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特表2023-551294植物性ロジン材料及び関連するプレミックス組成物を含む処理組成物を作製する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-07
(54)【発明の名称】植物性ロジン材料及び関連するプレミックス組成物を含む処理組成物を作製する方法
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/382 20060101AFI20231130BHJP
   C11D 7/44 20060101ALI20231130BHJP
   C11D 1/00 20060101ALI20231130BHJP
   C11D 1/02 20060101ALI20231130BHJP
   C11D 1/38 20060101ALI20231130BHJP
   C11D 1/66 20060101ALI20231130BHJP
   C11D 1/88 20060101ALI20231130BHJP
   C11D 1/62 20060101ALI20231130BHJP
   D06M 13/00 20060101ALI20231130BHJP
   D06M 15/17 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
C11D3/382
C11D7/44
C11D1/00
C11D1/02
C11D1/38
C11D1/66
C11D1/88
C11D1/62
D06M13/00
D06M15/17
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532519
(86)(22)【出願日】2021-12-14
(85)【翻訳文提出日】2023-05-29
(86)【国際出願番号】 US2021072889
(87)【国際公開番号】W WO2022133424
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】63/125,987
(32)【優先日】2020-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】コル、マッティア
(72)【発明者】
【氏名】タホン、セドリック・マルク
(72)【発明者】
【氏名】スメツ、ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】メース、ジェフ・アニー・アルフォンス
(72)【発明者】
【氏名】デーゼレア、イルゼ・マリア・シリヤ
(72)【発明者】
【氏名】ヌイツ、カトリーン・マリア
(72)【発明者】
【氏名】ジェレツ・ゴメツ、アベル
【テーマコード(参考)】
4H003
4L033
【Fターム(参考)】
4H003AE05
4H003BA12
4H003DA01
4H003DA02
4H003DA05
4H003DA17
4H003EB07
4H003EB24
4H003EB37
4H003EB46
4H003ED02
4L033AB04
4L033AC15
4L033BA00
4L033CA09
(57)【要約】
方法であって、植物性ロジン材料及び香料原料などの1種以上の有益剤を含む処理組成物を作製する方法。関連するプレミックス組成物。かかる方法及びプレミックスから作製された処理組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理組成物を作製する方法であって、前記方法が、
ベース組成物を提供する工程であって、前記ベース組成物が補助材料を含む、工程と、
植物性ロジン材料及び1種以上の有益剤を、前記ベース組成物に添加する工程であって、前記植物性ロジン材料が1種以上の有益剤とともに、又は1種以上の有益剤の後に添加される工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記植物性ロジン材料が、前記1種以上の有益剤とともに添加され、
前記植物性ロジン材料及び前記1種以上の有益剤が、プレミックス組成物として単一の投入流で前記ベース組成物に添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プレミックス組成物が、
5%~95%の前記植物性ロジン材料と、
5%~95%の前記1種以上の有益剤と、を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記プレミックス組成物が乳化剤、
好ましくは、界面活性剤、両親媒性ポリマー又はそれらの混合物から選択される乳化剤を更に含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、前記植物性ロジン材料と前記1種以上の有益剤とを、前記ベース組成物とを、又はそれら両方とを組み合わせる前に、周囲温度超で前記植物性ロジン材料を加熱することを更に含み、
好ましくは、前記植物性ロジン材料の少なくとも軟化点に前記植物性ロジン材料を加熱することを更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記方法が、周囲温度で、好ましくは18℃~25℃で、より好ましくは18℃~22℃の温度で前記植物性ロジン材料と前記1種以上の有益剤とを組み合わせる工程を更に含み、
前記有益剤に対する前記植物性ロジン材料の重量比が50:50未満、好ましくは40:60未満、より好ましくは30:70未満、より好ましくは20:80未満、又は更には10:90未満であり、
好ましくは、前記1種以上の有益剤が香料原料を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記植物性ロジン材料が、5mm未満、又は3mm未満、又は2mm未満、又は1mm未満、又は10μm~500μmの平均径を有する粒子を特徴とする粉末として提供され、
任意に、前記方法が、前記植物性ロジン材料の大きな小片を粉砕又はすり潰し、前記粉末を形成する工程を更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記植物性ロジン材料が、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、それらの誘導体及びそれらの混合物からなる群から選択される材料、
好ましくは、ガムロジン、その誘導体及びその混合物からなる群から選択される材料、
より好ましくはガムロジンエステルを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記1種以上の有益剤が芳香材料を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記補助成分が、界面活性剤系、布地柔軟剤若しくはそれらの組合せを含み、
好ましくは、前記界面活性剤系が、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び/若しくは双性イオン性界面活性剤を含み、並びに/又は
好ましくは、前記布地柔軟剤が、第四級アンモニウム化合物、シリコーン化合物若しくはその両方を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記植物性ロジン材料及び前記1種以上の有益剤が、バッチプロセスによって、連続ループ添加プロセスによって、又はインライン添加プロセスによって、好ましくはインラインプロセスによって、前記ベース組成物と組み合わせられる、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記植物性ロジン材料及び前記1種以上の有益剤が、インライン方法により前記ベース組成物と組み合わせられ、7m/s~19m/s、好ましくは12m/s~16m/s、より好ましくは14m/sの接線速度を特徴とするダイナミックミキサ、好ましくはロータステータ型ミキサを用いて混合される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記処理組成物が消費者製品組成物であり、好ましくは、布地ケア組成物、硬質表面洗浄組成物、食器ケア組成物、ヘアケア組成物、身体洗浄組成物又はそれらの混合物であり、
好ましくは前記布地ケア組成物が、布地洗剤組成物、布地コンディショニング組成物又はそれらの混合物である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記処理組成物が液体である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
プレミックス組成物であって、
5%~95%の植物性ロジン材料と、
5%~95%の1種以上の有益剤と、を含み、
好ましくは、前記1種以上の有益剤が芳香材料を含み、
前記植物性ロジン材料及び前記1種以上の有益剤が、前記プレミックス組成物中合計で前記プレミックス組成物の30重量%~100重量%、好ましくは50重量%~100重量%、より好ましくは75重量%~100重量%の量で存在する、プレミックス組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、植物性ロジン材料及び香料などの1種以上の有益剤を含む処理組成物を作製する方法に関する。本開示はまた、関連するプレミックス組成物、及びかかる方法により作製され、プレミックスから作製された処理組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液体布地柔軟剤などの処理組成物のメーカーは、ある特定の有益剤の性能プロファイルを向上させるために添加剤を使用することが多い。例えば、堆積助剤を使用し、香料などの有益剤の堆積とその後の性能を向上させてもよい。
【0003】
かかる効果を促進させる添加剤を選択するときには、メーカー及び消費者は、環境を理由として天然由来の材料を好む場合がある。
【0004】
更には、メーカーは有効成分のみならず、そうした成分を最終製品組成物に組み込むための効果的な方法も求めている。好ましい加工工程は、成分又は複雑さの増加を必要とすることなく成分の有効性を増進させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
処理組成物の改善をもたらす方法及び/又は天然由来成分に関する中間体が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、処理組成物を作製する方法であって、本方法が、ベース組成物を提供する工程であって、ベース組成物が補助材料を含む、工程と、植物性ロジン材料及び1種以上の有益剤を、ベース組成物に添加する工程であって、植物性ロジン材料は1種以上の有益剤とともに、又は1種以上の有益剤の添加の後に添加される、工程を含む、方法に関する。本開示はまた、かかる方法によって作製された処理組成物に関する。
【0007】
本開示はまた、本開示の方法に有用であり得るプレミックス組成物であって、プレミックス組成物が、プレミックス組成物の約5重量%~約95重量%の植物性ロジン材料と、約5重量%~約95重量%の1種以上の有益剤と、を含んでもよく、好ましくは1種以上の有益剤は芳香材料を含み、植物性ロジン材料及び1種以上の有益剤は、プレミックス組成物中合計でプレミックス組成物の約30重量%~約100重量%、好ましくは約50重量%~約100重量%、より好ましくは約75重量%~約100重量%の量で存在する、プレミックス組成物にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本明細書の図面は、事実上例示的なものであり、限定的であることを意図したものではない。
図1】本開示に記載のバッチプロセスの概略図を示す。
図2】1種以上の有益剤及び植物性ロジン材料がプレミックス組成物として同時に添加されるインライン添加プロセスの概略図を示す。
図3】1種以上の有益剤及び植物性ロジン材料が別個の投入物として同時に添加されるインライン添加プロセスの概略図を示す。
図4】1種以上の有益剤が添加された後に植物性ロジン材料が別個の投入物として添加されるインライン添加プロセスの概略図を示す。
図5】補助成分が種々の時点で任意に添加され得るインライン添加プロセスの概略図を示す。
図6A】以下の実施例3で説明されるプレミックス番号1で作製した液体処理組成物を示す。
図6B】以下の実施例3で説明されるプレミックス番号2で作製した液体処理組成物を示す。
図6C】以下の実施例3で説明されるプレミックス番号3で作製した液体処理組成物を示す。
図6D】以下の実施例3で説明されるプレミックス番号4で作製した液体処理組成物を示す。
図7A】以下の実施例4で説明されるレッグAに従って作製された液体布地コンディショニング製品を示す。
図7B】以下の実施例4で説明されるレッグDに従って作製された液体布地コンディショニング製品を示す。
図7C】以下の実施例4で説明されるレッグGに従って作製された液体布地コンディショニング製品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、処理組成物の作製方法及び関連するプレミックス組成物に関する。本明細書に説明される処理組成物は、植物性ロジン材料及び1種以上の有益剤を含む。本開示の方法は、成分が組み合わせられる好ましい順序を説明する。例えば、植物性ロジン材料は、1種以上の有益剤とともに、又は1種以上の有益剤の添加後にベース組成物に添加されてもよく、好ましくはプレミックス組成物として添加されてもよい。
【0010】
いかなる理論にも束縛されることを望むものではないが、好ましい添加の順序によって、香料などの有益剤がベース組成物への植物性ロジン材料の導入を促進させると考えられている。例えば、香料によって最終製品中に自己組織化カプセルを形成することが可能となり得るが、これは相の安定性の改善につながると考えられている。驚くべきことに、特定の添加の順序が得られた処理組成物の性能の改善につながり得ることも見出された。
【0011】
本開示の方法、構成要素及び組成物を以下により詳細に説明する。
【0012】
本明細書で使用するとき、特許請求の範囲で使用される場合の「a」及び「an」という冠詞は、特許請求又は記載されているもののうちの1つ以上を意味すると理解される。本明細書で使用するとき、「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含んでいる(including)」という用語とは、非限定的であることを意味する。本開示の組成物は、本開示の構成要素を含み得る、それらから本質的になり得る、又はそれらからなり得る。
【0013】
本明細書では、「実質的に含まない(substantially free of)」又は「実質的に含まない(substantially free from)」という用語を使用してもよい。これは、指示される材料が最小限の量であり、組成物の一部を形成するように意図的にその組成物に添加されたものでないこと、又は好ましくは、分析的に検出可能な量で存在しないことを意味する。それは、指示される材料が、意図的に含まれるその他の材料のうちの1つの中に不純物としてのみ存在する、組成物を含むことを意味する。指示される材料は、存在したとしても、組成物の1重量%未満、又は0.1重量%未満、又は0.01重量%未満、又は更には0重量%の量で存在してもよい。
【0014】
本明細書で使用される場合、「消費者製品」は、販売されている形態での使用又は消費が意図され、後続する商業的製造又は変更が意図されていない、ベビーケア、ビューティケア、布地及びホームケア、ファミリーケア、女性用ケア、ヘルスケア製品又はデバイスを意味する。かかる製品としては、おむつ、よだれ掛け、ワイプ;ヒトの毛髪を処理するための製品及び/又は脱色、着色、染色、コンディショニング、シャンプー、スタイリングを含む処理に関連する方法;デオドラント及び制汗剤;パーソナルクレンジング;消費者による使用を目的としたクリーム、ローション及び局所的に適用される他の製品の適用を含むスキンケア;並びにシェービング製品、布地、硬質表面及び布地やホームケア分野の任意の他の表面を処理するための製品及び/又はそれに関連する方法(空気ケア、自動車ケア、食器洗浄、布地コンディショニング(柔軟化を含む)、洗濯洗剤、洗濯及びすすぎ用添加剤及び/又はケア、硬質表面洗浄及び/又は処理、及び消費者又は事業者使用のための他の洗浄を含む);トイレットペーパー、ティッシュ、紙製ハンカチ、及び/又はペーパータオルに関連する製品及び/又は方法;タンポン、女性用ナプキン;成人失禁用製品;口腔ケアに関連する製品及び/又は方法であって、練り歯磨き、歯磨きジェル、口腔すすぎ剤、入れ歯粘着剤、歯ホワイトニング剤を含むもの;咳及び風邪の治療を含む、処方箋不要のヘルスケア;有害生物防除製品、並びに水の精製が挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
