動により、妥当なエネルギー収支を超過することになる。さらに、従来の回収システムは、コストがかかるうえに脆いという不都合を呈することが多い。従来の捕捉装置は、高い運転コストとともに多額の初期資本コストがかかることも多い。さらに、従来の捕捉装置は、場合により特定の環境には好適であるが、他の環境では非効率的なことがある。
【0021】
[0027]本明細書で企図されるのは、耐久性があり、エネルギー効率が高く、様々な条件や電気スイング材料を含む様々な収着剤材料での使用に適応できるシンプルな設計を採用しながら、自然の空気の流れまたは風から大気二酸化炭素を受動的に回収するための装置、システム、および方法である。いくつかの実施形態では、これらの装置は、クラスタおよびシステムに組織されてもよく、COの継続的な捕捉を実現してもよく、かつCO濃縮ガスの継続的な流れを供給してもよく、これについては以下でより詳細に検討する。他の実施形態では、これらの装置は、個々のユニットとして設置および運転されてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、本明細書において企図するこれらの装置、システム、および方法のうちの一部は、効果および効率を改善するために、自律的または半自律的に実施されて、変化する環境条件に合わせて調整されてもよい。企図される装置および方法のいくつかの実施形態は、時間の経過とともに蓄積する呼気二酸化炭素の閉鎖大気環境を洗浄することによって、呼吸可能な酸素大気を維持するために使用され得る。
【0022】
[0028]以下の説明は、背圧に対して捕捉されたCOの放出に対して可逆的であり、他の種類の収着剤材料よりも単位時間当たりの捕捉容積が大きくなり得る電気スイング収着剤材料の使用に焦点を当てるが、本明細書で企図されるシステム、方法、および装置は、真空、熱、湿気、および/または電気振動に敏感な材料を含む、様々な収着剤を個別にまたは組み合わせて使用するように適合させることができることに留意されたい。
【0023】
[0029]図1Aおよび図1Bは、大気二酸化炭素102の受動的回収のための装置100(以下「受動的回収装置」、「回収装置」、または単に「装置」)の非限定的な例を示す斜視図および側面図である。具体的には、図1Aは斜視図であり、図1Bは側面図である。
【0024】
[0030]様々な実施形態によれば、回収装置100は、収着剤材料110を周囲空気に暴露するように構成された捕捉構造体106と、開口部116を通して捕捉構造体106を中に配置することができる放出チャンバ104(または再生チャンバ)と、放出チャンバ104の内側に捕捉構造体106を封止するまたは他のやり方で囲むための蓋114と、生成物出口118を通してチャンバ内からCO濃縮ガスを抽出する手段とを含む。いくつかの実施形態は、収着剤材料110からの捕捉二酸化炭素の放出を促進するために、熱および/または水分を放出チャンバ104に(別々にまたは同時に)導入する手段を含んでもよい。
【0025】
[0031]本明細書および添付の特許請求の範囲の文脈において、放出チャンバ104は、捕捉された二酸化炭素が、その後の隔離、精製、または応用のために中で放出されるエンクロージャである。放出チャンバ104は、少なくとも1つの開口部、すなわち開口部116を有し、この開口部116を通して放出チャンバ104は、捕捉された二酸化炭素と、二酸化炭素が捕捉されている材料(例えば、捕捉構造体106およびその収着剤材料110など)とを受ける。回収装置100は垂直配向を有し、捕獲構造106は放出チャンバ104内に降下されるが、他の実施形態は異なる配向および/または移動方向を有し得ることに留意されたい。例示的な代替幾何学的形状の非限定的な集合については、以下の図5A図5Dを参照して説明する。
【0026】
[0032]放出チャンバ104は、回収装置100が利用される外部環境と、放出チャンバ104の運転に固有の内部環境(例えば、収着剤再生システム406の性質など)との両方に適した耐久性のある材料から構築されてもよい。
【0027】
[0033]様々な実施形態によれば、放出チャンバ104は、二酸化炭素を回収するために使用される収着剤材料の再生を達成するために必要なすべての機器または構造を備え、これには、捕捉構造体106に供給される電圧を変更するステップ、チャンバに掃引ガスを押し込むステップ、チャンバを排気するステップ、およびチャンバを加熱するステップの一部またはすべてが含まれる(が、これらに限定されない)。以下に説明するように、いくつかの実施形態は、捕捉構造体106に一定の電力を供給することができ、一方、他の実施形態は、再生中に放出チャンバ104によって定期的に充電されるバッテリを使用して収着剤材料110にわたる電圧を維持する捕捉構造体106を備え得る。捕捉構造体106の再生については、以下の図4Bを参照してより詳細に説明する。
【0028】
[0034]いくつかの実施形態では、放出チャンバ104は、再循環空気流を生じさせるためのファンまたはブロワーを備える内部流れシステムを備える。他の実施形態では、放出チャンバ104は、ガス再循環システムを備えてもよく、このガス再循環システムでは、チャンバ104内の流れが、チャンバ104に注入されるガスによって押しやられ、外部の再循環システムに戻る。いくつかの実施形態では、水蒸気が掃引ガスとして使用される。図6に関して以下で検討する受動的回収のシステムおよび/またはクラスタでは、複数の回収装置100が単一のガス再循環システムを共有してもよく、または個々の内部システムと合わせて共有システムを使用してもよい。
【0029】
[0035]本開示および添付の特許請求の範囲の文脈において、捕捉構造体106は、それに接してもしくはその中に大気COが捕捉される構造体または構造体の集まりである。示してあるように、捕捉構造体106は、1つまたは複数の折りたたみ可能支持体112に接続され、それに沿って離隔している複数のディスク108から構成される。ディスク108は、二酸化炭素の捕捉を担う1つまたは複数の電気スイング収着剤材料110を含む。電気スイング収着剤材料110については、以下でさらに説明する。いくつかの実施形態では、収着剤材料110は、ディスク108の1つまたは複数の表面上に配置され得るが、他の実施形態では、ディスク108は、収着剤材料110で作られた複数の電極を備え得る。後述するように、収着剤材料110は、再生時(例えば、放出チャンバ104内の収着剤再生システム406の一部としての印加電圧の変更時など)に、捕捉したCOを放出する。
【0030】
[0036]示されるように、捕捉構造体106が「展開」され、二酸化炭素を回収するために大気に暴露されると、ディスク108は、空気が任意の方向からディスク108間を流れることができるように、1つまたは複数の折りたたみ可能支持体112から(またはいくつかの実施形態ではそれに沿って)吊り下げられる。このような配置は、方向が変化する可能性のある自然の空気の流れや風からCOを回収するために使用する場合に有利である。さらに、本明細書において企図するディスクベースの構造は、受動的空気流で使用する文脈で説明されるが、押しやられた空気流でも使用されてよいことが理解されるべきである。
【0031】
[0037]図1Aおよび図1Bに示す非限定的な例は、細長い円筒形であり、円形ディスクを利用する。いくつかの実施形態では、装置および/またはディスク108は、ほぼ円形の断面を有してもよく、これは空気流があらゆる方向からくる可能性がある状況において空気を受動的に捕捉する際に使用するのに有利であってもよい。他の実施形態では、装置および/またはディスク108は、非円形の断面を有してもよい。様々なディスク108の設計については、図3A図3B、および図3Cに関して以下でさらに詳細に検討する。
【0032】
[0038]示してあるように、捕捉構造体106は、ディスク108の重なりを備えてもよい。様々な実施形態によれば、捕捉構造体106の重なりは、少数(5~10枚)のディスク108から多数(>1000枚)の範囲にわたる。特定の実施形態は、50枚~200枚のディスクの重なりを利用する。
【0033】
[0039]ディスク108は、1つまたは複数の折りたたみ可能支持体112によって支持され、持ち上げられると、空気がそれらの間の隙間を通過できるように、重力によって自由に垂れ下がることができる。多くの実施形態では、捕捉構造体106が放出チャンバ104内で折りたたまれるとき、ディスク108は互いに載置され、ディスク108がチャンバ104内で静止しているときにディスク108間の小さな隙間を維持するために小さなライザーを使用する。いくつかの実施形態では、これらのライザーはまた、放出チャンバ104内に積み重ねられたときに複数のディスク108を互いに電気的に接続し、それらがすべてチャンバ104の底部の接点を介して同じ電源から電力を受け取ることを可能にする。例えば、図4Aおよび図4Bに示される実施形態を参照されたい。
【0034】
[0040]大気二酸化炭素を回収することに加えて、捕捉構造体106は、大気二酸化炭素を回収するのに適した構成(例えば、回収構成または段階)と、捕捉されたCOが放出チャンバ104内に放出されることを可能にする構成(例えば、放出構成または段階)との間を移動することができる。回収および放出の構成については、以下の図4Aおよび4Bを参照して説明する。
【0035】
