(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-07
(54)【発明の名称】微小球体の製造システムおよび微小球体の製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 9/14 20060101AFI20231130BHJP
A61J 3/02 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
A61K9/14
A61J3/02 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532784
(86)(22)【出願日】2021-08-02
(85)【翻訳文提出日】2023-07-25
(86)【国際出願番号】 KR2021010078
(87)【国際公開番号】W WO2022114450
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】10-2020-0164614
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519140246
【氏名又は名称】インベンテージ ラボ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】INVENTAGE LAB INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジュ ヒ
(72)【発明者】
【氏名】チョン,チャン ヒ
【テーマコード(参考)】
4C047
4C076
【Fターム(参考)】
4C047BB11
4C047CC14
4C047DD22
4C047LL02
4C076AA31
4C076GG11
(57)【要約】
微小球体の製造システムは、第1原料が貯蔵される第1原料貯蔵部と、溶媒、生分解性ポリマーおよび薬物を含む第2原料が貯蔵される第2原料貯蔵部と、連続相の前記第1原料と分散相の前記第2原料を含むエマルジョンを連続的に形成するエマルジョン形成部と、前記エマルジョン形成部から形成された前記エマルジョンを収容し、前記エマルジョンの前記分散相から前記溶媒を抽出、除去し、微小球体を形成する第1溶媒抽出除去部と、前記第1溶媒抽出除去部から離隔し、前記エマルジョン形成部から形成された前記エマルジョンを収容し、前記エマルジョンの前記分散相から前記溶媒を抽出、除去し、微小球体を形成する第2溶媒抽出除去部と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1原料が貯蔵される第1原料貯蔵部と、
溶媒、生分解性ポリマーおよび薬物を含む第2原料が貯蔵される第2原料貯蔵部と、
連続相の前記第1原料と分散相の前記第2原料を含むエマルジョンを連続的に形成するエマルジョン形成部と、
前記エマルジョン形成部から形成された前記エマルジョンを収容し、前記エマルジョンの前記分散相から前記溶媒を抽出、除去し、微小球体を形成する第1溶媒抽出除去部と、
前記第1溶媒抽出除去部から離隔し、前記エマルジョン形成部から形成された前記エマルジョンを収容し、前記エマルジョンの前記分散相から前記溶媒を抽出、除去し、微小球体を形成する第2溶媒抽出除去部と、を含む微小球体の製造システム。
【請求項2】
前記エマルジョン形成部は、前記第1原料が流れる第1流路と、前記第2原料が流れる第2流路と、前記連続相と前記分散相を含む前記エマルジョンが流れる第3流路と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の微小球体の製造システム。
【請求項3】
前記エマルジョン形成部は、複数のマイクロチップを含み、それぞれの前記マイクロチップは、前記第1流路、前記第2流路および前記第3流路を含むことを特徴とする請求項2に記載の微小球体の製造システム。
【請求項4】
前記エマルジョン形成部は、連続的に生成される前記エマルジョンを前記第1溶媒抽出除去部と前記第2溶媒抽出除去部に順次に供給することを特徴とする請求項1に記載の微小球体の製造システム。
【請求項5】
前記第1溶媒抽出除去部または前記第2溶媒抽出除去部で形成された前記微小球体を洗浄溶液を用いて洗浄する洗浄部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の微小球体の製造システム。
【請求項6】
前記洗浄部は、前記第1溶媒抽出除去部から形成された前記微小球体を洗浄する第1洗浄部と、前記第2前記溶媒抽出除去部から形成された前記微小球体を洗浄する第2洗浄部と、を含み、前記第1洗浄部と前記第2洗浄部は、互いに離隔することを特徴とする請求項5に記載の微小球体の製造システム。
【請求項7】
前記第1溶媒抽出除去部または前記第2溶媒抽出除去部で形成された前記微小球体を乾燥させて、微小球体粉末を収得する乾燥部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の微小球体の製造システム。
【請求項8】
前記第1原料は、水および界面活性剤を含み、
前記第2原料の前記溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム、エチルアセテート、アセトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、酢酸、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ベンジルアルコールまたはこれらの混合溶媒からなる群から1種以上が選択されることを特徴とする請求項1に記載の微小球体の製造システム。
【請求項9】
それぞれの前記第1および第2溶媒抽出除去部は、前記エマルジョンに流体流動を形成し、前記第2原料の前記溶媒を抽出し、抽出した前記溶媒を蒸発させて除去することを特徴とする請求項1に記載の微小球体の製造システム。
【請求項10】
それぞれの前記第1および第2溶媒抽出除去部は、前記エマルジョンを前記溶媒の沸点(boiling point)以上で加熱し、前記溶媒を気化させて除去することを特徴とする請求項1に記載の微小球体の製造システム。
【請求項11】
第1原料を準備し、生分解性ポリマー、薬物および溶媒を含む第2原料を準備する段階と、
前記第1原料および前記第2原料をエマルジョン形成部に提供し、前記エマルジョン形成部が連続相の前記第1原料と分散相の前記第2原料とを含むエマルジョンを連続的に形成する段階と、
前記エマルジョン形成部から生成された前記エマルジョンを第1溶媒抽出除去部に供給し、前記第1溶媒抽出除去部で前記分散相から前記溶媒を抽出、除去し、微小球体を形成する段階と、
前記エマルジョン形成部から生成された前記エマルジョンを前記第1溶媒抽出部から離隔した第2溶媒抽出除去部に供給し、前記第2溶媒抽出除去部で前記分散相から前記溶媒を抽出、除去し、微小球体を形成する段階と、を含む微小球体の製造方法。