本明細書で使用するとき、「布地ケア組成物」という語句とは、布地を処理するために設計された組成物及び配合物を含む。このような組成物としては、洗濯洗浄組成物及び洗剤、布地軟化組成物、布地増強組成物、布地消臭組成物、洗濯前洗浄剤、洗濯前処理剤、洗濯添加剤、スプレー製品、ドライクリーニング剤又は組成物、洗濯すすぎ添加剤、洗浄添加剤、すすぎ後布地処理剤、アイロン助剤、単位用量配合物、遅延送達配合物、多孔質基材又は不織布シート上又は中に含まれる洗剤、並びに本明細書の教示を考慮して当業者に明らかであり得る他の好適な形態が挙げられるが、これらに限定されない。このような組成物は、洗濯前処理剤、洗濯後処理剤として使用することができ、又は洗濯操作のすすぎ若しくは洗浄サイクル中に添加することができる。
【0016】
別途注記がない限り、全ての構成要素又は組成物の量は、その構成要素又は組成物の活性部分に関するものであり、このような構成要素又は組成物の市販の供給源に存在し得る不純物、例えば、残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0017】
本明細書における全ての温度は、別途指示がない限り、摂氏(℃)である。別途記載のない限り、本明細書における全ての測定は、20℃及び大気圧下で実施される。
【0018】
本開示の全ての実施形態では、全てのパーセンテージは、特に記載のない限り、全組成物の重量に対するものである。特に記載されない限り、全ての比率は重量比である。
【0019】
本明細書の全体を通して与えられる全ての最大数値制限は、全てのより低い数値制限を、あたかもこのようなより低い数値制限が本明細書に明示的に記載されているかのよう含むことが理解されるべきである。本明細書の全体を通して示されている全ての最小数極限値は、それよりも高い全ての数値限定を、このようなより高い数値限定があたかも本明細書に明示的に記載されているかごとく含む。本明細書の全体を通して与えられる全ての数値範囲は、このような広い数値範囲内に入るあらゆる狭い数値範囲を含み、あたかもこのような狭い数値範囲が全て本明細書に明示的に記載されているかのようである。
【0020】
処理組成物を作製する方法
本開示は、処理組成物を作製する方法に関する。以下により詳細に説明されるように、本方法は、補助材料を含むベース組成物を提供する工程と、植物性ロジン材料及び1種以上の有益剤をベース組成物に添加する工程と、を含んでもよい。植物性ロジン材料は、1種以上の有益剤とともに、又は1種以上の有益剤の添加の後に添加されてもよい。植物性ロジン材料及び1種以上の有益剤は、例えばプレミックス組成物のように単一の投入流として添加されてもよい。
【0021】
本開示の方法では、植物性ロジン材料及び1種以上の有益剤は、バッチプロセス、連続ループ添加プロセス又はインライン添加プロセスなどによるいずれかの好適な方法、好ましくはインライン添加プロセスにより、プレミックスと別個に、又はプレミックスとともに、ベース組成物と組み合わせられてもよい。
【0022】
方法は、バッチプロセスを含んでもよい。図1は、バッチプロセス100の概略図を示す。容器101はベース組成物1を保持する。香料などの有益剤2を容器に添加し、植物性ロジン材料3も同様に添加する。植物性ロジン材料3は、有益剤2とともに、又は有益剤3の添加の後に添加される。植物性ロジン材料3は、例えば別個の投入物として、又は好ましくは植物性ロジン材料3及び有益剤2を含むプレミックス組成物として、有益剤と実質的に同時に添加されてもよい。得られた混合物を、回転羽根車102などを用いた動的混合により混合してもよく、続いてこれを例えば消費者への販売に好適なボトルなどのボトル120に供給してもよい。
【0023】
本方法は、好ましくはインライン添加プロセスを含んでもよい。インライン添加プロセスはバッチプロセスよりも好ましい場合がある。異なる製品を形成する製造方法の後半に区別用成分(例えば、染料)を添加することが可能であるといった公知の利点に加え、インライン添加プロセスでは気液界面が欠如していることで、植物性ロジン材料のクリーム化及び/又は植物性ロジン材料の凝集の減少がもたらされ得る。
【0024】
図2は、1種以上の有益剤2及び植物性ロジン材料3がプレミックス組成物4として同時に添加されるインライン添加プロセス110の概略図を示す。ベース組成物1は、上流領域112からパイプ111を通って流れる。プレミックス組成物4は、上流領域112の下流にある合流領域113でベース組成物2と組み合わせられる。プレミックス組成物4は、1種以上の有益剤2及び植物性ロジン材料3を含む。プレミックス組成物4は、インライン添加プロセスで使用する前に、例えばパイプ111に添加する前に、予め作製して貯蔵されてもよい。代替的には、プレミックス組成物4は、植物性ロジン材料3及び1種以上の有益剤2が、プレミックス組成物4とベース組成物1とを組み合わせる実質的に直前に組み合わせられてプレミックス組成物4を形成するインライン方法で作製されてもよい。
【0025】
プレミックス組成物4とベース組成物1とを組み合わせた後、得られた混合物は、例えば、ロータステータ型ミキサ115に通すことによって混合されてもよい。得られた処理組成物5は、下流領域114で、例えば消費者への販売に好適なボトル120内に収集されてもよい。
【0026】
図3は、1種以上の有益剤2及び植物性ロジン材料3が別個の投入物として同時に添加されるインライン添加プロセス110の概略図を示す。ベース組成物1は、上流領域112からパイプ111を通って流れる。1種以上の有益剤2及び植物性ロジン材料3は、上流領域112から下流にある合流領域113で実質的に同時にベース組成物1と組み合わせられてもよい。得られた混合物は、例えばロータステータ型ミキサ115に通すことで混合されてもよい。得られた処理組成物5は、下流領域114で、例えば消費者への販売に好適なボトル120内に収集されてもよい。
【0027】
図4は、1種以上の有益剤2が添加された後に植物性ロジン材料3が別個の投入物として添加されるインライン添加プロセス110の概略図を示す。ベース組成物2は、上流領域112からパイプ111を通って流れる。1種以上の有益剤2は、植物性ロジン材料3がベース組成物1と組み合わせられる前にベース組成物1と組み合わせられる。言い換えれば、植物性ロジン材料3は、1種以上の有益剤2が添加された後に、ベース組成物1に添加される。1種以上の有益剤2は、植物性ロジン材料3が添加される例えば第2の合流領域117といった位置から、相対的に上流である、例えば第1の合流領域116といった位置でベース組成物1に添加される。混合物は、例えばロータステータ型ミキサ115に通すことで混合されてもよい。得られた処理組成物5は、例えば消費者への販売に好適なボトル120内に収集されてもよい。
【0028】
図5は、補助成分が、プレミックス4(又は代替的には、1種以上の有益剤2及び植物性ロジン材料3を別個に添加)は、ベース組成物1と組み合わせる前に、及び/又は組み合わせるのと同時に、及び/又は組み合わせた後に、任意に添加され得るインライン添加プロセス110の概略図を示す。ロータステータ型ミキサ115などの混合デバイスを使用して混合物を混合し、処理組成物5を最終的に形成してもよい。得られた処理組成物5は、例えば消費者への販売に好適なボトル120内に収集されてもよい。
【0029】
インライン添加プロセスでは、任意の好適なダイナミックミキサ又はスタティックミキサを使用してもよい。上にて典型的に示されるように、好ましくはダイナミックミキサ、より好ましくはYTRON Process Technologyから入手可能であるY-TRON Z(商標)ホモジナイザなどのロータステータ型ミキサが使用される。かかるミキサは、混合エネルギー、接線速度及び/又は得られた粒子径を良好に制御するためには望ましい場合がある。植物性ロジン材料に関連し得る高い粘度を考慮すると、ロータステータ型ミキサは、スタティックミキサと比較すると使用にはより良好であると考えられている。
【0030】
材料がベース組成物に添加される際には、混合物は、約7m/s~約19m/s、好ましくは約12m/s~約16m/s、より好ましくは約14m/sの接線速度を有するミキサ、好ましくはロータステータ型ミキサで混合されてもよい。いかなる理論にも束縛されることを望むものではないが、正確な接線速度の選択は、植物性ロジン材料及び有益剤から形成される望ましい粒子の径につながり得ると考えられている。過剰に低い、又は過剰に高い接線速度は、それぞれ過剰に大きい、又は過剰に小さい粒子につながる場合があり、これは処理組成物の性能が最適状態に及ばないという事態につながる。
【0031】
方法は、加熱工程を更に含んでもよい。例えば、方法は、周囲温度超で植物性ロジン材料を加熱する工程を含んでもよい。周囲温度超で植物性ロジン材料を加熱する工程は、植物性ロジン材料と、1種以上の有益剤、ベース組成物又はその両方とを組み合わせる前に行ってもよい。工程は、植物性ロジン材料の少なくとも軟化点まで植物性ロジン材料を加熱することを含んでもよい。工程は、周囲温度よりも少なくとも約10℃、又は少なくとも約20℃又は少なくとも約30℃高い温度に植物性ロジン材料を加熱することを含んでもよい。工程は、周囲温度よりも高く、植物性ロジン材料の軟化点よりも1℃~30℃低い温度に植物性ロジン材料を加熱することを含んでもよい。植物性ロジン材料が1種以上の有益剤、ベース組合せ又はその両方と組み合わせられるときには、周囲温度超の温度であってもよく、好ましくは植物性ロジン材料の軟化点以上の温度であってもよい。植物性ロジン材料がある特定の温度に加熱されるときには、ベース組成物又はプレミックス組成物への導入が相対的に容易になると考えられている。一方、植物性ロジン材料を加熱することは、1種以上の有益剤、ベース組成物及び/又は処理組成物の安定性に影響を与える可能性があり、例えば、1種以上の有益剤が相対的に揮発性である(例えば香料など)、又は熱に対して感受性がある(例えば酵素など)場合には、昇温によって有益剤の一部の損失や分解が引き起こされる可能性がある。植物性ロジン材料及び有益剤の量が40:60を超える重量比で、好ましくは50:50を超える重量比で存在するときには、加工を容易にするためには植物樹脂材料を加熱することが好ましい場合がある。
【0032】
植物性ロジン材料及び有益剤は、例えば約18℃~約25℃、又は約18℃~約22℃といった周囲温度で組み合わせられてもよい。樹脂材料よりも有益剤が多く存在するときには、周囲温度で材料を組み合わせることは特に効果的であり、かつ好ましい場合がある。例えば植物性ロジン材料及び有益剤は、有益剤(好ましくは香料原料)に対する植物性ロジン材料の重量比は50:50未満であり、好ましくは40:60未満であり、より好ましくは30:70未満であり、より好ましくは20:80未満であり、又は更には10:90未満であるときには、周囲温度で組み合わせられることが好ましい場合がある。
【0033】
植物性ロジン材料のプレミックス組成物及び/又はベース組成物への導入を促進させるためには、植物性ロジン材料は微粒子形態で存在する。例えば植物性ロジン材料は粉末として提供されてもよく、例えばこの場合には、粒子は5mm未満、又は3mm未満、又は2mm未満、又は1mm未満、又は約10μm~約500μmの平均径を特徴とする。本方法は、植物性ロジン材料を任意の好適な方法でより小さな粒子径、好ましくは5mm未満、又は3mm未満、又は2mm未満、又は1mm未満、又は約10μm~約500μmの平均径を有する粒子に粉砕する工程を含んでもよい。相対的に小さな粒子径を有する植物性ロジン材料は、過度に加熱することなくプレミックス又はベース組成物へとより容易に導入されることができ、これは、熱に感受性のある材料(例えば、香料又は酵素)と組み合わせるときには特に効果的である。
【0034】
本方法の組成物及び構成要素を以下により詳細に説明する。
【0035】
ベース組成物
本開示の方法は、ベース組成物を提供する工程を含んでもよい。ベース組成物は補助成分を含んでもよい。1種以上の有益剤及び植物性ロジン材料は、ベース組成物と組み合わせられ、典型的にはベース組成物に添加される。
【0036】
ベース組成物は、任意の好適な形態であってもよい。ベース組成物は、液体の形態であってもよい。ベース組成物が液体のときには、1種以上の有益剤及び植物性ロジン材料は、例えばバッチプロセス又はインライン添加プロセスにより都合良く混合されてもよい。
【0037】
ベース組成物は水を含んでもよい。本開示によるベース組成物は、ベース組成物の少なくとも8重量%の水、好ましくは少なくとも25重量%の水、より好ましくは少なくとも50重量%の水、より好ましくは少なくとも60重量%の水、より好ましくは少なくとも70重量%の水、より好ましくは少なくとも75重量%の水、より好ましくは少なくとも80重量%の水、より好ましくは少なくとも90重量%の水を含んでもよい。
【0038】
ベース組成物は固体の形態であってもよい。1種以上の有益剤及び植物性ロジン材料は、例えば噴霧又は凝集方法などによる、任意の好適な様式で添加されてもよい。
【0039】
ベース組成物は補助成分を含んでもよい。補助成分は、ベース組成物が提供されるときにはベース組成物中に存在してもよい。追加的には又は代替的には、補助成分は、1種以上の有益剤及び植物性ロジン材料がベース組成物に添加される前、その間又はその後を含む方法のうちの任意の好適な時点で、任意に添加されてもよい。上でより詳細に説明されるように、図5は、補助成分が方法のうちの1つ以上の時点で添加され得るインライン添加プロセスの概略図を示す。
【0040】
補助成分は、布地又は他の織物といった標的とする表面に処理効果を送達する上で好適であり得る。本明細書で使用される場合、補助成分は、緩衝剤、構造化剤/増粘剤、及び/又は担体など、処理組成物における化学安定性又は物理安定性を促進させる作用物質もまた含んでもよい。
【0041】
補助成分は、組成物の意図された使用に好適な量で組成物中に存在してもよい。典型的な使用量は、光学増白剤などの補助剤についての組成物の0.001重量%という低い濃度から、ビルダーについての組成物の50重量%までの範囲である。
【0042】
補助成分としては、アミン、界面活性剤系、水結合剤(water-binding agent)、亜硫酸塩、脂肪酸及び/又はその塩、酵素、封入された有益剤、汚れ放出ポリマー、色調剤、ビルダー、キレート剤、移染阻害剤、分散剤、酵素安定剤、触媒物質、漂白剤、漂白触媒、漂白活性化剤、ポリマー分散剤、汚れ除去/再付着防止剤、ポリマー分散剤、ポリマー脂洗浄剤、増白剤、抑泡剤、染料、色調剤、遊離香料(free perfume)、香料送達系、構造弾性化剤、コンディショニング活性物質(例えば布地柔軟剤など)、担体、充填剤、ヒドロトロープ、有機溶媒、抗菌剤及び/又は防腐剤、中和剤及び/又はpH調整剤、加工助剤、充填剤、レオロジー調整剤又は構造化剤、乳白剤、パールエッセンス剤、顔料、防食及び/又は耐変色剤、並びにそれらの混合物が挙げられ得る。本開示の組成物は、とりわけ、アミン、界面活性剤系、コンディショニング剤、水結合剤、亜硫酸塩剤、構造化剤、有機溶媒、遊離香料、香料送達系又はそれらの混合物が挙げられ得る。これらの補助剤のいくつかは、以下により詳細に説明される。
【0043】
補助成分は、界面活性剤系、コンディショニング活性物質又はそれらの組合せを含んでもよい。好ましくは、界面活性剤系は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び/又は双性イオン性界面活性剤を含む。好ましくは、コンディショニング活性物質は、第四級アンモニウム化合物、シリコーン化合物又はその両方を含む。
【0044】