[0041]上述したように、ディスク108は、1つまたは複数の折りたたみ可能支持体112に接続され、それに沿って離隔している。いくつかの実施形態では、折りたたみ可能支持体112は、それらが保持するディスク108に電力を供給することができる。図1Aおよび図1Bは、ディスク108の縁に沿って延びる複数の折りたたみ可能支持体112を有する非限定的な例を示す。折りたたみ可能支持体112の例は、細いロープ、ストラップ、ひも、または鎖を含むが、これらに限定されない。一実施形態では、各ディスク108は、上のディスクに連結されてもよく、それにより各ディスクの下のすべてのディスク108の重さを担持していてもよい。別の実施形態では、折りたたみ可能支持体112は連続しており、ディスク108の重さすべてを担持するように設計され、ディスク108の構造は、それ自体の重さだけを担持するように設計される。このような支持システムの具体的な例を提示するために、長いひもまたは鎖と横木用の中実ロッドとから形成された細く長い複数のはしごを想起されたい。これらのはしごは細く、例えば幅1cmであってもよく、または何センチメートルの幅があってもよい。最低3つのこのようなはしごが、ディスク108の縁部の周りに均等に配置され、各ディスク108は、1つの横木に引っかけられることが可能である。はしご構造体は、すべてのディスク108の重さを支持し、その一方で、個々のディスク108は、それ自体の重さを支持するだけよい。はしごの数を増やすことにより、はしごの側部を含むひもの厚さを細くすることができ、はしごを折りたたむことが容易になる。有利には、はしごの数が3つより多い場合、メンテナンス中に、捕捉構造体106が開/回収の構成にある間に1つのはしごを取外しおよび交換することが可能になる。
【0036】
[0042]別の実施形態では、ディスク108は、ディスク108に接線方向にジグザグパターンで折りたたまれる伸縮式の管または堅いロッドによってあるいは、1つのディスク108(例えば、下のディスクなど)から隣接するディスク(例えば、上のディスクなど)の空いた空間に突き出る「犬の骨」の形状を作成することによって保持されてもよい。この設計では、連続したディスク108を、ディスクのリムに沿ってわずかな角度だけシフトした異なる位置で固定して、上のディスク108の犬の骨と干渉しないように犬の骨の長さ用にスペースを取ることが必要な場合がある。
【0037】
[0043]さらに別の実施形態では、折りたたみ可能支持体112が、ディスク108の中心の穴を囲む円錐形状であってもよい。ディスク108は、重ねられたとき互いに載り、円錐がわずかに離れるように動くときにこれらの距離を広げる。このような設計は、ディスク108が重ねられるときに自然に中央合わせされるのを必然的に支援することになる。円錐が切頭であり、したがって上部が開口している場合には、これらの円錐により、折りたたまれたディスク108の重なりの中央を通る垂直な開口流路が作られ、この開口流路は、ディスク108の再生中に空気流を案内するのを支援することができる。当業者は、他の折りたたみ可能な構成が存在することを認識するであろう。
【0038】
[0044]様々な実施形態によれば、回収装置100のディスク108は、回収構成または回収段階にあるときには互いに引き離されており、再生段階または放出段階では、互いに重なる。選択肢として、ディスク108の傷つきやすい部分は、他のディスクと接触しないようにパッドまたはリムなどの緩衝構造体によって保護されてもよい。緩衝部は、空気流を導いて回収および/または取入れを増大させるようなやり方で構成されてもよい。いくつかの実施形態では、このバッファまたはリムは、電気接点を備えてもよく、これにより、ディスク108が積み重ねられるときに、ディスク108が充電され、および/または、放出段階中に電圧(すなわち、放出電圧438)が印加されることが可能になる。
【0039】
[0045]ディスク108の重なりが固定されずに垂れ下がっているときに、(例えば、損傷を防ぐ、収着剤の暴露を最適化するなどのために)その動きを制限することが有利な場合がある。動きを制限する1つの方法は、垂れ下がる重なりが持ち上げられるときに、それを案内部の間に入れることである。一例は、垂直なポールのセットであり、これは持上げ構造に対して構造的な支持も提供することができる。このようなポールが3本あれば、ディスク108の横方向の動きを抑えるのにすでに十分である。別の実施形態は、中心穴に沿って案内部を通って連結されたディスク108を有してもよく、これによりディスク108の相対的な動きが防止される。ディスク108および蓋114がリング形状である場合には、案内部がディスク108の内側にも通されることが可能である。ディスク108の動きを制限するための別の選択肢は、下部のディスク108を放出チャンバ104の下部につなぎ止めることである。
【0040】
[0046]様々な実施形態によれば、ディスク108は、蓋114の下部に接続されてもよく、装置100が開いて回収構成になるときに、蓋114がディスク108とともに引き上げられる。他の実施形態では、蓋114は、スライドすることにより、またはドアのようにヒンジ連結されることにより、横向きに開いてもよい。次いで持上げ機構が、蓋114なしにディスクを持ち上げるために、捕捉構造体106の上部の取付具に接続される。このような設計は、持上げ機構を複数の装置100間で共有することができる回収装置100のクラスタにおいて、特に有益である。選択肢として、捕捉構造体106は、完全に持ち上げられたら、何らかの形の支持構造体に取り付けられてもよい。
【0041】
[0047]捕捉構造体106は、捕捉された二酸化炭素で完全にいっぱいになると、放出チャンバ104内に動かされ、ここでCOが回収され、さらなる回収に備えて収着剤材料110が再生されることになる。様々な実施形態によれば、捕捉されたCOの回収および収着剤材料110の再生は、開口部116に蓋114を置くことにより放出チャンバ104が閉鎖された後に行われる。様々な実施形態によれば、蓋114(および捕捉構造体106)は、何らかの形のアクチュエータ120によって開口部116上に(および捕捉構造体はチャンバ104内に)下ろされてもよい。本明細書および添付の特許請求の範囲の文脈において、アクチュエータ120は、動きに影響を及ぼすことが可能な任意の装置であり、モータ、ピストン、液圧、ねじ駆動、昇降機、ローラ、および当技術分野で知られている他の装置を含んでもよいが、これらに限定されない。選択肢として、アクチュエータ120は、捕捉構造体106に直接接続されてもよく、蓋114を介して、または何らかの他の構造体を介して接続されてもよい。いくつかの実施形態では、アクチュエータ120は、放出チャンバ104にも接続されてよい。様々な実施形態によれば、蓋114は、放出チャンバ104と嵌まり合い、閉鎖されたチャンバを形成するように構成される。いくつかの実施形態では、蓋は、放出チャンバ104とともに気密封止を形成してもよい。
【0042】
[0048]示してあるように、受動的回収装置100は、生成物出口118も備える。生成物出口118は、放出チャンバ104の内側と、放出チャンバ104の外側の何らかの構造体(例えば、貯蔵装置、アップグレードシステム、別の放出チャンバ104など)との間で流体連通を可能にして、COを豊富に含んだ(例えば、周囲空気に存在するCOよりも他の物質に対するCOの割合が高い)生成物流れの回収を可能にする。いくつかの実施形態では、生成物出口118は、気体状の生成物流れ向けに構成されてもよく、他の実施形態では、液状の生成物流れ(例えば、ブラインに捕捉されたCOなど)を排出するように構成されてもよい。
【0043】
[0049]ディスク108という用語は、ディスク108が平坦であるという1つの考えられる設計から導かれたものであるが、本開示の文脈において、ディスク108という用語は、はるかに広い範囲の形状に対応することが意図されることに留意することが重要である。いくつかの実施形態では、ディスク108は、全体的に収着剤材料から作られ、その一方で他の実施形態では、ディスク108は、定位置に収着剤材料110を保持する構造的材料から作られる。
【0044】
[0050]いくつかの実施形態では、ディスク108は(重なりの中心軸に沿って)円形断面を有してもよい。他の実施形態では、円に似た形状(例えば、高次多角形)、三角形、四角形、正方形、六角形、星形、リング形などを含むがこれらに限定されない他の形状が利用されてもよい。円形断面は、風の方向が予測できない環境での使用に適している場合がある一方で、他の実施形態において、風のよく吹く方向がある状態では、より楕円形のディスク108が利用されてもよい。
【0045】
[0051]捕捉構造体106は、電気スイング収着剤材料110を含む。本説明およびそれに続く特許請求の範囲の文脈において、電気収着剤材料110は、印加電圧を変化させることによってCOに対する親和性を劇的に変化させることができる材料である。以下の説明のために、これらの材料は捕捉と放出の2つの状態を持つものとして説明するが、実際には、材料によっては印加電圧の変化に2つ以上の状態で反応するものもある。捕捉状態では、材料はCOとの親和性が高く、材料の周囲の大気ガスからCOを取り込む。放出状態では、ある程度の背圧に抗しても、材料はCOを放出する。
【0046】