【請求項12】
前記エマルジョンは、前記第1溶媒抽出除去部に供給が完了した後に、前記第2溶媒抽出除去部に順次に供給されることを特徴とする請求項11に記載の微小球体の製造方法。
【請求項13】
前記第1溶媒抽出除去部で形成された前記微小球体を洗浄および乾燥、または乾燥し、乾燥した微小球体粉末を収得する段階をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の微小球体の製造方法。
【請求項14】
前記第1溶媒抽出除去部で形成された前記微小球体を回収した後、
前記エマルジョン形成部で新しく生成されたエマルジョンを前記第1溶媒抽出除去部に供給し、前記第1溶媒抽出除去部で前記新しく生成されたエマルジョンの分散相の前記第2原料から前記溶媒を抽出、除去し、微小球体を形成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の微小球体の製造方法。
【請求項15】
前記エマルジョン形成部は、前記第1原料が流れる第1流路と、前記第2原料が流れる第2流路と、前記連続相と前記分散相を含む前記エマルジョンが流れる第3流路と、を含むマイクロチップを含むことを特徴とする請求項11に記載の微小球体の製造方法。
【請求項16】
前記第1溶媒抽出除去部で形成された前記微小球体を第1洗浄部で洗浄する段階と、
前記第2前記溶媒抽出除去部から形成された前記微小球体を前記第1洗浄部から離隔した第2洗浄部で洗浄する段階と、をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の微小球体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小球体の製造システムおよび微小球体の製造方法に関し、より詳細には、均一な品質の微小球体の大量生産が可能な微小球体の製造システムおよび微小球体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在活発に研究開発および活用されている薬物伝達システムの1つは、いわゆるポリマー薬物伝達システム(Polymeric Drug-Delivery System,「PDDS」という)と称されるものであり、これは、生分解性、生体適合性および非毒性ポリマー、例えば、ポリ乳酸(PLA)/ポリグリコール酸(PGA)ポリマーを用いて一定量の治療剤を長期間にわたって、循環投与量で、親水性または疎水性治療剤の両方に対して調節可能に放出することを可能にする。
【0003】
このような生分解性ポリマーは、多様な公知技術により微小球体(microsphere)の形態で製造することができる。これらの生分解性ポリマー微小球体の製造時に、最も頻 に使用される方法として、生分解性ポリマーまたは生分解性ポリマーと封入しようとする物質(薬剤またはその他活性薬剤)を公知の方法を用いて溶媒に溶解させ、界面活性剤を含有する水溶液に分散させたりまたはエマルジョン化させる。次に、溶媒を微小球体から除去した後、乾燥して、微小球体生成物を得る。公知技術による微小球体の製造工程で生分解性ポリマーおよび活性薬剤を溶解させるのにジクロロメタンまたはクロロホルムなどのような毒性溶媒が主に使用されるので、最終製品である微小球体生成物にこれらの溶媒が残留しないように、溶媒の除去に十分な時間と手間をかけなければならず、これによって、微小球体生成物を収得するまでの時間が増加し、大量生産の阻害要素として作用している。これによって、高品質の微小球体を安価に大量生産するための努力が行われてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国特許登録第10-0681213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これより、本発明の技術的課題は、このような点に着目されたものであり、本発明の目的は、均一な品質の微小球体の大量生産が可能な微小球体の製造システムを提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、均一な品質の微小球体の大量生産が可能な微小球体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記本発明の目的を実現するための一実施形態による微小球体の製造システムは、第1原料が貯蔵される第1原料貯蔵部と、溶媒、生分解性ポリマーおよび薬物を含む第2原料が貯蔵される第2原料貯蔵部と、連続相の前記第1原料と分散相の前記第2原料を含むエマルジョンを連続的に形成するエマルジョン形成部と、前記エマルジョン形成部から形成された前記エマルジョンを収容し、前記エマルジョンの前記分散相から前記溶媒を抽出、除去し、微小球体を形成する第1溶媒抽出除去部と、前記第1溶媒抽出除去部から離隔し、前記エマルジョン形成部から形成された前記エマルジョンを収容し、前記エマルジョンの前記分散相から前記溶媒を抽出、除去し、微小球体を形成する第2溶媒抽出除去部と、を含む。
【0008】
本発明の一実施形態において、前記エマルジョン形成部は、前記第1原料が流れる第1流路と、前記第2原料が流れる第2流路と、前記連続相と前記分散相を含む前記エマルジョンが流れる第3流路と、を含んでもよい。
【0009】
本発明の一実施形態において、前記エマルジョン形成部は、複数のマイクロチップを含み、それぞれの前記マイクロチップは、前記第1流路、前記第2流路および前記第3流路を含んでもよい。
【0010】
本発明の一実施形態において、前記エマルジョン形成部は、連続的に生成される前記エマルジョンを前記第1溶媒抽出除去部と前記第2溶媒抽出除去部に順次に供給することができる。
【0011】
本発明の一実施形態において、前記微小球体の製造システムは、前記第1溶媒抽出除去部または前記第2溶媒抽出除去部で形成された前記微小球体を洗浄溶液を用いて洗浄する洗浄部をさらに含んでもよい。
【0012】
本発明の一実施形態において、前記洗浄部は、前記第1溶媒抽出除去部から形成された前記微小球体を洗浄する第1洗浄部と、前記第2前記溶媒抽出除去部から形成された前記微小球体を洗浄する第2洗浄部と、を含んでもよい。前記第1洗浄部と前記第2洗浄部は、互いに離隔していてもよい。
【0013】
本発明の一実施形態において、前記微小球体の製造システムは、前記第1溶媒抽出除去部または前記第2溶媒抽出除去部で形成された前記微小球体を乾燥させて、微小球体粉末を収得する乾燥部をさらに含んでもよい。
【0014】
本発明の一実施形態において、前記第1原料は、水および界面活性剤を含んでもよい。前記第2原料の前記溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム、エチルアセテート、アセトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、酢酸、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ベンジルアルコールまたはこれらの混合溶媒からなる群から1種以上が選択され得る。