本開示に記載の組成物は、界面活性剤系を含んでもよい。界面活性剤系は、1種の界面活性剤からなっていてよい。界面活性剤系は、複数の界面活性剤を含んでもよい。
【0045】
本開示の組成物は、組成物の約20重量%~約75重量%、又は約25重量%~約70重量%、又は約30重量%~約50重量%の界面活性剤系を含んでもよい。本開示の組成物は、組成物の20重量%未満、又は10重量%未満、又は5重量%未満、又は3重量%未満の界面活性剤系を含んでもよい。
【0046】
界面活性剤系は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、又はこれらの組合せを含んでもよい。界面活性剤系は、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、アルキルエトキシル化サルフェート、アルキルサルフェート、エトキシル化アルコールなどの非イオン性界面活性剤、アミンオキシド、又はこれらの混合物を含んでもよい。界面活性剤は、少なくとも部分的に、天然供給原料アルコールなどの天然の資源に由来してもよい。
【0047】
好適なアニオン性界面活性剤は、任意の従来のアニオン性界面活性剤を含んでもよい。これは、例えばアルコキシル化及び/又は非アルコキシル化アルキルサルフェート材料用のサルフェート洗浄性界面活性剤、及び/又はスルホン酸系洗浄性界面活性剤、例えばアルキルベンゼンスルホネートを含んでもよい。アニオン性界面活性剤は、直鎖状、分岐鎖状、又はこれらの組合せのものであってもよい。好ましい界面活性剤としては、直鎖アルキルベンゼンスルホナート(LAS)、ラウレス硫酸ナトリウム(SLES)を含むアルキルエトキシ化サルフェート(AES)、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を含むアルキルサルフェート(AS)又はそれらの混合物が挙げられる。その他の好適なアニオン性界面活性剤としては、分枝鎖状変性アルキルベンゼンスルホネート(modified alkyl benzene sulfonate、MLAS)、メチルエステルスルホネート(methyl ester sulfonate、MES)、及び/又はアルキルエトキシル化カルボキシレート(alkyl ethoxylated carboxylate、AEC)が挙げられる。アニオン性界面活性剤は、酸形態、塩形態、又はこれらの混合物で存在してもよい。アニオン性界面活性剤は、部分的に又は全体的に、例えば、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)又はアミン(例えば、モノエタノールアミン)によって中和されてもよい。特定の処理組成物、例えば、布地コンディショニング剤などのカチオン性材料を含むものでは、存在するアニオン性界面活性剤の量を制限することが望ましい場合がある。例えば処理組成物は、処理組成物の5重量%未満、又は3重量%未満、又は1重量%未満、又は0.1重量%未満、又は更には0重量%のアニオン性界面活性剤を含んでもよい。
【0048】
界面活性剤系は、非イオン性界面活性剤を含んでいてよい。好適な非イオン性界面活性剤としては、エトキシル化脂肪族アルコールなどのアルコキシル化脂肪族アルコールが挙げられる。その他の好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコキシル化アルキルフェノール、アルキルフェノール縮合体、中鎖分枝鎖状アルコール、中鎖分枝鎖状アルキルアルコキシレート、アルキル多糖類(例えば、アルキルポリグリコシド)、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、エーテルキャップされたポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤、及びこれらの混合物が挙げられる。アルコキシレート単位は、エチレンオキシ単位、プロピレンオキシ単位、又はこれらの混合物であってもよい。非イオン性界面活性剤は、直鎖状、分岐鎖状(例えば、中鎖分岐状)、又はこれらの組合せであってもよい。特定の非イオン性界面活性剤は、平均約12~約16個の炭素を有し、かつ平均約3~約9個のエトキシ基を有するアルコール、例えばC12~C14のEO7非イオン性界面活性剤を含んでもよい。
【0049】
好適な双性イオン性界面活性剤としては、アルキルジメチルベタイン及びココジメチルアミドプロピルベタインをはじめとするベタイン、C~C18(例えば、C12~C18)アミンオキシド(例えば、C1214ジメチルアミンオキシド)、並びに/又は、N-アルキル-N,N-ジメチルアミノ-1-プロパンスルホネート(ここで、アルキル基は、C~C18又はC10~C14であってもよい)などのスルホ及びヒドロキシベタインなどの、任意の従来の双性イオン性界面活性剤を挙げることができる。双性イオン性界面活性剤は、アミンオキシドを含んでもよい。
【0050】
本開示の組成物は、コンディショニング活性物質を含んでもよい。コンディショニング活性物質を含有する組成物は、柔軟性、しわ防止、静電防止、コンディショニング、抗伸張、色、及び/又は外観に関する利益を提供し得る。本開示の組成物に好適なコンディショニング活性物質としては、第四級アンモニウムエステル化合物、シリコーン、非エステル第四級アンモニウム化合物、アミン、脂肪酸エステル、ショ糖エステル、シリコーン、分散性ポリオレフィン、多糖類、脂肪酸、柔軟化若しくはコンディショニング油、ポリマーラテックス、又はこれらの組合せを挙げることができる。好ましくは、処理組成物は、第四級アンモニウムエステル化合物、より好ましくはシリコーンと組み合わせた第四級アンモニウムエステル化合物を含むコンディショニング活性物質を含む。
【0051】
コンディショニング活性物質は、組成物の約1重量%~約99重量%の量で存在してもよい。組成物は、組成物の約1重量%から、又は約2重量%から、又は約3重量%から、約99重量%まで、又は約75重量%まで、又は約50重量%まで、又は約40重量%まで、又は約35重量%まで、又は約30重量%まで、又は約25重量%まで、又は約20重量%まで、又は約15重量%まで、又は約10重量%までのコンディショニング活性物質を含んでもよい。組成物は、組成物の約5重量%~約30重量%のコンディショニング活性物質を含んでよい。
【0052】
本開示に記載の液体組成物は、外部構造化剤を含んでもよい。外部構造化剤は、例えば、粒子を懸濁させる一助となることによって、本開示に記載の液体組成物に物理安定性を提供することができる。構造化剤は、存在する場合、処理組成物中に粒子を懸濁可能な有効量で存在することが好ましい。外部構造化剤は、非ポリマー結晶性ヒドロキシル官能性構造化剤及び/又はポリマー構造化剤を含んでもよい。
【0053】
非ポリマー結晶性ヒドロキシル官能性構造化剤は、最終洗剤組成物への分散を補助するために予め乳化することができる、結晶化可能なグリセリドを含んでもよい。好適な結晶化可能なグリセリドとしては、液体洗剤組成物内で結晶化させることができるという条件で、水素添加ヒマシ油すなわち「HCO」又はこれらの誘導体が挙げられる。
【0054】
ポリマー構造化剤は、天然由来の構造化剤及び/又は合成構造化剤を含んでもよい。天然由来のポリマー構造化剤としては、ヒドロキシエチルセルロース、疎水変性ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、多糖誘導体、及びこれらの混合物が挙げられる。好適な多糖類誘導体としては、ペクチン、アルギネート、アラビノガラクタン(アラビアガム)、カラギーナン、ジェランガム、キサンタンガム、グアーガム、及びこれらの混合物が挙げられる。構造化剤は、例えばミクロフィブリル化セルロースの形態のセルロース繊維を含んでよい。セルロースは、細菌、木材、又は果物若しくは甜菜など他の植物由来であってよい。
【0055】
合成ポリマー構造化剤としては、ポリカルボキシレート、ポリアクリレート、疎水変性エトキシル化ウレタン、疎水変性非イオン性ポリオール、及びこれらの混合物が挙げられる。ポリカルボキシレートポリマーは、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、又はこれらの混合物であってよい。ポリアクリレートは、不飽和モノ-又はジ-炭酸と、(メタ)アクリル酸のC~C30アルキルエステルとのコポリマーであってもよい。かかるコポリマーは、Lubrizol Corp.から商標名Carbopol(登録商標)Aqua 30として入手可能である。
【0056】
本開示の組成物は、溶媒、好ましくは非アミノ官能性有機溶媒などの有機溶媒を含んでいてよい。好適な有機溶媒としては、グリセロール、エチレングリコール、1,3プロパンジオール、1,2プロパンジオール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、2,3-ブタンジオール、1,3ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールホルマルジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、及びこれらの混合物を挙げることができる。有機溶媒は、特に比較的低い水量を有するコンパクトな配合物において、物理的安定性効果を提供することができる。本開示の組成物は、組成物の約5重量%~約80重量%、又は約10重量%~約50重量%の有機溶媒を含んでもよい。
【0057】
本開示に記載の処理組成物は、香料送達系を含んでもよい。好適な香料送達系としては、コアシェルカプセル剤、プロ香料(アミン系及び/又はシリコーン系プロ香料)及びそれらの混合物が挙げられ得る。コアシェルカプセル剤は、コアとコアを取り囲むシェルとを含み得る。コアは、香料などの有益剤、及び任意にミリスチン酸イソプロピルなどの分配調整剤を含んでもよい。シェルは、ポリマー、例えば、メラミンホルムアルデヒド、ポリ尿素、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、多糖類を含んでもよい。カプセル剤は、カチオン性ポリマーを含むコーティングなど、堆積の一助となり得るコーティングを含んでもよい。好適なカプセル剤は、約10ミクロン~約100ミクロン、又は約10ミクロン~約50ミクロン、又は約15ミクロン~約40ミクロンの体積加重中央粒子径を特徴とし得る。香料送達系は、改善した香料安定性、堆積、及び/又は寿命などの効果を提供することができ、本開示の植物性ロジン材料と良好に結合しない香料原料に特に有用であり得る。
【0058】
本開示の組成物は、染料、乳白剤、パールエッセンス剤又はそれらの混合物から選択されるものなどの追加の審美剤を含んでもよい。
【0059】
有益剤
本開示の方法は、有益剤に関する。方法は、1種以上の有益剤をベース組成物と組み合わせる工程を含んでもよい。典型的には、1種以上の有益剤は、植物性ロジン材料がベース組成物と組み合わせられる前に、又はそれと同時に、ベース組成物と組み合わせられる。この特定の添加の順序は、より安定な処理組成物及び/又は改善された性能を提供する処理組成物をもたらすと考えられている。例えば、本明細書に開示された添加の順序は、布地又は硬質表面などの標的とする表面上での有益剤の安定性、送達及び/又は性能の改善につながり得る。
【0060】
本開示の組成物は、意図されたように処理組成物が使用されるときに、有益剤が意図されている効果を提供する量で有益剤を含んでもよい。例えば、有益剤が処理組成物の約0.05重量%~約10重量%、又は約0.05重量%~約5重量%、又は約0.1重量%~約4重量%の量で存在するような量で有益剤は添加されてもよい。
【0061】
有益剤は、芳香材料、シリコーン油、ワックス、炭化水素、高級脂肪酸、精油、脂質、皮膚冷却剤、ビタミン、日焼け止め剤、抗酸化剤、グリセリン、悪臭低減剤、臭気制御物質、帯電防止剤、柔軟剤、昆虫及び蛾忌避剤、着色剤、蛍光増白剤、白色向上剤、消泡剤(defoamer)、泡立ち防止剤、布地及び皮膚用UV保護剤、日光退色阻害剤、抗アレルギー剤、防水剤、スキンケア剤、グリセリン、天然活性物質、アロエベラ、ビタミンE、シアバター、カカオバター、増白剤、皮膚軟化剤、皮膚感覚剤、及びそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。粒子に特に好ましい有益剤としては、香料原料が挙げられる。
【0062】
有益剤の送達効率は、有益剤が比較的疎水性である場合に最も有効であり得る。
【0063】
有益剤は、1つ以上の香料原料を含み得る芳香材料を含んでもよい。「香料原料」という用語(又はperfume raw material、「PRM」)は、本明細書で使用するとき、少なくとも約100g/モルの分子量を有し、かつ匂い、芳香、エッセンス、又は香りを、単独で又はその他の香料原料とともに付与するのに有用な化合物を意味する。典型的なPRMは、特に、アルコール、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、ナイトライト、及びテルペンなどのアルケンを含む。一般的なPRMのリストは、例えば、「Perfume and Flavor Chemicals」第I巻及び第II巻;Steffen Arctander Allured Pub.Co.(1994)及び「Perfumes:Art,Science and Technology」、Miller,P.M.and Lamparsky,D.,Blackie Academic and Professional(1994)のような様々な参照元に見出され得る。
【0064】
好適な香料原料としては、ゲラニオール、リナロール、酢酸リナリル、ピラノール、酢酸ゲラニル、アニスアルデヒド、シトラール、シトロネラール、リスメラール、シトロネロール、ローズオキシド、テトラヒドロリナロール、ヒドロキシシトロネラール、β-イオノン、メントール、シンナムアルデヒド、アネトール、バニリン、エチルバニリン、オイゲノール、ケイヒ油、カルボン、ピペロナール、及びそれらの混合物などの材料が挙げられ得る。香料原料は、精油などの天然由来の材料を含んでもよい。
【0065】
PRMは、常圧(760mmHg)で測定されるそれらの沸点(boiling point、B.P.)と、以下の試験方法に従って決定されるlogPに関して記載され得るオクタノール/水分配係数(P)を特徴とし得る。下記でより詳細に記載されるように、これらの特徴に基づいて、PRMを、第1象限、第2象限、第3象限、又は第4象限の香料として分類してもよい。異なる象限から種々のPRMを有する香料は、例えば、通常の使用中に異なるタッチポイントで芳香効果を提供することが望ましい場合がある。
【0066】
香料原料は、沸点(B.P.)が約250℃より低く、logPが約3より低い香料原料、B.P.が約250℃より高く、logPが約3より高い香料原料、B.P.が約250℃より高く、logPが約3より低い香料原料、B.P.が約250℃より低く、logPが約3より高い香料原料、及びそれらの混合物からなる群から選択される香料原料を含んでもよい。沸点(B.P.)が約250℃より低く、logPが約3より低い香料原料は、第1象限の香料原料として知られている。第1象限の香料原料は、好ましくは、香料組成物の30%未満に限定される。B.P.が約250℃より高く、logPが約3より高い香料原料は、第4象限の香料原料として知られ、B.P.が約250℃より高く、logPが約3より低い香料原料は、第2象限の香料原料として知られ、B.P.が約250℃より低く、logPが約3より高い香料原料は、第3象限の香料原料として知られる。好適な第1象限、第2象限、第3象限及び第4象限の香料原料は、米国特許第6,869,923(B1)号に開示されている。
【0067】
処理組成物は、芳香材料であって、芳香材料の約1重量%~約40重量%の第1象限の香料原料、及び/又は香料材料の約60重量%~約99重量%の非第1象限の香料原料を含む芳香材料を含んでもよい。
【0068】