[0052]様々な実施形態によれば、これらの電気スイング材料110は3つのタイプに分類することができる。タイプ1は、COを回収する間に安定した電圧供給(すなわち、回収電圧436)を必要とするが、COは、電流が流れたり、電圧を維持したりせずに放出でき、自由に浮遊することができる。タイプ2は、COを放出する間に安定した電圧供給(すなわち放出電圧438)を必要とするが、COは、電流が流れたり、自由に浮遊できる電圧を維持したりすることなく回収できる。タイプ3は、COを回収する間、安定した電圧供給(すなわち、回収電圧436)を必要とし、COが放出されるとき、異なる電圧(すなわち、放出電圧438)を維持する必要がある。これらの材料110が捕捉装置100にどのように実装されるかについての以下の説明は、動作の両方の段階で印加電圧を必要とするタイプ3の材料に関連して行われる。本明細書で企図される設計および構造は、2相のうちの1相の間のみ電圧を必要とするタイプ1およびタイプ2の材料での使用に適合できることが当業者には明らかであるはずである。企図される設計および構造で使用される電気スイング材料は、様々な電源での使用に適合させることができる。例えば、いくつかの実施形態では、電源はバッテリなどのDC電源であってもよいが、他の実施形態では、電源は整流されたAC電源であってもよい。任意選択として、いくつかの実施形態では、電源は最小限のフィルタリングを備えていてもよい。
【0047】
[0053]図2は、電気スイング材料110の適用の断面図の非限定的な例を示す。図示のように、電気スイング材料110は電極200の周りに巻き付けられており、短絡を防ぐために2つの電極は電解質膜202によって分離されている。電気スイング材料110の外面204は、コア電極200に対する対電極として機能する。リード線206、208を介して2つの電極に反対の電荷を与えると、電気スイング材料110のCO親和性が大幅に変化する。例示的な電気スイング材料110には、ポリアントラキノンなどのキノン化合物が含まれるが、これに限定されない。コア電極200の例示的な材料としては、ポリビニルフェロセンなどのフェロセン化合物が挙げられるが、これに限定されない。
【0048】
[0054]図3A図3B、および図3Cは、様々なディスク108の幾何学的形状の非限定的な例を示す図である。図3Aは、電気スイング収着剤材料110を有する円形ディスク300の非限定的な例の上面図を示す。図示されるように、円形ディスク300は、空気が流れることができる、および/または折りたたみ可能支持体112が通過して各ディスク108に接続することができる中央アパーチャ302を含む。
【0049】
[0055]いくつかの実施形態では、ディスク108は、1つまたは複数の折りたたみ可能支持体112、またはディスク108が電源に導電的に接続される何らかの他の構造を通じて、エネルギーを継続的に供給され得る(すなわち、収着剤再生システム406の電源408については、以下の図4Aおよび図4Bに関連して説明する)。任意選択として、いくつかの実施形態では、各ディスク108は、他のディスク108と共有されない構成要素を有し、ディスクを順序を外して動作させる(例えば、異なるディスクに異なる時間に異なる電圧を印加することによって放出チャンバ104内のガス流を促進するなど)機能に加えて、冗長性およびモジュール性を提供することができる。例えば、いくつかの実施形態では、各ディスク108は、すべて同じ電源に接続された独自の電圧コントローラ306を含むことができる。
【0050】
[0056]他の実施形態では、ディスク108は、放出チャンバ104内に折りたたまれていないときに、再充電される自身の電力を提供する必要がある場合がある。図3Aの非限定的な例は、電圧軌跡の制御を可能にする、バッテリ304および電圧コントローラ306を有する実施形態を示す。様々な実施形態によれば、電圧コントローラ306は、バッテリ304およびそのディスク108の電気スイング収着剤材料110に通信可能に接続される。捕捉構造体106が放出チャンバ104内に降下され、放出構成412内に配置されると(図4Bに示すように)、バッテリ304は、ディスク108がチャンバ104の電源408と電気的に接続されると再充電される。さらに他の実施形態では、ディスク108は、放出構成412にないときは主電源408から切断されてもよいが、バッテリ304および/または電圧コントローラ306などの2つ以上のディスク108のグループ間でリソースを共有する。
【0051】
[0057]いくつかの実施形態では、ディスク108は、風に暴露されている間は蓋114などの構造物から吊り下げられ、放出チャンバ104内に降ろされると互いに載置されてもよい。様々な実施形態によれば、ディスク108は、重なりが折りたたまれた形態であるときに上のディスク108の重さを担持するように設計された強化パッド、リム、またはリップを備えてもよい。また、これらのパッドは、ディスク108のより脆い部分(例えば、収着剤など)よりもさらに垂直方向に広く延在してもよく、それによりディスク108間の物理的な接触が、この重さを担持するように設計された位置に限定される。いくつかの実施形態では、(円形であっても角を有していても)ディスク108は、ディスク108から垂れ下がった収着剤/樹脂を有してもよく、これは、ディスク108全体にある収着剤に追加されるものであってもよい。
【0052】
[0058]ディスク108の構造およびディスク108を吊り下げる機構は、現地の地形および天候条件に基づき調整されてもよい。例えば、強風の地域では、ディスク108は実質的により頑丈であってもよく、最良な形で支持を確実にするために、チャンバ104から完全に分離されていてもよい。いくつかの実施形態では、強風時には折りたたまれるか隠されて、時として脆いディスク108をシェルタに引き入れる支持構造体が存在してもよい。ディスク108を上げ下げするため支持構造体の多数の選択肢は、世界中のほぼあらゆる場所に配置することができる装置に対して存在しうる様々な必要性を単純に反映している。
【0053】
[0059]いくつかの実施形態では、ディスク108は、重なりにおいて使用されるリムまたはパッドを除き本質的に平坦である。他の実施形態では、ディスク108は、ボウル形またはヘルメット形など非平面状であってもよい。さらに他の実施形態では、ディスク108は、収着剤材料110を囲むか他のやり方で守るフレームワークを備えてもよい。
【0054】
[0060]図3BCは、電気スイング収着剤材料110から作られた複数の収着剤電極表面308を含むパネル付きディスク310の非限定的な例の斜視図である。いくつかの実施形態では、ディスク108は、それらの表面とガスとの接触を容易にするように高度に構造化されてもよい。ディスク108は、ディスク108の上部から下部までガス流経路を作り出して、ディスク108の収着剤材料110と密に接触する気体流を流れやすくする流路または通路を備えてもよい。
【0055】
[0061]図示のように、各ディスクは、ディスクの一方の側に電気接点318を有し、他方の側に導電性ポスト320を有する。ディスクが放出段階で積み重ねられるとき、ポスト320はディスクを分離し、損傷を受けないように保ち、一方、接点318およびポスト320により、すべてのディスクが、バッテリを再充電するため、または捕捉されたCOを放出するのに必要な電圧(すなわち、放出電圧438)を印加するために必要な電力を受け取ることができる。
【0056】
[0062]いくつかの実施形態では、ディスク108は、電気接点318および導電性ポスト320の対の集合を有し、各対は両極性を処理することができる。任意選択として、これらの対は対称的に配置されてもよく(例えば、図3Aの接点318を参照)、電気スイング収着剤材料110に必要な電力を供給することに加えて、ディスク108が放出チャンバ104内に積み重ねられたときにディスク108を安定させるのに役立ち得る。
【0057】
[0063]いくつかの実施形態では、ディスク108は、1つの大きな収着構造であってもよい。図3Bに示される非限定的な例を含む他の実施形態では、収着剤材料110は、パネル付きディスク310の表面314に個別に取り付けられるスライスまたは表面308にセグメント化することができ、そこを通じて電力が供給される。このようなディスクの1つは、図3Bに示すような六角形であってもよい。
【0058】
[0064]空気の混合を最大化するために、ディスク108の表面は凹凸があり粗くてもよく、隣接するディスク108はすぐそばで異なる形状を有してもよい。例えば、ディスク108が複数の異なるディスクから作られる場合、垂直方向に互いに重なる表面は必ずしも同一である必要はなく、または同じように配向される必要もない。いくつかの実施形態では、収着剤表面312は、ディスク310の表面314に対して傾斜して角度316が形成されてもよい。
【0059】
[0065]いくつかの実施形態では、ディスク108には、三角形(または何らかの他の隆起した形状の)隆起した収着剤と、暴露を増大させ、かつ乱流を生じさせて捕捉を増大させるバッフルとが取り付けられてもよい。
【0060】
[0066]示されるように、いくつかの実施形態では、ディスクは、放出段階中に積み重ねられるときに電気的に接触するように配置され得る。他の実施形態では、ディスクは、装置の本体に配置された電源と電気的に接触したままであってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、各ディスクは、それ自体が電源と電気的に接続されている捕捉構造体の上部または底部に配線されてもよい。任意選択として、ワイヤは、捕捉構造体が放出チャンバ内に折りたたまれるときに緩んだワイヤを引き込む付勢されたスプール上に配置されてもよい。
【0061】