【0015】
本発明の一実施形態において、それぞれの前記第1および第2溶媒抽出除去部は、前記エマルジョンに流体流動を形成し、前記第2原料の前記溶媒を抽出し、抽出した前記溶媒を蒸発させて除去することができる。
【0016】
本発明の一実施形態において、それぞれの前記第1および第2溶媒抽出除去部は、前記エマルジョンを前記溶媒の沸点(boiling point)以上で加熱し、前記溶媒を気化させて除去することができる。
【0017】
上記本発明の目的を実現するための一実施形態による微小球体の製造方法は、第1原料を準備し、生分解性ポリマー、薬物および溶媒を含む第2原料を準備する段階と、前記第1原料および前記第2原料をエマルジョン形成部に提供し、前記エマルジョン形成部が連続相の前記第1原料と分散相の前記第2原料とを含むエマルジョンを連続的に形成する段階と、前記エマルジョン形成部から生成された前記エマルジョンを第1溶媒抽出除去部に供給し、前記第1溶媒抽出除去部で前記分散相から前記溶媒を抽出、除去し、微小球体を形成する段階と、前記エマルジョン形成部から生成された前記エマルジョンを前記第1溶媒抽出部から離隔した第2溶媒抽出除去部に供給し、前記第2溶媒抽出除去部で前記分散相から前記溶媒を抽出、除去し、微小球体を形成する段階と、を含む。
【0018】
本発明の一実施形態において、前記エマルジョンは、前記第1溶媒抽出除去部に供給が完了した後に、前記第2溶媒抽出除去部に順次に供給されてもよい。
【0019】
本発明の一実施形態において、前記微小球体の製造方法は、前記第1溶媒抽出除去部で形成された前記微小球体を洗浄および乾燥、または乾燥し、乾燥した微小球体粉末を収得する段階をさらに含んでもよい。
【0020】
本発明の一実施形態において、前記微小球体の製造方法は、前記第1溶媒抽出除去部で形成された前記微小球体を回収した後、前記エマルジョン形成部で新しく生成されたエマルジョンを前記第1溶媒抽出除去部に供給し、前記第1溶媒抽出除去部で前記新しく生成されたエマルジョンの分散相の前記第2原料から前記溶媒を抽出、除去し、微小球体を形成する段階をさらに含んでもよい。
【0021】
本発明の一実施形態において、前記エマルジョン形成部は、前記第1原料が流れる第1流路と、前記第2原料が流れる第2流路と、前記連続相と前記分散相を含む前記エマルジョンが流れる第3流路と、を含むマイクロチップを含んでもよい。
【0022】
本発明の一実施形態において、前記微小球体の製造方法は、前記第1溶媒抽出除去部で形成された前記微小球体を第1洗浄部で洗浄する段階と、前記第2前記溶媒抽出除去部から形成された前記微小球体を前記第1洗浄部から離隔した第2洗浄部で洗浄する段階と、をさらに含んでもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の実施形態によれば、微小球体の製造システムは、連続相の第1原料と分散相の第2原料を含むエマルジョンを連続的に形成するエマルジョン形成部と、前記エマルジョン形成部から形成された前記エマルジョンを収容し、前記エマルジョンの前記分散相から前記溶媒を抽出、除去し、微小球体を形成する第1溶媒抽出除去部と、前記第1溶媒抽出除去部から離隔し、前記エマルジョン形成部から形成された前記エマルジョンを収容し、前記エマルジョンの前記分散相から前記溶媒を抽出、除去し、微小球体を形成する第2溶媒抽出除去部と、を含むので、エマルジョン形成工程と溶媒抽出除去工程の効率が最大化され、高品質の微小球体を安価に大量生産することができる。
【0024】
ただし、本発明の効果は、前記効果に限定されるものではなく、本発明の思想および領域を逸脱しない範囲で多様に拡張できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による微小球体の製造システムの概略図である。
【
図2】
図2は、
図1の微小球体の製造システムを用いた微小球体の製造方法を説明するための図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態による微小球体の製造システムの概略図である。
【
図4】
図4は、
図3の微小球体の製造システムを用いた微小球体の製造方法を説明するための図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態による微小球体の製造システムの概略図である。
【
図6】
図6は、
図5の微小球体の製造システムを用いた微小球体の製造方法を説明するための図である。
【
図7】
図7は、本発明の一実施形態による微小球体の製造システムの概略図である。
【
図8】
図8は、
図7の微小球体の製造システムを用いた微小球体の製造方法を説明するための図である。
【
図9】
図9は、本発明の一実施形態による微小球体の製造システムのエマルジョン形成部のマイクロチップおよびその内部に形成された流れの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態をより詳細に説明する。
【0027】
本発明は、多様な変更を加えることができ、様々な形態を有することができるところ、特定の実施形態を図面に例示し、本文に詳細に説明する。しかしながら、これは、本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物や代替物を含むものと理解すべきである。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態による微小球体の製造システムの概略図である。
【0029】
図1を参照すると、前記微小球体の製造システムは、原料貯蔵部、エマルジョン形成部200、溶媒抽出除去部、洗浄部400および乾燥部500を含む。
【0030】
前記原料貯蔵部は、第1原料貯蔵部110および第2原料貯蔵部120を含んでもよい。前記溶媒抽出除去部は、第1溶媒抽出除去部310および第2溶媒抽出除去部320を含んでもよい。
【0031】
前記第1原料貯蔵部110は、第1原料を貯蔵することができる。前記第1原料は、純水(Purified Water)および界面活性剤(surfactant)を含んでもよい。例えば、前記第1原料は、純水にポリビニルアルコール(Polyvinyl Alcohol,「PVA」)が界面活性剤として溶解した水相溶液であってもよい。
【0032】
前記界面活性剤の種類は、特に制限されず、生分解性ポリマー溶液が連続相の水溶液相内で安定した液滴の分散相の形成を助けることができるものであれば、いずれでも使用することができる。前記界面活性剤は、好ましくは、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、レシチン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンヒマシ油誘導体およびこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0033】