疎水性香料原料は、例えばlogPが約3.0よりも高いような比較的高いlogP値を特徴としてもよく、第3象限のPRM、第4象限のPRM又はそれらの混合物といった上に説明されたものを含んでもよい。有益剤は、有益剤の少なくとも約50重量%、又は少なくとも約60重量%、又は少なくとも約70重量%、又は少なくとも約80重量%、又は少なくとも約90重量%、又は約100重量%の第3象限のPRM、第4象限のPRM又はそれらの混合物を含んでもよい。粒子の有益剤としてかかる量の第3象限及び/又は第4象限のPRMを含む組成物は水性であってもよく、組成物の少なくとも60重量%、若しくは少なくとも70重量%、若しくは少なくとも80重量%、若しくは少なくとも90重量%、若しくは少なくとも95重量%、若しくは少なくとも97重量%の水及び/又は10重量%未満、若しくは5重量%未満、若しくは3重量%未満の界面活性剤を含んでもよい。
【0069】
第3象限のPRMの非限定的な例としては、イソ酢酸イソボルニル(iso-bomyl acetate)、カルバクロール、α-シトロネロール、パラシメン、ジヒドロミルセノール、酢酸ゲラニル、d-リモネン、酢酸リナリル、バーテネックス(vertenex)及びそれらの混合物が挙げられる。
【0070】
第4象限の(又は持続性)PRMの非限定的な例としては、アリルシクロヘキサンプロピオナート、アンブレットリド、安息香酸アミル、アミルシンナメート、アミルシンナメートアルデヒド、アミルシンナメートアルデヒドジメチルアセタール、サリチル酸イソアミル、ヒドロキシシトロネラール-メチルアントラニレート(オーランチオール(登録商標)として知られる)、ベンゾフェノン、サリチル酸ベンジル、p-tert-ブチルシクロヘキシルアセタート、イソブチルキノリン、β-カリオフィレン、カジネン、セドロール、酢酸セドリル、ギ酸セドリル、シンナミルシンナメート、サリチル酸シクロヘキシル、シクラメンアルデヒド、ジヒドロイソジャスモネート、ジフェニルメタン、ジフェニルオキシド、ドデカラクトン、1-(1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-エタノン(イソEスーパー(iso E super)(登録商標)として知られる)、ブラシル酸エチレン、グリシド酸メチルフェニル、ウンデシレン酸エチル、15-ヒドロキシペンタデカン酸ラクトン(エクサルトリド(exaltolide)(登録商標)として知られる)、1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロ-4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-シクロペンタ-γ-2-ベンゾピラン(ガラキソリド(galaxolide)(登録商標)として知られる)、アントラニル酸ゲラニル、フェニル酢酸ゲラニル、ヘキサデカノリド、サリチル酸ヘキセニル、ヘキシルケイ皮アルデヒド、サリチル酸ヘキシル、α-イロン、γ-イオノン、γ-n-メチルイオノン、p-tert-ブチル-α-メチルヒドロシンナムアルデヒド(リリアル(lilial)(登録商標)として知られる)、リリアル(p-t-ブシナール)(登録商標)、安息香酸リナリル、2-メトキシナフタレン、ジヒドロジャスモン酸メチル、ジャコウインダノン、ジャコウケトン、ジャコウチベチン(musk tibetine)、ミリスチシン、オキサヘキサデカノリド-10、オキサヘキサデカノリド-11、パチョリアルコール、5-アセチル-1,1,2,3,3,6-ヘキサメチルインダン(ファントリド(phantolide)(登録商標)として知られる)、安息香酸フェニルエチル、酢酸フェニルエチルフェニル、フェニルヘプタノール、フェニルヘキサノール、α-サンタロール、δ-ウンデカラクトン、γ-ウンデカラクトン、酢酸ベチベリル(vetiveryl acetate)、ヤラヤラ(yara-yara)、イランゲン(ylangene)及びそれらの混合物が挙げられる。
【0071】
植物性ロジン材料
本開示の方法は、植物性ロジン材料に関する。本方法は、植物性ロジン材料とベース組成物とを組み合わせる工程を含んでもよい。典型的には、植物性ロジン材料は、1種以上の有益剤がベース組成物と組み合わせられるのと同時に、又はその後にベース組成物と組み合わせられる。
【0072】
本明細書で使用される場合、「植物性ロジン材料」は、植物性ロジン(樹脂酸を含む)、植物性ロジンの誘導体又はそれらの混合物を含んでもよい。本組成物、粒子及び方法の植物性ロジン材料は、例えば堆積の改善及び/又は有益剤の安定性を促進させることによって性能上の利点を提供し得る。かかる材料は、天然供給源及び/又は持続可能な供給源に由来することから、本明細書に開示される組成物及び方法の公知の代替物の方が更に好ましい場合がある。
【0073】
以下により詳細に説明されるように、植物性ロジンは、針葉樹(綱:マツ綱)、通常はマツの木(属:マツ属)に典型的には由来している。「松脂」とも呼ばれる植物性ロジンは、液体樹脂を加熱して揮発性液体であるテルペン成分を気化させることで生み出される固体材料である。植物性ロジンは、アビエチン酸などの樹脂酸と関連する化合物から典型的には構成される。植物性ロジンは、例えばエステル化及び/又は水素添加によって更に誘導されてもよい。
【0074】
植物性ロジン材料は、最終処理組成物で効果を提供するように任意の好適な量で添加されてもよい。例えば、植物性ロジン材料は、最終処理組成物の約0.01重量%~約10重量%、又は約0.01重量%~約5重量%、又は約0.05重量%~約3重量%、又は約0.1重量%~約1重量%の量で存在するような量で添加されてもよい。ほぼ添加しないことで、ほぼ効果がなかったり全く効果がなかったりする事態が生じる可能性があるが、その一方で過剰に添加することで加工上の課題が生じる可能性がある。
【0075】
植物性ロジン材料は軟化点を特徴とし得る。植物性ロジン材料は、典型的には室温で固体であるが、軟化点はこれらの材料に関連するガラス転移温度の尺度である。植物性ロジン材料の軟化点は、以下の試験方法の節に提供された方法に従って決定される。
【0076】
植物性ロジン材料は、約50℃~約175℃、又は約60℃~約150℃、又は約75℃~約125℃の軟化点を特徴とし得る。ロジンは、消費者製品に導入するために加熱によって軟化される必要があり得る。したがって、加工の容易さ及び/又はエネルギーの節約のため、比較的低い軟化点(例えば、125℃未満)を有する植物性ロジン材料は、本開示の組成物及び方法にとって好ましい場合がある。より低い軟化点はまた、植物性ロジン材料の堆積補助性能の改善に効果があり得る。
【0077】
植物性ロジン材料は、酸価(「酸価(acid value)」と呼ばれることがある)を特徴とし得る。植物性ロジン材料の酸価は、これらの製品の遊離酸の総含有量に関連する。植物性ロジン材料の酸価は、以下の試験方法の節に提供された方法に従って決定される。
【0078】
植物性ロジン材料は、例えば約0~約175といった約175未満の酸価を特徴とし得る。本開示の粒子、組成物及び方法については、処理組成物の最終pHへの影響が最小限であるように、約125未満、好ましくは約100未満、より好ましくは約75未満、更により好ましくは約50未満、より好ましくは約25未満といった比較的低い酸価を有する植物性ロジン材料を使用することが好ましい場合がある。理論に束縛されるものではないが、比較的低い酸価を有する植物性ロジン材料は、本開示のベース組成物及び/又は処理組成物中でより容易に分散可能でもあると考えられている。
【0079】
植物性ロジン材料の色は、1~18の範囲のガードナー色標準数に基づいて等級付けされ得る。処理組成物の最終的な色への影響を最小限にするため、本開示の植物性ロジン材料は好ましくは、約1~約10、好ましくは約1~約8の色等級を有してもよい。植物性ロジン材料の色等級は、以下の試験方法の節に提供された方法に従って決定される。
【0080】
植物性ロジン材料は臭気を有する場合がある。天然由来の樹脂は、多量のテルペン化合物を有する。本開示の組成物及び方法については、天然由来の樹脂は全体的な知覚を阻害しないように、比較的少量のテルペン構造及び/又は臭気を有する化合物を選択することが好ましい場合がある。一方、マツの木のような芳香性が望まれる場合には、テルペン構造の存在が好ましい場合がある。
【0081】
例えば、トール油ロジンは臭気に悪影響を与える硫黄汚染物質を含み得ることから、ガムロジンがトール油ロジンよりも好ましい場合がある。一方、ロジン材料に関連する「マツのような(piney)」香りは特定の製品組成物では通常又は望ましい場合があるため、植物性ロジン材料が検出可能な臭気を有することが望ましい場合がある。
【0082】
植物性ロジン材料は典型的には、水に比較的不溶性である。例えば、本開示の植物樹脂材料は、22℃の脱イオン水中では1g/L未満、又は100g/L未満、又は1g/L未満、又は0.1g/L未満、又は約0.01g/L未満の溶解度を特徴とし得る。理論に束縛されることを望むものではないが、本開示の植物性ロジン材料の比較的不溶性の性質は、関連する有益剤の堆積効率及び性能に寄与すると考えられている。
【0083】
植物性ロジン材料は、密度を特徴とし得る。典型的には、植物性ロジン材料は、25℃で、1.0kg/dmよりも大きく、好ましくは少なくとも1.1kg/dmである密度を特徴とする。
【0084】
植物性ロジン材料は、典型的には可燃性である。本開示の粒子、組成物及び方法については、より容易で安全な加工を促進させるために、例えば190℃よりも高いような、比較的高温の引火点を有する植物性ロジン材料を使用することが好ましい場合がある。植物性ロジン材料の引火点は、以下の試験方法の節に提供された方法に従って決定される。
【0085】
本開示の方法及び組成物は、植物性ロジン材料を含んでもよく、植物性ロジン材料は、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、それらの誘導体及びそれらの混合物からなる群から選択される材料;好ましくはガムロジン、その誘導体及びその混合物;より好ましくはガムロジンエステル、を含んでもよい。植物性ロジン材料は、植物性ロジンのエステル、好ましくは2個以上の炭素原子を有するアルコールから形成されたエステルであり、より好ましくはアルコールがグリセロール、ペンタエリスリトール又はそれらの混合物であってもよい。植物性ロジン材料は、少なくとも部分的に水素添加されてもよく、好ましくは完全に水素添加されてもよい。植物性ロジン材料は、植物性ロジン材料の少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも85重量%のアビエチン型の酸、アビエチン型の酸の誘導体又はそれらの混合物を含んでもよい。
【0086】
植物性ロジン及び植物性ロジンの誘導体並びにかかる物質を含むプレミックスが、以下により詳細に説明される。
【0087】
A.植物性ロジン
本開示の植物性ロジン材料は植物性ロジンを含んでもよい。植物性ロジンは、典型的には植物のオレオ樹脂から取得可能であるが、これはマツの木からしみ出るか、それ以外の場合にはマツの木から誘導され得る。オレオ樹脂は揮発性テルペンを取り除くために蒸留されてもよく、残留している固体材料が植物性ロジンである。
【0088】
植物性ロジンは室温で固体であり得る。固体ロジンは比較的半透明及び/又はガラス様であってもよい。植物性ロジン材料は、例えば淡黄色から暗い茶色、又は黒色までの範囲の色を有してもよい。
【0089】
植物性ロジンは、典型的には化合物の混合物であり、主に樹脂酸から構成される(ロジン酸とも呼ばれる)。植物性ロジンは、植物性ロジンの少なくとも約75重量%、又は少なくとも約80重量%、又は少なくとも約85重量%、又は少なくとも約90重量%、又は少なくとも約95重量%の樹脂酸を含んでもよい。植物性ロジンは、植物性ロジンの約75重量%~約97重量%、又は約80重量%~約96重量%、又は約85重量%~約95重量%、又は約90重量%~約95重量%の樹脂酸を含んでもよい。残りの材料は非酸性材料であってもよい。
【0090】
樹脂酸は、典型的には3つの縮合環を有するモノカルボン酸である。樹脂酸は、例えばC1929COOHといった分子式を有する三環式ジテルペンモノカルボン酸であってもよい。樹脂酸としては、アビエチン型の酸、ピマール型の酸、プリカト酸又はそれらの混合物が挙げられてもよい。アビエチン型の酸の二重結合は、典型的には共役しているが、一方でピマール型の酸の二重結合は、典型的には共役していない。
【0091】
アビエチン型の酸としては、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、パルストリン酸、レボピマル酸又はそれらの混合物が挙げられてもよい。ピマール型の酸としては、ピマール酸、イソピマール酸、サンダラコピマール酸(sandaracopimiaric acid)又はそれらの混合物が挙げられてもよい。これらの例示的な樹脂酸の構造を、以下の表Aに提供する。
【0092】
【表1】
【0093】
植物性ロジンは、アビエチン型の酸、好ましくはアビエチン酸を含んでもよい。アビエチン酸は、実験式C1929COOHを有し、アビエチニン酸(abietinic acid)又はシルビン酸としても知られている。アビエチン型の酸は典型的には、植物性ロジンの主成分である。植物性ロジンは、植物性ロジンの少なくとも50重量%、又は少なくとも60重量%、又は少なくとも70重量%、又は少なくとも80重量%、又は少なくとも85重量%のアビエチン型の酸、好ましくはアビエチン酸を含んでもよい。
【0094】
植物性ロジンは、取得した供給源に応じて分類されてもよい。例えば、本開示の植物性ロジンは、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン又はそれらの混合物として分類されて(及びこれらを含んで)もよい。ガムロジンは、木又は他の植物の樹脂押出物に由来しており、木から樹液を取る、又は木に傷をつけ、押出物を収集及び加工することで収集されてもよい。ウッドロジンは、例えば溶媒抽出及び/又は蒸留によってマツの木の切株から収集される材料に由来し得る。トール油ロジンは、マツの木をパルプ化する際の木材のパルプ製造のクラフトプロセス中に、粗トール油を蒸留した際の副生成物である。
【0095】
好適な植物性ロジンは、例えばピヌス・マッソニアナ(Pinus massoniana、バビショウ)、ピヌス・エリオッティ(P.elliotti、スラッシュマツ)、ピヌス・パラストリス(P.palustris、ダイオウマツ)、ピヌス・タエダ(P.taeda、テーダマツ)、ピヌス・オーカルパ(P.oocarpa、メキシカンイエローパイン)、ピヌス・レイオフィラ(P.leiophylla、チワワマツ)、ピヌス・デボニアナ(P.devoniana、ピノ・ラシオ又はミチョアカンマツ)、ピヌス・モンテスマエ(P.montezumae、モンテスマエマツ)、ピエス・ピナステル(P.pinaster、フランスカイガンショウ)、ピエス・シルベストリス(P.sylvestris、スコッチパイン)、ピエス・ハレペンシス(P.halepensis、アレッポマツ)、ピエス・インサラリス(P.insularis、ベンゲソトマツ)、ピエス・ケシヤ(P.kesiya、ケシヤマツ)、ピエス・ストロバス(Eastern white pine、ストローブマツ)又はそれらの混合物といった種々のマツ種から得られてもよい。
【0096】
2.植物性ロジンの誘導体
本開示の植物性ロジン材料は、植物性ロジンの誘導体を含んでもよい。植物性ロジンの誘導体は、アビエチン酸などのロジン酸といった植物性ロジン材料を化学修飾することで作製されてもよい。かかる誘導体は、エステル化、水素添加、二量体化、重合、鹸化又はそれらを混合することで製造されてもよい。したがって、植物性ロジンの誘導体は、ロジンエステル、水素添加ロジン、水素添加ロジンエステル、二量体化ロジン、重合ロジン又はそれらの混合物を含んでもよい。
【0097】
植物性ロジン材料は、植物性ロジンのエステルであってもよい。植物性ロジンのエステルは、植物性ロジン(例えば、ロジン酸)とアルコールの反応生成物であってもよい。3個のアビエチン酸分子と1個のグリセロール分子との間のサンプルの縮合反応が以下に示されているが、これによってロジンエステルが生じる。
【0098】
【化1】
【0099】
エステル化反応でのアルコールは、モノアルコール、ジオール又はポリオールであってもよく、好ましくはジオール又はポリオールであってもよい。好適なモノアルコールとしては、メタノールが挙げられるが、これはロジン酸と反応した際にロジンメチルエステルを形成することができる。2個のヒドロキシル基を含む好適なジオールとしては、トリエチレングリコールを挙げることができる。アルコールは、3個以上のヒドロキシル基を含むポリオールであってもよい。好適なポリオールは、合計3個のヒドロキシル基(例えば、グリセロール)、合計4個のヒドロキシル基(例えば、ペンタエリスリトール)、又は合計6個のヒドロキシル基(例えば、ソルビトール又はマンニトール)を含んでもよい。好ましいポリオールとしては、グリセロール、ペンタエリスリトール及びそれらの混合物が挙げられる。