[0067]他の実施形態では、ディスクは、その縁に沿ってチャンバの内壁に沿ったコネクタと接触することにより、放出チャンバ(したがって、電源)と電気的に接触するように配置され得る。
【0062】
[0068]例えば、一実施形態では、金属棒をバネによって各ディスクの縁の接触点に押し付けることができる。反対極性のこのような2つのバーがディスクに電力を供給し得る。任意選択として、わずかな位置ずれによってディスクが接触しない場合に備えて、各極性のこのような棒をいくつか使用することで、ある程度の冗長性を確保することもできる。
【0063】
[0069]様々な実施形態によれば、電気スイング収着材料110に印加される電圧は、収着ガスが収着または放出される速度に影響を与えることができる。これにより、他のスイング収着剤を使用するシステムや装置では利用できないレベルの制御が提供される。ガス流を最適化するために、いくつかの実施形態では、ディスク108に供給される電圧をセグメント化して整形することができる。例えば、いくつかの実施形態では、駆動電圧は、各ディスク108内の異なる半径によって変化し得る。
【0064】
[0070]図3Cは、セグメント化された電気スイング収着剤材料110を有する円形ディスク300の非限定的な例の上面図を示す。図示されるように、この非限定的な例では、収着剤材料110は、第1のセグメント326と第2のセグメント328の2つのセグメントに分割される。視覚的に分かりやすくするために2つのセグメントが選択されているが、他の実施形態では、3、4、5、またはそれ以上のセグメントが使用されてもよいことを理解されたい。これらのセグメントは互いに電気的に絶縁されているため、異なる電圧が同時に印加される可能性がある。
【0065】
[0071]いくつかの実施形態では、ディスク108は半径方向にセグメント化され得る。例えば、ここでは、第1のセグメント326は、ディスク108の重心338から測定して第1の半径322まで存在するディスク108として定義され、第2のセグメント328は、第1の半径322と、第1の半径322とは異なる(そしてより大きい)第2の半径324との間に存在するディスク108として定義される。他の実施形態では、セグメント化は、同じ程度の回転対称性を有さない場合がある。例えば、一実施形態では、ディスク108をくさび形にセグメント化することができ、その電圧を順番に操作して放出チャンバ104内に回転流を生成することができる。
【0066】
[0072]前述したように、一部の電気スイング材料110では、回収および放出の2つの段階のうちの1つに対してのみ電圧が印加される。他の場合には、両相で電圧が使用される。セグメント化された電圧についても同じことが言える。いくつかの実施形態では、第1のセグメント電圧330および第1のセグメント電圧330とは異なる第2のセグメント電圧332は、回収構成400にある間の図3Cに示すディスク300の非限定的な例のそれぞれのセグメントに適用することができる。他の実施形態では、ディスク300が放出構成412にあるとき、第3のセグメント電圧334が第1のセグメント326に印加され得、第4のセグメント電圧336が第2のセグメント328に印加され得る。さらに別の場合には、これらのセグメント化された電圧が両方の構成で適用されてもよい。いくつかの実施形態では、第1のセグメント電圧330は、同じディスク300上の第3のセグメント電圧334と同じ、またはちょうど同じ大きさでも符号が反対であってもよく、および/または第2のセグメント電圧332は、第4のセグメント電圧336と同じ、またはちょうど同じ大きさであっても符号が反対であってもよい。さらに他の実施形態では、4つの電圧はすべて異なっていてもよい。追加の実施形態では、これらの電圧の一部またはすべてが時間とともに変化してもよい。任意選択として、セグメント間の電圧差は、電圧が変化しても(例えば、収着剤による収着剤材料の負荷の変化などにより)一定に保たれてもよい。
【0067】
[0073]縁接点340は、図3Cの非限定的な例にも示されている。いくつかの実施形態では、前述の電気接点318は、放出チャンバ104内に積み重ねられたときに隣接するディスク上の導電性ポスト320と接触する表面上に配置されてもよい。他の実施形態では、ディスクに側面から電力を供給することができる。具体的には、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の対の縁接点340がディスク上に存在してもよく、放出チャンバ104内の動力構造と接触する。このような構造については、以下の図5Aを参照して説明する。
【0068】
[0074]図4Aおよび図3Bは、それぞれ回収構成400および放出構成412の捕捉構造体106を有する回収装置100の非限定的な例の側面図である。収着剤再生システム600を含む放出チャンバ104の内側を見せるために、放出チャンバ104の一部分が取り除いてある。
【0069】
[0075]図4Aは、回収構成400の捕捉構造体106を示し、この回収構成300は、捕捉構造体106の少なくとも一部分402を空気流404に暴露して、放出チャンバ104から上向きに延在する捕捉構造体106を備える。様々な実施形態によれば、自然の空気の動き(例えば、風)によるか、誘発された流れ(例えば、熱的に誘発された流れ、または自然の流れを流路に通すことから得られる圧力降下によって誘発される流れ)によるか、ブロワー、ファン、または他の機械的システムによって誘発される流れによるか、これらの方法と当技術分野で知られている他の方法との組合せにより、周囲空気は、捕捉構造体106の収着剤材料110と接触する。
【0070】
[0076]図4Bは、捕捉構造体106が放出構成412にある図4Aの回収装置100を示す。本開示および添付の特許請求の範囲の文脈において、放出構成412は、収着剤材料110の再生および捕捉された二酸化炭素414の回収を想定して放出チャンバ104内に囲まれた捕捉構造体106(例えば、複数のディスク108および1つまたは複数の折りたたみ可能支持体112)を備える。上で検討したように、放出構成412は、チャンバ104が十分に閉鎖されて再生および回収を達成できるように放出チャンバ104に対して接続、嵌合、または封止された蓋114をさらに備えてもよい。
【0071】
[0077]捕捉構造体106または捕捉構造体106の一部分が、COでいっぱいになり、放出チャンバ104内に動かされたとき、収着剤材料110は、再生されて、捕捉されたCO414を放出チャンバ104内に放出する。先に検討したように、この再生および放出は、収着剤再生システム406によって達成される。
【0072】
[0078]受動的回収装置100の再生または放出段階に関する以下の説明は、電気スイング収着剤材料に関連して行われる。しかし、受動的回収装置100、その捕捉構造体106、および放出チャンバ104は、上述した収着剤のうちのいずれか、およびそれらの関連する再生プロセスとともに使用されるように適合されてもよいことが、当業者にとって明らかなはずである。いくつかの実施形態では、電気スイング収着剤と併せて熱を使用することができ、これにより、印加された放出電圧438によって駆動される二酸化炭素の放出が増幅される。熱および湿気との関連で電気スイング材料の使用を説明することは、他の収着剤を使用する他の実施形態を例示するものである。このような説明は限定的なものとして解釈されるべきではない。
【0073】
[0079]様々な実施形態によれば、封止された放出チャンバ104は、空気、窒素、または他の掃引ガス422で満たされてもよく、このガスは、掃引ガス入口418を介して掃引ガス源420から提供されてもよい。チャンバ104は、大半の背景ガスを除去するために、真空に、または部分的に真空にされてもよい。いくつかの実施形態では、放出チャンバ104は、再生の前に真空にされてもよく、または他のやり方で準備されてもよい。収着剤材料110は、開放空気中のCOを大量に取り込み、放出チャンバ104の内側でCOを放出する。その結果、熱、湿気、および/または電圧が導入される前に排気またはこれらの他の準備ステップが行われるため、排気またはその他の準備ステップ中のCO損失を最小限に抑えることができる。
【0074】
[0080]いくつかの実施形態では、放出チャンバ104は、電気極性を変更する前に排気され、水蒸気が掃引ガスとして導入されるか、あるいは電極表面上に水蒸気が存在する場合にはそこから放出される。収着剤110が再生中に電力を必要としない場合、装置100がアンロードの準備ができるまで回収電圧436が維持される。CO放出用の電圧(すなわち、放出電圧438)が設定されると、COは放出チャンバ104内に回収され、真空圧縮機またはチャンバ内の圧力を下げてガスストリームを回収できる他の装置によって引き出される。放出チャンバ104内のCO分圧が全体の性能を最適化するために選択された最小値に達すると、プロセスは停止する。最適な放出電圧が電極表面の負荷状態に依存する場合、制御システムは、電極表面からのCOの放出を最適化するために、印加される放出電圧を監視および設定できる。
【0075】
[0081]いくつかの実施形態では、チャンバ104を再び開く前に、回収電圧436が再度印加され、残留COが収着剤に跳ね返される。このステップが完了した後、チャンバ104は空気で満たされ、次に蓋が開けられ、別の捕捉サイクルのためにディスクが再び持ち上げられる。
【0076】