前記第2原料貯蔵部120は、第2原料を貯蔵することができる。前記第2原料は、油相(oil-phase)溶液であり、有機溶媒、これに溶解した生分解性ポリマー(biodegradable polymer)および薬物を含んでもよい。前記有機溶媒は、前記生分解性ポリマーを溶解させるのに使用される溶媒であり、水と混和しない性質を有していてもよい。このような生分解性ポリマーを溶解させる有機溶媒の種類は、特に制限されないが、好ましくは、ジクロロメタン、クロロホルム、エチルアセテート、アセトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、酢酸、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ベンジルアルコールまたはこれらの混合溶媒からなる群から1種以上を選択することができる。
【0034】
前記生分解性ポリマーの種類は、特に制限されないが、好ましくは、ポリエステルを使用することができ、特にポリラクチド、ポリグリコライド、ポリ(ラクチド-コ-グリコライド)、ポリ(ラクチド-コ-グリコライド)グルコース、ポリカプロラクトンおよびこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0035】
前記薬物の種類は、特に制限されず、例えば、認知症治療剤;パーキンソン病治療剤;抗癌剤;抗不安剤、抗うつ剤、神経安定剤および精神神経用剤などのような抗精神病薬物;高脂血症治療剤、高血圧治療剤、低血圧治療剤、抗血栓剤、血管弛緩剤および不整脈治療剤などのような心血管系治療剤;てんかん治療剤;抗潰瘍剤などのような消化器系治療剤;リウマチ治療剤;鎮痙剤;結核治療剤;筋弛緩剤;骨粗しょう症治療剤;勃起不全治療剤;止血剤;性ホルモン剤などのようなホルモン剤;糖尿病治療剤;抗生剤;抗真菌剤;抗ウイルス剤;解熱鎮痛消炎剤;自律神経調節剤;コルチコステロイド;利尿剤; 抗利尿剤;鎮痛剤;麻酔剤;抗ヒスタミン剤;抗原虫剤;抗貧血剤;抗喘息剤;けいれん防止剤;解毒剤;抗片頭痛剤;抗嘔吐剤;抗パーキンソン剤; 抗てんかん剤;抗血小板剤;鎮咳去痰剤;気管支拡張剤;強心剤;免疫調節剤;タンパク質薬物;遺伝子薬物;およびこれらの混合物から選択することができる。
【0036】
前記前述した薬物の種類のうち特に制限されないが、好ましくは、ドネペジル、メマンチン、リバスチグミン、エンテカビル、ラミブジン、ロチゴチン、ロピニロール、ブピバカイン、ロピバカイン、メロキシカム、ブプレノルフィン、フェンタニル、ニモジピン、グラニセトロン、トリアムシノロン、シタラビン、カルムスチン、タムスロシン、ポルマコキシブ、テストステロン、エストラジオール、リスペリドン、パリペリドン、オランザピン、アリピプラゾール、ゴセレリン、リュープロレリン、トリプトレリン、ブセレリン、ナファレリン、デスロレリン、オクトレオチド、パシレオチド、ランレオチド、バプレオチド、エキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、セマグルチドおよびこれらの塩およびこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0037】
前記エマルジョン形成部200は、前記第1原料と第2原料を前記第1原料貯蔵部110および前記第2燃料貯蔵部120から供給を受けることができる。前記第1原料および前記第2原料を用いて、連続相の前記第1原料と分散相の前記第2原料を含むエマルジョンを連続的に形成することができる。
【0038】
本実施形態によれば、前記エマルジョン形成部200は、前記エマルジョンをバッチ(batch)工程単位でなく、連続工程で形成することができる。すなわち、前記エマルジョン形成部200は、前記第1原料および前記第2原料を連続的に供給され、前記エマルジョンを連続的に形成することができる。例えば、前記エマルジョン形成部200は、前記第1原料が流れる第1流路と、前記第2原料が流れる第2流路と、前記連続相と前記分散相を含む前記エマルジョンが流れる第3流路と、を含むマイクロチップを含み、前記マイクロチップは、複数個が並列的に連結され、所望の量のエマルジョンを連続的に形成することができる(マイクロチップの具体的な原理については、
図9を参照して後述する)。
【0039】
他の実施形態によれば、前記エマルジョン形成部200は、前記第1原料および第2原料を混合してエマルジョンを形成する複数のタンクが順次にエマルジョンを形成する構成を有することもできる。例えば、第1タンクで混合方式でエマルジョンを形成する間に、第2タンクに前記第1および第2原料が供給され、前記第2タンクでエマルジョンを形成する間に、第3タンクまたはエマルジョン形成を終了し微小球体を回収した第1タンクに前記第1および第2原料が再び供給され、再びエマルジョンを形成する方式で、混合方式でエマルジョンを形成する場合にも、連続的なエマルジョンの形成が可能である。
【0040】
前記第1原料貯蔵部110と前記エマルジョン形成部200は、第1連結路FL1により連結され、前記第1原料貯蔵部110から前記エマルジョン形成部200に前記第1原料が継続して供給されることができる。前記第2原料貯蔵部120と前記エマルジョン形成部200は、第2連結路FL2により連結され、前記第2原料貯蔵部120から前記エマルジョン形成部200に前記第2原料が継続して供給されることができる。
【0041】
前記第1連結路FL1および前記第2連結路FL2には、原料供給調節部150が形成され、前記エマルジョン形成部200が必要とする前記第1原料および前記第2原料の量を適切に調節しつつ供給することができる。
【0042】
前記第1溶媒抽出除去部310は、前記エマルジョン形成部200から形成された前記エマルジョンを供給されて収容し、前記エマルジョンの前記分散相から前記溶媒を抽出、除去し、微小球体を形成することができる。前記第1溶媒抽出除去部310は、前記エマルジョンを収容するためのタンクと、前記エマルジョンを撹拌するための撹拌器(stirrer)と、前記エマルジョンを加熱するための加熱器と、を含んでもよい。
【0043】
具体的には、前記第1溶媒抽出除去部310で、前記エマルジョンを、前記有機溶媒の沸点未満の温度で一定時間、例えば、2時間 48時間維持または撹拌すると、分散相である液滴形態の生分解性ポリマー溶液から連続相で有機溶媒を抽出することができる。連続相で抽出した有機溶媒の一部は、表面から蒸発することができる。液滴形態の生分解性ポリマー溶液から有機溶媒が抽出および蒸発されるにつれて、前記液滴形態の分散相が固形化され、微小球体を形成することができる。この際、前記エマルジョンに流動を起こしたり加熱して、抽出および蒸発を加速化することができる。例えば、前記エマルジョンに流体流動を形成して、前記第2原料の前記溶媒を抽出し、抽出した前記溶媒を蒸発させて除去することができる。前記エマルジョンを前記溶媒の沸点(boiling point)以上で加熱して、前記溶媒を気化させて除去することができる。分散相から抽出した有機溶媒が含まれた連続相の一部を除去し、この除去された連続相を代替できる新しい水溶液を供給することによって、分散相に存在する有機溶媒が連続相として十分に抽出および蒸発され得る。この際、新しい水溶液には、選択的に界面活性剤をさらに含むこともできる。