【0100】
エステル化反応でのアルコールは、1個~10個の炭素原子、好ましくは1個~7個、より好ましくは1個~6個、更により好ましくは1個~5個、更により好ましくは3個~5個の炭素原子を含んでもよい。エステル化反応でのアルコールは、少なくとも2個の炭素原子、好ましくは2個~10個、より好ましくは2個~6個、更により好ましくは2~5個の炭素原子を含むことが好ましい場合がある。ロジンエステルはメチルエステルではないことが好ましい場合がある。
【0101】
エステル化反応で使用されるアルコールは、比較的低い分子量を有する場合がある。例えば、アルコールは約約32ダルトン~約300ダルトン、好ましくは32ダルトン~約200ダルトン、より好ましくは約32ダルトン~約150ダルトン、更により好ましくは約90ダルトン~約150ダルトンの分子量を有してもよい。理論に束縛されることを望むものではないが、低分子量のアルコールから形成されたロジンエステルは、比較的高い分子量のアルコールから形成されたロジンエステルと比較すると、比較的低い軟化点及び/又は低い酸価を特徴とする可能性があり、これによってより良好な加工性及び/又は性能が生じると考えられている。
【0102】
エステル化反応に使用されるアルコールは、グリセロール又はペンタエリスリトールであってもよい。したがって、植物性ロジンの誘導体は、グリセリルロジンエステル、ペンタエリスリチルロジンエステル又はそれらの混合物であってもよい。
【0103】
植物性ロジンの誘導体は水素添加ロジンであってもよい。多くの植物性ロジン化合物(例えば、ロジン酸)が不飽和であることを考慮した場合、これらは酸化的には不安定である傾向があり、貯蔵時に色変化する場合がある。水素添加によってロジンが安定化する一助となり、望ましくない色変化を減少させることができる。更には、水素添加ロジンは親ロジンよりも明るい色を有する傾向があり、これによって更に多くの配合及び審美的な柔軟性がもたらされる。
【0104】
植物性ロジン及び/又はロジン酸は、部分的に、又は完全に水素添加されていてもよい。以下は、アビエチン酸を部分的に、及び完全に水素添加するためのサンプル反応である。
【0105】
【化2】
【0106】
処理組成物は、少なくとも部分的に水素添加された、好ましくは完全に水素添加された植物性ロジン材料を含んでもよい。
【0107】
植物性ロジンの誘導体は、水素添加されていてもよく、エステル化されていてもよい。例えば、植物性ロジンの誘導体は水素添加メチルエステル又は水素添加グリセリルエステルであってもよい。
【0108】
植物性ロジンの誘導体は、二量体化植物性ロジンであってもよい。二量体化は、ロジン酸の軟化点及び/又は安定性を高めるためには有用であり得る。アビエチン酸のサンプル二量体化反応を以下に示す。
【0109】
【化3】
【0110】
ロジンのサンプルを完全に二量体化することは困難又は不可能でさえあることから、ロジン二量体は多くの場合、非二量体化ロジン酸とともに存在する。二量体化ロジン酸は更にエステル化されてもよい。
【0111】
植物性ロジンの誘導体は、Zi2+又はCa2+などのイオンによって二量体化してもよい。例えば、樹脂酸亜鉛は、2個のアビエチン酸化合物が亜鉛イオンに結合されている植物性ロジンの誘導体である。
【0112】
植物性ロジンの誘導体は、ロジン系ポリマーであってもよい。本明細書で使用される場合、ロジン系ポリマーは、ロジン酸由来の3個以上の単量体単位を含む、ロジン系オリゴマーを含む化合物を含むことが意図されている。ポリマーは主鎖ポリマー又は側鎖ポリマーであってもよい。
【0113】
植物性ロジンの誘導体は、ロジン酸がアルカリ金属水酸化物(例えば、NaOH若しくはKOH)又はアルカリ土類金属水酸化物(例えば、Ca(OH))と反応するロジン石鹸であってもよい。より広義では、植物性ロジンの誘導体はロジン酸の塩であってもよい。
【0114】
植物性ロジンの誘導体は、官能化植物性ロジンであってもよい。言い換えれば、植物性ロジンは官能化されてもよく、1個以上の官能基が植物性ロジンに付加されている。
【0115】
植物性ロジンの誘導体は、ロジン酸と無水マレイン酸との反応生成物などのディールス・アルダー反応の生成物が挙げられてもよく、かかる反応生成物は重合していてもよい。
【0116】
植物性ロジンの誘導体としては、ロジンがフェノールと反応したロジン変性フェノール樹脂が挙げられ得る。植物性ロジンの誘導体は、ロジン酸のカルボキシル基のうちの1個以上がヒドロキシル基に転換したロジンアルコールを含んでもよい。
【0117】
本明細書に開示される組成物及び方法に好適である市販の植物性ロジンの誘導体としては、以下の実施例の節のうちの実施例1に開示されるものが挙げられ得る。
【0118】
プレミックス組成物
本開示は、プレミックス組成物に関するが、このプレミックス組成物は、1種以上の有益剤及び植物性ロジン材料を含む。本開示の方法は、処理組成物を作製するためにプレミックス組成物とベース組成物とを組み合わせることを含んでもよい。
【0119】
1種以上の有益剤及び植物性ロジン材料は、プレミックス組成物を形成するために予め組み合わせられてもよい。言い換えれば、本開示の方法は、プレミックス組成物をそのまま提供する工程を含んでもよい。
【0120】
本開示はまた、プレミックス組成物を作製する方法に関するものであり得る。このような場合、方法は、プレミックスを形成するために1種以上の有益剤と植物性ロジン材料とを組み合わせる工程を含んでもよい。上記図2に関して一般的に説明されるように、プレミックス組成物4は、インライン添加プロセスのために、その使用前に予め作製され、貯蔵されてもよい。代替的には、プレミックス組成物4は、植物性ロジン材料3及び1種以上の有益剤2が、プレミックス組成物4とベース組成物1とを組み合わせる実質的に直前に組み合わせられてプレミックス組成物4を形成するインライン方法で作製されてもよい。このような場合、成分は、製造システムのパイプ及び/又はノズル内で混合される。
【0121】
本開示の方法では、植物性ロジン材料及び1種以上の有益剤は、例えば単一の投入流に添加されるなど、プレミックス組成物としてベース組成物に共に添加されてもよい。
【0122】
プレミックスは、プレミックスの約1重量%~約99重量%の植物性ロジン材料を含んでもよい。プレミックスは、プレミックスの約1重量%~約99重量%の有益剤を含んでもよい。プレミックス組成物は、約5%~約95%の植物性ロジン材料と、約5%~約95%の1種以上の有益剤とを含んでもよい。
【0123】
プレミックスは、約1:99~約99:1、好ましくは約5:95~約95:5、より好ましくは約10:90~約90:10、より好ましくは約20:80~約80:20、より好ましくは約30:70~約80:20、より好ましくは約40:60~約80:20の重量比で、植物性ロジン材料と有益剤を含んでもよい。性能上の利点は、植物性ロジンの有益剤に対する重量比が高くなることで増大すると考えられている。
【0124】
プレミックスは、乳化剤を含んでもよい。プレミックスは、プレミックスの約1重量%~約95重量%、又は約5重量%~約95重量%、好ましくは約5重量%~約40重量%の乳化剤を含んでもよい。プレミックスは、植物性ロジン材料と乳化剤が約5:95~約95:5の重量比である、植物性ロジン材料及び乳化剤を含んでもよい。プレミックスは、約5;95~約95:5の重量比で有益剤と乳化剤を含んでもよい。好適な乳化剤としては、界面活性剤、両親媒性ポリマー又はそれらの混合物が挙げられ得る。好適な界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤又はそれらの混合物を含んでもよく、好ましくは非イオン性界面活性剤を含んでもよい。
【0125】
好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコキシル化界面活性剤、ピロリドン系界面活性剤(アルキルピロリドンを含む)、アルキルポリグリコシド及びそれらの混合物が挙げられ得る。非イオン性界面活性剤の好ましいHLB値は3~12.5である。
【0126】
好適なアルコキシル化非イオン性界面活性剤としては、直鎖又は分岐アルキル鎖、好ましくはC6~C22、好ましくはC8~C18、より好ましくはC8~C12アルキル鎖を含むエトキシル化脂肪族アルコールが挙げられ得る。好適なアルコキシル化非イオン性界面活性剤としては、Lutensol(商標)XP 40(旧BASF)、Lutensol(商標)XP 70(旧BASF)、Plurafac(商標)LF 224(BASF)、Plurafac(商標)LF 401(BASF)、Ecosurf(商標)EH 9(DOW)、並びにNeodol(商標)及びDobanol(商標)といった商品名で販売されているもの(SHELL)が挙げられ得る。
【0127】
好適なアルキルピロリドンは、以下の式:
【0128】
【化4】
式中、R1はC6~C20アルキルであり、又はR2はNHCOR3であり、R2はC1~6アルキルであり、R3はC6~20アルキルである、式を有することができる。R1は好ましくはC6~C20アルキルである。好適なアルキルピロリドンとしては、N-アルキルピロリドン、好ましくはN-アルキル-2-ピロリドン、より好ましくはアルキル鎖がC6~C20、又はC8~C14又はC12であるものが挙げられ得る。Surfadone(商標)LP-300(旧Ashland)などのN-ドデシル-2-ピロリドンが特に好ましい場合がある。
【0129】
好適なアルキルポリグリコシド(alkyl polyglycoside、APG)は、一般式C2n+1O(C10Hであって、式中、nは好ましくは9~16であり、より好ましくはnは11~14であり、xは好ましくは1~2であり、より好ましくは1.3~1.6である、一般式を有し得る。好適なAPGとしては、Planteren(商標)APG 600が挙げられ得るが、これは、nが約13であり、xが約1.4である、本質的にはアルキルポリグリコシドの水性分散液である。
【0130】
好適なアニオン性界面活性剤の非限定的な例としては、直鎖アルキルベンゼンスルホナート(linear alkyl benzene sulphonate、LAS)、アルキルスルファート(alkyl sulphate、AS)、アルキルエトキシル化スルファート(alkyl ethoxylated sulphate、AES)、ラウレススルファート、アルキルエーテルカルボキシラート(alkyl ether carboxylate、AEC)及びそれらの混合物が挙げられてもよい。
【0131】
他の好適な界面活性剤としては、例えばモノラムノリピド(3-[3-[(2R,3R,4R,5R,6S)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-メチルオキサン-2-イル]オキシデカノイルオキシ]デカン酸など)及び/又はジラムノリピド(3-[3-[4,5-ジヒドロキシ-6-メチル-3-(3,4,5-トリヒドロキシ-6-メチルオキサン-2-イル)オキシオキサン-2-イル]オキシデカノイルオキシ]デカン酸など)などのラムノピリドが挙げられ得る。
【0132】
好適な両親媒性ポリマーとしては、ポリ(エチレングリコール)-ポリ(酢酸ビニル)グラフトコポリマー、ポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコールグラフトコポリマー又はそれらの混合物などのグラフトコポリマーが挙げられ得る。市販のグラフトコポリマーとしては、Sokalon(登録商標)HP 22又はSoluplus(登録商標)が挙げられ得る(両方ともBASFから入手可能)。
【0133】
プレミックスは、植物性ロジン材料の軟化点以上の温度に加熱し、加熱した植物性ロジン材料と有益剤とを組み合わせ、混合することで作製されてもよい。加熱の追加工程又は代替工程として、植物性ロジン材料を粉砕して小粒子とし、これを有益剤と混合してもよい。乳化剤は存在する場合には、任意の好適な時点で添加されてもよい。
【0134】
プレミックスは、植物性ロジン材料を加熱することで作製することができる。植物性ロジン材料は、植物性ロジン材料の軟化点以上の温度に加熱され得る。プレミックスは、加熱された植物性ロジン材料と有益剤とを組み合わせ、混合することで作製されてもよい。
【0135】
プレミックスの均質性にとって有利であるように、混合は植物性ロジン材料の軟化点と同じ温度に設定された加熱油浴で実施されてもよい。サンプルが均質状態になるにつれて、温度は次第に低下させることができる。これによって揮発性材料(例えば、揮発性PRMの蒸発)が損失するリスクの低下が促進される。
【0136】
加工助剤(例えば上記の乳化剤)は、任意の好適な時点で添加することができる。好ましくは、乳化剤は、存在する場合には有益剤(例えば、香料)に添加する前に植物性ロジン材料と組み合わせられる。添加の順序は、混合物の均質化の容易さを改善すると考えられている。
【0137】
加熱の追加工程又は代替工程として、植物性ロジン材料を粉砕して小粒子とし、これを有益剤と混合してもよい。
【0138】
作製されると、プレミックスは周囲温度で貯蔵されてもよい。とは言え、最終製品組成物を作製するためにプレミックスを使用するときには、最終製品中に注入され、それ以外の場合にはベース組成物と組み合わせられる前にプレミックスは加熱されてもよく、例えば約60℃に加熱されてもよい。この加熱工程は、プレミックスが比較的高い、ロジンの有益剤(例えば、香料)に対する重量比(例えば、50:50を超える)を特徴とするときには役に立つ可能性が最も高い。プレミックスが、例えば乳化剤として非イオン性界面活性剤を含む場合、加熱工程は必要とされなくてもよい。プレミックスが例えば乳化剤として非イオン性界面活性剤を含むときには、加熱工程は必要とされなくともよい。
【0139】
処理組成物
本開示の方法によって処理組成物がもたらされ得る。処理組成物は、布地、硬質表面、毛髪及び/又は皮膚などの表面を処理するために有用であり得る。開示された方法では、本開示はかかる方法によって作製された組成物に関する。かかる組成物は、例えば処理組成物が布地などの標的とする表面と接触される方法といった処理方法で使用されてもよい。
【0140】
処理組成物は、消費者製品組成物であってもよい。消費者製品組成物は、布地ケア組成物、硬質表面洗浄組成物、食器ケア組成物、ヘアケア組成物、身体洗浄組成物、又はこれらの混合物であってもよい。消費者製品組成物は、液体柔軟剤組成物又はヘアコンディショナー組成物といったコンディショニング組成物であってもよい。
【0141】
本開示の処理組成物は、布地ケア組成物であってもよい。このような組成物は、洗濯前処理剤、洗濯後処理剤として使用することができ、又は洗濯操作のすすぎ若しくは洗浄サイクル中に添加することができる。布地ケア組成物は、布地洗剤組成物、布地コンディショニング組成物又はそれらの混合物、好ましくは布地コンディショニング組成物であってもよい。布地コンディショニング組成物としては、液体布地柔軟剤及び液体布地柔軟剤組成物が挙げられ得る。
【0142】
処理組成物は、例えば、液体組成物、顆粒組成物、親水コロイド、単区画パウチ、多区画パウチ、溶解可能なシート、芳香錠又はビーズ、繊維状物品、錠剤、スティック、バー、フレーク、泡/ムース、不織布又はそれらの混合物の形態といった任意の好適な形態であってもよく、好ましくは液体であってもよい。
【0143】
処理組成物は、液体の形態であってもよい。液体組成物は、組成物の約30重量%から、又は約40重量%から、又は約50重量%から、約99重量%まで、又は約95重量%まで、又は約90重量%まで、又は約75重量%まで、又は約70重量%まで、又は約60重量%までの水を含んでもよい。液体組成物は、液体洗濯洗剤、液体布地コンディショナー、液体食器洗剤、ヘアシャンプー、ヘアコンディショナー又はそれらの混合物であってもよい。
【0144】