[0082]いくつかの実施形態では、生成物ストリーム426は、放出チャンバ104の内部に導入された掃引ガス422で濃縮ガス424を置換することによって形成され得る。いくつかの実施形態では、掃引ガス422は水蒸気であるが、他の実施形態では、掃引ガス422は大気、または別の容易に入手可能なガスである。
【0077】
[0083]いくつかの実施形態は、掃引ガス422としてスチームを利用してもよく、スチームは特定の利点を提供することができる。スチームの使用により、再生チャンバ内で温度操作するための手段が提供される。スチームを注入することにより温度を上昇させることができ、スチームを排出することにより、チャンバおよびその内容物を意図的に冷却することができる。例えば、図4Aおよび図4Bのスチーム源410を参照されたい。
【0078】
[0084]いくつかの実施形態では、COを含むわずかなガス流を上昇させるために、COを放出する前にチャンバ104から空気が取り除かれてもよい。選択肢には、熱とともに真空を使用することが含まれてもよい。
【0079】
[0085]いくつかの実施形態では、放出チャンバ104は、再生段階中または放出段階中に少なくとも部分的に真空にされてもよい。これらの実施形態では、蓋114と放出チャンバ104との間の封止により、内側に流入するガスを最小にすることが重要になる。この目的のために、蓋114とチャンバ104の上部との間にガスケット416が存在してもよい。ガスケット416を蓋114の底部に取り付けることは、蓋114を汚れの蓄積から保護するのに役立つ可能性がある。いくつかの実施形態では、このガスケット封止は、追加の封止で増強または置換されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、放出チャンバ104は、水封止を使用して封止されてもよく、これについては、以下の図7Aおよび図7Bに関してより詳細に説明する。
【0080】
[0086]収着剤110の再生中、CO分圧が周囲レベルより高くされる。放出チャンバ104が実質的に真空にされる実施形態では、次いで存在する水蒸気が掃引ガス422として作用してもよい。このことは、ガスが1つのチャンバ104から別のチャンバに流入するために、掃引ガス422が入る流路から掃引ガスが排出される流路までの温度(およびこれに伴って水蒸気圧)を調整する必要があることを意味する。少なくとも、温度変動は、再生プロセス中に生じるCOの圧力上昇を補償しなくてはならない。
【0081】
[0087]放出チャンバ104が垂直に位置合わせされたドラムの形状を有する実施形態など、いくつかの実施形態では、混ぜ合わされた流れパターンが、捕捉構造体の中心の開口部(例えば、円形ディスク300の孔302など)に沿って軸方向にガスを送り、チャンバ104の円筒形の壁に沿った環状の領域に沿ってガスを戻し、チャンバ104のすべての水平レベルにおいて、中心流れから外側の環状の流れに対して径方向の空気流を生じさせる。このような実施形態では、垂直区分の流れが受ける流れ抵抗はほとんどなく、一方で径方向のつながりが、主な流れインピーダンスである。その結果、それぞれのレベルは、同じ圧力降下を受け、したがって同様の流量に置かれることになる。流れに対するインピーダンスは、内側の流れ円筒および環形状を通る外側の流れ経路の周りに、小さい開口のある壁を形成することによって維持されることが可能である。他の選択肢は、チャンバ104の主要部分を通って軸方向に移動し、収着剤材料の重なりとチャンバ104の壁との間の環状キャップを通って戻る流れを含む。
【0082】
[0088]いくつかの実施形態では、放出されたCOは集められて、放出チャンバ104を通って流れるガス流れにされてもよい。ガスは、機械的手段によって収着剤上を再循環させられてもよい。このガスは、主に水蒸気および二酸化炭素であってもよく、または空気のほとんどの成分を含有していてもよく、純粋な窒素を含んでもよく、または掃引ガス422として選択された任意の他のガスであってもよい。さらに、チャンバを通る空気流は、加熱空気を収着剤に導くポンプ、ファン、またはブロワーと、COの豊富な空気をチャンバから抽出する別のファンとによって制御されてもよい。
【0083】
[0089]チャンバ104の内側の捕捉構造体106の収着剤材料110からCOが放出された後、COは混合されて濃縮ガス424が生成される。様々な実施形態によれば、濃縮ガス424はその後、生成物出口118を通って生成物流れ426としてチャンバ104から取り出される。いくつかの実施形態では、生成物出口118は弁であってもよく、他の実施形態ではポンプを備えてもよい。生成物出口118は、放出チャンバ104の内側と流体連通している。
【0084】
[0090]示してあるように、回収装置100は制御システム428をさらに備える。様々な実施形態によれば、制御システム428は、回収装置100の循環動作を担う。本明細書および添付の特許請求の範囲の文脈において、制御システム328は、回収装置100を循環的に動作させて大気からCOを捕捉し、それを放出チャンバ104内に放出させるための一連の所定の命令を実行可能な装置である。例は、組込みシステム、従来のコンピュータシステム、モバイル装置などを含むが、これらに限定されない。制御システム428は、情報を提供する(例えばセンサなど)か、動作を実行する(例えば、アクチュエータ120、収着剤再生システム600など)様々な構成要素に通信可能に接続される。いくつかの実施形態では、制御システム428は、さらなる機能を担ってもよい。いくつかの実施形態では、制御システム428は、回収装置100を無人で運転できるようにする回収装置100の自動化を実現してもよい。
【0085】
[0091]回収装置100は、装置100の効率的な動作のためのアルゴリズムで構成されたプロセッサに接続された1つまたは複数のセンサ430(例えば、COセンサ、湿度センサ、温度センサ、空気流センサ、電圧/電流センサ、光センサなど)をさらに備え得る。いくつかのセンサ430は、回収装置100の外部の状況を監視してもよい(例えば、装置の動作に影響を与える可能性のある気象条件の観察など)。一方、他のセンサ430は、装置100自体の動作(例えば、放出チャンバ内の二酸化炭素のレベル、1つまたは複数のディスクにわたって印加される電圧または電流、放出チャンバ内の温度など)を観察することができる。受動的回収装置100は、捕捉構造体106の上げ下げのための機械的作業を実行するアクチュエータ120または他の手段をさらに備えてもよい。また、受動的回収装置100は、遠隔監視および遠隔操作のための通信機器も備えてよい。いくつかの実施形態では、受動的回収装置100は、必要に応じて周囲条件432に適合する自律動作を行うように構成されてもよい。電力は、装置のすべての動作に直接、バッテリや自治体の電源を介して、あるいは、例えば、太陽光、風力、熱電などの再生可能電源から供給され得る。様々な実施形態によれば、この電力は、収着剤再生システム406の電源408を介して供給される。
【0086】
[0092]様々な実施形態によれば、センサ430を使用して1つまたは複数の測定が行われてもよく、信号434が制御システム428によって観察される。これらの測定は、風速および他の天候データ、チャンバの内外湿度、時間、CO除去ガス割合、チャンバ104の内部温度、(障害物を検出するための)流速、構成要素の動作不良および/または動作中の不安定、外気温および内気温などを含んでもよいが、これらに限定されない。この情報を使用して、制御システム428は、検出された周囲条件または内部条件に応じて1つまたは複数の動作を実行するように構成されてもよい。これらの動作は、強風または過剰な湿分のためにディスク108を下げるための命令、暴露時間を変えるためにディスク108を上げ下げするための時間指定命令、開始、停止、流量の増大または削減、CO付着量に応じて放出チャンバ104内での時間の延長または短縮を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0087】
[0093]受動的回収装置100のいくつかの実施形態は、収着剤110からの最良な反応を生成するように開発されたアルゴリズムを利用してもよい。これらのアルゴリズムは、電気スイング用途を効率的に動作させるように設計されている。これらのアルゴリズムは、性能と運用コストのバランスを最適化するため、印加電圧が最適な速度と最適な分圧でのCO供給を最適化するように展開される。様々な実施形態によれば、最適化は、周囲温度、収着剤110の負荷状態、気象条件、電気代、および他の関連パラメータを考慮してもよい。いくつかの実施形態では、チャンバ104内のCOの放出温度は、周囲温度よりも上昇するように目標とすることができる。最適な温度は、環境条件および当該材料の耐熱性に応じて異なり、また利用可能な熱のコストによって影響を受けることもある。特定の実施形態では、範囲は、周囲温度~150℃であるが、好ましくは収着剤に応じて、45~50℃の範囲で動作してもよい。多くの収着剤について、この温度範囲はなお十分であり、熱のコストは比較的少ない。
【0088】
[0094]様々な実施形態によれば、制御システム428は、人工知能システム417(AIS)をさらに備えてもよく、またはこれにより命令されてもよく、この人工知能システム417は、産出を最大化し、天候条件および装置100の物理状態により異なる最適化を学習するために、装置100の性能を監視し、その性能を反復的に適合させる。このAIS417は、効率を向上させ、エネルギーコストを削減し、メンテナンスを少なくする。例えば、装置100の制御システム428に接続されたAIS417は、特定の警告が重大ではないことを「学習」してもよく、特定の警告の動作を調整しそれに対して通知を提供する。応答を必要とする警告を減らすことは、運転コスト削減に大きく貢献する。