【0044】
前記第2溶媒抽出除去部320は、前記エマルジョン形成部200から形成された前記エマルジョンを供給されて収容し、前記エマルジョンの前記分散相から前記溶媒を抽出、除去し、微小球体を形成することができる。
【0045】
前記第2溶媒抽出除去部320は、前記第1溶媒抽出除去部310から離隔する別個の構成であり、具体的な機能および構成要素は、前記第1溶媒抽出除去部320と実質的に同一であってもよい。
【0046】
前記第1溶媒抽出除去部310と前記エマルジョン形成部200は、第3連結路FL3により連結されてもよい。前記第2溶媒抽出除去部320と前記エマルジョン形成部200は、第4連結路FL4により連結されてもよい。
【0047】
前記第3連結路FL3と前記第4連結路FL4には、エマルジョン供給調節部250が形成され、前記エマルジョンを必要に応じて前記第1溶媒抽出除去部310または前記第2溶媒抽出除去部320に選択的に供給することができる。
【0048】
前記洗浄部400は、前記第1溶媒抽出除去部310または前記第2溶媒抽出除去部320から形成された前記微小球体を回収して洗浄することができる。前記第1または第2溶媒抽出除去部310、320から形成された前記微小球体を含む連続相から前記微小球体を回収し洗浄する方法は、特に制限されず、ろ過または遠心分離などの方法を用いて回収した後、水を用いた洗浄などが行われ得る。これを通じて、残存する有機溶媒および界面活性剤(例えば、ポリビニルアルコール)を除去することができる。洗浄段階は、通常、水を用いて行うことができ、前記洗浄段階は、数回にわたって繰り返すことができる。
【0049】
前記乾燥部500は、洗浄した前記微小球体を乾燥させて、微小球体粉末を収得することができる。ろ過および洗浄段階後、収得した微小球体を通常の乾燥方法を用いて乾燥させて、最終的に乾燥した微小球体粉末を得ることができる。前記微小球体を乾燥する方法は制限されない。しかしながら、使用される乾燥方法が特に制限されるものではなく、凍結乾燥、真空乾燥または減圧乾燥方式を用いて行われ得る。なお、前記洗浄部400は、前記第1または第2溶媒抽出除去部310、320と別個の構成で図示されているが、前記第1または第2溶媒抽出除去部310、320内に一体に形成され、前記第1または第2溶媒抽出除去部310、320内で前記洗浄部400の洗浄段階が行われ得る。
【0050】
前記微小球体の乾燥過程を経て最終的に目的とする単分散生分解性ポリマーベースの微小球体粉末が製造され、その後、収得した微小球体粉末を懸濁液に懸濁させて、適切な容器、例えば、使い捨て注射器などに充填して最終製品を得ることができる。
【0051】
図2は、
図1の微小球体の製造システムを用いた微小球体の製造方法を説明するための図である。図面上で、横軸は、時間軸であり、当該段階の持続時間を示す。
【0052】
図1および
図2を参照すると、第1原料および第2原料を準備する(S10)。前記第1原料は、第1原料貯蔵部110に貯蔵し、前記第2原料は、第2原料貯蔵部120に貯蔵することができる。
【0053】
前記第1原料および前記第2原料をエマルジョン形成部200に供給する(S20)。前記第1および第2原料貯蔵部110、120から前記第1原料および前記第2原料を持続的に前記エマルジョン形成部200に供給することができる。
【0054】
前記エマルジョン形成部200がエマルジョンを連続に形成する(S21)。前記第1および第2原料貯蔵部110、120から持続的に供給される前記第1および第2燃料を用いて、前記エマルジョンを連続的に形成することができる。
【0055】
初期に形成されるエマルジョンは、第1溶媒抽出除去部310に供給される(S30)。その後、前記第1溶媒抽出除去部310で前記エマルジョンの分散相の溶媒を抽出および除去する(S31)。
【0056】
後期に形成されるエマルジョンは、第2溶媒抽出除去部320に供給される(S40)。その後、前記第2溶媒抽出除去部320で前記エマルジョンの分散相の溶媒を抽出および除去する(S41)。
【0057】
前記第1および第2溶媒抽出除去部310、320で溶媒が除去されて形成された微小球体は、洗浄段階(S50)および乾燥段階(S60)を経て最終的に微小球体粉末として収得することができる。
【0058】
本実施形態によれば、前記エマルジョン形成部200は、前記第1溶媒抽出除去部310に供給するエマルジョンを形成した後にも、継続してエマルジョンを形成し、前記第1溶媒抽出除去部310と別個である前記第2溶媒抽出除去部320に提供することができる。すなわち、図面上の「追加生産」分を従来のバッチサイズより多く生産することができ、これによって、大量生産が可能となる。
【0059】
また、微小球体の製造において長時間がかかる工程である溶媒抽出除去のための工程、すなわち、段階S31と段階S41は、別途の構成で行われ、図面上で「短縮時間」だけ同時に行われるので、「追加生産」分をさらに処理するための時間を短縮することができ、エマルジョン形成工程と溶媒抽出除去工程の効率を最大化することができる。これを通じて、高品質の微小球体を大量生産することができる。特に、バッチ(batch)工程ベースの従来の製造技術に比べて、同じ工程装備サイズでさらに多くの微小球体の生産が可能であり、これによって、1つのバッチ(batch)ごとに行うべき洗浄、滅菌、品質管理(QC)に対するロード(load)が減少し、結果的に、安価に高品質の微小球体を大量生産することができる。
【0060】
図3は、本発明の一実施形態による微小球体の製造システムの概略図である。
【0061】
図3を参照すると、前記微小球体の製造システムは、原料貯蔵部、エマルジョン形成部200、溶媒抽出除去部、洗浄部および乾燥部を含む。前記原料貯蔵部は、第1原料貯蔵部110および第2原料貯蔵部120を含んでもよい。前記溶媒抽出除去部は、第1溶媒抽出除去部310および第2溶媒抽出除去部320を含んでもよい。前記洗浄部は、第1洗浄部410および第2洗浄部420を含んでもよい。前記乾燥部は、第1乾燥部510および第2乾燥部520を含んでもよい。
【0062】
前記微小球体の製造システムは、前記洗浄部が前記第1洗浄部410と、前記第1洗浄部410から離隔する第2洗浄部420と、を含み、前記乾燥部が前記第1乾燥部510と、前記第1乾燥部510から離隔する第2乾燥部520と、を含むことを除いて、