処理組成物は固体の形態であってもよい。固体組成物は、粉末組成物又は顆粒組成物であってもよい。かかる組成物は、凝集又は噴霧乾燥されてもよい。かかる組成物は、複数の顆粒又は粒子を含んでもよく、そうした顆粒又は粒子を含む少なくともその一部は異なる組成物を含む。組成物は、粉末洗浄組成物又は顆粒洗浄組成物であってもよく、これらは漂白剤を含んでもよい。組成物は、ビーズ又は芳香錠の形態であってもよく、これらは液体融解物から芳香錠化されてもよい。組成物は押出成形された製品であってもよい。
【0145】
処理組成物は、錠剤、パウチ、シート又は繊維状物品などの単位用量物品の形態であってもよい。パウチ形態の単位用量物品は、典型的には、組成物を少なくとも部分的に封入する水溶性フィルム、例えば、ポリビニルアルコール水溶性フィルムを含む。好適なフィルムは、MonoSol,LLC(Indiana,USA)から入手可能である。組成物は、単区画パウチ又は多区画パウチに封入することができる。多区画パウチは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は少なくとも4つの区画を有してもよい。多区画パウチは、並べて及び/又は重ねて配置された区画を含んでもよい。パウチ又はその区画に含有される組成物は、液体、固体(粉末など)又はそれらの組合せであってもよい。パウチ組成物は、例えば洗剤組成物の約20重量%未満、又は約15重量%未満、又は約12重量%未満、又は約10重量%未満、又は約8重量%未満の水といった比較的低量の水を有してもよい。
【0146】
処理組成物はスプレーの形態であってもよく、例えばトリガー式噴霧器及び/又は弁を備えたエアロゾル容器を介してボトルから分配されてもよい。
【0147】
処理組成物が液体であるときには、組成物は粘度を特徴としてもよい。組成物は、20s-1かつ21℃では約1~約1500センチポアズ(約1~1500mPas)、又は約50~約1000センチポアズ(約50~1000mPas)、又は約100~500センチポアズ(約100~500mPas)、又は約100~約200センチポアズ(約100~200mPas)の粘度を有してもよいことが開示されている。比較的低い粘度によって添加が改善され、かつ/又はディスペンサ引き出し部分の残留物を少なくすることが可能となる。粘度は、以下の試験方法の節に提供された方法に従って決定される。
【0148】
本開示の処理組成物は、約2~約12、又は約2~約8.5、又は約2~約7、又は約2~約5のpHを特徴としてもよい。本開示の処理組成物は、好ましくは水性液体の形態で、約2~約4のpH、好ましくは約2~約3.7のpH、より好ましくは約2~約3.5のpHを有してもよい。かかるpHレベルは、コンディショニング活性などのある特定の補助剤(例えば、エステルクワット)の安定性を促進させると考えられている。組成物のpHは、組成物を脱イオン水中に溶解/分散させて、約20℃で10%濃度の溶液を形成することによって測定される。
【0149】
本開示の処理組成物、好ましくは液体処理組成物は、粒子を含んでもよい。粒子は、植物樹脂材料と香料原料などの1種以上の有益剤とを含んでもよい。処理組成物が液体の形態であるときには、処理組成物は構造化剤を更に含んでもよい。本方法は、ベース組成物に構造化剤を添加することを含んでもよく、好ましくは1種以上の有益剤及び植物性ロジン材料が添加された後にベース組成物に構造化剤を添加することを含んでもよい。構造化剤は、処理組成物中に粒子を懸濁可能な有効量で存在してもよい。
【0150】
処理組成物は補助成分を含んでもよく、その多くは上に説明されている。補助剤は、植物性ロジン材料及び/又は1種以上の有益剤がベース組成物に添加される前、その間又はその後にベース組成物に添加されてもよい。例えば、香油原液は、植物性ロジン材料及び1種以上の有益剤(例えば、芳香材料)を含むプレミックス組成物の前にベース組成物に添加されてもよい。例えば、香料カプセル剤は、かかるプレミックスがベース組成物に添加された後に添加されてもよい。構造化剤は、プレミックス組成物の後に添加されてもよく、存在する場合には香料カプセル剤の後に添加されてもよい。
【0151】
プレミックス組成物
本開示は、プレミックス組成物に更に関する。プレミックス組成物は植物性ロジン材料及び1種以上の有益剤を含む。かかるプレミックス組成物は、消費者製品処理組成物などの種々の処理組成物を作製するために使用され得る。かかる処理組成物及び関連する方法はより詳細に上に説明されており、上記の関連する開示は、本明細書に説明されるプレミックス組成物に実質的に等しく適用される。なお、ここではプレミックス組成物を簡潔に説明する。
【0152】
本開示のプレミックス組成物は、最終製品それ自体として使用されるよりも最終製品又は処理組成物を作製する上で有用な中間体又は原料組成物としての使用を意図されている。プレミックス組成物は限られた数の成分を有するものとして特徴づけられ得る。例えば、プレミックス組成物は、5つ以下の成分、又は4つ以下の成分、又は3つ以下の成分、又は2つ以下の成分(例えば、植物性ロジン材料及び芳香材料)を含んでもよい。このように成分を「カウントする」目的のために、「芳香材料」は、芳香材料が複数の香料原料を含むとしても単一の材料としてカウントされなければならない。プレミックス組成物は、植物性ロジン材料及び1種以上の有益剤(例えば、芳香材料)及び任意に乳化剤から実質的になってもよく、又は更にはこれらからなってもよい。
【0153】
本開示に記載のプレミックス組成物は、プレミックスを製造し、次いでプレミックスが最終製品/処理組成物を製造するのに必要となるまで貯蔵することができるという点で有用であり得る。プレミックス組成物は、ある場所で作製され、例えばトラックや列車によって別の場所に輸送されてもよい。
【0154】
プレミックス組成物は、約5%~約95%の植物性ロジン材料と、約5%~約95%の1種以上の有益剤とを含んでもよい。植物性ロジン材料及び1種以上の有益剤は、プレミックス組成物中合計でプレミックス組成物の約30重量%~約100重量%、好ましくは約50重量%~約100重量%、より好ましくは約75重量%~約100重量%の量で存在してもよい。
【0155】
植物性ロジン材料及び1種以上の有益剤は、約5:95~約95:5、好ましくは約20:80~約80:20、より好ましくは約30:70~約70:30、より好ましくは約40:60~約60:40の重量比で存在してもよい。
【0156】
好適な植物性ロジン材料を、より詳細に上に記載する。ここでは簡潔に説明するが、上の説明は実質的に同じように適用されてもよい。例えば、プレミックス組成物の植物性ロジン材料は、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、それらの誘導体及びそれらの混合物からなる群から選択される材料を含み、好ましくはガムロジン、その誘導体及びその混合物、より好ましくはガムロジンエステルを含んでもよい。植物性ロジン材料は、植物性ロジンエステルであってもよく、好ましくはグリセロール、ペンタエリスリトール又はそれらの混合物のエステルであってもよい。植物性ロジン材料は、少なくとも部分的に水素添加されてもよく、好ましくは完全に水素添加される。
【0157】
植物性ロジン材料は、植物性ロジン材料の少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも85重量%のアビエチン型の酸を含む。
【0158】
植物性ロジン材料は、以下:(a)約50℃~約175℃、若しくは約50℃~約120℃、好ましくは約60℃~約100℃の軟化点、及び/又は(b)約0~約175、若しくは約0~約100、好ましくは約0~約80、より好ましくは約0~約60の酸価、及び/又は(c)ガードナー色標準数で等級付けされたときに約1~約10、若しくは好ましくは約1~約8、より好ましくは約1~約6の色等級、といった特性のうちの1つ以上を特徴とし得る。
【0159】
1種以上の有益剤は、芳香材料、シリコーン油、ワックス、炭化水素、高級脂肪酸、精油、脂質、皮膚冷却剤、ビタミン、日焼け止め剤、抗酸化剤、グリセリン、悪臭低減剤、臭気制御物質、帯電防止剤、柔軟剤、昆虫及び蛾忌避剤、着色剤、抗酸化剤、消毒剤、殺菌剤、微生物コントロール剤、カビ抑制剤、ウドンコ病抑制剤、抗ウイルス薬、蛍光増白剤、白色向上剤、消泡剤、泡立ち防止剤、布地及び皮膚用UV保護剤、日光退色阻害剤、抗アレルギー剤、防水剤、スキンケア剤、グリセリン、天然活性剤、アロエベラ、ビタミンE、シアバター、カカオバター、増白剤、抗菌活性物質、制汗剤活性剤、皮膚軟化剤、抗微生物活性物質及び抗真菌活性物質、皮膚感覚剤及びそれらの混合物からなる群からなる群から選択されてもよい。粒子に特に好ましい有益剤としては、香料原料、抗微生物活性物質、抗真菌活性物質又はそれらの混合物が挙げられ、より好ましくは芳香材料/香料原料が挙げられる。
【0160】
1種以上の有益剤は芳香材料であってもよい。芳香材料は、芳香材料の約1重量%~約40重量%の第1象限の香料原料、及び/又は香料材料の約60重量%~約99重量%の非第1象限の香料原料を含む芳香材料を含んでもよい。
【0161】
プレミックス組成物は、乳化剤、好ましくは界面活性剤、両親媒性ポリマー又はそれらの混合物から選択される乳化剤を更に含んでもよい。プレミックス組成物は、両親媒性ポリマー、好ましくは両親媒性グラフトコポリマー、より好ましくは、グラフトベースとしてのポリアルキレングリコールと、酢酸ビニル部分及び任意にN-ビニルカプロラクタム部分を含む1つ以上の側鎖とを含む両親媒性グラフトコポリマーを含んでもよい。
【0162】
プレミックス組成物は液体であってもよい。プレミックス組成物は、プレミックス組成物の5重量%未満の水を含んでもよい。
【0163】
プレミックス組成物は、比較的低い粘度を有するが、このことによって追加で加熱することなく最終製品を均質化することが比較的容易になることが好ましい場合がある。プレミックス組成物は、40℃で11.71s-1の剪断速度で約0.01~約25Pa・s、又は好ましくは約0.01~約20Pa・s、又はより好ましくは約0.02~約15Pa・sの粘度を特徴とし得る。
【0164】
本開示は、本明細書に説明されるプレミックス組成物を作製する方法に更に関する。例えば、かかる方法は、植物樹脂材料と、1種以上の有益剤と、任意に乳化剤とを組み合わせる工程を含んでもよい。
【0165】
プレミックス組成物を作製するために、植物樹脂材料は、プレミックスの均質化を促進させるために小粒子として提供されてもよい。植物樹脂材料が所望のものよりも大きな固体として提供される場合には、本方法は植物樹脂材料をそれよりも小さな粒子に粉砕又はすり潰すことを含み得る。卓上操作では、これは乳鉢及び乳棒で行われてもよい。
【0166】
プレミックス組成物を作製する方法は、植物樹脂材料を提供することと、1種以上の有益剤を添加することと、混合することを含んでもよい。混合物は例えば、1時間~4時間の期間、好ましくは約2時間~約3時間の期間にわたって混合されてもよい。
【0167】
植物樹脂材料は、室温(例えば、20~22℃)で提供されてもよい。植物樹脂材料と1種以上の有益剤との混合物は混合前に加熱されてもよく、これによって均質化の容易さを改善することができる。混合物は、植物樹脂材料の最大で軟化点の温度まで、好ましくは植物樹脂材料の軟化点未満まで、より好ましくは約40℃~約60℃の温度まで、より好ましくは約40℃~約50℃の温度まで加熱されてもよい。揮発性有益剤、特に芳香材料の蒸発を回避するためには温度は過剰に高くないことが好ましい。混合物は、1時間~4時間の期間、好ましくは約2時間~約3時間の期間にわたって昇温で混合されてもよい。混合物は実質的に均質化された後、混合物を周囲温度に冷却してもよい。周囲温度でのプレミックスの粘度が6000cPよりも低い場合、加熱工程は必要とされない場合がある。
【0168】
乳化剤が使用される場合、これは任意の好適な時点で添加されてもよい。好ましくは、植物樹脂材料及び乳化剤は、1種以上の有益剤(例えば、芳香材料)の添加前に組み合わせられる。乳化剤の使用は、プレミックス組成物の均質化の一助となる上で好ましい場合があり、混合物を加熱する工程の必要性を減らすことも可能である。これによって、特に乳化剤が非イオン性界面活性剤であるときにはエネルギーを節約することができる。プレミックス組成物中の植物樹脂材料:乳化剤:有益剤(好ましくは芳香材料)の重量比は、25/25/50、又は35/25/40、又は45/15/40、又は30/20/50、又は40/10/50であってもよく、好ましくは25/25/50又は35/25/40であってもよく、これは好ましくはプレミックスの全体である(例えば、100重量%)。
【0169】
上により詳細に説明したように、プレミックス組成物は処理組成物を作製する方法では有用であり得る。それゆえ、本開示は処理組成物を作製する方法に更に関する。本方法は、本明細書に説明されるプレミックス組成物と、本明細書に説明されるベース組成物とを組み合わせる工程を含む。プレミックス組成物を、ベース組成物に提供してもよく、それ以外の場合には添加してもよい。他の補助材料は、プレミックス組成物の添加前、添加の間、又は添加後に添加されてもよい。プレミックスは、例えば約40℃~約75℃、好ましくは約50℃~約60℃の温度といった周囲温度よりも高い温度に加熱されてもよく、ベース組成物にこれを添加してもよい。プレミックス組成物が乳化剤を含むときには、ベース組成物を添加する前にプレミックスを加熱する必要がない場合がある。
【0170】
プレミックス組成物とベース組成物との混合物は、ベース組成物へのプレミックスの好適な導入/均質化を確実なものとするために、比較的高い剪断で混合される必要がある場合がある。
【0171】
組合せ
本開示の具体的に企図される組合せを、本明細書において以下のアルファベット付きの項に記載する。これらの組合せは、本質的に例示を目的としたものであり、限定することを意図したものではない。
【0172】
A.処理組成物を作製する方法であって、ベース組成物を提供する工程であって、ベース組成物が補助材料を含む、工程と、植物性ロジン材料及び1種以上の有益剤をベース組成物に添加する工程であって、植物性ロジン材料は1種以上の有益剤とともに、又は1種以上の有益剤の添加の後に添加される工程と、を含む、方法。
B.植物性ロジン材料は、1種以上の有益剤とともに添加される、段落Aに記載の方法。
C.植物性ロジン材料及び1種以上の有益剤は、プレミックス組成物として単一の投入流でベース組成物に添加される、段落Bに記載の方法。
D.プレミックス組成物は、約5%~約95%の植物性ロジン材料と、約5%~約95%の1種以上の有益剤とを含む、段落Cに記載の方法。
E.プレミックス組成物は、乳化剤、好ましくは界面活性剤、両親媒性ポリマー又はそれらの混合物から選択される乳化剤を更に含む、段落C又はDに記載の方法。
F.植物性ロジン材料は、1種以上の有益剤がベース組成物に提供された後にベース組成物に添加される、段落Aに記載の方法。
G.植物性ロジン材料及び1種以上の有益剤は、約5:95~約95:5、好ましくは約20:80~約80:20、より好ましくは約30:70~約70:30、より好ましくは約40:60~約60:40の重量比で処理組成物中に存在する、段落A~Fのいずれか1つに記載の方法。
H.方法は、植物性ロジン材料と1種以上の有益剤とを、ベース組成物とを、又はそれら両方とを組み合わせる前に周囲温度超で植物性ロジン材料を加熱することを更に含み、好ましくは植物性ロジン材料の少なくとも軟化点に植物性ロジン材料を加熱することを更に含む、段落A~Gのいずれか1つに記載の方法。
I.方法は、周囲温度で、好ましくは約18℃~約25℃の温度で、より好ましくは約18℃~約22℃の温度で植物性ロジン材料と1種以上の有益剤とを組み合わせる工程を更に含み、有益剤に対する植物性ロジン材料の重量比は、50:50未満、好ましくは40:60未満、より好ましくは30:70未満、より好ましくは20:80未満、又は更には10:90未満であり、好ましくは1種以上の有益剤が香料原料を含む、段落A~Gのいずれか1つに記載の方法。
J.植物性ロジン材料が、5mm未満、又は3mm未満、又は2mm未満、又は1mm未満、又は約10μm~約500μmの平均径を有する粒子を特徴とする粉末として提供され、任意に方法は、植物性ロジン材料の大きな小片を粉砕又はすり潰し、粉末を形成する工程を更に含む、段落A~Iのいずれか1つに記載の方法。