【0089】
[0095]制御システム428は、内部温度、掃引ガスの流量、生成物ガスを抜き出すポンピング速度、空気への暴露のタイミング、放出チャンバ104内での時間などを含むがこれらに限定されない1つまたは複数の動作もしくは特性を制御するように構成されたソフトウェアを利用してもよい。このソフトウェアは、収量、水消費量、および/またはエネルギー消費量などの様々な特性を最適化するように構成されてもよい。
【0090】
[0096]自動化システムは、風/天候の測定および反応、CO回収モニタリング、自動的に時間指定された捕捉構造体106および/または支持構造体108の移動、水および空気の制御システム、温度測定および制御、内部流れ測定、他のシステムの機能に適合するためのタイミング制御などをさらに含んでもよいが、これらに限定されない。
【0091】
[0097]いくつかの実施形態では、受動的回収装置100は、空気流を修正しかつ/または装置100の様々な側面を保護するための一連のバッフルをさらに備えてもよい。本明細書および添付の特許請求の範囲の文脈において、バッフルは、少なくとも部分的に空気流を遮り、方向変更できるようにするか、空気流を集中させることが可能な少なくとも1つの表面を有する構造体である。また、いくつかのバッフルは、少なくとも部分的に光りを遮ってもよく、感応性のある収着剤材料を保護するために使用されてもよい。例は、帆、壁、フィン、翼などを含むが、これらに限定されない。剛性のバッフルもあれば、可撓性のバッフルもあってよく、または剛性フレームに取り付けられた可撓性のある表面を備えてもよい。いくつかの実施形態は、バッフルを使用して、局所的な空気流れに乱流を導入し、またはそれを強化して、収着剤材料に対する暴露を増大させてもよい。
【0092】
[0098]様々な実施形態によれば、バッフルは様々な文脈で利用されてもよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のバッフルが、捕捉装置100の外部で使用されてもよい。例えば、以下でさらに検討する図6に示すバッフル608を参照されたい。他の実施形態では、捕捉装置100内に、またはその一部として、1つまたは複数のバッフルが実装されてもよい。例えば、一実施形態では、ディスク108が中心孔302の上方およびその周りに1つまたは複数のバッフルを有して、空気流を促進かつ/または制御してもよい。別の実施形態では、有害なUV光に対する暴露から収着剤材料110を保護するために、ディスク108上でバッフルが使用されてもよい。さらに、捕捉構造体106が回収構成400のときに空気の乱流が増大され、空気流が収着剤110に向かうように、ディスク108上でバッフルが使用されてもよい。
【0093】
[0099]いくつかの実施形態では、バッフルは関節付きであってもよく、異なる周囲条件に反応するようにさらに機械化され、プログラムにより可動にされてもよい。いくつかの実施形態では、バッフルは、空気流および湿分分配を増大させるために、チャンバ104内で底部にかつ側面に沿って存在してもよい。しかし他の実施形態では、受動的回収装置100はバッフルを全く利用しなくてもよい。
【0094】
[00100]以下の説明は、一実施形態による、収着剤ディスク108を使用する受動的回収装置100の動作を限定するものではなく、例示することを意図している。受動的回収装置100の作動サイクルは、すべての収着剤ディスク108が放出チャンバ104内にあり、COが空である閉位置から始まる。(この文脈での空とはリーンを意味する。収着剤にCOが残っている可能性がある)蓋はアクチュエータ120によって引き上げられ、1つのディスク108が次のディスクの上に載置されるチャンバから移動するすべてのディスク108を、ディスク108がすべて少なくとも1つの折りたたみ可能支持体112から吊り下げられる回収構成400まで上昇させる。蓋114が最上部の位置に到達すると、すべての収着剤ディスク108が空気の動きに暴露される。ディスク108間には隙間が存在するため、空気がすべてのディスク108を横切って流れることができ、捕捉段階が開始される。気候条件と電気スイング収着剤の選択に基づいて、CO捕捉段階の暴露時間は変化し得る。一部の電気スイング収着剤では、
[00101]暴露後、蓋114が再び下降される。蓋が放出チャンバ104を閉じるとすぐに回収が始まる。印加電圧は、使用される電気スイング収着剤110の種類に応じて変更される。チャンバ内の空気はここでCOで濃縮されており、生成物出口118を通じて排出される。ディスク108が空になると、ディスク108は再び上昇し、収着剤110が空気からCOを回収するサイクルを開始する。製品ストリーム426中のCO濃度が徐々に低下するのを避けるために、多数の回収装置100を連結することが可能であり、その場合、ほぼ空の受動的回収装置100からの掃引ガスが、さらに高い平衡濃度のCOを有する受動的回収装置100に入る。
【0095】
[00102]以下は、本明細書で企図される装置100の一実施形態の潜在的な性能の非限定的な例である。直接空気を捕捉すると、高いCO流束を達成するのが困難になる。理由は簡単で、空気中のCOが少ないからである。そして、材料の表面に空気の薄い境界層ができるのを避けるのは困難である。その層を通した拡散には時間がかかる。例えば、境界層は数ミリメートルである可能性がある。この時点で、流束は空気中のCO密度と拡散定数を層の厚さで割った値に制限される。数字で言えば、これは1.6e-2モル/m3*1e-5m/s*1/0.003mまたは50マイクロモル/m/秒になるが、一桁優れた結果を達成することも可能である。
【0096】
[00103]これを客観的に見ると、流れる必要がある電荷は、1モルあたり200,000クーロン、またはマイクロモルあたり0.2クーロン程度である。1秒あたり1マイクロモルは、1平方メートルあたり0.2Aの電流で動作する。したがって、このような装置は、表面1平方メートルあたり約10アンペアの電流を支持できる。いくつかの実施形態では、これを平方メートル当たり100アンペアまで押し上げることができる。ほとんどの電気化学装置の範囲は約0.1~5A/cm、これらの単位では1000~50,000A/mである。毎秒1平方メートルあたり50マイクロモルの場合、1平方メートルには1年間で30*50モル(1年で3,000万秒)が回収される。これにより、1年で1500モル、つまり約70kgの収穫が可能となる。
【0097】
[00104]スケールを設定するために、いくつかの例では、単一のディスクの風断面積は、1.50m×0.04mであり得る。流速1m/sでは、このようなディスクの速度は0.06m3/sになり得る。1立方メートルあたり40モルの空気があると仮定すると、CO密度は0.016モル/m3、つまり総流量は1mモル/sになる。エネルギー要件が50kJ/モルの場合、これはディスクあたり50Wの電力要件を示唆し、1000秒の実行には50,000Jまたは14W時間が必要になる。これで簡単に0.5kgが得られる。別の言い方をすると、10ボルトのバッテリは5Aの電流を1000秒間維持できる必要がある。実際には、回収効率が100%になる可能性は低いため、これは3分の1より小さくなる可能性がある。さらに、電力需要のかなりの部分が再生中に発生し得るが、この非限定的な例では、電力需要は回収側で単に結合されているだけである。ここで説明する量は、ディスクのスタックごと、サイクルごとに7kgに相当する。
【0098】
[00105]受動的回収装置100は独立型であってもよく、または2つ以上の集積型回収装置100から構成された受動的回収クラスタ602、もしくは少なくとも1つのクラスタ602を含む受動的回収システム600など、より大きい空気捕捉システムの主軸であってもよい。完全な受動的回収システム600は、2つの回収装置100の周りに構築されてもよく、または数千個の回収装置100の相互接続された複雑なネットワークを備えてもよい。一実施形態では、5個~20個の回収装置100の相互接続されたシステムが、受動的回収クラスタ602を構成し、他の実施形態では、クラスタ602は、調和して稼働する単に2つの装置100であってもよい。いくつかの実施形態では、受動的回収クラスタ602は、スキッドに取り付けられた、自己完結型システムを備えるブロックであってもよいが、現地で建設されることも可能である。
【0099】
[00106]図5Aおよび図5Bは、放出構成412において、電気スイング収着剤材料110を使用する受動的回収装置100の非限定的な例の側断面図である。具体的には、図5Aおよび図5Bは、異なる方法で複数のディスク108に電力を供給する2つの実施形態の非限定的な例を示す。図示されるように、図5Aの装置の放出チャンバ104は、収着剤再生システム406の電源408に通信可能に接続された1対の電源レール500を有する。本説明および以下の特許請求の範囲において、電源レール500は、導電性であり、ディスクが積み重ねられたときにディスクの高さにわたって延びるレールまたはその他の剛性構造である。ディスクは、電源レールの対(プラス端子とマイナス端子を提供するために対にされ)に直接接触することで、そこから電力を引き出す。いくつかの実施形態では、ディスクは、放出チャンバ104に入るとすぐに電源レール500と接触し、下方に摺動する間その接触を維持する。任意選択として、図5Aに示されるように、電源レール500は、レールと縁接点との間の接続にわずかな圧力を維持する多数の付勢要素502(例えば、コイルバネ、板バネ、アークバネなど)を介して放出チャンバ104に接続され得る。