図1の微小球体の製造システムと実質的に同一である。したがって、繰り返される説明は省略する。
【0063】
前記第1洗浄部410は、前記第1溶媒抽出除去部310から形成された微小球体を回収して洗浄することができる。前記第2洗浄部420は、前記第2溶媒抽出除去部320から形成された微小球体を回収して洗浄することができる。前記第2洗浄部420は、前記第1洗浄部410から離隔する別個の構成であり、具体的な機能および構成要素は、前記第1洗浄部410と実質的に同一であってもよい。
【0064】
前記第1乾燥部510は、前記第1洗浄部410で洗浄された前記微小球体を乾燥させて、微小球体粉末を収得することができる。前記第2乾燥部520は、前記第2洗浄部420で洗浄された前記微小球体を乾燥させて、微小球体粉末を収得することができる。前記第2乾燥部520は、前記第1乾燥部510から離隔する別個の構成であり、具体的な機能および構成要素は、前記第1乾燥部510と実質的に同一であってもよい。
【0065】
図4は、
図3の微小球体の製造システムを用いた微小球体の製造方法を説明するための図である。
【0066】
図3および
図4を参照すると、第1原料および第2原料を準備する(S10)。前記第1原料は、第1原料貯蔵部110に貯蔵し、前記第2原料は、第2原料貯蔵部120に貯蔵することができる。
【0067】
前記第1原料および前記第2原料をエマルジョン形成部200に供給する(S20)。前記第1および第2原料貯蔵部110、120から前記第1原料および前記第2原料を持続的に前記エマルジョン形成部200に供給することができる。
【0068】
前記エマルジョン形成部200がエマルジョンを連続に形成する(S21)。前記第1および第2原料貯蔵部110、120から持続的に供給される前記第1および第2燃料を用いて、前記エマルジョンを連続的に形成することができる。
【0069】
初期に形成されるエマルジョンは、第1溶媒抽出除去部310に供給される(S30)。その後、前記第1溶媒抽出除去部310で前記エマルジョンの分散相の溶媒を抽出および除去する(S31)。
【0070】
後期に形成されるエマルジョンは、第2溶媒抽出除去部320に供給される(S40)。その後、前記第2溶媒抽出除去部320で前記エマルジョンの分散相の溶媒を抽出および除去する(S41)。
【0071】
前記第1溶媒抽出除去部310で溶媒が除去されて形成された微小球体は、第1洗浄部410で洗浄段階(S32)を経て、第1乾燥部510で乾燥段階(S33)を経て、最終的に微小球体粉末として収得することができる。
【0072】
前記第2溶媒抽出除去部320で溶媒が除去されて形成された微小球体は、第2洗浄部420で洗浄段階(S42)を経て、第2乾燥部520で乾燥段階(S43)を経て、最終的に微小球体粉末として収得することができる。
【0073】
本実施形態によれば、前記エマルジョン形成部200は、前記第1溶媒抽出除去部310に供給するエマルジョンを形成した後にも、継続してエマルジョンを形成し、前記第1溶媒抽出除去部310と別個である前記第2溶媒抽出除去部320に提供することができる。すなわち、図面上の「追加生産」分を従来のバッチサイズより多く生産することができ、これによって、大量生産が可能となる。
【0074】
また、微小球体の製造において長時間がかかる工程である溶媒抽出除去のための工程、すなわち、段階(S31)と段階(S41)は、別途の構成で行われ、また、洗浄および乾燥も個別的に行われ(S32とS42、S33とS43)、図面上で「短縮時間」だけ同時に行われるので、「追加生産」分をさらに処理するための時間を短縮することができ、エマルジョン形成工程と溶媒抽出除去工程の効率を最大化することができる。これを通じて、高品質の微小球体を大量生産することができる。
【0075】
図5は、本発明の一実施形態による微小球体の製造システムの概略図である。
【0076】
図5を参照すると、前記微小球体の製造システムは、原料貯蔵部、エマルジョン形成部200、溶媒抽出除去部、洗浄部および乾燥部を含む。前記原料貯蔵部は、第1原料貯蔵部110および第2原料貯蔵部120を含んでもよい。前記溶媒抽出除去部は、第1溶媒抽出除去部310、第2溶媒抽出除去部320および第3溶媒抽出除去部330を含んでもよい。前記洗浄部は、第1洗浄部410、第2洗浄部420および第3洗浄部430を含んでもよい。前記乾燥部は、第1乾燥部510、第2乾燥部520および第3乾燥部530を含んでもよい。
【0077】
前記微小球体の製造システムは、前記溶媒抽出除去部が前記第3溶媒抽出除去部330をさらに含み、前記洗浄部が前記第3洗浄部430をさらに含み、前記乾燥部が前記第3乾燥部530をさらに含むことを除いて、
図3の微小球体の製造システムと実質的に同一である。したがって、繰り返される説明は省略する。
【0078】
前記第3溶媒抽出除去部330は、前記エマルジョン形成部200から形成されたエマルジョンを供給されて収容し、前記エマルジョンの前記分散相から前記溶媒を抽出、除去し、微小球体を形成することができる。前記第3溶媒抽出除去部330と前記エマルジョン形成部200は、第5連結路FL5により連結されてもよい。
【0079】
前記第3溶媒抽出除去部330は、前記第1および第2溶媒抽出除去部310、320と離隔する別個の構成であり、具体的な機能および構成要素は、前記第1溶媒抽出除去部320または前記第2溶媒抽出除去部330と実質的に同一であってもよい。
【0080】
前記第3洗浄部430は、前記第3溶媒抽出除去部310から形成された微小球体を回収して洗浄することができる。前記第3洗浄部430は、前記第1および第2洗浄部410、420から離隔する別個の構成であり、具体的な機能および構成要素は、前記第1洗浄部410または前記第2洗浄部420と実質的に同一であってもよい。
【0081】
前記第3乾燥部530は、前記第3洗浄部430で洗浄された前記微小球体を乾燥させて、微小球体粉末を収得することができる。第3乾燥部530は、前記第1および第2乾燥部510、520から離隔する別個の構成であり、具体的な機能および構成要素は、前記第1乾燥部510または前記第2乾燥部520と実質的に同一であってもよい。
【0082】
第3連結路FL3、第4連結路FL4および前記第5連結路FL5には、エマルジョン供給調節部250が形成され、前記エマルジョンを必要に応じて前記第1溶媒抽出除去部310、前記第2溶媒抽出除去部320または前記第3溶媒抽出除去部330に選択的に供給することができる。
【0083】
図6は、
図5の微小球体の製造システムを用いた微小球体の製造方法を説明するための図である。
【0084】
図5および
図6を参照すると、第1原料および第2原料を準備する(S10)。前記第1原料は、第1原料貯蔵部110に貯蔵し、前記第2原料は、第2原料貯蔵部120に貯蔵することができる。
【0085】