K.植物性ロジン材料は、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、それらの誘導体及びそれらの混合物からなる群から選択される材料を含み、好ましくはガムロジン、その誘導体及びその混合物からなる群から選択される材料を含み、より好ましくはガムロジンエステルを含む、段落A~Jのいずれか1つに記載の方法。
L.植物性ロジン材料は、以下:(a)約50℃~約175℃、若しくは約50℃~約120℃、好ましくは約60℃~約100℃の軟化点、及び/又は(b)約0~約175、好ましくは約0~約100、好ましくは約0~約80、より好ましくは約0~約60、より好ましくは約0~約40、更により好ましくは約0~約20の酸価、及び/又は(c)ガードナー色標準数で等級付けされたときに約1~約10、若しくは好ましくは約1~約8、より好ましくは約1~約6の色等級、といった特性のうちの1つ以上を特徴とする、段落A~Kのいずれか1つに記載の方法。
M.1種以上の有益剤は芳香材料を含む、段落A~Lのいずれか1つに記載の方法。
N.ベース組成物は液体である、段落A~Mのいずれか1つに記載の方法。
O.ベース組成物は、ベース組成物の少なくとも8重量%の水、好ましくは少なくとも25重量%の水、より好ましくは少なくとも50重量%の水、より好ましくは少なくとも60重量%の水、より好ましくは少なくとも70重量%の水、より好ましくは少なくとも75重量%の水、より好ましくは少なくとも80重量%の水、より好ましくは少なくとも90重量%の水を含む、段落A~Nのいずれか1つに記載の方法。
P.補助成分は、界面活性剤系、布地柔軟剤若しくはそれらの組合せを含み、(a)好ましくは界面活性剤系はアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び/若しくは双性イオン性界面活性剤を含み、並びに/又は(b)好ましくは布地柔軟剤は第四級アンモニウム化合物、シリコーン化合物又はそれら両方を含む、段落A~Oのいずれか1つに記載の方法。
Q.植物性ロジン材料及び1種以上の有益剤は、バッチプロセスによって、連続ループ添加プロセスによって、又はインライン添加プロセスによって、好ましくはインラインプロセスによって、ベース組成物と組み合わせられる、段落A~Pのいずれか1つに記載の方法。
R.植物性ロジン材料及び1種以上の有益剤は、インライン方法によりベース組成物と組み合わせられ、約7m/s~約19m/s、好ましくは約12m/s~約16m/s、より好ましくは約14m/sの接線速度を特徴とするダイナミックミキサ、好ましくはロータステータ型ミキサを用いて混合される、段落A~Qのいずれか1つに記載の方法。
S.方法により作製された処理組成物は粒子を含み、粒子は植物樹脂材料及び1種以上の有益剤を含む、段落A~Rのいずれか1つに記載の方法。
T.処理組成物は液体であり、処理組成物は構造化剤を添加することを更に含み、好ましくは処理組成物中に、粒子を懸濁可能である有効量で存在している構造化剤を更に含む、段落A~Sのいずれか1つに記載の方法。
U.処理組成物は消費者製品組成物であり、好ましくは、布地ケア組成物、硬質表面洗浄組成物、食器ケア組成物、ヘアケア組成物、身体洗浄組成物又はそれらの混合物であり、好ましくは布地ケア組成物は、布地洗剤組成物、布地コンディショニング組成物又はそれらの混合物である、段落A~Tのいずれか1つに記載の方法。
V.処理組成物は液体である、段落A~Uのいずれか1つに記載の方法。
W.段落A~Vのいずれか1つに記載の方法に従って作成された処理組成物。
X.プレミックス組成物であって、プレミックス組成物の約5重量%~約95重量%の植物性ロジン材料と、約5重量%~約95重量%の1種以上の有益剤と、を含み、好ましくは1種以上の有益剤は芳香材料を含み、植物性ロジン材料及び1種以上の有益剤は、プレミックス組成物中合計でプレミックス組成物の約30重量%~約100重量%、好ましくは約50重量%~約100重量%、より好ましくは約75重量%~約100重量%の量で存在する、プレミックス組成物。
Y.プレミックス組成物は、乳化剤、好ましくは界面活性剤、両親媒性ポリマー又はそれらの混合物から選択された乳化剤を更に含み、乳化剤が界面活性剤を含む場合には、界面活性剤は好ましくは非イオン性界面活性剤、より好ましくはアルコキシル化界面活性剤、ピロリドン系界面活性剤、アルキルポリグリコシド及びそれらの混合物からなる群から選択された非イオン性界面活性剤を含み、乳化剤が両親媒性ポリマーを含む場合には、両親媒性ポリマーは好ましくはグラフトコポリマー、より好ましくはポリ(エチレングリコール)-ポリ(酢酸ビニル)グラフトコポリマー、ポリビニルカプロラクタム-ポリビニルアセタート-ポリエチレングリコールグラフトコポリマー及びそれらの混合物からなる群から選択されるグラフトコポリマーを含む、段落Xに記載のプレミックス組成物。
Z.プレミックス組成物は、40℃で11.71s-1の剪断速度で約0.01~約25Pa・s、又は好ましくは約0.01~約20Pa・s、又はより好ましくは約0.02~約15Pa・sの粘度を特徴とする、段落X又はYに記載のプレミックス組成物。
AA.プレミックス組成物は、プレミックス組成物の5重量%未満の水を含む、段落X又はYに記載のプレミックス組成物。
【0173】
試験方法
特段明記しない限り、本出願の試験方法の章に開示される試験方法を用いて、本明細書において特許請求され、かつ説明される本発明の主題のパラメータのそれぞれの値が決定されるべきであるという点が理解されよう。
【0174】
オクタノール/水分配係数の対数(logP)を決定するための試験方法
試験する香料混合物中の各PRMについて、オクタノール/水の分配係数のlog値(logP)を計算する。個々のPRMのlogP値は、Advanced Chemistry Development Inc.(ACD/Lab)(Toronto,Canada)から入手可能なConsensus logP Computational Model、バージョン14.02(Linux(登録商標))を用いて計算され、無単位のlogP値が得られる。ACD/LabsのConsensus logP Computational Modelは、ACD/Labsモデルスイートの一部である。
【0175】
軟化点試験方法
入手可能な場合、メーカー/供給業者により提供される植物性ロジン材料の軟化点が使用されなければならない。
【0176】
メーカー/供給業者から入手可能ではない場合、軟化点は、2018年7月1日に承認され、2018年7月に公開された版を使用したASTM E28-18「Standard Test Methods for Softening Point of Resins Derived from Pine Chemicals」に従って測定される。より具体的には、上述の版に提供された参照方法(「自動化環球式軟化点方法」)に従わなければならない。方法をここに要約する。
【0177】
本明細書で使用される場合(及びASTM E28-18に説明される場合)、軟化点は、水、グリセリン、シリコーン油、エチレングリコール/水又はグリセリン/水浴中で5℃/分にサンプルを加熱するにつれて、水平なリング(真鍮製ショルダーリング;ASTM法に指示されるように19.8mmのリング内径、23.0mm外径)で保持されるサンプルのディスクを、鋼球(9.53mm径;質量が3.45~3.55g)の重量下に、下向きに25.4mm(1インチ)の距離を押し込む温度であると定義される。
【0178】
試料調製:試験されるロジン材料の代表サンプルを選択する。サンプルは、フレーク又は芳香錠、又は酸化表面を含まない新たに破壊された塊を含み、細かく分割された材料又はダストの含有を回避しなければならない。清浄な容器中でサンプルを融解し、過熱を回避し、サンプルへの気泡の導入を回避する。加熱開始からサンプルの注入までの時間は15分を超えてはならない。リングを底に下にして金属表面上に置く。リングを予熱してもよい。冷却時に過剰分が残るように、融解したロジンサンプルをリングに注ぎ入れる。少なくとも30分間冷却した後、リングの周囲及び頂部から過剰な物質を取り除く。
【0179】
浴液:浴液の選択は、ロジン材料の軟化点(「SP」)に依存する。35℃~80℃にSPについては、水(蒸留又は脱イオン化され、新たに煮沸したもの)を使用する。80℃~150℃のSPについては、USPグリセリンを使用する。80℃を超えるSPについては、シリコーン油(ポリジメチルシロキサン-200 fluid、50cSt、Dow Corning製(Midland,MI))を使用する。最大35℃までのSPについては、エチレングリコールと蒸留水との50/50(v/v)混合物を使用する。予冷した冷凍庫又はイソプロピルドライアイス浴中で、浴を-25℃に冷却しなければならない。
【0180】
試験:制御ユニットを備えた、好適な自動化環球式軟化点機器を使用し、メーカーの指示書に従ってこれを較正する。撹拌子を600mLビーカーに入れ、ロジン材料の軟化点に応じて上記の浴液でこれを満たす。メーカーの指示書に推奨されているように装置、リング、ボール、試験インサート、支持ピンをセットアップする。制御ユニットが正確な浴液用に設定されていることを確認する。
【0181】
浴液の温度が5℃/分の速度で均一に上昇するように浴を加熱する。光線が落下するボール及び材料によって遮断されるときに試験が完了する。試験完了後にユニットに表示されている温度で軟化点を記録する。
【0182】
酸価試験方法
入手可能な場合、メーカー/供給業者により提供される植物性ロジン材料の酸価が使用されなければならない。
【0183】
メーカー/供給業者から入手可能ではない場合、酸価は、2020年6月1日に承認され、2020年6月に公開されたASTM D465-15(2020年に再度承認)「Standard Test Methods for Acid Number of Pine Chemical Products Including Tall Oil and Other Related Products」に従って測定される。より具体的には、上述した文献に提供された参照方法(「電位差滴定法」)に従わなければならない。方法をここに要約する。
【0184】
新たに細断したロジン材料のサンプルを準備し、計量及び溶解を促進させるために更にこれを粉砕してもよいが、酸化表面を含む小片及び既存のロジンダスト又は粉末は使用してはならない。不均質な液体の場合には、極小の通気孔かその同等物を備えた密閉容器にこれを入れ、温水浴で加熱する。加熱中にサンプルを撹拌してもよく、これを十分撹拌して均質にした後に使用してもよい。
【0185】
以下の表に基づき、規定量のサンプルを400mLのトールビーカーに移す。適切な量の溶媒Iを添加し回旋させながら溶解させ、任意に穏やかにこれを加熱する。適切な量の溶媒IIを添加し、必要な場合には室温近くまで冷却する。ガラス電極pH計(メーカーの指示書に従って較正/標準化されている)の各電極を溶液中に浸漬する。撹拌子で撹拌する。
【0186】
標準アルカリ水溶液(0.5N又は0.1N KOH溶液)で滴定し、ビュレット及びpH計の読み取り値を記録する。溶液のpHを約8にするため、十分な量のアルカリを添加してもよい。添加した量の増分あたりのpHの変化が約0.3pH単位になるまで、1.0mLずつアルカリを添加する。添加された0.1mLあたりのpH単位の大幅な減少によって示されるように、エンドポイントを通過するまでアルカリの添加を0.1mL以下に低下させる。変曲点が十分に規定されたことが明らかになるまで、1.0mLずつ滴定を継続する。
【0187】
使用されたアルカリのミリリットルに対してpH読み取り値をプロットすることで、変曲点(アルカリ溶液1mLごとのpHの最大変化点)を最も近い0.05mLに決定する。(精度を高めるため、1mLごとのpHの見込みをpHに対してプロットしてもよく、ピークは変曲点に対応する。)変曲点は滴定のエンドポイントであるとみなされる。
【0188】
サンプル1グラムごとのKOHのミリグラムとして表されるサンプルの酸価を以下:
酸価=(A×N×56.1)/B
式中、A=試料滴定に必要とされるアルカリ溶液(mL);N=アルカリ溶液の規定度、及びB=試料重量(グラム)、のように計算し、最も近い整数を報告してもよい。
【0189】
色等級試験方法(ガードナー色)
入手可能な場合、メーカー/供給業者により提供される植物性ロジンの色等級(ガードナー色)が使用されなければならない。
【0190】
メーカー/供給業者から入手可能ではない場合、色等級(ガードナー色)は、2016年12月1日に承認され、2016年12月に公開されたASTM D6166-12(2016年に再度承認)「Standard Test Method for Color of Pine Chemicals and Related Products(Instrumental Determination of Gardner Color)」に従って測定される。方法をここに要約する。
【0191】
透過色を測定し、かつガードナー色で(又は、あまり好ましくはないが、ASTM D6166-12に開示されるものなど、公知の方法によりガードナー色に転換可能であるカラーシステムで)報告可能であるGardner Color Comparator L、115V(例えば、BYK)などの機器を使用して、液体サンプルの色を測定する。メーカーの指示書に従って機器を較正する。
【0192】
色分析用のロジンサンプルを調製するために、ロジン材料の溶融サンプルをガラスキュベット(機器のメーカーにより異なる経路が規定されない限り、10mmの経路)に導入する。サンプルが固体の場合には、新たに破壊された塊を含むが、ダストや細かく分割された材料を含んではならない。過熱及び気泡の導入を回避するように気を付けながら、固体を融解(例えば、15分未満、オーブン、砂浴又は油浴中で)しなければならない。溶融サンプルをガラスキュベットに導入した後、依然として溶融している間に測定を行わなければならない。材料に濁りが見られる場合、これを濾過しなければならない。
【0193】
ガラスキュベットを機器に挿入し、メーカーの指示書に従って色を測定する。
【0194】
引火点試験方法
入手可能な場合、メーカー/供給業者により提供される植物性ロジンの引火点が使用されなければならない。
【0195】
メーカー/供給業者から入手可能ではない場合、引火点は、2018年7月1日に承認され、2018年7月に公開されたASTM D92-18「Standard Test Methods for Flash and Fire Points by Cleveland Open Cup Tester」に従って測定される。
【0196】
主なロジン酸異性体の量を決定するための試験方法
入手可能な場合、メーカー/供給業者により提供される植物性ロジンの主なロジン酸異性体の量が使用されなければならない。
【0197】
メーカー/供給業者から入手可能ではない場合、主なロジン酸異性体の量は、2015年7月1日に承認され、2015年8月に公開されたASTM D5974-15「Standard Test Method for Fatty and Rosin Acids in Tall Oil Fractionation Products by Capillary Gas Chromatography」に従って測定される。方法をここに要約する。
【0198】
この方法は、例えばロジンサンプル中に存在するロジン酸の量を測定するためにガスクロマトグラフィーを使用する。クロマトグラフィー分離前に、ある特定の遊離酸をより揮発性が高く、より安定したメチルエステルに転換しなければならない。ロジン酸については、この転換は、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(tetramethylammonium hydroxide、TMAH)により行われてもよい。
【0199】
メチルエステルを調製するために、0.5~3.0mLの50:50のエーテル/メタノール混合物(及び任意に2~3滴のトルエン)中にロジンサンプル(固体の場合には、酸化を回避するために新たに破壊する)を溶解し、2~3滴のフェノールフタレイン指示薬溶液を添加する。TMAHの6%溶液を用いてpH7.9~8.1まで、又は1番最初の不変のピンク色になるまで混合物を滴定する。過剰滴定される場合、混合物を5%の酢酸メタノール溶液(v/v)で逆滴定してもよい。溶液をクロマトグラフの加熱注入ポートに注入する場合、テトラメチルアンモニウム塩を熱分解してメチルエステルにする。