【0100】
[00107]これには、可動部品の数を最小限に抑えるという利点があるが、レール500と縁接点340との間に低摩擦インターフェースが必要である。いずれかの表面に不要な物質があると、必要な電力を供給できなくなるまで接続が磨耗し得る。
【0101】
[00108]他の実施形態では、レールと縁接点との間の電気接触は、ディスクが所定の位置に配置された後に開始され、レールおよび/またはディスクまたはディスクの一部の二次的な移動を通じて達成され得る。具体例として、一実施形態では、レール500は、ディスク108に向かって付勢されていてもよいが、ディスク108が放出構成412になるまで放出されない。
【0102】
[00109]図5Bは、図5Aと同様の再生サイクルの段階にある装置を示す。しかし、図5Bに示すように、スタック全体に電力を伝送する手段としてディスク108自体を使用して、電力が複数のディスク108に供給されている。図示されているように、各隣接するディスクの対506内には、上部ディスク510と下部ディスク508がある。すべてのディスクは、少なくとも1対の電気接点318と少なくとも1対の導電性ポスト320を有する。本説明およびそれに続く特許請求の範囲の文脈において、導電性ポスト320は、ディスクから外側に延在し、電気がそのディスクの収着剤材料および電気接点に伝導して次のディスクに流れることができる任意の導電性構造または材料でよい。
【0103】
[00110]示されるように、ディスク108が放出構成412の一部として放出チャンバ104内に積み重ねられるときに、上部ディスク510のポスト320が下部ディスク508の接点に通信可能に接続されるように、接点およびポストの対が整列される。最下位のディスクのポスト320は、放出チャンバの床または捕捉構造体の下にある他の構造に堆積されたベース電気接点504上に載っている。ベース電気接点504は、収着剤再生システム406およびその電源408に通信可能に接続される。様々な実施形態によれば、ディスクが放出構成412で積み重ねられると、スタック全体がこれらの接続を介して電源408から電力を受け取ることができる。
【0104】
[00111]図6は、複数の受動的回収クラスタ602を含む、大気二酸化炭素の受動的回収のためのシステム600の概略図である。本明細書の文脈において、受動的回収システム600は、複数の回収装置100もしくは単一の回収装置と、内部処理のための関連するハードウェア、接続部、制御システム、およびソフトウェアと、回収装置100の産出物を事後処理するための付属機器、制御システム、およびソフトウェアなどとを組み合わせたものである。システム600とクラスタ602を区別するため、システム600は、少なくとも1つのクラスタ602から構成されるが、クラスタ602は少なくとも2つの装置100から構成される。さらに、受動的回収システム600は、特に密に接続され、1つまたは複数のクラスタ602にまとめられた回収装置100のセットである。例えば、受動的回収システムは、ともに結束されて、単一のスキッドに取り付けられコンテナ化されたサブシステムにされてもよい。システムおよびクラスタという用語の使用は、部分的に重複する。受動的回収クラスタ602は、通常、受動的回収システム600よりも密に接続される。
【0105】
[00112]回収装置が相互接続されて受動的回収システム600にされ、このシステム600は、再生を連係させることにより、ほぼ継続的に生成物流れ606を作り出すことができる。この継続的な生成物流れ606は、ほぼ空のユニットから、より高い付着量をなお示すユニットを通して生成物ガスを掃引することにより、増大させることができる。例えば、一実施形態では、クラスタ602の回収装置100aはほぼ空であってもよく、その生成物ガスを、(同じクラスタ602内の)付着量がより高い隣接する回収装置100b内に掃引させてもよい。装置100aと100bは、互いに流体連通しており(例えば、装置100bは、装置100aの生成物出口118と流体連通しており)、ある意味で掃引ガス源を共有している。
【0106】
[00113]受動的回収システム600またはクラスタ602を使用することにより、継続的な生成物流れ606を提供することができ、この生成物流れは融通が利き、変化する天候および気候の条件に合わせて調整することができる。いくつかの実施形態では、システム600および/またはクラスタ602は制御システム604を備えてもよく、この制御システム604は、個々の装置100の制御システム428の代わりであってもよく、またはそれとともに動作してもよい。制御システム604は、そのようなシステム600を継続的に動作させるために、順番に装置を動作させるように構成され、周囲空気に関して典型的な600百万分率から、数パーセント、すなわち1~10%の範囲に、効率的にCOをアップグレード可能にしてもよい。本明細書において企図するシステムおよび方法の利点は、エネルギーコストを最小に抑え、変化する条件下で最適に動作できることである。上述した個々の装置100の制御システム428に関して企図された動作および測定のすべてを、クラスタ602またはシステム600の制御システム604が実行してもよいことに留意すべきである。
【0107】
[00114]いくつかの実施形態では、受動的回収システム600の個々の回収装置100は、様々な手段によって定位置に保持されてもよく、再生している一連の回収装置100を介して1つの受動的回収装置100から濃縮ガス424を取り出すことが可能になるようなやり方で相互接続されてもよい。ガスハンドリング、水、スチーム、または電力のハンドリングの接続は、すべての回収装置100の間で、またはそれらのサブセットの間で、必要に応じて切り替えられてもよい。選択肢として、回収装置100は、個々の回収装置100、回収装置100のクラスタ602、クラスタのクラスタ、クラスタのシステムといった階層構造に組織されてもよい。
【0108】
[00115]受動的回収システム600は、回収装置100に掃引ガスを流入させるプロセスユニットのシステムを備えてもよく、または代替的に、回収装置100を真空にし、そこからCOを引き出すためのプロセスユニットのシステムを備えてもよい。これらのプロセスユニットは、配管、ポンプ、ファン、弁、センサ、アクチュエータ、制御ソフトウェア、および回収装置100の相互接続に必要な他の構成要素を含んでもよい。さらに、受動的回収システム600は、回収装置100に水を送達し、廃水を回収し、かつ/または水を回収および再循環するための配管および弁のシステムを含んでもよい。
【0109】
[00116]いくつかの受動的回収システム600および/またはクラスタ602は、共有資源を備えてもよい。例えば、図6に示してあるように、いくつかの実施形態では、複数の受動的回収装置100が同じアクチュエータ120を共有して、回収構成400と放出構成412との間でそれぞれの捕捉構造体106を動かしてもよい。このアクチュエータ120は、歯車、アーム、プーリーなどの機械的装置、および/または当技術分野で知られている任意の他の機械的装置を使用して、複数の装置100間で共有されてもよい。
【0110】
[00117]いくつかの実施形態では、受動的回収システム600は、複数の回収装置100に電力を送達するための共有システムを備え得るが、他の実施形態では、各受動的回収装置100は独自の電源を有し得る。また、受動的回収システム600は、複数の回収装置100を定位置に保持する支持構造体も備えてよい。支持構造体は、基礎、捕捉構造体106を上げ下げするための上部構造体を保持するためのテント状構造体、日光からの保護、およびシステムを通るように様々なやり方で風を案内するためのパネルを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0111】
[00118]図6に示すように、いくつかの実施形態では、受動的回収システム600および/またはクラスタ602は、捕捉装置100の収着剤材料への暴露を増大させるために気流の方向を変えるための1つまたは複数のバッフル608をさらに備え得る。いくつかの実施形態では、これらのバッフル608は関節式であってもよく、周囲条件の変化(例えば、風向き、空の太陽の位置、天候など)に適応するように構成されてもよい。これらのパネルまたは帆状構造の目的は、風を受動的回収装置100に向かって、またはそこから遠ざけるように誘導して、風速に関する受動的回収装置100の動作範囲を増大させることである。低風速では、空気は受動的回収装置100に注ぎ込まれ、高風速では逸らされて遠ざかるであろう。
【0112】
[00119]さらに、いくつかの受動的回収システム600および/またはクラスタ602は、自動化システムを利用してもよい。自動化システムは、風/天候の測定および反応、CO回収モニタリング、自動的に時間指定されたディスク108および蓋の移動、水および空気の制御システム、温度測定および制御、内部流れ測定、同じシステムまたはクラスタ内の他の回収装置100の機能に適合するためのタイミング制御、ブローダウン制御、ならびに個々の装置100に関して本明細書において企図する任意の他の自動化を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0113】