前記第1原料および前記第2原料をエマルジョン形成部200に供給する(S20)。前記第1および第2原料貯蔵部110、120から前記第1原料および前記第2原料を持続的に前記エマルジョン形成部200に供給することができる。
【0086】
前記エマルジョン形成部200がエマルジョンを連続に形成する(S21)。前記第1および第2原料貯蔵部110、120から持続的に供給される前記第1および第2燃料を用いて、前記エマルジョンを連続的に形成することができる。
【0087】
初期に形成されるエマルジョンは、第1溶媒抽出除去部310に供給される(S30)。その後、前記第1溶媒抽出除去部310で前記エマルジョンの分散相の溶媒を抽出および除去する(S31)。
【0088】
中期に形成されるエマルジョンは、第2溶媒抽出除去部320に供給される(S40)。その後、前記第2溶媒抽出除去部320で前記エマルジョンの分散相の溶媒を抽出および除去する(S41)。
【0089】
後期に形成されるエマルジョンは、第3溶媒抽出除去部330に供給される(S50)。その後、前記第3溶媒抽出除去部330で前記エマルジョンの分散相の溶媒を抽出および除去する(S51)。
【0090】
前記第1溶媒抽出除去部310で溶媒が除去されて形成された微小球体は、第1洗浄部410で洗浄段階(S32)を経て、第1乾燥部510で乾燥段階(S33)を経て、最終的に微小球体粉末として収得することができる。
【0091】
前記第2溶媒抽出除去部320で溶媒が除去されて形成された微小球体は、第2洗浄部420で洗浄段階(S42)を経て、第2乾燥部520で乾燥段階(S43)を経て、最終的に微小球体粉末として収得することができる。
【0092】
前記第3溶媒抽出除去部330で溶媒が除去されて形成された微小球体は、第3洗浄部430で洗浄段階(S52)を経て、第3乾燥部530で乾燥段階(S53)を経て、最終的に微小球体粉末として収得することができる。
【0093】
本実施形態によれば、前記エマルジョン形成部200は、前記第1溶媒抽出除去部310に供給するエマルジョンを形成した後にも、継続してエマルジョンを形成し、前記第1溶媒抽出除去部310と別個である前記第2または第3溶媒抽出除去部320、330に提供することができる。すなわち、図面上の「追加生産」分を従来のバッチサイズより多く生産することができ、これによって、大量生産が可能となる。
【0094】
また、微小球体の製造において長時間がかかる工程である溶媒抽出除去のための工程、すなわち、段階(S31)、段階(S41)および段階(S51)は、別途の構成で行われ、これによって「短縮時間1」および「短縮時間2」だけ同時に行われるので、「追加生産」分をさらに処理するための時間を短縮することができ、エマルジョン形成工程と溶媒抽出除去工程の効率を最大化することができる。これを通じて、高品質の微小球体を大量生産することができる。
【0095】
図7は、本発明の一実施形態による微小球体の製造システムの概略図である。
【0096】
図7を参照すると、前記微小球体の製造システムは、原料貯蔵部、エマルジョン形成部200、溶媒抽出除去部、洗浄部および乾燥部を含む。前記原料貯蔵部は、第1原料貯蔵部110および第2原料貯蔵部120を含んでもよい。前記溶媒抽出除去部は、第1溶媒抽出除去部310、第2溶媒抽出除去部320および第3溶媒抽出除去部330を含んでもよい。前記洗浄部は、第1洗浄部410および第2洗浄部420を含んでもよい。前記乾燥部は、第1乾燥部510および第2乾燥部520を含んでもよい。
【0097】
前記微小球体の製造システムは、前記溶媒抽出除去部が前記第3溶媒抽出除去部330をさらに含むことを除いて、
図3の微小球体の製造システムと実質的に同一である。したがって、繰り返される説明は省略する。
【0098】
前記第3溶媒抽出除去部330は、前記エマルジョン形成部200から形成されたエマルジョンを供給されて収容し、前記エマルジョンの前記分散相から前記溶媒を抽出、除去し、微小球体を形成することができる。前記第3溶媒抽出除去部330と前記エマルジョン形成部200は、第5連結路FL5により連結されてもよい。
【0099】
前記第3溶媒抽出除去部330は、前記第1および第2溶媒抽出除去部310、320から離隔する別個の構成であり、具体的な機能および構成要素は、前記第1溶媒抽出除去部320または前記第2溶媒抽出除去部330と実質的に同一であってもよい。
【0100】
本実施形態において溶媒抽出除去部は、3個の構成であり、洗浄部および乾燥部は、2個の構成であるが、相対的に長時間を必要とする溶媒抽出除去部のみを3個で構成し、作業が完了した洗浄部または乾燥部を適切に交互に使用することによって、製造効率を最大化することができる。また、作業が完了した溶媒抽出除去部を交互に使用することによって、製造効率を最大化することができる。これに関する詳しい説明は
図8を参照して後述する。
【0101】
図8は、
図7の微小球体の製造システムを用いた微小球体の製造方法を説明するための図である。
【0102】
図7および
図8を参照すると、第1原料および第2原料を準備する(S10)。前記第1原料は、第1原料貯蔵部110に貯蔵し、前記第2原料は、第2原料貯蔵部120に貯蔵することができる。
【0103】
前記第1原料および前記第2原料をエマルジョン形成部200に供給する(S20)。前記第1および第2原料貯蔵部110、120から前記第1原料および前記第2原料を持続的に前記エマルジョン形成部200に供給することができる。
【0104】
前記エマルジョン形成部200がエマルジョンを連続に形成する(S21)。前記第1および第2原料貯蔵部110、120から持続的に供給される前記第1および第2燃料を用いて、前記エマルジョンを連続的に形成することができる。
【0105】
第1期に形成されるエマルジョンは、第1溶媒抽出除去部310に供給される(S30)。その後、前記第1溶媒抽出除去部310で前記エマルジョンの分散相の溶媒を抽出および除去する(S31)。
【0106】
第2期に形成されるエマルジョンは、第2溶媒抽出除去部320に供給される(S40)。その後、前記第2溶媒抽出除去部320で前記エマルジョンの分散相の溶媒を抽出および除去する(S41)。
【0107】
第3期に形成されるエマルジョンは、第3溶媒抽出除去部330に供給される(S50)。その後、前記第3溶媒抽出除去部330で前記エマルジョンの分散相の溶媒を抽出および除去する(S51)。
【0108】
この際、前記第1溶媒抽出除去部310で溶媒が除去されて形成された微小球体は、第1洗浄部410で洗浄段階(S32)を経る。これによって、前記第1溶媒抽出除去部310は、さらにエマルジョンを収容し、溶媒を抽出、除去する準備状態となりうる。
【0109】
第4期に形成されるエマルジョンは、さらに前記第1溶媒抽出除去部310に供給される(S60)。その後、前記第1溶媒抽出除去部310で前記エマルジョンの分散相の溶媒を抽出および除去する(S61)。
【0110】