【0200】
水素炎イオン化型検出器(flame ionization detector、FID)を備えたガスクロマトグラフ(gas chromatograph、GC)を使用し、以下の条件:カラム温度(オーブン温度)-初期150℃;保持5分間;ランプ5℃/分;最終250℃;保持10分間;注入ポート温度300℃;注入ポートライナー、ガラススプリット;検出器温度325℃;キャリアガス、ヘリウム;ガス線速度、19.5~20.5cm/s;スプリット比、最大で100:1;検出器(FID);水素、30mL/分;空気、400mL/分;メイクアップガス、30mL/分、の下で操作する。好ましくは長さ30mであり、内径が0.32mm、0.20μmのフィルム厚さのビシアノプロピルシロキサン型の液体を用いた高分解能カラムを使用する。
【0201】
ミリスチン酸の較正標準及び存在すると予想されるロジン酸の高純度標準を調製し、重量を記録して上記のようにメチルエステルに転換する。試験サンプルを調製するため、約50mgのサンプル及び約15mgのミリスチン酸を好適なバイアル中に正確に秤量し、重量を記録し、上記のようにメチルエステルを転換する。
【0202】
較正標準(0.5~1.0μLで注入)を使用してGCを較正し、保持時間を記録し、個々の相対的な応答係数を計算する。試験サンプルを分析するため、0.5~1.0μLを注入し(任意に追加の溶媒でサンプルを希釈)、クロマトグラムから必要とされるピーク全てのピーク領域を取得して目的とする各ピークの絶対値を計算する。測定されているロジン酸メチルエステルのピーク領域を、全てのロジン酸メチルエステルのピーク領域の合計で割ることで、存在する各ロジン酸メチルエステルの相対パーセントを測定してもよい。
【0203】
布地の処理方法
以下の実験にて本開示に記載の組成物で布地を処理するときには、別途指示がない限り、以下の方法に従う。各処理のために、洗濯機(例えばMiele)に約3kgの布地荷重を装填する。布地荷重には、約1065gの綿メリヤス布地及び約1065gのポリエステル-綿布地(50/50)が含まれる。追加的には、布地荷重は約870gを共に秤量する20個のテリータオルトレーサを含む。続いて洗浄サイクルを95℃で1回行う。
【0204】
試験処理の前に、79gの芳香のないIEC A系洗剤(ex WFK,Testgewebe GmbH)で、毎回95℃の短い綿サイクルを使用して、荷重を2回前調整し、続いて、洗剤なしで2回、追加の95℃洗浄を行う。
【0205】
試験処理では、40℃の短い綿サイクル、79gのIEC A系洗剤を用いた1200rpmのスピン速度を使用して荷重を洗浄するが、これは、洗浄サイクルの開始時に適切なディスペンサ中に添加される。試験用の布地処理組成物の40mLの用量を、適切なディスペンサに添加する。
【0206】
処理された布地の上方のヘッドスペース濃度を求める方法
少なくとも2点の特定のタッチポイント:
-WFO(湿潤布地臭気又はWET):布地処理方法が終了した後に湿った布地を分析する。
-DFO(乾燥布地臭気又はDRY):布地をおよそ24時間にわたって密閉した部屋でライン乾燥した後に乾燥布地を分析する、でのヘッドスペース分析により、上述の布地処理方法による布地トレーサを分析した。
【0207】
SPMEヘッドスペースGC/MS(ガスクロマトグラフィー質量分析)手法を使用し、テリーコットントレーサ上のヘッドスペースを分析する。コットントレーサの4cm×4cmのアリコートを、25mLのヘッドスペースバイアルに移す。布地サンプルを65℃で10分間、平衡化する。布地の上方のヘッドスペースをSPME(50/30μmDVB/Carboxen/PDMS)により5分間サンプリングする。続いて、SPME繊維をGC内にオンライン熱脱離する。フルスキャンモードのGC/MSにより、被検物質を分析する。総香料のHS応答及び試験レッグ上部の香料ヘッドスペース組成物を測定することができる。
【0208】
粘度法
Brookfield製のDV-E粘度計を使用し、液体組成物の粘度を測定する。センチポアズ(cP)で安定値を得るまで、60rpmの速度でスピンドルを自動的に回転させる。
【0209】
植物性ロジン、送達剤及び潜在的乳化剤を含むプレミックスの粘度を、60mm、1度のコーン及び52マイクロメートルのギャップサイズを使用するThermo Scientific製のHAAKE MARSを使用して測定する。20s-1の剪断粘度は、21℃で0.01s-1~1200s-1の対数剪断速度掃引から得ることができる。粘度をセンチポアズ(cP)として表してもよい。
【0210】
粒子径-画像分析
粒子の相対的直径に応じて、2つの方法のうちの1つ:集団の体積加重中央粒子径がおよそ10μm以上である場合には画像分析、又は集団の体積加重中央粒子径が10μm未満の場合には顕微鏡法による分析を使用する。これらの方法を以下により詳細に説明する。
【0211】
A.画像分析
種々のサイズのフローセルを通って流れるサンプルから取得された画像から、体積加重中央粒子径分布を計算する。この機器は、液体用途の画像分析デバイスに特に設計されている(Occhio FC200S)。非常に低速でフローセルを通るシリンジポンプを介してサンプルをポンプ輸送し、サンプルがフローセルを通過する間に設定時点で画像を取得する。速度はカメラのフレーム速度を一致しており、サンプルとサンプルが含有する粒子の挙動に依存している。使用したフローセルサイズは250μm及び500μmであり、カプセルのサイズに依存していた。カプセルの検出は、グレースケール閾値を介して行われる。Callistoバージョン2013.13ソフトウェアを使用してピクセルを読み出し、サイズ及び形状パラメータを計算する。使用したサイズ記述子は、ISO領域直径である。
【0212】
照明は赤色LED光源であり、粒子の適切なグレースケール検出が可能になるまで照明の調節を手動で行った。ハードウェア倍率は、粒子のサイズに依存しており、6倍又は9倍である。
【0213】
B.顕微鏡法
無作為にサンプリングしたアリコートで得られた約900個のカプセルの直径を顕微鏡で観察し、測定することで得られた値から、粒子の体積加重中央粒子径を計算する。使用した顕微鏡はLeica DM6000Bである。顕微鏡の倍率を200倍に設定する。顕微鏡法による分析後に得られた出力は、(1)検出された直径の一覧及び(2)検出されたそれぞれの直径サイズごとのカウント、である。
【0214】
したがって、各粒子の体積(V)を、以下の式:
【0215】
【数1】
式中、rは検出された各粒子の半径である、式で計算する。最後に、各粒子が球体であると仮定した上で、体積加重中央粒子径を計算(例えば、Microsoft Excel(商標)で作成されたものなどのスプレッドシートによる)する。
【実施例
【0216】
以下に提供される実施例は、事実上例示を意図するものであり、限定することを意図するものではない。
【0217】
実施例1.例示的な植物性ロジン材料
表1は、市販されている種々の植物性ロジン材料を示す。利用可能な場合には追加の情報を提供する。
【0218】
【表2】
Mfr.=以下の記号に記載のメーカー:
A-Luresa Resinas S.L.
B-DRT
C-Eastman
【0219】
実施例2.添加の順序(植物性ロジン対香料)
本実施例は、植物性ロジン材料及び有益剤(すなわち、芳香材料/香料)に対して異なる添加の順序を使用して作製された種々の液体布地柔軟剤(「LFE」)製品に関する。材料をLFE組成物に添加し、これを表2Aに報告する。
【0220】
【表3】
ジエステル第四級アンモニウム化合物(Ci-DEEDMAC=ジタローオイルエトキシエステルジメチルアンモニウムクロリド[MDEA系、メチルジエタノールアミン系第四級アンモニウム塩、Evonikから入手可能])。
【0221】
サンプル1では、植物性ロジン材料及び香料をプレミックス組成物として同時に添加する。サンプル2では、別個の投入物として材料を添加し、最初に香料を添加し、次に植物性ロジン材料を添加する。サンプル3では、別個の投入物として材料を添加し、最初に植物性ロジンを添加し、次に香料を添加する。以下に提供される百分率は、最終製品の重量による。
【0222】
【表4】
【0223】
各レッグについては、香料のみを添加した類似製品(植物性ロジン材料なし)を作製し、これを参照製品として使用する。追加的に、各製品について、構造化剤(FLOSOFT(商標)FS 222、旧SNF Floerger(登録商標))を、最終製品の0.2%の重量濃度で最終工程にて添加する。
【0224】
製品を使用し、上記の方法に従って布地を処理し、それぞれについての乾燥布地臭気(DFO)を測定する。結果を以下の表2Cに表す。追加的には、表2Cは「デルタDFO」を示す。これは、表2Bの製品(「植物性ロジン+香料」)と、香料のみを含む製品(「香料のみ」)とのDFOスコア間の差異を示している。更には、「DFO比」はそのレッグの2つのDFOスコアの比である。比較的高いデルタDFOスコアとDFO比は、香料のみの配合物と比較すると、植物性ロジンを含む配合物が爽やかさ効果をもたらすことを示している。
【0225】
【表5】
【0226】
追加的には、表2Dは「デルタWFO」を示す。これは、表2Bの製品(「植物性ロジン+香料」)と、香料のみを含む製品(「香料のみ」)とのWFOスコア間の差異を示している。更には、「WFO比」はそのレッグの2つのWFOスコアの比である。比較的高いデルタWFOスコアとWFO比は、香料のみの配合物と比較すると、植物性ロジンを含む配合物が爽やかさ効果をもたらすことを示している。
【0227】
【表6】
【0228】
更には、表2C及び表2Dで提供された結果は、サンプル1(例えば、プレミックス)の添加の順序で作製された製品がDFO及びWFOタッチポイントでは最良の爽やかさを提供し、サンプル2(最初に香料、次に植物性ロジン材料)の添加の順序がこれに続いた。
【0229】
実施例3.植物性ロジンと有益剤との比率
以下、表3Aによる液体布地(LFE)ベース組成物を提供する。
【0230】
【表7】
ジエステル第四級アンモニウム化合物(Ci-DEEDMAC=ジタローオイルエトキシエステルジメチルアンモニウムクロリド[MDEA系、メチルジエタノールアミン系第四級アンモニウム塩、Evonikから入手可能])。
FLOSOFT(商標)FS 222(旧SNF Floerger(登録商標))
【0231】
表3Bに示すように、以下のロジン/香料プレミックスを調製する。重量パーセントは、プレミックス組成物の重量に基づく。
【0232】
液体布地柔軟剤(LFE)ベース組成物に対して香料の量が合計で同じであるプレミックスを提供し、得られた液体コンディショニング製品を使用し、上記の方法に従って布地を処理する。
【0233】
ヘッドスペース分析を使用して乾燥布地臭気(DFO)を評価し、結果を表3Bに表す。
【0234】
【表8】
【0235】
表3Bに示すように、DFOヘッドスペース中の香料(nM/L)は、プレミックス中の植物性ロジン材料の量が増加するにつれて増加する。
【0236】
追加的にはプレミックス1、2、3及び4で作製した最終液体コンディショニング製品の顕微鏡写真を取得する。図6に示すように、粒子はプレミックス2、3及び4で作製した液体組成物中に可視できる状態で存在する。更には、粒子は、比較的大量の植物性ロジン材料を有するプレミックスを含む組成物中では比較的大きいと考えられる。例えば、プレミックス3及びプレミックス4で作製した製品の顕微鏡写真を確認されたい。
【0237】
追加的には10倍の倍率で偏光透過光を使用し、プレミックス1、2、3及び4で作製した最終液体コンディショニング製品の顕微鏡写真を取得する。図6Aに示すように、植物性ロジン材料を含まず、プレミックス1で作製した液体組成物中では粒子は可視されない。図6B図6Dに示すように、粒子はプレミックス2(図6B)、3(図6C)及び4(図6D)で作製した液体組成物中に可視できる状態で存在する。更には、粒子は、比較的大量の植物性ロジン材料を有するプレミックスを含む組成物中では比較的大きいと考えられる。例えば、プレミックス3(図6C)及びプレミックス4(図6D)で作製した製品の顕微鏡写真を確認されたい。
【0238】
実施例4.爽やかさの効果
以下、表4Aによる液体布地(LFE)ベース組成物を提供する。
【0239】
【表9】
ジエステル第四級アンモニウム化合物(Ci-DEEDMAC=ジタローオイルエトキシエステルジメチルアンモニウムクロリド[MDEA系、メチルジエタノールアミン系第四級アンモニウム塩、Evonikから入手可能])。
FLOSOFT(商標)FS 222(旧SNF Floerger(登録商標))
【0240】
表4Bに示すように、以下のロジン/香料プレミックスを調製し、一部は乳化剤を含む。重量パーセントは、プレミックス組成物の重量に基づく。
【0241】
【表10】
【0242】
種々の液体布地コンディショニング製品を表4Bのプレミックスで作製し、表4Aの組成物に添加する。各レッグについては、香料のみを添加した類似製品(プレミックスなし、植物性ロジン材料なし)を作製し、これを参照製品として使用する。表4Bのプレミックスを、参照製品(プレミックスなし、植物性ロジン材料なし)に対して同量の香料を送達する量で添加する。プレミックスを、Ultraturrax(登録商標)とオーバーヘッド混合中に、又はUltraturrax(登録商標)と混合中に、表4Aの組成物に添加することができる。
【0243】
【表11】
【0244】
製品を使用し、上に提供された方法に従って布地を処理し、それぞれについての乾燥布地臭気(DFO)を測定する。LFE組成物の配合を表4Bに報告する。
【0245】
結果を以下の表4Dに表す。追加的には、表4Dは「デルタDFO」を示す。これは、表4Bのプレミックスを含む製品と、香料のみを含む製品とのDFOスコア間の差異を示している。更には、「DFO比」はそのレッグの2つのDFOスコアの比である。比較的高いデルタDFOスコアとDFO比は、香料のみの配合物と比較すると、プレミックスを含む配合物が爽やかさの効果をもたらすことを示している。
【0246】
追加的には、分散性に関する注釈は、プレミックスをLFEベース組成物中に分散させようとしている間に行われた観察に基づき、プレミックスに関して提供される。プレミックス16は試験しなかった。
【0247】
【表12】
分散性は、最終製品配合物中でのロジン/香料(及び存在する場合には乳化剤)プレミックスの分散を容易にすることに関するものであり、5=非常に分散しにくい、3=平均的な分散性及び1=良好な分散性といったものである。
【0248】
追加的には、液体布地コンディショニング製品の一部の顕微鏡写真を図7A図7B及び図7Cに表す。顕微鏡写真を、63倍の倍率にて蛍光共焦点レーザー走査顕微鏡(confocal laser scanning microscopy、CLSM)で撮影する。図は、レッグA(図7A)、レッグD(図7B)及びレッグG(図7C)からのプレミックス含有製品のサンプルの63倍の顕微鏡写真を示す。製品のそれぞれの中に粒子を確認することができる。
【0249】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示されない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0250】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することが明言されない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いずれの文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいずれの発明に対する先行技術であるともみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないずれの発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語のいずれの意味又は定義も、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0251】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
【国際調査報告】