[00120]いくつかの実施形態では、装置100または回収装置100のクラスタ602を他の機器の上に持ち上げることができる。これは、専有面積および土地利用を低減するためであり、かつ/または高い位置で回収するほど空気流が増大する地形もあることから、回収を強化するためである。
【0114】
[00121]いくつかの実施形態では、受動的回収システム600は、風を案内するためのパネルを含んでもよい。これらのパネルまたは帆状構造体の目的は、風速に関して受動的回収装置100の動作範囲を広げるために、風を受動的回収装置100に向けて、またはそれから離れるように案内することである。低い風速では、空気が受動的回収装置100に送り込まれ、高い風速では、空気が逸らされる。上記パネルは、システム600またはクラスタ602の文脈外で、単一の回収装置100とともに使用されることも可能である。
【0115】
[00122]様々な実施形態によれば、受動的回収システム600は、回収装置100に電力供給し、それを管理する電気システム、センサシステム、および制御システムも備えてよい。いくつかの受動的回収システム600は、生成物流れ426の品質を向上させるためのアップグレードシステムも備えてよい。いくつかの実施形態では、受動的回収システム600は、CO濃度が0.1%~95%の範囲またはそれ以上の乾燥したCO/空気の混合物を送達するように構成されてもよい。いくつかの受動的回収システム600は、COを第2の収着剤に結合させるためのシステムを利用してもよく、この第2の収着剤から、純粋なCOが生成されてもよい。他の受動的回収システム600は、ほぼ純粋なCOと水蒸気になる低圧流から開始されるシステムを使用してもよく、次いでこの低圧流が乾燥および圧縮されて、COの純粋な濃縮流れが生成される。さらに他の受動的回収システム600では、COを溶かして炭酸塩/重炭酸塩の溶液にするシステムが使用されてもよい。いくつかの受動的回収システム600は、システム産出物をアップグレードするために複数のシステムを利用してもよい。しかし、回収装置100およびシステム600は、大気からCOを回収し、それを下流の用途に有用な形で提供するように設計されていることが、当業者には明らかなはずである。回収装置100およびシステム600は、収着剤材料の選択または意図する下流の用途によって決して限定されない。
【0116】
[00123]いくつかの実施形態は、再生プロセスの一部として放出チャンバ714を真空にし、内部に低レベルの真空を作り出すことができる。様々な実施形態によれば、この真空の維持は、蓋114と放出チャンバ714との間に形成される封止によって促進される。上で論じたように、いくつかの実施形態では、この封止は、蓋114と放出チャンバ714との間に位置するガスケット416を使用して形成される。他の実施形態では、封止は水封止であってもよい。
【0117】
[00124]図7Aおよび図7Bは、水封止700を使用する実施形態の非限定的な例の断面図および上面図である。具体的には、図7Aは、放出構成における放出チャンバ714および蓋114の中心軸に沿った断面図である。図7Bは、水712を有さない図7Bの放出チャンバ714の上面図である。
【0118】
[00125]示されるように、放出チャンバ714は、上縁に沿ってトラフ702を備え、放出チャンバ714の内壁706と外壁704との間に空隙を形成する。蓋114は、トラフ702の内側に嵌合するサイズの封止スパイク708を備え、スパイク708と放出チャンバ714の内壁/外壁704sとの間に水712のための少量の空間を残す。流れに対する抵抗は気体大気よりも液体の方がはるかに大きいため、トラフ702内の水712は空気が密閉チャンバに入るのを効果的に防止する。
【0119】
[00126]水封止700の使用は、ガスケット封止416などの従来の封止に比べて多くの利点を提供する。水封止を使用すると、漏れを検出しやすくなる。さらに、水封止は異物の侵入に対してより堅牢である。企図される捕捉装置の様々な実施形態は、遠隔地に配備され得る。企図された装置は効率が高いため、捕捉/放出サイクルの一部として放出チャンバ714を自動的に開閉して、自律的に動作させておくこともできる。しかし、チャンバが開いている間、破片がチャンバ104の縁に落ちたり、吹き飛ばされたりし得る可能性がある。ガスケット416の封止の有効性は、たとえ非常に小さいものであっても、異物の導入によって著しく低下し得る。これにより、捕捉装置が自律的に動作し続け得る時間が短縮され、必要なサービスの量が増加するため、運用コストが増加し得る。
【0120】
[00127]しかし、水封止700は、避けられない破片の侵入にうまく対処できる。破片が水没しているか浮遊しているかにかかわらず、水712によってもたらされる封止は、これらの異物がトラフ702へのスパイク708の挿入を妨げるのに十分な大きさ、分離または結合していない限り、これらの異物によって損なわれることはない。例えば、破片がスパイク708とトラフ702の壁との間の隙間より大きい場合、蓋114が完全に閉じるのを妨げる可能性がある。いくつかの実施形態では、放出チャンバ714とスパイク708の底部との間の空間を増加させて、人間の介入が必要になる前に、より大量の破片を許容することができる。
【0121】
[00128]スパイクの深さと水トラフのサイズは、パラメータの数に基づいて異なる場合があり、放出チャンバの直径、真空圧、放出チャンバの材料の様々な特性(例えば、熱膨張係数、柔軟性、時間の経過とともに反る傾向など)、および/または捕捉装置が使用される現場の予想される環境条件を含むが、これらに限定されない。特定の非限定的な例として、一実施形態では、12.7cm(5インチ)のスパイク708が15.24cm(6インチ)の深さのトラフ702と対になってもよい。別の実施形態では、放出チャンバ714が金属で構成され、より高い公差で製造される場合、スパイク708およびトラフ702はより小さくてもよく、一方、放出チャンバ714および蓋114がグラスファイバーで作られるさらに別の実施形態では、スパイク708およびトラフ702はより大きくてもよい。
【0122】
[00129]示されるように、いくつかの実施形態では、蓋114は、放出チャンバ714を越えて延在して、リップ710を形成することができる。いくつかの実施形態では、このリップ710は数インチであってもよい。他の実施形態では、リップ710は、スパイク708の深さとほぼ同じサイズの大きさであってもよい。任意選択として、いくつかの実施形態では、リップ710は、放出チャンバ714の外壁704とのより良好な嵌合を形成するために下方に延在することができる。もちろん、他の実施形態では、蓋114はリップ710がなくてもよい。
【0123】
[00130]様々な実施形態によれば、トラフ702内の水712のレベルは、特定のレベルまたは特定の範囲内に維持される。例えば、いくつかの実施形態では、水712の量を最大化しながら、スパイク708が挿入されるときのオーバーフローの量を最小限に抑えるために、水712のレベルを維持することができる。他の実施形態では、トラフ702は半分の充填状態に維持され得る。トラフ702は、動作サイクルを通じて水712を保持するが、蒸発により失われた水712を置換するための手段を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、水712は、放出チャンバ714に組み込まれた小型ポンプおよび水712ラインを通じてトラフ702に添加され得る。いくつかの実施形態では、トラフ702用の水712は、収着剤の再生に使用されるのと同じ供給源(例えば、湿気スイング収着剤)から供給されてもよい。
【0124】
[00131]いくつかの実施形態では、水712のレベルが所定の範囲外にあると判定された場合、水712をトラフ702に追加することができる。例えば、一実施形態では、1つまたは複数の水712センサを使用して、水712のレベルを判定することができる。他の実施形態では、水712は、一定の間隔で、あるいは回収/再生サイクルの動作を修正するために使用される、上述のセンサによって観察される周囲条件に応じて変化し得る量および/または間隔でトラフ702に追加され得る。
【0125】
[00132]いくつかの実施形態では、水封止を単独で使用することができるが、他の実施形態では、前述したように、ガスケット416と組み合わせて使用することができる。さらに他の実施形態では、水封止は、当技術分野で知られている他の封止技術とともに使用されてもよい。
【0126】
[00133]上記の例、実施形態、および実装形態が例を参照する場合、他の受動的回収の装置、システム、および方法、および例が、提供された受動的回収の装置、システム、および方法、および例と混合されてもよく、またはそれに置き換えられてもよいことが、当業者に理解されるはずである。上の説明が、受動的回収の装置、システム、および方法の特定の実施形態を参照する箇所では、その趣旨から逸脱することなく、多数の修正が加えられてもよく、これらの実施形態および実装形態が、他の二酸化炭素回収の装置、システム、および方法に同じく適用されてもよいことが、容易に明らかなはずである。したがって、開示される主題は、本開示の趣旨および範囲、ならびに当業者の知識に含まれるこのような変更、修正、および変形をすべて包含することが意図される。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
【国際調査報告】