前記第1溶媒抽出除去部310で溶媒が除去されて形成された微小球体は、第1洗浄部410で洗浄段階(S32)を経て、第1乾燥部510で乾燥段階(S33)を経て、最終的に微小球体粉末として収得することができる。
【0111】
前記第2溶媒抽出除去部320で溶媒が除去されて形成された微小球体は、第2洗浄部420で洗浄段階(S42)を経て、第2乾燥部520で乾燥段階(S43)を経て、最終的に微小球体粉末として収得することができる。
【0112】
前記第3溶媒抽出除去部330で溶媒が除去されて形成された微小球体は、前記第1洗浄部410で洗浄段階(S52)を経て、前記第1乾燥部510で乾燥段階(S53)を経て、最終的に微小球体粉末として収得することができる。この際、前記第1洗浄部410および前記第1乾燥部510は、すでに前記第1溶媒抽出除去部310から供給された微小球体をそれぞれ洗浄、乾燥完了した状態であるから、前記第3溶媒抽出除去部330から微小球体をさらに受ける準備ができている。
【0113】
なお、2番目に進行された前記第1溶媒抽出除去部310で溶媒が除去されて形成された微小球体は、前記第2洗浄部420で洗浄段階(S62)を経て、前記第2乾燥部520で乾燥段階(S63)を経て、最終的に微小球体粉末として収得することができる。この際、前記第2洗浄部420および前記第2乾燥部520は、すでに前記第2溶媒抽出除去部320から供給された微小球体をそれぞれ洗浄、乾燥完了した状態であるから、前記第1溶媒抽出除去部330から微小球体をさらに受ける準備ができている。
【0114】
本実施形態によれば、前記エマルジョン形成部200は、前記第1溶媒抽出除去部310に供給するエマルジョンを形成した後にも、継続してエマルジョンを形成し、後続工程に提供することができる。すなわち、図面上の「追加生産」分を従来のバッチサイズより多く生産することができ、これによって、大量生産が可能になる。前記第1溶媒抽出除去部310が二回使用され、前記第1および第2洗浄部410、420、前記第1および第2乾燥部510、520がそれぞれ二回使用された例が説明されたが、これに限定されない。すなわち、同様の原理で、エマルジョンが連続に形成され、作業が完了したそれぞれの構成を継続して繰り返し使用することによって、所望量の微小球体を収得することができる。
【0115】
また、微小球体の製造において長時間がかかる工程である溶媒抽出除去のための工程が別途の構成で行われ、これによって、「短縮時間1」、「短縮時間2」および「短縮時間3」だけ同時に行われるので、「追加生産」分をさらに処理するための時間を短縮することができ、エマルジョン形成工程と溶媒抽出除去工程の効率を最大化することができる。これを通じて、高品質の微小球体を大量生産することができる。
【0116】
図9は、本発明の一実施形態による微小球体の製造システムのエマルジョン形成部のマイクロチップおよびその内部に形成された流れの概略図である。
【0117】
図9を参照すると、前記マイクロチップは、3個のマイクロ流路(同図のチャネル1、チャネル2、チャネル3)を含む。マイクロ流路の1つは、生分解性ポリマー溶液が流動する(流動2)通路となり、残りの2個のマイクロ流路は、水相溶液が流動する(流動1、流動3)通路となる。生分解性ポリマー溶液の流動を収容するマイクロ流路は、水相溶液の流動を収容するマイクロ流路の間に位置する。水相溶液の流動を収容するマイクロ流路は、併合地点15でΨ角で生分解性ポリマー相溶液の流動を収容するマイクロ流路と合わさる。マイクロ流路を介して流動する溶液の相互作用および併合地点で会う溶液の非混和性によって、併合地点で生分解性ポリマーベースの微小球体液滴が形成される。水相溶液の流動を収容するマイクロ流路は、それぞれ、導入路11および13を含み、これを介して、マイクロ流路内に溶液が導入される。生分解性ポリマー相溶液の流動を収容するマイクロ流路は、導入路12および排出路14を含む。生分解性ポリマーベースの微小球体液滴を含む溶液は、排出路14を介してマイクロチップから排出される。溶液の流動を収容するためのマイクロチップ内マイクロ流路の個数は、最終製品に対する要求値に応じて変わることができる。生分解性ポリマーベースの微小球体液滴を含む溶液は、以下では、分散相溶液(dispersed phase solution)と称される。
【0118】
本発明において、水相溶液は、前記導入路11、13を介してマイクロチップにそれぞれ流入し、マイクロ流路1、3内に流動1および流動3をそれぞれ形成し、生分解性ポリマー相溶液の流動2と併合地点15で所定の角度で会う。ここで、水相溶液、すなわち、流動1および流動3により、生分解性ポリマー溶液、すなわち、流動2が分節されること(segmentation)および2つの溶液の非混和性であることから、微小球体液滴が形成される。これによって、分散相溶液が形成され、併合地点15で形成された微小球体液滴は、排出路14を介してマイクロチップ外へ排出される。
【0119】
マイクロチップを用いてエマルジョンを形成する場合、生成された微小球体の品質が撹拌方式の場合より向上することができる。ただし、マイクロチップを用いた連続生産の場合、1つのバッチ(one batch)工程を用いて、製品を生産した後には、前記マイクロチップを再使用せず、廃棄後に新規マイクロチップを使用しなければならない問題などによって大量生産に不利であるという問題があった。
【0120】
本発明の実施形態によれば、微小球体の製造システムは、連続相の第1原料と分散相の第2原料を含むエマルジョンを連続的に形成するエマルジョン形成部と、前記エマルジョン形成部から形成された前記エマルジョンを収容し、前記エマルジョンの前記分散相から前記溶媒を抽出、除去し、微小球体を形成する第1溶媒抽出除去部と、前記第1溶媒抽出除去部から離隔し、前記エマルジョン形成部から形成された前記エマルジョンを収容し、前記エマルジョンの前記分散相から前記溶媒を抽出、除去し、微小球体を形成する第2溶媒抽出除去部と、を含むので、エマルジョン形成工程と溶媒抽出除去工程の効率が最大化され、高品質の微小球体を安価に大量生産することができる。
【0121】
なお、本発明の実施形態では、エマルジョンの分散相が油相溶液を含み、連続相が水相溶液を含む場合が説明されたが、これに限定されない。エマルジョンの分散相が水相溶液を含み、連続相が油相溶液を含むことも可能であり、この場合、微小球体に含まれる薬物は、親水性治療剤を含んでもよい。
【0122】
以上、実施形態を参照して説明したが、当該技術分野における熟練した当業者は、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域を逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正および変更させることができることを理解することができる。
【符号の説明】
【0123】
110 第1原料貯蔵部
120 第2原料貯蔵部
200 エマルジョン形成部
310 第1溶媒抽出除去部
320 第2溶媒抽出除去部
400 洗浄部
500 乾燥部
【国際調査報告】